以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る光音響画像生成装置を示す。光音響画像生成装置(光音響画像診断装置)10は、プローブ(超音波探触子)11と、超音波ユニット12と、レーザユニット13とを含む。なお、本発明の実施形態では、音響波として超音波を用いるが、超音波に限定されるものでは無く、被検対象や測定条件等に応じて適切な周波数を選択してさえいれば、可聴周波数の音響波を用いても良い。
レーザユニット13は、第1の光源である。レーザユニット13は、例えばYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)やアレキサンドライトなどを用いた固体レーザ光源として構成される。本実施形態では、少なくとも先端部分が被検体内に挿入される挿入物として、被検体内に穿刺される穿刺針を考える。穿刺針15は、先端に開口を有し、内部に内腔を有する。レーザユニット13から出射したレーザ光は、例えば光ファイバなどの導光手段を用いて穿刺針15まで導光される。
図2は、穿刺針15の断面を示す。穿刺針15は、鋭角に形成された先端に開口を有し内部に内腔を有する中空形状の穿刺針本体151と、レーザユニット13から出射される光を穿刺針の開口の近傍に導光する導光部材152と、開口の近傍に設けられ、導光部材により導光された光を出射する光出射部153とを含む。導光部材152及び光出射部153は、穿刺針本体151の内部に配置される。導光部材152は、例えば光ファイバで構成されており、その光ファイバのレーザユニット13から見て光進行側の端面が光出射
部153を構成する。光出射部153からは、例えば0.2mJのレーザ光が出射する。
光出射部153は、例えば導光部材152により導光された光の少なくとも一部を、中空の針の内壁に向けて出射する。穿刺針15の内壁自体、或いは内壁に設けられた物は、光を吸収して光音響波を発生する光音響波発生部を構成する。穿刺針15が被検体内に穿刺された状態のとき、光出射部153から出射した光の少なくとも一部は、光音響波発生部を構成する穿刺針15の内壁自体、或いは内壁に設けられた物に照射される。この光照射に起因して、穿刺針15の光音響波発生部から、光音響波(第1の光音響波)が発せられる。
図1に戻り、プローブ11は、音響波検出手段であり、例えば一次元的に配列された複数の超音波振動子を有している。プローブ11は、被検体に穿刺針15が穿刺された後に、光出射部153(図2を参照)から出射した光に起因して発生した光音響波を検出する。また、プローブ11は、光音響波の検出に加えて、被検体に対する音響波(超音波)の送信、及び送信した超音波に対する反射音響波(反射超音波)の受信を行う。
超音波ユニット12は、受信回路21、AD変換手段22、受信メモリ23、データ分離手段24、光音響画像生成手段25、超音波画像生成手段26、画像合成手段27、制御手段28、及び送信制御回路29を有する。受信回路21は、プローブ11で検出された光音響波の検出信号を受信する。また、プローブ11で検出された反射超音波の検出信号を受信する。AD変換手段22は、受信回路21が受信した光音響波及び反射超音波の検出信号をデジタル信号に変換する。AD変換手段22は、例えば所定の周期のサンプリングクロック信号に基づいて、所定のサンプリング周期で光音響波及び反射超音波の検出信号をサンプリングする。AD変換手段22は、サンプリングした光音響波及び反射超音波の検出信号(サンプリングデータ)を受信メモリ23に格納する。
データ分離手段24は、受信メモリ23に格納された光音響波の検出信号のサンプリングデータと反射超音波の検出信号のサンプリングデータとを分離する。データ分離手段24は、光音響波の検出信号のサンプリングデータを光音響画像生成手段25に入力する。また、分離した反射超音波のサンプリングデータを、超音波画像生成手段(反射音響波画像生成手段)26に入力する。
光音響画像生成手段25は、プローブ11で検出された光音響波の検出信号に基づいて光音響画像(第1の光音響画像)を生成する。光音響画像の生成は、例えば、位相整合加算などの画像再構成や、検波、対数変換などを含む。超音波画像生成手段26は、プローブ11で検出された反射超音波の検出信号に基づいて超音波画像(反射音響波画像)を生成する。超音波画像の生成も、位相整合加算などの画像再構成や、検波、対数変換などを含む。
画像合成手段27は、光音響画像と超音波画像とを合成する。画像合成手段27は、例えば光音響画像と超音波画像とを重畳することで画像合成を行う。合成された画像は、ディスプレイなどの画像表示手段14に表示される。画像合成を行わずに、画像表示手段14に、光音響画像と超音波画像とを並べて表示し、或いは光音響画像と超音波画像とを切り替えてすることも可能である。
制御手段28は、超音波ユニット12内の各部を制御する。制御手段28は、例えばレーザユニット13にトリガ信号を送り、レーザユニット13からレーザ光を出射させる。また、レーザ光の照射に合わせて、AD変換手段22にサンプリングトリガ信号を送り、光音響波のサンプリング開始タイミングを制御する。
制御手段28は、超音波画像を取得する場合は、送信制御回路29に超音波送信を指示する旨の超音波送信トリガ信号を送る。送信制御回路29は、超音波送信トリガ信号を受けると、プローブ11から超音波を送信させる。制御手段28は、超音波送信のタイミングに合わせてAD変換手段22にサンプリグトリガ信号を送り、反射超音波のサンプリングを開始させる。
図3は、レーザユニット13の構成例を示す。レーザユニット13は、レーザロッド51、フラッシュランプ52、ミラー53、54、及びQスイッチ55を有する。レーザロッド51は、レーザ媒質である。レーザロッド51には、例えばアレキサンドライト結晶を用いることができる。フラッシュランプ52は、励起光源であり、レーザロッド51に励起光を照射する。励起光源はフラッシュランプ52には限定されず、フラッシュランプ52以外の光源を励起光源として用いてもよい。
ミラー53、54は、レーザロッド51を挟んで対向しており、ミラー53、54により光共振器が構成される。ミラー54が出力側であるものとする。光共振器内には、Qスイッチ55が挿入される。Qスイッチ55により、光共振器内の挿入損失を損失大(低Q)から損失小(高Q)へと急速に変化させることで、パルスレーザ光を得ることができる。レーザユニット13の出力側のミラー54から出射したパルスレーザ光は、穿刺針15(図1を参照)まで導光される。
なお、レーザユニット13は固体レーザ光源である必要はなく、その他のタイプのレーザ光源であってもよい。例えば、レーザユニット13は、レーザダイオード光源(半導体レーザ光源)であってもよい。また、レーザユニット13が、レーザダイオード光源を種光源とする光増幅型レーザ光源であってもよい。
図4に、レーザユニットの別の構成例を示す。この例では、レーザユニット13aは、光増幅型レーザ光源として構成される。レーザユニット13aは、種光としてのパルスレーザ光360を発する半導体レーザ光源351と、励起用レーザ光352を発する励起用半導体レーザ光源353と、パルスレーザ光360及び励起用レーザ光352を合波する合波器354と、例えばEr(エルビウム)がドープされたコアを有し、上記合波器354に接続されたファイバ光増幅器355と、このファイバ光増幅器355に接続された発振防止のための光アイソレータ356と、この光アイソレータ356から出力されたパルスレーザ光370を波長が1/2の第2高調波に変換する光波長変換素子358とを含む。
種光源である半導体レーザ光源351は、制御手段28(図1を参照)からトリガ信号が入力されると、例えば波長1560nmのパルスレーザ光360を出射する。このパルスレーザ光360は、ファイバ光増幅器355に入射し、ファイバ光増幅器355のコアを伝搬する。その際、例えば波長980nmの励起用レーザ光352により励起されたエルビウムイオンからエネルギーを受けて増幅される。この増幅されたパルスレーザ光370は、ファイバ光増幅器355から出射した後、光波長変換素子358により波長780nmの第2高調波であるパルスレーザ光380に変換される。レーザユニット13aから出射したパルスレーザ光380は、穿刺針15(図1を参照)まで導光される。
なお、レーザユニットと、導光部材を構成する光ファイバとを接続する光接合部(コネクタ)には、光ファイバを押さえて固定する機構を有するもの(レセプタクル)を用いることができる。例えばレーザユニット13にそのようなレセプタクルを設け、穿刺針15から延びる光ファイバ素線を光接合部に差し込む。光接合部は、例えばバネなどによる押圧で、光ファイバを保持する。このような光接合部を用いた場合、光ファイバが引っ張られたときなどに一定以上の力がレセプタクル部分に加わると、光ファイバがレセプタクル
から抜けることになり、光接合部部分で光ファイバが折れることを防止できる。また、穿刺針15と一体となった光ファイバ側にプラグ(コネクタ)を設ける必要がないため、穿刺針全体のコストを低減できる。特に、穿刺針15を使い捨てとした場合、穿刺針と共に捨てられる光ファイバにコネクタが必要ないため、コスト低減効果が大きい。
図5(a)から(c)は、それぞれ光音響画像を示す。図5(a)は、被検体の表面から45°の角度で穿刺針15を穿刺した場合の光音響画像を示す。穿刺針15は、例えば被検体の表面から50mmの深さまで穿刺される。穿刺針15の先端の近傍に設けられた光出射部から穿刺針の先端部分に対して光を照射し、穿刺針15の先端部分において光音響波を発生させることで、光音響画像において穿刺針15の先端の位置の確認が可能となる。
図5(b)は、被検体の表面から60°の角度で穿刺針15を穿刺した場合の光音響画像を示す。また、図5(c)は、被検体の表面から80°の角度で穿刺針15を穿刺した場合の光音響画像を示す。これらにおいても、図5(a)と同様に、光音響画像において穿刺針15の先端の位置の確認が可能となる。
ここで、被検体の表面から光照射を行う場合は、表面から20mmくらいが画像化可能な範囲である。穿刺針15が50mmの深さまで穿刺された場合は、表面から照射された光が穿刺針15まで十分に届かず、表面から照射した光で穿刺針15を画像化することは困難である。これに対し、本実施形態では、穿刺針15の内部に導光部材152を設け、導光部材152によって導光した光を、穿刺された穿刺針15の先端部分の近傍に設けられた光出射部から、穿刺針15の先端部分に照射するため、光は大きく減衰することなく穿刺針15の先端部分に照射することができる。このため、穿刺針が深い位置まで穿刺されたときでも、穿刺針15の位置の確認が可能である。
また、表面から光照射を行う場合で、かつ、穿刺針15が垂直に近い角度で穿刺されたとき、穿刺針15で発生した光音響波がプローブ11の音響波検出面に対して傾いて入射することになり、穿刺針15から発せられた光音響波が検出しにくくなる。これに対し、本実施形態では、穿刺針15の先端近傍から光音響波を発生させており、図5(b)や図5(c)に示すように、穿刺針15を垂直に近い角度で穿刺した場合でも、光音響画像において穿刺針15の位置の確認が可能である。
図6は、動作手順を示す。医師などにより、穿刺針15が被検体に穿刺される(ステップA1)。穿刺針15の穿刺後、超音波ユニット12の制御手段28は、レーザユニット13にトリガ信号を送る。レーザユニット13は、トリガ信号を受けると、レーザ発振を開始し、パルスレーザ光を出射する。レーザユニット13から出射したパルスレーザ光は、導光部材152(図2を参照)によって穿刺針15の先端の近傍まで導光され、光出射部153から出射して、少なくともその一部が穿刺針15の先端部分に照射される(ステップA2)。
プローブ11は、レーザ光の照射により被検体内で発生した光音響波を検出する(ステップA3)。AD変換手段22は、受信回路21を介して光音響波の検出信号を受け取り、光音響波の検出信号を、サンプリングして受信メモリ23に格納する。データ分離手段24は、受信メモリ23に格納された光音響波の検出信号を光音響画像生成手段25に送信する。光音響画像生成手段25は、光音響波の検出信号に基づいて光音響画像を生成する(ステップA4)。
制御手段28は、送信制御回路29に超音波トリガ信号を送る。送信制御回路29は、それに応答してプローブ11から超音波を送信させる(A5)。プローブ11は、超音波
の送信後、反射超音波を検出する(ステップA6)。なお、超音波の送受信は分離した位置で行ってもよい。例えばプローブ11とは異なる位置から超音波の送信を行い、その送信された超音波に対する反射超音波をプローブ11で受信してもよい。
プローブ11が検出した反射超音波は、受信回路21を介してAD変換手段22に入力される。ここで、プローブ11から送信された反射超音波はプローブ11と超音波反射位置との間を往復して伝播するのに対し、光音響波はその発生位置である穿刺針15の先端近傍からプローブ11までの片道を伝播する。従って、反射超音波の検出には、同じ深さ位置で生じた光音響波の検出に比して2倍の時間がかかるため、反射超音波サンプリング時のAD変換手段22のサンプリングクロックは、光音響波サンプリング時の半分としてもよい。AD変換手段22は、反射超音波のサンプリングデータを受信メモリ23に格納する。
データ分離手段24は、受信メモリ23に格納された反射超音波の検出信号を超音波画像生成手段26に送信する。超音波画像生成手段26は、反射超音波の検出信号に基づいて超音波画像を生成する(ステップA7)。画像合成手段27は、ステップA4で生成された光音響画像とステップA7で生成された超音波画像とを合成する(ステップA8)。ステップA8で合成された画像は、画像表示手段14に表示される(ステップA9)。
本実施形態では、穿刺針15の内部に導光部材152を設け、さらに穿刺針15の先端の近傍に光出射部153(図2)を設けた。穿刺針15の内部を導光された光は、光出射部153から出射し、穿刺針15の先端近傍にある光音響波発生部に照射される。照射された光の吸収に起因して光音響波発生部において発生した光音響波は、穿刺針15の開口部分を通り抜け、プローブ11で検出される。その光音響波を画像化することにより、光音響画像において穿刺針15の位置を確認することができる。本実施形態では、導光部材152により穿刺針15の先端近傍まで導光し、穿刺針15からその先端部分に光照射を行っており、穿刺針15が深い位置に穿刺された場合や穿刺針15が垂直に近い角度で穿刺された場合でも、光音響画像において穿刺針15の位置の確認が可能である。ここで、穿刺針15の先端近傍とは、その位置に光出射部153及び光音響波発生部が配置された場合に、穿刺作業に必要な精度で穿刺針15の先端の位置を画像化できる光音響波を発生可能な位置であることを意味する。例えば、穿刺針15の先端から基端側へ0mm〜3mmの範囲内のことを指す。以降の実施の形態においても、先端近傍とは同様の意味とする。
次に、本発明の第2実施形態を説明する。図7は、本発明の第2実施形態に係る光音響画像生成装置に用いられる穿刺針の断面を示す。本実施形態における穿刺針15aは、光吸収部材154を更に有する点で、図2に示した第1実施形態で用いられる穿刺針15と相違する。光吸収部材154は、穿刺針15aの光音響波発生部の少なくとも一部を構成する。光音響画像生成装置の構成は、図1に示した第1実施形態のものと同様である。
穿刺針15aは、導光部材152の光出射部から出射した光が照射される位置に光吸収部材154を有する。光吸収部材154は、穿刺針15aの先端近傍かつ穿刺針本体151の内壁に設けられ、光出射部から出射される光を吸収して光音響波を発生する。光吸収部材154は、例えば黒顔料を混合したエポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フッ素樹脂やシリコーンゴム、レーザ光の波長に対して光吸収性が高い例えば黒色の塗料から成る。図7では、導光部材152よりも光吸収部材154の方が大きく描かれているが、これには限定されず、光吸収部材154は、導光部材152の径と同程度の大きさであってもよい。
上記に代えて、レーザ光の波長に対して光吸収性を有する金属膜又は酸化物の膜を、光
吸収部材154としてもよい。例えば光吸収部材154として、レーザ光の波長に対して光吸収性が高い酸化鉄や、酸化クロム、酸化マンガンなどの酸化物の膜を用いることができる。あるいは、光吸収性は酸化物よりも低いが生体適合性が高いTiやPtなどの金属膜を光吸収部材154として用いてもよい。また、光吸収部材154が設けられる位置は穿刺針本体151の内壁には限定されない。例えば、光吸収部材154である金属膜又は酸化物の膜を、蒸着などにより光出射部153(図2を参照)上に例えば100nm程度の膜厚で製膜し、酸化物の膜が光出射部153を覆ってもよい。この場合、光出射部153から出射した光の少なくとも一部は、光出射面を覆う金属膜又は酸化物の膜で吸収され、金属膜又は酸化物の膜から光音響波が生じる。
本実施形態では、穿刺針15が光吸収部材154を有している。レーザユニット13から出射した光が光吸収部材154に照射されることで、光吸収部材154がない場合に比して、穿刺針の先端部分から発生する光音響波を強めることができる。このため、レーザユニット13が出射する光のエネルギーが低い場合でも、効率よく光音響波を発生させることができる。その他の効果は第1実施形態と同様である。
続いて、本発明の第3実施形態を説明する。図8は、本発明の第3実施形態に係る光音響画像生成装置に用いられる穿刺針の断面を示す。本実施形態における穿刺針15bは、光吸収部材155が導光部材152を穿刺針の内壁に固定する固定部材を兼ねている点で、図7に示した第2実施形態で用いられる穿刺針15aと相違する。光音響画像生成装置の構成は、図1に示した第1実施形態のものと同様である。
固定部材でもある光吸収部材155は、例えば黒顔料を混合したエポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フッ素樹脂やシリコーンゴムなどで構成される。光吸収部材155は、例えば導光部材152である光ファイバの光出射端を覆い、かつ、光ファイバ端面を穿刺針本体151の内壁に固定する。このようにすることで、導光部材152を固定することができ、穿刺針15bの先端と導光部材152の先端(光出射部)との位置関係を精度よく把握することができる。その他の効果は第2実施形態と同様である。
次いで、本発明の第4実施形態を説明する。図9は、本発明の第4実施形態に係る光音響像生成装置に用いられる穿刺針の断面を示す。本実施形態は、光導光部材152を構成する光ファイバの光出射側の端面(光出射部153)が斜めに形成される点で、第1実施形態と相違する。光音響画像生成装置の構成は、図1に示した第1実施形態のものと同様である。なお、本実施形態においても、第2実施形態と同様に穿刺針が光吸収部材154(図7を参照)を有していてもよい。また、第3実施形態と同様に穿刺針が固定部材を兼ねる光吸収部材155(図8を参照)を有していてもよい。
本実施形態では、光出射部153を構成する導光部材(光ファイバ)152の端面が垂直ではなく、角度αで傾いている。より詳細には、導光部材152を構成する光ファイバの端面の角度は、光ファイバの延在方向と平行な方向の角度を0°とし、光ファイバの延在方向と垂直な方向の角度を90°とした場合に、45°以上90°未満の角度である。光ファイバ(コア)の屈折率は1.45程度であり、穿刺針15の内部が空気又は水で満たされているとすると、光ファイバを進行してきた光は光ファイバの光出射側の端面で、穿刺針15の内壁方向へ屈折する。このようにすることで、より多くの光を穿刺針15の内壁へ照射することができ、穿刺針15に先端部分において光音響波を効率よく発生させることができる。
引き続き、本発明の第5実施形態を説明する。図10は、本発明の第5実施形態に係る光音響画像生成装置を示す。本実施形態に係る光音響画像生成装置は、図1に示した第1実施形態に係る光音響画像生成装置10に加えてレーザユニット16(第2の光源)を有
する。なお、本実施形態においても、第2実施形態と同様に穿刺針が光吸収部材154(図7を参照)を有していてもよく、また第3実施形態と同様に穿刺針が固定部材を兼ねる光吸収部材155(図8を参照)を有していてもよい。また、第4実施形態と同様に、光ファイバの光出射端が斜めに形成されていてもよい(図9を参照)。
レーザユニット16は、被検体の表面などから被検体に照射されるレーザ光を出射する。レーザ光の波長は、観察対象の生体組織などに応じて適宜設定すればよい。レーザユニット16は、例えばアレキサンドライトをレーザ媒質とする固体レーザ光源として構成される。レーザユニット16から出射した光は、光ファイバなどを用いてプローブ11まで導光され、プローブ11に設けられた光照射部から被検体に照射される。プローブ11から光照射を行うのに代えて、プローブ11以外の場所からレーザ光を照射することとしてもよい。プローブ11は、レーザユニット16から出射した光が被検体に照射された後、その光照射に起因して発生した光音響波(第2の光音響波)を検出する。
第2の光源であるレーザユニット16から出射した光は被検体の比較的広い範囲に照射されるため、レーザユニット16は高いエネルギーのレーザ光を出射することが好ましい。これに対し、第1の光源であるレーザユニット13から出射される光は、穿刺針15の先端の限られた範囲にのみ照射できればよく、エネルギー密度が高いため、第1の光源は高い出力のレーザ光源でなくてもよい。例えばレーザユニット13とレーザユニット16とが共にフラッシュランプを励起光源をとする固体レーザ光源として構成されている場合、レーザユニット13では、レーザユニット16に比べて弱い強度でフラッシュランプを発光させてもよい。
レーザ光の波長については、レーザユニット13とレーザユニット16とで、波長が異なっていてもよい。例えば第2の光源であるレーザユニット16には、観察対象である血管を効率よく画像化できる波長700nm〜800nmのレーザ光源を用いることができる。一方、第1の光源であるレーザユニット13には、波長1064nmや532nmのレーザ光源を用いることができる。レーザユニット13から出射されるレーザ光の波長は、レーザユニット13から出射される光が生体に入った場合でも局所的に吸収されない、生体組織の透過率が高い波長領域(700nm−1100nm)の範囲にあることが特に好ましい。また、レーザユニット13とレーザユニット16とで、レーザ光源のタイプが異なっていてもよい。例えば、レーザユニット13には半導体レーザや光増幅型レーザ光源を用い、レーザユニット16には、Nd:YAG(ネオジムYAG)やYAG、アレキサンドライトなどの固体レーザ光源を用いてもよい。
レーザユニット13の駆動条件について考察する。レーザユニット13から光が出射された後に穿刺針15の先端部分で発生する光音響波の周波数成分は、レーザユニット13から出射されるパルスレーザ光のパルス幅に依存して変化する。図11は、パルスレーザ光の照射に起因して発生した光音響波の周波数特性を示すグラフである。グラフにおいて、横軸は周波数を示し、縦軸は信号強度を示す。図11には、パルス幅5.7nsのパルスレーザ光に対する光音響波の周波数特性(a)の実測値が示されている。また、パルス幅を50nsとしたときに想定される光音響波の周波数特性(b)の計算値と、パルス幅を75nsとしたときに想定される光音響波の周波数特性(c)の計算値と、パルス幅を100nsとしたときに想定される光音響波の周波数特性(d)の計算値も示されている。縦軸はパルス幅5.7nsに対する光音響波の最大強度で規格化されている。レーザユニット13には、Nd:YAGの固体レーザ光源が用いられるものとする。
図11を参照すると、パルス幅が広くなるにつれて、光音響波の高周波成分が弱くなっていくことがわかる。また、光音響波の全体的な強度も低下していくことがわかる。一般的な医用プローブの検出可能な周波数範囲は2MHz−20MHzである。例えば、中心
周波数が8MHzのプローブでは、4MHz−12MHzの範囲の音響波の検出が可能である。一般的な医用プローブを用いて穿刺針15の先端部分で発生する光音響波を検出可能とするために、レーザユニット13は、プローブが検出可能な周波数範囲に十分な強度を持つ光音響波が発生するパルス幅のパルスレーザ光を出射することが好ましい。パルスレーザ光のパルス幅が100nsを超えると、2MHz−20MHの範囲の周波数成分の信号が十分な強度を有さないため、パルス幅の上限は100nsとすることが好ましい。なお、レーザユニット13にレーザダイオード光源を用いた場合、パルスレーザ光の光強度はパルス幅にほぼ比例するため、パルス幅を狭くするほどレーザ光の全体的な強度が低下する。穿刺針15の先端部分においてプローブ11で検出可能な強度の光音響波を発生させるためには、パルス幅は最低限5nsは必要であると考えられる。まとめると、レーザユニット13から出射されるパルスレーザ光のパルス幅は5ns−100nsの範囲であること好ましい。
パルスレーザ光のエネルギーについては、実験の結果、1パルスで0.8μJ以上であれば穿刺針15の先端で発生した光音響波の可視化が可能であった。加算平均を考えると、加算平均は1000回くらいまでは可能であり、その場合、1パルスで0.03μJ以上であれば可視化可能レベルとなる。エネルギーの上限については、1パルスで50μJよりも高いと、200μmコアファイバでエネルギー密度が160mJ/cm2以上、400μmコアファイバでもエネルギー密度が40mJ/cm2以上となり、生体安全性の基準値と同レベルになる(波長750m〜1064nmで20mJ/cm2〜100mJ/cm2)。従って、50μJよりも高いエネルギーは好ましくない。まとめると、パルスあたりのエネルギーは、0.03μJ以上で50μJ以下が好ましい。
本実施形態では2つの光照射が行われる。1つは穿刺針15の先端部分に対するレーザユニット13から出射された光の照射であり、もう1つは被検体に対するレーザユニット16から出射された光の照射である。本実施形態では、穿刺針15の先端部分に対する光照射に起因して生じた第1の光音響波に加えて、被検体に対する光照射に起因して生じた第2の光音響波を検出する。光音響画像生成手段25は、第1の光音響波に基づく第1の光音響画像に加えて、第2の光音響波に基づく第2の光音響画像を生成する。
図12は、本実施形態における動作手順を示す。医師などにより、穿刺針15が被検体に穿刺される(ステップB1)。穿刺針15の穿刺後、超音波ユニット12の制御手段28は、第1の光源であるレーザユニット13にトリガ信号を送る。レーザユニット13は、トリガ信号を受けると、レーザ発振を開始し、パルスレーザ光を出射する。レーザユニット13から出射したパルスレーザ光は、導光部材152(図2を参照)によって穿刺針15の先端の近傍まで導光され、光出射部153から出射して、穿刺針15の先端部分に照射される(ステップB2)。
プローブ11は、レーザ光の照射により被検体内で発生した第1の光音響波を検出する(ステップB3)。AD変換手段22は、受信回路21を介して第1の光音響波の検出信号を受け取り、第1の光音響波の検出信号をサンプリングして受信メモリ23に格納する。データ分離手段24は、受信メモリ23に格納された第1の光音響波の検出信号を光音響画像生成手段25に送信し、光音響画像生成手段25は、第1の光音響波の検出信号に基づいて第1の光音響画像を生成する(ステップB4)。ここまでのステップは、第1実施形態で説明した動作手順(図6を参照)と同様でよい。
制御手段28は、第2の光源であるレーザユニット16に対してレーザ発振トリガ信号を送る。レーザユニット16は、レーザ発振トリガ信号に応答して、例えばフラッシュランプなどの励起光源を点灯してレーザ媒質を励起し、その後QスイッチをONにすることでパルスレーザ光を出射する。レーザユニット16から出射したレーザ光は、プローブ1
1などから被検体の比較的広い範囲に照射される(ステップB5)。
プローブ11は、ステップB5のレーザ光の照射に起因して発生した第2の光音響波を検出する(ステップB6)。AD変換手段22は、受信回路21を介して第2の光音響波の検出信号を受け取り、第2の光音響波の検出信号をサンプリングして受信メモリ23に格納する。データ分離手段24は、受信メモリ23に格納された第2の光音響波の検出信号を光音響画像生成手段25に送信し、光音響画像生成手段25は、第2の光音響波の検出信号に基づいて第2の光音響画像を生成する(ステップB7)。
制御手段28は、送信制御回路29に超音波トリガ信号を送り、送信制御回路29は、それに応答してプローブ11から超音波を送信させる(B8)。プローブ11は、超音波の送信後、反射超音波を検出する(ステップB9)。AD変換手段22は、受信回路21を介して反射超音波の検出信号を受け取り、反射超音波の検出信号をサンプリングして受信メモリ23に格納する。データ分離手段24は、受信メモリ23に格納された反射超音波の検出信号を超音波画像生成手段26に送信する。超音波画像生成手段26は、反射超音波の検出信号に基づいて超音波画像を生成する(ステップB10)。超音波の送信から超音波画像の生成までのステップは、第1実施形態で説明した動作手順と同様でよい。
画像合成手段27は、ステップB4で生成された第1の光音響画像と、ステップB7で生成された第2の光音響画像と、ステップB10で生成された超音波画像とを合成する(ステップB11)。ステップB11で合成された画像は、画像表示手段14に表示される(ステップA9)。
なお、上記では第1の光源であるレーザユニット13から出射される光の照射と、第2の光源であるレーザユニット16から出射される光の照射とを別々に行うこととして説明したが、これら光照射を同時に行うこととしてもよい。その場合、プローブ11は、第1の光源であるレーザユニット13から出射される光の照射に起因する第1の光音響波と、第2の光源であるレーザユニット16からの出射される光の照射に起因する第2の光音響波を、同時に(一度に)検出する。この場合、光音響画像の生成は1回で済むため、2つの光音響画像を生成して後で合成する(重ねる)場合に比して、短時間で画像表示を行うことができる。
本実施形態では、第2の光源であるレーザユニット16から出射される光を被検体に照射し、第2の光音響波を検出して第2の光音響画像を生成する。第2の光音響画像を参照することで、血液などの光吸収体の分布を画像化することができる。レーザユニット16から出射される光の照射に加え、第1の光源であるレーザユニット13から出射される光を穿刺針15の先端部分に照射し、そこから光音響波を発生させることで、レーザユニット16から出射される光が届かない深部に穿刺針15の先端がある場合でも、光音響画像において穿刺針の先端の位置の確認が可能となる。
続いて、本発明の第6実施形態を説明する。本実施形態では、穿刺針が、穿刺針本体の内腔の少なくとも一部を封止する内針を更に有する。内針は、例えば外針を構成する穿刺針本体の内径とほぼ同じ大きさの外径を有しており、中空の穿刺針本体に対して抜き差し可能に構成される。内針は、光吸収性を有する材料、例えば黒色の樹脂から成る。内針の内部には、導光部材が埋め込まれる。内針、特にその先端部分は、導光部材の光出射部から出射した光を吸収して音響波を発生する光吸収部材を兼ねる。光音響画像生成装置全体の構成は、図1に示す第1実施形態に係る光音響画像生成装置と同様でもよいし、図10に示す第5実施形態に係る光音響画像生成装置と同様でもよい。
図13は、本実施形態で用いられる穿刺針の先端付近の断面を示す。穿刺針15cは、
鋭角に形成された先端に開口を有し内部に内腔を有する中空形状の穿刺針本体151の内側に、内針158を有する。内針158は、例えば黒色のポリアミド樹脂やPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などのフッ素樹脂から成る。内針158の先端は、穿刺針本体151の先端と同様に鋭角に形成される。内針158の内部には導光部材152が埋め込まれる。導光部材152を内部に有する内針158は、例えば穿刺針本体151の内径と同様な内径を有する管の中に導光部材152を配置し、その後黒色のポリアミド樹脂やフッ素樹脂などを流し込み、先端部分をカットすることで作製できる。導光部材152の光出射部153から出射した光は光吸収性を有する内針158の先端部分に照射され、内針158の先端部分で光音響波が発生する。発生した光音響波はプローブ11(図1を参照)で検出される。内針158の内部における導光部材152が埋め込まれる位置は特に限定されない。内針158の中央付近でもよいし、図2などに示したものと同様に、穿刺針本体151の内壁に近い部分でもよい。
図14(a)は本実施形態における穿刺針15cの外観を示し、(b)は穿刺針本体151の外観を示し、(c)は内針158の外観を示す。外針を構成する穿刺針本体151は外針基156に接着され(図14(b)を参照)、内針158は内針基159に接着される(図14(c)を参照)。内針158は、外針基156側から穿刺針本体151の内腔に挿入され、穿刺針本体151の内腔の少なくとも一部を、生体の切片等が内腔に侵入するのを防ぐ程度に封止する。内針基159には、接続位置合わせのための突起部が設けられており、外針基156には、内針基159の突起部に係合する溝が設けられている。穿刺針本体151内に内針158をセットする際は、内針基159の突起と外針基156の溝との位置を合わせた上で、内針基159を外針基156に嵌合させる。
術者は、穿刺針本体151内に内針158がセットされた状態(図14(a)を参照)で、穿刺針15cを被検体へ穿刺する。穿刺針本体151の内腔が内針158により塞がれるため、針を穿刺している途中に肉片などを巻き込むことを防止でき、術者の刺す感覚が妨げられることを防止できる。また、穿刺部位から穿刺針本体151の内腔への水分の流入も防止できる。術者は、被検体への穿刺後、内針基159と外針基156との接続を解除し、穿刺針本体151から内針158を抜去する。内針158の抜去後、外針基156にシリンジなどを装着し、例えば麻酔薬などの薬剤の注入を行う。あるいは、被検体の穿刺針15cが穿刺された箇所から生検試料を採取する。
図15は、レーザユニット13と穿刺針15cとの接続を示す。レーザユニット13には、例えばレーザダイオード光源が用いられる。レーザダイオード光源及びその駆動回路などは、幅125mm、奥行き70mm、高さ40mm程度のボックスに収容される。レーザユニット13は、例えば超音波ユニットに設けられたUSB(Universal Serial Bus)端子からDC(Direct Current)電源の供給を受ける。レーザユニット13から出射されるパルスレーザ光のパルスエネルギーは例えば0.006mJであり、パルス幅は例えば60ns−100nsである。パルスレーザ光の単位時間当たりの繰り返し回数(周波数)は例えば30Hz以上である。
レーザユニット13から穿刺針15cまでの導光には、光ファイバ30が用いられる。光ファイバ30は、先端(レーザユニット13から見て遠端側)に光コネクタ31を有する。穿刺針15cの内針基159には、光コネクタ31を接続する光コネクタが設けられている。光ファイバ30により導光された光は、光コネクタ31から内針158内の導光部材152(図13を参照)に入射し、光出射部153から内針158の先端部分に照射される。内針基159に光コネクタを設けた場合には、レーザユニット13から出射される光を内針まで導光する光ファイバ30と内針部分とを分離して取り扱うことが可能であり、内針158と内針基159とを含む内針部分を滅菌処理して袋詰めにしておくことが可能である。使用する際は、滅菌袋から内針部分を取り出し、内針基159に設けられた
光コネクタと光ファイバ30に設けられた光コネクタ31とを接続すればよい。
なお、上記では内針基159に光コネクタが設けられる例を説明したが、内針基159に光コネクタを設けるのに代えて、穿刺針15c側にも内針基159から延びる光ファイバを設け、その光ファイバの先端に光コネクタを設けることとしてもよい。その場合には、内針基159から延びる光ファイバを含めて内針部分を滅菌処理し、袋詰めすればよい。内針基159に光コネクタが設けられる場合、内針基159の重さは光コネクタがない場合に比べて光コネクタの分だけ重くなる。内針基159が重くなりすぎると、穿刺針15cにおける重量バランスが悪くなり、穿刺針15cが扱いにくくなることが考えられる。そのような場合は、内針基159から離れた位置に光コネクタを設けるとよい。
内針基159から延びる光ファイバに光コネクタを設けずに、光ファイバの端面を導光が可能となるように研磨するか、或いは光ファイバ端面を平滑にカットした状態としてもよい。その場合、レーザユニット13側に、内針基159から延びる光ファイバの先端が挿入され、挿入された光ファイバをバネ力で抑える構造のレセプタクルを設けておくとよい。このようにした場合、光ファイバに一定以上の力が加わると光ファイバがレセプタクルから抜けるため、光ファイバに無理な力が加わって折れることがなくなる。また、内針基159側から延びる光ファイバに光コネクタ(プラグ)を付ける必要がなく、穿刺針のコストを低減できる。
本実施形態では、穿刺針15cが内針158を有する。外針を構成する穿刺針本体151の内腔を内針158が塞ぐことで、術者は、刺す感覚を妨げられることなく、穿刺針15cを被検体に穿刺できる。また、穿刺針本体151の内腔を水分などが逆流することを防止できる。本実施形態では、内針が光吸収性を有する材料から成り、かつ内針158の内部に導光部材152を設けている。導光部材152により穿刺針の先端部分まで光を導光し、光出射部153から内針158の先端部分に光を照射することで、内針158の先端部分で光音響波を発生させることができ、光音響画像による穿刺針先端の可視化が可能である。
次いで本発明の第7実施形態を説明する。第6実施形態では、内針158(図13を参照)の内部に導光部材152が配置された。本実施形態では、導光部材152自体を、穿刺針本体151の内腔の少なくとも一部を封止する内針として用いる。また、光出射部153を含む導光部材152の含む少なくとも一部を、光吸収性を有する膜、例えば黒色のフッ素樹脂で覆う。その他の構成は第6実施形態と同様でよい。
図16は、本実施形態における穿刺針で用いられる内針の外観を示す。導光部材152は、中空形状の穿刺針本体151の内径とほぼ同じ大きさの外径を有する。導光部材152には、例えばコア直径が400μm程度の光ファイバが用いられる。導光部材152のクラッドや被覆を含めたトータルの直径は550μm程度である。内針は、導光部材152の先端を含む一部に、黒色のフッ素樹脂膜160を有する。内針は、少なくとも導光部材152の先端に黒色のフッ素樹脂膜160を有していればよく、導光部材152の長手方向の全体にわたって黒色のフッ素樹脂膜を有することとしてもよい。
図17は、内針の先端部分の断面を示す。導光部材152の先端部分に光吸収性を有する黒色のフッ素樹脂膜160を有することで、導光部材152の光出射部153が黒色のフッ素樹脂膜160で覆われる。光出射部153から出射した光は黒色のフッ素樹脂膜160で吸収され、内針158の先端部分で光音響波が発生する。発生した光音響波はプローブ11(図1を参照)で検出される。
本実施形態では、導光部材152を内針として用い、導光部材152により穿刺針本体
151の内腔を塞ぐ。本実施形態では、第6実施形態とは異なり、導光部材152自体が穿刺針本体151の内腔を塞ぐため、第6実施形態に比べて導光部材152に径が太い光ファイバを使用できる。その他の効果は第6実施形態と同様である。
更に本発明の第8実施形態を説明する。図18は、本発明の第8実施形態で用いられる内針の断面を示す。本実施形態では、内針が、チューブ161、導光部材152、及び光吸収部材154を含む。チューブ161、導光部材152、及び光吸収部材154は、穿刺針本体の内腔に挿入される内針を構成する。図18では図示を省略しているが、チューブ161及び導光部材152は内針基159(図14(c)を参照)に接着されている。チューブ161、導光部材152、及び光吸収部材154は、外針基156(図14(b)を参照)側から穿刺針本体151の内腔に挿入される。その他の構成は第6実施形態と同様でよい。
チューブ161は、導光部材152を内部に収容する中空の管である。チューブ161は、例えばPTFEなどのフッ素樹脂から成る。導光部材152は例えばコア直径が200μmの光ファイバであり、チューブ161の外径は例えば406μmである。チューブ161の先端には、光吸収部材154が配置される。光吸収部材154は、鋭角に形成された穿刺針先端と同様に、鋭角にカットされている。光吸収部材154には、光吸収性を有する黒顔料を混合したエポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フッ素樹脂やシリコーンゴムなどを用いることができる。導光部材152の光出射部153と、光吸収部材154との間には空隙が存在する。別の言い方をすれば、導光部材152の光出射部153と光吸収部材154とは、空気層を介して対向している。
レーザユニット13(図15を参照)から出射した光は、導光部材152によって穿刺針(内針)の先端付近まで導光され、光出射部153から空隙を介して光吸収部材154に照射される。光吸収部材154かが照射された光を吸収することで、穿刺針の先端部分において光音響波が発生する。このとき、光吸収部材154の音響インピーダンスは空気よりも生体組織に近いため、光吸収部材154で発生した光音響波の多くが穿刺針の開口から外部に放出される。このように、光吸収部材154の背面側に空気層を設けることで、光吸収部材154で発生した光音響波を効率よく正面から放出することができる。
続いて本発明の第9実施形態を説明する。図19は、本発明の第9実施形態で用いられる穿刺針の先端付近の断面を示す。本実施形態における穿刺針15dは、穿刺針本体151、チューブ161、透明樹脂163、導光部材152、及び光吸収部材154を有する。チューブ161、透明樹脂163、導光部材152、及び光吸収部材154は、穿刺針本体151の内腔に挿入される内針158を構成する。図19では図示を省略しているが、チューブ161及び導光部材152は内針基159(図14(c)を参照)に接着されている。内針158は、外針基156(図14(b)を参照)側から穿刺針本体151の内腔に挿入される。その他の構成は第6実施形態と同様でよい。
チューブ161は、例えばポリイミドから成る中空の管である。チューブ161は、ステンレスなどの金属の管であってもよい。透明樹脂163は、チューブ161の管内に配置される。透明樹脂163には、例えばエポキシ樹脂(接着剤)が用いられる。透明樹脂163は、チューブ161の少なくとも先端部分を塞げばよく、必ずしもチューブ161の内部の全体を塞いでいる必要はない。透明樹脂163には、光硬化型、熱硬化型、又は常温硬化型のものを用いることができる。
導光部材152は、透明樹脂163によりチューブ161の中に埋め込まれる。導光部材152の光出射端は光出射部153を構成する。チューブ161の先端部分は、光吸収部材154を有しており、光出射部153から出射した光は光吸収部材154に照射され
る。光吸収部材154には、例えば黒顔料を混合したエポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フッ素樹脂やシリコーンゴムなどを用いることができる。
本実施形態で用いられる内針158は、以下の手順で作製できる。まず、チューブ161の管内に硬化前の透明樹脂163を注入する。次いで、導光部材152をチューブ161の内部に挿通し、光出射部153を構成する導光部材152の光出射端がチューブ161の先端部分の近傍に配置されるように位置決めする。この位置決めでは、例えば顕微鏡などを用いて導光部材152を観察し、光出射端がチューブ161の先端部分に配置されるように位置を調整するとよい。透明樹脂163は透明性を有しているため、調整の際に、導光部材152の光出射端の位置の確認が可能である。上記に代えて、先に導光部材152を挿通し、その後透明樹脂163を注入してもよい。
位置決め後、導光部材152がチューブ161の管内に挿通された状態で透明樹脂163を例えば熱硬化により硬化させる。その後、チューブ161及び透明樹脂163の先端を、穿刺針本体151の先端に適合した形状になるように鋭角に切断する。続いて、その切断面の少なくとも一部を覆うように、光吸収部材154を構成する光吸収性を有する樹脂を塗布し、その樹脂を例えば熱硬化により硬化させる。
上記では、導光部材152をチューブ161の内部に挿通して位置を調整し、透明樹脂を硬化させた後にチューブを鋭角に切断しているが、これには限定されない。先にチューブを鋭角に切断しておき、そのチューブに導光部材152を挿通して位置調整し、透明樹脂を硬化させてもよい。その場合、チューブに金属管を用いてもよい。
本実施形態では、チューブ161と透明樹脂163とによって内針158が構成され、導光部材152は、透明樹脂163によりチューブ161の管内に埋め込まれる。透明樹脂163を用いることで、導光部材152を埋め込む際にその先端の位置を目視で確認することができ、光出射部153を、内針158のできるだけ先端に近い位置に配置することが可能である。
また、本実施形態では、内針158の先端部分の表面に光吸収部材154が配置される。導光部材152の光出射部153から出射した光は、透明樹脂163を通して光吸収部材154に照射され、光吸収部材154から光音響波が発生する。光音響波が内針158先端部分の表面で発生するため、減衰要素が少なく、光音響波の検出を安定的に行うことができる。また、光は透明樹脂163を介して照射されるため、光出射部153の位置が多少ずれたとしても、光吸収部材154に対して光照射させることができる。
本発明者は、導光部材152にコア直径が200μmの光ファイバを用いた内針158を作製し、その内針158を太さ22G(ゲイジ)のブロック針に装着し、ブロック針を挿入角度80°で穿刺し、光音響画像で針の先端位置の画像化が可能であるか否かの実験を行った。光源からパルス幅80nsでパルスエネルギーが6.4μJのパルスレーザ光を出射し、光ファイバから内針158の先端部分の表面に設けられた黒色エポキシ樹脂に対して光照射を行い、黒色エポキシ樹脂から発生した光音響波を6.5MHzの中心周波数を有するリニアプローブで検出した。この光音響波を画像化したところ、深さ77mmの位置まで穿刺した場合でも、画像化が可能であることを確認した。更に8回分の検出結果を加算平均することで、針の先端位置がより明確に画像化できることが確かめられた。また、導光部材152にコア直径が100μmの光ファイバを用いた場合についても、光源からパルス幅80nsでパルスエネルギーが2.0μJの光を出射したときに、深さ78mmの位置において画像化が可能であることを確認した。
引き続いて本発明の第10実施形態を説明する。図20は、本発明の第10実施形態で
用いられる穿刺針の先端付近の断面を示す。本実施形態における穿刺針15eは、穿刺針本体151、チューブ161、透明樹脂163、導光部材152、及び光吸収部材154を有する。本実施形態における穿刺針15eは、光吸収部材154が光出射部153を覆い、導光部材152と共に透明樹脂163に埋め込まれている点で、図19に示す第9実施形態における穿刺針15dと相違する。その他の構成は、第9実施形態と同様でよい。
本実施形態で用いられる内針158は、以下の手順で作製できる。まず、光出射部153を構成する導光部材152の光出射端の少なくとも一部を覆うように、光吸収性樹脂を付着させる。光吸収性樹脂には、例えば黒顔料を混合したエポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フッ素樹脂やシリコーンゴムなどを用いることができる。次いで、光吸収性樹脂を例えば熱硬化により硬化させる。この光吸収性樹脂は、光吸収部材154を構成する。
続いて、光吸収部材154が先端部分に付着された導光部材152をチューブ161の内部に挿通し、光出射部153を構成する導光部材152の光出射端がチューブ161の先端部分の近傍に配置されるように位置決めする。この位置決めでは、例えば顕微鏡などを用いて導光部材152を観察し、光出射端がチューブ161の先端部分に配置されるように位置を調整するとよい。
引き続き、チューブ161の管内に硬化前の透明樹脂163を注入し、導光部材152がチューブ161の管内に挿通された状態で透明樹脂163を例えば熱硬化により硬化させる。透明樹脂163には、例えば音響波の減衰が少ない軟性エポキシ樹脂を用いるとよい。その後、チューブ161及び透明樹脂163の先端を、穿刺針本体151の先端に適合した形状になるように鋭角に切断する。上記に代えて、先に導光部材152を挿通し、その後透明樹脂163を注入してもよい。
上記では、光吸収部材154が先端部分に付着された導光部材152をチューブ161の内部に挿通して位置調整した後にチューブ161を鋭角に切断しているが、これには限定されない。先にチューブ161の先端を鋭角に切断し、そのチューブに光吸収部材154が先端部分に付着された導光部材152を挿入して位置調整してもよい。この場合、チューブ161に金属管などを用いてもよい。
本実施形態では、光出射部153を構成する導光部材152の光出射端に光吸収部材154が設けられ、導光部材152と光吸収部材154とが透明樹脂163に埋め込まれる。本実施形態では、第9実施形態に比べて、光吸収部材154をピンポイント化し、光音響波の発生源を点音源に近づけることができる。その他の効果は第9実施形態と同様である。
本発明者は、導光部材152にコア直径が200μmの光ファイバを用いた内針158を作製し、その内針158を太さ22G(ゲイジ)の針に装着し、その針を挿入角度80°で穿刺し、光音響画像で針の先端位置の画像化が可能であるか否かの実験を行った。光源からパルス幅80nsでパルスエネルギーが6.4μJのパルスレーザ光を出射し、光ファイバの先端部分の表面に設けられた黒色エポキシ樹脂に対して光照射を行い、黒色エポキシ樹脂から発生した光音響波をプローブで検出した。この光音響波を画像化したところ、深さ77mmの位置まで穿刺した場合でも、画像化が可能であることを確認した。更に8回分の検出結果を加算平均することで、針の先端位置がより明確に画像化できることが確かめられた。また、導光部材152にコア直径が100μmの光ファイバを用いた場合についても、光源からパルス幅80nsでパルスエネルギーが2.0μJの光を出射したときに、深さ78mmの位置において画像化が可能であることを確認した。
なお、上記各実施形態では、プローブ11が光音響波と反射超音波の双方を検出するも
のとして説明したが、超音波画像の生成に用いるプローブと光音響画像の生成に用いるプローブとは、必ずしも同一である必要はない。光音響波と反射超音波とを、それぞれ別個のプローブで検出してもよい。また、光音響波の検出(サンプリング)と、反射超音波の検出(サンプリング)とは、どちらを先に行ってもよい。
第3実施形態では、穿刺針15の内部に存在する水や空気などの屈折率が、光ファイバの屈折率よりも低いため、内壁側(穿刺針の中央と反対の側)が長くなるように光出射側の端面を斜めに形成している。穿刺針の内部が光ファイバの屈折率よりも高い物質で満たされるような場合には、図9とは逆に、穿刺針の中央側(内壁と逆側)が長くなるように光出射端側の端面を斜めに形成すればよい。
第5実施形態では、レーザユニット13とレーザユニット16とが独立した光源であるものとして説明したが、一方の光源が他方の光源を兼ねる構成としてもよい。図21は、第5実施形態に係る光音響画像生成装置に用いられる第1の音源及び第2の音源の光源の変形例を示す。図21に示した変形例においては、第2の光源であるレーザユニット16は第1の光源を兼ねている。レーザユニット16から出射したレーザ光の一部は被検体方向に分岐され、残りの光の少なくとも一部が穿刺針15方向に分岐される。分岐比は例えば100:1程度とすることができる。
例えば、レーザユニット16から出射した光を、拡散板17を用いて拡散させた後に、集光レンズ18を介して、例えば100本程度の光ファイバを束ねたバンドルファイバ19に入射する。拡散板17及び集光レンズ18を用いることで、バンドルファイバ19に入射する光の光強度のばらつきを抑えることができる。バンドルファイバ19のうちのいくつか、例えば1本を穿刺針15の方へ分岐し、残りは被検体方向へ分岐する。例えばプローブに、穿刺針15から延びる光ファイバを接続するための光コネクタを設け、バンドルファイバ19によりいったんプローブまで全ての光を導光した後に、プローブ内で導光された光の一部を穿刺針方向へ分岐してもよい。なお、分岐の仕方は、上記のものには限定されず、大部分を透過し一部を反射するビームスプリッターを用いるなど、その他の分岐の仕方でもよい。この場合、穿刺針から出る導光部材と接続するコネクタはレーザシステム側に設けることが好ましい。
第8から第10実施形態では、チューブ161、導光部材152、及び光吸収部材154を内針として用いる例を説明したが、これには限定されない。チューブ161を穿刺針本体151の内径よりも小さくして、図2と同様に、穿刺針本体151の内腔に沿わせてもよい。この場合でも、それぞれの効果は維持される。
穿刺針は、経皮的に被検体外部から被検体に穿刺されるものには限定されず、超音波内視鏡用の針であってもよい。超音波内視鏡用の針に導光部材152と光吸収部材154とを設け、針先端部分に設けられた光吸収部材154に対して光を照射し、光音響波を検出して光音響画像を生成してもよい。その場合、光音響画像を観察して超音波内視鏡用の針の先端部の位置を確認しながら穿刺することができる。超音波内視鏡用の針の先端部で発生した光音響波は、体表用プローブを用いて検出してもよいし、内視鏡に組み込まれたプローブを用いて検出してもよい。
光ファイバなどの導光部材152は、穿刺針などの挿入物の内腔内で、接着剤によって内壁に固定されていてもよい。あるいは、挿入物の内腔内に、内腔よりも径が小さい中空の管(チューブ)を通し、そのチューブにより導光部材152を固定してもよい。図22(a)は穿刺針の斜視図であり、(b)はA−A断面を示す。同図(a)に示すように、穿刺針15fは、穿刺針本体151の内部にチューブ162を有する。同図(b)に示すように、導光部材152は、穿刺針本体151の内腔とチューブ162との間に保持され
る。チューブ162の外径は、穿刺針本体151の内径よりも、導光部材152の外径分だけ小さい。
穿刺針15fの組み立てでは、まず、穿刺針15fの内腔に導光部材152を通し、次いでチューブ162を穿刺針本体151の内腔に挿入する。挿入したチューブ162により導光部材152を穿刺針本体151の内壁に押し当てることで、導光部材152を穿刺針本体151の内腔に固定する。チューブ162は、穿刺針本体151の内壁との間の摩擦力により、導光部材152を内腔内の所定の位置に維持する。さらに穿刺針本体151の内腔とチューブ162とを接着剤を用いて接着することとしてもよい。
チューブ162の材料には、例えば金属、フッ素樹脂、又はポリイミドなどを用いることができる。チューブ162の材料に例えばステンレスなどの金属を用いた場合、導光部材152をしっかりと保持することができる。チューブ162の材料にフッ素樹脂を用いた場合は、チューブ162の材料に金属を用いた場合に比べてチューブの厚み(肉厚)を薄くでき、薬液等の流量を増やすことができる。チューブ162の材料にポリイミドを用いた場合、ポリイミドは硬質であるため、穿刺針本体151に容易に挿入でき、組み立てがし易い。また、チューブの厚みを薄くでき、薬液などの流量を増やすことができる。なお、それぞれの材料に添加剤等を加えても構わない。
導光部材152から出射した光は、穿刺針本体151の先端の近傍に設けられた光吸収部材154に照射され、光吸収部材154から光音響波が発生する。光吸収部材154は、第3実施形態と同様に、導光部材の先端部分を穿刺針本体151の内壁に固定する固定部材を兼ねていていもよい。あるいは、導光部材152の少なくとも先端部分を、光吸収性を有する樹脂で覆うこととしてもよい。
上記各実施形態では、挿入物として穿刺針を考えたが、これには限定されない。挿入物は、内部にラジオ波焼灼術に用いられる電極を収容するラジオ波焼灼用針であってもよいし、血管内に挿入されるカテーテルであってもよいし、血管内に挿入されるカテーテルのガイドワイヤであってもよい。あるいは、レーザ治療用の光ファイバであってもよい。
図23は、ラジオ波焼灼用針の一例を示す。ラジオ波焼灼用針250は、導光部材152と光吸収部材154とを含む。ラジオ波焼灼用針250は、肝がんや乳がんなどのラジオ波約灼術に用いられる。医師などは、ラジオ波焼灼用針(ハンドピース)250の先端が所望の位置に配置されるように、ラジオ波焼灼用針250を被検体内に挿入する。このとき、電極(展開針)251はラジオ波焼灼用針250の内部に収容されている。ラジオ波焼灼用針250を被検体内に挿入しているときにレーザユニット13(図1を参照)から光を出射し、導光部材152から光吸収部材154に対して光照射を行う。光吸収部材154が光を吸収することで発生した光音響波は、プローブ11(図1を参照)で検出され、光音響画像が生成される。この光音響画像を参照することで、ラジオ波焼灼用針250の先端の位置を確認でき、焼灼したい病変部内の精確な位置に針先端を配置させることができる。ラジオ波焼灼用針250の先端が所望の位置に配置された後に、ラジオ波焼灼用針250から電極251を突出させ、目的部位に例えば500KHz程度のラジオ波を照射する。
図24は、ラジオ波焼灼用針の別の例を示す。この例では、針状の電極251にも電極用導光部材257と電極用光吸収部材259が取り付けられる。電極用導光部材257は、レーザユニット13(図1を参照)から出射される光を導光する。電極用光出射部258は、電極251の先端部分の近傍に設けられ、電極用導光部材257により導光された光を出射する。電極用光吸収部材259は、電極用光出射部258から出射した光に起因した光音響波を発生する。図24の例では、ラジオ波焼灼用針250の先端と、電極25
1の先端との2か所で光音響波が発生する。
ラジオ波焼灼用針250を所望の位置に挿入した後に電極251をラジオ波焼灼用針250から突出させる。ラジオ波焼灼用針250を所望の位置に挿入する際にレーザユニット13から光を出射し、光音響画像を用いてラジオ波焼灼用針250の先端の位置を確認できる点は、図23の例と同様である。電極251を突出させた後、レーザユニット13から光を出射して、ラジオ波焼灼用針250の先端に設けられた光吸収部材154と、電極251の先端に設けられた電極用光吸収部材259とに光を照射する。ラジオ波焼灼用針250の先端で発生した光音響波と、電極251の先端で発生した光音響波とがプローブ11で検出され、光音響画像が生成される。この光音響画像を参照することで、ラジオ波が照射される範囲(焼灼範囲)を確認することができる。
図25は、カテーテルを示す。カテーテル253は、血管内治療、例えば経皮冠動脈形成術などに用いられる。カテーテル253は、具体的にはガイディングカテーテルである。カテーテル253はガイディングカテーテルには限定されず、バルーンカテーテルであってもよい。カテーテル253の内部に導光部材152を通し、レーザユニット13(図1を参照)から出射される光をカテーテル253の先端部分まで導光する。カテーテル253の先端付近は光吸収部材154が配置される。医師などは、カテーテル253の先端が所望の位置に配置されるように血管内にカテーテル253を挿入していく。その際、レーザユニット13から光を出射し、導光部材152を通してカテーテル253の先端付近に配置された光吸収部材154に光を照射する。光吸収部材154が光を吸収することで発生した光音響波は、プローブ11で検出され、光音響画像が生成される。この光音響画像を参照することで、カテーテル253の挿入中にその先端の位置を確認できる。
図26は、ガイドワイヤを示す。ガイドワイヤ254は、血管内治療に用いられるカテーテルをガイドするためのワイヤである。ガイドワイヤ254に沿って導光部材152を付け、レーザユニット13(図1を参照)から出射される光をガイドワイヤ254の先端部分まで導光する。導光部材152をガイドワイヤ254の外側に付けるのに代えて、ガイドワイヤ254の中に導光部材152を通してもよい。ガイドワイヤ254の先端付近には光吸収部材154が配置される。医師などは、ガイドワイヤ254の先端が所望の位置に配置されるように血管内にガイドワイヤ254を挿入していく。その際、レーザユニット13から光を出射し、導光部材152を通してガイドワイヤ254の先端付近に配置された光吸収部材154に光を照射する。光吸収部材154が光を吸収することで発生した光音響波は、プローブ11で検出され、光音響画像が生成される。この光音響画像を参照することで、ガイドワイヤ254の挿入中にその先端の位置を確認できる。
図27は、レーザ治療用の光ファイバの一例を示す。光ファイバ255は、下肢静脈瘤治療や結石破壊などの用途に用いられる光ファイバである。この例では、光ファイバ255は、レーザユニット13(図1を参照)から出射される光を挿入物の先端部分まで導光する導光部材を兼ねる。光ファイバ255の先端には光吸収部材154が配置される。図28は、レーザ治療用の光ファイバの別の例を示す。この例では、光ファイバ255の先端にキャップ256によって封止されている。この場合は、キャップ256の先端に光吸収部材154を配置すればよい。
医師などは、光ファイバ255の先端が所望の位置に配置されるように被検体内に光ファイバ255を挿入していく。その際、レーザユニット13から光を出射し、光ファイバ255を通して先端付近に配置された光吸収部材154に光を照射する。光吸収部材154が光を吸収することで発生した光音響波は、プローブ11で検出され、光音響画像が生成される。この光音響画像を参照することで、光ファイバ255の先端の位置を確認できる。光ファイバ255が所望の位置に配置された後は、光源を切り替えるなどして、光フ
ァイバ255から治療用のレーザ光を出射すればよい。
上記各実施形態では、針として先端に開口を有する針を想定したが、開口は必ずしも先端部分に設けられている必要はない。針は、注射針のような針には限定されず、生体検査に用いられる生検針であってよい。すなわち、生体の検査対象物に穿刺して検査対象物中の生検部位の組織を採取可能な生検針であってもよい。また、針は、皮下や腹くう内臓器など、深部までの穿刺を目的とするガイディングニードルとして使用されてもよい。
図29は、生検針の先端部分の断面を示す。生検針164は、その側面に、例えば石灰化組織などの生検部位の組織を吸引して採取するための採取部(吸入口)165を有する。導光部材152は、生検針164の内部に挿通される。光出射部153を構成する導光部材152の光出射端は、採取部165の近傍に設けられる。光出射部153を覆う位置に光吸収部材154を配置することで、採取部165の位置から光音響波を発生させることができ、光音響画像で採取部165の位置を確認することが可能となる。生検針164の先端部分にも光吸収部材154を設け、その光吸収部材154に対して光照射を行うことで、生検針164の先端において光音響波を発生させてもよい。
術者は、生検針164を被検体に穿刺し、光音響画像で採取部165の位置を確認しながら、採取部165の位置が生検部位に配置されるように、穿刺位置を調整する。所望の位置に配置された後に、採取部165から生検針164の内部に生検部位の組織を吸引し、生検部位の組織を切除する。その後、採取部165から吸引された組織を回収する。
レーザユニット13には、図3及び図4に示したものの他に、下記構成のレーザユニットを用いてもよい。図30は、レーザユニットの更なる構成例を示す。レーザユニット40は、電源入力端子41、トリガ入力端子42、DC−DC変換部43、パルスレーザダイオード光源45、結合光学系46、及び光出力端子47を有する。レーザユニット40は、図1や図10に示すレーザユニット13として使用される。レーザユニット40の外寸は、例えば長さ74mm×幅54mm×高さ20mmである。
電源入力端子41は、超音波ユニット12(図1及び図10を参照)の電源供給ラインに接続される。電源入力端子41には例えば5VのDC(Direct Current)電源が供給される。トリガ入力端子42は、超音波ユニット12の信号出力ラインに接続される。電源入力端子41及びトリガ入力端子42は、例えばUSBコネクタとして構成される。超音波ユニット12はUSBポート(レセプタクル)を有しており、USBポートに電源入力端子41及びトリガ入力端子42を含むUSBコネクタを差し込むことで、レーザユニット40に電源が供給され、かつ超音波ユニット12から出力される信号が供給される。
DC−DC変換部43は、電源入力端子41から供給されるDC電源の電圧を変換する。DC−DC変換部43は、例えばDC5VをDC12Vに変換する。パルスレーザダイオード駆動回路44は、パルスレーザダイオード光源45を駆動する。パルスレーザダイオード光源45は、DC−DC変換部43から供給されるDC電源により駆動される。パルスレーザダイオード駆動回路44は、トリガ入力端子42から入力されたトリガ信号に基づいてパルスレーザダイオード光源45に供給するDC電源を制御することで、所望のタイミングでパルスレーザダイオード光源45からパルスレーザ光を出射させる。
結合光学系46は、パルスレーザダイオード光源45と光出力端子47とを結合する。結合光学系46は、例えば集光レンズなどを含む。軽量化の観点からは、パルスダイオード45と結合光学系46と光出力端子47とは、溶着で一体となっていることが好ましい。光出力端子47には、穿刺針15などの挿入物まで光を導光する光ファイバ48が光学的に接続される。光ファイバ48は、例えば穿刺針15において導光部材152を構成す
る光ファイバである。光出力端子47には、光ファイバ48の素線が接続可能であることが好ましい。光出力端子47には、例えばFC形ベアファイバアダプタが用いられる。
図31は、レーザユニット40を含む光音響画像生成装置の外観を示す。超音波ユニット12にはプローブ11が接続される。超音波ユニット12は、画像表示手段14を含む一体型の装置として構成されている。超音波ユニット12には、光音響画像生成に関するプログラムが組み込まれている。超音波ユニット12は、USBポート32を有する。レーザユニット40の電源入力端子41及びトリガ入力端子42を含むUSBコネクタは、USBポート32に挿し込まれる。レーザユニット40は、カードサイズの小型・軽量な装置とした場合、USBコネクタを超音波ユニット12のUSBポートに挿し込むことでその保持が可能である。
穿刺針15は、特に限定はされないが、第6実施形態から第10実施形態で説明した内針を有する穿刺針であってよい。穿刺針15に代えて、その他の挿入物を用いてもよい。穿刺針15の導光部材152を構成する光ファイバの一端は、レーザユニット40の光出力端子47に接続される。光ファイバは、光出力端子47に挿入され、ばね力などにより保持される。術者が穿刺針15を引っ張るなどして光出力端子47に強い力が働くと、光ファイバが光出力端子47から抜け、光ファイバが折れることが防止できる。また、光出力端子47に対して光ファイバを直接抜き差し可能とすることで、穿刺針15から延びる光ファイバにはコネクタを設ける必要がなく、コストを低減できる効果がある。
レーザユニット40から出力されるパルスレーザ光のパルスエネルギーは、導光部材152を構成する光ファイバのコア直径が200μmであれば、6.4μJとすることができる。光ファイバのコア直径が100μmであれば、2.0μJとすることができる。パルス時間幅については、80nsとすることができる。パルス繰り返しレートは、例えば画像表示を30fpsで行う場合は60Hzとすればよい。繰り返しレートは、最高で3300Hzまで実現できる。
なお、図31においては、電源入力端子41及びトリガ入力端子42を含むUSBコネクタが存在する面と対向する面に光出力端子47が設けられているが、光出力端子47は、USBコネクタが存在する面と直交する面に設けられていることが好ましい。USBコネクタと光出力端子47とが互いに対向する面に設けられている場合、術者が穿刺針15を動かしたときにレーザユニット40が引っ張れると、USBコネクタがUSBポート32から抜けることがある。これに対し、USBコネクタと光出力端子47とが互いに直交する面に設けられている場合、レーザユニット40が引っ張られても、USBコネクタがUSBポート32から抜けにくくなる。
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明の光音響画像生成装置及び穿刺針は、上記実施形態にのみ限定されるものではなく、上記実施形態の構成から種々の修正及び変更を施したものも、本発明の範囲に含まれる。