以下、本発明の第1の実施の形態の構成について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1において、1はテントで、例えば、災害時の避難先等での緊急用や、アウトドア施設等での娯楽用として簡易的に設置される。
テント1は、例えば公園やグラウンドや広場等の所定の場所において、木や柱等の支持体2を利用して張設された支持ケーブル3に、図2に示す多機能シート4が支持されることで、その多機能シート4によって内部空間を有するテント部5が構成される。
また、テント部5を構成する多機能シート4には、別体の多機能シート6,7が結合されて、テント部5からの出入口となる切妻部8が構成される。
図3に示すように、支持ケーブル3は、連結部材13を介して、多機能シート4を吊り下げるように支持している。
支持ケーブル3は、支持体2を利用して略水平に張設されている。すなわち、支持ケーブル3は、支持体2に固定されたウインチ14によって一方側の端部が巻き取られるように固定されて支持体2に沿って上方へ引き出されるとともに、支持体2に設置された滑車15を介して水平に配設される。また、支持ケーブル3の他方側の端部は図示しない支持体等に固定される。そして、この支持ケーブル3は、ウインチ14の巻き取りによって張力が付与されて張設される。
支持ケーブル3の下方には、この支持ケーブル3に対してスライド可能に操作ロープ11が設けられている。
この操作ロープ11は、連結部材13によって支持ケーブル3の下方に略水平に配置され、テント部5から一方側へ引き出されるようにして、テント部5の外部に設けられた滑車16aを介して所定の方向へ引き出されている。
また、テント部5の他方側には、操作ロープ12が接続されており、テント部5の外部に設けられた滑車16bを介して所定の方向へ引き出されている。
さらに、テント部5の一方側における操作ロープ12の延長線上には、固定ロープ10が接続されている。この固定ロープ10は、テント部5の一方側から引き出され支持体2に固定されている。
ここで、連結部材13は、第1のフック17の内側に第2のフック18が設けられているとともに、これら第1のフック17および第2のフック18の下方に第3のフック19が設けられている。
第1のフック17は、支持ケーブル3および操作ロープ11に係合して連結され支持ケーブル3に対して摺動可能である。
第2のフック18は、操作ロープ11に係合して連結されている。また、操作ロープ11の他方側の端部に設けられた固定部12aが、最も他方側に配置された連結部材13の第2のフック18に固定されている。
そして、操作ロープ11を一方側へ引いて支持ケーブル3に対してスライドさせることにより、連結部材13が操作ロープ11とともに支持ケーブル3に対して一方側へ移動する。
第3のフック19は、多機能シート4に係合されている。そして、多機能シート4は、支持ケーブル3に対して、操作ロープ11および連結部材13とともに移動可能である。
したがって、操作ロープ11を一方側へ引いて支持ケーブル3に対しスライドさせ連結部材13を移動させることにより、連結部材13に係合された多機能シート4も同様に支持ケーブル3に対して一方側へスライドし、折り畳まれるように収縮される。
また、操作ロープ12を他方側へ引いて支持ケーブル3に対して、多機能シート4を支持ケーブル3に対して他方側へスライドさせることにより、多機能シート4が支持ケーブル3に沿って迫り出されるように拡げられる。
なお、このように操作ロープ12を他方側へ引いて多機能シート4が所定の範囲でスライドすると、多機能シート4の一方側に接続された固定ロープ10が伸張して、スライドが停止されて、多機能シート4の一方側の端部が支持体2に対する所定距離で保持される。
図2に示すように、多機能シート4は、例えば帆布や合成樹脂製の防水性を有する矩形状のシート体21を備え、このシート体21の縁部には、対象物に保持される保持部材22と、対象物に保持された状態の保持部材22の外側を被覆可能なシート状の被覆部材23とが設けられている。
被覆部材23は、保持部材22の外側(例えば上側)に位置するように、シート体21から一体的に設けられている。
保持部材22は、シート体21の縁部に沿って設けられた複数の筒状部材24を有し、これら各筒状部材24内に挿入部材25が挿入され、挿入部材25の端部に結合部材としての結合リング26が設けられている。
筒状部材24は、シート体21の縁部から一体的な筒状に形成され、その軸方向がシート体21の縁部に平行になるように配置されている。
また、筒状部材24におけるシート体21との境界部分には、補強ベルト24aが設けられている。
挿入部材25は、筒状部材24内に挿入可能で筒状部材24に対応した長さの円柱棒状であり、軸方向の両端部に結合リング26が設けられている。
また、筒状部材24と挿入部材25とは、図3に示すように、筒状部材24内に挿入部材25が挿入された状態にて、筒状部材24の上から固定部材としてパッカー28を挿入部材25の外側に嵌合することで、筒状部材24に対して挿入部材25が固定される。
パッカー28は、可撓性を有し周面の一部が開口された円筒状であり、その内径は挿入部材25の外径よりやや小さい。
そして、パッカー28の開口された部分を周方向に拡げるように弾性変形させながら、そのパッカー28を筒状部材24の上から挿入部材25に嵌合することで締め付けられるように固定される。
なお、パッカー28は、筒状部材24に対して挿入部材25を固定できる構成であればよく、1組の筒状部材24および挿入部材25のみを固定する構成や、1組の筒状部材24および挿入部材25の端部から隣り合う筒状部材24および挿入部材25の端部に渡って配置されて、隣り合う2組の筒状部材24および挿入部材25を固定する構成のいずれでもよい。
また、固定部材は、パッカー28のように嵌合により筒状部材24と挿入部材25とを固定する構成には限定されず、例えば螺着や貼着等、筒状部材24と挿入部材25とを固定できる構成であればよい。
ここで、シート体21の略中央には、支持ケーブル3に支持される被支持部27が設けられている。
この被支持部27は、シート体21の縁部と同様の保持部材22が設けられ、保持部材22の一部に連結部材13に連結される被連結部材31が取り付けられている。
図3に示すように、被連結部材31は、保持部材22の外側に取り付けられる筒部32、この筒部32から上方へ突出した連結板部33と、この連結板部33に設けられた連結孔部34とを有している。
そして、テント1は、被連結部材31の筒部32が保持部材22に取り付けられた状態にて、支持ケーブル3に連結された連結部材13の第3のフック19を、連結孔部34を介して連結板部33に係合することで、多機能シート4が支持ケーブル3に吊り下げられるように支持される。
また、テント1は、支持ケーブル3に支持された頂点の部分でテント部5における棟が構成され、吊り下げられて下側に位置するシート体21の縁部でテント部5における軒先が構成され、正面視で略三角形状のテント部5が構成される。
さらに、テント1は、内部空間が形成されてテント部5が構成された状態で、シート体21の縁部に設けられテント部5の軒先に位置する保持部材22が結合体としてのL字状のアンカー35によって、テント1の設置面である地面に保持される。
なお、アンカー35は、保持部材22が地面に配設された状態で、掘進部36が結合リング26内を通して地中に埋め込まれて、係合部37を結合リング26に係合させることで、結合リング26を地面に押し当てられて、保持部材22が対象物である地面に固定された状態を保持する。
また、このように対象物である地面に保持部材22が保持された状態にて、保持部材22の外側(上側)が被覆部材23で被覆され、保持部材22は被覆部材23と地面との間に位置した状態となり、被覆部材23によって、テント部5の下端部と地面との連結箇所からの雨水等の水の侵入を防止できる。
なお、テント部5は、保持部材22が地面に保持されず多機能シート4が支持ケーブル3に吊り下げられて支持されただけの状態では、操作ロープ11を他方側へ引っ張ることで、支持ケーブル3に対する操作ロープ11のスライド移動にともなって多機能シート4もスライドする。すなわち、テント部5がカーテンのようにスライド移動により伸縮させてテント部5を開閉可能である。
また、このように多機能シート4をスライドさせてテント部5を収縮させると、シート体21が筒状部材24および挿入部材25の間隔に対応して折り畳まれる。すなわち、シート体21は、挿入部材25の端部の基点にして、隣り合う筒状部材24間に対応して延びる折畳線38(図1において二点鎖線で示す)でカーテンのように交互に折り畳まれる。
したがって、操作ロープ11を引っ張ってテント部5を開閉させる際には、シート体21が折畳線38に基づいて自動的に折り畳まれるように収縮し、テント部5の開閉操作をスムーズにできる。
切妻部8は、テント部5から一方向へ開放された第1の切妻41と、テント部5から第1の切妻41とは異なる方向へ開放された第2の切妻42とを有している。
第1の切妻41は、テント部5の一端部における一方の傍軒43に結合された三角形状の多機能シート6で構成され、第2の切妻42は、テント部5の一端部における他方の傍軒44に結合された三角形状の多機能シート7で構成されている。
これら多機能シート6,7の下端部は、保持部材22で地面に保持され、その保持部材22の外側(上側)が被覆部材23で覆われることにより、切妻部8の下端部からの雨水等の侵入を防止できる。
また、多機能シート7は、多機能シート6の外側に配置されている。すなわち、第2の切妻42は第1の切妻41の外側に位置している。
そして、第1の切妻41は、テント部5から一方向である他方の傍軒44側へ開放され、この第1の切妻41の外側に位置する第2の切妻42は、テント部5から、第1の切妻41の開放方向とは異なる方向である一方の傍軒43側へ開放されている。
なお、多機能シート6,7は、保持部材22がテント部5の一端部に保持されて結合され、その保持部材22の外側が被覆部材23で覆われる構成が好ましいが、テント部5と多機能シート6,7との結合方法は適宜決定できる。
次に、上記第1の実施の形態の作用および効果を説明する。
テント1を設営する際には、まず、支持体2に対してウインチ14によって支持ケーブル3を張設し、その支持ケーブル3に多機能シート4を支持させる。
支持ケーブル3に多機能シート4を支持する際には、連結部材13を用いて被支持部27を支持ケーブル3に支持させる。すなわち、連結部材13の第3のフック19を被支持部27の連結孔部34に係合した状態で、連結部材13の第2のフック18を操作ロープ11に係合し、連結部材13の第1のフック17を支持ケーブル3および操作ロープ11に係合することで、多機能シート4が支持ケーブル3に支持される。
また、支持ケーブル3に支持された多機能シート4におけるシート体21の支持ケーブル3と平行な縁部を広げて多機能シート4を正面視で略三角形状にして内部空間を形成し、その広げた縁部の保持部材22を対象物である地面に保持して連結する。すなわち、筒状部材24の下面が地面に接触した状態で、結合リング26を介してアンカー35の掘進部36を地面に埋設して、支持ケーブル3で支持された多機能シート4によって、テント部5の内部空間が形成されるように保持部材22を地面に保持して定着させる。
また、多機能シート4における支持ケーブル3の軸方向の一方側の端部のうちの傍軒43に多機能シート6を連結し、その多機能シート6の下側縁部に配置された保持部材22を地面に保持して、第1の切妻41を構成する。
さらに、多機能シート4における支持ケーブル3の軸方向の一方側の端部のうちの傍軒44に多機能シート7を連結し、その多機能シート7の下側縁部に配置された保持部材22を地面に保持して、第2の切妻42を構成する。
これら第1の切妻41および第2の切妻42によってテント部5からの出入口となる切妻部8が構成され、テント1が設営された状態となる。
そして、上記第1の実施の形態によれば、対象物に保持された状態の各保持部材22の外側が被覆部材23で被覆されるため、被覆部材23によって対象物との連結部分の止水性を向上でき、浸水防止性能を向上できる。
より具体的には、例えば保持部材22が地面に保持された状態では、テント部5の軒先に位置する保持部材22が被覆部材23で被覆されることになり軒先と地面との連結部分からの水の浸入を防止できる。また、例えば保持部材22が別の多機能シート6,7や他のシートに連結されて保持された状態では、そのシートと多機能シート4との連結部分が被覆部材23で被覆されることになりシート同士の連結部分からの水の浸入を防止できる。
また、多機能シート4は、保持部材22が、シート体21の縁部に沿って設けられた複数の筒状部材24と、その筒状部材24に挿入された挿入部材25と、挿入部材25に設けられた結合リング26とを有し、結合リング26を対象物に固定する構成であることにより、シート体21の縁部全体が対象物に密着するように保持できる。そのため、例えば風を受けた場合等のように外力が作用しても、従来のブルーシート等のようにハトメを介して対象物に連結する構成に比べて、力が特定の箇所に集中しにくいとともに、対象物とシート体21との間に風が入り込んでシート体21がはためきにくい。したがって、従来のブルーシート等の汎用シートに比べて、対象物に確実に保持し易いとともに、破損しにくく強度を向上できる。
また、多機能シート4は、挿入部材25が筒状部材24に対して固定されている構成であることにより、保持部材22の安定性を向上でき、被覆部材23による止水性を確保しやすい。
テント1は、多機能シート4を支持ケーブル3で支持して、その多機能シート4の下側の端部に位置する保持部材22を地面に保持するだけで設営できるため、設営作業が容易である。
また、テント1は、多機能シート4を操作ロープ11とともに支持ケーブル3に対してスライド可能にすることにより、操作ロープ11を引っ張るように操作するだけで、テント部5を開閉でき、テント1の設営や折畳操作を容易にできる。
さらに、テント1は、多機能シート4で形成された内部空間を有するテント部5と、このテント部5からの出入口となる切妻部8とを備えることにより、切妻部8で遮風性を向上できるとともに、プライバシーを確保しやすくなるため、使用する上での快適性を向上できる。
特に、切妻部8がテント部5から一方向に開放される第1の切妻41と、この第1の切妻41とは異なる方向へ開放された第2の切妻42とを有する構成にすることにより、快適性をより向上できる。
保持部材22を対象物である地面に保持するために結合リング26がアンカー35で固定される構成にすることにより、保持部材22を簡単かつ強固に地面に保持できる。
なお、上記第1実施の形態では、テント1は、1つの多機能シート4でテント部5が形成された構成としたが、このような構成には限定されず、複数の多機能シート4を連結させてテント部5を形成する構成にしてもよい。このように複数の多機能シート4を連結する場合には、保持部材22同士を互いに保持させるように連結し、その連結した保持部材22の外側を被覆部材23で被覆する構成が好ましい。
また、テント1は、テント部5からの出入口となる切妻部8を有する構成としたが、このような構成に限定されず、多機能シート4が支持ケーブル3に吊り下げられただけの切妻部8を有さない構成にしてもよい。
また、切妻部8を有する構成の場合には、切妻部8は、第1の切妻41と第2の切妻42とを有する二重の構成には限定されず、出入口として利用可能な構成であればよい。
さらに、切妻部8は、テント部5とは別体の多機能シート6,7で形成された構成としたが、このような構成には限定されず、切妻部8を構成するシートがテント部5に一体である構成や、多機能シート6,7とは異なる構成のシートで形成された構成等にしてもよい。
支持ケーブル3は、支持された状態の多機能シート4が操作ロープ11とともにスライド可能な構成としたが、このような構成には限定されず、支持ケーブル3は多機能シート4を支持可能な構成であればよい。
多機能シート4は、被支持部27が支持ケーブル3に支持された構成としたが、このような構成には限定されず、例えば、支持ケーブル3上にシート体21を覆い被せるようにして多機能シート4が支持される構成にしてもよい。
また、多機能シート4は、矩形状である構成としたが、このような構成には限定されず、シート体21の形状は適宜選択可能である。
さらに、多機能シート4は、シート体21の対向する2つの縁部に保持部材22および被覆部材23が設けられた構成としたが、このような構成には限定されず、保持部材22および被覆部材23はシート体21に設けられていればよく、シート体21における保持部材22および被覆部材23の配置は適宜設計できる。
保持部材22は、筒状部材24と挿入部材25とを有する構成としたが、このような構成には限定されず、地面や他のシート等の対象物に保持可能な構成であればよい。
また、保持部材22が筒状部材24と挿入部材25とを有する構成の場合には、シート体21の縁部に沿って複数の筒状部材24が設けられた構成には限定されず、シート体21の縁部全体に亘って1つの筒状部材24が設けられた構成等にしてもよい。
さらに、保持部材22は、必要に応じて隣り合う挿入部材25の端部の結合リング26同士が結合される構成にしてもよい。
アンカー35は、L字状である構成には限定されず、例えば図4(a)に示すアンカー45のように、円形状の係合部45aの下部に棒状(釘状)の掘進部45bが設けられた構成や、図4(b)に示すアンカー46のように、コ字状の係合部46aの下部に棒状(釘状)の掘進部46bが設けられた構成や、図4(c)に示すアンカー47のように、係合部47aが円形状でその下側に設けられた掘進部47bがワインオープナー(いわゆるコルク抜き)のようなスパイラル形状、すなわち螺旋形状である構成等にしてもよい。図4(c)に示すアンカー47は、回転させることでスパイラル形状の掘進部47bが螺合するように地面に掘進して挿入されるため、簡単な構成でより強力に、保持部材22を対象物である地面に保持しやすい。
また、多機能シート4は、テント1用として用いるだけでなく、例えば、倒壊家屋における倒壊部分を被覆する囲い等のように、対象物の所定部分を被覆する目的で使用することができる。この場合には、倒壊部分をシート体21で覆い、保持部材22を倒壊家屋の倒壊部分の周囲に保持することにより、シート体21の縁部からの雨水等の水分の浸入を防止できる。
次に、第2の実施の形態を図面を参照して説明する。なお、上記第1の実施の形態と同一の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
この第2の実施の形態に係るテント51は、図5に示すように、上記第1の実施の形態における支持体2に代えて、平面視で三角形状の支持体としての二又支柱52を用いたものである。
二又支柱52は、第1の柱部材53の軸方向の一端部(上端部)と、第2の柱部材54の軸方向の一端部(上端部)とが、キャップ状の上部連結体55で連結されている。また、これら第1の柱部材53の軸方向の他端部(下端部)と、第2の柱部材54の軸方向の他端部(下端部)とが、互いに離間した状態で下部連結体56に連結されて、正面視で三角形状に構成される。
上部連結体55は、第1の柱部材53の上端部および第2の柱部材54の上端部を挿入して接続可能である。そして、上部連結体55に第1の柱部材53および第2の柱部材54を接続することで、その上部連結体55が二又支柱52の三角形の頂点となる。
下部連結体56は、第1の柱部材53の下端部および第2の柱部材54の下端部を接続可能な2つの第1の接続部57と、これら第1の接続部57に接続された柱状の第2の接続部58とを有している。
第1の接続部57は、外周面に第1の柱部材53の下端部および第2の柱部材54の下端部を接続可能であるとともに、軸方向の内側端部に第2の接続部58を接続可能である。
すなわち、下部連結体56は、第1の柱部材53および第2の柱部材54を第1の接続部57に接続した状態で、第1の柱部材53および第2の柱部材54と交差して三角形をなすように第1の接続部57に柱状の第2の接続部58を接続可能である。
このような二又支柱52の三角形の頂点には、支持ケーブル59を接続可能である。
そして、互いに離間し対向した状態の1対の二又支柱52の頂点に支持ケーブル59が接続され、その支持ケーブル59の一端部がウインチ68に巻き付けられ、支持ケーブル59の他端部が地面に定着して固定されて、支持ケーブル59が張設される。
なお、上記テント51を設営する際には、対をなす2つの二又支柱52それぞれを図6に二点鎖線で示すように地面に伏した状態とし、各二又支柱52の三角形の頂点に支持ケーブル59を接続する。
また、支持ケーブル59における一端部をウインチ68に接続し、他端部をアンカー47によって地面に固定して保持する。
アンカー47は、係合部47aに支持ケーブル59の他端部が結合された状態で、スパイラル形状の掘進部47bが螺合するように地中に埋設されることで、支持ケーブル59の他端部を強固に地面に保持できる。したがって、例えば木や柱等の支持体2を利用できない場合であっても、支持ケーブル59を強固に張設できる。
このように地面に保持された状態で二又支柱52が接続された支持ケーブル59の外側から多機能シート60を覆い被せるようにして、多機能シート60を支持ケーブル59に連結部材13を介して連結する。
そして、ウインチ68によって支持ケーブル59を巻き取ることにより、支持ケーブル59の緊張に伴って各二又支柱52が連動して徐々に起立し、図6に実線で示すように二又支柱52が起立した状態となり、これら1対の二又支柱52間に支持ケーブル59が張設されるとともに、支持ケーブル59上に多機能シート60が覆い被さって、吊り下げされるように支持される。
さらに、この多機能シート60の下側縁部を広げた状態で、その下側縁部に設けられた保持部材22を地面に保持する。
このように、二又支柱52によって支持ケーブル59を張設する構成では、例えば柱や木等の支持体がない場所であっても、テント51を設営可能である。
なお、支持ケーブル59には、図示しないケーブルカバーを介して多機能シート60が支持されることにより、支持ケーブル59と多機能シート60との摩擦による多機能シート60の損傷を防止できるので好ましい。
上記第2の実施の形態では、対を成す2つの二又支柱52が互いに離間し対向した状態で設置され、それら二又支柱52に張設された支持ケーブル59に多機能シート60が支持される構成としたが、二又支柱52の数や配置は適宜変更できる。
すなわち、例えば図7に示す変形例のように、複数対(例えば3対)の二又支持部材61,62,63を用い、二又支持部材61の両脇に、この二又支持部材61より高さ寸法の小さい二又支持部材62,63が位置するように、それぞれ並列に離間して配置し、各二又支持部材61,62,63それぞれに別個の支持ケーブル64,65,66を張設して、これら支持ケーブル64,65,66で、1つの多機能シート60が支持されて、テント部67がアーチ状である構成にしてもよい。
なお、この図7に示す変形例のように複数対の二又支持部材61,62,63を用いる場合には、全て同じ高さ寸法のものを用いてもよく、二又支持部材61,62,63の大きさや配置は適宜変更できる。
次に、第3の実施の形態を図面を参照して説明する。なお、上記実施の形態と同一の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
図8および図9に示すように、テント部5を構成する多機能シート4には、別体の多機能シート71が結合されて、上下方向に開閉可能なシャッター式の切妻部72が構成されている。
この切妻部72を構成する多機能シート71は、傍軒43および傍軒44に接続されて、テント部5から引き出された支持ケーブル59およびウインチ68の外側を覆うように、支持ケーブル59に沿って配設されている。
このように多機能シート71によって支持ケーブル59およびウインチ68が覆われ、多機能シート71の下端部が地面に接触した状態にすることにより、テント部5は出入口が閉塞された全閉状態となる。
全閉状態の切妻部72は、略三角錐状に構成されている。すなわち、多機能シート71は支持ケーブル59からテント部5側へ向かって漸次外側へ拡がるように構成されている。
このような多機能シート71は、支持ケーブル59に沿って上下方向へ移動可能である。すなわち、多機能シート71の下端部の中央部には、図示しない操作ロープの一端部が接続されている。その操作ロープは、他端部側が図示しない滑車を介して所定の方向に引き出されている。
そして、操作ロープの他端部側へ引くことにより、操作ロープの一端部に接続された多機能シート71の下端部が支持ケーブル59に沿って上昇し、図9に示すように、多機能シート71が折り畳まれるように収縮される。その結果、テント部5は、出入口が開放された全開状態となる。
このように切妻部72をシャッター式で上下方向に開閉可能な構成にすることにより、テント部5の出入口の開閉操作が容易となる。
また、多機能シート71を支持ケーブル59に沿って配設して、三角錐状の切妻部72とすることで、第1の実施の形態における切妻部8に比べて、全閉状態における風の抵抗を軽減できる。
なお、上記第3の実施の形態では、切妻部72全体を上下に開閉できる構成としたが、例えば図10および図11に示す各変形例のように切妻部72の一部を開閉可能な構成にしてもよい。
図10に示す変形例では、切妻部72を構成する多機能シート71の下端部の外側端部において、挿入部材73に対して筒状部材74および被覆部材75がスライド可能に構成されている。
すなわち、切妻部72の下側角部において、挿入部材73に対して筒状部材74および被覆部材75を移動させることで、切妻部72の一部(下側角部)が横方向に開閉される。
また、図11に示す変形例では、切妻部72を構成する多機能シート71の下端縁部において、外側の端部に位置する挿入部材76が、隣り合う内側の図示しない挿入部材に対して回動可能に連結されている。
また、切妻部72を構成する多機能シート71の傍軒44に接続された側縁部において、下側の端部に位置する挿入部材77が隣り合う上側の図示しない挿入部材に対して回動可能に連結されている。
そして、切妻部72の下側角部に配置された、挿入部材76を筒状部材78とともに回動させるとともに、挿入部材77を筒状部材79とともに回動させることで、切妻部72の一部(下側角部)が開閉される。
なお、切妻部72の下側角部が開閉される構成であれば、多機能シート71の下端縁部における最も外側の端部に位置する挿入部材76、および、多機能シート71の側縁部における最も下側の端部に位置する挿入部材77のみが回動可能である構成には限定されない。すなわち、多機能シート71の下側縁部における外側から2つめの挿入部材76と、多機能シート71の側縁部における下側から2つめの挿入部材77とを回動させる等のように、用途(出入りする対象等)に応じて回動させる挿入部材76,77は適宜変更できる。
これら図10および図11に示す変形例のように、切妻部72の一部を開閉可能な構成にすることにより、人の出入りの際や物の出し入れの際に、切妻部72全体を開閉する必要がなく、用途に応じて容易に開閉できる。
また、切妻部72の一部を開閉可能な構成にすることで、図8および図9に示す全体を開閉する構成に比べて、テント部5内に外気が入りにくくできる。
ここで、図8および図9に示す第3の実施の形態や、図10や図11に示す変形例等では、図12に示す角度調整が自在な挿入部材81が用いられることが好ましい。
この挿入部材81は、結合部材としての結合リング82に軸部83が一体に接続されている。また、軸部83の外側に棒状部84が設けられおり、この棒状部84は、軸部83に対して周方向に回転可能である。
結合リング82は、隣り合う挿入部材81の結合リング82に対して回動可能に結合されている。すなわち、一の挿入部材81の結合リング82と、その一の挿入部材81に隣り合う他の挿入部材81の結合リング82とは、平面視で重なり合った状態にて、ワッシャ85を介してボルト86で連結され、ボルト86の中心軸を中心として周方向に互いに回動可能である。そして、一の挿入部材81と、その一の挿入部材81に隣り合う他の挿入部材81とを互いに回動させることにより、これら隣り合う一の挿入部材81と他の挿入部材81との角度を調整可能である。
このように軸部83に対して棒状部84が周方向に回転可能で、かつ、隣り合う挿入部材81同士の角度調整が可能な挿入部材81を用いることにより、図8および図9に示すように切妻部72が上下方向に開閉可能な構成や、図10および図11に示すように切妻部72の一部が開閉可能な構成等において、開閉する際の切妻部72の動作に応じて角度や状態を自在に調整できるため、より正確かつ容易に開閉動作を行なうことができる。