以下、添付図面を参照してこの発明に係る液面検出器を実施するための形態について説明する。
図1はこの発明の実施形態に係る液面検出器を全体的に示す概略図、図2は図1に示す液面検出器が配置される容器の断面図、図3は図1に示す液面検出器の斜視図、図4と図5は図1に示す液面検出器の動作を示す、図1と同様の概略図である。
以下説明すると、符号1は液面検出器を示し、液面検出器1は図2に示すように液体10を貯留する容器12に配置される。この明細書で液体10は内燃機関14のオイル(潤滑油)からなると共に、容器12は内燃機関14の液体(オイル)10が貯留されるクランク室14aの下方のオイル溜まり14bからなる。
尚、液体10は内燃機関14の燃料などであっても良く、容器12も燃料(液体)などを貯留する燃料タンクなどであっても良い。
内燃機関14は単気筒の発電用の内燃機関からなり、ユーザによってリコイルスタータ(図示せず)が引かれることで始動し、フライホイール(図示せず)の内周側に固定された点火コイルで点火電力を発電する。内燃機関14は図2に示す位置に置かれたとき、重力方向zは矢印で示す方向となる。
液面検出器1は容器12に配置可能なケース16と、フロート20と、マグネット22と、逆止弁24と、スイッチ26と、アラート回路30とを備える。
ケース16は、図3に示すように全体として円筒形状を呈すると共に、図2に示すように容器12に配置可能に構成される。
具体的にはケース16は、図3に良く示す如く、内部空間16aを形成する円形状の上面16bと、同様に円形状の底面16cと、上面16bと底面16cに連続する円筒形状の側面16dとを備える。
液面検出器1において、ケース16は、上面16bの重力方向における高さが液体の目標注入レベルに関連して(換言すれば目標注入レベルと一致するように)規定される。尚、液面検出器1において「重力方向において」とは、図2に示す如く、内燃機関14の容器12に配置されたときに決定される重力方向zにおいての意味で使用する。
このようにケース16は上面16bと底面16cと側面16dを備えると共に、中央にスイッチ26を収容するための同様に円筒形状を呈するガイド16eが形成され、ガイド16eと上面16bと底面16cと側面16dとの間で内部空間16aが形成されるように構成される。
さらに、ケース16は、内部空間16aに連通する開口として上面16bに液体10を流入させる流入口16b1が、側面16dに液体10を流入あるいは流出させる第1流入出口16d1と第2流入出口16d2とが形成される。
ケース16の上面16bは、図3に示す如く、ガイド16eに接近する位置でガイド16eの全周にわたって切り欠かれ、流入口16b1はそこに形成される。図示の如く、流入口16b1は上面視円形を呈する。
また、第1流入出口16d1はケース16の側面16dに適宜個数(具体的には120度間隔で3個程度)形成されると共に、第2流入出口16d2はケース16の側面16dに適宜個数(具体的には1個)形成される。第2流入出口16d2は第1流入出口16d1よりも口径が小さく形成されると共に、重力方向において第1流入出口16d1の下方に形成される。
フロート20は液体(オイル)10より比重が小さい構造を備え、ケース16の内部空間16aに収容されると共に、液体10の増減に応じて自重によって重力方向において上下に移動して図3に示すように第1流入出口16d1を閉塞可能なように構成される。フロート20の内周にはドーナツ状の円形の1個の磁石片からなるマグネット(磁性体)22が取り付けられる。
図1から明らかな如く、ケース16の側面16dとフロート20の側面20aは側面視において大略平行に形成される。より詳しくは、ケース16の側面16dとフロート20の側面20aをそれぞれ延長してなる線16d3と線20a1とが大略平行に形成され、よってケース16の内部空間16aにおいてフロート20がガイド16eに沿って自重によって円滑に移動して第1流入出口16d1を確実に閉塞できるように構成される。ここで、「大略平行」とは厳密に平行であることと、略平行であることの両者を含む。
第2流入出口16d2は第1流入出口16d1より重力方向において下方に形成されると共に、第2流入出口16d2には、液体10の流出を許容する一方、液体10の流入を阻止する逆止弁24が配置される。
具体的には、第2流入出口16d2にはより径大の円形状の内孔16d21が形成され、逆止弁24は、その内孔16d21の縁部に形成される弁座24aと、その弁座24aを開閉可能な弾性材からなる弁体24bとで構成される。
弁体24bは弁座24aに固定部24a1によって固定されると共に、ケース16の内部空間16aに貯留される液体10の圧力(油圧)に応じて、想像線で示す如く、弁座24aを開放するように移動する一方、ケース16の外部の容器12に貯留される液体10の圧力によって弁座24aを閉鎖するように移動し、よって液体10の流出を許容する一方、液体10の流入を阻止するように構成される。
スイッチ26は、フロート20に取り付けられるマグネット22に近接する位置に配置される磁気感応素子からなり、フロート20が第1流入出口16d1を閉塞する閉塞位置(図3に示す)に移動したとき、電気出力を変化させるように構成される。
スイッチ26は、ケース16の内部空間16aに収容されるフロート20の内周の近くに位置するガイド16eの内部に配置される管体26aと、その内部に封止される公知のリードスイッチ(磁気感応素子)26b(図1のみ図示)からなる。
スイッチ26は、フロート20が閉塞位置に移動したとき、電気出力を変化、例えばオフからオン、あるいはオンからオフ、具体的にはオフからオンさせるように構成される。
スイッチ26はアラート回路30に接続される。アラート回路30は、スイッチ26の電気出力が変化、具体的にはオフからオンに変化したとき、警告灯(図示せず)を点灯させる、あるいはブザー(図示せず)を鳴動させるなどアラート動作を行う。
さらに、アラート回路30は内燃機関14の点火回路(図示せず)に接続され、スイッチ26の電気出力が変化、具体的にはオフからオンに変化したとき、点火電源を短絡させるなどして内燃機関14の点火を中止させる動作を含むアラート動作を行う。
尚、内燃機関14は点火を中止されるとき、フライホイールは惰性で暫く回転することから、そのときに点火コイルの付近に配置される発電コイルで発電される電力で警告灯を点灯あるいはブザーを鳴動させるなどのアラート動作を行う。
次いで図1などを参照してこの実施形態に係る液面検出器1の動作あるいは作用を説明する。
図2に示すように容器12(オイル溜まり14b)に液体(オイル)10が十分に貯留されるとき、図1に示す如く、液体10は第1流入出口16d1から自由に流入あるいは流出し、フロート20は液体10の液面高さ(レベル)に連動して上下に移動する。
また、逆止弁24においても内部空間16aの液面と容器12の液面と等しくなるまで、図1に矢印で示す如く、内部空間16aの液体10は第2流入出口16d2の弁体24bを押し開いて容器12に流出する。
次いで、内燃機関14の稼動によって容器12内の液体10が減少すると、フロート20は徐々に下降し、やがて図4に示す如く、第1流入出口16d1を閉鎖する位置に移動する。
このとき、ケース16の側面16dとフロート20の側面20aは側面視において大略平行に形成されることから、フロート20は内部空間16aをガイド16eに沿って自重によって円滑に移動し、第1流入出口16d1を確実に閉塞する位置に移動することができる。
フロート20が第1流入出口16d1を閉塞する位置まで移動すると、スイッチ26が電気出力をオフからオンさせる。その結果、アラート回路30において警告灯の点灯などと内燃機関14の点火中止とからなるアラート動作が行われる。
アラート動作によってユーザが液体10の不足に気付き、容器12に液体10を注入すると、容器12の液面高さは徐々に上昇する。しかしながら、容器12の液面高さが内部空間16aの液面高さを超えても、逆止弁24の作用によって容器12から内部空間16aに液体10が流入しないため、フロート20は浮上することがなく、警告レベル位置に止まり、スイッチ26の電気出力もオンのままに止まる。
容器12において液体10の液面高さが液面検出器1の内部空間16aの上側の上面16bに形成される流入口16b1に到達するまで、その状態が続く。
他方、液面高さが流入口16b1に到達すると、図5に矢印で示す如く、液体10が内部空間16aに流入し、ガイド16eの回りを流れてフロート20の下方に回り込み、フロート20を浮上させる。それによってスイッチ26の電気出力がオンからオフに変化し、アラート回路30のアラート動作が終了する。
上記のように構成したことで、液面の微小な上下動に応じて検出出力が変動するチャタリングが生じるのを確実に防止することができる。また、ユーザは注入時、ゲージなどを用いることなく、アラート回路30の動作を監視するのみで、液体10を常に目標注入レベルに注入することができる。さらに、所望により、上面16bの重力方向における高さを変える(流入口16b1の高さを変える)ことで、目標注入レベルを任意の値に設定することができる。
上記した如く、この実施形態にあっては、液体10を貯留する容器12に配置されて前記液体の液面高さを検出する液面検出器1において、前記容器12に配置可能であると共に、内部空間16aを形成する上面16bと底面16cと前記上面と底面に連続する側面16dとを備え、前記内部空間16aに連通する開口として上面16bに前記液体10を流入させる流入口16b1が、前記側面16dに前記液体10を流入/流出させる第1流入出口16d1と第2流入出口16d2とが形成されるケース16と、前記内部空間16aに収容されると共に、前記液体10の増減に応じて重力方向において上下に移動して前記第1流入出口16d1を閉塞可能なフロート20と、前記第2流入出口16d2に配置され、前記液体10の流出を許容する一方、流入を阻止する逆止弁24と、前記フロート20が前記第1流入出口16d1を閉塞する閉塞位置に移動したとき、電気出力を変化させるスイッチ26と、前記スイッチ26の電気出力の変化に応じてアラート動作を行うアラート回路30とを備える如く構成したので、簡易な構成でありながら、液面の微小な上下動に応じて検出出力が変動するチャタリングを防止することができる。
即ち、スイッチ26は、フロート20が第1流入出口16d1を閉塞する閉塞位置に移動したとき、電気出力を変化させるように構成されることから、フロート20が閉塞位置まで移動しない限り電気出力は変化しない。また、第2流入出口16d2には液体10の流出のみを許容する逆止弁24が配置されることから、そこから液体10が流入することはなく、よって液面の微小な上下動に応じて検出出力が変動するチャタリングを防止することができる。
さらに、内部空間16aに連通する開口として上面16bに液体10を流入させる流入口16b1が形成されると共に、逆止弁24によって液体10の第2流入出口16d2からの流入が止されるので、アラート回路30のアラート動作に応じてユーザが液体10を注入したとき、注入された液体10に応じてフロート20が側面16dに形成された第1流入出口16d1を閉鎖する閉塞位置から重力方向に応じて上方に向けて移動して第1流入出口16d1を開放しない限り、スイッチ26の電気出力は変化せず、アラート回路30のアラート動作は継続される。よってユーザは、注入時、スイッチ26の電気出力が変化するまで液体10を注油すると共に、アラート回路の動作を通じて検知される電気出力が変化した時点で注油を停止すれば良い。それにより、液体10の注油量を常に一定にできると共に、ゲージなどで測定する手間を省くことができる。
さらに、スイッチ26は液面高さが所定の警告レベルまで減少したとき、電気出力を変化させるように構成したので、それにより警告レベルを所望の位置に容易に設定することも可能となる。
また、ケース16の側面16dと前記フロート20の側面20aは、側面視において大略平行に形成されるように構成したので、上記した効果に加え、ケース16の内部空間16aにおいてフロート20を円滑に移動させて第1流入出口16d1を確実に閉塞させることができる。
また、前記ケース16は、前記上面16bの前記重力方向における高さが前記液体10の目標注入レベルに関連して規定されるように構成されるので、上記した効果に加え、目標注入レベルを任意の値に設定することができる。
また、前記スイッチ26は前記フロート20に取り付けられる磁性体(マグネット)22と、前記磁性体22に対面する位置に配置される磁気感応素子とからなり、前記フロート20が前記閉塞位置に移動したとき、電気出力を変化させるように構成したので、上記した効果に加え、一層簡易な構成とすることができる。
また、前記液体10が内燃機関14のオイルからなり、前記容器12が前記内燃機関14のオイルが貯留されるクランク室14a下方のオイル溜まり14bからなると共に、前記アラート動作が前記内燃機関14の点火の中止を含むように構成したので、上記した効果に加え、内燃機関においてオイル(液体)10の不足による機関の焼付きを防止することができる。
尚、この明細書において、スイッチ26はマグネット22に感応するリードスイッチからなる磁気感応素子から構成したが、それに限られるものではなく、ホール素子などの磁電変換素子などであっても良い。
また、マグネット22は円形の1個の磁石片からなるように構成したが、その円形の磁石片を分割してなる複数個の磁石片から構成しても良い。