JP2018067660A - トランス及び電力変換装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】トランスのコアの漏れ磁束を低減するとともにトランスのコアの小型化を図ることができるトランス及び電力変換装置を提供する。【解決手段】コアの一部は、磁気異方性を有する磁気異方部60を備え、磁気異方部60は、複数の金属繊維62が金属繊維62の短手方向に積層されているとともに、長手方向に連なり、積層方向における金属繊維62間にはギャップGが形成されている。【選択図】図5
Description
本発明は、トランス及び電力変換装置に関するものである。
スイッチング電源において、複数のスイッチング素子をフルブリッジ接続又はハーフブリッジ接続した回路では、ソフトスイッチング動作のためにトランスのコイルに直列接続されるインダクタンスが必要とされる。外付けのインダクタに対してトランスの漏れインダクタンスを代用するのが電源全体の小型化に繋がる。十分な漏れインダクタンスを確保するために、トランスの1次側コイルと2次側コイルの間に空間を設けたり、さらに、その空間に透磁率の高いフェライト等の材料を挿入したりする(特許文献1、非特許文献1参照)。
「Electromagnetic Integration of High Power Resonant Circuits Comprising High Leakage Inductance Transformers」J.Biela,J.W.Kolar Power Electronic Systems Laboratory,ETH Zurich Zurich,Switzerland
ところで、例えば、図10に示すように、トランス100においてEE型コア部101における中央磁脚102に1次側コイル103及び2次側コイル104を巻回するとともに漏れインダクタンスを大きくすべく1次側コイル103と2次側コイル104との間に高透磁率材料105を配置する。この場合には、コイルを通過する寄生磁束(漏れ磁束)φ10も増える。それにより、コイル中の渦電流が増加し、損失が増える。そのため、コアの径を大きくする必要があり、コアの大型化を招いていた。なお、図10はEE型コア部101における左半分を示している。
本発明の目的は、トランスのコアの漏れ磁束を低減するとともにトランスのコアの小型化を図ることができるトランス及び電力変換装置を提供することにある。
請求項1に記載の発明では、1次側コイル、2次側コイル、及び、前記1次側コイル及び前記2次側コイルが巻回されるコアを有するトランスであって、前記コアの少なくとも一部は、磁気異方性を有する磁気異方部を備え、前記磁気異方部は、複数の金属繊維が金属繊維の短手方向に積層されているとともに、長手方向に連なり、積層方向における金属繊維間にはギャップが形成されていることを要旨とする。
請求項1に記載の発明によれば、コアの少なくとも一部に備えられた磁気異方部は、磁気異方性を有し、磁気異方部は、複数の金属繊維が金属繊維の短手方向に積層されているとともに、長手方向に連なり、積層方向における金属繊維間にはギャップが形成されている。よって、磁束が通る方向に直交する方向に磁束が漏れにくくなり、トランスのコアの漏れ磁束を低減するとともにトランスのコアの小型化を図ることができる。
請求項2に記載のように、請求項1に記載のトランスにおいて、前記磁気異方部は、前記コアの一部であって、前記コアの他部と共に磁路を形成し、前記コアの他部には、前記1次側コイルと前記2次側コイルとが巻回され、前記磁気異方部は、前記1次側コイルと前記2次側コイルとの間に配置され、前記磁気異方部と前記コアの他部とは前記長手方向において対向するとよい。
請求項2に記載の発明によれば、トランスのコイルに直列接続されるインダクタを磁気異方部で代用することができる。
請求項3に記載のように、請求項2に記載のトランスにおいて、前記磁気異方部における磁気モーメントの方向の透磁率は、磁気モーメントの方向に直交する方向の透磁率よりも大きいとよい。
請求項3に記載のように、請求項2に記載のトランスにおいて、前記磁気異方部における磁気モーメントの方向の透磁率は、磁気モーメントの方向に直交する方向の透磁率よりも大きいとよい。
請求項3に記載の発明によれば、磁気異方部における磁気モーメントの方向に直交する方向での表面から漏れ磁束が入ることを抑制することが可能となる。
請求項4に記載の発明では、請求項1〜3のいずれか1項に記載のトランスを備え、磁気異方部のインダクタンスを、前記1次側コイル又は前記2次側コイルに直列接続されるインダクタンスとする電力変換装置としている。
請求項4に記載の発明では、請求項1〜3のいずれか1項に記載のトランスを備え、磁気異方部のインダクタンスを、前記1次側コイル又は前記2次側コイルに直列接続されるインダクタンスとする電力変換装置としている。
請求項4に記載の発明によれば、部品点数を削減することができる。
本発明によれば、トランスのコアの漏れ磁束を低減するとともにトランスのコアの小型化を図ることができる。
以下、絶縁型DC−DCコンバータに具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図6に示すように、電力変換装置としての絶縁型DC−DCコンバータ10は、共振形DC−DCコンバータであって、トランス11を備えている。トランス11は1次側コイル(巻線)11aと2次側コイル(巻線)11bを備えている。
図6に示すように、電力変換装置としての絶縁型DC−DCコンバータ10は、共振形DC−DCコンバータであって、トランス11を備えている。トランス11は1次側コイル(巻線)11aと2次側コイル(巻線)11bを備えている。
トランス11の1次側において、複数のスイッチング素子Q1〜Q4がフルブリッジ接続されたブリッジ回路12を有する。漏れインダクタンス形成用磁性部材による漏れインダクタンスLsが1次側コイル11aに直列接続されている。
ブリッジ回路12において正極母線Lpと負極母線Lnとの間にスイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2とが直列に接続されている。また、正極母線Lpと負極母線Lnとの間にスイッチング素子Q3とスイッチング素子Q4とが直列に接続されている。各スイッチング素子Q1,Q2,Q3,Q4にはそれぞれダイオードDが逆並列接続されている。スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2との間に中点には、コンデンサC1と漏れインダクタンスLsとによる直列回路の一端が接続され、当該直列回路の他端には1次側コイル11aの一端が接続されている。コンデンサC1と漏れインダクタンスLsとにより共振回路が構成される。スイッチング素子Q3とスイッチング素子Q4との間に中点には、1次側コイル11aの他端が接続されている。2次側コイル11bにおける両端にはコンデンサC2が接続されている。2次側コイル11bの一端にはダイオードD2が接続されているとともに2次側コイル11bの他端にはダイオードD3が接続されている。ダイオードD2,D3のカソード及び2次側コイル11bの中間タップが出力端子となっている。
このように、ブリッジ回路12において、4つのスイッチング素子Q1,Q2,Q3,Q4がフルブリッジ接続されており、ソフトスイッチング動作のためにトランスの1次側コイル11aに漏れインダクタンスLsが直列接続されている。つまり、外付けのインダクタに対してトランスの漏れインダクタンスLsを代用している。
以下、図6のトランス11の具体的構造について説明する。
図1(a),(b),(c)に示すように、トランス20は、1次側コイル内蔵型基板30に内蔵された1次側コイル31、2次側コイル内蔵型基板40に内蔵された2次側コイル41、及び、1次側コイル31及び2次側コイル41が巻回されるコア50を有する。コア50において1次側コイル31への通電に伴い発生する磁束を通す磁路が形成されることになる。コア50は、コア本体(EE型コア部)51と磁気異方部60を有し、コア50の一部は、磁気異方性を有する磁気異方部60を備えている。図2(a),(b),(c)はコア本体51を示し、図3(a),(b),(c)は1次側コイル内蔵型基板30を示し、図4(a),(b),(c)は2次側コイル内蔵型基板40を示し、図5(a),(b),(c),(d)は磁気異方部60を示す。
図1(a),(b),(c)に示すように、トランス20は、1次側コイル内蔵型基板30に内蔵された1次側コイル31、2次側コイル内蔵型基板40に内蔵された2次側コイル41、及び、1次側コイル31及び2次側コイル41が巻回されるコア50を有する。コア50において1次側コイル31への通電に伴い発生する磁束を通す磁路が形成されることになる。コア50は、コア本体(EE型コア部)51と磁気異方部60を有し、コア50の一部は、磁気異方性を有する磁気異方部60を備えている。図2(a),(b),(c)はコア本体51を示し、図3(a),(b),(c)は1次側コイル内蔵型基板30を示し、図4(a),(b),(c)は2次側コイル内蔵型基板40を示し、図5(a),(b),(c),(d)は磁気異方部60を示す。
なお、図面において、水平面を、直交するX,Y方向で規定するとともに、上下方向をZ方向で規定している。
図2(a),(b),(c)に示すように、コア本体51は、2つのE型コア52,53を組み合わせることにより構成されている。E型コア52は、長方形の板状をなし水平方向に延設された本体部52aと、本体部52aの一方の面の中央部からZ方向に突出する中央磁脚52bと、本体部52aの一方の面の端部からZ方向に突設する両側磁脚52c,52dとを有する。中央磁脚52bは角柱状をなし、両側磁脚52c,52dは角柱状をなしている。
図2(a),(b),(c)に示すように、コア本体51は、2つのE型コア52,53を組み合わせることにより構成されている。E型コア52は、長方形の板状をなし水平方向に延設された本体部52aと、本体部52aの一方の面の中央部からZ方向に突出する中央磁脚52bと、本体部52aの一方の面の端部からZ方向に突設する両側磁脚52c,52dとを有する。中央磁脚52bは角柱状をなし、両側磁脚52c,52dは角柱状をなしている。
E型コア53は、長方形の板状をなし水平方向に延設された本体部53aと、本体部53aの一方の面の中央部からZ方向に突出する中央磁脚53bと、本体部53aの一方の面の端部からZ方向に突設する両側磁脚53c,53dとを有する。中央磁脚53bは角柱状をなし、両側磁脚53c,53dは角柱状をなしている。
そして、E型コア52の中央磁脚52bの先端面とE型コア53の中央磁脚53bの先端面とが突き合わされるとともに、E型コア52の両側磁脚52c,52dの先端面とE型コア53の両側磁脚53c,53dの先端面とが突き合わされる。これによりコア本体51が構成され、磁路が形成される。つまり、コア本体51は、磁脚52b,53bを有し、当該磁脚52b,53bを通る磁路が形成される。
図3(a),(b),(c)に示すように、1次側コイル内蔵型基板30は、1次側コイル31と、絶縁層(樹脂層)32と、配線パターン33,34を有する。絶縁層32には平面タイプの1次側コイル31が埋め込まれている。1次側コイル31は、金属板、具体的には例えば銅板を所望の形状に打ち抜き形成したものである。1次側コイル31は、巻線パターンとして渦巻き状をなし、所定のターン数の平面コイルである。絶縁層32の上面には配線パターン33が形成されている。配線パターン33はビアホールVH1を介して1次側コイル31の一端と電気的に接続されており、配線パターン33はコイル31の引き出し部となっている。絶縁層32の下面には配線パターン34が形成されている。配線パターン34はビアホールVH2を介して1次側コイル31の他端と電気的に接続されており、配線パターン34はコイル31の引き出し部となっている。
1次側コイル内蔵型基板30におけるコイル31の中心部(巻線の中心)には角形の貫通孔35が形成されている。1次側コイル内蔵型基板30におけるコイル31の外径側(巻線パターンの外周側)には貫通孔36及び貫通孔37が形成されている。そして、図1(a),(b),(c)に示すように、貫通孔35にはE型コア52の中央磁脚52bが通るとともに貫通孔36,37にはE型コア52の両側磁脚52c,52dが通る。
図4(a),(b),(c)に示すように、2次側コイル内蔵型基板40は、2次側コイル41と、絶縁層(樹脂層)42と、配線パターン43,44,45を有する。絶縁層42には平面タイプの2次側コイル41が埋め込まれている。2次側コイル41は、金属板、具体的には例えば銅板を所望の形状に打ち抜き形成したものである。2次側コイル41は、巻線パターンとして渦巻き状をなし、所定のターン数の平面コイルである。絶縁層42の上面には配線パターン43が形成されている。配線パターン43はビアホールVH3を介して2次側コイル41の一端と電気的に接続されており、配線パターン43はコイル41の引き出し部となっている。絶縁層42の下面には配線パターン44が形成されている。配線パターン44はビアホールVH4を介して2次側コイル41の他端と電気的に接続されており、配線パターン44はコイル41の引き出し部となっている。絶縁層42の下面には配線パターン45が形成されている。配線パターン45はビアホールVH5を介して2次側コイル41の中間タップ部分と電気的に接続されており、配線パターン45はコイル41の中間タップ用引き出し部となっている。
2次側コイル内蔵型基板40におけるコイル41の中心部(巻線の中心)には角形の貫通孔46が形成されている。2次側コイル内蔵型基板40におけるコイル41の外径側(巻線パターンの外周側)には貫通孔47及び貫通孔48が形成されている。そして、図1(a),(b),(c)に示すように、貫通孔46にはE型コア53の中央磁脚53bが通るとともに貫通孔47,48にはE型コア53の両側磁脚53c,53dが通る。
このように、1次側コイル31は、コア本体51の磁脚52bの周りに巻回された状態で配置される。2次側コイル41は、コア本体51の磁脚53bの周りに巻回され、1次側コイル31と相対向する状態で配置される。
図5(a),(b),(c)に示すように、磁気異方部60は板状をなすとともに四角環状をなしている。磁気異方部60の中央部における四角形状の貫通孔61には、図1(a),(b),(c)に示すように、E型コア52,53の中央磁脚52b,53bが通る。
図1(a),(b),(c)及び図5(a),(b),(c),(d)に示すように、磁気異方部60は、コア本体51の磁脚52b,53bの延設方向であるZ方向における相対向する1次側コイル31と2次側コイル41との間に配置され、コイル31,41の径方向に延在する漏れインダクタンス形成用磁性部材である。磁気異方部60は、1次側コイル31と2次側コイル41との間の空間に配置されている。磁気異方部60は、コア50の一部であり、コア50の他部としてのコア本体51と共に磁路を形成し、コア50の他部としてのコア本体51には、1次側コイル31と2次側コイル41とが巻回されている。
図5(d)に示すように、磁気異方部60は、複数の糸状の金属繊維62を有する。磁気異方部60は、コアに形成される磁路での磁束が通るX方向に直交するZ方向において複数の金属繊維62が金属繊維62の短手方向に積層されているとともに、コアに形成される磁路での磁束が通るX方向において長手方向に連なり、積層方向(Z方向)における金属繊維62間にはギャップGが形成されている。磁気異方部60とコア本体51(コアの他部)とは金属繊維62の長手方向(X方向)において対向している。
磁気異方部60は、透磁率に異方性があり、コア本体51の磁脚52b,53bの延設方向であるZ方向の透磁率よりコイル31,41の径方向であるX方向の透磁率が高い。この磁気異方部60による漏れインダクタンスが1次側コイル31に直列接続される。つまり、電力変換装置としての絶縁型DC−DCコンバータ10は、トランス20を備え、磁気異方部60のインダクタンスを、1次側コイル31に直列接続されるインダクタンス(漏れインダクタンスLs)としている。
磁気異方部60における磁気モーメントの方向の透磁率は、磁気モーメントの方向に直交する方向の透磁率よりも大きい。具体的には、コア本体51(E型コア52,53)の比透磁率は2000〜3000である。例えば磁気異方部60は、X方向での比透磁率が60以上、Z方向での比透磁率が1程度である。あるいは、磁気異方部60は、X方向での比透磁率が40〜100であり、Z方向での比透磁率が1である。好ましくは、磁気異方部60は、X方向での比透磁率がZ方向での比透磁率に比べ10倍以上とするとよい。
次に、作用について説明する。
磁気異方部60は、透磁率の異方性があり、縦方向(Z方向)での比透磁率が低く空気の1に近く、横方向(X方向)での比透磁率が高く例えば60以上である。よって、縦方向での透磁率が低いために寄生磁束が抑制される。
磁気異方部60は、透磁率の異方性があり、縦方向(Z方向)での比透磁率が低く空気の1に近く、横方向(X方向)での比透磁率が高く例えば60以上である。よって、縦方向での透磁率が低いために寄生磁束が抑制される。
以下、詳しく説明する。
比較例である図10においては、EE型コア部101における中央磁脚102に1次側コイル103及び2次側コイル104を巻回するとともに漏れインダクタンスを大きくすべく1次側コイル103と2次側コイル104との間に高透磁率材料105を配置している。この場合には、コイルを通過する寄生磁束(漏れ磁束)φ10も増えてしまい、コイル中の渦電流が増加して損失が増える。そのため、コアの径を大きくする必要があり、コアの大型化を招いていた。
比較例である図10においては、EE型コア部101における中央磁脚102に1次側コイル103及び2次側コイル104を巻回するとともに漏れインダクタンスを大きくすべく1次側コイル103と2次側コイル104との間に高透磁率材料105を配置している。この場合には、コイルを通過する寄生磁束(漏れ磁束)φ10も増えてしまい、コイル中の渦電流が増加して損失が増える。そのため、コアの径を大きくする必要があり、コアの大型化を招いていた。
これに対し図7に示す本実施形態においては、コア本体(EE型コア部)51における中央磁脚52b,53bに1次側コイル31及び2次側コイル41を巻回するとともに、漏れインダクタンスを大きくすべく1次側コイル31と2次側コイル41との間に磁気異方部60を配置している。この磁気異方部60は、コアに形成される磁路での磁束φ1が通る方向の透磁率は、磁束φ1が通る方向に直交する方向の透磁率よりも大きく、図10における寄生磁束(漏れ磁束)φ10を規制して小さくすることができる。
よって、図7での漏れ磁束φ2を低減することができ、トランス20の損失を低減することができる。これにより、コアの径を小さくすることができ、コアを小型化することができる。なお、図7はコア50における左半分を示している。
また、コア構成部品である電磁鋼板は、積層方向には異方性があるが幅方向には異方性がない。これに対し、本実施形態では幅方向にも異方性がある。よって、本実施形態では、トランスのコアの漏れ磁束を低減することができ、電磁鋼板に比べて渦電流を低減することができる。また、トランスのコアの小型化を図ることができる。
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)トランス20の構成として、コア50の一部は、磁気異方性を有する磁気異方部60を備え、磁気異方部60は、複数の金属繊維62が金属繊維62の短手方向に積層されているとともに、長手方向に連なり、積層方向における金属繊維62間にはギャップGが形成されている。よって、磁束が通る方向に直交する方向に磁束が漏れにくくなり、トランスのコアの漏れ磁束を低減するとともにトランスのコアの小型化を図ることができる。詳しくは、電磁鋼板に比べて本実施形態では渦電流が低減され、電磁鋼板は積層方向には異方性があるが幅方向には異方性がないのに対し、本実施形態では幅方向にも異方性があり、トランスのコアの漏れ磁束を低減することができ、その結果、トランスのコアの小型化を図ることができる。
(1)トランス20の構成として、コア50の一部は、磁気異方性を有する磁気異方部60を備え、磁気異方部60は、複数の金属繊維62が金属繊維62の短手方向に積層されているとともに、長手方向に連なり、積層方向における金属繊維62間にはギャップGが形成されている。よって、磁束が通る方向に直交する方向に磁束が漏れにくくなり、トランスのコアの漏れ磁束を低減するとともにトランスのコアの小型化を図ることができる。詳しくは、電磁鋼板に比べて本実施形態では渦電流が低減され、電磁鋼板は積層方向には異方性があるが幅方向には異方性がないのに対し、本実施形態では幅方向にも異方性があり、トランスのコアの漏れ磁束を低減することができ、その結果、トランスのコアの小型化を図ることができる。
(2)磁気異方部60は、コア50の一部であって、コア50の他部としてのコア本体51と共に磁路を形成し、コア50の他部としのコア本体51には、1次側コイル31と2次側コイル41とが巻回されている。磁気異方部60は、1次側コイル31と2次側コイル41との間の空間に配置され、磁気異方部60とコア本体51(コアの他部)とは金属繊維62の長手方向において対向する。よって、トランスのコイルに直列接続されるインダクタ(コイル)を磁気異方部で代用することができる。つまり、漏れ磁束による渦電流の低減を図ることができるとともにコイルの小型化によるコアの小型化を図ることができ、その結果、トランスのコアの漏れ磁束を低減するとともにトランスのコアの小型化を図ることができる。
(3)磁気異方部60における磁気モーメントの方向の透磁率は、磁気モーメントの方向に直交する方向の透磁率よりも大きい。よって、磁気異方部60における磁気モーメントの方向に直交する方向での表面から漏れ磁束φ2が入ることを抑制することが可能となる。
(4)電力変換装置としての絶縁型DC−DCコンバータ10の構成として、上記(1)〜(3)のいずれかのトランス20を備え、磁気異方部60のインダクタンスを、1次側コイル31に直列接続されるインダクタンスとしている。よって、絶縁型DC−DCコンバータ10における部品点数を削減することができる。
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
○ 図1においてはコア本体の磁脚52b,53bの延びる方向において1次側コイル31、2次側コイル41を積層したが、これに代わり、図8に示すようにコア本体の磁脚52b,53bの延びる方向において1次側コイル31a、2次側コイル41a、2次側コイル41b、1次側コイル31bを積層してもよい、
○ 金属繊維62は糸状であればよい。
○ 図1においてはコア本体の磁脚52b,53bの延びる方向において1次側コイル31、2次側コイル41を積層したが、これに代わり、図8に示すようにコア本体の磁脚52b,53bの延びる方向において1次側コイル31a、2次側コイル41a、2次側コイル41b、1次側コイル31bを積層してもよい、
○ 金属繊維62は糸状であればよい。
○ コア本体51は、E型コア52とE型コア53を組み合わせたEE型コア部であったが、これに限ることはない。例えば、E型コアとI型コアを組み合わせたEI型コア、U型コアとU型コアを組み合わせたUU型コア、U型コアとI型コアを組み合わせたUI型コア等であってもよい。
○ ブリッジ回路12は、複数のスイッチング素子をフルブリッジ接続した回路であったが、複数のスイッチング素子をハーフブリッジ接続した回路であってもよい。
○ 磁気異方部のインダクタンスを、1次側コイルに直列接続されるインダクタンスとしたが、磁気異方部のインダクタンスを、2次側コイルに直列接続されるインダクタンスとしてもよい。要は、磁気異方部のインダクタンスを、1次側コイル又は2次側コイルに直列接続されるインダクタンスとすればよい。
○ 磁気異方部のインダクタンスを、1次側コイルに直列接続されるインダクタンスとしたが、磁気異方部のインダクタンスを、2次側コイルに直列接続されるインダクタンスとしてもよい。要は、磁気異方部のインダクタンスを、1次側コイル又は2次側コイルに直列接続されるインダクタンスとすればよい。
○ コア本体(EE型コア部)51と漏れインダクタンス形成用の磁気異方部60とでコアを構成したが、これに限らない。例えば、図9(a),(b)に示すように、EE型コア70自体の一部または全部を、磁気異方性を有する磁気異方部としてもよい。つまり、コイル31,41が巻かれるコア70が異方性を有しており、磁気異方部は、磁気モーメントの方向に直交する方向において複数の金属繊維が金属繊維の短手方向に積層されているとともに、磁気モーメントの方向において長手方向に連なり、積層方向における金属繊維間にはギャップが形成されていてもよい。
要は、コアの少なくとも一部は、磁気異方性を有する磁気異方部で構成すればよく、磁束が通る方向(図9(b)でのφ5)に直交する方向に磁束が漏れにくくなり、トランスのコアの漏れ磁束を低減するとともにトランスのコアの小型化を図ることができる。
なお、図9(b)におけるB部は図5(d)に示す構成となっている。
○ DC−DCコンバータに具体化したが、他の電力変換装置、例えばインバータに具体化してもよい。
○ DC−DCコンバータに具体化したが、他の電力変換装置、例えばインバータに具体化してもよい。
○ 磁気異方部60は、1次側コイル31と2次側コイル41との間の空間に配置されてなくてもよい。例えば、1次側コイル31と2次側コイル41との間の絶縁層の内部に配置されてもよい。
10…絶縁型DC−DCコンバータ、20…トランス、31…1次側コイル、41…2次側コイル、50…コア、51…コア本体、60…磁気異方部、62…金属繊維、70…コア、G…ギャップ。
Claims (4)
- 1次側コイル、2次側コイル、及び、前記1次側コイル及び前記2次側コイルが巻回されるコアを有するトランスであって、
前記コアの少なくとも一部は、磁気異方性を有する磁気異方部を備え、
前記磁気異方部は、複数の金属繊維が金属繊維の短手方向に積層されているとともに、長手方向に連なり、積層方向における金属繊維間にはギャップが形成されていることを特徴とするトランス。 - 前記磁気異方部は、前記コアの一部であって、前記コアの他部と共に磁路を形成し、
前記コアの他部には、前記1次側コイルと前記2次側コイルとが巻回され、
前記磁気異方部は、前記1次側コイルと前記2次側コイルとの間に配置され、
前記磁気異方部と前記コアの他部とは前記長手方向において対向することを特徴とする請求項1に記載のトランス。 - 前記磁気異方部における磁気モーメントの方向の透磁率は、磁気モーメントの方向に直交する方向の透磁率よりも大きいことを特徴とする請求項2に記載のトランス。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のトランスを備え、
前記磁気異方部のインダクタンスを、前記1次側コイル又は前記2次側コイルに直列接続されるインダクタンスとすることを特徴とする電力変換装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2016206116A JP2018067660A (ja) | 2016-10-20 | 2016-10-20 | トランス及び電力変換装置 |
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JP2016206116A JP2018067660A (ja) | 2016-10-20 | 2016-10-20 | トランス及び電力変換装置 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
RU2716282C1 (ru) * | 2018-12-29 | 2020-03-11 | Общество С Ограниченной Ответственностью "Крокус Наноэлектроника" (Ооо "Крокус Наноэлектроника") | Тонкопленочный тороидальный сердечник с анизотропией формы, катушка индуктивности и трансформатор, его содержащие |
-
2016
- 2016-10-20 JP JP2016206116A patent/JP2018067660A/ja active Pending
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RU2716282C1 (ru) * | 2018-12-29 | 2020-03-11 | Общество С Ограниченной Ответственностью "Крокус Наноэлектроника" (Ооо "Крокус Наноэлектроника") | Тонкопленочный тороидальный сердечник с анизотропией формы, катушка индуктивности и трансформатор, его содержащие |
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