JP2018098360A - 有機トランジスタ - Google Patents

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中塚 正勝
Masakatsu Nakatsuka
正勝 中塚
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Abstract

【課題】
高い電荷移動度、大きな電流オン/オフ比を有し、さらには保存安定性(耐湿熱性)に優れた有機トランジスタを提供する。
【解決手段】
有機半導体層を有する有機トランジスタにおいて、該有機半導体層に一般式(1)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有してなる有機トランジスタ。
Figure 2018098360

〔式中、XおよびXは、一方がアルキル基、またはアリール基であり、他方が水素原子を表し、
およびXは、一方がアルキル基、またはアリール基であり、他方が水素原子を表す
(但し、XおよびXの一方がアルキル基を表す場合、XおよびXの一方がアリール基を表し、XおよびXの一方がアリール基を表す場合、XおよびXの一方がアルキル基を表す)〕
【選択図】 なし

Description

本発明は、有機トランジスタに関する。さらに詳しくは、特定の有機化合物を有機半導体層に用いてなる有機トランジスタに関する。
従来、アモルファスシリコンや多結晶シリコンを用いてなる薄膜トランジスタ(TFT)は、液晶表示装置などのフラットパネル表示用のスイッチング素子として広く用いられている。しかし、これらシリコンを用いた薄膜トランジスタの作製に用いられるCVD装置は、高価であり、大型の薄膜トランジスタ素子の製造は、製造コストの増大を伴うという難点がある。
また、アモルファスシリコンや多結晶シリコンの成膜は、高温度下で実施されるため、基板としては、軽量で、フレキシビリティーではあるが、耐熱性に乏しいプラスチック材料などは使用できないという難点がある。
上記問題を解決するために、アモルファスシリコンや多結晶シリコンに代えて、有機化合物をチャネル半導体層(以下、有機半導体層という)に用いた有機トランジスタ(有機薄膜トランジスタ、有機TFTとも称される)が提案されている(非特許文献1)。
有機半導体層を形成する方法としては、例えば、真空蒸着法や塗布法などが知られており、これらの成膜方法によれば、製造コストを抑えつつ、有機トランジスタ素子の大型化が容易となる。
さらには、成膜時に必要となる温度を下げることができ、有機化合物を用いた有機トランジスタでは、基板にプラスチック材料を使用することが可能となり、フレキシブルな表示素子への適用が可能となり、その実用化に期待が集まっている。
実用的な有機トランジスタは、高い電荷移動度、および大きな電流オン/オフ比などの特性を有している必要がある。ここで「オン/オフ比」という用語は、有機トランジスタがオンであるときのソース電極とドレイン電極間の電流の、有機トランジスタがオフであるときのソース電極とドレイン電極間の電流に対する比を意味する。
さらには、有機トランジスタの実用化に向けては、優れた保存安定性が必要となる。
現在までに、有機半導体層に、例えば、ペンタセンを用いた有機トランジスタが提案されている(非特許文献2)。
しかし、ペンタセンを用いてなる有機トランジスタは、大気中では有機トランジスタとしての機能は低く、且つ、保存安定性が低いという難点がある。
さらに、チオフェンオリゴマー(α−ヘキサチエニレン)を有機半導体層に用いた有機トランジスタが提案されている(非特許文献3)。しかし、該有機トランジスタも、空気中での保存安定性が低いという難点がある。
これらの欠点を改良するものとして、例えば、式(A)〜式(D)の化合物を有機半導体層に用いた有機トランジスタが提案されている(特許文献1)。
Figure 2018098360
また、例えば、式(E)〜式(H)の化合物の製造方法が開示され、該方法で製造される化合物は有機トランジスタ用の材料として有用であることが知られている(特許文献2)。
Figure 2018098360
また、例えば、式(I)の化合物のように、アリール基とアルコキシアルキル基を置換基として有する化合物を、有機半導体層に用いた有機トランジスタが知られている(特許文献3)。
Figure 2018098360
また、例えば、式(J)および式(K)の化合物の製造方法が開示され、該方法で製造される化合物は、有機半導体材料として有用であると報告されている(特許文献4)。
Figure 2018098360
Figure 2018098360
また、例えば、式(L)の化合物のような分岐鎖状のアルキル基を有する化合物を有機半導体層に用いた有機トランジスタが提案されている(特許文献5)。
Figure 2018098360
式(B)、式(F)、式(I)、式(K)の化合物を有機半導体に用いた有機トランジスタの電荷移動度は比較的高いものの、保存安定性(耐湿熱性)に難があることが判明した。
また、式(A)、式(E)、式(H)〜式(J)、式(L)の化合物を有機半導体層に用いた有機トランジスタの電荷移動度は低いことが判明した。
さらに、式(H)、式(I)、式(K)、式(L)の化合物は、保存安定性(耐湿熱性)にも難があることが判明した。
現在では、実用化に向け、一層改良された有機トランジスタの開発が求められている。
特開2010−34450号公報 特開2011−256144号公報 特開2011−258900号公報 WO2014/030700 特表2014−531435号公報
Appl.Phys.Lett.,63,1372(1993) Appl.Phys.Lett.,72,1854(1998) Science,268,270(1995)
現在までに、種々の有機化合物を有機半導体層に用いた有機トランジスタの提案がなされているが、そのいずれもが、実用的に充分満足できる特性を有しているとはいい難いものであった。
本発明は、上述に鑑み、電荷移動度が高く、大きな電流オン/オフ比を有し、さらに保存安定性(耐湿熱性)に優れた有機トランジスタを提供することである。
本発明者は、前記課題を解決するため、鋭意検討した結果、一般式(1)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を有機半導体層に含有してなる有機トランジスタは、電荷移動度が高く、大きな電流オン/オフ比を有し、さらに保存安定性(耐湿熱性)に優れていることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、有機半導体層を有する有機トランジスタにおいて、該有機半導体層に一般式(1)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有してなる有機トランジスタである。
Figure 2018098360
〔式中、XおよびXは、一方がアルキル基、またはアリール基であり、他方が水素原子を表し、
およびXは、一方がアルキル基、またはアリール基であり、他方が水素原子を表す
(但し、XおよびXの一方がアルキル基を表す場合、XおよびXの一方がアリール基を表し、XおよびXの一方がアリール基を表す場合、XおよびXの一方がアルキル基を表す)〕
本発明により、電荷移動度が高く、電流のオン/オフ比が大きく、さらに保存安定性(耐湿熱性)に優れた有機トランジスタを提供することが可能になった。
本発明の有機トランジスタの模式的断面図である。 本発明の有機トランジスタの模式的断面図である。 本発明の有機トランジスタの模式的断面図である。 本発明の有機トランジスタの模式的断面図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の有機トランジスタは、有機半導体層に一般式(1)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有してなるものである。
Figure 2018098360
〔式中、XおよびXは、一方がアルキル基、またはアリール基であり、他方が水素原子を表し、XおよびXは、一方がアルキル基、またはアリール基であり、他方が水素原子を表す(但し、XおよびXの一方がアルキル基を表す場合、XおよびXの一方がアリール基を表し、XおよびXの一方がアリール基を表す場合、XおよびXの一方がアルキル基を表す)〕
一般式(1)で表される化合物におけるXおよびXは、一方がアルキル基、またはアリール基であり、他方が水素原子を表す。
また、XおよびXは、一方がアルキル基、またはアリール基であり、他方が水素原子を表す。但し、XおよびXの一方がアルキル基を表す場合、XおよびXの一方がアリール基を表し、XおよびXの一方がアリール基を表す場合、XおよびXの一方がアルキル基を表す。
一般式(1)で表される化合物において、より好ましくは、XおよびXは水素原子であり、且つXがアルキル基であり、Xがアリール基である。
一般式(1)で表される化合物において、より好ましくは、XおよびXは水素原子であり、且つXがアリール基であり、Xがアルキル基である。
一般式(1)で表される化合物において、より好ましくは、XおよびXは水素原子であり、且つXがアルキル基であり、Xがアリール基である。
また、一般式(1)で表される化合物において、より好ましくは、XおよびXは水素原子であり、且つXがアリール基であり、Xがアルキル基である。
一般式(1)で表される化合物における置換基X〜Xのアルキル基としては、好ましくは、炭素数1〜20の直鎖、分岐または環状のアルキル基を表し、より好ましくは、炭素数2〜14の直鎖、分岐または環状のアルキル基を表す。
一般式(1)で表される化合物における置換基X〜Xのアリール基としては、好ましくは、炭素数4〜20の置換または未置換のアリール基を表す。
尚、本明細書において、アリール基とは、例えば、フェニル基、ナフチル基などの炭素環式芳香族基、例えば、フリル基、チエニル基、ピリジル基などの複素環式芳香族基を表す。
また、アリール基の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜20の直鎖、分岐または環状のアルキル基、炭素数1〜20の直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、あるいは炭素数4〜20の前記ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基で置換されていてもよいアリール基などが挙げられる。尚、アリール基には、これらの置換基が単置換または多置換されていてもよい。
一般式(1)で表される化合物における置換基X〜Xのアルキル基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、1−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、4−メチル−2−ペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、2−エチルブチル基、n−ヘプチル基、1−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、n−オクチル基、tert−オクチル基、1−メチルヘプチル基、2−エチルヘキシル基、2−プロピルペンチル基、n−ノニル基、3−エチルヘプチル基、2,2−ジメチルヘプチル基、2,6−ジメチル−4−ヘプチル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、n−デシル基、4−エチルオクチル基、3,7−ジメチルオクチル基、n−ウンデシル基、1−メチルデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、1−ヘキシルヘプチル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−エイコシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基、4−tert−ブチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などの直鎖、分岐または環状のアルキル基を挙げることができる。
一般式(1)で表される化合物における置換基X〜Xのアリール基の具体例としては、例えば、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、3−エチルフェニル基、4−エチルフェニル基、2−n−プロピルフェニル基、3−n−プロピルフェニル基、4−n−プロピルフェニル基、4−イソプロピルフェニル基、3−n−ブチルフェニル基、4−n−ブチルフェニル基、4−イソブチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、2−n−ペンチルフェニル基、3−n−ペンチルフェニル基、4−n−ペンチルフェニル基、4−イソペンチルフェニル基、4−tert−ペンチルフェニル基、3−n−ヘキシルフェニル基、4−n−ヘキシルフェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、3−n−ヘプチルフェニル基、4−n−ヘプチルフェニル基、2−n−オクチルフェニル基、3−n−オクチルフェニル基、4−n−オクチルフェニル基、3−n−ノニルフェニル基、4−n−ノニルフェニル基、3−n−デシルフェニル基、4−n−デシルフェニル基、4−n−ウンデシルフェニル基、3−n−ドデシルフェニル基、4−n−ドデシルフェニル基、4−n−テトラデシルフェニル基、2,3−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラメチルフェニル基、5−インダニル基、1,2,3,4−テトラヒドロ−5−ナフチル基、1,2,3,4−テトラヒドロ−6−ナフチル基、
2−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、3−エトキシフェニル基、4−エトキシフェニル基、4−n−プロポキシフェニル基、4−イソプロポキシフェニル基、2−n−ブトキシフェニル基、3−n−ブトキシフェニル基、4−n−ブトキシフェニル基、4−イソブトキシフェニル基、4−n−ペンチルオキシフェニル基、2−n−ヘキシルオキシフェニル基、3−n−ヘキシルオキシフェニル基、4−n−ヘキシルオキシフェニル基、4−シクロヘキシルオキシフェニル基、4−n−ヘプチルオキシフェニル基、3−n−オクチルオキシフェニル基、4−n−オクチルオキシフェニル基、4−n−ノニルオキシフェニル基、4−n−デシルオキシフェニル基、4−n−ウンデシルオキシフェニル基、4−n−ドデシルオキシフェニル基、4−n−テトラデシルオキシフェニル基、2,3−ジメトキシフェニル基、2,4−ジメトキシフェニル基、2,5−ジメトキシフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、3,5−ジメトキシフェニル基、3,5−ジエトキシフェニル基、2−メトキシ−4−メチルフェニル基、2−メトキシ−5−メチルフェニル基、2−メチル−4−メトキシフェニル基、3−メチル−4−メトキシフェニル基、3−メチル−5−メトキシフェニル基、
2−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、4−ブロモフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、3−トリフルオロメチルオキシフェニル基、4−トリフルオロメチルオキシフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、3,4−ジフルオロフェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、3,5−ジフルオロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、3,4,5−トリフルオロフェニル基、2−メチル−4−クロロフェニル基、2−クロロ−4−メチルフェニル基、3−クロロ−4−メチルフェニル基、2−クロロ−4−メトキシフェニル基、3−メトキシ−4−フルオロフェニル基、3−メトキシ−4−クロロフェニル基、3−フルオロ−4−メトキシフェニル基、2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル基、4−フェニルフェニル基、3−フェニルフェニル基、4−(4’−メチルフェニル)フェニル基、4−(4’−メトキシフェニル)フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、4−メチル−1−ナフチル基、4−エトキシ−1−ナフチル基、6−n−ブチル−2−ナフチル基、6−メトキシ−2−ナフチル基、7−エトキシ−2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、2−テトラセニル基、2−フルオレニル基、9,9−ジメチル−2−フルオレニル基、9,9−ジ−n−プロピル−2−フルオレニル基、2−フリル基、5−n−ブチル−2−フリル基、5−n−ヘキシル−2−フリル基、5−n−オクチル−2−フリル基、2−チエニル基、5−n−プロピル−2−チエニル基、5−n−ブチル−2−チエニル基、5−n−ヘキシル−2−チエニル基、5−n−オクチル−2−チエニル基、5−n−デシル−2−チエニル基、5−n−トリデシル−2−チエニル基、5−フェニル−2−チエニル基、5−(2’−チエニル)−2−チエニル基、5−(5’−n−ブチル−2’−チエニル)−2−チエニル基、5−(5’−n−ヘキシル−2’−チエニル)−2−チエニル基、5−(5’−n−デシル−2’−チエニル)−2−チエニル基、3−チエニル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基などの置換または未置換のアリール基を挙げることができる。
一般式(1)で表される化合物は、好ましくは、一般式(1−a)〜一般式(1−d)で表される化合物であり、より好ましくは、一般式(1−a)および一般式(1−b)で表される化合物である。
Figure 2018098360
(式中、X12およびX13は、一方はアルキル基を表し、他方はアリール基を表す)
Figure 2018098360
(式中、X21およびX24は、一方はアルキル基を表し、他方はアリール基を表す)
Figure 2018098360
(式中、X32およびX34は、一方はアルキル基を表し、他方はアリール基を表す)
Figure 2018098360
(式中、X41およびX43は、一方はアルキル基を表し、他方はアリール基を表す)
なお、一般式(1−a)〜一般式(1−d)において、置換基X12、X13、X21
24、X32、X34、X41およびX43で表されるアルキル基、およびアリール基は、一般式(1)においてX〜Xで挙げたアルキル基、およびアリール基と同じ意味を表す。
一般式(1−a)〜一般式(1−d)において、置換基X12、X13、X21、X24、X32、X34、X41およびX43で表されるアルキル基、およびアリール基の具体例としては、一般式(1)においてX〜Xで挙げたアルキル基、およびアリール基を例示することができる。
本発明に係る一般式(1)で表される化合物の具体例としては、例えば、以下の化合物を挙げることができる。
Figure 2018098360
Figure 2018098360
Figure 2018098360
Figure 2018098360
Figure 2018098360
Figure 2018098360
Figure 2018098360
Figure 2018098360
Figure 2018098360
Figure 2018098360
Figure 2018098360
Figure 2018098360
Figure 2018098360
Figure 2018098360
本発明に係る一般式(1)で表される化合物は、それ自体公知の方法を参考にして製造することができる。
すなわち、一般式(1)で表される化合物は、例えば、一般式(2)または一般式(3)で表される化合物に、酸(例えば、メタンスルフォン酸、トリフルオロメタンスルフォン酸などのアルキルスルフォン酸)を、所望により、脱水剤(例えば、五酸化リン)の存在下で作用させた後、生成物に塩基(例えば、ピリジン、キノリン)を作用させることにより製造することができる〔例えば、Macromolecules,26,7144(1993)、J.Mater.Chem.,9,2095(1999)に記載の方法を参考にすることができる〕。
Figure 2018098360
〔式中、X〜Xは一般式(1)の場合と同じ意味を表す〕
尚、本発明に係る一般式(1)で表される化合物は、場合により使用した溶媒(例えば、トルエンなどの芳香族炭化水素系溶媒)との溶媒和を形成した型で製造されることがあるが、本発明の有機トランジスタには、一般式(1)で表される化合物の無溶媒和物は勿論、このような溶媒和物をも使用することができる。
一般式(1)で表される化合物を、有機トランジスタに使用する場合、再結晶法、カラムクロマトグラフィー法、昇華精製法などの精製方法、あるいはこれらの方法を併用して、純度を高めた化合物を使用することは好ましいことである。
本発明の有機トランジスタにおいては、有機半導体層に一般式(1)で表される化合物を少なくとも1種含有することが特徴であり、このことにより、従来にはない、電荷移動度が高く、電流のオン/オフ比が大きく、かつ保存安定性に優れた有機トランジスタを提供することが可能となる。
有機半導体層中の一般式(1)で表される化合物は、アモルファス、または結晶の形態でもよく、結晶の形態であることがより好ましい。尚、結晶とは、単結晶状態でもよく、また多結晶状態でもよい。
有機トランジスタは、通常、ソース電極、ドレイン電極およびゲート電極、およびゲート絶縁層、有機半導体層を有して成るものであり、本発明の有機トランジスタにおいては、該有機半導体層に一般式(1)で表される化合物を少なくとも1種含有してなるものである。
本発明の有機トランジスタの形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の有機トランジスタの一形態を示す模式的断面図である。
この有機トランジスタの形態においては、基板11上にゲート電極21が設けられ、そのゲート電極上にゲート絶縁層31が積層されており、その上に所定の間隔で形成されたソース電極61およびドレイン電極41が形成されており、さらにその上に有機半導体層51が積層されている(ボトムゲート・ボトムコンタクト構造)。
図2に示した有機トランジスタの形態においては、基板12上にゲート電極22が設けられ、そのゲート電極上にゲート絶縁層32が積層されており、その上に有機半導体層52が積層されており、さらにその上に、所定の間隔でソース電極62およびドレイン電極42が形成されている(ボトムゲート・トップコンタクト構造)。
また、図3に示した有機トランジスタの形態においては、基板13の上に、所定の間隔でソース電極63およびドレイン電極43が形成されており、その上に有機半導体層53が積層されており、その上にゲート絶縁層33が積層されており、さらにその上にゲート電極23が設けられている(トップゲート・ボトムコンタクト構造)。
図4に示した有機トランジスタの形態においては、基板14の上に、有機半導体層54が積層されており、その上に、所定の間隔でソース電極64およびドレイン電極44が形成されており、その上にゲート絶縁層34が積層されており、さらにその上にゲート電極24が設けられている(トップゲート・トップコンタクト構造)。
このような構成を有する有機トランジスタでは、有機半導体層がチャネル領域を形成しており、ゲート電極に印加される電圧で、ソース電極とドレイン電極の間に流れる電流が制御されることによってオン/オフ動作する。
さらに、本発明の有機トランジスタは、縦型有機トランジスタ、段差型有機トランジスタ〔例えば、応用物理、第79巻、993(2010)に記載されている〕の形態をとることもできる。
本発明の有機トランジスタに使用する基板としては、特に限定するものではないが、一般には、ガラス、石英、シリコン単結晶、多結晶シリコン、アモルファスシリコン、紙、セラミック、プラスチック基板などを用いることができる。さらには、これらを組み合わせた複合基板も用いることができ、一層構造でも、多層構造の形態でもよい。
プラスチック基板としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ボリカーボネート、トリアセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネートなどから成る基板が挙げられる。
尚、導電性のある基板、例えば、シリコンを基板に用いた場合、その基板はゲート電極を兼ねることもできる。
本発明の有機トランジスタにおいて、ソース電極、ドレイン電極、およびゲート電極に用いる材料としては特に限定するものではなく、導電性の材料であれば任意に用いることができる。
電極材料としては、例えば、酸化インジウムスズ合金(ITO)、酸化スズ(NESA)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化モリブデン、金、銀、白金、銅、インジウム、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、クロム、鉄、錫、タンタル、パラジウム、テルル、イリジウム、ルテニウム、ゲルマニウム、タングステン、モリブデン、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、亜鉛、マグネシウム/インジウム合金、マグネシウム/銅合金、マグネシウム/銀合金、マグネシウム/アルミニウム合金、クロム/モリブデン合金、アルミニウム/リチウム合金、アルミニウム/スカンジウム/リチウム合金、ナトリウム/カリウム合金などの金属や合金、さらには、フッ素ドープ酸化亜鉛、導電率を向上させたシリコン単結晶、多結晶シリコン、アモルファスシリコン等のシリコン系材料、カーボンブラック、グラファイト、グラッシーカーボン等の炭素材料などを挙げることができ、より好ましくは、酸化インジウムスズ合金、金、銀、白金、銅、インジウム、アルミニウム、導電率を向上させたシリコン系材料、炭素材料である。これらはバルク状、薄片状、微粒子状等、様々な形態で使用できる。
また、電極材料としては、ドーピング処理などで導電率を向上させた導電性ポリマー(例えば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)とポリスチレンスルホン酸の錯体など)も好適に用いられる。尚、これらの電極材料は、1種を単独で使用してもよく、あるいは複数併用してもよい。
ソース電極、ドレイン電極は、上に挙げた電極材料の中でも、有機半導体層との接触面において電気抵抗が小さいものが好ましい。
各電極の形成方法としては、特に限定するものではないが、例えば、導電性の材料を、蒸着やスパッタリングなどの方法を用いて形成することができ、リソグラフやエッチング処理により、所望の形状にパターニングできる。
また、導電性ポリマーや導電性微粒子を用いて電極を形成する場合には、導電性ポリマーの溶液あるいは分散液、導電性微粒子の分散液を、インクジェット法によりパターニングしてもよく、塗工膜からリソグラフやレーザーアブレーションなどにより形成してもよい。さらには、導電性ポリマーや導電性微粒子を含むインク、導電性ペースト(銀ペースト、金ペースト、カーボンペーストなど)などを凸版、凹版、平版、スクリーン印刷、グラビア印刷などの印刷法、インクジェット法でパターニングする方法を用いることもできる。
ソース電極、ドレイン電極の膜厚は、特に限定するものではないが、一般に、数nm〜数百μmの範囲に設定することが好ましく、より好ましくは、1nm〜100μmであり、さらに好ましくは、10nm〜20μmである。
尚、ソース電極、ドレイン電極は、互いに対向するように配置されるが、その間隔(チャネル長)は、一般に、数百nm〜数mmの範囲に設定することが好ましく、より好ましくは、100nm〜1mmであり、さらに好ましくは、1μm〜500μmである。
また、ソース電極、ドレイン電極の表面は、例えば、4,4−ジメチルペンタンチオール、パーフルオロヘキサンチオール、パーフルオロヘプタンチオール、パーフルオロオクタンチオールなどの脂肪族アルキルチオール化合物、例えば、4−フルオロチオフェノール、2,4,6−トリフルオロチオフェノール、2,3,5,6−テトラフルオロチオフェノール、ペンタフルオロチオフェノール、4−トリフルオロメチルチオフェノール、3,5−ビストリフルオロメチルチオフェノール、4−ニトロチオフェノールなどの芳香族チオール化合物で修飾されていてもよい。
ゲート絶縁層に使用する材料としては、種々の絶縁材料を用いることができ、無機絶縁体あるいは有機高分子化合物が好ましい。
無機絶縁体としては、酸化ケイ素(SiO)、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコニウム酸チタン酸バリウム、ジルコニウム酸チタン酸鉛、チタン酸鉛ランタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、フッ化バリウムマグネシウム、チタン酸ビスマス、チタン酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ニオブ酸ビスマス、トリオキサイドイットリウムなどを挙げることができ、より好ましくは、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタンである。
無機絶縁体からなるゲート絶縁層の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法、大気圧プラズマ法などのドライプロセス、さらには、スプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、ディップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法、エアーナイフ法、スライドホッパー法、エクストリュージョン法などの塗布法、各種印刷法やインクジェット法などのウェットプロセスを挙げることができ、使用する材料の特性に応じて適宜選択して適用することができる。また、シリコン系材料をゲート電極として用い、有機半導体形成前にゲート絶縁層を形成する場合には、熱酸化法で形成してもよい。
ゲート絶縁層に用いる有機高分子化合物としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、光ラジカル重合系の光硬化性樹脂、光カチオン重合系の光硬化性樹脂、あるいはアクリロニトリル成分を含有する共重合体、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ノボラック樹脂、ポリフッ化ビニリデン、シアノエチルプルラン、ポリ(パーフルオロアルケニルビニルエーテル)、パリレンなどを用いることができる。有機高分子化合物を用いたゲート絶縁層の形成法としては、ウェットプロセスが好ましい。
ゲート絶縁層に使用する絶縁材料は、1種を単独で使用してもよく、あるいは複数併用してもよい。
尚、ゲート絶縁層に無機絶縁体として、例えば、酸化ケイ素を使用する場合、有機半導体層との界面になる酸化ケイ素の表面は、例えば、ヘキサメチルジシラザン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクチルトリクロロシラン、オクタデシルトリクロロシラン、ベンジルトリクロロシラン、1−ヘキシルフォスフォン酸、1−オクチルフォスフォン酸、1−ヘキサデシルフォスフォン酸、3,7,11,15−テトラメチル−1−ヘキサデシルフォスフォン酸などで処理されていてもよい。
また、有機高分子化合物をゲート絶縁層に使用し、ゲート絶縁層を形成した後に有機半導体層を形成する場合は、有機高分子化合物からなるゲート絶縁層上にラビング処理を施してから有機半導体層を形成するようにしてもよい。
ゲート絶縁層の膜厚は、特に限定するものではないが、一般に、数nm〜数十μmの範囲に設定することが好ましく、より好ましくは、5nm〜10μmであり、さらに好ましくは、10nm〜5μmである。
本発明の有機トランジスタは、有機半導体層に一般式(1)で表される化合物を少なくとも1種含有してなるものであり、一般式(1)で表される化合物は、1種を単独で使用してもよく、複数種を併用してもよい。
さらに、有機半導体層は、一般式(1)で表される少なくとも1種の化合物と、他のキャリア輸送性化合物(例えば、ポリアセチレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリチエニレンビニレン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリピロール誘導体、ポリアニリン誘導体、ポリアリールアミン誘導体、ポリキノリン誘導体、ペリレン誘導体、テトラセン誘導体、ペンタセン誘導体、フタロシアニン誘導体など)を併用して形成されていてもよい。この場合、一般式(1)で表される化合物の含有量は、20質量%以上が好ましく、50質量%以上になるように調製することがより好ましい。
さらに、有機半導体層は、一般式(1)で表される少なくとも1種の化合物と、高分子化合物から形成されていてもよい。
係る高分子化合物としては、例えば、ポリアクリル酸誘導体、ポリメタクリル酸誘導体、ポリ(シクロヘキシルメタクリレート)誘導体、ポリエチレン誘導体、ポリプロピレン誘導体、ポリイソプレン誘導体、ポリブタジエン誘導体、ポリイソブチレン誘導体、ポリメチルペンテン誘導体、ポリ(ビニルシクロヘキサン)誘導体、ポリスチレン誘導体、ポリ(4−メチルスチレン)誘導体、ポリ(α−メチルスチレン)誘導体、ポリ(α−ビニルナフタレン)誘導体、ポリ(ビニルトルエン)誘導体、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)誘導体、ポリ(4−ビニルビフェニル)誘導体、ポリ(2−メチル−1,3−ブタジエン)誘導体、ポリ(スチレン・アクリロニトリル)共重合体、ポリ(スチレン・ブタジエン)共重合体、ポリ塩化ビニル誘導体、ポリエチレンテレフタレート誘導体、ポリブチレンテレフタレート誘導体、ナイロン誘導体、ポリエステル誘導体、ポリイミド誘導体、ポリフェノール誘導体、セルロース誘導体、ビニロン誘導体などを挙げることができる。
これらの高分子化合物は、1種を単独で使用してもよく、あるいは複数併用してもよい。
尚、一般式(1)で表される少なくとも1種の化合物と、高分子化合物を併用して、有機半導体層を形成する場合、一般式(1)で表される少なくとも1種の化合物の含有量は、高分子化合物に対して、5質量%以上が好ましく、20質量%以上になるように調製することがより好ましい。
本発明の有機トランジスタは、p型(正孔がキャリアとして機能する)の有機トランジスタ、またはn型(電子がキャリアとして機能する)の有機トランジスタとして機能するが、好ましくは、p型の有機トランジスタとして使用するのが好ましい。
有機半導体層の形成方法としては、特に限定するものではなく、公知の形成方法を用いることができる。形成方法としては、例えば、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法、プラズマ重合法、熱転写法、レーザー転写法などのドライプロセス、スプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、ディップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法、LB法(ラングミューア・ブロジェット法)、各種印刷法、インクジェット法などのウェットプロセスを挙げることができる。
ウェットプロセスにより、有機半導体層の形成する場合は、一般式(1)で表される少なくとも1種の化合物を、溶媒に溶解、または分散させた溶液を用いる。
係る溶媒としては、例えば水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ヘキサノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、オクタフルオロペンタノール、ペンタフルオロプロパノールなどのアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、アセトフェノン、プロピオフェノンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトンなどのエステル系溶媒、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル、アニソール、ジメトキシベンゼン、ジメチルアニソール、4−tert-ブチルアニソール、2−メトキシナフタレンなどのエーテル系溶媒、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン、メシチレン、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン、インダン、フェニルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、トリメチルシクロヘキサン、ビシクロヘキシルなどの炭化水素系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、フルオロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、1−フルオロナフタレン、1−クロロナフタレンなどのハロゲン化炭化水素系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル、メトキシアセトニトリル、グルタロジニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル系溶媒、ジメチルスルフォキサイド、スルフォラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、テトラメチル尿素などの非プロトン性極性溶媒などの有機溶媒を挙げることができる。これらの溶媒は、1種を単独で使用してもよく、あるいは複数併用してもよい。
係る溶媒中の一般式(1)で表される少なくとも1種の化合物の濃度に関しては、特に制限するものではないが、一般には、0.01〜20質量%、より好ましくは、0.05〜15質量%程度に調製することが好ましい。
有機半導体層の膜厚に関しては、特に制限するものではないが、一般に、数nm〜数十μmの範囲に設定することが好ましく、より好ましくは、1nm〜10μmであり、さらに好ましくは、5nm〜1μmである。
本発明においては、有機半導体層の形成後、さらに所望により後処理を施してもよい。
例えば、有機半導体層の形成後に、熱処理を施して、形成時に生じた膜厚の歪を緩和したり、あるいは生成したピンホールなどの改善することが可能な場合がある。
また、有機半導体層中の分子の配列、配向を制御するなどの目的で、熱処理を行うことは好ましい場合がある。
熱処理の温度に関しては、特に制限するものではないが、室温〜200℃程度、好ましくは、40℃〜150℃で実施する。尚、熱処理は、空気中で実施してもよく、また窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で実施してもよい。
本発明の有機トランジスタにおいては、所望により、有機半導体層はドーピング処理を施されていてもよい。
尚、ドーパントとしては、ドナー性ドーパント、アクセプター性ドーパントのいずれも使用可能であり、アクセプター性ドーパントを使用することは好ましい。
ドナー性ドーパントとしては、有機半導体層の有機化合物に電子を供与する機能を有する化合物であれば好適に用いることができる。ドナー性ドーパントとしては、例えば、
Li、Na、K、Rb、Csなどのアルカリ金属、Ca、Sr、Baなどのアルカリ土類金属、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Ybなどの希土類金属、アンモニウムイオン、R(Rはアルキル基を表す)、RAs(Rはアルキル基を表す)、R(Rはアルキル基を表す)、アセチルコリンなどが挙げられる。
アクセプター性ドーパントとしては、有機半導体層の有機化合物から電子を取り去る機能を有する化合物であれば好適に用いることができる。アクセプター性ドーパントとしては、例えば、Cl、Br、I、ICl、ICl、IBr、IFなどのハロゲン化合物、PF、AsF、SbF、BF、BCl、BBr、SOなどのルイス酸、
HF、HCl、HNO、HSO、HClO、FSOH、ClSOH、CFSOHなどのプロトン酸、酢酸、蟻酸、アミノ酸などの有機酸、FeCl、FeOCl、
TiCl、ZrCl、HfCl、NbF、NbCl、TaCl、MoCl
WF、WCl、UF、LnCl(Ln=La、Ce、Nd、PrなどのランタノイドとY)などの遷移金属化合物、Cl、Br、I、ClO 、PF 、AsF
SbF 、BF 、スルホン酸アニオンなどの電解質アニオンなどが挙げられる。
尚、ドーピング方法としては、有機半導体層を形成した後に、ドーパントを導入する方法、あるいは有機半導体層の形成時に、ドーパントを導入する方法を適用することができる。
また、本発明の有機トランジスタは、大気中の酸素、水分などの影響を軽減する目的で、有機トランジスタの外周面の全面、または一部にガスバリア層を設けることもできる。ガスバリア層を形成する材料としては、例えば、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ(パーフルオロアルケニルビニルエーテル)などを挙げることができる。さらには、ゲート絶縁層に使用する材料として挙げた無機絶縁体もガスバリア層の形成に用いることができる。
尚、本発明の有機トランジスタは、例えば、液晶表示素子、有機電界発光素子、電子ペーパー、各種センサー、RFIDs(radio frequency identification cards)などに使用することができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
ゲート電極としての抵抗率0.02Ω・cmのシリコン基板に、厚さ200nmの熱酸化膜(SiO)を形成した。ここで、シリコン基板自体がゲート電極となり、シリコン基板表面に形成されたSiO層がゲート絶縁層となる。この上に、真空下(5×10−4Pa)で、例示化合物番号3の化合物を、蒸着速度0.03nm/secの速度で、30nmの厚さに蒸着し、有機半導体層を形成した。さらに、この上に、マスクを用いて、金を蒸着してソース電極およびドレイン電極を形成した。尚、ソース電極およびドレイン電極の厚みは40nmであり、チャネル幅は5mm、チャネル長は70μmであった。
以上のように作製した有機トランジスタは、p型のトランジスタ素子としての特性を示した。
有機トランジスタの電流−電圧(I−V)特性の飽和領域から、電荷移動度を求めた。
さらに、ドレインバイアス−50Vとし、ゲートバイアス−50Vおよび0Vにした時のドレイン電流値を測定し、電流のオン/オフ比を求めた。
さらに、作製した素子を、湿熱性試験後(60℃、相対湿度80%の雰囲気下で、24時間保管後)、同様の方法で電荷移動度、電流のオン/オフ比を測定した。測定結果を第1表に示した。
(実施例2〜9)
実施例1において、有機半導体層の形成に際して、例示化合物番号3の化合物を使用する代わりに、例示化合物番号6の化合物(実施例2)、例示化合物番号26の化合物(実施例3)、例示化合物番号28の化合物(実施例4)、例示化合物番号29の化合物(実施例5)、例示化合物番号46の化合物(実施例6)、例示化合物番号61の化合物(実施例7)、例示化合物番号73(実施例8)、例示化合物番号87(実施例9)を使用した以外は、実施例1に記載の方法により、有機トランジスタを作製した。
尚、作製した有機トランジスタは、p型のトランジスタ素子としての特性を示した。
さらに、実施例1に記載の方法により、作製直後、および湿熱性試験後(60℃、相対湿度80%の雰囲気下で、24時間保管後)、有機トランジスタの特性を調べ、結果を第1表に示した。
以下の比較例において有機半導体層の形成の際に用いた化合物は、以下の式(A)〜式(L)の化合物である。
Figure 2018098360
Figure 2018098360
Figure 2018098360
(比較例1〜3)
実施例1において、有機半導体層の形成に際して、例示化合物番号3の化合物を使用する代わりに、式(E)の化合物(比較例1)、式(F)の化合物(比較例2)、式(J)の化合物(比較例3)を使用した以外は、実施例1に記載の方法により、有機トランジスタを作製した。
尚、作製した有機トランジスタは、p型のトランジスタ素子としての特性を示した。
さらに、実施例1に記載の方法により、作製直後、および湿熱性試験後(60℃、相対湿度80%の雰囲気下で、24時間保管後)、有機トランジスタの特性を調べ、結果を第1表に示した。
Figure 2018098360
第1表より、一般式(1)で表される化合物を用いてなる有機トランジスタは、高い電荷移動度、大きな電流オン/オフ比を有し、さらに保存安定性(耐湿熱性)に優れていることが明らかである。
(実施例10)
ゲート電極としての抵抗率0.02Ω・cmのシリコン基板に、厚さ200nmの熱酸化膜(SiO)を形成した。ここで、シリコン基板自体がゲート電極となり、シリコン基板表面に形成されたSiO層がゲート絶縁層となる。シリコン基板を80℃に加熱しておき、その上に、例示化合物番号5の化合物のクロロベンゼン溶液(濃度:0.3質量%)を塗布したところ、クロロベンゼンが蒸発し、50nmの厚さの例示化合物番号5の化合物からなる有機半導体層が形成された。さらに、この上に、マスクを用いて、金を蒸着してソース電極およびドレイン電極を形成した。尚、ソース電極およびドレイン電極の厚みは40nmであり、チャネル幅は5mm、チャネル長は70μmであった。
尚、作製した有機トランジスタは、p型のトランジスタ素子としての特性を示した。
さらに、実施例1に記載の方法により、作製直後、および湿熱性試験後(60℃、相対湿度80%の雰囲気下で、24時間保管後)、有機トランジスタの特性を調べ、結果を第2表に示した。
(実施例11〜18)
実施例10において、有機半導体層の形成に際して、例示化合物番号5の化合物を使用する代わりに、例示化合物番号8の化合物(実施例11)、例示化合物番号12の化合物(実施例12)、例示化合物番号20の化合物(実施例13)、例示化合物番号27の化合物(実施例14)、例示化合物番号32の化合物(実施例15)、例示化合物番号39の化合物(実施例16)、例示化合物番号51の化合物(実施例17)、例示化合物番号65の化合物(実施例18)を使用した以外は、実施例10に記載の方法により、有機トランジスタを作製した。
尚、作製した有機トランジスタは、p型のトランジスタ素子としての特性を示した。
さらに、実施例1に記載の方法により、作製直後、および湿熱性試験後(60℃、相対湿度80%の雰囲気下で、24時間保管後)、有機トランジスタの特性を調べ、結果を第2表に示した。
(比較例4〜10)
実施例10において、有機半導体層の形成に際して、例示化合物番号5の化合物を使用する代わりに、式(A)の化合物(比較例4)、式(B)の化合物(比較例5)、式(H)の化合物(比較例6)、式(I)の化合物(比較例7)、式(J)の化合物(比較例8)、式(K)の化合物(比較例9)、式(L)の化合物(比較例10)を使用した以外は、実施例10に記載の方法により、有機トランジスタを作製した。
尚、作製した有機トランジスタは、p型のトランジスタ素子としての特性を示した。
さらに、実施例1に記載の方法により、作製直後、および湿熱性試験後(60℃、相対湿度80%の雰囲気下で、24時間保管後)、有機トランジスタの特性を調べ、結果を第2表に示した。
Figure 2018098360
第2表より、一般式(1)で表される化合物を用いてなる有機トランジスタは、高い電荷移動度、大きな電流オン/オフ比を有し、さらに保存安定性(耐湿熱性)に優れていることが明らかである。
(実施例19)
ゲート電極としての抵抗率0.02Ω・cmのシリコン基板に、厚さ200nmの熱酸化膜(SiO)を形成した。ここで、シリコン基板自体がゲート電極となり、シリコン基板表面に形成されたSiO層がゲート絶縁層となる。
1,2−ジクロロベンゼン2gに、例示化合物番号6の化合物10mgとポリスチレン(シグマ−アルドリッチ製、Mw:350000)10mgを溶解させ塗布液を調整した。
シリコン基板を80℃に加熱しておき、その上に、この塗布液を塗布し、1,2−ジクロロベンゼンを蒸発させて、50nmの厚さの例示化合物番号6の化合物およびポリスチレンからなる有機半導体層を形成した。
さらに、この上に、マスクを用いて、金を蒸着してソース電極およびドレイン電極を形成した。尚、ソース電極およびドレイン電極の厚みは40nmであり、チャネル幅は5mm、チャネル長は70μmであった。
尚、作製した有機トランジスタは、p型のトランジスタ素子としての特性を示した。
さらに、実施例1に記載の方法により、作製直後、有機トランジスタの特性を調べ、結果を第3表に示した。
(実施例20〜26)
実施例19において、有機半導体層の形成に際して、例示化合物番号6の化合物を使用する代わりに、例示化合物番号10の化合物(実施例20)、例示化合物番号30の化合物(実施例21)、例示化合物番号37の化合物(実施例22)、例示化合物番号52の化合物(実施例23)、例示化合物番号63の化合物(実施例24)、例示化合物番号82の化合物(実施例25)、例示化合物番号96の化合物(実施例26)を使用した以外は、実施例19に記載の方法により、有機トランジスタを作製した。
尚、作製した有機トランジスタは、p型のトランジスタ素子としての特性を示した。
さらに、実施例1に記載の方法により、作製直後、有機トランジスタの特性を調べ、結果を第3表に示した。
(比較例11〜15)
実施例19において、有機半導体層の形成に際して、例示化合物番号6の化合物を使用する代わりに、式(C)の化合物(比較例11)、式(D)の化合物(比較例12)、式(F)の化合物(比較例13)、式(G)の化合物(比較例14)、式(K)の化合物(比較例15)を使用した以外は、実施例19に記載の方法により、有機トランジスタを作製した。
尚、作製した有機トランジスタは、p型のトランジスタ素子としての特性を示した。
さらに、実施例1に記載の方法により、作製直後、有機トランジスタの特性を調べ、結果を第3表に示した。
Figure 2018098360
第3表より、有機半導体層を一般式(1)で表される化合物と、高分子化合物を併用して形成してなる有機トランジスタは、高い電荷移動度、大きな電流オン/オフ比を有していることが明らかである。また、上記実施例の有機トランジスタは湿熱性試験においても優れた保存安定性を示した。
本発明の有機トランジスタは、高い電荷移動度、大きな電流オン/オフ比を有し、さらには保存安定性(耐湿熱性)に優れており、液晶表示素子、有機電界発光素子、電子ペーパー、各種センサー、RFIDs(radio frequency identification cards)などに使用することができる。
11:基板
21:ゲート電極
31:ゲート絶縁層
41:ドレイン電極
51:有機半導体層
61:ソース電極
12:基板
22:ゲート電極
32:ゲート絶縁層
42:ドレイン電極
52:有機半導体層
62:ソース電極
13:基板
23:ゲート電極
33:ゲート絶縁層
43:ドレイン電極
53:有機半導体層
63:ソース電極
14:基板
24:ゲート電極
34:ゲート絶縁層
44:ドレイン電極
54:有機半導体層
64:ソース電極

Claims (1)

  1. 有機半導体層を有する有機トランジスタにおいて、該有機半導体層に一般式(1)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有してなる有機トランジスタ。
    Figure 2018098360
    〔式中、XおよびXは、一方がアルキル基、またはアリール基であり、他方が水素原子を表し、
    およびXは、一方がアルキル基、またはアリール基であり、他方が水素原子を表す
    (但し、XおよびXの一方がアルキル基を表す場合、XおよびXの一方がアリール基を表し、XおよびXの一方がアリール基を表す場合、XおよびXの一方がアルキル基を表す)〕
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019220642A (ja) * 2018-06-22 2019-12-26 山本化成株式会社 有機トランジスタ

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