JP2018085247A - 蓄電装置 - Google Patents

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寿光 田中
泰有 秋山
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Abstract

【課題】電極の反応ムラを低減することができる蓄電装置を提供する。
【解決手段】負極17と正極18とがセパレータ19を介して交互に積層された電極組立体6を有し、負極17は、金属箔22の表面に負極活物質層23が形成されてなる負極本体部20と、負極本体部20の縁から突出し、金属箔22からなる負極タブ21とを有し、正極18は、金属箔26の表面に正極活物質層27が形成されてなる正極本体部24と、正極本体部24の縁から突出し、金属箔26からなる正極タブ25とを有し、金属箔22の抵抗値に対する負極活物質層23の抵抗値の比率は、金属箔26の抵抗値に対する正極活物質層27の抵抗値の比率よりも大きく、負極タブ21は、電極組立体6の一端側に配置され、正極タブ25は、電極組立体6の他端側を含む領域に配置され、正極タブ25の長さ寸法L2は、負極タブ21の長さ寸法L1よりも大きい蓄電装置1。
【選択図】図5

Description

本発明は、蓄電装置に関する。
従来の蓄電装置としては、例えば特許文献1に記載されている非水電解質二次電池が知られている。特許文献1に記載の蓄電装置は、ラミネート外装体の中に積層電極体及び非水電解液が収納されて構成されている。積層電極体は、正極板と負極板とがセパレータを介して複数積層されている。正極板は、方形状のアルミニウム箔からなる正極用導電性芯体の両面もしくは片面に正極活物質層が設けられた構造である。正極板からは、正極用導電性芯体と一体形成されると共に正極活物質層が設けられていない正極集電タブが突出している。負極板は、方形状の銅箔からなる負極用導電性芯体の両面もしくは片面に負極活物質層が設けられた構造である。負極板からは、負極用導電性芯体と一体形成されると共に負極活物質層が設けられていない負極集電タブが突出している。
特開2013−48054号公報
しかしながら、上記従来技術においては、以下の問題点が存在する。即ち、正極集電タブは積層電極体の一端側に配置され、負極集電タブは積層電極体の他端側に配置されている。このとき、正極板または負極板において、電流分布のムラが生じることで、反応分布のムラが生じる。具体的には、集電タブから近い部分では電流値が大きいため、反応量が多くなり、集電タブから遠い部分では電流値が小さいため、反応量が少なくなる。このように電極に生じる反応分布のムラ(電極の反応ムラ)が大きくなると、充放電効率の低下及び寿命劣化につながる。
本発明の目的は、電極の反応ムラを低減することができる蓄電装置を提供することである。
本発明の一態様は、第1電極と第1電極とは極性が異なる第2電極とがセパレータを介して交互に積層された電極組立体を有する蓄電装置であって、第1電極は、第1集電体の表面に第1活物質層が形成されてなる第1本体部と、第1本体部の縁から突出し、第1集電体からなる少なくとも1つの第1タブとを有し、第2電極は、第2集電体の表面に第2活物質層が形成されてなる第2本体部と、第2本体部の縁から突出し、第2集電体からなる少なくとも1つの第2タブとを有し、第1集電体の抵抗値に対する第1活物質層の抵抗値の比率は、第2集電体の抵抗値に対する第2活物質層の抵抗値の比率よりも大きく、第1タブは、電極組立体の一端側に配置されており、第2タブは、電極組立体の他端側を含む領域に第1タブと重ならないように配置されており、少なくとも1つの第2タブの長さ寸法の合計は、少なくとも1つの第1タブの長さ寸法の合計よりも大きいことを特徴とする。
このような蓄電装置において、第2電極の反応ムラを小さくするためには、第2本体部における第2タブから近い部分の合成抵抗値と第2本体部における第2タブから遠い部分の合成抵抗値との差を小さくする必要がある。合成抵抗値は、第2集電体の抵抗値と第2活物質層の抵抗値とを合成した値である。第2集電体の抵抗値は、第2タブからの距離によって変わり、第2タブからの距離が長くなるほど大きくなる。ここで、第1電極における第1集電体の抵抗値に対する第1活物質層の抵抗値の比率は、第2電極における第2集電体の抵抗値に対する第2活物質層の抵抗値の比率よりも大きくなっている。このため、第2集電体の抵抗値は、第1集電体の抵抗値に比べて合成抵抗値に与える影響が大きい。従って、第2本体部における第2タブから近い部分の合成抵抗値と第2本体部における第2タブから遠い部分の合成抵抗値との差を小さくするためには、第2本体部における第2タブから近い部分の第2集電体の抵抗値と第2本体部における第2タブから遠い部分の第2集電体の抵抗値との差を小さくする必要がある。
そこで、第1タブは、電極組立体の一端側に配置され、第2タブは、電極組立体の他端側を含む領域に配置されており、少なくとも1つの第2タブの長さ寸法の合計は、少なくとも1つの第1タブの長さ寸法の合計よりも大きくなっている。従って、第1タブが電極組立体の一端側に配置され、第2タブが電極組立体の他端側に配置され、少なくとも1つの第2タブの長さ寸法の合計が少なくとも1つの第1タブの長さ寸法の合計と等しい場合に比べて、第2本体部における第2タブから電極組立体の一端側に遠い部分において、第2タブからの距離が短くなるため、第2集電体の抵抗値が小さくなる。よって、第2本体部における第2タブから近い部分の第2集電体の抵抗値と第2本体部における第2タブから電極組立体の一端側に遠い部分の第2集電体の抵抗値との差が小さくなるため、第2本体部における第2タブから近い部分の合成抵抗値と第2本体部における第2タブから電極組立体の一端側に遠い部分の合成抵抗値との差が小さくなる。これにより、第2電極に生じる電流分布のムラが低減されるため、第2電極の反応ムラが低減される。
本発明の他の態様は、第1電極と第1電極とは極性が異なる第2電極とがセパレータを介して交互に積層された電極組立体を有する蓄電装置であって、第1電極は、第1集電体の表面に第1活物質層が形成されてなる第1本体部と、第1本体部の縁から突出し、第1集電体からなる少なくとも1つの第1タブとを有し、第2電極は、第2集電体の表面に第2活物質層が形成されてなる第2本体部と、第2本体部の縁から突出し、第2集電体からなる少なくとも1つの第2タブとを有し、第1集電体の抵抗値に対する第1活物質層の抵抗値の比率は、第2集電体の抵抗値に対する第2活物質層の抵抗値の比率よりも大きく、第1タブは、電極組立体の一端側に配置されており、第2タブは、電極組立体の中央部を含む領域に第1タブと重ならないように配置されていることを特徴とする。
このような蓄電装置において、第2電極の反応ムラを小さくするためには、第2本体部における第2タブから近い部分の合成抵抗値と第2本体部における第2タブから遠い部分の合成抵抗値との差を小さくする必要がある。合成抵抗値は、第2集電体の抵抗値と第2活物質層の抵抗値とを合成した値である。第2集電体の抵抗値は、第2タブからの距離によって変わり、第2タブからの距離が長くなるほど大きくなる。ここで、第1電極における第1集電体の抵抗値に対する第1活物質層の抵抗値の比率は、第2電極における第2集電体の抵抗値に対する第2活物質層の抵抗値の比率よりも大きくなっている。このため、第2集電体の抵抗値は、第1集電体の抵抗値に比べて合成抵抗値に与える影響が大きい。従って、第2本体部における第2タブから近い部分の合成抵抗値と第2本体部における第2タブから遠い部分の合成抵抗値との差を小さくするためには、第2本体部における第2タブから近い部分の第2集電体の抵抗値と第2本体部における第2タブから遠い部分の第2集電体の抵抗値との差を小さくする必要がある。
そこで、第1タブは、電極組立体の一端側に配置され、第2タブは、電極組立体の中央部を含む領域に配置されている。従って、第1タブが電極組立体の一端側に配置され、第2タブが電極組立体の他端側に配置されている場合に比べて、第2本体部における第2タブから電極組立体の一端側に遠い部分において、第2タブからの距離が短くなるため、第2集電体の抵抗値が小さくなる。よって、第2本体部における第2タブから近い部分の第2集電体の抵抗値と第2本体部における第2タブから電極組立体の一端側に遠い部分の第2集電体の抵抗値との差が小さくなるため、第2本体部における第2タブから近い部分の合成抵抗値と第2本体部における第2タブから電極組立体の一端側に遠い部分の合成抵抗値との差が小さくなる。これにより、第2電極に生じる電流分布のムラが低減されるため、第2電極の反応ムラが低減される。
少なくとも1つの第2タブの長さ寸法の合計は、少なくとも1つの第1タブの長さ寸法の合計よりも大きくてもよい。この場合には、第2本体部における第2タブから遠い部分では、第2タブからの距離が更に短くなる。このとき、第2本体部における第2タブから電極組立体の一端側に遠い部分において、第2タブからの距離が更に短くなると、第2集電体の抵抗値が更に小さくなる。よって、第2本体部における第2タブから近い部分の第2集電体の抵抗値と第2本体部における第2タブから電極組立体の一端側に遠い部分の第2集電体の抵抗値との差が更に小さくなるため、第2本体部における第2タブから近い部分の合成抵抗値と第2本体部における第2タブから電極組立体の一端側に遠い部分の合成抵抗値との差が更に小さくなる。これにより、第2電極に生じる電流分布のムラが更に低減されるため、第2電極の反応ムラが更に低減される。
第1タブと第2タブとの間の距離は、1.4mm以上であってもよい。この場合には、第1電極と第2電極との電気的絶縁が十分に確保されるため、第1電極と第2電極との不用意な短絡が防止される。
第1電極は、負極であり、第2電極は、正極であり、第1集電体及び第2集電体は、ニッケルまたはステンレス鋼からなり、第1活物質層は、水素吸蔵合金で形成されており、第2活物質層は、水酸化ニッケルで形成されていてもよい。この場合には、蓄電装置がニッケル水素二次電池であり、ニッケル水素二次電池の正極の反応ムラが低減される。
本発明によれば、電極の反応ムラを低減することができる。
本発明の一実施形態に係る蓄電装置の外観を示す斜視図である。 図1に示された筐体の分解斜視図である。 図2に示された隔壁ユニットの平面図である。 図3に示された隔壁の平面図である。 図3に示された電極組立体の負極、正極及びセパレータの平面図である。 図1に示された蓄電装置の電気的接続を示す模式図である。 図5に示された電極(負極及び正極)の箔抵抗及び電極抵抗を示す概念図である。 比較例として正極タブ及び負極タブの長さ寸法が同じ場合における正極のSOC分布のシミュレーション結果の一例を示す図である。 比較例の正極と図5に示された正極とにおいて、正極本体部における正極タブから最も遠い部分の金属箔の抵抗値を比較して示す概念図である。 図5に示された正極の変形例を負極及びセパレータと共に示す平面図である。 比較例の正極と図10に示された正極とにおいて、正極本体部における正極タブから最も遠い部分の金属箔の抵抗値を比較して示す概念図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図面において、同一または同等の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本発明の一実施形態に係る蓄電装置の外観を示す斜視図である。図1において、本実施形態の蓄電装置1は、例えばニッケル水素二次電池であり、フォークリフト、ハイブリッド自動車、電気自動車等の車両に搭載される。
蓄電装置1は、直方体形状の筐体2と、この筐体2の上面部に取り付けられた平板状の蓋部3とを備えている。筐体2及び蓋部3は、例えば樹脂により形成されている。樹脂としては、例えばポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)等が挙げられる。筐体2及び蓋部3は、例えば溶着によって接合されている。溶着としては、例えば熱可塑性樹脂による超音波溶着、熱溶着フィルムによる溶着等が用いられる。
図2は、筐体2の分解斜視図である。図1及び図2において、筐体2は、互いに積層された複数の隔壁4と、複数の隔壁4のうち積層方向(X軸方向)の一端に位置する隔壁4に積層されたカバー5とを有している。なお、複数の隔壁4のうち積層方向の他端に位置する隔壁4は、カバーとしての機能を有している。隔壁4同士ならびに隔壁4及びカバー5は、例えば溶着によって接合されている。溶着方法は、筐体2及び蓋部3の溶着と同様である。
複数の隔壁4によって隔てられた内部空間には、電極組立体6が収容されている。隔壁4及び電極組立体6は、隔壁ユニット7を構成している。従って、蓄電装置1では、複数(ここでは10組)の隔壁ユニット7が積層され、複数の隔壁ユニット7のうち積層方向の一端に位置する隔壁ユニット7にカバー5が積層されることとなる。
隔壁ユニット7は、隔壁ユニット7A,7Bを含んでいる。隔壁ユニット7A,7Bは、交互に積層されている。隔壁ユニット7Aは、図3(a)に示されるように、隔壁4Aと、電極組立体6とを有している。隔壁ユニット7Bは、図3(b)にも示されるように、隔壁4Bと、電極組立体6とを有している。
隔壁4Aは、図4(a)に示されるように、平面視において横長の矩形状を呈している。隔壁4Aの一面側の縁部には、U字状の厚肉の枠部8Aが設けられている。隔壁4Aにおける枠部8Aの内側には、薄板状の壁部9Aが設けられている。枠部8Aの内壁面及び壁部9Aは、電極組立体6が収容される収容凹部10Aを画成している。
枠部8Aの一面における隔壁4Aの長手方向(Y軸方向)の両端部には、円柱状の凸部11が上下2箇所に設けられている。枠部8Aの他面における隔壁4Aの長手方向の両端部には、断面円形状の凹部12が上下2箇所に設けられている。凸部11及び凹部12は、隔壁4Aの高さ方向(Z軸方向)にずれて配置されている。
壁部9Aの長手方向の一端側には、隔壁4Aの一面及び他面の双方に露出する集電板13が固定されている。集電板13は、壁部9Aの上部に配置されている。集電板13は、例えばニッケル等の金属により形成されている。集電板13は、例えばインサート成形によって壁部9Aに埋め込まれている。
隔壁4Bは、図4(b)に示されるように、平面視において横長の矩形状を呈している。隔壁4Bの一面側の縁部には、U字状の厚肉の枠部8Bが設けられている。隔壁4Bにおける枠部8Bの内側には、薄板状の壁部9Bが設けられている。枠部8Bの内壁面及び壁部9Bは、電極組立体6が収容される収容凹部10Bを画成している。
枠部8Bの一面における隔壁4Bの長手方向(Y軸方向)の両端部には、隔壁4Aの凹部12と嵌合する円柱状の凸部14が上下2箇所に設けられている。枠部8Bの他面における隔壁4Bの長手方向の両端部には、隔壁4Aの凸部11と嵌合する断面円形状の凹部15が上下2箇所に設けられている。
壁部9Bの長手方向の他端側(集電板13の反対側)には、隔壁4Bの一面及び他面の双方に露出する集電板16が固定されている。集電板16は、壁部9Bの上部に配置されている。集電板16の材料及び固定方法は、上記の集電板13と同様である。
電極組立体6は、隔壁4A,4Bの収容凹部10A,10Bにそれぞれ収容されている。収容凹部10A,10Bには、電解液が充填されている。電解液としては、例えば水酸化カリウム水溶液等のアルカリ溶液が使用される。
電極組立体6は、平面視において横長の矩形状を呈している。電極組立体6は、図5に示されるように、第1電極である負極17と、第1電極とは極性が異なる第2電極である正極18と、負極17と正極18との間に配置されたセパレータ19とから構成されている。電極組立体6は、複数の負極17と複数の正極18とがセパレータ19を介して交互に積層された構造を有している。
負極17は、図5(a)に示されるように、横長の矩形状の負極本体部20(第1本体部)と、この負極本体部20の縁20aから突出した負極タブ21(第1タブ)とを有している。縁20aは、負極本体部20の長手方向に沿って延びている。
負極本体部20は、ニッケルからなる金属箔22(第1集電体)の表面に負極活物質層23(第1活物質層)が形成されてなる。負極活物質層23は、金属箔22の片面または両面に形成されている。負極活物質層23は、例えば水素吸蔵合金で形成されている。負極タブ21は、電極組立体6の長手方向の一端側(以下、単に電極組立体6の一端側という)に配置されている。負極タブ21は、横長の矩形状に形成されている。負極タブ21は、電池としての性能を確保することが可能な長さ寸法L1を有している。なお、長さ寸法L1は、負極17の長手方向(Y軸方向)に沿った寸法である。負極タブ21は、金属箔22からなっている。つまり、負極タブ21の表面には、負極活物質層23が形成されていない。
正極18は、図5(b)に示されるように、横長の矩形状の正極本体部24(第2本体部)と、この正極本体部24の縁24aから突出した正極タブ25(第2タブ)とを有している。縁24aは、正極本体部24の長手方向に沿って延びている。
正極本体部24は、ニッケルからなる金属箔26(第2集電体)の表面に正極活物質層27(第2活物質層)が形成されてなる。正極活物質層27は、金属箔26の片面または両面に形成されている。正極活物質層27は、例えば水酸化ニッケルで形成されている。
正極タブ25は、電極組立体6の長手方向の他端側及び中央部(以下、単に電極組立体6の他端側及び中央部という)を含む領域に負極タブ21と重ならないように配置されている。正極タブ25は、横長の矩形状に形成されている。具体的は、正極タブ25は、電極組立体6の他端から電極組立体6の長手方向の中心部よりも電極組立体6の一端側まで延びている。従って、正極タブ25の長さ寸法L2は、負極タブ21の長さ寸法L1よりも大きい。なお、長さ寸法L2は、正極18の長手方向(Y軸方向)に沿った寸法である。正極タブ25は、金属箔26からなっている。つまり、正極タブ25の表面には、正極活物質層27が形成されていない。
金属箔22,26は、何れもニッケルで形成されている。このため、金属箔26の単位長さ当たりの抵抗値は、金属箔22の単位長さ当たりの抵抗値と等しい。また、負極活物質層23及び正極活物質層27の材料の違いから、負極活物質層23の単位長さ当たりの抵抗値は、正極活物質層27の単位長さ当たりの抵抗値よりも大きい。従って、金属箔26の抵抗値に対する負極活物質層23の抵抗値の比率(負極活物質層23の抵抗値/金属箔22の抵抗値)は、金属箔26の抵抗値に対する正極活物質層27の抵抗値(正極活物質層27の抵抗値/金属箔26の抵抗値)の比率よりも大きい。
セパレータ19は、図5(c)に示されるように、シート状に形成されていてもよいし、或いは袋状に形成されていてもよい。セパレータ19の材料としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、或いはポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、メチルセルロース等からなる織布または不織布等が挙げられる。
電極組立体6は、負極17の全ての負極タブ21の向きが揃うと共に全ての正極18の正極タブ25の向きが揃うように、負極17と正極18とがセパレータ19を介して交互に積層されている。このとき、電極組立体6の長手方向(Y軸方向)における負極タブ21と正極タブ25との間の距離D(図3参照)は、例えば1.4mm以上である。
隔壁ユニット7Aでは、負極17の負極タブ21が隔壁4Aの一端側に位置するように、電極組立体6が隔壁4Aの収容凹部10Aに収容されている。隔壁ユニット7Bでは、負極17の負極タブ21が隔壁4Bの他端側に位置するように、電極組立体6が隔壁4Bの収容凹部10Bに収容されている。つまり、隔壁ユニット7Aと隔壁ユニット7Bとでは、負極17の負極タブ21及び正極18の正極タブ25が互いに逆向きとなっている。電極組立体6が収容凹部10Aに収容された状態では、電極組立体6の底面及び側面が隔壁4Aの枠部8Aにより位置決めされる。電極組立体6が収容凹部10Bに収容された状態では、電極組立体6の底面及び側面が隔壁4Bの枠部8Bにより位置決めされる。
電極組立体6の各負極17の負極タブ21同士は、負極タブ群28(図6参照)として互いに積層された状態となっている。電極組立体6の各正極18の正極タブ25同士は、正極タブ群29(図6参照)として互いに積層された状態となっている。隔壁ユニット7の一端側において、負極タブ群28及び正極タブ群29が集電板13に接続されている。隔壁ユニット7の他端側において、負極タブ群28及び正極タブ群29が集電板16に接続されている。負極タブ群28及び正極タブ群29は、例えば溶接によって集電板13,16にそれぞれ接合されている。溶接としては、例えば抵抗シーム溶接、レーザ溶接等が用いられる。
隔壁ユニット7の一端側において、互いに隣り合う電極組立体6の負極タブ群28及び正極タブ群29が集電板13を介して電気的に接続されている。隔壁ユニット7の他端側において、互いに隣り合う電極組立体6の負極タブ群28及び正極タブ群29が集電板16を介して電気的に接続されている。これにより、蓄電装置1では、図6に示されるように、各電極組立体6が電気的に直列に接続されている(2点鎖線E参照)。
以上のような蓄電装置1において、電極である負極17及び正極18を電気が流れるときは、電気が金属箔の面内を金属箔の表面に平行な方向に沿って流れると共に、電気が活物質層を金属箔の表面に垂直な方向に沿って流れる。
図7は、電気がタブから金属箔を通って活物質層に流れる様子を示している。図7において、金属箔は、箔抵抗R1を有している。活物質層は、電極抵抗R2を有している。箔抵抗R1及び電極抵抗R2の値は、単位長さ当たりの抵抗値である。電極抵抗R2は、箔抵抗R1に対して並列に接続されている。図7中のA1〜A5は、電極の任意の位置である。A1はタブから最も近い位置であり、A5はタブから最も遠い位置である。位置A1での合成抵抗値は、R1+R2である。位置A2での合成抵抗値は、2R1+R2である。位置A3での合成抵抗値は、3R1+R2である。位置A4での合成抵抗値は、4R1+R2である。位置A5での合成抵抗値は、5R1+R2である。このようにタブから離れるに従って、合成抵抗値が大きくなる。このとき、電極抵抗R2は一定であるため、タブから離れるに従って箔抵抗R1の合計値が大きくなる。
図8は、比較例として正極タブ及び負極タブの長さ寸法が同じ場合における正極のSOC(State Of Charge)分布のシミュレーション結果の一例を示す図である。図8において、負極タブ21は電極組立体6の一端側に配置され、正極タブ25は電極組立体6の他端側に配置されている。正極タブ25の長さ寸法は、負極タブ21の長さ寸法と等しい。図8に示されるシミュレーション結果は、Newmanモデルを用いた電気化学シミュレーションにより得られる。SOCは、初期の満充電容量を100%として6.5A放電した時の値である。
図8から分かるように、正極タブ25の近傍では、SOCの値が51.11%と最小値となっている。一方、正極タブ25から最も離れた電極組立体6の一端部(負極タブ21側の端部)では、SOCの値が66.94%と最大値となっている。つまり、正極18の正極本体部24において、正極タブ25の近傍では反応が進み、正極タブ25から離れるに従って反応が進まない。
このような正極18の反応ムラは、正極本体部24における正極タブ25から近い部分の合成抵抗値と正極本体部24における正極タブ25から遠い部分の合成抵抗値との差が大きいことによる。図7に示す例では、位置A1での合成抵抗値と位置A5での合成抵抗値との差が大きいと、正極18の反応ムラが増大する。従って、正極18の反応ムラを少なくするためには、位置A1での合成抵抗値と位置A5での合成抵抗値との差を小さくする。このとき、負極17は、電極抵抗R2の値(負極活物質層23の抵抗値)が大きいため、箔抵抗R1の値(金属箔22の抵抗値)の影響が出にくい。しかし、正極18は、電極抵抗R2の値(正極活物質層27の抵抗値)が小さいため、箔抵抗R1の値(金属箔26の抵抗値)の影響が出やすい。このため、正極18において、位置A1での合成抵抗値と位置A5での合成抵抗値との差を小さくするには、箔抵抗R1の値を小さくする必要がある。
図9は、比較例の正極と図5に示された正極とにおいて、正極本体部における正極タブから最も遠い部分の金属箔の抵抗値を比較して示す概念図である。図9において、正極本体部24における正極タブ25から最も遠い部分は、正極本体部24の負極タブ21側の下角部Sである。
図9(a)に示されるように、負極17の負極タブ21が電極組立体6の一端側に配置され、正極18の正極タブ25が電極組立体6の他端側に配置されていると共に、正極タブ25の長さ寸法が負極タブ21の長さ寸法と等しい比較例の構成では、正極タブ25から正極本体部24の下角部Sまでの距離が長い(実線Q参照)。抵抗の値は、長さに比例して大きくなる。従って、正極タブ25から正極本体部24の下角部Sまでの距離が長いと、正極本体部24の下角部Sでの金属箔26の抵抗値が大きくなるため、正極本体部24の下角部Sでの合成抵抗値が大きくなる。合成抵抗値は、金属箔26の抵抗値と正極活物質層27の抵抗値とを合成(加算)した値である。このため、正極本体部24の正極タブ25の近傍での合成抵抗値と正極本体部24の下角部Sでの合成抵抗値との差が大きくなる。
これに対し、図9(b)に示されるように、負極17の負極タブ21が電極組立体6の一端側に配置され、正極18の正極タブ25が電極組立体6の他端側及び中央部を含む領域に配置されていると共に、正極タブ25の長さ寸法が負極タブ21の長さ寸法よりも大きい本実施形態の構成では、正極タブ25から正極本体部24の下角部Sまでの距離が短くなる(実線P参照)。従って、正極本体部24の下角部Sでの金属箔26の抵抗値が小さくなるため、正極本体部24の下角部Sでの合成抵抗値が小さくなる。このため、正極本体部24の正極タブ25の近傍での合成抵抗値と正極本体部24の下角部Sでの合成抵抗値との差が小さくなる。
以上のように本実施形態によれば、負極17における金属箔22の抵抗値に対する負極活物質層23の抵抗値の比率は、正極18における金属箔26の抵抗値に対する正極活物質層27の抵抗値の比率よりも大きい。そして、負極タブ21は、電極組立体6の一端側に配置されており、正極タブ25は、電極組立体6の他端側及び中央部を含む領域に配置されていると共に、正極タブ25の長さ寸法は、負極タブ21の長さ寸法よりも大きくなっている。従って、負極タブ21が電極組立体6の一端側に配置され、正極タブ25が電極組立体6の他端側に配置されていると共に、正極タブ25の長さ寸法が負極タブ21の長さ寸法と等しい場合に比べて、正極本体部24における正極タブ25から電極組立体6の一端側(負極タブ21側)に遠い部分において、正極タブ25からの距離が短くなるため、金属箔26の抵抗値が小さくなる。よって、正極本体部24における正極タブ25から近い部分の金属箔26の抵抗値と正極本体部24における正極タブ25から電極組立体6の一端側に遠い部分の金属箔26の抵抗値との差が小さくなるため、正極本体部24における正極タブ25から近い部分の合成抵抗値と正極本体部24における正極タブ25から電極組立体6の一端側に遠い部分の合成抵抗値との差が小さくなる。これにより、正極18に生じる電流分布のムラが低減されるため、正極18に生じる反応分布のムラ(正極18の反応ムラ)が低減される。その結果、蓄電装置1の充放電効率の低下及び寿命劣化を抑制することができる。
また、負極タブ21と正極タブ25との間の距離Dを1.4mm以上とすることにより、負極タブ21と正極ダブ25との電気的絶縁が十分に確保されるため、負極17と正極18との不用意な短絡が防止される。
なお、本発明は、上記実施形態には限定されない。例えば上記実施形態では、正極タブ25は、電極組立体6の他端側(負極タブ21とは反対の端側)及び中央部を含む領域に配置されているが、特にその形態には限られず、例えば図10(b)に示されるように、電極組立体6の中央部に配置されていてもよい。このとき、正極タブ25の長さ寸法L2は、負極タブ21の長さ寸法L1よりも大きくなっている。
この場合でも、図11(b)に示されるように、正極タブ25から正極本体部24の負極タブ21側の下角部Sまでの距離が短くなる(実線P1参照)。従って、正極本体部24の負極タブ21側の下角部Sでの金属箔26の抵抗値が小さくなるため、正極本体部24の負極タブ21側の下角部Sでの合成抵抗値が小さくなる。このため、正極本体部24の正極タブ25の近傍での合成抵抗値と正極本体部24の負極タブ21側の下角部Sでの合成抵抗値との差が小さくなる。このように正極本体部24における正極タブ25から近い部分の合成抵抗値と正極本体部24における正極タブ25から電極組立体6の一端側(負極タブ21側)に遠い部分の合成抵抗値との差が小さくなる。これにより、正極18の反応ムラが低減される。
このとき、正極タブ25から正極本体部24における負極タブ21とは反対側の下角部Tまでの距離は、図11(a)に示すような比較例の構成に比べて長くなる(実線P2参照)。しかし、正極タブ25から正極本体部24の下角部Tまでの距離は、正極タブ25から正極本体部24の下角部Sまでの距離とほぼ同じであるため、正極18全体としては、反応ムラが低減される。
なお、正極タブ25の長さ寸法L2は、負極タブ21の長さ寸法L1と等しくてもよいし、負極タブ21の長さ寸法L1よりも小さくてもよい。この場合でも、図11(a)に示すような比較例の構成に比べて、正極本体部24における正極タブ25から近い部分の合成抵抗値と正極本体部24における正極タブ25から負極タブ21側に遠い部分の合成抵抗値との差が小さくなるため、正極18の反応ムラが低減される。ただし、正極タブ25の長さ寸法L2を負極タブ21の長さ寸法L1よりも大きくすると、正極本体部24における正極タブ25から近い部分の合成抵抗値と正極本体部24における正極タブ25から負極タブ21側に遠い部分の合成抵抗値との差が更に小さくなるため、正極18の反応ムラが更に低減される。
また、正極タブ25が電極組立体6の他端側(負極タブ21とは反対の端側)のみに配置されていても、正極タブ25の長さ寸法L2が負極タブ21の長さ寸法L1よりも大きければよい。この場合でも、図9(a)に示すような比較例の構成に比べて、正極本体部24における正極タブ25から近い部分の合成抵抗値と正極本体部24における正極タブ25から負極タブ21側に遠い部分の合成抵抗値との差が小さくなるため、正極18の反応ムラが低減される。
また、上記実施形態では、負極17は負極タブ21を1つ有し、正極18は正極タブ25を1つ有しているが、負極タブ21が電極組立体6の一端側に配置され、正極タブ25が電極組立体6の他端側を含む領域に配置されていれば、負極タブ21及び正極タブ25の数としては、1つでもよいし、複数でもよい。この場合には、少なくとも1つの正極タブ25の長さ寸法の合計が、少なくとも1つの負極タブ21の長さ寸法の合計よりも大きければよい。また、負極タブ21が電極組立体6の一端側に配置され、正極タブ25が電極組立体6の中央部を含む領域に配置されていても、負極タブ21及び正極タブ25の数としては、1つでもよいし、複数でもよい。この場合には、少なくとも1つの正極タブ25の長さ寸法の合計が、少なくとも1つの負極タブ21の長さ寸法の合計よりも大きくてもよい。
また、上記実施形態では、負極17の金属箔22及び正極18の金属箔26は何れもニッケルで形成されているが、金属箔22,26の金属材料としては、例えばステンレス鋼でもよい。
さらに、上記実施形態では、蓄電装置1がニッケル水素二次電池であるが、本発明は、特にニッケル水素二次電池には限られず、例えばリチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池、電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ等にも適用可能である。
このとき、上述したように、負極における金属箔の抵抗値に対する負極活物質層の抵抗値の比率が正極における金属箔の抵抗値に対する正極活物質層の抵抗値の比率よりも大きいときは、負極タブが電極組立体の一端側に配置され、正極タブが電極組立体の他端側を含む領域または電極組立体の中央部を含む領域に配置される。一方、正極における金属箔の抵抗値に対する正極活物質層の抵抗値の比率が負極における金属箔の抵抗値に対する負極活物質層の抵抗値の比率よりも大きいときは、正極タブが電極組立体の一端側に配置され、負極タブが電極組立体の他端側を含む領域または電極組立体の中央部を含む領域に配置される。
1…蓄電装置、6…電極組立体、17…負極(第1電極)、18…正極(第2電極)、19…セパレータ、20…負極本体部(第1本体部)、21…負極タブ(第1タブ)、22…金属箔(第1集電体)、23…負極活物質層(第1活物質層)、24…正極本体部(第2本体部)、25…正極タブ(第2タブ)、26…金属箔(第2集電体)、27…正極活物質層(第2活物質層)。

Claims (5)

  1. 第1電極と前記第1電極とは極性が異なる第2電極とがセパレータを介して交互に積層された電極組立体を有する蓄電装置であって、
    前記第1電極は、第1集電体の表面に第1活物質層が形成されてなる第1本体部と、前記第1本体部の縁から突出し、前記第1集電体からなる少なくとも1つの第1タブとを有し、
    前記第2電極は、第2集電体の表面に第2活物質層が形成されてなる第2本体部と、前記第2本体部の縁から突出し、前記第2集電体からなる少なくとも1つの第2タブとを有し、
    前記第1集電体の抵抗値に対する前記第1活物質層の抵抗値の比率は、前記第2集電体の抵抗値に対する前記第2活物質層の抵抗値の比率よりも大きく、
    前記第1タブは、前記電極組立体の一端側に配置されており、
    前記第2タブは、前記電極組立体の他端側を含む領域に前記第1タブと重ならないように配置されており、
    前記少なくとも1つの第2タブの長さ寸法の合計は、前記少なくとも1つの第1タブの長さ寸法の合計よりも大きいことを特徴とする蓄電装置。
  2. 第1電極と前記第1電極とは極性が異なる第2電極とがセパレータを介して交互に積層された電極組立体を有する蓄電装置であって、
    前記第1電極は、第1集電体の表面に第1活物質層が形成されてなる第1本体部と、前記第1本体部の縁から突出し、前記第1集電体からなる少なくとも1つの第1タブとを有し、
    前記第2電極は、第2集電体の表面に第2活物質層が形成されてなる第2本体部と、前記第2本体部の縁から突出し、前記第2集電体からなる少なくとも1つの第2タブとを有し、
    前記第1集電体の抵抗値に対する前記第1活物質層の抵抗値の比率は、前記第2集電体の抵抗値に対する前記第2活物質層の抵抗値の比率よりも大きく、
    前記第1タブは、前記電極組立体の一端側に配置されており、
    前記第2タブは、前記電極組立体の中央部を含む領域に前記第1タブと重ならないように配置されていることを特徴とする蓄電装置。
  3. 前記少なくとも1つの第2タブの長さ寸法の合計は、前記少なくとも1つの第1タブの長さ寸法の合計よりも大きいことを特徴とする請求項2記載の蓄電装置。
  4. 前記第1タブと前記第2タブとの間の距離は、1.4mm以上であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項記載の蓄電装置。
  5. 前記第1電極は、負極であり、
    前記第2電極は、正極であり、
    前記第1集電体及び前記第2集電体は、ニッケルまたはステンレス鋼からなり、
    前記第1活物質層は、水素吸蔵合金で形成されており、
    前記第2活物質層は、水酸化ニッケルで形成されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項記載の蓄電装置。
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