JP2018076351A - ホモ接合性家族性高コレステロール血症の治療方法 - Google Patents

ホモ接合性家族性高コレステロール血症の治療方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2018076351A
JP2018076351A JP2017244758A JP2017244758A JP2018076351A JP 2018076351 A JP2018076351 A JP 2018076351A JP 2017244758 A JP2017244758 A JP 2017244758A JP 2017244758 A JP2017244758 A JP 2017244758A JP 2018076351 A JP2018076351 A JP 2018076351A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
seq
sequence
amino acid
acid sequence
pcsk9
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2017244758A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6639463B2 (ja
Inventor
スコット・ワッサーマン
Wasserman Scott
ロバート・アンドリュー・ドナルド・スコット
Andrew Donald Scott Robert
エバン・エイ・スタイン
A Stein Evan
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Amgen Inc
Original Assignee
Amgen Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Amgen Inc filed Critical Amgen Inc
Priority to JP2017244758A priority Critical patent/JP6639463B2/ja
Publication of JP2018076351A publication Critical patent/JP2018076351A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6639463B2 publication Critical patent/JP6639463B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)

Abstract

【課題】ホモ接合性家族性高コレステロール血症の治療方法の提供。【解決手段】特定のアミノ酸配列を含む軽鎖と特定のアミノ酸配列を含む重鎖とを含む、プロタンパク質コンベルターゼスブチリシン/ケクシン9型(PCSK9)に対する抗体(抗PCSK9抗体)を、ホモ接合性家族性高コレステロール血症と診断された患者に約120mg〜約3000mgの投薬量で投与する。前記抗PCSK9抗体は、(1)1週間に1回、(2)2週間に1回、(3)1カ月に1回、(4)3カ月に1回、(5)6カ月に1回、及び(6)12カ月に1回からなる群から選択されるスケジュールで前記患者に投与する。【選択図】なし

Description

配列表の参照
本出願は、電子形式での配列表とともに出願されている。配列表は、2013年6月27日に作成された、サイズ322KBのA−1837−WO−PCT−SequenceList062713.txtという表題のファイルとして提供される。電子形式での配列表の情報は、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。
発明の分野
本発明は、プロタンパク質コンベルターゼスブチリシン/ケクシン9型(PCSK9)に対する抗原結合タンパク質(例えば、抗体)を用いた、ホモ接合性家族性高コレステロール血症の治療方法に関する。
ホモ接合性家族性高コレステロール血症はまれであるが、低密度リポタンパク質(LDL)受容体機能の実質的な低下によって引き起こされる重篤な臨床疾患である。その結果、LDLコレステロールレベルが著しく上昇し、小児期の心臓血管疾患やしばしば死に繋がることがある(Goldstein JL,Hobbs HH,Brown MS,eds.Familial hypercholesterolemia.8th Edition ed:McGraw−Hill;2001)。95%以上が、LDL受容体に、4%未満が、アポリポタンパク質Bに、0.5%未満が、プロタンパク質コンベルターゼスブチリシン/ケキシン9(PCSK9)に突然変異を有している(Abifadel M,Varret M,Rabes JP,et al.Mutations in PCSK9 cause autosomal dominant hypercholesterolemia.Nat Genet 2003;34:154−6;Rader DJ,Cohen J,Hobbs HH.Monogenic hypercholesterolemia:new insights in pathogenesis and treatment.J Clin Invest 2003;111:1795−803)。真に遺伝性のホモ接合性家族性高コレステロール血症は珍しくはないが、患者の大半は、複合ヘテロ接合体である(Usifo E,Leigh SE,Whittall RA,et al.Low−density lipoprotein recepter gene familial hypercholesterolemia variant database:update and pathological assessment.Ann Hum Genet 2012;76:387−401)。陰性(2%未満の機能)若しくは欠損(2%〜25%の機能)のいずれかのLDL受容体残存活性は、LDLコレステロール上昇の重症度及び低年齢での心臓血管疾患傾向と関連している(Goldstein JL,Hobbs HH,Brown MS,eds.Familial hypercholesterolemia.8th.Edition ed:McGraw−Hill;2001)。
ホモ接合性家族性高コレステロール血症に対して最も一般的に用いられる薬物であるスタチン及びエゼチミブなどの従来の治療に対する応答はそれほど大きくなく、通常、患者は、利用可能な場合にはLDLアフェレーシスを要する。スタチンによるLDLコレステロールの低下は、LDL受容体機能と相関する傾向があるが、受容体陰性患者は低下を示している(Raal FJ,Pappu AS,Illingworth DR,et al.Inhibition of cholesterol synthesis by atorvastatin in homozygous familial hypercholesterolaemia.Atherosclerosis 2000;150:421−8)。スタチンによるLDLコレステロールの改善は、心臓血管疾患の罹患率及び死亡率を低減させると思われる(Raal FJ,Pilcher GJ,Panz VR,et al.Reducion in mortality in subjects with homozygous familial hypercholesterolemia associated with advances in lipid−lowering therapy.Circulation 2011;124:2202−7)。近年、いずれも肝リポタンパク質産生を低減させるロミタピド及びミポメルセンという2つの薬物が、ホモ接合性家族性高コレステロール血症の治療のためだけに承認されている。これら2つの新規薬物が導入されているが、ホモ接合性家族性高コレステロール血症と診断された患者の新規の治療方法を同定することが必要とされている。
Goldstein JL,Hobbs HH,Brown MS,eds.Familial hypercholesterolemia.8th Edition ed:McGraw−Hill;2001 Abifadel M,Varret M,Rabes JP,et al.Mutations in PCSK9 cause autosomal dominant hypercholesterolemia.Nat Genet 2003;34:154−6 Rader DJ,Cohen J,Hobbs HH.Monogenic hypercholesterolemia:new insights in pathogenesis and treatment.J Clin Invest 2003;111:1795−803 Usifo E,Leigh SE,Whittall RA,et al.Low−density lipoprotein recepter gene familial hypercholesterolemia variant database:update and pathological assessment.Ann Hum Genet 2012;76:387−401 Raal FJ,Pappu AS,Illingworth DR,et al.Inhibition of cholesterol synthesis by atorvastatin in homozygous familial hypercholesterolaemia.Atherosclerosis 2000;150:421−8 Raal FJ,Pilcher GJ,Panz VR,et al.Reducion in mortality in subjects with homozygous familial hypercholesterolemia associated with advances in lipid−lowering therapy.Circulation 2011;124:2202−7
いくつかの態様では、提供される本発明は、ホモ接合性家族性高コレステロール血症と診断された患者の血清LDLコレステロールの低減方法であって、少なくとも1つの抗PCSK9抗体を、それを必要とする前記患者に約120mg〜約3000mgの投薬量で投与することにより、患者の血清LDLコレステロールの投与前のレベルと比べて、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約10%低減させることを含む方法を含む。本発明のこの態様のいくつかの実施形態において、前記患者の血清LDLコレステロールレベルを、患者の血清LDLコレステロールの投与前のレベルと比べて少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、または少なくとも約90%低減させる。
本発明のこの態様のいくつかの実施形態において、抗PCSK9抗体を、ホモ接合性家族性高コレステロール血症と診断された患者に、約140mg〜約3000mg、約140mg〜約2800mg、約140mg〜約2500mg、約140mg〜約2000mg、約140mg〜約1800mg、約140mg〜約1400mg、約120mg〜約1200mg、約120mg〜約1000mg、約120mg〜約700mg、約140mg〜約700mg、約140mg〜約600mg、約140mg〜約450mg、約120mg〜約450mg、約120mg〜約450mg、約140mg〜約450mg、約210mg〜約450mg、または約280mg〜約450mg、約210mg〜約420mg、約280mg〜約420mg、約420mg〜約3000mg、約700mg〜約3000mg、約1000mg〜約3000mg、約1200〜約3000mg、約1400mg〜約3000mg、約1800mg〜約3000mg、約2000mg〜約3000mg、約2400mg〜約3000mg、または約2800mg〜約3000mgの投薬量で投与する。この態様のいくつかの実施形態において、抗PCSK9抗体を、患者に、約35mg、約45mg、約70mg、約105mg、約120mg、約140mg、約150mg、約160mg、約170mg、約180mg、約190mg、約200mg、約210mg、約280mg、約360mg、約420mg、約450mg、約600mg、約700mg、約1200mg、約1400mg、約1800mg、約2000mg、約2500mg、約2800mg、または約3000mgの投薬量で投与する。
本発明のこの態様のいくつかの実施形態において、抗PCSK9抗体を、(1)1週間に1回、(2)2週間に1回、(3)1カ月に1回、(4)1カ月おきに1回、(5)3カ月に1回、(6)6カ月に1回、及び(7)12カ月に1回からなる群から選択されるスケジュールで患者に投与する。本発明のこの態様のいくつかの実施形態において、抗PCSK9抗体を非経口で投与する。本発明のこの態様のいくつかの実施形態において、抗PCSK9抗体を静脈内に投与する。本発明のこの態様のいくつかの実施形態において、抗PCSK9抗体を皮下に投与する。
本発明のこの態様のいくつかの実施形態において、抗PCSK9抗体は、A)(i)配列番号49、67、459、463、及び483からなる群から選択される配列におけるCDRH1からのCDRH1、(ii)配列番号49、67、459、463、及び483からなる群から選択される配列におけるCDRH2からのCDRH2、(iii)配列番号49、67、459、463、及び483からなる群から選択される配列におけるCDRH3からのCDRH3、及び(iv)4つを超えないアミノ酸の1つまたはそれ以上のアミノ酸置換、欠失、または挿入を含有する(i)、(ii)、及び(iii)のCDRHからなる群から選択される1つまたはそれ以上の重鎖相補性決定領域(CDRH)、B)(i)配列番号23、12、461、465、及び485からなる群から選択される配列におけるCDRL1からのCDRL1、(ii)配列番号23、12、461、465、及び485からなる群から選択される配列におけるCDRL2からのCDRL2、(iii)配列番号23、12、461、465、及び485からなる群から選択される配列におけるCDRL3からのCDRL3、及び(iv)4つを超えないアミノ酸の1つまたはそれ以上のアミノ酸置換、欠失、または挿入を含有する(i)、(ii)、及び(iii)のCDRLからなる群から選択される1つまたはそれ以上の軽鎖相補性決定領域(CDRL)、またはC)A)の1つまたはそれ以上の重鎖CDRH及びB)の1つまたはそれ以上の軽鎖CDRLを含む。いくつかの実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、A)のうちの少なくとも1つのCDRH及びB)のうちの少なくとも1つのCDRLを含む。いくつかの実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、A)の少なくとも2つのCDRH及びB)の少なくとも2つのCDRLを含む。いくつかの実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、A)の少なくとも3つのCDRH及びB)の少なくとも3つのCDRLを含む。
いくつかの実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、配列番号23のCDRL1配列の軽鎖相補性領域(CDR)と、配列番号23のCDRL2配列のCDRL2と、配列番号23のCDRL3配列のCDRL3と、配列番号49のCDRH1配列の重鎖相補性決定領域(CDR)と、配列番号49のCDRH2配列のCDRH2と、配列番号49のCDRH3配列のCDRH3とを含む。
いくつかの実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、配列番号465のCDRL1配列の軽鎖相補性領域(CDR)と、配列番号465のCDRL2配列のCDRL2と、配列番号465のCDRL3配列のCDRL3と、配列番号463のCDRH1配列の重鎖相補性決定領域(CDR)と、配列番号463のCDRH2配列のCDRH2と、配列番号463のCDRH3配列のCDRH3とを含む。
いくつかの実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、配列番号12のCDRL1配列の軽鎖相補性領域(CDR)と、配列番号12のCDRL2配列のCDRL2と、配列番号12のCDRL3配列のCDRL3と、配列番号67のCDRH1配列の重鎖相補性決定領域(CDR)と、配列番号67のCDRH2配列のCDRH2と、配列番号67のCDRH3配列のCDRH3とを含む。
いくつかの実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、配列番号461のCDRL1配列の軽鎖相補性領域(CDR)と、配列番号461のCDRL2配列のCDRL2と、配列番号461のCDRL3配列のCDRL3と、配列番号459のCDRH1配列の重鎖相補性決定領域(CDR)と、配列番号459のCDRH2配列のCDRH2と、配列番号459のCDRH3配列のCDRH3とを含む。
いくつかの実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、配列番号485のCDRL1配列の軽鎖相補性領域(CDR)と、配列番号485のCDRL2配列のCDRL2と、配列番号485のCDRL3配列のCDRL3と、配列番号483のCDRH1配列の重鎖相補性決定領域(CDR)と、配列番号483のCDRH2配列のCDRH2と、配列番号483のCDRH3配列のCDRH3とを含む。
いくつかの実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、配列番号582のCDRL1配列の軽鎖相補性領域(CDR)と、配列番号582のCDRL2配列のCDRL2と、配列番号582のCDRL3配列のCDRL3と、配列番号583のCDRH1配列の重鎖相補性決定領域(CDR)と、配列番号583のCDRH2配列のCDRH2と、配列番号583のCDRH3配列のCDRH3とを含む。
本発明のこの態様のいくつかの実施形態において、抗PCSK9抗体は、配列番号23のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と配列番号49のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、配列番号12のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と配列番号67のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、配列番号461のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と配列番号459のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、配列番号465のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と配列番号463のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、配列番号485のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と配列番号483のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、または配列番号582のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と配列番号583のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。本発明のこの態様のいくつかの実施形態において、抗PCSK9抗体は、配列番号23のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と配列番号49のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、配列番号12のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と配列番号67のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、配列番号461のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と配列番号459のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、配列番号465のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と配列番号463のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、配列番号485のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と配列番号483のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、配列番号582のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と配列番号583のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、または配列番号591のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と配列番号590のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。本発明のこの態様のいくつかの実施形態において、抗PCSK9抗体は、21B12、31H4、8A3、11F1、及び8A1からなる群から選択される。
いくつかの態様では、本発明は、ホモ接合性家族性高コレステロール血症と診断された患者の治療方法であって、少なくとも1つの抗PCSK9抗体を、それを必要とする前記患者に約120mg〜約3000mgの投薬量で投与することにより、前記患者のホモ接合性家族性高コレステロール血症を治療することを含む方法を含む。この態様のいくつかの実施形態において、ホモ接合性家族性高コレステロール血症と診断された前記患者の血清LDLコレステロールレベルを、前記患者の血清LDLコレステロールの投与前のレベルと比べて少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、または少なくとも約90%低減させる。
本発明のこの態様のいくつかの実施形態において、抗PCSK9抗体は、A)(i)配列番号49、67、459、463、及び483からなる群から選択される配列におけるCDRH1からのCDRH1、(ii)配列番号49、67、459、463、及び483からなる群から選択される配列におけるCDRH2からのCDRH2、(iii)配列番号49、67、459、463、及び483からなる群から選択される配列におけるCDRH3からのCDRH3、及び(iv)4つを超えないアミノ酸の1つまたはそれ以上のアミノ酸置換、欠失、または挿入を含有する(i)、(ii)、及び(iii)のCDRHからなる群から選択される1つまたはそれ以上の重鎖相補性決定領域(CDRH)、B)(i)配列番号23、12、461、465、及び485からなる群から選択される配列におけるCDRL1からのCDRL1、(ii)配列番号23、12、461、465、及び485からなる群から選択される配列におけるCDRL2からのCDRL2、(iii)配列番号23、12、461、465、及び485からなる群から選択される配列におけるCDRL3からのCDRL3、及び(iv)4つを超えないアミノ酸の1つまたはそれ以上のアミノ酸置換、欠失、または挿入を含有する(i)、(ii)、及び(iii)のCDRLからなる群から選択される1つまたはそれ以上の軽鎖相補性決定領域(CDRL)、またはC)A)の1つまたはそれ以上の重鎖CDRH及びB)の1つまたはそれ以上の軽鎖CDRLを含む。いくつかの実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、A)のうちの少なくとも1つのCDRH及びB)のうちの少なくとも1つのCDRLを含む。いくつかの実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、A)の少なくとも2つのCDRH及びB)の少なくとも2つのCDRLを含む。いくつかの実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、A)の少なくとも3つのCDRH及びB)の少なくとも3つのCDRLを含む。
いくつかの実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、配列番号23のCDRL1配列の軽鎖相補性領域(CDR)と、配列番号23のCDRL2配列のCDRL2と、配列番号23のCDRL3配列のCDRL3と、配列番号49のCDRH1配列の重鎖相補性決定領域(CDR)と、配列番号49のCDRH2配列のCDRH2と、配列番号49のCDRH3配列のCDRH3とを含む。
いくつかの実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、配列番号465のCDRL1配列の軽鎖相補性領域(CDR)と、配列番号465のCDRL2配列のCDRL2と、配列番号465のCDRL3配列のCDRL3と、配列番号463のCDRH1配列の重鎖相補性決定領域(CDR)と、配列番号463のCDRH2配列のCDRH2と、配列番号463のCDRH3配列のCDRH3とを含む。
いくつかの実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、配列番号12のCDRL1配列の軽鎖相補性領域(CDR)と、配列番号12のCDRL2配列のCDRL2と、配列番号12のCDRL3配列のCDRL3と、配列番号67のCDRH1配列の重鎖相補性決定領域(CDR)と、配列番号67のCDRH2配列のCDRH2と、配列番号67のCDRH3配列のCDRH3とを含む。
いくつかの実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、配列番号461のCDRL1配列の軽鎖相補性領域(CDR)と、配列番号461のCDRL2配列のCDRL2と、配列番号461のCDRL3配列のCDRL3と、配列番号459のCDRH1配列の重鎖相補性決定領域(CDR)と、配列番号459のCDRH2配列のCDRH2と、配列番号459のCDRH3配列のCDRH3とを含む。
いくつかの実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、配列番号485のCDRL1配列の軽鎖相補性領域(CDR)と、配列番号485のCDRL2配列のCDRL2と、配列番号485のCDRL3配列のCDRL3と、配列番号483のCDRH1配列の重鎖相補性決定領域(CDR)と、配列番号483のCDRH2配列のCDRH2と、配列番号483のCDRH3配列のCDRH3とを含む。
いくつかの実施形態において、単離抗原結合タンパク質は、配列番号582のCDRL1配列の軽鎖相補性領域(CDR)と、配列番号582のCDRL2配列のCDRL2と、配列番号582のCDRL3配列のCDRL3と、配列番号583のCDRH1配列の重鎖相補性決定領域(CDR)と、配列番号583のCDRH2配列のCDRH2と、配列番号583のCDRH3配列のCDRH3とを含む。
本発明のこの態様のいくつかの実施形態において、抗PCSK9抗体は、配列番号23のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と配列番号49のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、配列番号12のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と配列番号67のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、配列番号461のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と配列番号459のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、配列番号465のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と配列番号463のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、配列番号485のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と配列番号483のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、または配列番号582のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と配列番号583のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域とを含む。本発明のこの態様のいくつかの実施形態において、抗PCSK9抗体は、配列番号23のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と配列番号49のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、配列番号12のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と配列番号67のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、配列番号461のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と配列番号459のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、配列番号465のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と配列番号463のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、配列番号485のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と配列番号483のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、配列番号582のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と配列番号583のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、または配列番号591のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と配列番号590のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域とを含む。本発明のこの態様のいくつかの実施形態において、抗PCSK9抗体は、21B12、31H4、8A3、11F1、及び8A1からなる群から選択される。
特定の実施形態において、抗PCSK9抗体は、配列番号23のCDRL1配列の軽鎖相補性領域(CDR)と、配列番号23のCDRL2配列のCDRL2と、配列番号23のCDRL3配列のCDRL3と、配列番号49のCDRH1配列の重鎖相補性決定領域(CDR)と、配列番号49のCDRH2配列のCDRH2と、配列番号49のCDRH3配列のCDRH3とを含む。いくつかの実施形態において、抗PCSK9抗体は、配列番号23のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、配列番号49のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域とを含む。いくつかの実施形態において、抗PCSK9抗体は、配列番号23のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、配列番号49のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域とを含む。いくつかの実施形態において、抗PCSK9抗体は、配列番号591のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、配列番号590のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域とを含む。いくつかの実施形態において、抗PCSK9抗体は、21B12である。特定の実施形態において、抗PCSK9抗体は、配列番号23のCDRL1配列の軽鎖相補性領域(CDR)と、配列番号23のCDRL2配列のCDRL2と、配列番号23のCDRL3配列のCDRL3と、配列番号49のCDRH1配列の重鎖相補性決定領域(CDR)と、配列番号49のCDRH2配列のCDRH2と、配列番号49のCDRH3配列のCDRH3とを含むかまたは、配列番号23のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列と、配列番号49のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域とを含むかまたは、配列番号23のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、配列番号49のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域とを含むかまたは、配列番号591のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、配列番号590のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域とを含むかまたは、抗体は、21B12であり、抗PCSK9抗体を、患者に、約120mg〜約450mgの投薬量で1週間に1回皮下投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約3〜10日間で少なくとも約15〜50%低減させ;患者に、約120mgの投薬量で1週間に1回皮下投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約3〜10日間で少なくとも約15〜50%低減させ;患者に、約140mgの投薬量で1週間に1回皮下投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約3〜10日間で少なくとも約15〜50%低減させ;患者に、約120mg〜約450mgの投薬量で1週間おきに1回皮下投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約7〜14日間で少なくとも約15〜50%低減させ;患者に、約120mgの投薬量で1週間おきに1回皮下投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約7〜14日間で少なくとも約15〜50%低減させ;患者に、約140mgの投薬量で1週間おきに1回皮下投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約7〜14日間で少なくとも約15〜50%低減させ;患者に、約210mgの投薬量で1週間おきに1回皮下投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約7〜14日間で少なくとも約15〜50%低減させ;患者に、約280mgの投薬量で1週間おきに1回皮下投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約7〜14日間で少なくとも約15〜50%低減させ;患者に、約350mgの投薬量で1週間おきに1回皮下投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約7〜14日間で少なくとも約15〜50%低減させ;患者に、約420mgの投薬量で1週間おきに1回皮下投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約7〜14日間で少なくとも約15〜50%低減させ;患者に、約280mg〜約420mgの投薬量で4週間に1回皮下投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約21〜31日間で少なくとも約15〜50%低減させ;患者に、約280mgの投薬量で4週間に1回皮下投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約21〜31日間で少なくとも約15〜50%低減させ;患者に、約350mgの投薬量で4週間に1回皮下投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約21〜31日間で少なくとも約15〜50%低減させ;患者に、約420mgの投薬量で4週間おきに皮下投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約21〜31日間で15〜50%低減させる。
別の特定の実施形態において、抗PCSK9抗体は、配列番号23のCDRL1配列の軽鎖相補性領域(CDR)と、配列番号23のCDRL2配列のCDRL2と、配列番号23のCDRL3配列のCDRL3と、配列番号49のCDRH1配列の重鎖相補性決定領域(CDR)と、配列番号49のCDRH2配列のCDRH2と、配列番号49のCDRH3配列のCDRH3とを含むかまたは、配列番号23のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列と、配列番号49のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域とを含むかまたは、配列番号23のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、配列番号49のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域とを含むかまたは、配列番号591のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、配列番号590のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域とを含むかまたは、抗体は、21B12であり、抗PCSK9抗体を、患者に、約420mg〜約3000mgの投薬量で1週間に1回静脈内投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約3〜10日間で15〜50%低減させ;患者に、約700mgの投薬量で1週間に1回静脈内投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約3〜10日間で15〜50%低減させ;患者に、約1200mgの投薬量で1週間に1回静脈内投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約3〜10日間で15〜50%低減させ;患者に、約1200mg〜約3000mgの投薬量で1週間に1回静脈内投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約3〜10日間で15〜50%低減させ;患者に、約420mg〜約3000mgの投薬量で1週間おきに静脈内投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約7〜14日間で15〜50%低減させ;患者に、約700mgの投薬量で1週間おきに静脈内投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約7〜14日間で15〜50%低減させ;患者に、約1200mgの投薬量で1週間おきに静脈内投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約21〜31日間で15〜50%低減させ;患者に、約1200mg〜約3000mgの投薬量で1週間おきに静脈内投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約7〜14日間で15〜50%低減させ;患者に、約420mg〜約3000mgの投薬量で4週間おきに静脈内投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約21〜31日間で15〜50%低減させ;患者に、約700mgの投薬量で4週間おきに静脈内投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約21〜31日間で15〜50%低減させ;患者に、約1200mgの投薬量で4週間おきに静脈内投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約21〜31日間で15〜50%低減させ;患者に、約1200mg〜約3000mgの投薬量で4週間おきに静脈内投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約21〜31日間で15〜50%低減させる。
別の特定の実施形態において、抗PCSK9抗体は、配列番号23のCDRL1配列の軽鎖相補性領域(CDR)と、配列番号23のCDRL2配列のCDRL2と、配列番号23のCDRL3配列のCDRL3と、配列番号49のCDRH1配列の重鎖相補性決定領域(CDR)と、配列番号49のCDRH2配列のCDRH2と、配列番号49のCDRH3配列のCDRH3とを含むかまたは、配列番号23のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列と、配列番号49のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域とを含むかまたは、配列番号23のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、配列番号49のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域とを含むかまたは、抗体は、21B12であり、抗PCSK9抗体を、患者に、約120mgの投薬量で1週間に1回皮下投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約7〜10日間で少なくとも約30〜50%低減させ;患者に、約140mgの投薬量で1週間に1回皮下投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約7〜10日間で少なくとも約30〜50%低減させ;患者に、約120mgの投薬量で1週間おきに1回皮下投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約10〜14日間で少なくとも約30〜50%低減させ;患者に、約140mgの投薬量で1週間おきに1回皮下投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約10〜14日間で少なくとも約30〜50%低減させ;患者に、約210mgの投薬量で1週間おきに1回皮下投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約10〜14日間で少なくとも約30〜50%低減させ;患者に、約280mgの投薬量で1週間おきに1回皮下投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約10〜14日間で少なくとも約30〜50%低減させ;患者に、約350mgの投薬量で1週間おきに1回皮下投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約10〜14日間で少なくとも約30〜50%低減させ;患者に、約420mgの投薬量で1週間おきに1回皮下投与し;患者に、約280mg〜約450mgの投薬量で4週間に1回皮下投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約24〜28日間で少なくとも約30〜50%低減させ;患者に、約280mgの投薬量で4週間に1回皮下投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約24〜28日間で少なくとも約30〜50%低減させ;患者に、約350mgの投薬量で4週間に1回皮下投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約24〜28日間で少なくとも約30〜50%低減させ;患者に、約420mgの投薬量で4週間ごとに皮下投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約24〜28日間で30〜50%低減させる。
別の特定の実施形態において、抗PCSK9抗体は、配列番号23のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列と、配列番号49のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域とを含むかまたは、配列番号23のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、配列番号49のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域とを含むかまたは、配列番号591のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、配列番号590のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域とを含むかまたは、抗体は、21B12であり、抗PCSK9抗体を、患者に、約420mg〜約3000mgの投薬量で1週間に1回静脈内投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約7〜10日間で30〜50%低減させ;患者に、約700mgの投薬量で1週間に1回静脈内投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約7〜10日間で30〜50%低減させ;患者に、約1200mgの投薬量で1週間に1回静脈内投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約7〜10日間で30〜50%低減させ;患者に、約1200mg超〜約3000mgの投薬量で1週間に1回静脈内投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約7〜10日間で30〜50%低減させ;患者に、約420mg〜約3000mgの投薬量で1週間おきに静脈内投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約10〜14日間で30〜50%低減させ;患者に、約700mgの投薬量で1週間おきに静脈内投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約10〜14日間で30〜50%低減させ;患者に、約1200mgの投薬量で1週間おきに静脈内投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約10〜14日間で30〜50%低減させ;患者に、約1200mg超〜約3000mgの投薬量で1週間おきに静脈内投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約10〜14日間で30〜50%低減させ;患者に、約420mg〜約3000mgの投薬量で4週間おきに静脈内投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約24〜28日間で30〜50%低減させ;患者に、約700mgの投薬量で4週間おきに静脈内投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約24〜28日間で30〜50%低減させ;患者に、約1200mgの投薬量で4週間おきに静脈内投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約24〜28日間で30〜50%低減させ;患者に、約1200mg超〜約3000mgの投薬量で4週間おきに静脈内投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約24〜28日間で30〜50%低減させる。
本発明の特定の実施形態において、抗PCSK9抗体は、8A3、11F1、及び8A1である。いくつかの実施形態において、抗PCSK9抗体は、配列番号465のCDRL1配列の軽鎖相補性領域(CDR)と、配列番号465のCDRL2配列のCDRL2と、配列番号465のCDRL3配列のCDRL3と、配列番号463のCDRH1配列の重鎖相補性決定領域(CDR)と、配列番号463のCDRH2配列のCDRH2と、配列番号463のCDRH3配列のCDRH3とを含む。いくつかの実施形態において、抗PCSK9抗体は、配列番号465のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、配列番号463のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域とを含む。いくつかの実施形態において、抗PCSK9抗体は、配列番号465のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、配列番号463のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域とを含む。いくつかの実施形態において、抗PCSK9抗体は、11F1である。特定の実施形態において、前記抗PCSK9抗体は、配列番号465のCDRL1配列の軽鎖相補性領域(CDR)と、配列番号465のCDRL2配列のCDRL2と、配列番号465のCDRL3配列のCDRL3と、配列番号463のCDRH1配列の重鎖相補性決定領域(CDR)と、配列番号463のCDRH2配列のCDRH2と、配列番号463のCDRH3配列のCDRH3とを含む、または、配列番号465のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列と、配列番号463のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域とを含、または、配列番号465のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、配列番号463のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域とを含む、または、抗体は、11F1であり、抗PCSK9抗体を、患者に、約150mgの投薬量で1週間に1回皮下投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約3〜10日間で少なくとも約15〜50%低減させ;患者に、約150mgの投薬量で1週間に1回皮下投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約7〜14日間で少なくとも約15〜50%低減させ;患者に、約150mgの投薬量で4週間に1回皮下投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約21〜31日間で少なくとも約15〜50%低減させ;患者に、約150mg超〜約200mgの投薬量で4週間に1回皮下投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約21〜31日間で少なくとも約15〜50%低減させ;患者に、約170mg〜約180mgの投薬量で4週間に1回皮下投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約21〜31日間で少なくとも約15〜50%低減させ;患者に、約150mg〜約170mgの投薬量で4週間に1回皮下投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約21〜31日間で少なくとも約15〜50%低減させ;患者に、約450mgの投薬量で4週間に1回皮下投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約21〜31日間で少なくとも約15〜50%低減させ;患者に、約150mgの投薬量で6週間に1回皮下投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約31〜42日間で少なくとも約15〜50%低減させ;患者に、約150mg超〜約200mgの投薬量で6週間に1回皮下投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約31〜42日間で少なくとも約15〜50%低減させ;患者に、約170mg〜約180mgの投薬量で6週間に1回皮下投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約31〜42日間で少なくとも約15〜50%低減させ;患者に、約150mg〜約170mgの投薬量で6週間に1回皮下投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約31〜42日間で少なくとも約15〜50%低減させ;患者に、約450mgの投薬量で6週間に1回皮下投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約31〜42日間で少なくとも約15〜50%低減させ;患者に、約140mg〜約200mgの投薬量で8週間ごとに皮下投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約45〜56日間で15〜50%低減させ;患者に、約170mg〜約180mgの投薬量で8週間ごとに皮下投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約45〜56日間で15〜50%低減させ;患者に、約150mg〜約170mgの投薬量で8週間ごとに皮下投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約45〜56日間で15〜50%低減させ;患者に、約450mgの投薬量で8週間ごとに皮下投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約45〜56日間で15〜50%低減させ;約600mgの投薬量で8週間に1回皮下投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約45〜56日間で少なくとも約15〜50%低減させ;約700mgの投薬量で8週間に1回皮下投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約45〜56日間で少なくとも約15〜50%低減させ;約600mgの投薬量で12週間に1回皮下投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約74〜84日間で少なくとも約15〜50%低減させ;約700mgの投薬量で12週間に1回皮下投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約74〜84日間で少なくとも約15〜50%低減させ;約600mgの投薬量で16週間に1回皮下投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約100〜112日間で少なくとも約15〜50%低減させ;約700mgの投薬量で16週間に1回皮下投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約100〜112日間で少なくとも約15〜50%低減させる。
本発明の特定の実施形態において、抗PCSK9抗体は、配列番号465のCDRL1配列の軽鎖相補性領域(CDR)と、配列番号465のCDRL2配列のCDRL2と、配列番号465のCDRL3配列のCDRL3と、配列番号463のCDRH1配列の重鎖相補性決定領域(CDR)と、配列番号463のCDRH2配列のCDRH2と、配列番号463のCDRH3配列のCDRH3とを含む。いくつかの実施形態において、抗PCSK9抗体は、配列番号465のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列と、配列番号463のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域とを含むかまたは、配列番号465のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、配列番号463のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域とを含むかまたは、抗体は、11F1であり、抗PCSK9抗体を、患者に、約150mgの投薬量で1週間に1回皮下投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約7〜10日間で少なくとも約30〜50%低減させ;患者に、約150mgの投薬量で1週間おきに1回皮下投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約10〜14日間で少なくとも約30〜50%低減させ;患者に、約150mgの投薬量で4週間に1回皮下投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約24〜28日間で少なくとも約30〜50%低減させ;患者に、約150mg超〜約200mgの投薬量で4週間に1回皮下投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約24〜28日間で少なくとも約30〜50%低減させ;患者に、約170mg〜約180mgの投薬量で4週間に1回皮下投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約24〜28日間で少なくとも約30〜50%低減させ;患者に、約150mg〜約170mgの投薬量で4週間に1回皮下投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約24〜28日間で少なくとも約30〜50%低減させ;患者に、約450mgの投薬量で4週間に1回皮下投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約24〜28日間で少なくとも約30〜50%低減させ;患者に、約150mgの投薬量で6週間に1回皮下投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約40〜41日間で少なくとも約30〜50%低減させ;患者に、約150mg超〜約200mgの投薬量で6週間に1回皮下投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約40〜41日間で少なくとも約30〜50%低減させ;患者に、約170mg〜約180mgの投薬量で6週間に1回皮下投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約40〜41日間で少なくとも約30〜50%低減させ;患者に、約150mg〜約170mgの投薬量で6週間に1回皮下投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約40〜41日間で少なくとも約30〜50%低減させ;患者に、約450mgの投薬量で6週間に1回皮下投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約40〜41日間で少なくとも約30〜50%低減させ;患者に、約140mg〜約200mgの投薬量で8週間ごとに皮下投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約50〜56日間で少なくとも約30〜50%低減させ;患者に、約170mg〜約180mgの投薬量で8週間ごとに皮下投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約50〜56日間で少なくとも約30〜50%低減させ;患者に、約150mg〜約170mgの投薬量で8週間ごとに皮下投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約50〜56日間で少なくとも約30〜50%低減させ;患者に、約450mgの投薬量で8週間ごとに皮下投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約50〜56日間で少なくとも約30〜50%低減させ;約600mgの投薬量で8週間に1回皮下投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約50〜56日間で少なくとも約30〜50%低減させ;約700mgの投薬量で8週間に1回皮下投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約50〜56日間で少なくとも約30〜50%低減させ;約600mgの投薬量で12週間に1回皮下投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約80〜84日間で少なくとも約30〜50%低減させ;約700mgの投薬量で12週間に1回皮下投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約80〜84日間で少なくとも約30〜50%低減させ;約600mgの投薬量で16週間に1回皮下投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約105〜112日間で少なくとも約30〜50%低減させ;約700mgの投薬量で16週間に1回皮下投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約105〜112日間で少なくとも約30〜50%低減させる。
本発明の特定の実施形態において、抗PCSK9抗体は、配列番号465のCDRL1配列の軽鎖相補性領域(CDR)と、配列番号465のCDRL2配列のCDRL2と、配列番号465のCDRL3配列のCDRL3と、配列番号463のCDRH1配列の重鎖相補性決定領域(CDR)と、配列番号463のCDRH2配列のCDRH2と、配列番号463のCDRH3配列のCDRH3とを含む。いくつかの実施形態において、抗PCSK9抗体は、配列番号465のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列と、配列番号463のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域とを含むかまたは、配列番号465のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、配列番号463のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域とを含むかまたは、抗体は、11F1であり、抗PCSK9抗体を、患者に投与し、抗PCSK9抗体を、患者に、約420mg〜約3000mgの投薬量で1週間に1回静脈内投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約7〜10日間で30〜50%低減させ;患者に、約700mgの投薬量で1週間に1回静脈内投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約7〜10日間で30〜50%低減させ;患者に、約1200mgの投薬量で1週間に1回静脈内投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約7〜10日間で30〜50%低減させ;患者に、約1200mg超〜約3000mgの投薬量で1週間に1回静脈内投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約7〜10日間で30〜50%低減させ;患者に、約420mg〜約3000mgの投薬量で1週間おきに静脈内投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約10〜14日間で30〜50%低減させ;患者に、約700mgの投薬量で1週間おきに静脈内投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約10〜14日間で30〜50%低減させ;患者に、約1200mgの投薬量で1週間おきに静脈内投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約10〜14日間で30〜50%低減させ;患者に、約1200mg超〜約3000mgの投薬量で1週間おきに静脈内投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約10〜14日間で30〜50%低減させ;患者に、約420mg〜約3000mgの投薬量で4週間おきに静脈内投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約24〜28日間で少なくとも約30〜50%低減させ;患者に、約700mgの投薬量で4週間おきに静脈内投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約24〜28日間で少なくとも約30〜50%低減させ;患者に、約1200mgの投薬量で4週間おきに静脈内投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約24〜28日間で少なくとも約30〜50%低減させ;患者に、約1200mg超〜約3000mgの投薬量で4週間おきに静脈内投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約24〜28日間で少なくとも約30〜50%低減させ;約1000mg〜3000mgの投薬量で24週間に1回静脈内投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約150〜168日間で少なくとも約15〜50%低減させ;約1000mg〜3000mgの投薬量で24週間に1回静脈内投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約160〜168日間で少なくとも約30〜50%低減させ;約1000mg〜3000mgの投薬量で52週間に1回静脈内投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約350〜365日間で少なくとも約15〜50%低減させ;約1000mg〜3000mgの投薬量で52週間に1回静脈内投与し、ここで、患者の血清LDLコレステロールレベルを、約360〜365日間で少なくとも約30〜50%低減させる。
本発明の別の態様において、少なくとも1つの抗PCSK9抗体を、少なくとも1つの他のコレステロール降下剤の投与の前、後、または同時に患者に投与する。コレステロール降下剤には、スタチン(例えば、アトルバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、メバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン)、ニコチン酸(ナイアシン)、徐放ナイアシン(SLO−NIACIN)、ラロピプラント(CORDAPTIVE)、フィブリン酸(LOPID(ゲムフィブロジル)、TRICOR(フェノフィブラート))、胆汁酸封鎖剤、例えば、コレスチラミン(QUESTRAN)、コレセベラム(WELCHOL)、COLESTID(コレスチポール))、コレステロール吸収阻害剤(ZETIA(エゼチミブ))、脂質調節剤、PPAR−γアゴニスト、PPAR−α/γアゴニスト、スクアレン合成酵素阻害剤、CETP阻害剤、抗高血圧剤、抗糖尿病剤、例えば、スルホニル尿素、インスリン、GLP−1類縁体、DDPIV阻害剤、ApoB調節物質、MTP阻害剤、及び/または閉塞性動脈硬化症治療、オンコスタチンM、エストロゲン、ベルビン、及び免疫関連疾患用治療剤が含まれる。
いくつかの態様では、本発明は、ホモ接合性家族性高コレステロール血症と診断された患者の血清LDLコレステロールの低減方法を含む。該方法は、ホモ接合性家族性高コレステロール血症と診断された患者に、本明細書中に記載されている少なくとも1つの抗PCSK9抗体を約120mg〜約3000mgの投薬量で投与することを含む。いくつかの実施形態において、投薬量は、1週間に1回(QW)投与される、約120mg〜約450mgのうちの少なくとも1つの抗PCSK9抗体である。いくつかの実施形態において、投薬量は、1週間に1回投与される、約140mg〜約450mgのうちの少なくとも1つの抗PCSK9抗体である。いくつかの実施形態において、投薬量は、1週間に1回投与される、約280mg〜約450mgのうちの少なくとも1つの抗PCSK9抗体である。いくつかの実施形態において、投薬量は、2週間に1回(Q2W)投与される、約120mg〜約450mgのうちの少なくとも1つの抗PCSK9抗体である。いくつかの実施形態において、投薬量は、2週間に1回(Q2W)投与される、約140mg〜約450mgのうちの少なくとも1つの抗PCSK9抗体である。いくつかの実施形態において、投薬量は、2週間に1回(Q2W)投与される、約280mg〜約420mgのうちの少なくとも1つの抗PCSK9抗体である。いくつかの実施形態において、投薬量は、2週間に1回(Q2W)投与される、約400mg〜約450mgのうちの少なくとも1つの抗PCSK9抗体である。いくつかの実施形態において、投薬量は、2週間に1回(Q2W)投与される、約420mgのうちの少なくとも1つの抗PCSK9抗体である。いくつかの実施形態において、投薬量は、4週間に1回(Q4W)投与される、約250mg〜約480mgのうちの少なくとも1つの抗PCSK9抗体である。いくつかの実施形態において、投薬量は、4週間に1回(Q4W)投与される、約280mg〜約420mgのうちの少なくとも1つの抗PCSK9抗体である。いくつかの実施形態において、投薬量は、約4週間に1回(Q4W)投与される、約350mg〜約420mgのうちの少なくとも1つの抗PCSK9抗体である。いくつかの実施形態において、投薬量は、1週間に1回(QW)投与される、約420mg〜約3000mgのうちの少なくとも1つの抗PCSK9抗体である。いくつかの実施形態において、投薬量は、1週間に1回(QW)投与される、約1000mg〜約3000mgのうちの少なくとも1つの抗PCSK9抗体である。いくつかの実施形態において、投薬量は、1週間に1回(QW)投与される、約2000mg〜約3000mgのうちの少なくとも1つの抗PCSK9抗体である。いくつかの実施形態において、投薬量は、隔週に1回(Q2W)投与される、約420mg〜約3000mgのうちの少なくとも1つの抗PCSK9抗体である。いくつかの実施形態において、投薬量は、隔週に1回(Q2W)投与される、約1000mg〜約3000mgのうちの少なくとも1つの抗PCSK9抗体である。いくつかの実施形態において、投薬量は、隔週に1回(Q2W)投与される、2000mg〜約3000mgのうちの少なくとも1つの抗PCSK9抗体約である。いくつかの実施形態において、投薬量は、1カ月に1回(Q4W)投与される、約420mg〜約3000mgのうちの少なくとも1つの抗PCSK9抗体である。いくつかの実施形態において、投薬量は、1カ月に1回(Q4W)投与される、約1000mg〜約3000mgのうちの少なくとも1つの抗PCSK9抗体である。いくつかの実施形態において、投薬量は、1カ月に1回(Q4W)投与される、約2000mg〜約3000mgのうちの少なくとも1つの抗PCSK9抗体である。いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを、投与前の血清LDLコレステロールレベルと比べて少なくとも約10%低減させる。いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約15%低減させる。いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約20%低減させる。いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約25%低減させる。いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約30%低減させる。いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約35%低減させる。いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約40%低減させる。いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約45%低減させる。いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約50%低減させる。いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約55%低減させる。いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約60%低減させる。いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約75%低減させる。いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約70%低減させる。いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約75%低減させる。いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約80%低減させる。いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約85%低減させる。いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約90%低減させる。
いくつかの態様では、本発明は、ホモ接合性家族性高コレステロール血症と診断された患者の血清LDLコレステロールの低減方法を含み、該方法は、それを必要とする患者に、投薬量のうちの少なくとも1つの抗PCSK9抗体を投与することを含み、投薬量の抗PCSK9抗体を:(1)少なくとも約120mgで毎週(QW)、(2)少なくとも約140mgの量で毎週(QW)、(3)少なくとも約120mgの量で2週間おきまたは隔週(Q2W)、(4)少なくとも約140mgの量で2週間おきまたは隔週(Q2W)、(5)少なくとも約150mgの量で2週間おきまたは隔週(Q2W)、(6)少なくとも約280mgの量で2週間おきまたは隔週(Q2W)、(7)少なくとも約350mgの量で2週間おきまたは隔週(Q2W)、(8)少なくとも約420mgの量で2週間おきまたは隔週(Q2W)、及び(9)少なくとも約150mgの量で4週間おき(Q4W)、(10)少なくとも約160mgの量で4週間おき(Q4W)、(11)少なくとも約170mgの量で4週間おき(Q4W)、(12)少なくとも約180mgの量で4週間おき(Q4W)、(13)少なくとも約190mgの量で4週間おき(Q4W)、(14)少なくとも約200mgの量で4週間おき(Q4W)、(15)少なくとも約280mgの量で4週間おき(Q4W)、(16)少なくとも約350mgの量で4週間おき(Q4W)、(17)少なくとも約420mgの量で4週間おき(Q4W)、(18)少なくとも約1000mgの量で4週間おき(Q4W)、(19)少なくとも約2000mgの量で4週間おき(Q4W)、及び(20)少なくとも約3000mgの量で4週間おき(Q4W)からなる群から選択されるスケジュールで投与する。いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを、投与前の血清LDLコレステロールレベルと比べて少なくとも約10%低減させる。いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを、投与前の血清LDLコレステロールレベルと比べて少なくとも約10%低減させる。いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約15%低減させる。いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約20%低減させる。いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約25%低減させる。いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約30%低減させる。いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約35%低減させる。いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約40%低減させる。いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約45%低減させる。いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約50%低減させる。いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約55%低減させる。いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約60%低減させる。いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約65%低減させる。いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約70%低減させる。いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約75%低減させる。いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約80%低減させる。いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約85%低減させる。いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約90%低減させる。
いくつかの態様では、本発明は、ホモ接合性家族性高コレステロール血症と診断された患者の血清PCSK9レベルの低減方法を含む。該方法は、それを必要とする患者に、投薬量のうちの少なくとも1つの抗PCSK9抗体を投与することを含み、投薬量の抗PCSK9抗体を:1)少なくとも約120mgで毎週(QW);(2)少なくとも約140mgの量で毎週(QW);(3)少なくとも約120mgの量で2週間おきまたは隔週(Q2W);(4)少なくとも約140mgの量で2週間おきまたは隔週(Q2W);(5)少なくとも約150mgの量で2週間おきまたは隔週(Q2W);(6)少なくとも約280mgの量で2週間おきまたは隔週(Q2W);(7)少なくとも約350mgの量で2週間おきまたは隔週(Q2W);(8)少なくとも約420mgの量で2週間おきまたは隔週(Q2W);及び(9)少なくとも約150mgの量で4週間おき(Q4W);(10)少なくとも約160mgの量で4週間おき(Q4W);(11)少なくとも約170mgの量で4週間おき(Q4W);(12)少なくとも約180mgの量で4週間おき(Q4W);(13)少なくとも約190mgの量で4週間おき(Q4W);(14)少なくとも約200mgの量で4週間おき(Q4W);(15)少なくとも約280mgの量で4週間おき(Q4W);(16)少なくとも約350mgの量で4週間おき(Q4W);(17)少なくとも約420mgの量で4週間おき(Q4W);(18)少なくとも約1000mgの量で4週間おき(Q4W);(19)少なくとも約2000mgの量で4週間おき(Q4W);及び(20)少なくとも約3000mgの量で4週間おき(Q4W)からなる群から選択されるスケジュールで投与する。いくつかの実施形態において、血清PCSK9値を、投与前の血清PCSK9レベルと比べて少なくとも約20%低減させる。いくつかの実施形態において、血清PCSK9値を少なくとも約30%低減させる。いくつかの実施形態において、血清PCSK9値を少なくとも約40%低減させる。いくつかの実施形態において、血清PCSK9値を少なくとも約50%低減させる。いくつかの実施形態において、血清PCSK9値を少なくとも約60%低減させる。いくつかの実施形態において、血清PCSK9値を少なくとも約65%低減させる。いくつかの実施形態において、血清PCSK9値を少なくとも約70%低減させる。いくつかの実施形態において、血清PCSK9値を少なくとも約75%低減させる。いくつかの実施形態において、血清PCSK9値を少なくとも約80%低減させる。いくつかの実施形態において、血清PCSK9値を少なくとも約85%低減させる。いくつかの実施形態において、血清PCSK9値を少なくとも約90%低減させる。
いくつかの態様では、本発明は、ホモ接合性家族性高コレステロール血症と診断された患者の全コレステロールレベルの低減方法を含み、該方法は、それを必要とする患者に、投薬量のうちの少なくとも1つの抗PCSK9抗体を投与することを含み、投薬量の抗PCSK9抗体を:(1))少なくとも約120mgで毎週(QW);(2)少なくとも約140mgの量で毎週(QW);(3)少なくとも約120mgの量で2週間おきまたは隔週(Q2W);(4)少なくとも約140mgの量で2週間おきまたは隔週(Q2W);(5)少なくとも約150mgの量で2週間おきまたは隔週(Q2W);(6)少なくとも約280mgの量で2週間おきまたは隔週(Q2W);(7)少なくとも約350mgの量で2週間おきまたは隔週(Q2W);(8)少なくとも約420mgの量で2週間おきまたは隔週(Q2W);及び(9)少なくとも約150mgの量で4週間おき(Q4W);(10)少なくとも約160mgの量で4週間おき(Q4W);(11)少なくとも約170mgの量で4週間おき(Q4W);(12)少なくとも約180mgの量で4週間おき(Q4W);(13)少なくとも約190mgの量で4週間おき(Q4W);(14)少なくとも約200mgの量で4週間おき(Q4W);(15)少なくとも約280mgの量で4週間おき(Q4W);(16)少なくとも約350mgの量で4週間おき(Q4W);(17)少なくとも約420mgの量で4週間おき(Q4W);(18)少なくとも約1000mgの量で4週間おき(Q4W);(19)少なくとも約2000mgの量で4週間おき(Q4W);及び(20)少なくとも約3000mgの量で4週間おき(Q4W)からなる群から選択されるスケジュールで投与する。いくつかの実施形態において、全コレステロールレベルを、投与前の全コレステロールレベルと比べて少なくとも約20%低減させる。いくつかの実施形態において、全コレステロールレベルを少なくとも約25%低減させる。いくつかの実施形態において、全コレステロールレベルを少なくとも約30%低減させる。いくつかの実施形態において、全コレステロールレベルを少なくとも約35%低減させる。いくつかの実施形態において、全コレステロールレベルを少なくとも約40%低減させる。いくつかの実施形態において、全コレステロールレベルを少なくとも約45%低減させる。いくつかの実施形態において、全コレステロールレベルを少なくとも約50%低減させる。いくつかの実施形態において、全コレステロールレベルを少なくとも約55%低減させる。いくつかの実施形態において、全コレステロールレベルを少なくとも約60%低減させる。
いくつかの態様では、本発明は、ホモ接合性家族性高コレステロール血症と診断された患者の非HDLコレステロールレベルの低減方法を含み、該方法は、それを必要とする患者に、投薬量のうちの少なくとも1つの抗PCSK9抗体を投与することを含み、投薬量の抗PCSK9抗体を:(1)少なくとも約120mgで毎週(QW);(2)少なくとも約140mgの量で毎週(QW);(3)少なくとも約120mgの量で2週間おきまたは隔週(Q2W);(4)少なくとも約140mgの量で2週間おきまたは隔週(Q2W);(5)少なくとも約150mgの量で2週間おきまたは隔週(Q2W);(6)少なくとも約280mgの量で2週間おきまたは隔週(Q2W);(7)少なくとも約350mgの量で2週間おきまたは隔週(Q2W);(8)少なくとも約420mgの量で2週間おきまたは隔週(Q2W);及び(9)少なくとも約150mgの量で4週間おき(Q4W);(10)少なくとも約160mgの量で4週間おき(Q4W);(11)少なくとも約170mgの量で4週間おき(Q4W);(12)少なくとも約180mgの量で4週間おき(Q4W);(13)少なくとも約190mgの量で4週間おき(Q4W);(14)少なくとも約200mgの量で4週間おき(Q4W);(15)少なくとも約280mgの量で4週間おき(Q4W);(16)少なくとも約350mgの量で4週間おき(Q4W);(17)少なくとも約420mgの量で4週間おき(Q4W);(18)少なくとも約1000mgの量で4週間おき(Q4W);(19)少なくとも約2000mgの量で4週間おき(Q4W);及び(20)少なくとも約3000mgの量で4週間おき(Q4W)からなる群から選択されるスケジュールで投与する。いくつかの実施形態において、非HDLコレステロールレベルを、投与前の非HDLコレステロールレベルと比べて少なくとも約30%低減させる。いくつかの実施形態において、非HDLコレステロールレベルを少なくとも約35%低減させる。いくつかの実施形態において、非HDLコレステロールレベルを少なくとも約40%低減させる。いくつかの実施形態において、非HDLコレステロールレベルを少なくとも約45%低減させる。いくつかの実施形態において、非HDLコレステロールレベルを少なくとも約50%低減させる。いくつかの実施形態において、非HDLコレステロールレベルを少なくとも約55%低減させる。いくつかの実施形態において、非HDLコレステロールレベルを少なくとも約60%低減させる。いくつかの実施形態において、非HDLコレステロールレベルを少なくとも約65%低減させる。いくつかの実施形態において、非HDLコレステロールレベルを少なくとも約70%低減させる。いくつかの実施形態において、非HDLコレステロールレベルを少なくとも約75%低減させる。いくつかの実施形態において、非HDLコレステロールレベルを少なくとも約80%低減させる。いくつかの実施形態において、非HDLコレステロールレベルを少なくとも約85%低減させる。
いくつかの態様では、本発明は、ホモ接合性家族性高コレステロール血症と診断された患者のApoBレベルの低減方法を含み、該方法は、それを必要とする患者に、投薬量のうちの少なくとも1つの抗PCSK9抗体を投与することを含み、投薬量の抗PCSK9抗体を:(1)少なくとも約120mgで毎週(QW);(2)少なくとも約140mgの量で毎週(QW);(3)少なくとも約120mgの量で2週間おきまたは隔週(Q2W);(4)少なくとも約140mgの量で2週間おきまたは隔週(Q2W);(5)少なくとも約150mgの量で2週間おきまたは隔週(Q2W);(6)少なくとも約280mgの量で2週間おきまたは隔週(Q2W);(7)少なくとも約350mgの量で2週間おきまたは隔週(Q2W);(8)少なくとも約420mgの量で2週間おきまたは隔週(Q2W);及び(9)少なくとも約150mgの量で4週間おき(Q4W);(10)少なくとも約160mgの量で4週間おき(Q4W);(11)少なくとも約170mgの量で4週間おき(Q4W);(12)少なくとも約180mgの量で4週間おき(Q4W);(13)少なくとも約190mgの量で4週間おき(Q4W);(14)少なくとも約200mgの量で4週間おき(Q4W);(15)少なくとも約280mgの量で4週間おき(Q4W);(16)少なくとも約350mgの量で4週間おき(Q4W);(17)少なくとも約420mgの量で4週間おき(Q4W);(18)少なくとも約1000mgの量で4週間おき(Q4W);(19)少なくとも約2000mgの量で4週間おき(Q4W);及び(20)少なくとも約3000mgの量で4週間おき(Q4W)からなる群から選択されるスケジュールで投与する。いくつかの実施形態において、ApoBレベルを、投与前のApoBレベルと比べて少なくとも約10%低減させる。いくつかの実施形態において、ApoBレベルを少なくとも約15%低減させる。いくつかの実施形態において、ApoBレベルを少なくとも約20%低減させる。いくつかの実施形態において、ApoBレベルを少なくとも約25%低減させる。いくつかの実施形態において、ApoBレベルを少なくとも約30%低減させる。いくつかの実施形態において、ApoBレベルを少なくとも約35%低減させる。いくつかの実施形態において、ApoBレベルを少なくとも約40%低減させる。いくつかの実施形態において、ApoBレベルを少なくとも約45%低減させる。いくつかの実施形態において、ApoBレベルを少なくとも約50%低減させる。いくつかの実施形態において、ApoBレベルを少なくとも約55%低減させる。いくつかの実施形態において、ApoBレベルを少なくとも約60%低減させる。いくつかの実施形態において、ApoBレベルを少なくとも約65%低減させる。いくつかの実施形態において、ApoBレベルを少なくとも約70%低減させる。いくつかの実施形態において、ApoBレベルを少なくとも約75%低減させる。
いくつかの態様では、本発明は、ホモ接合性家族性高コレステロール血症と診断された患者のリポタンパク質A(「Lp(a)」)レベルの低減方法を含み、該方法は、それを必要とする患者に、投薬量のうちの少なくとも1つの抗PCSK9抗体を投与することを含み、投薬量の抗PCSK9抗体を:(1)少なくとも約120mgで毎週(QW);(2)少なくとも約140mgの量で毎週(QW);(3)少なくとも約120mgの量で2週間おきまたは隔週(Q2W);(4)少なくとも約140mgの量で2週間おきまたは隔週(Q2W);(5)少なくとも約150mgの量で2週間おきまたは隔週(Q2W);(6)少なくとも約280mgの量で2週間おきまたは隔週(Q2W);(7)少なくとも約350mgの量で2週間おきまたは隔週(Q2W);(8)少なくとも約420mgの量で2週間おきまたは隔週(Q2W);及び(9)少なくとも約150mgの量で4週間おき(Q4W);(10)少なくとも約160mgの量で4週間おき(Q4W);(11)少なくとも約170mgの量で4週間おき(Q4W);(12)少なくとも約180mgの量で4週間おき(Q4W);(13)少なくとも約190mgの量で4週間おき(Q4W);(14)少なくとも約200mgの量で4週間おき(Q4W);(15)少なくとも約280mgの量で4週間おき(Q4W);(16)少なくとも約350mgの量で4週間おき(Q4W);(17)少なくとも約420mgの量で4週間おき(Q4W);(18)少なくとも約1000mgの量で4週間おき(Q4W);(19)少なくとも約2000mgの量で4週間おき(Q4W);及び(20)少なくとも約3000mgの量で4週間おき(Q4W)からなる群から選択されるスケジュールで投与する。いくつかの実施形態において、Lp(a)レベルを、投与前のLp(a)レベルと比べて少なくとも約10%低減させる。いくつかの実施形態において、Lp(a)レベルを少なくとも約15%低減させる。いくつかの実施形態において、Lp(a)レベルを少なくとも約20%低減させる。いくつかの実施形態において、Lp(a)レベルを少なくとも約25%低減させる。いくつかの実施形態において、Lp(a)レベルを少なくとも約30%低減させる。いくつかの実施形態において、Lp(a)レベルを少なくとも約35%低減させる。いくつかの実施形態において、Lp(a)レベルを少なくとも約40%低減させる。いくつかの実施形態において、Lp(a)レベルを少なくとも約45%低減させる。いくつかの実施形態において、Lp(a)レベルを少なくとも約50%低減させる。いくつかの実施形態において、Lp(a)レベルを少なくとも約55%低減させる。いくつかの実施形態において、Lp(a)レベルを少なくとも約60%低減させる。いくつかの実施形態において、Lp(a)レベルを少なくとも約65%低減させる。
いくつかの態様では、本発明は、ホモ接合性家族性高コレステロール血症と診断された患者の治療方法を含み、該方法は、ホモ接合性家族性高コレステロール血症と診断された患者に、本明細書中に記載されている少なくとも1つの抗PCSK9抗体を約120mg〜約3000mgの投薬量で投与することを含む。いくつかの実施形態において、投薬量は、1週間に1回(QW)投与される、約120mg〜約450mgのうちの少なくとも1つの抗PCSK9抗体である。いくつかの実施形態において、投薬量は、1週間に1回投与される、約140mg〜約450mgのうちの少なくとも1つの抗PCSK9抗体である。いくつかの実施形態において、投薬量は、2週間に1回(Q2W)投与される、約120mg〜約450mgのうちの少なくとも1つの抗PCSK9抗体である。いくつかの実施形態において、投薬量は、2週間に1回(Q2W)投与される、約140mg〜約420mgのうちの少なくとも1つの抗PCSK9抗体である。いくつかの実施形態において、投薬量は、2週間に1回(Q2W)投与される、約105mg〜約350mgのうちの少なくとも1つの抗PCSK9抗体である。いくつかの実施形態において、投薬量は、2週間に1回(Q2W)投与される、約140mg〜約280mgのうちの少なくとも1つの抗PCSK9抗体である。いくつかの実施形態において、投薬量は、2週間に1回(Q2W)投与される、約150mg〜約280mgのうちの少なくとも1つの抗PCSK9抗体である。いくつかの実施形態において、投薬量は、2週間に1回(Q2W)投与される、約150mg〜約200mgのうちの少なくとも1つの抗PCSK9抗体である。いくつかの実施形態において、投薬量は、2週間に1回(Q2W)投与される、約400mg〜約450mgのうちの少なくとも1つの抗PCSK9抗体である。いくつかの実施形態において、投薬量は、2週間に1回(Q2W)投与される、約420mgのうちの少なくとも1つの抗PCSK9抗体である。いくつかの実施形態において、投薬量は、4週間に1回(Q4W)投与される、約120mg〜約480mgのうちの少なくとも1つの抗PCSK9抗体である。いくつかの実施形態において、投薬量は、4週間に1回(Q4W)投与される、約150mg〜約420mgのうちの少なくとも1つの抗PCSK9抗体である。いくつかの実施形態において、投薬量は、4週間に1回(Q4W)投与される、約400mg〜約450mgのうちの少なくとも1つの抗PCSK9抗体である。いくつかの実施形態において、投薬量は、4週間に1回(Q4W)投与される、約250mg〜約480mgのうちの少なくとも1つの抗PCSK9抗体である。いくつかの実施形態において、投薬量は、4週間に1回(Q4W)投与される、約280mg〜約420mgのうちの少なくとも1つの抗PCSK9抗体である。いくつかの実施形態において、投薬量は、4週間に1回投与される、約350mg〜約420mgのうちの少なくとも1つの抗PCSK9抗体である。いくつかの実施形態において、投薬量は、4週間おき(Q4W)の約1000mgである。いくつかの実施形態において、投薬量は、4週間おき(Q4W)の約2000mgである。いくつかの実施形態において、投薬量は、4週間おき(Q4W)の約3000mgである。いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを、投与前の血清LDLコレステロールレベルと比べて少なくとも約10%低減させる。いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約15%低減させる。いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約20%低減させる。いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約25%低減させる。いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約30%低減させる。いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約35%低減させる。いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約40%低減させる。いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約45%低減させる。いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約50%低減させる。いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約55%低減させる。いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約60%低減させる。いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約65%低減させる。いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約70%低減させる。いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約75%低減させる。いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約80%低減させる。いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約85%低減させる。いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約90%低減させる。
いくつかの実施形態において、抗PCSK9抗体は、21B12、26H5、31H4、8A3、11F1、及び/または8A1である。
本発明の他の実施形態は、本明細書で提供される開示から明らかになるであろう。
PCSK9の成熟形態のアミノ酸配列を図示しており、プロドメインに下線が付されている。 PCSK9のアミノ酸及び核酸配列を図示しており、プロドメインには下線が付され、シグナル配列は太字で記載されている。 PCSK9のアミノ酸及び核酸配列を図示しており、プロドメインには下線が付され、シグナル配列は太字で記載されている。 PCSK9のアミノ酸及び核酸配列を図示しており、プロドメインには下線が付され、シグナル配列は太字で記載されている。 PCSK9のアミノ酸及び核酸配列を図示しており、プロドメインには下線が付され、シグナル配列は太字で記載されている。 様々な抗原結合タンパク質の様々な軽鎖の配列比較表である。図2Cは、図2Aから始まる配列の続きである。図2Dは、図2Bから始まる配列の続きである。 様々な抗原結合タンパク質の様々な軽鎖の配列比較表である。図2Cは、図2Aから始まる配列の続きである。図2Dは、図2Bから始まる配列の続きである。 様々な抗原結合タンパク質の様々な軽鎖の配列比較表である。図2Cは、図2Aから始まる配列の続きである。図2Dは、図2Bから始まる配列の続きである。 様々な抗原結合タンパク質の様々な軽鎖の配列比較表である。図2Cは、図2Aから始まる配列の続きである。図2Dは、図2Bから始まる配列の続きである。 様々な抗原結合タンパク質の様々な重鎖の配列比較表である。図3Cは、図3Aから始まる配列の続きである。図3Dは、図3Bから始まる配列の続きである。 様々な抗原結合タンパク質の様々な重鎖の配列比較表である。図3Cは、図3Aから始まる配列の続きである。図3Dは、図3Bから始まる配列の続きである。 様々な抗原結合タンパク質の様々な重鎖の配列比較表である。図3Cは、図3Aから始まる配列の続きである。図3Dは、図3Bから始まる配列の続きである。 様々な抗原結合タンパク質の様々な重鎖の配列比較表である。図3Cは、図3Aから始まる配列の続きである。図3Dは、図3Bから始まる配列の続きである。 抗原結合タンパク質のいくつかの実施形態の可変ドメインに対するアミノ酸及び核酸配列を図示する。 抗原結合タンパク質のいくつかの実施形態の可変ドメインに対するアミノ酸及び核酸配列を図示する。 抗原結合タンパク質のいくつかの実施形態の可変ドメインに対するアミノ酸及び核酸配列を図示する。 抗原結合タンパク質のいくつかの実施形態の可変ドメインに対するアミノ酸及び核酸配列を図示する。 抗原結合タンパク質のいくつかの実施形態の可変ドメインに対するアミノ酸及び核酸配列を図示する。 抗原結合タンパク質のいくつかの実施形態の可変ドメインに対するアミノ酸及び核酸配列を図示する。 抗原結合タンパク質のいくつかの実施形態の可変ドメインに対するアミノ酸及び核酸配列を図示する。 抗原結合タンパク質のいくつかの実施形態の可変ドメインに対するアミノ酸及び核酸配列を図示する。 抗原結合タンパク質のいくつかの実施形態の可変ドメインに対するアミノ酸及び核酸配列を図示する。 抗原結合タンパク質のいくつかの実施形態の可変ドメインに対するアミノ酸及び核酸配列を図示する。 抗原結合タンパク質のいくつかの実施形態の可変ドメインに対するアミノ酸及び核酸配列を図示する。 抗原結合タンパク質のいくつかの実施形態の可変ドメインに対するアミノ酸及び核酸配列を図示する。 抗原結合タンパク質のいくつかの実施形態の可変ドメインに対するアミノ酸及び核酸配列を図示する。 抗原結合タンパク質のいくつかの実施形態の可変ドメインに対するアミノ酸及び核酸配列を図示する。 抗原結合タンパク質のいくつかの実施形態の可変ドメインに対するアミノ酸及び核酸配列を図示する。 抗原結合タンパク質のいくつかの実施形態の可変ドメインに対するアミノ酸及び核酸配列を図示する。 抗原結合タンパク質のいくつかの実施形態の可変ドメインに対するアミノ酸及び核酸配列を図示する。 抗原結合タンパク質のいくつかの実施形態の可変ドメインに対するアミノ酸及び核酸配列を図示する。 抗原結合タンパク質のいくつかの実施形態の可変ドメインに対するアミノ酸及び核酸配列を図示する。 抗原結合タンパク質のいくつかの実施形態の可変ドメインに対するアミノ酸及び核酸配列を図示する。 抗原結合タンパク質のいくつかの実施形態の可変ドメインに対するアミノ酸及び核酸配列を図示する。 抗原結合タンパク質のいくつかの実施形態の可変ドメインに対するアミノ酸及び核酸配列を図示する。 抗原結合タンパク質のいくつかの実施形態の可変ドメインに対するアミノ酸及び核酸配列を図示する。 抗原結合タンパク質のいくつかの実施形態の可変ドメインに対するアミノ酸及び核酸配列を図示する。 抗原結合タンパク質のいくつかの実施形態の可変ドメインに対するアミノ酸及び核酸配列を図示する。 抗原結合タンパク質のいくつかの実施形態の可変ドメインに対するアミノ酸及び核酸配列を図示する。 抗原結合タンパク質のいくつかの実施形態の可変ドメインに対するアミノ酸及び核酸配列を図示する。 抗原結合タンパク質のいくつかの実施形態の可変ドメインに対するアミノ酸及び核酸配列を図示する。 抗原結合タンパク質のいくつかの実施形態の可変ドメインに対するアミノ酸及び核酸配列を図示する。 抗原結合タンパク質のいくつかの実施形態の可変ドメインに対するアミノ酸及び核酸配列を図示する。 抗原結合タンパク質のいくつかの実施形態の可変ドメインに対するアミノ酸及び核酸配列を図示する。 抗原結合タンパク質のいくつかの実施形態の可変ドメインに対するアミノ酸及び核酸配列を図示する。 抗原結合タンパク質のいくつかの実施形態の可変ドメインに対するアミノ酸及び核酸配列を図示する。 様々な定常ドメインに対するアミノ酸配列を図示する。 抗原結合タンパク質のいくつかの実施形態の可変ドメインに対するアミノ酸及び核酸配列を示す。 抗原結合タンパク質のいくつかの実施形態の可変ドメインに対するアミノ酸及び核酸配列を示す。 抗原結合タンパク質のいくつかの実施形態の可変ドメインに対するアミノ酸及び核酸配列を示す。 抗原結合タンパク質のいくつかの実施形態の可変ドメインに対するアミノ酸及び核酸配列を示す。 抗原結合タンパク質のいくつかの実施形態の可変ドメインに対するアミノ酸及び核酸配列を示す。 抗原結合タンパク質のいくつかの実施形態の可変ドメインに対するアミノ酸及び核酸配列を示す。 抗原結合タンパク質のいくつかの実施形態の可変ドメインに対するアミノ酸及び核酸配列を示す。 抗原結合タンパク質のいくつかの実施形態の可変ドメインに対するアミノ酸及び核酸配列を示す。 抗原結合タンパク質のいくつかの実施形態の可変ドメインに対するアミノ酸及び核酸配列を示す。 抗原結合タンパク質のいくつかの実施形態の可変ドメインに対するアミノ酸及び核酸配列を示す。 抗原結合タンパク質のいくつかの実施形態の可変ドメインに対するアミノ酸及び核酸配列を示す。 抗原結合タンパク質のいくつかの実施形態の可変ドメインに対するアミノ酸及び核酸配列を示す。 抗原結合タンパク質のいくつかの実施形態の可変ドメインに対するアミノ酸及び核酸配列を示す。 抗原結合タンパク質のいくつかの実施形態の可変ドメインに対するアミノ酸及び核酸配列を示す。 抗原結合タンパク質のいくつかの実施形態の可変ドメインに対するアミノ酸及び核酸配列を示す。 抗原結合タンパク質のいくつかの実施形態の可変ドメインに対するアミノ酸及び核酸配列を示す。 抗原結合タンパク質のいくつかの実施形態の可変ドメインに対するアミノ酸及び核酸配列を示す。 抗原結合タンパク質のいくつかの実施形態の様々な重鎖及び軽鎖の配列比較表である。 抗原結合タンパク質のいくつかの実施形態の様々な重鎖及び軽鎖の配列比較表である。 抗原結合タンパク質のいくつかの実施形態の様々な重鎖及び軽鎖の配列比較表である。 抗原結合タンパク質のいくつかの実施形態の様々な重鎖及び軽鎖の配列比較表である。 抗原結合タンパク質のいくつかの実施形態の様々な重鎖及び軽鎖の配列比較表である。 抗原結合タンパク質のいくつかの実施形態の様々な重鎖及び軽鎖の配列比較表である。 抗原結合タンパク質のいくつかの実施形態の様々な重鎖及び軽鎖の配列比較表である。 抗原結合タンパク質のいくつかの実施形態の様々な重鎖及び軽鎖の配列比較表である。 大腸菌中で産生されたヒトABP配列とABP配列の間の様々な差異を特定する一連のABP配列である(米国特許第8,030,457号)。 ヒトPCSK9に対する抗原結合タンパク質の結合曲線である。 ヒトPCSK9に対する抗原結合タンパク質の結合曲線である。 カニクイザルPCSK9に対する抗原結合タンパク質の結合曲線である。 カニクイザルPCSK9に対する抗原結合タンパク質の結合曲線である。 マウスPCSK9に対する抗原結合タンパク質の結合曲線である。 マウスPCSK9に対する抗原結合タンパク質の結合曲線である。 PCSK9及び様々な抗原結合タンパク質を用いたSDSPAGE実験の結果を図示しており、タンパク質の相対的純度及び濃度を示している。 21B12に対するBiacore溶液平衡アッセイから得られたグラフを図示している。 21B12に対するBiacore溶液平衡アッセイから得られたグラフを図示している。 Biacore捕捉アッセイから得られた動態のグラフを図示している。 インビトロPCSK9:LDLR結合アッセイにおける、PCSK9に対する抗原結合タンパク質31H4 IgG2の阻害曲線である。 インビトロPCSK9:LDLR結合アッセイにおける、PCSK9に対する抗原結合タンパク質31H4 IgG4の阻害曲線である。 インビトロPCSK9:LDLR結合アッセイにおける、PCSK9に対する抗原結合タンパク質21B12 IgG2の阻害曲線である。 インビトロPCSK9:LDLR結合アッセイにおける、PCSK9に対する抗原結合タンパク質21B12 IgG4の阻害曲線である。 PCSK9のLDL取り込み遮断効果を低減させるABPの効果を示す細胞LDL取り込みアッセイにおける抗原結合タンパク質31H4 IgG2の阻害曲線である。 PCSK9のLDL取り込み遮断効果を低減させるABPの効果を示す細胞LDL取り込みアッセイにおける抗原結合タンパク質31H4 IgG4の阻害曲線である。 PCSK9のLDL取り込み遮断効果を低減させるABPの効果を示す細胞LDL取り込みアッセイにおける抗原結合タンパク質21B12 IgG2の阻害曲線である。 PCSK9のLDL取り込み遮断効果を低減させるABPの効果を示す細胞LDL取り込みアッセイにおける抗原結合タンパク質21B12 IgG4の阻害曲線である。 マウス中でのABP31H4の血清コレステロール低減能力を図示するグラフである(IgG対照処理マウスと比較した変化)(p<0.01)。 マウス中でのABP31H4の血清コレステロール低減能力を図示するグラフである(時間=ゼロ時と比較した変化)(#p<0.05)。 C57B1/6マウス中でのHDLコレステロールレベルに対するABP31H4の効果を図示するグラフである(p<0.01)。 C57B1/6マウス中でのHDLコレステロールレベルに対するABP31H4の効果を図示するグラフである(#p<0.05)。 様々な時点後に存在する肝臓LDLRタンパク質の量を増大させるABP31H4の能力のウェスタンブロット分析を図示している。 野生型マウス中で、総血清コレステロールを低減させる抗原結合タンパク質31H4の能力を図示するグラフである。 野生型マウス中で、HDLを低減させる抗原結合タンパク質31H4の能力を図示するグラフである。 様々な抗原結合タンパク質31H4及び16F12の血清コレステロール低減能力を図示するグラフである。 抗原結合タンパク質が血清コレステロールを低減させる期間及び能力を調べるための注射プロトコルを図示している。 図11Aのプロトコルの結果を図示するグラフである。 スタチンとABP21B12の組み合わせに応答した、HepG2細胞中のLDLRレベルを図示する。 スタチンとABP31H4の組み合わせに応答した、HepG2細胞中のLDLRレベルを図示する。 スタチンと(中和抗体である「25A7」とは異なり)非中和抗体であるABP25A7.1の組み合わせに応答した、HepG2細胞中のLDLRレベルを図示する。 スタチンとABP21B12の組み合わせに応答した、PCSK9を過剰発現するHepG2細胞中のLDLRレベルを図示する。 スタチンとABP31H4の組み合わせに応答した、PCSK9を過剰発現するHepG2細胞中のLDLRレベルを図示する。 スタチンと(中和抗体である「25A7」とは異なり)非中和抗体であるABP25A7.1の組み合わせに応答した、PCSK9を過剰発現するHepG2細胞中のLDLRレベルを図示する。 PCSK9に対する様々なABPの様々な軽鎖アミノ酸配列を図示する。点(.)は、アミノ酸が存在しないことを示す。 PCSK9に対する様々なABPに対する軽鎖分岐図を図示する。 PCSK9に対する様々なABPの様々な重鎖アミノ酸配列を図示する。点(.)は、アミノ酸が存在しないことを示す。 PCSK9に対する様々なABPに対する重鎖樹形図を図示する。 軽鎖と重鎖CDRの比較及びコンセンサスを与えるグループの表記を示す。 グループ1及び2に対するコンセンサス配列を図示する。 グループ3及び4に対するコンセンサス配列を図示する。 グループ1及び2に対するコンセンサス配列を図示する。点(.)は、同一の残基を示した。 グループ2に対するコンセンサス配列を図示する。点(.)は、同一の残基を示した。 グループ3及び4に対するコンセンサス配列を図示する。点(.)は、同一の残基を示した。 縦軸にOD450を取り、横軸にPCSK9(ug/ml)の濃度を取った、PCSKP、PCSK2、PCSK1、PCSK7、及びフリンによる競合アッセイにおける11F1の結合特異性を示すグラフである。 競合アッセイにおける、11F1によるLDLR:D374Y PCSK9結合の阻害に対する用量反応曲線を示すグラフであり、縦軸にOD450を取り、横軸にLog[11F1](pM)を取っている。 競合アッセイにおける、11F1によるLDLR:WT PCSK9結合の阻害に対する用量反応曲線を示すグラフであり、縦軸にOD450を取り、横軸にLog[11f1](pM)を取っている。 HepG2細胞中のLDL取り込みのヒトD374Y PCSK9−媒介低下を遮断する11F1の能力に対する用量反応曲線を示すグラフであり、縦軸に相対蛍光単位(×10)を取り、横軸にLog[11F1](nM)を取っている。 HepG2細胞中のLDL取り込みのヒトWT PCSK9−媒介低下を遮断する11F1の能力に対する用量反応曲線を示すグラフであり、縦軸に相対蛍光単位(×10)を取り、横軸にLog[11F1](nM)を取っている。 AAVによってヒトPCSK9を発現するマウス中の血清非HDLコレステロールに対する11F1及び8A3の効果を示す棒グラフであり、縦軸に非HDL−C血清濃度(mg/ml)を取り、横軸に注射後の時間(日目)を取っている。 AAVによってヒトPCSK9を発現するマウス中の血清総コレステロールに対する11F1及び8A3の効果を示す棒グラフであり、縦軸に血清総コレステロール(mg/ml)を取り、横軸に注射後の時間(日目)を取っている。 AAVによってヒトPCSK9を発現するマウス中の血清HDLコレステロール(HDL−C)に対する11F1及び8A3の効果を示す棒グラフであり、縦軸にHDL−C(mg/ml)を取り、横軸に注射後の時間(日目)を取っている。 AAVによってヒトPCSK9を発現するマウス中のIgG2、8A3、及び11F1の抗体濃度プロファイルを示すグラフであり、縦軸に血清抗体濃度(ng/mL)を取り、横軸に注射後の時間(日目)を取っている。 AAVによってヒトPCSK9を発現するマウス中のIgG2、11F1、及び8A3に対するPKパラメータをまとめた表である。 カニクイザル中の血清LDL濃度(LDL−C)に対する抗KLH抗体(対照)、21B12、8A3、及び11F1の単回皮下投与の効果を図示するグラフであり、縦軸にLDL−C(mg/dl)を取り、横軸に投与後の時間(日目)を取っている。 カニクイザル中の血清総コレステロールに対する抗KLH抗体(対照)、21B12、8A3、及び11F1の単回皮下投与の効果を図示するグラフであり、縦軸に総コレステロール濃度(mg/dl)を取り、横軸に投与後の時間(日目)を取っている。 カニクイザル中の血清HDLコレステロールに対する抗KLH抗体(対照)、21B12、8A3、及び11F1の単回皮下投与の効果を図示するグラフであり、縦軸にHDL−C(mg/dl)を取り、横軸に投与後の時間(日目)を取っている。 カニクイザル中の血清トリグリセリドに対する抗KLH抗体(対照)、21B12、8A3、及び11F1の単回皮下投与の効果を図示するグラフであり、縦軸に血清トリグリセリド濃度(mg/dl)を取り、横軸に投与後の時間(日目)を取っている。 カニクイザル中のアポリポタンパク質B(ApoB)に対する抗KLH抗体(対照)、21B12、8A3、及び11F1の単回皮下投与の効果を図示するグラフであり、縦軸にAPOB濃度(mg/dl)を取り、横軸に投与後の時間(日目)を取っている。 カニクイザル中の抗KLH抗体(対照)、21B12、8A3、及び11F1に対する平均薬物動態プロファイルを図示するグラフであり、縦軸に抗体濃度(ng/ml)を取り、横軸に投与後の時間(日目)を取っている。 カニクイザル中の抗KLH抗体(対照)、21B12、8A3、及び11F1に対するPKパラメータをまとめた表である。 8A1、8A3、及び11F1の軽鎖アミノ酸配列の比較、並びに該比較から得られたコンセンサス配列を図示する。CDR配列に下線が付されている。 8A1、8A3、及び11F1の重鎖アミノ酸配列の比較、並びに該比較から得られたコンセンサス配列を図示する。CDR配列に下線が付されている。
本明細書で提供されるのは、ホモ接合性家族性高コレステロール血症と診断された患者の治療方法も含み、前記方法は、プロタンパク質コンベルターゼスブチリシン/ケクシン9型(PCSK9)に対する少なくとも1つの抗原結合タンパク質(例えば、抗体)を患者に投与することを含む。さらに、プロタンパク質コンベルターゼスブチリシン/ケクシン9型(PCSK9)に対する抗原結合タンパク質(例えば、抗体)を用いた、ホモ接合性家族性高コレステロール血症と診断された患者の血清LDLコレステロールの低減方法も、本明細書中に提供される。
便宜のため、以下の節は、本明細書において使用される用語の様々な意味を全般的に概観する。この論述の後に、抗原結合タンパク質に関する一般的な態様が論述されており、その後に、抗原結合タンパク質の様々な実施形態の特性及びそれらをどのように使用することができるかを示す具体例が続く。
定義及び実施形態
前記一般的な記述及び以下の詳細な説明はいずれも例示的及び説明的なものに過ぎず、特許請求の範囲に記載されている本発明を限定するものではないことを理解しなければならない。本出願において、単数形の使用は、特に別段の記載がなければ、複数形を含む。本出願において、「または」の使用は、別段の記載がなければ、「及び/または」を意味する。さらに、「含んでいる」という用語並びに「含む」及び「含まれた」などのその他の語形の使用は、限定的なものではない。また、「要素」または「成分」などの用語は、特に別段の記載がなければ、一つの単位を含む要素及び成分並びに2つ以上のサブユニットを含む要素及び成分の両方を包含する。また、「部分」という用語の使用は、構成部分の一部または構成部分の全体を含み得る。
本明細書に記載されている見出しは、構成を目的とするものに過ぎず、記載されている主題を限定するものと解釈すべきではない。特許、特許出願、論説、書物及び論文などの(但し、これらに限定されない)、本出願に引用されている全ての文献または文献の一部は、あらゆる目的のために、その全体が、参照により、本明細書に明示的に組み込まれる。本開示において使用される場合、以下の用語は、別段の記載がなければ、以下の意味を有するものと理解されるものとする。
「プロタンパク質コンベルターゼスブチリシンケクシン9型」または「PCSK9」という用語は、配列番号1及び/または3に記載されているポリペプチドまたはその断片、並びに対立遺伝子バリアント、スプライスバリアント、誘導体バリアント、置換バリアント、欠失バリアント、及び/または挿入バリアント(N末端メチオニンの付加を含む)、融合ポリペプチド、及び種間相同体を含む(但し、これらに限定されない)関連ポリペプチドのことを言う。ある特定の実施形態において、PCSK9ポリペプチドは、リーダー配列残基、標的化残基、アミノ末端メチオニン残基、リジン残基、タグ残基、及び/または融合タンパク質残基などの(但し、これらに限定されない)末端残基を含む。「PCSK9」は、FH3、NARC1、HCHOLA3、プロタンパク質コンベルターゼスブチリシン/ケクシン9型、及び神経アポトーシス制御コンベルターゼ1とも称されている。PCSK9遺伝子は、分泌性スブチラーゼファミリーのプロテイナーゼKサブファミリーに属するプロタンパク質コンベルターゼタンパク質をコードする。「PCSK9」という用語は、プロタンパク質及びプロタンパク質の自己触媒後に生成される産物の両方を表す。(例えば、切断されたPCSK9に選択的に結合する抗原結合タンパク質に対して)自己触媒された産物のみが言及されている場合には、このタンパク質は、「成熟」、「切断された」、「プロセッシングされた」または「活性な」PCSK9と称され得る。非活性形態のみが言及されている場合には、このタンパク質は、PCSK9の「非活性」、「プロ型」または「プロセッシングを受けていない」形態と称され得る。本明細書において使用されるPCSK9という用語は、変異D374Y、S127R、及びF216Lなどの天然に存在する対立遺伝子も含む。PCSK9という用語は、グリコシル化、PEG化されたPCSK9配列、そのシグナル配列が切断されたPCSK9配列、触媒ドメインからそのプロドメインから切断されているが、触媒ドメインから分離されていないPCSK9配列(例えば、図1A及び1B)など、PCSK9アミノ酸配列の翻訳後修飾を取り込んだPCSK9分子も包含する。
「PCSK9活性」という用語は、PCSK9のあらゆる生物学的効果を含む。ある特定の実施形態において、PCSK9活性は、基質若しくは受容体と相互作用し、または基質若しくは受容体に結合するPCSK9の能力を含む。いくつかの実施形態において、PCSK9活性は、LDL受容体(LDLR)に結合するPCSK9の能力によって表される。いくつかの実施形態において、PCSK9は、LDLRを伴う反応に結合し、触媒する。いくつかの実施形態において、PCSK9活性は、LDLRの利用可能性を変化させる(例えば、低減させる)PCSK9の能力を含む。いくつかの実施形態において、PCSK9活性は、対象中のLDLの量を増加させるPCSK9の能力を含む。いくつかの実施形態において、PCSK9活性は、LDLへの結合に利用可能なLDLRの量を減少させるPCSK9の能力を含む。いくつかの実施形態において、「PCSK9活性」は、PCSK9シグナル伝達から生じるあらゆる生物活性を含む。典型的な活性には、LDLRへのPCSK9の結合、LDLRまたは他のタンパク質を切断するPCSK9酵素活性、PCSK9作用を促進するLDLR以外のタンパク質へのPCSK9の結合、APOB分泌を変化させるPCSK9(Sun X−M et al,“Evidence for effect of mutant PCSK9 on apoliprotein B secretion as the cause of unusually severe dominant hypercholesterolemia,Human Molecular Genetics 14:1161−1169,2005 and Ouguerram K et al,“Apolipoprotein B100 metabolism in autosomal−dominant hypercholesterolemia related to mutationsin PCSK9,Arterioscler thromb Vase Biol.24:1448−1453,2004)、肝臓の再生及び神経細胞の分化におけるPCSK9の役割(Seidah NG et al,“The secretory proprotein convertase neural apoptosis−regulated convertase 1(NARC−I):Liver regeneration and neuronal differentiation”PNAS 100:928−933,2003)、及び肝臓のグルコース代謝におけるPCSK9の役割(Costet et al.,“Hepatic PCSK9 expression is regulated by nutritional status via insulin and sterol regulatory element−binding protein 1c”J.Biol.Chem.281(10):6211−18,2006)が含まれるが、これらに限定されない。
本明細書において使用される「高コレステロール血症」という用語は、コレステロールレベルが所望のレベルを上回って上昇している症状のことを言う。いくつかの実施形態において、これは、血清コレステロールレベルが上昇していることを表す。いくつかの実施形態において、所望のレベルは、当業者に公知である(及び、本明細書に記載され、または引用されている)様々な「リスク因子」を考慮に入れる。
本明細書において使用される「ホモ接合性家族性高コレステロール血症」または「HoFH」という用語は、遺伝子確認または臨床診断(例えば、13mmol/Lを超える非処置LDLコレステロール濃度並びに10歳前の黄色腫または両親のホモ接合性家族性高コレステロール血症の証拠の何れかの履歴)によって決定されるコレステロール関連疾患のことを言う。
「ポリヌクレオチド」または「核酸」という用語は、一本鎖及び二本鎖ヌクレオチドポリマーの両方を含む。ポリヌクレオチドを含むヌクレオチドは、リボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチド、またはヌクレオチドの何れかの種類の修飾された形態であり得る。前記修飾には、ブロモウリジン及びイノシン誘導体などの塩基修飾、2’,3’−ジデオキシリボースなどのリボース修飾、並びにホスホロチオアート、ホスホロジチオアート、ホスホロセレノアート、ホスホロジセレノアート、ホスホロアニロチオアート、ホスホルアニラダート、及びホスホロアミダートなどのヌクレオチド間結合修飾が含まれる。
「オリゴヌクレオチド」という用語は、200またはそれ以下のヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを意味する。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、10から60塩基の長さである。他の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、12、13、14、15、16、17、18、19または20から40ヌクレオチド長である。オリゴヌクレオチドは、例えば、変異体遺伝子の構築において使用するために、一本鎖または二本鎖であり得る。オリゴヌクレオチドは、センスまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドであり得る。オリゴヌクレオチドは、検出アッセイのための、放射線標識、蛍光標識、ハプテン、または抗原性標識などの標識を含むことができる。オリゴヌクレオチドは、例えば、PCRプライマー、クローニングプライマーまたはハイブリッド形成プローブとして使用することができる。
「単離された核酸分子」は、単離されたポリヌクレオチドがその中に自然で見出されるポリヌクレオチドの全部若しくは一部を伴っていない、または自然で連結されていないポリヌクレオチドに連結されているゲノムのDNAまたはRNA、mRNA、cDNAまたは合成起源またはこれらのいくつかの組み合わせを意味する。本開示の目的のためには、特定のヌクレオチド配列「を含む核酸分子」は完全な状態の染色体を包含しないことを理解すべきである。指定された核酸配列を「含む」単離された核酸分子は、指定された配列に加えて、最大10個の若しくは最大20個の他のタンパク質若しくはその一部に対するコード配列を含むことができ、または言及されている核酸配列のコード領域の発現を制御する作用可能に連結された調節配列を含むことができ、及び/またはベクター配列を含むことができる。
別段の記載がなければ、本明細書中に論述されているあらゆる一本鎖ポリヌクレオチド配列の左側末端は5’末端であり、二本鎖ポリヌクレオチド配列の左手の方向が5’方向と称される。新生RNA転写物の5’から3’への付加の方向は、転写方向と称される。RNA転写物の5’末端に対して5’である、RNA転写物と同じ配列を有するDNA鎖上の配列領域は、「上流配列」と称される。RNA転写物の3’末端に対して3’である、RNA転写物と同じ配列を有するDNA鎖上の配列領域は、「下流配列」と称される。
「制御配列」という用語は、制御配列が連結されているコード配列の発現及びプロセッシングに影響を及ぼすことができるポリヌクレオチド配列のことを言う。そのような制御配列の性質は、宿主生物に依存し得る。特定の実施形態において、原核生物に対する制御配列には、プロモーター、リボソーム結合部位、及び転写終結配列が含まれ得る。例えば、真核生物に対する制御配列には、転写因子に対する認識部位の1つまたは複数を含むプロモーター、転写強化配列、及び転写終結配列が含まれ得る。「制御配列」には、リーダー配列及び/または融合対配列が含まれ得る。
「ベクター」という用語は、宿主細胞中にタンパク質コード情報を伝達するために使用されるあらゆる分子または実体(例えば、核酸、プラスミド、バクテリオファージ、またはウイルス)を意味する。
「発現ベクター」または「発現構築物」という用語は、宿主細胞の形質転換に適しており、並びに核酸配列に作用可能に連結された1つまたはそれ以上の異種のコード領域の発現を(宿主細胞と一緒に)誘導し、及び/または制御する核酸配列を含有するベクターのことを言う。発現構築物には、転写、翻訳に影響を及ぼしまたは制御し、イントロンが存在する場合には、作用可能に連結されているコード領域のRNAスプライシングに影響を及ぼす配列が含まれ得るが、これらに限定されない。
本明細書において使用される「作用可能に連結された」とは、この用語が適用される成分が、適切な条件下でその固有の機能を発揮できる関係にあることを意味する。例えば、タンパク質のコード配列に「作用可能に連結された」ベクター中の制御配列は、制御配列の転写活性と適合する条件下で、タンパク質コード配列の発現が達成されるように、タンパク質コード配列に連結されている。
「宿主細胞」という用語は、核酸配列で形質転換されており、または核酸配列で形質転換されることができ、これにより、目的の遺伝子を発現する細胞を意味する。この用語は、目的の遺伝子が存在する限り、子孫が元の親細胞と形態的に同一であるかどうか、または元の親細胞と遺伝的組成が同一であるかどうかを問わず、親細胞の子孫を含む。
「形質移入」という用語は、細胞による外来または外因性DNAの取り込みを意味し、外因性DNAが細胞膜内に導入された場合に、細胞は「形質移入されている」。多数の形質移入技術が当該技術分野において周知であり、本明細書中に開示されている。例えば、「Graham et al.,1973,Virology 52:456;Sambrook et al.,2001,Molecular Cloning:A Laboratory Manual、上記;Davis et al.,1986,Basic Methodsin Molecular Biology,Elsevier;Chu et al,1981,Gene 13:197」を参照されたい。そのような技術を、適切な宿主細胞中に1つまたはそれ以上の外来DNA部分を導入するために使用することができる。
「形質転換」という用語は、細胞の遺伝的特性の変化のことを言い、新しいDNAまたはRNAを含有するように修飾された場合に、細胞は形質転換されている。例えば、形質移入、形質導入、または他の技術を介して新しい遺伝物質を導入することによって、その固有状態から遺伝的に修飾されている場合に、細胞は形質転換されている。形質移入または形質導入後に、細胞の染色体中に物理的に統合することによって、形質転換されているDNAは細胞のDNAと組み換えることができ、または複製されずに、エピソーム要素として一過性に維持されることができ、またはプラスミドとして独立に複製することができる。形質転換されているDNAが細胞分裂とともに複製されるときに、細胞は、「安定に形質転換された」と考えられる。
「ポリペプチド」または「タンパク質」という用語は、天然のタンパク質、即ち、天然に存在する非組み換え細胞によって産生されたタンパク質のアミノ酸配列を有する高分子を意味し、または「ポリペプチド」または「タンパク質」は、遺伝子操作された細胞若しくは組み換え細胞によって産生され、天然のタンパク質のアミノ酸配列を有する分子または天然配列の1つ若しくはそれ以上のアミノ酸からの欠失、付加、及び/または置換を有する分子を含む。この用語は、1つまたはそれ以上のアミノ酸が天然に存在する対応するアミノ酸及びポリマーの化学的類縁体であるアミノ酸ポリマーも含む。具体的には、「ポリペプチド」及び「タンパク質」という用語は、抗原結合タンパク質の1つまたはそれ以上のアミノ酸からの欠失、付加、及び/または置換を有するPCSK9抗原結合タンパク質、抗体、または配列を包含する。「ポリペプチド断片」という用語は、完全長の天然のタンパク質と比べて、アミノ末端の欠失、カルボキシル末端の欠失、及び/または内部欠失を有するポリペプチドのことを言う。そのような断片は、天然のタンパク質と比べて、修飾されたアミノ酸も含有する。ある特定の実施形態において、断片は約5〜500アミノ酸長である。例えば、断片は、少なくとも5、6、8、10、14、20、50、70、100、110、150、200、250、300、350、400、または450アミノ酸長であり得る。有用なポリペプチド断片には、抗体の免疫学的に機能的な断片(結合ドメインを含む)が含まれる。PCSK9結合抗体の場合、有用な断片には、CDR領域、重鎖及び/または軽鎖の可変ドメイン、抗体鎖の一部、または2つのCDRを含むその可変領域のみなどが含まれるが、これらに限定されない。
言及されている「単離されたタンパク質」という用語は、対象タンパク質が(1)通常一緒に見出される少なくともいくつかの他のタンパク質を含まない、(2)同じ源からの(例えば、同じ種からの)他のタンパク質を実質的に含まない、(3)異なる種からの細胞によって発現されている、(4)自然の状態で一緒に存在するポリヌクレオチド、脂質、炭水化物、または他の物質の少なくとも約50%から分離されている、(5)自然の状態で一緒に存在しないポリペプチドと、(共有または非共有的相互作用によって)作用可能に結合されている、または(6)自然の状態で存在しないことを意味する。典型的には、「単離されたタンパク質」は、ある試料の少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約25%、または少なくとも約50%を占める。ゲノムDNA、cDNA、mRNA、若しくは合成起源の他のRNA、またはこれらのあらゆる組み合わせは、そのような単離されたタンパク質をコードし得る。好ましくは、単離されたタンパク質は、その治療的、診断的、予防的な研究またはその他の使用を妨害する、その天然環境中に見出されるタンパク質またはポリペプチドまたは他の夾雑物を実質的に含まない。
「アミノ酸」という用語は、当該技術分野においてその通常の意味を含む。
ポリペプチド(例えば、抗原結合タンパク質または抗体)の「バリアント」は、別のポリペプチド配列と比べて、アミノ酸配列中に1つまたはそれ以上のアミノ酸残基が挿入され、欠失され、及び/または置換されているアミノ酸配列を含む。バリアントは、融合タンパク質を含む。
「同一性」という用語は、配列を並置及び比較することによって決定された、2つまたはそれ以上のポリペプチド分子または2つまたはそれ以上の核酸分子の配列間の関係のことを言う。「%同一性」とは、比較されている分子中のアミノ酸またはヌクレオチド間の同じ残基のパーセントを意味し、比較されている分子のうち最も小さなサイズに基づいて計算される。これらの計算のために、特定の数学的モデルまたはコンピュータプログラム(即ち、「アルゴリズム」)によって、好ましくは、(ギャップが存在する場合)並置中のギャップが割り当てられる。並置された核酸またはポリペプチドの同一性を計算するために使用することができる方法には、「Computational Molecular Biology,(Lesk,A.M.,ed.),1988,New York:Oxford University Press;Biocomputing Informatics and Genome Projects,(Smith,D.W.,ed.),1993,New York:Academic Press;Computer Analysis of Sequence Data,Part I,(Griffin,A.M.,and Griffin,H.G.,eds.),1994,New Jersey:Humana Press;von Heinje,G.,1987,Sequence Analysis in Molecular Biology,New York:Academic Press(1987);Sequence Analysis Primer,(Gribskov,M.and Devereux,J.,eds.),1991,New York:M.Stockton Press;及びCarillo et al.,1988,SIAMJ.Applied Math.,48:1073」に記載されているものが含まれる。
%同一性を計算する際には、比較されている配列は、配列間で最大の合致を与えるように典型的には並置される。%同一性を測定するために使用することができるコンピュータプログラムの一例は、GAPを含むGCGプログラムパッケージである(Devereux et al.,1984,Nucl.AcidRes.12:387;Genetics Computer Group,University of Wisconsin,Madison,WI)。コンピュータアルゴリズムGAPは、%配列同一性を測定すべき2つのポリペプチドまたはポリヌクレオチドを並置するために使用される。配列は、それぞれのアミノ酸またはヌクレオチドの最適な合致が得られるように並置される(アルゴリズムによって決定される「合致したスパン」)。ギャップオープニングペナルティ(3×平均対角として計算される。「平均対角」は、使用されている比較行列の対角の平均である。「対角」は、この比較行列による各完全なアミノ酸の合致に対して割り当てられるスコアまたは数である)及びギャップ伸長ペナルティ(通常、ギャップオープニングペナルティの1/10である)並びにPAM250またはBLOSum62などの比較行列が、アルゴリズムとともに使用される。ある特定の実施形態において、標準的な比較行列も、アルゴリズムによって使用される(PAM250比較行列に関して、Dayhoff et al.,1978,Atlas of Protein Sequence and Structure,5:345−352;BLOSum62比較行列に関して、Henikoff et al.,1992,Proc.Natl.Acad.Sci USA,89:10915−10919を参照されたい)。
GAPプログラムを用いてポリペプチドまたはヌクレオチド配列に対する%同一性を測定する際に使用することができるパラメータの例は、以下の通りである:
・アルゴリズム:Needleman et al.,1970,J.Mol.Biol.,48:443−453
・比較行列:Henikoff et al.,1992,上記から得られるBLOSum62
・ギャップペナルティ:12(末端ギャップに対するペナルティはなし)
・ギャップ長ペナルティ:4
・類似性の閾値:0
2つのアミノ酸配列を並置するためのある特定の並置スキームは、2つの配列の短い領域の合致のみをもたらす場合があり得、2つの完全長配列の間には有意な関係が存在しなくても、この小さな並置された領域は極めて高い配列同一性を有し得る。従って、標的ポリペプチドの連続するアミノ酸の少なくとも50または他の数値を包含する並置をもたらすことが所望されるのであれば、選択された並置法(GAPプログラム)を調整することができる。
本明細書において使用される、20の従来(例えば、天然に存在する)アミノ酸及びそれらの略号は、慣用的な用法に従う。「Immunology−A Synthesis(2nd Edition,E.S.Golub and D.R.Gren,Eds.,Sinauer Associates,Sunderland,Mass.(1991))」(あらゆる目的のために、参照により、本明細書に組み込まれる)を参照されたい。20の従来アミノ酸の立体異性体(例えば、D−アミノ酸)、α−、α−二置換されたアミノ酸、N−アルキルアミノ酸、乳酸、及び他の非慣用アミノ酸などの非天然アミノ酸も、本発明のポリペプチドに対する適切な成分であり得る。非従来アミノ酸の例には、4−ヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタミン酸、ε−N,N,N−トリメチルリジン、ε−N−アセチルリジン、O−ホスホセリン、N−アセチルセリン、N−ホルミルメチオニン、3−メチルヒスチジン、5−ヒドロキシリジン、σ−N−メチルアルギニン、並びに他の類似のアミノ酸及びイミノ酸(例えば、4−ヒドロキシプロリン)が含まれる。本明細書において使用されるポリペプチドの表記法では、標準的な用法と慣習に従って、左手方向がアミノ末端方向であり、右手方向がカルボキシ末端方向である。
同様に、別段の記載がなければ、一本鎖ポリヌクレオチド配列の左側末端が5’末端であり、二本鎖ポリヌクレオチド配列の左手方向が5’方向と称される。新生RNA転写物の5’から3’への方向の付加は、転写方向と称される。RNAと同じ配列を有し、及びRNA転写物の5’末端に対して5’であるDNA鎖上の配列領域は、「上流配列」と称される。RNAと同じ配列を有し、及びRNA転写物の3’末端に対して3’であるDNA鎖上の配列領域は、「下流配列」と称される。
保存的なアミノ酸置換は、生物系内での合成ではなく、典型的には、化学的なペプチド合成によって取り込まれる天然に存在しないアミノ酸残基を包含することができる。これらには、ペプチド模倣物及びアミノ酸部分の他の逆転または反転された形態が含まれる。
天然に存在する残基は、共通の側鎖特性に基づいて、クラスに分類され得る:
1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
3)酸性:Asp、Glu;
4)塩基性:His、Lys、Arg;
5)鎖の方向性に影響を与える残基:Gly、Pro;及び
6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
例えば、非保存的置換は、これらのクラスの1つの一員を別のクラスの一員で交換することを含み得る。そのような置換された残基は、例えば、非ヒト抗体と相同であるヒト抗体の領域中に、または分子の非相同領域中に導入することができる。
抗原結合タンパク質またはPCSK9タンパク質に対して変化を施す上で、ある特定の実施形態によれば、アミノ酸の疎水性親水性指標を考慮し得る。各アミノ酸は、その疎水性及び電荷的特徴に基づいて疎水性親水性指標を割り当てられている。疎水性親水性指標は、イソロイシン(+4.5)、バリン(+4.2)、ロイシン(+3.8)、フェニルアラニン(+2.8)、システイン/シスチン(+2.5)、メチオニン(+1.9)、アラニン(+1.8)、グリシン(−0.4)、トレオニン(−0.7)、セリン(−0.8)、トリプトファン(−0.9)、チロシン(−1.3)、プロリン(−1.6)、ヒスチジン(−3.2)、グルタミン酸(−3.5)、グルタミン(−3.5)、アスパラギン酸(−3.5)、アスパラギン(−3.5)、リジン(−3.9)、及びアルギニン(−4.5)である。
タンパク質に対する相互作用性生物機能を付与する上での疎水性親水性アミノ酸指標の重要性は、当該技術分野において理解されている。Kyte et al,J.Mol.Biol.,157:105−131(1982)。ある特定のアミノ酸は、類似の疎水性親水性指標またはスコアを有する他のアミノ酸で置換することができ、それでもなお類似の生物活性を保持することが知られている。疎水性親水性指標に基づいて変化させる際には、ある特定の実施形態において、疎水性親水性指標が±2以内であるアミノ酸の置換を含む。ある特定の実施形態において、±1以内であるアミノ酸の置換を含み、ある特定の実施形態においては±0.5以内であるアミノ酸の置換を含む。
類似アミノ酸の置換は、本事例のように、それによって産生される生物学的に機能的なタンパク質またはペプチドを免疫学的実施形態に用いようとする場合には特に、親水性に基づいて効果的に実施することができることも当該技術分野では理解されている。ある特定の実施形態において、隣接アミノ酸の親水性によって支配される、タンパク質の局所的な最大平均親水性は、その免疫原性及び抗原性、即ち、タンパク質の生物学的特性と相関がある。
以下の親水性値がこれらのアミノ酸残基に割り当てられている:アルギニン(+3.0)、リジン(+3.0)、アスパラギン酸(+3.0±1)、グルタミン酸(+3.0±1)、セリン(+0.3)、アスパラギン(+0.2)、グルタミン(+0.2)、グリシン(0)、トレオニン(−0.4)、プロリン(−0.5±1)、アラニン(−0.5)、ヒスチジン(−0.5)、システイン(−1.0)、メチオニン(−1.3)、バリン(−1.5)、ロイシン(−1.8)、イソロイシン(−1.8)、チロシン(−2.3)、フェニルアラニン(−2.5)、及びトリプトファン(−3.4)。類似の親水性値に基づいて変化させる際には、ある特定の実施形態において、その親水性値が±2以内であるアミノ酸の置換が含まれ、ある特定の実施形態において、±1以内であるアミノ酸の置換が含まれ、ある特定の実施形態において、±0.5以内であるアミノ酸の置換が含まれる。親水性に基づいて、一次アミノ酸配列からエピトープを特定することもできる。これらの領域は、「エピトープコア領域」とも称される。
アミノ酸置換の例が、表1に示されている。
Figure 2018076351
「誘導体」という用語は、アミノ酸(または核酸)の挿入、欠失、または置換以外の化学的修飾を含む分子のことを言う。ある特定の実施形態において、誘導体は、ポリマー、脂質、または他の有機若しくは無機部分との化学的結合などの(但し、これらに限定されない)共有修飾を含む。ある特定の実施形態において、化学的に修飾された抗原結合タンパク質は、化学的に修飾されていない抗原結合タンパク質より長い循環半減期を有することができる。ある特定の実施形態において、化学的に修飾された抗原結合タンパク質は、所望の細胞、組織、及び/または臓器に対する改善された標的誘導能力を有し得る。いくつかの実施形態において、誘導体抗原結合タンパク質は、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、またはポリプロピレングリコールなど(但し、これらに限定されない)、1つまたはそれ以上の水溶性ポリマー付着を含むように共有的に修飾される。例えば、米国特許第4,640,835号、同第4,496,689号、同第4,301,144号、同第4,670,417号、同第4,791,192号、及び同第4,179,337号を参照されたい。ある特定の実施形態において、誘導体抗原結合タンパク質は、モノメトキシ−ポリエチレングリコール、デキストラン、セルロース、または他の炭水化物をベースとするポリマー、ポリ−(N−ビニルピロリドン)−ポリエチレングリコール、プロピレングリコールホモポリマー、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシド共重合体、ポリオキシエチル化されたポリオール(例えば、グリセロール)、及びポリビニルアルコール、並びにそのようなポリマーの混合物などの(但し、これらに限定されない)1つまたはそれ以上のポリマーを含む。
ある特定の実施形態において、誘導体は、ポリエチレングリコール(PEG)サブユニットで共有的に修飾されている。ある特定の実施形態において、1つまたはそれ以上の水溶性ポリマーは、1つまたはそれ以上の特定の位置で、例えば、誘導体のアミノ末端で結合されている。ある特定の実施形態において、1つまたはそれ以上の水溶性ポリマーは、誘導体の1つまたはそれ以上の側鎖に無作為に付着されている。ある特定の実施形態において、抗原結合タンパク質に対して治療能力を向上させるためにPEGが使用される。ある特定の実施形態において、ヒト化抗体に対して治療能力を向上させるためにPEGが使用される。ある特定のそのような方法が、例えば、米国特許第6,133,426号(参照により、あらゆる目的のために組み込まれる)に論述されている。
ペプチド類縁体は、テンプレートペプチドの特性と類似の特性を有する非ペプチド薬として、医薬産業において一般的に使用されている。非ペプチド化合物のこれらの種類は、「ペプチド模倣物(“peptide mimetics”または“peptidomimtics”)」と称されている。「Fauchere,J.Adv.Drug Res.15:29(1986);Veber and Freidinger TINS p.392(1985);及びEvanset al.J.Med.Chem.,30:1229(1987)」(あらゆる目的のために、参照により、本明細書に組み込まれる)。そのような化合物は、しばしば、コンピュータ化された分子モデリングの助けを借りて開発される。治療的に有用なペプチドと構造的に類似するペプチド模倣物は、類似の治療効果または予防効果を生じさせるために使用し得る。一般に、ペプチド模倣物は、ヒト抗体などの模範ポリペプチド(即ち、生化学的特性または薬理学的活性を有するポリペプチド)と構造的に類似するが、当該技術分野において周知の方法によって、−CHNH−、−CHS−、−CH−CH−、−CH=CH−(シス及びトランス)、−COCH−、−CH(OH)CH−、及び−CHSO−から選択される結合によって必要に応じて置換された1つまたはそれ以上のペプチド結合を有する。コンセンサス配列の1つまたはそれ以上のアミノ酸を同種のDアミノ酸で体系的に置換すること(例えば、L−リジンに代えてD−リジン)は、ある特定の実施形態において、より安定なペプチドを作製するために使用し得る。さらに、コンセンサス配列または実質的に同一なコンセンサス配列変異を含む拘束されたペプチドは、当該技術分野で公知の方法によって、例えば、ペプチドを環状化する分子内ジスルフィド架橋を形成することができる内部システイン残基を付加することによって、作製され得る(Rizo and Gierasch Ann.Rev.Biochem.61:387(1992)、参照により、あらゆる目的のために、本明細書に組み込まれる)。
ポリペプチド、核酸、宿主細胞などの生物学的材料に関連して本明細書を通じて使用される「天然に存在する」という用語は、自然の状態で見出される物質または自然の状態で見出される物質の形態のことを言う。
本明細書において使用される「抗原結合タンパク質」(「ABP」)は、特定された標的抗原を結合するあらゆるタンパク質を意味する。本出願において、特定された標的抗原は、PCSK9タンパク質またはその断片である。「抗原結合タンパク質」には、抗体及びその結合部分(免疫学的に機能的な断片など)が含まれるが、これらに限定されない。ペプチボディは、抗原結合タンパク質の別の例である。本明細書において使用される抗体または免疫グロブリン鎖(重鎖または軽鎖)抗原結合タンパク質の「免疫学的に機能的な断片」(または単に「断片」)という用語は、完全長の鎖中に存在するアミノ酸の少なくともいくつかを欠如するが、抗原になお特異的に結合することができる抗体の部分(当該部分がどのようにして取得され、または合成されたかを問わない)を含む抗原結合タンパク質の種である。そのような断片は、標的抗原に結合し、あるエピトープへの結合に関して、完全な状態の抗体を含む他の抗原結合タンパク質と競合し得るという点で生物学的に活性を有する。いくつかの実施形態において、断片は、中和断片である。いくつかの実施形態において、断片は、LDLRとPCSK9の間の相互作用の可能性を遮断し、または低減させることができる。一態様において、そのような断片は、完全長の軽鎖または重鎖中に存在する少なくとも1つのCDRを保持し、いくつかの実施形態において、単一の重鎖及び/または軽鎖またはその一部を含む。これらの生物学的に活性な断片は、組み換えDNA技術によって作製することが可能であり、または完全な状態の抗体を含む抗原結合タンパク質の酵素的若しくは化学的切断によって作製することが可能である。免疫学的に機能的な免疫グロブリン断片には、Fab、ダイアボディ(同一鎖上の2つのドメイン間での対形成を可能にするには短すぎる短いペプチドリンカーを介して接続された、軽鎖可変ドメインと同一のポリペプチド上の重鎖可変ドメイン)、Fab’、F(ab’)、Fv、ドメイン抗体、及び一本鎖抗体が含まれるが、これらに限定されず、ヒト、マウス、ラット、ラクダ科の動物またはウサギなどの(但し、これらに限定されない)あらゆる哺乳動物源に由来し得る。本明細書中に開示されている抗原結合タンパク質の機能的部分、例えば、1つまたはそれ以上のCDRは、体内の特定の標的に誘導され、二機能性治療特性を有し、または延長された血清半減期を有する治療剤を作製するために、第二のタンパク質または小分子に共有結合され得ることも考えられる。当業者によって理解されるように、抗原結合タンパク質は、非タンパク質成分を含むことができる。本開示のいくつかの節において、ABPの例は、「数字/文字/数字」(例えば、25A7)の形式で本明細書中に記載されている。これらの場合、正確な名前は、特定の抗体(例えば、25A7対21B12)を示す。即ち、25A7という名前のABPは、(本明細書において、同じであることが明示的に教示されていない限り(例えば、25A7及び25A7.3))、必ずしも25A7.1という名前の抗体と同じであるとは限らない。特に明記しない限り、ABPの名前は、抗体を意味する遺伝子表記であると理解される。
本明細書に記載されているある特定の抗原結合タンパク質は、抗体であり、または抗体に由来する。ある特定の実施形態において、抗原結合タンパク質のポリペプチド構造は、モノクローナル抗体、二重特異的抗体、ミニボディ、ドメイン抗体、合成抗体(本明細書では、「抗体模倣物」と称される場合がある)、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、抗体融合物(本明細書において、「抗体連結物」と称される場合がある)及びそれぞれ、これらの断片を含む(但し、これらに限定されない)抗体を基礎とする。いくつかの実施形態において、ABPは、アビマー(強固に結合するペプチド)を含むかまたはアビマーからなる。これらの様々な抗原結合タンパク質は、本明細書中にさらに記載されている。さらに、抗体の例は、例えば、米国特許第8,030,457号、米国特許第8,168,762号に記載されている。抗体のさらなる例は、例えば、米国特許第8,188,233号、米国特許第8,188,234号、米国特許第8,080,243号、米国特許第8,062,640号、WO2008/06332、WO2009/055783、WO2011/053759、WO2012/054438、WO2012/088313、WO2012/109530、及びWO2013/039958に記載されている。
「Fc」領域は、抗体のC1及びC2ドメインを含む2つの重鎖断片を含む。2つの重鎖断片は、2つまたはそれ以上のジスルフィド結合によって、及びC3ドメインの疎水的相互作用によって一緒に結合される。
「Fab断片」は、1つの軽鎖並びに1つの重鎖のC1及び可変領域を含む。Fab分子の重鎖は、別の重鎖分子とジスルフィド結合を形成することができない。
「Fab’断片」は、1つの軽鎖とVHドメイン及びC1ドメインを含有し、並びに2つのFab’断片の2つの重鎖間で鎖間ジスルフィド結合を形成して、F(ab’)分子を形成できるように、C1及びC2ドメインの間の領域も含有する1つの重鎖の一部を含む。
「F(ab’)断片」は、2つの軽鎖及び鎖間ジスルフィド結合が2つの重鎖間で形成されるように、C1とC2ドメインの間の定常領域の一部を含有する2つの重鎖を含有する。従って、F(ab’)断片は、2つの重鎖間のジスルフィド結合によって一緒に結合された2つのFab’断片から構成される。
「Fv領域」は、重鎖及び軽鎖の両方に由来する可変領域を含むが、定常領域を欠如する。
「一本鎖抗体」は、柔軟なリンカーによって重鎖及び軽鎖可変領域が接続されて、抗原結合領域を形成する単一のポリペプチド鎖を形成するFv分子である。一本鎖抗体は、国際特許出願公開WO88/01649並びに米国特許第4,946,778号及び同第5,260,203号(これらの開示は、参照により組み込まれる)に詳しく論述されている。
「ドメイン抗体」は、重鎖の可変領域または軽鎖の可変領域のみを含有する免疫学的に機能的な免疫グロブリン断片である。いくつかの例において、二価のドメイン抗体を作製するために、2つまたはそれ以上のV領域がペプチドリンカーを用いて共有結合される。二価のドメイン抗体の2つのV領域は、同一または別異の抗原を標的とし得る。
「二価の抗原結合タンパク質」または「二価の抗体」は、2つの抗原結合部位を含む。いくつかの例において、2つの結合部位は、同じ抗原特異性を有する。二価の抗原結合タンパク質及び二価の抗体は、二重特異的であり得る。下記を参照。「多重特異的」または「多重機能的」抗体以外の二価の抗体は、ある特定の実施形態において、典型的には、同一のその結合部位の各々を有するものと理解される。
「多重特異的抗原結合タンパク質」または「多重特異的抗体」は、2つ以上の抗原またはエピトープを標的とするものである。
「二重特異的」、「デュアル特異的」、または「二重機能的」抗原結合タンパク質または抗体は、それぞれ、2つの異なる抗原結合部位を有するハイブリッド抗原結合タンパク質または抗体である。二重特異的抗原結合タンパク質及び抗体は、多重特異的抗原結合タンパク質抗体の種であり、ハイブリドーマの融合またはFab’断片の連結を含む(但し、これらに限定されない)様々な方法によって作製することができる。例えば、「Songsivilai and Lachmann,1990,Clin.Exp.Immunol.79:315−321;Kostelny et al,1992,J.Immunol.148:1547−1553」を参照されたい。二重特異的抗原結合タンパク質または抗体の2つの結合部位は、同一または別異のタンパク質標的上に存在し得る2つの異なるエピトープに結合する。
抗原結合タンパク質は、解離定数(K)が10−7M以下である場合に、その標的抗原を「特異的に結合する」と称される。ABPは、Kが5×10−9M以下である場合に、「高親和性」で抗原に特異的に結合し、Kが5×10−10M以下である場合に、「極めて高親和性」で抗原に特異的に結合する。一実施形態において、ABPは、10−9M以下のKを有する。一実施形態において、オフ速度は、1×10−5未満である。他の実施形態において、ABPは、約10−9M〜10−13Mの間のKでヒトPCSK9に結合し、さらに別の実施形態において、ABPは、5×10−10以下のKで結合する。当業者によって理解されるように、いくつかの実施形態において、抗原結合断片のいずれもまたは全てが、PCSK9に特異的に結合し得る。
第二の標的への結合より、ある標的により強固に結合する場合に、抗原結合タンパク質は「選択的」である。
「抗原結合領域」は、特定の抗原(例えば、パラトープ)に特異的に結合するタンパク質またはタンパク質の一部を意味する。例えば、抗原と相互作用し、抗原に対するその特異性及び親和性を抗原結合タンパク質に対して付与するアミノ酸残基を含有する抗原結合タンパク質のその部分は、「抗原結合領域」と称される。抗原結合領域は、典型的には、1つまたはそれ以上の「相補性結合領域」(「CDR」)を含む。ある特定の抗原結合領域は、1つまたはそれ以上の「フレームワーク」領域も含む。「CDR」は、抗原結合特異性及び親和性に寄与するアミノ酸配列である。「フレームワーク」領域は、CDRの適切な立体構造の維持を補助して、抗原結合領域と抗原の間の結合を促進することができる。構造的には、フレームワーク領域は、抗体中においてCDR間に位置することができる。フレームワーク及びCDR領域の例は、図2A〜3D、3CCC〜3JJJに示されている。いくつかの実施形態において、抗体3B6の軽鎖に対するCDRの配列は以下の通りである:CDR1 TLSSGYSSYEVD(配列番号279)、CDR2 VDTGGIVGSKGE(配列番号280)、CDR3 GADHGSGTNFVVV(配列番号281)、FRは、以下の通りである。FR1 QPVLTQPLFASASLGASVTLTC(配列番号282)、FR2 WYQQRPGKGPRFVMR(配列番号283)、FR3 GIPDRFSVLGSGLNRYLTIKNIQEEDESDYHC(配列番号284)、及びFR4 FGGGTKLTVL(配列番号285)。
ある態様において、PCSK9、例えば、ヒトPCSK9に結合する組み換え抗原結合タンパク質が提供される。この文脈において、「組み換え抗原結合タンパク質」は、組み換え技術を用いて、即ち、本明細書中に記載されている組み換え核酸の発現を通じて作製されたタンパク質である。組み換えタンパク質を作製するための方法及び技術は、当該技術分野において周知である。
「抗体」という用語は、あらゆるアイソタイプの完全な免疫グロブリンまたは標的抗原への特異的結合に関して完全な状態の抗体と競合することができるその断片のことを言い、例えば、キメラ、ヒト化、完全ヒト、及び二重特異的抗体が含まれる。「抗体」は、抗原結合タンパク質の種である。完全な状態の抗体は、少なくとも2つの完全長重鎖及び2つの完全長軽鎖を一般に含むが、いくつかの事例では、重鎖のみを含み得る、ラクダ科の動物中に天然に存在する抗体などのように、より少ない鎖を含み得る。抗体は、単一の源からのみ得ることが可能であり、または「キメラ」であり得る、即ち、抗体の異なる部分が、以下でさらに記載されているように2つの異なる抗体に由来し得る。抗原結合タンパク質、抗体、または結合断片は、組み換えDNA技術によって、または完全な状態の抗体の酵素的若しくは化学的切断によって、ハイブリドーマ中で製造することができる。別段の記載がなければ、「抗体」という用語は、2つの完全長重鎖及び2つの完全長軽鎖を含む抗体に加えて、その誘導体、バリアント、断片、及び変異タンパク質を含み、その例は以下に記載されている。さらに、明示的に除外されていなければ、抗体には、モノクローナル抗体、二重特異的抗体、ミニボディ、ドメイン抗体、合成抗体(本明細書において、「抗体模倣物」と称される場合がある)、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、抗体融合物(本明細書において、「抗体連結物」と称される場合がある)及びそれぞれ、これらの断片が含まれる。いくつかの実施形態において、この用語は、ペプチボディも包含する。
天然に存在する抗体構造単位は、典型的には、四量体を含む。そのような四量体の各々は、ポリペプチド鎖の2つの同じ対から典型的には構成され、各対は、1つの完全長「軽」鎖(ある特定の実施形態において、約25kDa)及び1つの完全長「重」鎖(ある特定の実施形態において、約50〜70kDa)を有する。各鎖のアミノ末端部分は、典型的には、抗原認識に必要とされる約100〜110またはそれ以上のアミノ酸の可変領域を含む。各鎖のカルボキシ末端部分は、エフェクター機能に必要とされ得る定常領域を典型的には規定する。ヒト軽鎖は、κ及びλ軽鎖として典型的に分類される。重鎖は、μ、δ、γ、αまたはεとして典型的に分類され、抗体のアイソタイプをそれぞれIgM、IgD、IgG、IgA及びIgEとして規定する。IgGは、IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4などの(但し、これらに限定されない)いくつかのサブクラスを有する。IgMは、IgM1及びIgM2などの(但し、これらに限定されない)サブクラスを有する。IgAは、IgA1及びIgA2などの(但し、これらに限定されない)サブクラスへ同様に細分される。完全長の軽鎖及び重鎖内に、典型的には、可変及び定常領域は、約12またはそれ以上のアミノ酸の「J」領域によって連結されており、重鎖は約10以上のアミノ酸の「D」領域も含む。例えば、「Fundamental Immunology,Ch.7(Paul,W.,ed.,2nd ed.Raven Press,N.Y.(1989))(参照により、全ての目的のために、その全体が組み込まれる)」を参照されたい。各軽/重鎖対の可変領域は、典型的には、抗原結合部位を形成する。
可変領域は、3つの超可変領域(相補性決定領域またはCDRとも称される)によって連結された、相対的に保存されたフレームワーク領域(FR)の同じ一般的構造を典型的に呈する。各対の2つの鎖から得られるCDRは、フレームワーク領域によって典型的には並列され、これにより、特異的なエピトープへの結合が可能となり得る。N末端からC末端へ、軽鎖及び重鎖可変領域はいずれも、典型的には、ドメインFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、及びFR4を含む。各ドメインへのアミノ酸の割り当ては、典型的には、免疫学的に関心が持たれるタンパク質のKabat配列の定義(National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1987 and 1991))、または「Chothia & Lesk,J.Mol.Biol.,196:901−917(1987);Chothia et al.,Nature,342:878−883(1989)」に従う。
ある特定の実施形態において、抗体重鎖は、抗体軽鎖の不存在下で、抗原に結合する。ある特定の実施形態において、抗体軽鎖は、抗体重鎖の不存在下で、抗原に結合する。ある特定の実施形態において、抗体結合領域は、抗体軽鎖の不存在下で、抗原に結合する。ある特定の実施形態において、抗体結合領域は、抗体重鎖の不存在下で、抗原に結合する。ある特定の実施形態において、各可変領域は、他の可変領域の不存在下で、抗原に特異的に結合する。
ある特定の実施形態において、CDRの確定的な描写及び抗体の結合部位を含む残基の同定は、抗体の構造を解明し、及び/または抗体−リガンド複合体の構造を解明することによって達成される。ある特定の実施形態において、これは、X線結晶学など、当業者に公知の様々な技術の何れによっても達成することができる。ある特定の実施形態において、CDR領域を同定し、または概測するために、様々な分析の方法を使用することができる。そのような方法の例には、Kabat定義、Chothia定義、AbM定義、及び接触定義が含まれるが、これらに限定されない。
Kabat定義は、抗体中の残基に付番するための標準であり、CDR領域を識別するために典型的に使用される。例えば、「Johnson & Wu,Nucleic AcidsRes.,28:214−8(2000)」を参照されたい。Chothia定義はKabat定義に類似しているが、Chothia定義はある特定の構造的ループ領域の位置を考慮に入れている。例えば、「Chothia et al,J.Mol.Biol.,196:901−17(1986);Chothia et al,Nature,342:877−83(1989)」を参照されたい。AbM定義は、抗体構造をモデル化するOxford Molecular Groupによって作製されたコンピュータプログラムの一体化されたパッケージを使用する。例えば、「Martin et al,Proc Natl Acad Sci(USA),86:9268−9272(1989);“AbM(商標),A Computer Program for Modeling Variable Regions of Antibodies,”Oxford,UK;Oxford Molecular,Ltd」を参照されたい。AbM定義は、公知のデータベースとPROTEINS,Structure,Function and Genetics Suppl.,3:194−198(1999)中の「Samudrala et al,“Ab Initio Protein Structure Prediction Using a Combined HierarchicalApproach,”によって記載されているようなアブイニシオ法の組み合わせを用いて、一次配列から抗体の四次構造をモデル化する。接触定義は、利用可能な複雑な結晶構造の解析を基礎とする。例えば、「MacCallum et al,J.Mol.Biol.,5:732−45(1996)」を参照されたい。
慣例により、重鎖中のCDR領域は、典型的には、H1、H2、及びH3と称され、アミノ末端からカルボキシ末端の方向に順に付番される。軽鎖中のCDR領域は、典型的には、L1、L2、及びL3と称され、アミノ末端からカルボキシ末端の方向に順に付番される。
「軽鎖」という用語は、完全長の軽鎖及び結合特異性を付与するのに十分な可変領域配列を有するその断片を含む。完全長軽鎖は、可変領域ドメイン、V及び定常領域ドメイン、Cを含む。軽鎖の可変領域ドメインは、ポリペプチドのアミノ末端に位置する。軽鎖は、κ鎖及びλ鎖を含む。
「重鎖」という用語は、完全長の重鎖及び結合特異性を付与するのに十分な可変領域配列を有するその断片を含む。完全長の重鎖は、可変領域ドメインV及び3つの定常領域ドメインC1、C2、及びC3を含む。Vドメインは、ポリペプチドのアミノ末端に、Cドメインは、カルボキシル末端に位置し、C3がポリペプチドのカルボキシ末端に最も近い。重鎖は、IgG(IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4サブタイプを含む)、IgA(IgA1及びIgA2サブタイプを含む)、IgM及びIgEなどのあらゆるアイソタイプのものであり得る。
二重特異的または二重機能的抗体は、典型的には、2つの異なる重/軽鎖対及び2つの異なる結合部位を有する人工のハイブリッド抗体である。二重特異的抗体は、ハイブリドーマの融合またはFab’断片の連結などの(但し、これらに限定されない)様々な方法によって産生され得る。例えば、「Songsivilai et al.,Clin.Exp.Immunol.,79:315−321(1990);Kostelny et al.,J.Immunol.,148:1547−1553(1992)」を参照されたい。
哺乳動物のいくつかの種は、単一の重鎖のみを有する抗体も産生する。
それぞれの各免疫グロブリン鎖は、それぞれ概ね90〜110のアミノ酸からなり、特徴的な折り畳みパターンを有する数個の「免疫グロブリンドメイン」から典型的に構成される。これらのドメインは、抗体ポリペプチドを構成する基本単位である。ヒトでは、IgA及びIgDアイソタイプは4つの重鎖と4つの軽鎖を含有し、IgG及びIgEアイソタイプは2つの重鎖と2つの軽鎖を含有し、並びにIgMアイソタイプは5つの重鎖と5つの軽鎖を含有する。重鎖C領域は、エフェクター機能に必要とされ得る1つまたはそれ以上のドメインを典型的に含む。重鎖定常領域ドメインの数は、アイソタイプに依存する。IgG重鎖は、例えば、C1、C2、及びC3として知られる3つのC領域ドメインを含有する。提供される抗体は、これらのアイソタイプ及びサブタイプの何れをも有し得る。本発明のある特定の実施形態において、抗PCSK9抗体はIgG2またはIgG4サブタイプの抗体である。
「可変領域」または「可変ドメイン」という用語は、重鎖中にアミノ末端の約120〜130個のアミノ酸及び軽鎖中に約100から110個のアミノ末端アミノ酸を典型的には含む、抗体の軽鎖及び/または重鎖の一部を表す。ある特定の実施形態において、異なる抗体の可変領域は、同じ種の抗体間でさえ、アミノ酸配列が大幅に異なる。抗体の可変領域は、ある抗体の標的に対する特異性を典型的には決定する。
「中和抗原結合タンパク質」または「中和抗体」という用語は、リガンドに結合し、そのリガンドの生物学的効果を妨げ、または低減させる、それぞれ、抗原結合タンパク質または抗体のことを言う。これは、例えば、リガンド上の結合部位を直接封鎖することによって、またはリガンドに結合し、間接的な手段(例えば、リガンド中の構造的またはエネルギー的変化など)を通じて、リガンドの結合能を変化させることによって行うことができる。いくつかの実施形態において、この用語は、それが結合しているタンパク質が生物学的機能を発揮するのを妨げる抗原結合タンパク質も表し得る。抗原結合タンパク質(例えば、抗体または免疫学的に機能的なその断片)の結合及び/または特異性を評価する際に、抗体の過剰が(インビトロ競合結合アッセイで測定された場合に)少なくとも約1〜20、20〜30%、30〜40%、40〜50%、50〜60%、60〜70%、70〜80%、80〜85%、85〜90%、90〜95%、95〜97%、97〜98%、98〜99%、またはそれ以上、リガンドに結合された結合対の量を低減させるときに、抗体または断片は、その結合対へのリガンドの結合を大幅に阻害することができる。いくつかの実施形態において、PCSK9抗原結合タンパク質の場合には、そのような中和分子は、PCSK9がLDLRに結合する能力を低減させることができる。いくつかの実施形態において、競合アッセイを介して、中和能力を性質決定し、及び/または記載する。いくつかの実施形態において、中和能力は、IC50またはEC50値の観点で記載される。いくつかの実施形態において、ABP27B2、13H1、13B5、及び3C4は、非中和ABPであり、3B6、9C9、及び31A4は、弱い中和物質であり、表2中の残りのABPは、強い中和物質である。いくつかの実施形態において、抗体または抗原結合タンパク質は、PCSK9に結合し、PCSK9がLDLRに結合するのを妨げる(またはPCSK9がLDLRに結合する能力を低減させる)ことによって中和する。いくつかの実施形態において、抗体またはABPは、PCSK9に結合し、PCSK9をLDLRに結合させながら、LDLRのPCSK9媒介性分解を妨げ、または低減させることによって中和する。従って、いくつかの実施形態において、中和ABPまたは抗体は、PCSK9/LDLR結合をなお可能にしながら、PCSK9が関与するLDLRのその後の分解を妨げる(または低減させる)。
「標的」という用語は、抗原結合タンパク質によって結合することができる分子または分子の一部のことを言う。ある特定の実施形態において、標的は、1つまたはそれ以上のエピトープを有することができる。ある特定の実施形態において、標的は、抗原である。「抗原結合タンパク質」という用語における「抗原」の使用は、抗原を含むタンパク質配列が抗体によって結合され得ることを単に表す。この文脈において、タンパク質は外来であること、または免疫応答を誘導可能であることは必要とされない。
同じエピトープに対して競合する抗原結合タンパク質(例えば、中和抗原結合タンパク質または中和抗体)という文脈において使用される場合の「競合する」という用語は、検査されている抗原結合タンパク質(例えば、抗体または免疫学的に機能的なその断片)が共通の抗原(例えば、PCSK9またはその断片)への参照抗原結合タンパク質(例えば、リガンドまたは参照抗体)の特異的結合を妨げ、または阻害する(例えば、低減させる)アッセイによって測定された抗原結合タンパク質間の競合を意味する。ある抗原結合タンパク質が別の抗原結合タンパク質と競合するかどうかを決定するために、競合結合アッセイの多数の種類、例えば、固相直接または間接ラジオイムノアッセイ(RIA)、固相直接または間接酵素イムノアッセイ(EIA)、サンドイッチ競合アッセイ(例えば、Stahli et al,1983,Methodsin Enzymology 9:242−253参照);固相直接ビオチン−アビジンEIA(例えば、Kirkland et al,1986,J.Immunol.137:3614−3619参照)、固相直接標識アッセイ、固相直接標識サンドイッチアッセイ(例えば、Harlow and Lane,1988,Antibodies,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press);I−125標識を用いた固相直接標識RIA(例えば、Morel et al,1988,Molec.Immunol.25:7−15);固相直接ビオチン−アビジンEIA(例えば、Cheung,et al.,1990,Virology 176:546−552参照);及び直接標識RIA(Moldenhauer et al.,1990,Scand.J.Immunol.32:77−82参照)を使用することができる。典型的には、そのようなアッセイは、固体表面に結合された精製抗原又はそれらの何れかを有する細胞、標識されていない検査抗原結合タンパク質、及び標識された参照抗原結合タンパク質を使用することを含む。競合的阻害は、検査抗原結合タンパク質の存在下で、固体表面または細胞に結合された標識の量を測定することによって測定される。通常、検査抗原結合タンパク質は過剰に存在する。競合アッセイによって同定される抗原結合タンパク質(競合抗原結合タンパク質)には、参照抗原結合タンパク質と同じエピトープに結合する抗原結合タンパク質、及び立体的妨害が生じるのに、参照抗原結合タンパク質によって結合されるエピトープに十分に近接した隣接エピトープに結合する抗原結合タンパク質が含まれる。競合結合を測定するための方法に関するさらなる詳細は、本明細書中の実施例に提供されている。通常、競合抗原結合タンパク質が過剰に存在する場合には、少なくとも40〜45%、45〜50%、50〜55%、55〜60%、60〜65%、65〜70%、70〜75%または75%またはそれ以上、共通の抗原への基準抗原結合タンパク質の特異的結合を阻害する(例えば、低減させる)。いくつかの例において、少なくとも80〜85%、85〜90%、90〜95%、95〜97%または97%またはそれ以上、結合が阻害される。
「抗原」という用語は、抗原結合タンパク質(例えば、抗体またはその免疫学的機能断片など)などの選択的結合因子によって結合され得る分子または分子の一部のことを言う。いくつかの実施形態において、抗原は、その抗原に結合することができる抗体を産生するために、動物内で使用することができる。抗原は、異なる抗原結合タンパク質(例えば、抗体)と相互作用することができる1つまたはそれ以上のエピトープを有することができる。
「エピトープ」という用語は、抗体またはT細胞受容体などの抗原結合タンパク質によって結合され得るあらゆる決定基を含む。エピトープは、抗原の、その抗原を標的とする抗原結合タンパク質によって結合される領域であり、抗原がタンパク質である場合、抗原結合タンパク質に直接接触する特定のアミノ酸を含む。最も頻繁には、エピトープはタンパク質上に存在するが、いくつかの事例では、核酸などの分子の他の種類上に存在することができる。エピトープ決定基は、アミノ酸、糖側鎖、ホスホリルまたはスルホニル基などの分子の化学的に活性な表面基を含むことができ、特異的な三次元構造の特徴及び/または特異的な電荷的特徴を有することができる。一般に、特定の標的抗原に対して特異的な抗体は、タンパク質及び/または高分子の複合混合物中において、標的抗原上のエピトープを優先的に認識する。
本明細書において使用される「実質的に純粋な」とは、分子の記載されている種が存在している主要な種であること、即ち、モル濃度ベースで、同じ混合物中の他の何れの個別の種より豊富に存在することを意味する。ある特定の実施形態において、実質的に純粋な分子は、対象種が存在する全ての高分子種の少なくとも50%(モル濃度を基礎とする)を占める組成物である。他の実施形態において、実質的に純粋な組成物は、組成物中に存在する全ての高分子種の少なくとも80%、85%、90%、95%、または99%を含む。他の実施形態において、慣用の検出法によって、夾雑種を組成物中に検出することができず、従って、組成物が単一の検出可能な高分子種からなる実質的均一状態になるまで対象種が精製される。
「因子」という用語は、本明細書において、化学的化合物、化学的化合物の混合物、生物学的高分子、または生物学的材料から作製された抽出物を表すために使用される。
本明細書において使用される「標識」または「標識された」という用語は、例えば、放射線標識されたアミノ酸の取り込みまたは標識されたアビジン(例えば、蛍光マーカーまたは光学的若しくは色素測定法によって検出可能な酵素活性を含有するストレプトアビジン)によって検出することが可能なビオチン部分のポリペプチドへの付着によって、検出可能マーカーを取り込むことを言う。ある特定の実施形態において、標識またはマーカーは、治療用でもあり得る。ポリペプチド及び糖タンパク質を標識する様々な方法が当該技術分野において公知であり、使用することが可能である。ポリペプチドに対する標識の例には、以下のものが含まれるが、これらに限定されない。放射性同位体または放射性核種(例えば、H、14C、15N、35S、90Y、99Tc、111In、125I、131I)、蛍光標識(例えば、FITC、ローダミン、ランタニドリン光物質)、酵素標識(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ)、化学発光、ビオチニル基、二次レポーターによって認識される所定のポリペプチドエピトープ(例えば、ロイシンジッパー対配列、二次抗体に対する結合部位、金属結合ドメイン、エピトープタグ)。ある特定の実施形態において、立体障害の可能性を低減するために、標識は、様々な長さのスペーサーアームによって付着される。
本明細書において使用される「生物学的試料」という用語には、生物または以前に生物であった物から得られる物質のあらゆる量が含まれるが、これらに限定されない。そのような生物には、ヒト、マウス、サル、ラット、ウサギ、及び他の動物が含まれるが、これらに限定されない。そのような物質には、血液、血清、尿、細胞、臓器、組織、骨、骨髄、リンパ節、及び皮膚が含まれるが、これらに限定されない。
本明細書において使用される「薬剤組成物」(または薬剤または薬物)という用語は、患者に適切に投与された場合に、所望の治療効果を誘導することができる、化学的化合物、組成物、組成物、薬剤、または薬物のことを言う。薬剤組成物は、成分のうちの2つ以上の種類を必ずしも必要としない。
「治療的有効量」という用語は、哺乳動物中の治療的応答を生じさせることが決定されたPCSK9抗原結合タンパク質のことを言う。そのような治療的有効量は、当業者によって容易に確定される。
本明細書において使用される「調節物質」という用語は、分子の活性または機能を変化または改変させる化合物である。例えば、調節物質は、調節物質の不存在下で観察される活性または機能の規模と比べて、分子のある特定の活性または機能の規模の増加または減少を引き起こすことができる。ある特定の実施形態において、調節物質は、分子のうちの少なくとも1つの活性または機能の規模を減少させる阻害剤である。分子のある特定の典型的な活性及び機能には、結合親和性、酵素活性、及びシグナル伝達が含まれるが、これらに限定されない。ある特定の典型的な阻害剤には、タンパク質、ペプチド、抗体、ペプチボディ、炭水化物または小有機分子が含まれるが、これらに限定されない。ペプチボディは、例えば、米国特許第6,660,843号(PCT出願WO01/83525に対応する)に記載されている。
「患者」と「対象」という用語は互換的に使用され、ヒト及び非ヒト動物対象並びに以前に診断された疾患を有する対象、以前に認識された疾患を持たない対象、医学的な治療を受けた対象、疾患を発症するリスクを有する対象などが含まれる。
「治療する」及び「治療」という用語は、治療的処置、予防的処置、及び対象が疾患または他のリスク因子を発症するリスクを低減する適用が含まれる。治療は、疾患の完全な治癒を必要とするものではなく、症候または伏在するリスク因子を低減させる実施形態を包含する。
「予防する」という用語は、事象の確率を100%除去することを必要とするものではない。むしろ、「予防する」という用語は、化合物または方法の存在下で、事象の発生の可能性が低下されることを表す。
組み換えDNA、オリゴヌクレオチド合成、及び組織培養並びに形質転換(例えば、電気穿孔、リポフェクション)のための標準的な技術を使用することができる。酵素反応及び精製技術は、製造業者の仕様に従って、または当該技術分野で一般的に実施されるように、または本明細書中に記載されているように実施することができる。前記技術及び手技は、当該技術分野において周知の方法に従って、並びに本明細書を通じて引用及び論述されている様々な一般的な、及びより具体的な参考文献に記載されているように、一般に実施することができる。例えば、「Sambrook et al,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(2d ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1989))」(参照により、あらゆる目的のために本明細書中に組み込まれる)を参照されたい。特別な定義が与えられていない限り、本明細書中に記載されている分析化学、合成有機化学並びに医学及び薬剤化学に関連して使用される命名法並びにこれらの研究手技及び技術は、当該技術分野において周知であり、一般的に使用されるものである。化学合成、化学分析、医薬の調製、製剤化及び送達及び患者の治療のための標準的な技術を使用することができる。
PCSK9に対する抗原結合タンパク質
プロタンパク質コンベルターゼスブチリシンケクシン9型(PCSK9)は、低密度リポタンパク質受容体(LDLR)タンパク質のレベルの制御に関与しているセリンプロテアーゼである(Horton et al,2007;Seidah and Prat,2007)。PCSK9は、セリンプロテアーゼのスブチリシン(S8)ファミリーのプロホルモン−プロタンパク質コンベルターゼである(Seidah et al.,2003)。典型的なヒトPCSK9アミノ酸配列は、図1Aの配列番号1(下線が付されているタンパク質の「プロ」ドメインを図示する)及び図1Bの配列番号3(太字のシグナル配列及び下線が付されたプロドメインを図示する)として表されている。典型的なヒトPCSK9のコード配列が、配列番号2として表されている(図1B)。本明細書において記載されているように、PCSK9タンパク質は、完全長PCSK9タンパク質の断片も含むことができる。PCSK9タンパク質の構造は、2つのグループによって最近解決された(Cunningham et al.,Nature Structural & Molecular Biology,2007,and Piper et al.,Structure,15:1−8,2007)(いずれも、参照により、全体が本明細書に組み込まれる)。PCSK9は、シグナル配列、N末端プロドメイン、スブチリシン様触媒ドメイン、及びC末端ドメインを含む。
ヒトPCSK9を含むPCSK9に結合する抗原結合タンパク質(ABP)が、本明細書中に記載の方法で使用される。いくつかの実施形態において、抗原結合タンパク質は、本明細書において記載されている、1つまたはそれ以上の相補性決定領域(CDR)を含むポリペプチドである。いくつかの抗原結合タンパク質において、CDRは、CDRの適切な抗原結合特性が達成されるようにCDRを方向付ける「フレームワーク」領域中に包埋されている。いくつかの実施形態において、本明細書中に提供されている方法で使用することができる抗原結合タンパク質は、PCSK9とLDLR間の相互作用を妨害し、遮断し、低減させ、または調節することができる。そのような抗原結合タンパク質は、「中和」と表される。いくつかの実施形態において、抗原結合タンパク質が中和性であり、PCSK9に結合されている場合でさえ、PCSK9とLDLR間の結合はなお起こり得る。例えば、いくつかの実施形態において、本明細書中に提供されている方法で有用なABPは、PCSK9上のLDLR結合部位を封鎖することなく、LDLRに対するPCSK9の悪影響を妨げ、または低減させる。従って、いくつかの実施形態において、ABPは、PCSK9とLDLR間の結合相互作用を抑制する必要なしに、LDLRの分解をもたらすPCSK9の能力を調節し、または変化させる。そのようなABPは、「非競合的に中和する」ABPと特に記載することができる。いくつかの実施形態において、中和ABPは、PCSK9がLDLRに結合するのを妨げる位置及び/または様式で、PCSK9に結合する。そのようなABPは、「競合的に中和する」ABPと特に記載することができる。上記中和物質はいずれも、対象中に存在している遊離のLDLRのより大きな量をもたらすことができ、これにより、LDLに結合しているより多くのLDLRがもたらされる(これにより、対象中のLDLの量を低減させる)。続いて、これは、対象中に存在する血清コレステロールの量の低下をもたらす。
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供されている抗原結合タンパク質は、PCSK9によって媒介される活性(結合を含む)を阻害することができる。いくつかの実施形態において、これらのエピトープに結合する抗原結合タンパク質は、とりわけ、PCSK9とLDLRの間の相互作用及びPCSK9によって媒介される他の生理学的効果を阻害する。いくつかの実施形態において、抗原結合タンパク質は、PCSK9に対する完全ヒト抗体など、ヒトである。
いくつかの実施形態において、ABPは、PCSK9の触媒ドメインに結合する。いくつかの実施形態において、ABPは、PCSK9の成熟形態に結合する。いくつかの実施形態において、ABPは、PCSK9のプロドメイン中に結合する。いくつかの実施形態において、ABPは、PCSK9の成熟形態に選択的に結合する。いくつかの実施形態において、ABPは、PCSK9がLDLRに結合できない様式で、または効率的には結合できない様式で、触媒ドメインに結合する。いくつかの実施形態において、抗原結合タンパク質は、触媒ドメインのC末端に結合しない。いくつかの実施形態において、抗原結合タンパク質は、触媒ドメインのN末端に結合しない。いくつかの実施形態において、ABPは、PCSK9タンパク質のN末端またはC末端に結合しない。いくつかの実施形態において、ABPは、本明細書中に論述されている抗体によって結合されるエピトープの何れか1つに結合する。いくつかの実施形態において、これは、本明細書中に開示されている抗体と他の抗体の間の競合アッセイによって測定することができる。いくつかの実施形態において、ABPは、表2に記載されている抗体の1つによって結合されるエピトープに結合する。いくつかの実施形態において、抗原結合タンパク質は、PCSK9の特異的な立体構造状態に結合して、PCSK9がLDLRと相互作用するのを妨げる。いくつかの実施形態において、ABPは、PCSK9のVドメインに結合する。いくつかの実施形態において、ABPは、PCSK9のVドメインに結合し、PCSK9がLDLRに結合するのを妨げる(または低減させる)。いくつかの実施形態において、ABPは、PCSK9のVドメインに結合し、LDLRへのPCSK9の結合を妨げ(または低減させ)ないが、LDLR上のPCSK9を通じて媒介されるLDLRに対する有害な活性を妨げ、または低減させる。
本明細書中に提供されている方法で有用な開示の抗原結合タンパク質は、様々な用途を有する。抗原結合タンパク質のいくつかは、例えば、特異的結合アッセイ、PCSK9、特に、ヒトPCSK9またはそのリガンドの親和性精製において、及びPCSK9活性の他のアンタゴニストを同定するためのスクリーニングアッセイにおいて有用である。抗原結合タンパク質のいくつかは、LDLRへのPCSK9の結合を阻害し、またはPCSK9によって媒介される活性を阻害するのに有用である。
いくつかの実施形態において、本明細書中に提供されている方法で有用な抗原結合タンパク質は、1つまたはそれ以上のCDR(例えば、1、2、3、4、5、または6個のCDR)を含む。いくつかの実施形態において、抗原結合タンパク質は、(a)ポリペプチド構造及び(b)ポリペプチド構造中に挿入され、及び/または連結された1つまたはそれ以上のCDRを含む。ポリペプチド構造は、様々な異なる形態を取ることができる。例えば、ポリペプチド構造は、天然に存在する抗体のフレームワークまたはその断片若しくはバリアントであり得、若しくはこれらを含むことができ、または性質上、完全に合成であり得る。様々なポリペプチド構造の例は、以下にさらに記載されている。
ある特定の実施形態において、抗原結合タンパク質のポリペプチド構造は、抗体であり、またはモノクローナル抗体、二重特異的抗体、ミニボディ、ドメイン抗体、合成抗体(本明細書では、「抗体模倣物」と称される場合がある)、キメラ抗体、ヒト化抗体、抗体融合物(本明細書において、「抗体連結物」と称される場合がある)及びそれぞれ、各々の一部若しくは断片を含む(但し、これらに限定されない)抗体に由来する。いくつかの例において、抗原結合タンパク質は、抗体の免疫学的断片である(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)、またはscFv)。様々な構造は、本明細書中にさらに記載及び定義されている。
本明細書中に提供されている方法で有用な抗原結合タンパク質のいくつかは、ヒトPCSK9に特異的に及び/または選択的に結合する。いくつかの実施形態において、抗原結合タンパク質は、配列番号3の残基153〜692を有する及び/またはからなるヒトPCSK9タンパク質に特異的に及び/または選択的に結合する。いくつかの実施形態において、ABPは、配列番号3の残基31〜152を有する及び/またはからなるヒトPCSK9に特異的に及び/または選択的に結合する。いくつかの実施形態において、ABPは、図1Aに図示されているヒトPCSK9タンパク質(配列番号1)に選択的に結合する。いくつかの実施形態において、抗原結合タンパク質は、PCSK9タンパク質の少なくとも断片及び/またはシグナル配列あり若しくはなしの完全長PCSK9タンパク質に特異的に結合する。
抗原結合タンパク質が治療用途のために使用される実施形態において、抗原結合タンパク質は、PCSK9の1つまたはそれ以上の生物学的活性を阻害し、妨害し、または調節することができる。一実施形態において、抗原結合タンパク質は、ヒトPCSK9に特異的に結合し、及び/または(例えば、インビトロ競合結合アッセイにおける結合を測定することによって)少なくとも約20%〜40%、40〜60%、60〜80%、80〜85%、またはそれ以上、LDLRへのヒトPCSK9の結合を実質的に阻害する。本明細書中に提供されている抗原結合タンパク質のいくつかは、抗体である。いくつかの実施形態において、ABPは、10−7、10−8、10−9、10−10、10−11、10−12、10−13Mより小さいKを有する(より強固に結合する)。いくつかの実施形態において、ABPは、PCSK9へのLDLRの結合の遮断に関して、1μM未満、1000nM〜100nM、100nM〜10nM、10nM〜1nM、1000pM〜500pM、500pM〜200pM、200pM未満、200pM〜150pM、200pM〜100pM、100pM〜10pM、10pM〜1pMのIC50を有する(D347Y、高親和性バリアント)。
本発明の抗PCSK9抗体のIgG2重鎖定常ドメインの一例は、配列番号154、図3KKに示されているアミノ酸配列を有する。
本発明の抗PCSK9抗体のIgG4重鎖定常ドメインの一例は、配列番号155、図3KKに示されているアミノ酸配列を有する。
抗PCSK9抗体のκ軽鎖定常ドメインの一例は、配列番号157、図3KKに示されているアミノ酸配列を有する。
抗PCSK9抗体のλ軽鎖定常ドメインの一例は、配列番号156、図3KKに示されているアミノ酸配列を有する。
免疫グロブリン鎖の可変領域は、3つの超可変領域(より頻繁には、「相補性決定領域」またはCDRと称される。)によって連結された、相対的に保存されたフレームワーク領域(FR)を含む同一の全体構造を一般に呈する。上記各重鎖/軽鎖対の2つの鎖からのCDRは、標的タンパク質(例えば、PCSK9)上の特異的エピトープと特異的に結合する構造を形成するために、フレームワーク領域によって典型的に並列される。N末端からC末端へ、天然に存在する軽鎖及び重鎖可変領域は何れも、これらの要素の以下の順序と通例合致する。FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、及びFR4。これらの各ドメイン中の位置を占めるアミノ酸に番号を割り当てるために、付番系が考案されている。この付番系は、「Kabat Sequences of Proteins of Immunological Interest(1987 and 1991,NIH,Bethesda,MD)」または「Chothia & Lesk,1987,J.Mol.Biol.196:901−917;Chothia et al.,1989,Nature 342:878−883」において定義されている。
様々な重鎖及び軽鎖可変領域が本明細書中に提供されており、図2A〜3JJ及び3LL〜3JJJ並びに3LLL中に図示されている。いくつかの実施形態において、これらの可変領域の各々は、それぞれ、完全な抗体重鎖及び軽鎖を形成するために、上記重鎖及び軽鎖定常領域に付着させることができる。さらに、完全な抗体構造を形成するために、このようにして作製された重鎖及び軽鎖配列の各々を組み合わせることが可能である。
提供されている抗体の軽鎖及び重鎖の可変領域のいくつかの具体例及びそれらの対応するアミノ酸配列が、表2中に要約されている。
Figure 2018076351
Figure 2018076351
同じく、表2に列記されている典型的な可変重鎖の各々は、抗体を形成するために、表2に示されている典型的な可変軽鎖の何れとも組み合わせることができる。表2は、本明細書中に開示されている抗体のいくつかの中に見出される典型的な軽鎖及び重鎖の対を示している。いくつかの例において、抗体は、表2に列記されているものから得られる少なくとも1つの可変重鎖と1つの可変軽鎖を含む。他の例において、抗体は、2つの同一の軽鎖及び2つの同一の重鎖を含有する。一例として、抗体または抗原結合タンパク質は、重鎖及び軽鎖、2つの重鎖または2つの軽鎖を含むことができる。いくつかの実施形態において、抗原結合タンパク質は、表2に列記されている配列のうちの少なくとも1つから得られる1、2、及び/または3つの重及び/または軽CDR(これらの配列に対するCDRは、図2A〜3D並びに図3CCC〜3JJJ及び3KKK並びに13A〜13J中の他の実施形態中に概説されている)を含む(及び/またはからなる)。いくつかの実施形態において、6つのCDR(軽鎖からのCDR1〜3(CDRL1、CDRL2、CDRL3)及び重鎖からのCDR1〜3(CDRH1、CDRH2、及びCDRH3)の全てが、ABPの一部である。いくつかの実施形態において、1、2、3、4、5、またはそれ以上のCDRが、ABP中に含まれている。いくつかの実施形態において、表2中の配列中のCDRから得られる1つの重及び1つの軽CDRが、ABP中に含まれる(表2中の配列に対するCDRは、図2A〜3D中に概説されている)。いくつかの実施形態において、(例えば、図2A〜2D、3A〜3D中に、3CCC〜3JJJ及び3LLL並びに13A〜13J中の他の実施形態中に図示されているような)さらなる区画も、ABP中に含まれる。表2中に記載されている重鎖及び軽鎖に対するCDR及びFRの例は、図2A〜3D(及び図3CCC〜3JJJ及び3LLL並びに13A〜13J中の他の実施形態)中に概説されている。任意で存在する軽鎖可変配列(CDR1、CDR2、CDR3、FR1、FR2、FR3、及びFR4を含む。)は、以下から選択することができる:5、7、9、10、12、13、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、26、28、30、31、32、33、35、36、37、38、39、40、42、44、46、421、425、429、433、437、441、445、449、453、457、461,465、469、473、477、481、及び485。任意で存在する重鎖可変配列(CDR1、CDR2、CDR3、FR1、FR2、FR3、及びFR4を含む。)は、以下から選択することができる:74、85、71、72、67、87、58、52、51、53、48、54、55、56、49、57、50、91、64、62、89、65、79、80、76、77、78、83、69、81,60、419、423、427、431、435、439、443、447、451、455、459、463、467、471、475、479、及び483。図2A〜3D、図3CCC〜3JJJ、及び3LLL中のエントリーのいくつかでは、配列の変動またはCDR及びFRの別の境界が特定されている。これらの代替物は、ABP名の後の「vl」によって特定されている。これらの代替物の殆どは本来僅かなので、相違を有する区画のみが表中に示されている。軽鎖または重鎖の残りの区画は他のパネル中の基本ABPに対して示されているものと同じであることが理解される。従って、図2C中では、相違のみが記載されているので、例えば、図2C中の19H9vlは、図2A中の19H9と同じFR1、CDR1、及びFR2を有する。核酸配列の3つ(ABP26E10、30B9、及び31B12)に対して、さらなる別の核酸配列が図中に提供されている。当業者によって理解されるように、抗体またはABPの作製において、実際には、そのような配列の1つ以下を使用する必要がある。実際に、いくつかの実施形態において、特異的な重鎖または軽鎖核酸の1つのみが存在する必要があり、または全く存在する必要がない。
いくつかの実施形態において、本明細書中に記載されている方法で有用な抗体には、米国特許第8,030,457号または米国特許第8,168,762号に記載されている抗体が含まれる。本明細書中に記載されている方法で有用な抗体のさらなる例は、例えば、米国特許第8,188,233号、米国特許第8,188,234号、米国特許第8,080,243号、米国特許第8,062,640号、WO2008/06332、WO2009/055783、WO2011/053759、WO2012/054438、WO2012/088313、WO2012/109530、及びWO2013/039958に記載されている。
いくつかの実施形態において、ABPは、表2中のタンパク質配列の何れかをコードすることができる核酸配列によってコードされる。
いくつかの実施形態において、ABPは、LDLRに結合するPCSK9の形態(例えば、当該分子の自己触媒化された形態)に選択的に結合する。いくつかの実施形態において、抗原結合タンパク質は、触媒ドメインのc末端(例えば、c末端中の5、5〜10、10〜15、15〜20、20〜25、25〜30、30〜40の多くのアミノ酸)に結合しない。いくつかの実施形態において、抗原結合タンパク質は、触媒ドメインのn末端(例えば、n末端中の5、5〜10、10〜15、15〜20、20〜25、25〜30、30〜40の多くのアミノ酸)に結合しない。いくつかの実施形態において、ABPは、PCSK9の成熟形態のアミノ酸1〜100内のアミノ酸に結合する。いくつかの実施形態において、ABPは、アミノ酸31〜100、100〜200、31〜152、153〜692、200〜300、300〜400、452〜683、400〜500、500〜600、31〜692、31〜449、及び/または600〜692内のアミノ酸(及び/またはこれらからなるアミノ酸配列)に結合する。いくつかの実施形態において、ABPは、触媒ドメインに結合する。いくつかの実施形態において、中和及び/または非中和ABPは、プロドメインに結合する。いくつかの実施形態において、ABPは、触媒及びプロドメインの両方に結合する。いくつかの実施形態において、ABPは、触媒ドメインに結合して、プロドメインと相互作用する触媒ドメイン上の領域を塞ぐ。いくつかの実施形態において、ABPは、Piper et al.(Structure15:1〜8(2007)(その中の立体表示も含めて、その全体が、参照により、本明細書に組み込まれる)に概説されているように、プロドメインが相互作用する位置または表面において触媒ドメインに結合する。いくつかの実施形態において、ABPは、触媒ドメインに結合し、プロドメインの移動性を制約する。いくつかの実施形態において、ABPは、プロドメインに結合することなしに、触媒ドメインに結合する。いくつかの実施形態において、ABPは、PCSK9をLDLRに結合させるようにプロドメインが再配向するのを妨げながら、プロドメインに結合することなしに、触媒ドメインに結合する。いくつかの実施形態において、ABPは、Piper et al.中のプロドメインの周囲の残基149〜152と同じエピトープ中に結合する。いくつかの実施形態において、ABPは、Vドメイン上の(Piper et al.において概説されているような)溝に結合する。いくつかの実施形態において、ABPは、Vドメイン上の溝に近いヒスチジンに富むパッチに結合する。いくつかの実施形態において、(Vドメインに結合する)そのような抗体は、中和でない。いくつかの実施形態において、Vドメインに結合する抗体は、中和である。いくつかの実施形態において、中和ABPは、LDLRへのPCSK9の結合を妨げる。いくつかの実施形態において、中和ABPは、LDLRのPCSK9分解を妨げながら、LDLRへのPCSK9の結合を妨げない(例えば、ABP 31A4)。いくつかの実施形態において、ABPは、Piper et al.の論文の図4に図示されているヒスチジンのうちの少なくとも1つに結合し、または遮断する。いくつかの実施形態において、ABPは、PCSK9中の触媒三連構造を遮断する。
いくつかの実施形態において、抗体は、野生型PCSK9に比べて、バリアントPCSK9タンパク質(例えば、D374Y)に選択的に結合する。いくつかの実施形態において、これらの抗体は、(Kを介して測定した場合に)野生型より少なくとも2倍強くバリアントに結合し、好ましくは、2〜5、5〜10、10〜100、100〜1000、1000〜10,000倍またはそれ以上、野生型より変異体に強く結合する。いくつかの実施形態において、抗体は、野生型PCSK9がLDLRと相互作用することを阻害する能力を上回って、バリアントD374Y PCSK9がLDLRと相互作用することを選択的に阻害する。いくつかの実施形態において、これらの抗体は、(IC50を介して測定した場合に)野生型がLDLRに結合する能力より強く、バリアントがLDLRに結合する能力を遮断する(例えば、野生型より少なくとも2倍強く、好ましくは、野生型より2〜5、5〜10、10〜100、100〜1000倍、またはそれ以上強く変異体に)。いくつかの実施形態において、抗体は、野生型PCSK9及びPCSK9のバリアント形態(D374Yなど)の両方に同様のレベルで結合し、中和する。いくつかの実施形態において、抗体は、PCSK9に結合して、LDLRのバリアントがPCSK9に結合するのを妨げる。いくつかの実施形態において、LDLRのバリアントは、ヒトLDLRと少なくとも50%同一である。LDLRのバリアントは、当業者に公知であることが注目される(例えば、BrownMS et al.,“Calcium cages, acid baths and recycling receptors”Nature 388:629−630, 1997)。いくつかの実施形態において、ABPは、ヘテロ接合性家族性高コレステロール血症(LDLRの機能喪失バリアントが存在する)中の有効LDLRのレベルを上昇させることができる。
いくつかの実施形態において、ABPは、図1A及び/または図1B中に図示されているPCSK9の形態に対して少なくとも50%、50〜60、60〜70、70〜80、80〜90、90〜95、95〜99、またはそれ以上の%同一性であるPCSK9のバリアントに結合する(但し、遮断しない)。いくつかの実施形態において、ABPは、図1A及び/または図1B中に図示されているPCSK9の成熟形態に対して少なくとも50%、50〜60、60〜70、70〜80、80〜90、90〜95、95〜99、またはそれ以上の%同一性であるPCSK9のバリアントに結合する(但し、遮断しない)。いくつかの実施形態において、ABPは、図1A及び/または図1B中に図示されているPCSK9の形態に対して少なくとも50%、50〜60、60〜70、70〜80、80〜90、90〜95、95〜99、またはそれ以上の%同一性であるPCSK9のバリアントに結合し、LDLRと相互作用するのを妨げる。いくつかの実施形態において、ABPは、図1B中に図示されているPCSK9の成熟形態に対して少なくとも50、50〜60、60〜70、70〜80、80〜90、90〜95、95〜99、またはそれ以上の%同一性であるPCSK9のバリアントに結合し、LDLRと相互作用するのを妨げる。いくつかの実施形態において、PCSK9のバリアントは、474位におけるバリアント、E620G及び/またはE670Gなどのヒトバリアントである。いくつかの実施形態において、474位のアミノ酸は(他のヒトにおけるように)バリンまたは(カニクイザル及びマウスにおけるように)トレオニンである。本明細書中に提示されている交叉反応性のデータに鑑みれば、本抗体は上記バリアントへ容易に結合するものと考えられる。
いくつかの実施形態において、ABPは、表2に記載されている抗体の1つによって結合されるエピトープに結合する。いくつかの実施形態において、抗原結合タンパク質は、PCSK9の特異的な立体構造状態に結合して、PCSK9がLDLRと相互作用するのを妨げる。
ヒト化された抗原結合タンパク質(例えば、抗体)
本明細書において記載されているように、PCSK9に対する抗原結合タンパク質は、ヒト化抗体及び/またはその一部を含むことができる。そのような戦略の重要な実用的用途は、マウス液性免疫系の「ヒト化」である。
ある特定の実施形態において、ヒト化抗体は、ヒトの中で実質的に非免疫原性である。ある特定の実施形態において、ヒト化抗体は、ヒト化抗体が誘導された別の種由来の抗体と、標的に対する実質的に同一の親和性を有する。例えば、米国特許第5,530,101号、米国特許第5,693,761号、米国特許第5,693,762号、米国特許第5,585,089号を参照されたい。
ある特定の実施形態において、その免疫原性を減少させつつ、抗原結合ドメインの天然親和性を減弱させずに修飾され得る抗体可変ドメインのアミノ酸が特定される。例えば、米国特許第5,766,886号及び同第5,869,619号を参照されたい。
ある特定の実施形態において、当該技術分野で公知の方法による抗体の修飾は、典型的には、標的に対する増加された結合親和性を達成し、及び/または服用者中の抗体の免疫原性を減少させるように設計されている。ある特定の実施形態において、ヒト化抗体は、その同種抗原に対する抗体の親和性を増加させるために、グリコシル化部位を除去するように修飾される。例えば、「Co et al.,Mo1.Immunol 30:1361−1367(1993)」を参照されたい。ある特定の実施形態において、ヒト化抗体を作製するために、「リシェーピング」、「超キメラ化」、または「ベニヤリング/リサーフェシング」などの技術が使用される。例えば、「Vaswami et al.,Annals of Allergy,Asthma,& Immunol 81:105(1998);Roguska et al.,Prot.Engineer.,9:895−904(1996)、及び米国特許第6,072,035号」を参照されたい。そのようなある特定の実施形態において、そのような技術は、典型的には、外来残基の数を減らすことによって抗体の免疫原性を減少させるが、抗体の反復投与後に抗イディオタイプ及び抗アロタイプ応答を抑制しない。例えば、「Gilliland et al.,J.Immunol 62(6):3663−71(1999)」には、免疫原性を減少させるための他の方法がいくつか記載されている。
ある特定の事例において、ヒト化抗体は、抗原結合能の喪失をもたらす。ある特定の実施形態において、ヒト化抗体は「逆突然変異」される。そのような実施形態において、ヒト化抗体は、ドナー抗体中に見られるアミノ酸残基の1つまたはそれ以上を含むように変異される。例えば、「Saldanha et al.,Mol Immunol 36:709−19(1999)」を参照されたい。
ある特定の実施形態において、PCSK9に対する抗体の軽鎖及び重鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)は、同じ種または別の種由来のフレームワーク領域(FR)に移植され得る。ある特定の実施形態において、PCSK9に対する抗体の軽鎖及び重鎖可変領域のCDRは、コンセンサスヒトFRに移植され得る。コンセンサスヒトFRを作製するために、ある特定の実施形態において、コンセンサスアミノ酸配列を特定するために、いくつかのヒト重鎖または軽鎖アミノ酸配列由来のFRが並置される。ある特定の実施形態において、PCSK9重鎖または軽鎖に対する抗体のFRは、異なる重鎖または軽鎖由来のFRで置換される。ある特定の実施形態において、PCSK9に対する抗体の重鎖及び軽鎖のFR中にある珍しいアミノ酸は置換されないが、FRアミノ酸の残りは置換される。珍しいアミノ酸は、FR中に通常見出されない位置にある特定のアミノ酸である。ある特定の実施形態において、PCSK9に対する抗体由来の移植された可変領域は、PCSK9に対する抗体の定常領域とは異なる定常領域とともに使用され得る。ある特定の実施形態において、移植された可変領域は、一本鎖Fv抗体の一部である。CDR移植は、例えば、米国特許第6,180,370号、第6,054,297号、第5,693,762号、第5,859,205号、第5,693,761号、第5,565,332号、第5,585,089号及び第5,530,101号並びに「Jones et al.,Nature,321:522−525(1986);Riechmann et al.,Nature,332:323−327(1988);Verhoeyen et al.,Science,239:1534−1536(1988),Winter,FEBS Letts.,430:92−94(1998)」に記載されており、これらは、参照により、あらゆる目的のために本明細書に組み込まれる。
ヒト抗原結合タンパク質(例えば、抗体)
本明細書において記載されているように、PCSK9に結合する抗原結合タンパク質は、ヒト(即ち、完全ヒト)抗体及び/またはその一部を含み得る。ある特定の実施形態において、重鎖及び軽鎖免疫グロブリン分子をコードするヌクレオチド配列並びに重鎖及び軽鎖免疫グロブリン分子を含むアミノ酸配列(特に、可変領域に対応する配列)が提供される。ある特定の実施形態において、相補性決定領域(CDR)、特に、CDR1からCDR3に対応する配列が提供される。ある特定の実施形態によれば、そのような免疫グロブリン分子を発現するハイブリドーマ細胞株が提供される。ある特定の実施形態によれば、そのようなモノクローナル抗体を発現するハイブリドーマ細胞株が提供される。ある特定の実施形態において、ハイブリドーマ細胞株は、表2中に記載されている細胞株のうちの少なくとも1つ、例えば、21B12、16F12、及び31H4から選択される。ある特定の実施形態において、ヒトPCSK9に対する精製されたヒトモノクローナル抗体が提供される。
マウス抗体の不存在下でマウスがヒト抗体を産生することを期待して、ヒトIg遺伝子座の巨大断片を用いて、マウス抗体産生が欠損するマウス株を改変することができる。巨大ヒトIg断片は、巨大な可変遺伝子の多様性並びに抗体産生及び発現の適切な制御を保存することができる。抗体の多様化及び選択並びにヒトタンパク質に対する免疫学的寛容性の欠如のためにマウスの機構を活用することによって、これらのマウス系統中の再生されたヒト抗体レパートリーは、目的とするあらゆる抗原(ヒト抗原を含む)に対して、高親和性完全ヒト抗体を与えることができる。ハイブリドーマ技術を用いて、所望の特異性を有する抗原特異的ヒトMAbを作製し、選択することができる。ある特定の典型的な方法が、WO98/24893、米国特許第5,545,807号、EP546073、及びEP546073に記載されている。
ある特定の実施形態において、ヒト可変領域とともに、ヒト以外の種から得られる定常領域を使用することができる。
酵母人工染色体(YAC)中でメガ塩基サイズのヒト遺伝子座をクローニング及び再構築する能力、並びにマウス生殖系列中にそれらを導入する能力によって、極めて巨大なまたは大まかにマッピングされた遺伝子座の機能的成分を解明し、及びヒト疾病の有用なモデルを作製するためのアプローチが与えられる。さらに、マウス遺伝子座をそれらのヒト均等物で置換するためのそのような技術の使用によって、発達中のヒト遺伝子産物の発現及び制御、他の系とのそれらのやり取り並びに疾病の誘導及び進行におけるそれらの関与に対する洞察が与えられ得る。
ヒト抗体は、マウスまたはラットの可変及び/または定常領域を有する抗体に伴う問題のいくつかを回避する。そのようなマウスまたはラット由来のタンパク質の存在は、抗体の迅速な排除をもたらすことがあり、または患者による、抗体に対する免疫応答の生成をもたらすことがある。マウスまたはラットに由来する抗体の使用を回避するために、げっ歯類、他の哺乳動物または動物が完全ヒト抗体を産生するように、げっ歯類、他の哺乳動物、または動物中に機能的なヒト抗体遺伝子座の導入を通じて、完全ヒト抗体を作製することができる。
ヒト化抗体は、まずヒトでない抗体アミノ酸配列を含有することから開始しながら、ヒト抗体配列で置換されたこれらの非ヒト抗体アミノ酸配列の少なくともいくつかを有する抗体である。これは、ヒトが有する遺伝子によって抗体がコードされる(またはコードされることができる)ヒト抗体とは異なる。
抗原結合タンパク質のバリアント
提供される他の抗体は、表2及び図2A〜3JJ及び3LL〜JJJ並びに3LLL中に示されている可変重鎖及び可変軽鎖の組み合わせまたはサブパートによって形成され、表2中の配列(配列全体または配列のサブパート(例えば、1つまたはそれ以上のCDR))及び図2A〜3JJ及び3LL〜JJJ並びに3LLLの配列のアミノ酸配列に対して、それぞれ、少なくとも50%、50〜60、60〜70、70〜80%、80〜85%、85〜90%、90〜95%、95〜97%、97〜99%、または99%超の同一性を有する可変軽鎖及び/または可変重鎖を含む上掲のABPバリアントである。いくつかの事例において、そのような抗体は、少なくとも1つの重鎖及び1つの軽鎖を含むのに対して、他の例において、バリアント形態は、2つの同一の軽鎖及び2つの同一の重鎖(またはこれらのサブパート)を含有する。いくつかの実施形態において、結合に影響を及ぼす変動及び結合に影響を及ぼさないと思われる変動を観察することによって修飾することが可能な抗体の区画を特定するために、図2A〜3D(並びに13A〜13J、及び図31A及び31B中の他の実施形態)中の配列比較を使用することができる。例えば、類似の配列を比較することによって、修飾可能な区画(例えば、特定のアミノ酸)を特定し、ABPの機能性をなお保持しながら(または改善しながら)、それらをどのようにして修飾することができるかを特定することができる。いくつかの実施形態において、ABPのバリアントは、図13A、13C、13F、13G、13H、13I、13J、及び/または31A及び31B中に図示されているコンセンサス基及び配列を含み、変動が、図中に可変として特定される位置において可能である。図13A、13C、13F、13G、31A、及び31Bに示されているCDRは、Chothia法(構造ループ領域の位置に基づく。例えば、「Standard conformations for the canonical structures of immunoglobulins」Bissan Al−Lazikani,Arthur M.Lesk and Cyrus Chothia,Journal of Molecular Biology,273(4):927−948,7 November(1997)を参照されたい)とKabat法(配列変動性に基づく。例えば、Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition.NIH Publication No.91−3242,Kabat et al.,(1991)を参照されたい)のハイブリッド組み合わせに基づいて定義された。何れかの方法によって決定された各残基は、CDR残基の最終リスト中に含められた(図13A、13C、13F、13G、31A、及び31Bに記載されている)。図13H、13I、及び13J中のCDRは、Kabat法のみによって得られた。別段の記載がなければ、図13H〜13J中の定義されたコンセンサス配列、CDR、及びFRは、図13中において参照されているABPに対する表記CDR及びFRを定義し、制御する。
ある特定の実施形態において、抗原結合タンパク質は、配列番号74、85、71、72、67、87、58、52、51、53、48、54、55、56、49、57、50、91、64、62、89、65、79、80、76、77、78、83、69、81、60、419、423、427、431、435、439、443、447、451、455、459、463、467、471、475、479、及び483の配列のうちの少なくとも1つから選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む可変領域を含む重鎖を含む。ある特定の実施形態において、抗原結合タンパク質は、配列番号74、85、71、72、67、87、58、52、51、53、48、54、55、56、49、57、50、91、64、62、89、65、79、80、76、77、78、83、69、81、60、419、423、427、431、435、439、443、447、451、455、459、463、467、471、475、479、及び483の配列のうちの少なくとも1つから選択されるアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む可変領域を含む重鎖を含む。ある特定の実施形態において、抗原結合タンパク質は、配列番号74、85、71、72、67、87、58、52、51、53、48、54、55、56、49、57、50、91、64、62、89、65、79、80、76、77、78、83、69、81、60、419、423、427、431、435、439、443、447、451、455、459、463、467、471、475、479、及び483の配列のうちの少なくとも1つから選択されるアミノ酸配列と少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含む可変領域を含む重鎖を含む。
いくつかの実施形態において、抗原結合タンパク質は、配列番号74、85、71、72、67、87、58、52、51、53、48、54、55、56、49、57、50、91、64、62、89、65、79、80、76、77、78、83、69、81、60、419、423、427、431、435、439、443、447、451、455、459、463、467、471、475、479、及び483の配列のうちの少なくとも1つ中のCDRから得られる1つまたはそれ以上のCDRと少なくとも90%、90〜95%、及び/または95〜99%同一である配列を含む。いくつかの実施形態において、1、2、3、4、5、または6つのCDR(それぞれ、上記配列と少なくとも90%、90〜95%、及び/または95〜99%同一である)が存在する。
いくつかの実施形態において、抗原結合タンパク質は、配列番号74、85、71、72、67、87、58、52、51、53、48、54、55、56、49、57、50、91、64、62、89、65、79、80、76、77、78、83、69、81、60、419、423、427、431、435、439、443、447、451、455、459、463、467、471、475、479、及び483の配列のうちの少なくとも1つ中のFRから得られる1つまたはそれ以上のFRと少なくとも90%、90〜95%、及び/または95〜99%同一である配列を含む。いくつかの実施形態において、1、2、3、または4つのFR(それぞれ、上記配列と少なくとも90%、90〜95%、及び/または95〜99%同一である)が存在する。
ある特定の実施形態において、抗原結合タンパク質は、配列番号5、7、9、10、12、13、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、26、28、30、31、32、33、35、36、37、38、39、40、42、44、46、421、425、429、433、437、441、445、49、453、457、461、465、469、473、477、481、及び485の配列のうちの少なくとも1つから選択されるアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含む可変領域を含む軽鎖を含む。ある特定の実施形態において、抗原結合タンパク質は、配列番号5、7、9、10、12、13、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、26、28、30、31、32、33、35、36、37、38、39、40、42、44、及び46の配列のうちの少なくとも1つから選択されるアミノ酸配列と少なくとも95%同一のアミノ酸配列を含む可変領域を含む軽鎖を含む。ある特定の実施形態において、抗原結合タンパク質は、配列番号5、7、9、10、12、13、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、26、28、30、31、32、33、35、36、37、38、39、40、42、44、46、421、425、429、433、437、441、445、49、453、457、461、465、469、473、477、481、及び485の配列のうちの少なくとも1つから選択されたアミノ酸配列と少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含む可変領域を含む軽鎖を含む。
いくつかの実施形態において、抗原結合タンパク質は、配列番号5、7、9、10、12、13、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、26、28、30、31、32、33、35、36、37、38、39、40、42、44、46、421、425、429、433、437、441、445、49、453、457、461、465、469、473、477、481、及び485の配列のうちの少なくとも1つ中のCDRから得られる1つまたはそれ以上のCDRと少なくとも90%、90〜95%、及び/または95〜99%同一である配列を含む。いくつかの実施形態において、1、2、3、4、5、または6つのCDR(それぞれ、上記配列と少なくとも90%、90〜95%、及び/または95〜99%同一である)が存在する。
いくつかの実施形態において、抗原結合タンパク質は、配列番号5、7、9、10、12、13、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、26、28、30、31、32、33、35、36、37、38、39、40、42、44、46、421、425、429、433、437、441、445、49、453、457、461、465、469、473、477、481、及び485の配列のうちの少なくとも1つ中のFRから得られる1つまたはそれ以上のFRと少なくとも90%、90〜95%、及び/または95〜99%同一である配列を含む。いくつかの実施形態において、1、2、3、または4つのFR(それぞれ、上記配列と少なくとも90%、90〜95%、及び/または95〜99%同一である)が存在する。
本開示に照らして、当業者であれば、本明細書において記載されているように、周知の技術を用いて、ABPの適切なバリアントを決定することができるであろう。ある特定の実施形態において、当業者は、活性にとって重要でないと考えられている領域を標的とすることによって、活性を破壊することなく変化することができる、分子の適切な領域を特定し得る。ある特定の実施形態において、類似のポリペプチド間で保存されている、分子の残基及び部分を特定することができる。ある特定の実施形態において、生物活性にとって、または構造にとって重要であり得る領域でさえ、生物活性を破壊することなく、またはポリペプチド構造に悪影響を与えることなく、保存的なアミノ酸置換を施すことができる。
さらに、当業者は、活性または構造にとって重要である類似のポリペプチド中の残基を特定する構造機能研究を調査することができる。そのような比較の見地から、類似のタンパク質において活性または構造にとって重要であるアミノ酸に対応するタンパク質中のアミノ酸残基の重要性を予測することができる。当業者であれば、そのような予測された重要なアミノ酸残基に対して化学的に類似するアミノ酸置換を選択し得る。
当業者であれば、類似のABP中の構造に関して、三次元構造及びアミノ酸配列を分析することも可能である。そのような情報の見地から、当業者は、その三次元構造に関して、抗体のアミノ酸残基の並置を予測し得る。ある特定の実施形態において、タンパク質の表面上に存在すると予測されるアミノ酸残基は、他の分子との重要な相互作用に関与し得るので、当業者は、タンパク質の表面上に存在すると予測されるアミノ酸残基に対して大幅な変化を与えないように選択し得る。さらに、当業者であれば、各所望のアミノ酸残基に単一アミノ酸置換を含有する試験バリアントを作製することもできる。次いで、このバリアントは、当業者に公知の活性アッセイを用いてスクリーニングすることができる。そのようなバリアントは、適切なバリアントについての情報を集めるために使用し得る。例えば、特定のアミノ酸残基への変化が、損なわれた活性、望ましくない程度に減少した活性または不適切な活性をもたらすことを発見したのであれば、そのような変化を有するバリアントが回避され得る。換言すれば、そのような日常的な実験から集められた情報に基づいて、当業者は、単独で、または他の変異と組み合わせて、さらなる置換を回避すべきアミノ酸を容易に決定することができる。
多数の科学的刊行物が二次構造の予測を取り扱っている。「Moult J.,Curr.Op.in Biotech.,7(4):422−427(1996),Chou et al.,Biochemistry,13(2):222−245(1974);Chou et al.,Biochemistry,113(2):211−222(1974);Chou et al.,Adv.Enzymol.Relat.Areas Mol.Biol.,47:45−148(1978);Chou et al.,Ann.Rev.Biochem.,47:251−276 and Chou et al.,Biophys.J.,26:367−384(1979)」を参照されたい。さらに、現在では、二次構造の予測を補助するために、コンピュータプログラムを使用することができる。二次構造を予測する一つの方法は、相同性モデリングに基づいている。例えば、30%を超える配列同一性または40%を超える類似性を有する2つのポリペプチドまたはタンパク質は、しばしば、類似の構造的トポロジーを有する。近年のタンパク質構造データベース(PDB)の充実は、ポリペプチドまたはタンパク質の構造内に生じ得る折り畳みの数など、二次構造の予測可能性を向上させた。「Holm et al.,Nucl.Acid.Res.,27(1):244−247(1999)」を参照されたい。所定のポリペプチドまたはタンパク質中には、限られた数の折り畳みが存在すること、及び、一定以上の数の構造が決定されると、構造予測は劇的に正確さが増し得ることが、示唆されている(Brenner et al.,Curr.Op.Struct.Biol.,7(3):369−376(1997))。
二次構造を予測するさらなる方法には、「スレッディング」(Jones,D.,Curr.Opin.Struct.Biol.,7(3):377−87(1997);Sippl et al.,Structure,4(1):15−19(1996))、「プロファイル分析」(Bowie et al.,Science,253:164−170(1991);Gribskov et al.,Meth.Enzym.,183:146−159(1990);Gribskov et al.,Proc.Nat.Acad.Sci.,84(13):4355−4358(1987))、及び「進化的連関」(Holm,上記(1999),及びBrenner,上記(1997)を参照。)が含まれる。
ある特定の実施形態において、抗原結合タンパク質バリアントには、親ポリペプチドのアミノ酸配列に比べて、グリコシル化部位の数及び/または種類が変化している、グリコシル化バリアントが含まれる。ある特定の実施形態において、タンパク質バリアントは、天然のタンパク質より多いまたは少ない数のN結合型グリコシル化部位を含む。N結合型グリコシル化部位は、配列:Asn−X−SerまたはAsn−X−Thr(Xとして表記されるアミノ酸残基は、プロリンを除く任意のアミノ酸残基であり得る。)を特徴とする。この配列を作製するためのアミノ酸残基の置換は、N結合型炭水化物鎖を付加し得る新しい部位を与える。あるいは、この配列を除去する置換は、既存のN結合型炭水化物鎖を除去するであろう。1つまたはそれ以上のN結合型グリコシル化部位(典型的には、天然に存在するもの)が除去され、1つまたはそれ以上の新たなN結合型部位が作出されている、N結合型炭水化物鎖の再配置も提供される。その他の好ましい抗体バリアントには、親アミノ酸配列と比べて、1つまたはそれ以上のシステイン残基が欠失され、または別のアミノ酸(例えば、セリン)に置換されている、システインバリアントが含まれる。システインバリアントは、不溶性の封入体の単離後のように、抗体が生物学的に活性な立体構造に再折り畳みされなければならないときに、有用であり得る。システインバリアントは、一般に、天然のタンパク質に比べて少ないシステイン残基を有しており、典型的には、対を形成していないシステインから生じる相互作用を最小限に抑えるために、偶数を有する。
ある特定の実施形態によれば、アミノ酸置換は、(1)タンパク質分解の受け易さを減少させる、(2)酸化され易さを減少させる、(3)タンパク質複合体を形成するための結合親和性を変化させる、(4)結合親和性を変化させる、及び/または(4)そのようなポリペプチドに対して、他の物理化学的若しくは機能的特性を付与し、若しくは修飾するアミノ酸置換である。ある特定の実施形態によれば、単一または複数のアミノ酸置換(ある特定の実施形態において、保存的なアミノ酸置換)は、天然に存在する配列中に(ある特定の実施形態において、分子間接触を形成するドメインの外側にある、ポリペプチド部分中に)行い得る。ある特定の実施形態において、保存的なアミノ酸置換は、典型的には、親配列の構造的特性を実質的に変化し得ない(例えば、置換アミノ酸は、親配列中に存在するヘリックスを切断する傾向が存在すべきでなく、または親配列を特徴付ける他の種類の二次構造を破壊する傾向が存在すべきない)。本分野で認知されているポリペプチド二次構造及び三次構造の例は、「Proteins, Structures and Molecular Principles(Creighton,Ed.,W.H.Freeman and Company,New York(1984));Introduction to Protein Structure(C.Branden and J.Tooze,eds.,Garland Publishing,New York,N.Y.(1991));and Thornton et al.,Nature 354:105(1991)」(それぞれ、参照により、本明細書に組み込まれる)に記載されている。
いくつかの実施形態において、バリアントは、本明細書中に開示されているABPの核酸配列のバリアントである。当業者には、ABPタンパク質バリアントを特定し、評価し、及び作製するために、及びこれらのタンパク質バリアントをコードし得る核酸配列に対して、上記考察を使用できることが分かるであろう。従って、タンパク質バリアントをコードする核酸配列(及び表2中のABPをコードするが、本明細書中に明示的に開示されている核酸配列とは異なる核酸配列)が想定される。例えば、ABPバリアントは、配列番号152、153、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、296、418、420、422、424、426、428、430、432、434、436、438、440、442、444、446、448、450、452、454、456、458、460、462、464、466、468、470、472、474、476、478、480、482、及び484中に記載されている少なくとも1つの核酸配列または配列番号152、153、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、及び151、296、418、420、422、424、426、428、430、432、434、436、438、440、442、444、446、448、450、452、454、456、458、460、462、464、466、468、470、472、474、476、478、480、482、及び484中の核酸配列によってコードされるCDRのうちの少なくとも1つから6つ(及びこれらの様々な組み合わせ)と少なくとも80、80〜85、85〜90、90〜95、95〜97、97〜99、またはそれ以上の同一性を有することができる。
いくつかの実施形態において、ストリンジェントな条件下で、特定のABPをコードする核酸配列(または核酸配列そのもの)が表2中のタンパク質をコードする核酸配列の何れか(例えば、配列番号152、153、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、296、418、420、422、424、426、428、430、432、434、436、438、440、442、444、446、448、450、452、454、456、458、460、462、464、466、468、470、472、474、476、478、480、482、及び484など(但し、これらに限定されない))に選択的にハイブリッド形成することができるのであれば、抗体(または抗体をコードする核酸配列)は、バリアントである。一実施形態において、適切な中度にストリンジェントな条件は、5XSSC;0.5%SDS、1.0mMEDTA(pH8.0)の溶液中での事前洗浄、50℃、−65℃、5×SSC、一晩でのハイブリッド形成、または種間相同性の場合には、0.5×SSCでの45℃のハイブリッド形成、次いで、0.1%SDSを含有する2×、0.5×、及び0.2×SSCの各々での、20分間、65℃で2回の洗浄を含む。そのようなハイブリッド形成DNA配列も本発明の範囲に属し、コード縮重のために、ハイブリッド形成DNA配列によってコードされる抗体ポリペプチドと、これらの核酸配列によってコードされるアミノ酸配列とをコードするヌクレオチド配列も同様である。いくつかの実施形態において、CDRのバリアントには、上記配列内のCDRの1つまたはそれ以上(図2A〜3D並びに図3CCC〜3JJJ及び15A〜15D中の他の実施形態に照らして、各CDRは容易に決定することができる)にハイブリッド形成する核酸配列及び核酸配列によってコードされるアミノ酸配列が含まれる。この文脈において言及される「選択的にハイブリッド形成する」という用語は、検出可能に及び選択的に結合することを意味する。本発明に係るポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、及びこれらの断片は、非特異的な核酸への検出可能な結合の多量を最小化するハイブリッド形成及び洗浄条件下で、核酸鎖に選択的にハイブリッド形成する。当該技術分野で公知であるように、及び本明細書に論述されているように、選択的なハイブリッド形成条件を達成するために、高いストリンジェンシー条件を使用することができる。一般に、本発明のポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、及び断片と目的の核酸配列との間の核酸配列相同性は、少なくとも80%であり、より典型的には、少なくとも85%、90%、95%、99%、及び100%の好ましく増大する相同性を有する。2つのアミノ酸配列の間に部分的なまたは完全な同一性が存在する場合には、2つのアミノ酸配列は相同的である。例えば、85%の相同性は、最大の合致が得られるように、2つの配列が並置される場合にアミノ酸の85%が同一であることを意味する。合致を最大化する上で(合致されている2つの配列の何れかの中に)ギャップが許容される。5またはそれ以下のギャップ長が好ましく、2またはそれ以下がさらに好ましい。これに代えて及び好ましくは、本明細書においてこの用語が使用される場合には、変異データマトリックス及び6またはそれ以上のギャップペナルティを使用するプログラムALIGNを用いて、(標準偏差単位で)5より多くの並置スコアを有すれば、2つのタンパク質配列(または少なくとも30アミノ酸長の、これらから得られるポリペプチド配列)は、相同である。「Dayhoff,M.O.,in Atlas of Protein Sequence and Structure,pp.101〜110(Volume 5,National Biomedical Research Foundation(1972))及びこの巻に対する補遺2、pp.1〜10」を参照されたい。ALIGNプログラムを用いて最適に並置された場合に、2つの配列またはその一部のアミノ酸が50%より大きいまたは50%に等しければ、2つの配列またはその一部は、より好ましく相同的である。本明細書において、「対応する」という用語は、参照ポリヌクレオチド配列の全て若しくは一部に対して、ポリヌクレオチド配列が相同的である(即ち、同一であり、厳格に進化的に関連していない)こと、またはポリペプチド配列が参照ポリペプチド配列と同一であることを意味するために使用される。これに対して、「相補的な」という用語は、本明細書において、相補的配列が参照ポリヌクレオチド配列の全部または一部に対して相同的であることを意味するために使用される。例として、ヌクレオチド配列「TATAC」は、参照配列「TATAC」に対応し、参照配列「GTATA」に対して相補的である。
抗原結合タンパク質(例えば、抗体)の調製
ある特定の実施形態において、(抗体などの)抗原結合タンパク質は、抗原(例えば、PCSK9)を用いた免疫化によって産生される。ある特定の実施形態において、抗体は、完全長PCSK9、PCSK9の可溶性形態、触媒ドメインのみ、図1A中に示されているPCSK9の成熟形態、PCSK9のスプライスバリアント形態、またはこれらの断片を用いた免疫化によって作製することができる。ある特定の実施形態において、本発明の抗体は、ポリクローナル若しくはモノクローナルであり得、及び/または組み換え抗体であり得る。ある特定の実施形態において、本発明の抗体は、例えば、ヒト抗体を産生することができるトランスジェニック動物の免疫化によって調製されたヒト抗体である(例えば、PCT出願公開W093/12227を参照されたい)。
ある特定の実施形態において、その標的に対する抗体の親和性など、抗体の固有の特性を操作するために、ある特定の戦略を使用することができる。そのような戦略には、抗体バリアントを作製するために、抗体をコードするポリヌクレオチド分子の部位特異的なまたは無作為の突然変異導入を使用することが含まれるが、これに限定されない。ある特定の実施形態において、そのような作製の後には、所望の変化(例えば、増加または減少した親和性)を示す抗体バリアントのスクリーニングを行う。
ある特定の実施形態において、突然変異導入戦略中で標的とされるアミノ酸残基は、CDR中のアミノ酸残基である。ある特定の実施形態において、可変ドメインのフレームワーク領域中のアミノ酸が標的とされる。ある特定の実施形態において、そのようなフレームワーク領域は、ある抗体の標的結合特性に寄与することが示されている。例えば、「Hudson,Curr.Opin.Biotech.,9:395−402(1999)」及びその中の参考文献を参照されたい。
ある特定の実施形態において、無作為のまたは部位指定突然変異導入をCDR中の高頻度変異部位(体細胞親和性成熟プロセスの間に変異を受けやすい領域に対応する部位)に制限することによって、抗体バリアントのより小さく、より効果的にスクリーニングされるライブラリーが作製される。例えば、「Chowdhury & Pastan,Nature Biotech.,17:568−572(1999)」及びその中の参考文献を参照されたい。ある特定の実施形態において、ある特定の直接及び反転リピート、ある特定のコンセンサス配列、ある特定の二次構造、及びある特定のパリンドロームなど(但し、これらに限定されない)の高頻度変異部位を特定するために、DNA要素のある種類を使用することができる。例えば、高頻度変異部位を特定するために使用することができるそのようなDNA要素には、プリン(AまたはG)を含む四塩基配列に続くグアニン(G)に続くピリミジン(CまたはT)に続くアデノシンまたはチミジン(AまたはT)の何れか(即ち、A/G−G−C/T−A/T)が含まれるが、これらに限定されない。高頻度変異部位を特定するために使用することができるDNA要素の別の例は、セリンコドンA−G−C/Tである。
完全ヒトABP(例えば、抗体)の調製
ある特定の実施形態において、モノクローナル抗体を作製するために、ファージディスプレイ技術が使用される。ある特定の実施形態において、そのような技術は、完全ヒトモノクローナル抗体を作製する。ある特定の実施形態において、単一のFabまたはFv抗体断片をコードするポリヌクレオチドが、ファージ粒子の表面上に発現される。例えば、Hoogenboom et al.,J.Mol.Biol.,227:381(1991);Marks et al.,J Mol Biol 222:581(1991);米国特許第5,885,793号を参照されたい。ある特定の実施形態において、標的に対する親和性を有する抗体断片を特定するために、ファージが「スクリーニング」される。従って、ある特定のそのようなプロセスは、糸状バクテリオファージの表面上への抗体断片レパートリーのディスプレー及び標的への抗体断片レパートリーの結合によってファージのその後の選択を通じて免疫選択を模倣する。ある特定のそのような手法では、高親和性機能的中和抗体断片が単離される。(以下により詳しく論述されている)ある特定のそのような実施形態において、ヒト抗体遺伝子の完全なレパートリーは、末梢血リンパ球から天然に再配置されたヒトV遺伝子をクローニングすることによって作製される。例えば、「Mullinax et al,Proc Natl Acad Sci(USA),87:8095−8099(1990)」を参照されたい。
ある特定の実施形態によれば、挿入されたヒト抗体産生ゲノムのかなりの部分を有するが、内在性マウス抗体の産生が欠失されたトランスジェニックマウスの使用を通じて、本発明の抗体が調製される。次いで、そのようなマウスは、ヒト免疫グロブリン分子及び抗体を産生することができ、マウス免疫グロブリン分子及び抗体の産生を欠損している。この結果を達成するために使用される技術は、本明細書中に開示されている特許、出願、及び参考文献中に開示されている。ある特定の実施形態において、PCT公開出願WO98/24893または「Mendez et al,Nature Genetics,15:146−156(1997)」(あらゆる目的のために、参照により、本明細書に組み込まれる)に開示される方法などの方法を使用することができる。
一般に、PCSK9に対して特異的な完全ヒトモノクローナルABP(例えば、抗体)は、以下のように作製することができる。ヒト免疫グロブリン遺伝子を含有するトランスジェニックマウスが、目的の抗原(例えば、PCSK9)で免疫化され、抗体を発現するマウスからリンパ細胞(B細胞など)が得られる。不死化ハイブリドーマ細胞株を調製するために、そのような回収された細胞は骨髄性細胞株と融合され、目的の抗原に対して特異的な抗体を産生するハイブリドーマ細胞株を特定するために、そのようなハイブリドーマ細胞株はスクリーニング及び選択される。ある特定の実施形態において、PCSK9に対して特異的な抗体を産生するハイブリドーマ細胞株の産生が提供される。
ある特定の実施形態において、完全ヒト抗体が、ヒト脾細胞(BまたはT細胞)をインビトロで抗原に曝露させ、次いで、免疫不全化されたマウス(例えば、SCIDまたはnod/SCID)中で曝露された細胞を再構成させることによって産生される。例えば、「Brams et al,J.Immunol.160:2051−2058(1998);Carballido et al.,Nat.Med.,6:103−106(2000)」を参照されたい。ある特定のそのようなアプローチにおいて、SCIDマウス(SCID−hu)中へのヒト胎児組織の移植が、長期造血及びヒトT細胞の成長をもたらす。例えば、「McCune et al.,Science,241:1532−1639(1988);Ifversen et al.,Sem.Immunol.,8:243−248(1996)」を参照されたい。ある特定の事例において、そのようなキメラマウス中での液性免疫応答は、動物内でのヒトT細胞の同時成長に依存する。例えば、「Martensson et al.,Immunol.,83:1271−179(1994)」を参照されたい。ある特定のアプローチにおいて、ヒト末梢血液リンパ球がSCIDマウス中に移植される。例えば、「Mosier et al.,Nature,335:256−259(1988)」を参照されたい。ある特定のそのような実施形態において、ブドウ球菌のエンテロトキシンA(SEA)などの刺激剤で、または抗ヒトCD40モノクローナル抗体の何れかで、そのような移植された細胞が処理されると、より高いレベルのB細胞産生が検出される。例えば、「Martensson et al.,Immunol.,84:224−230(1995);Murphy et al,Blood,86:1946−1953(1995)」を参照されたい。
従って、ある特定の実施形態において、完全ヒト抗体は、宿主細胞中での組み換えDNAの発現によって、またはハイブリドーマ細胞中での発現によって産生され得る。他の実施形態において、抗体は、本明細書中に記載されているファージディスプレイ技術を用いて産生され得る。
本明細書中に記載されている抗体は、本明細書中に記載されているように、XenoMouse(登録商標)技術の使用を通じて調製された。次いで、そのようなマウスは、ヒト免疫グロブリン分子及び抗体を産生することができ、マウス免疫グロブリン分子及び抗体の産生を欠損している。それを達成するために使用される技術は、本明細書の背景技術の部に開示されている特許、出願、及び参考文献中に開示されている。しかしながら、特に、マウスのトランスジェニック産生及びそこから得られる抗体の好ましい実施形態は、1996年12月3日に出願された米国特許出願第08/759,620号及び1998年6月11日に公開された国際特許出願WO98/24893及び2000年12月21日に公開されたWO00/76310(これらの開示は、参照により、本明細書に組み込まれている)に開示されている。「Mendez et al,Nature Genetics,15:146−156(1997)」(その開示は、参照により、本明細書に組み込まれる)も参照されたい。
そのような技術の使用を通じて、様々な抗原に対する完全ヒトモノクローナル抗体が産生されている。基本的に、マウスのXenoMouse(登録商標)系統が目的の抗原(例えば、PCSK9)で免疫化され、リンパ細胞(B細胞など)が高度免疫化されたマウスから回収され、回収されたリンパ球が、不死化されたハイブリドーマ細胞株を調製するために、骨髄型細胞株と融合される。目的の抗原に対して特異的な抗体を産生されるハイブリドーマ細胞株を特定するために、これらのハイブリドーマ細胞株は、スクリーニング及び選択される。PCSK9に対して特異的な抗体を産生する複数のハイブリドーマ細胞株を作製するための方法が、本明細書において提供される。さらに、そのような抗体の重鎖及び軽鎖のヌクレオチド及びアミノ酸配列分析など、そのような細胞株によって産生される抗体の性質決定が本明細書に提供される。
マウスのXenoMouse(登録商標)系統の作製は、1990年1月12日に出願された米国特許出願第07/466,008号、1990年11月8日に出願された第07/610,515号、1992年7月24日に出願された第07/919,297号、1992年6月30日に出願された第07/922,649号、1993年3月15日に出願された第08/031,801号、1993年8月27日に出願された第08/112,848号、1994年4月28日に出願された第08/234,145号、1995年1月20日に出願された第08/376,279号、1995年4月27日に出願された第08/430,938号、1995年6月5日に出願された第08/464,584号、1995年6月5日に出願された08/464,582号、1995年6月5日に出願された第08/463,191号、1995年6月5日に出願された第08/462,837号、1995年6月5日に出願された第08/486,853号、1995年6月5日に出願された第08/486,857号、1995年6月5日に出願された第08/486,859号、1995年6月5日に出願された第08/462,513号、1996年10月2日に出願された第08/724,752号、1996年12月3日に出願された第08/759,620号、2001年11月30日に出願された米国公開第2003/0093820号及び米国特許第6,162,963号、同第6,150,584号、同第6,114,598号、同第6,075,181号、同第5,939,598号及び日本国特許第3068180B2、同第3068506B2、及び同第3068507B2中に論述され、記載されている。1996年6月12日に許諾公表された欧州特許EP0463151B1、1994年2月3日に公開された国際特許出願WO94/02602、1996年10月31日に公開された国際特許出願WO96/34096、1998年6月11日に公開されたWO98/24893、2000年12月21日に公開されたWO00/76310も参照されたい。上記特許、出願、及び参考文献の各々の開示の全体が、参照により、本明細書に組み込まれる。
別のアプローチにおいて、GenPharm International,Inc.,などの他社は、「ミニローカス」アプローチを使用した。ミニローカスアプローチでは、Ig遺伝子座からの片(各遺伝子)を含めることを通じて、外来Ig遺伝子座が模倣される。従って、1つまたはそれ以上のV遺伝子、1つまたはそれ以上のD遺伝子、1つまたはそれ以上のJ遺伝子、μ定常領域、及び通常第二の定常領域(好ましくは、γ定常領域)が、動物中に挿入するための構築物中に形成される。このアプローチは、Surani et al.に対する米国特許第5,545,807号並びにそれぞれLonberg & Kayに対する米国特許第5,545,806号、同第5,625,825号、同第5,625,126号、同第5,633,425号、同第5,661,016号、同第5,770,429号、同第5,789,650号、同第5,814,318号、同第5,877,397号、同第5,874,299号、及び同第6,255,458号、Krimpenfort及びBernsに対する米国特許第5,591,669号及び同第6,023.010号、Berns et al.,に他する米国特許第5,612,205号、同第5,721,367号及び同第5,789,215号並びにChoi & Dunn,and GenPharmに対する米国特許第5,643,763号、1990年8月29日に出願された国際米国特許出願第07/574,748号、1990年8月31日に出願された第07/575,962号、1991年12月17日に出願された07/810,279号、1992年3月18日に出願された第07/853,408号、1992年6月23日に出願された第07/904,068号、1992年12月16日に出願された第07/990,860号、1993年4月26日に出願された第08/053,131号、1993年7月22日に出願された第08/096,762号、1993年11月18日に出願された第08/155,301号、1993年12月3日出願された第08/161,739号、1993年12月10日に出願された第08/165,699号、1994年3月9日に出願された第08/209,741号(これらの開示は、参照により、本明細書に組み込まれる)中に記載されている。欧州特許第0546073B1、国際特許出願WO92/03918、WO92/22645、WO92/22647、WO92/22670、WO93/12227、WO94/00569、WO94/25585、WO96/14436、WO97/13852、及びWO98/24884、並びに米国特許第5,981,175号(これらの開示全体が、参照により、本明細書に組み込まれる)も参照されたい。Taylor et al.,1992,Chen et al,1993.,Tuaillon et al.,1993,Choi et al.,1993,Lonberg et al.,(1994),Taylor et al.,(1994)及びTuaillon et al.,(1995),Fishwild et al.,(1996)(これらの開示全体が、参照により、本明細書に組み込まれる)をさらに参照されたい。
Kirinは、微小細胞融合、染色体の大きな片、または染色体全体がその中に導入されたマウスからのヒト抗体の作製も示した。欧州特許出願第773288号及び同第843961号(これらの開示は、参照により、本明細書に組み込まれる)を参照されたい。さらに、KirinのTcマウスとMedarexのミニローカス(Humab)マウスとの交雑の結果であるKM(商標)マウスが作製されている。これらのマウスは、KirinマウスのヒトIgH導入染色体及びGenpharmマウスのκ鎖導入遺伝子を有する(Ishida et al.,Cloning Stem Cells,(2002)4:91−102)。
ヒト抗体は、インビトロ法によっても誘導され得る。適切な例には、ファージディスプレイ(CAT、Morphosys、Dyax、Biosite/Medarex、Xoma、Symphogen、Alexion(旧Proliferon)、Affimed)、リボソームディスプレー(CAT)、酵母ディスプレーなどが含まれるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている抗体は、ヒトIgG4重鎖及びIgG2重鎖を有する。抗体は、IgG1を含む他のヒトアイソタイプのものでもあり得る。様々な技術によって測定された場合に、抗体は、高い親和性を有しており、典型的には、約10−6〜約10−13Mまたはそれ以下のKdを有する。
理解されるであろうように、抗体は、ハイブリドーマ細胞株以外の細胞株中で発現させることができる。適切な哺乳動物宿主細胞を形質転換するために、特定の抗体をコードする配列を使用することができる。形質転換は、例えば、ポリヌクレオチドをウイルス中に(またはウイルスベクター中に)パッケージし、ウイルス(またはベクター)でまたは米国特許第4,399,216号、同第4,912,040号、同第4,740,461号及び同第4,959,455号(これらの特許は、参照により、本明細書に組み込まれる)によって例示されているような、当該技術分野で公知の形質移入手法によって宿主細胞を形質導入することを含む、宿主細胞中にポリヌクレオチドを導入するためのあらゆる公知の方法により得る。使用される形質転換手法は、形質転換されるべき宿主に依存する。哺乳動物細胞中に異種のポリヌクレオチドを導入するための方法は、当該技術分野において周知であり、デキストランによって媒介された形質移入、リン酸カルシウム沈殿、ポリブレンによって媒介される形質移入、プロトプラスト融合、電気穿孔、リポソーム中のポリヌクレオチドの封入化、及びDNAの核内への直接的微小注入を含む。
発現用の宿主として利用可能な哺乳動物細胞株は、当該技術分野において周知であり、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、サル腎臓細胞(COS)、ヒト肝細胞癌細胞(例えば、HepG2)、ヒト上皮腎臓293細胞、及び多数の他の細胞株など(但し、これらに限定されない)、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)から入手可能な多くの不死化された細胞株が含まれる。特に好ましい細胞株は、何れの細胞が高い発現レベルを有し、恒常的なPCSK9結合特性を有する抗体を産生するかの決定を通じて選択され得る。
ある特定の実施形態において、抗体及び/またはABPは、以下のハイブリドーマのうちの少なくとも1つによって産生される:21B12、31H4、16F12、表2中に列記されているまたは実施例に開示されている他の何れかのハイブリドーマ。ある特定の実施形態において、抗原結合タンパク質は、約1nM未満、例えば、1000pM〜100pM、100pM〜10pM、10pM〜1pM、及び/または1pM〜0.1pMまたはそれ以下の解離定数(K)でPCSK9に結合する。
ある特定の実施形態において、抗原結合タンパク質は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgE、IgA、IgD、及びIgMアイソタイプのうちの少なくとも1つの免疫グロブリン分子を含む。ある特定の実施形態において、抗原結合タンパク質は、ヒトκ軽鎖及び/またはヒト重鎖を含む。ある特定の実施形態において、重鎖は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgE、IgA、IgD、またはIgMアイソタイプの重鎖である。ある特定の実施形態において、抗原結合タンパク質は、哺乳動物細胞中での発現のためにクローニングされている。ある特定の実施形態において、抗原結合タンパク質は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgE、IgA、IgD、及びIgMアイソタイプの定常領域の何れか以外の定常領域を含む。
ある特定の実施形態において、抗原結合タンパク質は、ヒトλ軽鎖及びヒトIgG2重鎖を含む。ある特定の実施形態において、抗原結合タンパク質は、ヒトλ軽鎖及びヒトIgG4重鎖を含む。ある特定の実施形態において、抗原結合タンパク質は、ヒトλ軽鎖及びヒトIgG1、IgG3、IgE、IgA、IgD、またはIgM重鎖を含む。他の実施形態において、抗原結合タンパク質は、ヒトκ軽鎖及びヒトIgG2重鎖を含む。ある特定の実施形態において、抗原結合タンパク質は、ヒトκ軽鎖及びヒトIgG4重鎖を含む。ある特定の実施形態において、抗原結合タンパク質は、ヒトκ軽鎖及びヒトIgG1、IgG3、IgE、IgA、IgD、またはIgM重鎖を含む。ある特定の実施形態において、抗原結合タンパク質は、IgG2アイソタイプに対する定常領域でもなく、IgG4アイソタイプに対する定常領域でもない定常領域に連結された抗体の可変領域を含む。ある特定の実施形態において、抗原結合タンパク質は、哺乳動物細胞中での発現のためにクローニングされている。
ある特定の実施形態において、ハイブリドーマ株:21B12、31H4、及び16F12のうち少なくとも1つから得られる抗体の重鎖及び軽鎖への保存的な修飾(及びコードするヌクレオチドへの対応する修飾)は、ハイブリドーマ株:21B12、31H4、及び16F12から得られる抗体と同様の機能的及び化学的特性を有する、PCSK9に対する抗体を産生するであろう。さらに、ハイブリドーマ株:21B12、31H4、及び16F12のうち少なくとも1つから得られる抗体の重鎖及び軽鎖への、ある特定の他の修飾(及びコードするヌクレオチドへの対応する修飾)は、ハイブリドーマ株:21B12、31H4、及び16F12(例えば、配列番号592〜593など)から得られる抗体と同様の機能的及び化学的特性を有する、PCSK9に対する抗体を産生するであろう。これに対して、ある特定の実施形態において、PCSK9に対する抗体の機能的及び/または化学的特性の実質的な修飾は、(a)置換の領域中にある分子骨格の構造(例えば、シートまたはヘリカル構造として)、(b)標的部位における分子の電荷若しくは疎水性、または(c)側鎖のかさ高さの維持に対するそれらの効果とは著しく異なる重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列中の置換を選択することによって達成され得る。
例えば、「保存的なアミノ酸置換」は、その位置にあるアミノ酸残基の極性または電荷に対して、ほとんどまたは全く影響が存在しないように、天然アミノ酸残基を非天然残基で置換することが含まれ得る。さらに、「アラニンスキャニング突然変異導入」について以前に記載されているように、ポリペプチド中の任意の天然残基をアラニンに置換することもできる。
所望のアミノ酸挿入または置換(保存的であると、保存的でないとを問わない)は、そのような挿入または置換が望まれる時点で、当業者によって決定することができる。ある特定の実施形態において、アミノ酸置換が、PCSK9に対する抗体の重要な残基を特定するために、または本明細書に記載されている、PCSK9に対する抗体の親和性を増加若しくは減少させるために使用することができる。
ある特定の実施形態において、本発明の抗体は、ハイブリドーマ細胞株以外の細胞株中で発現することができる。ある特定の実施形態において、特定の抗体をコードする配列を、適切な哺乳動物宿主細胞の形質転換のために使用することができる。ある特定の実施形態によれば、形質転換は、宿主細胞中にポリヌクレオチドを導入するための任意の公知の方法によって、例えば、ウイルス中(またはウイルスベクター中に)にポリヌクレオチドをパッケージングし、宿主細胞をこのウイルス(またはベクター)で形質導入するか、または米国特許第4,399,216号、第4,912,040号、第4,740,461、及び第4,959,455号(これらの特許は、あらゆる目的のために、参照により、本明細書に組み込まれる)に例示されているような、当該技術分野で公知の形質移入手法などによって行うことができる。ある特定の実施形態において、使用される形質転換手法は、形質転換すべき宿主に依存し得る。異種のポリヌクレオチドを哺乳動物細胞中に導入する方法は、当該技術分野において周知であり、デキストランによって媒介される形質移入、リン酸カルシウム沈殿、ポリブレンによって媒介される形質移入、プロトプラスト融合、電気穿孔、リポソーム中へのポリヌクレオチドの封入、及びDNAの核内への直接微量注入が含まれるが、これらに限定されない。
発現用の宿主として利用可能な哺乳動物細胞株は、当該技術分野において周知であり、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、サル腎臓細胞(COS)、ヒト肝細胞癌細胞(例えば、HepG2)、及び多数の他の細胞株を含む(但し、これらに限定されない)、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)から入手できる多くの不死化された細胞株が含まれるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態において、細胞株は、どの細胞株が高い発現レベルを有し、恒常的なHGF結合特性を有する抗体を産生するかを決定することを通じて選択され得る。哺乳動物宿主細胞にとって適切な発現ベクターは周知である。
ある特定の実施形態において、抗原結合タンパク質は、1つまたはそれ以上のポリペプチドを含む。ある特定の実施形態において、様々な発現ベクター/宿主系のいずれも、1つまたはそれ以上のABP成分またはABP自体を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチド分子を発現するために使用し得る。そのような系には、組み換えバクテリオファージ、プラスミド、若しくはコスミドDNA発現ベクターで形質転換された細菌のような微生物;酵母発現ベクターで形質転換された酵母;ウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)で感染された昆虫細胞系;ウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV、タバコモザイクウイルス、TMV)を形質移入され、若しくは細菌発現ベクター(例えば、TiまたはpBR322プラスミド)で形質転換された植物細胞系;または動物細胞系が含まれるが、これらに限定されない。
ある特定の実施形態において、1つまたはそれ以上のABP成分またはABP自体を含むポリペプチドは、酵母中で組み換え的に発現される。ある特定のそのような実施形態は、製造業者の指示書に従って、市販の発現系、例えば、Pichia Expression System(Invitrogen,San Diego,CA)を使用する。ある特定の実施形態において、そのような系は、分泌を誘導するためにプレプロα配列に依存する。ある特定の実施形態において、挿入物の転写は、メタノールによる誘導に際して、アルコールオキシダーゼ(AOX1)プロモーターによって駆動される。
ある特定の実施形態において、1つまたはそれ以上のABP成分またはABP自体を含む分泌されたポリペプチドが、酵母増殖培地から精製される。ある特定の実施形態において、酵母増殖培地からポリペプチドを精製するために使用される方法は、細菌及び哺乳動物の細胞上清からポリペプチドを精製するために使用される方法と同じである。
ある特定の実施形態において、1つまたはそれ以上のABP成分またはABP自体を含むポリペプチドをコードする核酸が、pVL1393(PharMingen,San Diego,CA)などの、バキュロウイルス発現ベクター中にクローニングされる。ある特定の実施形態において、そのようなベクターは、sF9タンパク質の含まれていない培地中でSpodoptera frugiperda細胞を感染させ、組み換えポリペプチドを産生するために、製造業者(PharMingen)の指示に従って使用することができる。ある特定の実施形態において、ポリペプチドは、ヘパリン−セファロースカラム(Pharmacia)を用いて、そのような培地から精製及び濃縮される。
ある特定の実施形態において、1つまたはそれ以上のABP成分またはABP自体を含むポリペプチドが、昆虫系中で発現される。ポリペプチド発現用のある特定の昆虫系が、当業者に周知である。そのような系の1つでは、オートグラファカルフォルニカ核多角体ウイルス(AcNPV)が、Spodoptera frugiperda細胞中またはTrichoplusia幼生中で外来遺伝子を発現するためのベクターとして使用される。ある特定の実施形態において、ポリペプチドをコードする核酸分子を、ウイルスの非必須遺伝子中(例えば、ポリヘドリン遺伝子内)に挿入し、その遺伝子に対するプロモーターの制御下に置くことができる。ある特定の実施形態において、核酸分子を上手く挿入することによって、非必須遺伝子が不活性になるであろう。ある特定の実施形態において、その不活化は、検出可能な特徴をもたらす。例えば、ポリヘドリン遺伝子の不活化は、コートタンパク質を欠くウイルスの産生をもたらす。
ある特定の実施形態において、S.frugiperda細胞またはTrichoplusia幼生を感染させるために、組み換えウイルスを使用することができる。例えば、「Smith et al.,J.Virol.,46:584(1983);Engelhard et al.,Proc.Nat.Acad.Sci.(USA)91:3224−7(1994)」を参照されたい。
ある特定の実施形態において、細菌細胞中で作られた、1つまたはそれ以上のABP成分またはABP自体を含むポリペプチドが、細菌中の不溶性封入体として産生される。ある特定の実施形態において、そのような封入体を含む宿主細胞は、遠心分離によって集められ、0.15M NaCl、10mM Tris、pH8、1mM EDTA中で洗浄し、0.1mg/mLのリゾチーム(Sigma,St.Louis,MO)で、15分間室温で処理される。ある特定の実施形態において、溶解物は音波処理によって清浄化され、細胞破砕物は、12,000Xgで10分間の遠心分離によって沈降される。ある特定の実施形態において、ポリペプチドを含有するペレットは、50mM Tris、pH8及び10mM EDTA中に再懸濁され;50%グリセロール上に積層され、6000Xgで30分間遠心分離される。ある特定の実施形態において、このペレットは、Mg++及びCa++を含まない標準的なリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中に再懸濁することができる。ある特定の実施形態において、ポリペプチドは、変性SDSポリアクリルアミドゲル中に、再懸濁されたペレットを分画することによってさらに精製される(例えば、上記Sambrook et al.を参照されたい)。ある特定の実施形態において、そのようなゲルは、タンパク質を可視化するために、0.4M KCl中に浸すことが可能であり、浸したゲルは、切り出して、SDSを欠くゲル走行緩衝液中で電気溶出することができる。ある特定の実施形態によれば、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)融合タンパク質が、可溶性タンパク質として細菌中に産生される。ある特定の実施形態において、そのようなGST融合タンパク質は、GST精製モジュール(Pharmacia)を用いて精製される。
ある特定の実施形態において、ある特定のポリペプチド、例えば、1つまたはそれ以上のABP成分またはABP自体を含むポリペプチドを「再折り畳みする」ことが望ましい。ある特定の実施形態において、そのようなポリペプチドは、本明細書に論述されているある特定の組み換え系を用いて産生される。ある特定の実施形態において、所望の三次構造を形成し、及び/またはジスルフィド結合を生成するために、ポリペプチドは、「再折り畳みされ」及び/または「酸化され」る。ある特定の実施形態において、そのような構造及び/または連結は、ポリペプチドのいくつかの生物活性に関連する。ある特定の実施形態において、再折り畳みは、当該技術分野で公知の多数の手法のうち任意の手法を用いて達成される。典型的な方法には、カオトロピック剤の存在下で、可溶化されたポリペプチド因子を、典型的には7を上回るpHに曝露することが含まれるが、これに限定されない。典型的なカオトロピック剤は、グアニジンである。ある特定の実施形態において、再折り畳み/酸化溶液は、還元剤及び該還元剤の酸化された形態も含有する。ある特定の実施形態において、還元剤及びその酸化形態は、ジスルフィドシャッフリングの発生を可能とする特定の酸化還元電位を生じ得る比で存在する。ある特定の実施形態において、そのようなシャッフリングは、システイン架橋の形成を可能とする。典型的な酸化還元対には、システイン/シスタミン、グルタチオン/ジチオビスGSH、塩化第二銅、ジチオスレイトールDTT/ジチアンDTT、及び2−メルカプトエタノール(bME)/ジチオ−bMEが含まれるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態において、再折り畳みの効率を増加させるために、共溶媒が使用される。典型的な共溶媒には、グリセロール、様々な分子量のポリエチレングリコール、及びアルギニンが含まれるが、これらに限定されない。
ある特定の実施形態において、1つまたはそれ以上のABP成分またはABP自体を含むポリペプチドを実質的に精製する。ある特定のタンパク質精製技術が、当業者に公知である。ある特定の実施形態において、タンパク質精製は、非ポリペプチド画分からポリペプチド分画を粗分画することを含む。ある特定の実施形態において、ポリペプチドは、クロマトグラフィー及び/または電気泳動技術を用いて精製される。典型的な精製法には、硫酸アンモニウムによる沈殿、PEGによる沈殿、免疫沈降、熱変性後の遠心分離、クロマトグラフィー(親和性クロマトグラフィー(例えば、プロテイン−A−セファロース)、イオン交換クロマトグラフィー、排除クロマトグラフィー及び逆相クロマトグラフィーが含まれるが、これらに限定されない)、ゲルろ過、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、等電点電気泳動、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、並びにそのような技術及び他の技術の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態において、ポリペプチドは、高速タンパク質液体クロマトグラフィーまたは高圧液体クロマトグラフィ(HPLC)によって精製される。ある特定の実施形態において、精製ステップは変化させることができ、またはいくつかのステップを省略することができるが、実質的に精製されたポリペプチドの調製に適した方法をなお与える。
ある特定の実施形態において、ポリペプチド調製物の精製度を定量する。精製度を定量するための、ある特定の方法が、当業者に公知である。ある特定の典型的の方法には、調製物の特異的結合活性を測定し、調製物中のポリペプチドの量をSDS/PAGE分析によって評価することが含まれるが、これに限定されるものではない。ポリペプチド調製物の精製の量を評価するための典型的なある特定の方法は、調製物の結合活性を算出すること、及びこれを最初の抽出物の結合活性と比較することを含む。ある特定の実施形態において、そのような計算の結果は、「精製倍数」として表される。結合活性の量を表すために使用される単位は、実施されている特定のアッセイに依存する。
ある特定の実施形態において、1つまたはそれ以上のABP成分またはABP自体を含むポリペプチドは、部分的に精製される。ある特定の実施形態において、部分精製は、より少ない精製ステップを使用することによって、または同じ一般的な精製スキームの異なる形態を用いることによって達成することができる。例えば、ある特定の実施形態において、HPLC装置を用いて行われる陽イオン交換カラムクロマトグラフィーは、一般的には、低圧クロマトグラフィーシステムを用いた同じ技術より大きな「精製倍数」をもたらし得る。ある特定の実施形態において、より低い精製度をもたらす方法は、ポリペプチドの総回収率の上で、またはポリペプチドの結合活性を維持する上で利点を有し得る。
ある特定の事例において、ポリペプチドの電気泳動的移動は、SDS/PAGEの異なる条件とともに、(時に著しく)変動し得る。例えば、「Capaldi et al.,Biochem.Biophys.Res.Comm.,76:425(1977)」を参照されたい。異なる電気泳動条件下において、精製されたまたは部分的に精製されたポリペプチドの見かけの分子量は異なり得ることが理解される。
典型的なエピトープ
本明細書中に提供されている方法で有用な抗PCSK9抗体が結合するエピトープが提供される。いくつかの実施形態において、本明細書に開示されている抗体によって結合されるエピトープは、特に有用である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている抗体によって結合されるエピトープの何れかに結合する抗原結合タンパク質は、有用である。いくつかの実施形態において、表2並びに図2及び3に列記されている抗体の何れかによって結合されるエピトープは、特に有用である。いくつかの実施形態において、エピトープは、触媒ドメインPCSK9上に存在する。
いくつかの実施形態において、本明細書中に開示されている抗原結合タンパク質は、N末端プロドメイン、スブチリシン様触媒ドメイン、及び/またはC末端ドメインに特異的に結合する。いくつかの実施形態において、抗原結合タンパク質は、PCSK−9の基質結合溝に結合する(Cunningham et al.,に記載されており、参照により、その全体が本明細書に組み込まれる)。
いくつかの実施形態において、抗体と接触し、または抗体によって埋没される残基を含有するドメイン/領域は、PCSK9(例えば、野生型抗原)中の特定の残基を変異させ、抗原結合タンパク質が変異されたまたはバリアントPCSK9タンパク質と結合することができるかどうかを測定することによって同定することができる。多数の個別の変異を作製することによって、変異が抗原結合タンパク質と抗原間の結合に影響を及ぼし得るように、結合に直接的な役割を果たしている残基または抗体と十分に近接している残基を同定することができる。これらのアミノ酸の知見から、抗原結合タンパク質と接触する残基または抗体によって被覆されている残基を含有する抗原のドメインまたは領域を解明することができる。そのようなドメインは、抗原結合タンパク質の結合エピトープを含むことができる。この一般的なアプローチの1つの具体例は、アルギニン/グルタミン酸スキャニングプロトコルを使用する(例えば、Nanevicz,T.,et al.,1995,J.Biol.Chem.,270:37,21619−21625 and Zupnick,A.,et al,2006,J.Biol.Chem.,281:29,20464−20473)を参照されたい)。一般に、アルギニン及びグルタミン酸は帯電しており、嵩が大きく、従って、変異が導入されている抗原の領域中での抗原結合タンパク質と抗原との間の結合を崩壊させる可能性を有しているので、野生型ポリペプチド中のアミノ酸は、アルギニン及びグルタミン酸へ(典型的には、個別に)置換される。野生型抗原中に存在するアルギニンは、グルタミン酸と置換される。そのような様々な個別の変異体が得られ、どの残基が結合に影響を及ぼすかを決定するために、収集された結合結果が分析される。
抗原結合タンパク質及び本明細書において使用されるバリアントPCSK9の間の結合の変化(例えば、低下または増加)は、(例えば、実施例中で以下に記載されているBiacore検査またはビーズをベースとしたアッセイなどの公知の方法によって測定した場合に)結合親和性、EC50の変化、及び/または(例えば、抗原結合タンパク質濃度対抗原濃度のプロットにおけるBmaxの減少によって明らかとなる)抗原結合タンパク質の総結合能力の変化(例えば、低下)が存在することを意味する。結合の著しい変化は、変異を受けた残基が抗原結合タンパク質への結合に直接関与しており、または結合タンパク質が抗原に結合されたときに、結合タンパク質に近接していることを示唆する。
いくつかの実施形態において、結合の著しい低下は、抗原結合タンパク質と変異体PCSK9抗原間での結合親和性、EC50、及び/または能力が、抗原結合タンパク質と野生型PCSK9(例えば、配列番号1及び/または配列番号303に示されている)間での結合と比べて、10%超、20%超、40%超、50%超、55%超、60%超、65%超、70%超、75%超、80%超、85%超、90%超、または95%超低下していることを意味する。ある特定の実施形態において、結合は、検出可能な限界を下回って低下する。いくつかの実施形態において、バリアントPCSK9タンパク質への抗原結合タンパク質の結合は、抗原結合タンパク質と野生型PCSK9タンパク質(例えば、配列番号1及び/または配列番号303のタンパク質)間で観察される結合の50%未満(例えば、40%、35%、30%、25%、20%、15%、または10%未満)である場合に、結合の著しい低下が証明される。そのような結合の測定は、当該技術分野で公知の様々な結合アッセイを用いて実施され得る。
いくつかの実施形態において、野生型PCSK9タンパク質(例えば、配列番号1または配列番号303)中の残基がアルギニンまたはグルタミン酸で置換されているバリアントPCSK9タンパク質に対して著しくより低い結合を示す抗原結合タンパク質が提供される。いくつかの実施形態において、野生型PCSK9タンパク質(例えば、配列番号1または配列番号303)と比べて、以下の変異:R207E、D208R、R185E、R439E、E513R、V538R、E539R、T132R、S351R、A390R、A413R、E582R、D162R、R164E、E167R、S123R、E129R、A311R、D313R、D337R、R519E、H521R、及びQ554Rの1つまたはそれ以上の何れか(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または244)を有するバリアントPCSK9タンパク質に対して、抗原結合タンパク質の結合が著しく低下または増加する。本明細書において使用される省略型表記において、形式は、:野生型残基:ポリペプチド中の位置:変異体残基であり、配列番号1または配列番号303に示されているように残基の付番が為されている。
いくつかの実施形態において、野生型PCSK9タンパク質(例えば、配列番号1または配列番号303)と比べて、配列番号1に示されているような以下の位置:207、208、185、181、439、513、538、539、132、351、390、413、582、162、164、167、123、129、311、313、337、519、521、及び554に1つまたはそれ以上の(例えば、1、2、3、4、5、またはそれ以上の)変異を有する変異体PCSK9タンパク質に対して、抗原結合タンパク質の結合が低下または増加する。いくつかの実施形態において、野生型PCSK9タンパク質(例えば、配列番号1または配列番号303)と比べて、配列番号1に示されているような以下の位置:207、208、185、181、439、513、538、539、132、351、390、413、582、162、164、167、123、129、311、313、337、519、521及び554に1つまたはそれ以上の(例えば、1、2、3、4、5、またはそれ以上の)変異を有する変異体PCSK9タンパク質に対して、抗原結合タンパク質の結合が低下または増加する。いくつかの実施形態において、野生型PCSK9タンパク質(例えば、配列番号1または配列番号303)と比べて、配列番号1内の以下の位置:207、208、185、181、439、513、538、539、132、351、390、413、582、162、164、167、123、129、311、313、337、519、521、及び554に1つまたはそれ以上の(例えば、1、2、3、4、5、またはそれ以上の)変異を有する変異体PCSK9タンパク質に対して、抗原結合タンパク質の結合が実質的に低下または増加する。
いくつかの実施形態において、野生型PCSK9タンパク質(例えば、配列番号1または配列番号303)と比べて、以下の変異:配列番号1または配列番号303内のR207E、D208R、R185E、R439E、E513R、V538R、E539R、T132R、S351R、A390R、A413R、E582R、D162R、R164E、E167R、S123R、E129R、A311R、D313R、D337R、R519E、H521R、及びQ554Rの1つまたはそれ以上(例えば、1、2、3、4、5など)を有する変異体PCSK9タンパク質に対して、ABPの結合が著しく低下または増加する。
いくつかの実施形態において、野生型PCSK9タンパク質(例えば、配列番号1または配列番号303)と比べて、以下の変異:配列番号1または配列番号303内のR207E、D208R、R185E、R439E、E513R、V538R、E539R、T132R、S351R、A390R、A413R、及びE582Rの1つまたはそれ以上(例えば、1、2、3、4、5など)を有する変異体PCSK9タンパク質に対して、ABPの結合が著しく低下または増加する。いくつかの実施形態において、結合は低下する。いくつかの実施形態において、結合の低下は、EC50の変化として観察される。いくつかの実施形態において、EC50の変化は、EC50の数値の増加(従って、結合の減少)である。
いくつかの実施形態において、野生型PCSK9タンパク質(例えば、配列番号1または配列番号303)と比べて、以下の変異:配列番号1内のD162R、R164E、E167R、S123R、E129R、A311R、D313R、D337R、R519E、H521R、及びQ554Rの1つまたはそれ以上(例えば、1、2、3、4、5など)を有する変異体PCSK9タンパク質に対して、ABPの結合が著しく低下または増加する。いくつかの実施形態において、結合は低下する。いくつかの実施形態において、結合の低下は、Bmaxの変化として観察される。いくつかの実施形態において、Bmaxのシフトは、ABPによって生じた最大シグナルの低下である。いくつかの実施形態において、エピトープの一部であるアミノ酸に関して、Bmaxは、少なくとも10%低下し、例えば、以下の量、即ち、20、30、40、50、60、70、80、90、85、98、99、または100%の少なくとも何れかの低下は、いくつかの実施形態において、残基がエピトープの一部であることを示すことができる。
直前に列記されているバリアント形態は、配列番号1または配列番号303に示されている野生型配列に関して言及されているが、PCSK9の対立遺伝子バリアントにおいて、表記位置のアミノ酸が異なり得ることが理解される。PCSK9のそのような対立遺伝子形態に対して著しくより低い結合を示す抗原結合タンパク質も想定される。従って、いくつかの実施形態において、上記実施形態の何れもが、図1Aに示されている純粋に野生型の配列ではなく、対立遺伝子配列と比較され得る。
いくつかの実施形態において、野生型PCSK9タンパク質中の選択された位置における残基が他の何れかの残基へ変異されているバリアントPCSK9タンパク質に関して、抗原結合タンパク質の結合は著しく低下している。いくつかの実施形態において、特定された位置に対して、本明細書に記載されているアルギニン/グルタミン酸置換が使用される。いくつかの実施形態において、特定された位置に対して、アラニンが使用される。
上述のように、結合に直接関与する残基または抗原結合タンパク質によって覆われた残基は、スキャニングの結果から同定され得る。従って、これらの残基は、抗原結合タンパク質が結合する結合領域を含有する配列番号1(または配列番号303または配列番号3)のドメインまたは領域の指標を提供し得る。いくつかの実施形態において、抗原結合タンパク質は、配列番号1または配列番号303のアミノ酸:207、208、185、181、439、513、538、539、132、351、390、413、582、162、164、167、123、129、311、313、337、519、521、及び554のうちのうちの少なくとも1つを含有するドメインに結合する。いくつかの実施形態において、抗原結合タンパク質は、配列番号1または配列番号303のアミノ酸:207、208、185、181、439、513、538、539、132、351、390、413、582、162、164、167、123、129、311、313、337、519、521、及び554のうちのうちの少なくとも1つを含有する領域に結合する。
いくつかの実施形態において、抗原結合タンパク質は、配列番号1または配列番号303のアミノ酸:162、164、167、207、及び/または208のうちのうちの少なくとも1つを含有する領域に結合する。いくつかの実施形態において、特定された残基のうちの2つ以上(例えば、2、3、4、または5)がABPによって結合される領域の一部である。いくつかの実施形態において、ABPは、ABP21B12と競合する。
いくつかの実施形態において、抗原結合タンパク質は、配列番号1または配列番号303のアミノ酸185のうちのうちの少なくとも1つを含有する領域に結合する。いくつかの実施形態において、ABPは、ABP31H4と競合する。
いくつかの実施形態において、抗原結合タンパク質は、配列番号1または配列番号303のアミノ酸:439、513、538、及び/または539のうちの少なくとも1つを含有する領域に結合する。いくつかの実施形態において、特定された残基のうちの2つ以上(例えば、2、3、または4)がABPによって結合される領域の一部である。いくつかの実施形態において、ABPは、ABP31A4と競合する。
いくつかの実施形態において、抗原結合タンパク質は、配列番号1または配列番号303のアミノ酸:123、129、311、313、337、132、351、390、及び/または413のうちの少なくとも1つを含有する領域に結合する。いくつかの実施形態において、特定された残基のうちの2つ以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8、または9)がABPによって結合される領域の一部である。いくつかの実施形態において、ABPは、ABP12H11と競合する。
いくつかの実施形態において、抗原結合タンパク質は、配列番号1または配列番号303のアミノ酸:582、519、521、及び/または554のうちの少なくとも1つを含有する領域に結合する。いくつかの実施形態において、特定された残基のうちの2つ以上(例えば、2、3、または4)がABPによって結合される領域の一部である。いくつかの実施形態において、ABPは、ABP3C4と競合する。
いくつかの実施形態において、抗原結合タンパク質は、配列番号1または配列番号303の断片または完全長配列内の前記領域に結合する。他の実施形態において、抗原結合タンパク質は、これらの領域からなるポリペプチドに結合する。「配列番号1または配列番号303」という表記は、これらの配列の一方または両方が使用され得ること、または適切であり得ることを表す。この用語は、一つのみが使用されるべきことを表さない。
上述のように、上記記述は、配列番号1を参照して特定のアミノ酸位置に言及する。しかしながら、本明細書を通じて一般に、配列番号3に記載されている31位で始まるPro/Catドメインが参照される。以下に記載されているように、配列番号1及び配列番号303は、PCSK9のシグナル配列を欠如する。従って、これらの様々な開示の間での何れの比較も、付番におけるこの差を考慮すべきである。特に、配列番号1中の何れのアミノ酸位置も、配列番号3のタンパク質中の30位先のアミノ酸に対応する。例えば、配列番号1の207位は、配列番号3の237位に対応する(完全長配列及び一般に、本明細書中で使用されている付番系)。表39.6は、配列番号1(及び/または配列番号303)を参照する上記位置が、配列番号3(シグナル配列を含む)にどのように対応するかを要約する。従って、配列番号1(及び/または配列番号303)に関して記載されている上記実施形態の何れもが、記載されている対応する位置によって、配列番号3を参照して記載されている。
いくつかの実施形態において、ABP21B12は、残基162〜167(例えば、配列番号1の残基D162〜E167)を含むエピトープに結合する。いくつかの実施形態において、ABP12H11は、残基123〜132(例えば、配列番号1のS123〜T132)を含むエピトープに結合する。いくつかの実施形態において、ABP12H11は、残基311〜313(例えば、配列番号1のA311〜D313)を含むエピトープに結合する。いくつかの実施形態において、ABPは、配列のこれらの鎖の何れか1つを含むエピトープに結合し得る。
競合する抗原結合タンパク質
別の態様において、PCSK9への特異的結合に関して、本明細書中に記載されているエピトープに結合する例示された抗体または機能的断片の1つと競合する抗原結合タンパク質が提供される。そのような抗原結合タンパク質は、本明細書中に例示されている抗原結合タンパク質の1つと同じエピトープまたは重複するエピトープにも結合し得る。例示された抗原結合タンパク質と同じエピトープと競合し、または結合する抗原結合タンパク質及び断片は、類似の機能的特性を示すと予想される。例示された抗原結合タンパク質及び断片は、重鎖及び軽鎖可変領域ドメイン並びに表2及び/または図2〜3に含まれるCDRを有するものなど、上述のものを含む。従って、具体例として、提供される抗原結合タンパク質には、
(a)図2〜3に列記されている抗体に対して列記されているCDRの6つ全て;
(b)表2中に列記されている抗体に対して列記されているVH及びVL;または
(c)表2に列記されている抗体に対して明記されている2つの軽鎖及び2つの重鎖
を有する抗体または抗原結合タンパク質と競合するものが含まれる。
治療医薬製剤及び投与
本明細書で提供されるのは、上述の方法で有用な、PCSK9に対する抗原結合タンパク質を含む医薬製剤である。本明細書において使用される、「医薬製剤」は、それを必要とする患者への非経口投与(静脈内、筋肉内、皮下、噴霧、肺内、鼻腔内、または髄腔内を含むが、これらに限定されない)に適している薬学的に活性な薬物、すなわち、PCSK9に対する少なくとも1つの抗原結合タンパク質の無菌組成物であり、米国食品医薬品局または他の外国国内当局によって安全と見なされた、医薬的に許容される賦形剤、希釈剤、及び他の添加剤のみが含まれる。医薬製剤としては、液体、例えば、直接投与され得る水溶液、投与前に希釈剤を加えることで溶液に再構成され得る凍結乾燥された粉末が挙げられる。「医薬製剤」という用語の範囲から具体的に除外されるものは、患者への局所投与用の組成物、経口摂取用の組成物、及び非経口栄養補給用の組成物である。
ある特定の実施形態において、医薬製剤は、安定な医薬製剤である。本明細書において使用される、「安定な医薬製剤」、「安定な製剤」、または「医薬製剤が安定である」という字句は、少なくとも1カ月間、または2カ月間、または3カ月間、または6カ月間、または1年間、または2年間2〜8℃で保存した場合に、対照処方試料と比較して、5%を超えない凝集の増加、及び/または生物活性喪失を示す生物学的に活性なタンパク質の医薬製剤のことを言う。製剤の安定性は、サイズ排除HPLC(「SEC−HPLC」)、陽イオン交換HPLC(CEX−HPLC)、光遮蔽(「HIAC」)による目に見えない微粒子の検出、及び/または目視検査(但し、これらに限定されない)を含む任意の数の標準アッセイを用いて、当業者により簡単に決定することができる。
ある特定の実施形態において、医薬製剤は、表2及び図2及び/または3並びに図31A及び31B中に図示されている、1つまたはそれ以上の重鎖相補性決定領域(CDRH)と、1つまたはそれ以上の軽鎖相補性決定領域(CDRL)とを含む、PCSK9に対する任意の抗原結合タンパク質を含む。他のある特定の実施形態において、医薬製剤は、表2及び図2及び/または3並びに図31A及び31B中に図示されている、PCSK9に対する抗原結合タンパク質のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、表2及び図2及び/または3並びに図31A及び31B中に図示されている、PCSK9に対する任意の抗原結合タンパク質のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域とを含む、PCSK9に対する任意の抗原結合タンパク質を含む。さらに他の実施形態において、医薬製剤は、表2及び図2及び/または3並びに図31A及び31B中に図示されている、PCSK9に対する任意の抗原結合タンパク質を含む。他のある特定の実施形態において、医薬製剤は、PCSK9に対する他の抗原結合タンパク質、すなわち、配列番号588の軽鎖可変ドメインと配列番号589の重鎖可変ドメインとからなる抗体を含み得る。いくつかの実施形態において、医薬製剤は、21B12、26H5、31H4、8A3、11F1、または8A1の何れか1つを含む。
いくつかの実施形態において、医薬製剤は、2つ以上の異なる、PCSK9に対する抗原結合タンパク質を含む。ある特定の実施形態において、医薬製剤は、2つ以上のエピトープと結合する、2つ以上のPCSK9に対する抗原結合タンパク質を含む。いくつかの実施形態において、様々な抗原結合タンパク質は、PCSK9への結合に関して、互いと競合しない。いくつかの実施形態において、表2並びに図2及び/または3に図示されている抗原結合タンパク質の何れもが、医薬製剤中で一緒に組み合わせることができる。
ある特定の実施形態において、PCSK9に対する抗原結合タンパク質及び/または治療分子は、当該技術分野で公知の半減期延長ビヒクルに連結されている。そのようなビヒクルには、ポリエチレングリコール、グリコーゲン(例えば、ABPのグリコシル化)、及びデキストランが含まれるが、これらに限定されない。そのようなビヒクルは、例えば、米国特許出願第09/428,082号(現在、米国特許第6,660,843号)及び公開PCT出願WO99/25044号(これらは、あらゆる目的のために、参照により、本明細書に組み込まれる)に記載されている。
ある特定の実施形態において、許容される製剤材料は、好ましくは、使用される投薬量及び濃度で服用者に対して無毒である。いくつかの実施形態において、製剤材料は、皮下及び静脈内投与用である。ある特定の実施形態において、医薬製剤は、例えば、組成物のpH、浸透圧、粘度、透明度、色、等張性、匂い、無菌性、安定性、溶解または放出、吸着または浸透の速度を改変し、維持し、または保持するための製剤材料を含む。
ある特定の実施形態において、適切な製剤材料には、アミノ酸(プロリン、アルギニン、リジン、メチオニン、タウリン、グリシン、グルタミン、またはアスパラギンなど)、抗菌剤、抗酸化剤(アスコルビン酸、亜硫酸ナトリウム、または亜硫酸水素ナトリウム)、緩衝液(ホウ酸塩、重炭酸塩、リン酸ナトリウム(「NaOAC」)、トリス−HCl、トリス緩衝液、クエン酸塩、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水(即ち、PBS緩衝液)、または他の有機酸など)、増量剤(マニトールまたはグリシンなど)、キレート剤(エチレンジアミン四酢酸(EDTA)など)、錯化剤(カフェイン、ポリビニルピロリドン、β−シクロデキストリン、またはヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンなど)、充填剤、単糖、二糖、及び他の炭水化物(グルコース、スクロース、フルクトース、ラクトース、マンノース、トレハロース、またはデキストリンなど)、タンパク質(血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリンなど)、タンパク質(血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリンなど)、着色剤、着香剤及び希釈剤、乳化剤、親水性ポリマー(ポリビニルピロリドンなど)、低分子量ポリペプチド、塩形成対イオン(ナトリウムなど)、防腐剤(塩化ベンザルコニウム、安息香酸、サリチル酸、チメロサール、フェネチルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロルヘキシジン、ソルビン酸、または過酸化水素など)、溶媒(グリセリン、プロピレングリコール、またはポリエチレングリコールなど)、糖アルコール(マニトールまたはソルビトールなど)、懸濁剤、界面活性剤または湿潤剤(プルロニック、PEG、ソルビタンエステル、ポリソルベート20、ポリソルベート80などのポリソルベート、トリトン、トロメタミン、レシチン、コレステロール、チロキサパールなど)、安定性強化剤(スクロースまたはスロビトールなど)、張度増強剤(アルカリ金属ハロゲン化物、好ましくは塩化ナトリウムまたは塩化カリウム、マニトールソルビトールなど)、送達ビヒクル、希釈剤、賦形剤、及び/または医薬補助剤が含まれるが、これらに限定されない。(Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Edition,A.R.Gennaro,ed.,Mack Publishing Company(1995)。
ある特定の実施形態において、最適な医薬製剤は、例えば、意図される投与経路、送達形式、及び所望の投薬量に応じて、当業者により決定される。例えば、「Remington’s Pharmaceutical Sciences、上記」を参照されたい。ある特定の実施形態において、そのような製剤は、本発明の抗体の物理的状態、安定性、インビボ放出の速度、及びインビボ除去の速度に影響を及ぼし得る。
一態様において、医薬製剤は、高濃度の、PCSK9に対する抗原結合タンパク質を含む。ある特定の実施形態において、ABP濃度は、約70mg/ml〜約250mg/mlの範囲であり、例えば、約70mg/ml、約80mg/ml、約90mg/ml、約100mg/ml、約100mg/ml、約120mg/ml、約130mg/ml、約140mg/ml、約150mg/ml、約160mg/ml、約170mg/ml、約180mg/ml、約190mg/ml、約200mg/ml、約210mg/ml、約220mg/ml、約230mg/ml、約240mg/ml、または約250mg/ml、及びその間の全ての値を含む。いくつかの実施形態において、21B12、26H5、または31H4の濃度は、約100mg/ml〜約150mg/mlの範囲であり、例えば、100mg/ml、約100mg/ml、約120mg/ml、約130mg/ml、約140mg/ml、または約150mg/mlである。いくつかの実施形態において、8A3、11F1、または8A1の濃度は、約140mg/ml〜約220mg/mlの範囲であり、例えば、140mg/ml、約150mg/ml、約160mg/ml、約170mg/ml、約180mg/ml、約190mg/ml、約200mg/ml、約210mg/ml、約220mg/ml、または約250mg/mlである。
別の態様において、医薬製剤は、例えば、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、リン酸塩、リン酸緩衝生理食塩水(「PBS」)、及び/または約pH7.0〜8.5のトリス緩衝液などの少なくとも1つの緩衝剤を含む。緩衝剤は、生理学的に適当なpHを維持するのに役立つ。さらに、緩衝剤は、医薬製剤の等張性及び化学安定性を増強させるのに役立つ。ある特定の実施形態において、緩衝剤は、約0.05mM〜約40mMの範囲であり、例えば、約0.05mM、約0.1mM、約0.5mM、約1.0mM、約5.0mM、約10mM、約15mM、約20mM、約30mM、約40mM、約50mM、約60mM、約70mM、約80mM、約90mM、または約100nM、及びその間の全ての値を含む緩衝剤である。ある特定の実施形態において、緩衝剤は、NaOACである。医薬製剤の典型的なpHとしては、約4〜約6、または約4.8〜約5.8、または約5.0〜約5.2、または約5、または約5.2が挙げられる。
ある特定の実施形態において、医薬製剤は、約250〜約350ミリオスモル/kgの範囲であり、例えば、約250mOsm/kg、約260mOsm/kg、約270mOsm/kg、約280mOsm/kg、約290mOsm/kg、約300mOsm/kg、約310mOsm/kg、約320mOsm/kg、約330mOsm/kg、約340mOsm/kg、または約350mOsm/kg、及びその間の全ての値を含むオスモル濃度を有する等張性である。本明細書において使用される、「オスモル濃度」は、溶質対体積流体の比率の尺度である。換言すれば、溶液1キログラム当たりの分子及びイオン(または分子)の数である。オスモル濃度は、Advanced Instruments 2020多試料浸透圧計、Norwood、MAなどの浸透圧計と呼ばれる分析機器で測定してもよい。Advanced Instruments 2020多試料浸透圧計は、氷点降下法を用いることでオスモル濃度を測定する。溶液中のオスモライトが高くなるほど、その溶液が凍結する温度は下がる。オスモル濃度は、任意の他の方法を用いて、かつ、線形外挿などの当該技術分野で公知の任意の他の単位で測定してもよい。
さらに別の態様において、医薬製剤は、ポリソルベート80、ポリソルベート60、ポリソルベート40、及びポリソルベート20を含む(但し、これらに限定されない)少なくとも1つの界面活性剤を含む。ある特定の実施形態において、医薬製剤は、界面活性剤を、製剤の体積当たりの重量(「w/v」)で約0.004%〜約10%の範囲、例えば、製剤の約0.004%、約0.005%、約0.006%、約0.007%、約0.008%、約0.009%、約0.01%、約0.05%、約0.1%、約0.5%、約1%、約5%、または約10%w/vの濃度で含む。ある特定の実施形態において、医薬製剤は、ポリソルベート80を、製剤の約0.004%〜約0.1%w/vの範囲の濃度で含む。ある特定の実施形態において、医薬製剤は、ポリソルベート20を、製剤の約0.004%〜約0.1%w/vの範囲の濃度で含む。
ある特定の実施形態において、医薬製剤は、ポリヒドロキシ炭化水素(ソルビトール、マニトール、グリセロール、及びズルシトールを含むが、これらに限定されない)、及び/または二糖(スクロース、ラクトース、マルトース、及びトレハロースを含むが、これらに限定されない)、及び/またはアミノ酸(プロリン、アルギニン、リジン、メチオニン、及びタウリンを含むが、これらに限定されない)、及び/またはベンジルアルコールなどの少なくとも1つの安定化剤を、前記ポリヒドロキシ炭化水素の合計、及び/または二糖、及び/またはアミノ酸、及び/またはベンジルアルコールなど製剤の約0.5%〜約10%w/vで含む。ある特定の実施形態において、医薬製剤は、安定化剤を、スクロースの約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、または約10%の濃度で含む。ある特定の実施形態において、医薬製剤は、安定化剤を、スクロースの約5%の濃度で含む。ある特定の実施形態において、医薬製剤は、安定化剤を、ソルビトールの約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、または約10%の濃度で含む。ある特定の実施形態において、医薬製剤は、安定化剤を、ソルビトールの約9%の濃度で含む。ある特定の実施形態において、医薬製剤は、安定化剤を、プロリン、アルギニン、リジン、メチオニン、及び/またはタウリンの約1%、約2%、約3%、約4%、約5%の濃度で含む。ある特定の実施形態において、医薬製剤は、安定化剤を、プロリンの約2〜3%の濃度で含む。ある特定の実施形態において、医薬製剤は、安定化剤を、ベンジルアルコールの約1%、約2%、約3%、約4%、約5%の濃度で含む。ある特定の実施形態において、医薬製剤は、安定化剤を、ベンジルアルコールの約1〜2%の濃度で含む。
一態様において、医薬製剤は、室温(即ち、25C)測定した際に、約30センチポアズ(cP)未満の粘度レベルを有する。本明細書において使用される「粘度」とは、流体の流れ抵抗であり、センチポアズ(cP)またはミリパスカル秒(mPa−s)の単位で測定してもよく、ここで、所与のせん断速度で、1cP=1mPa−sである。粘度は、粘度計、例えば、Brookfield Engineering Dial Reading ViscometerモデルLVTを用いて測定してもよい。粘度は、任意の他の方法を用いて、当該技術分野で公知の任意の他の単位(例えば、絶対、動(kinematicまたはdynamic)粘度、または絶対粘度)で測定してもよい。ある特定の実施形態において、医薬製剤は、約25cP、約20cP、約18cP、約15cP、約12cP、約10cP;約8cP、約6cP、約4cP;約2cP;または約1cP未満の粘度レベルを有する。
一態様において、医薬製剤は、生物学的に活性なタンパク質の生物理学的または生化学的特徴を経時的に調べるアッセイなどの、当業者に公知である少なくとも1つの安定性アッセイによって測定した際に安定である。上述のように、本発明の安定な医薬製剤は、少なくとも1カ月間、または2カ月間、または3カ月間、または6カ月間、または1年間、または2年間2〜8℃で保存した場合に、対照処方試料と比較して、5%未満を超えない凝集の増加及び/または生物活性喪失を示す生物学的に活性なタンパク質の医薬製剤である。ある特定の実施形態において、医薬製剤の安定性は、サイズ排除HPLC(「SEC−HPLC」)を用いて測定される。SEC−HPLCは、流体力学的体積における差異に基づいてタンパク質を分離する。大きな流体力学的タンパク質体積を持つ分子は、小さな体積を持つ分子よりもより速く溶出する。SEC−HPLCの場合、安定な医薬製剤は、対照試料と比べて、約5%を超えない高分子量種の増加を呈するべきである。他のある特定の実施形態において、医薬製剤は、対照試料と比べて、約4%を超えない、約3%を超えない、約2%を超えない、約1%を超えない、約0.5%を超えない高分子量種の増加を呈するべきである。
ある特定の実施形態において、医薬製剤の安定性は、陽イオン交換HPLC(CEX−HPLC)を用いて測定される。CEX−HPLCは、表面電荷における差異に基づいてタンパク質を分離する。所定のpHで、抗PCSK9 ABPの荷電アイソフォームを陽イオン交換カラム上で分離し、塩勾配を用いて溶出した。溶離液を紫外吸光度によりモニターする。全ピーク面積の%として各アイソフォームのピーク面積を決定することで、荷電アイソフォーム分布を評価する。CEX−HPLCの場合、安定な医薬製剤は、対照試料と比べて、約5%以下のアイソフォーム主要ピークの低下を呈するべきである。他のある特定の実施形態において、安定な医薬製剤は、対照試料と比べて、約3%〜約5%以下のアイソフォーム主要ピークの低下を呈するべきである。ある特定の実施形態において、医薬製剤は、対照試料と比べて、約4%以下、約3%以下、約2%以下、約1%以下、約0.5%以下のアイソフォーム主要ピークの低下を呈するべきである。
ある特定の実施形態において、医薬製剤の安定性は、光遮蔽(「HIAC」)による目に見えない微粒子の検出を用いて測定する。液採取器具付きの光遮蔽センサー(HIAC/Royco HRLD−150または等価物)を含む電子液中粒子計数システム(HIAC/Royco 9703または等価物)が、所与の試験試料における粒子数及びサイズ幅を定量化する。液体中の粒子が光源と検出器の間を通過すると、検出器に当たる光束を低下若しくは「ぼやけ」させる。粒子の濃度がセンサーの正常範囲内にある場合、これらの粒子は、1つずつ検出される。各粒子の検出領域通過は、光検出器への入射光を減少させ、光検出器の電圧出力は瞬間的に減少する。電圧の変化は、電気パルスとして登録され、機器によって存在する粒子数に変換される。方法は、非特異的であり、粒子の起源に関わらず粒子を測定する。モニターする粒径は、一般に、10μm及び25μmである。HIACの場合、安定な医薬製剤は、対照試料と比べて、容器(または単位)当たり6000を超えない10μm粒子を呈するべきである。ある特定の実施形態において、安定な医薬製剤は、対照試料と比べて、容器(または単位)当たり5000を超えない、4000を超えない、3000を超えない、2000を超えない、1000を超えない10μm粒子を呈するべきである。さらに他の実施形態において、安定な医薬製剤は、対照試料と比べて、容器(または単位)当たり600を超えない25μm粒子を呈するべきである。ある特定の実施形態において、安定な医薬製剤は、対照試料と比べて、容器(または単位)当たり500を超えない、400を超えない、300を超えない、200を超えない、100を超えない、50を超えない25μm粒子を呈するべきである。
ある特定の実施形態において、医薬製剤の安定性は、目視評価を用いて測定される。目視評価は、試料の目に見える物理的特性の説明に使う定性的方法である。評価される特徴(例えば、色、透明度、粒子または異物の存在)に応じて、検査ブースの黒色及び/または白色の背景に試料を照らす。乳白色の参照基準及び色参照基準にも試料を照らす。目視評価の場合、安定な医薬製剤は、対照試料と比べて、色、透明度、粒子または異物の存在について著しい変化を呈するべきではない。
本発明の一態様は:(i)約70mg/ml〜約250mg/mlの、PCSK9に対する抗原結合タンパク質と、(ii)約0.05mM〜約40mMの、緩衝剤として作用する酢酸ナトリウム(「NaOAC」)などの緩衝剤と、(iii)約1%〜約5%の、プロリン、アルギニン、リジン、メチオニン、またはタウリン(2−アミノエタンスルホン酸としても知られる)、及び/または0.5%〜約5%の、安定化剤として作用するベンジルアルコールと、(iv)製剤のw/vで約0.004%〜約10%の非イオン界面活性剤(ポリソルベート80、ポリソルベート60、ポリソルベート40、及びポリソルベート20を含むが、これらに限定されない)とを含み、ここで、前記製剤は、約4.0〜6.0の範囲のpHを有する医薬製剤である。他のある特定の実施形態において、本発明の医薬製剤は、(i)少なくとも約70mg/ml、約100mg/ml、約120mg/ml、約140mg/ml、約150mg/ml、約160mg/ml、約170mg/ml、約180mg/ml、約190mg/ml、約200mg/mlの抗PCSK9抗体と、(ii)約10mM NAOACと、(iii)約0.01%ポリソルベート80と、(iv)約2%〜3%プロリン(または約250mM〜約270mMプロリン)とを含み、ここで、製剤は、約5のpHを有する。他のある特定の実施形態において、本発明の医薬製剤は、(i)少なくとも約70mg/ml、約100mg/ml、約120mg/ml、約140mg/mlの抗PCSK9抗体、21B12、26H5、及び/または31H4と、(ii)約10mM NAOACと、(iii)約0.01%ポリソルベート80と、(iv)約2%〜3%プロリン(または約250mM〜約270mMプロリン)とを含み、ここで、製剤は、約5のpHを有する。他のある特定の実施形態において、本発明の医薬製剤は、(i)少なくとも約150mg/ml、約160mg/ml、約170mg/ml、約180mg/ml、約190mg/ml、約200mg/mlの抗PCSK9抗体、8A3、11F1、及び/または8A1と、(ii)約10mM NAOACと、(iii)約0.01%ポリソルベート80と、(iv)約2%〜3%プロリン(または約250mM〜約270mMプロリン)とを含み、ここで、製剤は、約5のpHを有する。
本発明の一態様は:(i)少なくとも約70mg/ml〜約250mg/mlの抗PCSK9抗体と、(ii)約5mM〜約20mMの緩衝剤(NAOACなど)と、(iii)製剤のw/vで約1%〜約10%のポリヒドロキシ炭化水素(ソルビトールなど)または二糖(スクロースなど)と、(iv)製剤のw/vで約0.004%〜約10%の界面活性剤(ポリソルベート20またはポリソルベート80など)とを含み、ここで、前記製剤は、約4.8〜5.8の範囲のpHを有する医薬製剤であり、前記医薬製剤は、必要に応じて、約80mM〜約300mMのプロリン、アルギニン、リジン、メチオニン、またはタウリン、及び/または0.5%〜約5%の、粘度を軽減させる作用をするベンジルアルコールを含む。他のある特定の実施形態において、本発明の医薬製剤は、(i)少なくとも約70mg/ml〜約250mg/mlの抗PCSK9抗体と、(ii)約10mM NAOACと、(iii)約9%スクロースと、(iv)約0.004%ポリソルベート20とを含み、ここで、製剤は、約5.2のpHを有する。他のある特定の実施形態において、本発明の医薬製剤は、(i)少なくとも約70mg/ml、約100mg/ml、約120mg/ml、約140mg/ml、約160mg/ml、約180mg/ml、約200mg/mlの抗PCSK9抗体と、(ii)約15mM NAOACと、(iii)約9%スクロースと、(iv)約0.01%ポリソルベート20とを含み、ここで、製剤は、約5.2のpHを有する。他のある特定の実施形態において、本発明の医薬製剤は、(i)少なくとも約70mg/ml、約100mg/ml、約120mg/ml、約140mg/ml、約160mg/ml、約180mg/ml、約200mg/mlの抗PCSK9抗体と、(ii)約20mM NAOACと、(iii)約9%スクロースと、及び(iv)約0.01%ポリソルベート20とを含み、ここで、製剤は、約5.2のpHを有する。他のある特定の実施形態において、本発明の医薬製剤は、(i)少なくとも約70mg/ml、約100mg/ml、約120mg/ml、約140mg/ml、約160mg/ml、約180mg/ml、約200mg/mlの抗PCSK9抗体と、(ii)約10mM NAOACと、(iii)約9%スクロースと、(iv)約0.01%ポリソルベート80と、(v)約250mMプロリンとを含み、ここで、製剤は、約5のpHを有する。
本発明の医薬製剤は、組み合わせ療法において(即ち、他の薬剤と組み合わせて)投与することができる。ある特定の実施形態において、組み合わせ療法は、少なくとも1つの抗コレステロール剤と組み合わせた、PCSK9と結合することができる抗原結合タンパク質を含む。薬剤には、インビトロで合成的に調製された化学製剤、抗体、抗原結合領域、並びにこれらの組み合わせ及び複合体が含まれるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態において、薬剤は、アゴニスト、アンタゴニスト、アロステリック調節物質、またはトキシンとして作用することができる。ある特定の実施形態において、薬剤は、その標的(例えば、受容体または酵素の活性化または阻害)を阻害または刺激するように作用することにより、LDLRの増加した発現を促進し、または血清コレステロールレベルを減少させることができる。
ある特定の実施形態において、PCSK9に対する抗原結合タンパク質は、コレステロール低下(血清及び/または総コレステロール)剤を用いた治療前、同時に及び後に投与することができる。ある特定の実施形態において、PCSK9に対する抗原結合タンパク質は、高コレステロール血症、心臓病、糖尿病、及び/またはコレステロール関連疾患の何れかの開始を予防または軽減するために、予防的に投与することができる。ある特定の実施形態において、PCSK9に対する抗原結合タンパク質は、既存の高コレステロール血症症状の治療のために投与することができる。いくつかの実施形態において、ABPは、疾患及び/または疾患に伴う症候の開始を遅延させる。いくつかの実施形態において、ABPは、コレステロール関連疾患の何れか1つの何れの症候またはその一部をも欠如する対象に提供される。
ある特定の実施形態において、PCSK9に対する抗原結合タンパク質は、ホモ接合性家族性高コレステロール血症を治療するための特定の治療剤とともに使用される。ある特定の実施形態において、2つ、3つ、またはそれ以上の薬剤を投与することができる。ある特定の実施形態において、同じ製剤中に含めることによって、そのような薬剤を一緒に与えることができる。ある特定の実施形態において、そのような薬剤及びPCSK9に対する抗原結合タンパク質は、同じ製剤中に含めることによって一緒に与えることができる。ある特定の実施形態において、そのような薬剤は、別々に製剤化し、治療キット中に含めることによって一緒に与えることができる。ある特定の実施形態において、そのような薬剤及びPCSK9に対する抗原結合タンパク質は、別々に製剤化し、治療キット中に含めることによって一緒に与えることができる。ある特定の実施形態において、そのような薬剤は別々に与えることができる。
ある特定の実施形態において、所望の純度を有する選択された製剤を、凍結乾燥されたケーキまたは水溶液の形態の、任意で使用される製剤化剤(Remington’s Pharmaceutical Sciences、上記)と混合することによって、少なくとも1つのさらなる治療剤を加えたまたは加えず、PCSK9に対する抗原結合タンパク質を含む製剤を保存のために調製することができる。さらに、ある特定の実施形態において、少なくとも1つのさらなる治療剤を加えたまたは加えず、PCSK9に対する抗原結合タンパク質を含む製剤を、適切な賦形剤を用いて、凍結乾燥物質として製剤化され得る。
ある特定の実施形態において、非経口投与が企図されている場合には、治療製剤は、医薬的に許容されるビヒクル中に、さらなる治療剤を加えてまたは加えずに、PCSK9に対する所望の抗原結合タンパク質を含む、非経口的に許容される無発熱物質水溶液の形態であり得る。ある特定の実施形態において、非経口注射用ビヒクルは、少なくとも1つのさらなる治療剤を加えてまたは加えずに、PCSK9に対する抗原結合タンパク質が適切に防腐された無菌等張溶液として製剤化されている無菌蒸留水である。ある特定の実施形態において、調製物は、注射可能な微小球体、生物腐食可能な粒子、ポリマー性化合物(ポリ乳酸またはポリグリコール酸など)、ビーズまたはリポソームなど、産物の徐放または持続的放出(産物は、その後、デポ注射を介して送達され得る)を与えることができる薬剤を加えた所望の分子の製剤を含むことができる。ある特定の実施形態において、ヒアルロン酸を使用することも可能であり、循環中での持続的な期間を促進する効果を有し得る。ある特定の実施形態において、所望の分子を導入するために、インプラント可能な薬物送達装置を使用することができる。
ある特定の実施形態において、医薬製剤は、吸入のために製剤化することができる。ある特定の実施形態において、少なくとも1つのさらなる治療剤を加えたまたは加えずに、PCSK9に対する抗原結合タンパク質は、乾燥した吸入用粉末として製剤化することができる。ある特定の実施形態において、少なくとも1つのさらなる治療剤を加えたまたは加えずに、PCSK9に対する抗原結合タンパク質を含む吸入溶液は、エアロゾル送達のために噴射剤とともに製剤化することができる。ある特定の実施形態において、溶液は噴霧され得る。経肺投与は、化学的に修飾されたタンパク質の経肺送達を記載するPCT出願PCT/US94/001875中にさらに記載されている。
ある特定の実施形態において、医薬製剤は、錠剤の製造に適した無毒の賦形剤との混合物中に、少なくとも1つのさらなる治療剤を加えてまたは加えずに、PCSK9に対する抗原結合タンパク質の有効量を含むことができる。ある特定の実施形態において、無菌水または別の適切なビヒクル中に錠剤を溶解させることによって、単位投与量形態で溶液を調製することができる。ある特定の実施形態において、適切な賦形剤には、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム若しくは重炭酸ナトリウム、ラクトース若しくはリン酸カルシウムなどの不活性な希釈剤、またはデンプン、ゼラチン若しくはアラビアゴムなどの結合剤、またはステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸若しくはタルクなどの滑沢剤が含まれるが、これらに限定されない。
持続的または制御送達製剤中に、少なくとも1つのさらなる治療剤を加えてまたは加えずに、PCSK9に対する抗原結合タンパク質を含む製剤など、さらなる医薬製剤が当業者に自明であろう。ある特定の実施形態において、リポソーム担体、生体内分解性微粒子、または多孔性ビーズ及びデポ注射などの様々な他の持続的または制御送達手段を製剤化するための技術も当業者に公知である。例えば、医薬製剤の送達用の多孔性ポリマー微粒子の徐放について記載しているPCT出願PCT/US93/00829を参照されたい。ある特定の実施形態において、徐放調製物は、成型された製品、例えば、フィルムまたはマイクロカプセルの形態の半透過性ポリマーマトリックスを含み得る。持続的放出マトリックスには、ポリエステル、ヒドロゲル、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号及びEP058,481)、L−グルタミン酸とγエチル−L−グルタミン酸の共重合体(Sidman et al.,Biopolymers,22:547−556(1983))、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリラート)(Langer et al.,J.Biomed.Mater.Res.,15:167−277(1981)及びLanger,Chem.Tech.,12:98−105(1982))、エチレン酢酸ビニル(Langer et al.,上記)、及びポリ−D(−)−3−ヒドロキシ酪酸(EP133,988)が含まれ得る。ある特定の実施形態において、徐放製剤は、リポソームも含み得、これは、当該技術分野で公知の方法の何れによっても調製することが可能である。例えば、Eppstein et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,82:3688−3692(1985);EP036,676;EP088,046、及びEP143,949を参照されたい。
インビボ投与のために使用されるべき医薬製剤は、典型的には、無菌である。ある特定の実施形態において、これは、無菌ろ過膜を通じたろ過によって達成することができる。ある特定の実施形態において、製剤が凍結乾燥される場合には、この方法を用いた無菌化は、凍結乾燥及び再構成の前または後の何れかにおいて実施し得る。ある特定の実施形態において、非経口投与用製剤は、凍結乾燥された形態で、または溶液中に保存し得る。ある特定の実施形態において、非経口製剤は、一般的に、無菌アクセスポートを有する容器中に、例えば、皮下注射針によって突き刺すことが可能なストッパーを有する静脈内溶液袋またはバイアル中に配置される。
ある特定の実施形態において、医薬製剤が調合された後、溶液、懸濁液、ゲル、エマルジョン、固体として、または脱水若しくは凍結乾燥された粉末として、無菌バイアル中に保存され得る。ある特定の実施形態において、そのような製剤は、即時使用形態で、または投与前に再構成される形態(例えば、凍結乾燥された形態)の何れかで保存し得る。
ある特定の実施形態において、医薬製剤が調合された後、即時使用形態で溶液または懸濁液として、予め充填された注射器中で保存し得る。
ある特定の実施形態において、単回投薬投与単位を作成するためのキットが提供される。ある特定の実施形態において、キットは、乾燥されたタンパク質を有する第一の容器と、水性製剤を有する第二の容器の両方を含有し得る。ある特定の実施形態において、単一及び/または複数チャンバーの予め充填された注射器(例えば、液体注射器及び凍結乾燥注射器)を含有するキットが含まれる。
ある特定の実施形態において、少なくとも1つのさらなる治療剤を加えてまたは加えずに、PCSK9に対する抗原結合タンパク質を含む医薬製剤の治療において使用されるべき有効量は、例えば、治療的な文脈及び目的に依存する。従って、当業者であれば、ある特定の実施形態に従って、送達される分子、少なくとも1つの追加の治療剤とともにまたは少なくとも1つの追加の治療剤なしに、PCSK9に対する抗原結合タンパク質が使用されている適応症、投与の経路、及びサイズ(体重、体表面または臓器サイズ)、及び/または患者の症状(年齢及び一般的な健康)に部分的に依存して、治療用の適切な投薬量レベルが変動することを理解されるであろう。ある特定の実施形態において、医師は、最適な治療効果を得るために、投薬量を滴定し、投与の経路を改変し得る。
ある特定の実施形態において、製剤は、膜、スポンジ、またはその上に所望の分子が吸収若しくは封入された別の適切な材料の埋め込みを介して、局所的に投与され得る。ある特定の実施形態において、埋め込み装置が使用される場合、該装置は、任意の適切な組織または臓器中に埋め込むことができ、所望の分子の送達は、拡散、持続放出ボーラスまたは継続的投与によって行うことができる。
投薬量及び投与計画
表2及び図2及び/または3並びに図31A及び31B中に図示されている1つまたはそれ以上の重鎖相補性決定領域(CDRH)及び1つまたはそれ以上の軽鎖相補性決定領域(CDRL)を含むPCSK9に対する抗原結合タンパク質の何れかを、本発明の方法に従って、ホモ接合性家族性高コレステロール血症と診断された患者に投与することができる。他のある特定の実施形態において、表2及び図2及び/または3並びに図31A及び31B中に図示されているPCSK9に対する抗原結合タンパク質のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、表2及び図2及び/または3並びに図31A及び31B中に図示されているPCSK9に対する任意の抗原結合タンパク質のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域とを含む、PCSK9に対する抗原結合タンパク質を、本発明の方法に従って、ホモ接合性家族性高コレステロール血症と診断された患者に投与することができる。さらに他の実施形態において、表2及び図2及び/または3及び/または13及び/または図31A及び31B中に図示されている、PCSK9に対する任意の抗原結合タンパク質を、本発明の方法に従って、ホモ接合性家族性高コレステロール血症と診断された患者に投与することができる。他のある特定の実施形態において、PCSK9に対する他の抗原結合タンパク質;すなわち、配列番号588の軽鎖可変ドメインと配列番号589の重鎖可変ドメインとからなる抗体を、ホモ接合性家族性高コレステロール血症と診断された患者に投与することができる。いくつかの実施形態において、21B12、26H5、31H4、8A3、11F1、または8A1のうちの何れか1つを、ホモ接合性家族性高コレステロール血症と診断された患者に投与することができる。
本発明の方法に従って患者に投与される、PCSK9に対する抗原結合タンパク質(例えば、抗PCSK9抗体)の量は、一般に、治療的有効量である。ABPの量は、抗体のミリグラム(即ち、mg)または患者の体重キログラム当たりの抗体のミリグラム(即ち、mg/kg)の形式で表わさる。ある特定の実施形態において、PCSK9抗原結合タンパク質の典型的な投薬量は、PCSK9に対する抗原結合タンパク質の約0.1μg/kg〜最大約100mg/kg以上の範囲であり得る。ある特定の実施形態において、投薬量は、PCSK9に対する抗原結合タンパク質の0.1μg/kg〜最大約100mg/kg;または1μg/kg〜最大約100mg/kg;または5μg/kg〜最大約100mg/kg;またはPCSK9に対する抗原結合タンパク質の1mg/kg〜約50mg/kg;またはPCSK9に対する抗原結合タンパク質の2mg/kg〜約20mg/kg;またはPCSK9に対する抗原結合タンパク質の2mg/kg〜約10mg/kgの範囲であり得る。
ある特定の実施形態において、PCSK9に対する抗原結合タンパク質の量(または投薬量)は、少なくとも約120mg〜約3000mg、約140mg〜約2800mg、約140mg〜約2500mg、約140mg〜約2000mg、約140mg〜約1800mg、約140mg〜約1400mg、約120mg〜約1200mg、約120mg〜約1000mg、約120mg〜約700mg、約140mg〜約700mg、約140mg〜約600mg、約140mg〜約450mg、約120mg〜約450mg、約120mg〜約450mg、約140mg〜約450mg、約210mg〜約450mg、または約280mg〜約450mg、約210mg〜約420mg、約280mg〜約420mg、約420mg〜約3000mg、約700mg〜約3000mg、約1000mg〜約3000mg、約1200〜約3000mg、約1400mg〜約3000mg、約1800mg〜約3000mg、約2000mg〜約3000mg、約2400mg〜約3000mg、または約2800mg〜約3000mgの範囲であり得る。この態様のいくつかの実施形態において、抗PCSK9抗体を、患者に、約35mg、約45mg、約70mg、約105mg、約120mg、約140mg、約150mg、約160mg、約170mg、約180mg、約190mg、約200mg、約210mg、約280mg、約360mg、約420mg、約450mg、約600mg、約700mg、約1200mg、約1400mg、約1800mg、約2000mg、約2500mg、約2800mg、または約3000mgの投薬量で投与する。
ある特定の実施形態において、投薬の頻度は、使用される製剤中のPCSK9に対する抗原結合タンパク質及び/または何れかのさらなる治療剤の薬物動態学的パラメータを考慮に入れる。ある特定の実施形態において、臨床医は、所望の効果を達成する投薬量に到達するまで、製剤を投与する。ある特定の実施形態において、製剤は、従って、単回用量として、または経時的に2つ若しくはそれ以上の用量(所望の分子の同じ用量を含有してもよく、含有しなくてもよい)として、または埋め込み装置若しくはカテーテルを介した連続注入として投与され得る。製剤は、標準針及び注射器で皮下若しくは静脈内に送達することもできる。さらに、皮下送達に対しては、ペン型送達器具、並びに自己注射器送達デバイスが、本発明の医薬製剤の送達に適用される。適切な投薬量をさらに精密化することは、当業者によって日常的に行われており、当業者によって日常的に行われる作業の範疇に属する。ある特定の実施形態において、適切な投薬量は、適切な用量応答データの使用を通じて確認し得る。いくつかの実施形態において、投与の量及び頻度は、取得されるべき所望のコレステロールレベル(血清及び/または総)及び対象の現在のコレステロールレベル、LDLレベル、及び/またはLDLRレベルを考慮に入れることができ、これらの全ては当業者に周知の方法によって取得することができる。
ある特定の実施形態において、PCSK9に対する抗原結合タンパク質を、それを必要とする患者に、少なくとも約120mg、または最大約140mg、または最大約210mg、または最大約280mg、または最大約350mg、または最大約420mg、または最大約450mgの投薬量で1週間に1回(QW)投与する。
いくつかの他の実施形態において、PCSK9に対する抗原結合タンパク質を、それを必要とする患者に、少なくとも約120mg、または最大約140mg、または最大約150mg、または最大約210mg、または最大約280mg、または最大約350mg、または最大約420mg、または最大約450mgの投薬量で1週間おきに1回(または2週間ごと)(Q2W)投与する。
他のある特定の実施形態において、PCSK9に対する抗原結合タンパク質を、それを必要とする患者に、少なくとも約250mg、または最大約280mg、または最大約300mg、または最大約350mg、または最大約400mg、または最大約420mg、または最大約450mg、または最大約600mg、または最大約700mg、または最大約1000mg、または最大約2000mg、または最大約3000mgの投薬量で4週間に1回(または1カ月に1回)(Q4W)投与する。
他のある特定の実施形態において、PCSK9に対する抗原結合タンパク質を、それを必要とする患者に、少なくとも約400mg、または最大約420mg、または最大約450mg、または最大約600mg、または最大約700mg、または最大約1000mg、または最大約2000mg、または最大約3000mgの投薬量で8週間に1回(または1カ月おきに1回)投与する。
いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを、投与前の血清LDLコレステロールレベルと比べて少なくとも約10%低減させる。いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約15%低減させる.いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約20%低減させる。いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約25%低減させる。いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約30%低減させる。いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約40%低減させる。いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約50%低減させる。いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約55%低減させる。いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約60%低減させる。いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約65%低減させる。いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約70%低減させる。いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約75%低減させる。いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約80%低減させる。いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約85%低減させる。いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約90%低減させる。
いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを、投与前の血清LDLコレステロールレベルと比べて少なくとも約10%低減させ、該低減を、投与前のレベルに対して少なくとも約3日間、少なくとも約5日間、少なくとも約7日間、少なくとも約10日間、少なくとも約14日間、少なくとも約21日間、少なくとも約25日間、少なくとも約28日間、または少なくとも約31日間の期間にわたって維持する。
いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを、投与前の血清LDLコレステロールレベルと比べて少なくとも約15%低減させ、該低減を、投与前のレベルに対して少なくとも約3日間、少なくとも約5日間、少なくとも約7日間、少なくとも約10日間、少なくとも約14日間、少なくとも約21日間、少なくとも約25日間、少なくとも約28日間、または少なくとも約31日間の期間にわたって維持する。
いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを、投与前の血清LDLコレステロールレベルと比べて少なくとも約20%低減させ、該低減を、投与前のレベルに対して少なくとも約3日間、少なくとも約5日間、少なくとも約7日間、少なくとも約10日間、少なくとも約14日間、少なくとも約21日間、少なくとも約25日間、少なくとも約28日間、または少なくとも約31日間の期間にわたって維持する。
いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを、投与前の血清LDLコレステロールレベルと比べて少なくとも約25%低減させ、該低減を、投与前のレベルに対して少なくとも約3日間、少なくとも約5日間、少なくとも約7日間、少なくとも約10日間、少なくとも約14日間、少なくとも約21日間、少なくとも約25日間、少なくとも約28日間、または少なくとも約31日間の期間にわたって維持する。
いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを、投与前の血清LDLコレステロールレベルと比べて少なくとも約30%低減させ、該低減を、投与前のレベルに対して少なくとも約3日間、少なくとも約5日間、少なくとも約7日間、少なくとも約10日間、少なくとも約14日間、少なくとも約21日間、少なくとも約25日間、少なくとも約28日間、または少なくとも約31日間の期間にわたって維持する。
いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを、投与前の血清LDLコレステロールレベルと比べて少なくとも約35%低減させ、該低減を、投与前のレベルに対して少なくとも約3日間、少なくとも約5日間、少なくとも約7日間、少なくとも約10日間、少なくとも約14日間、少なくとも約21日間、少なくとも約25日間、少なくとも約28日間、または少なくとも約31日間の期間にわたって維持する。
いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを、投与前の血清LDLコレステロールレベルと比べて少なくとも約40%低減させ、該低減を、投与前のレベルに対して少なくとも約3日間、少なくとも約5日間、少なくとも約7日間、少なくとも約10日間、少なくとも約14日間、少なくとも約21日間、少なくとも約25日間、少なくとも約28日間、または少なくとも約31日間の期間にわたって維持する。
いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを、投与前の血清LDLコレステロールレベルと比べて少なくとも約45%低減させ、該低減を、投与前のレベルに対して少なくとも約3日間、少なくとも約5日間、少なくとも約7日間、少なくとも約10日間、少なくとも約14日間、少なくとも約21日間、少なくとも約25日間、少なくとも約28日間、または少なくとも約31日間の期間にわたって維持する。
いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを、投与前の血清LDLコレステロールレベルと比べて少なくとも約50%低減させ、該低減を、投与前のレベルに対して少なくとも約3日間、少なくとも約5日間、少なくとも約7日間、少なくとも約10日間、少なくとも約14日間、少なくとも約21日間、少なくとも約25日間、少なくとも約28日間、または少なくとも約31日間の期間にわたって維持する。
いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを、投与前の血清LDLコレステロールレベルと比べて少なくとも約55%低減させ、該低減を、投与前のレベルに対して少なくとも約3日間、少なくとも約5日間、少なくとも約7日間、少なくとも約10日間、少なくとも約14日間、少なくとも約21日間、少なくとも約25日間、少なくとも約28日間、または少なくとも約31日間の期間にわたって維持する。
いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを、投与前の血清LDLコレステロールレベルと比べて少なくとも約60%低減させ、該低減を、投与前のレベルに対して少なくとも約3日間、少なくとも約5日間、少なくとも約7日間、少なくとも約10日間、少なくとも約14日間、少なくとも約21日間、少なくとも約25日間、少なくとも約28日間、または少なくとも約31日間の期間にわたって維持する。
いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを、投与前の血清LDLコレステロールレベルと比べて少なくとも約65%低減させ、該低減を、投与前のレベルに対して少なくとも約3日間、少なくとも約5日間、少なくとも約7日間、少なくとも約10日間、少なくとも約14日間、少なくとも約21日間、少なくとも約25日間、少なくとも約28日間、または少なくとも約31日間の期間にわたって維持する。
いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを、投与前の血清LDLコレステロールレベルと比べて少なくとも約70%低減させ、該低減を、投与前のレベルに対して少なくとも約3日間、少なくとも約5日間、少なくとも約7日間、少なくとも約10日間、少なくとも約14日間、少なくとも約21日間、少なくとも約25日間、少なくとも約28日間、または少なくとも約31日間の期間にわたって維持する。
いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを、投与前の血清LDLコレステロールレベルと比べて少なくとも約75%低減させ、該低減を、投与前のレベルに対して少なくとも約3日間、少なくとも約5日間、少なくとも約7日間、少なくとも約10日間、少なくとも約14日間、少なくとも約21日間、少なくとも約25日間、少なくとも約28日間、または少なくとも約31日間の期間にわたって維持する。
いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを、投与前の血清LDLコレステロールレベルと比べて少なくとも約80%低減させ、該低減を、投与前のレベルに対して少なくとも約3日間、少なくとも約5日間、少なくとも約7日間、少なくとも約10日間、少なくとも約14日間、少なくとも約21日間、少なくとも約25日間、少なくとも約28日間、または少なくとも約31日間の期間にわたって維持する。
いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを、投与前の血清LDLコレステロールレベルと比べて少なくとも約85%低減させ、該低減を、投与前のレベルに対して少なくとも約3日間、少なくとも約5日間、少なくとも約7日間、少なくとも約10日間、少なくとも約14日間、少なくとも約21日間、少なくとも約25日間、少なくとも約28日間、または少なくとも約31日間の期間にわたって維持する。
いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを、投与前の血清LDLコレステロールレベルと比べて少なくとも約90%低減させ、該低減を、投与前のレベルに対して少なくとも約3日間、少なくとも約5日間、少なくとも約7日間、少なくとも約10日間、少なくとも約14日間、少なくとも約21日間、少なくとも約25日間、少なくとも約28日間、または少なくとも約31日間の期間にわたって維持する。
ある特定の治療用途
当業者によって理解されるように、本明細書中に提供されている方法は、プロタンパク質コンベルターゼスブチリシン/ケクシン9型(PCSK9)に対する抗原結合タンパク質(例えば、抗体)を用いた、ホモ接合性家族性高コレステロール血症と診断された患者の治療方法である。
一態様において、PCSK9に対する抗原結合タンパク質を用いて、ホモ接合性家族性高コレステロール血症と診断された患者の血清LDLコレステロールレベルを調節する。いくつかの実施形態において、PCSK9に対する抗原結合タンパク質を用いて、異常に高いレベルからまたは正常なレベルからさえも、血清LDLコレステロールの量を低減させる。ある特定の実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを、投与前のレベルと比べて少なくとも約10%低減させる。ある特定の実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約15%低減させる。ある特定の実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約20%低減させる。ある特定の実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約25%低減させる。ある特定の実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約30%低減させる。ある特定の実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約35%低減させる。ある特定の実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約40%低減させる。ある特定の実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約45%低減させる。ある特定の実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約50%低減させる。ある特定の実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約55%低減させる。いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約60%低減させる。いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約65%低減させる。いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約70%低減させる。いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約75%低減させる。いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約80%低減させる。いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約85%低減させる。いくつかの実施形態において、血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約90%低減させる。
一態様において、PCSK9に対する抗原結合タンパク質を用いて、ホモ接合性家族性高コレステロール血症と診断された患者の血清PCSK9値を調節する。ある特定の実施形態において、PCSK9に対する抗原結合タンパク質は、中和である。いくつかの実施形態において、PCSK9に対する抗原結合タンパク質を用いて、異常に高いレベルからまたは正常なレベルからさえも、PCSK9値を低減させる。いくつかの実施形態において、血清PCSK9値を、投与前のレベルと比べて少なくとも約20%低減させる。いくつかの実施形態において、血清PCSK9値を少なくとも約25%低減させる。いくつかの実施形態において、血清PCSK9値を少なくとも約30%低減させる。いくつかの実施形態において、血清PCSK9値を少なくとも約35%低減させる。いくつかの実施形態において、血清PCSK9値を少なくとも約40%低減させる。いくつかの実施形態において、血清PCSK9値を少なくとも約45%低減させる。いくつかの実施形態において、血清PCSK9値を少なくとも約50%低減させる。いくつかの実施形態において、血清PCSK9値を少なくとも約55%低減させる。いくつかの実施形態において、血清PCSK9値を少なくとも約60%低減させる。いくつかの実施形態において、血清PCSK9値を少なくとも約65%低減させる。いくつかの実施形態において、血清PCSK9値を少なくとも約70%低減させる。いくつかの実施形態において、血清PCSK9値を少なくとも約75%低減させる。いくつかの実施形態において、血清PCSK9値を少なくとも約80%低減させる。いくつかの実施形態において、血清PCSK9値を少なくとも約85%低減させる。いくつかの実施形態において、血清PCSK9値を少なくとも約90%低減させる。
一態様において、PCSK9に対する抗原結合タンパク質を用いて、ホモ接合性家族性高コレステロール血症と診断された患者の全コレステロールレベルを調節する。ある特定の実施形態において、PCSK9に対する抗原結合タンパク質は、中和である。いくつかの実施形態において、PCSK9に対する抗原結合タンパク質を用いて、異常に高いレベルからまたは正常なレベルからさえも、総コレステロールの量を低減させる。いくつかの実施形態において、全コレステロールレベルを、投与前のレベルと比べて少なくとも約20%低減させる。いくつかの実施形態において、全コレステロールレベルを少なくとも約25%低減させる。いくつかの実施形態において、全コレステロールレベルを少なくとも約30%低減させる。いくつかの実施形態において、全コレステロールレベルを少なくとも約35%低減させる。いくつかの実施形態において、全コレステロールレベルを少なくとも約40%低減させる。いくつかの実施形態において、全コレステロールレベルを少なくとも約45%低減させる。いくつかの実施形態において、全コレステロールレベルを少なくとも約50%低減させる。いくつかの実施形態において、全コレステロールレベルを少なくとも約55%低減させる。いくつかの実施形態において、全コレステロールレベルを少なくとも約60%低減させる。
一態様において、PCSK9に対する抗原結合タンパク質を用いて、ホモ接合性家族性高コレステロール血症と診断された患者の非HDLコレステロールレベルを調節する。ある特定の実施形態において、PCSK9に対する抗原結合タンパク質は、中和である。いくつかの実施形態において、PCSK9に対する抗原結合タンパク質を用いて、異常に高いレベルからまたは正常なレベルからさえも、非HDLコレステロールレベルを低減させる。いくつかの実施形態において、非HDLコレステロールレベルを少なくとも約30%低減させる。いくつかの実施形態において、非HDLコレステロールレベルを少なくとも約35%低減させる。いくつかの実施形態において、非HDLコレステロールレベルを少なくとも約40%低減させる。いくつかの実施形態において、非HDLコレステロールレベルを少なくとも約50%低減させる。いくつかの実施形態において、非HDLコレステロールレベルを少なくとも約55%低減させる。いくつかの実施形態において、非HDLコレステロールレベルを少なくとも約60%低減させる。いくつかの実施形態において、非HDLコレステロールレベルを少なくとも約65%低減させる。いくつかの実施形態において、非HDLコレステロールレベルを少なくとも約70%低減させる。いくつかの実施形態において、非HDLコレステロールレベルを少なくとも約75%低減させる。いくつかの実施形態において、非HDLコレステロールレベルを少なくとも約80%低減させる。いくつかの実施形態において、非HDLコレステロールレベルを少なくとも約85%低減させる。
一態様において、PCSK9に対する抗原結合タンパク質を用いて、ホモ接合性家族性高コレステロール血症と診断された患者のApoBレベルを調節する。ある特定の実施形態において、PCSK9に対する抗原結合タンパク質は、中和である。いくつかの実施形態において、PCSK9に対する抗原結合タンパク質を用いて、異常に高いレベルからまたは正常なレベルからさえも、ApoBの量を低減させる。いくつかの実施形態において、ApoBレベルを、投与前のレベルと比べて少なくとも約10%低減させる。いくつかの実施形態において、ApoBレベルを少なくとも約15%低減させる。いくつかの実施形態において、ApoBレベルを少なくとも約20%低減させる。いくつかの実施形態において、ApoBレベルを少なくとも約25%低減させる。いくつかの実施形態において、ApoBレベルを少なくとも約30%低減させる。いくつかの実施形態において、ApoBレベルを少なくとも約35%低減させる。いくつかの実施形態において、ApoBレベルを少なくとも約40%低減させる。いくつかの実施形態において、ApoBレベルを少なくとも約45%低減させる。いくつかの実施形態において、ApoBレベルを少なくとも約50%低減させる。いくつかの実施形態において、ApoBレベルを少なくとも約55%低減させる。いくつかの実施形態において、ApoBレベルを少なくとも約60%低減させる。いくつかの実施形態において、ApoBレベルを少なくとも約65%低減させる。いくつかの実施形態において、ApoBレベルを少なくとも約70%低減させる。いくつかの実施形態において、ApoBレベルを少なくとも約75%低減させる。
一態様において、PCSK9に対する抗原結合タンパク質を用いて、ホモ接合性家族性高コレステロール血症と診断された患者のLp(a)レベルを調節する。ある特定の実施形態において、PCSK9に対する抗原結合タンパク質は、中和である。いくつかの実施形態において、PCSK9に対する抗原結合タンパク質を用いて、異常に高いレベルからまたは正常なレベルからさえも、Lp(a)の量を低減させる。いくつかの実施形態において、Lp(a)レベルを、投与前のレベルと比べて少なくとも約10%低減させる。いくつかの実施形態において、Lp(a)レベルを少なくとも約15%低減させる。いくつかの実施形態において、Lp(a)レベルを少なくとも約20%低減させる。いくつかの実施形態において、Lp(a)レベルを少なくとも約25%低減させる。いくつかの実施形態において、Lp(a)レベルを少なくとも約30%低減させる。いくつかの実施形態において、Lp(a)レベルを少なくとも約35%低減させる。いくつかの実施形態において、Lp(a)レベルを少なくとも約40%低減させる。いくつかの実施形態において、Lp(a)レベルを少なくとも約45%低減させる。いくつかの実施形態において、Lp(a)レベルを少なくとも約50%低減させる。いくつかの実施形態において、Lp(a)レベルを少なくとも約55%低減させる。いくつかの実施形態において、Lp(a)レベルを少なくとも約60%低減させる。いくつかの実施形態において、Lp(a)レベルを少なくとも約65%低減させる。
併用療法
ある特定の実施形態において、PCSK9に対する1つまたはそれ以上の抗原結合タンパク質の治療的有効量及び別の治療剤を投与することを含む、ホモ接合性家族性高コレステロール血症を治療する方法が提供される。ある特定の実施形態において、PCSK9に対する抗原結合タンパク質は、少なくとも1つの他の治療剤の投与前に投与される。ある特定の実施形態において、PCSK9に対する抗原結合タンパク質は、少なくとも1つの他の治療剤の投与と同時に投与される。ある特定の実施形態において、PCSK9に対する抗原結合タンパク質は、少なくとも1つの他の治療剤の投与後に投与される。
(抗原結合タンパク質とは別の)治療剤は、少なくとも1つの他のコレステロール降下(血清及び/または全身コレステロール)剤を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、薬剤は、LDLRの発現を増加させ、血清HDLレベルを増加させ、LDLレベルを低減させ、またはトリグリセリドレベルを低減させることが観察されている。典型的な薬剤には、スタチン(アトロバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、メバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン)、ニコチン酸(ナイアシン)(NIACOR、NIASPAN(徐放性ナイアシン)、SLO−NIACIN(徐放性ナイアシン)、CORDAPTIVE(ラロピプラント))、フィブリン酸(LOPID(ゲムフィブロジル)、TRICOR(フェノフィブラート)、胆汁酸封鎖剤(QUESTRAN(コレスチラミン)、コレセベラム(WELCHOL)、COLESTID(コレスチポール))、コレステロール吸収阻害剤(ZETIA(エゼチミブ))、スタチンとニコチン酸の組み合わせ(ADVICOR (LOVASTATIN及びNIASPAN)、吸収阻害剤とのスタチンの組み合わせ(VYTORIN(ZOCOR及びZETIA)、及び/または脂質調節剤が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、ABPは、PPARγアゴニスト、PPARα/γアゴニスト、スクアレン合成酵素阻害剤、CETP阻害剤、抗高血圧剤、抗糖尿病薬(スルホニル尿素、インスリン、GLP−1類縁体、DDPIV阻害剤など、例えば、メタホルミン)、ApoB調節物質(Mipomersenなど)、MTP阻害剤、及び/または閉塞性動脈硬化症治療と組み合わされる。いくつかの実施形態において、ABPは、スタチン、オンコスタチンMのようなある特定のサイトカイン、エストロゲン、及び/またはベルベリンなどのある特定の植物成分のような、対象中のLDLRタンパク質のレベルを増加させる薬剤と組み合わされる。いくつかの実施形態において、ABPは、(ある特定の抗精神病薬、ある特定のHIVプロテアーゼ阻害剤、高フルクトース、スクロース、コレステロールまたはある特定の脂肪酸などの食事要因、並びにRXR、RAR、LXR、FXRに対するある特定の核受容体アゴニスト及びアンタゴニストなど)、対象中の血清コレステロールレベルを増加させる薬剤と組み合わされる。いくつかの実施形態において、ABPは、スタチン及び/またはインスリンなどの、対象中のPCSK9のレベルを増加させる薬剤と組み合わされる。それらの2つの組み合わせは、他の薬剤の望ましくない副作用をABPによって軽減させることを可能とし得る。
実施される実験及び達成された結果を含めて、以下の実施例は、例示の目的でのみ提供されるものであり、本発明を限定するものと解釈してはならない。明示的に別段の定めがある場合を除くほか、ABP名は、本明細書中で一般的に用いられることに注意されたい(例えば、「21B12」は、実施例7に概説されているように表2におけるように、または図2及び/または3及び/または図13A、13C、13F〜13Jにおけるように用いることができる)。
実施例1
免疫化及び力価測定
抗PCKS9抗体及びハイブリドーマの作製
PCSK9の成熟形態に対する抗体(図1A中の配列として図示されており、プロドメインに下線が付されている)を、ヒト免疫グロブリン遺伝子を含有するマウスであるXenoMouse(登録商標)マウス(Abgenix,Fremont,CA)中で作製した。PCSK9に対する抗体を作製するために、XenoMouse(登録商標)2つのグループのマウス(グループ1及び2)を使用した。グループ1は、完全ヒトIgG2κ及びIgG2λ抗体を産生するXenoMouse(登録商標)系統XMG2−KLのマウスを含んだ。グループ1のマウスを、ヒトPCSK9で免疫化した。GenBank配列を参照として(NM_174936)を使用し、標準的組み換え技術を用いて、PCSK9を調製した。グループ2は、完全ヒトIgG4κ及びIgG4λ抗体を産生するXenoMouse(登録商標)系統XMG4−KLのマウスを含んだ。グループ2のマウスも、ヒトPCSK9で免疫化した。
表3中のスケジュールに従って、両グループのマウスに抗原を11回注射した。最初の免疫化において、腹部中に腹腔内送達された抗原計10μgを各マウスに注射した。その後の強化免疫は5μgの用量であり、注射法は、腹部内への腹腔内注射と尾の基部への皮下注射を交互に行った。腹腔内注射のために、TiterMax(登録商標)Gold(Sigma、カタログ番号T2684)を加えたエマルジョンとして抗原を調製し、皮下注射のために、抗原をAlum(リン酸アルミニウム)及びCpGオリゴと混合する。注射2〜8及び10において、アジュバントalumゲル中の抗原計5μgを各マウスに注射した。マウス当たり抗原5μgの最終注射をリン酸緩衝化された生理的食塩水中に送達し、2つの部位に送達する(腹部内へ50%腹腔内及び尾の基部に50%皮下)。免疫化プログラムは、以下に示されている表1.1中に要約されている。
Figure 2018076351
Figure 2018076351
XenoMouse動物を滴定するために使用したプロトコルは、以下の通りであった。Costar3368培地結合プレートを8μg/mL(50μL/ウェル)のニュートラビジンで被覆し、1XPBS/0.05%アジド中において、4℃で一晩インキュベートした。RO水でのTiterTek3サイクル洗浄を用いて、プレートを洗浄した。1XPBS/1%ミルク250μLを用いてプレートをブロックし、室温で少なくとも30分間インキュベートした。RO水でのTiterTek3サイクル洗浄を用いて、ブロックを洗浄除去した。次いで、1×PBS/1%ミルク/10mM Ca2+(アッセイ希釈液)50μL/ウェル中に、2μg/mLでb−ヒトPCSK9を捕捉し、室温で1時間インキュベートした。次いで、RO水を用い、TiterTek3サイクル洗浄を使用して洗浄した。一次抗体に関しては、1:100から二つ組みで、血清を1:3滴定した。アッセイ希釈液50μL/ウェル中でこれを行い、室温で1時間インキュベートした。次いで、RO水を用い、TiterTek3サイクル洗浄を使用して洗浄した。二次抗体は、50μL/ウェルのアッセイ希釈液中の400ng/mLのヤギ抗ヒトIgGFcHRPであった。これを室温で1時間インキュベートした。次いで、RO水を用い、TiterTek3サイクル洗浄を使用してこれを洗浄し、ペーパータオル上で叩いて乾燥させた。基質に関しては、一ステップのTMB溶液(Neogen,Lexington,Kentucky)を使用し(50μL/ウェル)、室温で30分間展開させた。
ELISAアッセイにおいて従ったプロトコルは、以下の通りであった。V5Hisタグを持たないb−PCSK9を含む試料に関して、以下のプロトコルを使用した。Costar3368培地結合プレート(Corning Life Sciences)を使用した。1×PBS/0.05%アジド(50μL/ウェル)中の8μg/mLのニュートラビジンで、プレートを被覆した。4℃で一晩、プレートをインキュベートした。次いで、TitertekM384プレート洗浄装置(Titertek,Huntsville,AL)を用いて、プレートを洗浄した。3サイクルの洗浄を行った。1×PBS/1%ミルク250μLでプレートをブロックし、室温で約30分間インキュベートした。次いで、M384プレート洗浄装置を用いてプレートを洗浄した。3サイクルの洗浄を行った。捕捉は、V5タグを持たないb−huPCSK9であり、1×PBS/1%ミルク/10mM Ca2+(40μL/ウェル)中に2μg/mLで添加した。次いで、プレートを室温で1時間インキュベートした。3サイクルの洗浄を行った。1:100から2つ組みで、血清を1:3滴定し、列Hは血清のためのブランクとした。滴定は、50μL/ウェルの体積で、アッセイ希釈液中において行った。プレートを室温で1時間インキュベートした。次に、3サイクルの洗浄を行った。1×PBS/1%ミルク/10mM Ca2+(50μl/ウェル)中の100ng/mL(1:4000)のヤギ抗ヒトIgGFcHRPをプレートに添加し、室温で1時間インキュベートした。3サイクル洗浄を用いて、プレートをもう一度洗浄した。次いで、ペーパータオルで叩いて、プレートを乾燥させた。最後に、1ステップTMB(Neogen,Lexington,Kentucky)(50μL/ウェル)をプレートに添加し、室温で30分後に、1N塩酸(50μL/ウェル)で反応停止処理した。Titertekプレートリーダーを用いて、450nmでODを直ちに読み取った。
PCSK9が結合したプレートを検出するための陽性対照は、アッセイ希釈液中で3μg/mLから2つ組みで1:3滴定された、可溶性LDL受容体(R&D Systems、カタログ番号2148LD/CF)及びポリクローナルウサギ抗PCSK9抗体(Caymen Chemical #10007185)であった。400ng/mLの濃度でヤギ抗LDLR(R&D Systems、カタログ番号AF2148)及びウサギ抗ヤギIgGFcHRPを用いて、LDLRを検出した。アッセイ希釈液中の、400ng/mLの濃度のヤギ抗ウサギIgGFcを用いて、ウサギポリクローナルを検出した。陰性対照は、アッセイ希釈液中において、1:100から2つ組みで1:3滴定されたナイーブXMG2−KL及びXMG4−KL血清であった。
V5Hisタグを有するb−PCSK9を含む試料に関しては、以下のプロトコルを使用した。Costar3368培地結合プレート(Corning Life Sciences)を使用した。1×PBS/0.05%アジド(50μL/ウェル)中の8μg/mLのニュートラビジンで、プレートを被覆した。4℃で一晩、プレートをインキュベートした。次いで、TitertekM384プレート洗浄装置(Titertek,Huntsville,AL)を用いて、プレートを洗浄した。3サイクルの洗浄を行った。1×PBS/1%ミルク250μLでプレートをブロックし、室温で約30分間インキュベートした。次いで、M384プレート洗浄装置を用いてプレートを洗浄した。3サイクルの洗浄を行った。捕捉は、V5タグを有するb−huPCSK9であり、1×PBS/1%ミルク/10mM Ca2+(40μL/ウェル)中に2μg/mLで添加した。次いで、プレートを室温で1時間インキュベートした。3サイクルの洗浄を行った。1:100から2つ組みで、血清を1:3滴定し、列Hは血清のためのブランクとした。滴定は、50μL/ウェルの体積で、アッセイ希釈液中において行った。プレートを室温で1時間インキュベートした。次に、3サイクル洗浄を用いて作動されるM384プレート洗浄装置を用いて、プレートを洗浄した。1×PBS/1%ミルク/10mM Ca2+中の400ng/mLのヤギ抗ヒトIgGFcHRPを50μL/ウェルでプレートに添加し、プレートを室温で1時間インキュベートした。3サイクル洗浄を用いて、プレートをもう一度洗浄した。次いで、ペーパータオルで叩いて、プレートを乾燥させた。最後に、1ステップTMB(Neogen,Lexington,Kentucky)(50μL/ウェル)をプレートに添加し、室温で30分後に、1N塩酸(50μL/ウェル)でプレートを反応停止処理した。Titertekプレートリーダーを用いて、450nmでODを直ちに読み取った。
陽性対照は、LDLR、アッセイ希釈液中において、3μg/mLから2つ組みで1:3滴定されたウサギ抗PCSK9であった。ヤギ抗LDLR(R&D Systems、カタログ番号AF2148)及び400ng/mLの濃度のウサギ抗ヤギIgGFcHRPを用いて、LDLRを検出する。ウサギポリは、アッセイ希釈液中、400ng/mLの濃度のヤギ抗ウサギIgGFcを用いて検出された。アッセイ希釈液中で1μg/mLから2つ組みで、ヒト抗His1.2.3及び抗V51.7.1を1:3滴定した。何れも、アッセイ希釈液中、400ng/mLの濃度のヤギ抗IgGFcHRPを用いて検出された。陰性対照は、アッセイ希釈液中において、1:100から2つ組みで1:3滴定されたナイーブXMG2−KL及びXMG4−KL血清であった。
ヒトPCSK9に対する抗体の力価を、記載されている可溶性抗原で免疫化されたマウスに対するELISAアッセイによって検査した。表4は、ELISAデータを要約し、PCSK9に対して特異的であるように見受けられるいくつかのマウスが存在したことを示す。例えば、表4を参照されたい。従って、免疫化プログラムの終わりに、10匹のマウス(表1.2中の太字)を採集のために選択し、本明細書中に記載されているように、それぞれ、脾臓及びリンパ節から脾細胞及びリンパ球を単離した。
Figure 2018076351
実施例2
リンパ球の回収、B細胞の単離、融合及びハイブリドーマの作製
この実施例は、免疫細胞がどのようにして回収され、ハイブリドーマがどのようにして作製されたかについて概説する。選択された免疫化マウスを頚椎脱臼によって屠殺し、各コホートから流入領域リンパ節を採集し、プールした。細胞を組織から放出させるために、DMEM中で磨り潰すことによって、リンパ系組織からB細胞を解離させ、細胞をDMEM中に懸濁した。細胞を計数し、穏やかに、但し、完全に細胞を再懸濁させるために、1億のリンパ球当たりDMEM0.9mLを細胞ペレットに添加した。
1:4の比で、リンパ球をATCC、カタログ番号CRL1580から購入した非分泌性骨髄腫P3X63Ag8.653細胞(Kearney et al.,(1979)J.Immunol.123,1548−1550)と混合した。400×gで、4分の遠心分離によって、細胞混合物を穏やかに沈降させた。容器を傾けて上清を除去した後、1mLピペットを用いて、細胞を穏やかに混合した。1分にわたって、穏やかに撹拌しながら、Sigma(カタログ番号P7306)から得た事前加熱されたPEG/DMSO溶液(B細胞100万個当たり1mL)をゆっくり添加した後、1分間混合した。次いで、穏やかに撹拌しながら、2分にわたって、事前加熱されたIDMEM(B細胞100万個当たり2mL)(グルタミン、L−グルタミン、ペニシリン/ストレプトマイシン、MEM非必須アミノ酸なしのDMEM)(全て、Invitrogenから得た)を添加した。最後に、3分にわたって、事前加熱されたIDMEM(10個のB細胞当たり8mL)を添加した。
400×gで6分、融合された細胞を遠心沈降させ、100万個のB細胞当たり選択培地20mL(L−グルタミン、ペニシリン/ストレプトマイシン、MEM非必須アミノ酸、ピルビン酸ナトリウム、2−メルカプトエタノール(全て、Invitrogenから入手)、HA−アザセリンヒポキサンチン、及びOPI(オキサロ酢酸、ピルビン酸塩、ウシインスリン)(何れも、Sigmaから入手)、及びIL−6(Boeringer Mannheim)が補充された、DMEM(Invitrogen)、15%FBS(Hyclone)中に再懸濁した。37Cで20〜30分間、細胞をインキュベートし、次いで、選択培地200mL中に再懸濁し、96ウェルへの播種の前に、T175フラスコ中で3〜4日間培養した。このようにして、PCSK9に対する抗原結合タンパク質を産生するハイブリドーマを作製した。
実施例3
PCSK9抗体の選択
本実施例は、様々なPCSK9抗原結合タンパク質をどのようにして性質決定し、選択したかについて概説する。(実施例1及び2で作製されたハイブリドーマから産生された)分泌された抗体のPCSK9への結合を評価した。抗体の選択は、結合データ及びLDLRへのPCSK9の結合の阻害及び親和性に基づいた。以下に記載されているように、ELISAによって、可溶性PCSK9への結合を分析した。結合親和性を定量するために、BIAcore(登録商標)(表面プラズモン共鳴)を使用した。
一次スクリーニング
野生型PCSK9に結合する抗体に対する一次スクリーニングを行った。2つの採集物に対して、一次スクリーニングを行った。一次スクリーニングは、ELISAアッセイを含み、以下のプロトコルを用いて行った。
Costar3702培地結合384ウェルプレート(Corning Life Sciences)を使用した。40μL/ウェルの体積で、1×PBS/0.05%アジド中、4μg/mLの濃度のニュートラビジンで、プレートを被覆した。4℃で一晩、プレートをインキュベートした。次いで、Titertekプレート洗浄装置(Titertek,Huntsville,AL)を用いて、プレートを洗浄した。3サイクルの洗浄を行った。1×PBS/1%ミルク90μLでプレートをブロックし、室温で約30分間インキュベートした。次いで、プレートを洗浄した。再度、3サイクルの洗浄を行った。捕捉試料は、V5タグを持たないビオチン化されたPCSK9であり、40μL/ウェルの体積で、1×PBS/1%ミルク/10mM Ca2+中に0.9μg/mLで添加した。次いで、プレートを室温で1時間インキュベートした。次に、3サイクル洗浄を用いて作動されるTitertekプレート洗浄装置を用いて、プレートを洗浄した。1×PBS/1%ミルク/10mM Ca2+40μL中に、上清10μLを移し、室温で1.5時間インキュベートした。再度、3サイクル洗浄を用いて作動されるTitertekプレート洗浄装置を用いて、プレートを洗浄した。1×PBS/1%ミルク/10mM Ca2+中、100ng/mL(1:4000)の濃度のヤギ抗ヒトIgGFcPOD40μL/ウェルをプレートに添加し、室温で1時間インキュベートした。3サイクル洗浄を用いて、プレートをもう一度洗浄した。最後に、1ステップTMB(Neogen,Lexington,Kentucky)(40μL/ウェル)をプレートに添加し、室温で30分後に、1N塩酸(40μL/ウェル)で反応停止処理した。Titertekプレートリーダーを用いて、450nmでODを直ちに読み取った。
一次スクリーニングによって、2つの採集物から同定された合計3104の抗原特異的ハイブリドーマが得られた。最高のELISAのODに基づいて、合計3000の陽性に対して、採集物当たり1500のハイブリドーマをさらなる操作に用いた。
確認用スクリーニング
次いで、安定なハイブリドーマが確立されたことを確認するために、野生型PCSK9への結合に関して、3000の陽性を再スクリーニングした。スクリーニングは、以下のように行った。Costar3702培地結合384ウェルプレート(Corning Life Sciences)を使用した。40μL/ウェルの体積で、1×PBS/0.05%アジド中、3μg/mLのニュートラビジンで、プレートを被覆した。4℃で一晩、プレートをインキュベートした。次いで、Titertekプレート洗浄装置(Titertek,Huntsville,AL)を用いて、プレートを洗浄した。3サイクルの洗浄を行った。1×PBS/1%ミルク90μLでプレートをブロックし、室温で約30分間インキュベートした。次いで、M384プレート洗浄装置を用いてプレートを洗浄した。3サイクルの洗浄を行った。捕捉試料は、V5タグを持たないb−PCSK9であり、40μL/ウェルの体積で、1×PBS/1%ミルク/10mM Ca2+中に0.9μg/mLで添加した。次いで、プレートを室温で1時間インキュベートした。次に、3サイクル洗浄を用いて、プレートを洗浄した。1×PBS/1%ミルク/10mM Ca2+40μL中に、上清10μLを移し、室温で1.5時間インキュベートした。再度、3サイクル洗浄を用いて作動されるTitertekプレート洗浄装置を用いて、プレートを洗浄した。1×PBS/1%ミルク/10mM Ca2+中、100ng/mL(1:4000)の濃度のヤギ抗ヒトIgGFcPOD40μL/ウェルをプレートに添加し、プレートを室温で1時間インキュベートした。3サイクル洗浄を用いて作動されるTitertekプレート洗浄装置を用いて、プレートをもう一度洗浄した。最後に、1ステップTMB(Neogen,Lexington,Kentucky)の40μL/ウェルをプレートに添加し、室温で30分後に、1Nの塩酸(40μL/ウェル)で反応停止処理した。Titertekプレートリーダーを用いて、450nmでODを直ちに読み取った。合計2441の陽性を、第二のスクリーニングで反復した。次いで、その後のスクリーニングにおいて、これらの抗体を使用した。
マウス交叉反応スクリーニング
次いで、抗体がヒト及びマウスPCSK9の両方に結合できることを確認するために、マウスPCSK9に対する交叉反応性に関して、ハイブリドーマのパネルをスクリーニングした。交叉反応性スクリーニングでは、以下のプロトコルを使用した。Costar3702培地結合384ウェルプレート(Corning Life Sciences)を使用した。40μL/ウェルの体積で、1×PBS/0.05%アジド中、3μg/mLのニュートラビジンでプレートを被覆した。4℃で一晩、プレートをインキュベートした。次いで、Titertekプレート洗浄装置(Titertek,Huntsville,AL)を用いて、プレートを洗浄した。3サイクルの洗浄を行った。1×PBS/1%ミルク90μLでプレートをブロックし、室温で約30分間インキュベートした。次いで、Titertekプレート洗浄装置を用いてプレートを洗浄した。3サイクルの洗浄を行った。捕捉試料は、ビオチン化されたマウスPCSK9であり、40μL/ウェルの体積で、1×PBS/1%ミルク/10mM Ca2+中に1μg/mLで添加した。次いで、プレートを室温で1時間インキュベートした。次に、3サイクル洗浄を用いて作動されるTitertekプレート洗浄装置を用いて、プレートを洗浄した。上清50μLをプレートに移し、室温で1時間インキュベートした。再度、3サイクル洗浄を用いて、プレートを洗浄した。1×PBS/1%ミルク/10mM Ca2+中、100ng/mL(1:4000)の濃度のヤギ抗ヒトIgGFcPOD40μL/ウェルをプレートに添加し、プレートを室温で1時間インキュベートした。3サイクル洗浄を用いて、プレートをもう一度洗浄した。最後に、1ステップTMB(Neogen,Lexington,Kentucky)の40μL/ウェルをプレートに添加し、室温で30分後に、1N塩酸(40μL/ウェル)で反応停止処理した。Titertekプレートリーダーを用いて、450nmでODを直ちに読み取った。579抗体が、マウスPCSK9と交叉反応することが観察された。次いで、その後のスクリーニングにおいて、これらの抗体を使用した。
D374Y変異体結合スクリーニング
PCSK9中のD374Y変異は、ヒト集団中において文献に記載されている(例えば、Timms KM et al,「A mutation in PCSK9 causing autosomal−dominant hypercholesterolemia in a Utah pedigree」,Hum.Genet.114:349−353,2004)。抗体が野生型に対して特異的であるか、またはPCSK9のD374Y形態に結合したかどうかを測定するために、次いで、変異D374Yを含む変異体PCSK9配列への結合に関して、試料をスクリーニングした。スクリーニングのためのプロトコルは、以下の通りであった。スクリーニングでは、Costar3702培地結合384ウェルプレート(Corning Life Sciences)を使用した。40μL/ウェルの体積で、1×PBS/0.05%アジド中、4μg/mLのニュートラビジンで、プレートを被覆した。4℃で一晩、プレートをインキュベートした。次いで、Titertekプレート洗浄装置(Titertek,Huntsville,AL)を用いて、プレートを洗浄した。3サイクルの洗浄を行った。1×PBS/1%ミルク90μLでプレートをブロックし、室温で約30分間インキュベートした。次いで、Titertekプレート洗浄装置を用いてプレートを洗浄した。3サイクルの洗浄を行った。1×PBS/1%ミルク/10mM Ca2+中、1μg/mLの濃度のビオチン化されたヒトPCSK9D374Yでプレートを被覆し、室温で1時間インキュベートした。次いで、Titertekプレート洗浄装置を用いてプレートを洗浄した。3サイクルの洗浄を行った。後期枯渇ハイブリドーマ培養上清を、PBS/ミルク/Ca2+中に1:5希釈し(10mL+40mL)、室温で1時間インキュベートした。次に、1×PBS/1%ミルク/10mM Ca2+中、1μg/mLで、ウサギ抗ヒトPCSK9(Cayman Chemical)及びヒト抗His1.2.3(1:2)の40μL/ウェルをプレート上に滴定し、次いで、室温で1時間インキュベートした。次いで、Titertekプレート洗浄装置を用いてプレートを洗浄した。3サイクルの洗浄を行った。1×PBS/1%ミルク/10mM Ca2+中、100ng/mL(1:4000)の濃度のヤギ抗ヒトIgGFcHRP40μL/ウェルをプレートに添加し、プレートを室温で1時間インキュベートした。1×PBS/1%ミルク/10mM Ca2+中、100ng/mL(1:4000)の濃度のヤギ抗ウサギIgGFcHRP40μL/ウェルをプレートに添加し、プレートを室温で1時間インキュベートした。次いで、Titertekプレート洗浄装置を用いてプレートを洗浄した。3サイクルの洗浄を行った。最後に、1ステップTMB(Neogen,Lexington,Kentucky)の40μL/ウェルをプレートに添加し、室温で30分後に、1N塩酸(40μL/ウェル)で反応停止処理した。Titertekプレートリーダーを用いて、450nmでODを直ちに読み取った。野生型PCSK9に対する陽性ヒットの96%以上が、変異体PCSK9も結合した。
大規模受容体リガンド遮断スクリーニング
LDLRへのPCSK9結合を遮断する抗体をスクリーニングするために、D374Y PCSK9変異体を用いたアッセイを開発した。LDLRに対してより高い結合親和性を有するので、このアッセイに対してその変異体を使用し、より感度が高い受容体リガンド遮断アッセイの開発を可能とした。受容体リガンド遮断スクリーニングでは、以下のプロトコルを使用した。スクリーニングでは、Costar3702培地結合384ウェルプレート(Corning Life Sciences)を使用した。40μL/ウェルの体積で、1×PBS/0.05%アジド中、2μg/mLのヤギ抗LDLR(R&D、カタログ番号AF2148)でプレートを被覆した。4℃で一晩、プレートをインキュベートした。次いで、Titertekプレート洗浄装置(Titertek,Huntsville,AL)を用いて、プレートを洗浄した。3サイクルの洗浄を行った。1×PBS/1%ミルク90μLでプレートをブロックし、室温で約30分間インキュベートした。次いで、Titertekプレート洗浄装置を用いてプレートを洗浄した。3サイクルの洗浄を行った。捕捉試料は、LDLR(R&D、カタログ番号2148LD/CF)であり、40μL/ウェルの体積で、1×PBS/1%ミルク/10mM Ca2+中に0.4μg/mLで添加した。次いで、プレートを室温で1時間10分間インキュベートした。同時に、Nuncポリプロピレンプレート中のハイブリドーマ枯渇上清15μLとともに、ビオチン化されたヒトD374Y PCSK9の20ng/mLをインキュベートし、枯渇上清濃度を1:5希釈した。次いで、プレートを室温で約1時間30分間プレインキュベートした。次に、3サイクル洗浄を用いて作動されるTitertekプレート洗浄装置を用いて、プレートを洗浄した。プレインキュベートされた混合物50μL/ウェルを、LDLRで被覆されたELISAプレート上に移し、室温で1時間インキュベートした。LDLRに結合されたb−PCSK9を検出するために、アッセイ希釈液中の500ng/mLのストレプトアビジンHRP40μL/ウェルをプレートに添加した。プレートを室温で1時間インキュベートした。再度、Titertekプレート洗浄装置を用いてプレートを洗浄した。3サイクルの洗浄を行った。最後に、1ステップTMB(Neogen, Lexington, Kentucky)の40μL/ウェルをプレートに添加し、室温で30分後に、1N塩酸(40μL/ウェル)で反応停止処理した。Titertekプレートリーダーを用いて、450nmでODを直ちに読み取った。スクリーニングによって、PCSK9とLDLRウェル間での相互作用を遮断する384の抗体が同定され、100の抗体は相互作用を強く遮断した(OD<0.3)。これらの抗体は、PCSK9とLDLRの結合相互作用を90%超阻害した(90%超の阻害)。
遮断物質のサブセットに対する受容体リガンド結合アッセイ
次いで、第一の大規模受容体リガンド阻害アッセイにおいて同定された中和物質の384のサブセットに対して、変異体酵素を用いて受容体リガンドアッセイを反復した。384の遮断物質サブセットアッセイのスクリーニングでは、大規模受容体リガンド遮断スクリーニングにおいて行われたものと同じプロトコルを使用した。この反復スクリーニングによって、最初のスクリーニングデータが確認された。
この384メンバーのサブセットのスクリーニングによって、90%を超えて、PCSK9変異体酵素とLDLR間の相互作用を遮断する85の抗体が同定された。
野生型PCSK9と結合するが、D374Y変異体と結合しない遮断物質の受容体リガンド結合アッセイ
3000の上清の当初パネル中には、野生型PCSK9に特異的に結合するが、huPCSK9(D374Y)変異体に結合しないことが示された86の抗体が存在していた。LDLR受容体への野生型PCSK9の結合を遮断する能力に関して、これらの86の上清を検査した。以下のプロトコルを使用した。スクリーニングでは、Costar3702培地結合384ウェルプレート(Corning Life Sciences)を使用した。40μL/ウェルの体積で、1×PBS/0.05%アジド中、10μg/mLの抗His1.2.3でプレートを被覆した。4℃で一晩、プレートをインキュベートした。次いで、Titertekプレート洗浄装置(Titertek,Huntsville,AL)を用いて、プレートを洗浄した。3サイクルの洗浄を行った。1×PBS/1%ミルク90μLでプレートをブロックし、室温で約30分間インキュベートした。次いで、Titertekプレート洗浄装置を用いてプレートを洗浄した。3サイクルの洗浄を行った。LDLR(R&D Systems,#2148LD/CFまたはR&D Systems,#2148LD)を、40μL/ウェルの体積で、1×PBS/1%ミルク/10mM Ca2+中に5μg/mLで添加した。次いで、プレートを室温で1時間インキュベートした。次に、3サイクル洗浄を用いて作動されるTitertekプレート洗浄装置を用いて、プレートを洗浄した。同時に、Nuncポリプロピレンプレート中のハイブリドーマ枯渇上清とともに、ビオチン化されたヒト野生型PCSK9をプレインキュベートした。1×PBS/1%ミルク/10mM Ca2+中、583ng/mLの濃度でb−PCSK9の33μL中にハイブリドーマ上清22μLを移し、最終のb−PCSK9濃度=350ng/mL及び1:2.5の最終希釈で枯渇上清を得た。プレートを室温で約1時間30分間プレインキュベートした。プレインキュベートされた混合物50μL/ウェルを、LDLRが捕捉されたELISAプレート上に移し、室温で1時間インキュベートした。次いで、Titertekプレート洗浄装置を用いてプレートを洗浄した。3サイクルの洗浄を行った。アッセイ希釈液中の500ng/mLのストレプトアビジンHRP40μL/ウェルをプレートに添加した。プレートを室温で1時間インキュベートした。次いで、Titertekプレート洗浄装置を用いてプレートを洗浄した。3サイクルの洗浄を行った。最後に、1ステップTMB(Neogen,Lexington,Kentucky)の40μL/ウェルをプレートに添加し、室温で30分後に、1N塩酸(40μL/ウェル)で反応停止処理した。Titertekプレートリーダーを用いて、450nmでODを直ちに読み取った。
スクリーニングの結果
記載されているアッセイの結果に基づいて、PCSK9との所望の相互作用を有する抗体を産生するとして、いくつかのハイブリドーマ株が同定された。各株からクローンの管理可能な数を単離するために、限外希釈を使用した。ハイブリドーマ株の番号(例えば、21B12)及びクローン番号(例えば、21B12.1)によって、クローンを表記した。一般に、いかなる特定の株の異なるクローン間の差も、本明細書中に記載されている機能的アッセイによって検出されなかった。少数の事例では、機能的アッセイにおいて異なる挙動を示した特定の株からクローンが特定された。例えば、25A7.1は、PCSK9/LDLRを遮断しないが、25A7.3(本明細書において、25A7と称される)は中和性であることが見出された。単離されたクローンを、ハイブリドーマ培地50〜100mL中でそれぞれ増殖させ、枯渇するまで増殖させた(即ち、約10%未満の細胞生存率)。これらの培養物の上清中でのPCSK9に対する抗体の濃度及び効力を、本明細書中に記載されているようなELISAによって、及びインビトロ機能的検査によって測定した。本明細書に記載されているスクリーニングの結果として、PCSK9に対する抗体の最も高い力価を有するハイブリドーマを同定した。図2A〜3D及び表2中に、選択されたハイブリドーマが示されている。
実施例4.1
ハイブリドーマからのヒト31H4 IgG4抗体の作製
この実施例は、ハイブリドーマ株から、抗原結合タンパク質の1つをどのようにして作製するかについて一般的に記載する。作製作業は、枯渇上清生成50mLを使用した後、プロテインA精製を行った。Integra作製を大規模化し、その後実行した。ハイブリドーマ株31H4を、培地20mL中のT75フラスコで増殖させた(Integra Media、表5)。ハイブリドーマはT75フラスコ中でほぼ集密状態になった時点で、Integraフラスコに移した(Integra Biosciences,Integra CL1000,カタログ番号90 005)。
Integraフラスコは、2つのチャンバー(小さなチャンバー及び大きなチャンバー)へ膜によって分けられた細胞培養フラスコである。31H4ハイブリドーマ株から得られた1×10細胞/mLの最小細胞密度のハイブリドーマ細胞20〜30mL体積を、Integra培地中のIntegraフラスコの小さなチャンバー中に配置した(Integra培地の成分に関しては、表4.1を参照されたい)。Integra培地のみ(1L)を、Integraフラスコの大きなチャンバー中に配置した。2つのチャンバーを隔てる膜は、小分子量栄養素に対して透過性であるが、ハイブリドーマ細胞及びハイブリドーマ細胞によって産生された抗体に対して非透過性である。従って、ハイブリドーマ細胞及びそのハイブリドーマ細胞によって産生された抗体を小さなチャンバー中に保持した。
1週後、Integraフラスコの両チャンバーから培地を除去し、新鮮なIntegra培地と交換した。小さなチャンバーから集められた培地は、別個に保持した。増殖の第2週後に、小さなチャンバーから得た培地を再度集めた。ハイブリドーマ株から1週目に集めた培地を、ハイブリドーマ株から2週目に集めた培地と合わせた。ハイブリドーマ株から得られた集められた培地試料を遠心して、細胞及び破砕物を除去して(3000rpmで15分)、得られた上清をろ過した(0.22μm)。透明になった馴化培地をプロテインA−セファロースカラム上に搭載した。任意で、培地をまず濃縮し、次いで、プロテインAセファロースカラム上に搭載することができる。徹底的なPBS洗浄によって、非特異的結合を除去した。プロテインAカラムからの標準的酸性抗体溶出(50mMクエン酸塩、pH3.0など)によって、プロテインAカラム上に結合された抗体タンパク質を回収した。プロテインAセファロースプール中の凝集した抗体タンパク質を、サイズ排除クロマトグラフィーまたはQセファロース樹脂などの陰イオン交換樹脂上の結合イオン交換クロマトグラフィーによって除去した。31H4タンパク質に対する具体的なIEX条件は、pH7.8〜8.0でQ−セファロースHPである。25カラム体積の10mM〜500mMのNaCl勾配を用いて、抗体を溶出した。
Figure 2018076351
実施例4.2
形質移入された細胞からの組み換え31H4ヒトIgG2抗体の作製
本実施例は、31H4 IgG2抗体が形質移入された細胞からどのようにして作製されるかを概説している。一過性発現のために293細胞及び安定な発現のためにCHO細胞を、31H4重鎖及び軽鎖をコードするプラスミドで形質移入した。細胞及び細胞破砕物を除去することによって、形質移入された細胞からの馴化培地を回収した。透明になった馴化培地をプロテインA−セファロースカラム上に搭載した。任意で、培地をまず濃縮し、次いで、プロテインAセファロースカラム上に搭載することができる。徹底的なPBS洗浄によって、非特異的結合を除去した。プロテインAカラムからの標準的酸性抗体溶出(50mMクエン酸塩、pH3.0など)によって、プロテインAカラム上に結合された抗体タンパク質を回収した。プロテインAセファロースプール中の凝集した抗体タンパク質を、サイズ排除クロマトグラフィーまたはQセファロース樹脂などの陰イオン交換樹脂上の結合イオン交換クロマトグラフィーによって除去した。31H4タンパク質に対する具体的なIEX条件は、pH7.8〜8.0でQ−セファロースHPである。25カラム体積の10mM〜500mMのNaCl勾配を用いて、抗体を溶出した。
実施例5
ハイブリドーマからのヒト21B12 IgG4抗体の作製
本実施例は、ハイブリドーマから抗体21B12 IgG4がどのようにして作製されたかを概説する。ハイブリドーマ株21B12を、培地中のT75フラスコで増殖させた(Integra Media、表5)。ハイブリドーマはT75フラスコ中でほぼ集密状態になった時点で、Integraフラスコに移した(Integra Biosciences,Integra CL1000,カタログ番号90 005)。
Integraフラスコは、2つのチャンバー(小さなチャンバー及び大きなチャンバー)へ膜によって分けられた細胞培養フラスコである。31H4ハイブリドーマ株から得られた1×10細胞/mLの最小細胞密度のハイブリドーマ細胞20〜30mLの容量を、Integra培地中のIntegraフラスコの小さなチャンバー中に配置した(Integra培地の成分に関しては、表5を参照されたい)。Integra培地のみ(1L)を、Integraフラスコの大きなチャンバー中に配置した。2つのチャンバーを隔てる膜は、小分子量栄養素に対して透過性であるが、ハイブリドーマ細胞及びハイブリドーマ細胞によって産生された抗体に対して非透過性である。従って、ハイブリドーマ細胞及びそのハイブリドーマ細胞によって産生された抗体を小さなチャンバー中に保持した。
1週後、Integraフラスコの両チャンバーから培地を除去し、新鮮なIntegra培地と交換した。小さなチャンバーから集められた培地は、別個に保持した。増殖の第2週後に、小さなチャンバーから得た培地を再度集めた。ハイブリドーマ株から1週目に集めた培地を、ハイブリドーマ株から2週目に集めた培地と合わせた。ハイブリドーマ株から得られた集められた培地試料を遠心して、細胞及び破砕物を除去して(3000rpmで15分)、得られた上清をろ過した(0.22μm)。透明になった馴化培地をプロテインA−セファロースカラム上に搭載した。任意で、培地をまず濃縮し、次いで、プロテインAセファロースカラム上に搭載する。徹底的なPBS洗浄によって、非特異的結合を除去した。プロテインAカラムからの標準的酸性抗体溶出(50mMクエン酸塩、pH3.0など)によって、プロテインAカラム上に結合された抗体タンパク質を回収した。プロテインAセファロースプール中の凝集した抗体タンパク質を、サイズ排除クロマトグラフィーまたはQセファロース樹脂などの陰イオン交換樹脂上の結合イオン交換クロマトグラフィーによって除去した。21B12タンパク質に対する具体的なIEX条件は、pH7.8〜8.0でQ−セファロースHPである。25カラム容量の10mM〜500mMのNaCl勾配を用いて、抗体を溶出した。
実施例6
形質移入された細胞からのヒト21B12 IgG2抗体の作製
本実施例は、21B12 IgG2抗体が形質移入された細胞からどのようにして作製されるかを概説している。細胞(一過性発現のために293細胞及び安定な発現のためにCHO細胞)を、21B12重鎖及び軽鎖をコードするプラスミドで形質移入した。細胞及び細胞破砕物を除去することによって、ハイブリドーマ細胞からの馴化培地を回収した。透明になった馴化培地をプロテインA−セファロースカラム上に搭載した。任意で、培地をまず濃縮し、次いで、プロテインAセファロースカラム上に搭載することができる。徹底的なPBS洗浄によって、非特異的結合を除去した。プロテインAカラムからの標準的酸性抗体溶出(50mMクエン酸塩、pH3.0など)によって、プロテインAカラム上に結合された抗体タンパク質を回収した。プロテインAセファロースプール中の凝集した抗体タンパク質を、サイズ排除クロマトグラフィーまたはSP−セファロース樹脂などの陽イオン交換樹脂上の結合イオン交換クロマトグラフィーによって除去した。21B12タンパク質に対する具体的なIEX条件は、pH5.2でSP−セファロースHPであった。20mM酢酸ナトリウム緩衝液中の10mM〜500mMのNaCl勾配を含有する緩衝液の25カラム体積で抗体を溶出した。
実施例7
抗体重鎖及び軽鎖の配列分析
次いで、Sanger(ジデオキシ)ヌクレオチド配列決定によって、上記抗体の軽鎖及び重鎖に対する核酸及びアミノ酸配列を決定した。次いで、核酸配列に対してアミノ酸配列を推定した。可変ドメインに対する核酸配列が、図3E〜3JJ及び図3LL〜BBB中に図示されている。
31H4、212B12、及び16F12のλ軽鎖可変領域に対するcDNA配列が決定され、それぞれ、配列番号153、95、及び105として開示されている。
31H4、212B12、及び16F12の重鎖可変領域に対するcDNA配列が決定され、それぞれ、配列番号152、94、及び104として開示されている。
λ軽鎖定常領域(配列番号156)並びにIgG2及びIgG4重鎖定常領域(配列番号154及び155)が、図3KKに示されている。
cDNA配列の各々から予測されたポリペプチド配列を決定した。31H4、21B12、及び16F12のλ軽鎖可変領域に対する予測ポリペプチド配列が予測され、それぞれ、配列番号12、23、及び35として開示されており、λ軽鎖定常領域(配列番号156)、31H4、21B12、及び16F12の重鎖可変領域は、それぞれ、配列番号67、49、及び79として開示されている。IgG2及びIgG4重鎖定常領域(配列番号154及び155)。
FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4分類が、図2A〜3D及び図3CCC〜3JJJに示されている。
配列データに基づいて、それぞれの重鎖または軽鎖可変領域が得られた生殖系列遺伝子を決定した。図2A〜3D及び図3CCC〜3JJJにおいて、生殖系列遺伝子の識別が、対応するハイブリドーマ株の隣に示されおり、それぞれ、一意的な配列番号によって表されている。図2A〜3D及び図3CCC〜3JJJは、性質決定されたさらなる抗体に対する決定されたアミノ酸配列も図示している。
実施例8
大腸菌中の抗体の作製
抗体のいくつかは、大腸菌中でも産生され、例えば、実施例4〜6と同様に作製された抗体とはいくつか若干のアミノ酸の相違を有する。可変領域中の第一の残基は、21B12の重鎖及び軽鎖並びに31H4の軽鎖に対するグルタミンに代わるグルタミン酸であった。可変領域の配列中の相違の他に、(同じく、抗体が大腸菌中で産生されたという事実のために)座標によって記載されている抗体の定常領域中にもいくつかの相違が存在した。図3LLLは、配列番号156及び155と比べた場合の、(大腸菌中で産生された)21B12、31H4、及び31A4Fabの定常領域間の相違を(下線付きの影または太字によって)強調表示している。21B12、31H4、及び31A4に関して、軽鎖定常配列は、ヒトλ(配列番号156)と類似している。下線が付されたグリシン残基は挿入であり、この間で、21B12と31H4可変領域が終結し、λ配列が開始する。
21B12及び31H4の両方に関して、重鎖定常は、ヒトIgG4(配列番号155)と類似している。図3LLL中の強調表示された相違が、表8.1に示されている。
Figure 2018076351
31A4に関して、31A4は、上記の同じ相違を有するが、3つのさらなる相違が存在する。図3LLLに示されているように、先頭に2つの追加のアミノ酸が存在し、これは、大腸菌発現中でのシグナルペプチドの不完全なプロセッシングに起因する。さらに、配列番号155と比べたときに、31A4重鎖定常領域中に1つの追加の置換が存在し、これは、(配列番号155中の)LのHへの調整である。最後に、31A4は、21B12及び31H4に対して上述のグルタミン酸への調整ではなく、Fabの最初のアミノ酸としてグルタミンを有する。
3つの抗体全てに関して、(濃い灰色の枠で囲まれている)重鎖の末端も異なるが、構造中でアミノ酸が整理されていないので、座標中には出現しない。当業者によって理解されるように、ヒスチジンタグを含む特定の配列番号への参照及びABP配列が「ヒスチジンタグを含む」という記述によって明示的に言及されていない限り、HisタグはABPの必要な一部でなく、ABPの配列の一部と考えるべきではない。
実施例9
PCSK9に対する抗体の結合の性質決定
PCSK9に結合するいくつかの抗原が同定されたら、結合の性質を定量し、さらに性質決定するために、いくつかのアプローチを使用した。試験の一態様において、Biacore親和性分析を行った。試験の別の態様において、KinExA(登録商標)親和性分析を行った。これらの試験において使用された試料及び緩衝液が、以下の表9.1に示されている。
Figure 2018076351
BIAcore(登録商標)親和性測定
本実施例に記載されているPCSK9に対する21B12抗体のBIAcore(登録商標)(表面プラズモン共鳴装置、Biacore,Inc.,Piscataway,NJ)親和性分析を、製造業者の指示書に従って行った。
要約すれば、表面プラズモン共鳴実験は、Biacore2000光学的バイオセンサー(Biacore,GE Healthcare,Piscataway,NJ)を用いて行った。200共鳴単位(RU)を超えない最大分析物結合応答(Rmax)を与えるレベルで、アミン結合によって研究等級のCM5バイオセンサーチップに、それぞれの個別の抗PCSK9抗体を固定化した。PCSK9タンパク質の濃度を2倍間隔で変動させ(分析物)、(1.5分間、100μL/分の流速で)固定化された抗体表面上に注入した。0.01%BSAが補充された新鮮なHBS−P緩衝液(pH7.4、0.01M Hepes、0.15M NaCl、0.005%界面活性剤P−20、Biacore)を結合緩衝液として使用した。pH7.4のヒト、マウス、及びカニクイザルPCSK9タンパク質の各々に対する別個の実験において、各抗PCSK9抗体の結合親和性を測定した(使用した濃度は、100、50、25、12.5、6.25、3.125、及び0nMであった)。
さらに、ヒトPCSK9に対する抗体の結合親和性も、0.01%BSAが補充されたpH6.0HBS−P緩衝液(pH6.0、0.01M Hepes、0.15M NaCl、0.005%界面活性剤P−20、Biacore)を用いて、pH6.0で測定した。得られた結合シグナルは、溶液中の遊離PCSK9に比例していた。解離平衡定数(K)を、二重曲線一部位均一結合モデル(KinExA(登録商標)ソフトウェア、Sapidyne Instruments Inc.,Boise,ID)(6.0pHの実行に対して、n=1)を用いて、競合曲線の非線形回帰分析から得た。興味深いことに、抗体は、より低いpHで、より強固な結合親和性を示すように見受けられた(Kは、それぞれ、31H4、21B12、及び16F12に対して、12.5、7.3、及び29pMであった)。
(会合速度定数)、k(解離速度定数)及びK(解離平衡定数)を含む抗体結合速度論パラメータを、BIA評価3.1コンピュータプログラム(BIAcore,Inc.Piscataway,NJ)を用いて測定した。より低い解離平衡定数は、PCSK9に対する抗体のより大きな親和性を示す。BIAcore(登録商標)親和性分析によって測定されたK値が、以下に示されている表9.2に表されている。
Figure 2018076351
表9.3は、kon及びkoff速度を示す。
Figure 2018076351
KinExA(登録商標)親和性測定
16F12及び31H4のKinExA(登録商標)(Sapidyne Instruments,Inc.,Boise,ID)親和性分析を、製造業者の指示書に従って行った。簡潔に述べれば、Reacti−Gel(商標)(6×)(Pierce)を、ヒトV5タグ付加されたカニクイザルまたはHisタグ付加されたマウスPCSK9タンパク質の1つで予め被覆し、BSAで遮断した。次いで、抗体31H4及びPCSK9タンパク質の1つの何れかの10または100pMを、室温で8時間、PCSK9タンパク質の様々な濃度(0.1pM〜25nM)でインキュベートした後PCSK9が被覆されたビーズを通過させた。ビーズが結合された31H4の量を、蛍光的に(Cy5)標識されたヤギ抗ヒトIgG(H+L)抗体(Jackson Immuno Research)によって定量した。結合シグナルは、結合平衡での遊離の31H4の濃度に比例している。一部位均一結合モデルを用いて、競合曲線の2つの組の非線形回帰から、平衡解離定数(K)を得た。KinExA(登録商標)Proソフトウェアを分析で使用した。この分析において作製された結合曲線が、図4A〜4Fとして表されている。
16F12及び31H4抗体は何れも、ヒト及びカニクイザルPCSK9に対して類似の親和性を示したが、マウスPCSK9に対して約10〜250倍より低い親和性を示した。KinExA(登録商標)システムを用いて検査された2つの抗体のうち、抗体31H4は、それぞれ、3及び2pMのKで、ヒト及びカニクイザルPCSK9の両方に対してより高い親和性を示した。16F12は、ヒトPCSK9に対して15pMのKで、カイニクイザルPCSK9に対して16pMのKで、若干より弱い親和性を示した。
KinExA(登録商標)親和性分析の結果が、以下に示されている表9.4に要約されている。
Figure 2018076351
さらに、試料の質及び量をチェックするために、SDS PAGEを実施し、図5Aに示す。cPCSK9は、ゲル上でおおよそ50%少ないことを示し、KinExA(登録商標)アッセイから計算された活性結合濃度からも示した。従って、cPCSK9に対するmAbのKは、活性なcPCSK9の50%として調整された。
ABP21B12に対するK値を測定するために、BIAcore溶液平衡結合アッセイを使用した。21B12.1は、KinExAアッセイを用いてほとんどシグナルを示さなかったため、biacore溶液平衡アッセイを適用した。固定化されたPCSK9表面に対する抗体の結合に対して、有意な結合は観察されなかったため、約7000RUの密度でのアミン結合を用いて、CM5チップのフローセル4の上に、21B12抗体を固定化した。フローセル3を、バックグラウンド対照として使用した。ヒトPCSK9またはカニクイザルPCSK9の0.3、1、及び3nMを、0.1mg/mLBSA、0.005%P20を加えたPBS中の21B12.1抗体試料(0.001〜25nMの範囲)の系列希釈と混合した。混合された溶液中での遊離のPCSK9の結合を、21B12.1抗体表面上に注入することによって測定した。21B12.1表面上の100%のPCSK9結合シグナルを、溶液中のmAbの不存在下で測定した。mAbの増加する濃度につれて減少したPCSK9の結合応答は、溶液中でのmAbへのPCSK9の結合を示し、これによって、固定化されたペプチボディ表面へのPCSK9の結合を遮断した。mAb濃度に対してPCSK9結合シグナルをプロットして、KinExAPro(商標)ソフトウェア中の一部位均一結合モデルを用いて、曲線の3つの組(0.3、1、及び3nMの固定されたPCSK9濃度)からKを計算した。cPCSK9は、KinExAアッセイ及びSDS−ゲルから観察されるより低いタンパク質濃度を有するが、cPCSK9の濃度は、Kの計算のために使用されなかったので、ここでは、その濃度は調整しなかった。結果は、以下の表9.5及び図5B〜5D中に示されている。図5Bは、hPCSK9に対する3つの異なるhPCSK9濃度での溶液平衡アッセイから得られた結果を図示している。図5Cは、mPCSK9に対する一組の類似の結果を図示する。図5Dは、上記biacore捕捉アッセイから得られた結果を示す。
Figure 2018076351
実施例10
D374Y PCSK9/LDLR結合を遮断する31H4及び21B12の効力
本実施例は、PCSK9 D374YがLDLRに結合する能力を遮断する上での、抗体の2つに対するIC50値を提供する。緩衝液A(100mMカコジル酸ナトリウム、pH7.4)中に希釈されたヤギ抗LDL受容体抗体(R&D Systems)2μg/mLで、透明な384ウェルプレート(Costar)を被覆した。緩衝液Aでプレートを完全に洗浄した後、緩衝液B(緩衝液A中の1%ミルク)で2時間ブロックした。洗浄後、緩衝液C(10mM CaCl2が補充された緩衝液B)中に希釈されたLDL受容体(R&D Systems)0.4μg/mLとともに、プレートを1.5時間インキュベートした。このインキュベーションと同時に、緩衝液A中に希釈された31H4 IgG2、31H4 IgG4、21B12 IgG2、または21B12 IgG4抗体の様々な濃度または緩衝液Aのみ(対照)とともに、ビオチン化されたD374Y PCSK9の20ng/mLをインキュベートした。LDL受容体を含有するプレートを洗浄し、ビオチン化されたD374Y PCSK9/抗体混合物をプレートに移し、室温で1時間インキュベートした。LDL受容体へのビオチン化されたD374Yの結合を、緩衝液C中の500ng/mLのストレプトアビジン−HRP(Biosource)とともに、次いで、TMB基質(KPL)とともにインキュベートすることによって検出した。1N HClを用いてシグナルをクエンチし、450nmで吸光度を読み取った。
この結合研究の結果が、図6A〜6Dに示されている。要約すると、各抗体に対してIC50値を測定し、31H4 IgG2に対して199pM(図6A)、31H4 IgG4に対して156pM(図6B)、21B12 IgG2に対して170pM(図6C)、及び21B12 IgG4に対して169pM(図6D)であることが見出された。
抗体は、このアッセイにおいて、LDLRへの野生型PCSK9の結合も遮断した。
実施例11
細胞LDL取り込みアッセイ
本実施例は、様々な抗原結合タンパク質が細胞によるLDLの取り込みを低減させ得ることを示す。10%FBSが補充されたDMEM培地(Mediatech,Inc)中に、5×10細胞/ウェルの濃度で、透明な底の黒い96ウェルプレート(Costar)中に、ヒトHepG2細胞を播種し、37℃(5%CO2)で一晩インキュベートした。PCSK9と抗体の複合体を形成させるために、取り込み緩衝液(1%FBSを加えたDMEM)中に希釈された抗体の様々な濃度または取り込み緩衝液のみ(対照)とともに、室温で1時間、D374Y ヒトPCSK9の2μg/mLをインキュベートした。PBSで細胞を洗浄した後、D374Y PCSK9/抗体混合物を細胞に移した後、6μg/mLの最終濃度で、取り込み緩衝液中にLDL−BODIPY(Invitrogen)を希釈した。37℃(5%CO2)で3時間インキュベーション後、細胞をPBSで完全に洗浄し、480〜520nm(励起)及び520〜600nm(発光)で、Safire(商標)(TECAN)によって、細胞蛍光シグナルを検出した。
細胞取り込みアッセイの結果が、図7A〜7Dに示されている。要約すると、各抗体に対してIC50値を測定し、31H4 IgG2に対して16.7nM(図7A)、31H4 IgG4に対して13.3nM(図7B)、21B12 IgG2に対して13.3nM(図7C)、及び21B12 IgG4に対して18nM(図7D)であることが見出された。これらの結果は、適用された抗原結合タンパク質がPCSK9(D374Y)の効果を低減させて、細胞によるLDLの取り込みを遮断できることを実証している。抗体は、このアッセイにおいて、野生型PCSK9の効果も遮断した。
実施例12
6日の試験における31H4抗体の血清コレステロール低減効果
PCSK9タンパク質に対する抗体治療を介した野生型(WT)マウスにおける総血清コレステロール(TC)低減を評価するために、以下の手順を行った。
Jackson Laboratory(Bar Harbor,ME)から得られた雄のWTマウス(C57BL/6系統、9〜10週齢、17〜27g)に、実験の期間を通じて、通常の食餌(Harland−Teklad,Diet 2918)を与えた。T=0において、マウスの尾静脈を通じて、10mg/kgのレベルで、抗PCSK9抗体31H4(PBS中の2mg/mL)または対照IgG(PBS中2mg/mL)の何れかをマウスに投与した。ナイーブマウスも、ナイーブ対照群として別に分けた。投薬群及び屠殺の時間が、表12.1に示されている。
Figure 2018076351
表9に示されている所定の時点でのCO2窒息を用いて、マウスを屠殺した。大静脈を介して、エッペンドルフチューブの中に血液を集め、室温で30分間凝固させた。次いで、10分間、12,000×gでの卓上遠心分離機中で、試料を遠心沈降させて、血清を分離した。Hitachi912臨床分析装置及びRoche/Hitachi TC及びHDL−Cキットを用いて、血清総コレステロール及びHDL−Cを測定した。
実験の結果が、図8A〜8Dに示されている。要約すると、抗体31H4が投与されたマウスは、実験の間にわたって、減少した血清コレステロールレベルを示した(図8A及び図8B)。さらに、マウスは減少したHDLレベルを示すことも注目される(図8C及び図8D)。図8A及び図8Cに関して、%変化は、同じ時点での対照IgGに対する(P<0.01、#P<0.05)。図8B及び8Dに関して、%変化は、t=0時間で、ナイーブ動物中において測定された総血清コレステロール及びHDLレベルに対する(P<0.01、#P<0.05)。
低下したHDLレベルに関して、マウス中でのHDLの減少は、HDLの減少がヒトで起きることを示唆せず、この生物中での血清コレステロールが減少したことをさらに反映するに過ぎないことが当業者に理解されることが注目される。マウスは、高密度リポタンパク質(HDL)粒子中に血清コレステロールの大半を輸送し、これはLDL粒子上に殆どの血清コレステロールを有するヒトとは異なることが注目される。マウスでは、総血清コレステロールの測定は、血清HDL−Cのレベルと最も近似する。マウスHDLは、LDL受容体(LDLR)に対するリガンドであるアポリポタンパク質E(apoE)を含有しており、LDLRによるHDLの排除を可能とする。従って、HDLを調べることは、マウスにおける、本実施例での適切な指標である(HDLの減少は、ヒトに対しては予測されないことが理解される)。これに対して、例えば、ヒトHDLは、apoEを含有しておらず、LDLRに対するリガンドではない。PCSK9抗体は、マウス中でのLDLR発現を増加させるので、肝臓は、より多くのHDLを排除させることができるため、血清HDL−Cレベルを低減させる。
実施例13
6日の試験における、LDLRレベルに対する抗体31H4の効果
本実施例は、予測されたように、抗原結合タンパク質が、経時的に、対象中のLDLRのレベルを変化させることを示す。LDLRレベルに対する抗体31H4の効果を確認するために、ウェスタンブロット分析を行った。実施例11で記載した屠殺されたマウスから得られた肝臓組織50〜100mgを、完全なプロテアーゼ阻害剤(Roche)を含有するRIPA緩衝液(Santa Cruz Biotechnology Inc.)0.3mL中において均質化した。ホモジネートを氷上で30分間インキュベートし、細胞破砕物を沈降させるために遠心分離した。BioRadタンパク質アッセイ試薬(BioRad laboratories)を用いて、上清中のタンパク質濃度を測定した。70℃で10分間、タンパク質100μgを変性させ、4〜12%Bis−Tris SDS勾配ゲル(Invitrogen)上で分離した。0.45μm PVDF膜(Invitrogen)にタンパク質を移し、室温で1時間、5%無脂肪ミルクを含有する洗浄緩衝液(50mM Tris PH7.5、150mM NaCl、2mM CaCl、及び0.05%Tween20)中でブロックした。次いで、室温で1時間、ヤギ抗マウスLDLR抗体(R&D system)1:2000または抗βアクチン(sigma)1:2000を用いて、ブロットのプローブ検査を行った。ブロットを短時間洗浄し、ウシ抗ヤギIgG−HRP(Santa Cruz Biotechnology Inc.)1:2000またはヤギ抗マウスIgG−HRP(Upstate)1:2000とともにインキュベートした。室温で1時間インキュベーション後、ブロットを完全に洗浄し、ECL plusキット(Amersham biosciences)を用いて、免疫反応性バンドを検出した。ウェスタンブロットは、図9に図示されているように、抗体31H4の存在下でのLDLRタンパク質レベルの増加を示した。
実施例14
13日の試験における抗体31H4の血清コレステロール低減効果
13日の試験において、PCSK9タンパク質に対する抗体治療を介した野生型(WT)マウスにおける総血清コレステロール(TC)低減を評価するために、以下の手順を行った。
Jackson Laboratory(Bar Harbor,ME)から得られた雄のWTマウス(C57BL/6系統、9から10週齢、17〜27g)に、実験の期間を通じて、通常の食餌(Harland−Teklad, Diet 2918)を与えた。T=0において、マウスの尾静脈を通じて、10mg/kgのレベルで、抗PCSK9抗体31H4(PBS中の2mg/mL)または対照IgG(PBS中2mg/mL)の何れかをマウスに投与した。ナイーブマウスも、ナイーブ対照群として別に分けた。
投薬群及び屠殺の時間が、表14.1に示されている。動物を屠殺し、肝臓を摘出し、実施例11と同様に調製した。
Figure 2018076351
6日の実験を13日の試験に延長すると、6日の試験において観察された同じ血清コレステロール低減効果が、13日の試験においても観察された。より具体的には、10mg/kgで投薬された動物は、3日目に、血清コレステロールの31%の減少を示し、13日までに、投薬前レベルまで徐々に戻った。図10Aは、この実験の結果を図示する。図10Cは、31H4の10mg/kg投薬量を用いた、及び同じく10mg/kgの別の抗体16F12を用いた上記手順を反復した結果を図示している。投薬群及び屠殺の時間が、表14.2に示されている。
Figure 2018076351
図10Cに示されているように、16F12及び31H4は何れも、単回投薬のみの後に、総血清コレステロールの著しく、大幅な減少をもたらし、1週間以上にわたって(10日間またはそれ以上)有益であった。反復された13日の研究の結果は、最初の13日の研究の結果と合致しており、3日目において26%の血清コレステロールレベルの減少が観察された。図10A及び図10Bに関して、%変化は、同じ時点での対照IgGに対する(P<0.01)。図10Cに関して、%変化は、同じ時点での対照IgGに対する(P<0.05)。
実施例15
13日の試験における、HDLレベルに対する抗体31H4の効果
実施例14中の動物に対するHDLレベルも調べた。HDLレベルは、マウスにおいて減少していた。より具体的には、10mg/kgで投薬された動物は、3日目に、HDLレベルの33%の減少を示し、13日までに、投薬前レベルまで徐々に復帰した。図10Bは、この実験の結果を図示する。HDLレベルは、3日目に34%減少した。図10Bは、反復された13日の実験の結果を図示する。
当業者によって理解されるように、抗体は、マウスHDLを低減させるが、ヒト及び他の生物(マウスなど)でのHDLの差のために、これは、ヒトで起こるとは予想されない。従って、マウスHDLの減少は、ヒトHDLの減少を示唆するものではない。
実施例16
抗体の反復投与は、抗原結合ペプチドの継続的な有益性をもたらす
追加の投薬によるさらなる有益性に関して、上記実施例において得られた結果を延長することができるかを確認するために、実施例14及び15中の実験を反復した(投薬スケジュールは、図11Aに図示されている)。結果が、図11Bに示されている。図11Bのグラフから明らかなように、全てのマウスが31H4抗原結合タンパク質の最初の注射を受けたので、マウスの両群は、総血清コレステロールの著しい減少を示し、31H4 ABPのさらなる注射を受けたマウスは、総血清コレステロールの継続した低下を示したのに対して、対照注射を受けただけのマウスは、最終的には、総血清コレステロールの増加を示した。図11に関して、%変化は、t=0時間でのナイーブ動物に対する(P<0.01、**P<0.001)。
本実施例から得られる結果は、対象中での生物学的調整のために、反復適用が効力の低下をもたらす他のコレステロール治療法とは異なり、本発明のアプローチには、検査した時間においては、この問題が存在しないように見受けられることを示している。さらに、このことは、前実施例において観察された、ベースラインへの総血清コレステロールまたはHDLコレステロールレベルの復帰が、対象によって発達された治療に対する何らかの耐性によるものではなく、対象中での利用可能な抗体の枯渇によるものであることを示唆している。
実施例17
高コレステロール血症を治療するためのPCSK9抗体の使用
高コレステロール血症の症候を呈するヒト患者に、31H4(または、例えば、21B12)などのPCSK9抗体の治療的有効量を投与する。治療中の定期的な時点で、血清コレステロールレベルが低下したかどうかを測定するために、ヒト患者をモニターする。治療後に、PCSK9抗体を用いた治療を受けている患者は、治療を受けていない関節炎患者と比べて、低下した血清コレステロールレベルを有することが見出される。
実施例18
高コレステロール血症を予防するためのPCSK9抗原結合タンパク質の使用
高コレステロール血症を発症するリスクを示すヒト患者が、家族歴の分析及び/またはライフスタイル及び/または現在のコレステロールレベルを介して特定される。対象は、PCSK9抗体、31H4(または例えば、21B12)の治療的有効量を定期的に投与される(例えば、週に1回)。治療中の定期的な時点で、血清コレステロールレベルが減少したかどうかを測定するために、患者をモニターする。治療後に、PCSK9抗体を用いた予防的処置を行っている対象は、治療されていない対象と比べて、血清コレステロールレベルを低減させたことが見出される。
実施例19
PCSK9 ABPは、スタチンの存在下でLDLRをさらに上方制御した
本実施例は、スタチンの存在下で使用された場合、PCSK9に対するABPは、LDLRの利用可能性のさらなる増加をもたらしたことを示し、2つの併用によってさらなる有益性を達成し得ることを示す。
10%ウシ胎児血清(FBS)を加えたDMEM中でHepG2細胞を播種し、約90%の集密度になるまで増殖させた。3%FBSを加えたDMEM中のメビノリン(スタチン、Sigma)及びPCSK9 ABP(図12A〜12C)の表記量で細胞を48時間処理した。全細胞溶解物を調製した。ゲル電気泳動によって全タンパク質50mgを分離し、PVDF膜に転写した。ウサギ抗ヒトLDL受容体抗体(Fitzgerlad)またはウサギ抗ヒトb−アクチン抗体を用いて、イムノブロットを行った。増強された化学発光の結果が、図12A〜12Cの上部パネルに示されている。ImageJソフトウェアによって、バンドの強度を定量し、b−アクチンによって正規化した。LDLRの相対レベルが、図12A〜12Cの下部パネル中に示されている。ABP 21B12及び31H4は、PCSK9中和抗体であるのに対して、25A7.1は、非中和抗体である。
HepG2−PCSK9細胞も作製した。これらは、ヒトPCSK9で形質移入された安定なHepG2細胞株であった。10%ウシ胎児血清(FBS)を加えたDMEM中に細胞を播種し、約90%の集密度になるまで増殖させた。3%FBSを加えたDMEM中のメビノリン(Sigma)及びPCSK9 ABP(図12D〜12F)の表記量で細胞を48時間処理した。全細胞溶解物を調製した。ゲル電気泳動によって全タンパク質50mgを分離し、PVDF膜に転写した。ウサギ抗ヒトLDL受容体抗体(Fitzgerlad)またはウサギ抗ヒトb−アクチン抗体を用いて、イムノブロットを行った。増強された化学発光の結果が、上部パネルに示されている。ImageJソフトウェアによって、バンドの強度を定量し、b−アクチンによって正規化した。
図12A〜12Fに図示されている結果から明らかなように、中和抗体の増加する量及びスタチンの増加する量は、LDLRのレベルの増加を一般にもたらした。ABPの増加するレベルの有効性のこの増加は、細胞がPCSK9でも形質移入されており、ABPがより大きな程度までその有効性を示すことができる図12D〜12Fにおいて特に明瞭である。
興味深いことに、図12D〜12F乃至図12A〜12Cの比較の結果によって示されるように、LDLRレベルに対するABP濃度の影響は、PCSK9が細胞によって産生された場合に劇的に増加した。さらに、中和ABP(21B12及び31H4)が25A7.1 ABP(非中和物質)よりも、スタチンの存在下でさえ、LDLRレベルのより大きな増加をもたらしたことは明瞭であり、スタチン及びPCSK9に対するABPの両方を使用することによって、さらなる有益性が達成できることを示す。
実施例20
コンセンサス配列
抗PCSK9 ABPのV及びVに対応するCDRの標準的な系統発生分析を用いて、コンセンサス配列を決定した。VまたはVに対応する同じ配列内に隣接するCDRを保持することによって、コンセンサス配列を決定した。要約すれば、比較並置の遂行及び系統発生の推定を容易にするために、VまたはVの何れかの可変ドメイン全体に対応するアミノ酸配列をFASTAフォーマットに変換した。次に、VまたはVに対応する同じ配列内にCDRをなお隣接させながら、偶発的現象(例えば、共通の生殖系列フレームワークの承継を偶発的に共有する無関係の抗体など)に起因するアミノ酸位置重み付けバイアスを一切導入することなく、CDRのみの検査を実施できるように、これらの配列のフレームワーク領域を、人工のリンカー配列(「bbbbbbbbbb」代用配列、非特異的な核酸構築物)で置き換えた。次いで、標準的なClutalW様アルゴリズム(Thompson et al.,1994,Nucleic Acids Res.22:4673−4680を参照されたい)を使用するプログラムを用いて、配列類似性並置検査に、このフォーマットのVまたはV配列を供した。2.0のギャップ伸長ペナルティとともに、8.0のギャップ生成ペナルティを使用した。同様に、このプログラムは、分岐長の比較及びグループ分けを介して配列群の類似性及び相違を構築し、図解するために、UPGMA(unweighted pair group method using arithmetic averages;非加重結合法)または隣接結合法(Neighbor−Joining method)(Saitou and Nei,1987,Molecular Biology and Evolution 4:406−425を参照されたい)を用いる配列類似性並置に基づくフィログラム(系統発生樹の図解)を作成した。何れの方法も、類似の結果をもたらしたが、UPGMA法はより単純で、より保守的な一群の仮説を使用するので、UPGMAによって得られた系統樹を最終的に使用した。UPGMAによって得られた系統樹(グループ内の各配列のうち、100残基当たり15未満の置換を有するとして、配列の類似のグループ(スケールに関して、系統樹の図解中の注釈参照)が定義された)を作成し、コンセンサス配列集合を定義するために使用した。比較の結果が、図13A〜13J並びに図31A及び31B中に図示されている。図13Eでは、クレードを形成する軽鎖中の配列が、重鎖中でもクレードであり、15未満の置換を有するように、グループを選択した。
実施例21
11F1結合特異性
このアッセイからの結果は、11F1がPCSK9に結合するが、PCSK1、PCSK2、PCSK7、またはフリンには結合しないことを実証しており、11F1のPCSK9に対する特異性を実証している。
緩衝液A(25mM Tris、150mM NaCl、0.1%BSA、0.05%ツイーン、pH7.5)中に希釈されたビオチン化されたPCSK9を、ニュートラビジンで被覆した96ウェルプレートに0.2μg/mLの濃度で結合させ、室温で1時間インキュベートした。別個に、11F1(0.4μg/mL)を、(緩衝液Aw/oツイーン中に希釈された)PCSK1、PCSK2、PCSK7、PCSK9、またはフリン(R&D Systems,Minneapolis,MN)の何れかの様々な濃度(0〜20μg/mLの範囲)で、室温で1時間インキュベートした。フリン阻害剤が、4.5μg/mLで、フリンを含む全ての反応に含まれた。PCSK9を被覆したストレプトアビジンプレートを緩衝液Aで洗浄し、抗体/プロタンパク質コンベルターゼ混合物をプレートに添加し、室温で1時間インキュベートした。洗浄後、結合した抗体を、ヤギαヒトFc−HRP(160ng/mL、緩衝液A中に希釈された)(Jackson Laboratories,Bar Harbor,ME)とともに、次いで、TMB基質とともにインキュベーションすることによって検出した。反応を1N HClで停止させ、Spectramax Plus 384分光光度計(Molecular Devices Inc.,Sunnyvale,CA)で450nmの波長で吸光度を読み取った。
このアッセイは、溶液中のプロタンパク質コンベルターゼが、プレートが捕捉したPCSK9に対する11F1の結合と競合する能力に依存した。溶液中の11F1及びPCSK9のプレインキュベーションにより、プレートが捕捉したPCSK9に11F1が結合する量は、用量依存的かつ強固に減少し、OD450の減少として検出された(図14)。全ての結果は、平均OD450値±標準偏差対プロタンパク質コンベルターゼの濃度で表した。溶液中でPCSK1、PCSK2、PCSK7、またはフリンとともに11F1をプレインキュベーションすることは、プレートが捕捉したPCSK9への11F1の結合に著しい影響を及ぼさなかった。従って、試験したタンパク質濃度では、11F1は、PCSK9のみに結合し、試験した他のプロタンパク質コンベルターゼファミリーメンバーには結合しなかった。
実施例22
LDLR:PCSK9結合の11F1阻害の効力
この実施例は、ナノモル濃度の11F1が、このアッセイの条件下で、LDLRへのD374Y及び野生型PCSK9の両方の結合を阻害することが可能であることを実証している。
簡潔に述べれば、PBS中に希釈されたヤギ抗LDL受容体抗体(R&D Systems、Minneapolis、MN)2μg/mLで、透明な384ウェルプレートを被覆し、4℃で一晩インキュベートした。緩衝液A(100mMカコジル酸ナトリウム、pH7.5)でプレートを完全に洗浄した後、緩衝液B(緩衝液A中の1%無脂肪乾燥ミルク[Bio−Rad Laboratories,Hercules,CA])で、室温で2時間ブロックした。洗浄後、緩衝液C(10mM CaCl2が補充された緩衝液B)中に希釈されたLDL受容体(R&D Systems,Minneapolis,MN)0.4μg/mLとともに、プレートを室温で1.5時間インキュベートした。このインキュベーションと同時に、緩衝液A中に希釈された抗PCSK9抗体11F1の様々な濃度とともに、ビオチン化されたD374Y PCSK9の20ng/mLまたはビオチン化された野生型PCSK9の100ng/mLをインキュベートした(最終濃度は、D374Y PCSK9アッセイに関しては6.0μg/mL〜200μg/mLの範囲、または野生型PCSK9アッセイに関しては3.1μg/mL〜25μg/mLの範囲であった)。LDLRで被覆されたプレートを洗浄し、ビオチン化されたPCSK9/抗体混合物を添加した。LDLRプレートを室温で1時間インキュベートした。LDL受容体へのビオチン化されたPCSK9の結合を、ストレプトアビジン−HRP(緩衝液C中の500ng/mL)とともに、次いで、TMB基質とともにインキュベートすることによって検出した。反応を1NのHClで停止させ、Spectramax Plus 384分光光度計(Molecular Devices Inc.,Sunnyvale,CA)で450nmの波長で吸光度を読み取った。GraphPad Prism(v4.01)ソフトウェアを用いて、抗体濃度の対数対OD450をプロットし、非線形回帰によってIC50値を決定した。
11F1は、LDLR:PCSK9結合を阻害した。D374Y PCSK9アッセイにおける11F1のIC50値は、7.3nM〜10.1nMの範囲であり、平均(±標準偏差)は、9.1nM±1.5nMであった(n=3)。野生型PCSK9アッセイにおける11F1のIC50値は、4.4nM〜8.1nMの範囲であり、平均(±標準偏差)は、5.9nM±1.9nMであった(n=3)。これらのIC50値は、結合アッセイで用いた組み換えD374Y PCSK9または野生型PCSK9の量に依存していることに留意されたい。D374Y及び野生型アッセイの両方の代表的な用量反応曲線を図15及び図16にそれぞれ示す。
実施例23
細胞LDL取り込みを遮断する11F1の効果
11F1は、インビトロでPCSK9とLDLRの間の相互作用を遮断し、HepG2細胞中のLDL取り込みのPCSK9−媒介低下を防ぐことができる。
簡潔に述べれば、10%FBS及び及び1%抗菌抗真菌溶液(Mediatech Inc.,Herndon,VA)が補充されたDMEM培地(Mediatech Inc.,Herndon,VA)中に、5×104細胞/ウェルの濃度で、透明な底の黒い96ウェルプレート(Fisher Scientific CO LLC,Santa Clara,CA)中に、ヒトHepG2細胞を播種した。細胞を37℃(5%CO2)で一晩インキュベートした。D374Y PCSK9と抗体の複合体または野生型PCSK9と抗体の複合体を形成させるために、(D374Y PCSK9を遮断するための)666.7nM〜0.7nMの範囲、または、(野生型PCSK9をブロックするための)3.3μm〜3.3nMの範囲の11F1の系列希釈(1:2)を、製剤緩衝液(25mM HEPES、pH7.5、0.15M NaCL)中で調製した。D374Y PCSK9(2μg/mL)または野生型PCSK9(25μg/mL)のいずれかを、取り込み緩衝液(1%FBS含有DMEM)中に希釈し、11F1の様々な濃度または取り込み緩衝液のみ(陰性対照)とともに、室温で1時間振盪させながらインキュベートした。BODIPY−LDL(Invitrogen,Carlsbad,CA)を取り込み緩衝液中で12μg/mLの濃度に希釈した。一晩インキュベーションした後、HepG2細胞をDPBS(Mediatech Inc.,Herndon,VA)で2回洗浄した。11F1とD374Y PCSK9または野生型PCSK9の複合体25μLと、希釈したBODIPY−LDL(Invitrogen,Carlsbad,CA)25μLとを細胞に添加し、37℃(5%CO2)で3時間インキュベートした。細胞をDPBSで5時間洗浄し、100μL DPBS中に再懸濁させた。480〜520nm(励起)及び520〜600nm(発光)で、Safireプレートリーダー(Tecan Systems Inc.,San Jose,CA)を用いて、相対蛍光単位(RFU)として蛍光シグナルを検出した。
GraphPad Prism(バージョン4.02、GraphPad Software Inc.,San Diego,CA)ソフトウェアを用いて、抗体濃度の対数対RFUをプロットし、S字形用量応答(可変勾配)曲線適合プログラムを用いて、非線形回帰によってEC50値を決定した。
この実施例は、11F1が、用量依存的にHepG2細胞中のLDL取り込みのD374Y PCSK9または野生型PCSK9−媒介低下を遮断したことを示す。組み換え精製されたD374Y PCSK9(2μg/mL)または野生型PCSK9(25μg/mL)をHepG2細胞に添加することで、BODIPY−LDLの取り込みを、非処置細胞で測定したレベルの約50〜60%及び約40%にぞれぞれ低減させた。抗体は、LDL取り込みを、非処置細胞で観察されたレベルに用量依存的に戻した。11F1がLDL取り込みのD374Y PCSK9−媒介低下を遮断する能力の平均(±標準偏差)EC50値は、35.3±9.1nMであった(n=6、図17)。11F1がLDL取り込みの野生型PCSK9−媒介低下を遮断する能力のEC50値は、124.2±28.5nMであった(n=3、図18)。これらのEC50値は、細胞アッセイで用いた組み換えD374Y PCSK9または野生型PCSK9の量に依存することに留意されたい。D374Y PCSK9のLDLRへの結合親和性は野生型PCSK9のものよりも5〜30倍であるので、アッセイにおいてより少ないD374Y PCSK9を用いたため、EC50値は、野生型PCSK9よりもD374Y PCSK9に対して低い(Cunningham et al,2007;Fisher et al,2007;Kwon et al,2008)。
ここで報告されたEC50値は、11F1に対して3〜6回の別々の測定から得られた代表的な平均値である。
実施例24
マウスモデル中のアデノ随伴ウイルスを介して発現したヒトPCSK9を遮断する11F1及び8A3の効果
抗PCSK9抗体11F1または8A3の単回静脈内ボーラス投与により、AAVによってヒトPCSK9を発現するマウス中の血清非HDL−C及びTCの著しい減少をもたらす。この実施例は、インビボでのヒトPCSK9の機能を遮断する抗PCSK9抗体の両方の効果を実証している。
簡潔に述べれば、ヒトPCSK9をコードする改変アデノ随伴ウイルス(AAV)で感染させることで、ヒトPCSK9を発現する120匹のC57BL/6マウスを作製し、低密度リポタンパク質コレステロール(LDL−C)の循環レベルの上昇がもたらされた。Cobas Integra 400 plus化学分析器(Roche Diagnostics,Indianapolis,IN)を用いて、血清コレステロール分析を行った。動物を、非HDL−C(LDL−C及びVLDL−C)、HDL−C、及びTCが類似レベルの処置群に無作為化した。処置0日目(T=0)に、マウスの一部を安楽死させ、血清を回収して、その日のベースラインレベルを確立した。次いで、残りのマウスに、11F1、8A3、または抗キーホール・リンペット・ヘモシアニン(KLH)IgG2対照抗体を尾静脈注射を介して30mg/kg投与した。注射後1〜5日目に、マウスの一部を安楽死させ、大静脈から全血を回収し、30分間室温で凝固させた。卓上遠心分離機で10分間12,000rpmで遠心分離後、血清を回収した。Cobas Integra 400 plus化学分析器を用いて、血清コレステロール分析を行った。
PCSK9の血清濃度を、サンドイッチELISAアッセイを用いて決定した。1×PBS中に希釈されたモノクローナル抗PCSK9抗体(31H4)2μg/mlで、透明な96ウェルプレートを一晩被覆した。1×PBS/.05%ツイーンでプレートを完全に洗浄した後、3%BSA/1×PBSで2時間ブロックした。洗浄後、一般的なアッセイ希釈液中に希釈された血清とともに、プレートを2時間インキュベートした(Immunochemistry Technologies,Bloomington,MN)。組み換えヒトPCSK9(1ng/ml〜500ng/ml)を同時に評価し、各ELISAプレート上の標準曲線の生成に用いた。ウサギポリクローナルビオチン化抗PCSK9抗体(D8773,Amgen Inc,CA)を(1%BSA/PBS中に)1μg/mlで添加した後、ニュートラビジン−HRPを(1%BSA/PBS中に)200ng/mlで添加した。結合したPCSK9は、TMB基質とともにインキュベーションすることによって検出した。反応を1NのHClで停止させ、Spectramax Plus 384分光光度計(Molecular Devices Inc.,Sunnyvale,CA)で450nmで吸光度を読み取った。組み換えヒトPCSK9で生成された標準曲線(4パラメータロジスティック適合)を用いて、血清試料中のPCSK9の対応濃度を決定した。
PCSK9の血清濃度を、サンドイッチELISAアッセイを用いて決定した。ポリクローナルヤギ抗ヒトFc IgG及びHRP標識されたヤギ抗ヒトIgGのFcγポリクローナル試薬(両方とも、Jackson ImmunoResearch Laboratories Inc,West Grove,PAから得た)を、それぞれ、捕捉及び検出抗体として用いた。3,3’,5,5’テトラメチルベンジジン(TMB)基質溶液を過酸化物と反応させ、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)の存在下で、捕捉試薬によって結合した各抗PCSK9抗体の量に比例した比色シグナルを作成した。マイクロプレートリーダー(Spectra Max Plus 384)を用いて、色(光学密度、OD)の強度を450nm−650nmで測定した。データを、別途準備された標準曲線のロジスティック(自動推定)回帰モデルを用いるWatsonバージョン7.0.0.01(Thermo Scientific,Waltham,MA)データ整理パッケージを用いて分析した。アッセイの定量下限(LLOQ)は、34.4ng/mLであった。
AAVマウス中の薬物動態パラメータの算出
WinNonlin Enterpriseバージョン5.1.1(Pharsight,St.Louis,MO)を用いて、各対象の所定の基準時点を用いて血清濃度の非コンパートメント解析(NCA)を行った。終末相排出速度定数及び半減期を推定するためのデータポイントを、濃度−時間プロファイルの目視検査によって選択した。報告されたNCAパラメータには、見かけ上の半減期(t1/2)、時間0から最後に測定した濃度の血清濃度−時間曲線下の領域(AUC0−t)、及び見かけ上の血清クリアランス(CL0−t)が含まれる。AUC0−tは、線形/対数線形台形方法を用いて決定し、CL0−tは、11F1、8A3、及び31H4抗体に関して投薬量/AUC0−tによって算出した。実際の投薬量は30mg/kg標的の20%以内であることが試験後の投薬量溶液分析により示された。しかしながら、IgG2対照に関して、実際の投薬量は目的とする標的の40%のみであったことが分析により示された。従って、12mg/kgの補正投薬量を、IgG2対照のCL0−t算出に用いた。パラメータは、有効数字2桁で報告された半減期以外は、有効数字3桁で報告された。
統計分析
全てのコレステロール結果を平均±標準誤差で表した。全ての薬物動態学的データを平均±標準偏差で表した。1元配置分散分析によって決定されたp値0.05を閾値として用いて、抗KLH IgG2対照抗体を注入した動物と抗PCSK9抗体を同じ時点で投与した動物の間の統計的有意性を決定した。
血清非HDL−C、HDL−C、及びTCに対する抗PCSK9抗体の効果
ベースラインを確立するため、ヒトPCSK9を発現するマウスの一部を、抗体の注射前に安楽死させ、血液を回収した。これらの動物中の非HDL−C、HDL−C、及びTCレベルは、それぞれ、33±4、117±4、及び183±9mg/dL(平均±標準誤差)であった。ナイーブ動物中のPCSK9レベルは、4921ng/mL±2044ng/mLであると決定した。
抗KLH IgG2対照抗体を注入したマウス(対照動物)と比較して、11F1の注射は、注射後1日目、2日目、及び4日目に非HDL−Cの著しい低減(最大で59%)をもたらしたが、TCは、4日目のみ著しい低減(22%)をもたらした(図19、図20)。HDL−Cの著しい低減は、いずれの時点でも観察されなかった(図21)。
対照動物と比較して、8A3の注射は、注射後1日目、2日目、及び4日目に非HDL−Cの著しい減少(最大で65%)をもたらしたが、TCは、注射後2日目に著しい減少(最大で24%)をもたらした(図19、図20)。HDL−Cの著しい減少は、いずれの時点でも観察されなかった(図21)。
薬物動態
30mg/kgの静脈内投与で、11F1及び8A3は、非常によく似た薬物動態学的挙動を有した(図22)。これら2つの分子に関して、AUC0−t曝露、推定CL0−t、及び見かけ上の半減期は同等であった(図23の表)。抗KLH IgG2対照抗体は、11F1及び8A3よりもAUC0−t曝露が予想外に低下したが、これは、意図したよりも低い投薬量で抗体が投与されたことによる可能性が高い(30mg/kgとは対照的に12mg/kg、抗体濃度が標的の40%であることが投薬量溶液分析により示された。補正投薬量を用いて算出した場合、抗KLH IgG2対照抗体CL0−tは、11F1及び8A3のものと同様であり、抗KLH IgG2対照抗体の見かけ上の半減期は、120時間超と推定された。11F1及び8A3のCL0−t値は抗KLH IgG2対照抗体により近いので、AAVモデル中で投与した他の抗体と比較した場合、抗体の体内動態におけるPCSK9リガンドの影響は、11F1及び8A3に対してあまりはっきりしないことがこれらのデータにより示された。
概要
マウス中のAAV(約5μg/mL)によるヒトPCSK9の発現により、約33mg/dLの血清非HDL−Cレベルがもたらされた。11F1を30mg/kg注射後、血清非HDL−Cの著しい低減が、注射後1日目、2日目、及び4日目に観察された(対照動物と比べて最大で59%)。TCの著しい低減は、4日目のみ見られた。8A3の注射により、対照動物と比べて最大で65%の非HDL−C低減という類似パターンがもたらされた。しかしながら、8A3投与は、注射後2日目のみ著しいTC低減をもたらし、最大で24%であった。11F1または8A3のいずれを投与された動物においても、HDL−Cの著しい減少は観察されなかった。11F1及び8A3の血清抗体レベルの分析により、抗KLH IgG2対照抗体と同様のプロファイルが実証された。
実施例25
カニクイザルの血清脂質に対する11F1、21B12、及び8A3の単回皮下投与の効果
カニクイザルへの11F1、8A3、または21B12の単回皮下投与により、血清LDL−C及びTCの著しい低減がもたらされる。この試験は、抗PCSK9抗体が非ヒト霊長類における血清コレステロールを低減する能力があることを実証している。
簡潔に述べれば、ナイーブ雄カニクイザルを、実験前に少なくとも2週間、環境に順応させた。動物を、血清TC、HDL−C、LDL−C、及びトリグリセリドレベル、並びに体重のプレスクリーニングに基づいて処置群に無作為化した。1週間後、動物を一晩絶食させ、末梢血管系(橈側皮または伏在静脈)から採血し、指定された時点(T=0)でベースラインの血清脂質レベルを測定した。その後、動物に、抗KLH IgG2対照抗体、11F1、21B12、または8A3(全て、10mM NaOAc、pH5.2、9%スクロース中で)のいずれかを0.5mg/kg(全て、0.4mL/kg体重にて)で皮下注射した。その後、空腹時血液試料を動物から45日間にわたって指定された時点で回収した。
Figure 2018076351
特定された時点で、一晩絶食条件下の動物の末梢血管系(橈側皮または伏在静脈)から血液を回収した。全血を30分間室温で凝固させた。20分間3,000rpmで遠心分離後、血清を回収した。Cobas Integra 400分析器(Roche Diagnostics Inc,Indianapolis,IN)を用いて、直接血清コレステロール分析を行った。以下の手法で、Anilytics,MDによって特定の時点(0日目、3日目、6日目、15日目、24日目、及び33日目)のアポリポタンパク質B血清レベルを決定した。試料(事前準備なし)17μLアリコートを、6点標準曲線を用いてHitachi 717分析器による分析に用いた。試料の初期値が標準曲線直線性よりも高い場合、試料を希釈して、結果に適切な希釈係数を乗じて繰り返した。アッセイ用の試薬(APO−B試薬キット番号86071、抗体セット番号86060、対照セット番号86103)は、DiaSorin(Stillwater,MN)から入手した。
酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を用いて、34.4〜3000ng/mL(34.4ng/mLは、定量下限[LLOQ]である)のアッセイ範囲で、血清中の抗体濃度を決定した。
Watson(登録商標)LIMSバージョン7.0.0.01(Thermo Scientific、Waltham、MA)によって、各対象の所定の基準時点を用いて血清濃度の非コンパートメント解析(NCA)を行った。終末相排出速度定数及び半減期を推定するためのデータポイントを、濃度−時間プロファイル及び最適な線形当てはめの目視検査によって選択した(典型的には、約360時間、抗体濃度が定量下限より下に落ちるまで)。報告されたNCAパラメータには、終末相半減期(t1/2,z)、最大血清濃度(Cmax)、時間0から無限の血清濃度−時間曲線下の領域(AUC0−inf)、及び見かけ上の血清クリアランス(CL/F)が含まれる。AUC0−infは、線形/対数線形台形方法を用いて算出した。全てのパラメータは、有効数字2桁で報告された半減期以外は、有効数字3桁で全て報告された。
統計分析
ベースラインを共変量として、かつ、処置群を母数効果として見なす統計モデルを、LDL−C、HDL−C、TC、及びトリグリセリドの各時点での対数変換された応答にフィッティングした。チューキーの多重比較補正を適用して、各時点での一対比較を調整した。調整されたp値を用いて、統計的有意性をα=0.05で評価した。
血清LDLコレステロールに対する11F1、21B12、及び8A3の効果
11F1の最大LDL−C低減は、注射後9日目に観察され、抗KLH IgG2対照抗体処置サル(対照動物)と比べて、LDL−Cは57%低減した。LDL−Cは、対照動物で観察されたものと類似のレベルに27日目までに戻った。21B12の最大LDL−C低減は、注射後3日目に観察され、対照動物と比べて、LDL−Cは64%低減した。LDL−Cは、対照動物と類似のレベルに6日目までに戻った。8A3の最大LDL−C低減は、注射後4日目に観察され、対照動物と比べて、LDL−Cは54%低減した。LDL−Cは、対照動物で観察されたものと類似のレベルに27日目までに戻った(図24)。
血清総コレステロールに対する11F1、21B12、及び8A3の効果
11F1の最大TC低減は、注射後9日目に観察され、抗KLH IgG2対照抗体処置サル(対照動物)と比べて、TCは27%低減した。TCは、対照動物で観察されたものと類似のレベルに27日目までに戻った。21B12の最大TC低減は、注射後3日目に観察され、対照動物と比べて、TCは20%低減した。TCは、ビヒクル処置サルで観察されたものと類似のレベルに4日目までに一時的に戻ったが、14〜18日(14日及び18日を含む)目に著しく低下した。8A3の最大TC低減は、注射後9日目に観察され、対照動物と比べて、TCは22%低減した。TCは、対照動物で観察されたものと類似のレベルに30日目までに戻った(図25)。
血清HDLコレステロール及びトリグリセリドに対する11F1、21B12、及び8A3の効果
平均でかつ各時点において、11F1または8A3で処置した動物のHDL−Cまたはトリグリセリドレベルは、抗KLH IgG2対照抗体処置サルで観察されたものと(α=0.05有意水準に基づいて)有意に異なっていなかった。しかしながら、21B12は、単一の時点で(注射後18日目に)HDL−Cに統計的に有意な変化を示した(図26及び図27)。
アポリポタンパク質B(ApoB)に対する11F1、21B12、及び8A3の効果
注射後3日目、6日目、15日目、24日目、及び33日目に血清ApoBレベルを測定した。11F1及び8A3は、抗KLH IgG2対照抗体処置サルと比べて3〜24日目にApoB低減を伴った(図28)。21B12は、3日目のみ統計的に有意により低いApoBレベルを伴った。
11F1、21B12、及び8A3の薬物動態プロファイル
治療による平均濃度−時間プロファイルの要約プロットを図29に示す。11F1、21B12、8A3、及び抗KLH IgG2対照抗体を受けた動物の推定平均薬物動態パラメータを図30の表に示す。
全てのグループにおける抗体吸収は、皮下抗体投与の特徴と一致していた。CL/F、Cmax、及びAUC0−infに関する21B12薬物動態挙動は、21B12を同一用量で投与した過去の試験で観察されたものと一致していた。11F1及び8A3の薬物動態は、21B12とは著しく異なっており、より低いCL/Fが観察され(約15%の21B12 CL/F)、かつ、より長い半減期が推定された(21B12の40時間と比べて約200時間)。特に、11F1及び8A3の薬物動態は、互いにかつ抗KLH IgG2対照抗体と区別がつかなかった。11F1及び8A3がPCSK9に対して親和性を持たない抗KLH IgG2対照抗体と同じ曝露プロファイルを有することを考えると、11F1及び8A3の体内動態は、PCSK9標的と関連することで21B12よりも影響を受ける程度がかなり少ないことをこれらのデータは示唆している。
結果のまとめ
45日間にわたる試験で、TC及びLDL−Cの統計的に有意な低減が、抗KLH IgG2対照抗体と比べて11F1、21B12、または8A3を投与された動物で観察された。11F1は、2〜24日目(2日目及び24日目を含む)で(抗KLH IgG2対照抗体と比べて)統計的に有意なLDL−C低減を伴った。21B12は、1〜4日目(1日目及び4日目を含む)で(抗KLH IgG2対照抗体と比べて)統計的に有意なLDL−C低減を示した。8A3は、1〜24日目(1日目及び24日目を含む)で(抗KLH IgG2対照抗体と比べて)統計的に有意なLDL−C低減を示した。TCの変化及びApoBの変化は、全てのグループにおいてLDL−Cで観察された変化に酷似していた。11F1は、注射後9日目で(同じ時点での抗KLH IgG2対照抗体と比べて)LDL−Cの最大低減を達成した(−57%)。21B12は、注射後3日目で(同じ時点での抗KLH IgG2対照抗体と比べて)LDL−Cの最大低減を達成した(−64%)。8A3は、注射後4日目で(同じ時点での抗KLH IgG2対照抗体と比べて)LDL−Cの最大低減を達成した(−54%)。21B12は、単一の時点、注射後18日目でHDL−Cを低減させた。11F1または8A3投与後のHDL−Cレベルに統計的に有意な変化は観察されなかった。11F1、21B12、または8A3投与後のトリグリセリドレベルに統計的に有意な変化は観察されなかった。
実施例26
ヘテロ接合型家族性高コレステロール血症を有する対象のLDL−Cに対するヒト抗PCSK9抗体の安全性、耐性、及び効果を評価するための2部の試験
研究設計:これは、2部からなる試験である。A部は、非盲検、単一アーム、多施設共同の予備試験である。B部は、登録を拡張した以外はA部と同一設計である、抗体、21B12、(配列番号592の重鎖及び配列番号591の軽鎖)の二重盲検、無作為化、プラセボ対照、多施設共同の試験である。組み入れ/除外基準及び評価スケジュールの両方は、A部及びB部で同一である。
組み入れ基準は以下を含む:
・ 12以上〜65歳以下の男性及び女性
・ ホモ接合性家族性高コレステロール血症の診断
・ 少なくとも4週間の安定した脂質低減療法
・ LDLコレステロールが130mg/dl(3.4mmol/L)超
・ トリグリセリドが400mg/dL(4.5mmol/L)未満
・ スクリーニング時の体重が40kg以上
を含む。
除外基準は:
・ 無作為化前の8週間以内にLDLまたは血漿アフェレーシス
・ ニューヨーク心臓協会(NYHA)クラスIIIまたはIV、または最新の既知の左心室駆出分画率が30%未満
・ 無作為化前の3カ月以内に心筋梗塞、不安定狭心症、経皮冠動脈インターベンション (PCI)、冠動脈バイパス・グラフト(CABG)、または発作
・ 計画されている心臓手術または血管再開通術
・ 制御されない心臓不整脈
・ 管理不良高血圧
を含む。
評価スケジュールには、有害事象の収集(AE)及び重要な有害事象(SAE)データ、バイタルサイン、併用薬、臨床検査などが含まれるが、これらに限定されない。
組み入れ/除外基準を満たす対象は、NCEP成人処置パネルTLC(または同等な)食生活に従うように指示させ、試験の期間を通じて現在の脂質低減療法を維持することを求められる。
21B12製剤は、無菌で、透明な、無色の冷凍液として提示される。各無菌バイアルには、10mM酢酸ナトリウム、9%(w/v)スクロース、0.004%(w/v)ポリソルベート20、pH5.2ととも配合した21B12製剤70mg/mLの送達可能体積1mLを満たす。各バイアルは、使い捨て用である。プラセボは、透明で、無色、無菌の、タンパク質を含まない冷凍液として同一容器中に提示され、10mM酢酸ナトリウム、9%(w/v)スクロース、0.004%(w/v)ポリソルベート20、pH5.2として製剤化される。
A部では、ホモ接合性家族性高コレステロール血症であると遺伝的に確認された、4週間を超えて(または4週間)安定な脂質低減薬物療法を受けている8人の対象が登録され、非盲検で21B12製剤を受けた。表26.1は、研究における患者の遺伝子型を示す。
Figure 2018076351
21B12製剤(420mg)を4週間ごとに12週間皮下投与し、4週間隔でさらにさらに12週間処置した後、AMG145 420mgを2週間ごとに12週間投与する。治験来院を少なくとも4週間ごとに行う。これらの来院中に、有害事象(AE)及び重要な有害事象(SAE)データ、バイタルサイン、併用薬、臨床検査などを収集する。
脂質関連パラメータの変化及び%変化を表38.2に示す。4週間ごとの治療の12週目に、超遠心分離による平均LDLコレステロールは、ベースラインから16.5%(70.6mg/dL;1.8mmol/L)減少し、+5.2%〜−43.6%の範囲であった。4人(50%)の患者は、15%以上の低下を有し、4人のうち3人(38%)は、30%以上のLDLコレステロール低下を達成した。陰性のLDL受容体活性を持つ患者は、LDLコレステロールが低下しない。
2週間ごとの治療の12週間後に、ベースラインからの平均LDLコレステロール低下は、13.9%(60.8mg/dL;1.6mmol/L)であった。LDLコレステロール低下は、LDL受容体陰性患者では観察されなかったが、受容体機能不全の患者では、より大きな低下が起こる(表26.3)。3人の患者(38%)は、LDLコレステロールが30%以上低下する。受容体欠損患者は、4週間ごと及び2週間ごとの投与で、12週間の治療期間にわたりそれぞれ、平均で22.9%及び23.6%低下する(表26.3)。
4週間ごと及び2週間ごとの投与でのアポリポタンパク質B及び関連リポタンパク質における12週目でのベースラインからの変化を表26.2に示す。Lp(a)の平均変化は、4週間ごと及び2週間ごとの投与で、それぞれ、−11.7%及び−18.6%であり、これは、LDL受容体活性に関連していないと思われる。トリグリセリドは、4週間ごと及び2週間ごとの投与で、それぞれ、5.7%減少、5.9%増加する。HDL−コレステロール及びアポリポタンパク質A1は、4週間ごとまたは2週間ごとの投与のいずれでも、実質的に変わらない(表26.2)。21B12製剤420mgによる4週間ごとの治療は、遊離PCSK9を、4週間ごと及び2週間ごとの投与の12週目に、それぞれ、22.7%及び87.6%減少させる(表26.2)。
Figure 2018076351
特に明記しない限り、値は平均(標準誤差)である。
コレステロールの値を1リットル当たりのミリモルに変換するには、0.0259で乗算する。アポリポタンパク質A1またはアポリポタンパク質Bの値を1リットル当たりのグラムに変換するには、0.01で乗算する。トリグリセリドの値を1リットル当たりのミリモルに変換するには、0.0113で乗算する。遊離PCSK9の値を1リットル当たりのナノモルに変換するには、72で除算する。
中央値(四分位範囲)。
Q4W:4週間ごと、Q2W:2週間ごと、SE:標準誤差、LDL:低密度リポタンパク質、HDL:高密度リポタンパク質、PCSK9:プロタンパク質コンベルターゼスブチリシン/ケクシン9型。
Figure 2018076351
約51人の新規対象をB部に登録する。登録した対象を、420mgの21B12Q4W皮下またはプラセボQ4W皮下の2つの処置群に2:1の配分で無作為化する。無作為化をベースラインLDL−Cレベルにより階層化する。4週間ごとに治験来院を行い、2週目及び10週目に2回の任意の来院を行う。来院には、AE及びSAEデータ、バイタルサイン、併用薬、臨床検査などの収集を伴う。空腹時脂質パネルを6週目に収集し、21B12治療に応じた天底のLDL−Cレベルを評価する。21B12製剤は、1日目、4週目、及び8週目に投与する。治験終了(EOS)来院及び脂質の最終推定は、全対象に対して12週目に行う。
参照による組み込み
特許、特許出願、論文、教科書など、本明細書中に引用される全ての参考文献、及びそれらの中に引用されている参考文献は、すでに組み込まれていない場合には、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。参照により組み込まれた参考文献中に与えられている定義または用語の何れもが本明細書中に提供されている用語及び論述と異なる場合、本発明の用語及び定義が優先される。
均等物
前記明細書は、当業者が本発明の実施を可能にするのに十分であると考えられる。前述の記載及び実施例は、本発明のある特定の好ましい実施形態を詳述し、本発明者らによって想定される最良の様式を記載する。しかしながら、前記述が本文中でどれほど詳細に記載されているとしても、本発明は、多くの様式で実施することができ、本発明は、添付の特許請求の範囲及びそのあらゆる均等物に従って解釈すべきであることが理解される。

Claims (27)

  1. ホモ接合性家族性高コレステロール血症と診断された患者の血清LDLコレステロールの低減方法であって、
    少なくとも1つの抗PCSK9抗体を、血清LDLコレステロールの低減を必要とする前記患者に約120mg〜約3000mgの投薬量で投与することにより、前記血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約10%低減させることを含む、前記方法。
  2. ホモ接合性家族性高コレステロール血症と診断された患者の治療方法であって、
    少なくとも1つの抗PCSK9抗体を、治療を必要とする前記患者に約120mg〜約3000mgの投薬量で投与することにより、前記患者の前記ホモ接合性家族性高コレステロール血症を治療することを含む、前記方法。
  3. 前記患者の血清LDLコレステロールレベルを、a)少なくとも約15%、b)少なくとも約20%、c)少なくとも約30%、d)少なくとも約40%、及びe)少なくとも約50%からなる群から選択される量だけ低減させる、請求項1に記載の方法。
  4. 前記抗PCSK9抗体が、
    a)配列番号23のCDRL1配列の軽鎖相補性領域(CDR)と、配列番号23のCDRL2配列のCDRL2と、配列番号23のCDRL3配列のCDRL3、及び配列番号49のCDRH1配列の重鎖相補性決定領域(CDR)と、配列番号49のCDRH2配列のCDRH2と、及び配列番号49のCDRH3配列のCDRH3、または
    b)配列番号465のCDRL1配列の軽鎖相補性領域(CDR)と、配列番号465のCDRL2配列のCDRL2と、配列番号465のCDRL3配列のCDRL3、及び配列番号463のCDRH1配列の重鎖相補性決定領域(CDR)と、配列番号463のCDRH2配列のCDRH2と、配列番号463のCDRH3配列のCDRH3、または、
    c)配列番号12のCDRL1配列の軽鎖相補性領域(CDR)と、配列番号12のCDRL2配列のCDRL2と、配列番号12のCDRL3配列のCDRL3、及び配列番号67のCDRH1配列の重鎖相補性決定領域(CDR)と、配列番号67のCDRH2配列のCDRH2と、配列番号67のCDRH3配列のCDRH3、または、
    d)配列番号461のCDRL1配列の軽鎖相補性領域(CDR)と、配列番号461のCDRL2配列のCDRL2と、配列番号461のCDRL3配列のCDRL3、及び配列番号459のCDRH1配列の重鎖相補性決定領域(CDR)と、配列番号459のCDRH2配列のCDRH2と、配列番号459のCDRH3配列のCDRH3、または、
    e)配列番号485のCDRL1配列の軽鎖相補性領域(CDR)と、配列番号485のCDRL2配列のCDRL2と、配列番号485のCDRL3配列のCDRL3、及び配列番号483のCDRH1配列の重鎖相補性決定領域(CDR)と、配列番号483のCDRH2配列のCDRH2と、配列番号483のCDRH3配列のCDRH3と、または、
    f)配列番号582のCDRL1配列の軽鎖相補性領域(CDR)と、配列番号582のCDRL2配列のCDRL2と、配列番号582のCDRL3配列のCDRL3、及び配列番号583のCDRH1配列の重鎖相補性決定領域(CDR)と、配列番号583のCDRH2配列のCDRH2と、配列番号583のCDRH3配列のCDRH3、
    を含む、請求項3に記載の方法。
  5. 前記抗PCSK9抗体が、
    (a)配列番号23のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、配列番号49のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、または、
    (b)配列番号12のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、配列番号67のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、または、
    (c)配列番号461のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、配列番号459のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、または、
    (d)配列番号465のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、配列番号463のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、または、
    (e)配列番号485のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、配列番号483のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、または、
    (f)配列番号582のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、配列番号583のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、
    を含む、請求項3に記載の方法。
  6. 前記抗PCSK9抗体が、
    (a)配列番号23のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、配列番号49のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、または、
    (b)配列番号12のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、配列番号67のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、または、
    (c)配列番号461のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、配列番号459のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、または、
    (d)配列番号465のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、配列番号463のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、または、
    (e)配列番号485のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、配列番号483のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、または、
    (f)配列番号582のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、配列番号583のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、または、
    (g)配列番号591のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、配列番号590のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、
    を含む、請求項3に記載の方法。
  7. 前記抗PCSK9抗体が、
    (a)配列番号156の軽鎖定常配列、または
    (b)配列番号157の軽鎖定常配列、または、
    (c)配列番号154の重鎖定常配列、または、
    (d)配列番号155の重鎖定常配列、または、
    (e)配列番号156の軽鎖定常配列と、配列番号154の重鎖定常配列、または、
    (f)配列番号157の軽鎖定常配列と、配列番号154の重鎖定常配列、または、
    (g)配列番号156の軽鎖定常配列と、配列番号155の重鎖定常配列、または、
    (h)配列番号157の軽鎖定常配列と、配列番号155の重鎖定常配列、
    をさらに含む、請求項4、5、または6に記載の方法。
  8. 前記抗PCSK9抗体が、前記軽鎖可変ドメインのC末端にグリシン残基をさらに含む、請求項6に記載の方法。
  9. 前記少なくとも1つの抗PCSK9抗体が、21B12、11F1、31H4、8A3、及び8A1からなる群から選択される請求項6に記載の方法。
  10. 前記抗PCSK9抗体を、a)約120mg〜約700mg、b)約140mg〜約600mg、c)約140mg〜約450mg、d)約420mg、e)約450mg、f)約600mg、g)約700mg、h)約1400mg、i)約1200mg、j)約420mg〜約3000mg、k)約1000mg〜約3000mg、またはl)約3000mgからなる群から選択される投薬量で前記患者に投与する、請求項4に記載の方法。
  11. 前記抗PCSK9抗体を、(1)1週間に1回、(2)2週間に1回、(3)1カ月に1回、(4)3カ月に1回、(5)6カ月に1回、及び(6)12カ月に1回からなる群から選択されるスケジュールで前記患者に投与する、請求項10に記載の方法。
  12. 前記投与ステップが、前記少なくとも1つの抗PCSK9抗体を非経口で投与することを含む、請求項10に記載の方法。
  13. 前記投与ステップが、前記少なくとも1つの抗PCSK9抗体を静脈内に投与することを含む、請求項12に記載の方法。
  14. 前記投与ステップが、前記少なくとも1つの抗PCSK9抗体を皮下に投与することを含む、請求項12に記載の方法。
  15. 前記少なくとも1つの抗PCSK9抗体が、配列番号23のCDRL1配列の軽鎖相補性決定領域(CDR)と、配列番号23のCDRL2配列のCDRL2と、配列番号23のCDRL3配列のCDRL3、及び配列番号49のCDRH1配列の重鎖相補性決定領域(CDR)と、配列番号49のCDRH2配列のCDRH2と、配列番号49のCDRH3配列のCDRH3とを含む、請求項14に記載の方法。
  16. 前記少なくとも1つの抗PCSK9抗体が、配列番号23のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、配列番号49のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域とを含む、請求項14に記載の方法。
  17. 前記少なくとも1つの抗PCSK9抗体が、配列番号23のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、配列番号49のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域とを含む、請求項14に記載の方法。。
  18. 前記少なくとも1つの抗PCSK9抗体が、配列番号591のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域と、配列番号590のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域とを含む、請求項14に記載の方法。
  19. 前記少なくとも1つの抗PCSK9抗体が、
    (a)配列番号156の軽鎖定常配列、または、
    (b)配列番号157の軽鎖定常配列、または、
    (c)配列番号154の重鎖定常配列、または、
    (d)配列番号155の重鎖定常配列、または、
    (e)配列番号156の軽鎖定常配列と、配列番号154の重鎖定常配列、または、
    (f)配列番号157の軽鎖定常配列と、配列番号154の重鎖定常配列、または、
    (g)配列番号156の軽鎖定常配列と、配列番号155の重鎖定常配列、または、
    (h)配列番号157の軽鎖定常配列と、配列番号155の重鎖定常配列、
    をさらに含む、請求項17または18に記載の方法。
  20. 前記抗PCSK9抗体が、前記軽鎖可変ドメインのC末端でグリシン残基をさらに含む、請求項19に記載の方法。
  21. 前記抗PCSK9抗体を、前記患者に、約70mg〜約450mgの投薬量で2週間ごとに1回皮下投与し、前記患者の血清LDLコレステロールレベルを、約7〜14日間で少なくとも約10〜50%低減させる、請求項15に記載の方法。
  22. 前記抗PCSK9抗体を、前記患者に、約70〜約450mgの投薬量で1カ月に1回皮下投与し、前記患者の血清LDLコレステロールレベルを、約21〜31日間で少なくとも約10〜50%低減させる、請求項15に記載の方法。
  23. 前記抗PCSK9抗体を、約420mgの投薬量で前記患者に投与する、請求項21に記載の方法。
  24. 前記抗PCSK9抗体を、約420mgの投薬量で前記患者に投与する、請求項22に記載の方法。
  25. ホモ接合性家族性高コレステロール血症と診断された患者の血清LDLコレステロールの低減方法であって、
    配列番号591のアミノ酸配列を含む軽鎖と配列番号590のアミノ酸配列を含む重鎖とを含む抗PCSK9抗体を、血清LDLコレステロールの低減を必要とする患者に約420mgの投薬量で投与することにより、前記血清LDLコレステロールレベルを少なくとも約10%低減させることを含む、前記方法。
  26. 前記抗PCSK9抗体を、前記患者に2週間ごとに1回投与する、請求項25に記載の方法。
  27. 前記抗PCSK9抗体を、前記患者に1カ月に1回投与する、請求項25に記載の方法。
JP2017244758A 2017-12-21 2017-12-21 ホモ接合性家族性高コレステロール血症の治療方法 Active JP6639463B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017244758A JP6639463B2 (ja) 2017-12-21 2017-12-21 ホモ接合性家族性高コレステロール血症の治療方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017244758A JP6639463B2 (ja) 2017-12-21 2017-12-21 ホモ接合性家族性高コレステロール血症の治療方法

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016523717A Division JP6267792B2 (ja) 2013-06-28 2013-06-28 ホモ接合性家族性高コレステロール血症の治療方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018076351A true JP2018076351A (ja) 2018-05-17
JP6639463B2 JP6639463B2 (ja) 2020-02-05

Family

ID=62150242

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017244758A Active JP6639463B2 (ja) 2017-12-21 2017-12-21 ホモ接合性家族性高コレステロール血症の治療方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6639463B2 (ja)

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010508817A (ja) * 2006-11-07 2010-03-25 メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド Pcsk9のアンタゴニスト
JP2010523135A (ja) * 2007-04-13 2010-07-15 ノバルティス アーゲー プロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(pcsk9)を調整する分子および方法
JP2010536384A (ja) * 2007-08-23 2010-12-02 アムジエン・インコーポレーテツド プロタンパク質コンベルターゼスブチリシンケクシン9型(pcsk9)に対する抗原結合タンパク質
JP2011501952A (ja) * 2007-10-26 2011-01-20 シェーリング コーポレイション 脂質障害およびコレステロール障害を治療するための抗pcsk9および方法
WO2012101253A1 (en) * 2011-01-28 2012-08-02 Sanofi Pharmaceutical compositions comprising human antibodies to pcsk9
WO2012154999A1 (en) * 2011-05-10 2012-11-15 Amgen Inc. Methods of treating or preventing cholesterol related disorders
WO2013033969A1 (en) * 2011-09-07 2013-03-14 SemiLEDs Optoelectronics Co., Ltd. Systems and methods for producing white-light light emitting diodes
JP6267792B2 (ja) * 2013-06-28 2018-01-24 アムジエン・インコーポレーテツド ホモ接合性家族性高コレステロール血症の治療方法

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010508817A (ja) * 2006-11-07 2010-03-25 メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド Pcsk9のアンタゴニスト
JP2010523135A (ja) * 2007-04-13 2010-07-15 ノバルティス アーゲー プロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(pcsk9)を調整する分子および方法
JP2010536384A (ja) * 2007-08-23 2010-12-02 アムジエン・インコーポレーテツド プロタンパク質コンベルターゼスブチリシンケクシン9型(pcsk9)に対する抗原結合タンパク質
JP2011501952A (ja) * 2007-10-26 2011-01-20 シェーリング コーポレイション 脂質障害およびコレステロール障害を治療するための抗pcsk9および方法
WO2012101253A1 (en) * 2011-01-28 2012-08-02 Sanofi Pharmaceutical compositions comprising human antibodies to pcsk9
WO2012154999A1 (en) * 2011-05-10 2012-11-15 Amgen Inc. Methods of treating or preventing cholesterol related disorders
WO2013033969A1 (en) * 2011-09-07 2013-03-14 SemiLEDs Optoelectronics Co., Ltd. Systems and methods for producing white-light light emitting diodes
JP6267792B2 (ja) * 2013-06-28 2018-01-24 アムジエン・インコーポレーテツド ホモ接合性家族性高コレステロール血症の治療方法

Non-Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
CIRCULATION, vol. 126, no. 20, JPN6017009825, 2012, pages 2408 - 2417, ISSN: 0003864609 *
JOURNAL OF THE AMERICAN HEART ASSOCIATION, vol. 2, no. 2, JPN6017009827, 18 March 2013 (2013-03-18), pages 000028 - 1, ISSN: 0003864608 *

Also Published As

Publication number Publication date
JP6639463B2 (ja) 2020-02-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6599527B2 (ja) コレステロール関連障害を治療または予防する方法
EP2844285B1 (en) Stable formulations containing anti-pcsk9 antibodies
JP6267792B2 (ja) ホモ接合性家族性高コレステロール血症の治療方法
US20150004174A1 (en) Methods for treating homozygous familial hypercholesterolemia
US20140004122A1 (en) Methods for treating or preventing cholesterol related disorders
EP2615114A2 (en) Antigen binding proteins to proprotein convertase subtilisin kexin type 9 (PCSK9)
JP6639463B2 (ja) ホモ接合性家族性高コレステロール血症の治療方法
NZ734570B2 (en) Methods of treating or preventing cholesterol related disorders
NZ618300B2 (en) Methods of treating or preventing cholesterol related disorders

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180119

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180119

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180828

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20181122

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190226

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20190625

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20191024

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20191107

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20191203

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20191224

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6639463

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250