JP2018096013A - 耐油紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、塗工によって容易かつ確実に耐油層を形成でき、十分な耐油性を有する耐油紙を提供することを目的とする。【解決手段】本発明は、基紙及びこの基紙の少なくとも一方の面に塗工された耐油層を備える耐油紙であって、上記耐油層が、アニオン性の耐油剤とセルロースナノファイバーとを含むことを特徴とする。耐油層形成用塗工液にセルロースナノファイバーを含有するので、耐油層形成用塗工液の粘度を高くすることができ、容易に塗工を行うことができる。また、耐油層がセルロースナノファイバーを含有しているので、セルロースナノファイバーによっても耐油性が発揮されることで、当該耐油紙の耐油性が向上していると考えられる。基紙に、カチオン性の乾燥紙力剤及び/又はカチオン性の湿潤紙力増強剤が内添されていることが好ましい。上記基紙は、サイズ剤の内添されていないノーサイズ紙であることが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、耐油紙に関する。
耐油紙は、油分を含む食品等の包装材として広く用いられている。耐油紙は、包装された内容物からの油分が外側に染み出さず、外面が油分によって汚れることを防止することができる。
このような耐油紙にあっては、基紙及びこの基紙の少なくとも一方の面に塗工された耐油層を備えるものが公知である。ここで、耐油層は、耐油剤を含む耐油層形成用塗工液の塗布によってなされるが、この塗布を容易とするために耐油層形成用塗工液に増粘剤を含有させる方法が用いられる(例えば特開2013−87371号公報参照)。
特開2013−87371号公報
しかし、耐油層形成用塗工液に増粘剤を含有させると耐油層における耐油剤の割合が少なくなるため、増粘剤を含有させない塗工液を同量塗工する場合に比べて耐油性が劣るおそれがある。このため、十分な耐油性を発揮させるには、塗工液の単位面積当たりの塗工量を多くする必要があり、耐油紙のコスト高につながるおそれがある。
また、従来の耐油層を構成するアクリル系樹脂は比較的硬質で山折や、谷折などの加工を施した際に塗工層に所謂ひび割れ上の微細な間隙が生じ、耐油性の評価に用いられるキット値を下げる問題を有する。
そこで、上記従来の不都合に鑑みて、本発明は、塗工によって容易かつ確実に耐油層を形成でき、折加工を施しても十分な耐油性を有する耐油紙を提供することを目的とする。
上記課題を解決すべく、本発明は、基紙及びこの基紙の少なくとも一方の面に塗工された耐油層を備える耐油紙であって、上記耐油層が、アニオン性の耐油剤とセルロースナノファイバーとを含むことを特徴とする。
当該耐油紙は、アニオン性の耐油剤とセルロースナノファイバーとを含有する耐油層形成用塗工液を基紙の一方の面に塗工することで耐油層を形成できる。耐油層形成用塗工液がセルロースナノファイバーを含有するので、耐油層形成用塗工液の粘度を高くすることができ、容易に塗工を行うことができる。また、耐油剤がアニオン性であることで、アニオン性であるセルロースナノファイバーが耐油層形成塗工液中で好適に分散していると考えられ、これによって均一な耐油層を形成できる。さらに、耐油層がセルロースナノファイバーを含有しているので、セルロースナノファイバーによっても耐油性が発揮されることで、当該耐油紙の耐油性が向上していると考えられる。
当該耐油紙にあっては、基紙に、カチオン性の乾燥紙力剤及び/又はカチオン性の湿潤紙力増強剤が内添されていることが好ましい。このようにカチオン性の乾燥紙力剤及び/又はカチオン性の湿潤紙力増強剤が基紙に内添されていることで、アニオン性の耐油剤が好適に基紙に定着する。また、本件発明においては後述するようにノーサイズ紙を基紙として用いることが好ましく、ノーサイズ紙においては、塗工液が基紙に含浸されることによる基紙自体の引張りや引裂き強度等の紙質強度の低下を招く恐れがあるため、その対策としてもカチオン性の乾燥紙力剤及び/又はカチオン性の湿潤紙力増強剤が内添されることが好ましい。
上記基紙は、サイズ剤の内添されていないノーサイズ紙であることが好ましい。これにより、耐油層の塗工に際して耐油層形成用塗工液が基紙に含浸しやすく、耐油剤が好適に基紙に定着する。
従来耐油性を確保するため、基紙表層に被膜として耐油層を設けることが十分な耐油性を確保するうえで好適と考えられてきたが、本発明者らの検討においては、耐油紙に求められる折加工における山折や谷折の部位が折により所謂ひび割れ状の微細な間隙が生じ、この間隙が耐油性評価に用いられるキット値を下げる要因になっているとの考えから、耐油層そのものの柔軟性を確保する方策が、十分な耐油性を確保する上で必要であることを見出している。
本発明の耐油紙は、塗工によって容易かつ確実に耐油層を形成でき、折加工を施しても十分な耐油性を有する。
以下、本発明の実施の形態を詳説する。
[耐油紙]
当該耐油紙は、基紙及びこの基紙の一方の面に塗工された耐油層を備える。上記耐油層は、アニオン性の耐油剤とセルロースナノファイバーとを含む。上記耐油層は、アニオン性の耐油剤とセルロースナノファイバーとを含む耐油層形成用塗工液が基紙の一方の面に塗布され、含浸させていることで形成される。
当該耐油紙は、耐油層形成用塗工液にセルロースナノファイバーを含有するので、耐油層形成用塗工液の粘度を高くすることができ、容易に塗工を行うことができる。また、耐油剤がアニオン性であることで、アニオン性であるセルロースナノファイバーが耐油層形成塗工液中で好適に分散していると考えられ、これによって均一な耐油層を形成できる。さらに、耐油層がセルロースナノファイバーを含有しているので、セルロースナノファイバーによっても耐油性が発揮されることで、当該耐油紙の耐油性が向上していると考えられる。
更に、セルロースナノファイバー単体で得られる被膜はひび割れが生じ易いが、アニオン性の耐油剤と組み合わせることで柔軟性が得られ、セルロースナノファイバーが保有する耐油性と相俟って十分な耐油性を発現できる。
<基紙>
本発明の基紙は木材パルプ等の製紙用天然繊維を用いて公知の抄紙機にて製造されるが、その抄紙条件は特に規定されるものではない。抄紙機としては、長網抄紙機、円網式抄紙機、ツインワイヤー抄紙機等が使用される。
上記基紙は、サイズ材及びサイズ定着材を含有しないことが好ましい。つまり、上記基紙は、サイズ剤の内添されていないノーサイズ紙であることが好ましい。これにより、耐油層の塗工に際して耐油層形成用塗工液が基紙に含浸しやすく、耐油剤が好適に基紙に定着する。
上記基紙は、耐油層形成用塗工液の塗布に際して断紙の発生を抑制するために湿潤紙力増強剤が内添されていることが好ましい。上記湿潤紙力増強剤としては、例えばポリアミドエピクロロヒドリン、メラミン樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、ポリアミド、ポリアミドエポキシ、ポリビニルアミン等の公知のものから1種又は2種以上を適宜選択して使用することができる。ただし、湿潤化紙力剤は、カチオン性であることが好ましく、これによりアニオン性の耐油剤が好適に基紙に定着する。
上記基紙は、乾燥紙力剤が内添されていることが好ましい。上記乾燥紙力剤としては、例えばポリアクリルアミド、澱粉、カルボキシメチルセルロース等の公知のものから1種又は2種以上を適宜選択して使用することができる。ただし、乾燥紙力剤は、カチオン性であることが好ましく、これによりアニオン性の耐油剤が好適に基紙に定着する。
原料パルプとしては、機械パルプ、化学パルプ、セミケミカルパルプ、合成パルプ等が挙げられる。これらの原料パルプの一部は、機械パルプ、化学パルプ等を含んだ古紙パルプとして提供されてもよい。
上記原料パルプに含有する機械パルプとしては、砕木パルプ(GP)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)等の一種又は複数種が利用できる。
一方、上記原料パルプに含有する化学パルプとしては、クラフトパルプ(KP)、サルファイドパルプ(SP)、アルカリパルプ(AP)等の一種又は複数種が利用できる。
上記機械パルプ及び化学パルプは、漂白処理をした晒パルプ(BP)であってもよく、漂白処理をしていない未晒パルプ(UP)であってもよく、これら晒パルプ及び未晒パルプの両方を含んでもよい。
また、上記古紙パルプとしては、雑誌古紙又はチラシ古紙から再生した雑誌古紙脱墨パルプ、新聞古紙脱墨パルプ等の一種又は複数種が利用できる。
本発明者等の基紙に係る知見では、前記原料パルプは、針葉樹クラフトパルプが好ましく、より好ましくは、JIS P8121に準拠したカナダ標準フリーネスが340〜360mlの第1の針葉樹クラフトパルプと、JIS P8121に準拠したカナダ標準フリーネスが640〜660mlの第2の針葉樹クラフトパルプと、を含み、前記原料パルプ中に、第1の針葉樹クラフトパルプが50〜90質量%含まれ、第2の針葉樹クラフトパルプが10〜50質量%含まれることで、紙質強度を確保しながら、柔軟性の中で緻密な紙層構成を醸し出し、耐油性と柔軟性付与に効果的である。また、上記伸びおよび引張強度を達成するためには、耐油紙におけるJIS P8127に準拠した抄紙後の水分含有率が、3.0〜7.0質量%であることが好ましい。
基紙の坪量の下限としては、20g/mが好ましく、25g/mがより好ましい。基紙の坪量が上記下限を満たさないと、当該耐油紙の強度が不足するおそれがある。一方、基紙の坪量の上限としては、特に限定されないが、60g/mが好ましく、40g/mがより好ましい。基紙の坪量が上記上限を超えると、当該耐油紙のコスト高につながるおそれがある。
基紙の紙厚としては、30μmが好ましく、45μmがより好ましい。基紙の紙厚が上記下限を満たさないと、当該耐油紙の強度が不足するおそれがある。一方、基紙の紙厚の上限としては、特に限定されないが、70μmが好ましく、60μmがより好ましい。基紙の坪量が上記上限を超えると、当該耐油紙のコスト高につながるおそれがある。
<耐油層>
上記耐油層は、上述のようにアニオン性の耐油剤とセルロースナノファイバーとを含む耐油層形成用塗工液が基紙の一方の面に塗布されることで形成される。耐油層形成用塗工液は、アニオン性の耐油剤を含む塗料に、セルロースナノファイバーを添加して分散することで生成することができる。上記塗料としては、例えば商品名「ユニダインTG8811」(ダイキン工業株式会社製)、商品名「AG−E080」(旭硝子株式会社製)等が挙げられる。この塗料のpHは、7以上10以下であることが好ましく、取り扱いの容易性の観点から上限は9がより好ましい。
上記耐油剤は、フッ素系ポリマーであることが好ましい。このフッ素系ポリマーとしては、炭素数7以上のポリフルオロアルキル基を有しない含フッ素ポリマーであることが好ましい。このような炭素数7以上のポリフルオロアルキル基を有しない含フッ素ポリマーとしては、炭素数1〜6のRf基を有する(メタ)アクリレートに基づく構成単位を有する含フッ素ポリマー、テトラフルオロエチレン−ビニルエーテルコポリマー、ペルフルオロエーテル誘導体等が挙げられ、耐油性の観点から、炭素数1〜6のRf基を有する(メタ)アクリレートに基づく構成単位を有する含フッ素ポリマーが好ましい。
上記耐油剤の塗工量(固形分換算)の下限としては、0.05g/mが好ましく、0.1g/mがより好ましい。一方、この塗工量の上限としては、0.6g/mが好ましく、0.4g/mがより好ましい。上記塗工量が上記下限を満たさないと、耐油剤による耐油性効果を十分に奏することができないおそれがある。一方、上記塗工量が上記上限を超えると、当該耐油紙のコスト高を招くおそれがある。また、当該耐油紙は、耐油剤の塗工量が上記範囲内であることで、米国環境保護庁(USEPA)に定める基準に合致する。
上記セルロースナノファイバーは、パルプ繊維を解繊して得られる微細なセルロース繊維であり、一般的に繊維幅がナノサイズ(1nm以上1000nm以下)のセルロース微細繊維を含むセルロース繊維である。ここで、セルロースナノファイバーは、機械的な処理によって微細化されたものや、機械的処理のみならず化学的処理によっても微細化されたもの等を用いることができる。
上記セルロースナノファイバーは、水分散状態でレーザー回折法により測定される擬似粒度分布曲線において1つのピークを有する。上記擬似粒度分布曲線におけるピークとなる粒径(最頻径)としては5μm以上25μm以下が好ましい。セルロースナノファイバーがこのような粒度分布を有する場合、十分に微細化された良好な性能を発揮することができる。なお、「擬似粒度分布曲線」とは、粒度分布測定装置(例えば株式会社セイシン企業のレーザー回折・散乱式粒度分布測定器)を用いて測定される体積基準粒度分布を示す曲線を意味する。
上記セルロースナノファイバーの塗工量(固形分換算)の下限としては、0.05g/mが好ましく、0.1g/mがより好ましい。一方、この塗工量の上限としては、0.6g/mが好ましく、0.4g/mがより好ましい。上記塗工量が上記下限を満たさないと、本発明の課題である折加工における十分な耐油性を確保し難い問題と耐油層形成用塗工液の粘度を十分に高くすることができないおそれがある。一方、上記塗工量が上記上限を超えると、耐油層に所謂ひび割れの問題が生じ易くなると共に、当該耐油紙のコスト高を招くおそれがある。
また、耐油層におけるセルロースナノファイバーの耐油剤に対する割合(質量比)の下限としては、0.7倍が好ましく、0.8倍がより好ましい。この割合の上限としては、1.3倍が好ましく、1.2倍がより好ましい。この割合が上記範囲内にあることで、セルロースナノファイバーが耐油層形成用塗工液中で適度に分散でき、好適な耐油層を形成できる。
また、耐油層の塗工量(固形分換算(耐油剤及びセルロースナノファイバーの合計))の下限としては、0.1g/mが好ましく、0.3g/mがより好ましい。一方、この塗工量の上限としては、1.1g/mが好ましく、0.9g/mがより好ましい。上記塗工量が上記下限を満たさないと、耐油層が十分な耐油性を有さないおそれがある。一方、上記塗工量が上記上限を超えると、当該耐油紙のコスト高を招くおそれがある。
上記耐油層は、基紙に耐油剤が含浸する部位を有する。具体的には、耐油層は、上述のように基紙にセルロースナノファイバーを含む耐油剤が含浸した層と、基紙外面に積層され耐油剤及びセルロースナノファイバーを含む層とを有する。基紙外面に積層され耐油剤及びセルロースナノファイバーを含む層の厚みは、特に限定されないが、8μm以下であることが好ましい。
基紙中にセルロースナノファイバーを含む耐油剤が含浸されることで、含浸部位においては基紙を構成するパルプ繊維の間隙にセルロースナノファイバーが微細なネットワークを形成し、当該ネットワークの微細孔を耐油剤が埋めることで効果的で且つ山折や谷折の加工が生じても柔軟に対応できる耐油性を醸し出していると考えられる。
更に、基紙の表層に所望粘度のセルロースナノファイバーを含む耐油剤が被覆層を形成することで、前述の耐油性を更に向上させることができる。
<耐油紙>
当該耐油紙の坪量(基紙及び耐油層を含む)の下限としては、21g/mが好ましく、26g/mがより好ましい。当該耐油紙の坪量が上記下限を満たさないと、当該耐油紙の強度が不足するおそれがある。一方、当該耐油紙の坪量の上限としては、特に限定されないが、61g/mが好ましく、41g/mがより好ましい。当該耐油紙の坪量が上記上限を超えると、谷折や山折時に生じ易い所謂ひび割れを招く恐れが生じると共に、当該耐油紙のコスト高につながるおそれがある。
当該耐油紙(基紙及び耐油層を含む)の紙厚としては、35μmが好ましく、50μmがより好ましい。当該耐油紙の紙厚が上記下限を満たさないと、当該耐油紙の強度が不足するおそれがある。一方、当該耐油紙の紙厚の上限としては、特に限定されないが、75μmが好ましく、65μmがより好ましい。当該耐油紙の紙厚が上記上限を超えると、坪量と対比し紙層の空隙が多くなり、耐油性能の低下に繋がるおそれが生じる。
当該耐油紙のキット値は、9以上であることが好ましい。このキット値の下限としては、10がより好ましく、11がさらに好ましい。当該耐油紙のキット値の上限は特に限定されない。ここで、「キット値」とは、23℃、湿度50%の条件で測定した平面部の耐油度(TAPPI UM−557によるキット値)を意味する。
当該耐油紙の透気度の下限としては、80sec/ccが好ましく、100sec/ccがより好ましい。また、透気度の上限としては、300sec/ccが好ましく、250cc/secがより好ましい。なお、透気度は、JISP8117(透気度及び透気抵抗度試験方法 ガーレー法)によって測定できる。
<耐油紙の製造方法>
当該耐油紙の製造方法は、アニオン性の耐油剤とセルロースナノファイバーとを含む耐油層形成用塗工液を生成する工程と、基紙の一方の面に上記耐油層形成用塗工液を塗布する工程とを有する。
耐油層形成用塗工液を生成する工程において、上述のようにアニオン性の耐油剤を含む塗料にセルロースナノファイバーを添加する。また、耐油層形成用塗工液の塗布方法は、公知の塗工方法を採用でき、例えば2ロールサイズプレスコーター、ゲートロールコーター、ブレードメタリングコーター、ロッドメタリングコーター、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、ブラッシュコーター、キスコーター、スクイズコーター、カーテンコーター、ダイコーター、バーコーター、グラビアコーター等の公知の塗工機を用いることができる。
上記耐油層形成用塗工液の粘度の下限は、B型粘度で50cpsが好ましく、100cpsがより好ましい。上記粘度の上限は、B型粘度で300cpsが好ましく、200cpsがより好ましい。上記粘度が上記数値範囲外であると、塗工性が低下し、塗工ムラや未塗工部分が発生するおそれがある。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
基紙として、原料パルプにNBKPを用い、抄紙し、乾燥工程を経て、水分含有率が5.5%の表1に示す坪量及び紙厚のノーサイズ紙(ノーサイズ紙とは、所謂サイズ剤を含有しない紙をいう)を用いた。商品名「TG−8111」(ダイキン工業株式会社)の塗料(表中「A」と表記する)に、セルロースナノファイバー(CNF)を添加して分散させて、耐油層形成用塗工液を生成した。上記塗料における耐油剤の割合は20質量%であった。また上記塗料の粘度はB型粘度で50cps以下であった。
上記セルロースナノファイバーは、機械的処理のみによって微細化されたものを使用した。このセルロースナノファイバーの水分散状態でレーザー回折法により測定される擬似粒度分布曲線におけるピークとなる粒径(最頻径)は25μmであった(表中「I」と表記する)。セルロースナノファイバーは、耐油剤と同一割合となるよう添加した。具体的には、塗料100gあたり耐油剤の成分が20g含まれると考えられるため、塗料100gあたり20gのセルロースナノファイバーを添加した。上記耐油層形成用塗工液の粘度は175.0cpsであった。上記耐油層形成用塗工液をグラビアコーターを用いて上記基紙の一方の面に塗工量(固形分換算)0.4g/mで塗布し、乾燥させ、実施例1の耐油紙を得た。この耐油紙の坪量は31.23g/mであり、紙厚は58μmであった。
Figure 2018096013
[実施例2]
基紙として実施例1と同一の紙(ただし坪量及び紙厚は表1に示すとおりであった)を用いた。商品名「アサヒガードAG−E080」(アサヒガラス株式会社)の塗料(表中「B」と表記する)に、実施例1と同様のセルロースナノファイバー(CNF)を添加して分散させて、耐油層形成用塗工液を生成した。上記塗料における耐油剤の割合は15質量%であった。また上記塗料の粘度はB型粘度で50cps以下であった。セルロースナノファイバーは、耐油剤と同一割合となるよう添加した。具体的には、塗料100gあたり耐油剤の成分が15g含まれると考えられるため、塗料100gあたり15gのセルロースナノファイバーを添加した。上記耐油層形成用塗工液の粘度は193.0cpsであった。上記耐油層形成用塗工液をグラビアコーターを用いて上記基紙の一方の面に塗工量(固形分換算)0.5g/mで塗布し、乾燥させ、実施例2の耐油紙を得た。この耐油紙の坪量は31.6g/mであり、紙厚は58μmであった。
[比較例1]
商品名「TG−8111」(ダイキン工業株式会社)の塗料(表中「A」と表記する)に、セルロースナノファイバー(CNF)を添加せずに、増粘剤としてカルボキシルメチルを添加し、B型粘度88.0cpsの耐油層形成用塗工液を生成した。この耐油層形成用塗工液をグラビアコーターを用いて、基紙の一方の面に塗工量(固形分換算)1.0g/mで塗布し、乾燥させ、比較例1の耐油紙を得た。用いた基紙及び比較例1の耐油紙の坪量及び紙厚は表1に示すとおりである。
[比較例2]
実施例1及び2のようなアニオン性の耐油剤ではなく、カチオン性の耐油剤を用いて比較例2の耐油紙を得た。具体的には、商品名「アサヒガードAG−E060」(アサヒガラス株式会社)の塗料(表中「C」と表記する)に、実施例1と同様のセルロースナノファイバー(CNF)を添加して分散させて、耐油層形成用塗工液を生成した。上記塗料における耐油剤の割合は20質量%であった。セルロースナノファイバーは、耐油剤と同一割合となるよう添加した。具体的には、塗料100gあたり耐油剤の成分が20g含まれると考えられるため、塗料100gあたり20gのセルロースナノファイバーを添加した。上記耐油層形成用塗工液の粘度は181.1cpsであった。上記耐油層形成用塗工液をグラビアコーターを用いて上記基紙の一方の面に塗工量(固形分換算)0.5g/mで塗布し、乾燥させ、比較例2の耐油紙を得た。用いた基紙及び比較例1の耐油紙の坪量及び紙厚は表1に示すとおりである。
[耐油性試験]
実施例1及び2並びに比較例1及び2の耐油紙について、山折り部分(被膜が外側となるように折った部分)と谷折り部分(被膜が内側となるように折った部分)とを作り、平坦部(折り線のない部分)、山折り部分及び谷折り部分においてキット値を測定した。その結果を表1に示す。
表1からも明らかなように実施例1及び2並びに比較例1の耐油紙は、平坦部、山折り部分及び谷折り部分のいずれもがキット値が10以上であり、高い耐油性を奏する。
比較例1の耐油紙は、上述のように高い耐油性を奏したものの、塗工量が1.0g/mと多く、実施例1及び2の耐油紙の塗工量に比べて約2倍の塗工液が必要となり、不経済である。また、比較例1の耐油紙は塗工量が多いため、環境保護等の観点の規制から使用ができないおそれもある。これに対して、実施例1及び2の耐油紙は、塗工量が少ないため、上述のような不都合がなく、経済性にも優れる。換言すると、実施例1及び2の耐油紙は、少ない塗工量であっても高い耐油性を奏することができる。
また、実施例1及び2の耐油紙は、カチオン性の耐油剤を用いた比較例2に比べて高い耐油性を奏する。これは、耐油剤がアニオン性であることで、アニオン性であるセルロースナノファイバーが耐油層形成塗工液中で好適に分散し、これによって均一な耐油層を形成されているためと推察される。
[透気度試験]
実施例1及び2並びに比較例1及び2の耐油紙について、透気度について測定した。その結果を表1に示す。
表1からも明らかなように、実施例1及び2の耐油紙は、比較例1及び2の耐油紙に比べて透気度が大きく、密閉性に優れている。
[実施例3]
セルロースナノファイバーとして、化学的処理を行った後に機械的処理を行うことで微細化されたものを使用した以外は、実施例1と略同様の方法によって実施例3の耐油紙を得た。このセルロースナノファイバーの水分散状態でレーザー回折法により測定される擬似粒度分布曲線におけるピークとなる粒径(最頻径)は18μmであった(表中「II」と表記する)。なお、用いた基紙及び耐油紙の坪量及び紙厚、並びに耐油層形成用塗工液の粘度及び塗工量は表2に示すとおりである。
Figure 2018096013
[実施例4]
実施例3で用いたセルロースナノファイバーを用いた以外は、実施例2と略同様の方法によって実施例4の耐油紙を得た。なお、用いた基紙及び耐油紙の坪量及び紙厚、並びに耐油層形成用塗工液の粘度及び塗工量は表2に示すとおりである。
[比較例3]
比較例2の耐油剤を用いた以外は、実施例3と略同様の方法によって比較例3の耐油紙を得た。なお、用いた基紙及び耐油紙の坪量及び紙厚、並びに耐油層形成用塗工液の粘度及び塗工量は表2に示すとおりである。
[耐油性試験]
実施例3及び4並びに比較例3の耐油紙について、上述した耐油性試験を行い、その結果を表2に示す。
表2からも明らかなように実施例3及び4の耐油紙は、平坦部、山折り部分及び谷折り部分において比較例3に比べて高い耐油性を奏する。これは、上述のように実施例3及び4の耐油剤がアニオン性であることで、アニオン性であるセルロースナノファイバーが耐油層形成塗工液中で好適に分散し、これによって均一な耐油層を形成されているためと推察される。
本発明の耐油紙は、上述のように塗工によって容易かつ確実に耐油層を形成でき、十分な耐油性を有するので、油分を含む種々の対象物の包装材として好適に用いることができる。

Claims (3)

  1. 基紙及びこの基紙の少なくとも一方の面に塗工された耐油含浸層を備える耐油紙であって、
    上記耐油層が、アニオン性の耐油剤とセルロースナノファイバーとを含むことを特徴とする耐油紙。
  2. 上記基紙に、カチオン性の乾燥紙力剤及び/又はカチオン性の湿潤紙力増強剤が内添されている請求項1に記載の耐油紙。
  3. 上記基紙が、サイズ剤の内添されていないノーサイズ紙である請求項1又は請求項2に記載の耐油紙。
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