JP2018096769A - 実働用センサの製造方法および製造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】センサゲージ部の温度をリアルタイムに非接触で測定し出力特性調整と検査とを行うセンサの製造方法および製造装置を提供する。【解決手段】本発明に係る実働用センサの製造方法は、参照用センサと実働用センサとを同一の環境下に搬入する工程S1と、参照用センサゲージ部の実温度を測定する工程S2と、参照用センサゲージ部の第一現実電磁波強度値と、実働用センサゲージ部の第二現実電磁波強度値測定する工程S3、S4と、あらかじめわかっている参照用センサゲージ部の温度と理想電磁波強度値S5との関係を利用して、環境放射ノイズを算出する工程S6とを含む。さらに、実働用センサゲージ部の第二現実電磁波強度値から環境放射ノイズを減算し、実働用センサゲージ部の第二理想電磁波強度値を得る工程S7と、実働用センサゲージ部の実温度を算出する工程S8とを含む。【選択図】図10

Description

本発明は、実働用センサの製造方法および製造装置に関する。
圧力センサなどの半導体センサを製造する工程では、初期の製造誤差などから生じる出力特性の調整を行う必要がある。この工程では、半導体センサの受感部であるセンサゲージ部を高温ないしは低温にし、その温度での出力を測定して調整を行う必要がある。このときセンサゲージ部の温度を直接計測することはできない。
従来は半導体センサの温度を循環炉などで加熱または冷却し、温度が安定して変動しなくなってから半導体センサの近傍温度を計測し、半導体センサ近傍の温度とセンサゲージ部の温度は等しいとして、温度と出力との特性を調整している。
しかし、たとえば、50℃、100℃および150℃と複数の温度領域における出力を測定し、特性を調整して精度を上げることが必要になる際は、それぞれの温度槽を用意し、その温度ごとに検査する必要がある。そのため複数の検査装置が必要になり、設備と面積とが増加する。このような課題は、センサゲージ部の温度をリアルタイムに測定できれば解決し得るため、様々な温度の測定方法が開発されている。
たとえば、特許文献1では熱を印加する系の熱伝達モデルをあらかじめ導出し、熱を印加する部分の構成と、半導体センサ近傍の温度と、ヒーターのコントローラー出力変動とから半導体センサの変動温度をリアルタイムに推定する手法が開示されている。
また、リアルタイムで非接触にセンサゲージ部の温度を測定する方法としてサーモグラフィー法がある。
特開2007−192661号公報
しかし、特許文献1に開示された手法では、半導体センサ全体の温度は推定可能だが、センサゲージ部に絞った温度計測をするには至っていない。また、センサゲージ部そのものが出力検査中に発熱し、その発熱量にも製品間バラツキが存在し、前提としている熱伝達モデルが常に同じとは限らない。そのため、センサゲージ部の温度をリアルタイムに非接触で正確に測定することはできない。
また、サーモグラフィー法によりリアルタイムに非接触で温度を測定する場合、周囲の環境から放射される環境放射ノイズを同時に測定する。そのため計測誤差が大きく、センサゲージ部の温度をリアルタイムに非接触で正確に測定することはできない。
本発明は上記の課題に鑑みて創作されたものであり、その目的はセンサゲージ部の温度をリアルタイムに非接触で精度良く測定し、出力特性調整と検査とを効率よく行える実働用センサの製造方法および製造装置を提供することにある。
本発明の第一の実施の態様は実働用センサ(27、100)の製造方法である。
実働用センサの製造方法は、
参照用センサ(26、200)と実働用センサとを同一の環境下に搬入する搬入工程(S1)と、
参照用センサゲージ部(34)の温度を測定する、温度測定工程(S2)と、
参照用センサゲージ部から放射される放射光の、環境放射ノイズ値(σ)が含まれている第一現実電磁波強度値(Em_real)を得る第一測定工程(S3)と、
実働用センサゲージ部(36)から放射されている放射光の、環境放射ノイズ値が含まれている第二現実電磁波強度値(Ew_real)を得る第一測定工程(S4)と、
を含む。
実働用センサの製造方法はさらに、
参照用センサゲージ部の実温度と、参照用センサゲージ部から放射される理想電磁波強度値との相関データ(C)から、参照用センサゲージ部の第一理想電磁波強度値(Em_idea)を算出する第一算出工程(S5)と、
第一現実電磁波強度値から、第一理想電磁波強度値を減算し、環境放射ノイズ値を算出するノイズ値算出工程(S6)と、
第二現実電磁波強度値から環境放射ノイズ値を減算し、実働用センサゲージ部の第二理想電磁波強度値(Ew_idea)を得る第二算出工程(S7)と、
第二理想電磁波強度値から、相関データを用いて、実働用センサゲージ部の実温度(Tw)を算出する温度算出工程(S8)と、
を含む。
実働用センサゲージ部をリアルタイムに非接触で計測できるため、設備を簡素化でき、さらに測定時間も短縮できる。また、製造装置に問題が発生したときのメンテナンスが簡単になる。
本発明の第二の実施の態様は実働用センサ(27、100)の製造装置(10)である。
製造装置は、
参照用センサは実働用センサと同一の環境下に置かれ、参照用センサの出力値を測定する第一テスタ(14)と、
実働用センサの出力値を測定する第二テスタ(18)と、
参照用センサと実働用センサとに印加される外部環境条件を変更可能な環境条件変更装置(46)と、
第一現実電磁波強度値および第二現実電磁波強度値を計測するサーモグラフィー装置(16)と、
を含む。
製造装置はさらに、
参照用センサゲージ部の実温度から第一理想電磁波強度値を算出し、第一理想電磁波強度値と、第一現実電磁波強度値とから環境放射ノイズ値(σ)を算出し、環境放射ノイズ値と、第二現実電磁波強度値とから、第二理想電磁波強度値を算出し、第二理想電磁波強度値から実働用センサゲージ部の実温度を算出する制御装置(12)と、
を備える。
実働用センサゲージ部の温度をリアルタイムに非接触で計測できるため、設備を簡素化でき、さらに測定時間も短縮できる。また、製造装置に問題が発生したときのメンテナンスが簡単になる。
第一実施形態に係る製造装置のブロック図である。 第一実施形態に係る圧力室内の構成図である。 第一実施形態に係る圧力センサの図4のIII方向矢視図である。 第一実施形態に係る圧力センサの図3のIV―IV線断面図である。 第一実施形態に係る圧力センサの図6のV−V線断面図である。 第一実施形態に係る圧力センサの図5のVI方向矢視図である。 第一実施形態に係る圧力センサのセンサゲージ部の等価回路図である。 第一実施形態に係る圧力センサのセンサ出力と温度との特性図である。 第一実施形態に係る圧力センサのセンサゲージ部の温度と、サーモグラフィー装置による測定値との特性図である。 第一実施形態に係る製造装置の温度測定フローである。 従来のセンサ製造方法と第一実施形態に係るセンサ製造方法との比較図である。 従来のセンサ製造方法と第一実施形態に係るセンサ製造方法とについての設備ラインの構成図と、時間とセンサ出力と温度との特性図とを示す。 第二実施形態に係る圧力センサの断面図である。 第二実施形態に係る圧力センサの製造工程フローである。 第二実施形態に係る圧力センサの圧力と出力との特性図である。 第二実施形態に係る圧力センサの温度と出力との特性図である。 第二実施形態に係る圧力センサの圧力と出力との特性図である。
以下、本発明の半導体センサの製造方法と装置とを、図面に基づいて説明する。なお、以下の複数の実施形態について、同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
(第一実施形態)
本発明の第一の実施形態を説明する。
図1に半導体センサの製造装置10の構成図を示す。製造装置10は、サーモグラフィー装置16と、制御装置12と、第一テスタ14と、第二テスタ18と、環境条件変更装置46とを含む。環境条件変更装置46の内部から第一配線22と第二配線24とが配線されており、第一配線22は第一テスタ14と、第二配線24は第二テスタ18と電気的に接続する。本実施形態では環境条件変更装置46は、センサに印加する圧力の環境を変更する圧力室46である。以後、環境条件変更装置46は圧力室46とする。
図2に圧力室46内に実働用センサ27と参照用センサ26とが置かれた状態を示す。
圧力室46は室内の圧力環境を変更可能である。圧力室46は圧力チャンバー47と、圧力チャンバー47の一面に設置されたガラス製の窓50とを含む。サーモグラフィー装置16は窓50を介して参照用センサ26の受感部であるセンサゲージ部34(以下「参照用センサゲージ部34」)と、実働用センサ27の受感部であるセンサゲージ部36(以下「実働用センサゲージ部36」)とから放射される放射光の電磁波強度を測定する。サーモグラフィー装置16が測定した放射光の電磁波強度はサーモグラフィー装置16内のアンプを通り、アナログデータからデジタルデータに変換され、制御装置12に送られる。窓50は赤外線透過率が既知のものを使用する。本実施形態では、センサは圧力センサである。実働用センサ27は、出力特性の調整が行われ、市場に出荷されるセンサである。参照用センサ26は、実働用センサゲージ部36の温度を測定する際に必要な参照データを得るために使用される。参照用センサゲージ部34と実働用センサゲージ部36とは、製造誤差を除いて、同一の形態と構造である。
試料台38と試料台42とは参照用センサ26と実働用センサ27とをそれぞれ載せる台であり、たとえば、セラミックや金属などで形成される。環境放射によるノイズを一定とするよう、黒体スプレーなどで塗装していてもよい。
第一テスタ14は参照用センサゲージ部34の圧力を測定する。圧力は、たとえば出力電圧(V)として検出される。第一テスタ14と参照用センサ26とは、第一配線22を介して第一出力端子30と電気的に接続する。第二テスタ18は実働用センサゲージ部36の出力特性を測定する。第二テスタ18と実働用センサ27とは、第二配線24を介して第二出力端子32と電気的に接続する。第一テスタ14と第二テスタ18とはセンサの特性を調整するためのデータ書き込み機能を備えている。
制御装置12は、第一テスタ14および第二テスタ18のデータと、サーモグラフィー装置16と、のデータを受けて、データ処理を行い、実働用センサゲージ部36の温度を算出するものである。一般的にはコンピュータが使用されるが、データ処理を行い、温度を算出する機能を有していれば、どのような装置でもよい。
第一位置センサ48は参照用センサ26とサーモグラフィー装置16との相対位置を取得するものである。本実施形態ではレーザーセンサを使用する。
第二位置センサ49は実働用センサ27とサーモグラフィー装置16との相対位置を取得するものである。本実施形態ではレーザーセンサを使用する。
移動機構44は参照用センサ26とサーモグラフィー装置16との相対位置が毎温度測定で同じになるように試料台38を移動する物である。移動機構40は実働用センサ27とサーモグラフィー装置16との相対位置が毎温度測定で同じになるように試料台42を移動する物である。移動機構は本実施形態ではX、Y、Z、θを変更できるステージを使用する。
参照用センサ26の外形を図3に、断面図を図4に示す。本実施形態において、参照用センサ26も実働用センサ27も同一形態と構造とを有する圧力センサである。参照用センサ26は参照用センサゲージ部34と信号処理回路56が設置される回路基板60と、第一出力端子30とを含む。信号処理回路56と、回路基板60は樹脂52に埋め込まれており、外部から視認できない。参照用センサゲージ部34と信号処理回路56とは、回路基板60内の図示しない配線により電気的に接続されている。
ここで、図3から図7について、説明に使用される圧力センサは、参照用センサ26を例にとる。
信号処理回路56と参照用センサゲージ部34とは、ワイヤボンディング58によって回路基板60に電気的に接続されている。ワイヤボンディング58は樹脂52により埋め込まれており、外部から視認できない。
信号処理回路56は参照用センサゲージ部34からの信号出力を増幅するアナログ増幅部62と、出力特性調整に使用するデジタル補正回路64と、デジタル補正回路64からの信号をアナログに変換するD/A変換回路66とを含む。アナログ増幅部62にて増幅された参照用センサゲージ部34からの信号出力が、D/A変換回路66からの信号で補正され、信号処理回路56から配線54を通じて第一出力端子30を介して外部にアナログ出力する。あるいは、信号処理回路56がD/A変換回路66を含まず、参照用センサゲージ部34からの出力信号が外部にデジタル出力してもよい。
参照用センサゲージ部34について詳述する。
図5に参照用センサゲージ部34の断面図を示す。参照用センサゲージ部34はシリコン基板70で形成されたダイアフラム部72と、抵抗体761から764とを含む。測定対象の圧力は上方向から参照用センサゲージ部34に印加される。参照用センサゲージ部34は半導体加工プロセス等の既知の手段により形成され、ガラス製の台座74に陽極接合や接着剤等で接合されている。
図5(a)より、圧力が印加されていない場合、下方向からの圧力である大気圧Patmと、上方向からの大気圧Patmとでつりあっているため、参照用センサゲージ部34の構造は変位しない。
しかし、図5(b)で示すように測定対象の圧力Pmが大気圧Patmよりも大きくなると、ダイアフラム部72は押されて変位する。これに伴い、上面に形成された抵抗体761から764も歪む。一般的に抵抗体が歪むと抵抗変化が起きることが知られている。参照用センサゲージ部34はこの原理により、圧力を測定する。
図6(a)に図5のV方向矢視図を示す。
抵抗体761から764がシリコン基板70の上にある。抵抗体761から764は短冊状であり、短冊はすべて同一方向を向いている。抵抗体はそれぞれ、パターニングされたアルミ配線78を介してパッドと電気的に接続する。出力電圧検出にはパッド80と86を使用する。定電流印加にパッド84を使用する。パッド86はGNDに接地されている。これらのパッドから信号処理回路56へとワイヤボンディングにて電気的に接続する。
たとえば、上から圧力が印加されて、図5(b)のように歪んだ場合、抵抗体761は模式的には図6(b)のように歪み、抵抗値が増加する。抵抗体763は抵抗体761と同様に歪む。抵抗体762は図6(c)のように歪み、抵抗値は減少する。抵抗体764は抵抗体762と同様に歪む。
図7に等価回路を示す。
パッド84からパッド82の間に定電流Icを印加し、パッド80と86の間の電圧を検出すれば、圧力により抵抗体761から764が歪んだことよる抵抗変化がわかる。
抵抗体761から764が歪んでいない場合の出力電圧Vc1は抵抗体761の抵抗値をRa、762の抵抗値をRb、763の抵抗値をRc,764の抵抗値をRdとしたとき、以下の式(1)で得られる。
Vc1=Ic×(Ra×Rc−Rb×Rd)/(Ra+Rb+Rc+Rd)・・・(1)
抵抗体の抵抗変化値をΔRとすると、図5(b)のように歪んだ場合の出力電圧Vc2は以下の式(2)で得られる。
Vc2=Ic×((Ra+ΔR)×(Rc+ΔR)−(Rb−ΔR)×(Rd―ΔR))/(Ra+Rb+Rc+Rd)・・・(2)
抵抗体761から764の抵抗値Ra、Rb、Rc、Rdがすべて等しく作られているならば、その抵抗をRとしたとき、Vc1は0になる。Vc2はΔR×Icとなる。
このように出力電圧Vc2を測定し、Vc2−Vc1の差分を取ると、その差分は圧力によるダイアフラムの歪みを反映したものとなる。しかし、抵抗体761から764を全て等しく製造するのは困難であるし、半導体加工プロセス等の加工技術上の制約などから、製造誤差が存在するので、誤差を補正する出力特性調整が必要である。
次に本実施形態の温度測定方法について述べる。
参照用センサゲージ部34の出力電圧と温度との関係はあらかじめ詳細に測定される。正確に温度が調整された炉に参照用センサ26を入れ、参照用センサゲージ部34と炉の温度が一致するとみなせるまで十分な時間放置する。その後第一テスタ14により参照用センサゲージ部34の出力電圧が測定される。複数温度で参照用センサゲージ部34の出力電圧を測定し、グラフ化することで、出力電圧と温度との特性図が得られる。
室圧下で炉の温度Tx(K)、Ty(K)、Tz(K)のときの参照用センサゲージ部34の出力がそれぞれX(V)、Y(V)、Z(V)であったとする。このとき、図8に示すような参照用センサゲージ部34の出力電圧と参照用センサゲージ部34の温度との特性図が得られる。この曲線に基づいて、たとえば出力電圧が、Vm(V)ならば、参照用センサゲージ部34の温度はTm(K)と求めることができる。本実施形態において測定温度は3点であるが、もっと多くてもよい。この場合、より正確な参照用センサゲージ部34の出力と参照用センサゲージ部34の温度との特性図を得られる。
あるいは、出力電圧と温度との相関曲線が既知である場合、測定温度は1点でもよい。このとき、より簡易に出力電圧と温度との特性図を得られる。
このような出力電圧と温度との特性図は、実働用センサ27の出力電圧を測定し、出力特性調整を行いたい圧力のすべてで測定される。たとえば、Pc0(MPa)、Pc1(MPa)、Pc2(MPa)で出力電圧を測定し、出力特性調整を行いたいならば、Pc0(MPa)、Pc1(MPa)、Pc2(MPa)の圧力下での出力電圧と温度との特性図をあらかじめ得る。
また、参照用センサゲージ部34の出力電圧を第一テスタ14で測定しつつ、サーモグラフィー装置16で参照用センサゲージ部34からの放射光の電磁波強度を測定することで、サーモグラフィー装置16による測定値と参照用センサゲージ部34の温度との特性曲線を取得できる。サーモグラフィー装置16の測定値には周囲の壁や床などの環境からの放射光によるノイズが含まれる。環境からの放射光が参照用センサゲージ部34に当たり、その反射光をサーモグラフィー装置16が測定することもノイズ要因となる。これらのノイズを環境放射ノイズ値σとする。
参照用センサ26の周囲にノイズ源となるものが何もない場合、環境放射ノイズ値σがない理想状態での参照用センサゲージ部34の温度とサーモグラフィー測定値との相関データCが得られる。ただし、理想状態といっても、環境放射ノイズ値σが完全に0の状態にはできず、常識的な測定ノイズは残る。
完全黒体における温度との相関関係である下記のシュテファンボルツマンの公式(3)に、参照用センサゲージ部34の放射率εを乗じると式(4)が得られる。これにより、理論値として参照用センサゲージ部34の温度とサーモグラフィー測定値との相関データ(C)を得ることもできる。
I=ω×T^4・・・(3)
I:放射光強度、ω:シュテファンボルツマン定数、T:温度(K)
I=ε×ω×T^4・・・(4)
ε:参照用センサゲージ部34の放射率
理想状態における参照用センサゲージ部34の温度T(K)とサーモグラフィー装置16による参照用センサゲージ部34からの放射光の電磁波強度の測定値E_ideaとの相関データCを特性曲線として図9(a)に示す。
図9(b)は参照用センサゲージ部34を製造装置10のサーモグラフィー装置16で測定した結果であり、図9(c)は実働用センサゲージ部36を製造装置10のサーモグラフィー装置16で測定した結果である。現実状態におけるサーモグラフィー装置16での測定値E_realには、参照用センサ26や実働用センサ27の置かれた試料台38、42や圧力室46の壁などからの環境放射、または、サーモグラフィー装置16が置かれた部屋の外壁や床からの環境放射などが含まれる。そのため、サーモグラフィー装置16による測定値には、常に環境放射ノイズ値σが加算されている。また、現実状態におけるサーモグラフィー装置16での測定値E_realから、環境放射ノイズ値σを減算すると、理想状態でのサーモグラフィー装置16の測定値であるE_ideaを得ることができる。
ここで、参照用センサゲージ部34と実働用センサゲージ部36は、放射率特性が同じであると考えられるので、理想状態でのサーモグラフィー装置16の測定値E_ideaと、温度との相関データCを表す特性曲線は同一である。参照用センサゲージ部34の温度がわかれば、特性曲線を利用して、その温度での理想状態での参照用センサゲージ部34の放射光の強度値が算出できる。実働用センサゲージ部36の理想状態での放射光の強度値がわかれば、特性曲線から実働用センサゲージ部36の温度が算出できる。
図10の測定フローに従って、製造装置10を使用した実働用センサゲージ部36の温度計測方法について説明する。ここでは、室温よりも高い温度領域、かつ、室圧で温度計測を行うものとする。
ステップS1 搬入工程
実働用センサ27を加熱用の炉から取り出し、製造装置10に搬入し、試料台42に載せる。
同様に加熱された参照用センサ26も製造装置10に搬入され、試料台38に載せられる。参照用センサ26と実働用センサ27とは環境放射ノイズ値σが同一となるよう、周囲の温度、湿度、壁や床からの相対位置などが同一になるように載せられる。参照用センサゲージ部34と実働用センサゲージ部36とがサーモグラフィー装置16の計測の同一視野に入るように位置合わせされる。位置合わせは、第一位置センサ48及び第二位置センサ49と移動機構40及び移動機構44との協働により行われる。参照用センサ26の第一出力端子30には第一テスタ14が接続されており、参照用センサゲージ部34の温度に対応した出力電圧が測定される。参照用センサ26および実働用センサ27は試料台に載っている間に、冷却され温度が低下していく。
ステップS2 温度測定工程
参照用センサゲージ部34の圧力に対応した出力電圧を第一テスタ14にて測定し、図8に示す出力と温度との特性図から、参照用センサゲージ部34の温度を算出する。たとえば、参照用センサゲージ部34の出力がVm(V)と測定されたなら、参照用センサゲージ部34の温度はTm(K)と求められる。第一テスタ14が温度算出機能を有していても良いし、制御装置12にて温度を算出しても良い。
ステップS3 第一測定工程
参照用センサ26の参照用センサゲージ部34をサーモグラフィー装置16で測定し、図9(b)に黒丸で示す現実状態のサーモグラフィー測定値Em_realを得る。Em_realを第一現実電磁波強度値とする。
ステップS4 第二測定工程
実働用センサゲージ部36をサーモグラフィー装置16で測定し、図9(c)に示す現実状態での黒丸で示すサーモグラフィー測定値Ew_realを得る。Ew_realを第二現実電磁波強度値とする。
とする。
ここで、ステップS2、S3、S4はほぼ同時に行われる。
ステップS5 第一算出工程
制御装置12はノイズがないと仮定した場合のサーモグラフィー測定値を算出する。特性曲線とステップS2で算出した参照用センサゲージ部34の温度とから求められる。たとえば、図9(b)において、黒丸で示す参照用センサゲージ部34の温度がTm(K)ならば、相関データCより、理想状態における参照用センサゲージ部34のサーモグラフィー測定値は白丸で示すEm_ideaと算出できる。Em_ideaを第一理想電磁波強度値とする。
ステップS6 ノイズ値算出工程
実際の参照用センサゲージ部34のサーモグラフィー測定値は図9(b)に黒丸で示すように第一現実電磁波強度値Em_realである。制御装置12は第一現実電磁波強度値Em_realから第一理想電磁波強度値Em_ideaを減算することで、サーモグラフィー測定値に含まれる環境放射ノイズ値σを算出する。
ステップS7 第二算出工程
図9(c)に示すように、制御装置12はステップS4で求めた実働用センサゲージ部36の黒丸で示すサーモグラフィー測定値である第二現実電磁波強度値Ew_realから、ステップS6で求めた環境放射ノイズ値σを減算する。これにより、環境放射ノイズ値σがない理想状態で測定したときのサーモグラフィーによる電磁波強度値Ew_ideaを算出する。白丸で示すEw_ideaを第二理想電磁波強度値とする。
ステップS8 温度算出工程
図9(c)に示すように、制御装置12はステップS7で求めた第二理想電磁波強度値Ew_ideaと、相関データCとから、白四角で示す実働用センサゲージ部36の温度Twを算出する。
以上のステップより、あらかじめ、理想状態におけるサーモグラフィー測定値と温度との相関がわかっている参照用センサゲージ部34と実働用センサゲージ部36とを同時にサーモグラフィー測定を行う。これより、環境放射ノイズ値σの影響を排除することが可能となり、リアルタイムに非接触で実働用センサゲージ部36の温度を精度良く測定できる。
室温よりも低い温度領域での温度計測を行う場合、ステップS1での加熱炉の代わりに冷却炉を使用すれば良い。
本実施形態の温度測定法を利用して、圧力センサの温度に対する出力特性を調整する際の従来例との比較図を図11に示す。
図11(a)に示す従来の測定法では、十分に加熱した実働用センサ27を一定温度に制御された加熱機構を含む測定装置に搬入する。測定装置に搬入される前に、別の加熱炉で十分加熱してから測定装置に搬入すると、温度安定化時間を短縮できる。測定装置内の実働用センサ27近傍には熱電対が設置されている。熱電対は実働用センサ27の近傍温度を測定する。実線で実働用センサ27の近傍温度を表す。一点鎖線は実働用センサゲージ部36の推測温度である。別の加熱炉で加熱されている加熱工程では、推測温度は高く、搬入工程では炉の外部に出るので推測温度は一旦低下する。測定装置に入ると再度加熱されるので、一点鎖線のような温度プロファイルとなる。
実働用センサ27の近傍温度が安定したとき、一点鎖線で示す実働用センサゲージ部36の温度も一定になったと推測する。ここで、実働用センサ27に対して出力特性の調整を行うことができる。圧力を台形状のプロファイルで変化させ、白丸で示す圧力Pc0(MPa)およびPc1(MPa)での実働用センサ27の出力電圧を測定する。従来は一つの炉に対して、一つの温度T1(K)でしか測定できない。
実働用センサゲージ部36の圧力に対応した出力電圧は第二テスタ18で測定される。出力特性の調整については、温度T1(K)における狙いの出力に、測定した出力の値が合うように、制御装置12がデジタル補正回路64にデータを書き込む。
従来、実働用センサゲージ部36の温度を変更する場合、その温度に対応した炉を複数用意しなければならず、設備費用、設備面積が増大していた。また、複数の温度で測定する際、温度が安定するまで放置する温度安定化時間を必要としていた。さらに、実働用センサゲージ部36の温度も直接ではなく、推測でしか測定できず温度測定値の信頼性は低い。検査装置に異常が出た場合、加熱した炉を一旦停止させて常温にしなければ修理できず、設備効率が悪化していた。
一方、図11(b)に示す本実施形態の手法では、炉で十分加熱した実働用センサ27を試料台にのせ、その温度が下がって行く過程において、複数の温度で圧力と温度特性の調整などを行うことができる。しかも、実線で示す実働用センサゲージ部36の温度は直接測定での値であり、温度測定値の信頼性は高い。
実働用センサゲージ部36の温度を変更するために複数の炉を用意する必要がなく、効率的に出力特性の調整が行える。たとえば、図11(b)においては、従来と同じ白丸で示す圧力Pc0(MPa)およびPc1(MPa)でのセンサ出力電圧の測定を2つの温度域ΔT1(K)とΔT2(K)で実行できる。
実働用センサゲージ部36の圧力に対応した出力電圧は第二テスタ18で測定される。出力特性の調整については、温度域ΔT1(K)およびΔT2(K)における狙いの出力電圧に、測定した出力電圧の値が合うように、制御装置12がデジタル補正回路64にデータを書き込む。
本実施形態では、炉は実働用センサ27を加熱するために一つあればよく、従来のように複数の温度に対応したそれぞれの炉を準備する必要がないので、効率的である。
また、温度安定化時間が必要なく、従来に比べて測定に要する時間を大幅に削減できる。さらに、製造装置10に異常が生じたとしても、常温であるため、従来のように炉を停止させる必要がなく、修理が簡単である。さらに、
図12に本実施形態と従来例について、設備ラインの概略構成図と、時間とセンサ出力と温度の特性図とを示す。
図12(a)の従来の設備ラインは、T1(K)からT5(K)に制御された5つの炉(120、121、110、111、112)と、それぞれの炉と同じ温度に調整された圧力変更が可能な6台の検査装置105とを備える。ここで、室温(RT)で測定する際は、炉は必要としない。検査装置105は実働用センサ27の出力特性を測定するテスタと、テスタを制御する制御装置を含む。
たとえば、室温よりも低いT1(K)での測定を例にとる。炉120内で冷却された実働用センサは、対応する検査装置105に搬入される。その後、検査装置105内で温度が十分安定するまで待った後、白丸で示す圧力Pc0(MPa)およびPc1(MPa)と変更する。圧力は台形状のプロファイルになるようにする。それぞれの圧力に対応した実働用センサゲージ部36の出力電圧を第二テスタ18で測定する。T1(K)についての出力特性を得て、所望の出力特性への調整データをデジタル補正回路64に書き込む。
T2(K)からT5(K)に対しても同様の測定と、出力特性の調整を行う。
温度を室温(RT)の他にT1(K)からT5(K)の複数温度で計測するため、対応した炉を5つと、温度を変更可能な検査装置105がなければならない。また、計測の際には実働用センサ温度を一定とするための待ち時間tl1(s)からtl5(s)がそれぞれの温度で必要になるため、計測時間は長くなる。さらに、それぞれの検査装置105は温度が室温と異なるため、検査装置105の温度が室温と同じになるまで修理やメンテナンスができない。
図12(b)の本実施形態の設備ラインは、一つの製造装置10と、二つの炉でよい。たとえば、室温よりも低いΔT1とΔT2の温度領域で測定したい場合、炉122により、温度T1よりも低い温度まで実働用センサ27を冷却する。その後、炉122から取り出された実働用センサ27は、製造装置10に搬入される。実働用センサゲージ部36の温度は製造装置10にて測定される。温度がΔT1(K)の領域にあるとき、白丸で示す圧力Pc0(MPa)およびPc1(MPa)と変更する。それぞれの圧力に対応した実働用センサゲージ部36の出力電圧を第二テスタ18で測定する。ΔT1(K)について得られた出力特性に対して、所望の出力特性への調整データが制御装置12によりデジタル補正回路64に書き込まれる。
その後、製造装置10の中で実働用センサ27が放置されると、実働用センサゲージ部36の温度は室温に近づく。実働用センサゲージ部36の温度がΔT2(K)の領域にあるとき、白丸で示す圧力Pc0(MPa)およびPc1(MPa)と変更する。それぞれの圧力に対応した実働用センサゲージ部36の出力電圧を第二テスタ18で測定する。ΔT2(K)について得られた出力特性に対して、所望の出力特性への調整データが制御装置12によりデジタル補正回路64に書き込まれる。
室温よりも高い温度領域であるΔT3(K)からΔT5(K)について、調整を行う際は、実働用センサ27は炉113によりΔT3(K)の温度領域よりも高い温度まで加熱される。その後、実働用センサ27は製造装置10に搬入され、ΔT1(K)からΔT2(K)の温度領域のときと同様に、実働用センサゲージ部36の圧力に対応した出力電圧の測定と調整とが行われる。
製造装置10は温度が変更可能である必要はなく、室温でよい。過冷、または急熱した実働用センサゲージ部36の温度が室温まで急上昇、または急下降するときに測定を行うことができるため、従来のように温度が一定になるための待ち時間を必要とせず、短時間で測定を行うことができる上、炉および製造装置10の数も従来に比べると少なくできる。さらに、製造装置10は室温でよいため、製造装置10に故障が発生したときでも、製造装置10の温度が室温と同じになるまで待つ必要はなく、修理やメンテナンスが容易である。
(第二実施形態)
第一実施形態で説明した温度測定方法を利用した実働用センサ100の製造方法を説明する。図13に第一実施形態の実働用センサゲージ部36を利用した実働用センサ100の断面図を示す。流体Fpの圧力を実働用センサゲージ部36が受ける。参照用センサゲージ部34からの信号出力を信号処理回路56が処理する。実働用センサゲージ部36と信号処理回路56とは、ワイヤボンディング102にて電気的に接続される。ワイヤボンディング102は、樹脂98によって埋め込まれ外部に露出しない。
実働用センサゲージ部36からの信号は信号処理回路56にて補正処理されて出力され金属配線92を介し、コネクタ96と接続する図示しないコネクタを介し外部に出力される。ハウジング94と、コネクタ96とは溶接等で結合される。ハウジング94は測定対象の圧力流体が存在する図示しない圧力室へと接続する。
本実施形態では、実働用センサ100と参照用センサ200は同一形態および同一構造である。
図14に実働用センサ100の製造工程フローについて示す。
ステップS11 センサゲージ部組み付け工程
実働用センサゲージ部36をコネクタ96に組み付ける。
ステップS12 信号処理回路組み付け工程
信号処理回路56をコネクタ96に組み付ける。
ステップS13 ワイヤボンディング工程
実働用センサゲージ部36と、信号処理回路56とをワイヤボンディング102にて電気的に接続し、露出部を樹脂98で埋め、流体Fpからワイヤボンディング102を保護する。
ステップS14 部品組み付け工程
コネクタ96とハウジング94とを組み付ける。
ステップS15 圧力特性調整工程
実働用センサ100の圧力特性調整を行う。実働用センサゲージ部36には前述のように製造誤差が存在している。そのため、図15に示すように、特性調整前では、圧力と出力の特性線の傾きが、製品ごとに違っている。そのため、圧力を可変できる製造装置10内にて、常温で圧力を可変しつつ、所望の出力となるように、信号処理回路56内のデジタル補正回路64に調整データを書き込む。図15の横軸は、センサ上面と下面との差圧を表す。上面に圧力が印加されたとき、差圧は正であるとする。
たとえば、狙いの出力が図15に点線で示す直線であったとする。しかし、差圧0(Mpa)と差圧ΔPm(Mpa)のとき、製品の圧力を測定したところ、出力電圧について実線で示す直線が得られた。このとき、差圧0(Mpa)と差圧ΔPm(Mpa)のときの出力を補正し、制御装置12から、実働用センサゲージ部36内のデジタル補正回路64に調整データを書き込み、初期の出力曲線を一点鎖線で示す調整後の出力曲線のように補正できる。
ステップS16 温度特性調整工程
加熱炉で参照用センサ200と実働用センサ100とを加熱し、製造装置10に搬入する。第一実施形態と同様に、参照用センサ200と実働用センサ100とは同一の環境に置かれ、参照用センサゲージ部34と実働用センサゲージ部36とがサーモグラフィー装置16の同一画面内に置かれるように位置調整される。
高温において、実働用センサゲージ部36の圧力の出力特性曲線を同じく調整する。圧力と出力特性直線の傾きは調整する温度の範囲内で一定と仮定している。そのため、圧力は差圧0として変更しない。
図16(a)で示すように温度域ΔT1(K)において、点線で示す狙い出力と実線で示す初期出力の間には、初期出力ずれV1(V)が存在している。差圧0(MPa)のとき、初期出力を調整してV1(V)が0になるように信号処理回路56内のデジタル補正回路64に調整データを書き込む。このようにして一点鎖線で示す調整後の出力曲線のように、初期出力ずれV1(V)を小さくし、狙い出力に近づけることができる。
ここで、温度域ΔT2(K)、温度域ΔT3(K)においても同じように初期出力ずれV2(V)、V3(V)がそれぞれ存在している。初期出力ずれVと温度(K)との関係は図16(b)のようになる。
複数の温度域ΔT2(K)、温度域ΔT3(K)について、初期出力ずれV2(V)、V3(V)が0になるように、制御装置12から実働用センサゲージ部36内のデジタル補正回路64に調整データを書き込む。このとき、本実施形態の製造装置10を使用して、複数の温度域について、効率的に出力特性を測定し、温度特性の調整を行うことができる。
ステップS17 圧力特性検査工程
温度と圧力と出力との特性曲線を得て、狙い出力とのずれが許容値にあるかどうかを検査する。炉で参照用圧力センサと実働用センサ100とを加熱し、製造装置10に搬入する。第一実施形態と同様に、参照用センサ200と実働用センサ100とは同一の環境に置かれ、参照用センサゲージ部34と実働用センサゲージ部36とがサーモグラフィー装置16の同一画面内に置かれるように位置調整される。リアルタイムで実働用センサゲージ部36の温度を測定しつつ、差圧を0(Mpa)と、ΔPm1(Mpa)とΔPm2(Mpa)と変化しながら測定する。たとえば、図17に温度領域がΔT1(K)のとき、実線で示す特性曲線が得られた状態を示す。このとき1点鎖線で示す狙い出力に対して、許容範囲内にあるかどうかを制御装置12が判断する。
他にΔT2(K)、ΔT3(K)と複数の温度域でも図17と同様の特性曲線を得て、狙い出力に対して、許容範囲内にあるかどうかを制御装置12が判断する。
ステップS18 外観検査工程
出荷前の実働用センサ100に外観検査を行い、傷、汚れ等がないかを確認する。
以上のステップで実働用センサ100が製造される。ステップS16とS17において、複数温度で出力特性を測定し、調整を行う際、本実施形態の製造装置10を使用することで、温度安定化時間を要することなく、また、多数の炉や検査装置を使用することなく、温度特性調整と、圧力特性検査を効率的に行える。
(他の実施形態)
(a)第一、第二実施形態では、第一テスタ14と第二テスタ18がそれぞれ別の装置であるが、一台のテスタで実働用のセンサと参照用のセンサの両方の出力を測定し、出力特性の調整を行うことも可能である。
(b)第一、第二実施形態では圧力センサが有する信号処理回路56は補正データを書き込むデジタル補正回路64を含んでいる。しかし、信号処理回路56がデジタル補正回路64を含まなくても良い。たとえば、取得した圧力と温度とに対する出力特性曲線のデータを、圧力センサを制御する外部制御器の方に書き込んで、外部制御器が出力データを補正すればよい。
(c)第一、第二実施形態で使用したセンサは圧力センサであり、出力は電圧(V)である。しかし、本発明は圧力センサの別形式としてたとえば、静電容量式の圧力センサであって出力が静電容量(F)のものにも適用できる。さらに、本発明は、温度を変化させての出力特性の検査が必要なセンサで、放射率特性が製品ごとに一定のセンサであれば、たとえば磁気センサ、慣性センサなど、どのようなセンサにも適用できる。たとえば磁気センサに本発明を適用するならば、環境条件変更装置(46)はセンサに印加される磁場環境を変更できる磁場印加装置である。慣性センサに本発明を適用するならば、環境条件変更装置(46)はセンサに印加される加速度環境を変更できる加速度印加装置である。
(d)参照用センサは実働用センサと同一の形状である必要はなく、放射率特性が同じであれば異なった形状のものでもよい。
(e)第一、第二実施形態ではステップS2で参照用センサの実温度をセンサの出力から取得しているが、たとえば、参照用センサのセンサゲージ部に熱電対を貼り付けるなどして実温度を計測してもよい。あるいは、参照用センサのセンサゲージ部自体に温度測定が可能な熱電対を有していてもよい。さらには、参照用センサに黒体スプレーなどを塗布し、放射率を高くしてサーモグラフィー装置で実温度を測定しても良い。この場合、ノイズが少なくなり理想的な測定状況に近くなり、サーモグラフィー装置での測定温度を、マスタの実温度と仮定できる。
(f)第一、第二実施形態では、赤外線サーモグラフィー装置を使用しているが紫外線、可視光サーモグラフィー装置だとしても本発明は適用可能である。または、参照用センサは実働用センサに光をあてて、温度による反射光の変動を測定し、実温度を得てもよい。
(g)第一、第二実施形態では、サーモグラフィー装置は圧力室の室外に設置され、ガラス窓を介して参照用センサと実働用センサとを測定しているが、サーモグラフィー装置を圧力室内部に設置してもよい。この場合、ガラス窓を介する必要がないため、ノイズはより減少する。また、さまざまな環境条件変更装置の内部または外部のどちらにサーモグラフィー装置を設置してもよい。
以上、本発明は上記実施形態にのみ限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において様々な形態で実施可能である。
10 製造装置、 12 制御装置、 14 第一テスタ、 18 第二テスタ
16 サーモグラフィー装置、
26 200参照用センサ、 100 27 実働用センサ
34 参照用センサのセンサゲージ部(参照用センサゲージ部)
36 実働用センサのセンサゲージ部(実働用センサゲージ部)
46 圧力室、56 信号処理回路、 64 デジタル補正回路

Claims (8)

  1. 実働用センサ(27、100)の製造方法であって、
    参照用センサ(26、200)と前記実働用センサとを同一の環境下に搬入する搬入工程(S1)と、
    参照用センサゲージ部(34)の実温度(Tm)を測定する温度測定工程(S2)と、
    前記参照用センサゲージ部から放射される放射光について環境放射ノイズ値(σ)が含まれている第一現実電磁波強度値(Em_real)を得る第一測定工程(S3)と、
    実働用センサゲージ部(36)から放射される放射光について前記環境放射ノイズ値が含まれている第二現実電磁波強度値(Ew_real)を得る第二測定工程(S4)と、
    前記参照用センサゲージ部の実温度と、前記参照用センサゲージ部から放射される放射光の理想電磁波強度値との相関データ(C)から、前記参照用センサゲージ部の第一理想電磁波強度値(Em_idea)を算出する第一算出工程(S5)と、
    前記第一現実電磁波強度値から、前記第一理想電磁波強度値を減算し、前記環境放射ノイズ値を算出するノイズ値算出工程(S6)と、
    前記第二現実電磁波強度値から前記環境放射ノイズ値を減算し、前記実働用センサゲージ部の第二理想電磁波強度値(Ew_idea)を得る第二算出工程(S7)と、
    前記第二理想電磁波強度値から、前記相関データを用いて、前記実働用センサゲージ部の実温度(Tw)を算出する温度算出工程(S8)と、
    を含む実働用センサの製造方法。
  2. 前記温度算出工程により算出された前記実働用センサゲージ部の実温度に対応して、前記実働用センサの出力を調整する出力特性調整工程(S16)をさらに含む、請求項1に記載の実働用センサの製造方法。
  3. 前記出力特性調整工程は、前記実働用センサが含む補正回路(64)に補正データを書き込む、請求項2に記載の実働用センサの製造方法。
  4. 前記温度測定工程は、前記参照用センサゲージ部の出力値から実温度を算出する、請求項1から3のいずれか一項に記載の実働用センサの製造方法。
  5. 前記参照用センサゲージ部は、熱電対を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の実働用センサの製造方法。
  6. 前記参照用センサゲージ部は、前記実働用センサゲージ部と同一の放射率を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の実働用センサの製造方法。
  7. 前記参照用センサゲージ部は、黒体である、請求項1から3のいずれか一項に記載の実働用センサの製造方法。
  8. 請求項1から7のいずれか一項に記載の前記実働用センサの製造方法に使用する製造装置(10)であって、
    前記参照用センサは前記実働用センサと同一の環境下に置かれ、
    前記参照用センサの出力値を測定する第一テスタ(14)と、
    前記実働用センサの出力値を測定する第二テスタ(18)と、
    前記参照用センサと前記実働用センサとに印加される外部環境条件を変更可能な環境条件変更装置(46)と、
    前記第一現実電磁波強度値および前記第二現実電磁波強度値を計測するサーモグラフィー装置(16)と、
    前記参照用センサゲージ部の実温度から前記第一理想電磁波強度値を算出し、前記第一理想電磁波強度値と、前記第一現実電磁波強度値とから前記環境放射ノイズ値を算出し、前記環境放射ノイズ値と、前記第二現実電磁波強度値とから、前記第二理想電磁波強度値を算出し、前記第二理想電磁波強度値から前記実働用センサゲージ部の実温度を算出する制御装置(12)と、
    を備える実働用センサの製造装置。
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