JP2018072158A - 均一性評価装置 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、完全な混合状態にある混合物の分散値を0(ゼロ)とすれば、混合物のいかなる検査領域においても、その領域に含まれる物質それぞれの個数の比率が、混合物全体に含まれる物質それぞれの個数の比率と一致するような状態が、完全な混合状態にあることになる。このような完全な混合状態を、複数種類の物質を混合装置等に投入し、混合させて混合させることにより生成しようとすることはほぼ不可能である。また、混合物の混合過程において、混合する時間を増やすなどしてさらに混合させたとしても、完全な混合状態に近づくとは限らない。このように、混合物の混合状態において分散値0(ゼロ)を目標値とすることは現実的でない。
実際に混合物を生成する現場において、混合物の種類や用途等に応じて混合具合の目標となる分散値Cを設定するとすれば、現実的な混合具合の目標値となり得る。例えば、分散値Cを1とすれば、混合状態において、混合物全体から求まる対象物の平均個数と、検査領域における対象物の個数とのばらつきが正規分布に近い混合状態となった場合に分散値Bが1に近づき、分散度指数αは100[%]に近い値となる。しかし、混合過程において混合物の混合具合が進み、ばらつきが小さくなると、分散値Bが分散値Cよりも小さくなる場合があり得る。この場合、分散度指数αは100[%]を超えてしまい不安定になってしまう。
まず、第1の実施形態について説明する。
図1は、混合物に含まれる複数の物質各々の状態を模式的に示す図である。図1は、混合物100は、物質B1と物質B2と物質B3との3種類の物質が含まれた状態の一例を示している。また、図1の例では、混合物100は、複数の検査領域101〜109に分割されている。検査領域101〜109のそれぞれの領域には、物質B1〜B3の3種類すべての物質、または3種類のうちの少なくとも一種類の物質が含まれている。
検査領域101〜109は、混合物100に含まれる物質B1〜B3の均一性(以下、混合物100の均一性という)を評価するために抽出される領域である。均一性を評価するために抽出する検査領域は1個でもよいし複数であってもよい。また、複数の検査領域を抽出する場合、各々の検査領域は面積や体積等の大きさが等しくてもよいし、異なっていてもよい。
混合装置20は、制御装置50から制御情報を入力するとともに、制御装置50へ入力情報を出力する。混合装置20が入力する制御情報は、例えば、混合開始や混合停止などの制御情報である。例えば、混合装置20は、物質B1〜B3を混合装置20へ投入する際に、物質B1〜B3各々の数量を制御装置50へ出力する。また、例えば、混合装置20は、物質B1〜B3を混合し混合物100を生成する過程において抽出した混合状態における混合物100のサンプル(例えば検査領域105)を組成する物質B1〜B3各々の数量を制御装置50へ出力する。
制御装置50は、均一性評価装置10と混合装置20と出力装置30とを制御する。制御装置50は、混合装置20からの入力情報を均一性評価装置10へ出力する。制御装置50は、均一性評価装置10からの計算結果を出力装置30へ出力する。また、制御装置50は、均一性評価装置10からの計算結果等から混合装置20をさらに混合するか否かを判定し、判定した結果に基づいて混合装置20へ混合を指示する制御情報を出力してもよい。
図3は、実施形態の均一性評価装置の機能を表す機能ブロック図である。図3に示すように、均一性評価装置10は、例えば、入力部11と算出部12と算出結果出力部18とを有する。入力部11は、混合物100を組成する物質B1〜B3各々の数量を示す入力情報を入力する。算出部12は、入力部11からの入力情報に基づいて、混合に用いた複数種類の物質の比率を示す第1の混合比と、前記複数類以上の物質が混合状態である混合物における検査領域を組成する各々の物質の第2の混合比とを用いて、前記第1の混合比と前記第2の混合比とのかい離度合を示すエントロピーを算出する。
システム比算出部14は、入力部11から供給される入力情報に基づいて、第1の混合比Pcを算出する。第1の混合比Pcを算出するために必要な入力情報は、混合物100全体を組成する物質の種類の数、混合物100全体を組成する物質各々の数量等に関する情報である。第1の混合比Pcは、以下の式(11)で示される。ここで、cは混合物100全体を組成する物質の種類、Cは混合物100全体を組成する物質の種類の数、nsystem,cは混合物100全体を組成する物質cの数を示す。
上記式(11)において、nsystem,c=1が12、nsystem,c=2が30、nsystem,c=3が41をそれぞれ代入すると、第1の混合比Pcは、それぞれ以下の式(12)で示す値となる。
ここで、エントロピーSlocation(species)とは、サンプル内に混合物を組成する物質が存在しているという条件の下に、そのサンプル内に含まれる物質の組成の偏り(均一性)を表すエントロピーのことである。
混合状態における混合物に含まれる物質の均一性を示すエントロピーは、一般的に、複数の物質の均一性を示す条件付きエントロピーと、物質の種類を問わず何らかの物質がどれだけ空間に存在しているかを示す空間分布エントロピーとを結合した結合エントロピーとして表す。ここで、混合物100の混合状態において、混合物100に含まれるなんらかの物質が空間(例えば、混合装置20の混合容器内の任意の空間)にまんべんなく存在しているか否かは、混合状態における混合物100の均一性を評価する場合に問題とはならない。このため、本実施形態の均一性評価装置においては、混合状態における均一性を示すエントロピーから空間エントロピーを除いた、条件付きエントロピーを、エントロピーSlocation(species)とし、混合物100の混合状態における均一性を評価する指標として用いる。
また、存在確率pjは以下の式(16)で示される。
図4(b)は、規格化した条件付きエントロピーSNlocation(species)と第2の混合比との関係を示す。図4(b)においては、縦軸にエントロピー(図4(b)において「SNlocation(species)」と記載)、横軸に第2の混合比(図4(b)において「Proportion」と記載)を示す。
図4の例では、混合物は2種類の物質を7:3の比率で混合した場合を示す。図4において混合比(Proportion)は、2種類の物質全体の数に対する、検査対象の物質の数の比で示されている。図4の例では、、第1の混合比は0.7である。
図4(a)に示すように、点Pにおいて、第2の混合比が0.7の場合に、条件付きエントロピーSlocation(species)は最大値ln(c)をとる。ここで、cは混合物100全体を組成する物質の種類を示す。また、点Qおよび点Rにおいて、第2の混合比が0.0および1.0の場合に、条件付きエントロピーSlocation(species)は最小値0をとる。
つまり、条件付きエントロピーSlocation(species)は、0〜ln(c)の間の値をとり、第2の混合比が第1の混合比と等しくなった場合に最大値ln(c)となり、第2の混合比が第1の混合比とかい離するにつれて最大値ln(c)と比較して小さな値となる。また、条件付きエントロピーSlocation(species)の値が大きいほど、第1の混合比と第2の混合比は近い比率を示しており、条件付きエントロピーSlocation(species)が小さいほど、第1の混合比と第2の混合比とがかい離していることを示す。
このように、規格化した条件付きエントロピーSNlocation(species)は、混合物100の均一性を評価する指標を0〜1の間の数値で示すことができる。また、規格化した条件付きエントロピーSNlocation(species)は、第1の混合比に対する第2の混合比がいかなる値を示していても、均一性を評価する指標が1を超えることはなく、また0を下回ることはなく、異常値を示さない安定した指標である。
図3に戻り、算出結果出力部18は、算出部12によって算出された結果を外部に出力する。
図6は、図5に示す混合過程の進行に応じて均一性評価装置が出力する評価指標と従来の評価指標とを比較するための図である。図6(a)は、縦軸に従来の評価指標(図6(a)において「Lacey Mixing Index Mr」と記載)を、横軸に混合装置20の混合容器の回転数(図6(a)において「Rotation」と記載)を示す。図6(b)は、縦軸に本実施形態の均一性評価装置が出力する評価指標(図6(b)において「SNlocation(species)」と記載)を、横軸に混合装置20の混合容器の回転数を示す。
但し、
σo 2=h×(1−h) ・・・(21)
σr 2={h×(1−h)}/n ・・・(22)
σ2 =(hs−h)2 ・・・(23)
これに対し、図6(b)に示すように、本実施形態の均一性評価装置10が出力する評価指標(以下、今回の評価指標という)は、常に0〜1の間の値を示し、安定している。
また、今回の評価指標が下限値(0)を示す場合には、従来の評価指標においても低い値を示し、今回の評価指標が上限値(1)を示す場合には、従来の評価指標においても高い値を示していることから、今回の評価指標は、従来の評価指標と同じ傾向を示しており、均一性の評価指標として従来の評価指標と異なる傾向を示していない。このため、今回の評価指標は、従来の評価指標が用いられている現場においても、従来の評価指標に代えて用いることができる。
次に、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態においては、入力情報に混合物100および検査領域101〜109に含まれる物質の数に代えて、各物質の質量を用いる。
図7〜図9は、均一性評価装置10の入力情報に質量を用いた場合の例を説明するための図である。図7は、混合物100に含まれる物質が分離した状態を示す。図7(a)は、10種類の物質B1〜B10が投入されたV型の混合装置20を示す。図7(b)は、右から、混合装置20に入れた各物質の数、各物質の比重、各物質の質量をそれぞれ示す。図8(a)は、10種類の物質B1〜B10が投入され、混合状態における混合物100が入ったV型の混合装置20を示す。図8(b)は、右から、混合装置20から抽出した検査領域101に含まれる各物質の数、各物質の比重、各物質の質量をそれぞれ示す。図9(a)は、図7(b)の各物質の数および図8(b)の各物質の数に基づいて算出した第1の混合比Pcおよび第2の混合比pc/jである。図9(b)は、図7(b)の各物質の質量および図8(b)の各物質の質量に基づいて算出した第1の混合比Pcおよび第2の混合比pc/jである。
第2の実施形態において、入力情報に各物質の数の代わりに質量を用いたが、これに限定されることはない。入力情報は、各物質の数と相関する関係にある物理量であればよく、例えば体積等を用いることができる。
さらに、第3の実施形態について説明する。第3の実施形態においては、混合物100を異なる物質の混合物に代えて、異なる温度の混合物を用いる。本実施形態において、混合物100は、例えば、加熱過程における空間の温度分布を示すサーモグラフィーである。サーモグラフィーの画像には、温度ごとに色分けされた熱画素が示されている。例えば、加熱過程の空間のサーモグラフィー画像を撮像し、画像全体に含まれる温度ごとの熱画素の数から第1の混合比Pcを算出する。また、同じ加熱過程の空間のサーモグラフィー画像の検査領域に含まれる温度ごとの熱画素の数から第2の混合比pc/jを算出する。そして第1の混合比Pcと第2の混合比pc/jから、条件付きエントロピーSlocation(species)を算出することができる。この条件付きエントロピーSlocation(species)は、空間全体に対する検査領域の熱画素の偏りを示すことから、検査領域における温度の均一性を評価する指標を得ることができる。
Claims (7)
- 複数種類の物質が混合された混合物の均一性評価装置であって、前記混合物を組成する前記複数種類の物質各々の物理量、または前記複数種類の物質各々の数を示す入力情報を入力する入力部と、
前記入力情報に基づいて、混合に用いた前記複数種類の物質の比率を示す第1の混合比と、前記複数種類の物質が混合状態にある混合物の一部である検査領域を組成する各々の物質の第2の混合比とを用いて、前記第1の混合比と前記第2の混合比とのかい離度合を示すエントロピーを算出する算出部と、
前記算出部が算出した算出結果を出力する出力部と、
を備えることを特徴とする均一性評価装置。 - 前記算出部は、前記検査領域における混合に用いた前記複数種類の物質の存在確率を用いて前記エントロピーを算出することを特徴とする、
請求項1に記載の均一性評価装置。 - 前記算出部は、前記エントロピーを前記エントロピーの最大値で除算することで規格化した規格化エントロピーを算出し、前記エントロピーに代えて算出結果とすることを特徴とする、
請求項1または請求項2に記載の均一性評価装置。 - 前記検査領域は、前記混合状態にある混合物の異なる部分から抽出した複数の検査領域であることを特徴とする、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の均一性評価装置。 - 前記算出部は、混合に用いた前記複数種類の物質の第1の物理量から前記第1の混合比を算出し、前記混合状態にある混合物の第2の物理量から前記第2の混合比を算出することを特徴とする、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の均一性評価装置。 - 混合に用いた前記複数種類の物質および前記混合状態にある混合物における物質は、異なる温度をもつ物質であり、
前記第1の物理量および前記第2の物理量の各々は、サーモグラフの温度データ分布から得られる異なる温度を示す熱画素の数であることを特徴とする、
請求項5に記載の均一性評価装置。 - 混合に用いた前記複数種類の物質および前記混合状態にある混合物における物質は、粉体であり、前記第1の物理量および前記第2の物理量の各々は、それぞれ前記粉体の質量または粒子数のいずれかであることを特徴とする、
請求項5に記載の均一性評価装置。
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