JP2018090957A - 鉄筋及び鉄筋ユニット - Google Patents

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啓介 塩田
Keisuke Shioda
啓介 塩田
宏之 今塩
Hiroyuki Imashio
宏之 今塩
和樹 有薗
Kazuki Arizono
和樹 有薗
仁志 内藤
Hitoshi Naito
仁志 内藤
泰邦 吉岡
Yasukuni Yoshioka
泰邦 吉岡
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Abstract

【課題】鉄筋同士が立体交差して重なり合う交差部の厚さを薄くする。
【解決手段】鉄筋1は、交差するようにして他の鉄筋5と重合方向Pd1に重なり合う重合部3が非重合部4を隔てて長さ方向Ld2に繰り返し配置された鉄筋本体2を有している。そして、重合部3は、他の鉄筋5と重なり合う側が非重合部4よりも内方に一段低くなっていると共に、重合方向Pd1及び長さ方向Ld2と直交する幅方向Wd2において非重合部4よりも幅広になっている。
【選択図】図1

Description

本発明は、鉄筋及び鉄筋ユニットに関し、特に、土木構造物や建築構造物などの有筋セメント系固化構造物の補強材として使用される鉄筋及び鉄筋ユニットに適用して有効な技術に関するものである。
有筋セメント系固化構造物として、RC(Reinforced Concrete)造と呼称される鉄筋コンクリート構造物やSRC(Steel Reinforced Concrete)造と呼称される鉄骨鉄筋コンクリート構造物などの有筋コンクリート構造物がある。この有筋コンクリート構造物では、コンクリートの補強材として鉄筋や鉄筋ユニットが使用されている。この種の有筋コンクリート構造物は、例えば、鉄筋や鉄筋ユニットを組んで鉄筋体を形成する工程、組んだ鉄筋体の周りに型枠を設置する工程、設置した型枠内にコンクリートを打設する工程、打設したコンクリートが固まった後に型枠を撤去する工程などを施すことによって構築される。
なお、有筋コンクリート構造物に使用される鉄筋及び鉄筋ユニットについては、例えば特許文献1に開示されている。また、この特許文献1には、縦筋と横筋との交差部を上下の電極で加圧しながら加熱溶解して接合する電気抵抗スポット溶接についても開示されている。
特開2013−19240号公報
ところで、有筋コンクリート構造物では、鉄筋を立体交差させて配筋しているため、鉄筋同士が立体交差して重なり合う交差部の厚さに相当する分、コンクリートの厚さが厚くなる。
一方、有筋コンクリート構造物においても低コスト化が望まれている。有筋コンクリート構造物は、大半がコンクリートであるため、コンクリートの厚さを薄くしてコンクリートの量を削減することで低コスト化を図ることができる。
しかしながら、建築基準法では、鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚、即ち、コンクリートの表面から鉄筋までの最短距離が定められている。従って、このコンクリートのかぶり厚を薄くしてコンクリートの量を削減することは困難である。
そこで、本発明者らは、鉄筋が重なり合って交差する交差部の厚さに着目し、本発明をなした。
本発明の目的は、鉄筋同士が重なり合って交差する交差部の厚さを薄くすることが可能な技術を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る鉄筋は、他の鉄筋と交差するようにして重合方向に重なり合う重合部が非重合部を隔てて長さ方向に繰り返し配置された鉄筋本体を有している。そして、重合部は、他の鉄筋と重なり合う側が非重合部よりも内方に一段低くなっていると共に、重合方向及び長さ方向と直交する幅方向において非重合部よりも幅広になっている。
また、上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る鉄筋ユニットは、互いに立体交差して配置された第1の鉄筋及び第2の鉄筋を備えた鉄筋ユニットであって、第1及び第2の鉄筋の各々は、重合方向に互いに重なり合う重合部が非重合部を隔てて長さ方向に繰り返し配置された鉄筋本体を有している。そして、第1及び第2の鉄筋の少なくとも何れか一方の重合部は、他方の重合部と重なり合う側が一方の非重合部よりも内方に一段低くなっていると共に、重合方向及び一方の鉄筋本体の長さ方向と直交する幅方向において一方の非重合部よりも幅広になっている。
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、下記のとおりである。
鉄筋同士が重なり合って交差する交差部の厚さを薄くすることができる。
本発明の実施形態1に係る鉄筋の一部を示す斜視図である。 図1に示す鉄筋の要部平面図である。 図2のIIa−IIa線に沿った断面構造を示す断面図である。 図2のIIb−IIb線に沿った断面構造を示す断面図である。 図2のIIc−IIc線に沿った断面構造を示す断面図である。 本発明の実施形態1に係る鉄筋を使用した有筋コンクリート構造物の一部を示す断面図である。 本発明の実施形態2に係る鉄筋ユニットの一部を示す平面図である。 図7に示す領域Aを拡大した要部拡大平面図である。 図8のIIIa1−IIIa1線に沿った断面構造を示す断面図である。 図8のIIIa2−IIIa2線に沿った断面構造を示す断面図である。 図8のIIIb1−IIIb1線に沿った断面構造を示す断面図である。 図8のIIIb2−IIIb2線に沿った断面構造を示す断面図である。 本発明の実施形態2に係る鉄筋ユニットを使用した有筋コンクリート構造物の一部を示す断面図である。 本発明の実施形態3に係る鉄筋ユニットを使用して有筋コンクリート構造物を補強した状態を示す要部断面図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
なお、発明の実施形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
また、図2乃至図5では、図面を見易く及び理解し易くするため、他の鉄筋を二点鎖線で描いている。
(実施形態1)
この実施形態1では、本発明を適用した鉄筋1及びこの鉄筋1を使用した有筋コンクリート構造物について説明する。
図1及び図2に示すように、本発明の実施形態1に係る鉄筋1は、長さ方向Ld2に延伸する鉄筋本体2を有している。この鉄筋本体2には、長さ方向Ld2と直交する重合方向Pd1に他の鉄筋5と重なり合う重合部3が他の鉄筋5と重なり合わない非重合部4を隔てて長さ方向Ld2に繰り返し配置されている。この鉄筋1は、有筋コンクリード構造物の構築や補修或いは補強などにおいて、重合部3で他の鉄筋5と接触及び立体交差するようにして組まれる。鉄筋1及び他の鉄筋5は、通常、格子状に配筋され、立体交差する交差部6で細い結束筋や溶接によって固定される。
非重合部4は、例えば長さ方向Ld2に延伸する円柱形状になっており、図5に示すように、長さ方向Ld2と直交する断面の形状が円形になっている。この実施形態1において、非重合部4の外周面は凹凸が無い滑らかな曲面形状になっているが、既存の異形鉄筋のようにリブや節などを設けて凹凸を有する曲面形状にしてもよい。
重合部3は、図3及び図4に示すように、他の鉄筋5と重なり合う重合側(向かい合う対向側)が非重合部4よりも内方に一段低くなっていると共に、図2、図4及び図5に示すように、重合方向Pd1及び長さ方向Ld2と直交する幅方向Wd2において非重合部4よりも幅広になっている。具体的には、重合部3は、図3及び図4に示すように、重合方向Pd1に測った外形寸法Eが非重合部4で重合方向Pd1に測った外形寸法Eよりも小さくなっていると共に、図2、図4及び図5に示すように、幅方向Wd2に測った外形寸法Wが非重合部4で幅方向Wd2に測った外形寸法Wよりも大きくなっている。すなわち、鉄筋1は、他の鉄筋5と重なり合う重合側に非重合部4の外形寸法Eと重合部3の外形寸法Eとの寸法差(E−E)に相当する段差が設けられている。
図3乃至図5に示すように、重合部3は、他の鉄筋5と重なり合う重合側に設けられた主面3aと、この主面3aとは反対側に設けられた裏面3bとを有し、長さ方向Ld2と直交する断面の形状が偏平形状になっている。この主面3a及び裏面3bは、長さ方向Ld2及び幅方向Wd2に広がる平面になっている。
主面3aは他の鉄筋5と接触する接触面となる。主面3aは、重合方向Pd1において、図3に示すように、非重合部4の最上部4aよりも内方に位置している。一方、裏面3bは、重合方向Pd1において、非重合部4の最下部4bと同一の位置となっている。
重合部3は、例えば、断面が円形の棒鋼を熱間圧延によって製造するとき、棒鋼の所定領域を治具で圧着して押し潰すことにより容易に形成することができる。
ここで、重合部3は、長さ方向Ld2と直交する断面が2つの平面(主面3a,裏面3b)を有する偏平形状になっている。したがって、この場合、重合部3で重合方向Pd1に測った外形寸法Eは、重合部3の厚さに相当する。また、非重合部4は、長さ方向Ld2と直交する断面の形状が円形になっている。したがって、この場合、非重合部4で重合方向Pd1に測った外形寸法E及び幅方向Wd2に測った外形寸法Wは、非重合部4の直径に相当する。
なお、重合部3の長さ方向Ld2の長さは、非重合部4の長さ方向の長さよりも短くなっている。重合部3の配列ピッチは、他の鉄筋5を配筋するときの配列ピッチに合わせて設定することが好ましい。重合部3の長さ方向Ld2の長さは、重合部3と重なり合う他の鉄筋5の幅よりも若干長くすることが好ましい。
また、この実施形態の鉄筋1は、重合部3が非重合部4に対して異形の偏平形状になっているが、この場合、非重合部4で重合方向Pd1に測った外形寸法E及び幅方向Wd2に測った外形寸法Wを鉄筋1の外形寸法(高さ及び幅,円形の場合は径)として表すことが好ましい。
また、この実施形態1では、他の鉄筋5として、長さ方向と直交する断面のサイズが鉄筋1の非重合部4での長さ方向Ld2と直交する断面のサイズ(外形寸法E=外形寸法W=直径)と同等のものを用いている。しかしながら、他の鉄筋5としては鉄筋1の非重合部4と断面のサイズや形状が異なるものを使用してもよい。
この実施形態1において、鉄筋1は、上述したように、他の鉄筋5と重なり合う重合側で重合部3が非重合部4よりも内方に一段低くなっている。したがって、有筋コンクリート構造物の構築や修復、或いは補強などにおいて、鉄筋1の重合部3の重合側(主面3a側)で互いに重なり合って立体交差するように鉄筋1及び他の鉄筋5を組むことにより、鉄筋1の重合部3が一段低くなっている分(鉄筋1の重合部3と非重合部4との重合側での段差に相当する分)、鉄筋1と他の鉄筋5とが重なり合って交差する交差部6の厚さTを薄くすることができる。
また、重合部3は、上述したように、重合方向Pd1及び長さ方向Ld2と直交する幅方向Wd2において非重合部4よりも幅広になっている。したがって、重合部3での長さ方向Ld2と直交する断面の面積を幅方向Wd2に稼ぐことができるので、重合部3を非重合部4よりも内方に一段低くしても、重合部3での長さ方向Ld2と直交する断面の面積と非重合部4での長さ方向Ld2と直交する断面の面積とを同一にすることができる。
また、重合部3と非重合部4とで各々の断面の面積を同一にすることができるので、重合部3を非重合部4よりも内方に一段低くしても重合部3での長さ方向Ld2の引っ張り強度と非重合部4での長さ方向Ld2の引っ張り強度とを同一にすることができる。すなわち、本発明の実施形態1に係る鉄筋1は、長さ方向Ld2の引っ張り強度を確保しつつ、他の鉄筋5と重なり合って交差する交差部6の厚さTを薄くすることができる。
ここで、鉄筋1の重合部3と他の鉄筋5とが交差する交差部6の厚さTは、鉄筋1の重合部3と非重合部4との重合側での段差に反比例して薄くなる。したがって、交差部6の厚さTの低減化を重視する場合には、重合部3で重合方向Pd1に測った外形寸法Eを非重合部4で重合方向Pd1に測った外形寸法Eの1/2以下にすることが好ましい。
一方、重合部3での曲げ強度は、重合部3と非重合部4との重合側での段差に反比例して低下する。したがって、交差部6の厚さTの低減化及び重合部3での曲げ強度を重視する場合には、重合部3で重合方向Pd1に測った外形寸法Eを非重合部4で重合方向Pd1に測った外形寸法Eの1/2程度にすることが好ましい。この実施形態1では、重合部3で重合方向Pd1に測った外形寸法Eは非重合部4で重合方向Pd1に測った外形寸法Eの概ね1/2になっている。
次に、本発明の実施形態1に係る鉄筋1を使用した有筋コンクリート構造物7について、図6を用いて説明する。
図6に示すように、有筋コンクリート構造物7は、コンクリート8と、このコンクリート8内に埋設された鉄筋1及び他の鉄筋5と、を具備している。図6では有筋コンクリート構造物7の一部を図示している関係からコンクリート8が3つの層に分かれているように描かれているが、コンクリート8は一体になっている。そして、コンクリート8は、少なくとも互いに反対側に位置する2つの表面(surface)8a,8bを有している。有筋コンクリート構造物7としては、橋梁、水門、ボックスカルバートなどの土木構造物や、ビルなどの建築構造物がある。そして、建築構造物においては、床スラブ、屋根スラブ、基礎スラブ、梁、柱などある。図6では一例として床スラブの場合を示している。
鉄筋1及び他の鉄筋5は、コンクリート8の一方の表面8a側及び他方の表面8b側にそれぞれ配筋されている。そして、鉄筋1及び他の鉄筋5は、コンクリート8の一方及び他方の表面8a,8b側において、鉄筋1の重合部3で互いに重なり合って立体交差するように組まれている。
ここで、コンクリート8の2つの表面8a,8bは、鉄筋1と他の鉄筋5とが重なり合う重合方向Pd1において、互いに反対側に位置している。このような場合、コンクリート8の一方の表面8aから他方の表面8bまでの厚さは、鉄筋1と他の鉄筋5との交差部6の厚さTの影響を受ける。
しかしながら、本実施形態1の有筋コンクリート構造物7では、鉄筋1と他の鉄筋5とが鉄筋1の重合部3の重合側(主面3a側)で互いに重なり合って立体交差するように組まれている。したがって、鉄筋1の重合部3が一段低くなっている分(鉄筋1の重合部3と非重合部4との重合側での段差に相当する分)、鉄筋1と他の鉄筋5とが重なり合って交差する交差部6の厚さTが薄くなるため、この交差部6の厚さTの影響を受けるコンクリート8の厚さを薄くすることができる。これにより、この実施形態1の有筋コンクリート構造物7では、コンクリート8の表面8a,8bから、このコンクリート8の表面8a,8bに最も近い他の鉄筋5までの最短距離として建築基準法で定められているコンクリート8のかぶり厚Ct8を薄くすることなく、有筋コンクリート構造物7でのコンクリート8の厚さ(鉄筋1と他の鉄筋5とが重なり合う重合方向Pd1に沿う厚さ)を薄くすることができる。
また、コンクリート8の厚さを薄くすることができることから、コンクリート8の量を削減することができるので、有筋コンクリート構造物7の低コスト化を図ることができると共に、有筋コンクリート構造物7自体を軽量化することができる。
なお、上述の実施形態1では、鉄筋1と他の鉄筋5との上下関係において、他の鉄筋5が鉄筋1よりもコンクリート8の表面8a,8b側に位置する場合について説明した。しかしながら、本発明は、これに限定されるものではなく、鉄筋1が他の鉄筋5よりもコンクリート8の表面8a,8b側に位置するようにしてもよい。この場合においても、鉄筋1と他の鉄筋5とを鉄筋1の重合部3の重合側(主面3a側)で互に重なり合うように交差させることにより、交差部6の厚さTを薄くすることができる。
また、上述の実施形態1では、鉄筋1の非重合部4を円形の断面形状で形成した場合について説明した。しかしながら、本発明は、この円形の断面形状に限定されるものではなく、非重合部4の断面形状を三角形以上の多角形、若しくは楕円形状で形成してもよい。
また、上述の実施形態1では、鉄筋1と立体交差させる他の鉄筋5として既存の鉄筋を用いた場合について説明したが、既存の鉄筋の代わりに本発明を適用した鉄筋を用いてもよい。
(実施形態2)
上述の実施形態1では、鉄筋1及びこの鉄筋1を使用した有筋コンクリート構造物7について説明したが、この実施形態2では、本発明を適用した鉄筋ユニット及びこの鉄筋ユニットを使用した有筋コンクリート構造物について説明する。
図7及び図8に示すように、本発明の実施形態2に係る鉄筋ユニット10は、互いに立体交差して配置された第1の鉄筋11及び第2の鉄筋21を備えている。
第1及び第2の鉄筋11,21の各々は、各々の長さ方向Ld12,Ld22に延伸する鉄筋本体12,22を有している。そして、鉄筋本体12,22の各々には、各々の長さ方向Ld12,Ld22と直交する重合方向Pd2(図9乃至図12参照)に互いに重なり合う重合部13,23が互いに重なり合わない非重合部14,24を隔てて長さ方向Ld12,Ld22に繰り返し配置されている。第1の鉄筋11は、長さ方向Ld12及び重合方向Pd2と直交する幅方向Wd12に所定の間隔を置いて繰り返し配置されている。第2の鉄筋21は、長さ方向Ld22及び重合方向Pd2と直交する幅方向Wd22に所定の間隔をおいて繰り返し配置されている。この鉄筋ユニット10においても、有筋コンクリード構造物の構築や補修或いは補強などに使用される。
ここで、第1の鉄筋11の長さ方向Ld12は第2の鉄筋21の幅方向Wd22に対応し、第1の鉄筋11の幅方向Wd12は第2の鉄筋21の長さ方向Ld22に対応する。
第1及び第2の鉄筋11,21の各々の非重合部14,24は、上述した実施形態2の非重合部4と同様に、例えば長さ方向Ld12,Ld22に延伸する円柱形状になっており、図10及び図12に示すように、長さ方向Ld12,Ld22と直交する断面の形状が円形になっている。この実施形態2においても、非重合部14,24の外周面は凹凸が無い滑らかな曲面形状になっているが、異形鉄筋のようにリブや節などを設けて凹凸を有する曲面形状にしてもよい。
第1の鉄筋11の重合部13は、上述した実施形態1の重合部3と同様に、図9に示すように、第2の鉄筋21と重なり合う重合側(向かい合う対向側)が非重合部14よりも内方に一段低くなっていると共に、図10に示すように、幅方向Wd12において非重合部14よりも幅広になっている。具体的には、重合部13は、図9に示すように、重合方向Pd2に測った外形寸法E13が非重合部14で重合方向Pd2に測った外形寸法E14よりも小さくなっていると共に、図10に示すように、幅方向Wd12に測った外形寸法W13が非重合部14で幅方向Wd12に測った外形寸法W14よりも大きくなっている。すなわち、第1の鉄筋11は、第2の鉄筋21と重なり合う重合側に非重合部14の外形寸法E14と重合部13の外形寸法E13との寸法差(E14−E13)に相当する段差が設けられている。
重合部13は、上述した実施形態1の重合部3と同様に、図9及び図11に示すように、第2の鉄筋21と重なり合う重合側に設けられた主面13aと、この主面13aとは反対側に設けられた裏面13bとを有し、長さ方向Ld12と直交する断面の形状が偏平形状になっている。主面13a及び裏面13bは、長さ方向Ld12及び幅方向Wd12に広がる平面になっている。主面13aは第2の鉄筋21と接触する接触面となる。主面13aは、図9に示すように、重合方向Pd2において、非重合部14の最上部14aよりも内方に位置している。一方、裏面13bは、重合方向Pd2において、非重合部14の最下部14bと同一の位置となっている。
第2の鉄筋21の重合部23は、上述した実施形態1の重合部3と同様に、図11に示すように、第1の鉄筋11と重なり合う重合側(向かい合う対向側)が非重合部24よりも内方に一段低くなっていると共に、図12に示すように、幅方向Wd22において非重合部24よりも幅広になっている。具体的には、重合部23は、図11に示すように、重合方向Pd2に測った外形寸法E23が非重合部24で重合方向Pd2に測った外形寸法E24よりも小さくなっていると共に、図12に示すように、幅方向Wd22に測った外形寸法W23が非重合部24で幅方向Wd22に測った外形寸法W24よりも大きくなっている。すなわち、第2の鉄筋21は、第1の鉄筋11と重なり合う側に非重合部24の外形寸法E24と重合部23の外形寸法E23との寸法差(E24−E23)に相当する段差が設けられている。
重合部23は、上述した実施形態1の重合部3と同様に、第1の鉄筋11と重なり合う重合側に設けられた主面23aと、この主面23aとは反対側に設けられた裏面23bとを有し、長さ方向Ld22と直交する断面の形状が偏平形状になっている。主面23a及び裏面23bは、図11及び図9に示すように、長さ方向Ld22及び幅方向Wd22に広がる平面になっている。主面23aは第1の鉄筋11と接触する接触面となる。主面23aは、図11に示すように、重合方向Pd2において、非重合部24の最上部24aよりも内方に位置している。一方、裏面23bは、重合方向Pd2において、非重合部24の最下部24bと同一の位置となっている。
図9及び図11に示すように、第1の鉄筋11の重合部13と第2の鉄筋21の重合部23とは、各々の主面(13a,23a)同士を向かい合わせて接触させた状態で溶接にて接合されている。重合部13,23は、例えば、断面が円形の棒鋼を熱間圧延によって製造するとき、棒鋼の所定領域を治具で圧着して押し潰すことにより容易に成形することができる。
ここで、重合部13,23も、上述した実施形態1と同様に、重合部13,23が偏平形状になっているので、重合方向Pd2に測った外形寸法E13,E23は、重合部13,23の厚さに相当する。また、非重合部14,24も、上述した実施形態1と同様に、断面の形状が円形になっているので、非重合部14,24で重合方向Pd2に測った外形寸法E14,E24及び幅方向Wd12,Wd22に測った外形寸法W14,W24は、非重合部14,24の直径に相当する。
なお、重合部13,23の長さ方向Ld12,Ld22の長さは、非重合部14,24の長さ方向Ld12,Ld22の長さよりも短くなっている。重合部13,23の配列ピッチは、第1及び第2の鉄筋11,21を配筋するときの配列ピッチに合わせて設定することが好ましい。第1の鉄筋11の重合部13の長さ方向Ld12の長さは、重合部13と重なり合う第2の鉄筋21の重合部23の幅方向Wd22に測った外形寸法W23よりも若干長くすることが好ましい。また、第2の鉄筋21の重合部23の長さ方向Ld22の長さは、重合部23と重なり合う第1の鉄筋11の重合部13の幅方向Wd12に測った外形寸法W13よりも若干長くすることが好ましい。
また、この実施形態2においても、第1及び第2の鉄筋11,21は、重合部13,23が非重合部14,24に対して異形の偏平形状になっているが、非重合部14,24で重合方向Pd2に測った外形寸法E14,E24及び幅方向Wd12,Wd22に測った外形寸法W14,W24を第1及び第2の鉄筋11,21の外形寸法(高さ及び幅,円形の場合は径)として表すことが好ましい。
また、この実施形態2においても、第1及び第2の鉄筋11,21として、重合部13,23での長さ方向Ld12,Ld22と直交する断面のサイズ(外形寸法E13,E23×外形寸法W13,W23)及び非重合部14,24での長さ方向Ld12,Ld22と直交する断面のサイズ(外形寸法E14=E24=W14=W24=直径)が同等のものを用いている。
第1及び第2の鉄筋11,21の各々の重合部13,23が重なり合った状態で交差する交差部26の厚さT26(図9及び図11参照)は、第1及び第2の鉄筋11,21の各々の非重合部14,24で重合方向Pd2に測った外形寸法E13,E23(図10及び図12参照)を加算した値よりも薄くなっている。
この実施形態2の鉄筋ユニット10において、第1の鉄筋11及び第2の鉄筋の21各々は、上述したように、互いに重なり合う重合側で重合部13,23が非重合部14,24よりも内方に一段低くなっている。したがって、この実施形態2の鉄筋ユニット10では、第1の鉄筋11の重合部13が一段低い分(第1の鉄筋11の重合部13と非重合部14との重合側での段差)、及び第2の鉄筋21の重合部23が一段低い分(第2の鉄筋21の重合部23と非重合部24との重合側での段差に相当する分)、第1の鉄筋11と第2の鉄筋21とが重なり合って交差する交差部26の厚さT26を薄くすることができる。この実施形態2では、重合部13,23での重合方向Pd2の外形寸法E13,E23は非重合部14,24での重合方向Pd2の外形寸法E14,E24の概ね1/2になっているので、交差部26の厚さT26を非重合部14,24での外形寸法E14,E24と同程度にすることができる。
また、重合部13,23は、上述したように、幅方向Wd12,Wd22において非重合部14,24よりも幅広になっている。したがって、重合部13,23での長さ方向Ld12,Ld22と直交する断面の面積を幅方向Wd12,Wd22に稼ぐことができるので、重合部13,23が非重合部14,24よりも内方に一段低くなっていても、重合部13,23での長さ方向Ld12,Ld22と直交する断面の面積と非重合部14,24での長さ方向Ld12,Ld22と直交する断面の面積とを同一にすることができる。
また、重合部13,23と非重合部14,24とで断面の面積を同一にすることができるので、重合部13,23を非重合部14,24よりも内方に一段低くしても重合部13,23での長さ方向Ld12,Ld22の引っ張り強度を非重合部14,24での長さ方向Ld12,Ld22の引っ張り強度と同一にすることができる。すなわち、本発明の実施形態2に係る鉄筋ユニット10においても、第1及び第2の鉄筋11,21の各々の長さ方向Ld12,Ld22の引っ張り強度を確保しつつ、第1及び第2の鉄筋11,21が重なり合って交差する交差部26の厚さT26を薄くすることができる。
次に、本発明の実施形態2に係る鉄筋ユニット10を使用した有筋コンクリート構造物27について、図13を用いて説明する。
図13に示すように、有筋コンクリート構造物27は、コンクリート28と、このコンクリート28内に埋設された鉄筋ユニット10を具備している。図13においても有筋コンクリート構造物27の一部を図示している関係からコンクリート28が3つの層に分かれているように描かれているが、コンクリート28は一体になっている。そして、コンクリート28は、少なくとも互いに反対側に位置する2つの表面(surface)28a,28bを有している。この実施形態2においても、上述の実施形態1と同様に、図13では一例として床スラブの場合を示している。
鉄筋ユニット10は、コンクリート28の一方の表面28a側及び他方の表面28b側にそれぞれ配筋されている。そして、鉄筋ユニット10の第1の鉄筋11及び第2の鉄筋21は、コンクリート28の一方及び他方の表面28a,28b側において、各々の重合部13,23の重合側で互いに重なり合って立体交差するように組まれている。そして、コンクリート28の2つの表面28a,28bは、第1の鉄筋11と第2の鉄筋21とが重なり合う重合方向Pd2において互いに反対側に位置している。したがって、第1及び第2の鉄筋11,21の各々の重合部13,23が一段低い分、第1の鉄筋11と第2の鉄筋21とが重なり合って交差する交差部26の厚さT26が薄くなるため、この交差部26の厚さT26の影響を受けるコンクリート28の厚さを薄くすることができる。これにより、この実施形態2の有筋コンクリート構造物27においても、コンクリート28の表面28a,28bから、このコンクリート28の表面28a,28bに最も近い例えば第1及び第2の鉄筋11,21までの最短距離であるコンクリート28のかぶり厚Ct28を薄くすることなく、有筋コンクリート構造物27でのコンクリート28の厚さ(第1の鉄筋11と第2の鉄筋21との重合方向Pd2に沿う厚さ)を薄くすることができる。
また、この実施形態2の鉄筋ユニット10は、第1及び第2の鉄筋11,21の各々の重合部13,23が一段低くなっているため、第1及び第2の鉄筋11,21の何れか一方を一段低くする場合と比較して交差部26の厚さT26をより薄くすることができる。
また、コンクリート28の厚さを薄くすることができることから、コンクリート8の量を削減することができるので、有筋コンクリート構造物27の低コスト化を図ることができると共に、有筋コンクリート構造物27自体を軽量化することができる。
なお、上述した実施形態2では、第1の鉄筋及び第2の鉄筋として同一サイズのものを用いた場合について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、第1及び第2の鉄筋として異なるサイズのものを用いてもよい。
また、上述した実施形態2では、第1及び第2の鉄筋11,21の各々の重合部13,23を一段低くした場合について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、第1及び第2の鉄筋11,21の少なくとも何れか一方の重合部(13又は23)を一段低くするようにしてもよい。
(実施形態3)
この実施形態3では、本発明の鉄筋ユニットとして実施形態2の鉄筋ユニット10を用いて有筋コンクリート構造物30の補強を実施した場合について、図14を用いて説明する。
図14に示すように、有筋コンクリート構造物30は、少なくとも互いに反対側に位置する2つの表面31a及び31bを有する既存のコンクリート31と、このコンクリート31内に埋設された第1の鉄筋32および第2の鉄筋33と、コンクリート31の一方の表面31aとは反対側に位置する他方の表面31b側に設けられた補強部34とを具備している。
第1及び第2の鉄筋32,33の各々は、一端側から他端側に亘って同一の形状で形成され、長さ方向と直交する断面の形状が例えば円形で形成されている。補強部34は、例えばポリマーセメントモルタル材からなるモルタル層35と、このモルタル層35内に埋設された鉄筋ユニット10とを具備している。モルタル層35は、コンクリート31の他方の表面31bに密着して設けられている。そして、モルタル層35は、コンクリート31の他方の表面31b側とは反対側に表面35aを有している。図14においても、有筋コンクリート構造物30の一部を図示している関係からコンクリート31が3つの層に分かれているように描かれているが、コンクリート31は一体となっている。また、モルタル層35も2つの層に分かれているように描かれているがモルタル層35も一体となっている。この実施形態3においても、上述の実施形態1と同様に、図14では一例として床スラブの場合を示している。
補強部34は、コンクリート31の他方の表面31b側に鉄筋ユニット10を配置した後、コンクリート31の他方の表面31bに向かって生モルタルを吹き付け法によって吹き付けてモルタル層35を形成することによって構築される。
鉄筋ユニット10は、実施形態2で説明したように、第1の鉄筋11と第2の鉄筋21とが各々の重合部13,23の重合側で互いに重なり合って立体交差するように組まれている。そして、モルタル層35は、第1の鉄筋11と第2の鉄筋21とが重なり合う重合方向Pd2に厚さを有している。
したがって、第1及び第2の鉄筋11,21の各々の重合部13,23が一段低くなっている分、第1の鉄筋11と第2の鉄筋21とが重なり合って交差する交差部26の厚さT26が薄くなるため、この交差部26の厚さT26の影響を受けるモルタル層35の厚さを薄くすることができる。これにより、この実施形態3の補強部34においても、モルタル層35の表面35aから、このモルタル層35の表面35aに最も近い第2の鉄筋21までの最短距離であるモルタル層35のかぶり厚Ct35を薄くすることなく、モルタル層35の厚さを薄くすることができる。
なお、上述の実施形態3では、補強部34の構築に使用される鉄筋ユニットとして、第1及び第2の鉄筋11,21の各々の重合部13,23が非重合部14,24よりも内方に一段低い鉄筋ユニット10を用いた場合について説明した。しかしながら、補強部34の構築では、第1及び第2の鉄筋11,21の少なくとも何れか一方の重合部(13又は23)を一段低くした鉄筋ユニットを用いても、モルタル層35の厚さを薄くすることができる。また、補強部34の構築では、上述した実施形態1の鉄筋1を用いてもよい。
以上、本発明を上記実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。
例えば、上述の実施形態では有筋コンクリート構造物の補強材として使用される鉄筋及び鉄筋ユニットについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、有筋コンクリート構造物や有筋モルタル構造物などのセメント系固化構造物の補強材として使用される鉄筋及び鉄筋ユニットに適用することができる。
1…鉄筋
2…鉄筋本体
3…重合部
4…非重合部
5…鉄筋
6…交差部
7…有筋コンクリート構造物
8…コンクリート
10…鉄筋ユニット
11…第1の鉄筋
12…鉄筋本体
13…重合部
14…非重合部
21…第2の鉄筋
22…鉄筋本体
23…重合部
24…非重合部
26…交差部
27…有筋コンクリート構造物
28…コンクリート
30…有筋コンクリート構造物
31…コンクリート
32…第1の鉄筋
33…第2の鉄筋
34…補強部
35…モルタル層
t8,Ct28,Ct35…かぶり厚
d2,Ld12,Ld22…長さ方向
d1,Pd2…重合方向
,T26…厚さ(交差部)
d2,Wd12,Wd22…幅方向
,E,E12,E13,E22,E23…外形寸法(重合方向)
,W,W12,W13,W22,W23…外形寸法(幅方向)

Claims (7)

  1. 立体交差するようにして他の鉄筋と重合方向に重なり合う重合部が非重合部を隔てて前記重合部と直交する長さ方向に繰り返し配置された鉄筋本体を有し、
    前記重合部は、前記他の鉄筋と重なり合う側が前記非重合部よりも内方に一段低くなっていると共に、前記重合方向及び長さ方向と直交する幅方向において前記非重合部よりも幅広になっていることを特徴とする鉄筋。
  2. 前記重合部は、前記長さ方向と直交する断面の面積が前記非重合部での断面の面積と同一になっていることを特徴とする請求項1に記載の鉄筋。
  3. 前記重合部は、前記重合方向に測った外形寸法が前記非重合部で前記重合方向に測った外形寸法の1/2以下になっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の鉄筋。
  4. 前記重合部は、前記他の鉄筋と重なり合う側に前記長さ方向及び幅方向に広がる平面を有することを特徴とする請求項3に記載の鉄筋。
  5. 互いに立体交差して配置された第1の鉄筋及び第2の鉄筋を備えた鉄筋ユニットであって、
    前記第1及び第2の鉄筋の各々は、重合方向に互いに重なり合う重合部が非重合部を隔てて長さ方向に繰り返し配置された鉄筋本体を有し、
    前記第1及び第2の鉄筋の少なくとも何れか一方の重合部は、他方の重合部と重なり合う側が前記一方の非重合部よりも内方に一段低くなっていると共に、前記重合方向及び前記長さ方向と直交する幅方向において前記一方の非重合部よりも幅広になっていることを特徴とする鉄筋ユニット。
  6. 前記一方の重合部は、前記一方の鉄筋本体の長さ方向と直交する断面の面積が前記一方の非重合部での断面の面積と同一になっていることを特徴とする請求項5に記載の鉄筋ユニット。
  7. 前記第1及び第2の鉄筋の各々の重合部が重なり合った状態で交差する交差部の厚さは、前記第1及び第2の鉄筋の各々の非重合部で前記重合方向に測った外形寸法を加算した値よりも薄いことを特徴とする請求項6に記載の鉄筋ユニット。
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