JP2018070493A - 疾患部位特異的リポソーム製剤 - Google Patents

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Abstract

【解決すべき課題】臨床上使用可能な安全で利便性の良い疾患部位特異的治療用医薬組成物を提供する。【解決手段】プロスタグランジンI2受容体作動薬を封入するステルス型リポソームを含有する疾患部位特異的治療用医薬組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、疾患部位特異的リポソーム製剤に関する。
化合物(A)(ONO-1301)は、PGI2受容体(IP)作動作用とトロンボキサン(TX)A2合成酵素阻害活性を合わせ持つ低分子化合物である。化合物(A)は、PGI2作動活性を有することから、血栓症、動脈硬化、虚血性心疾患、胃潰瘍、高血圧等の予防および/または治療に有用であることが知られている(特許文献1)。
一方、ONO-1301を含む、プロスタグランジン(PG)I2受容体(IP)作動薬、同 EP2作動薬、及び同 EP4作動薬は、例えば、肝細胞増殖因子(HGF)、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、ストローマー細胞由来因子(SDF-1)、及び high mobility group box protein1(HMGB1)等の多くの体内再生因子を誘導することにより、低用量にて多くの疾患に対して、内因性修復因子産生促進剤として使用でき、再生療法として有用であること(特許文献2)が知られている。
しかし、化合物(A)を経口投与した場合には下痢等、及び静脈内投与した場合には、血管拡張作用から降圧作用等の副作用が懸念されることから、消化管中での高濃度暴露、または急激な血中濃度上昇を防ぎ、患者の負担が少なく、薬効を最大限に発揮できる投与剤形とすることが切望されている。長期徐放性注射剤の開発には、水に難溶性のポリマーを用いた薬物の平均粒子径30μm程度のマイクロスフェア(以下、MSと略記する場合がある)による放出制御法が多く検討されている。使用されるポリマーとしては、薬物放出後、基剤が投与部位に残存しないように生体分解性高分子が使用されており、特に手術縫合糸、および骨固定ボルト等に使用実績のあるポリ乳酸重合体(以下、PLAと略記する場合がある。)あるいは乳酸/グリコール酸共重合体(以下、PLGAと略記する場合がある。)等が使用されている。これらは、LH−RH誘導体のリュープリン注射剤(販売会社;武田薬品)や持続性ソマトスタチン誘導体のサンドスタチンLAR(販売会社;ノバルティス)等に使用されている。
マイクロスフェアに使用されている薬物としては、生理活性ペプチド、各種ホルモン、成長因子、抗体、遺伝子および各種細胞増殖・分化誘導因子類等のペプチド、蛋白質や核酸等であり、低分子化合物としては、化合物(A)(特許文献3)、及び化合物(B)及び化合物(C)(特許文献4)が知られている。
これらは、例えば、MS剤の筋注投与、皮下注投与、及び各種臓器への貼付投与等にて、疾患部位での持続的な組織濃度維持型の投与剤形、または点滴静脈様の持続的な血中濃度維持型の投与剤形等が挙げられる。
これらは、疾患部位投与においては、投与部位近傍での薬物の高濃度維持、及び点滴静注様の血中動態を示す投与製剤であり、疾患部位への薬剤集積性あるDDS(ドラッグデリバリーシステム)効果は示さない。即ち、DDSとは、医薬品類を必要な場所に、必要な時間、必要な量を送達する技術である。
一方、MS製剤を少量静注投与することにより、肺臓にMS製剤を集積させ、肺臓にて徐々に薬剤を放出することにより肺臓内での薬剤濃度の高濃度維持を目的とした肺疾患部位特異的治療剤(特許文献4)が知られている。一方、本法は、大量投与による肺塞栓症の発症が危惧され、安全性に問題がある。
これらの問題点を改善し、疾患部位特異的にDDS効果を発揮するための方法として、化合物(A)等のPGI2受容体作動薬等を含有するナノスフェアー製剤(以下、NSと略記する場合がある)を作製することが検討されている。NS製剤は、多くの製造方法が知られており、NS製剤は静注投与により、炎症部位、虚血部位や癌組織での血管透過性亢進作用を利用した疾患部位特異的薬剤集積性を利用したDDS製剤であることが知られている。しかしながら、化合物(A)を含む、PGI2受容体作動薬を用いた臨床使用可能なNS製剤の製造は、製剤の安定性、含有率、収率、安全性、徐放速度、有効性等から困難であった。また、化合物(A)のNS製剤として疾患部位に集積し、効果を発揮する製剤作製は非常に困難であった。
NS製剤の製造方法には、ブレイクダウン法とビルトアップ法とに大別される。前者は、スプレードライ等の方法で粒子を粉砕してそのサイズをサブミクロン化する方法である。また、後者には、乳酸グリコール酸共重合体(PLGA)や乳酸重合体(PLA)等を用いた高分子カプセル製剤、ポリエチレングリコール(PEG)とポリアミノ酸を結合させたブロックコポリマー(共重合体)を用いた二層構造を有するミセル化ナノ粒子(高分子ミセル)を用いた薬剤内包ミセル製剤、ゼラチンやコラーゲンあるいはヒアルロン酸、アルギン酸などの高分子混合物を架橋することによりハイドロゲルを作製し、細胞成長因子等をハイドロゲル内に固定化するハイドロゲル製剤、又は各種リン脂質に内包したリポソーム製剤などが知られている。
微粒子のサイズが数nm以下と小さい場合、腎臓から尿中に排泄され体内に滞留させることが出来ない。一方、微粒子のサイズが400nm以上になると免疫機構が働き、マクロファージなどによる異物排除により体内から素早く排除される。それゆえに薬物を含有するNS製剤としては数nmから400nmのNS製剤にはEPR効果(Enhanced Permeation and Retention Effect)が提唱されている。即ち、正常な血管内皮細胞とは異なり、がん組織や炎症・虚血部位の血管内皮細胞間には200nm程度の広い隙間が開口しており、100nm程度にサイズが制御された微粒子製剤や高分子製剤をがん、感染症、虚血、炎症、動脈硬化、リウマチ等による血管病変部位組織に集積させることが可能なことが知られている。よって、DDS効果を示すNS製剤としては、50nmから200nmのサイズとし、薬物を病変部に到達させ、そこで薬剤をリリースして治療効果を高める手法が知られている。また、NS製剤は、エンドサイトーシス効果として、細胞膜を通過し、細胞内にて効力を発揮することが知られている。
例えば、 カルシトニンの乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA)ナノスフェア経口投与製剤(非特許文献1)、 カルシトニンのキトサンナノスフェア経肺投与製剤(非特許文献2)、ステロイドの局所投与型PLGA ナノスフェア製剤(非特許文献3)、及び抗炎症剤やミトコンドリア傷害阻害剤等を乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA)に封入されたナノスフェアーを作製し、虚血性再灌流障害の治療に有効であることが知られている(特許文献5)。また、プロスタグランジンE1及びその誘導体を乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA)に内包したナノスフェアー製剤も知られている(特許文献6、非特許文献4)。また、ベラプロストの乳酸グリコール酸共重合体(PLGA)に封入されたナノスフェアーが肺高血圧症に有効であることが知られている(特許文献7)。
これらのPLGA、又はPLAのナノ製剤は、乳酸―グリコール酸結合の水にによる加水分解により内包されている薬剤がリリースするため、表面積の大きいナノ製剤は薬剤放出時間が非常に短い。一方、リポソーム製剤は、生体内リパーゼ等による酵素分解により徐々に薬剤が放出される。
FK506、FTY720、シクロスポリンA等の免疫抑制剤封入リポソームを有効成分として含有する医薬組成物は、心筋梗塞、心筋炎、血管炎症候群等の循環器系炎症性疾患の治療に有効であることも知られている(特許文献8)。また、ドキソルビシン(抗がん性抗生物質)をリポソームにしたドキシル(ヤンセンファーマ)は制癌剤としてすでに市販されている。その他、抗真菌剤、カポジ肉腫、リンパ腫性髄膜炎、加齢黄班変性、術後疼痛抑制剤としても市販されている。また、卵黄レシチン、オレイン酸、オリーブ油、グリセリンを用いたプロスタグランジンE1のo/wエマルションであるリピッドマイクロスフェアに封入したリポPGE1はすでに市販(リプル 販売会社:田辺三菱製薬)されている(非特許文献4)が、平均粒子径が200〜300nmと大きく、ステルス性を有しないため、肝臓、マクロファージにトラップされ、その血中持続時間は少ない。
一方、プロスタグランジンI2受容体作動薬に関する平均粒子径50〜200nmであるステルス型リポソーム製剤の報告はない。
特開平6−87811号公報 国際公開第2004/032965号 国際公開第2008/047863号 国際公開第2014/069401号 国際公開第2016/006577号 国際公開第2010/058669号 特開2012−171883号公報 国際公開第2013/176223号
Y. Kawashima, H. Yamamoto, H. Takeuchi and Y. Kuno, Pharm. Develop. Technol., 5,77-85, (2000) Y. Kawashima, 6th US-Japan Symposium on Drug Delivery Systems, December 16-21,(2001), Maui E. Horisawa et al., Pharm. Res., 19, 132-139, (2002) J Pharm Pharmacol. 2013 Aug;65(8):1187-94
本発明は、虚血性及び拡張型心筋症、閉塞性動脈硬化症、血管炎症候群、弁膜症、大動脈弁狭窄症、慢性心不全、拡張不全等の循環器系疾患、肺高血圧症、肺線維症、喘息、慢性閉塞性肺疾患等の呼吸器系疾患、慢性腎臓病、慢性肝炎、慢性膵炎等の消化器・泌尿器系疾患、及び脳梗塞慢性期、アルツハイマー病、糖尿病性神経障害、パーキンソン病、筋委縮性側索硬化症等の神経変性疾患等の治療に有効な疾患部位特異的ステルス性リポソーム医薬品組成物を提供することを課題とする。
より具体的には、本発明の課題は、PGI2受容体作動薬である化合物(A)等のリポソーム(LP)製剤を作製することにより、間歇的に静注投与、又は吸入投与等をすることにより疾患部位特異的に本剤が集積し、DDS効果を発揮することが可能であり、臨床上使用可能な安全で利便性の良いステルス性リポソーム製剤を提供することにある。
本発明者らは、PGI2受容体(IP)作動薬を封入するNS製剤製造に関して種々検討した結果、ステルス型リポソーム(以下、LPと略記する場合がある)製剤が目的を達成する最適製剤であることを見出し、多くの製造法検討から、化合物(A)等を含有するLP製剤の中で、安定性、含有率、収率、安全性、有効性、放出性、ステルス性等から臨床使用可能なLP製剤を見出した。即ち、PEG修飾ホスホエタノールアミンおよびリン脂質等で被覆した微粒子薬物キャリアーであるリポソーム製剤は、薬物の放出制御や安定性を向上させるだけでなく、疾患部位集積性(ターゲッティング)や、組織付着性などの新機能を発現し、薬物の生物学的利用能(BA)や薬効が著しく向上することにより、各々単独より低用量における作用が増強すると共に、副作用を低減することが出来ることを見出した。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、化合物(A)等を含むPGI2受容体作動薬を含有するリポソーム製剤において、リン脂質の成分、ステルス性を有するPEG修飾ホスホエタノールアミン等の脂質の種類とその組成比、リポソーム製剤の平均粒子径、化合物(A)等とリン脂質との重量比等を適宜組み合わせることにより、驚くべきことに、低分子化合物である化合物(A)等のPGI2受容体作動薬の放出速度の調節が可能となり、疾患部位への集積性が向上することにより、DDS効果を示すことを初めて見出した。
さらに、本発明者らは特定の脂質の組み合わせにより、リポソーム製剤のステルス性を保有させることができ、それによりマクロファージ等への捕獲を逃れさせることができることを見出した。また、本発明の方法によれば、安定で収率よくステルス性リポソーム製剤を作製できることを見出した。本発明は、これらの知見に基づきさらなる試行錯誤を経て完成されたものであり、以下の各発明を包含する。
[項1]
プロスタグランジンI2受容体作動薬を封入するステルス型リポソームを含有する疾患部位特異的治療用医薬組成物。
[項2]
前記プロスタグランジンI2受容体作動薬として、下記一般式(I)の化合物またはその塩を少なくとも含む、項1に記載の医薬組成物
(式中、
は、水素原子またはC1〜4アルキル基を表わし、
は、(i)水素原子、(ii)C1〜8アルキル基、(iii)フェニル基またはC4〜7シクロアルキル基、(iv)窒素原子1個を含む4〜7員単環、(v)ベンゼン環またはC4〜7シクロアルキル基で置換されているC1〜4アルキル基、または(vi)窒素原子1個を含む4〜7員単環で置換されているC1〜4アルキル基を表わし、
は、(i)C1〜8アルキル基、(ii)フェニル基またはC4〜7シクロアルキル基、(iii)窒素原子1個を含む4〜7員単環、(iv)ベンゼン環またはC4〜7シクロアルキル基で置換されているC1〜4アルキル基、または(v)窒素原子1個を含む4〜7員単環で置換されているC1〜4アルキル基を表わし、
eは、3〜5の整数を表わし、
fは、1〜3の整数を表わし、
pは、1〜4の整数を表わし、
qは、1または2を表わし、
rは、1〜3の整数を表わす
(ただし、
が前記(iii)または前記(iv)で示される基である場合には、
−(CH)p−および=CH−(CH−は、環上のaまたはbの位置に結合し、かつ
およびR中の環構造は、1〜3個のC1〜4アルキル基、C1〜4アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基またはトリハロメチル基で置換されていてもよい)。
[項3]
前記プロスタグランジンI2受容体作動薬として、以下の化合物(A)またはその塩を少なくとも含む、項1記載の医薬組成物:
(A)下記式(II)
で示される({5−[2−({[(1E)−フェニル(ピリジン−3−イル)メチレン]アミノ}オキシ)エチル]−7,8−ジヒドロナフタレン−1−イル}オキシ)酢酸(ONO−1301)。
[項4]
プロスタグランジンI2受容体作動薬として、以下の化合物(B)〜化合物(E)のいずれか一種またはその塩を少なくとも含む、項1記載の医薬組成物:
(B)(±)−(1R,2R,3aS,8bS)−2,3,3a,8b−テトラヒドロ−2−ヒドロキシ−1−[(E)−(3S,4RS)−3−ヒドロキシ−4−メチル−1−オクテン−6−イニル]−1H−シクロペンタ[b]ベンゾフラン−5−ブタン酸ナトリウム塩(ベラプロスト)、又はその誘導体であるカルバサイクリン系PGI2誘導体、
(C)MRE−269、
(D)(2E)‐7‐{(1R,2R,3R)‐3‐ハイドロキシ‐2‐[(1E ,3S ,5S)‐3‐ハイドロキシ‐5‐メチルノン‐1‐エン‐1‐イル]‐5‐オキシシクロペンチル}ヘプト‐2‐エノイック酸(リマプロスト)、オルノプロスチル、エンプロスチル若しくはミソプロストール、又はそれらの誘導体であるPGE誘導体、及び
(E)NS−304(セレキシパグ)。
[項5]
プロスタグランジンI2受容体作動薬として、ONO−1301、ベラプロスト、リマプロスト及びNS−304からなる群より選択される少なくとも一種を少なくとも含む、項1記載の医薬組成物。
[項6]
前記ステルス型リポソームが、プロスタグランジンI2受容体作動薬とリン脂質とを少なくも用いて、バンガム法、水和分散法、逆相蒸発法、エタノール注入法若しくはエタノール希釈法、ホモジナイゼイション法若しくはメカノケミカル法、直接分散法、エクストルーダー法若しくはフレンチプレス法、リモートローディング法、脱水―再水和法、凍結融解法、超音波法、脂質―化合物フィルム法、又はこれらの改良法により得られうる、項1〜5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[項7]
前記ステルス型リポソームが、
平均粒子径50〜200nmであり、かつ
プロスタグランジンI2受容体作動薬1重量部に対して、5〜50重量部のリン脂質及び0.05〜5重量部のPEG修飾ホスホエタノールアミンを含有する、
項1〜6のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[項8]
前記ステルス型リポソームが、
プロスタグランジンI2受容体作動薬1重量部に対して、MPEG2000−DSPEを0.05〜5重量部含有し、かつ
プロスタグランジンI2受容体作動薬としてONO−1301、ベラプロスト、リマプロスト及びNS−304からなる群より選択される少なくとも一種を含有し、かつ
3時間〜4週間にわたって前記プロスタグランジンI2受容体作動薬を放出する、
項1〜7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[項9]
前記ステルス型リポソームが、
プロスタグランジンI2受容体作動薬と、
リン脂質と、
PEG修飾ホスホエタノールアミンと、
水混和性有機溶媒と
を含み、かつ
ステロール類を含まず、下記工程(1)〜(8)を含む製造方法により得られうるものであり、
(1)プロスタグランジンI2受容体作動薬1mg当たり、リン脂質が5mg以上、かつPEG修飾ホスホエタノールアミンが0.05mg以上となるようにこれらを溶媒に混合する工程、
(2)工程(1)で得られた混合物を加熱し、溶解物を調製する工程、
(3)工程(2)で得られた溶解物を瞬時に凍結する工程、
(4)工程(3)で得られた凍結物を凍結乾燥し溶媒を除去する工程、
(5)工程(4)で得られた凍結乾燥物を加温してリン酸緩衝水溶液に分散する工程、
(6)工程(5)で得られた分散物をエクストルーダーによりサイジングする工程、
(7)工程(6)で得られた分散物を限外濾過することにより未封入物を除去する工程、
(8)工程(7)で得られた分散物に糖類を加えて凍結乾燥する工程、かつ
リポソーム内にリン脂質1.0mgあたり0.001mg以上のプロスタグランジンI2受容体作動薬を含み、
平均粒子径が50〜200nmである、
項1〜8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[項10]
静脈内投与用、冠動脈内投与用、吸入用、筋注投与用、皮下投与用、経口投与用、経粘膜投与用及び経皮投与用または臓器用の注射用製剤、経口剤、吸入剤、ネブライザー、軟膏剤、貼付剤またはスプレー剤である、項1〜9のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[項11]
1回あたりの静脈内投与量がプロスタグランジンI2受容体作動薬として、0.001〜100mgである、項1〜9のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[項12]
治療対象疾患が、リポソームを含有してなる循環器系疾患、呼吸器系疾患、泌尿器系疾患、消化器系疾患、骨疾患、神経変性疾患、血管系疾患、歯科疾患、眼疾患、皮膚疾患等の炎症性疾患、虚血性臓器障害、糖尿病性合併症、組織線維性疾患、組織変性疾患又は脱毛である、項11に記載の医薬組成物。
[項13]
治療対象疾患が、リポソームを含有してなる虚血性及び拡張型心筋症、閉塞性動脈硬化症、血管炎症候群、弁膜症、大動脈弁狭窄症、慢性心不全、拡張不全等の循環器系疾患、肺高血圧症、肺線維症、喘息、慢性閉塞性肺疾患等の呼吸器系肺疾患、慢性腎臓病、慢性肝炎、慢性膵炎等の消化器系・泌尿器系疾患、及び脳梗塞慢性期、アルツハイマー病、糖尿病性神経障害、パーキンソン病、筋委縮性側索硬化症等の神経変性疾患である、項11に記載の医薬組成物。
本発明によれば、循環器系疾患、呼吸器系疾患、消化器・泌尿器系疾患、及び神経変性疾患等の炎症性疾患、虚血性臓器障害、糖尿病性合併症、組織線維性疾患、組織変性疾患又は脱毛等の治療に有効な医薬組成物を提供することができる。本発明の医薬組成物は、PGI2受容体作動薬単独と比較して低用量における作用が増強すると共に、副作用を低減できるという効果を奏する。また、本発明によれば、PGI2受容体作動薬を疾患部位へ高濃度集積させ、持続的に効果を発揮するステルス性リポソーム製剤、およびその製造方法を提供することができる。
化合物(A)等を含有する本発明のリポソーム製剤は、間歇投与での、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、または吸入投与等における循環器系疾患、呼吸器系疾患、泌尿器系疾患、消化器系疾患、および神経変性疾患等に有用である。特に、静脈内投与、または吸入投与により、疾患部位に集積することにより、局所にて内因性修復因子産生促進作用を示し、再生創薬として有用である。また、血管拡張作用、血管新生作用、幹細胞分化誘導作用、抗線維化作用、抗アポトーシス作用、リバースリモデリング作用等により、心筋梗塞、狭心症、拡張型心筋症、大動脈弁狭窄症、弁膜症、慢性心不全、拡張不全等の心疾患には、静注投与が有用である。急性肺炎、慢性肺炎、肺高血圧症、肺線維症、間質性肺炎、COPD、およびARDS等の肺疾患等には、静注投与に加えて吸入投与も有用である。また、筋委縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病、アルツハイマー病、脊髄損傷等の神経変性疾患の場合は、静注投与に加えて髄内投与が有用である。
製剤1〜4の平均粒子径分布図である。 製剤5〜8の平均粒子径分布図である。 製剤9の平均粒子径分布図である。 製剤10の平均粒子径分布図である。 製剤11〜14の平均粒子径分布図である。 製剤15〜18の平均粒子径分布図である。 製剤19の平均粒子径分布図である。 製剤20の平均粒子径分布図である。 化合物(A)の定量結果を示すグラフである。 製剤21の平均粒子径分布図である。 製剤21の透過型電子顕微鏡撮像である。 サンプル1〜5のHPLC測定チャートである。 製剤22の平均粒子径分布図である。 製剤22の透過型電子顕微鏡撮像である。 化合物(B)溶液の吸収スペクトルである。 製剤23の平均粒子径分布図である。 製剤23の透過型電子顕微鏡撮像である。 化合物(C)の吸収スペクトルである。 製剤24及び25の粒子径分布図である。 HPLC分析結果である。 化合物(B)(製剤26)内包リポソームの粒度分布である。 化合物(B)及び化合物(B)内包リポソームのUV吸収スペクトルである。 化合物(D)(製剤27)内包リポソームの粒度分布である。 化合物(D)及び化合物(D)内包リポソーム(製剤27)のUV吸収スペクトルである。 化合物(E)(製剤28)内包リポソームの粒度分布図である。 化合物(E)、及び化合物(E)内包リポソーム(製剤28)の吸収スペクトルである。 ONO-1301反復経口投与群と製剤21(ONO-1301LipoNS製剤)の間歇静脈内投与における42日間の生存曲線 全群についての生存率を示すグラフである。 製剤25(ONO-1301Lipo)の間歇静脈内投与との比較を示すグラフである。 製剤25(ONO-1301Lipo)の間歇気管内投与との比較を示すグラフである。 左室壁厚および左室壁面積評価法を示す図面である。 梗塞面積評価法を示す図面である。
本発明の医薬組成物に用いられるリポソームは、脂質二重膜により囲まれた閉鎖小胞であればよい。また、大きな一枚膜リポソーム(LUV)でもよく、小さな一枚膜リポソーム(SUV)でもよく、複数の膜からなるリポソーム(MLV)でもよい。リポソームは、公知の製造方法により製造することができる。
リポソームの作製方法には3つの要素がある。即ち、リポソームの調整方法としては、バンガム法が一般的であるが、幾つかの操作を追加することにより、単純水和法、超音波処理法、エクルトルージョン法とも称される方法がある。また、直接分散法、有機溶媒(エタノール等)注入法、逆相蒸発法、カルシウム融合法、界面活性剤除去法、静置水和法、ヘキサンーspan80透析法、有機溶媒小球蒸発法、メカノケミカル法、超音波法、脂質―化合物フィルム法等、及びこれらの改良法もある。
粒子径の調整としては、エクストルージョン法、押し出し法、フレンチプレス法、などがある。例えば、エクストルーダー法又はフレンチプレス法として、エクストルーダーもしくはフレンチプレスにセットした適切な孔径のナノポアーメンブランフィルターに数回通過させることにより、リポソームサイズを調整する方法等がある。
また、化合物内包法としては、pH勾配(リモートローディング)法、対イオン濃度勾配(ゲル化)法、凍結融解法、超臨界二酸化炭素法、フィルムローディング法などがある。
水溶性薬物の内包に優れているのは、逆相蒸発法、凍結融解法がある。脂溶性薬物の内包に優れているのは、バンガム法、メカノケミカル法、超臨界二酸化炭素法、フィルムローディング法がある。また、解離性薬物に優れているのは、pH勾配(リモートローディング)法、対イオン化濃度勾配法等がある。
バンガム法としては、脂質フィルムを作製した後、水系バッファー中で、ボルテックス、超音波等で機械的振動を与えてリポソームを形成させる(水和分散)法がある。逆相蒸発法としては、水と混和しない有機溶媒に脂質を溶解し、その後水系バッファーを加え超音波処理し逆ミセル(W/Oエマルジョン)を形成させる。その後減圧処理等で有機溶媒を除去し、ゲル状態の後リポソームが形成される方法である。エタノール注入法又はエタノール希釈法としては、脂質をエタノールに溶解し、水系バッファーに脂質溶液を注入することでリポソームを形成させる方法である。
ホモジナイゼイション法又はメカノケミカル法として、高圧乳化器によってリポソームを形成させる方法もある。
また、直接分散法は、脂質フィルムの作製無しに、脂質もしくは脂質と化合物の混在物を直接水系バッファーに分散させ、リポソームを形成する方法等がある。
粒子径調製法としては、エクストルーダー法又はフレンチプレス法として、エクストルーダーもしくはフレンチプレスにセットしたナノポアーを通過させることにより、リポソームサイズを調整する方法等がある。
化合物内包法としては、リモートローディング法は、化合物のpH溶解性の違いを利用した内包方法である。すなわち化合物が水溶性になるpH溶液の内水相をもつリポソームを形成させ、その後外水相を限外濾過や透析等にて化合物が脂溶性になるpH溶液に置き換える。そのリポソーム分散液に化合物溶液を加えると化合物がリポソーム内水相に封入される方法である。脱水―再水和法は、凍結乾燥等により、リポソームを脱水し、その後内包化する化合物を含む水系バッファーで再水和することによる内包化法である。
また、凍結融解法は、リポソーム分散液と内包したい化合物溶液の混和し凍結―融解を繰り返すことにより、高濃度に化合物を内包化する方等がある。
リポソームの製造法に関してはこれらの製造方法には限定されず、各々の改良法等も含まれる。
リポソームを構成する脂質は特に限定されないが、例えば、大豆レシチン、水添大豆レシチン、卵黄レシチン、ホスファチジルコリン類、ホスファチジルセリン類、ホスファチジルエタノールアミン類、ホスファチジルイノシトール類、ホスファスフィンゴミエリン類、ホスファチジン酸類、長鎖アルキルリン酸塩類、ガングリオシド類、糖脂質類、ホスファチジルグリセロール類、ステロール類などが挙げられる。脂質は一種類を用いてもよく二種類以上を組み合わせて用いてもよい。ホスファチジルコリン類としては、ジミリストイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン等が挙げられる。ホスファチジルセリン類としては、ジパルミトイルホスファチジルセリン、ジパルミトイルホスファチジルセリンナトリウム、ウシ脳由来のホスファチジルセリンナトリウム等が挙げられる。ホスファチジルエタノールアミン類としては、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン等が挙げられる。ホスファチジルイノシトール類としては、小麦由来のホスファチジルイノシトールナトリウム等が挙げられる。ホスファスフィンゴミエリン類としては、ウシ脳由来のスフィンゴミレリン等が挙げられる。ホスファチジン酸類や長鎖アルキルリン酸塩類としては、ジミリストイルホスファチジン酸、ジパルミトイルホスファチジン酸、ジステアロイルホスファチジン酸、ジセチルリン酸等が挙げられる。ガングリオシド類は、ガングリオシドGM1、ガングリオシドGD1a、ガングリオシドGT1b等が挙げられる。糖脂質類としては、ガラクトシルセラミド、グルコシルセラミド、ラクトシルセラミド、ホスファチド、グロボシド等が挙げられる。ホスファチジルグリセロール類としては、ジミリストイルホスファチジルグリセロール、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール、ジステアロイルホスファチジルグリセロール等が挙げられる。ステロール類としてはコレステロール、ジヒドロコレステロール、ラノステロール、ジヒドロラノステロール、シトステロール、カンペステロール、スチグマステロール、ブラシカステロール、エルゴステロール等が挙げられる。二種類以上の脂質を組み合わせて用いる場合、リン脂質と、コレステロールとの組み合わせが好ましい。リン脂質としては、ホスファチジルコリン類が好ましい。リン脂質とコレステロールを用いてリポソームを製造する場合、リン脂質とコレステロールとのモル比は、1:0.1〜1.5の範囲内であることが好ましく、1:0.5〜1.25の範囲内であることがより好ましい。
例えば、本発明で使用するリン脂質としては、以下のもにがすでに市販(販売会社;日本精化)されている。
内包される検体により異なるが、一般的には、DOPC,又はDEPCが好ましい。
従来のリポソーム製剤は、典型的なリン脂質およびコレステロールからなるリポソームであるが、リポソーム表面をポリエチレングリコール(PEG)などで修飾することにより血中滞留性を上げたステルス型リポソームがある。これらはEPR効果により、疾患部位特異的に集積作用を有している。
リポソームの血中での安定性(ステルス性)を向上させるために、リポソームの膜表面をポリエチレングリコール(PEG)誘導体で修飾することが好ましい。PEG誘導体で修飾されたリポソームは、分子量500〜20000のPEGとリン脂質の共有結合体を用いることにより製造することができる。PEGとリン脂質の共有結合体としては、分子量200〜5000のPEGとジステアロイルホスファチジルエタノールアミンの結合体である、PEG修飾ホスホエタノールアミンを用いることが好ましい。
PEG修飾ホスホエタノールアミンとしては、PEG修飾基として、mPEG 350、mPEG550、mPEG750、mPEG1000、mPEG2000、mPEG3000、及びmPEG5000による各々
DMPE(1,2-Dimyristoyl-sn-Glycero-3-Phosphoethanolamine)、
DPPE(1,2-Dipalmitoyl-sn-Glycero-3-Phosphoethanolamine)、
DSPE(1,2-Distearoyl-sn-Glycero-3-Phosphoethanolamine)、及び
DOPE(1,2-Dioleoyl-sn-Glycero-3-Phosphoethanolamine)等が市販(日本精化)されている。
例えば、mPEG2000-DSPE:N-(carbonyl-methoxypolyethyleneglycol 5000)-1,2 distearoyl- sn- glycero-3-phosphoethanolamine, sodium salt CAS No. 147867-65-0 (日本精化)とDEPC:1,2-Dierucoyl-sn-glycerol-3- phosphorylcholine CAS No. 51779-95-4(日本精化)の組み合わせが好ましい。
PEG修飾ホスホエタノールアミンとリン脂質との含量は、特に限定されないが、リン脂質1に対してPEG修飾ホスホエタノールアミンが0.01%から10%であることが好ましく、0.01%から3%であることがより好ましい。
一方、PEGおよび抗体やペプチドなど標的化分子でリポソーム表面を修飾し、血中滞留性を上げ、さらに標的部位への移行性を高める方法もある。
本発明は、リポソーム内にPGI2受容体作動薬とリン脂質、およびPEG修飾ホスホエタノールアミンを含むことを特徴とするステルス型リポソームを提供する。当該リポソームは、目的に応じて、PGI2受容体作動薬とリン脂質、及びEG修飾ホスホエタノールアミンを組み合わせ、適時の割合にて混合し、リポソーム製剤とすることが好ましい。
例えば、PGI2受容体作動薬とリン脂質、およびPEG修飾ホスホエタノールアミンと水混和性有機溶媒とを含み、PGI2受容体作動薬1mg当たり、リン脂質が5mg以上、PEG修飾ホスホエタノールアミンが0.05mg以上となるように混合物を調製後加熱し、溶解物を調製する工程と、前記溶解物を瞬時に凍結する工程と、凍結後凍結乾燥し溶媒を除去する工程と、凍結乾燥物を加温にてリン酸緩衝水溶液に分散する工程と、エクストルーダーによりサイジングする工程と、限外濾過により未封入物を除去する工程と、糖類を加えて凍結乾燥する工程を含む製造方法により製造される。
本法にて製造されたリポソームは、PGI2受容体作動薬を含み、平均粒子径が50から200nmであることを特徴とするPGI2受容体作動薬封入ステルス型リポソーム製剤である。
PGI2受容体作動薬とリン脂質、およびPEG修飾ホスホエタノールアミンと溶媒を含む混合物には、ステロール類、例えばコレステロールが含まれても良く、含まれなくても良い。従来のリポソームは、構成脂質としてリン脂質とコレステロールを組み合わせて用いることが好ましいとされているが、構成脂質としてコレステロールを併用しないことにより、高濃度にて安定なPGI2受容体作動薬封入リポソームの作製が可能となった。
リポソームの大きさ(粒子径)は特に限定されないが、平均粒子径が約10〜1000nmであることが好ましく、平均粒子径が約20〜500nmであることがより好ましく、さらに好ましくは、平均粒子径が約50〜200nmである。本明細書において「粒子径」は、動的光散乱法によって測定された粒子の直径を意味する。好ましい多分散指数(PDI)は、0.3以下である。粒子径を調整する方法は特に限定されない。
本発明は、PGI2受容体作動薬封入リポソームを有効成分として含有する循環器系疾患、呼吸器系疾患、泌尿器系疾患、血管疾患、消化器系疾患または神経変性疾患等の予防および/または治療剤を提供する。本発明の医薬組成物に用いられるPGI2受容体作動薬は特に限定されず、公知のPGI2受容体作動薬を好適に用いることができる。公知のPGI2受容体作動薬としては、例えば、一般式(I)
(式中、
は、水素原子またはC1〜4アルキル基を表わし、
は、(i)水素原子、(ii)C1〜8アルキル基、(iii)フェニル基またはC4〜7シクロアルキル基、(iv)窒素原子1個を含む4〜7員単環、(v)ベンゼン環またはC4〜7シクロアルキル基で置換されているC1〜4アルキル基、または(vi)窒素原子1個を含む4〜7員単環で置換されているC1〜4アルキル基を表わし、
は、(i)C1〜8アルキル基、(ii)フェニル基またはC4〜7シクロアルキル基、(iii)窒素原子1個を含む4〜7員単環、(iv)ベンゼン環またはC4〜7シクロアルキル基で置換されているC1〜4アルキル基、または(v)窒素原子1個を含む4〜7員単環で置換されているC1〜4アルキル基を表わし、
eは、3〜5の整数を表わし、
fは、1〜3の整数を表わし、
pは、1〜4の整数を表わし、
qは、1または2を表わし、
rは、1〜3の整数を表わす
(ただし、
が前記(iii)または前記(iv)で示される基である場合には、
−(CH)p−および=CH−(CH−は、環上のaまたはbの位置に結合し、かつ
およびR中の環構造は、1〜3個のC1〜4アルキル基、C1〜4アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基またはトリハロメチル基で置換されていてもよい)
で示される化合物またはその塩である医薬組成物、PGI2誘導体及びPGE誘導体が挙げられる。
好ましくは、PGI2受容体作動薬が、
(A)下記式(II)
で示される、({5−[2−({[(1E)−フェニル(ピリジン−3−イル)メチレン]アミノ}オキシ)エチル]−7,8−ジヒドロナフタレン−1−イル}オキシ)酢酸(CAS 176391-41-6;化合物(A)(ONO-1301));
(B)(±)−(1R,2R,3aS,8bS)−2,3,3a,8b−テトラヒドロ−2−ヒドロキシ−1−[(E)−(3S,4RS)−3−ヒドロキシ−4−メチル−1−オクテン−6−イニル]−1H−シクロペンタ[b]ベンゾフラン−5−ブタン酸ナトリウム塩(CAS: 88475-69-8;ベラプロスト)等を含むカルバサイクリン系PGI2誘導体(化合物(B));
(C)[4−(5,6−ジフェニルピラジニル)(1−メチレチル)アミノ]ブトキシ]−酢酸(CAS:475085-57-5;MRE−269;化合物(C));
(D)(2E)−7{−(1R,2R,3R)−3−ハイドロキシ−2[−(1E,3S,5S)−3−ハイドロキシ-5−メチルノン−1−エン−1−イル]−5−オキソシクロペンチル}−へプト−2−エノイック酸(CAS:74397-12-9;リマプロスチル)、オルノプロスチル;17S,20-ジメチル-6-オキソ-PGEメチルエステル、エンプロスチル、ミソプロストール等を含むPGE誘導体(化合物(D));又は
(E)2−{4−[(5,6−ジフェニルピラジン−2−)イル)(プロパン−2−イル)アミノ] ブトキシ}−N-(メタンスルフォニル)アセトアミド(CAS:475086-01-2;セレキシパグ;NS−304(化合物(E))であるPGI2受容体作動薬が好ましい。
本発明の医薬組成物の投与対象としては、炎症性疾患、虚血性臓器障害、糖尿病性合併症、組織線維性疾患、又は組織変性疾患等を発症している哺乳動物が好適である。哺乳動物としては、ヒト、サル、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ブタ、ウサギ、イヌ、ネコ、ラット、マウス、モルモット等が挙げられ、特に炎症性疾患を発症しているまたは発症していることが疑われるヒトが好ましい。
本発明の医薬組成物の投与方法は、疾患部位に有効成分が到達できる方法であれば特に限定されないが、静脈内投与用、点滴・輸液用、冠動脈内投与用、吸入用、筋肉内投与用、皮下投与用、経口投与用、座剤用、腹腔内投与用、経粘膜投与用及び経皮投与用、臓器用の注射用製剤、又は貼付剤、吸入剤、ネブライザー、スプレー剤、ゲル剤、クリ―ム剤、噴霧剤、軟骨剤、点鼻剤、点眼剤等がある。動脈内投与の場合、冠動脈内投与が好ましく、静脈内投与の場合、末梢静脈内投与が好ましい。
注射剤としては、水性注射剤または油性注射剤のいずれでもよい。水性注射剤とする場合、公知の方法に従って、例えば、水性溶媒(注射用水、精製水等)に、薬学的に許容される添加剤を適宜添加した溶液に、本薬剤等封入リポソームを混合した後、フィルター等で濾過等して滅菌し、次いで無菌的な容器に充填することにより調製することができる。薬学的に許容される添加剤としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、グリセリン、マンニトール、ソルビトール、ホウ酸、ホウ砂、ブドウ糖、プロピレングリコール等の等張化剤;リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、炭酸緩衝液、クエン酸緩衝液、トリス緩衝液、グルタミン酸緩衝液、イプシロンアミノカプロン酸緩衝液等の緩衝剤;パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、クロロブタノール、ベンジルアルコール、塩化ベンザルコニウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム、ホウ酸、ホウ砂等の保存剤;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール等の増粘剤;亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、アスコルビン酸、ジブチルヒドロキシトルエン等の安定化剤;塩酸、水酸化ナトリウム、リン酸、酢酸等のpH調整剤等が挙げられる。また注射剤には、適当な溶解補助剤、例えば、エタノール等のアルコール;プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のポリアルコール;ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50、リソレシチン、プルロニックポリオール等の非イオン界面活性剤等をさらに配合してもよい。また、例えば、ウシ血清アルブミン、キーホールリンペットヘモシアニン等のタンパク質;アミノデキストラン等のポリサッカリド等を含有してもよい。油性注射剤とする場合、油性溶媒としては、例えば、ゴマ油または大豆油等が用いられ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベンジルアルコール等を配合してもよい。調製された注射液は、通常、適当なアンプルまたはバイアル等に充填される。注射剤等の液状製剤は、凍結保存、凍結乾燥等により水分を除去して保存することもできる。凍結乾燥製剤は、用時に注射用蒸留水等を加え再溶解して使用される。
本発明の医薬組成物に含まれる本薬剤等の量は、剤形、投与間隔、または投与経路によって異なるが、静脈投与用の注射剤の場合、0.001ng/mL〜100mg/mLの範囲から適宜選択することができる。投与期間と投与方法は、疾患とその治療法により、安全性、利便性、低侵襲性、患者負担、コンプライアンス等を考慮して適宜決定される。効果が期待でき、利便性の良い投与間隔であればいずれでも良いが、1日2回、毎日、2日に1回、3日に1回、週1回、2週に1回、3週に1回、又は4週に1回程度が好ましいが、1日に1回から週に1回の範囲がより好ましい。
例えば、本発明の医薬組成物として、化合物(A)封入リポソームを、心臓疾患発症しているヒトに静脈内投与する場合、1回あたりの投与量はONO-1301として500mg以下が好ましく、100mg以下がより好ましい。下限は特に限定されず目的の効果が得られる投与量であればよい。
本発明の医薬組成物は、PGI2受容体作動薬封入リポソームを有効成分とすることにより、フリーのPGI2受容体作動薬投与は、大量投与では血管拡張作用のため、降圧作用を示すため、有効量との乖離が少なかったが、リポソーム製剤では、DDS効果により疾患部位集積性のため、低用量でも多くの疾患で効果を示すことができる点で有用である。すなわち、病変部における血管透過性亢進が生じ、ナノサイズのリポソームが特異的に病変部に集積(EPR効果)が期待できる。また、エンドサイトーシス効果により細胞内に薬剤が移動するために、薬効の増大ならびに副作用の軽減が期待できる点で非常に有用である。また、本発明の医薬組成物は、末梢静脈等からの投与で標的である病変部へ有効成分を送達でき、中心静脈カテーテル等を必要としない点で有用である。また、末梢静脈から投与しても標的以外の部位へ送達され難い点でも有利である。すなわち、本発明の医薬組成物は、低用量における組織修復作用を増強できると共に、低用量化、標的部位以外への送達抑制、中心静脈カテーテル不要等により副作用を低減できる点で非常に有用である。
直接分散改良法にてリポソーム製剤を作製する場合、脂質のプレミックスを作製する時には、脂質と検体を溶解する溶媒であること、瞬時に凍結出来ること、及び凍結乾燥にて除去できることが条件となり、本条件を満たす場合にはいずれの溶媒でも良い。 一般的には、t-ブタノール、シクロヘキサン+エタノール、ヘキサフルオロプロパノール、1−プロパノール、イソプロピルアルコール、2−ブトキシエタノール等が良いが、t-ブタノールを用いることが好ましい。
リポソームの凍結乾燥には、一般的には、マルトース、スクロース、又はトレハロール等の糖類を加え分散することにより、凍結時の細胞膜崩壊を抑制して、凍結乾燥を行う必要がある。
[医薬品への適用]
化合物(A)等のPGI2受容体作動薬は、体内再生因子産生促進作用、幹細胞分化誘導作用、抗アポトーシス作用、リバースリモデリング作用、抗線維化作用および血管新生促進作用等を有しているため、PGI2受容体作動薬を含有するステルス性リポソーム製剤は、各種臓器障害、炎症性疾患(例えば、血管疾患(例えば、閉塞性動脈硬化症(ASO)、バージャー病、レイノー病、動脈硬化、血管炎症候群等)、循環器系疾患(例えば、心筋梗塞、心筋炎、狭心症、上室性頻脈性不整脈、うっ血性心不全、冠動脈疾患、特発性心筋症、拡張型心筋症、虚血性心筋症、心房細動、慢性心不全、拡張不全、収縮不全、弁膜症、大動脈弁狭窄症等)、神経変性疾患(例えば、虚血性脳障害、脳血管障害、脳卒中、パーキンソン病、アルツハイマー病、糖尿病性神経障害、脊柱管狭窄症、認知症、モヤモヤ病、脊髄損傷、筋委縮性側索硬化症(ALS)等)、呼吸器系疾患(例えば、急性肺炎、肺線維症、肺高血圧症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、全身性炎症反応症候群(SIRS)、急性肺障害(ALI)、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、サルコイドーシス、間質性肺炎、過敏性肺炎、喘息、難治性喘息等)、骨疾患(例えば、脊椎または膝等変形性関節炎(OA)、関節リウマチ(RA)、骨粗鬆症、骨折、脊髄損傷、骨膜損傷等)、消化器系肝疾患(例えば、劇症肝炎、急性肝炎、肝硬変、慢性肝炎、脂肪肝、脂肪性肝炎、胃潰瘍、胃炎、腸潰瘍等)、泌尿器系疾患(例えば、急性腎不全、慢性腎不全、糸球体疾患、尿細管間質性疾患、腎血管系障害症、嚢胞性腎疾患、中毒性腎症、尿細管輸送異常症、透析患者腎障害、腎症、ネフローゼ症候群、IgA腎症、非典型溶血性尿毒素症症候群、急性進行性腎炎症候群、腎線維症等)、消化器系膵疾患(例えば、糖尿病、慢性膵炎、急性膵炎等)、消化器疾患(例えば、食道炎、胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、潰瘍性大腸炎、クローン病等)、糖尿病性合併症(例えば、糖尿病性神経障害、皮膚潰瘍、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症等)、血管内皮細胞障害(例えば、PTCA(percutaneous transluminal coronary angioplasty:経皮経管冠動脈形成術)後の再狭窄予防等)、歯科疾患(例えば、歯周病、抜歯創、口腔創傷、歯周組織障害等)、皮膚疾患(例えば褥瘡、脱毛等)、眼科疾患(例えば、緑内障等)、臓器・細胞移植(心臓、肝臓、腎臓、肺臓、膵、膵島細胞、骨髄等)、移植慢性拒絶等の予防および/または治療剤として有用である。特に、心疾患、肺疾患、腎疾患、骨疾患、神経変性疾患、肝疾患、膵疾患、自己免疫疾患、アレルギー症候群および血管性疾患への予防および/または治療剤として有望である。
化合物(A)等PGI2受容体作動薬が産生を誘導・促進する体内再生因子には、例えば、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、肝細胞増殖因子(HGF)、各種の線維芽細胞増殖因子(a/bFGF)、形質転換増殖因子−β(TGF−β)、血小板由来増殖因子(PDGF)、アンジオポエチン、低酸素誘導因子(HIF)、インスリン様成長因子(IGF)、骨形成蛋白質(BMP)、結合組織成長因子(CTGF)、上皮細胞増殖因子(EGF)、ストローマ細胞由来因子(SDF−1)、High Mobility Group Box 1(HMGB1)等またはそのファミリーの増殖因子等が知られている。上記の内因性修復因子類を産生する他の薬物類としては、他のPGI2受容体アゴニスト、PGE2受容体の中のEP2、EP4受容体アゴニスト、およびこれらの混合受容体作動薬等が挙げられる。本発明の目的を達成するために、化合物(A)の代わりに上記薬物を用いてもよい。なお、化合物(A)の代わりに用いることができる薬物には、PGI類、及びPGE類の誘導体、IP、EP2及びEP4受容体作動薬等も含まれ、例えば化合物(B)、アエロプロスト、オルノプロスチル、化合物(C)、化合物(D)(リマプロスト)、化合物(E)、エンプロスチル、ミソプロストール、ONO−4232、ONO−8055 等が挙げられる。
これらの薬物、およびその薬物を含有するリポソームは、化合物(A)と同様の疾患に効果を発揮する。
本発明においては、目的に応じて、化合物(A)および上記の薬物から選択される2種以上の薬物を組み合わせてリポソームとすることも好ましい。なお、上記薬物は市販品であるか、もしくは公知の方法に準じて容易に製造することができる。
本発明のリポソームの投与形態としては、 静脈内投与用、冠動脈投与用、吸入用、筋注投与用、皮下投与用、経口投与用、経粘膜投与用及び経皮投与用または臓器用の注射用製剤、軟膏剤、貼付剤、経口剤、スプレー剤等が挙げられる。前記以外にも、埋め込み剤、直腸、子宮、口腔内などの経粘膜投与剤、点鼻剤、及び点滴静注又は冠動脈内への持続的な投与法がある。
[毒性]
PGI2受容体作動薬単独に比し、本発明のリポソーム製剤の毒性は低く、医薬として使用するために十分に安全である。 また、PGI2受容体作動薬は、発がんに対するイニシエーション作用、及びプロモーション作用を有していないことは、これらのマウス及びラットを用いた長期癌原性試験、及び中期肝発がん性試験等で確認されている。
以下、実施例によって本発明を具体的に詳述するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
尚、使用した試薬類例を以下に示す。尚、実施例記載においては、これらの略語にて記載する。
(1)HSPC(水添添加大豆リン脂質, hydrogenated lecithin)
品名:COATSOME NC-21、(NOF corporation) CAS:921228-87-5, 92128-87-5
(2)DSPE (1,2-Distearoyl-sn-glycero-3-phosphoethanolamine) CAS: 1069-79-0(日本精化)
(3)DEPC:1,2-Dierucoyl-sn-glycerol-3- phosphorylcholine CAS No. 51779-95-4(日本精化)
(4)MPEG2000-DSPE:N-(carbonyl-methoxypolyethyleneglycol 5000)-1,2 distearoyl- sn- glycero-3-phosphoethanolamine, sodium salt CAS:147867-65-0 (日本精化)
(5)DOPC:1,2-Dioleoyl-sn-glycero-3-phosphocholine(CAS:4235-95-4)(日本精化)
(6)Cholesterol:Cholesterol HP(NOF corporation)
(7)PBS(-);ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(Ca, Mg不含)
濾過滅菌済 マイコプラズマ, エンドトキシン検査済(商品コード14249-95)(ナカライテスク)
リポソームに内包されるPGI2受容体作動薬類は以下記載会社から市販されており一般に購入することが出来る。
(i)化合物(A)(ONO-1301) Sigma-Aldrich CAS 176391-41-6
(ii)化合物(B)(ベラプロスト)Cayman社 CAS: 88475-69-8
(iii)化合物(C)(MRE-269) Cayman社 CAS:475085-57-5
(iv)化合物(D)(リマプロスト)Cayman社 CAS:74397-12-9
(v)化合物(E)(NS-304)Cayman社 CAS: 475086-01-2
以下、PGI2受容体作動薬類のリポソーム製造例を具体的に詳述する。
1.製剤例1(リモートローディング法)リポソームの調整
1)HSPC;107.4mg、DSPE;9.0mg、コレステロール;35.3mgを秤量し、ナスフラスコに採取し、クロロホルム/メタノール溶液(1/1, v/v)を脂質濃度20mg/mLになるように添加し、溶解した。
2)ロータリーエバポレーターでクロロホルム/メタノールを蒸発させ、真空乾燥を行った。
3)0.1N 水酸化ナトリウム溶液(>pH12.0)を脂質濃度10mg/mLになるように添加し、ボルテックスを行い、再分散させ、アズワン製 VS-100III 出力28Khz60秒、45KHz60秒、100KHz3秒サイクルでトータル30分、超音波処理後に粒子径サイズの確認を行った。
4)リポソーム外液を交換するために、撹拌式限外濾過(分画分子量:300,000Da)を行った。
リポソーム外液は、10mM リン酸緩衝液 (pH8.0)とした。(リポソーム溶液)限外濾過は、攪拌式セル8000シリーズ50mLセル:Model8050 5122 メルク社製、バイオマックスPBMK04310 メルク社製を使用し、空リポソーム作成後、脂質定量を実施した。
5)化合物(A)を56.5mg秤量し、0.1N 水酸化ナトリウム溶液を1.41mL添加し、ボルッテクスを行い溶解したところに、10mM リン酸緩衝液(pH8.0)を5.65mL添加し、8mg/mLの溶液を調製した。(化合物(A)溶液)
6)リポソーム溶液に化合物(A)溶液(3濃度条件)を添加し、60℃、1時間撹拌した。
7)3濃度条件は、1/10混合比:化合物3.29mg、脂質32.9mg 、2/10混合比 化合物6.58mg、脂質32.9mg 、及び4/10混合比:化合物13.16mg 脂質32.9mg 溶液ボリューム3mLで実施した。
8)攪拌式セル8000シリーズ10mLセル:MMODEL8010 5121 メルク社製、 及びバイオマックスPBMK02510 メルク社製の撹拌式限外濾過(分画分子量:300,000Da)で、遊離の化合物(A)を除去した。 外液は、10mM リン酸緩衝液(pH7.4)とした。
その結果、以下表2に示す4種の特性を有するリポソーム製剤を得た。図1にこれらの平均粒子径分布図を示す。
2.製剤例2(バンガム法)リポソームの調製
1)HSPC;102.0mg、DSPE;8.5mg、コレステロール;33.5mgを秤量し、ナスフラスコに採取し、クロロホルム/メタノール溶液(1:1, v/v)を脂質濃度20mg/mLになるように添加し、溶解した。
2)ロータリーエバポレーターでクロロホルム/メタノールを蒸発させ、真空乾燥を行った。
ナスフラスコ4本にそれぞれ総脂質として30mgになるように準備した。
3)化合物(A)を170.6mg秤量し、0.1N 水酸化ナトリウム溶液を4.5mL添加し、ボルテックスを行い溶解したところに、10mM リン酸緩衝液(pH8.0)を2.6ml添加し、24mg/mLの溶液を調製した。(化合物(A)溶液)
4)真空乾燥した脂質フィルムに化合物(A)溶液(3濃度条件)を添加し、37℃、1時間撹拌した。
各ナスフラスコに30mgの脂質が入っているので、1/10混合比:化合物(A)3.0mg・脂質30mg、2/10混合比:化合物(A)6mg・脂質30mg、及び4/10混合比:化合物(A)12mg・脂質30mg 各3mLになるようPBSにて溶液量を調整した。
5)アズワン製 VS-100IIIにて28KHz 60秒・45KHz 60秒・100KHz 3秒のサイクルの繰り返しでトータル60分処理を行った。
6)超音波処理を60分行った。
7)攪拌式セル8000シリーズ10mLセル:MMODEL8010 5121 メルク社製、 バイオマックスPBMK02510 メルク社製にて、撹拌式限外濾過(分画分子量:300,000Da)で、遊離の化合物(A)を除去した。
外液は、10mM リン酸緩衝液(pH7.4)とした。
その結果、以下表3に示す4種の特性を有するリポソーム製剤を得た。図2にこれらの平均粒子径分布図を示す
3.製剤例3(エクストルーダー法)リポソームの調製
1)HSPC;255.0mg、DSPE;21.3mg、コレステロール;83.0mgを秤量し、ナスフラスコに採取し、クロロホルム/メタノール溶液(1/1, v/v)を脂質濃度20mg/mlになるように添加し、溶解した。
2)ロータリーエバポレーターでクロロホルム/メタノールを蒸発させ、真空乾燥した。
3)化合物(A)を143mg秤量し、0.1N 水酸化ナトリウム溶液を3.76mL添加し、ボルッテクスを行い溶解したところに、10mM リン酸緩衝液(pH8.0)を2.2ml添加し、24mg/mLの溶液を調製した。(化合物(A)溶液)
4)脂質フィルムに化合物(A)溶液を添加し、10mM リン酸緩衝液(pH8.0)を追加し、36mLにメスアップした(化合物(A);140mg、脂質;360mg)。
5)アズワン社製 VS-100III 28Khzにて超音波処理を1分行い、ナスフラスコ壁面の脂質を分散した。
6)60℃、加温撹拌を30分行った。
7)等量の10mM リン酸緩衝液(pH8.0)を添加し、エクストルーダー処理を行った。(60℃、400nm、200nm)。エクストレーダーは、LIPEX 100mL Thermobarrel Extruder:Northern Lipid社製、Nunleporeメンブレン、GE社製 400nm:品番111107 200nm:品番111106にて実施した。
8)攪拌式セル8000シリーズ50mLセル:Model8050 5122 メルク社製、及びバイオマックスPBMK04310 メルク社製の撹拌式限外濾過(分画分子量:300,000Da)で、遊離の化合物(A)を除去した。
外液は10mM リン酸緩衝液(pH7.4)とした。
その結果、以下表4に示した特性を有するリポソーム製剤を得た。図3には平均粒子径分布図を示す。
4.製剤例4(脂質―化合物フィルム法)リポソームの調製
1)脂質(HSPC;21.2mg、DSPE;1.8mg、コレステロール;7.0mg)および化合物(A);6.0mgを秤量し、ナスフラスコに採取した。この時、脂質10mgに対し、化合物(A)が2mgになるように秤量した。
2)クロロホルム/メタノール溶液(1/1,v/v)を脂質と化合物(A)総重量20mg/mLになるように添加し、溶解した。
3)ロータリーエバポレーターでクロロホルム/メタノールを蒸発させ、真空乾燥した。
4)10mM リン酸緩衝液(pH8.0)を脂質濃度10mg/mLになるように添加した。
5)アズワン製 VS-100III 28KHzでの超音波処理によりナスフラスコ壁面の脂質および化合物(A)を剥離し、60℃、30分撹拌した。
6)等量の10mM リン酸緩衝液(pH8.0)を添加し、エクストルーダー処理を行った。(60℃、400nm、200nm)。即ち、エクストレーダーは、LIPEX 100mL Thermobarrel Extruder:Northern Lipid社製、Nunleporeメンブレン、GE社製 400nm:品番111107、200nm:品番111106にて実施した。
7)攪拌式セル8000シリーズ10mLセル:MMODEL8010 5121 メルク社製、 バイオマックスPBMK02510 メルク社製の)撹拌式限外濾過(分画分子量:300,000Da)で、遊離の化合物(A)を除去した。外液は、10mM リン酸緩衝液(pH7.4)とした。
その結果、以下表5に示した特性を有するリポソーム製剤を得た。図4には平均粒子径分布図を示す。
5.PEG処理ステルス型リポソーム製剤の作製
(1)製剤例5(リモートローディング法)リポソームの調製
1)HSPC;107.5mg、MPEG2000-DSPE ;35.0mg、コレステロール(35.5mg)を秤量し、ナスフラスコに採取し、クロロホルム/メタノール溶液(1:1, v/v)を脂質濃度30mg/mLになるように添加し、溶解した。
2)ロータリーエバポレーターでクロロホルム/メタノールを蒸発させ、真空乾燥し、0.1N 水酸化ナトリウム溶液(>pH12.0)を脂質濃度10mg/mLになるように添加し、ボルテックスを行い、再分散させた。
3)ズワン製 VS-100III 出力28Khz60秒、45KHz60秒、100KHz3秒サイクルでトータル30分、超音波処理後に粒子径サイズの確認を行った。
4)リポソーム外液を交換するために、撹拌式限外濾過(分画分子量:300,000Da)を行った。リポソーム外液は、10mM リン酸緩衝液(pH8.0)とした(リポソーム溶液)。
限外濾過は、攪拌式セル8000シリーズ50mLセル:Model8050 5122 メルク社製、及びバイオマックスPBMK04310 メルク社製にて実施し、空リポソーム作成後、脂質定量実施した。
5)化合物(A)を56.5mg秤量し、0.1N 水酸化ナトリウム溶液を1.41mL添加し、ボルッテクスを行い溶解したところに、10mM リン酸緩衝液(pH8.0)を5.65mL添加し、8mg/mLの溶液を調製した。(化合物(A)溶液)
6)リポソーム溶液に化合物(A)溶液(3濃度条件)を添加して、60℃、1時間撹拌した。
3濃度条件は、1/10混合比:化合物(A)4.0mg、脂質40.0mg、2/10混合比 化合物(A)8.0mg、脂質40.0mg、及び 4/10混合比:化合物(A)16.0mg 脂質40.0mg 溶液ボリューム4mLで実施した。
7)撹拌式限外濾過(分画分子量:300,000Da)で、遊離の化合物(A)を除去した。限外濾過は、攪拌式セル8000シリーズ10mLセル:MMODEL8010 5121 メルク社製、 及びバイオマックスPBMK02510 メルク社製にて実施した。外液は、10mM リン酸緩衝液(pH7.4)とした。
その結果、以下表6示す4種の特性を有するリポソーム製剤を得た。図5これらの平均粒子径分布図を示す。
(2)製剤例6(バンガム法)リポソームの調製
1)HSPC;87.0mg、MPEG2000-DSPE ;28.3mg、コレステロール;29.0mgを秤量し、ナスフラスコに採取し、クロロホルム/メタノール溶液(1:1, v/v)を脂質濃度30mg/mLになるように添加し、溶解した。
2)ロータリーエバポレーターでクロロホルム/メタノールを蒸発させ、真空乾燥した。ナスフラスコ4本にはそれぞれ総脂質として10mgになるよう準備した。
3)化合物(A)を164mg秤量し、0.1N 水酸化ナトリウム溶液を4.3mL添加し、ボルテックスを行い溶解したところに、10mM リン酸緩衝液(pH8.0)を2.53ml添加し、24mg/mLの溶液を調製した。(化合物(A)溶液)
4)真空乾燥した脂質フィルムに化合物(A)溶液(3濃度条件)を添加し、37℃、1時間撹拌した。
5)3濃度条件とは、1/10混合比:化合物(A)1.0mg、脂質10.0mg 、2/10混合比 化合物(A)2.0mg、脂質10.0mg 、4/10混合比:化合物(A)4.0mg 脂質10.0mg 溶液ボリューム4mLとした。
6)アズワン製 VS-100IIIにて、出力28Khz60秒、45KHz60秒、100KHz3秒サイクルでトータル60分、超音波処理を行った。
7)攪拌式セル8000シリーズ10mLセル:MMODEL8010 5121 メルク社製、 及びバイオマックスPBMK02510 メルク社製にて、撹拌式限外濾過(分画分子量:300,000Da)で、遊離の化合物(A)を除去した。
外液は、10mM リン酸緩衝液(pH7.4)とした。
その結果、以下表7に示す4種の特性を有するリポソーム製剤を得た。図6これらの平均粒子径分布図を示す。
(3)製剤例7(エクストルダー法)リポソームの調製
1)HSPC;215.0mg、MPEG2000-DSPE ;70.0mg、コレステロール;71.0mgを秤量し、ナスフラスコに採取し、クロロホルム/メタノール溶液(1/1, v/v)を脂質濃度30mg/mLになるように添加し、溶解した。
2)ロータリーエバポレーターでクロロホルム/メタノール溶液を蒸発させ、真空乾燥した。
3)化合物(A)を142.7mg秤量し、0.1N 水酸化ナトリウム溶液3.8mLを添加し、ボルッテクスを行い溶解したところに、10mM リン酸緩衝液(pH8.0)を2.19mL添加、24mg/mLの溶液を調製した。(化合物(A)溶液)
4)脂質フィルムに化合物(A)溶液を添加し、10mM リン酸緩衝液(pH8.0)を追加し、35.6mLにメスアップした(化合物:142.4mg 脂質:356.0mg)。
5)アズワン製 VS-100IIIにて、出力28Khz60秒、45KHz60秒、100KHz3秒サイクルでトータル30分、超音波処理を1分行い、ナスフラスコ壁面の脂質を剥離し、60℃、30分撹拌した。
6)等量の10mM リン酸緩衝液(pH8.0)を添加し、エクストルーダー処理を行った。(60℃、400nm、200nm)。エクストレーダーは、LIPEX 100mL Thermobarrel Extruder:Northern Lipid社製、Nunleporeメンブレン、GE社製 400nm:品番111107 200nm:品番111106にて実施した。
7)攪拌式セル8000シリーズ50mLセル:Model8050 5122 メルク社製、及びバイオマックスPBMK04310 メルク社製にて、撹拌式限外濾過(分画分子量:300,000Da)で、遊離の化合物(A)を除去した。
外液は、10mM リン酸緩衝液(pH7.4)とした。
その結果、以下表8の特性を有するリポソーム製剤を得た。図7には平均粒子径分布図を示す。
(4)製剤例8(脂質-化合物フィルム法)リポソームの調製
1.HSPC;18.0mg、MPEG2000-DSPE ;6.0mg、コレステロール;6.0mgおよび化合物(A);6.0mgを秤量し、ナスフラスコに採取した。この時、脂質10mgに対し、化合物(A)2mgになるように秤量し、クロロホルム/メタノール溶液(1/1, v/v)を脂質と化合物(A)総重量30mg/mLになるように添加し、溶解した。
2.ロータリーエバポレーターでクロロホルム/メタノールを蒸発させ、真空乾燥した。
3.10mM リン酸緩衝液(pH8.0)を脂質濃度10mg/mLになるように添加した。
4.アズワン製 VS-100III 28KHzにて、超音波処理を行い、ナスフラスコ壁面の脂質および化合物(A)を剥離し、60℃、30分撹拌した。
5.等量の10mM リン酸緩衝液(pH8.0)を添加し、エクストルーダー処理を行った。(60℃、400nm、200nm)。エクストルーダーは、LIPEX 100mL Thermobarrel Extruder:Northern Lipid社製、Nunleporeメンブレン、及びGE社製 400nm:品番111107 200nm:品番111106にて実施した。
6.攪拌式セル8000シリーズ10mLセル:MMODEL8010 5121 メルク社製、 バイオマックスPBMK02510 メルク社製にて、撹拌式限外濾過(分画分子量:300,000Da)で、遊離の化合物(A)を除去した。
外液は、10mM リン酸緩衝液(pH7.4)とした。
その結果、以下表9の特性を有するリポソーム製剤20を得た。図8は平均粒子径分布図を示す。
6. 化合物(A)の定量方法
1)化合物(A)を5mg秤量し、試験管に入れ、0.1N 水酸化ナトリウム溶液を0.125mL添加し、ボルテックスを行い溶解した。
2)精製水4.875mLを添加して、1mg/mLの化合物(A)溶液を調製した。
3)化合物(A)濃度0.0mg/mL〜0.50mg/mLの6ポイントで、波長265nmの吸光度を測定して、検量線を作成した。
4)既知濃度の化合物(A)溶液(0.1mg/mL、0.2mg/mL、0.4mg/mL)を調製し、検量線からサンプル濃度を求めた。
5)ブランクリポソーム(脂質濃度4.7mg/mL)に既知濃度の化合物(A)溶液(0.1mg/mL、0.2mg/mL、0.4mg/mL)を添加して、化合物(A)濃度を測定した。
6)既知濃度溶液の測定結果とリポソーム添加既知濃度溶液の測定結果を求めて、回収率を算出した。
これらの測定結果を表10及び図9に示す。
その結果、リポソーム化脂質の影響がないことが確認できたことから、化合物(A)は吸光度法で定量した。
7.化合物(A)のステルス性リポソームナノスフェアのバンガム法での大量製造
(1)バンガム法によるPEG処理化化合物(A)内包リポソームの大量調製を行い、特性試験を行った。
(作製方法)
(i) HSPC;5.524g、Cholesterol;1.8419g、MPEG2000-DSPE ;1.7978gをナスフラスコに秤量し、クロロホルム/メタノール(1/1, v/v)溶液を脂質濃度30mg/mLになるように添加、37℃、撹拌溶解した。
(ii) 窒素封入下、エバポレーターで溶媒留去後、真空乾燥した。脂質600mgx15本、及び脂質300mgx1本の100mLナスフラスコを準備した。
(iii) 化合物(A)を秤量し、0.1N 水酸化ナトリウム溶液を添加、化合物(A)濃度40mg/mLの溶液を作製した。 そこに10mM リン酸緩衝液(pH8.0)を化合物(A)濃度24mg/mLになるように添加した。
(iv) 脂質フィルムに(3)の溶液を添加、脂質濃度10mg/mLになるように10mM リン酸緩衝液(pH8.0)を添加し、37℃、1時間撹拌した。各ナスフラスコに脂質600mgに対して化合物(A)22.2mgを添加、及び脂質300mgに対しては化合物(A)11.1mg添加した。
(v) アズワン製 VS-100III 出力28Khz60秒、45KHz60秒、100KHz3秒サイクルで、各々のナスフラスコで超音波処理をトータル60分行った。
(vi) 攪拌式セル8000シリーズ400mLセル:MMODEL8400 5124 メルク社製、 バイオマックスPBMK07610 メルク社製を使用した。溶液量がトータル930mLのため、セルを3つ使用して限外濾過(分画分子量:300,000Da)により外水相を10mM リン酸緩衝液(pH7.4)に置換、未内包化合物(A)を除去した。
その結果、以下表11の特性を有するリポソーム製剤を得た。図10にこれらの平均粒子径分布図を示す。
作製したPEG処理化合物(A)内包リポソームの一部を用いて、以下一般試験を行った。
(2)図11に製剤21の透過型電子顕微鏡撮像を示す。
解析方法:形態観察
撮影機種:HITACHI H-7600 at 100kV
試料作製方法
・分散:400mesh カーボン支持膜付グリッド
・染色:ネガティブ染色 (リンタングステン酸)
電顕写真を図11に示す。
(3)作製したPEG処理化合物(A)内包リポソームの一部のHPLC分析を行い、分解物の有無を確認した。
・HPLCによる化合物(A)の分析及び定量
機器名 :Agilent 1290 Infinity LCシリーズ
カラム :SHISEIDO CAPCELL PAK C18 UG120 5μm, 4.6×150mm
移動相 :1% 酢酸/H2O:1% 酢酸/アセトニトリル=60:40
流速 :1mL/min
検出波長 :265nm
カラム温度:25℃
(試料調製方法)
サンプル1:化合物(A)を1mg/mLになるように1M 水酸化ナトリウム溶液に溶解した。これを40℃、一晩静置した。(酸化物産生検体)
サンプル2:化合物(A)を0.5mg/mLになるように0.1N 水酸化ナトリウム溶液-10mM リン酸緩衝液(pH8.0)(内包時の緩衝液)で調製した。(コントロール検体)
サンプル3:サンプル2を生理食塩水で等倍希釈し、0.25mg/mLの溶液を調製した。これを、37℃、一晩静置した。(化合物コントロール検体)
サンプル4:PEG処理空リポソームを生理食塩水で10倍希釈を行った。これを37℃、一晩静置後、限外濾過を行った。(脂質コントロール検体)
サンプル5:PEG処理化合物(A)内包リポソームを生理食塩水で10倍希釈行った。これを37℃、一晩静置後、限外濾過を行った。(リポソーム検体)
上記、5サンプルのHPLC分析を行い、37℃環境下での化合物(A)酸化物の有無及びPEG処理化合物(A)内包リポソームの化合物(A)酸化物の有無を確認した。
サンプル1〜5のHPLC測定チャートを図12に示す。
8.バンガム法によるPEG処理化化合物(B)内包ステルス性リポソームの作製
(1)リポソーム作製
(i) HSPC;36.0mg、Cholesterol;12.0mg、MPEG2000-DSPE ;12.0mgをナスフラスコに秤量し、クロロホルム/メタノール(1/1, v/v)溶液を脂質濃度30mg/mLになるように添加し、37℃、撹拌溶解した。
(ii) 窒素封入下、エバポレーターで溶媒留去し、真空乾燥した。
(iii) 化合物(B)を20mg/mLになるように10mM リン酸緩衝液(pH8.0)を添加し、溶解した。
(iv) 脂質フィルムに化合物(B)溶液を1/10(Drug/Lipid w/w%)になるように添加し、10mM リン酸緩衝液(pH8.0)を脂質濃度10mg/mLになるように添加、メスアップした(化合物(B)6.0mg、脂質;60.0mg)。
(v) ボルッテクスを20秒程行い、37℃、1時間撹拌した。
(vi) アズワン製 VS-100III 出力28Khz60秒、45KHz60秒、100KHz3秒サイクルでトータル90分超音波処理を行った。
(vii) 攪拌式セル8000シリーズ10mLセル:MMODEL8010 5121 メルク社製、 バイオマックスPBMK02510 メルク社製 スタート時6mL 回収時4mLで、1.5倍濃縮した。薬剤内包量が低かった為限外濾過(分画分子量:300,000Da)により外水相10mM リン酸緩衝液(pH7.4)に置換し、未内包化合物(B)を除去した。
その結果、以下の表12の特性を有するリポソーム製剤を得た。図13にこれらの平均粒子径分布図を示す。
以上の結果より、PEG処理化合物(B)内包リポソームが作製できた。
(2) 製剤22の透過型電子顕微鏡撮像を図14に示す。
(3) 化合物(B)の定量法確認
(吸収スペクトルの確認方法)
(i) 化合物(B)を20mg/mLになるように10mM リン酸緩衝液(pH8.0)を添加し、溶解した。
(ii) (i)を精製水で等倍4段階希釈した。
(iii) 各濃度のサンプルをクロロホルム/メタノール(1/1, v/v)溶液で10倍希釈し、UV2700を用いて吸光度220〜700nmの吸収スペクトルを測定した。
化合物(B)の吸収スペクトルの測定を行ったところ、最大吸収波長が285nmであった。化合物(B)の定量は、吸光度法(吸光度:285nm)で測定できることを確認した。図15にUV吸収スペクトル変化を示す。
9.バンガム法によるPEG処理化化合物(C)内包ステルス性リポソームの作製
(1)リポソーム作製方法
(i) HSPC;60.0mg、Cholesterol;12.0mg、MPEG2000-DSPE ;12.0mgをナスフラスコニ秤量し、クロロホルム/メタノール(1/1, v/v)溶液を脂質濃度30mg/mLになるように添加し、37℃、撹拌溶解した。
(ii) 窒素封入下、エバポレーターで溶媒留去し、真空乾燥した。
(iii) 化合物(C)を20mg/mLになるようにDMSOで溶解し、化合物(C)が10mg/mLになるように10mM リン酸緩衝液(pH8.0)を添加した。
(iv) 脂質フィルムに化合物(C)溶液を1/10(Drug/Lipid w/w%)になるように添加し、37℃、1時間撹拌した(化合物(C):6.0mg、脂質:60.0mg)。
(v)アズワン製 VS-100III 出力28Khz60秒、45KHz60秒、100KHz3秒サイクルでトータル90分、超音波処理を行った。
(vi) 攪拌式セル8000シリーズ10mLセル:MMODEL8010 5121 メルク社製、及びバイオマックスPBMK02510 メルク社製にて、限外濾過(分画分子量:300,000Da)により外水相10mM リン酸緩衝液(pH7.4)に置換し、未内包化合物(C)を除去した。
(2)その結果、表13の特性を有するリポソームを得た。図16に平均粒子径分布図を示す。
以上の結果より、PEG処理化合物(C)内包リポソームの作製ができた。
(3)図17に、製剤23の透過型電子顕微鏡撮像を示す。
(4) 化合物(C)の定量法確認
(吸収スペクトルの確認方法)
(i) 化合物(C)を20mg/mLになるようにDMSOを添加し、溶解した。
(ii) 等量の10mM リン酸緩衝液(pH8.0)を(i)に添加し、化合物(C)濃度10mg/mLの50% DMSO溶液を作製した。
(iii) (ii)を精製水で等倍3段階希釈した。
(vi) 各濃度のサンプルをクロロホルム/メタノール(1/1, v/v)溶液で10倍希釈し、UV2700を用いて吸光度220〜700nmの吸収スペクトルを測定した。
化合物(C)について吸収スペクトルを測定したところ、吸収ピークが300nmと368nmであることが確認された。化合物(C)の定量は、吸光度法(波長:300nm)で行うことが確認できた。
図18に化合物(C)のUV吸収スペクトル変化を示した。
10.直接分散改良法による、化合物(A)(ONO-1301)のステルス性リポソーム製剤の作製。
1)作製法
(i)下記表14に2種の脂質および化合物(A)を採り、20gのt-ブタノールに70℃で溶解した。
(ii)溶解した(i)の液をドライアイス/アセトンにより瞬時に凍結。
(iii)凍結後、凍結乾燥機にて約17hr凍結乾燥。
(iv) 得られた粉体にPBS(-)440mLを加え、50℃の温浴およびソニケーターにより塊がなくなるまで分散。(この時点でONO-1301濃度2.5mg/mL)
(v)400nm孔径のポリカーボネートフィルターおよびドレンディスクを装着し、ジャケットに50℃温水を通水したエクストルーダーにより、約50kg/cm2にてサイジング。
(vi)(v)と同様に200nmフィルターでも3Passしてサイジングし、半透明なリポソーム液を得た。
2)限外濾過
PBS(-) (SIGMA D1408を10倍希釈)を用いて限外濾過(限外濾過膜:メルクミリポアPBMK04310、分画分子量:300,000Da)を行い、未内包化合物を除去した。
限外濾過は、メルク社、攪拌セル8000シリーズ Model8050 品番5122 を使用し、膜はメルク社 バイオマックス PBMK04310 300KDaを使用した。
濾過後、クリーンベンチ内で0.22μm フィルター滅菌濾過を行った。
3)特性確認
リポソーム液をPBS(-);ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(Ca, Mg不含)で限外濾過(分画分子量:300,000Da)を行い、限外濾過後サンプルとした。また、HPLCによりONO-1301の酸化物有無の確認を行った。
その結果、限外濾過前後において表15に示す通り、各種物性結果に大きな変化は確認されなかった。また、図19、図20に示す通り、粒度分布及びHPLC分析結果よりONO-1301分解物のピークは確認されなかった。化合物(A)の収率は、88%であった。
4)安定性試験
限外濾過後(製剤25)、PBS(-);ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(Ca, Mg不含)にて、4℃で9ヶ月間保存後、安定性を確認したところ、粒度分布、含有率、その他物性には変化がなく、安定であることが確認された。
5)分解物の確認(HPLC分析)
HLPC測定の結果、本製造条件下で、化合物(A)の分解物は存在しないことが確認された。
11.直接分散改良法による、化合物(B)、化合物(D)及び化合物(E)のステルス性リポソーム製剤の作製。
[リポソーム作製方法]
(i) DEPC (日本精化) 0.188gとMPEG2000-DSPE (日本精化) 0.012g及び化合物(B、D、又はE)0.01gをガラスバイアルに秤量した。
(ii) t-ブタノール 2.0gを(i)に添加、37℃加温下で撹拌溶解した。
(iii) エタノールドライアイスで瞬時に凍結した。
(iv) 凍結乾燥を17時間行った。
(v) 凍結乾燥後の脂質・化合物粉末にPBS(-)20mL(ダルベッコりん酸緩衝生理食塩水(Ca, Mg不含)を添加した。
(vi)軽くボルテックスを行った後、37℃加温下で超音波処理30分行った。
(vii) 37℃加温下、エクストルーダー処理を行った。装置はLIPEX Extruder 100mLを使用した。400nm孔径ポリカーボネートフィルターを1回処理後、200nm孔径ポリカーボネートフィルターを3回処理した。(処理圧力:約5MPa)
エクストルーダーは、Northern Lipid社製 LIPEX 100mL ThermoBarrel Extruder、
膜は GE社製 Nuclepore;400nmの品番111107 200nmの品番 111106を使用した。
(viii) PBS(-) (SIGMA D1408を10倍希釈)で限外濾過(限外濾過膜:メルクミリポアPBMK04310、分画分子量:300,000Da)を行い、未内包化合物を除去した。限外濾過廃液はリポソーム容量20mLの7倍の140mLまで行い最終20mLで回収した。
限外濾過は、メルク社、攪拌セル8000シリーズ Model8050 品番5122 を使用し、膜はメルク社 バイオマックス PBMK04310 300KDaを使用した。
攪拌セルにリポソーム溶液を入れ、装置をセットし、廃液が140mL出るところまで 窒素ガスのガス加圧(0.4MPa)によって送液した。
(ix) クリーンベンチ内で0.22μm フィルター滅菌濾過を行った。
(x) 物性試験を行った。物性試験として平均粒子径およびゼータ電位測定、脂質定量(和光純薬、リン脂質C-テストワコー)、吸光度(Abs 680nm)を測定した。
[試験結果]
(1)化合物(B)(製剤26)内包リポソーム 製造
化合物(B)内包リポソームは表16及び図21に示す通りの物性となった。図22に示す通り、化合物(B)内包リポソームのUV吸収スペクトルを確認したところ、化合物(B)由来のUV吸収が確認された。粒子径、PdI値及びゼータ電位は以下表16に示す特性を有するリポソームを得た。図21には、製剤26のリポソーム粒度分布を示す。
また、図22には、化合物(B)(ベリプラスト)及びその内包リポソームのUV吸収スペクトルを示す。
(2)化合物(D)(製剤27)内包ステルス性リポソームの製造
化合物(D)内包量は、UV定量にて0.249mg/mLとなった。また、粒子径、PdI値及びゼータ電位は以下表17に示す特性を有するリポソームを得た。図23には、製剤27のリポソーム粒度分布を示す。
図24に示す通り吸収スペクトルを確認したところ、233nmのUV吸収値にて定量性があることを確認した。図24には、化合物(D)(リマプロスト)及びその内包リポソームのUV吸収スペクトルを示す。
(3)化合物(E)(製剤28)内包ステルス性リポソームの製造
化合物(E)内包リポソームは表18及び図25に示す通りの物性となった。化合物(E)内包量は、UV定量にて0.305mg/mLとなった。また、粒子径、PdI値及びゼータ電位についても表に示す結果となった。図26に示す通り吸収スペクトルを確認したところ、300nmのUV吸収値にて定量性があることを確認した。
11.製剤21及び25の化合物(A)ステルス性リポソームを用いた各種薬効薬理試験
1)ラットモノクロタリン誘発肺高血圧症モデルに対する製剤21(ONO-1301Lipo)間歇静注投与での効果の検討
作製した製剤21(ONO-1301Lipo製剤)をラットモノクロタリン(MCT)誘発重症心不全(肺高血圧症)モデルに、MCT投与7日目から被験物質を週1回間歇で静脈内投与し、化合物(A)(ONO-1301)反復経口投与、化合物(A) の週1回間歇静注投与、及び陽性対照として、ET-1拮抗剤(ボセンタン)を経口投与した群と生存率を比較した。また、対照群は、静脈内投与にて週1回生理食塩水(媒体)を投与した。
使用動物は、ラット、 Slc:Wistar(雄性)、試験開始時週齢: 5週齢、入荷時体重: 66.4〜90.8 g、(日本エスエルシー株式会社)にて、モノクロタリン(以下、MCT)、Lot No.:SLBG1999V(Sigma-Aldrich Corporation)を60 mg//kgの用量で単回背部皮下投与し、MCT投与6日後に体重層別割付法で群分け(表19)した。
1群:MCT投与7、14、21、28および35日後(計5回)に1週間間隔で生理食塩液を静脈内投与した。
2群:MCT投与後7〜41日後まで、投与の間隔を8時間以上空けて、化合物(A) の3 mg/kgを2回/日、経口投与した。
3群:MCT投与7〜41日後まで、投与の間隔を8時間以上空けて、ボセンタンの50 mg/kgを2回/日、経口投与した。
4群:MCT投与7、14、21、28および35日後(計5回)に1週間間隔で製剤21(ONO-1301Lipo)の1 mg/kgを静脈内投与した。
5群:MCT投与7、14、21、28および35日後(計5回)に1週間間隔で化合物(A) の1 mg/kgを静脈内投与した。
その結果、生存率では、重症心不全モデル作製42日後までの1群、2群、及び4群の生存率の推移を図27、および42日後の全群の生存率を表20に示した。
1群は、MCTの60 mg/kg皮下投与により重症心不全モデル作製15日後に1例の死亡が観察された。その後、42日までに17例の死亡が観察され、最終生存率は10 %(生存数:2/20例)であった。
化合物(A) の3 mg/kgの2回/日、反復経口投与群(2群)は、重症心不全モデル作製14日後に1例の死亡が観察された。その後、42日までにさらに4例の死亡が観察され、最終生存率は50 %(生存数:5/10例)であり、対照群(1群)と比較して有意な延命効果が認められた(p<0.05)。
ボセンタンの50 mg/kgの2回/日、反復経口投与群(3群)は、重症心不全モデル作製20日後に1例の死亡が観察された。その後、42日までにさらに6例の死亡が観察され、最終生存率は30 %(生存数:3/10例)であり、対照群(1群)と比較して有意な延命効果は認められなかった。
陽性対照として用いたET-1拮抗剤であるボセンタンは肺高血圧治療剤として臨床的に使用されており、同ラットMCT誘発心不全モデルにおいて有効性を確認している(Circ J 2013; 77: 2127 - 2133)が、これらはMCT投与直後からの反復経口投与である。今回、(3群)MCT投与7日後からの投与においては、有意な延命効果は確認出来なかった。
製剤21(ONO-1301Lipo)の1 mg/kgの1回/週、間歇静脈内投与群(4群)は、重症心不全モデル作製27日後に1例の死亡が観察された。その後、42日までに4例の死亡が観察され、最終生存率は50 %(生存数:5/10例)であり、対照群(1群)と比較して有意な延命効果が認められた(p<0.05)。
化合物(A)の1 mg/kgの1回/週、間歇静脈内投与群(6群)は、重症心不全モデル作製28日後の投与約30分後に2例の死亡が観察された。その後、42日までに6例の死亡が観察され、最終生存率は20 %(生存数:2/10例)であり、対照群(1群)と比較して有意な延命効果は認められなかった。
MCT投与7日後から41日までの35日間に投与された動物あたりの化合物(A)の総被験物質量を求めた。
その結果、2群は210 mg/kg/animal(3 mg/kg×2回/日×35日)、3群は3500 mg/kg/animal(50 mg/kg×2回/日×35日)、4群〜5群は5 mg/kg/animal(1 mg/kg/週×5回)であった。4群は2群と比較し、5/210(1/42)投与量にて同等の効果を示した。
疾患部位特異的なDDSリポソーム製剤として、新規ONO-1301リポソーム製剤(製剤21;ONO-1301Lipo)を作製し、間歇静脈内投与により、より汎用性の高い疾患部位特異的(DDS)な重症心不全治療剤開発を目的とした治療法の開発を検討した。
製剤21の間歇静脈内投与によりMCT誘発重症心不全モデルでの生存率を比較検討することにより、DDS効果を確認した。
陽性対照物質として用いたET-1拮抗剤であるボセンタンは肺高血圧治療剤として臨床的に使用されており、MCT誘発心不全モデルにおいて有効性を確認しているが、これらはMCT投与直後からの反復経口投与である。今回、MCT投与7日後からの治療投与においては、有意な延命効果が確認出来なかった。一方、化合物(A) の3 mg/kg(2群)の1日2回反復投与での最終生存率は50 %であり、対照群(1群)と比較して有意な延命効果が確認された。また、製剤21(ONO-1301Lipo)の1 mg/kg(4群)も週1回の間歇静脈内投与においても、最終生存率は50 %であり、化合物(A) (2群)と同等の延命効果を示した。
製剤21の1 mg/kg/週間歇静脈内投与(4群)は化合物(A) の3 mg/kgの2回/日、反復経口投与(2群)と比較し、総投与量として1/42投与量において、同等な延命効果を示すことにより、リポソーム製剤でのDDS効果が確認された。
一方、ONO-1301原薬(5群)の1 mg/kg/週間歇静脈内投与群は効果を示さなかった(表20)。
以上の結果より、重症心不全モデルに対して心不全発症後(MCT投与7日後)からの投与において化合物(A) (ONO-1301)反復経口投与および製剤21の間歇静脈内投与は治療的な投与により有意な延命効果を示した。また、総投与量として1/42投与量において、同等な延命効果を示すことにより、ステルス型リポソーム製剤でのDDS効果が確認された。
2)製剤25(ONO-1301Lipo)のマウスBLM肺線維症モデルに対する各種投与法でのDDS効果の検討
1.方法;
マウス(C57BL/6NCr)、雌性(7週齢)にペントバルビタールナトリウム麻酔後、ブレオマイシン塩酸塩水溶液(BLM)20 μLを2回、計40 μL/animalを気管内(肺内)投与した。なお、正常群(Normal)として同様に媒体(生理食塩液)を気管内投与した。
BLM投与6日後から、28日まで被験物質を投与し、生存率を比較した。被験物質として、化合物(A)(ONO-1301)の1日2回反復経口投与、化合物(A)(ONO-1301)の週1回静脈内投与、及び週1回の気管内投与を行った。また、製剤25(ONO-1301Lipo)の週1回静脈内投与、及び週1回の気管内投与を行い、生存率の比較から、製剤25(ONO-1301Lipo)のDDS効果を検討した。
2.試験群構成を表21に示した。
3.被験物質投与
1)経口投与:媒体(0.5% CMC-Na水溶液)及び化合物(A)の投与(1、2群)
肺障害モデル作製6日後より媒体及び化合物(A)(3 mg/kg)を1日2回(午前と午後の投与間隔は8時間以上空けた)、23日間反復経口投与を行った。
投与容量:5 mL/kg×2回/日
投与方法:ポリプロピレン製ディスポーザブル注射筒及びマウス用胃ゾンデを用いて強制経口投与した。
2)静脈内投与:化合物(A)及び製剤25の投与(3、4、5群)
肺障害モデル作製6日後に投与し、その後は週1回の割合で尾静脈内投与を行った(モデル作製6、13、20、27又は28日後の計4回)。
投与容量:1.5 mL/kg
投与方法:ガラス製注射筒及びディスポーザブル注射針30Gを用いて静脈内投与した。
3)気管内投与 :化合物(A)及び製剤25の投与(6、7、8、9群)
肺障害モデル作製6日後に投与し、その後は週1回の割合で気管内投与を行った(モデル作製6、13、20、27又は28日後の計4回)。なお、正常の9群(Normal)は生理食塩液を同様に投与した。
投与容量:0.5 mL/kg
投与方法:ペントバルビタール(30〜35 mg/kg、i.p.)麻酔後、気管内(肺内)投与した。
4.結果
1)生存率の結果を図28〜30に示した。
正常群では、死亡は認められなかった。一方、肺障害モデルの媒体の経口投与群では、生存率30 %を示した。化合物(A)の3 mg/kg経口投与群では、生存率60 %であり、媒体投与群と比較して生存率延長が認められた。化合物(A)の3 mg/kg静脈内投与群では、生存率40 %であった。製剤25の1 mg/kg及び製剤25の3 mg/kg静脈内投与群では、両群ともに生存率50 %を示した。化合物(A)の1 mg/kg気管内投与群では、生存率20 %であり、製剤25の0.3 mg/kg及び製剤25の1 mg/kg気管投与群では、生存率50 %及び40 %を示し、媒体投与群又は化合物(A)の1 mg/kg気管内投与群と比較して高い生存率を示した。
2)生存率の比較
(1)図29;製剤25(ONO-1301Lipo)の間歇静脈内投与との比較
2群の化合物(A)(ONO-1301)(3 mg/kg×2回×22日)の総投与量は132 mg/kgであった。
また、化合物(A)(ONO-1301)の3 mg/kg週1回静脈内投与(3群)での総投与量は12 mg/kgであり、製剤25の1 mg/kg週1回静脈内投与(4群)での総投与量は4 mg/kgであった。また、製剤25の3 mg/kg週1回静脈内投与(5群)での総投与量は12 mg/kgであった。
媒体群(1群)での生存率は30 %であった。化合物(A)(ONO-1301)経口投与群(2群;60 %)に比し、4群(2群の総投与量に比し1/33の投与量)及び5群(2群の総投与量比し1/11の投与量)では、生存率は同値であり、2群に比し僅かに低い生存率(50 %)を示した。一方、化合物(A)(ONO-1301)原薬での3 mg/kg週1回静脈内投与(5群)では、2群に比し1/11投与量では、さらに低い生存率(40 %)を示した。
これらの結果より、肺障害モデルにおける製剤25の週1回の静脈内投与(4群、5群)は、化合物(A)(ONO-1301)原薬の週1回静脈内投与(3群)に比し、生存率の延長作用を示し、化合物(A)(ONO-1301)原薬の1日2回反復経口投与(2群)に比し、総投与量;1/11〜1/33の低用量であるにも係らず、わずかに低い生存率を示したことから、製剤25の静脈内投与は、肺疾患部位特異的にDDS効果を示していることが示唆された。
(2)図30;製剤25(ONO-1301Lipo)の間歇気管内投与との比較
2群の化合物(A)(ONO-1301)(3 mg/kg×2回×22日)の総投与量は132 mg/kgであった。
また、化合物(A)(ONO-1301)の1 mg/kg週1回気管内投与(6群)での総投与量は4 mg/kgであり、製剤25の0.3 mg/kg週1回気管内投与(7群)での総投与量は1.2 mg/kgであった。また、製剤25の1 mg/kg週1回気管内投与(8群)での総投与量は4 mg/kgであった。
媒体投与群(1群)での生存率は30 %であった。化合物(A)(ONO-1301)経口投与群(2群;60 %)に比し、7群(2群の総投与量に比し1/110の投与量)、及び8群(2群の総投与量比し1/33の投与量)では生存率は各々50 %及び40 %を示した。
一方、化合物(A)(ONO-1301)原薬での1 mg/kg週1回静脈内投与(6群)では、2群に比し1/33投与量では、更に低い生存率(20 %)を示した。
これらの結果より、肺障害モデルにおける製剤25の週1回の気管内投与(7群、8群)は、化合物(A)(ONO-1301)原薬の週1回気管内投与(6群)に比し、生存率の延長作用を示し、化合物(A)(ONO-1301)原薬の1日2回反復経口投与群(2群)に比し、総投与量;1/110〜1/33の低用量であるにも係らず、わずかに低い生存率を示したことから、製剤25の気管内投与は、肺疾患部位特異的にDDS効果を示していることが示唆された。また、製剤25の0.3 mg/kg週1回気管内投与は、製剤25の1 mg/kg及び3 mg/kg週1回静脈内投与と同じ生存率(50 %)を示したことにより、気管内投与は、静脈内投与に比しDDS効果がより大きいことが示唆された。
これらの結果より、マウスブレオマイシン誘発肺障害モデルを用いてブレオマイシン投与6日目から製剤25の週1回の間歇静脈内投与群(4、5群)及び同間歇気管内投与群(7、8群)での生存率を媒体投与群(1群)と比較検討した。尚、陽性対照として、化合物(A)(ONO-1301)の1日2回反復経口投与群(2群)を設けた。また、化合物(A)(ONO-1301)の週1回の間歇静脈内投与群(3群)及び同間歇気管内投与群(6群)を設定し、ONO-1301リポソーム製剤のDDS効果を比較検討した。
試験おいて、ブレオマイシン投与6日目から化合物(A)(ONO-1301)の3 mg/kg 1日2回反復経口投与群では、生存率の延長を示したことにより、治療効果が有ることが示唆された。
製剤25の週1回の静脈内投与(4群、5群)は、化合物(A)(ONO-1301)原薬の週1回静脈内投与群(3群)に比し、生存率の延長作用を示し、化合物(A)(ONO-1301)原薬の1日2回反復経口投与群(2群)に比し、総投与量1/11〜1/33の低用量であるにも係らず、わずかに低い生存率を示したことから、製剤25の静脈内投与は、肺疾患部位特異的にDDS効果を示していることが示唆された。
製剤25の週1回の気管内投与群(7群、8群)は、化合物(A)(ONO-1301)原薬の週1回気管内投与群(6群)に比し、生存率の延長効果を示し、化合物(A)(ONO-1301)原薬の1日2回反復経口投与群(2群)に比し、総投与量1/110〜1/33の低用量であるにも係らず、わずかに低い生存率を示したことから、製剤25の気管内投与は、肺疾患部位特異的にDDS効果を示していることが示唆された。また、製剤25の0.3 mg/kg週1回気管内投与は、製剤25の1 mg/kg及び3 mg/kg週1回静脈内投与と同じ生存率(50 %)を示したことにより、気管内投与は、静注投与より10倍程度、DDS効果が大きいことが示唆された。
3)自然発症拡張型心筋症(J2N-k)ハムスターにおける製剤25(ONO-1301Lipo)効果の検討
(1)試験系
製剤25、及び化合物(A)(ONO-1301)の2週間に1回間歇静注投与における自然発症拡張型心筋症(J2N-k)ハムスターモデルのDDS心機能の改善を心エコー検査による左室駆出率(以後,EF%),左室内径短縮率(以後,%FS)および組織学的評価を指標に比較検討した.
また、陽性対照として、化合物(A)(ONO-1301)の1日2回反復経口投与群を設けた。
被験物質として、製剤25を生理食塩水により懸濁希釈して使用した。また、対照の化合物(A)(ONO-1301)は等量のNaOH水て溶解させ、生理食塩水にて希釈して使用した。化合物(A)(ONO-1301)経口投与群は0.5% CMC-Na水溶液にて懸濁投与した。
また、自然発症拡張型心筋症(J2N-k)ハムスターは、雄性、投与開始時週齢;20週齢;(日本SLC)を用い、8週間被験物質を投与し、比較検討した。
(2)群構成を表22に示す。
※:化合物(A)(ONO-1301)としての投与量。 投与液量:5mL/kg
(3) 心エコー検査
18週齢にて入荷した動物を2週間の検疫・馴化飼育期間を設け,20週齢目に群分け時の検査(試験開始日)を実施した.その後,試験開始日より4週目および8週目に検査を行い、8週目にて解剖を行った.
(4)解剖 および摘出組織の処理
投与開始日より8週目に最終の心エコー検査実施後,解剖を行った.
解剖は,イソフルラン麻酔下に腹部大動脈より全採血し,安楽死させた後,心臓および肺を摘出し,重量を測定した.重量測定後,左室および右室を含めて,短軸方向で約2mm間隔でApical部,Midole部およびBasal部に3分割した.
3分割した組織は,Midle部の右室と左室を含む短軸切片を4%パラホルムアルデヒド(一般病理検査用)に浸漬し保存した.
(5)摘出心臓の短軸切片における左室壁厚および面積の測定
心臓摘出時に左室および右室を含めて,短軸方向で約2mm間隔でApical部,Midole部およびBasal部に3分割した.その内,Midle部の1切片に対し,写真撮像し,画像編集ソフトを用いAnterior,Lateral,Posterior,Septum部の壁厚および左室面積を求めた.左室の壁厚は,画像編集ソフトを用い,写真上のスケール1mm2のピクセル数を求め,左室壁全体を外径および内径をトレースし,それぞれのピクセル数を出し,左室面積((外形ピクセル数−内径ピクセル数)/1mm2)を求めた後,各部位の壁厚を測定した.
図31に測定法を記す。切片は、Apical, Middle, Basal領域を約2mm間隔で3分割した後、Middle側の1切片に対し、Anterior, Lateral, Posterior, Septum部の壁厚および左室面積を求めた。左室の壁厚は、画像編集ソフトを用い、写真上のスケール1mm2のピクセル数を求め、左室壁全体を外径および内径をトレースし、それぞれのピクセル数を出し、左室壁面積((外形ピクセル数−内径ピクセル数)/1mm2)を求めた後、各部位の壁厚を測定した。
(6) 試験結果
心エコー検査によるEF%値および%FS値の測定結果を、表23に示す.
心エコー検査は,群分け時,投与開始4週目および8週目に実施した.測定は,各個体3回実施し、測定データの平均値を測定結果とした.
Control群(1群)は,群分け時,4週目および8週目のEF%値は,それぞれ42.5±3.2%,33.6±12.3%および31.5±3.5%であった.8週目のEF%値において,群わけ時のEF%値と比較して,p<0.05の有意な低下が認められた.また,%FS値では,群分け時,4週目および8週目の値は,それぞれ17.8±1.4%,13.3±6.1%および12.6±1.6%であり,EF%値と同様,8週目のEF%値において,群わけ時の%FS値と比較して,有意な低下(p<0.01)が認められた.
化合物(A)(ONO-1301): 3.0mg/kgx2回/日の反復経口投与群(4群)は,群分け時,4週目および8週目のEF%値は,それぞれ43.0±7.8%,40.4±14.9%および40.3±9.2%であり,群分け時に比較して,4週目,8週目の数値において,有意な心機能の低下は認められなかった.8週目のEF%値はControl群のそれと比較して,高値を示し,有意差(p<0.05)な効果が認められた.また,%FS値では,群分け時,4週目および8週目の値は,それぞれ18.2±3.9%,17.2±7.2%および17.1±4.5%を示し,EF%値と同様の結果を示した.
化合物(A)(ONO-1301): 3.0mg/kgの静脈内投与群(3群)は,群分け時,4週目および8週目のEF%値は,それぞれ38.8±4.3%,35.7±7.4%および30.8±2.9%であった.この結果は,Control群と比較し,4週目の低下は緩徐であったが,8週目の結果では,Control群と同程度の低下を認めた.この8週目のEF%値は,群分け時の値に比較し,有意な低下(p<0.01)であった.また,%FS値では,群分け時,4週目および8週目の値は,それぞれ16.0±2.1%,16.1±3.1%および12.3±1.3%であった.この結果は,EF%値とほぼ同様の結果を示したことから,有効性は確認できなかった.
一方,製剤25(ONO-1301Lipo):3.0mg/kgの静脈内投与群(2群)では,群分け時,4週目および8週目のEF%値は,それぞれ40.5±5.1%,44.5±9.9%および39.6±4.1%であった.4週目において有意差は認められなかったが,軽度の増加を示し,8週目においては,化合物(A)(ONO-1301): 3.0mg/kgの経口投与群のそれと比較して,同程度の低下抑制が認められ,Control群と比較して有意(p<0.05)な高値を示した.また,%FS値では,群分け時,4週目および8週目の値は,それぞれ16.9±2.6%,18.5±4.9%および16.5±2.1%を示し,EF%値の変動とほぼ同様の結果を示し,8週目の結果においてContol群(1群)のそれと比較し,有意(p<0.01)な効果が認められ,その効果は,化合物(A)(ONO-1301)反復経口投与群(4群)とほぼ同等であった.
2.摘出心臓の壁厚測定結果(Midle部短軸切片での評価)
壁厚測定結果を表24に示す.
表24に示すごとく,Control群(1群)のMidle部切片のApical,Lateral,PosteriorおよびSeptumの壁厚は,それぞれ0.8±0.1mm,1.1±0.2mm,1.1±0.2mmおよび1.0±0.2mmであった.
化合物(A)(ONO-1301): 3.0mg/kgの経口投与群(4群)では,Midle部切片のApical,Lateral,
PosteriorおよびSeptumの壁厚は,それぞれ1.4±0.5mm,1.5±0.2mm,1.2±0.4mmおよび1.5±0.3mmであった.Apical,LateralおよびSeptumにおいては,Control群のそれと比較し,有意(p<0.05)な高値を示した.
化合物(A)(ONO-1301): 3.0mg/kgの静脈内投与群(3群)では,1.1±0.6mm,1.2±0.3mm,1.2±0.2mmおよび1.0±0.3mmであった.この結果は,Control群とほぼ同様の測定結果であった.
一方,製剤25(ONO-1301Lipo):3.0mg/kgの静脈内投与群(2群)では,1.7±0.4mm** 1.5±0.1mm* 1.5±0.6mm1.2±0.3mmであった. この結果はControl群のそれと比較して,Apical(p<0.01),Lateral(p<0.05)およびPosterior(0.05<p<0.1)において有意な高値および高値を示す傾向が認められた.
3.摘出心臓の左室壁面積測定結果(Midle部短軸切片での評価)
左室面積測定結果を表25に示す.
表25に示すごとく,Control群(1群),化合物(A)(ONO-1301): 3.0mg/kg経口投与群(4群),化合物(A)(ONO-1301): 3.0mg/kg静脈内投与群(3群)および製剤25(ONO-1301Lipo):3.0mg/kg静脈内投与群(2群)の左室壁面積の測定結果は,それぞれ23.4±5.4mm2,26.4±4.3mm2,23.9±4.5mm2および29.5±6.4mm2であった.この測定結果は,有意差は認められなかったが,壁厚測定結果を反映して,Control群(1群)および化合物(A)(ONO-1301): 3.0mg/kg静脈内投与群(3群)で低値を,化合物(A)(ONO-1301): 3.0mg/kg経口投与群(4群)および製剤25(ONO-1301Lipo):3.0mg/kg静脈内投与群(4群)で高値を示す傾向が認められた.
以上のごとく,自然発症拡張型心筋症(J2N-k)ハムスターを用い製剤25(ONO-1301Lipo)の心機能改善効果の検討を行った。試験は,病態発症後、心機能の低下が顕著に現れる20週齢より開始し28週目まで被験物質を投与し、心機能変化を検討した。
心エコー測定によるEF%および%FSを指標とした心機能評価では,Control群(1群)および化合物(A)(ONO-1301): 3.0mg/kg静脈内投与群(3群)に比較し,化合物(A)(ONO-1301): 3.0mg/kgx2回/日の反復経口投与群(4群)、および群分け時,2週目,4週目,6週目の計4回,静脈内投与を間歇投与した製剤25(ONO-1301Lipo):3.0mg/kg群(2群)で,心機能低下の抑制効果が認められた. この結果は,左室のWall Thicknessの測定結果におけるControl群(1群)および化合物(A)(ONO-1301): 3.0mg/kg静脈内投与群(3群)で菲薄化が進んだと思われる低値を示し,化合物(A)(ONO-1301):3.0mg/kgの反復経口投与群(4群)および製剤25(ONO-1301Lipo):3.0mg/kg群(2群)では,Control群(1群)および化合物(A)(ONO-1301): 3.0mg/kg静脈内投与群(3群)に比較して,高値を示し,菲薄化の進行を抑制していることが示唆された.その事が心エコー測定によるEF%値および%FS値の結果を反映していると考えられた.
以上のことから,化合物(A)(ONO-1301): 3.0mg/kgの1日2回、反復経口投与群(4群)および製剤25(ONO-1301LipoNS):3.0mg/kgの2週に1回、間歇静注投与群(2群)において,自然発症拡張型心筋症(J2N-k)ハムスターにおける心機能の低下を抑制することが示唆された.
尚,化合物(A)(ONO-1301)反復経口投与は,3mg/kgx2回x56日で総投与量は計336mg/kgであった.また,製剤25(ONO-1301Lipo)静注投与は,3mg/kgx4回で総投与量は計12mg/kgで同等の有効性を示した.また、化合物(A)(ONO-1301)の2週間に1回、3mg/kg間歇静注投与では効果を示さなかった。よって,製剤25(ONO-1301Lipo)の2週間に1回、間歇静注投与は,化合物(A)(ONO-1301)反復経口投与に比し,1/28投与にて同等の効果を認めたことから,製剤25(ONO-1301Lipo)静注投与のDDS効果が確認された.
表26、および表27には、群分け時及び解剖時の体重変化、及び解剖時の心臓重量および肺重量を示した。これらはいずれも変化は認められなかった。
4)ラット冠動脈完全結紮による虚血モデルに対する製剤25(ONO-1301LipoNS)の単回静脈内投与における効果の検討
製剤25(ONO-1301Lipo)、及び化合物(A)(ONO-1301)の間歇静脈内投与における虚血性心疾患に対する心機能の改善および心不全に伴う致死防御効果を心エコー検査による左室駆出率(以後,EF%),左室内径短縮率(以後,%FS)および病理学的評価を指標に検討した.
(1)心筋虚血モデルの作製
雄性Sprague-Dawley 系ラット(日本クレア;入手時6週齢)をミダゾラム(ドルミカム注射液10mg;astellas)0.5mg/kgとキシラジン(セラクタール2%注射液;バイエル薬品(株))2mg/kgの混液にて麻酔を施した後,尾静脈動物を確保し,フ゜ロホ゜フォール(1%テ゛ィフ゜リハ゛ン注;アストラゼネカ(株))6〜10mg/kg/hrをシリンシ゛ホ゜ンフ゜(テルフューシ゛ョンTE-3310N;テルモ)を用いて持続注入し、深麻酔維持する.次いで、気管カニューレ(外径2.0mmカットダウンカテーテル;JMS製)を挿管・留置し,人工呼吸器(小動物用;シナノ製作所)を連結させ、Stroke volume 1mL/100g/Stroke(±1mL), Stroke数70回/min(±10回)で呼吸を維持させた。その後,左胸部を上方に向くように背位固定から横臥位に固定し、第3〜4もしくは第4〜5肋間の表皮ならびに筋肉層を外科用尖刀で切開した. そして、胸腔内に達したことを確認し、開胸器を用いて肋間を広げ左心耳から前下行枝部(以後,LAD)が正面に直視できる状態を確保した.
その後、半透明の薄い心膜をピンセットで除去し,心筋を露出させた。その後、マイクロ持針器にて左心耳辺縁に位置するLADを6-0もしくは7-0針付きナイロン糸で2〜3mmの深さで刺入・確保し,LADを完全結紮した。 その後,筋肉層および表皮を4−0もしくは5−0ナイロン糸にて縫合・閉胸する.閉胸後,処置部にセファメジン50mgを皮下投与し,処置を終了した.
(2) 群構成を表28に示す。
(3)心エコー検査
心エコー検査は,左室駆出率(以後,EF%)を指標に被験物質における心機能の改善効果を確認する目的で実施した.
検査は,モデル作製後23時間後(群わけのための検査)に行い,EF%値が正常動物の25%以上低下した動物を選択し,群分けを行い、被験物質投与溶液は,モデル作製後24時間後に尾静脈内投与を行った。以後,被験物質投与後7日および14日後に心エコー検査を行った.
(4) 解剖 および摘出組織の処理
被験物質投与後14日目の心エコー検査終了後に解剖を行った。解剖は,イソフルラン麻酔下に腹部大動脈より全採血し,安楽死させた後,心臓を摘出し,心重量を測定した。心重量測定後,梗塞領域を左室および右室を含めて,短軸に3分割した。
(5)試験結果
(1)心エコー検査によるEF%値の測定結果
心エコー検査結果を表29および表30に示す.
表29に示すごとく,正常動物におけるEF%値は,85.0±1.9%(n=4)であった.各群のLAD完全結紮23時間後の被験物質投与前EF%値は,Control群で52.8±6.8%(n=5)で,製剤25(ONO-1301Lipo)の0.3mg/kg,1.0 mg/kgおよび3.0mg/kg投与群では,それぞれ55.1±2.4%(n=5),55.0±4.1%(n=5)および54.7±5.2%(n=5)であった.また,化合物(A)(ONO-1301)の3mg/kg投与群は,56.7±5.5%(n=5)であった.
正常動物のEF%値に対する各群の被験物質投与前EF%値は,全ての群で有意(p<0.01)な低下を示し,各群間差において,有意差は認められなかった.
表29に示すごとく,各群の投与後7日目および14日目のEF%値の変化は,Control群では,投与前EF%値52.8±6.8%(n=5)に対し,それぞれ48.9±4.0%および39.0±5.2%と経日的に低下を示し,2週間後のEF%値では,投与前値と比較して有意(p< 0.05)低下を示した.
一方,製剤25(ONO-1301LipoNS)では,0.3mg/kg投与群で投与前EF%値55.1± 2.4%(n=5)に対し,それぞれ50.7±6.2%および42.0±6.2%と,Control群と同程度の変化を示し,14日目のEF%値においてもControl群と同様,投与前値と比較して有意(p< 0.05)低下を示した.
1.0mg/kg投与群では,投与前EF%値55.0±4.1%(n=5)に対し,それぞれ53.6±7.5%および54.7±8.2%と,投与前EF%値と同程度であった.14日目の EF%値はControl群のそれと比較して,p<0.05)の有意な増加を示した.
3.0mg/kg投与群では,投与前EF%値54.7±5.2%(n=5)に対し,それぞれ62.4±8.7%および58.2±13.2%と,投与前EF%値と比較して投与後7日目をピークとして増加を示し,心機能の改善効果が認められた.その被験物質投与後7日目および14日目のEF%値はControl群のそれと比較して,それぞれp<0.05)およびp<0.01の有意な低下抑制を示した.
また,化合物(A)(ONO-1301)の3.0mg/kg投与群では,投与前EF%値56.7±5.5% (n=5)に対し,それぞれ54.6±8.8%および53.2±7.1%と,投与前EF%値と比較して,低下傾向を示したが,有意な差は認められなかった.しかしながら,Control群の7日目および14日目と比較した結果,ともに有意差は認められなかった.
4.心エコー検査による %FS値の測定結果
表29に示すごとく,正常動物における%FS値は,49.4±2.4%(n=4)であった.各群のLAD完全結紮後約23時間の被験物質投与前%FS値は,Control群で23.9±3.7%(n=5)で,製剤25(ONO-1301Lipo)の0.3mg/kg,1.0 mg/kgおよび3.0mg/kg投与群では,それぞれ25.0±1.7%(n=5),25.8±2.4%(n=5)および25.0±3.0%(n=5)であった.また,化合物(A)(ONO-1301)の3mg/kg投与群は,26.5±3.7%(n=5)であった.通常,%FS値は臨床上では28%以上が正常と言われており,全群で軽度ではあるものの,それを下回っていた.
正常動物のEF%値に対する各群の被験物質投与前%FS値は,全ての群で有意(p<0.01)な低下を示し,各群間差において,有意差は認められなかった.
表30に示すごとく,各群の投与後7日目および14日目の%FS値の変化は,Control群では,投与前 %FS値23.9±3.7%(n=5)に対し,それぞれ21.8± 2.2%および16.7±2.7%と経日的に低下を示し,2週間後の%FS値では,EF%値と同様に投与前値と比較してp< 0.05の有意な低下を示した.
一方,製剤25(ONO-1301Lipo)では,0.3mg/kg投与群で投与前 %FS値25.0±1.7%(n=5)に対し,それぞれ22.9±3.4%および18.4±3.2%と,Control群と同程度の変化を示し,14日目の%FS値においてもControl群と同様,投与前値と比較して有意(p< 0.05)低下を示した.
1.0mg/kg投与群では,投与前%FS値25.8±2.4%(n=5)に対し,それぞれ24.8±4.2%および25.4±5.0%と,投与前FS%値と同程度であった.
3.0mg/kg投与群では,投与前%FS値25.0±3.0%(n=5)に対し,それぞれ30.1±5.4%および27.9±8.5%と,投与前 %FS値と比較して投与後7日目をピークとして増加を示した.その被験物質投与後7日目および14日目の %FS値はControl群のそれと比較して,ともにp<0.05)の有意な増加を示した.
また,化合物(A)(ONO-1301)の3.0mg/kg投与群では,投与前 %FS値26.5±3.7% (n=5)に対し,それぞれ25.4±5.6%および24.5±4.4%と,投与前 %FS値と比較して,低下傾向を示したが,有意な差は認められなかった.しかしながら,Control群の7日目および14日目と比較した結果,ともに有意差は認められなかった.
以上のごとく,心機能評価の指標である,EF%値および %FS値は各群で相関した測定結果が認められ,製剤25(ONO-1301LipoNS)の1.0mg/kgおよび3.0mg/kgの単回静脈内投与により,心機能の改善効果のある事が認められた.
梗塞面積評価法
切片は,Apical部を除き,Midle領域を約 2mm間隔で 2 分割した後,Apical側とBasals側の2切片に対し,梗塞面積を求めた.梗塞面積評価は,左室面積全体に対する梗塞領域の割合および左室外径に対する正常領域と梗塞領域の長さの比率で評価した.
梗塞面積評価法を図32に示す。切片は、Apical部を除き、Middle領域を約2mm間隔で2分割した後、Apical側とBasal側の2切片に対し、梗塞面積を求めた。梗塞面積評価は、左室壁面積全体に対する梗塞壁領域の割合および左室外径に対する正常領域と梗塞領域の長さの比率で評価した。
その結果、製剤25の3mg/kg投与群において、有意に左室面積全体に対する梗塞面積比、及び左室外径領域における梗塞領域比が有意に低下していた(表32、表33)。
これらの結果から、製剤25は、梗塞面積の低下を示し、効果を発揮していることが確認された。一方、化合物(A)(ONO-1301)の3mg/kgでは効果を示さなかったことから、製剤25はDDS効果を示すことが示唆された。
製剤25(ONO-1301Lipo)単回静脈内投与により、ラット心臓虚血モデルの病態発症を用量相関的に抑制し、製剤25;3mg/kg投与では、Preに比し改善効果を示した。一方、化合物(A)(ONO-1301)原薬の3mg/kg単回静脈内投与は、製剤25の1mg/kgと同様の抑制効果を示したが、梗塞面積の抑制効果は認められなかった。
これらの結果から、製剤25はDDS効果を示すことが確認された。

Claims (13)

  1. プロスタグランジンI2受容体作動薬を封入するステルス型リポソームを含有する疾患部位特異的治療用医薬組成物。
  2. 前記プロスタグランジンI2受容体作動薬として、下記一般式(I)の化合物またはその塩を少なくとも含む、請求項1に記載の医薬組成物
    (式中、
    は、水素原子またはC1〜4アルキル基を表わし、
    は、(i)水素原子、(ii)C1〜8アルキル基、(iii)フェニル基またはC4〜7シクロアルキル基、(iv)窒素原子1個を含む4〜7員単環、(v)ベンゼン環またはC4〜7シクロアルキル基で置換されているC1〜4アルキル基、または(vi)窒素原子1個を含む4〜7員単環で置換されているC1〜4アルキル基を表わし、
    は、(i)C1〜8アルキル基、(ii)フェニル基またはC4〜7シクロアルキル基、(iii)窒素原子1個を含む4〜7員単環、(iv)ベンゼン環またはC4〜7シクロアルキル基で置換されているC1〜4アルキル基、または(v)窒素原子1個を含む4〜7員単環で置換されているC1〜4アルキル基を表わし、
    eは、3〜5の整数を表わし、
    fは、1〜3の整数を表わし、
    pは、1〜4の整数を表わし、
    qは、1または2を表わし、
    rは、1〜3の整数を表わす
    (ただし、
    が前記(iii)または前記(iv)で示される基である場合には、
    −(CH)p−および=CH−(CH−は、環上のaまたはbの位置に結合し、かつ
    およびR中の環構造は、1〜3個のC1〜4アルキル基、C1〜4アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基またはトリハロメチル基で置換されていてもよい)。
  3. 前記プロスタグランジンI2受容体作動薬として、以下の化合物(A)またはその塩を少なくとも含む、請求項1記載の医薬組成物:
    (A)下記式(II)
    で示される({5−[2−({[(1E)−フェニル(ピリジン−3−イル)メチレン]アミノ}オキシ)エチル]−7,8−ジヒドロナフタレン−1−イル}オキシ)酢酸(ONO−1301)。
  4. プロスタグランジンI2受容体作動薬として、以下の化合物(B)〜化合物(E)のいずれか一種またはその塩を少なくとも含む、請求項1記載の医薬組成物:
    (B)(±)−(1R,2R,3aS,8bS)−2,3,3a,8b−テトラヒドロ−2−ヒドロキシ−1−[(E)−(3S,4RS)−3−ヒドロキシ−4−メチル−1−オクテン−6−イニル]−1H−シクロペンタ[b]ベンゾフラン−5−ブタン酸ナトリウム塩(ベラプロスト)、又はその誘導体であるカルバサイクリン系PGI2誘導体、
    (C)[4−[(5,6−ジフェニルピラジニル)(1−メチレチル)アミノ]ブトキシ]−酢酸(MRE−269)、
    (D)(2E)‐7‐{(1R,2R,3R)‐3‐ハイドロキシ‐2‐[(1E ,3S ,5S )‐3‐ハイドロキシ‐5‐メチルノン‐1‐エン‐1‐イル]‐5‐オキシシクロペンチル}ヘプト‐2‐エノイック酸(リマプロスト)、オルノプロスチル、エンプロスチル若しくはミソプロストール、又はそれらの誘導体であるPGE誘導体、及び
    (E)2−{4−[(5,6−ジフェニルピラジン−2−イル)(プロパン−2−イル)アミノ] ブトキシ}−N-(メタンスルフォニル)アセトアミド(NS−304;セレキシパグ)。
  5. プロスタグランジンI2受容体作動薬として、ONO−1301、ベラプロスト、リマプロスト及びNS−304からなる群より選択される少なくとも一種を少なくとも含む、請求項1記載の医薬組成物。
  6. 前記ステルス型リポソームが、プロスタグランジンI2受容体作動薬とリン脂質とを少なくも用いて、バンガム法、水和分散法、逆相蒸発法、エタノール注入法若しくはエタノール希釈法、ホモジナイゼイション法若しくはメカノケミカル法、直接分散法、エクストルーダー法若しくはフレンチプレス法、リモートローディング法、脱水―再水和法、凍結融解法、超音波法、脂質―化合物フィルム法、又はこれらの改良法により得られうる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  7. 前記ステルス型リポソームが、
    平均粒子径50〜200nmであり、かつ
    プロスタグランジンI2受容体作動薬1重量部に対して、5〜50重量部のリン脂質及び0.05〜5重量部のPEG修飾ホスホエタノールアミンを含有する、
    請求項1〜6のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  8. 前記ステルス型リポソームが、
    プロスタグランジンI2受容体作動薬1重量部に対して、MPEG2000−DSPEを0.05〜5重量部含有し、かつ
    プロスタグランジンI2受容体作動薬としてONO−1301、ベラプロスト、リマプロスト及びNS−304からなる群より選択される少なくとも一種を含有し、かつ
    3時間〜4週間にわたって前記プロスタグランジンI2受容体作動薬を放出する、
    請求項1〜7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  9. 前記ステルス型リポソームが、
    プロスタグランジンI2受容体作動薬と、
    リン脂質と、
    PEG修飾ホスホエタノールアミンと、
    水混和性有機溶媒と
    を含み、かつ
    ステロール類を含まず、下記工程(1)〜(8)を含む製造方法により得られうるものであり、
    (1)プロスタグランジンI2受容体作動薬1mg当たり、リン脂質が5mg以上、かつPEG修飾ホスホエタノールアミンが0.05mg以上となるようにこれらを溶媒に混合する工程、
    (2)工程(1)で得られた混合物を加熱し、溶解物を調製する工程、
    (3)工程(2)で得られた溶解物を瞬時に凍結する工程、
    (4)工程(3)で得られた凍結物を凍結乾燥し溶媒を除去する工程、
    (5)工程(4)で得られた凍結乾燥物を加温してリン酸緩衝水溶液に分散する工程、
    (6)工程(5)で得られた分散物をエクストルーダーによりサイジングする工程、
    (7)工程(6)で得られた分散物を限外濾過することにより未封入物を除去する工程、
    (8)工程(7)で得られた分散物に糖類を加えて凍結乾燥する工程、かつ
    リポソーム内にリン脂質1.0mgあたり0.001mg以上のプロスタグランジンI2受容体作動薬を含み、
    平均粒子径が50〜200nmである、
    請求項1〜8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  10. 静脈内投与用、冠動脈内投与用、吸入用、筋注投与用、皮下投与用、経口投与用、経粘膜投与用及び経皮投与用または臓器用の注射用製剤、経口剤、吸入剤、ネブライザー、軟膏剤、貼付剤またはスプレー剤である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  11. 1回あたりの静脈内投与量がプロスタグランジンI2受容体作動薬として、0.001〜100mgである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  12. 治療対象疾患が、リポソームを含有してなる循環器系疾患、呼吸器系疾患、泌尿器系疾患、消化器系疾患、骨疾患、神経変性疾患、血管系疾患、歯科疾患、眼疾患、皮膚疾患等の炎症性疾患、虚血性臓器障害、糖尿病性合併症、組織線維性疾患、組織変性疾患又は脱毛である、請求項11に記載の医薬組成物。
  13. 治療対象疾患が、リポソームを含有してなる虚血性及び拡張型心筋症、閉塞性動脈硬化症、血管炎症候群、弁膜症、大動脈弁狭窄症、慢性心不全、拡張不全等の循環器系疾患、肺高血圧症、肺線維症、喘息、慢性閉塞性肺疾患等の呼吸器系肺疾患、慢性腎臓病、慢性肝炎、慢性膵炎等の消化器系・泌尿器系疾患、及び脳梗塞慢性期、アルツハイマー病、糖尿病性神経障害、パーキンソン病、筋委縮性側索硬化症等の神経変性疾患である、請求項11に記載の医薬組成物。
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