JP2018088845A - 定植用培地 - Google Patents

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Abstract

【課題】隔離式養液栽培における培地であって、低価格・省力・高生産・資源循環が可能な定植用培地を提供する。【解決手段】有機物及び無機物から選択される少なくとも1種以上の材料からなり、定植穴10が形成されたブロック状の成型培地である定植穴形成体20を有するブロック状培地30を備え、定植穴形成体20は、成型された培地である定植用培地100。【選択図】図1

Description

本発明は、定植用培地に関する。更に詳しくは、本発明は、隔離式養液栽培における培地であって、低価格・省力・高生産・資源循環が可能な定植用培地に関する。
従来、日本のみならず世界的においても、野菜栽培では、露地・露地マルチ・露地トンネル・ハウス地床・ハウス地床マルチ・ハウス地床トンネル・ハウス隔離等が行われており、栽培方法が進化・多様化されている。これら多様な栽培方法が創造され行われている理由としては、日本のような激しい気象変動が生じ得る栽培環境等への対応が挙げられる。
たとえば、露地・露地マルチ・露地トンネルといった「露地栽培」、或いは、ハウス地床・ハウス地床マルチ・ハウス地床トンネルといった「地床栽培」では、天然自然の土壌を耕し、当該土壌の物理性・化学性・生物性などを可能な限り改良することが行われている。しかし、このような土壌改良が行われる露地栽培・地床栽培では、多岐にわたって問題が生じている。たとえば、偏った残留肥料・残留農薬等の化学性、生物性に由来する連作障害等の問題や、様々な土性・土量に対しての耕し方や自然災害による物理性の維持が難しい等の問題が生じている。
また、ハウス隔離といった「隔離式栽培」では、培土・培地となり得る様々な資材を原料として、予め物理性、化学性、生物性を調製した培土・培地を、様々な大きさや形状の容器に充填して栽培する。この隔離式栽培(根域制限)は、特に土壌の水分コントロールの必要性があること及び連作障害の対策という観点から、特にトマトやメロン等の栽培では有効な栽培方法である。また、「タキイ最前線2016年秋種特集号Vol.42 植物工場のトマト低段養液栽培(57頁参照)」に掲載されるように、トマト低段養液栽培は、播種から始まり育苗、定植、本圃管理の順に移行し、その後、収穫・出荷調製、片付け・準備という工程の繰り返しとなる。このトマト低段養液栽培は、一作当たりの栽培期間が短く、年間の栽培回数が多いため、作業者の技術習得が早く、病害のリスクを分散できるメリットがある。トマト低段養液栽培とは、トマトを低段で摘心して栽培する養液栽培方法である。
しかし、隔離式栽培は、培土・培地における物理性と生物性に対する品質及びコストが問題となっている。この問題の一つには、規模拡大や生産者間の情報が、培土・培地の性能等の品質の共有化ができてないために、栽培技術情報も共有が困難になっていることが挙げられる。
例えば、「低コスト植物工場 導入マニュアル」に掲載されるように、1970年代初期の施設における10a当たりの年間トマト果実収量は、日本とオランダはいずれも20t程度であった。その後、オランダでは、面積当たりの収量が急速に増加し、現在では65tとも75tとも言われ、100tを超える収量となることも報告されている。
このオランダの成果を受けて、日本では、トマト栽培において葉を大きくしないために、如何にうまくトマトにストレスをかけるかという栽培技術を開発する方向に進むことになった。一方で、ロックウール栽培が急速に普及した1980年代に、オランダでは養液栽培用品種の開発を強く推進した。すなわち、「培地(例えばロックウール)」を用いた養液栽培の環境下(水分と養分のいずれも潤沢に与えられる環境下)において、従来の日本では栄養生長に強く偏る品種を育成したが、オランダでは栄養生長に強く偏らない品種を育成したことにある。
なお、隔離式栽培用培地の品質上の問題に関しては、特許文献1に記載の粒状培地で対応策が講じられている。
特開2005−341898号公報
近年、有休期間(未利用期間)の長いハウス、連作障害を生じている耕作中の耕作困難ハウス、耕作を再開する予定の耕作再開希望ハウスの有効利用が検討されている。特に日本では、例えば、水稲栽培において、水稲の生産性の合理化が求められ、規模拡大の傾向にある。そのため、大量の育苗が必要であることから、育苗ハウスを利用した育苗施設が増えている。しかし、育苗施設の使用期間は、およそ1ヶ月程度と短く、1年のうち多くの期間が利用されていない状態にある。そこで、育苗施設(育苗ハウス)の有効利用が検討されている。
一方で、水稲育苗後の有休ハウス(育苗ハウス)を利用するためには、水稲育苗から野菜栽培へ、また野菜栽培から水稲育苗へ、その有休ハウスの栽培環境を速やかに空間的・物理的に交互に復元できることが求められる。つまり、水稲育苗後の有休ハウスを利用するには、準備と片付けが容易な栽培システムであることが重要であり、そのような栽培システムの開発が求められている。
以上のことを踏まえると、日本のような激しい気象変動を生じる環境にも対応でき得る栽培技術であり、且つ水稲栽培の育苗ハウスを、有休期間中に有効利用することにも対応できる栽培技術が求められている。
更に、このような隔離式栽培を確実に普及するためには、安全且つ低価格であって、容易に扱える(即ち、省力が可能である)栽培技術体系であることが必要である。
例えば、トマト低段密植栽培の形態では、独立ポット式や連続容器式の栽培方法が代表的であり、この方法では容器(ポット、バッグ、マットなど)を設置する架台が必要である。架台の設置条件は、機械的強度を有することや容器の脱落防止が可能であること必要となる。更に、特にマット栽培ではマット(容器)が傾斜するように置かれると、容器内に水位差が生じ、培地の水分が不均一となり、その結果、生育不良や生育の不揃い等の問題が生じることがある。この問題を解決するために、容器は水平に配置されることが必要な条件として求められる。また、圃場の地表における勾配が不安定である場合、傾斜に起因して培地内の水分の不均一を生じるので、この現象を避けるために精度の高い不陸整正が求められる。
しかし、上記容器に一般的な有機物資材の培地が充填される場合には、培地は撥水性が高くなる。そして、様々な粒度及び粒子形状による粒子群としての構造上、特性のばらつきがあり、均質な水・養液の供給が困難である。そのため、均一な根の生育環境を達成し難く、均一な生育が困難になるという不具合が生じる。このような不具合を解消しようとすると、費用が高くなり、低価格な栽培技術にならない。
ところで、従来の固形培土・培地を用いた隔離式栽培では、育苗した苗を、栽培ベンチ上に設けられた培地上へ定植して栽培を行っている。なお、従来の固形培土・培地を用いた隔離式栽培では、任意の粒度に解砕したピートモス・ココピート等の繊維状又は粒状の有機物の原料を、1種又は2種以上を混合した複合材を用いている。そして、当該複合材を様々な容器(袋状のバッグ・マット、スチロールや樹脂等で成型された連続容器、独立ポット等)に充填し、整列させて栽培ベンチを形成させている。例えば、独立ポット栽培の場合、3〜4寸の底抜きのポット(pot)(即ち、プラスチック製などの植木鉢)をビニール等で覆い育苗した苗を定植する。同様に、ロックウール栽培では、ブロック状のロックウールの側面をビニール等で覆い育苗した苗を定植する。なお、独立ポット栽培とは、トマトなどの苗を一株ごとにポットに入れて、苗の根域を独立させて栽培する方法である。
ここで、日本における1年間の気温は、6月以降急激に上昇して9月まで高く維持され、この期間は高温期と言われている。特に、8月をピークとして7月以降8月中旬〜9月までの1.5ヶ月〜2ヶ月間が最高温期となっている(代表例:気象庁過去の天気2015年「静岡空港」)。
このように、1年間の気温変化がある日本を例にしても、例えば、トマトは植物生理上の最高温度が28℃であるが、気象庁データの「日最高気温の平均」で示される所謂「日中最高気温の月平均」が28℃に近づいており、更にはこの温度を超える期間がある。そのため、この期間における栽培が特に問題となっている。なお、トマト栽培の9月〜10月収穫の作型では、7月〜8月が定植を行う時期である。
その問題は、具体的には、植物体の地上部の蒸散量と地下部の吸水量のバランスにある。つまり、気温が上昇するとともに蒸散量が増加する当然の要因によって、上記高温期は、増加する蒸散量に対して吸水量が不足している状態にある。
より具体的には、根量不足、正確には根の吸水部位である根毛量の不足が原因である。この問題の解決の方法は、根域を拡大することであり、その実現のためには根の伸張域(根の形成空間)の確保と、その空間、つまり根域への水・養液の灌水の実現である。
なお、従来の苗の定植方法は、多くの場合、図11に示すように、栽培ベンチ(図示せず)の上に下部構造となる培地200を載せて、育苗ポット150(以下、単に「ポット」と記す場合がある)の底面151でその下部構造となる培地200に接触させて活着させる2層構造となる方法を採用している。
この定植方法であると、下部構造と上部構造の接触面が上部構造の底面のみとなる。この定植方法では、春秋の温度変化の少ない時期、つまり植物の成長スピードが穏やかであるか、或いは、遅い時期では問題視されない。しかし、夏季の高温期に生育を行う作型では、植物の成長スピードが速いため、生育不良の問題が生じていた。つまり、根量の不足に起因して生育不良が生じ、結果として生産性が十分でない状況にあった。
また、隔離式養液栽培の中でもロックウール栽培では、栽培を終えた培地を処理する必要があり、この培地の処理にも費用が生じるなどの問題がある。このロックウール栽培では、資源循環が十分に行われないという状況にある。
本発明は、上問題を解決することを目的とするものであり、その課題は、隔離式養液栽培における培地であって、低価格・省力・高生産・資源循環が可能な定植用培地を提供することにある。
[1] 有機物及び無機物から選択される少なくとも1種以上の材料からなり、定植穴が形成されたブロック状の成型培地である定植穴形成体を有するブロック状培地を備え、前記定植穴形成体は、成型された培地である定植用培地。
[2] 前記定植穴形成体は、給水により膨潤する前記[1]に記載の定植用培地。
[3] 前記定植穴が、前記定植穴形成体の表面から裏面へ貫通した貫通孔として形成されている前記[1]または[2]に記載の定植用培地。
[4] 前記定植穴は、定植前の定植対象物をポットから取り外して直接定植すること、または播種することができ、或いは、定植前の定植対象物を生育させたポットをそのまま載置できる前記[1]〜[3]のいずれかに記載の定植用培地。
[5] 前記ブロック状培地は、前記定植穴形成体を上部層ユニットとして有し、更に、当該上部層ユニットの下部に下部層ユニットを1層以上有し、前記下部層ユニットは、有機物及び無機物から選択される少なくとも1種以上の材料からなるとともに、成型されたブロック状の成型培地である前記[1]〜[4]のいずれかに記載の定植用培地。
[6] 通気構造としてのスペーサーを有する前記[1]〜[5]のいずれかに記載の定植用培地。
本発明の定植用培地は、水稲育苗後の有休ハウスを利用することができるため低価格で隔離式養液栽培を行うことが可能である。また、本発明の定植用培地は、既に定植穴が形成された培地であるため、定植穴を形成する手間が掛からず省力である。また、本発明の定植用培地は、定植穴に定植対象物を播種及び定植することができるので、定植穴が無い培地に比べ、根の伸張領域の接触面積が増大することで根の伸張スピードの遅延が解消され、根量が増大する、つまり活着面積が増大する。更に、本発明の定植用培地は、ロックウールなどとは異なり、有機物及び無機物から選択される少なくとも1種以上の材料からなるものであるため、資源循環が可能である。
本発明の定植用培地の一の実施形態を模式的に示す斜視図である。 本発明の定植用培地の一の実施形態を定植穴の深さ方向に切断した状態を模式的に示す断面図である。 本発明の定植用培地の他の実施形態を模式的に示す断面図である。 図3に示す定植用培地が給水により膨張した状態を示す断面図である。 本発明の定植用培地の更に他の実施形態について、定植対象物を定植した状態を示す一部断面図である。 本発明の定植用培地の更に他の実施形態を模式的に示す斜視図である。 本発明の定植用培地の更に他の実施形態を定植穴の深さ方向に切断した状態を模式的に示す断面図である。 本発明の定植用培地の更に他の実施形態について、定植対象物を定植した状態を示す一部断面図である。 本発明の定植用培地の更に他の実施形態について圃場に配置した状態を示す断面図である。 本発明の定植用培地の更に他の実施形態を用いてトマトを栽培している状態を示す説明図である。 従来の培地に定植対象物を定植した状態を示す説明図である。 本発明の定植用培地の更に他の実施形態を示す写真である。 実施例1における栽培時の状態を説明するための写真である。 比較例1における栽培後の根の状態を示す写真である。
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。
[1]野菜栽培における根域制限された植物の生育、蒸散および根の養水分吸収特性の考え方:
J−STAGE 公開2016年6月24日「根の研究」Vol.25(2016)No.2 p.29〜36や、「根域制限された日本およびオランダ品種トマトの生育、蒸散および根の養水分吸収特性」 稲田秀俊、中原正一、植田稔宏等により、以下の報告がされている。
即ち、上記「根の研究」によれば、「日本のトマト品種‘麗容’とオランダ品種の‘Levanzo’を土量0.3Lの根域制限条件下で栽培したところ、土量3Lで栽培した対照区に比べて両品種とも生育が抑制された。根域制限区の‘Levanzo’では葉の蒸散量が著しく低下したが、‘麗容’ではこのような傾向は認められなかった。地上部への水分移動量を推定したところ、根域制限区の‘麗容’では対照区の約1/3に低下していたが、‘Levanzo’では対照区の約1/8まで低下していた。根のTTC還元活性は、両品種とも根域制限区で低かった。茎の地際部で切断し採取される木部溢泌液の出液速度および出液成分を分析したところ、根域制限区では両品種とも出液速度が低かったが、根域制限区の‘Levanzo’では木部溢泌液に含まれる養分が濃縮されていた。以上のことから、根域制限下で生育が抑制される原因は品種間で異なり、‘麗容’では地上部への養分輸送量の低下により茎葉の成長量が低下し、‘Levanzo’では地上部への水分輸送量の低下により葉の蒸散量が低下したと考えられた。」と、報告されている。
上記「根の研究」の報告では、品種間の問題のみならず土量の問題でもあることが指摘されている。しかし、当然のことながら、植物の成長は、根の成長、つまり根域の拡大にあり、定植直後からの速やかな活着の速さ、つまり活着速度の問題が想起され、研究課題となるべきである。しかし、現在までそのような報告はされていない。そこで、これを悦意調査・研究した結果、先に述べた生育不良の問題は、この活着速度の問題であることが明らかになった。
ここで、図11に示すように、上述したように従来のポット150で生育された苗の定植直後の根の伸張は、ポット150の底面151の根域にある部分だけが活着面である。つまり根域が底面に集中している。
更に、根の代表的機能は、吸水と呼吸であることから、その機能において、根域もそれぞれの位置において、水と酸素を奪い合う環境にあると言える。
本発明は、生育された苗の定植直後の根の伸張の問題を解決するものである。
[2]本発明の定植用培地:
(1)定植用培地:
本発明の定植用培地の一の実施形態は、図1、図2に示す定植用培地100である。この定植用培地100は、有機物及び無機物から選択される少なくとも1種以上の材料からなり、定植穴10が形成されたブロック状の成型培地である定植穴形成体20を有するブロック状培地30を備えており、定植穴形成体20は、成型された培地である。
この定植用培地100は、隔離式養液栽培に使用される培地であり、この定植用培地100を用いることで、低価格・省力・高生産・資源循環が可能な隔離式養液栽培が可能になる。具体的には、定植用培地100は、水稲育苗後の有休ハウスを利用することができるため低価格で隔離式養液栽培を行うことが可能である。また、定植用培地100は、既に定植穴10が形成された状態の培地であるため、定植穴10を形成する手間が掛からず省力である。特に、従来の栽培方法では、定植対象物の個数と同数の定植穴を人力等で形成していたため、膨大な数の定植対象物がある場合には、器具を用いるにしても作業者へのコスト的、時間的、労力的等の過度な負担となっていた。
更に、定植用培地100は、定植穴10に定植対象物を播種及び定植することで、定植穴10が無い培地(図11参照)に比べて根量が増大するので、活着面積が増大する。すなわち、従来のように、定植穴が形成されていない平地に単に定植対象物が入ったポットを載置する場合には、平地と接触するポットの底部部分のみから根が生長するため、根の生長が制限され、十分な生長が望めなかった。なお、この点については、更に後述する。
更に、定植用培地100は、ロックウールなどの培地とは異なり、有機物及び無機物から選択される少なくとも1種以上の材料からなるものであるため、田畑の耕作土壌にすき込むことができるので資源循環が可能である。
なお、本明細書において、「定植」とは、鉢などで育てた植物(定植対象物)を最終的に育てる場所(培地)に植え換える作業のことである。「隔離式養液栽培」とは、培地が地床から隔離され、既存の耕作地の地床を使わずに養液などで栽培する栽培方法のことである。
(1−1)ブロック状培地:
本発明の定植用培地は、ブロック状培地を備えるものである。このブロック状培地は、図1、図2に示すように、定植穴10が形成された定植穴形成体20のみからなるものであってもよいし、図6に示すように、定植穴形成体(上部層ユニット)20と、当該上部層ユニット20の下部に1層以上の下部層ユニット21と、を有するものであってもよい。
(1−1−1)定植穴形成体(上部層ユニット):
定植穴形成体は、例えば、3〜4寸(9.1〜12.1cm)のポット(300〜500cc)で育苗した苗(定植対象物)が収まる定植穴が開口され、ブロック状に成型されたものである。この定植穴形成体は、その形状、上面(定植穴が開口する面)の面積、容積、及び、定植穴の数について特に制限はない。
定植穴形成体は、有機物及び無機物から選択される少なくとも1種以上の材料からなる。このような材料から構成することにより、ロックウールなどの培地とは異なり、資源循環が可能である。即ち、本発明の定植用培地は、栽培を終えた後に田畑の耕作土壌にすき込むことが可能である。
定植穴形成体は、具体的には、有機物・軽石・粘土鉱物等の各種資材の1種から構成してもよいし、或いは、上記各種資材の2種以上からなる複合材を混合したものから構成することもできる。
定植穴形成体は、成型されたブロック状の培地であり、成型されたブロック状とすることで、荷姿が整っていることで運搬が簡単であり、また運送コストも軽減される。ここで、成型とは、圧縮成型、PVA(ポリビニルアルコール)等のバインダを添加した加熱結着成型などが挙げられる。なお、圧縮条件は、特に制限されるものではなく、材料や、栽培用途、栽培環境、栽培条件に応じて、適宜選択されることが好ましい。
定植穴形成体の材料としては、たとえば、植物の繊維材料などを挙げることができる。植物の繊維材料を用いて、たとえば、植物の繊維材料の長さ方向を、定植穴形成体の厚さ方向及び幅方向と混在させて積層させ、定植穴形成体を圧縮成型した場合には、定植穴形成体の厚さ方向、及び、定植穴形成体の幅方向に膨張することになる。さらに、植物の繊維材料の長さ方向を、定植穴形成体の厚さ方向及び幅方向と混在させる割合を変化させることで、定植穴形成体の厚さ方向、及び、定植穴形成体の幅方向に膨張する比率も調整できる。ただし、過度に、植物の繊維材料の長さ方向を、定植穴形成体の厚さ方向及び幅方向と混在させてしまうと、給水後の繊維材料の膨張により、繊維材料の密度が高くなってしまうことで培地が過度に固くなり、根の伸長を阻害させるおそれもある。そのため、適度に混在させることが好ましい。
さらに、上記植物の繊維材料の長さ方向を、定植穴形成体の幅方向に向けつつ積層させて定植穴形成体を圧縮成型した場合に、定植穴形成体の厚さ方向には膨張することになるが、幅方向の膨張の程度は小さいか、または、ほとんど変化しない(一定である)。その結果、定植穴の径が変化しない(変化し難い)ことになる。このように、植物の繊維材料を用いることで、定植穴の径が変化しない定植穴形成体を簡単に作製することができる。さらに、給水後に繊維材料の膨張が生じても、培地が必要以上に固くならず、根の伸長を阻害させないため好ましい。
なお、定植穴形成体は、給水により膨潤するものを用いても良く、定植穴形成体の膨張の程度は、培地の材料や製造方法により異なる。
(定植穴)
本発明の定植用培地における定植穴形成体には、上記の通り定植穴が形成されており、この定植穴が形成されることで定植対象物の活着が促進される。つまり、例えば、定植穴形成体における根の活着面積は、育苗ポットの根回りに比例し、従来の栽培方法では、育苗ポットの底面積部分が活着面積となる。そのため、活着面積は、育苗ポットの底面積である「育苗ポットの半径×2×π」であった。一方、本発明においては、育苗ポットの側面積部分についても活着面となるため、育苗ポットの底面積である「育苗ポットの半径×2×π」に、更に「π×直径×育苗ポットの高さ」である側面積も加えられた合計面積を定植対象物との接触面積(活着面積)とすることができる。そのため、本発明においては、育苗ポットの側面積の分だけ、従来に比べて活着面を拡大することができる。このようなことから、本発明では、従来に生じていた活着面の根域集中の状態から開放・分散されるため、根の活着が促進されることで根の成長が促進される。
定植穴は、定植対象物を挿入し、この定植対象物と定植穴形成体との接触面において根が十分に活着する限りどのような形状の空間(領域)であってもよい。さらに、定植穴に育苗した苗(定植対象物)が少なくも収まるものであればよく、定植穴の形状、開口面積、容積、大きさ、深さは特に制限されるものではない。たとえば、逆円錐台状の空間とすることができる。更に、この逆円錐台状の空間とする場合には、具体的には、定植穴の側面が、垂直より5〜10度傾斜している(図2中、「θ」で示す)広角な逆円錐台状の空間とすることができる(図2参照)。つまり、図2に示すように、定植穴の中心軸を通る厚さ方向の断面において、定植穴の側面が垂直(定植穴の中心軸に平行な直線L)より5〜10度傾斜していてもよい。
この定植穴は、その数及び形成位置について特に制限はないが、定植穴形成体の上面の中央部に1つの開口を有する穴とすることができる。
定植穴形成体の定植穴には、基本的には定植前の定植対象物をポットから取り外して直接定植する方法とするが、定植前の定植対象物を生育させたポット(例えば、ピートモス・パルプ等の有機物製のポットなど)ごとそのまま載置してもよい。或いは、定植穴に培地(例えば従来公知の培地)を充填し、直接に播種してもよい。つまり、定植対象物は、定植の前段階においてポットに入れられて生育されるが、このポットの側面や底面にスリットや穴などの貫通孔部が形成されている場合、或いは、ポットが分解容易な場合には、このポットと一緒に定植対象物を定植穴形成体の定植穴に載置してもよい。定植前の定植対象物を生育させたポットをそのまま載置することで、定植作業を更に省力化することができる。
さらに、定植穴へ培地を充填し、直接播種することも可能である。
(定植穴(貫通孔))
定植穴形成体の定植穴は、定植穴形成体の表面から裏面へ貫通した貫通孔として形成されていてもよいし、定植穴形成体の表面から裏面へ貫通しない穴(即ち、窪み)であってもよい。つまり、「定植穴」は、貫通孔と貫通しない孔(窪み)との両方を含む概念である。なお、ブロック状培地が更に下部層ユニットを備える場合には、定植穴形成体の定植穴は、貫通孔として形成されていることがよい。このようにすることで、下部層ユニットを有効に活用することができ、根の活着を更に促進させることができる。すなわち、側面積部分についての活着面積が増大し、定植対象物を安定して載置することができ、根の生育に負担が掛かり難く、従来に比べて根の伸長を促進させることができる。なお、図2には、貫通しない穴(即ち、窪み)である定植穴10が形成されている例を示している。図7には、貫通孔である定植穴10が形成されている例を示している。
なお、定植穴が貫通した貫通孔である場合、培地と定植対象物の地表地面の一致、定植対象物の底面と側面の活着面の適度な接触が必要である。
本発明の定植用培地は、図9に示す定植用培地102のように、ビニール・樹脂等の外装資材に収納された状態で、圃場の地表Gに置いて使用することができ、この場合、適切な方位で、動線を確保した一直線状に整列させて配置することができる。
このような場合、定植穴形成体に定植穴が形成されていると、定植作業の時間が軽減される。具体的には、通常の低段密植栽培では、10a当り5000〜10000株の密度で栽培されるため、その定植の際の手間として培地に定植穴を上記の数だけ開けなければならない。そのため、1株の定植作業時間は1分前後要する。また、独立ポット栽培での1株の定植作業時間(培地の定量充填及び定植前の給水と点滴ラインの個別設置の作業時間を含む)も1分程度要する。しかし、本発明の定植用培地のように定植穴が予め開口された培地を用いることによって、1株当り30秒前後、つまり、例えば10a当り5000株の場合42時間、定植作業時間が軽減される。このことから、本発明の定植用培地によれば、作業時間が軽減されることによる作業の省力化が可能であり、更に、作業時間が短縮されることにより、人件費などのコストを抑えることができ、低価格で栽培が行える。
定植穴形成体の大きさは、特に制限はなく適宜調節することができるが、給水により膨張したときの大きさとして、例えば、縦16〜30cm、横16〜30cm、厚さ9〜12cmとすることができる。
(1−1−2)下部層ユニット:
下部層ユニットは、その材料や圧縮成型の有無など特に制限はなく適宜決定したものを用いることができ、例えば、上部層ユニットと同様に、有機物及び無機物から選択される少なくとも1種以上の材料からなるとともに、圧縮成型されたブロック状の成型培地を用いることができる。
この下部層ユニットとしては、従来公知の固形粒状培地を用いることもできる。特に、このような例としては、特開2005−341898号公報に記載の培地を挙げることができる。当該培地としては、具体的には、撥水性有機資材に粘土鉱物の粉状物、加熱により不溶化する水溶性高分子材料からなるバインダ及び水を加え、混合し、水分10重量%以下となるまで品温70℃以上150℃以下の温度で加熱乾燥することにより得られる培地である。
下部層ユニット21の形状は、特に制限はなく、例えば、穴(上部層ユニットの定植穴に相当する空間)が形成されていない形状とすることができる(例えば、図7参照)。
なお、下部層ユニットの材料には、上部層ユニットと同じ材料を採用してもよいが、異なる材料を採用してもよい。当該下層部ユニットについても上部層ユニットと同様に給水により膨張してもよい。
(1−2)容器:
本発明の定植用培地は、図3に示す定植用培地103のように、ブロック状培地を収納できる袋状外装資材(容器)を備えることができる。袋状外装資材は、遮光性容器25(図3参照)とすることが好ましい。このような袋状外装資材を備えることにより、運搬が簡単であり、更に、水稲育苗後の有休ハウス内にそのまま設置できるため、栽培の準備と片付けがより容易な栽培システムとなる。
容器には、袋状外装資材の周囲に少なくとも1つ以上の排水孔が形成されていることがよい。このような構成を採用することにより、排水孔を形成する手間を省略することができる。
容器の材料は、特に制限はなく従来公知のもの(例えば、ビニール、樹脂等)を適宜選択して使用できるが、生分解性の材料であることがよい。このような生分解性の材料を用いることで、容器についても資源循環が可能となる。つまり、容器を構成する袋状外装資材を生分解性の材料(生分解性のビニール等)にすることで、定植用培地の殆ど全てを田畑の耕作土壌にすき込むことがきる。このように、栽培を終えた培地(容器を含めた状態)について廃棄処分する必要がなくなる。その結果、培地の処理費用が不要になるので、より低価格な栽培技術となる。
(1−3)スペーサー:
本発明の定植用培地は、通気構造としてのスペーサー(即ち、通気性維持のための数mm程度の隙間を形成可能な構造物)を有してもよい。このスペーサー27としては、ブロック状培地30と遮光性容器25との間に通気構造を構成するための周囲スペーサー27aや、上部層ユニット20と下部層ユニット21との間に通気構造を構成するための層間用スペーサー27bなどが挙げられる(図5、図8参照)。図5に示す定植用培地104は、本発明の定植用培地の更に他の実施形態について、定植対象物160を定植した状態を示す一部断面図である。図8に示す定植用培地105は、本発明の定植用培地の更に他の実施形態について、定植対象物160を定植した状態を示す一部断面図である。
スペーサーを配置することにより、上部層ユニットと下部層ユニットとの間や、ブロック状培地と容器との間に隙間が形成され、培地内に酸素が十分に供給され、培地内が還元的になることを防止することができる。例えば、層間用スペーサーを配置することにより、根の伸張領域(根の形成空間)を拡大させるとともに、定植用培地の内部が還元的になることを抑制することができる。
スペーサーは、上部層ユニットと下部層ユニットとの間や、ブロック状培地と容器との間に、通気構造を形成することが可能であればどのようなものを用いてもよい。例えば、スペーサーは、分解可能な棒状または粒状の有機物材料(例えば、小枝、粒状体等)から形成することがよい。更に、スペーサーとしては、顆粒状や丸棒状などの遅効性肥料を採用してもよい。このようなスペーサーを用いることにより、スペーサーについても資源循環が可能となる。その結果、スペーサーを廃棄処分する手間を省略することができ、作業の省力化ができる。また、スペーサーを廃棄処分するコストも削減することができる。なお、スペーサーは、生育阻害を生じないものを用いることがよい。
なお、周囲スペーサーに代えて、ブロック状培地の外周側面に凹凸を形成すること(例えば、ブロック状培地の外周側面を波状などとすること)によって通気構造を形成するもできる。この場合、スペーサーを配置することがないため、より低価格な栽培が可能となる。
(1−4)その他:
隔離式栽培には、水・養液を供給するための灌水設備が不可欠である。本発明の定植用培地に用いる灌水設備としては、点滴灌水方法によるものがよい。ここで、点滴灌水方法による灌水設備の点滴チューブには、ライン上(直線上)に点滴機構が装備されたもの(「ラインドリッパー」と呼ぶ)と、ライン上に分岐装置を装着して1本、2本、4本、或いは8本の分岐ラインを設け、末端にドリッパーを装備されたもの(「蛸足ドリッパー」と呼ぶ)の2種類がある。
ラインドリッパーは、培地上に置くことで簡単に敷設でき、価格も低価格である。一方、蛸足ドリッパーは、その端末部分が煩雑となるため扱い難く、価格も高価格である。
本発明の定植用培地を用いる場合、ラインドリッパーと蛸足ドリッパーのいずれも採用することができるが、本発明の定植用培地は、平面的に設置できるものであることから、ラインドリッパー31(図10参照)を用いることが可能である。そのため、本発明の定植用培地を用いると、灌水設備を低価格に且つ簡素化することができる。図10において、符号160は、定植対象物(例えば、トマト)を示している。
(2)本発明の定植用培地の製造方法:
本発明の定植用培地の製造方法について、図1に示すような定植用培地を製造することを例に以下に説明する。図1に示すような定植用培地は、例えば、定植穴の形状と相補的な形状の凸部が底面に形成されている有底状のブロック成型用容器に、有機物及び無機物から選択される少なくとも1種以上の材料(成形原料)を充填する材料充填工程と、ブロック成型用容器内に充填された成型材料を圧縮する材料圧縮工程とを有する方法により製造することができる。このような方法により定植用培地を簡便に製造することができる。
材料充填工程において、成形原料は、上述した本発明の定植用培地の材料と同様のものを適宜採用することができる。
材料充填工程におけるブロック成型用容器は、特に制限はなく、金属や合成樹脂などからなるものを用いることができ、次工程(材料圧縮工程)における圧縮の圧力に耐えるものであることがよい。
ブロック成型用容器には、その底面に凸部が形成されているため、この部分には成型材料が充填されずに定植穴が簡単に形成されることになる。
材料圧縮工程において、成型材料を圧縮する圧力は、定植穴形成体が所望の大きさとなるように適宜決定することができる。
なお、「ブロック状培地が容器に収納された定植用培地」を製造する場合には、上記材料圧縮工程を行って得られたブロック状培地を、容器に収納する収納工程を行うことができる。この際に、ブロック状培地を容器に収納する前に、容器の底面及び側面に周囲スペーサーを予め配置してもよい。
また、図6に示す定植用培地のように、下部層ユニットを更に有する場合には、上記収納工程の前に、下部層ユニット製造工程を行うことがよい。この下部層ユニット製造工程では、例えば、上部層ユニット(定植穴形成体)と同様の成形原料(下部層成形原料)を、箱状の下部層ユニット成型用容器に充填し、その後、当該下部層成形原料を圧縮する。このようにして、圧縮成型された下部層ユニットを得ることができる。この場合、上記収納工程では、下部層ユニットを容器に収納した後、下部層ユニット上に層間用スペーサーを配置し、その後、上部層ユニットを層間用スペーサー上に配置することができる。
(3)本発明の定植用培地の使用方法:
本発明の定植用培地の使用方法について、ブロック状培地(上部層ユニットと下部層ユニットを有するもの)が容器に収納された定植用培地を例に以下に説明する。まず、容器の口をあけた状態で当該定植用培地を圃場の地表に置き、給水を行ってブロック状培地を膨張させる(給水膨張ステップ)(図9参照)。その後、定植穴形成体(上部層ユニット)の定植穴)に定植対象物(例えば、トマトなど)を定植する(定植ステップ)。このとき、基本的には定植前の定植対象物をポットから取り外して直接定植する方法とするが、定植前の定植対象物を生育させたポットをそのまま載置してもよい。或いは、定植穴に培地(例えば従来公知の培地)を充填し、直接に播種してもよい。このように、本発明の定植用培地を使用することで簡単にトマトなどの定植を行うことができる。
なお、本発明の定植用培地を使用する場合、本発明の定植用培地は、既に定植穴が形成されているため、定植穴を形成する手間と時間を省力化することができる。
定植用培地を置くための圃場としては、水稲育苗後の有休ハウス(育苗ハウス)を利用することができる。このようにすることで、育苗ハウスの有効利用が可能になり、低価格での栽培が可能になる。
更に、本発明の定植用培地は、圃場の地表に直接置くことができる。即ち、従来、圃場の地表の勾配が不安定である場合、傾斜による培地水分の不均一を生じるため、精度の高い不陸整正が求められるが、本発明の定植用培地によれば、圃場の地表の勾配に配慮することなく、容易に扱える(即ち、省力が可能である)。これは、仮に圃場の地表の勾配があるとしても、各定植用培地は植物体一株毎に独立しており、その単体(各定植用培地)の底面は最小限の寸法であることから水平にし易く、培地内の水分が不均一になることの影響は極少ない。
また、本発明の定植用培地は、栽培が終了した後には田畑の耕作土壌にすき込むことが可能である。有機物及び無機物から選択される少なくとも1種以上の材料からなるためである。このように本発明の定植用培地は、ロックウールなどとは異なり、資源循環が可能である。
本発明の定植用培地を使用する場合、上記のように地面に直接置くことで、高温期の急激な温度上昇を抑制できる。つまり、夏季には気温は高くなるが、地面の温度は気温に比べて低い状態である。そのため、本発明の定植用培地を地面に直接置くことにより冷却され、高温期の急激な温度上昇を抑制することができる。また、放熱機能を有するシート状資機材に直置きすることもできる。このシート状資機材は、従来公知のものを適宜採用することができる。
また、上記のように地面に直接置くことで、厳寒期の保温・加温ができる。つまり、冬季には気温は低くなるが、地面の温度は気温に比べて高い状態にある。そのため、本発明の定植用培地を地面に直接置くことにより暖められ、厳寒期の保温・加温をすることができる。また、保温資材または加温機材上に敷設することもできる。この保温資材または加温機材は、従来公知のものを適宜採用することができる。
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
(実施例1)
図13は、本発明の定植用培地(図12に示すような定植用培地106)を用いて、トマト(定植対象物160)を栽培した結果を示している。図13に示すように、根量が増大していることが分かる。そのため、高い生産量となることが分かる。
また、本実施例の定植用培地は、一般流通の商品名「ココピート」(ヤシ殻粉砕物)を材料としているため、栽培終了後に耕作土壌にすき込むことが可能であり資源循環が可能である。
更に、本実施例の定植用培地は、水稲育苗後の有休ハウス(育苗ハウス)を利用することができ、低価格での栽培が可能である。また、既に定植穴が形成されているため、定植穴を形成するための手間と時間を省力化することができる。この点においても低価格での栽培が可能である。
(比較例1)
図14は、図11に示すような従来の栽培方法によって、トマトを栽培した結果を示している。ポット150の底面151の部分だけが活着面であり、実施例1の培地に比べて根量が少ない(ポット150の底面151から下方にだけ伸びている)ことが分かる。実施例1の場合に比べて根域が制限されることが分かる。
本実施例の定植用培地は、隔離式養液栽培に使用される培地であり、本実施例の定植用培地を用いることで、低価格・省力・高生産・資源循環が可能な隔離式養液栽培が可能になることが分かる。
本発明の定植用培地は、隔離式養液栽培に使用される培地として利用することができる。
10:定植穴、20:定植穴形成体、21:下部層ユニット、25:遮光性容器、27:スペーサー、27a:周囲スペーサー、27b:層間用スペーサー、30:ブロック状培地、31:ラインドリッパー、100,101,102,103,104,105,106,107:定植用培地、150:育苗ポット、151:底面、160:定植対象物、200:培地、G:地表、L:定植穴の中心軸に平行な直線、θ:傾斜角度。

Claims (6)

  1. 有機物及び無機物から選択される少なくとも1種以上の材料からなり、定植穴が形成されたブロック状の成型培地である定植穴形成体を有するブロック状培地を備え、
    前記定植穴形成体は、成型された培地である定植用培地。
  2. 前記定植穴形成体は、給水により膨潤する請求項1に記載の定植用培地。
  3. 前記定植穴が、前記定植穴形成体の表面から裏面へ貫通した貫通孔として形成されている請求項1または2に記載の定植用培地。
  4. 前記定植穴は、定植前の定植対象物をポットから取り外して直接定植すること、または播種することができ、或いは、定植前の定植対象物を生育させたポットをそのまま載置できる請求項1〜3のいずれか一項に記載の定植用培地。
  5. 前記ブロック状培地は、前記定植穴形成体を上部層ユニットとして有し、更に、当該上部層ユニットの下部に下部層ユニットを1層以上有し、
    前記下部層ユニットは、有機物及び無機物から選択される少なくとも1種以上の材料からなるとともに、成型されたブロック状の成型培地である請求項1〜4のいずれか一項に記載の定植用培地。
  6. 通気構造としてのスペーサーを有する請求項1〜5のいずれか一項に記載の定植用培地。
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