JP2018098429A - 静止誘導電器 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、簡単な巻回構造で電位振動特性を向上可能な静止誘導電器を提供することである。【解決手段】上記目的を達成するために、本発明は、主磁路と、前記主磁路に巻回される巻線導体と、前記巻線導体に隣接配置されたシールド導体と、前記巻線導体の両端にサージ電圧が印加されたときに前記シールド導体の両端に生じる起電力の大きさが、前記サージ電圧の大きさと異なるものとなる様に前記シールド導体の寸法形状が構成されており、前記巻線導体と前記シールド導体の一端同士が、コンデンサを含む負荷を介して接続され、前記巻線導体と前記シールド導体の他端が、直接あるいは他の負荷を介して接続されていることを特徴とする【選択図】 図1

Description

本発明は、静止誘導電器に係り、特に、電力用に用いられる衝撃電圧特性を改良した静止誘導電器に関する。
電力用変圧器の信頼性に関わる重要な特性として、雷などのサージに対する衝撃電圧特性がある。これは高周波成分を含んだ単極性のサージ電圧が侵入してきた時の変圧器内部の巻線の過渡特性、いわゆる電位振動特性であり、この特性が悪いと巻線内に過電圧が発生し、場合によっては破壊に至ることもある。
巻線の電位振動特性改善方法としては、従来巻線の巻回構造を変えて巻線の直列静電容量を増すことが一般的であり、素線導体を入組んで巻回するインターリーブ巻(特許文献1)や、複数段離れたコイル間を静電結合させるシールド導体をコイル内に巻込んだいわゆるCC(コンデンサカップリング)シールド巻線(特許文献2)などがよく用いられている。
特開2013−16607号公報 特開2016−4950号公報
しかし、インターリーブ巻は巻線自体の巻回構造が、CCシールド巻線は複数段離れたコイル内にシールド導体を巻込む構造が複雑であるため、製作工数が増大する。
そこで、本発明の目的は、簡単な巻回構造で電位振動特性を向上可能な静止誘導電器を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明は、主磁路と、前記主磁路に巻回される巻線導体と、前記巻線導体に隣接配置されたシールド導体と、前記巻線導体の両端にサージ電圧が印加されたときに前記シールド導体の両端に生じる起電力の大きさが、前記サージ電圧の大きさと異なるものとなる様に前記シールド導体の寸法形状が構成されており、前記巻線導体と前記シールド導体の一端同士が、コンデンサを含む負荷を介して接続され、前記巻線導体と前記シールド導体の他端が、直接あるいは他の負荷を介して接続されていることを特徴とする
本発明によれば、簡単な巻回構造で電位振動特性を向上可能な静止誘導電器を提供することができる。
実施例1における要部の断面図 実施例1における要部の構成図 実施例1における回路図 実施例1における負荷の詳細回路図 実施例1の変形例における負荷の詳細回路図 実施例1の動作状況における巻線導体とシールド導体に流れる電流の向きを示した図 実施例2における要部の断面図 実施例2における要部の構成図 実施例2における回路図 実施例2の動作状況における巻線導体とシールド導体に流れる電流の向きを示した図 実施例1における静止誘導電器の側面図 実施例1における静止誘導電器の正面図 実施例1における巻線導体とシールド導体の絶縁構造を示す断面図 実施例1における変形例を示す断面図 実施例1における他の変形例を示す断面図
以下、図面を用いて本発明の静止誘導電器の好ましい実施例について詳説する。なお、発明の実施例を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
実施例1について図1乃至6、図11乃至13を用いて説明する。
図1は実施例1における巻線導体とシールド導体の配置構成を示す要部の断面図である。図2は巻線導体とシールド導体の巻回し構造を示す要部の構成図である。図3は実施例1における巻線ユニットの回路図である。図4は巻線ユニットを構成する負荷の詳細回路図である。図5は巻線ユニットを構成する負荷の変形例における負荷の詳細回路図である。図6は実施例1の動作状況における巻線導体とシールド導体に流れる電流の向きを示した図である。図11は実施例1における静止誘導電器の側面図である。図12は実施例1における静止誘導電器の正面図である。図13は実施例1における巻線導体とシールド導体の絶縁構造を示す断面図である。
図11、図12に示した静止誘導電器500は、電力用三相リアクトルであり、巻線ユニット301、302、及び303が、三相三脚の主磁路1の各脚の周囲に巻回され、全体がタンク15の内部に収納されている。タンク15の内部には絶縁媒体として絶縁油や六フッ化硫黄ガスなどが充填される。各巻線ユニットの一端301a、302a及び303aは三相交流送電線の各ラインに接続される。各巻線ユニットの他端301b、302b及び303bは、主磁路1と タンク15と共に接地され、これによりY結線の中性点接地の三相リアクトルとなっている。
次に、図1乃至4を用いて本実施例における巻線ユニット301の構成を詳細に説明する。なお、巻線ユニット302、303についても巻線ユニット301と同一の構成である。
図3に示した通り、本実施例における巻線ユニット301は、巻線導体100、シールド導体200及び負荷50とで構成されている。具体的には、巻線導体端部100aとシールド導体端部200aが負荷50を介して直接接続されている。負荷50は、図4に示した通り、コンデンサ20で構成されている。一方、巻線導体端部100bとシールド導体端部200bは直接接続されている。
図1に示すように巻線導体100は円板コイルを上下方向に偶数段積み重ねた形状をしており、最下段の円板コイルは、巻線導体端部100bから開始して上方から見て時計回りに、外側から内側に向けて5ターン、即ち、ターン1001、1002、1003、1004、1005の順に巻回されている。そして、ターン1005から上段に亘り、今度は上方から見て時計回りに、内側から外側に向けて5ターン、即ち、ターン1006、1007、1008、1009、1010の順に巻回されている。そして、ターン1010から上段に亘って、以降同様に巻回すことで円板コイルが偶数段積み重なったものとして巻線導体100が構成される。
最上段とその下段について述べると、図2の実線で示した通り、上方から見て時計回りに、外側から内側に向けて5ターン、即ち、ターン1091、1092、1093、1094、1095の順に巻回された後に上段に亘り、今度は上方から見て時計回りに、内側から外側に向けて5ターン、即ち、ターン1096、1097、1098、1099、1100の順に巻回されて、巻線導体端部100aで巻回しが終了している。そして実施例1においては合計100ターンが巻回されて巻線導体100を構成している。このように構成されている結果、巻線導体100の巻回軸まわりの電流の向きは全てのターンで同一方向となる。なお、図13にターン1001を代表として示す様に、巻線導体100の周囲は絶縁被覆70で覆われていて、径方向に隣接するシールド導体との間や、上下に隣接する巻線導体のターン間の電気絶縁の役割を担っている。
同様にシールド導体200についても円板コイルを上下方向に偶数段積み重ねた形状をしており、最下段は、シールド導体端部200bから開始して上方から見て時計回りに、外側から内側に向けて5ターン、即ち、ターン2001、2002、2003、2004、2005の順に巻回されている。そして、ターン2005から上段に亘り、今度は上方から見て時計回りに、内側から外側に向けて5ターン、即ち、ターン2006、2007、2008、2009、2010の順に巻回されている。そして、ターン2010から上段に亘って、以降同様に巻回すことで円板コイルが偶数段積み重なった形状としてシールド導体200が構成される。
最上段とその下段について述べると、図2の点線で示した通り、上方から見て時計回りに、外側から内側に向けて5ターン、即ち、ターン2091、2092、2093、2094、2095の順に巻回された後に上段に亘り、今度は上方から見て時計回りに、内側から外側に向けて6ターン、即ち、ターン2096、2097、2098、2099、2100、2101の順に巻回されて、シールド導体端部200aで巻回しが終了している。そして実施例1においては合計101ターンが巻回されてシールド導体200を構成している。
このように構成されている結果、シールド導体200の巻回軸まわりの電流の向きは全てのターンで同一方向となる。なお、図13にターン2001を代表として示す様に、シールド導体200の周囲は絶縁被覆71で覆われていて、径方向に隣接する巻線導体との間や、上下に隣接するシールド導体のターン間の電気絶縁の役割を担っている。
巻線導体100を構成する各ターンと、シールド導体200を構成する各ターンとの位置関係については、最下段の最外周を開始ターンとしてターン数を数えたときに、巻線導体の各ターンの内側に隣接してシールド導体の同一ターンが配置されている。シールド導体の最終ターン2101については巻線導体の最終ターン1100の外側に隣接して配置されている。
次に、図3、図4、図6を用いて実施例1の静止誘導電器の動作を説明する。
図11及び図12に示した静止誘導電器500において、通常動作時には各巻線ユニットの一端301a、302a及び303aには、商用周波数50Hzまたは60Hzの三相交流電圧が印加されている。この時、巻線ユニット301について代表的に説明すると、図3に示した巻線導体100の両端(巻線導体端部100a、巻線導体端部100b)の間に交流電圧が印加されることにより、シールド導体200の両端(シールド導体端部200a、シールド導体端部200b)の間に誘導起電力が誘起される。
この誘導起電力の大きさは、巻線導体100とシールド導体200の磁気結合の大きさに依存するが、図6に示した通り、実施例1においてはシールド導体200が巻線導体100にターン毎に隣接して密に巻き込まれていること、更には巻線導体より1ターン多く巻回されていることにより、巻線導体100の両端に印加された交流電圧より大きな誘導起電力が誘起される。この時、巻線導体端部100bとシールド導体端部200bが直接接続されていることにより、巻線導体端部100aとシールド導体端部200aに接続された負荷50の両端には、巻線導体に印加された交流電圧とシールド導体に誘起された誘導起電力の差電圧が印加される。これにより、負荷50のインピーダンスに応じたシールド電流Isがシールド導体200を流れる。そして、このシールド電流Isと、巻線導体100とシールド導体200の磁気結合の大きさとに応じた負荷電流が巻線導体100を流れるが、この負荷電流の周方向の向きは、図6に示した通り、シールド電流と逆向きである。そして、この負荷電流と、巻線導体100に印加される交流電圧の周波数と大きさ、巻線導体の自己インダクタンスの大きさとに応じて流れる励磁電流とが合成されたものとして、巻線電流Iwが巻線導体100を流れる。
次に、実施例1の静止誘導電器の巻線ユニット301に、雷などの高周波成分を含んだ単極性のサージ電圧が印加された場合の動作を説明する。基本的な動作は、前述した商用交流電圧が印加された場合と同一であるが、雷などのサージ電圧に含まれる高周波成分の周波数は商用周波数の数千倍にもなる。そのため、図12において接地されている主磁路1及びタンク15と、巻線ユニット301との間に形成される対地静電容量150のインピーダンスは数千分の1となり、同一の電圧振幅を仮定した場合、対地静電容量を経由して流れる対地電流の大きさは数千倍となる。一方、巻線導体100の自己インダクタンスによるインピーダンスの大きさは数千倍となり、巻線導体100に流れる励磁電流は数千分の1となることから、対地電流の大きさと比較して無視できるレベルになる。そのため、特段の手段を取らない場合には、巻線導体100の軸方向に流れる電流は、巻線の直列静電容量を通過する電流のみとなる。通常、対地電流の大きさは、巻線の直列静電容量を通過する電流の大きさと比較し無視できないことから、電流保存則を満たす様に巻線の軸方向の電圧分担が決まり、上下方向に電圧分担のアンバランスが生じてしまう。
一方で、実施例1は図4に示した通り、負荷50をコンデンサ20としている。そのため、このコンデンサの静電容量を適切に選定することにより、当該コンデンサを経由するシールド電流Isの大きさを前記対地電流の大きさと比較し十分大きくすることができる。そして、このシールド電流に応じた負荷電流が巻線導体100にも流れる。前述の通り、巻線導体100を流れる励磁電流は無視できる大きさであるため、巻線電流Iwはこの負荷電流にほぼ等しく、シールド巻線と導体巻線の巻数比程度に若干大きなものとなる。この様に、シールド巻線及び導体巻線に対地電流よりも十分大きな電流を各々流すことにより、巻線の上下方向の電圧分担を改善することができる。
そして、商用周波数が印加される通常動作時においては、負荷50、即ち、コンデンサ20を流れる電流の大きさは数千分の1となり、これに起因して負荷50、シールド巻線、及び導体巻線に生じる損失を小さく抑えることが可能である。
以上に説明した効果を得るためには、負荷50が図5に示す様に、コンデンサ20と抵抗30を直列に接続したものであっても良い。ここで、抵抗30は負荷電流の大きさの調整に用いることができる。
そして、図1及び図2に示した通り、本発明の巻線導体及びシールド導体の巻回し構造は、インターリーブ巻やCCシールド巻線と比較し単純であり製作が容易である。また、図13に示した巻線導体とシールド導体を、図14または図15に示した様に、巻線導体とシールド導体を共通の絶縁被覆75で覆って一体化したものとすれば、一層製作を容易にすることができる。
以上、本実施例によれば、簡単な巻回構造で電位振動特性を向上可能な静止誘導電器を提供することができる。
実施例2について図7乃至10を用いて説明する。
図7は実施例2における巻線導体とシールド導体の配置構成を示す要部の断面図である。図8は巻線導体とシールド導体の巻回し構造を示す要部の構成図である。図9は実施例2における巻線ユニットの回路図である。図10は実施例2の動作状況における巻線導体とシールド導体に流れる電流の向きを示した図である。実施例2においては、図7、図8に示した通り、シールド導体のターン数が巻線導体のターン数と同一となっている点、図9に示した通り、負荷50が巻線導体端部100bとシールド導体端部200bに接続される一方、巻線導体端部100aとシールド導体端部200aが直接接続されている点が、実施例1の構成と異なっている。
実施例2においては、図7、図8に示した様にシールド導体のターン数が巻線導体のターン数と同一となっている一方、各々のターンは巻線導体の内径側に配置されていることにより、巻線導体100の両端に印加された交流電圧より、若干小さな誘導起電力がシールド導体200の両端に誘起される。これにより、負荷50及びシールド導体を流れるシールド電流Isと、巻線導体を流れる負荷電流の周方向の向きは、図10に示したものとなる。この様にシールド電流Isと、巻線導体を流れる負荷電流の方向は実施例1と反対のものとなっているが、本発明に係る動作は同一である。但し、本発明に掛かる効果を得るために、図9に示したシールド電流Isの大きさを対地電流Igより十分大きなものとするにあたっては、負荷50を図4に示したコンデンサ20とした場合、このコンデンサの静電容量を実施例1より大きなものを選定する必要がある。一方で、コンデンサ20の両端に印加される電圧の大きさは小さくなるので、耐圧性能については実施例1より小さなものを選定可能となっている。
以上、本実施例によれば、より簡単な巻回構造で電位振動特性を向上可能な静止誘導電器を提供することができる。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
1 主磁路
15 タンク
20 コンデンサ
30 抵抗
50 負荷、
70、71、75 絶縁被覆
100 巻線導体
100a、100b 巻線導体端部
150 対地静電容量
200 シールド導体
200a、200b シールド導体端部
301、302、303 巻線ユニット
301a、302a、303a 巻線ユニットの一端
301b、302b、303b 巻線ユニットの他端
500 静止誘導電器

Claims (8)

  1. 主磁路と、
    前記主磁路に巻回される巻線導体と、
    前記巻線導体に隣接配置されたシールド導体と、
    前記巻線導体の両端にサージ電圧が印加されたときに前記シールド導体の両端に生じる起電力の大きさが、前記サージ電圧の大きさと異なるものとなる様に前記シールド導体の寸法形状が構成されており、
    前記巻線導体と前記シールド導体の一端同士が、コンデンサを含む負荷を介して接続され、
    前記巻線導体と前記シールド導体の他端が、直接あるいは他の負荷を介して接続されていることを特徴とする静止誘導電器。
  2. 請求項1に記載の静止誘導電器において、
    前記巻線導体と前記シールド導体が、前記巻線導体を流れる電流の向きと前記シールド導体を流れる電流の向きとが逆向きになるように接続されていることを特徴とする静止誘導電器。
  3. 請求項1に記載の静止誘導電器において、
    前記巻線導体の内周に前記シールド導体が巻回されていることを特徴とする静止誘導電器。
  4. 請求項1に記載の静止誘導電器において、
    前記シールド導体を少なくとも1ターン以上多く又は1ターン以上少なく巻回し、前記シールド導体の巻数を前記巻線導体の巻数と異なるものとしたことを特徴とする静止誘導電器。
  5. 請求項1に記載の静止誘導電器において、
    前記巻線導体と前記シールド導体が共通の絶縁被覆で覆われ一体として形成されていることを特徴とする静止誘導電器。
  6. 請求項5に記載の静止誘導電器において、
    前記巻線導体の外周面に前記シールド導体が形成されていることを特徴とする静止誘導電器。
  7. 請求項1に記載の静止誘導電器において、
    前記負荷はさらに抵抗を備えたことを特徴とする静止誘導電器。
  8. 請求項1に記載の静止誘導電器において、
    前記主磁路と前記巻線導体と前記シールド導体が収納されるタンクを備え、
    前記タンクと前記主磁路と前記巻線導体と前記シールド導体とが接続されていることを特徴とする静止誘導電器。
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