JP2018096732A - 逆相クロマトグラフィー用カラムの製造方法 - Google Patents

逆相クロマトグラフィー用カラムの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】逆相クロマトグラフィーにおける塩基性化合物の分析の再現性を向上する逆相クロマトグラフィー用カラムの製造方法を提供する。【解決手段】水と任意の比率で混合できる有機溶媒の水との混合比率が容量比で25%〜60%である水溶液を移動相として用い、塩基性化合物を分析する逆相クロマトグラフィー用カラムの製造方法であって、前記有機溶媒の水との混合比率が容量比で3%〜20%である水溶液からなるカラム封入液を、炭化水素鎖結合型の充填剤が充填された逆相クロマトグラフィー用カラムに、そのカラム容量の2.0倍以上通液した後、前記逆相クロマトグラフィー用カラムに前記カラム封入液を封入する逆相クロマトグラフィー用カラムの製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、逆相クロマトグラフィー用カラムの製造方法に関する。
医薬品、食品、化粧品等の有効成分もしくは不純物の同定または定量を行う方法としては、液体クロマトグラフィー法が用いられている。例えば、分子量が2000以下の有機化合物を分析する場合、それらの有機化合物の多くは、アセトニトリルやメタノール等の水と任意の比率で混合できる有機溶媒に可溶である。そのため、逆相クロマトグラフィー用充填剤が充填された逆相クロマトグラフィー用カラムを用いて、前記の有機化合物を分析する逆相クロマトグラフィー法が広く用いられている。逆相クロマトグラフィー用カラムの中でも、オクタデシル基導入シリカゲル(ODS)に代表される炭化水素鎖結合型のシリカゲル系充填剤が充填されたものが最も一般的な標準カラムとして広く市販されている。
炭化水素鎖結合型のシリカゲル系充填剤を用いた逆相クロマトグラフィーでは、クロマトグラムにおける塩基性化合物のピーク形状が悪化したり、分析の再現性が低下したりすることが問題となっている。クロマトグラムにおけるピーク形状の悪化や、分析の再現性の低下が生じる原因としては、炭化水素鎖結合型のシリカゲル系充填剤中に残存する未反応のシラノール基と塩基性化合物との相互作用が挙げられる。そのため、炭化水素鎖結合型のシリカゲル系充填剤の製造過程において、未反応のシラノール基量を低減させるために、シリカゲル系充填剤への炭化水素鎖導入後、トリメチルクロロシラン等を用いた2次シリル化反応により、未反応のシラノール基量を低減させるエンドキャッピング処理が行われている。エンドキャッピング処理の反応条件については、多く提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、エンドキャッピング処理を行った炭化水素鎖結合型のシリカゲル系充填剤を用いた逆相クロマトグラフィーにおいても、分析を繰り返し行うと、分析性能が低下することがあった。特に、分析条件で一般的に用いられる、メタノールまたはアセトニトリルの混合比率が25体積%〜60体積%である水溶液を移動相として用いた場合、カラムの使用初期に、クロマトグラムにおける塩基性化合物のピーク形状や、分析の再現性が徐々に悪化することがあった。
また、このような現象が生じると、クロマトグラムにおける塩基性化合物のピーク形状を回復させることが難しかった。
このような塩基性化合物のピーク形状や、分析の再現性の悪化を抑制するために、さらに改良されたエンドキャッピング処理を行った親水性型ODS充填剤も提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、親水性型ODS充填剤を製造するためには、非常に高温でエンドキャッピング処理を行わなければならず、製造工程が複雑となるという課題があった。また、親水性型ODS充填剤が充填されたカラムを用いても、塩基性化合物のピーク形状や、分析の再現性の悪化を完全に解消することは難しかった。また、塩基性化合物は、医薬品、食品、化粧品等に多く含まれているため、特に高い分析精度が要求されるこれらの製品開発、品質試験等の分野では、塩基性化合物の分析の再現性が大きな課題となっていた。
特開平6−174708号公報 特開2002−22721号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、逆相クロマトグラフィーにおける塩基性化合物の分析の再現性を向上する逆相クロマトグラフィー用カラムの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、水と任意の比率で混合できる有機溶媒の水との混合比率が容量比で25%〜60%である水溶液を移動相として用いる逆相クロマトグラフィー用カラムの製造方法において、その有機溶媒の水との混合比率が容量比で3%〜20%である第2の水溶液を、炭化水素鎖結合型の充填剤が充填された逆相クロマトグラフィー用カラムに、そのカラム容量の2.0倍以上通液した後、逆相クロマトグラフィー用カラムに第2の水溶液を封入することにより、逆相クロマトグラフィーにおける塩基性化合物の分析の再現性が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は次の事項に関する。
[1]水と任意の比率で混合できる有機溶媒の水との混合比率が容量比で25%〜60%である水溶液を移動相として用い、塩基性化合物を分析する逆相クロマトグラフィー用カラムの製造方法であって、前記有機溶媒の水との混合比率が容量比で3%〜20%である水溶液からなるカラム封入液を、炭化水素鎖結合型の充填剤が充填された逆相クロマトグラフィー用カラムに、そのカラム容量の2.0倍以上通液した後、前記逆相クロマトグラフィー用カラムに前記カラム封入液を封入する逆相クロマトグラフィー用カラムの製造方法。
[2]前記炭化水素鎖結合型の充填剤が、オクタデシル基結合シリカゲル、オクチル基結合シリカゲル、ブチル基結合シリカゲル、トリアコンチル基結合シリカゲルおよびフェニル基結合シリカゲルからなる群から選択される少なくとも1種である[1]に記載の逆相クロマトグラフィー用カラムの製造方法。
[3]前記有機溶媒が、アルコール類またはアセトニトリルである[1]または[2]に記載の逆相クロマトグラフィー用カラムの製造方法。
本発明によれば、逆相クロマトグラフィーにおける塩基性化合物の分析の再現性を向上する逆相クロマトグラフィー用カラムの製造方法を提供することができる。
実施例1における測定1回目と4回目のピリジンのクロマトグラムである。 (a)、(b)は炭化水素鎖の寝込み現象を説明する模式図である。
以下、本発明を適用した逆相クロマトグラフィー用カラムの製造方法の実施の形態について説明する。
なお、本実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
[逆相クロマトグラフィー用カラムの製造方法]
本発明の逆相クロマトグラフィー用カラムの製造方法は、水と任意の比率で混合できる有機溶媒の水との混合比率が容量比で25%〜60%である水溶液を移動相として用い、塩基性化合物を分析する逆相クロマトグラフィー用カラムの製造方法であって、その有機溶媒の水との混合比率が容量比で3%〜20%である水溶液からなるカラム封入液を、炭化水素鎖結合型の充填剤が充填された逆相クロマトグラフィー用カラムに、そのカラム容量の2.0倍以上通液した後、逆相クロマトグラフィー用カラムにカラム封入液を封入する。
本発明における逆相クロマトグラフィー用カラムとしては、例えば、円筒形状等をなすハウジングと、そのハウジングの内部に充填された炭化水素鎖結合型の充填剤とを備えるカラムが挙げられる。
ハウジングの材質および大きさは、特に限定されない。ハウジングとしては、ステンレス管またはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)管を用いることが好ましい。また、ハウジングが円筒形状である場合、その内径は、1.0mm〜10.0mmであることが好ましく、2.0mm〜6.0mmであることがより好ましい。さらに、ハウジングの長さは、10mm〜300mmであることが好ましく、50mm〜250mmであることがより好ましい。
本発明における炭化水素鎖結合型の充填剤としては、炭化水素鎖が導入されたシリカゲル系充填剤が用いられる。シリカゲル系充填剤に導入される炭化水素鎖は特に限定されず、例えば、直鎖型炭化水素、芳香族炭化水素等に由来するものが挙げられる。炭化水素鎖結合型の充填剤は、オクタデシル基結合シリカゲル、オクチル基結合シリカゲル、ブチル基結合シリカゲル、トリアコンチル基結合シリカゲルおよびフェニル基結合シリカゲルからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、オクタデシル基結合シリカゲル、オクチル基結合シリカゲルおよびブチル基結合シリカゲルからなる群から選択される少なくとも1種であることがより好ましい。これらのシリカゲル系充填剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、このような炭化水素鎖を導入したシリカゲル系充填剤は、エンドキャッピング処理が行われていることが好ましい。
本発明における炭化水素鎖結合型の充填剤は、材質、大きさ、形状等が特に限定されない。ただし、充分な分離性能および高い検出感度を得るためには、炭化水素鎖結合型の充填剤は、体積平均粒子径が1.0μm〜10.0μmの球状であることが好ましく、体積平均粒子径が2.0μm〜6.0μmの球状であることがより好ましい。
ここで、本明細書において充填剤の体積平均粒子径とは、2000個以上の充填剤を粒度分布測定装置で撮像して得られた二次元の粒子像(静止画像が好ましい)から各粒子の円相当径(粒子像の投影面積と同じ面積を持つ円の直径)を得て、その円相当径から各粒子の体積を算出して、体積を基準に平均化した粒子径である。このとき、各粒子は、上記の円相当径と同一の直径の球体とみなす。
本発明における逆相クロマトグラフィー用カラムは、逆相クロマトグラフィーによる分析時に、移動相として、水と任意の比率で混合できる有機溶媒と水との混合溶液であり、その有機溶媒の水との混合比率は、23℃における容量で混合する前の有機溶媒と水の容量比を、有機溶媒が25%〜60%(水は75%〜40%)とする水溶液を用いることが好ましい。さらに、有機溶媒の水との混合比率が容量比で30%〜60%である水溶液を用いることがより好ましい。
移動相として用いられる水溶液における上記の有機溶媒の水との混合比率が容量比で25%未満では、塩基性化合物を分析することができるものの、分析時間が著しく長くなる可能性がある。一方、移動相として用いられる水溶液における上記の有機溶媒の水との混合比率が容量比で60%を超えると、塩基性化合物がカラム内に保持・分離されずに溶出する可能性がある。
混合後の混合溶媒における、もともとの有機溶媒と水との混合比率は、例えば、次のようにして求められる。
まず、単位質量当たりの混合溶媒中の有機溶媒の質量をガスクロマトグラフィーや液体クロマトグラフィーなどの分析手法により求める。得られた有機溶媒の質量を23℃における比重で除することにより、有機溶媒単独の体積を求める、残りの質量から、同様にして、水の体積を求める。得られた有機溶媒の体積と、水の体積との比から、もともとの混合比率を求めることができる。
有機溶媒としては、水と任意の比率で混合できるものであって、逆相クロマトグラフィーで一般的に用いられるものであれば特に限定されないが、アルコール類またはアセトニトリルが好適に用いられ、メタノールまたはアセトニトリルが特に好適に用いられる。
塩基性化合物のピーク形状や、分析の再現性の悪化が起こる原因としては、シリガゲル系充填剤に導入された炭化水素鎖が、移動相に含まれる水と馴染まないため、経時的に寝込みと呼ばれる現象を生じるため、塩基性化合物がシリカゲル表面に残存しているシラノール基との相互作用を受けやすくなり、シリカゲル充填剤に吸着するためであると考えられる。この寝込み現象は、一旦生じてしまうと、解消されることが難しいことを考慮すれば、クロマトグラムにおける塩基性化合物のピーク形状の悪化を想定しやすい。
なお、寝込み現象とは、図2(a)に示すように、シリカゲル系充填剤100に導入された炭化水素鎖110が、シリカゲル系充填剤100の表面から立ち上がった(突出した)状態に対して、図2(b)に示すように、炭化水素鎖110がシリカゲル系充填剤100の表面に沿うように倒れ込んだ状態となることを言う。図2(a)の状態では、炭化水素鎖110が、ピリジン200やメタノール300を吸着することができる。一方、図2(b)の状態では、炭化水素鎖110が、ピリジン200やメタノール300を吸着することが困難になる。
本発明の逆相クロマトグラフィー用カラムの製造方法では、逆相クロマトグラフィー用カラムのカラム封入液として、上記の有機溶媒の水との混合比率が容量比で3%〜20%である水溶液が用いられる。カラム封入液(水溶液)における上記の有機溶媒の混合比率は容量比で、10%〜20%であることがより好ましい。カラム封入液を封入させることで、より有機溶媒比率の高い移動相を通液した後にも、炭化水素鎖結合型の充填剤の炭化水素鎖を安定化させることができる。
カラム封入液における上記の有機溶媒の混合比率が容量比で3%未満では、炭化水素鎖結合型の充填剤の炭化水素鎖の寝込み現象が顕著となるため、塩基性化合物の分析の再現性が低下する。一方、カラム封入液における上記の有機溶媒の混合比率が容量比で20%を超えると、分析時に用いられる移動相における水と有機溶媒の比率に近付くため、塩基性化合物の分析の再現性の効果が充分に得られない可能性がある。また、カラム封入液における有機溶媒の比率が著しく高い場合、カラム封入液の封入中は炭化水素鎖結合型の充填剤の炭化水素鎖の寝込み状態は完全に解消されるが、この後にカラム封入液よりも有機溶媒の比率が低い移動相を用いる分析において、炭化水素鎖結合型の充填剤の炭化水素鎖は不安定化しやすくなるため寝込み現象が誘発されて、塩基性化合物の分析の再現性が著しく低下する可能性がある。
なお、一旦寝込み減少を生じてしまった炭化水素鎖結合型の充填剤の炭化水素鎖は、この後に再度、有機溶媒が高比率な水溶液を通液しても寝込み現象を解消させることが困難となってしまう。
炭化水素鎖結合型の充填剤が充填された逆相クロマトグラフィー用カラムに対するカラム封入液の通液量は、逆相クロマトグラフィー用カラムのカラム容量の2.0倍以上であり、2.0倍〜5.0倍であることが好ましい。なお、カラム容量とは、カラムハウジングの容量であり、充填剤の容量は差し引かない。例えば、内径4.6mm、長さ250mmの円筒形状のハウジング内に炭化水素鎖結合型の充填剤が充填された逆相クロマトグラフィー用カラムの場合、カラム容量が4.15mLであるため、カラム封入液の通液量は8.30mL以上であり、8.30mL〜20.75mLであることが好ましい。
カラム封入液の通液量が、逆相クロマトグラフィー用カラムのカラム容量の2.0倍未満では、通液量が充分ではなく、塩基性化合物の分析時に再現性が低下する可能性がある。また、カラム封入液の通液量を、逆相クロマトグラフィー用カラムのカラム容量の5.0倍以上とすることは可能であるが、分析の再現性がさらに向上する効果がないばかりではなく、カラム封入液の消費量が多くなる。
カラム封入液を通液して得られた逆相クロマトグラフィー用カラムの保管は、室温または冷蔵庫内にて行うことができる。
保管温度は0℃〜30℃であることが好ましく、0℃〜25℃であることがより好ましく、0℃〜10℃であることがさらに好ましい。
保管温度が0℃以上であれば、カラム内部が凍結することがなく、カラム性能の劣化を防止することができる。一方、保管温度が30℃以下であれば、カラム性能の劣化を抑制することができる。
塩基性化合物の分析におけるカラム性能の評価方法としては、例えば、移動相として、水とメタノールの混合比率(容量比)が70:30の混合溶液を用い、塩基性化合物として、ピリジンを用いて、カラムの理論段数を求める方法、または、ピリジンを繰り返し分析(分離)して、カラムの理論段数の変化を評価する方法が挙げられる。
ここで、カラムの理論段数Nは、下記の計算式(1)により算出することができる(2006年4月改正の日本薬局方)。
N=5.54×((ピークの溶出時間)/(半値幅))・・・(1)
(但し、半値幅=ピーク高さの50%におけるピーク幅)
カラムの理論段数の変化は、分析初期の2回目〜4回目程度で顕著に観測される。このことから、例えば、4回連続してカラムの理論段数を測定し、下記の計算式(2)により、カラムの理論段数の変化率を算出することができる。
理論段数の変化率(%)=100×(測定4回目のカラムの理論段数)/(測定1回目のカラムの理論段数)・・・(2)
本発明の逆相クロマトグラフィー用カラムの製造方法によって得られた逆相クロマトグラフィー用カラムは、分析誤差も考慮して、測定4回目の理論段数の変化率(%)が−10%〜+10%であることが好ましく、−5%〜+5%であることがより好ましい。測定4回目の理論段数の変化率(%)が上記の範囲内であれば、塩基性化合物の分析の再現性が劣化することがない。
本発明の逆相クロマトグラフィー用カラムの製造方法によれば、逆相クロマトグラフィーによる分析時において、充填剤に導入された炭化水素鎖の寝込み現象を抑制して、分析初期から塩基性化合物を再現性よく分析することができる。したがって、本発明の逆相クロマトグラフィー用カラムの製造方法は、特に医薬品、食品、化粧品等の試料に含まれる塩基性化合物を分析する場合に有用である。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
(カラムの作製)
炭化水素鎖としてオクタデシル基が導入されたシリカゲル系充填剤として、エンドキャッピング処理を施したオクタデシル基導入型の市販のシリカゲル(商品名:SP−100−5−ODS−A−P、平均粒子径:5μm、ダイソー株式会社製)を用いた。
クロロホルムとメタノールの比率(23℃における容量比)、80:20の割合で混合して得た混合溶液に、上記のシリカゲル系充填剤1.8gを加えた後、超音波バスにて分散処理を施し、充填剤が均一に分散した充填剤スラリーを調製した。
得られた充填剤スラリーを用いて、円筒形状であり、内径4.6mm、長さ250mm(カラム容量:4.15mL)の高速液体クロマトグラフィー用ハウジング(株式会社巴製作所製)に、上記の炭化水素鎖が導入されたシリカゲル系充填剤を充填した。
すなわち、ハウジング内に、上記の充填剤スラリーを注入し、ハウジングの入口側から出口側に向かって、メタノールを通液することにより、充填剤スラリーを27.0MPa(定圧)にて20分加圧し、ハウジング内に炭化水素鎖が導入されたシリカゲル系充填剤からなる充填層を形成し、カラムを得た。
得られたカラム内に、メタノールと水の混合比率(23℃における容量比)が10:90の混合溶液からなる封入液を、流量1.0mL/minで9分間通液し、カラム内に封入液を封入した。このとき、封入液の通液量は、カラム容量の2.2倍であった。
封入液を封入したカラムを1.0時間静置した後、カラムを評価した。
(カラムの評価)
高速液体クロマトグラフ分析装置として高速液体クロマトグラフィーProminence(商品名、株式会社島津製作所製)を用い、検出器として紫外検出器(波長:254nm)を用いてカラムを評価した。
移動相として、メタノールと水の混合比率(容量比)が30:70の混合溶液を用いた。
カラムの温度を40℃、カラム内における移動相の流量を1.0mL/minとし、100mg/Lのピリジン10μLを注入して、カラムの理論段数を調べた。
以上の測定を4回繰り返し、上記の式(2)にしたがって、測定1回目に対する、測定4回目の理論段数の変化率を調べた。結果を表1に示す。
また、測定1回目と測定4回目のクロマトグラムを図1に示す。図1の結果から、再現性よく分析できることが確認された。
[実施例2〜4]
表1に示した条件としたこと以外は実施例1と同様にして、カラムを作製し、そのカラムを評価した。
[比較例1]
(カラムの作製)
実施例1と同様にして、ハウジング内に炭化水素鎖が導入されたシリカゲル系充填剤からなる充填層が形成されたカラムを得た。
このカラム内に、封入液を封入しなかった。
(カラムの評価)
実施例1と同様にして、カラムを評価した。結果を表1に示す。
[比較例2〜5]
表1に示した条件としたこと以外は実施例1と同様にして、カラムを作製し、そのカラムを評価した。
Figure 2018096732
表1の結果から、カラムに、メタノールと水の混合比率(容量比)が3:97〜20:80の混合溶液からなる封入液を封入した実施例1〜4では、カラムの理論段数が良好であるとともに、測定1回目に対する、測定4回目の理論段数の変化率が−5%〜+5%の範囲であるから、再現性よく分析できることが確認された。また、移動相として、メタノールと水の混合比率(容量比)が60:40の混合溶液を用いた実施例4もピリジンを再現性よく分析できることが確認された。
一方、カラム内に封入液を封入しなかった比較例1では、測定2回目において、カラムの理論段数が大幅に低下した。これは、シリカゲル系充填剤に導入されたオクタデシル基の寝込み現象が促進されたことに起因すると考えられる。
カラムにメタノールと水の混合比率(容量比)が80:20の混合溶液からなる封入液を封入した比較例2では、測定3回目において、カラムの理論段数が大幅に低下した。その結果、カラム内に、メタノールの比率が高い封入液を封入すると、分析の再現性が低下することが確認された。
カラムにメタノールと水の混合比率(容量比)が25:75の混合溶液からなる封入液を封入した比較例3では、測定4回目までに、カラムの理論段数が徐々に低下した。その結果、カラム内に、水の比率が高い封入液を封入すると、分析の再現性が低下することが確認された。
カラムにメタノールと水の混合比率(容量比)が1:99の混合溶液からなる封入液を封入した比較例4では、測定1回目でのカラムの理論段数が極端に低い。これは、シリカゲル系充填剤に導入されたオクタデシル基の寝込み現象が促進されたことに起因すると考えられる。また、測定4回目でも、理論段数が回復しないことから、一旦、寝込み現象が生じてしまうと、回復が難しいと推定される。
カラムにメタノールと水の混合比率(容量比)が10:90の混合溶液からなる封入液を封入した比較例5では、実施例1〜4と比べて、カラムの理論段数の低下量がやや多かった。これは、カラムに対する封入液の通液量が少なかったため、カラム内を封入液で充分に置換できなかったことに起因すると考えられる。
本発明は、水と任意の比率で混合できる有機溶媒を含む水溶液からなるカラム封入液を、炭化水素鎖結合型の充填剤が充填された逆相クロマトグラフィー用カラムに封入する逆相クロマトグラフィー用カラムの製造方法であり、塩基性化合物の分析の再現性を向上するものである。したがって、本発明は、医薬品、食品、化粧品等の試料に含まれる塩基性化合物の分析に好適である。

Claims (3)

  1. 水と任意の比率で混合できる有機溶媒の水との混合比率が容量比で25%〜60%である水溶液を移動相として用い、塩基性化合物を分析する逆相クロマトグラフィー用カラムの製造方法であって、
    前記有機溶媒の水との混合比率が容量比で3%〜20%である水溶液からなるカラム封入液を、炭化水素鎖結合型の充填剤が充填された逆相クロマトグラフィー用カラムに、そのカラム容量の2.0倍以上通液した後、前記逆相クロマトグラフィー用カラムに前記カラム封入液を封入する逆相クロマトグラフィー用カラムの製造方法。
  2. 前記炭化水素鎖結合型の充填剤が、オクタデシル基結合シリカゲル、オクチル基結合シリカゲル、ブチル基結合シリカゲル、トリアコンチル基結合シリカゲルおよびフェニル基結合シリカゲルからなる群から選択される少なくとも1種である請求項1に記載の逆相クロマトグラフィー用カラムの製造方法。
  3. 前記有機溶媒が、アルコール類またはアセトニトリルである請求項1または2に記載の逆相クロマトグラフィー用カラムの製造方法。
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