JP2018090884A - リン酸エステル組成物、及びそれを用いたリン酸エステルによる鉄鋼材料の腐食抑制方法 - Google Patents

リン酸エステル組成物、及びそれを用いたリン酸エステルによる鉄鋼材料の腐食抑制方法 Download PDF

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Abstract

【課題】リン酸エステルによる腐食を抑制されたリン酸エステル組成物、及びそれを用いた腐食抑制方法を提供する。
【解決手段】リン酸エステルと芳香族アミンとを含有する、リン酸エステルの腐食性が抑制されたリン酸エステル組成物に関する。鉄鋼材料に対して腐食性のある濃度でリン酸エステルを含有するリン酸エステル組成物による鉄鋼材料の腐食を抑制する方法であって、前記リン酸エステル組成物として、リン酸エステルと芳香族アミンとを含むリン酸エステル組成物を使用することを含む、腐食抑制方法に関する。
【選択図】なし

Description

本開示は、リン酸エステル組成物、及びそれを用いたリン酸エステルによる鉄鋼材料の腐食を抑制する方法に関する。
リン酸エステルは、石油精製プロセスにおける原油中のナフテン酸による腐食を防止するための防食剤(例えば、特許文献1)や、石油プロセスにおける予熱交のアスファルテン由来の汚れを防止するための汚れ防止剤(例えば、特許文献2)として使用されている。
特開平08−311671号公報 WO2015/022979
しかしながら、リン酸エステル、特にリン酸エステルが原液のような高濃度の場合、腐食性が高く、貯蔵タンクや配管に、ハステロイ(商標)等の耐食材料を使用しなければいけないという問題がある。
本開示は、一態様において、リン酸エステルによる腐食性が低減されたリン酸エステル組成物、及びそれを用いたリン酸エステルによる腐食を抑制可能な方法を提供する。
本開示は、一態様において、リン酸エステルと芳香族アミンとを含有する、リン酸エステルの腐食性が抑制されたリン酸エステル組成物に関する。
本開示は、その他の態様において、鉄鋼材料に対して腐食性のある濃度でリン酸エステルを含有するリン酸エステル組成物による鉄鋼材料の腐食を抑制する方法であって、前記リン酸エステル組成物として、リン酸エステルと芳香族アミンとを含むリン酸エステル組成物を使用することを含む腐食抑制方法に関する。
本開示によれば、一又は複数の実施形態において、リン酸エステルによる腐食を抑制することができる。
上記の通り、本発明者はリン酸エステル系の防食剤が、予熱交におけるアスファルテン由来の汚れ防止に特に有用であることを見出している(特許文献2)。このため、従来の汚れ防止剤に代えてリン酸エステルを使用したところ、一般的な汚れ防止剤の貯蔵タンク及び薬注設備に使用されている炭素鋼やステンレス鋼では、リン酸エステルによる腐食が生じるという問題があった。特に、リン酸エステルの腐食性は、リン酸エステルの温度の上昇に伴い顕著となる。注入点では高いところはリン酸エステルの温度はおよそ200℃まであがる。このため、従来の薬注設備ではリン酸エステルの腐食に耐えることができず、薬注設備の材質を耐食材料に変更しなければならないという問題がある。
この問題を解決するために研究を重ねた過程で、芳香族アミンをリン酸エステルに添加すれば、リン酸エステルの腐食性を低減できることを見出した。
本開示によれば、一又は複数の実施形態において、リン酸エステル、特に高温の炭化水素系におけるナフテン酸による腐食を防止する高温用防食剤として利用されるリン酸エステルによる炭素鋼やステンレス鋼等の腐食を抑制できることができる。本開示によれば、一又は複数の実施形態において、薬注設備を変更することなく従来の薬注設備を使用し、リン酸エステルによる石油プロセスにおける汚れや腐食の防止又は抑制を行うことができる。
本開示において「リン酸エステルによる腐食を抑制する」とは、リン酸エステルによる腐食を抑制、低減及び/又は防止することを含む。また、一又は複数の実施形態において、リン酸エステル(汚れ防止剤/防食剤)の貯蔵タンク及び配管等を含む薬注設備におけるリン酸エステルによる腐食を抑制、低減及び/又は防止することを含む。
本開示において「石油プロセス」とは、原油等の炭化水素を原料とし、これらから各種石油製品が製造されるまでの工程の全部又は一部をいう。石油プロセスは、一又は複数の実施形態において、原油等の炭化水素を加熱すること、加熱したこれらの炭化水素を常圧蒸留装置において沸点の差を利用してLPG、ナフサ等の揮発油及び軽油等といった各種成分に分離することを少なくとも含みうる。
[リン酸エステル組成物]
本開示は、一態様において、リン酸エステルと芳香族アミンとを含有する、リン酸エステルの腐食性が抑制されたリン酸エステル組成物に関する。本開示のリン酸エステル組成物は、一又は複数の実施形態において、有効成分としてリン酸エステルを含有し、腐食抑制剤として芳香族アミンを含有する。本開示のリン酸エステル組成物によれば、芳香族アミンを含有することから、一又は複数の実施形態において、リン酸エステルによる鉄鋼材料の腐食を抑制することができる。
本開示のリン酸エステル組成物におけるリン酸エステルの含有量は、一又は複数の実施形態において、5重量%以上、10重量%以上若しくは30重量%以上であり、又は50重量%以下である。
本開示のリン酸エステル組成物における芳香族アミンの含有量は、一又は複数の実施形態において、1重量%以上、2重量%以上若しくは3重量%以上であり、又は10重量%以下である。
本開示のリン酸エステル組成物におけるリン酸エステルと芳香族アミンとの量比(リン酸エステル/芳香族アミン)は、一又は複数の実施形態において、50/1〜1/2である。
本開示におけるリン酸エステルとしては、一又は複数の実施形態において、石油プロセスにおいて防食剤又は汚れ防止剤として使用される又は今後使用されるリン酸エステルが挙げられる。リン酸エステルとしては、一又は複数の実施形態において、高温用防食剤として使用されるリン酸エステルが挙げられる。高温用防食剤としては、一又は複数の実施形態において、200℃以上で防食効果が発揮される防食剤が挙げられる。
本開示におけるリン酸エステルとしては、一又は複数の実施形態において、酸性リン酸エステルが挙げられる。
本開示におけるリン酸エステルとしては、一又は複数の実施形態において、下記式(I)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2018090884
式(I)において、R1及びR2は、同一又は異なり、水素原子、又は1〜30個の炭素原子を有する基である。R3は、1〜30個の炭素原子を有する基である。1〜30個の炭素原子を有する基としては、一又は複数の実施形態において、炭素数1以上30以下のアルキル基、炭素数6以上30以下のアリール基、炭素数7以上30以下のアルアルキル基、又は炭素数7以上30以下のアルキルアリール基が挙げられる。アルキル基、アリール基、アルアルキル基、及びアルキルアリール基は、一又は複数の実施形態において、置換基を有していてもよい。アルキル基は、一又は複数の実施形態において、直鎖アルキル基であってもよいし、分岐鎖アルキル基であってもよい。
1及びR2は、一又は複数の実施形態において、一方又は双方が水素原子である。
1が水素原子であって、R2が1〜30個の炭素原子を有する基である場合、一又は複数の実施形態において、R2及びR3は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
1、R2、及びR3がいずれも1〜30個の炭素原子を有する基である場合、R1、R2、及びR3は、同一又は異なり、炭素数1以上30以下のアルキル基、炭素数6以上30以下のアリール基、炭素数7以上30以下のアルアルキル基、又は炭素数7以上30以下のアルキルアリール基である。
本開示において「芳香族アミン」とは、アミノ基を有する芳香族化合物をいう。本開示におけるアミノ基としては、一又は複数の実施形態において、アミノ基、1つ又は2つの水素原子が炭化水素基で置換された置換アミノ基が挙げられる。芳香族アミンは、一又は複数の実施形態において、アミノ基を有する芳香族化合物であって、置換基を有する又は無置換の化合物が挙げられる。アミノ基の数は、一又は複数の実施形態において、1個であってもよいし、2個以上であってもよい。芳香族アミンは、一又は複数の実施形態において、1種類で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
芳香族アミンとしては、一又は複数の実施形態において、アリーレンジアミン、アリールアルキルアミン若しくはアリールアミン、又はそれらの誘導体が挙げられる。アリーレンジアミンとしては、一又は複数の実施形態において、フェニレンジアミン及びその誘導体が挙げられる。アリールアルキルアミンとしては、一又は複数の実施形態において、ベンジルアミン及びその誘導体が挙げられる。
フェニレンジアミン及びその誘導体としては、一又は複数の実施形態において、下記式(II)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2018090884
式(II)において、R11、R12、及びR13は同一又は異なり、水素原子、炭素数1以上20以下のアルキル基又は炭素数6以上12以下のアリール基である。アルキル基及びアリール基は、一又は複数の実施形態において、置換基を有していてもよい。置換基としては、一又は複数の実施形態において、炭素数1以上6以下のアルキル基、及び炭素数6以上12以下のアリール基等が挙げられる。アルキル基は、直鎖アルキル基であってもよいし、分岐鎖アルキル基であってもよい。
フェニレンジアミンの誘導体としては、一又は複数の実施形態において、N,N’−ジ−sec−ブチル−1,4−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1,4−ジメチルペンチル)−1,4−フェニレンジアミン、N−(1,4−ジメチルペンチル)−N’−フェニル−1,4−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−1,4−フェレンジアミン、N−フェニル−N’−イソプロピル−1,4−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−フェニル−1,4−フェニレンジアミン、又はN,N’−ジ−2−ナフチル−1,4−フェニレンジアミン等が挙げられる。フェニレンジアミン及びその誘導体は、一又は複数の実施形態において、1種類で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
[腐食抑制方法]
本開示は、一態様において、リン酸エステルによる腐食を抑制する方法(本開示の腐食抑制方法)に関する。本開示の腐食抑制方法は、一又は複数の実施形態において、鉄鋼材料に対して腐食性のある濃度でリン酸エステルを含有するリン酸エステル組成物による鉄鋼材料の腐食を抑制する方法であって、前記リン酸エステル組成物として、リン酸エステルと芳香族アミンとを含むリン酸エステル組成物を使用することを含む腐食抑制方法である。本開示の腐食抑制方法は、一又は複数の実施形態において、本開示のリン酸エステル組成物を用いて行うことができる。
鉄鋼材料としては、一又は複数の実施形態において、耐食材料ではない鉄鋼材料が挙げられる。鉄鋼材料としては、一又は複数の実施形態において、炭素鋼、又は高温環境下におけるステンレス鋼等が挙げられる。
鉄鋼材料に対して腐食性のある濃度としては、一又は複数の実施形態において、リン酸エステルの濃度が、5重量%以上、10重量%以上又は30重量%以上であることが挙げられる。
また、鉄鋼材料に対して腐食性のある濃度としては、一又は複数の実施形態において、リン酸エステルの鉄鋼材料に対する腐食度(MDD)が、100以上又は200以上となるリン酸エステルの濃度が挙げられる。腐食度は、一又は複数の実施形態において、本開示の実施例における防食効果確認試験1又は2に記載の試験装置及び試験条件に準じて試験を行うことにより求めることができる。また、腐食度は、試験温度によっても変化することから、リン酸エステル組成物が使用される(使用されうる)温度に応じて試験温度を設定することが好ましい。
リン酸エステル組成物は、一又は複数の実施形態において、石油プロセスにおける汚れ防止及び防食の少なくとも一方を目的として石油プロセスのプロセス流体に供給されるリン酸エステル組成物である。該態様において、鉄鋼材料としては、一又は複数の実施形態において、石油プロセスにおける汚れ防止剤又は防食剤のための貯蔵タンク及び/又は薬注設備に用いられる鉄鋼材料挙げられる。本開示の腐食抑制方法は、一又は複数の実施形態において、リン酸エステル組成物を、前記石油プロセスのプロセス流体に供給することを含む。
本開示において「プロセス流体」とは、石油プロセスにおいて供される液体又は気体をいう。プロセス流体としては、一又は複数の実施形態において、石油プロセスにおいて処理される原油又はこれら由来の炭化水素等が挙げられる。プロセス流体としては、特に限定されない一又は複数の実施形態において、石油精製プロセスにおいて予熱交に供給される液体、予熱交内の液体、加熱炉に供給される液体、加熱炉内の液体、蒸留塔に供給される液体、又は蒸留塔内の液体等が挙げられる。
[リン酸エステルの供給方法]
本開示は、一態様において、石油プロセスにおけるリン酸エステルを供給する方法(本開示の供給方法)に関する。本開示のリン酸エステル組成物を、石油プロセスのプロセス流体に供給することを含む。
本開示の供給方法は、一又は複数の実施形態において、前記石油プロセスにおける汚れ防止及び防食の少なくとも一方を目的として、リン酸エステルを石油プロセスのプロセス流体に供給することを含む、
本開示は、以下の一又は複数の実施形態に関しうる;
〔1〕 リン酸エステルと芳香族アミンとを含有する、リン酸エステルの腐食性が抑制されたリン酸エステル組成物。
〔2〕 リン酸エステルの含有量は、5重量%以上である、〔1〕記載のリン酸エステル組成物。
〔3〕 前記リン酸エステルは、石油プロセスにおける汚れ防止剤及び防食剤の少なくとも一方として前記石油プロセスのプロセス流体に添加されるリン酸エステルである、〔1〕又は〔2〕記載のリン酸エステル組成物。
〔4〕 前記リン酸エステルは、下記式(I)で表されるリン酸エステル化合物である、〔1〕から〔3〕のいずれかに記載のリン酸エステル組成物。
Figure 2018090884
式(I)において、R1及びR2は、同一又は異なり、水素原子、又は1〜30個の炭素原子を有する基である。R3は、1〜30個の炭素原子を有する基である。
〔5〕 前記芳香族アミンは、アリーレンジアミン、アリールアミン、及びアリールアルキルアミン、並びにこれらの誘導体からなる群から選択される、〔1〕から〔4〕のいずれかに記載のリン酸エステル組成物。
〔6〕 前記芳香族アミンは、フェニレンジアミン及びベンジルアミン並びにこれらの誘導体からなる群から選択される、〔1〕から〔5〕のいずれかに記載のリン酸エステル組成物。
〔7〕 前記フェニレンジアミンの誘導体は、N,N’−ジ−sec−ブチル−1,4−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1,4−ジメチルペンチル)−1,4−フェニレンジアミン、N−(1,4−ジメチルペンチル)−N’−フェニル−1,4−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−1,4−フェレンジアミン、N−フェニル−N’−イソプロピル−1,4−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−フェニル−1,4−フェニレンジアミン、及びN,N’−ジ−2−ナフチル−1,4−フェニレンジアミン、並びにこれらの2又はそれ以上の組み合わせからなる群から選択される、〔6〕記載のリン酸エステル組成物。
〔8〕 鉄鋼材料に対して腐食性のある濃度でリン酸エステルを含有するリン酸エステル組成物による鉄鋼材料の腐食を抑制する方法であって、
前記リン酸エステル組成物として、リン酸エステルと芳香族アミンとを含むリン酸エステル組成物を使用することを含む、腐食抑制方法。
〔9〕 前記リン酸エステル組成物は、石油プロセスにおける汚れ防止及び防食の少なくとも一方を目的として前記石油プロセスのプロセス流体に供給されるリン酸エステル組成物である、〔8〕記載の腐食抑制方法。
〔10〕 前記鉄鋼材料に対して腐食性のある濃度は、リン酸エステルの濃度が5重量%以上、10重量%以上又は30重量%以上である、〔8〕又は〔9〕記載の腐食抑制方法。
〔11〕 前記鉄鋼材料に対して腐食性のある濃度は、鉄鋼材料に対する腐食度(MDD)が、100以上又は200以上を示すリン酸エステルの濃度である、〔8〕から〔10〕のいずれかに記載の腐食抑制方法。
以下の実施例に基いて本開示を説明するが、本開示はこれに限定されるものではない。
[薬剤]
実施例及び比較例において、下記の薬剤を使用した。
リン酸エステル:高温用防食剤として使用されるリン酸エステル
PDA1:N,N’−Di−sec−butyl−1,4−phenylenediamine
PDA2:N,N’−Bis(1,4−Dimethylpentyl)−P−phenylenediamine
ベンジルアミン
DEHA:N,N−Diethylhydroxyamine
ドデシルアミン
[テストピース]
下記の2種類のテストピースを準備した。
カーボンスチール:10mm×60mm×1mm、SPCC、7.85g/cm3
ステンレス鋼:10mm×60mm×1mm、SUS304、7.93g/cm3
[防食効果確認試験1]
カーボンスチール製のテストピースを用い、以下の手順で防食効果確認試験を行った。
まず、ヘビーアロマティックナフサを溶媒としてリン酸エステル30重量%と下記表1の薬剤を所定濃度になるように調整した溶液100mlを、100mlスクリュー管に入れた。アセトン脱脂及び乾燥を行った後、前重量を測定したテストピースをスクリュー管に入れて蓋をし、50℃の高温槽で、7日間静置した。
ブランクは、薬剤を加えない以外は、上記と同様にして行った。
[評価]
試験終了後、テストピースを回収し、15%塩酸水溶液及び水道水にて赤錆を除去し、試験前後のテストピースの重量差から腐食度(MDD)及び侵食度(mm/y)を下記式から算出した。その結果を下記表1に示す。
腐食度(MDD)=(M1−M2)/(S×T)
侵食度(mm/y)=MDD×{365×10-4}/d
1:テストピースの試験前の質量(mg)
2:テストピースの試験後の質量(mg)
S:テストピースの表面積(dm2
T:試験日数
d:テストピースの密度(g/cm3
Figure 2018090884
表1に示す通り、芳香族アミンを添加した実施例1〜3では、リン酸エステルによるカーボンスチールの腐食を防止することができた。
[防食効果確認試験2]
ステンレス鋼製のテストピースを用い、以下の手順で防食効果確認試験を行った。
150℃で試験を行うため、JIS K2276(石油製品−航空燃料油試験方法)の酸化安定度試験方法に記載されている酸化安定度試験器とボンベ一式と試験容器一式を用いた。まず、ヘビーアロマティックナフサを溶媒としてリン酸エステル30重量%と下記表2の薬剤とを所定濃度になるように調整した溶液100mlを、ガラス製の試験容器に入れた。アセトン脱脂及び乾燥を行った後、前重量を測定したテストピースを試験容器に入れてカバーをかけたら、ボンベに入れた後ボンベ内の酸素を窒素置換するために0.5MPaで窒素を注入して開放する操作を3回繰り返し3回目は窒素を圧入した状態で密閉した。酸化安定度試験器に窒素置換後のボンベを入れて150℃の高温槽で、3日間静置した。試験終了後、防食効果確認試験1と同様の評価を行った。その結果を下記表2に示す。
ブランクは、薬剤を加えない以外は、上記と同様にして行った。
Figure 2018090884
表2に示すように、PDA1を添加した実施例4〜6では、試験温度が150℃の場合であっても、リン酸エステルによるステンレス鋼の腐食を防止することができた。

Claims (9)

  1. リン酸エステルと芳香族アミンとを含有する、リン酸エステルの腐食性が抑制されたリン酸エステル組成物。
  2. リン酸エステルの含有量は、5重量%以上である、請求項1記載のリン酸エステル組成物。
  3. 前記リン酸エステルは、石油プロセスにおける汚れ防止剤及び防食剤の少なくとも一方として前記石油プロセスのプロセス流体に添加されるリン酸エステルである、請求項1又は2に記載のリン酸エステル組成物。
  4. 前記リン酸エステルは、下記式(I)で表されるリン酸エステル化合物である、請求項1から3のいずれかに記載のリン酸エステル組成物。
    Figure 2018090884
    式(I)において、R1及びR2は、同一又は異なり、水素原子、又は1〜30個の炭素原子を有する基であり、R3は、1〜30個の炭素原子を有する基である。
  5. 前記芳香族アミンは、アリーレンジアミン、アリールアミン、及びアリールアルキルアミン、並びにこれらの誘導体からなる群から選択される、請求項1から4のいずれかに記載のリン酸エステル組成物。
  6. 前記芳香族アミンは、フェニレンジアミン及びベンジルアミン並びにこれらの誘導体からなる群から選択される、請求項1から4のいずれかに記載のリン酸エステル組成物。
  7. 前記フェニレンジアミンの誘導体は、N,N’−ジ−sec−ブチル−1,4−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1,4−ジメチルペンチル)−1,4−フェニレンジアミン、N−(1,4−ジメチルペンチル)−N’−フェニル−1,4−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−1,4−フェレンジアミン、N−フェニル−N’−イソプロピル−1,4−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−フェニル−1,4−フェニレンジアミン、及びN,N’−ジ−2−ナフチル−1,4−フェニレンジアミン、並びにこれらの2又はそれ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項6記載のリン酸エステル組成物。
  8. 鉄鋼材料に対して腐食性のある濃度でリン酸エステルを含有するリン酸エステル組成物による鉄鋼材料の腐食を抑制する方法であって、
    前記リン酸エステル組成物として、リン酸エステルと芳香族アミンとを含むリン酸エステル組成物を使用することを含む、腐食抑制方法。
  9. 前記リン酸エステル組成物は、石油プロセスにおける汚れ防止及び防食の少なくとも一方を目的として前記石油プロセスのプロセス流体に供給されるリン酸エステル組成物である、請求項8記載の腐食抑制方法。
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