JP2018089967A - 機能化木材およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】木材の材質、樹種、部位などの個体差にかかわらず、薬剤を木材に含浸させ、乾燥させる。
【解決手段】紫外線レーザーによって、木材の表面の少なくとも一面に直径30μm〜90μm、深さ3mm〜10mmの孔を複数個開け、薬剤を含浸させ、乾燥させる。複数の孔は木材の材質、樹種、部位などの特質に合ったパターンを構成し、木材の繊維方向の孔のピッチは接線方向の孔のピッチよりも大きい。
【選択図】図1

Description

本発明は、不燃化、防腐化、防蟻化等の薬剤を含浸させた機能化木材およびその製造方法に関する。
木材は、軽さ、木目の風合い、加工性、断熱性など優れた特性を有する一方で、燃えやすい、腐朽しやすい、シロアリの被害を受けやすい等の弱点を有している。それらの対処のために、各種の方法が開発されている。
例えば、燃えやすいという弱点に対応するため、木材を不燃化する発明が種々開発されている。従来、木材の不燃化に当たっては、表面に金属板を貼り、熱を防ぐ方法が検討されてきた。しかし、例えば、コーンカロリーメーターを使用しての燃焼試験の場合、表面に不燃の金属層があったとしても、表面温度が500℃以上になることから、木材内部の熱による分解が250℃で始まることを阻止できない。従って、木材内部から熱分解による可燃性ガスが発生し、スパーク装置で引火し、発熱する。木材に何も措置をしない場合、発生カロリーは8MJ/20minをこえてしまう。このため、木材の表面に金属板を貼るだけでは不燃性能を発揮できないため、直接過熱されない面も何らかの不燃措置が必要となる。
そこで、木材を不燃化する別の方法として、不燃化薬剤を木材に含浸させる方法が検討されてきた。不燃化薬剤を木材に含浸させる方法としては、例えば、特開2009−269389号公報(特許文献1)に掲載された発明が知られている。これは不燃性木材の木材内部への薬剤注入のむら解消および性能向上、また、使用済み不燃木材の再利用を目的としたものである。また、特開2006−231652号公報(特許文献2)は、木材に含浸させる難燃薬剤量が少なくても、建築基準法でいう不燃木材の基準を満たすことを可能にし、非加圧式である開槽式防腐処理方法を用いて製造できるようにして、製造を容易にして製造効率の向上を図るものである。特開2003−211412号公報(特許文献3)は、木材に対して不燃化薬剤の含浸量を極力向上させ、かつ簡単に製造できる不燃木材の製造方法を提供するものである。
不燃化薬剤を木材に含浸する発明においては、木材内部へ注入された薬剤と木材成分との化学反応によって木材の燃焼を防ぐため、木材内部へ所定量の薬剤含浸することが求められるが、従来の技術においては木材の材質の個体差を均等化することが十分にはできないという問題があった。すなわち、樹種の違いによる木材細胞組成、細胞密度の違いがあるため、薬剤を注入しやすい材、しにくい材がある。例えば、薬剤注入しやすい材はスギ辺材であり、注入しにくい材はスギ心材である。スギ心材は生成後年月が経過し生物的には死んでいるが、構成要素としての働きとしては樹木の形状を物理的に維持する必要があるため、腐敗しにくい構造・構成となっている。木材腐朽菌は含水率がおおむね68%程度が最も繁殖しやすいため、心材を構成する細胞は100%以上の含水率となっているとともに、テルペン系炭化水素成分も存在し、きわめて腐敗しにくい状態となっている。また、この状態を維持するため細胞間孔は閉塞し、水分の移動がきわめて困難であり、腐朽しにくい状態を維持する構造となっている。このため、心材部分は乾燥や薬剤の注入が困難となる。
木材の密度と、不燃性能の出現とには密接な関係がある。木材の密度が高いのは単位体積当たりの木材を構成している物質が多いと言うことを示している。木材は光合成によって組成を製造している。生成されたグルコースが結合し、セルロース、ヘミセルロース、リグニンとなって木材の組織物質が生まれる。これらが多いから比重が高くなり、発生する熱量も多くなる。比重の違いによる炭素量の検討をしてみると、木材組成はグルコースの重合物質から構成されているため、構成物は全てグルコースと単純化しておこなうと、比重が0.1変化するごとに1,332J/cmの燃焼熱量が変わる。このことから、木材比重に合わせた薬剤量・構成の検討が必要である。
木材への薬剤の注入を効率的に行うために木材の選択が行われている。スギの場合、上記のことから辺材のみを用いて注入が行われている。また、節のある材料は節の部分がレジンの塊であり組成が異なるため、薬剤の注入ができないことから用いられていない。従って、薬剤を注入した木材を製造する場合の木材の材質には、辺材でかつ節の無いものしか用いることができなかった。このような木材は木材生産量の2%以下でしかないため、材料単価が高くなり製造コストを押し上げている。
また、針葉樹の場合、木材の木口を見ると年輪を観察することができるが、木材に薬剤を含浸させる時この構造が障害となっていた。年輪は木材の成長に深く関わって形成されており、色の薄い部分は早材、色の濃い部分は晩材という。早材は春から秋にかけての樹木の成長期に形成された構造であり、晩材は秋から春にかけて形成された構造である。技術的な措置をしない限り、年輪を超えて薬剤の注入はできず、繊維方向の薬剤注入が最もしやすい。その理由は以下のとおりである。木材を乾燥する場合、半径方向(木材の中心から表面へ向かう方向)を1とすると、接線方向(木材の年輪に平行な方向)は3、繊維方向(樹木が立っていた方向)が20の速度で水分が除去されるといわれている。樹木が光合成を行うには水が必要であり、その水を地面から吸い上げるため、繊維方向が最も水を通しやすい。木材に薬剤を注入するのは乾燥の可逆方向の性質であると仮定することができるため、乾燥時と同様に繊維方向が最も薬剤注入がしやすい。
不燃化薬剤を木材に注入する際に、各方向ではその浸透性が異なるため、浸透に差異が生じる。特に、晩材を半径方向に超えることはできない。このため、薬剤の注入では繊維方向に期待するしかないが、当然ながら注入される木材長が長くなれば、それだけ含浸が困難になる。
上記のような樹種の違い、年輪の構造等によって、薬剤の注入量には偏りがあるにもかかわらず、浸漬または減圧加圧による薬剤の注入は、処理前の重量、処理後の重量を測定し、その差から注入された薬剤量を想定しているため、木材表面と木材内部の注入量の差、あるいは部分に偏りがあるかどうかまでは確認することができず、薬剤想定量を確保したとしても実際には十分な不燃性能が発揮されない場合があった。不燃性能を発揮するためには炎の当たる化粧表面に薬剤が十分入る必要があり、その他の部分の薬剤量が多くても不燃効果への働きは少ないからである。
薬剤を注入した木材の使用方向は化粧面が板目(接線方向)になっていることがほとんどである。この面には半径方向に薬剤が入ることになるため、最も注入しにくい。そのため、各種の含浸技術が検討されてきた。木材への薬剤の含浸を効率的に安定的に行うための技術開発として、(1)軽度爆砕法、(2)圧縮含浸法、(3)インサイジング法等がある。
(1)軽度爆砕法
木材を飽和水蒸気雰囲気環境の中で気圧を高め、一気に圧力を解放することによって閉塞している放射状組織、細胞間孔の解放をし、薬剤含浸を高める方法である。この方法では圧力や解放のタイミングがきわめて難しく、爆砕が進行すると、内部割れが発生し、少なすぎると閉塞した孔の解放が不十分になる。また爆砕反応は木材の個体差により異なるため、安定的に行うことは困難である。
(2)圧縮含浸法
木材を物理的に圧縮し、細胞壁内の空孔を押しつぶす。木材の圧縮度合いが細胞構造線形変形領域であれば時間が経過すると元に適当な復元する性質があるため、これを利用し復元時に薬剤を注入する方法である。この方法では圧力をかけることによって表面から内部へ向かって順に細胞が押しつぶされる。個体差によって同一の圧力でも、押しつぶされる部分が異なることと、細胞の弾性域を超える可能性もある。また、大きな圧力で木材全体を圧縮しようとすると、晩材と早材との間が剥離する現象が発生しやすい。木材に節がある場合、節によって圧縮することができないため、材質の選択が必要になる。
(3)インサイジング法
木材に、CO2レーザー・ドリル等で孔を開け薬剤の内部への含浸を促進する方法である。一般的にはφ1〜3mm程度の孔を開けるが、目視されるため、裏面に開けるか、穴が開いていても美観的に問題の場合に用いられる。裏面に孔を開け、表面は美観のため加工しないものは、燃焼時にインサイジングによる効果を発揮しない。直接燃焼する部分にいかに薬剤が注入されているかが重要な要素である。
特開2009−269389号公報 特開2006−231652号公報 特開2003−211412号公報
本発明は、上記の問題点の解決を意図したものであり、化粧材としての木材の持つ審美性を保ちつつ、樹種や年輪の構造などの個体差にかかわらず、確実に薬剤を注入し不燃化、防腐化、防蟻化等の機能化をすることを目的とする。
本発明の第1は、木材の表面の少なくとも一面に、薬剤含浸層を有し、前記薬剤含浸層には、紫外線レーザーによる、直径30μm〜90μm、深さ3mm〜10mmの孔を複数個有する、機能化木材である。
前記木材には、無垢材の他、合板、LVL等の接着成形木材、熱処理木材等を含む。熱処理木材とは、耐腐朽性の向上等のため、極めて低濃度の酸素状態もしくは無酸素状態において200〜240度で数時間処理した改質木材をいう。前記薬剤含浸層は、不燃化薬剤等の機能化薬剤が浸透した層である。従来の含浸では、例えば、250kg/m程度の薬剤が必要であるが、表面に紫外線レーザー加工したものは、それよりも少ない薬剤量、例えば、160kg/m程度で、かつ、少ない厚みの範囲表面での薬剤含浸によって、不燃性能を示すことができる。
木材の表面から含浸方向に計測した含浸層の厚さは、2〜10mmである。2mmより少ないと含浸量が少なく、層を構成する程の厚さではなく、何も加工しない状態と同等となるばかりでなく、仕上げ時のモルダー・サンダー加工に置いて切削され効果を発揮出来ない。10mmより多くても、それ以下の厚さの効果と同等であるため薬剤の使用量が増えるだけであって合理的ではない。含浸層の範囲は、表面から含浸層を削り取った場合に、性能がなくなる厚さの範囲を示すものである。前記性能は、不燃化木材の場合、法令で規定されたものである。
これによって、木材表面に視認できない小さな孔を開け、そこから不燃化薬剤等の機能化薬剤(以下、単に薬剤と略すことがある。)を注入することができるため、木材の持つ審美性を保ちつつ、確実に薬剤を注入し機能化することができる。
また、本発明を用いた木材は、木材質や部位の違いに配慮する必要が無く、必要量の薬剤を均一に注入することができる。無垢材の場合、木材の接線方向からでも、紫外線レーザー加工による孔により晩材を超えて含浸することが可能になる。また、合板およびLVL等の接着成形木材の場合も、接着面を超えての薬剤含浸が可能になるため、性能出現のために必要とする薬剤層を形成することができる。また、孔によって表面積が大きくなり、薬剤注入後の乾燥速度も速くなる。
また、本発明によれば、木材の最も薬剤が含浸しやすい繊維方向が紫外線レーザー加工による孔と連続しているため、木材が長い場合であっても、両端の小口からの薬剤拡散に依存することなく、必要量の薬剤を短時間に確実に含浸できる。
ここでいう表面は、例えば室内に木材を施工する際に、表に出る面をいう。
ここでいう紫外線レーザーは、波長が波長 380〜200nmの近紫外線(near UV)でナノ秒パルスレーザー好ましい。レーザー長が349nm、パルス幅5nsec、発信周波数1kHz、平均出力500mW、照射時間が1孔当たり60msecが例示される。波長121〜10nmの極紫外線もしくは極端紫外線(extreme UV,EUV or XUV)でも加工は可能であるが、開孔径が小さくなる。
ここでいう薬剤として、不燃化薬剤、防腐化薬剤、防蟻化薬剤が挙げられる。不燃化薬剤としては、リン酸塩とホウ酸塩との混合薬品が好ましい。
前記木材の表面の少なくとも一面に前記孔の開口部を有することが好ましい。これによれば、薬剤含浸、乾燥後の後処理が少なくシンプルな方法で製造できる。
また、前記孔は、前記木材の表面の少なくとも一面において閉塞または部分的に閉塞されていることも好ましい。これによれば、機能化木材の表面硬度を高くでき、また、木材使用中等における前記孔の開口からの薬剤の溶出等を抑えることができる。
前記複数の孔は、木材の半径方向に設けられ、木材の材質、樹種、及び/又は部位の特質に合ったパターンを構成し、木材の繊維方向の孔のピッチは接線方向の孔のピッチよりも大きいことが好ましい。
ほとんどの場合、化粧面は板目(接線方向)になっており、この面に薬剤が半径方向に入る必要がある。しかし、半径方向には薬剤は浸透しにくく、木材への薬剤の浸透速度を木材から水分を除去する場合の可逆的な速度であると仮定すると、繊維方向(x):接線方向(y):半径方向(z)=20:3:1の比率速度が例示される。複数の孔を半径方向に設けることによって、開孔部分の側面は、木材の接線方向及び繊維方向と接触し、水及び水蒸気の流動性高い部分であるから、確実にしかも迅速に薬剤を注入することができる。
また、木材の繊維方向の孔のピッチを接線方向の孔のピッチよりも大きくすることによって、より合理的に薬剤を注入することができる。
ここでいう材質は高密度、低密度等の質、樹種はスギなど木の種類、部位は心材、辺材等の部分の位置を意味する。密度が変わると、含浸度が変わる。高密度ほど薬剤注入量が少なくなる。高密度であれば燃えるもの(炭化水素)が多いという相関がある。
前記繊維方向の孔のピッチと接線方向の孔のピッチの比率は、20〜40mm:1.5〜4mmであることが好ましい。
開孔密度は0.1〜75mm/1箇所が好ましい。1〜75mm/1箇所の場合は、含浸工程において減圧加圧法が適しており、0.1〜1mm/1箇所の場合は含浸工程は減圧加圧法に限らず、短時間の浸漬や塗布により薬剤を含浸させることも可能である。
本発明の第2は、紫外線レーザーによって木材表面に複数の孔を形成する孔形成工程と、前記孔に薬剤を含浸させる含浸工程と、木材を乾燥させる乾燥工程とを、備える機能化木材の製造方法であって、前記孔形成工程が、木材の異方性に合わせて紫外線レーザーで開ける孔の配置を制御し、木材の表面の少なくとも一面に直径30μm〜90μm、深さ3mm〜10mmの孔を複数個開ける工程を備える機能化木材の製造方法である。
前記乾燥工程の後に、さらに木材表面に加熱ローラーにより圧密を行い、前記孔の開口部の少なくとも一部を閉塞させる圧密処理工程を備えることが好ましい。圧密処理工程により、紫外線レーザーで開けられた複数の孔の開口部を閉塞することができ、前述した通り、機能化木材の表面硬度を高くでき、また、木材使用中等における前記孔の開口からの薬剤の溶出等を抑えることができる。
前記含浸工程における薬剤の木材への含浸は減圧加圧法を用いることによって行うことが好ましい。複数の孔を有する木材に減圧加圧により薬剤の含浸を行うことにより、木材内部への薬剤含浸が効率的になる。
薬剤注入の理論的背景は次の通りである。ただし、数値は例示である。
(拡散方程式)
木材への薬剤の注入は、木材表面(界面)に薬剤があり、それが内部へ拡散浸透することによって注入が行われると考えることができる。ここで、木材としては、無垢材を考える。そこで、発明者等は木材構成の一部の微細部分をモデルにし、その状況を拡散方程式によって考える。
木材のある部分の薬剤量の増加はその経過時間中にそこに入り込んだ薬剤量から出ていった薬剤量に差し引いた量となる。
1)細部分に入り込んだ薬剤は、木材乾燥時の水の放出と可逆的経路にて拡散して行くと仮定する。
まず、単純に1次元の場合を考える。時間Δtの間にx〜(x+Δx)の領域に流入する薬剤量は下記数式1により演算される。
ここで、Jは薬剤量(モル数)である。
以上をふまえ、数式2の通り、3次元的に捉えモデルを構築する。薬剤含浸を界面(木材表面)からの3次元拡散とし、ある場所(x、y、z)の時刻tにおける濃度を表す。
ここで
C(x,y,z,t)はある場所(x,y,z)の時刻tにおける濃度
Dx:繊維方向の拡散係数
Dy:接線方向の拡散係数
Dz:半径方向の拡散係数
Dは微分方程式の係数であるから、解を求めた後もそのまま数値を支配する。
含浸について、単純に1次元の場合を考える。
時間Δtの間にx〜(x+Δx)の領域に流入する薬剤量は、下記数式3の通り、演算される。
ここで、Jは薬剤量(モル数)である。
これがΔx間の溶質濃度の増大ΔCとなるから、ΔCとΔC/Δtは、数式4、5の通り、演算する。
従って、数式6が成立する。
フィックの第1法則より数式7が成立する。
ここで、
D:拡散係数
C:溶解質のモル濃度
x:距離
t:時間
と、拡散方程式を導出し、これを解く。両辺をフーリエ変換する。
左辺は、数式8となる。
右辺は数式9となる。
但し、Cと∂C/∂xが無限遠で0になると仮定し、初期分布としてΔ関数を用いるとC(0,x)=∂(x)、t=0、C(0,w)=1だから、フーリエ変換C(t、w)を満たす常微分法的式の解は、数式10となる。
これをフーリエ逆変換すると、数式11となる。
この解は、平均0、分散2Dtの正規分布になる。
同様にy方向、z方向についても正規分布で拡散が行われるとすることができる。しかし、木材は異方性のため、x軸(繊維方向)、y軸(接線方向)、z軸(半径方向)によってDの拡散係数が異なってくる。ここで実際の試験結果からの値を検討する。
木材の乾燥における異方性的特徴ではそれぞれの脱水速度(本場合には侵入速度)は、
・繊維方向(x)=20
・接線方向(y)=3
・半径方向(z)=1
を係数として持つから、可逆的な反応方向が存在すると仮定するなら、外部からの薬剤の含浸においてもこの比率の拡散となる。
検討した拡散の関数C(x,y,z,t)は、時間によって支配されている。無限大では、0となり、均一になるが、繊維方向が最も早く平均化(均一含浸)が発生すると考えることと矛盾しない。従って、薬剤の木材中への注入は、実際の観察の中から見いだされた速度係数を用いて検討すればよいということになる。
(ピッチの設計)
上記の拡散方程式を元に、拡散を支配する拡散係数Dx、Dy、Dzで最も有効なピッチの算定を行う。木材の含浸では「晩材を越えて含浸しない」ため、晩材で構成された層を一つの単位として晩材+早材で構成される年輪間の部分の層が重なって構成されていると考えることが合理的である。
拡散がDz(半径方向(z)=1)は小さいため、この方向での拡散に期待が持てないことから、Z方向にxy平面の拡散値が積分された時に、3次元として拡散されると考える。数式12の通り、平面的なピッチ配置の設計を行う。
よって、x,y平面で考える時、ある1点からの薬剤の注入による拡散は、上記より薬剤の含浸確率は正規分布によって行われていく。時間があまり経過していない時には、
・繊維方向(x)=20
・接線方向(y)=3
の影響を反映する楕円状に薬剤が拡散していると捉えて問題がない。従って、この楕円を可能な限り密接に、平面上に並べることを考えれば、最も効果的な含浸のパターンとすることができる。
左右対称の二個の楕円を接して配置する。その中心座標は(-a,0)と(a,0)楕円はすべて同じ形状で長軸b、短軸aとする。その時に上側から接する楕円中心のy座標をh、右側の接点を(X,Y)とすると、数式13が成立する。これが最も隙間無く埋め尽くすパターンとなる。
x=a/2
拡散係数の倍率仮定、
・繊維方向(x)=20
・接線方向(y)=3
を用いると、
a(短軸)=3
b(長軸)=20
であるから、
h=34.64
X=1.5
Y=17.32
となる。
この配置が、木材の特性を考慮すれば、最も均一に含浸できる。また、樹種によって、木材の異方性の各方向からの注入に必要な性質が異なるため、的確なパターンを設計し、木材の開孔を行うことを特徴としている。以上のことから、必ずしも表面に均一な微細な開孔をする必要がなく、開孔場所をパターン化することにより加工時間も短縮でき、実用的で安価に製造できるという特徴を持つ。
上記の中で、含浸速度の比率は、あくまで半径方向を1とした時の相対速度を示している。1=1mmが等価というわけではない。本発明を用いた木材に減圧加圧を用いて薬剤を注入する場合、従来の作業工程と同等の時間で行うか、高効率の注入を使用し短縮時間で行うかによって、含浸のパターンの密度を変え、効率的な注入を行える。
含浸の困難な材料においては、含浸のパターンの密度を高めることになるように、紫外線レーザーを制御することによって、含浸の確実性を高めることができる。含浸の容易なものについては、本発明を適用することによって、製造時間を短縮化することができ、製造経費の削減ができる。
(浸漬の速さ)
上記の含浸のパターンの場合は、それぞれの方向の異方性を配慮し、仮定どおり注入されていくならば均一になる時のパターン形状を示している。パターン形状の単位は必要とする経過時間によって、変更すればより効率的に注入ができる。本発明で加工した部分を表裏2面することによっても短時間で注入しうる。また、その場合、より単位面積当たりの密度を上げたパターン形状であれば、更に短縮することも可能となる。本発明は、製造の時間短縮が可能であり、コストダウンにも対応している。本発明によれば、木材への薬剤注入に要する時間を短縮することができ、含浸装置の稼働向上に寄与する。
(開孔部分の面積による燃焼時の影響)
本発明による開口部が直径0.08mmの円形、深さ5mm、密度が1箇所/mmと仮定し、10,000mm2における表面積の増加を計算すると、加工前のものより、1.2567倍に増えていることになる。表面積の増加は、薬剤との接触面積の増加、乾燥時の周辺気体との接触面積の増加となる。一方、燃焼時には、接触面積の増加によって燃焼が促進される懸念がある。しかし、実験による観察では、燃焼時における木材組織の軟化(組成の一つであるリグニンは90℃以上になると軟化する)及び膨張によって開孔は閉塞し、悪影響を及ぼさない。
(浸漬による注入)
薬剤を木材に注入する方法として、浸漬または減圧加圧処理がある。薬剤を浸漬によって木材へ注入する方法は、木材の含水率が高く、製材直後のような100%を超える状態が最も効率的に含浸できる。フィックの法則(1855年)より、溶質原子の流れは濃度勾配に比例する。すなわち、溶質(溶けている物)は濃度の高い方から低い方に流れる。その流れ方は濃度の傾きに比例する。薬剤は木材内部の樹液との浸透圧差によって拡散し、効率的に木材中に注入することができる。薬剤の浸透度合いは、薬剤濃度と樹液の濃度差によって決定されるため、効率的な注入を行うためには薬剤濃度が高い方が好ましい。注入後の残液は樹液濃度と薬剤濃度の平均になるため、残液濃度は木材の状態、個体差によって異なる濃度になる。
木材が乾燥している針葉樹の場合では、木材中の繊維方向の仮導管で毛細管現象により薬剤が浸透していく。さらに、木材を構成しているセルロースが不飽和水酸基を持っているため、その部分で薬剤と水素結合し薬剤が固定化される。本発明を実施した木材は、実質的に表面積が大きくなるため、含浸面積が増えるのと同等となり、含浸がより容易になる。また、開孔の内部においては、含浸がより進む接線方向及び繊維方向への含浸となるため、含浸速度も速まるという特徴をもつ。
(減圧加圧法による注入)
薬剤を減圧加圧法(減圧工程をした後、加圧工程を行う方法である。)によって注入する方法は、木材の含水率が低い方が効率的である。木材内の空孔から自由水がない程に乾燥している場合(木材含水率30%以下)、減圧による水蒸気の発生はセルロース等の木材組成と水素結合している水によって発生する。これにより、更に木材の乾燥が促進される。薬剤注入時には、薬剤のアニオン基の持つ水との水素結合と結びつきやすくなり、薬剤と水が置換されると考えられている。製造工程は、まず、減圧を行う。減圧では木材中の空孔から空気を抜くと共に、圧力低下による水の沸点低下を利用し、結合水を分離し、相転移起こさせ、空孔中に水蒸気を満たす。水蒸気の分子量は空気を構成している酸素、窒素より小さいため、より微細な空隙を埋め、空気を木材内から追い出す。
本発明を用いた木材を用いると、減圧時には、実質的に表面積が増えていることもあり、木材内部の空孔から空気および水蒸気をより容易に抜くことができる。また、開孔部分の内部は、脱気がより進む接線方向及び繊維方向となるため、より効率的である。加圧時には開孔部分から容易に木材の内部へ薬剤の注入が可能である。通常、減圧時に木材内部の空隙からの空気および水蒸気の放出が不十分である場合や、加圧時の加圧が急速に行われた場合は、加圧時に薬剤が十分に注入される前に木材組織が圧力に負けて変形を起こす場合があるが、本発明の木材を用いると、上述のとおり、減圧時の空気および水蒸気の放出や、加圧時の薬剤の浸透が容易であり、孔の表面の圧力と同等の圧力で薬剤が拡散していくため、木材の変形が起こりにくい。
(減圧工程による薬剤注入)
最初に減圧工程を行う。木材は、比重が0.3〜0.45程度で低いということは、木材組織中に空隙があり、そこに空気が満ちている状態である。このような物質の中に液体を注入する際には、外からいくら圧力をかけても、内部の空気が圧縮され残存するために、一定以上のものは入れることができない。そこで、最初の工程として減圧し、木材中の空気を抜く。減圧し空気を抜くと木材中に含まれる水の沸点低下が起こり、木材中の水分が気体に相転移するため水蒸気分圧が上がり圧力が上がる。したがって、一定時間以上、減圧時間を維持しなければ目的とする圧力にはならない。この工程は、含浸させる薬液中であっても気体中であってもどちらでも良いのであるが、薬液中の方が液体であるため気体より比熱が大きいこともあり、木材中の水分蒸発によって潜熱が奪われるため、雰囲気全体の温度低下を少なくすることができる。
圧力容器に薬剤を注入しない場合、減圧雰囲気を維持しながら薬剤を注入する。木材を薬剤で満たした状態で行うこともできる。圧力によって沸点温度が上昇するため、木材中に満たされた水蒸気の凝固が発生する。水蒸気が凝固すると木材周囲の雰囲気との圧力差が生じ、木材中に薬剤が効率的に注入される。高い圧力を付加するほど、薬剤注入の効率は高まるが、木材内部に閉塞された部分がある場合、圧力によって木材組織が潰れる場合がある。
具体的工程は、木材を圧力容器に入れ、減圧した後、加圧処理を行う。圧力容器には、薬剤を入れても入れなくてもよい。圧力容器内の減圧圧力は20〜100Pa、減圧時間は1〜3hrに設定して、減圧処理することが好ましい。減圧圧力が10Paを下回ると薬剤の蒸発が激しくなり、沸騰状態となるためバケットから薬剤が漏洩する危険性があり、300Paを超えると木材中の空隙に存在する空気を充分に抜くことができない。減圧時間1hrを下回ると木材中の空隙から充分な量の空気を抜き、木材組織から水素結合されている水分分離による水蒸気を発生させることができず、3hrを超えるとそれ以上の減圧の効果は望めない。
(加圧工程による薬剤注入)
減圧工程を終了した後、次工程の加圧工程では、木材を加圧し薬剤を注入してゆく。その際、圧力は常圧より上がるので、低圧状態で気体として存在していた木材中の空孔に残った水蒸気は相転移し水になり木材内部の空孔は極めて圧力の低い状態になるため、薬剤をスムーズに含浸させることができる。加圧は減圧から最高圧に極端に切り替えると、まだ充分液体が注入されていない部分の組織をつぶしてしまうことがあるので、段階的に行ってゆく。
具体的工程は、圧力容器に薬剤を満たし木材を浸漬した状態とし、圧力容器の加圧圧力を600〜1,500kPa、加圧時間を5〜20hrに設定し、加圧処理することが好ましい。
(乾燥工程)
乾燥時に気体となった水分は表面から周辺へ放出される。本発明によって加工された木材では、上記のように木材表面積が増大しているため、雰囲気との接触面性が大きくなり、早く乾燥させることができる。開孔の側面は、木材の接線方向及び繊維方向と接触し、水及び水蒸気の流動性が高い部分であるから、木材に開孔した外形部分が、半径方向の水及び水蒸気の移動と比べ遥かに効率的に乾燥することが可能となる。100×100mmの燃焼試験体片で乾燥温度は60℃、乾燥時間は100hで行っている。また、それ以上の大きさの試験片については、比重が基材全乾重量+基材含水率20%+注入薬剤量以下になるまで、60℃の恒温器にて乾燥を行っている。
木材の乾燥は木材中の空隙にある自由水を取り除き、木材の構成成分であるセルロース、ヘミセルロースと水素結合している水(結合水)を除去することである。乾燥は、液体としての水を木材から取り除くことはできず、水蒸気として気体で取り除かなければならない。
自由水は木材組織と結合しているのではなく、空隙に存在しているため、容易に除去できる。自由水を取り除いた場合の木材含水率は約30%である。木材組織と水素結合している水は、その結合を分離するだけのエネルギーがいる。水素結合を分離するためのエンタルピーは、9〜30kJ/molであるから、これ以上のエネルギーを水素結合しているセルロース・ヘミセルロース部分に付加する必要がある。
例えば、以下の条件で、他の要件を無視し計算する。単位体積=1,000cc・絶燥比重=0.40・含水率30%で含水率として、内部に存在する水がすべて水素結合している結合水である木材、雰囲気温度=60℃の場合、10%含水率を落とすための必要エネルギーを計算する。
水1モルの分子量=18g/mol、水素結合分離に必要なエンタルピー=10kJ/molとする。
ここで、
u:含水率
m1:乾燥前の質量
m2:絶乾の質量
であるから、全体水分量=120gである。したがって、含有炭素モル数は6.667mol、水素結合分離のために必要なエネルギーは必要エネルギーは66.6kJとなる。
更に雰囲気温度(60℃)での潜熱エネルギーは、潜熱4.19KJ/molであるので、単位体積=1,000cc・絶燥比重=0.40・含水率30%で、含水率10%の脱水に必要なエネルギー総和は502.8kJとなる。
(不燃化薬剤と燃焼との関係)
機能化の一つとして不燃化を考えた場合、木材を不燃化するために用いる薬剤は、リン酸塩およびホウ酸塩の混合薬剤が主流となっている。これは薬剤単価が比較的安いこと、両者とも水溶性であり、扱いが容易なこと、毒性が少ないことなどが挙げられる。リン酸塩とホウ酸塩は木材の不燃に対する効果が異なる。ホウ酸塩は約300℃から熱分解がはじまる。ホウ酸の例を示す。
ホウ酸塩は熱分解をするときにHOを放出する。生成水は潜熱を奪うため燃焼によるエネルギーの発生を奪うことができる。又、ホウ酸の熱分解は吸熱反応でもあるため、燃焼を低下させる働きがある。
一方、リン酸塩は400℃から反応が起こる。リン酸塩の働きは木材の構成要素である炭化水素から水を奪うことである(脱水化)。このため木材の炭化が促進される。効果として発生した水によるエネルギー減少効果と、炭化による木材自体の不燃効果が発生する。炭素は燃焼性の悪い物質である。スギ材の気乾時の酸素係数(燃焼が30秒以上継続する時に必要な雰囲気中に含まれる酸素濃度の他気体との比率指数)は15であるのに対し、炭素は60となっている。
燃焼時はリン酸塩による脱水化作用のため、木材組成の密度がさらに低下し断熱性が高まると同時に炭素の難燃性により燃焼速度が著しく低下する。
より効果的な不燃性能の出現のためには、リン酸塩が木材の開孔部分に存在するのではなく、木材細胞壁内に存在すること、さらにいえば木材構成要素であるセルロース・ヘミセルロースと水素結合をしていることが望ましいとされている。木材内壁に入り込むための分子量としては500程度までとされていることから、薬剤の分子量も小さい方が望ましい。本発明を実施した木材の表面部分には薬剤の密で均一な層ができる。これにより、あたかも木材表面に不燃薬剤粘膜が形成されたような働きをする。木材の燃焼に伴う炭化作用を表層部分で防ぐことによって、木材内部への熱伝導も押さえることができる。
(本発明による薬剤の注入)
木材への薬剤注入は木材の部位によって容易さが異なるため、ほとんど繊維方向からの注入にしか期待できない。本発明によって処理された木材の表面では、接線方向面から開けられた孔が有効に働く。孔は半径方向に開いているため、孔の壁は上部から下部にかけて全ての場所で繊維方向と接触している。このため、薬剤の注入は最もよく浸透する方向を利用することができる。
(減圧加圧による注入時のインジェクション効果)
薬剤は、表面にて木材と接触している。本発明を実施した木材は表面が増大している。ボイルシャルルの法則では、PV=一定であるから、木材面の薬剤と本発明によって処理された開孔部分の内部に於いても、この法則は成立する。
薬剤注入時に於いては、木材内部は木材組織構造によって形態が保存されているのであるから、常圧の雰囲気である。開孔に満たされた薬剤と木材との圧力差が発生するため、木材内部への薬剤浸透はより容易になり、木材内部の圧力と薬剤の圧力が均衡を得るまで続く。よって、シリンジを木材へ差し込んで放出するような効果でもって、木材内部への薬剤注入が促進される。
本発明では、木材表面に視認できないほど小さな孔を開け、そこから薬剤を注入することができるため、木材の持つ審美性を保ちつつ、確実に薬剤を注入し、木材を変形させることなく、不燃化、防腐化、防蟻化等機能化することができる。また、本発明を用いた木材は、木材質や部位の違いを配慮する必要が無く、たとえ木材が長い場合であっても、必要量の薬剤を均一に注入することができる。さらに、木材の異方性を配慮し、合理的なパターンを形成することができ、木材を安定的に改質することができる。さらに、薬剤の含浸が効率的にできるため、含浸時間、乾燥時間を短縮することができ、また、薬剤濃度を低くすることができる。
本発明実施形態の機能化木材の製造方法の含侵工程の含浸方向を示す説明図である。 本発明の実施形態の木材表面からの含浸を比較したモデル断面図である。 本発明の実施形態のクルクミン写真図である。 本発明の実施形態の紫外線レーザー加工比較試験による含浸量の比較結果グラフである。 本発明の実施形態の含浸状況近似式を示すグラフである。 本発明の実施形態の乾燥による重量変化を示すグラフである。 本発明の実施形態の燃焼試験を示すグラフである。 本発明の実施形態の燃焼試験結果1を示すグラフである。 本発明の実施形態の燃焼試験結果2を示すグラフである。 本発明の実施形態の燃焼試験結果3を示すグラフである。 実施例1の孔パターン01を示す説明図である。 実施例2の孔パターン02を示す説明図である。 実施例3の孔パターン03を示す説明図である。 実施例4の孔パターン04を示す説明図である。 実施例5の孔パターン05を示す説明図である。 実施例6の孔パターン06を示す説明図である。 実施例11の孔パターンを示す説明図である。 実施例12の孔パターンを示す説明図である。 実施例13の孔パターンを示す説明図である。 試験体1(圧密処理無し)の木材表面の写真図である。 試験体8(圧密処理有り)の木材表面の写真図である。 本発明の実施形態の燃焼試験後の試験体の写真図である。
以下、機能化木材の一例として不燃化木材の実施形態を説明する。木材の表面の少なくとも一面に紫外線レーザーにより、直径30μm〜90μm、深さ3mm〜10mmの孔を複数個形成する(孔形成工程)。一例として、スギ心材(三河材)より形成した無垢材の試験片(縦=100mm、横=100mm、厚さ=20mm)に、表1に示すように異なるパターンにより木材の半径方向に紫外線レーザー加工を実施し、それぞれ試験体1、試験体2を得た。紫外線レーザー加工の条件は、レーザー波長が349nm、パルス幅約5nsec、発信周波数1kHz、平均出力500mW、1穴当たり60msecであった。また、比較対象として、紫外線レーザー加工を施していないものを試験体3とした。接線方向のピッチx(mm)、繊維方向のピッチy(mm)、半径方向の孔深度(mm)、開孔密度(mm2/個所)を表1に示す。
同一木材より作成した試験体に、異なるパターンで本発明実施形態を実施し理論値の整合性、有効性を確認した。繊維方向の断面に、エポキシ樹脂を塗り、吸収を止めた試験体を作成した。これにより、接線方向及び半径方向からのみ不燃化薬剤が注入される有効性を検証する。
次に試験体に薬剤を注入させた(含浸工程)。薬剤は、リン酸塩とホウ酸塩との混合薬品である不燃薬剤を用い、注入方法は減圧加圧処理であった。得られた試験体1−3の繊維方向の断面に、エポキシ樹脂を塗り、繊維方向断面からの薬剤吸収を止め、木材の接線方向及び半径方向のみから薬剤を注入させた。含浸方向は図1に示す通りである。圧力容器内に薬剤を満たした状態で行われる減圧加圧処理は、1時間、100Paで減圧処理を行い、その後、合計7.5時間、650kPaで加圧処理を行った。
木材表面からの含浸状態を比較すると、図2のように、紫外線レーザー加工したもの(右)は開孔により均一深度まで確実に含浸でき、薬剤含浸層を有しているのに対し、無処理のもの(左)は年輪の晩材部分で薬剤浸透が遮断され、部分的にしか薬剤が含浸されなかった。
図3は試験体1〜3に薬剤を注入させた後、クルクミン反応をさせたものである。(図中上から試験体1、2、3である。)クルクミン0.1%エタノール溶液を試験体にかけると、試験体内のホウ酸と反応し変色するので含浸度がわかる。試験体3は中心部に色違いがみられ、この部分には薬剤が含浸されていないことが観察された。
表2に本発明の実施形態の含浸変化表(パターンの違いによる毎時の含浸量)を示す。含浸量を比較した結果、図4、表2のように、紫外線レーザー加工により開孔したものは注入時間が短く、また孔の数の多いものほど注入時間が短かった。
さらに、発明者等は上項の解析を行った。初期変動を除き、安定した重量増加部分に適応する試験体1〜3について、それぞれ、近似式である数式15〜17を導いた。図6に近似式の比較グラフを示す。
xは経過時間、yは薬剤注入量、Rは相関係数である。Rの値が極めて高く、この現象の関数として問題ない。更に、これは既に説明した拡散方程式の仮定を満足している。この数式15と数式16、数式16と数式17、数式15と数式17との解の存在可能性を調べた。
数式15と数式16の解の可能性を検討する。解が存在するなら、以下の式が成り立つ。
よって、上記の場合には、解は存在する。
数式16と数式17の解の可能性を検討する。解が存在するなら、以下の式が成り立つ。
よって、上記の場合、実数域では解は存在しない。
数式15と数式17の解の可能性を検討する。解が存在するなら、以下の数式20が成り立つ。
よって、上記の場合、実数域では解は存在しない。
以上のことより、本発明を実施しない場合、どれだけ時間をかけても、実施した木材よりも薬剤注入ができないことを示している。数式15と数式16の近似式が解を持つということは、ある時間経過後、数式16の注入量の方が数式15よりも多くなることを示している。単位面積における開孔部分の割合が試験体2は、試験体1の約1/10にもかかわらず、注入量が多くなるのは、試験体2は木材の浸透の異方性に配慮したパターンであり、試験体1は、均等に配置したパターンとなっているからであり、異方性に配慮したパターン作成の有効性が認められる。
試験体1〜3の処理前、減圧完了時、加圧完了時のそれぞれの重量測定の結果から(加圧の平均は6.5kg/cm2)、開孔したものは、数の多いものほど、注入時間が短くなることを示している。また、開孔していないものとの差異が顕著である。
(乾燥試験)
上記試験体1〜3を60℃の恒温器に入れ、乾燥を行った(乾燥工程)。毎日定時に重量減少を測定した結果、表3、図6のように、1日目〜3日目は、重量減少が多く、差異は余り認められなかったが、それ以降、試験体3は、試験体1、2よりも減少量が少なくなった。乾燥においても本発明実施形態は有効であった。
(紫外線レーザー加工(インサイジング)有無による燃焼試験・1)
上記試験体1〜3を用いて、なるべく同量の薬剤(リン酸塩とホウ酸塩との混合薬品である不燃薬剤)を注入した試験体を制作し、燃焼試験を行った。薬剤注入は、目標含浸薬剤を200Kg/m3とし、減圧(100tr)を1時間行った後、加圧(約650kPa)を1時間行うごとに、試験体1〜3を取り出し、薬剤注入量が均等になると思われる時間で取り出した。
それぞれの試験体の推定注入薬剤量(Kg/m3)、および、加圧時間(h)、燃焼試験結果である燃焼試験による総発熱量(Mj/m2)を表4、図7に示す。インサイジングを行った試験体1、2は、行わなかった試験体3と同等の性能を保持するための製造時間が、1/5〜2/5で可能であり、製造時間の短縮化ができた。試験体3は、試験体2より薬剤量が多く注入されているにもかかわらず、発熱量が多くなった。これは、試験体2は、燃焼試験時の熱が当たる部分に薬剤が多く存在し、燃焼を弱めている一方、試験体3は、燃焼に直接関わりのない部分にも薬剤が注入されていると推定される。
(紫外線レーザー加工(インサイジング)有無による燃焼試験・2)
上記試験体1〜3を用いて、少ない薬剤注入量での燃焼試験を行った結果を表5〜8、図8〜10に示す。試験体1は図12に示す実施例2に対応し、試験体2は図14に示す後述する実施例4に対応する。従来、約160kg/mの含浸では不燃性能を持つことがなかったが、本発明を適応したものについては、十分な不燃性能をもっていた。炎の当たる面に開孔することによって、対耐不燃性が向上され、性能を発揮すると考えられる。開孔された部分が一種の不燃層を形成するため、その部分において発炎等を防ぐことから、木材内部温度の上昇が比較的低いため、熱による木材組成の分解作用が遅くなるという作用をもたらす。
一方、試験体3(無処理)は同等の薬剤の注入量にも係わらず、燃焼してしまった。本発明実施形態を適用した試験体1、2は薬剤が加熱面である開孔部分がある面に集中的に存在しためであると考えられる。紫外線レーザー加工によって薬剤注入量を減らすことができ、製造コストを大幅に下げることが期待される。
表6は、試験体1のスギ・心材のマッチング材の基材密度、推定薬剤注入量、見なし薬剤量、充填率、嵩比重である。試験結果を図8に示す。マッチング材は1つの板から切り取った材のことである。1つの板材であるから材質の変化が少なく同一素材として比較試験ができることから用いる。
表7は、試験体2のスギ・心材のマッチング材の基材密度、推定薬剤注入量、見なし薬剤量、充填率、嵩比重である。試験結果を図9に示す。
表8は、試験体3のスギ・心材のマッチング材の基材密度、推定薬剤注入量、見なし薬剤量、充填率、嵩比重である。試験結果を図10に示す。
(紫外線レーザー加工(インサイジング)有無による燃焼試験・3)
次に、同一木材より作成した試験材をコンカロリーメータにて燃焼し確認を行った。
試験体材質はスギ心材(三河材)、全乾密度は0.37である。試験体4は人工乾燥(釜で乾燥)したもの(試験時密度0.609)、試験体5は紫外線レーザー加工したもの(紫外線レーザー加工密度は1箇所/mm2、深度≒2mm、試験時密度0.620)、試験体6は試験体5の表面を厚さ1mmで切削したもの(試験時密度0.607)、試験体7は試験体5の表面を厚さ2mmで切削したもの(試験時密度0.580)である。試験体4〜7の総発熱量は、試験体4では6.284MJ/20min、試験体5では3.599MJ/20min、試験体6では4.342MJ/20min、試験体7では8.623MJ/20minである。
以上の結果から、本発明実施形態の紫外線レーザー加工材は、不燃効果が高まり、効果があることが解る。試験体6は試験体4よりも、密度が低いのにも関わらず、不燃性が高いことが示されているが、これは、過熱される面への薬剤含浸が適切に行われているため、全体の薬剤密度が低くても、高性能を示したと考えられる。
試験体7は、ほぼ、本発明実施形態の実施面を削り取った状態での試験であるが、約18分までの燃焼成績は極めて高く、その後、発炎して総熱量が大きくなっている。これは、紫外線レーザーの実施層をこえて薬剤が木材内分まである程度、含浸されることを示しているため、本実施形態を実施することによってより安定的に性能を発揮しうると考えられる。
(燃焼における紫外線レーザー加工(インサイジング)の影響)
燃焼試験時(コーンカロリーメータ試験)には、上部から試験体表面温度が500度以上になるように加熱される。紫外線レーザー加工により直径30μm〜90μm、深さ3mm〜10mmの孔が存在するため、エネルギーが加わる表面積が増えて燃焼に不利になるとも考えられるが、燃焼に悪影響が発生することはない。それは、木材の燃焼時には、加熱による温度上昇により、木材組織が軟化すると共にセルロースと水素結合していた水が水蒸気に変わるが、水の体積膨張が軟化した周辺組織を変形させる(木材成分のリグニンは雰囲気温度が90度以上で軟化が発生するといわれている。)ことにより、紫外線レーザー加工による開口部は燃焼の早い時点で閉塞するためである。
また、燃焼における木材の割れの観点からも、紫外線レーザー加工は悪影響を及ぼさない。燃焼の初期には上記のように木材は膨張するが、燃焼が進むと収縮する。その理由は、不燃化薬剤中のリン酸塩が木材の組成組織であるセルロースから水分子を取り出し炭化を促進し、燃焼過程で炭化が促進されると、セルロースの構成分子である水が分離するためである。そして、燃焼が促進された部分とそれ以外の部分では体積差が発生し、燃焼が促進された部分で割れが発生する。しかし、紫外線レーザーにより開けられた孔の部分からは割れは発生せず、木材の組織の密度差や燃焼の促進状況により最も脆弱した部分からの割れとなった(図22)。
(圧密処理による開口部の閉塞)
試験体8は上記試験体1を、薬剤含浸および乾燥の後、圧密処理により開口部を閉塞させたものである。本発明の紫外線レーザー加工による孔の開口の直径は30μm〜90μmであるため、圧密をかけると容易に開口を閉塞することができる。圧密処理条件は適宜採択が可能であるが、本実施形態においては、一例として、木材の表面から厚み約0.2〜0.4mmまでの部分を、約150度に加熱されたローラーで圧密処理を行った。これにより、紫外線レーザー加工による孔は閉塞または部分的に閉塞され、薬剤を含浸した木材の全体の比重は0.5程度であるにもかかわらず、圧密処理が施された部分では比重は0.8程度まで上昇した。図20、図21は、一例として、それぞれ、圧密処理前の試験体1の表面写真と圧密処理後の試験体8の表面写真のである。圧密処理により、紫外線レーザー加工による孔が閉塞されている。
また、圧密処理が施された試験体8では表面硬度は上昇する。表9はJISZ2101のブルネル試験に従って測定された表面硬さである。圧密処理を施さなかった試験体1の表面硬さの平均値が7.7Nであるのに対して、圧密処理を施した試験体8の表面硬度は9.2Nであった。試験体8は、圧密処理により表面硬度が高くなり、キズ擦れ等による表面損傷が発生しにくいと共に、開口部が閉塞されているために薬剤の吸湿作用による白華現象等の発生が起こりにくくなる。
(開孔密度の高い試験体)
試験体9および10は、開孔密度を0.1〜1mm/1箇所とした例であり、後述する実施例12および実施例13に相当する。試験体9および10においては、開口密度が低いため、木材内部への含浸時間を極めて短縮することができ、上述した加熱減圧法でなくても、短時間の薬剤浸漬または塗布により、基材の表面層に薬剤密度の高い不燃層を形成できた。
本実施形態として適用可能な木材への紫外線レーザー加工による開孔のパターンの例として、以下の実施例1〜13が例示される。
(実施例1)
図11のように、繊維方向のピッチが1.50mm、接線方向のピッチが1.50mm、1列ごとドリフトが0.75mm、開孔密度が2.25mm2/1箇所のパターンで開孔した。
(実施例2)
図12のように、半径3.0mmの円に内接する正六角形に配置、開孔密度が7.8mm2/1箇所のパターンで開孔した。
(実施例3)
図13のように、半径6.0mmの円に内接する正六角形に配置、開孔密度が31.2mm2/1箇所のパターンで開孔した。
(実施例4)
図14のように、短径が5.0mm(接線方向)、長径が200mm(繊維方向)の楕円に薬剤拡散があると仮定し、繊維方向のピッチが15.0mm、接線方向のピッチが2.5mm、開孔密度が75.0mm2/1箇所のパターンで開孔した。
(実施例5)
図15のように、短径が3.0mm(接線方向)、長径が15.0mm(繊維方向)の楕円に薬剤拡散があると仮定し、繊維方向のピッチが13.00mm、接線方向のピッチが1.50mm、開孔密度が38.97mm2/1箇所のパターンで開孔した。
(実施例6)
図16のように、短径が3.0mm(接線方向)、長径が200mm(繊維方向)の楕円に薬剤拡散があると仮定し、繊維方向のピッチが17.32mm、接線方向のピッチが1.50mm、開孔密度が51.96mm2/1箇所のパターンで開孔した。
(実施例7)
上記の実施例1〜6を表面と裏面で異なるもので組み合わせて開孔した。
(実施例8)
上記の実施例1〜6を表面と裏面で同一で組み合わせて開孔した。
(実施例9)
上記の実施例1〜6を表面の状態によって同一面で組み合わせ開孔した。
(実施例10)
上記の実施例1〜6によらずパターンを作成し開孔した。
(実施例11)
図17のように、短径が3.0mm(接線方向)、長径が20.0mm(繊維方向)の菱形に薬剤拡散があると仮定し、繊維方向のピッチが10.0mm、接線方向のピッチが1.50mm、開孔密度が30.0 mm2/1箇所のパターンで開孔した。
(実施例12)
図18のように、半径0.045mmの円に内接する正六角形に配置、開孔密度が0.10125 mm2/1箇所のパターンで開孔した。
(実施例13)
図19のように、繊維方向のピッチが0.91mm、接線方向のピッチが0.137mm、開孔密度が1.0 mm2/1箇所のパターンで開孔した。
以上説明した本発明実施形態の効果は、次の通りである。
接線方向から晩材を乗り超えて孔を開けるため、障害となる晩材部分を無視することができ、必要量の薬剤を注入することができる。
微細な孔により、開孔部分の側面は、木材の接線方向及び繊維方向と接触し、水及び水蒸気の流動性高い部分であるから、確実にしかも迅速に薬剤を注入することができる。
本発明実施形態を用いた木材は、木材質や部位の違い配慮する必要が無く、必要量の薬剤を均一に注入することができる。木材の異方性を配慮し、合理的なパターンを形成することができ、木材を安定的に改質処理できる。
目視困難な大きさの孔を木材の表面に開けることによって、審美性を損なわず含浸を安定的に行うことができ、個体差による性能差を吸収でき、性能を確保する。
木材表面に開けられた穴は木材中の水分を早く排出し乾燥コストを低減する。
木材の表面の全部に紫外線レーザーによる開口と薬剤注入を施さ無くても、表面の1面に適応することで効果を発揮することができる。
木材の材質、樹種、部位などの特質に合ったパターンを構成し、パターンの形状は木材の異方性特質に即応する形態で構成するため、薬剤の含浸を効率化することができると共に、節などの木材の欠点部にもスポット的に対処できき、材質の違いを吸収し、安定して薬剤注入をすることができる。
薬剤を含浸させた後、本発明により開孔部分の表面積が増加するため、内部までの進行している開孔の構成により木材内部の水分を効率的に排出できる。
任意の深さの孔は、木材表面を減圧したときに効率的に木材中の空隙より空気を取り除くだけでなく、空隙を水蒸気で満たすことができき、加圧時にはインジェクション効果によって木材中に薬剤を効果的に分散注入することができる。
薬剤の含浸を確実に効果的にできるため、本発明実施形態を用いない場合よりも薬剤濃度を薄くすることができる。
性能を発揮する部分への薬剤の注入が安定的で確実性が高くなることによって品質の管理が容易になるだけでなく、製造の合理化を図ることができる。
木材の異方性に合わせて、紫外線レーザーで開ける穴の配置を制御し効率的に含浸できる。
薬剤の木材への含浸は減圧加圧を用いることによって木材内部への薬剤含浸が効率的になり、確実に性能を出現させる。
必要とされる部位への確実な薬剤注入が短時間でできるため、含浸時間の短縮による生産性の向上を図ることができる。
木材の1面のみに適用するだけでなく、他の面への適用が可能であり要求する性能を任意に出させることができる。
上記の実施形態においては、試験的に繊維方向断面からの薬剤吸収をエポキシ樹脂塗布によって封止したが、本発明の実施においては繊維方向の断面は封止してもしなくてもよい。
上記の実施形態においては、試験片に無垢材を用いたが、合板やLVL等の接着成形木材でもよい。合板の場合は、単板(プライ)を繊維方向が一枚ずつ直交するように張り合わせてあるため、用いるパターンは繊維方向に関係なく均一のパターンの方が各プライにおいてばらつきが少なくなるため望ましい。LVLの場合は、繊維方向は同一であるため、一般的な木材(無垢材)の場合と同様に繊維方向の異方性に配慮したパターンの方がより合理的な含浸が可能となる。このように、接着成形木材の場合は、その木材の製造方法に配慮したパターンを用いることによって、合理的な薬剤含浸が可能となる。
上記の実施形態においては、薬剤として不燃化薬剤を用いたが、不燃化薬剤の代わりに防腐化薬剤や防蟻化薬剤を用いることによって、木材の防腐化、防蟻化が可能である。また、本発明は、上記に限定されることなく、木材の様々な機能化の実現に利用できる。
以上、本発明の好適な実施形態について図面を参照して説明したが、本発明の実施の形態は一態様を示すものであり、上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることは無論である。

Claims (8)

  1. 木材の表面の少なくとも一面に、薬剤含浸層を有し、前記薬剤含浸層には、紫外線レーザーによる、直径30μm〜90μm、深さ3mm〜10mmの孔を複数個有する、機能化木材。
  2. 前記木材の表面の少なくとも一面に前記孔の開口部を有する、請求項1の機能化木材。
  3. 前記孔は、前記木材の表面の少なくとも一面において閉塞または部分的に閉塞されている、請求項1の機能化木材。
  4. 前記孔は、木材の半径方向に設けられ、木材の材質、樹種、部位の特質に合ったパターンを構成し、木材の繊維方向の孔のピッチは接線方向の孔のピッチよりも大きいことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の機能化木材。
  5. 前記繊維方向の孔のピッチと接線方向の孔のピッチの比率は、20〜40mm:1.5〜4mmであることを特徴とする請求項4の機能化木材。
  6. 紫外線レーザーによって木材表面に複数の孔を形成する孔形成工程と、前記孔に薬剤を含浸させる含浸工程と、木材を乾燥させる乾燥工程とを、備える機能化木材の製造方法であって、
    前記孔形成工程が、木材の異方性に合わせて紫外線レーザーで開ける孔の配置を制御し、木材の表面の少なくとも一面に直径30μm〜90μm、深さ3mm〜10mmの孔を複数個開ける工程を備える機能化木材の製造方法。
  7. 前記乾燥工程の後に、さらに木材表面に加熱ローラーにより圧密を行い、前記孔の開口部の少なくとも一部を閉塞させる圧密処理工程を備える、請求項6の機能化木材の製造方法。
  8. 前記含浸工程における薬剤の木材への含浸は減圧加圧を用いることによって行う請求項6または7に記載の機能化木材の製造方法。
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