JP2018064101A - 非発光性有機半導体デバイス用塗布液、有機トランジスタ、化合物、非発光性有機半導体デバイス用有機半導体材料、有機トランジスタ用材料、有機トランジスタの製造方法および有機半導体膜の製造方法の提供 - Google Patents
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Abstract
Description
ここで、有機トランジスタ用材料として、チエノ[3,2−f:4,5−f’]ビス[1]ベンゾチオフェン(以下、TBBTとも言う)構造を内部に有する化合物が知られている。例えば、非特許文献1は、チエノ[3,2−f:4,5−f’]ビス[1]ベンゾチオフェンに炭素数6のアルキル基が置換した化合物C6−TBBTや、炭素数12のアルキル基が置換した化合物C12−TBBTの合成方法と物性として、吸収・発光スペクトル、CV(サイクリックボルタンメトリー)を開示している。なお、非特許文献1には、有機トランジスタへの応用は非特許文献1のイントロダクション部に記載あるが、溶液の吸収・発光スペクトルや酸化還元電位を測定しているのみであり、膜の形成や、膜としての物性、キャリア移動度等の有機トランジスタ特性評価等の記載は無かった。
上記課題を解決するための具体的な手段である本発明は、以下の構成を有する。
一般式(2)
一般式(2)中の芳香族部分にハロゲン原子が置換してもよい。
[2] [1]に記載の非発光性有機半導体デバイス用塗布液は、一般式(2)で表される化合物が、下記条件A、条件B、条件Cまたは条件Dを満たすことが好ましい;
条件A:一般式(2)中、R11およびR12はそれぞれ独立に総炭素数3〜30であり、かつ、
炭素数8〜10であり炭素数が偶数の無置換の直鎖アルキル基、
炭素数3〜15であり炭素数が奇数の無置換の直鎖アルキル基、
炭素数3〜15の置換の直鎖アルキル基または
炭素数3〜18の置換もしくは無置換の分岐アルキル基
を表し、
一般式(2)中の芳香族部分にハロゲン原子が置換してもよい;
条件B:一般式(2)中、R11およびR12はそれぞれ独立に総炭素数3〜30であり、かつ、炭素数が2〜4であり炭素数が偶数の無置換の直鎖アルキル基を表す;
条件C:一般式(2)中、
R11およびR12はそれぞれ独立に総炭素数3〜30であり、かつ、
炭素数1または2の置換のアルキル基である;
条件D:一般式(2)中、R11およびR12はそれぞれ独立に総炭素数3〜30であり、かつ、R11およびR12は互いに異なる構造である。
[3] [2]に記載の非発光性有機半導体デバイス用塗布液は、一般式(2)で表される化合物が、下記条件Aを満たすことが好ましい;
条件A:一般式(2)中、
R11およびR12はそれぞれ独立に総炭素数3〜30であり、かつ、
炭素数8〜10であり炭素数が偶数の無置換の直鎖アルキル基、
炭素数3〜15であり炭素数が奇数の無置換の直鎖アルキル基、
炭素数3〜15の置換の直鎖アルキル基または
炭素数3〜18の置換もしくは無置換の分岐アルキル基
を表し、
一般式(2)中の芳香族部分にハロゲン原子が置換してもよい。
[4] [3]に記載の非発光性有機半導体デバイス用塗布液は、一般式(2)中、
R11およびR12はそれぞれ独立に総炭素数3〜30であり、かつ、
炭素数8〜10であり炭素数が偶数の無置換の直鎖アルキル基、
炭素数3〜15であり炭素数が奇数の無置換の直鎖アルキル基、
を表すことが好ましく、
一般式(2)中の芳香族部分にハロゲン原子が置換してもよい。
[5] [3]または[4]に記載の非発光性有機半導体デバイス用塗布液は、一般式(2)中、R11およびR12はそれぞれ独立に総炭素数3〜30であり、かつ、
エーテル構造またはエステル結合を介して置換基で置換された炭素数3〜15の直鎖アルキル基であることが好ましい。
[6] [2]に記載の非発光性有機半導体デバイス用塗布液は、一般式(2)で表される化合物が、下記条件Bを満たすことが好ましい;
条件B:一般式(2)中、R11およびR12はそれぞれ独立に総炭素数3〜30であり、かつ、炭素数が2〜4であり炭素数が偶数の無置換の直鎖アルキル基を表す。
[7] [2]に記載の非発光性有機半導体デバイス用塗布液は、一般式(2)で表される化合物が、下記条件Cを満たすことが好ましい;
条件C:一般式(2)中、
R11およびR12はそれぞれ独立に総炭素数3〜30であり、かつ、
炭素数1または2の置換のアルキル基である。
[8] [7]に記載の非発光性有機半導体デバイス用塗布液は、一般式(2)中、
R11およびR12はそれぞれ独立に総炭素数3〜30であり、かつ、
エーテル構造またはエステル結合を介して置換基で置換された炭素数1または2のアルキル基であることが好ましい。
[9] [2]に記載の非発光性有機半導体デバイス用塗布液は、一般式(2)で表される化合物が、下記条件Dを満たすことが好ましい;
条件D:一般式(2)中、R11およびR12はそれぞれ独立に総炭素数3〜30であり、かつ、R11およびR12は互いに異なる構造である。
[10] [9]に記載の非発光性有機半導体デバイス用塗布液は、一般式(2)中、R11およびR12はそれぞれ独立に総炭素数3〜30であり、かつ、R11は無置換の直鎖のアルキル基であり、R12はR11とは異なる置換または無置換の直鎖または分岐アルキル基であることが好ましい。
[11] [10]に記載の非発光性有機半導体デバイス用塗布液は、一般式(2)中、R11およびR12はそれぞれ独立に総炭素数3〜30であり、かつ、R11およびR12はそれぞれ独立に無置換の直鎖のアルキル基であり、R11とR12とは互いに異なる構造であることが好ましい。
[12] 下記一般式(2)で表される化合物を半導体活性層に含む有機トランジスタ;
一般式(2)
一般式(2)中の芳香族部分にハロゲン原子が置換してもよい。
[13] [12]に記載の有機トランジスタは、一般式(2)で表される化合物が、下記条件Aを満たすことが好ましい;
条件A:一般式(2)中、
R11およびR12はそれぞれ独立に総炭素数3〜30であり、かつ、
炭素数8〜10であり炭素数が偶数の無置換の直鎖アルキル基、
炭素数3〜15であり炭素数が奇数の無置換の直鎖アルキル基、
炭素数3〜15の置換の直鎖アルキル基または
炭素数3〜18の置換もしくは無置換の分岐アルキル基
を表し、
一般式(2)中の芳香族部分にハロゲン原子が置換してもよい。
[14] 下記一般式(2)で表される化合物であって、
下記条件A、条件B、条件Cまたは条件Dを満たす、化合物;
一般式(2)
一般式(2)中の芳香族部分にハロゲン原子が置換してもよい;
条件A:一般式(2)中、R11およびR12はそれぞれ独立に総炭素数3〜30であり、かつ、
炭素数8〜10であり炭素数が偶数の無置換の直鎖アルキル基、
炭素数3〜15であり炭素数が奇数の無置換の直鎖アルキル基、
炭素数3〜15の置換の直鎖アルキル基または
炭素数3〜18の置換もしくは無置換の分岐アルキル基
を表し、
一般式(2)中の芳香族部分にハロゲン原子が置換してもよい;
条件B:一般式(2)中、R11およびR12はそれぞれ独立に総炭素数3〜30であり、かつ、炭素数が2〜4であり炭素数が偶数の無置換の直鎖アルキル基を表す;
条件C:一般式(2)中、
R11およびR12はそれぞれ独立に総炭素数3〜30であり、かつ、
炭素数1または2の置換のアルキル基である;
条件D:一般式(2)中、R11およびR12はそれぞれ独立に総炭素数3〜30であり、かつ、R11およびR12は互いに異なる構造である。
[15] [14]に記載の化合物は、一般式(2)で表される化合物が、下記条件Aを満たすことが好ましい;
条件A:一般式(2)中、
R11およびR12はそれぞれ独立に総炭素数3〜30であり、かつ、
炭素数8〜10であり炭素数が偶数の無置換の直鎖アルキル基、
炭素数3〜15であり炭素数が奇数の無置換の直鎖アルキル基、
炭素数3〜15の置換の直鎖アルキル基または
炭素数3〜18の置換もしくは無置換の分岐アルキル基
を表し、
一般式(2)中の芳香族部分にハロゲン原子が置換してもよい。
[16] [14]または[15]に記載の化合物を含有する非発光性有機半導体デバイス用有機半導体材料。
[17] [14]または[15]に記載の化合物を含有する有機トランジスタ用材料。
[18] [14]または[15]に記載の化合物を含有する非発光性有機半導体デバイス用塗布液。
[19] [14]または[15]に記載の化合物を半導体活性層に含む有機トランジスタ。
[20] [1]〜[11]および[18]のいずれか一つに記載の非発光性有機半導体デバイス用塗布液を基板上に塗布し、乾燥させることにより半導体活性層を作製する工程を含む有機トランジスタの製造方法。
[21] 下記一般式(2)で表される化合物と沸点100℃以上の溶媒を含む塗布液を、
基板Aと、基板Aに固着していない部材Bとの距離を一定の距離に保った状態、または、基板Aと部材Bを接触させた状態を維持しながら、
基板Aと部材Bの両方に接するように基板Aの面内の一部に滴下し、
滴下した塗布液を徐々に乾燥させることにより一般式(2)で表される化合物の結晶を析出させて半導体活性層を形成する、有機半導体膜の製造方法;
ただし、基板Aと部材Bとの距離を一定の距離に保った状態、または、基板Aと部材Bを接触させた状態を維持している限り、塗布液を滴下または乾燥させる際に基板Aと部材Bとの位置関係を静止させてもよいし、動かしてもよい;
一般式(2)
一般式(2)中の芳香族部分にハロゲン原子が置換してもよい。
[22] [14]または[15]に記載の化合物を溶媒に溶解した塗布液を、
基板Aと、基板Aに固着していない部材Bとの距離を一定の距離に保った状態、または、基板Aと部材Bを接触させた状態を維持しながら、
基板Aと部材Bの両方に接するように基板Aの面内の一部に滴下し、
滴下した塗布液を徐々に乾燥させることにより[14]または[15]に記載の化合物の結晶を析出させて半導体活性層を形成する、有機半導体膜の製造方法;
ただし、基板Aと部材Bとの距離を一定の距離に保った状態、または、基板Aと部材Bを接触させた状態を維持している限り、塗布液を滴下または乾燥させる際に基板Aと部材Bとの位置関係を静止させてもよいし、動かしてもよい。
[101] [1]〜[11]のいずれか一つに記載の非発光性有機半導体デバイス用塗布液は、沸点100℃以上の溶媒が非ハロゲン系溶媒であることが好ましい。
[102] [1]〜[11]および[18]のいずれか一つに記載の非発光性有機半導体デバイス用塗布液は、一般式(2)で表される化合物の濃度が0.4質量%以上であることが好ましい。
[103] [1]〜[11]および[18]のいずれか一つに記載の非発光性有機半導体デバイス用塗布液は、一般式(2)で表される化合物を2種以上含むことが好ましい。
[104] [1]〜[11]および[18]のいずれか一つに記載の非発光性有機半導体デバイス用塗布液は、粘度が10mPa・s以上であることが好ましい。
[105] [1]〜[11]および[18]のいずれか一つに記載の非発光性有機半導体デバイス用塗布液は、ポリマーを含むことが好ましい。
[106] 下記一般式(2)で表される化合物を含む塗布膜。
一般式(2)
一般式(2)中の芳香族部分にハロゲン原子が置換してもよい。
[107] [14]または[15]に記載の化合物を含む塗布膜。
本発明において、各一般式の説明において特に区別されずに用いられている場合における水素原子は同位体(重水素原子等)も含んでいることを表す。さらに、置換基を構成する原子は、その同位体も含んでいることを表す。
本発明の非発光性有機半導体デバイス用塗布液の第1の態様は、下記一般式(2)で表される化合物と沸点100℃以上の溶媒を含む;
一般式(2)
一般式(2)中の芳香族部分にハロゲン原子が置換してもよい。
本発明の非発光性有機半導体デバイス用塗布液の第2の態様は、後述の本発明の化合物を含有する非発光性有機半導体デバイス用塗布液である。
一般式(2)
なお、本発明の有機トランジスタの第1の態様は、半導体活性層が一般式(2)で表される化合物と沸点100℃以上の溶媒を含んでいてもよく、半導体活性層が一般式(2)で表される化合物(ただし、条件A、条件B、条件Cまたは条件Dを満たす化合物を除く)と沸点100℃以上の溶媒を含んでいてもよい。
また、本発明の有機トランジスタの第1の態様は、半導体活性層が一般式(2)で表される化合物と沸点100℃以上の溶媒を含む液から製造されてなることが好ましく、半導体活性層が一般式(2)で表される化合物(ただし、条件A、条件B、条件Cまたは条件Dを満たす化合物を除く)と沸点100℃以上の溶媒を含む液から製造されてなることがより好ましい。
本発明の有機トランジスタの第2の態様は、後述の本発明の化合物を半導体活性層に含む有機トランジスタである。
本発明の非発光性有機半導体デバイス用塗布液の第1の態様と第2の態様について、まとめて以下に説明する。
下記一般式(2)で表される化合物について説明する。
一般式(2)
一般式(2)で表される化合物の構造の好ましい態様について説明する。
一般式(2)中、R11およびR12が表すアルキル基は、特に制限はないが、炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよい。一般式(2)中、R11およびR12が表すアルキル基は、総炭素数3〜30であり、かつ、炭素数8〜10であり炭素数が偶数の無置換の直鎖アルキル基、炭素数3〜15であり炭素数が奇数の無置換の直鎖アルキル基、炭素数3〜15の置換の直鎖アルキル基または炭素数3〜18の置換もしくは無置換の分岐アルキル基であることがより好ましい。R11およびR12が表すアルキル基の特に好ましい範囲は、後述の条件A、条件B、条件Cまたは条件Dを満たす範囲と同様である。
一般式(2)中、R11およびR12が表すアルケニル基は、特に制限はないが、炭素数2〜30のアルケニル基が好ましく、炭素数3〜18のアルケニル基より好ましく、炭素数5〜13のアルケニル基が特に好ましい。
一般式(2)中、R11およびR12が表すアルキニル基は、特に制限はないが、炭素数2〜30のアルキニル基が好ましく、炭素数3〜18のアルキニル基より好ましく、炭素数5〜13のアルキニル基が特に好ましい。
一般式(2)中、R11およびR12が表すアルコキシ基は、特に制限はないが、炭素数1〜30のアルコキシ基が好ましく、炭素数3〜18のアルコキシ基より好ましく、炭素数5〜13のアルコキシ基が特に好ましい。
上述の一般式(2)で表される化合物は、R11およびR12がアルキル基であることが好ましい。
また、これら置換基は、さらに上記置換基を有していてもよい。
なお、一般式(2)中の芳香族部分にハロゲン原子以外の置換基が置換した場合も、一般式(2)中の芳香族部分が無置換の場合または一般式(2)中の芳香族部分にハロゲン原子が置換した場合と同様に高キャリア移動度の有機トランジスタが得られ、一般式(2)で表される化合物に高溶解性等の機能を付与することが可能である。
上述の一般式(2)で表される化合物は、一般式(2)中のR11またはR12が置換しているチオフェン環部分にR11およびR12以外の置換基がさらに置換した場合も、R11またはR12が置換しているチオフェン環部分が無置換の場合と同様に高キャリア移動度の有機トランジスタが得られ、一般式(2)で表される化合物に高溶解性等の機能を付与することが可能である。
本発明では、一般式(2)で表される化合物が、下記条件A、条件B、条件Cまたは条件Dを満たすことが好ましい;
条件A:一般式(2)中、R11およびR12はそれぞれ独立に総炭素数3〜30であり、かつ、
炭素数8〜10であり炭素数が偶数の無置換の直鎖アルキル基、
炭素数3〜15であり炭素数が奇数の無置換の直鎖アルキル基、
炭素数3〜15の置換の直鎖アルキル基または
炭素数3〜18の置換もしくは無置換の分岐アルキル基
を表し、
一般式(2)中の芳香族部分にハロゲン原子が置換してもよい;
条件B:一般式(2)中、R11およびR12はそれぞれ独立に総炭素数3〜30であり、かつ、炭素数が2〜4であり炭素数が偶数の無置換の直鎖アルキル基を表す;
条件C:一般式(2)中、
R11およびR12はそれぞれ独立に総炭素数3〜30であり、かつ、
炭素数1または2の置換のアルキル基である;
条件D:一般式(2)中、R11およびR12はそれぞれ独立に総炭素数3〜30であり、かつ、R11およびR12は互いに異なる構造である。
条件A、条件B、条件Cまたは条件Dを満たす化合物は新規化合物であって、本発明の化合物と言う。すなわち、本発明の化合物は、一般式(2)で表される化合物であって、下記条件A、条件B、条件Cまたは条件Dを満たす化合物である。本発明の化合物は、本発明の有機トランジスタにおいて、後述の半導体活性層に含まれる。すなわち、本発明の化合物は、有機トランジスタ用材料として用いることができる。
特に、Tetrahedron 66 (2010) 8778〜8784に記載されているチエノ[3,2−f:4,5−f’]ビス[1]ベンゾチオフェンに炭素数6のアルキル基が置換した化合物C6−TBBTや、炭素数12のアルキル基が置換した化合物C12−TBBTに対し、本発明の化合物を半導体活性層に含むことで、本発明の有機トランジスタの中でもよりキャリア移動度が高まる。
いかなる理由に拘泥するものでもないが、この理由として本発明者らは以下の理由を考える。本発明の化合物が満たすような特定のアルキル鎖長、または形状を選択することにより、分子間の軌道の重なりが大きくなることによって、本発明の有機トランジスタの中でもよりキャリア移動度を高めることができる。
本発明では、一般式(2)で表される化合物が、下記条件Aを満たすことがより好ましい;
条件A:一般式(2)中、
R11およびR12はそれぞれ独立に総炭素数3〜30であり、かつ、
炭素数8〜10であり炭素数が偶数の無置換の直鎖アルキル基、
炭素数3〜15であり炭素数が奇数の無置換の直鎖アルキル基、
炭素数3〜15の置換の直鎖アルキル基または
炭素数3〜18の置換もしくは無置換の分岐アルキル基
を表し、
一般式(2)中の芳香族部分にハロゲン原子が置換してもよい。
また、これら置換基は、さらに上記置換基を有していてもよい。
これらの中でも、とりうる置換基として、ハロゲン原子、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、複素環基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アシルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルオキシカルボニル基が好ましく、フッ素原子、炭素数6〜20のアリール基、炭素数2〜12のアルケニル基(1−アルケニル基であることが好ましい)、炭素数2〜12のアルキニル基、炭素数1〜11のアルコキシ基、アシルオキシ基、炭素数1〜12のアルキルチオ基、アルキルオキシカルボニル基がより好ましく、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、アルキルオキシカルボニル基が特に好ましく、ハロゲン原子、アルコキシ基が最も好ましい。
なお、R11およびR12がフッ素原子で置換されたアルキル基である場合は、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されていても、全てがフッ素原子で置換されてパーフルオロアルキル基を形成してもよい。
ただし、R11およびR12は無置換の直鎖アルキル基または分岐アルキル基であることが好ましい。
ただし、R11およびR12は、直鎖アルキル基中の隣り合わない−CH2−基、あるいは、分岐アルキル基中の隣り合わない−CH2−基、3価の三級炭素原子連結基または4価の四級炭素原子連結基が他の原子連結基に置換されていないことが好ましい。
炭素数8〜10であり炭素数が偶数の無置換の直鎖アルキル基、
炭素数3〜15であり炭素数が奇数の無置換の直鎖アルキル基、
を表すことが好ましく、
一般式(2)中の芳香族部分にハロゲン原子が置換してもよい。
エーテル構造またはエステル結合を介して置換基で置換された炭素数3〜15の直鎖アルキル基であることが好ましい。
エーテル構造またはエステル結合を介して置換される置換基としては、R11およびR12がとり得る置換基を挙げることができ、その中でもアルキル基が好ましく、直鎖アルキル基であることがより好ましい。エーテル構造またはエステル結合を介して置換される置換基の炭素数は1〜10であることが好ましく、1〜5であることがより好ましく、2〜5であることが特に好ましい。
本発明では、一般式(2)で表される化合物が、下記条件Bを満たすことがより好ましい;
条件B:一般式(2)中、R11およびR12はそれぞれ独立に総炭素数3〜30であり、かつ、炭素数が2〜4であり炭素数が偶数の無置換の直鎖アルキル基を表す。
本発明では、一般式(2)で表される化合物が、下記条件Cを満たすことがより好ましい;
条件C:一般式(2)中、R11およびR12はそれぞれ独立に総炭素数3〜30であり、かつ、炭素数1または2の置換のアルキル基である。
条件Cを満たす中でも、R11およびR12はそれぞれ独立に総炭素数3〜30であり、かつ、エーテル構造またはエステル結合を介して置換基で置換された炭素数1または2のアルキル基であることが好ましい。
エーテル構造またはエステル結合を介して置換される置換基としては、R11およびR12がとり得る置換基を挙げることができ、その中でもアルキル基が好ましく、直鎖アルキル基であることがより好ましい。エーテル構造またはエステル結合を介して置換される置換基の炭素数は1〜10であることが好ましく、1〜5であることがより好ましく、2〜5であることが特に好ましい。
本発明では、一般式(2)で表される化合物が、下記条件Dを満たすことがより好ましい;
条件D:一般式(2)中、R11およびR12はそれぞれ独立に総炭素数3〜30であり、かつ、R11およびR12は互いに異なる構造である。
条件Dを満たす中でも、R11およびR12はそれぞれ独立に総炭素数3〜30であり、かつ、R11は無置換の直鎖のアルキル基であり、R12はR11とは異なる置換または無置換の直鎖または分岐アルキル基であることが好ましい。その中でも、R11およびR12はそれぞれ独立に総炭素数3〜30であり、かつ、R11およびR12はそれぞれ独立に無置換の直鎖のアルキル基であり、R11とR12とは互いに異なる構造であることが好ましい。
一方で、膜の膜質安定性の観点からは、分子量は250以上であることが好ましく、300以上であることがより好ましく、350以上であることがさらに好ましい。
一般式(2)で表される化合物の合成において、いかなる反応条件を用いてもよい。反応溶媒としては、いかなる溶媒を用いてもよい。また、環形成反応促進のために、酸または塩基を用いることが好ましく、特に酸を用いることが好ましい。最適な反応条件は、目的とする化合物の構造により異なるが、上記の文献に記載された具体的な反応条件または後述の実施例記載の方法を参考に設定することができる。
溶液プロセスを用いて基板上に成膜する場合、層を形成する材料を適当な有機溶媒(例えば、ヘキサン、オクタン、デカン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、アミルベンゼン、デカリン、1−メチルナフタレン、1−エチルナフタレン、1,6−ジメチルナフタレン、テトラリンなどの炭化水素系溶媒、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン、プロピオフェノン、ブチロフェノン、α−テトラロン、β−テトラロンなどのケトン系溶媒、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、クロロトルエン、1−フルオロナフタレンなどのハロゲン化炭化水素系溶媒、ピリジン、ピコリン、キノリン、チオフェン、3−ブチルチオフェン、チエノ[2,3−b]チオフェン等の複素環系溶媒、2−クロロチオフェン、3−クロロチオフェン、2,5−ジクロロチオフェン、3,4−ジクロロチオフェン、2−ブロモチオフェン、3−ブロモチオフェン、2,3−ジブロモチオフェン、2,4−ジブロモチオフェン、2,5−ジブロモチオフェン、3,4−ジブロモチオフェン、3,4−ジクロロ−1,2,5−チアジアゾール等のハロゲン化複素環系溶媒、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸−2−エチルヘキシル、γ−ブチロラクトン、酢酸フェニルなどのエステル系溶媒、例えば、メタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチレングリコールなどのアルコール系溶媒、例えば、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、アニソール、エトキシベンゼン、プロポキシベンゼン、イソプロポキシベンゼン、ブトキシベンゼン、2−メチルアニソール、3−メチルアニソール、4−メチルアニソール、4−エチルアニソール、ジメチルアニソール(2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−、3,5−、3,6−のいずれか)、1,4−ベンゾジオキサン、2,3−ジヒドロベンゾフラン、フタラン、クロマン、イソクロマンなどのエーテル系溶媒、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドン、1−メチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等のアミド・イミド系溶媒、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒、リン酸トリメチルなどのリン酸エステル系溶媒、アセトニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル系溶媒、ニトロメタン、ニトロベンゼンなどのニトロ系溶媒および/または水に溶解、または分散させて塗布液とし、各種の塗布法により膜を形成することができる。溶媒は単独で用いてもよく、複数組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒、複素環系溶媒、ハロゲン化複素環系溶媒またはエーテル系溶媒が好ましく、トルエン、キシレン、メシチレン、アミルベンゼン、テトラリン、アセトフェノン、プロピオフェノン、ブチロフェノン、α−テトラロン、ジクロロベンゼン、アニソール、エトキシベンゼン、プロポキシベンゼン、イソプロポキシベンゼン、ブトキシベンゼン、2−メチルアニソール、3−メチルアニソール、4−メチルアニソール、2,3−ジヒドロベンゾフラン、フタラン、クロマン、イソクロマン、1−フルオロナフタレン、3−クロロチオフェン、2,5−ジブロモチオフェンがより好ましく、トルエン、キシレン、テトラリン、アセトフェノン、プロピオフェノン、ブチロフェノン、α−テトラロン、アニソール、エトキシベンゼン、プロポキシベンゼン、ブトキシベンゼン、2−メチルアニソール、3−メチルアニソール、4−メチルアニソール、2,3−ジヒドロベンゾフラン、フタラン、クロマン、イソクロマン、1−フルオロナフタレン、3−クロロチオフェン、2,5−ジブロモチオフェンが特に好ましい。
本発明の非発光性有機半導体デバイス用塗布液の第1の態様では、これらの溶媒の中でも沸点100℃以上の溶媒を用いる。本発明の非発光性有機半導体デバイス用塗布液の第1の態様は、沸点100℃以上の溶媒を含むことで、膜質が良好な点と面積の大きな結晶を得ることができるという利点があり、本発明の有機半導体膜の製造方法に好適に用いられる。
また、本発明の非発光性有機半導体デバイス用塗布液の第2の態様でも、沸点100℃以上の溶媒を用いることが同様の観点から好ましい。
これらの観点からは沸点100℃以上の溶媒が、沸点150℃以上であることがより好ましく、沸点175℃以上であることがさらに好ましく、沸点200℃以上であることが特に好ましい。
また、沸点100℃以上の溶媒が非ハロゲン系溶媒であることが環境負荷や人への毒性の観点から特に好ましい。
また、本発明の非発光性有機半導体デバイス用塗布液は、一般式(2)で表される化合物とポリマーバインダーを含有してもよい。この場合、層を形成する材料とポリマーバインダーとを前述の適当な溶媒に溶解させ、または分散させて塗布液とし、各種の塗布法により膜を形成することができる。ポリマーバインダーとしては、後述のものから選択することができる。
界面活性剤の含有量は、塗布液中、約0.001〜約1質量%であることが好ましい。
フェノール系酸化防止剤の具体例としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕、3,9−ビス{2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン等が挙げられる。
フェノール系酸化防止剤の市販品としては、イルガノックス1010、イルガノックス1035、イルガノックス1076、イルガノックス1135、イルガノックス245、イルガノックス259、イルガノックス295、及びイルガノックス3114(以上、いずれもBASF社製)、アデカスタブ AO−20、アデカスタブ AO−30、アデカスタブ AO−40、アデカスタブ AO−50、アデカスタブ AO−60、アデカスタブ AO−70、アデカスタブ AO−80、アデカスタブ AO−90、及びアデカスタブ AO−330(以上、いずれもADEKA社製)、スミライザー BHT、スミライザー BP−101、スミライザー GA−80、スミライザー MDP−S、スミライザー BBM−S、スミライザー GM、スミライザー GS(F)、及びスミライザー GP(以上、いずれも住友化学工業社製)、HOSTANOX O10、HOSTANOX O16、HOSTANOX O14、及びHOSTANOX O3(以上、いずれもクラリアント社製)、アンテージ BHT、アンテージ W−300、アンテージ W−400、及びアンテージ W500(以上、いずれも川口化学工業社製)、並びにSEENOX 224M、及びSEENOX 326M(以上、いずれもシプロ化成社製)、ヨシノックスBHT、ヨシノックスBB、トミノックスTT、トミノックス917(以上、いずれも吉富製薬(株)製)、TTHP(東レ(株)製)等が挙げられる。
リン系酸化防止剤の具体例としては、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4−ビフェニレン−ジ−ホスホナイト等が挙げられる。リン系酸化防止剤の市販品としては、アデカスタブ1178(旭電化(株)製)、スミライザーTNP(住友化学(株)製)、JP−135(城北化学(株)製)、アデカスタブ2112(旭電化(株)製)、JPP−2000(城北化学(株)製)、Weston 618(GE社製)、アデカスタブPEP−24G(旭電化(株)製)、アデカスタブPEP−36(旭電化(株)製)、アデカスタブHP−10(旭電化(株)製)、SandstabP−EPQ(サンド(株)製)、フォスファイト168(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)等が挙げられる。
イオウ系酸化防止剤の具体例としては、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)等が挙げられる。イオウ系酸化防止剤の市販品としては、スミライザーTPL(住友化学(株)製)、ヨシノックスDLTP(吉富製薬(株)製)、アンチオックスL(日本油脂(株)製)、スミライザーTPM(住友化学(株)製)、ヨシノックスDMTP(吉富製薬(株)製)、アンチオックスM(日本油脂(株)製)、スミライザーTPS(住友化学(株)製)、ヨシノックスDSTP(吉富製薬(株)製)、アンチオックスS(日本油脂(株)製)、アデカスタブAO−412S(旭電化(株)製)、SEENOX 412S(シプロ化成(株)製)、スミライザーTDP(住友化学(株)製)等が挙げられる。
酸化防止剤の含有量は、塗布液中、約0.01〜約5質量%であることが好ましい。
本発明の有機トランジスタの第1の態様は、一般式(2)で表される化合物を半導体活性層に含む。
本発明の有機トランジスタの第2の態様は、本発明の化合物を半導体活性層に含む。
すなわち、本発明の有機トランジスタは、一般式(2)で表される化合物を含む半導体活性層を有する。
本発明の有機トランジスタは、さらに半導体活性層以外にその他の層を含んでいてもよい。
本発明の有機トランジスタは、有機電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor、FET)として用いられることが好ましく、ゲート−チャンネル間が絶縁されている絶縁ゲート型FETとして用いられることがより好ましい。
以下、本発明の有機トランジスタの好ましい構造の態様について、図面を用いて詳しく説明するが、本発明はこれらの態様に限定されるものではない。
有機電界効果トランジスタの積層構造としては特に制限はなく、公知の様々な構造のものとすることができる。
本発明の有機トランジスタの構造の一例としては、最下層の基板の上面に、電極、絶縁体層、半導体活性層(有機半導体層)、2つの電極を順に配置した構造(ボトムゲート・トップコンタクト型)を挙げることができる。この構造では、最下層の基板の上面の電極は基板の一部に設けられ、絶縁体層は、電極以外の部分で基板と接するように配置される。また、半導体活性層の上面に設けられる2つの電極は、互いに隔離して配置される。
ボトムゲート・トップコンタクト型素子の構成を図1に示す。図1は、本発明の有機トランジスタの一例の構造の断面を示す概略図である。図1の有機トランジスタは、最下層に基板11を配置し、その上面の一部に電極12を設け、さらに電極12を覆い、かつ電極12以外の部分で基板11と接するように絶縁体層13を設けている。さらに絶縁体層13の上面に半導体活性層14を設け、その上面の一部に2つの電極15aと15bとを隔離して配置している。
図1に示した有機トランジスタは、電極12がゲートであり、電極15aと電極15bはそれぞれドレインまたはソースである。また、図1に示した有機トランジスタは、ドレイン−ソース間の電流通路であるチャンネルと、ゲートとの間が絶縁されている絶縁ゲート型FETである。
ボトムゲート・ボトムコンタクト型素子の構成を図2に示す。図2は本発明の実施例でFET特性測定用基板として製造した有機トランジスタの構造の断面を示す概略図である。図2の有機トランジスタは、最下層に基板31を配置し、その上面の一部に電極32を設け、さらに電極32を覆い、かつ電極32以外の部分で基板31と接するように絶縁体層33を設けている。さらに絶縁体層33の上面に半導体活性層35を設け、電極34aと34bが半導体活性層35の下部にある。
図2に示した有機トランジスタは、電極32がゲートであり、電極34aと電極34bはそれぞれドレインまたはソースである。また、図2に示した有機トランジスタは、ドレイン−ソース間の電流通路であるチャンネルと、ゲートとの間が絶縁されている絶縁ゲート型FETである。
本発明の有機トランジスタは、より薄いトランジスタとする必要がある場合には、例えばトランジスタ全体の厚さを0.1〜0.5μmとすることが好ましい。
有機トランジスタ素子を大気や水分から遮断し、有機トランジスタ素子の保存性を高めるために、有機トランジスタ素子全体を金属の封止缶やガラス、窒化ケイ素などの無機材料、パリレンなどの高分子材料や、低分子材料などで封止してもよい。
以下、本発明の有機トランジスタの各層の好ましい態様について説明するが、本発明はこれらの態様に限定されるものではない。
(材料)
本発明の有機トランジスタは、基板を含むことが好ましい。
基板の材料としては特に制限はなく、公知の材料を用いることができ、例えば、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステルフィルム、シクロオレフィンポリマーフィルム、ポリカーボネートフィルム、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム、ポリイミドフィルム、およびこれらポリマーフィルムを極薄ガラスに貼り合わせたもの、セラミック、シリコン、石英、ガラス、などを挙げることができ、シリコンが好ましい。
(材料)
本発明の有機トランジスタは、電極を含むことが好ましい。
電極の構成材料としては、例えば、Cr、Al、Ta、Mo、Nb、Cu、Ag、Au、Pt、Pd、In、NiあるいはNdなどの金属材料やこれらの合金材料、あるいはカーボン材料、導電性高分子などの既知の導電性材料であれば特に制限することなく使用できる。
電極の厚さは特に制限はないが、10〜50nmとすることが好ましい。
ゲート幅(またはチャンネル幅)Wとゲート長(またはチャンネル長)Lに特に制限はないが、これらの比W/Lが10以上であることが好ましく、20以上であることがより好ましい。
(材料)
本発明の有機トランジスタは、キャリア注入を促進するためのアクセプターを含むことが好ましい。材料としては公知の2,3,5,6−テトラフルオロ−7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(F4−TCNQ)等が好ましく挙げられる。
アクセプターの厚さは特に制限はないが、5nm以下とすることが好ましい。
(材料)
絶縁層を構成する材料は必要な絶縁効果が得られれば特に制限はないが、例えば、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、PTFE(polytetrafluoroethylene)、CYTOP(サイトップ)等のフッ素ポリマー系絶縁材料、ポリエステル絶縁材料、ポリカーボネート絶縁材料、アクリルポリマー系絶縁材料、エポキシ樹脂系絶縁材料、ポリイミド絶縁材料、ポリビニルフェノール樹脂系絶縁材料、ポリパラキシリレン樹脂系絶縁材料などが挙げられる。
絶縁層の上面は表面処理がなされていてもよく、例えば、二酸化ケイ素表面をヘキサメチルジシラザン(HMDS)やオクタデシルトリクロロシラン(OTS)やβ−フェニチルトリメトキシシランの塗布により表面処理した絶縁層を好ましく用いることができ、β−フェニチルトリメトキシシランの塗布により表面処理した絶縁層をより好ましく用いることができる。
絶縁層の厚さに特に制限はないが、薄膜化が求められる場合は厚さを10〜500nmとすることが好ましく、20〜200nmとすることがより好ましく、50〜200nmとすることが特に好ましい。
(材料)
本発明の有機トランジスタは、半導体活性層が一般式(2)で表される化合物を含む。
半導体活性層は、一般式(2)で表される化合物に加えて後述のポリマーバインダー(ポリマーまたはバインダーとも呼ばれる)がさらに含まれた層であってもよい。また、成膜時の残留溶媒が含まれていてもよい。
半導体活性層中におけるポリマーバインダーの含有量は、特に制限はないが、好ましくは0〜95質量%の範囲内で用いられ、より好ましくは10〜90質量%の範囲内で用いられ、さらに好ましくは20〜80質量%の範囲内で用いられ、特に好ましくは30〜70質量%の範囲内で用いられる。
半導体活性層の厚さに特に制限はないが、薄膜化が求められる場合は厚さを10〜400nmとすることが好ましく、10〜200nmとすることがより好ましく、10〜100nmとすることが特に好ましい。
本発明の有機トランジスタの製造方法は、本発明の非発光性有機半導体デバイス用塗布液を基板上に塗布し、乾燥させることにより半導体活性層を作製する工程を含む。
本発明の有機トランジスタの製造方法は、後述の本発明の有機半導体膜の製造方法を含んでいてもよく、含まなくてもよい。
まず、本発明の有機トランジスタの製造方法のうち、一般的な方法について説明する。
本発明の有機トランジスタの製造方法では、本発明の化合物、あるいは、一般式(2)で表される化合物を基板上に成膜する方法はいかなる方法でもよい。
成膜の際、基板を加熱または冷却してもよく、基板の温度を変化させることで膜質や膜中での分子のパッキングを制御することが可能である。基板の温度としては特に制限はないが、0℃から200℃の間であることが好ましく、15℃〜120℃の間であることがより好ましく、20℃〜100℃の間であることが特に好ましい。
本発明の化合物、あるいは、一般式(2)で表される化合物を基板上に成膜するとき、真空プロセスあるいは溶液プロセスにより成膜することが可能であり、いずれも好ましい。
本発明の非発光性有機半導体デバイス用有機半導体膜は、溶液塗布法により作製されたことが好ましい。また、本発明の非発光性有機半導体デバイス用有機半導体膜がポリマーバインダーを含有する場合、層を形成する材料とポリマーバインダーとを適当な溶媒に溶解させ、または分散させて塗布液とし、各種の塗布法により形成されることが好ましい。
本発明の有機半導体膜の製造方法の第1の態様は、下記一般式(2)で表される化合物と沸点100℃以上の溶媒を含む塗布液を、
基板Aと、基板Aに固着していない部材Bとの距離を一定の距離に保った状態、または、基板Aと部材Bを接触させた状態を維持しながら、
基板Aと部材Bの両方に接するように基板Aの面内の一部に滴下し、
滴下した塗布液を徐々に乾燥させることにより一般式(2)で表される化合物の結晶を析出させて半導体活性層を形成する;
ただし、基板Aと部材Bとの距離を一定の距離に保った状態、または、基板Aと部材Bを接触させた状態を維持している限り、塗布液を滴下または乾燥させる際に基板Aと部材Bとの位置関係を静止させてもよいし、動かしてもよい;
一般式(2)
本発明の有機半導体膜の製造方法の第2の態様は、本発明の化合物を溶媒に溶解した塗布液を、
基板Aと、基板Aに固着していない部材Bとの距離を一定の距離に保った状態、または、基板Aと部材Bを接触させた状態を維持しながら、
基板Aと部材Bの両方に接するように基板Aの面内の一部に滴下し、
滴下した塗布液を徐々に乾燥させることにより本発明の化合物の結晶を析出させて半導体活性層を形成する;
ただし、基板Aと部材Bとの距離を一定の距離に保った状態、または、基板Aと部材Bを接触させた状態を維持している限り、塗布液を滴下または乾燥させる際に基板Aと部材Bとの位置関係を静止させてもよいし、動かしてもよい。
本発明の有機半導体膜の製造方法の第1の態様と第2の態様について、まとめて以下に説明する。
図3は、本発明の有機半導体膜の製造方法の一例を示す概略図である。
図3(A)は、塗布液(符号41)を基板A(符号42)上に滴下する前の状態であり、基板A(符号42)と、基板A(符号42)に固着していない部材B(符号43)との距離を一定の距離に保った状態を維持している。
次に、図3(B)は、基板A(符号42)と部材B(符号43)の両方に接するように基板A(符号42)の面内の一部に塗布液(符号41)を滴下した状態を示す。
その後、図3(C)は、基板A(符号42)と部材B(符号43)との位置関係を静止させて、滴下した塗布液(符号41)を徐々に乾燥させる態様の概略図である。塗布液(符号41)は膜厚が薄くなった両端部から乾燥していき、結晶化することにより、サイズが大きい結晶を得ることができる。
図4(A)は、塗布液(符号41)を基板A(符号42)上に滴下する前の状態であり、基板A(符号42)と部材B(符号43)を接触させた状態を維持している。
次に、図4(B1)は、基板A(符号42)と部材B(符号43)の両方に接するように基板A(符号42)の面内の一部に塗布液(符号41)を滴下した状態を示す。図4(B1)の上下方向(Y軸方向)から見た図面が、図4(B2)となる。図4(B2)によれば、基板A(符号42)の面内の一部に塗布液(符号41)を滴下されたことがよりわかる。
その後、図4(C)は、基板A(符号42)と部材B(符号43)との位置関係を静止させて、滴下した塗布液(符号41)を徐々に乾燥させる態様の概略図である。塗布液(符号41)は膜厚が薄くなった両端部から乾燥していき、結晶化することにより、サイズが大きい結晶を得ることができる。
図3の態様と図4の態様を比較すると、基板A(符号42)と部材B(符号43)を接触させた状態を維持している図4の態様の方が、膜質の観点と、保持する機構が不要で、部材B(符号43)と基板A(符号42)の距離を精密に保つことができる点で好ましい。
図5(A)は、塗布液(符号41)を基板A(符号42)上に滴下する前の状態であり、基板A(符号42)と部材B(符号43)を接触させた状態を維持している。
次に、図5(B)は、基板A(符号42)と部材B(符号43)の両方に接するように基板A(符号42)の面内の一部に塗布液(符号41)を滴下した状態を示す。
その後、図5(C)は、基板A(符号42)と部材B(符号43)との位置関係を動かして、滴下した塗布液を徐々に乾燥させる態様の概略図である。本発明の有機半導体膜の製造方法では、基板Aと部材Bとの距離を一定の距離に保った状態、または、基板Aと部材Bを接触させた状態を維持している限り、塗布液を滴下または乾燥させる際に基板Aと部材Bとの位置関係を静止させてもよいし、動かしてもよい。図5(C)のように塗布液(符号41)は基板A(符号42)と部材B(符号43)との位置関係を座標の−X方向に動かすことによって、部材B(符号43)から遠い方(座標の+X方向)の端部から乾燥していき、結晶化することにより、サイズが大きい結晶を得ることができる。
図5の態様と図4の態様を比較すると、図4の態様の方が、膜質の観点と、大きな面積の結晶を得やすいという観点で好ましい。
部材B(符号43)のサイズ(例えば図4(B2)中における、部材B(符号43)のX軸方向とY軸方向の長さ)としては特に制限はないが、部材B(符号43)の一辺の長さの下限値が基板A(符号42)の一辺の長さの0.1%以上であることが好ましく、1%以上であることがより好ましく、10%以上であることが特に好ましく、20%以上であることがより特に好ましい。また、部材B(符号43)の一辺の長さの上限値が基板A(符号42)の一辺の長さの80%以下であることが好ましく、70%で以下あることがより好ましく、50%以下であることが特に好ましい。
部材B(符号43)の高さ(例えば図4(B1)中における、部材B(符号43)のZ軸方向の長さ)としては特に制限はないが、部材B(符号43)の高さが、1〜50mmであることが好ましく、5〜20mmであることがより好ましい。
図6には基板Aと部材Bの概略図を示した。図6中のdは、図4(B2)中のx軸方向の部材Bの長さを表す。図6中のwは、図4(B2)中のy軸方向の部材Bの長さを表す。図6中のhは、図4(B1)中のz軸方向の部材Bの長さを表す。図6に示した部材Bにおいて、h/dが0.01〜10であることが好ましく、より好ましくは0.1〜5であることが、倒れないという観点で好ましい。w/dは1〜1000であることが好ましく、より好ましくは5〜100であることが、結晶ができる領域が広くなるという観点で好ましい。
本発明の有機半導体膜の製造方法は、成膜の際、基板を加熱または冷却してもよく、基板の温度を変化させることで膜質や膜中での分子のパッキングを制御することが可能である。基板の温度としては特に制限はないが、0℃から200℃の間であることが好ましく、15℃〜100℃の間であることがより好ましく、20℃〜95℃の間であることが特に好ましい。
本発明の化合物を基板上に成膜するとき、溶液プロセスにより成膜する。
塗布液を滴下するにあたり、塗布液を一滴滴下するか、二滴以上滴下する場合は一滴ずつ滴下すること、基板A上で塗布液の膜厚が薄い部分が生じやすく、塗布液の端部から乾燥が進めやすいため、好ましい。
塗布液を滴下する場合、塗布液一滴の容量は0.01〜0.2mlであることが好ましく、0.02〜0.1mlであることがより好ましい。
塗布液を、基板Aと部材Bの両方に接するように基板Aの面内の一部に滴下することにより、塗布液の端部における膜厚を薄くすることができる。
塗布液の基板Aに対する接触角は0〜90°であることが好ましく、10〜80°であることがより好ましい。
塗布液と部材Bはメニスカスを形成していることが好ましく、凹状のメニスカスを形成していることが膜質の観点からより好ましい。
本発明の有機半導体膜の製造方法では、滴下した塗布液を徐々に乾燥させることにより本発明の化合物、あるいは、一般式(2)で表される化合物の結晶を析出させて半導体活性層を形成する。
加熱した基板A上で、自然乾燥させてから、減圧乾燥することが膜質の観点から好ましい。
自然乾燥時の基板Aの温度は、20〜100℃であることが好ましく、50〜80℃であることがより好ましい。
自然乾燥時間は0.5〜20時間であることが好ましく、1〜10時間であることがより好ましい。
減圧乾燥時の温度は、20〜100℃であることが好ましく、40〜80℃であることがより好ましい。
減圧乾燥時間は1〜20時間であることが好ましく、2〜10時間であることがより好ましい。
減圧乾燥時の圧力は、10-6〜10-2Paであることが好ましく、10-5〜10-3Paであることがより好ましい。
本発明の有機半導体膜の製造方法では、本発明の化合物、あるいは、一般式(2)で表される化合物の結晶を析出させる。結晶が析出したか否かは、偏光顕微鏡による観察によって確認することができる。
本発明は、本発明の化合物を含有する非発光性有機半導体デバイス用有機半導体材料にも関する。
なお、本明細書において、「非発光性有機半導体デバイス」とは、発光することを目的としないデバイスを意味する。特に「非発光性有機半導体デバイス」とは、可視光を発光することを目的としないデバイスを意味する。非発光性有機半導体デバイスは、膜の層構造を有するエレクトロニクス要素を用いた非発光性有機半導体デバイスとすることが好ましい。非発光性有機半導体デバイスには、有機トランジスタ、有機光電変換素子(光センサ用途の固体撮像素子、エネルギー変換用途の太陽電池等)、ガスセンサ、有機整流素子、有機インバータ、情報記録素子などが包含される。有機光電変換素子は光センサ用途(固体撮像素子)、エネルギー変換用途(太陽電池)のいずれにも用いることができる。好ましくは、有機光電変換素子、有機トランジスタであり、さらに好ましくは有機トランジスタである。すなわち、本発明の非発光性有機半導体デバイス用有機半導体材料は、上述のとおり有機トランジスタ用材料であることが好ましい。
本明細書において、「有機半導体材料」とは、半導体の特性を示す有機材料のことである。無機材料からなる半導体と同様に、正孔をキャリアとして伝導するp型(ホール輸送性)有機半導体材料と、電子をキャリアとして伝導するn型(電子輸送性)有機半導体材料がある。
本発明の化合物はp型有機半導体材料、n型の有機半導体材料のどちらとして用いてもよいが、p型として用いることがより好ましい。有機半導体中のキャリアの流れやすさはキャリア移動度μで表される。キャリア移動度μは高い方がよく、1×10-2cm2/Vs以上であることが好ましく、1×10-1cm2/Vs以上であることがより好ましく、3×10-1cm2/Vs以上であることが特に好ましく、5×10-1cm2/Vs以上であることがより特に好ましく、1cm2/Vs以上であることがよりさらに特に好ましい。キャリア移動度μは電界効果トランジスタ(FET)素子を作製したときの特性や飛行時間計測(Time−of−Flight;TOF)法により求めることができる。
本発明の非発光性有機半導体デバイス用有機半導体膜の第1の態様は、下記一般式(2)で表される化合物とポリマーバインダーを含有することが好ましい。
一般式(2)
本発明の非発光性有機半導体デバイス用有機半導体膜の第2の態様は、本発明の化合物を含有する。
本発明の非発光性有機半導体デバイス用有機半導体膜は、本発明の有機半導体膜の製造方法で製造されたことが好ましい。
本発明は、後述の一般式(2)で表される化合物とポリマーバインダーを含有する非発光性有機半導体デバイス用有機半導体膜の第1の態様にも関する。
本発明は、本発明の化合物を含有する非発光性有機半導体デバイス用有機半導体膜の第2の態様にも関する。
本発明の非発光性有機半導体デバイス用有機半導体膜の第2の態様は、本発明の化合物を含有し、ポリマーバインダーを含有しない態様も好ましい。
また、本発明の非発光性有機半導体デバイス用有機半導体膜の第2の態様は、本発明の化合物とポリマーバインダーを含有してもよい。
ポリマーバインダーは、単独で使用してもよく、あるいは複数併用してもよい。
また、有機半導体材料とポリマーバインダーとは均一に混合していてもよく、一部または全部が相分離していてもよいが、電荷移動度の観点では、膜中で膜厚方向に有機半導体とバインダーが相分離した構造が、バインダーが有機半導体の電荷移動を妨げず最も好ましい。
膜の機械的強度を考慮するとガラス転移温度の高いポリマーバインダーが好ましいが、膜にフレキシビリティーを付与する目的ではガラス転移温度の低いポリマーバインダーが好ましい。電荷移動度を考慮すると極性基を含まない構造のポリマーバインダーや半導体ポリマーが好ましい。
ポリマーバインダーの使用量は、特に制限はないが、本発明の非発光性有機半導体デバイス用有機半導体膜中、好ましくは0〜95質量%の範囲内で用いられ、より好ましくは10〜90質量%の範囲内で用いられ、さらに好ましくは20〜80質量%の範囲内で用いられ、特に好ましくは30〜70質量%の範囲内で用いられる。
さらに、本発明の非発光性有機半導体デバイス用有機半導体膜は、本発明の有機半導体膜の製造方法で製造された場合、膜質の良い有機膜となる。
表1または表2に記載の化合物を合成した。
テトラメチルピペリジン(TMP)3.93mlにテトラヒドロフラン23.1mlを加えて−78℃で撹拌し、n−ブチルリチウム(1.6M ヘキサン溶液)を13.8ml加えた後に0℃に温度を上げて1時間撹拌し、リチウム試薬を調製した。
J.Org.Chem.2005, 70, 4502に記載されている合成法に従って合成した公知材料であるチエノ[3,2−f:4,5−f’]ビス[1]ベンゾチオフェン2.969g(10mmol)に対してテトラヒドロフラン100mlを加えて−78℃で撹拌し、上記のリチウム試薬を、キャニュラーを用いて−78℃で滴下した。反応液を2時間後−98℃に冷却し、ジブロモジクロロエタン9.76g(30mmol)をテトラヒドロフラン30mlに溶解させた溶液を、キャニュラーを用いて滴下した。その後、反応液を−98℃から室温まで徐々に昇温し、15時間撹拌した。反応液を0℃に冷却してから水を加え、沈殿物をろ別した。ろ別した固体を1,1,2,2,−テトラクロロエタンで再結晶し、薄橙色固体である目的の化合物(中間体1)3.95g(8.70mmol)を得た。得られた化合物は1H−NMR(Nuclear Magnetic Resonance)により同定した。
(tetrachloroethane−d2, 400 MHz) δ: 7.46 (2H, s), 8.12 (2H, s), 8.45 (2H, s)
デシルマグネシウムブロミド(1.0mol/Lジエチルエーテル溶液)を4.8ml(4.80mmol)加え、0℃に冷却したところに塩化亜鉛(II)(1.0mol/Lテトラヒドロフラン溶液)を4.8ml(4.80mmol)滴下し、有機亜鉛試薬を調製した。中間体1を545mg(1.20mmol)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)を49mg(0.06mmol)、トルエンを12ml添加した系に上記有機亜鉛試薬を添加し、室温で20分間撹拌した後に70℃に加熱して15時間撹拌した。反応終了後室温まで冷却し、メタノールを50ml加えて析出した固体をろ別した。固体を加熱したO−ジクロロベンゼンに溶かし、熱いままセライト及びシリカゲルに通し、加熱したO−ジクロロベンゼンで溶離させた。溶液をエバポレーターで濃縮した後に、加熱したO−ジクロロベンゼンから再結晶し白色固体である目的の化合物1を440mg(0.763mmol)得た。
化合物1の構造は、1H−NMRにより同定した。その結果を以下に示す。
1H−NMR
(tetrachloroethane−d2, 400 MHz) δ: 0.82 (6H, t, J = 7.2 Hz), 1.21 − 1.37 (28H, m), 1.71 (4H, quin, J = 7.4Hz), 2.88 (4H, t, J = 7.6 Hz), 7.09 (2H, s), 8.11 (2H, s), 8.39 (2H, s)
デシルマグネシウムブロミド(1.0Mジエチルエーテル溶液)をブチルマグネシウムクロリド(1.0Mテトラヒドロフラン溶液)に変える以外は化合物1と同様にして化合物4を合成した。
化合物4の構造は、1H−NMRにより同定した。その結果を以下に示す。
1H−NMR
(CDCl3,400MHz)δ:0.98(6H、t、7.2Hz)、1.41−1.50(4H、m)、1.72−1.81(4H、m)、2.94(4H、t、7.0Hz)、7.13(2H、s)、8.15(2H、s)、8.44(2H、s)ppm.
デシルマグネシウムブロミド(1.0Mジエチルエーテル溶液)をペンチルマグネシウムブロミド(1.0Mテトラヒドロフラン溶液)に変える以外は化合物1と同様にして化合物5を合成した。
化合物5の構造は、1H−NMRにより同定した。その結果を以下に示す。
1H−NMR
(CDCl3,400MHz)δ:0.93(6H、t、7.3Hz)、1.37−1.55(8H、m)、1.75−1.83(4H、m)、2.94(t、7.0Hz)、7.13(2H、s)、8.15(2H、s)、8.44(2H、s)ppm.
デシルマグネシウムブロミド(1.0Mジエチルエーテル溶液)を6−メチルオクチルブロミド(1.0Mテトラヒドロフラン溶液)に変える以外は化合物1と同様にして化合物11を合成した。
化合物11の構造は、1H−NMRにより同定した。その結果を以下に示す。
1H−NMR
(CDCl3,400MHz)δ:0.84−0.88(12H、m)、1.08−1.17(4H、m)、1.30−1.44(14H、m)、1.75−1.83(4H、m)、2.94(4H、t、7.1Hz)、7.13(2H、s)、8.15(2H、s)、8.44(2H、s)ppm.
得られた化合物は1H−NMRにより同定した。
1H−NMR
(CDCl3,400MHz)δ: 0.94(6H、t、7.3Hz)、1.36−1.46(4H、m)、1.58−1.65(4H、m)、3.20(4H、t、7.1Hz)、3.51(4H、t、7.0Hz)、3.51(4H、t、7.0Hz)、3.77(4H、t、7.2Hz)、7.20(2H、s)、8.15(2H、s)、8.46(2H、s)ppm.
デシルマグネシウムブロミド(1.0Mジエチルエーテル溶液)を4−ブトキシブチルマグネシウムブロミド(1.0M THF溶液)に変える以外は化合物1と同様にして化合物20を合成した。
化合物20の構造は、1H−NMRにより同定した。その結果を以下に示す。
1H−NMR
(CDCl3,400MHz)δ: 0.93(6H、t、7.4Hz)、1.34−1.43(4H、m)、1.53−1.60(4H、m)、1.68−1.75(4H、m)、1.83−1.91(4H、m)、2.97(4H、t、7.3Hz)、3.42(4H、t、7.0Hz)、3.47(4H、t、7.0Hz)ppm.
テトラメチルピペリジン(TMP)、n−ブチルリチウム、ジブロモジクロロエタンの使用量をいずれも半分にする以外は中間体1の合成と同様にして中間体2を合成した。
中間体1を中間体2に変え、有機亜鉛試薬および[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)の当量を半分にする以外は化合物4の合成と同様にして中間体3を合成した。
チエノ[3,2−f:4,5−f’]ビス[1]ベンゾチオフェンの変わりに中間体3を用いる以外は中間体2の合成と同様にして中間体4を合成した。
化合物29の構造は、1H−NMRにより同定した。その結果を以下に示す。
1H−NMR
(CDCl3,400MHz)δ:0.92(3H、t、7.2Hz)、0.98(3H、t、7.2Hz)、1.38−1.52(6H、m)、1.73−1.82(4H、m)、2.92−2.97(4H、m)、7.13(2H、s)、8.15(2H、s)、8.44(2H、s)ppm.
<素子作製・評価>
素子作製に用いた材料は、高速液体クロマトグラフィーにより純度(254nmの吸収強度面積比)が99.0%以上であることを確認した。
下記表に記載の化合物または比較化合物1〜4のいずれかをアニソールを溶媒として溶解させた0.1質量%溶液を調製し、50℃に加熱したものを、有機半導体デバイス用塗布液(塗布液とも言う)とした。
n型シリコン基板(0.4mm厚さ)の表面に、SiO2の熱酸化膜200nmを形成した、25mmx25mm基板を基板Aとして使用した。基板Aの熱酸化膜の表面は、UV−オゾン洗浄した後、β−フェニチルトリメトキシシラン処理を行った。
図4(C)に示すとおり、基板Aと部材Bを接触させた状態を維持しながら、また、基板Aと部材Bとの位置関係を静止させた状態で、塗布液を自然乾燥させた。その後60℃で8時間、10-3MPaの圧力下で減圧乾燥させることで下記表に記載の化合物または比較化合物1〜4のいずれかの結晶を析出させて、有機半導体膜を形成した。結晶が析出したか否かは、偏光顕微鏡による観察によって確認した。
素子1−1〜1−8および比較素子1−1〜1−4の有機トランジスタ素子のFET特性は、セミオートプローバー(ベクターセミコン製、AX−2000)を接続した半導体パラメーターアナライザー(Agilent製、4156C)を用いて常圧・大気下で評価した。
得られた結果を下記表3に示す。
各有機トランジスタ素子(FET素子)のソース電極−ドレイン電極間に−80Vの電圧を印加し、ゲート電圧を20V〜−100Vの範囲で変化させ、ドレイン電流Idを表わす式Id=(w/2L)μCi(Vg−Vth)2(式中、Lはゲート長、Wはゲート幅、Ciは絶縁層の単位面積当たりの容量、Vgはゲート電圧、Vthは閾値電圧)を用いてキャリア移動度μを算出した。
一方、比較化合物1〜4を有機半導体材料として半導体活性層に用いた比較素子1−1〜1−4の有機トランジスタ素子は、キャリア移動度が低いことがわかった。
実施例2−1〜2−14および比較例2−1〜2−3ではボトムゲート・ボトムコンタクト型の有機トランジスタ素子を作製した。詳細を下記に示す。
化合物1の0.1質量%アニソール溶液を100℃に加熱したものを有機半導体デバイス用塗布液とし、窒素雰囲気下、90℃に加熱したFET特性測定用基板上にキャストすることで非発光性有機トランジスタ素子2−1を得た。FET特性測定用基板としては、ソース及びドレイン電極としてくし型に配置されたクロム/金(ゲート幅W=100mm、ゲート長L=100μm)、絶縁膜としてSiO2(膜厚200nm)を備えたボトムゲート・ボトムコンタクト構造のシリコン基板)を用いた。得られた有機トランジスタ素子を素子2−1とした。素子2−1を実施例2−1の有機トランジスタ素子とした。
素子2−1の有機トランジスタ素子の作製において、化合物1の代わりに表2に記載の化合物、または比較化合物のいずれかを用いた以外は素子2−1と同様にして、素子2−2〜2−14、比較素子2−1〜2−3を作製した。なお、素子2−6は化合物4と化合物5をそれぞれ0.05質量%ずつの濃度となるよう混合したものである。
素子2−2〜2−14および比較素子2−1〜2−3の有機トランジスタ素子のFET特性を、実施例1−1と同様の方法で評価した。その結果を下記表4に示す。
一方、比較化合物1、2および6を有機半導体材料として半導体活性層に用いた比較素子2−1〜2−3の有機トランジスタ素子は、キャリア移動度が低いことがわかった。
ガラス基板(イーグルXG:コーニング社製)上に、ゲート電極となるAlを蒸着した(厚み:50nm)。その上にゲート絶縁膜形成用組成物(ポリビニルフェノール/メラミン=1質量部/1質量部のPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)溶液(固形分濃度:2質量%))をスピンコートし、150℃で60分間ベークを行うことで膜厚400nmのゲート絶縁膜を形成した。その上に銀インク(H−1、三菱マテリアル(株)製)をインクジェット装置DMP−2831(富士フイルムダイマティクス社製)を用いてソース電極およびドレイン電極状(チャネル長40μm、チャネル幅200μm)に描画した。その後オーブンにて180℃、30分ベークを行い、焼結して、ソース電極およびドレイン電極を形成することでTFT(Thin Film Transistor)特性評価用素子基板を得た。
TFT特性評価用素子基板の上に、下記表5に記載の各有機半導体デバイス用塗布液(有機半導体材料(0.50質量%)、ポリマー(0.025質量%)およびトルエン)をドロップキャストした後、ホットプレート上で100℃10分間乾燥することで有機半導体層を形成し、ボトムゲート・ボトムコンタクト型の有機トランジスタ素子を得た。得られた有機トランジスタ素子を素子3−1〜3−29および比較素子3−1〜3−5とした。素子3−1〜3−29および比較素子3−1〜3−5を実施例3−1〜3−29および比較素子3−1〜3−5の有機トランジスタ素子とした。下記表中、F8T2は[Poly[(9,9−dioctyl−9H−fluorene−2,7−diyl)−alt−2,2’−bithiophene]−5,5’−diyl)]](Aldrich社製、Mn>20000)、PMMAはPolymethyl methacrylate(Aldrich社製、Mw〜15000)、PαMSはPoly(α−methylstyrene)(Aldrich社製、Mw=43700)、PSはPolystyrene(Aldrich社製、Mw=2000000)を表す。
素子3−1〜3−29および比較素子3−1〜3−5の有機トランジスタ素子のFET特性を、実施例1と同様の方法で評価した。その結果を下記表5に示す。
一方、比較化合物1、2、4〜6を有機半導体材料として半導体活性層に用いた比較素子3−1〜3−5の有機トランジスタ素子は、キャリア移動度が低いことがわかった。
<印刷法によるTFT素子作製例>
−インクジェット法−
有機半導体デバイス用塗布液(表6に記載の有機半導体化合物、ポリマー(バインダー)、溶媒、濃度)を、実施例3−1で製造したTFT特性評価用素子基板上にインクジェット法によりコートすることで有機半導体膜を形成し、有機トランジスタ素子を得た。インクジェット装置としては、DPP2831(富士フイルムグラフィックシステムズ(株)製)、10pLヘッドを用い、吐出周波数2Hz、ドット間ピッチ20μmでベタ膜を形成した。その後70℃で1時間乾燥することで、有機半導体層を作製した。
有機半導体デバイス用塗布液(表6に記載の有機半導体化合物、ポリマー(バインダー)、溶媒、濃度、および界面活性剤としてBYK−323(BYK社製)0.05質量%)を、実施例3−1で製造したTFT特性評価用素子基板上にフレキソ印刷法によりコートすることで有機半導体膜を形成し、有機トランジスタ素子を得た。印刷装置として、フレキソ適性試験機F1(アイジーティ・テスティングシステムズ(株)製)を用い、フレキソ樹脂版として、AFP DSH1.70%(旭化成(株)製)/ベタ画像を用いた。フレキソ樹脂版とTFT特性評価用素子基板との間の圧力は、60N、搬送速度0.4m/秒で印刷を行った後、そのまま、40℃下室温で2時間乾燥することで、有機半導体層を作製し、ボトムゲート・ボトムコンタクト型の有機トランジスタ素子を得た。得られた有機トランジスタ素子を素子4−2〜4−4および4−6〜4−8とした。素子4−2〜4−4および4−6〜4−8を実施例4−2〜4−4および4−6〜4−8の有機トランジスタ素子とした。なお、素子4−6〜4−8でインクとして用いたものはいずれも粘度が10mPa・s以上であった。
12 電極
13 絶縁体層
14 半導体活性層(有機物層、有機半導体層)
15a、15b 電極
31 基板
32 電極
33 絶縁体層
34a、34b 電極
35 半導体活性層(有機物層、有機半導体層)
41 塗布液
42 基板A
43 部材B
Claims (22)
- 前記一般式(2)で表される化合物が、下記条件A、条件B、条件Cまたは条件Dを満たす、請求項1に記載の非発光性有機半導体デバイス用塗布液;
条件A:前記一般式(2)中、R11およびR12はそれぞれ独立に総炭素数3〜30であり、かつ、
炭素数8〜10であり炭素数が偶数の無置換の直鎖アルキル基、
炭素数3〜15であり炭素数が奇数の無置換の直鎖アルキル基、
炭素数3〜15の置換の直鎖アルキル基または
炭素数3〜18の置換もしくは無置換の分岐アルキル基
を表し、
一般式(2)中の芳香族部分にハロゲン原子が置換してもよい;
条件B:前記一般式(2)中、R11およびR12はそれぞれ独立に総炭素数3〜30であり、かつ、炭素数が2〜4であり炭素数が偶数の無置換の直鎖アルキル基を表す;
条件C:前記一般式(2)中、
R11およびR12はそれぞれ独立に総炭素数3〜30であり、かつ、
炭素数1または2の置換のアルキル基である;
条件D:前記一般式(2)中、R11およびR12はそれぞれ独立に総炭素数3〜30であり、かつ、R11およびR12は互いに異なる構造である。 - 前記一般式(2)で表される化合物が、下記条件Aを満たす、請求項2に記載の非発光性有機半導体デバイス用塗布液;
条件A:前記一般式(2)中、
R11およびR12はそれぞれ独立に総炭素数3〜30であり、かつ、
炭素数8〜10であり炭素数が偶数の無置換の直鎖アルキル基、
炭素数3〜15であり炭素数が奇数の無置換の直鎖アルキル基、
炭素数3〜15の置換の直鎖アルキル基または
炭素数3〜18の置換もしくは無置換の分岐アルキル基
を表し、
前記一般式(2)中の芳香族部分にハロゲン原子が置換してもよい。 - 前記一般式(2)中、
R11およびR12はそれぞれ独立に総炭素数3〜30であり、かつ、
炭素数8〜10であり炭素数が偶数の無置換の直鎖アルキル基、
炭素数3〜15であり炭素数が奇数の無置換の直鎖アルキル基、
を表し、
前記一般式(2)中の芳香族部分にハロゲン原子が置換してもよい、請求項3に記載の非発光性有機半導体デバイス用塗布液。 - 前記一般式(2)中、R11およびR12はそれぞれ独立に総炭素数3〜30であり、かつ、
エーテル構造またはエステル結合を介して置換基で置換された炭素数3〜15の直鎖アルキル基である、請求項3または4に記載の非発光性有機半導体デバイス用塗布液。 - 前記一般式(2)で表される化合物が、下記条件Bを満たす、請求項2に記載の非発光性有機半導体デバイス用塗布液;
条件B:前記一般式(2)中、R11およびR12はそれぞれ独立に総炭素数3〜30であり、かつ、炭素数が2〜4であり炭素数が偶数の無置換の直鎖アルキル基を表す。 - 前記一般式(2)で表される化合物が、下記条件Cを満たす、請求項2に記載の非発光性有機半導体デバイス用塗布液;
条件C:前記一般式(2)中、
R11およびR12はそれぞれ独立に総炭素数3〜30であり、かつ、
炭素数1または2の置換のアルキル基である。 - 前記一般式(2)中、
R11およびR12はそれぞれ独立に総炭素数3〜30であり、かつ、
エーテル構造またはエステル結合を介して置換基で置換された炭素数1または2のアルキル基である、請求項7に記載の非発光性有機半導体デバイス用塗布液。 - 前記一般式(2)で表される化合物が、下記条件Dを満たす、請求項2に記載の非発光性有機半導体デバイス用塗布液;
条件D:前記一般式(2)中、R11およびR12はそれぞれ独立に総炭素数3〜30であり、かつ、R11およびR12は互いに異なる構造である。 - 前記一般式(2)中、R11およびR12はそれぞれ独立に総炭素数3〜30であり、かつ、R11は無置換の直鎖のアルキル基であり、R12はR11とは異なる置換または無置換の直鎖または分岐アルキル基である、請求項9に記載の非発光性有機半導体デバイス用塗布液。
- 前記一般式(2)中、R11およびR12はそれぞれ独立に総炭素数3〜30であり、かつ、R11およびR12はそれぞれ独立に無置換の直鎖のアルキル基であり、R11とR12とは互いに異なる構造である、請求項10に記載の非発光性有機半導体デバイス用塗布液。
- 前記一般式(2)で表される化合物が、下記条件Aを満たす、請求項12に記載の有機トランジスタ;
条件A:前記一般式(2)中、
R11およびR12はそれぞれ独立に総炭素数3〜30であり、かつ、
炭素数8〜10であり炭素数が偶数の無置換の直鎖アルキル基、
炭素数3〜15であり炭素数が奇数の無置換の直鎖アルキル基、
炭素数3〜15の置換の直鎖アルキル基または
炭素数3〜18の置換もしくは無置換の分岐アルキル基
を表し、
前記一般式(2)中の芳香族部分にハロゲン原子が置換してもよい。 - 下記一般式(2)で表される化合物であって、
下記条件A、条件B、条件Cまたは条件Dを満たす、化合物;
一般式(2)
前記一般式(2)中の芳香族部分にハロゲン原子が置換してもよい;
条件A:前記一般式(2)中、R11およびR12はそれぞれ独立に総炭素数3〜30であり、かつ、
炭素数8〜10であり炭素数が偶数の無置換の直鎖アルキル基、
炭素数3〜15であり炭素数が奇数の無置換の直鎖アルキル基、
炭素数3〜15の置換の直鎖アルキル基または
炭素数3〜18の置換もしくは無置換の分岐アルキル基
を表し、
一般式(2)中の芳香族部分にハロゲン原子が置換してもよい;
条件B:前記一般式(2)中、R11およびR12はそれぞれ独立に総炭素数3〜30であり、かつ、炭素数が2〜4であり炭素数が偶数の無置換の直鎖アルキル基を表す;
条件C:前記一般式(2)中、
R11およびR12はそれぞれ独立に総炭素数3〜30であり、かつ、
炭素数1または2の置換のアルキル基である;
条件D:前記一般式(2)中、R11およびR12はそれぞれ独立に総炭素数3〜30であり、かつ、R11およびR12は互いに異なる構造である。 - 前記一般式(2)で表される化合物が、下記条件Aを満たす、請求項14に記載の化合物;
条件A:前記一般式(2)中、
R11およびR12はそれぞれ独立に総炭素数3〜30であり、かつ、
炭素数8〜10であり炭素数が偶数の無置換の直鎖アルキル基、
炭素数3〜15であり炭素数が奇数の無置換の直鎖アルキル基、
炭素数3〜15の置換の直鎖アルキル基または
炭素数3〜18の置換もしくは無置換の分岐アルキル基
を表し、
前記一般式(2)中の芳香族部分にハロゲン原子が置換してもよい。 - 請求項14または15に記載の化合物を含有する非発光性有機半導体デバイス用有機半導体材料。
- 請求項14または15に記載の化合物を含有する有機トランジスタ用材料。
- 請求項14または15に記載の化合物を含有する非発光性有機半導体デバイス用塗布液。
- 請求項14または15に記載の化合物を半導体活性層に含む有機トランジスタ。
- 請求項1〜11および18のいずれか一項に記載の非発光性有機半導体デバイス用塗布液を基板上に塗布し、乾燥させることにより半導体活性層を作製する工程を含む有機トランジスタの製造方法。
- 下記一般式(2)で表される化合物と沸点100℃以上の溶媒を含む塗布液を、
基板Aと、前記基板Aに固着していない部材Bとの距離を一定の距離に保った状態、または、前記基板Aと前記部材Bを接触させた状態を維持しながら、
前記基板Aと前記部材Bの両方に接するように前記基板Aの面内の一部に滴下し、
滴下した前記塗布液を徐々に乾燥させることにより前記一般式(2)で表される化合物の結晶を析出させて半導体活性層を形成する、有機半導体膜の製造方法;
ただし、前記基板Aと前記部材Bとの距離を一定の距離に保った状態、または、前記基板Aと前記部材Bを接触させた状態を維持している限り、前記塗布液を滴下または乾燥させる際に前記基板Aと前記部材Bとの位置関係を静止させてもよいし、動かしてもよい;
一般式(2)
前記一般式(2)中の芳香族部分にハロゲン原子が置換してもよい。 - 請求項14または15に記載の化合物を溶媒に溶解した塗布液を、
基板Aと、前記基板Aに固着していない部材Bとの距離を一定の距離に保った状態、または、前記基板Aと前記部材Bを接触させた状態を維持しながら、
前記基板Aと前記部材Bの両方に接するように前記基板Aの面内の一部に滴下し、
滴下した前記塗布液を徐々に乾燥させることにより請求項14または15に記載の化合物の結晶を析出させて半導体活性層を形成する、有機半導体膜の製造方法;
ただし、前記基板Aと前記部材Bとの距離を一定の距離に保った状態、または、前記基板Aと前記部材Bを接触させた状態を維持している限り、前記塗布液を滴下または乾燥させる際に前記基板Aと前記部材Bとの位置関係を静止させてもよいし、動かしてもよい。
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