JP2018096745A - 無機物線量低減方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】放射能汚染無機物の線量を確実に低減させることができる無機物線量低減方法を提供する。
【解決手段】無機物線量低減方法は、放射性物質に汚染されていない大鋸屑26と放射能汚染無機物破砕材19とを混合し、放射性物質を無機物破砕材19から大鋸屑26に付着させ、放射能汚染大鋸屑26と無機物破砕材19との放射能汚染第1混合物を作り、放射能汚染第1混合物に熱分解処理を施して放射能汚染大鋸屑26を炭化し、放射能汚染大鋸屑26を炭化した放射能汚染炭化物と無機物破砕材19との放射能汚染第2混合物を作るとともに、放射能汚染第2混合物に所定の光合成細菌を含有する水溶液を供給し、放射能汚染第2混合物と水溶液との放射能汚染第3混合物を作り、放射能汚染第3混合物を真空包装袋に略真空状態で密封し、放射能汚染第3混合物を略真空状態で密封した真空包装袋を所定期間保管する。
【選択図】図1
【解決手段】無機物線量低減方法は、放射性物質に汚染されていない大鋸屑26と放射能汚染無機物破砕材19とを混合し、放射性物質を無機物破砕材19から大鋸屑26に付着させ、放射能汚染大鋸屑26と無機物破砕材19との放射能汚染第1混合物を作り、放射能汚染第1混合物に熱分解処理を施して放射能汚染大鋸屑26を炭化し、放射能汚染大鋸屑26を炭化した放射能汚染炭化物と無機物破砕材19との放射能汚染第2混合物を作るとともに、放射能汚染第2混合物に所定の光合成細菌を含有する水溶液を供給し、放射能汚染第2混合物と水溶液との放射能汚染第3混合物を作り、放射能汚染第3混合物を真空包装袋に略真空状態で密封し、放射能汚染第3混合物を略真空状態で密封した真空包装袋を所定期間保管する。
【選択図】図1
Description
本発明は、放射性物質が付着した放射能汚染無機物の線量を低減させる無機物線量低減方法に関する。
原子力発電所の事故や核実験等によって放射性ヨウ素131や放射性セシウム134、放射性セシウム137、放射性ストロンチウム90等の放射性物質が放出拡散し、それら放射性物質によって広い範囲の土地や建造物が汚染される場合がある。それら放射性物質のうちの放射性セシウム137は、その物理的半減期が約30年であり、除染の障害になっている。放射性物質によって汚染された土地や建造物に対する除染作業としては、汚染された土地の表土を剥ぎ取り、建造物を取り壊して建材を細かく分解(破砕)し、セシウムイオンを絡ませた粘土粒子によって表土や建材砕片から放射性セシウム137を分離し、セシウム137が濃縮した粘土を所定の保管場所で保管する方法、濃硫酸や濃塩酸を汚染土壌に添加し、汚染土壌を加熱して放射性セシウム137を回収する方法がある。しかし、表土や建材砕片、汚染土壌から放射性セシウム137を回収するのみであり、セシウム137の線量を低減させることはできず、回収したセシウム137(汚染廃棄物)を長期間保管しなければならず、最終処分に至るまでにセシウム137の保管場所(貯蔵施設)の確保や保管場所の安全対策が必要等の問題が残り、根本的な解決手段にはなっていない。
放射性物質から放出される線量を低減させる方法として、放射性物質によって汚染された土壌に光合成細菌を主成分とする放射能除染剤を散布し、その放射能除染剤によって汚染土壌の除染を行う放射能除染方法が開示されている(特許文献1参照)。この放射能除染方法は、土壌に散布された光合成細菌が放射性物質を体内に吸収し、放射線を出さない物質に変えるから、土壌の線量を低減させることができるという効果を有する。なお、光合成細菌が放射性物質に汚染された放射能汚染物の線量を低減させることが知られている。
放射能除染剤を汚染土壌に散布する前記特許文献1に開示の放射能除染方法では、汚染土壌の表土のみに放射能除染剤が散布され、汚染土壌の表土を除染することはできるかもしれないが、汚染土壌の内部を除染することはできず、汚染土壌内部の線量を低減させることはできない。また、汚染土壌の表土に広範囲に放射能除染剤を散布する必要があり、散布作業に時間と手間とを要し、除染作業を効率的に行うことができない。なお、放射能汚染物が無機物(金属や岩石、鉱物、ガラス)である場合、光合成細菌によってそれら無機物を除染することはできない。
本発明の目的は、放射能汚染無機物の線量を確実に低減させることができ、放射性物質に汚染された放射能汚染無機物を確実に除染することができる無機物線量低減方法を提供することにある。本発明の他の目的は、除染作業に時間と手間とを要せず、除染作業を効率的に行うことができる無機物線量低減方法を提供することにある。
前記課題を解決するための本発明の前提は、放射性物質が付着した放射能汚染無機物の線量を低減させる無機物線量低減方法である。
前記前提における本発明の特徴は、無機物線量低減方法が、放射性物質に汚染されていない有機物を放射能汚染無機物に加えて有機物と放射能汚染無機物とを混合し、放射能汚染無機物に付着した放射性物質を有機物に付着させ、放射性物質が付着した放射能汚染有機物と放射能汚染無機物との放射能汚染第1混合物を作る第1混合工程と、第1混合工程によって作られた放射能汚染第1混合物に熱分解処理を施して放射能汚染第1混合物に含まれる放射能汚染有機物を炭化し、放射能汚染有機物を炭化した放射能汚染炭化物と放射能汚染無機物との放射能汚染第2混合物を作る熱分解処理工程と、熱分解処理工程によって作られた放射能汚染第2混合物に所定の光合成細菌を含有する水溶液を供給しつつ放射能汚染第2混合物と水溶液とを混合し、放射能汚染第2混合物と水溶液との放射能汚染第3混合物を作る第2混合工程と、第2混合工程によって作られた放射能汚染第3混合物を包装容器に収容しつつ、包装容器内の空気を吸引して放射能汚染第3混合物を包装容器内に略真空状態で密封する真空密封工程と、真空密封工程によって放射能汚染第3混合物を略真空状態で密封した包装容器を所定期間保管する保管工程とを有することにある。
本発明の一例としては、有機物が、所定量の大鋸屑、所定量のおから、所定量の籾殻、大きさが略同一の所定量のウッドチップ、大きさが略同一の所定量の木質ペレット、藁を粉砕した所定量の粉砕藁、古紙を粉砕した大きさが略同一の所定量の粉砕紙のうちの少なくとも1つであり、第1混合工程では、大鋸屑、おから、籾殻、ウッドチップ、木質ペレット、粉砕藁、粉砕紙のうちの少なくとも1つと放射能汚染無機物とを混合して放射能汚染第1混合物を作り、熱分解処理工程では、放射性物質が付着した大鋸屑、放射性物質が付着したおから、放射性物質が付着した籾殻、放射性物質が付着したウッドチップ、放射性物質が付着した木質ペレット、放射性物質が付着した粉砕藁、放射性物質が付着した粉砕紙のうちの少なくとも1つを熱分解炉を利用して炭化し、放射能汚染炭化物と放射能汚染無機物との放射能汚染第2混合物を作る。
本発明の他の一例としては、放射能汚染無機物が、放射性物質が付着した放射能汚染土壌無機物と、放射性物質が付着した放射能汚染無機物建材を所定の大きさに破砕した放射能汚染無機物破砕材と、放射性物質が付着した放射能汚染エアーフィルタとのうちの少なくとも一方である。
本発明の他の一例として、第2混合工程では、略真空状態に保持した状態で水溶液を放射能汚染第2混合物に満遍なく供給するとともに、略真空状態に保持しつつ放射能汚染第2混合物と水溶液とを攪拌混合する。
本発明の他の一例としては、無機物線量低減方法が、保管工程によって保管された包装容器に所定の光源から光を照射する光照射工程を含む。
本発明の他の一例として、保管工程では、包装容器を23〜30℃の温度で約180〜200日間保管し、光照射工程では、保管工程における包装容器の保管期間の間に包装容器に光源から光を連続して照射する。
本発明の他の一例として、光照射工程では、日照時間内において保管工程によって保管された包装容器に太陽光を照射し、日照時間外において保管工程によって保管された包装容器に光源から光を照射する。
本発明の他の一例としては、包装容器が透明な合成樹脂フィルムから作られた真空包装袋であり、光照射工程では、真空包装袋に向かって光を照射する。
本発明の他の一例としては、光源が太陽光スペクトルとほぼ同様のスペクトル分布を有する光を照射するLED光源であり、光照射工程では、LED光源から真空包装袋の表面の略全域に向かって光を満遍なく照射する。
本発明の他の一例として、保管工程では、複数の真空包装袋を負圧に保持された所定容積の保管室に保管しつつ、保管室から室外に排気する空気を放射性物質を捕集するフィルタに通流させる。
本発明の他の一例としては、水溶液の全重量に対する光合成細菌の含有率が40〜60%であり、放射能汚染第2混合物の全重量に対する水溶液の供給率が17〜20%である。
本発明の他の一例としては、光合成細菌が、嫌気性の紅色硫黄細菌、嫌気性の紅色非硫黄細菌、嫌気性の緑色紅色硫黄細菌のうちの少なくとも1つである。
本発明の他の一例としては、放射性物質が放射性セシウム134および放射性セシウム137であり、無機物線量低減方法では、光合成細菌によって放射性セシウム134および放射性セシウム137が核種変換されてバリウムに遷移することで放射能汚染第3混合物の線量が低減する。
本発明に係る無機物線量低減方法によれば、放射性物質に汚染されていない有機物を前記放射能汚染無機物に加えて放射能汚染無機物に付着した放射性物質を有機物に付着させ、放射性物質が付着した放射能汚染有機物と放射能汚染無機物との放射能汚染第1混合物を作り、放射能汚染第1混合物に熱分解処理を施して放射能汚染第1混合物に含まれる放射能汚染有機物を炭化し、射能汚染有機物を炭化した放射能汚染炭化物と放射能汚染無機物との放射能汚染第2混合物を作り、放射能汚染第2混合物に所定の光合成細菌を含有する水溶液を供給しつつ放射能汚染第2混合物と水溶液とを混合して放射能汚染第3混合物を作るとともに、放射能汚染第3混合物を略真空状態で密封した包装容器を所定期間保管し、包装容器を所定期間保管する間に光合成細菌の線量低減機能を利用して放射能汚染第3混合物を除染することができ、放射能汚染第3混合物を除染することでそれに含まれる放射能汚染無機物の線量を確実に低減させることができる。無機物線量低減方法は、光合成細菌が嫌気性であり、放射能汚染第3混合物を包装容器内に略真空状態で密封することで光合成細菌を活性化させることができるから、活性化した光合成細菌の線量低減機能を利用して放射能汚染第3混合物の線量を確実に低減させることができる。無機物線量低減方法は、放射能汚染第1混合物に熱処理を施して放射能汚染有機物を炭化することで、放射能汚染有機物の体積を減少(減容)させた放射能汚染炭化物と放射能汚染無機物との放射能汚染第2混合物を作り、放射能汚染第2混合物と水溶液とを混合した放射能汚染第3混合物を収容した包装容器を所定期間保管するだけであるから、除染作業に時間と手間とを要せず、除染作業を効率的に行うことができる。無機物線量低減方法は、放射能汚染第3混合物を略真空状態で包装容器に密封することで、包装容器からの放射能汚染第3混合物の不用意な飛散を防ぐことができ、放射能汚染第3混合物が飛散することによる汚染を防ぐことができる。
有機物が、所定量の大鋸屑、所定量のおから、所定量の籾殻、大きさが略同一の所定量のウッドチップ、大きさが略同一の所定量の木質ペレット、藁を粉砕した所定量の粉砕藁、古紙を粉砕した大きさが略同一の所定量の粉砕紙のうちの少なくとも1つであり、大鋸屑、おから、籾殻、ウッドチップ、木質ペレット、粉砕藁、粉砕紙のうちの少なくとも1つと放射能汚染無機物とを混合して放射能汚染第1混合物を作り、放射性物質が付着した大鋸屑、放射性物質が付着したおから、放射性物質が付着した籾殻、放射性物質が付着したウッドチップ、放射性物質が付着した木質ペレット、放射性物質が付着した粉砕藁、放射性物質が付着した粉砕紙のうちの少なくとも1つを熱分解炉を利用して炭化し、放射能汚染炭化物と放射能汚染無機物との放射能汚染第2混合物を作る無機物線量低減方法は、 放射能汚染無機物の放射性物質をそれら有機物(大鋸屑、おから、籾殻、ウッドチップ、木質ペレット、粉砕藁、粉砕紙のうちの少なくとも1つ)に確実に付着させることができ、それら有機物を熱分解炉を利用して炭化して放射能汚染炭化物を作り、放射能汚染炭化物と放射能汚染無機物との放射能汚染第2混合物に光合成細菌を含有する水溶液を混合した放射能汚染第3混合物を略真空状態で密封した包装容器を所定期間保管することで、包装容器を所定期間保管する間に光合成細菌の線量低減機能を利用して放射能汚染第3混合物を除染することができ、放射能汚染第3混合物を除染することでそれに含まれる放射能汚染無機物の線量を確実に低減させることができる。
放射能汚染無機物が放射性物質が付着した放射能汚染土壌無機物と放射性物質が付着した放射能汚染無機物建材を所定の大きさに破砕した放射能汚染無機物破砕材と放射性物質が付着した放射能汚染エアーフィルタとのうちの少なくとも一方である無機物線量低減方法は、放射能汚染土壌無機物や放射能汚染無機物建材を所定の大きさに破砕した放射能汚染無機物破砕材、放射能汚染エアーフィルタの放射性物質を有機物に付着させ、有機物を炭化させた放射能汚染炭化物と放射能汚染土壌無機物や放射能汚染無機物破砕材、放射能汚染エアーフィルタとの放射能汚染第2混合物に光合成細菌を含有する水溶液を混合した放射能汚染第3混合物を略真空状態で密封した包装容器を所定期間保管することで、包装容器を所定期間保管する間に光合成細菌の線量低減機能を利用して放射能汚染第3混合物を除染することができ、放射能汚染第3混合物を除染することでそれに含まれる放射能汚染土壌無機物や放射能汚染無機物破砕材、放射能汚染エアーフィルタの線量を確実に低減させることができる。
略真空状態に保持した状態で光合成細菌を含有する水溶液を放射能汚染第2混合物に満遍なく供給するとともに、略真空状態に保持しつつ放射能汚染第2混合物とその水溶液とを攪拌混合する無機物線量低減方法は、光合成細菌が嫌気性であり、略真空状態に保持した状態で光合成細菌を含有する水溶液を放射能汚染第2混合物に満遍なく供給し、略真空状態に保持しつつ放射能汚染第2混合物と水溶液とを攪拌混合することで、光合成細菌が活性を失うことはなく、活性を有する光合成細菌を放射能汚染第2混合物に混入することができ、活性化した光合成細菌の線量低減機能を利用して放射能汚染第3混合物を除染することができるとともに、放射能汚染第3混合物を除染することでそれに含まれる放射能汚染土壌無機物や放射能汚染無機物建材を破砕した放射能汚染無機物破砕材等の放射能汚染無機物の線量を確実に低減させることができる。
保管工程によって保管された包装容器に所定の光源から光を照射する無機物線量低減方法は、包装容器に光源から光を照射することで、その光によって水溶液に含まれる光合成細菌を活性化させることができるから、活性化した光合成細菌の線量低減機能を利用して放射能汚染第3混合物を除染することができ、放射能汚染第3混合物を除染することでそれに含まれる放射能汚染土壌無機物や放射能汚染無機物建材を破砕した放射能汚染無機物破砕材等の放射能汚染無機物の線量を確実に低減させることができる。
包装容器を23〜30℃の温度で約180〜200日間保管し、包装容器の保管期間の間に包装容器に光源から光を連続して照射する無機物線量低減方法は、放射能汚染第3混合物を略真空状態で密封した包装容器を前記温度で保管するとともに、包装容器の保管期間の間に包装容器に光を連続して照射することで、放射能汚染第3混合物に含まれる光合成細菌の活性が保管期間の間維持され、活性化した光合成細菌の線量低減機能を利用して放射能汚染第3混合物を除染することができ、放射能汚染第3混合物を除染することでそれに含まれる放射能汚染土壌無機物や放射能汚染無機物建材を破砕した放射能汚染無機物破砕材等の放射能汚染無機物の線量を確実に低減させることができる。
保管された包装容器に日照時間内において太陽光を照射し、保管された包装容器に日照時間外において光源から光を照射する線量低減方法は、包装容器に太陽および光源から光を照射することで、その光によって放射能汚染炭化混合物に含まれる光合成細菌を活性化させることができるから、活性化した光合成細菌の線量低減機能を利用して放射能汚染第3混合物を除染することができ、放射能汚染第3混合物を除染することでそれに含まれる放射能汚染土壌無機物や放射能汚染無機物建材を破砕した放射能汚染無機物破砕材等の放射能汚染無機物の線量を確実に低減させることができる。線量低減方法は、日照時間内において太陽光を利用するから、日照時間内に光源を停止させることができ、光源において消費される電力を節約することができ、線量低減における省エネ化を図ることができる。
包装容器が透明な合成樹脂フィルムから作られた真空包装袋であり、真空包装袋に向かって光を照射する無機物線量低減方法は、光源や太陽から照射された光が透明な合成樹脂フィルムから作られた真空包装袋を透過して放射能汚染第3混合物に照射されるから、その光によって放射能汚染第3混合物に含まれる光合成細菌を活性化させることができ、活性化した光合成細菌の線量低減機能を利用して放射能汚染第3混合物を除染することができるとともに、放射能汚染第3混合物を除染することでそれに含まれる放射能汚染土壌無機物や放射能汚染無機物建材を破砕した放射能汚染無機物破砕材等の放射能汚染無機物の線量を確実に低減させることができる。
光源が太陽光スペクトルとほぼ同様のスペクトル分布を有する光を照射するLED光源であり、そのLED光源から真空包装袋の表面の略全域に向かって光を満遍なく照射する無機物線量低減方法は、太陽光スペクトルとほぼ同様のスペクトル分布を有する光をLED光源から真空包装袋の表面の略全域に向かって満遍なく照射することで、光が包装袋の表面の略全域から放射能汚染第3混合物に照射され、太陽光スペクトルとほぼ同様のスペクトル分布光によって放射能汚染第3混合物に含まれる光合成細菌を十分に活性化させることができ、活性化した光合成細菌の線量低減機能を利用して放射能汚染第3混合物を除染することができるとともに、放射能汚染第3混合物を除染することでそれに含まれる放射能汚染土壌無機物や放射能汚染無機物建材を破砕した放射能汚染無機物破砕材等の放射能汚染無機物の線量を確実に低減させることができる。
複数の真空包装袋を負圧に保持された所定容積の保管室に保管しつつ、保管室から室外に排気する空気を放射性物質を捕集するフィルタに通流させる無機物線量低減方法は、放射能汚染第3混合物を略真空状態で密封した複数の真空包装袋を保管する保管室の室圧を負圧に保持することで、包装袋から放射能汚染第3混合物が漏出したとしても、その放射能汚染第3混合物や放射性物質の室外への飛散を防ぐことができ、放射能汚染第3混合物や放射性物質による汚染の拡大を防ぐことができる。無機物線量低減方法は、放射性物質を捕集するフィルタに保管室から室外に排気する空気を通流させることで、保管室の空気に放射能汚染第3混合物や放射性物質が含まれていたとしても、その放射能汚染第3混合物や放射性物質がフィルタに捕集されるから、放射能汚染第3混合物や放射性物質の室外への飛散を防ぐことができ、放射能汚染第3混合物や放射性物質による汚染の拡大を防ぐことができる。
水溶液の全重量に対する光合成細菌の含有率が40〜60%であり、放射能汚染第2混合物の全重量に対する水溶液の供給率が17〜20%である無機物線量低減方法は、水溶液の全重量に対する光合成細菌の含有率を前記範囲にすることにより、光合成細菌の活性が維持され、放射能汚染炭化物の全重量に対する水溶液の供給率を前記範囲にすることで、活性を有する光合成細菌を放射能汚染炭化物のすべてに満遍なく分布させることができ、活性を有する光合成細菌の線量低減機能を利用して放射能汚染第3混合物を除染することができるとともに、放射能汚染第3混合物を除染することでそれに含まれる放射能汚染土壌無機物や放射能汚染無機物建材を破砕した放射能汚染無機物破砕材等の放射能汚染無機物の線量を確実に低減させることができる。
光合成細菌が嫌気性の紅色硫黄細菌、嫌気性の紅色非硫黄細菌、嫌気性の緑色紅色硫黄細菌のうちの少なくとも1つである無機物線量低減方法は、光合成細菌のうち、嫌気性の紅色硫黄細菌や嫌気性の紅色非硫黄細菌、嫌気性の緑色紅色硫黄細菌はその線量低減機能が高く、それらの光合成細菌の線量低減機能を利用することで、放射能汚染第3混合物を除染することができ、放射能汚染第3混合物に含まれる放射能汚染土壌無機物や放射能汚染無機物建材を破砕した放射能汚染無機物破砕材等の放射能汚染無機物の線量を確実に低減させることができる。
放射性物質が放射性セシウム134および放射性セシウム137であり、光合成細菌によって放射性セシウム134および放射性セシウム137が核種変換されてバリウムに遷移することで放射能汚染第3混合物の線量が低減する無機物線量低減方法は、光合成細菌によって放射性セシウム134および放射性セシウム137が核種変換されてバリウムに遷移するから、それらの光合成細菌を利用することで、放射能汚染第3混合物を除染することができ、放射能汚染第3混合物に含まれる放射能汚染土壌無機物や放射能汚染無機物建材を破砕した放射能汚染無機物破砕材等の放射能汚染無機物の線量を確実に低減させることができる。
一例として示す無機物線量低減システム10Aのシステム構成図である図1等の添付の図面を参照し、本発明にかかる無機物線量低減方法の詳細を説明すると、以下のとおりである。無機物線量低減方法(無機物線量低減システム10Aおよび後記する無機物線量低減システム10B)は、原子力発電所の事故や核実験等によって大気に放出された放射性セシウム134(放射性物質)および放射性セシウム137(放射性物質)に汚染された放射能汚染無機物(放射能汚染土壌無機物や放射能汚染無機物建材、放射能汚染エアーフィルタ)の線量を光合成細菌を利用して低減させる。
放射能汚染無機物には、放射性セシウム134や放射性セシウム137が付着してそれら放射性物質に汚染された放射能汚染土壌無機物(放射能汚染土壌に含まれる放射能汚染岩石や放射能汚染鉱物、放射能汚染ガラス、放射能汚染金属等)がある。また、放射能汚染無機物には、放射性セシウム134や放射性セシウム137が付着してそれら放射性物質に汚染された放射能汚染無機物建材を所定の大きさに破砕した放射能汚染無機物破砕材がある。さらに、放射能汚染無機物には、建造物や原子力関連施設、医療施設に設置され、放射性セシウム134や放射性セシウム137が付着してそれら放射性物質に汚染された放射能汚染エアーフィルタがある。
無機物の建材には、石材(花崗岩、安山岩、流紋岩、砂岩、凝灰岩、粘板岩、大理石、蛇紋岩等、人造石を含む)、鉄鋼材(鉄鋼製の線材、棒鋼、形鋼、鋼管、釘、螺子、ナット等)、非鉄金属材(アルミや銅、真鍮等の線材、棒鋼、形鋼、鋼管、釘、螺子、ナット等)、ガラス材(窓用ガラス板、壁面用ガラスブロック等)、粘土焼成品(瓦、煉瓦、タイル等)、セメント材、コンクリート材、石膏ボードがある。なお、釘や螺子、ナットは、破砕されることはなく、そのまま放射能汚染無機物破砕材となる。原子力関連施設には、原子力発電所、中間貯蔵施設、再処理工場、MOX燃料工場、高速増殖炉、高速増殖炉用燃料工場、高速増殖炉用再処理工場、高レベル放射性廃棄物最終処分施設等がある。エアーフィルタには、活性炭を含む中高性能フィルタやHEPAフィルタ、ULPAフィルタ、活性炭素繊維から作られた放射性物質吸着フィルタ等がある。
光合成細菌には、嫌気性の紅色硫黄細菌、嫌気性の紅色非硫黄細菌、嫌気性の緑色紅色硫黄細菌のうちの1つまたはそれら細菌の複数が使用される。光合成細菌として線量低減機能が高い紅色非硫黄細菌を使用することが好ましい。それら光合成細菌は、放射性セシウム134や放射性セシウム137を体内に取り込み、放射性セシウム134および放射性セシウム137を核種変換してバリウムに遷移させることで線量を低減させる。
線量低減システム10Aは、機械室12と保管室13とを有する除染施設11(建造物)の室内に設置されている。無機物線量低減システム10Aは、第1攪拌混合機14、熱分解炉15(炭化炉)、第2攪拌混合機16、真空包装機17、LED照明18(LED光源)(光源として蛍光灯や白熱球等の他の光源を使用することもできる)とから形成されている。なお、重機や破砕機、粉砕機等の放射能汚染無機物建材を細かく砕く機械が含まれる場合もある。無機物線量低減方法(無機物線量低減システム10A,10B)の説明では、放射性セシウム134や放射性セシウム137が付着した放射能汚染無機物建材が重機や破砕機、粉砕機等によって事前に所定の大きさの破砕材(大きさ、各辺の長さが10〜60mm程度)に加工(破砕)され、放射能汚染無機物破砕材19になっているものとする。
機械室12の側壁には、排気口20が施設され、機械室12の室内には、空調機21が設置されている。保管室13の側壁には、給気口22が施設されている。排気口20には、排気ファン23と放射性物質を捕集するフィルタ24とが設置されている。除染施設11(機械室12および保管室13)は、排気ファン23によってその室内気圧が負圧に保持されている。給気口22には、微細な塵埃を捕集するフィルタ25が設置されている。なお、給気口22のフィルタ24の後流側に給気ファンが設置される場合もある。
第1攪拌混合機14は、放射性物質に汚染されていない有機物を放射能汚染無機物(放射能汚染土壌、放射能汚染無機物破砕材19、放射能汚染エアーフィルタ)に加えて有機物と放射能汚染無機物とを攪拌・混合し、放射能汚染無機物に付着した放射性物質を有機物に付着(遷移)させ、放射性物質が付着した放射能汚染有機物と放射能汚染無機物とを混合した放射能汚染第1混合物を作る。
有機物には、放射性セシウム134(放射性物質)や放射性セシウム137(放射性物質)が付着していない所定量(複数)の大鋸屑(粒状または粉状)、放射性セシウム134や放射性セシウム137が付着していない所定量(複数)のおから(粉状)、放射性セシウム134や放射性セシウム137が付着していない所定量(複数)の籾殻、放射性セシウム134や放射性セシウム137が付着していない大きさが略同一の所定量(複数)のウッドチップ(粒状)、放射性セシウム134や放射性セシウム137が付着していない大きさが略同一の所定量(複数)木質ペレット(粒状)、藁を粉砕した放射性セシウム134や放射性セシウム137が付着していない所定量(複数)の粉砕藁、古紙を粉砕した放射性セシウム134や放射性セシウム137が付着していない大きさが略同一の所定量(複数)の粉砕紙(粒状または粉状)のうちのいずれか1つが使用され、または、それら有機物のうちの2種類以上のそれらを混合した複合有機物が使用される。それら有機物には放射性セシウム134や放射性セシウム137、他の放射性物質が付着していないから、それら有機物の線量はバックグラウンドの線量と略同一である。
熱分解炉15は、無酸素状態または低酸素状態で放射能汚染第1混合物に含まれる放射能汚染有機物を熱分解し、放射能汚染有機物を炭化した放射能汚染炭化物と放射能汚染無機物とからなる放射能汚染第2混合物を作る。第2攪拌混合機16は、放射能汚染第2混合物に所定の光合成細菌を含有する水溶液を供給しつつ放射能汚染第2混合物と水溶液とを攪拌・混合し、放射能汚染第2混合物と水溶液とを混合した放射能汚染第3混合物を作る。真空包装機17は、放射能汚染第3混合物を真空状態で真空包装袋43(包装容器)に収容する。LED照明18は、光を真空包装袋43に照射する。
図2は、無機物線量低減方法(無機物線量低減システム10A)において行われる処理フローの一例を示すフローチャートであり、図3は、一例として示す第1攪拌混合機14の斜視図である。図4は、一例として示す熱分解炉15の正面図であり、図5は、他の一例として示す第2攪拌混合機16の斜視図である。図6は、第2攪拌混合機16の真空容器36の内部を示す斜視図である。なお、放射能汚染無機物として放射能汚染無機物建材を破砕した放射能汚染無機物破砕材19を例示し、有機物として大鋸屑26を利用する場合を例として無機物線量低減方法(無機物線量低減システム10A)を説明する。ただし、放射能汚染土壌無機物や放射能汚染エアーフィルタを除染する手順も放射能汚染無機物破砕材19を除染するそれと同一である。
無機物線量低減方法(無機物線量低減システム10A)は、第1混合工程(第1混合手段)、熱分解処理工程(熱分解処理手段)、第2混合工程(第2混合手段)、真空密封工程(真空密封手段)、保管工程(保管手段)、光照射工程(光照射手段)の各工程(各手段)を実施することで、放射性セシウム134(放射性物質)や放射性セシウム137(放射性物質)が付着した放射能汚染無機物建材(放射能汚染無機物)の線量を低減させる。
無機物線量低減方法(無機物線量低減システム10A)では、放射性セシウム134や放射性セシウム137に汚染された放射能汚染無機物建材(放射能汚染無機物)が各地において回収され、放射能汚染無機物建材や放射能汚染無機物破砕材19が輸送車両によって除染施設11に搬送される(S−1)。放射能汚染無機物建材は、放射性セシウム134や放射性セシウム137に汚染された各種の建造物が取り壊されて(解体されて)生じた各種複数の汚染廃材である。
それら放射能汚染無機物建材は、回収地または除染施設において重機や破砕機、粉砕機等によって細かく砕かれて放射能汚染無機物破砕材19に加工される(S−2)。除染施設11には、図示はしていないが、放射能汚染無機物建材や放射能汚染無機物破砕材19、大鋸屑26を貯蔵する貯蔵タンクが施設され、各地から回収された放射能汚染無機物建材や放射能汚染無機物破砕材19が貯蔵タンクに一時的に貯蔵されるとともに、除染に使用される大鋸屑26(有機物)が貯蔵されている。
貯蔵タンクに貯蔵された放射能汚染無機物破砕材19および大鋸屑26は、ベルトコンベア等の搬送機(図示せず)によって第1攪拌混合機14に搬送される。第1攪拌混合機14では、第1混合工程(第1混合手段)が行われる。第1攪拌混合機14は、機械室12に設置され、図3に示すように、内周面に固定羽根が設置された攪拌混合槽27と、攪拌混合槽27に収容された攪拌羽根を回転させるモーター28とを備えている。
第1混合工程(第1混合手段)では、放射性セシウム134や放射性セシウム137、他の放射性物質が付着していない大鋸屑26と放射性セシウム134や放射性セシウム137が付着した放射能汚染無機物破砕材19とを第1攪拌混合機14の攪拌混合槽27に投入する。放射能汚染無機物破砕材19に大鋸屑26を加えてそれらを第1攪拌混合機14の攪拌混合槽27で攪拌・混合することで、放射能汚染無機物破砕材19に付着した放射性セシウム134や放射性セシウム137を大鋸屑26に付着(遷移)させる。第1攪拌混合機14では、放射性セシウム134や放射性セシウム137が付着した放射能汚染大鋸屑26(放射能汚染有機物)と放射能汚染無機物破砕材19とを混合した放射能汚染第1混合物26が作られる(第1混合工程、第1混合手段)(S−3)。
放射能汚染無機物破砕材19(放射能汚染無機物)の全重量(100重量%)に対する大鋸屑26(有機物)の投入率(投入割合)は、100〜200%の範囲、好ましくは、100〜150%の範囲にある。大鋸屑26(有機物)の投入率が100%未満では、放射能汚染無機物破砕材19(放射能汚染無機物)に付着した放射性セシウム134(放射性物質)や放射性セシウム137(放射性物質)を大鋸屑26(有機物)に十分に付着(遷移)させることができず、放射能汚染第3混合物42(放射能汚染炭化物)の線量を十分に低減させることができない場合がある。前記範囲の投入率で放射能汚染第3混合物42(放射能汚染炭化物)の線量を低減させることができるから、投入率が200%を超過すると、超過した大鋸屑26(有機物)が無駄になる場合がある。
第1混合工程(第1混合手段)が終了すると、熱分解処理工程(熱分解処理手段)が行われる。第1攪拌混合機14によって作られた放射能汚染第1混合物29は、第1攪拌混合機14から取り出され、熱分解炉15に搬送される。なお、熱分解炉15の前処理設備として放射能汚染第1混合物29の水分を蒸発除去する減圧乾燥機が設置される場合もある。減圧乾燥機によって放射能汚染第1混合物29に含まれる水分が除去される。
熱分解炉15は、機械室12に設置され、図4に示すように、灯油バーナー30が設置された燃焼室31と、放射能汚染第1混合物29を投入する加熱室32と、活性炭吸着装置33とを備えている。熱分解炉15では、無酸素条件下または低酸素条件下において外熱式で放射能汚染第1混合物29に含まれる放射能汚染大鋸屑26を熱分解処理して放射能汚染大鋸屑26を炭化し、放射能汚染大鋸屑26を炭化した放射能汚染炭化物と放射能汚染無機物破砕材19とを混合した放射能汚染第2混合物34が作られる。
放射能汚染第1混合物29は、搬送機から熱分解炉15の加熱室32に投入される。熱分解炉15の加熱室32では、無酸素状態または低酸素状態において燃焼室31の燃焼熱によって加熱室32の内部が所定温度(300〜1000℃)に加熱され、放射能汚染大鋸屑26が乾留ガス(分解ガス)、水、放射能汚染炭化物に熱分解・減容され、放射能汚染大鋸屑26から放射能汚染炭化物が作られ(生成され)、その放射能汚染炭化物と熱分解炉15において熱分解されない放射能汚染無機物破砕材19との混合物である放射能汚染第2混合物34が作られる(生成される)(熱分解処理工程、熱分解処理手段)(S−4)。
熱分解処理工程において発生する乾留ガスは、活性炭吸着装置33における活性炭処理および燃焼室31で燃焼して無煙化され、排気口34から大気に放出される。図示の熱分解炉15の加熱方式は、液体燃料式であるが、電気式や加熱蒸気式の熱分解炉を使用することもできる。また、図示の熱分解炉15の汚染物供給方式は、バッチ式であるが、連続式の熱分解炉を使用することもできる。
熱分解処理工程が終了すると、第2混合工程(第2混合手段)が行われる。熱分解炉15によって作られた放射能汚染炭化物と放射能汚染無機物破砕材19との放射能汚染第2混合物34は、熱分解炉15から取り出され、第2攪拌混合機16に搬送される。第2攪拌混合機16は、機械室12に設置され、図5に示すように、真空容器36と、真空容器36の内部に設置されて光合成細菌を含有した水溶液37を真空容器36の内部に散布(供給)するノズル38(噴霧ノズル)と、真空容器36の開口39(投入口)を気密に閉鎖する気密蓋40と、真空容器16を振動させる振動モーター41とを備えている。
第2攪拌混合機16は、振動モーター41によって真空容器36に高速の偏芯運動を与え、真空容器36の振動によって攪拌混合する。熱分解炉15から取り出された放射能汚染第2混合物34は、搬送機から第2攪拌混合機16に搬送され、真空容器36の開口39(投入口)から真空容器36の内部に投入される。放射能汚染第2混合物34が真空容器36の内部に投入された後、真空容器36の開口39が気密蓋40によって気密に閉鎖される。
真空容器36の開口39が気密蓋40によって閉鎖された後、真空容器36の内部が真空引きされて真空になる。真空容器36の内部が真空状態になると、真空容器36の内部が真空に保持された状態で光合成細菌を含有した水溶液37がノズル38から真空容器36の内部に散布(供給)されるとともに、真空容器36の内部が真空に保持された状態で振動モーター41によって真空容器36が高速で振動する。真空容器36の内部では、真空容器36の振動によって放射能汚染第2混合物34と光合成細菌を含有した水溶液37とが真空状態で攪拌混合され、放射能汚染第2混合物34に水溶液37が均一に混合される(第2混合工程、第2混合手段)(S−5)。第2攪拌混合機16では、放射能汚染第2混合物34に水溶液37が満遍なく混合された第3放射能汚染第3混合物43が作られる。
無機物線量低減方法(無機物線量低減システム10A)は、光合成細菌(紅色硫黄細菌、紅色非硫黄細菌、緑色紅色硫黄細菌)が嫌気性であり、第2攪拌混合機16の真空容器36を真空状態に保持しつつ嫌気性の光合成細菌を含有する水溶液37を放射能汚染第2混合物34に満遍なく供給し、第2撹拌混合機16の真空容器36を真空状態に保持しつつ放射能汚染第2混合物34と水溶液37とを攪拌・混合することで、光合成細菌が活性を失うことはなく、活性を有する光合成細菌を放射能汚染第2混合物34に混入することができる。
図示の第2攪拌混合機16の混合方式は、振動式であるが、スクリューニーダー方式や羽根攪拌式の攪拌混合機を使用することもできる。スクリューニーダー方式や羽根攪拌式の攪拌混合機を使用する場合であっても、それら攪拌混合機の混合容器を真空状態に保持しつつ、混合容器の内部に収容された放射能汚染第2混合物34に光合成細菌を含有した水溶液37を満遍なく供給するとともに、それら攪拌混合機の混合容器を真空状態に保持しつつ放射能汚染第2混合物34と水溶液37とを攪拌・混合し、放射能汚染第2混合物34に水溶液37が満遍なく混合された放射能汚染第3混合物42を作る。
光合成細菌を含有した水溶液37の全重量(100重量%)に対する光合成細菌の含有率は、40%〜60%の範囲、好ましくは、50%〜55%の範囲にある。含有率が40%未満では、光合成細菌(紅色硫黄細菌、紅色非硫黄細菌、緑色紅色硫黄細菌のうちの少なくとも1つ)の含有率が低く、光合成細菌の線量低減機能を十分に利用することができず、放射能汚染第3混合物42(放射能汚染炭化物)の線量を低減させることができない場合がある。含有率が60%を超過すると、光合成細菌が十分に増殖(培養)せず、光合成細菌の活性が失われ、放射能汚染第3混合物42(放射能汚染炭化物)の線量を低減させることができない場合がある。
放射能汚染第2混合物34の全重量(100重量%)に対する光合成細菌を含有した水溶液37の供給率は、17〜20%の範囲、好ましくは、18%〜19%の範囲にある。供給率が17%未満では、放射能汚染第2混合物34に対する光合成細菌(嫌気性の紅色硫黄細菌、嫌気性の紅色非硫黄細菌、嫌気性の緑色紅色硫黄細菌のうちの少なくとも1つ)の供給量が少なく、光合成細菌の線量低減機能を十分に利用することができず、放射能汚染第3混合物42(放射能汚染炭化物)の線量を十分に低減させることができない場合がある。前記範囲の供給率で光合成細菌の線量低減機能を十分に利用することができるから、供給率が20%を超過すると、超過した水溶液が無駄になる場合がある。
無機物線量低減方法(無機物線量低減システム10A)は、水溶液37の全重量に対する光合成細菌の含有率を前記範囲にすることにより、光合成細菌の活性が十分に維持され、放射能汚染第2混合物34の全重量に対する水溶液37の供給率を前記範囲にすることで、活性を有する光合成細菌を放射能汚染第2混合物34のすべてに満遍なく分布させることができ、活性を有する光合成細菌の線量低減機能を利用して放射能汚染第3混合物42(放射能汚染炭化物)の線量を確実に低減させることができる。
図7は、一例として示す真空包装袋43の斜視図であり、図8は、一例として示す真空包装機17の斜視図である。図9は、放射能汚染第3混合物42を真空状態で密封した真空包装袋43の斜視図である。第2混合工程(第2混合手段)が終了すると、真空密封工程(真空密封手段)が行われる。第2攪拌混合機16によって作られた放射能汚染第3混合物42は、攪拌混合機16から取り出され、真空包装機17に搬送される。真空密封工程で使用される真空包装袋43(収容容器)は、図7に示すように、可撓性を有して互いに対向する無色透明な合成樹脂フィルム44(合成樹脂シート)から作られている。
真空包装袋43は、上端部45および下端部46と、両側縁部47とを有し、放射能汚染第3混合物42を収容する所定容積の収容空間48が画成されている。真空包装袋43は、両側縁部47と下端部46とがシールされた3方シール袋であり、上端部45に放射能汚染第3混合物42を投入する頂部開口49が形成されている。なお、3方シール袋の他に、二方シール袋、2方シール袋やボトムシール袋を使用することもできる。合成樹脂フィルム44には、ポリエチレンフィルム(PEフィルム)とナイロンフィルム(NYフィルム)とをラミネートしたラミネートフィルムが使用されている。
第2攪拌混合機16から取り出された放射能汚染第3混合物42は、真空包装袋43の頂部開口49から真空包装袋43の収容空間48に収容される。放射能汚染第3混合物42を収容した真空包装袋43は、機械室12に設置された真空包装機17にセットされる。真空包装機17では、放射能汚染第3混合物42を収容した真空包装袋43の収容空間48(内部)の空気を吸引して脱気し、収容空間48を真空状態にした後、真空包装袋43の上端部45をシーラー(ヒートシール、ソニックシール)によって気密にシールする。真空包装袋43の収容空間48(内部)には、放射能汚染第3混合物42が真空状態で密封される(真空密封工程、真空密封手段)(S−6)。
真空包装機17としては、真空ボックス50内に放射能汚染第3混合物42を収容した真空包装袋43を収納し、真空ボックス50内を真空ポンプによって真空引きして真空状態に保持しつつ上端部45をシールするチャンバー型が使用されているが、チャンバー型の他に、放射能汚染第3混合物42を収容した真空包装袋43の頂部開口49にノズルを挿入し、ノズル(真空ポンプ)によって真空包装袋43の収容空間48を真空引きして真空状態に保持した後、上端部45をシールするノズル型を使用することもできる。
図10は、保管室13における真空包装袋43の保管の一例を示す図であり、図11は、保管室13においてLED照明18(LED光源)から真空包装袋43への光の照射の一例を示す図である。真空密封工程(真空密封手段)が終了すると、保管工程(保管手段)が行われる。放射能汚染第3混合物42を真空状態で密封した真空包装袋43は、真空包装機17から取り出され、除染施設11の機械室12から保管室13に搬送される。保管室13では、図10,11に示すように、横方向へ所定寸法離間して前後方向へ延びる複数の収容ラック51が配置され、複数の真空包装袋43が収容ラック51の前後方向へ延びる載置部52に載置されて前後方向へ並んでいる。載置部52は、透明なプラスチック板から作られている。放射能汚染第3混合物42を真空状態で密封したそれら真空包装袋43は、収容ラック51の載置部52に載置された状態で所定期間保管される(保管工程、保管手段)(S−7)。
機械室12や保管室13では、空調機21によって室内の温度および湿度が略一定に保持されている。保管室13では、それら真空包装袋43を室温23℃〜30℃の温度で約180〜200日間保管する。室温が23℃未満であり、30℃を超過すると、光合成細菌(嫌気性の紅色硫黄細菌、嫌気性の紅色非硫黄細菌、嫌気性の緑色紅色硫黄細菌のうちの少なくとも1つ、好ましくは、紅色非硫黄細菌)が十分に増殖(培養)せず、光合成細菌の活性が失われ、放射能汚染第3混合物42(放射能汚染炭化物)の線量を十分に低減させることができない場合がある。
無機物線量低減方法(無機物線量低減システム10A)は、放射能汚染第3混合物42を略真空状態で密封した真空包装袋43(包装容器)を前記温度で保管するとともに、真空包装袋43の保管期間の間に真空包装袋43に光照射工程(光照射手段)によってLED照明18から光を連続して照射することで、放射能汚染第3混合物42に含まれる光合成細菌の活性が保管期間の間維持され、活性化した光合成細菌の線量低減機能を利用して放射能汚染第3混合物42(放射能汚染炭化物)の線量を確実に低減させることができる。
除染施設11(機械室12および保管室13)では、排気ファン23によって室内の空気が吸引され、排気口20から空気が室外に排気されている。除染施設11(機械室12および保管室13)の室圧が負圧に保持されることで、室内の空気が排気口20以外の箇所から室外に漏出することはない。室外から除染施設11の室内に流入する空気は、吸気口22に設置されたフィルタ25を通流する。室外から室内に流入する空気に微細な塵埃が含まれていたとしても、その塵埃がフィルタ25に捕集される。フィルタ25には、HEPAフィルタを使用することができる。
除染施設11の室内から室外に排気される空気は、排気口20に設置されたフィルタ24を通流する。室内から室外に排気される空気に放射性物質が含まれていたとしても、その放射性物質がフィルタ24に捕集される。フィルタ24には、活性炭を保持させたHEPAフィルタや活性炭素繊維から作られた活性炭素フィルタを使用することができる。
無機物線量低減方法(無機物線量低減システム10A)は、放射能汚染第3混合物42を真空状態で密封した複数の包装容器43を保管する保管室13や機械室12の室圧を負圧に保持することで、室内の空気が排気口20以外の箇所から室外に漏出することはなく、真空包装袋43から放射能汚染第3混合物42が漏出したとしても、その放射能汚染第3混合物42や放射性物質の室外への飛散を防ぐことができ、放射能汚染第3混合物42や放射性物質による汚染の拡大を防ぐことができる。
無機物線量低減方法(無機物線量低減システム10A)は、放射性物質を捕集するフィルタ24に除染施設11(機械室12および保管室13)から室外に排気する空気を通流させることで、除染施設11の空気に放射能汚染第3混合物42や放射性物質が含まれていたとしても、その放射能汚染第3混合物42や放射性物質がフィルタに捕集されるから、放射能汚染第3混合物42や放射性物質の室外への飛散を防ぐことができ、放射能汚染第3混合物42や放射性物質による汚染の拡大を防ぐことができる。
LED照明18(LED光源)は、前後方向へ長い直管型であり、複数のそれらが収容ラック51の載置部52の上方に位置する上方設置部53と載置部52の下方に位置する下方設置部54とに取り付けられ、載置部52(真空包装袋43)を挟んで前後方向へ並んでいる。それらLED照明18は、太陽光スペクトルとほぼ同様のスペクトル分布を有する光を収容ラック51の載置部52に照射する。放射能汚染第3混合物42を真空状態で密封したそれら真空包装袋43の表面(両面)には、それらLED照明18から光が照射されている(光照射工程、光照射手段)(S−8)。
収容ラック51の上方設置部53に設置されたそれらLED照明18から照射された光は、真空包装袋43のフィルム44の表面全域に満遍なく照射されるとともに、真空包装袋43の透明なフィルム44を透過して真空包装袋43の収容空間48に収容された放射能汚染第3混合物42に照射される。収容ラック51の下方設置部54に設置されたそれらLED照明18から照射された光は、載置部52(透明なプラスチック板)を透過して真空包装袋43のフィルム44の表面全域に満遍なく照射されるとともに、真空包装袋43の透明なフィルム44を透過して真空包装袋43の収容空間48に収容された放射能汚染第3混合物42に照射される。光照射工程では、前記保管工程における真空包装袋43の保管期間の間に真空包装袋43にそれらLED照明18から光が連続して照射される。保管工程と光照射工程とを実施中に放射能汚染第3混合物42の線量が定期的に測定される。
無機物線量低減方法(無機物線量低減システム10A)は、太陽光スペクトルとほぼ同様のスペクトル分布を有する光をLED照明18(LED光源)から真空包装袋43(包装容器)の表面の略全域に向かって満遍なく照射することで、光が真空包装袋43の表面の略全域から放射能汚染第3混合物42に照射され、太陽光スペクトルとほぼ同様のスペクトル分布を有する光によって放射能汚染第3混合物42に含まれる光合成細菌を十分に活性化させることができ、活性化した光合成細菌の線量低減機能を利用して放射能汚染第3混合物42(放射能汚染炭化物)の線量を確実に低減させることができる。
無機物線量低減方法(無機物線量低減システム10A)は、光合成細菌(嫌気性の紅色硫黄細菌、嫌気性の紅色非硫黄細菌、嫌気性の緑色紅色硫黄細菌のうちの少なくとも1つ、好ましくは、紅色非硫黄細菌)が嫌気性であり、放射能汚染第3混合物42を真空包装袋43の収容空間48に略真空状態で密封することで光合成細菌を活性化させることができるから、活性化した光合成細菌の線量低減機能を利用して放射能汚染第3混合物42(放射能汚染炭化物)の線量を確実に低減させることができる。
無機物線量低減方法(無機物線量低減システム10A)は、放射能汚染第3混合物42を真空状態で真空包装袋43(包装容器)に密封することで、真空包装袋43からの放射能汚染第3混合物42の不用意な飛散を防ぐことができ、放射能汚染第3混合物42が飛散することによる除染施設11(機械室12および保管室13)の汚染を防ぐことができる。
図12は、線量測定の結果を示す図であり、図13は、線量変化を時系列で示すグラフである。原子力発電所の事故によって放射性セシウム134(Cs134)および放射性セシウム137(Cs137)によって汚染された地域から10kgの放射能汚染無機物建材(放射能汚染無機物)を収集(回収)し、その放射能汚染無機物建材を重機や破砕機、粉砕機等によって所定の大きさの放射能汚染無機物破砕材19(大きさ、各辺の長さが10〜60mm程度)に加工(破砕)した。無機物線量低減システム10A(無機物線量低減方法)によって第1混合工程(第1混合手段)、熱分解処理工程(熱分解処理手段)、第2混合工程(第2混合手段)、真空密封工程(真空密封手段)、保管工程(保管手段)、光照射工程(光照射手段)を実施し、時間の経過にともなう線量の変化を測定した。なお、光合成細菌(嫌気性の紅色非硫黄細菌)を含有した水溶液37を事前に用意した。水溶液37の全重量(100重量%)に対する光合成細菌の含有率は50%である。放射能汚染無機物破砕材19の線量を測定したところ、放射性セシウム134(Cs134)の線量が87600Bq/kg、放射性セシウム137(Cs137)の線量が413400Bq/kg、放射性セシウムの合計線量が501000Bq/kgであった。
線量がバックグラウンドのそれと同一の大鋸屑26(有機物)を15kg(投入率150%)用意し、収集した放射能汚染無機物破砕材19と大鋸屑26とを第1攪拌混合機14によって攪拌混合して25kgの放射能汚染第1混合物29を作った(第1混合工程、第1混合手段)。その放射能汚染第1混合物29を熱分解炉15(炭化炉)の加熱室32に投入し、放射能汚染第1混合物29に含まれる大鋸屑26を無酸素状態または低酸素状態において加熱室32の温度約300〜400℃で熱分解し、大鋸屑26を炭化した放射能汚染炭化物を作り、大鋸屑26を炭化した放射能汚染炭化物と放射能汚染無機物破砕材19との混合物である放射能汚染第2混合物34を作った(熱分解処理工程、熱分解処理手段)。
大鋸屑26を炭化した放射能汚染炭化物の質量は4.2kgであり、質量減少率は41.3%であった。大鋸屑26(有機物)を炭化した後の放射能汚染炭化物の大鋸屑26(有機物)の全重量(100重量%)に対する質量減少率は、30〜50%の範囲、好ましくは、35〜45%の範囲にある。なお、放射能汚染第2混合物34の質量は、14.2kgである。熱処理工程が終了した直後(自然冷却後)に放射能汚染第2混合物34の線量を測定したところ、放射性セシウム134(Cs134)の線量が143000Bq/kg、放射性セシウム137(Cs137)の線量が665900Bq/kg、放射性セシウムの合計線量が808900Bq/kgであった。
大鋸屑26(有機物)や放射能汚染無機物破砕材19には放射性セシウムが物理的吸着や化学的ファンデルワールス力によって捕捉されている。前記測定結果から、大鋸屑26の熱分解処理の過程で放射性セシウムは放射能汚染炭化物に化学的に捕捉されているものと考えられ、放射性セシウムの多くが放射能汚染炭化物や放射能汚染無機物破砕材19から飛散せずに放射能汚染第2混合物34に凝集されている。
次に、放射能汚染第2混合物34を熱分解炉15から取り出し、放射能汚染第2混合物34を第2攪拌混合機16の真空容器36に収容した後、真空容器36の開口39を気密蓋40によって気密に閉鎖した。真空容器36の開口39を気密蓋40によって閉鎖し、真空容器36の内部が真空引きされて真空状態になった後、振動モーター41が起動した。第2攪拌混合機16では、光合成細菌を含有した水溶液37がノズル38から真空容器36の内部に散布(供給)され、真空容器36が高速で振動することで、放射能汚染第2混合物34と光合成細菌を含有した水溶液37とが真空状態で攪拌・混合され、放射能汚染第2混合物34に水溶液37が均一に混合された放射能汚染第3混合物42を作った(第2混合工程、第2混合手段)。
放射能汚染第2混合物34の全重量(14.2kg)に対する光合成細菌を含有した水溶液37の供給量は2.5リットルであり、放射能汚染第2混合物34の全重量に対する水溶液24の供給率は17.6%であった。第2混合工程が終了した直後に放射能汚染第3混合物42の線量を測定したところ、放射性セシウム134(Cs134)の線量が123800Bq/kg、放射性セシウム137(Cs137)の線量が579100Bq/kg、放射性セシウムの合計線量が702900Bq/kgであった。
第2攪拌混合機16によって放射能汚染第3混合物42を作った後、放射能汚染第3混合物42を攪拌混合機16の真空容器36から取り出し、攪拌混合機16から取り出された放射能汚染第3混合物42を真空包装袋43の収容空間48に収容し、その真空包装袋43を真空包装機17に設置した。真空包装機17を起動させ、放射能汚染第3混合物42を真空包装袋43の収容空間48に真空状態で密封した(真空密封工程、真空密封手段)。
放射能汚染第3混合物42を真空包装袋43に真空状態で密封した後、その真空包装袋43を除染施設11の保管室13に搬送し、真空包装袋43を収容ラック51の載置部52に載置し、そのまま保管した(保管工程、保管手段)。真空包装袋43の保管中では、保管室13の室温約25℃に保持し、収容ラック51の上方設置部53と下方設置部54とに設置されたLED照明18から真空包装袋43に向かって光を照射した(光照射工程、光照射手段)。昼夜(日中および日没)を問わず24時間連続してLED照明18を発光させ、LED照明18の光を真空包装袋43に連続して照射した。
真空包装袋43を収容ラック51の載置部52に載置してから35日経過後、65日経過後、120日経過後、150日経過後、180日経過後の放射能汚染第3混合物42の線量をそれぞれ測定した。なお、室温は約25℃に保持しつつ、LED照明17は連続して起動させた。真空包装袋27を収容ラック43に載置してから35日経過した後に測定した放射能汚染第3混合物42の線量は、放射性セシウム134(Cs134)の線量が115000Bq/kg、放射性セシウム137(Cs137)の線量が504900Bq/kg、放射性セシウムの合計線量が619900Bq/kgであった。真空包装袋43を収容ラック51に載置してから65日経過した後に測定した放射能汚染第3混合物42の線量は、放射性セシウム134(Cs134)の線量が100300Bq/kg、放射性セシウム137(Cs137)の線量が403400Bq/kg、放射性セシウムの合計線量が503700Bq/kgであった。
真空包装袋43を収容ラック51に載置してから120日経過した後に測定した放射能汚染第3混合物42の線量は、放射性セシウム134(Cs134)の線量が86000Bq/kg、放射性セシウム137(Cs137)の線量が194400Bq/kg、放射性セシウムの合計線量が280400Bq/kgであった。真空包装袋43を収容ラック51に載置してから150日経過した後に測定した放射能汚染第3混合物42の線量は、放射性セシウム134(Cs134)の線量が42700Bq/kg、放射性セシウム137(Cs137)の線量が116400Bq/kg、放射性セシウムの合計線量が159100Bq/kgであった。
真空包装袋43を収容ラック51に載置してから180日経過後に測定した放射能汚染第3混合物42の線量は、放射性セシウム134(Cs134)の線量が26700Bq/kg、放射性セシウム137(Cs137)の線量が56400Bq/kg、放射性セシウムの合計線量が83100Bq/kgであった。このように、熱処理工程後の放射能汚染第2混合物34の合計線量が808900Bq/kgであったのに対し、180日経過した後の放射能汚染第3混合物42の合計線量が83100Bq/kgにまで下がっている。したがって、放射能汚染第3混合物42に含まれる放射能汚染無機物破砕材19に放射性セシウムが残存するものの、放射性セシウムを付着(遷移)させた大鋸屑26(有機物)を炭化した後の放射能汚染炭化物の線量を低下させることで、放射能汚染第3混合物42の線量を下げることができた。
なお、放射能汚染第3混合物42のバリウム(Ba)の分析結果は、6520ppmであった。このバリウムの値は、天然土壌でのバリウムの値(340〜500ppm)の約13倍以上であった。無機物線量低減方法(無機物線量低減システム10A)では、紅色非硫黄細菌が放射性セシウム134や放射性セシウム137を体内に取り込み、放射性セシウム134および放射性セシウム137を核種変換してバリウムに遷移させることで線量を低減させるものと解釈することができる。
無機物線量低減方法(無機物線量低減システム10A)は、放射性セシウム(放射性物質)に汚染されていない大鋸屑26(有機物)を放射能汚染無機物破砕材19(放射能汚染無機物)に加えて放射能汚染無機物破砕材19に付着した放射性セシウムを大鋸屑26に付着(遷移)させ、放射性セシウムが付着した放射能汚染大鋸屑26(放射能汚染有機物)と放射能汚染無機物破砕材19との放射能汚染第1混合物29を作り、放射能汚染第1混合物29に熱分解処理を施して放射能汚染第1混合物29に含まれる放射能汚染大鋸屑26を炭化し、放射能汚染大鋸屑26を炭化した放射能汚染炭化物と放射能汚染無機物破砕材19との放射能汚染第2混合物34を作り、放射能汚染第2混合物34に所定の光合成細菌を含有する水溶液37を供給しつつ放射能汚染第2混合物34と水溶液37とを混合して放射能汚染第3混合物42を作るとともに、放射能汚染第3混合物42を略真空状態で密封した真空包装袋43(包装容器)を180日保管(所定期間)しつつ、LED照明17(LED光源)の光を真空包装袋27に連続して照射することで、真空包装袋43を保管する間に光合成細菌の線量低減機能を利用して放射能汚染第3混合物42を除染することができ、放射能汚染第3混合物42を除染することでそれに含まれる放射能汚染無機物破砕材19(放射能汚染無機物)の線量を確実に低減させることができる。
無機物線量低減方法(無機物線量低減システム10A)は、放射能汚染第1混合物29に熱処理を施して放射能汚染大鋸屑26(放射能汚染有機物)を炭化することで、放射能汚染大鋸屑26の体積を減少(減容)させた放射能汚染炭化物と放射能汚染無機物破砕材19(放射能汚染無機物)との放射能汚染第2混合物34を作り、放射能汚染第2混合物34と水溶液37とを混合した放射能汚染第3混合物42を収容した真空包装袋43(包装容器)を180日の間保管するだけであるから、除染作業に時間と手間とを要せず、除染作業を効率的に行うことができる。
図14は、他の一例として示す無機物線量低減システム10Bのシステム構成図であり、図15は、無機物線量低減システム10Bにおいて行われる処理フローの一例を示すフローチャートである。無機物線量低減システム10Bは、機械室12と保管室13とを有する除染施設11(建造物)の室内に設置されている。無機物線量低減システム10Bは、線量低減システム10Aと同様に、機械室12に設置された第1攪拌混合機14、機械室12に設置された熱分解炉15(炭化炉)、機械室12に設置された第2攪拌混合機16、機械室12に設置された真空包装機17、保管室13に設置されたLED照明18(LED光源)とから形成されている。保管室13の側壁には、透明なガラス窓が施設され、保管室13の天井は、透明なガラス板や透明なプラスチック板(合成樹脂板)が嵌め込まれている。保管室13では、日中においてガラス窓や天井から太陽光が室内に照射される。
第1攪拌混合機14や熱分解炉15や第2攪拌混合機16、真空包装機17は、無機物線量低減システム10Aのそれらと同一である。保管室13には、キャスターを有する複数台の収容カゴ55が配置されている。放射能汚染第3混合物42を真空状態で密封した真空包装袋43(包装容器)は、収容カゴ55に収容されている。LED照明18(LED光源)は、前後方向へ長い直管型であり、複数のそれらが保管室13の天井に取り付けられている。それらLED照明18は、太陽光スペクトルとほぼ同様のスペクトル分布を有する光を収容カゴ55に照射する。
無機物線量低減方法(無機物線量低減システム10B)は、第1混合工程(第1混合手段)、熱分解処理工程(熱分解処理手段)、第2混合工程(第2混合手段)、真空密封工程(真空密封手段)、保管工程(保管手段)、光照射工程(光照射手段)の各工程(各手段)を実施することで、放射性セシウム134(放射性物質)や放射性セシウム137(放射性物質)が付着した放射能汚染土壌無機物や放射能汚染無機物建材(放射能汚染無機物)の線量を低減させる。
無機物線量低減方法(無機物線量低減システム10B)では、放射性セシウム134や放射性セシウム137に汚染された放射能汚染無機物建材(放射能汚染無機物)が各地において回収され、放射能汚染無機物建材や放射能汚染無機物破砕材19が輸送車両によって除染施設11に搬送され(S−1)、各地から回収された放射能汚染無機物建材や放射能汚染無機物破砕材19が貯蔵タンクに一時的に貯蔵される。それら放射能汚染無機物建材は、回収地または除染施設において重機や破砕機、粉砕機等によって細かく砕かれて放射能汚染無機物破砕材19に加工される(S−2)。
放射性セシウム134や放射性セシウム137、他の放射性物質が付着していない大鋸屑26と放射性セシウム134や放射性セシウム137が付着した放射能汚染無機物破砕材19とを第1攪拌混合機14の攪拌混合槽27に投入し、放射能汚染無機物破砕材19に大鋸屑26を加えてそれらを第1攪拌混合機14の攪拌混合槽27で攪拌・混合することで、放射能汚染無機物破砕材19に付着した放射性セシウム134や放射性セシウム137を大鋸屑26に付着(遷移)させる。第1攪拌混合機14では、放射性セシウム134や放射性セシウム137が付着した放射能汚染大鋸屑26(放射能汚染有機物)と放射能汚染無機物破砕材19とを混合した放射能汚染第1混合物26が作られる(第1混合工程、第1混合手段)(S−3)。放射能汚染無機物破砕材19(放射能汚染無機物)の全重量(100重量%)に対する大鋸屑26(有機物)の投入率(投入割合)は、無機物線量低減システム10Aのそれと同一である。
次に、放射能汚染第1混合物29が熱分解炉15の加熱室32に投入され、放射能汚染第1混合物29に含まれる放射能汚染大鋸屑26が熱分解炉15において乾留ガス(分解ガス)、水、放射能汚染炭化物に熱分解・減容され、放射能汚染大鋸屑26から放射能汚染炭化物が作られ、その放射能汚染炭化物と放射能汚染無機物破砕材19との混合物である放射能汚染第2混合物34が作られる(熱分解処理工程、熱分解処理手段)(S−4)。
放射能汚染第2混合物34が第2攪拌混合機16に収容され、攪拌混合機16の真空容器36の振動によって放射能汚染第2混合物34と光合成細菌を含有した水溶液37とが真空状態で攪拌・混合される(第2混合工程、第2混合手段)(S−5)。第2攪拌混合機16によって放射能汚染第2混合物34に水溶液37が均一に混合され、放射能汚染第2混合物34に水溶液37が満遍なく混合された放射能汚染第3混合物42が作られる。光合成細菌を含有した水溶液37の全重量に対する光合成細菌の含有率や放射能汚染第2混合物34の全重量に対する光合成細菌を含有した水溶液37の供給率は、無機物線量低減システム10Aのそれらと同一である。
第2攪拌混合機16から取り出された放射能汚染第3混合物42が真空包装袋43の収容空間48に収容され、放射能汚染第3混合物42を収容した真空包装袋43が真空包装機17によって真空引きされ、放射能汚染第3混合物42が真空包装袋43の収容空間48(内部)に真空状態で密封される(真空密封工程、真空密封手段)(S−6)。放射能汚染第3混合物42を真空状態で密封したそれら真空包装袋43が収容カゴ55に収容され、収容カゴ55において所定期間保管される(保管工程、保管手段)(S−7)。保管室13における温度や保管日数は、無機物線量低減システム10Aのそれらと同一である。
日照時間内(日中)では、LED照明18(LED光源)を停止(消灯)させ、保管室13の側壁のガラス窓や天井のカラス板またはプラスチック板から太陽光を取り入れ、太陽光を収容カゴ55に収容された真空包装袋43に照射する(光照射工程)(光照射手段)(S−8)。太陽光は、真空包装袋43を透過して放射能汚染第3混合物42に照射される。日照時間外(日没後)では、保管室13の天井に取り付けられたLED照明18を起動(点灯)させ、収容カゴ55に収容された真空包装袋43にLED照明から光を照射する(光照射工程)(光照射手段)(S−6)。LED照明18からの光は、真空包装袋43を透過して放射能汚染第3混合物42に照射される。
無機物線量低減方法(無機物線量低減システム10B)は、日照時間内(日中)において太陽光を真空包装袋43(包装容器)に向かって照射するとともに、日照時間外(日没)において太陽光スペクトルとほぼ同様のスペクトル分布を有する光をLED照明18(LED光源)から真空包装袋43(包装容器)に向かって照射することで、太陽光やLED照明18の光が真空包装袋43から放射能汚染第3混合物42に照射され、太陽光や太陽光スペクトルとほぼ同様のスペクトル分布を有する光によって放射能汚染第3混合物42に含まれる光合成細菌を十分に活性化させることができ、活性化した光合成細菌の線量低減機能を利用して放射能汚染第3混合物42(放射能汚染炭化物)の線量を確実に低減させることができる。
無機物線量低減方法(無機物線量低減システム10B)は、光合成細菌(嫌気性の紅色硫黄細菌、嫌気性の紅色非硫黄細菌、嫌気性の緑色紅色硫黄細菌のうちの少なくとも1つ、好ましくは、紅色非硫黄細菌)が嫌気性であり、放射能汚染第3混合物42を真空包装袋43の収容空48に略真空状態で密封することで光合成細菌を活性化させることができるから、活性化した光合成細菌の線量低減機能を利用して放射能汚染第3混合物42(放射能汚染炭化物)の線量を確実に低減させることができる。
無機物線量低減方法(無機物線量低減システム10B)は、放射能汚染第3混合物42を真空状態で真空包装袋43(包装容器)に密封することで、真空包装袋43からの放射能汚染第3混合物42の不用意な飛散を防ぐことができ、放射能汚染第3混合物42が飛散することによる除染施設11(機械室12および保管室13)の汚染を防ぐことができる。無機物線量低減方法(無機物線量低減システム10B)は、日照時間内において太陽光を利用するから、日照時間内にLED照明18を停止(消灯)させることができ、LED照明18において消費される電力を節約することができ、無機物線量低減方法(無機物線量低減システム10B)における省エネ化を図ることができる。
図16は、線量測定の結果の他の一例を示す図であり、図17は、線量変化の他の一例を時系列で示すグラフである。原子力発電所の事故によって放射性セシウム134(Cs134)および放射性セシウム137(Cs137)によって汚染された地域から10kgの放射能汚染無機物建材(放射能汚染無機物)を収集(回収)し、その放射能汚染無機物建材を重機や破砕機、粉砕機等によって所定の大きさの放射能汚染無機物破砕材19(大きさ、各辺の長さが10〜60mm程度)に加工(破砕)した。
無機物線量低減システム10B(無機物線量低減方法)によって第1混合工程(第1混合手段)、熱分解処理工程(熱分解処理手段)、第2混合工程(第2混合手段)、真空密封工程(真空密封手段)、保管工程(保管手段)、光照射工程(光照射手段)を実施し、時間の経過にともなう線量の変化を測定した。なお、光合成細菌(嫌気性の紅色非硫黄細菌)を含有した水溶液37を事前に用意した。水溶液37の全重量(100重量%)に対する光合成細菌の含有率は50%である。放射能汚染無機物破砕材19の放射性セシウム134(Cs134)の線量や放射性セシウム137(Cs137)の線量、放射性セシウムの合計線量は、無機物線量低減システム10Aにおいて測定したそれらと同一であった。
線量がバックグラウンドのそれと同一の大鋸屑26(有機物)を15kg(投入率150%)用意し、収集した放射能汚染無機物破砕材19と大鋸屑26とを第1攪拌混合機14によって攪拌・混合して25kgの放射能汚染第1混合物29を作った(第1混合工程、第1混合手段)。その放射能汚染第1混合物29を熱分解炉15(炭化炉)の加熱室32に投入し、放射能汚染第1混合物29に含まれる大鋸屑26を無酸素状態または低酸素状態において加熱室32の温度約300〜400℃で熱分解し、大鋸屑26を炭化した放射能汚染炭化物を作り、大鋸屑26を炭化した放射能汚染炭化物と放射能汚染無機物破砕材19との混合物である放射能汚染第2混合物34を作った(熱分解処理工程、熱分解処理手段)。大鋸屑26を炭化した放射能汚染炭化物の質量は4.2kgであり、質量減少率は41.3%であった。放射能汚染第2混合物34の質量は、14.2kgである。熱処理工程が終了した直後(自然冷却後)に測定した放射能汚染第2混合物34の線量は、無機物線量低減システム10Aにおいて熱分解処理後(炭化後)に測定したそれらと同一であった。
システム10Aと同様に、放射能汚染第2混合物34を熱分解炉15から取り出し、放射能汚染第2混合物34を第2攪拌混合機16の真空容器36に収容した後、真空容器36の開口39を気密蓋40によって気密に閉鎖した。真空容器36の開口39を気密蓋40によって閉鎖し、真空容器36の内部が真空引きされて真空状態になった後、振動モーター41が起動した。第2攪拌混合機16では、光合成細菌を含有した水溶液37がノズル38から真空容器36の内部に散布(供給)され、真空容器36が高速で振動することで、放射能汚染第2混合物34と光合成細菌を含有した水溶液37とが真空状態で攪拌混合され、放射能汚染第2混合物34に水溶液37が均一に混合された放射能汚染第3混合物42を作った(第2混合工程、第2混合手段)。
放射能汚染第2混合物34の全重量(14.2kg)に対する光合成細菌を含有した水溶液37の供給量は2.5リットルであり、放射能汚染第2混合物34の全重量に対する水溶液24の供給率は17.6%であった。第2混合工程が終了した直後に測定した放射能汚染炭化混合物26の放射性セシウム134(Cs134)の線量や放射性セシウム137(Cs137)の線量、放射性セシウムの合計線量は、無機物線量低減システム10Aにおいて第2混合工程が終了した直後に測定したそれらと同一であった。
システム10Aと同様に、第2攪拌混合機16によって放射能汚染第3混合物42を作った後、放射能汚染第3混合物42を攪拌混合機16の真空容器36から取り出し、攪拌混合機16から取り出された放射能汚染第3混合物42を真空包装袋43の収容空間48に収容し、その真空包装袋43を真空包装機17に設置した。真空包装機17を起動させ、放射能汚染第3混合物42を真空包装袋43の収容空間48に真空状態で密封した(真空密封工程、真空密封手段)。
放射能汚染第3混合物42を真空包装袋43に真空状態で密封した後、その真空包装袋43を除染施設11の保管室13に搬送し、真空包装袋43を収容カゴ55に収容し、そのまま保管した(保管工程)(保管手段)。真空包装袋43の保管中では、保管室13の室温25℃に保持した。真空包装袋43の保管中において日照時間内(日中)は、LED照明18(LED光源)を停止(消灯)させ、保管室13の側壁のガラス窓や天井のカラス板またはプラスチック板から太陽光を取り入れ、太陽光を収容カゴ55に収容された真空包装袋43に照射した(光照射工程)(光照射手段)(S−8)。真空包装袋43の保管中において日照時間外(日没後)は、保管室13の天井に取り付けられたLED照明18を起動(点灯)し、収容カゴ55に収容された真空包装袋43にLED照明18から光を連続して照射した(光照射工程)(光照射手段)(S−8)。
真空包装袋43を収容カゴ55に収容してから35日経過後、65日経過後、120日経過後、150日経過後、180日経過後、200日経過後の放射能汚染第3混合物42の線量をそれぞれ測定した。なお、室温は25℃、LED照明18は日没から日の出まで連続して起動させた。真空包装袋43を収容カゴ55に収容してから35日経過した後に測定した放射能汚染第3混合物42の線量は、放射性セシウム134(Cs134)の線量が126000Bq/kg、放射性セシウム137(Cs137)の線量が517000q/kg、放射性セシウムの合計線量が643000Bq/kgであった。真空包装袋43を収容カゴ55に収容してから65日経過した後に測定した放射能汚染第3混合物42の線量は、放射性セシウム134(Cs134)の線量が101600Bq/kg、放射性セシウム137(Cs137)の線量が452500Bq/kg、放射性セシウムの合計線量が554100Bq/kgであった。
真空包装袋43を収容カゴ55に収容してから120日経過後に測定した放射能汚染第3混合物42の線量は、放射性セシウム134(Cs134)の線量が87200Bq/kg、放射性セシウム137(Cs137)の線量が220800Bq/kg、放射性セシウムの合計線量が308000Bq/kgであった。真空包装袋43を収容カゴ55に収容してから150日経過した後に測定した放射能汚染第3混合物42の線量は、放射性セシウム134(Cs134)の線量が51100Bq/kg、放射性セシウム137(Cs137)の線量が145200Bq/kg、放射性セシウムの合計線量が196300Bq/kgであった。
真空包装袋43を収容カゴ55に収容してから180日経過した後に測定した放射能汚染第3混合物42の線量は、放射性セシウム134(Cs134)の線量が39200Bq/kg、放射性セシウム137(Cs137)の線量が68000Bq/kg、放射性セシウムの合計線量が107200Bq/kgであった。真空包装袋43を収容カゴ55に収容してから200日経過した後に測定した放射能汚染第3混合物42の線量は、放射性セシウム134(Cs134)の線量が26700Bq/kg、放射性セシウム137(Cs137)の線量が47900Bq/kg、放射性セシウムの合計線量が74600Bq/kgであった。このように、熱処理工程後の放射能汚染第2混合物34の合計線量が808900Bq/kgであったのに対し、200日経過した後の放射能汚染第3混合物42の合計線量が74600Bq/kgにまで下がっている。したがって、放射能汚染第3混合物42に含まれる放射能汚染無機物破砕材19に放射性セシウムが残存するものの、放射性セシウムを付着(遷移)させた大鋸屑26(有機物)を炭化した後の放射能汚染炭化物の線量を低下させることで、放射能汚染第3混合物42の線量を下げることができた。
なお、放射能汚染第3混合物42のバリウム(Ba)の分析結果は、6950ppmであった。このバリウムの値は、天然土壌でのバリウムの値(340〜500ppm)の約14倍以上であった。無機物線量低減方法(無機物線量低減システム10B)では、紅色非硫黄細菌が放射性セシウム134や放射性セシウム137を体内に取り込み、放射性セシウム134および放射性セシウム137を核種変換してバリウムに遷移させることで線量を低減させるものと解釈することができる。
無機物線量低減方法(無機物線量低減システム10B)は、放射性セシウム(放射性物質)に汚染されていない大鋸屑26(有機物)を放射能汚染無機物破砕材19(放射能汚染無機物)に加えて放射能汚染無機物破砕材19に付着した放射性セシウムを大鋸屑26に付着(遷移)させ、放射性セシウムが付着した放射能汚染大鋸屑26(放射能汚染有機物)と放射能汚染無機物破砕材19との放射能汚染第1混合物29を作り、放射能汚染第1混合物29に熱分解処理を施して放射能汚染第1混合物29に含まれる放射能汚染大鋸屑26を炭化し、放射能汚染大鋸屑26を炭化した放射能汚染炭化物と放射能汚染無機物破砕材19との放射能汚染第2混合物34を作り、放射能汚染第2混合物34に所定の光合成細菌を含有する水溶液37を供給しつつ放射能汚染第2混合物34と水溶液37とを混合して放射能汚染第3混合物42を作るとともに、放射能汚染第3混合物42を略真空状態で密封した真空包装袋43(包装容器)を200日保管(所定期間)しつつ、日中に太陽光を真空包装袋43に照射し、日没後にLED照明18(LED光源)の光を真空包装袋43に照射することで、真空包装袋43を保管する間に光合成細菌の線量低減機能を利用して放射能汚染第3混合物42を除染することができ、放射能汚染第3混合物42を除染することでそれに含まれる放射能汚染無機物破砕材19(放射能汚染無機物)の線量を確実に低減させることができる。
無機物線量低減方法(無機物線量低減システム10B)は、放射能汚染第1混合物29に熱処理を施して放射能汚染大鋸屑26(放射能汚染有機物)を炭化することで、放射能汚染大鋸屑26の体積を減少(減容)させた放射能汚染炭化物と放射能汚染無機物破砕材19(放射能汚染無機物)との放射能汚染第2混合物34を作り、放射能汚染第2混合物34と水溶液37とを混合した放射能汚染第3混合物42を収容した真空包装袋43(包装容器)を200日の間保管するだけであるから、除染作業に時間と手間とを要せず、除染作業を効率的に行うことができる。
10A 無機物線量低減システム
10B 無機物線量低減システム
11 除染施設(建造物)
12 機械室
13 保管室
14 第1攪拌混合機
15 熱分解炉(炭化炉)
16 第2攪拌混合機
17 真空包装機
18 LED照明(LED光源)
19 放射能汚染無機物破砕材
20 排気口
21 空調機
22 給気口
23 排気ファン
24 フィルタ
25 フィルタ
26 大鋸屑(有機物)
27 攪拌混合槽
28 モーター
29 放射能汚染第1混合物
30 灯油バーナー
31 燃焼室
32 加熱室
33 活性炭吸着装置
34 放射能汚染第2混合物
36 真空容器
37 水溶液
38 ノズル(噴霧ノズル)
39 開口(投入口)
40 気密蓋
41 振動モーター
42 放射能汚染第3混合物
43 真空包装袋(包装容器)
44 合成樹脂フィルム
45 上端部
46 下端部
47 両側縁部
48 収容空間
49 頂部開口
50 真空ボックス
51 収容ラック
52 載置部
53 上方設置部
54 下方設置部
55 収容カゴ
10B 無機物線量低減システム
11 除染施設(建造物)
12 機械室
13 保管室
14 第1攪拌混合機
15 熱分解炉(炭化炉)
16 第2攪拌混合機
17 真空包装機
18 LED照明(LED光源)
19 放射能汚染無機物破砕材
20 排気口
21 空調機
22 給気口
23 排気ファン
24 フィルタ
25 フィルタ
26 大鋸屑(有機物)
27 攪拌混合槽
28 モーター
29 放射能汚染第1混合物
30 灯油バーナー
31 燃焼室
32 加熱室
33 活性炭吸着装置
34 放射能汚染第2混合物
36 真空容器
37 水溶液
38 ノズル(噴霧ノズル)
39 開口(投入口)
40 気密蓋
41 振動モーター
42 放射能汚染第3混合物
43 真空包装袋(包装容器)
44 合成樹脂フィルム
45 上端部
46 下端部
47 両側縁部
48 収容空間
49 頂部開口
50 真空ボックス
51 収容ラック
52 載置部
53 上方設置部
54 下方設置部
55 収容カゴ
Claims (13)
- 放射性物質が付着した放射能汚染無機物の線量を低減させる無機物線量低減方法において、
前記無機物線量低減方法が、前記放射性物質に汚染されていない有機物を前記放射能汚染無機物に加えて該有機物と該放射能汚染無機物とを混合し、前記放射能汚染無機物に付着した放射性物質を前記有機物に付着させ、前記放射性物質が付着した放射能汚染有機物と前記放射能汚染無機物との放射能汚染第1混合物を作る第1混合工程と、前記第1混合工程によって作られた放射能汚染第1混合物に熱分解処理を施して該放射能汚染第1混合物に含まれる前記放射能汚染有機物を炭化し、該放射能汚染有機物を炭化した放射能汚染炭化物と前記放射能汚染無機物との放射能汚染第2混合物を作る熱分解処理工程と、前記熱分解処理工程によって作られた放射能汚染第2混合物に所定の光合成細菌を含有する水溶液を供給しつつ該放射能汚染第2混合物と該水溶液とを混合し、該放射能汚染第2混合物と該水溶液との放射能汚染第3混合物を作る第2混合工程と、前記第2混合工程によって作られた放射能汚染第3混合物を包装容器に収容しつつ、前記包装容器内の空気を吸引して前記放射能汚染第3混合物を該包装容器内に略真空状態で密封する真空密封工程と、前記真空密封工程によって放射能汚染第3混合物を略真空状態で密封した包装容器を所定期間保管する保管工程とを有することを特徴とする無機物線量低減方法。 - 前記有機物が、所定量の大鋸屑、所定量のおから、所定量の籾殻、大きさが略同一の所定量のウッドチップ、大きさが略同一の所定量の木質ペレット、藁を粉砕した所定量の粉砕藁、古紙を粉砕した大きさが略同一の所定量の粉砕紙のうちの少なくとも1つであり、前記第1混合工程では、前記大鋸屑、前記おから、前記籾殻、前記ウッドチップ、前記木質ペレット、前記粉砕藁、前記粉砕紙のうちの少なくとも1つと前記放射能汚染無機物とを混合して放射能汚染第1混合物を作り、前記熱分解処理工程では、前記放射性物質が付着した前記大鋸屑、前記放射性物質が付着した前記おから、前記放射性物質が付着した前記籾殻、前記放射性物質が付着した前記ウッドチップ、前記放射性物質が付着した前記木質ペレット、前記放射性物質が付着した前記粉砕藁、前記放射性物質が付着した前記粉砕紙のうちの少なくとも1つを熱分解炉を利用して炭化し、前記放射能汚染炭化物と前記放射能汚染無機物との放射能汚染第2混合物を作る請求項1に記載の無機物線量低減方法。
- 前記放射能汚染無機物が、前記放射性物質が付着した放射能汚染土壌無機物と、前記放射性物質が付着した放射能汚染無機物建材を所定の大きさに破砕した放射能汚染無機物破砕材と、前記放射性物質が付着した放射能汚染エアーフィルタとのうちの少なくとも一方である請求項1または請求項2に記載の無機物線量低減方法。
- 前記第2混合工程では、略真空状態に保持した状態で前記水溶液を前記放射能汚染第2混合物に満遍なく供給するとともに、略真空状態に保持しつつ前記放射能汚染第2混合物と前記水溶液とを攪拌混合する請求項1ないし請求項3いずれかに記載の無機物線量低減方法。
- 前記無機物線量低減方法が、前記保管工程によって保管された包装容器に所定の光源から光を照射する光照射工程を含む請求項1ないし請求項4いずれかに記載の無機物線量低減方法。
- 前記保管工程では、前記包装容器を23〜30℃の温度で約180〜200日間保管し、前記光照射工程では、前記保管工程における前記包装容器の保管期間の間に該包装容器に前記光源から光を連続して照射する請求項5に記載の無機物線量低減方法。
- 前記光照射工程では、日照時間内において前記保管工程によって保管された包装容器に前記太陽光を照射し、日照時間外において前記保管工程によって保管された包装容器に前記光源から光を照射する請求項4または請求項5に記載の無機物線量低減方法。
- 前記包装容器が、透明な合成樹脂フィルムから作られた真空包装袋であり、前記光照射工程では、前記真空包装袋に向かって光を照射する請求項4ないし請求項7いずれかに記載の無機物線量低減方法。
- 前記光源が、太陽光スペクトルとほぼ同様のスペクトル分布を有する光を照射するLED光源であり、前記光照射工程では、前記LED光源から前記真空包装袋の表面の略全域に向かって光を満遍なく照射する請求項8に記載の無機物線量低減方法。
- 前記保管工程では、複数の前記真空包装袋を負圧に保持された所定容積の保管室に保管しつつ、該保管室から室外に排気する空気を放射性物質を捕集するフィルタに通流させる請求項8または請求項9に記載の無機物線量低減方法。
- 前記水溶液の全重量に対する光合成細菌の含有率が、40〜60%であり、前記放射能汚染第2混合物の全重量に対する水溶液の供給率が、17〜20%である請求項1ないし請求項10いずれかに記載の無機物線量低減方法。
- 前記光合成細菌が、嫌気性の紅色硫黄細菌、嫌気性の紅色非硫黄細菌、嫌気性の緑色紅色硫黄細菌のうちの少なくとも1つである請求項1ないし請求項11いずれかに記載の無機物線量低減方法。
- 前記放射性物質が、放射性セシウム134および放射性セシウム137であり、前記無機物線量低減方法では、前記光合成細菌によって前記放射性セシウム134および放射性セシウム137が核種変換されてバリウムに遷移することで前記放射能汚染第3混合物の線量が低減する請求項1ないし請求項12いずれかに記載の無機物線量低減方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2016239315A JP2018096745A (ja) | 2016-12-09 | 2016-12-09 | 無機物線量低減方法 |
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JP2016239315A Pending JP2018096745A (ja) | 2016-12-09 | 2016-12-09 | 無機物線量低減方法 |
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