JP2018081735A - 複合素子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】情報の記憶のみならず伝搬機能を有し、かつ、記録密度を向上するための書き込みおよび読み取りの分解能の向上を図りうる新種の素子の製造方法を提供する。【解決手段】基板17の上にイオン15を吸着させる。ディップコーティング法によりイオン15を介して基板17の上に、ポリイオンがイオンと極性が異なるような高分子電解質を化学的に析出させることにより高分子電解質層13を形成する。ディップコーティング法により高分子電解質層13の上に、導電性高分子化合物を化学的に析出させることにより導電性高分子化合物層11を形成する。導電性高分子化合物層11に磁性粒子を電気化学的にドープする。そして、導電性高分子化合物の鎖状構造の延在方向について、導電性高分子化合物層11の各端面に圧電性強誘電体121、122を接合する。【選択図】 図3

Description

本発明は、誘電体および導電性高分子化合物が組み合わせられることで構成されている複合素子に関する。
マルチフェロイック物質は、強磁性および強誘電性を併せもつ物質であり、磁気エネルギーおよび電気エネルギーの変換ができる。すなわち、磁場による電気分極反転が可能であり、反対に、電場による磁化反転が可能である。
強磁性体の微粒子を微細化すると超常磁性転移するため、磁気記録媒体としては、記憶機能は消滅するが、外力などの外場を加えることで、強磁性転移させることができる(非特許文献1参照)。
強誘電体メモリでは、強誘電体表面と探針状の外因電極間に電場を印加することで、数nm四方の微細領域の誘電分域の電気分極を反転できる。このため、強誘電体は、高記録密度、省電力性能を有する記憶素子としても機能する(非特許文献2参照)。
B. H. Liu,1,2 J. Ding,1,* Z. L. Dong,3 C. B. Boothroyd,4 J. H. Yin,1 and J. B. Yi1, Microstructural evolution and its influence on the magnetic properties of CoFe2O4 powders during mechanical milling, PHYSICAL REVIEW B 74, 184427 2006 Y. Cho, S. Kazuta, K. Matsuura, Scanning nonlinear dielectric microscopy with nanometer resolution, Appl. Phys. Lett., 75, 2833-2835, 1999)または http://ci.nii.ac.jp/naid/110003205540
しかし、磁気記録媒体では記録密度を向上させるため、通常、非磁性マトリックスによって分散された磁性微粒子を微細化するが、これにより磁性粒子はもはや強磁性を示さなくなり、熱攪乱により超常磁性化してしまう。
一方、強誘電体メモリは、走査型非線形誘電率顕微鏡を用いた記憶方式により、半径数nmという非常に微小な分極反転ドメインを生成することによる記憶素子である。しかしながら、誘電体メモリでは、情報を高密度に記憶できるが、スピンの交換力による磁化伝播のような情報の伝播機能の付与が困難である。概して、媒体の記録密度に追従できる書き込み・読み取りの分解能が問題とされている。
そこで、本発明は、情報の記憶のみならず伝搬機能を有し、かつ、記録密度を向上するための書き込みおよび読み取りの分解能の向上を図りうる新種の素子等を提供することを解決課題とする。
(複合素子の製造方法)
本発明の複合素子の製造方法は、基板の上にイオンを吸着させる工程と、ディップコーティング法により前記イオンを介して前記基板の上に、ポリイオンが前記イオンと極性が異なるような高分子電解質を化学的に析出させることにより高分子電解質層を形成する工程と、ディップコーティング法により前記高分子電解質層の上に、導電性高分子化合物を化学的に析出させることにより導電性高分子化合物層を形成する工程と、前記導電性高分子化合物層に磁性粒子を電気化学的にドープする工程と、前記導電性高分子化合物の鎖状構造の延在方向について、前記導電性高分子化合物層の各端面に圧電性強誘電体を接合する工程と、を含んでいることを特徴とする。
前記複合素子の製造方法において、前記イオンを最後に形成された前記導電性高分子化合物層の上に吸着させる工程と、ディップコーティング法により前記イオンを介して前記最後に形成された導電性高分子化合物層の上に前記高分子電解質層を形成する工程と、ディップコーティング法により前記高分子電解質層の上に前記導電性高分子化合物層を形成する工程と、前記導電性高分子化合物層に磁性粒子を電気化学的にドープする工程と、を一回または複数回にわたり実行した後、前記導電性高分子化合物層の各端面に圧電性強誘電体を接合する工程を実行してもよい。
圧電性強誘電体に局所的な圧電歪みを残留またはこれを解除させるように電圧が少なくとも一時的に(たとえばパルス電圧が)印加されるだけで情報記憶機能または情報伝搬機能を発揮しうるので、その分だけ電力消費量の低減が図られる。磁気光学的手法を用いることで、チャネルのサイズ(情報の空間分解能)の制約を受けることなく情報(局所的な磁化状態)の読み取りが可能となるので、情報の伝送密度または記録密度の向上が図られる。
非特許文献1のような酸化物等、エピタキシャル成長をともなう製法では、素子の基本構造をマイクロメートルオーダ以上の大面積化することができず、基板面内方向の2次元へ拡張することは可能である。これに対して、分子等の自己組織化成長による分子鎖の周期構造とこれへの金属イオンの電極反応によるドープによる、誘電体マトリックス中の超常磁性イオン鎖構造を、原理的には、無限回数繰り返し堆積することができる。このため、酸化物で構成された誘電体マトリックス中に超常磁性細線が分散配置する構造に比べて、磁性相の存在密度(=情報の記憶・伝送密度)をさらに向上し、また、基板面内および面直方向に、誘電相・磁性相複合構造を、拡張することが可能になる。これにより、酸化物におけるヘテロ界面制御は、情報処理機能を有する素子やその集積化に適するが、分子構造制御では、情報処理体そのもの、例えば、ロボット、または、生体−機械インタフェース(BMI)、生体の代替え組織等への適用を視野とできる。
本発明の第1実施形態としての複合素子の構成説明図。 本発明の第1実施形態としての複合素子の構成説明図。 本発明の第1実施形態としての複合素子の製造方法に関する説明図。 本発明の第2実施形態としての複合素子の構成説明図。 本発明の第3実施形態としての複合素子の構成説明図。 本発明の第1実施形態としての情報処理装置の構成説明図。 図7Aは本発明の第1実施形態としての情報処理装置の情報書き込み機能に関する説明図。図7Bは情報記憶機能に関する説明図。図7Cは情報伝搬機能に関する説明図。図7Dは情報読み取り機能に関する説明図。 本発明の複合素子の書き込み情報の区別に関する説明図。 本発明の複合素子の情報伝搬開始に関する模式的説明図。 本発明の複合素子の情報伝搬機能に関する模式的説明図。 本発明の第2実施形態としての情報処理装置の構成説明図。 図12Aは本発明の第2実施形態としての情報処理装置の情報書き込み機能に関する説明図。図12Bは情報記憶機能に関する説明図。図12Cは情報伝搬機能に関する説明図。図12Dは情報読み取り機能に関する説明図。 図13Aは本発明の第1実施形態としての複合素子センサの構成説明図。図13Bは本発明の第1実施形態の変形例としての複合素子センサの構成説明図。 本発明の第2実施形態としての複合素子センサの構成説明図。 本発明の他の実施形態としての複合素子の構成説明図。 本発明の複合素子の応用例に関する説明図。
(複合素子(第1実施形態))
(構成)
本発明の第1実施形態としての複合素子1は、図1に示されているように一方向(X方向)に延在するとともに、当該一方向に垂直な他方向(Y方向)に周期的または規則的に並列されている複数のチャネル11により構成されている導電性高分子化合物層を備えている。チャネル11は、X方向に延在する鎖状構造を有する導電性高分子化合物111およびこれに対してX方向に周期的にドープされている磁性粒子112により構成されている。
導電性高分子化合物111としては、共役系高分子があげられる。共役系高分子には、ポリアセチレン等の「脂肪族共役系高分子」、ポリ(パラフェニレン)等の「芳香族共役系高分子」、ポリピロール、ポリチオフェン等の「複素環式共役系高分子」、ポリアニリン等の「含ヘテロ原子共役系高分子」、ポリ(フェニレンビニレン)等の「混合型共役系高分子」、「復鎖型共役系高分子」、「金属フタロシアニン系高分子」および「導電性複合体」が含まれている。これら共役系高分子の中から、ポリピロールなど、磁性粒子112がドープ可能なものが導電性高分子化合物111として選択される。
磁性粒子112としては、強磁性またはフェリ磁性材料である(Fe,Co,Ni)B化合物、Tb−Fe化合物、Tb−Dy−Fe化合物、Sm−Co化合物、Sm−Fe化合物、YIG、Fe、CoFe24、NiFe、MnFeなど、または、Ni、Co、Mn、Cr、Fe、Gd、Tb元素またはこれらのイオンのクラスタが用いられる。
チャネル11は、略直線柱状であるが、チャネル11の延在態様は略直線状のほか、螺旋状など曲線状であってもよい。
チャネル11の断面サイズが超常磁性限界を超えたナノメートル程度のサイズに設計されることで、チャネル11全体が強磁性状態から超常磁性状態に遷移している。「強磁性状態」とは、多数原子の磁気モーメントの交換相互作用によりすべての電子スピンが同一方向に配列するような磁区(スピン集団)を形成し、これにより物質が自発的な磁化を有する状態を意味する。「超常磁性状態」とは、強磁性原子の電子スピン間の交換相互作用よりも、個々の電子スピンが熱擾乱するエネルギーの方が大きいため、個々の電子スピンは強磁性状態と同じ大きさの磁気モーメントを維持するが、見かけ上の磁化はベクトル的に相殺してゼロになるような状態を意味する。
各チャネル11は、相互に電気的に絶縁されている。これは、ポリピロールの分子鎖の構造から、炭素および窒素の4元素で構成される環の中に、ドープされたイオンまたはクラスタが存在することに由来すると推察される。
複合素子1は、各チャネル11の各端面に接合されている圧電性強誘電体からなる第1端部121および第2端部122を備えている。第1端部121および第2端部122のそれぞれは、厚さ50〜100[nm]の略平板状に形成されている。圧電性強誘電体としては、BTO(BaTiO3)、PZT(Pb(Zr,Ti)O3)、((Pb,Sm)TiO)、((Pb,Ca)TiO)、LiTaO系物質、LiNbO系物質、KNO3, NaNO2、(NH42SO4系物質,Sr2GeS4系物質、水晶、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、PVDF−TrFEなどの圧電性ポリマーのうち1つまたは組み合わせなどが用いられる。第1端部121および第2端部122のそれぞれは、各チャネル11の周囲を覆い、かつ、複数のチャネル11同士の隙間を埋めるという条件下でその形状および寸法が適当に設計されてもよい。
図2に示されているように、チャネル11はY方向に加えてZ方向(基板17の垂線方向)にも配列されている。各チャネル11のZ方向への並列数は、たとえば1〜10の範囲で変更されうる。複数のチャネル11により構成されている導電性高分子化合物層は、高分子電解質層13に接合され、高分子電解質層13はイオン層15を介して基板17に接合されている。
基板17は、例えばSi(100)ウエハが用いられるが、アンモニウムイオンが吸着可能なあらゆる基板が採用されうる。イオン層15は、アンモニウムイオン(NH4+)等、基板17に吸着している複数のイオン152(カチオン)により構成されている。高分子電解質層13は、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム等、ポリイオンが陰イオン(アニオン)であるような高分子電解質131により構成されている。高分子電解質の側鎖における荷電基(スルホン酸基など)が解離して、当該荷電基由来のポリイオンが基板17の上に配列されているイオン152にクーロン相互作用で吸着することにより、当該高分子電解質の主鎖が一方向(X方向)に延在するとともに、当該一方向に垂直な他方向(Y方向)に周期的または規則的に並列されている。
導電性高分子化合物111の鎖状構造は、高分子電解質131の主鎖の延在方向(X方向)に沿って延在する。これは、磁性粒子112と、高分子電解質131の側鎖における荷電基由来の陰イオンにクーロン相互作用で吸着することにより、当該磁性粒子112がドープされている導電性高分子化合物111が自己組織化されるためであると推察される。
(製造方法)
本発明の第1実施形態としての複合素子1は、次のような手順で作製される。
まず、基板17の上にイオン152を吸着させることによりイオン層15を形成する(図3/STEP2)。
次に、ディップコーティング法によりイオン層15の上に、ポリイオンがイオン層を構成するイオンと極性が異なるような高分子電解質131を化学的に析出させることにより高分子電解質層13を形成する(図3/STEP4)。例えば、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム相の形成の際は、基板の引き上げ速度は、0.1〜1 [cm/s]の範囲に調節される。
続いて、ディップコーティング法により高分子電解質層13の上に、導電性高分子化合物111を化学的に析出させることにより導電性高分子化合物層を形成する(図3/STEP6)。ディップコーティングに際して、基板の溶液浸漬および基板の溶液からの引き上げの繰り返し回数が多くなるほど、導電性高分子化合物層のZ方向の厚みが増加する(図2参照)。PPY(ポリピロール)の一層当たりの厚みは1.8[nm]であることに加えて、浸漬時間によって10層まで堆積できるもののこれ以上は厚くすることが困難であることが電気化学水晶振動微小質量測定(EC−QCM)から確認された。さらにPSS(ポリスチレンスルホン酸ナトリウム)/PPYを交互に積層させるためには、2回目以降は、アンモニウムイオンの吸着は要せず、PSS析出→PPY析出を必要回数だけ繰り返すことで、実現できます。
さらに、導電性高分子化合物層に磁性粒子112を電気化学的にドープする(図3/STEP8)。たとえば、ポリピロール相を硝酸塩溶液中で分極させることで、溶液中の金属イオンを吸蔵/脱離する既存技術によって当該ドーピングが実行される。ポリピロール相にドープされる磁性金属イオンの量がポリピロール相の厚みに依存することから、吸蔵物は、厚み方向にも侵入していく。電気化学的ドープは、電極上で局所的な反応場で起こるが、電気化学STMを用いて、位置を指定した電極反応場を制御する方法も有効である。
そして、導電性高分子化合物111の鎖状構造の延在方向について、チャネル11の各端面に圧電性強誘電体を接合する(図3/STEP10)。たとえば、圧電性強誘電体の前駆体溶液がチャネル11(すなわち導電性高分子化合物層)の端面に塗布された上で熱分解処理されるという工程が繰り返されることにより圧電性強誘電体の薄膜が積み重ねられる。さらに、当該積層薄膜がアニール処理されることにより、当該圧電性強誘電体からなる第1端部121および第2端部122のそれぞれが各チャネル11の各端面に形成される(図1および図2参照)。
PZTからなる第1端部121および第2端部122が形成される場合、PZT前駆体溶液が、酢酸鉛(II)(Pb[OAc]2・3H2O)、チタニウムイソプロポキシド(Ti[i−Opr]4)およびジルコニウム−n−プロポキシド(Zr[i−OPr]4)が2−メソキシエタノール溶液に溶解されることにより調整される。続いて、このPZT前駆体溶液が、4000〜5000[rpm]で20〜30[s]にわたり各チャネル11の端面に対してスピンコートされた上で、400〜450[℃]で8〜10[min]にわたり熱分解処理される。これによりPZT薄膜が形成されるが、スピンコートおよび熱分解処理が繰り返されることによりPZT薄膜が積層し、当該積層体の厚みが増していく。PZT薄膜積層体が650〜700[℃]で50〜60[min]でアニール処理されることで、圧電性強誘電体が実現された20〜100[nm]の厚さの第1端部121および第2端部122のそれぞれが形成される。
Langmuir−Blodgett(LB)法にしたがって、PVDF薄膜が第1端部121および第2端部122として形成されてもよい。PVDF(マトリックス)に径100[nm]程度のBTO粒子がフィラーとして充填されたナノ複合体により第1端部121および第2端部122が形成されてもよい。この場合、PVDFの融点が134〜169[℃]であるため、PVDFにBTO粒子を充填するためには、低温合成の採用またはアニールの省略が必要である。
前記手順により、図1および図2に模式的に示されている構成の複合素子1が作製される。
(複合素子(第2実施形態))
(構成)
本発明の第2実施形態としての複合素子1は、図4に示されているように複数の導電性高分子化合物層がZ方向に積層されている点で、本発明の第1実施形態としての複合素子1(図1および図2参照)と相違する。すなわち、本発明の第2実施形態としての複合素子1は、基板17の上に、イオン層15、高分子電解質層13および導電性高分子化合物層からなる複数(図4の例では3つ)の層群が積層されることにより構成されている。第1端部121および第2端部122のそれぞれは、複数の導電性高分子化合物層に対してまとめて接合されている。各導電性高分子化合物層に対して、個別の第1端部121および個別の第2端部122のそれぞれが接合されていてもよい。前記の相違点以外は、本発明の第2実施形態としての複合素子1は、本発明の第1実施形態としての複合素子1と同様の構成であるため、さらなる詳細な説明を省略する。
(製造方法)
イオン層形成工程(図3/STEP2)、高分子電解質層形成工程(図3/STEP4)、導電性高分子化合物層形成工程(図3/STEP6)および磁性粒子ドーピング工程(図3/STEP8)が、複数回にわたって繰り返される。2回目以降のイオン層形成工程(図3/STEP2)においては、前回形成された導電性高分子化合物層の上にイオンが吸着される。そして、圧電性強誘電体の接合工程(図3/STEP10)が実行される。前記手順により、本発明の第2実施形態としての複合素子1が作製される。
(複合素子(第3実施形態))
(構成)
本発明の第3実施形態としての複合素子1は、図5に示されているようにZ方向に積層されている複数の導電性高分子化合物層のうち、一部の導電性高分子化合物層におけるチャネル11の延在方向と、残りの導電性高分子化合物層におけるチャネル11の延在方向とが垂直である点で、本発明の第2実施形態としての複合素子1(図4参照)と相違する。図5の例では、下から1番目および3番目の導電性高分子化合物層におけるチャネル11がX方向に延在している一方、下から2番目の導電性高分子化合物層におけるチャネル11がY方向に延在している。
第1の対をなす第1端部121および第2端部122のそれぞれは、第1方向(X方向)に延在する導電性高分子化合物層の各チャネル11の各端部に対してまとめてまたは個別に接合されている。第1の対とは別の第2の対をなす第1端部121および第2端部122のそれぞれは、第1方向に垂直な第2方向(Y方向)に延在する導電性高分子化合物層の各チャネル11の各端部に対してまとめてまたは個別に接合されている。
前記の相違点以外は、本発明の第3実施形態としての複合素子1は、本発明の第2実施形態としての複合素子1と同様の構成であるため、さらなる詳細な説明を省略する。
(製造方法)
複数のチャネル11が第1方向に延在している導電性高分子化合物層を形成する場合と、複数のチャネル11が第2方向に延在している導電性高分子化合物層を形成する場合とで、高分子電解質層形成工程(図3/STEP4)および導電性高分子化合物層形成工程(図3/STEP6)のそれぞれにおける基板17のディップ方向が相互に垂直になるように調節される。これ以外の手順は、第2実施形態とほぼ同様である。前記手順により、本発明の第3実施形態としての複合素子1が作製される。
(情報処理装置(第1実施形態))
(構成)
図6に示されている本発明の第1実施形態としての情報処理装置4は、制御装置400と、第1内因電極21と、第1外因電極41と、第1駆動装置411と、第1電源412と、磁気光学効果検出装置5と、を備えている。
制御装置400は、コンピュータ(CPU(演算処理装置)およびメモリ(ROM,RAMなど)などにより構成されている。)により構成され、後述する第1駆動装置411の動作および第1電源412の動作を制御する等、情報処理装置4の機能を制御するように構成または設計されている。
第1内因電極21は、複合素子1の第1端部121をその側面に沿って環状に囲むように配置されている。第1内因電極21は、複合素子1の側面に直接的に形成されてもよい。具体的には、複合素子1の少なくとも側面全体にフォトレジスト(たとえば厚さ1.2〜1.8[μm](1.5[μm]))が塗布された上で、電子線描画装置によって所定幅(たとえば4〜10[nm](6[nm]))の微細ラインが第1端部121に描画される。その後、蒸着により当該微細ライン部分に沿って金属(たとえばPt)が蒸着される。これにより、複合素子1の側面に環状に延在する金属からなる第1内因電極21が形成される。第1内因電極21は、半環状または部分的に途切れた環状など、環状とは異なる態様で延在してもよい。
第1外因電極41は、複合素子1の第1端部121側の端面(第1端面)に対して局所的に当接または近接可能な探針状金属(たとえばPt)により構成されている。第1外因電極41の径は、各チャネル11の径と同程度に設計されている。第1駆動装置411は、第1外因電極41および複合素子1を相対的に変位させるように、電動機および動力伝達機構構などにより構成されている。第1電源412は、第1外因電極41および第1内因電極21の間に電圧を印加するように構成されている。
磁気光学効果検出装置5(マイケルソン干渉光学系)は、光照射装置(レーザー)51と、ハーフミラー52と、ミラー53と、検出装置(CCDカメラ)54と、を備えている。光照射装置51から放出されたコヒーレント光は、ハーフミラー52を透過して複合素子1の第2端部122側の端面に照射されている。第2端面における各チャネル11の磁化状態は未知であってもよい。複合素子1により反射されたコヒーレント光と、ハーフミラー52およびミラー53により反射されたコヒーレント光との干渉縞が検出装置54により撮像される。
(機能)
(情報書き込み機能)
各チャネル11に対する磁化情報の書き込み機能について説明する。まず、第1駆動装置411の動作が制御されることにより、第1外因電極41と第1端面(第1端部121の端面)の指定箇所とが当接または近接する(図7A参照)。この際、第1内因電極21は複合素子1の第1端部121をその側面に沿って連続的に囲むように当接または近接して配置されている。
その上で、第1電源412の動作が制御されることにより、第1外因電極41および第1内因電極21の間に直流電圧が瞬間的に印加される。印加電圧は第1端部121の抗電界Ec以下に制御される。これにより、直流電場またはパルス電場(図7Aに矢印で電気力線が模式的に示されている。)が第1端部121の指定箇所に局所的に形成される。そして、第1端部121の指定箇所において局所的に逆圧電効果(圧電歪み)が生じる。
これに応じて、第1端部121との接合界面において、当該指定箇所に対応する指定チャネル11に局所的な界面応力が作用して当該指定チャネル11を構成する導電性高分子化合物111の鎖状構造が局所的にひずむ。これにより、指定チャネル11が局所的に超常磁性状態から強磁性状態に遷移して局所磁区M1およびM2(強磁性領域)が形成される(図7B濃灰色箇所参照)。局所磁区M1およびM2は、第1端部121の局所的な圧電歪みおよびこれに応じた導電性高分子化合物111の鎖状構造の局所的な歪みの残留により、複合素子1の第1端部(指定チャネル11と第1端部121との接合界面付近)に拘束される。
直流電場(パルス電場を数〜数十ナノ秒印加)の極性または正負の調節により、第1端部121の指定箇所における局所的な圧電歪みのモード(方向)、導電性高分子化合物111の指定箇所における局所的な歪みのモードおよび複数のチャネル11のうち当該指定箇所に相当する指定チャネルの端部の磁化状態が調節される。
第1端部121およびチャネル11を構成する導電性高分子化合物111が材料の長さ方向と平行な磁界中で、材料が長さ方向に伸びるという正磁歪み特性を有する場合について考える。たとえば、導電性高分子化合物111を構成するポリピロールにドープされた磁性微粒子の個々が正磁歪み特性を示す場合、直流電場が正方向(第1外因電極41が第1内因電極21よりも高電位になるような電場)に制御されることにより第1端部121およびこれに接合されているチャネル11が局所的に伸びる。これに応じて、第1外因電極41の位置制御によって指定されたチャネル11の局所磁区Mの磁化方向が電場方向に対して平行な方向に制御される(図8A矢印参照)。
その一方、直流電場が負方向(第1外因電極41が第1内因電極21よりも低電位になるような電場)に制御されることにより第1端部121およびこれに接合されているチャネル11が局所的に縮む。これに応じて、第1外因電極41の位置制御によって指定されたチャネル11の局所磁区Mの磁化方向が電場方向に対して垂直な方向に制御される(図8B矢印参照)。
なお、第1端部121およびチャネル11を構成する導電性高分子化合物111が材料の長さ方向と平行な磁界中で、材料が長さ方向に縮むという負磁歪み特性を有する場合、直流電場の印加方向と局所磁区Mの磁化方向との対応関係が逆になる。導電性高分子化合物111を構成するポリピロールにドープされた磁性微粒子の個々が負磁歪み特性を示す場合、直流電場が正方向に制御されることにより第1端部121およびこれに接合されているチャネル11が局所的に縮む。これに応じて、第1外因電極41の位置制御によって指定されたチャネル11の局所磁区Mの磁化方向が電場方向に対して垂直な方向に制御される(図8B矢印参照)。
その一方、直流電場が負方向に制御されることにより第1端部121およびこれに接合されているチャネル11が局所的に伸びる。これに応じて、第1外因電極41の位置制御によって指定されたチャネル11の局所磁区Mの磁化方向が電場方向に対して平行な方向に制御される(図8A矢印参照)。
(情報伝搬機能)
第1内因電極21が第1端部121をその側面に沿って囲うように配置され、かつ、第1外因電極41と第1端部121の端面とが当接または近接されている。この状態で、第1端部121の指定箇所における局所的な圧電歪みが解除されるように第1外因電極41および第1内因電極21の間の印加電圧が制御される(図7C参照)。たとえば、図9に示されているように振幅が徐々に減衰する交流電圧により圧電歪みが解除される。
これにより、第1外因電極41の位置に応じたチャネル11(正確にはこれを構成する導電性高分子化合物111の鎖状構造)の歪みが解除され、チャネル11の局所磁区(図7Cでは局所磁区M1)の拘束が解除される。この局所磁区M1は、隣接する超常磁性状態の領域に対して逐次的に磁気的な交換力を及ぼすことによりチャネル11に沿って第2端部122に向かって移動する(図10Aおよび図10B参照)。
(情報読み取り機能)
局所磁区M1が複合素子1の第2端部(該当チャネル11と第2端部122との接合界面付近)に到達すると、チャネル11の圧電歪みに応じて第2端部122に対して界面応力が作用する。チャネル11を通じて伝搬してきた局所磁区M1は、第2端部122の局所的な歪みの残留により、複合素子1の第2端部122に拘束される(図7D参照)。
局所磁区M1が複合素子1の第2端部に到達した際、それまで超常磁性状態であった少なくとも一部のチャネル11が複合素子1の第2端部122において局所的に強磁性状態になったこと、および当該局所磁区M1(強磁性領域)の磁化方向が磁気光学効果検出装置5(マイケルソン干渉光学系)を用いて測定される。
光照射装置51から放出されたコヒーレント光が、ハーフミラー52を透過して複合素子1の第2端部122側の端面に照射される。複合素子1の第2端部122における各チャネル11の磁化状態は未知であってもよい。複合素子1により反射されたコヒーレント光と、ハーフミラー52およびミラー53により反射されたコヒーレント光との干渉縞が検出装置54により撮像される。
磁化領域Mがチャネル11に沿って複合素子1の第2端部122に到達する前後で、当該チャネル11の領域における誘電率の非対角成分が変化する。あるいは、磁化領域Mがチャネル11に沿って複合素子1の第2端部122に到達する前後で、磁性相および誘電相の界面において磁歪効果により圧電歪みが生じ、この圧電歪みに応じて誘電相の誘電率の対角成分が変化する。これらの誘電率の変化が、干渉光学系での干渉縞として検出される。
誘電率が位相差として検出される方が、光強度または旋光角として検出されるよりもはるかに感度が高い。磁化が伝搬前後の干渉画像の差分によって、誘電率の変化の有無が定性的に検出されうる。この方法は、前述のように、磁化領域Mの生成時の探針状の第1外因電極41の位置が特定できているので(図7A参照)、光学検出に際して高い空間分解能は必要ではない。干渉縞の検出補法として、偏光に依存する検出方法と偏光に依存しない検出方法があるが、結合光路に検光子が挿入されることで、磁気光学カー効果(旋光角変化)に応じた信号が増幅可能である。
局所磁区Mが複合素子1の第2端部122に到達した際、それまで超常磁性状態であった当該第2端部122が(局所的に)強磁性状態になったこと、および当該局所磁区M(強磁性領域)の磁化方向が磁気光学的手法によって検知されうる。チャネル11の端部の磁性状態は、磁気光学カー効果の利用により磁気光学的に検知される。通常、超高密度の磁気記録の読み出し(微細領域の磁化を測定)する場合当該微細領域のサイズに応じた高い空間分解能が必要になる。しかるに、本発明の複合素子1のように、局所磁区M1をチャネル11に沿って伝搬させる方式によれば、微細領域に記録した磁化を検出するのに記録された磁化の微細領域を特定する必要がなくなるため、検知感度さえ確保されれば、高い空間分解能を必要としない。
伝搬されてきた磁化の配列方向によって、3種類の磁気カー効果が存在し、それぞれ、極効果、横効果、縦効果であり、順に、旋光角(カー回転)、強度、旋光角が変化するという現象である。いずれの物理量も、試料から反射した光路側に検光子またはアナライザを挿入しておけば、光強度の変化として読み出しは可能である。光を第2端面に対して斜めに入射させた場合、3種の磁気カー効果の大きさは異なるため区別可能である。1本のチャネル11に沿って伝搬した磁化領域Mは、複合素子1のうち限局的な部分であるため、磁化が伝搬してくる前後で、磁気光学効果の大きさ変化が微小である可能性がある。例えば、近接場磁気光学効果の検出方法が採用されることで、検知感度の増大が可能である。
前記のように複合素子1の第1端部121においてチャネル11に対して印加される直流電場の極性または方向の調節によって、チャネル11に沿って伝搬する局所磁区M1における磁化方向が選択されうる。したがって、各チャネル11の第2端部122において検知されるその局所的な磁化状態は、(1)チャネル11の伸び(縦効果)に応じて端面に垂直な方向に磁化している強磁性状態(図8A参照)、(2)チャネル11の縮み(横効果)に応じて端面に平行な方向に磁化している強磁性状態(図8B参照)および(3)超常磁性状態の3つの状態である。すなわち、複合素子1はチャネル11の第1端部121との接合界面付近(情報書き込み領域)および第2端部122との接合界面付近(情報読み取り領域)の組み合わせごとに3ビットの記憶能を有する。
本発明の第1実施形態としての複合素子1において、第2端部122が省略されてもよい。この場合、局所磁区Mはチャネルの端面で反射されて第1端部121へと逆戻りして再び第1端部121において拘束されるが、局所磁区Mがチャネルの端面に到達した時点で、前記と同様の原理によって局所磁区Mに書き込まれた磁化情報が読み出されうる。これは、後述する第2実施形態についても同様である。
(情報処理装置(第2実施形態))
(構成)
図11に示されている本発明の第2実施形態としての情報処理装置4は、制御装置400と、第1内因電極21と、第1外因電極41と、第1駆動装置411と、第1電源412と、第2内因電極22と、第2外因電極42と、第2駆動装置421と、第2電圧計424と、を備えている。第1内因電極21、第1外因電極41、第1駆動装置411、第1電源412ならびに制御装置400の構成は、本発明の第1実施形態としての情報処理装置4(図4参照)とほぼ同様の構成であるので説明を省略する。
第2内因電極22は、複合素子1の第2端部122をその側面に沿って環状に囲むように配置されている。第2内因電極22は、第1内因電極21と同様に複合素子1の側面に直接的に形成されてもよい。
第2外因電極42は、複合素子1の第2端面(第2端部122側の端面)に対して全体的に当接または近接可能な平板状金属により構成されている。第2外因電極42のサイズは、複合素子1の第2端面(第2端部122の端面)の全部に同時に当接可能な程度に設計されている。第2駆動装置421は、第2外因電極42および複合素子1を相対的に変位させるように、電動機および動力伝達機構構などにより構成されている。第2電圧計424は、第2外因電極42および第2内因電極22の間の電圧を計測するように構成されている。なお、第2外因電極42は、複合素子1の構成要素としてその第2端面に対して接合され、第2駆動装置421が省略されてもよい。
(情報処理装置の機能(第2実施形態))
本発明の第2実施形態としての情報処理装置4の情報書き込み機能および情報伝搬機能は、本発明の第1実施形態としての情報処理装置4のそれと同様なので説明を省略する(図12A〜図12Cおよび図7A〜図7C参照)。
第2駆動装置421の動作が制御されることにより、第2外因電極42と第2端面とが当接または近接し、第2電圧計424を通じて第2外因電極42および第2内因電極22の間の電圧が検出されている(図12D参照)。局所磁区M1が複合素子1の第2端部122に到達すると、第2端部122の局所的な圧電歪みに応じて、第2電圧計424を通じて検出される第2外因電極42および第2内因電極22の間の電圧変化が検出される。
本発明の第2実施形態では、第1実施形態と同様に磁化領域Mの生成のための探針状の第1外因電極41の位置が特定できているので、高い空間分解能は必要ではない。
(複合素子センサ(第1実施形態))
図13Aに示されている本発明の第1実施形態としての複合素子センサは、本発明の第3実施形態としての複合素子1(図5参照)が、基板19の上にX方向およびY方向のそれぞれに複数個配列されることにより構成されている。
当該構成の複合素子センサによれば、その一部の領域に外力が加えられた場合、当該一部の領域に存在する各複合素子1の少なくとも第1端部121を構成する圧電性強誘電体がひずみ、対応するチャネル11に局所磁区を発生させることができる(図7Bおよび図12B参照)。この局所磁区の磁化情報が、前記の情報処理装置と同様に磁気光学的手法または電圧によって検知されることにより、当該一部の領域に加わった外力が検知されうる。
複合素子1に付記されている一対の破線両矢印は、当該複合素子1において一部の導電性高分子化合物層を構成する各チャネル11の延在方向および残りの導電性高分子化合物層を構成する各チャネル11の延在方向のそれぞれを表わしている(図5参照)。すなわち、この複合素子センサを構成する各複合素子1における、相互に垂直なチャネル11のそれぞれは、X方向およびZ方向のそれぞれに延在している。このため、各複合素子1に作用した外力がX方向成分およびZ方向成分のそれぞれに分解されて検知されうるので、外力の方向の検知精度の向上が図られる。
図13Aに示されている本発明の第1実施形態の複合素子センサにおいて、同様に本発明の第3実施形態としての複合素子1の配置態様が図13Bに示されているように変更されてもよい。この複合素子センサを構成する各複合素子1における、相互に垂直なチャネル11のそれぞれは、X方向に対して約45°をなす方向およびZ方向に対して約45°をなす方向のそれぞれに延在している。
(複合素子センサ(第2実施形態))
図14に示されている本発明の第2実施形態としての複合素子センサは、本発明の第1または第2実施形態としての複合素子1(図1、図2および図4参照)が、基板19の上にX方向およびY方向のそれぞれに複数個配列されることにより構成されている。
この複合素子センサを構成する一部の複合素子1におけるチャネル11はX方向に延在している一方、残りの複合素子1におけるチャネル11はY方向のそれぞれに延在している。このため、複合素子センサの一部の領域に作用した外力がX方向成分およびY方向成分のそれぞれに分解されて検知されうるので、外力の方向の検知精度の向上が図られる。
図14に示されている本発明の第2実施形態の複合素子センサを構成する一部または全部の複合素子1として、本発明の第3実施形態としての複合素子1が採用されてもよい。この場合、本発明の第3実施形態としての複合素子1における、相互に垂直なチャネル11のそれぞれは、X方向およびY方向のそれぞれに延在するように配置される。
本発明の第1実施形態としての複合素子センサおよび本発明の第2実施形態としての複合素子センサが組み合わせられてもよい。この場合、複合素子センサの一部の領域に作用した外力のX方向成分、Y方向成分および Z方向成分のそれぞれが分解されて検知されうるので、外力の方向の検知精度のさらなる向上が図られる。
(本発明の応用例)
図15に示されているように、複合素子1の第1端部121に対して物理量変化または化学的変化を電位変化に変換する変換素子30が接合されていてもよい。
たとえば、変換素子30としてイオンチャンネルが採用された場合、NaイオンまたはCaイオン等の特定イオンが変換素子30に接近したことに応じて、変換素子30の電位が変化する。これに応じて、第1端部121を構成する圧電性強誘電体に圧電ひずみを生じさせ、これをチャネル11に生じる局所磁区Mの磁化情報として読み出すことができる。すなわち、この場合、複合素子11を味覚センサ、嗅覚センサまたは神経信号伝送経路など、生体器官に代替する素子として機能させることができる。
図16に示されているように、異なる物理量変化または化学的変化を電位変化に変換可能な、種類が相違する複数の複合素子1A、1Bおよび1C(図16ではA、BまたはCの符号が付されている。)が基板の上に配列されることで、さまざまな物理量等の変化を検知可能な複合センサが構成されうる。
(本発明の意義)
本発明に係る技術は、精密機械または精密ロボットの構成体をフレキシブル形状とすることができ、各部位の力学運動、温度制御などを集中制御することができる。センサ機能によって制御挙動をフィードバックする回路としても機能し、制御およびフィードバック機能を混在または共用する高集積な回路システムとすることができる。
1‥複合素子、4‥情報処理装置、11‥チャネル、13‥高分子電解質層、15‥イオン層、17‥基板、21‥第1内因電極、22‥第2内因電極、30‥変換素子、41‥第1外因電極、42‥第2外因電極、111‥導電性高分子化合物、112‥磁性粒子、121‥第1端部(圧電性強誘電体)、122‥第2端部(圧電性強誘電体)、131‥高分子電解質、152‥イオン、400‥制御装置、M、M1、M2‥局所磁区。

Claims (2)

  1. 基板の上にイオンを吸着させる工程と、
    ディップコーティング法により前記イオンを介して前記基板の上に、ポリイオンが前記イオンと極性が異なるような高分子電解質を化学的に析出させることにより高分子電解質層を形成する工程と、
    ディップコーティング法により前記高分子電解質層の上に、導電性高分子化合物を化学的に析出させることにより導電性高分子化合物層を形成する工程と、
    前記導電性高分子化合物層に磁性粒子を電気化学的にドープする工程と、
    前記導電性高分子化合物の鎖状構造の延在方向について、前記導電性高分子化合物層の各端面に圧電性強誘電体を接合する工程と、を含んでいることを特徴とする複合素子の製造方法。
  2. 請求項1記載の複合素子の製造方法において、
    前記イオンを最後に形成された前記導電性高分子化合物層の上に吸着させる工程と、
    ディップコーティング法により前記イオンを介して前記最後に形成された導電性高分子化合物層の上に前記高分子電解質層を形成する工程と、
    ディップコーティング法により前記高分子電解質層の上に前記導電性高分子化合物層を形成する工程と、
    前記導電性高分子化合物層に磁性粒子を電気化学的にドープする工程と、を一回または複数回にわたり実行した後、前記導電性高分子化合物層の各端面に圧電性強誘電体を接合する工程を実行することを特徴とする複合素子の製造方法。
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