JP2018062580A - 摩擦材及びその製造方法 - Google Patents

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英征 石上
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【課題】摺動部品の基材の熱膨張を抑制する。【解決手段】摺動部品10に適用される摩擦材14は、カーボン繊維のトウを平織りして形成されたカーボンクロスを含む摩擦層21と、摩擦層と摺動部品の基材11との間に介在するように摩擦層の下側に配置された断熱層22とを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、シンクロナイザーリングなどの摺動部品に適用される摩擦材及びその製造方法に関するものである。
従来、車両用変速機のシンクロナイザーリングに使われているカーボン摩擦材は、カーボン粒子、カーボンファイバー、ウォラストナイト、銅合金粒子をフェノール樹脂で固めた複合材で構成される。
このカーボン摩擦材は、銅合金シンクロ、樹脂シンクロ及びモリブデン溶射シンクロなどからなる摩擦材と比べて耐久性に優れており、最近採用が増えてきている。
特開2002−21898号公報
しかし、飛びシフト(一ないし複数段を飛ばして変速すること)による高回転数差シフトが連続して行われた場合等に、摩擦材表面に比較的大量の熱が発生すると、その熱が金属製リング基材に伝達され、リング基材が熱膨張し大径化するという問題がある。他方、摺動相手のギアコーンは質量が大きく熱が逃げやすいため、リング基材とギアコーンとの間に熱膨張差が生じる。すると、シンクロナイザーリングによる同期が完了する前に、スリーブがギアのドグクラッチに噛み込んでしまい、ギア鳴りが発生する問題がある。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、摺動部品の基材の熱膨張を抑制し得る摩擦材及びその製造方法を提供することにある。
本発明の一の態様によれば、
摺動部品に適用される摩擦材であって、
カーボン繊維のトウを平織りして形成されたカーボンクロスを含む摩擦層と、
前記摩擦層と前記摺動部品の基材との間に介在するように前記摩擦層の下側に配置された断熱層と、
を備えたことを特徴とする摩擦材が提供される。
好ましくは、前記カーボンクロスは、単繊維太さ7〜15μmのカーボン繊維を3000〜6000本束ねたトウを平織りして形成される。
好ましくは、前記断熱層は、ガラス繊維クロスおよびナノセルロースの少なくとも一方を含む。
好ましくは、前記摩擦層は、前記カーボンクロスに付着された高熱伝導粒子を含む。
本発明の他の態様によれば、
摺動部品の基材上に樹脂材料を用いて断熱材料を積層させる第1ステップと、
前記断熱材料の上に樹脂材料を用いて、カーボン繊維のトウを平織りして形成されたカーボンクロスを積層する第2ステップと、
前記積層された断熱材料およびカーボンクロスを加熱および加圧して摩擦材を形成する第3ステップと、
を備えたことを特徴とする摩擦材の製造方法が提供される。
好ましくは、前記カーボンクロスは、単繊維太さ7〜15μmのカーボン繊維を3000〜6000本束ねたトウを平織りして形成される。
好ましくは、前記断熱材料は、ガラス繊維クロスおよびナノセルロースの少なくとも一方を含む。
好ましくは、前記第2ステップは、前記カーボンクロスに高熱伝導粒子を付着させる第4ステップを含む。
好ましくは、前記高熱伝導粒子は、ミルフィーユ状の球状カーボン粒子からなる。
本発明によれば、摺動部品の基材の熱膨張を抑制することができる。
摩擦材が適用されるシンクロナイザーリングの部分断面図である。 カーボンクロスを示す概略図である。 摩擦材の製造方法を説明するための図である。 第2実施形態のカーボンクロスを示す概略図である。
以下、本発明の好適な一実施の形態を添付図面に基づいて詳述する。
[第1実施形態]
先ず図1により、本発明の第1実施形態に係る摩擦材が適用された摺動部品としてのシンクロナイザーリング10を説明する。シンクロナイザーリング10は周知のように、車両用変速機、特に手動変速機の構成部品である。
シンクロナイザーリング10は、金属製の基材であるリング本体11を備える。リング本体11の材料である金属は、例えば鉄または銅合金である。リング本体11の外周部には、カップリングスリーブ(図示せず)と噛合されるスプライン12が形成されている。またリング本体11の内周面には、摺動相手のギアコーンに対向されるテーパ面13が形成されている。テーパ面13には摩擦材14が固着ないし接着され、この摩擦材14が、ギアコーンのテーパ面に摺接される実質的な摺動部分となる。このようにシンクロナイザーリング10は、リング本体11と摩擦材14を備える。本実施形態においては、テーパ面13の全周に亘って摩擦材14が設けられている。しかしながら、テーパ面13の周方向に間欠的に摩擦材14が設けられていてもよい。
摩擦材14は、その上側に配置された摩擦層21と、その下側に配置された断熱層22とを備える。ここで便宜上、リング本体11のテーパ面13に対して離れる側を上側、近い側を下側という。上側は摩擦材14の表面側、あるいはシンクロナイザーリング10の半径方向内側と言い換えることもできる。同様に下側は摩擦材14の裏面側、あるいはシンクロナイザーリング10の半径方向外側と言い換えることもできる。断熱層22は、摩擦層21とリング本体11のテーパ面13との間に介在するように配置されている。
摩擦層21は、主に耐熱性、耐摩耗性、耐久性、潤滑性等のシンクロナイザーリング10に必要な性能を付与し、あるいは向上するために設けられている。摩擦層21は、図2に示すようなカーボンクロス15を含む。カーボンクロス15は、単繊維としてのカーボン繊維を多数束ねた束すなわちトウ(tow)16を平織りして形成される。好ましくはカーボンクロス15は、単繊維太さφ7〜15μmのカーボン繊維を3000〜6000本束ねたトウ16を平織りして形成される。
断熱層22は、摺動時に高温となった摩擦層21の熱がリング本体11に伝達するのを抑制する機能、すなわち断熱機能を有する。また断熱層22は、摩擦層21とリング本体11の間の温度勾配および熱膨張差を吸収し、摩擦材14がリング本体11から剥がれるのを抑制する機能、すなわち緩衝機能をも有する。断熱層22は、摩擦層21とリング本体11の間で所謂熱膨張の傾斜化を実現する。
断熱層22は、好適に選択された断熱材料を含む。好ましくは、断熱層22は、断熱材料として、ガラス繊維クロスおよびナノセルロースの少なくとも一方を含む。ガラス繊維クロスは周知のように、単繊維としてのガラス繊維を多数束ねたトウを平織り、綾織り等の任意の織り方で織って形成される。ナノセルロースとは周知のように、木材等の植物の微細組織に由来した高強度、高弾性かつ低熱膨張率の材料である。断熱材料をこれらの少なくとも一方とすることで、上述の断熱機能と緩衝機能を最大限に発揮することが可能である。なお断熱層22は、ガラス繊維クロスおよびナノセルロースの何れか一方を含んでもよいし、両方を含んでもよい。また断熱層22は、付加的または代替的に、他の断熱材料を含んでもよい。断熱材料としてガラス繊維クロスを用いると断熱層22の厚さを一定に維持し易いメリットがある。
次に、図3を参照して、摩擦材14の製造方法を説明する。この製造方法は概ね下記のステップを含む。
(1)リング本体11上に樹脂材料を用いて断熱材料を積層させる第1ステップ。
(2)断熱材料の上に樹脂材料を用いてカーボンクロス15を積層する第2ステップ。
(3)積層された断熱材料およびカーボンクロス15を加熱および加圧して摩擦材14を形成する第3ステップ。
第1ステップにおいては、本実施形態の場合、断熱材料としてガラス繊維クロス23が用いられ、特に1枚のガラス繊維クロス23が用いられる。なおガラス繊維クロスを複数枚重ねて積層してもよい。ガラス繊維クロス23に、樹脂材料である液体フェノール樹脂が薄く塗布され、そのガラス繊維クロス23はテーパ面13上に載置付着される。液体フェノール樹脂は主に接着剤としての役割を果たす。なお液体フェノール樹脂の塗布とガラス繊維クロス23の付着との順番は逆でもよい。
他方、断熱材料としてナノセルロースが用いられた場合、ナノセルロースが混合された液体フェノール樹脂がテーパ面13上に塗布される。
第2ステップにおいては、1枚のカーボンクロス15に、樹脂材料である液体フェノール樹脂が薄く塗布され、そのカーボンクロス15がガラス繊維クロス23上に載置付着され、すなわち積層される。なお、複数枚のカーボンクロス15をガラス繊維クロス23上に重ねて積層してもよい。この場合、液体フェノール樹脂が塗布された複数枚のカーボンクロス15がガラス繊維クロス23上に順次積層される。なおここでも塗布と付着ないし積層との順番は逆でもよい。
第3ステップにおいては、積層されたガラス繊維クロス23およびカーボンクロス15が所定の半硬化温度(例えば80℃)まで加熱され、半硬化させられる。なおこの半硬化は積層前にクロス単独で行われてもよい。その後、積層されたガラス繊維クロス23およびカーボンクロス15は、より高温まで加熱されると共に加圧される。これにより所定厚さの摩擦材14が完成し、同時に摩擦材14はテーパ面13に強固に接着される。
カーボンクロス15のカーボン繊維は、リング本体11の周方向(リング周方向という)及び幅方向(リング幅方向という)に連続しているため、飛びシフトによる高回転数差シフトが連続して行われた場合等に、摩擦層21の表面部に比較的大量の熱が発生した場合でも、その摩擦熱をカーボンクロス15の周方向及び幅方向に、ひいては摩擦層21全体に、素早く逃がすことができる。これにより摩擦層21の表面部の膜の劣化も防げる。
単繊維太さ7〜15μmのカーボン繊維を3000〜6000本束ねたトウ16を織り込むことで、厚さ0.2mm程度のカーボンクロス15とすることができる。カーボンクロス15の織り方は、綾織りでは、柔軟性はあるものの交差したトウがずれやすく、縦と横のトウを交互に1本ずつ交差して織り込んで平織りしたカーボンクロス15を用いることで、膜強度を向上できる。
また、織物状のカーボンクロス15を用いる他の理由は、トウ16を織ることで表面が波打っているため、表面の凹凸が大きく、シンクロ時の油切れ(油排出性)に優れるといった効果があるからである。
他方、飛びシフトによる高回転数差シフトが連続して行われた場合等に、摩擦層21の表面部に比較的大量の熱が発生した場合でも、ガラス繊維クロス23は、摩擦層21の熱がリング本体11に伝達するのを効果的に抑制する。この結果、リング本体11に伝達される熱量を制限し、この熱に起因したリング本体11の熱膨張および大径化を抑制することができる。そして摺動相手のギアコーンとの熱膨張差を低減し、シンクロナイザーリング10による同期完了前にスリーブがギアのドグクラッチに噛み込んでギア鳴りが発生するのを確実に抑制できる。上述したように、断熱層22は、摩擦層21とリング本体11の間の温度勾配および熱膨張差を吸収し、摩擦材14がリング本体11から剥がれるのを抑制する緩衝機能をも発揮する。
ここで、ガラス繊維の熱膨張係数は、カーボン繊維の熱膨張係数より高く、リング本体11の金属材料の熱膨張係数より低い。よって、繰り返しの変速動作により摩擦層21に熱サイクルが加わった場合でも、摩擦層21とリング本体11の熱膨張の違いから摩擦材14がリング本体11から剥がれようとするのを、断熱層22は確実に抑制できる。このように断熱材料の熱膨張係数は、カーボン繊維の熱膨張係数より高く、リング本体11の金属材料の熱膨張係数より低いのが好ましい。
次に、摩擦材14の製造方法のより具体的な一実施例を説明する。
(A)カーボンクロスの前処理
(1)本実施例においては1枚のカーボンクロスが用いられる。カーボンクロスの前処理として、アセトンをカーボンクロスの表面にスプレー噴霧する。これにより細部にまでアセトンが浸透し、カーボンンクロス中の、油分、樹脂分が除去される。
(2)(1)で前処理したカーボンクロスに、25%フェノール樹脂希釈液を噴霧する。全体に万遍なく噴霧した後に表面を刷毛などで伸ばす。ここで、「25%フェノール樹脂希釈液」とは、液体フェノール樹脂と、溶媒であるアセトンとの混合液のうち、フェノール樹脂が占める割合が25%であることを意味する。後に述べる類似の用語も同様に解釈される。
(3)リング本体のテーパ面の径に合わせてアーチ形に形を付けた金網に(2)のカーボンクロスをのせ、140〜150℃、30分の熱処理を行う。
(4)リング本体のテーパ面に合わせて、(3)のカーボンクロスを所定の形状にはさみなどでカットする。
(B)ガラス繊維クロス
(1)本実施例においては、ユニチカ(株)製の品番R580 H 100Dのガラス繊維クロスが1枚用いられる。その諸元は次の通りである。
・1トウ当たりのガラス繊維の数は縦トウが1200本、横トウが1200本。
・横幅25mm当たりの縦トウ密度は6.0本、縦幅25mm当たりの横トウ密度は6.0本。
・厚さは0.52mm
・1m2当たりの質量は571g
・横幅25mm当たりの縦方向引張強さは3860N、縦幅25mm当たりの横方向引張強さは3940N
・Eガラス組成
・アミノシランカップリング処理済
(C)ガラス繊維クロスの前処理
(1)ガラス繊維クロスの前処理方法もカーボンクロスと同様である。先ずアセトンをガラス繊維クロスの表面にスプレー噴霧する。これにより細部にまでアセトンが浸透し、ガラス繊維クロス中の、油分、樹脂分が除去される。
(2)(1)で前処理したガラス繊維クロスに、25%フェノール樹脂希釈液を噴霧する。全体に万遍なく噴霧した後に表面を刷毛などで伸ばす。
(3)リング本体のテーパ面の径に合わせてアーチ形に形を付けた金網に(2)のガラス繊維クロスをのせ、140〜150℃、30分の熱処理を行う。
(4)リング本体のテーパ面に合わせて、(3)のガラス繊維クロスを所定の形状にはさみなどでカットする。
(D)リング本体の接合面の樹脂
リング本体のテーパ面である接合面を予めブラスト処理しておく。この接合面に、35%希釈フェノール樹脂を刷毛塗する。
また刷毛塗であるが目地が隠れる程度でよい。あまり厚くなるとガラス繊維クロスに樹脂成分が流動するので好ましくない。この接着剤を塗布後、80℃で30分加熱処理する。
(E)クロス接合樹脂の塗布
リング本体のテーパ面に35%希釈フェノール樹脂を塗布し、その上に、(C)の前処理でカットされたガラス繊維クロス片を重ねる。次いでガラス繊維クロス上に、35%希釈フェノール樹脂を塗布し、その上に、(A)の前処理でカットされたカーボンクロス片を重ねる。これによりリング本体のテーパ面に、ガラス繊維クロスおよびカーボンクロスが仮接合される。
(F)摩擦材の成形
(E)で、ガラス繊維クロスおよびカーボンクロスを仮接合したリング本体を、成形治具に移して加熱プレスにセットする。この際、加熱プレスの上下天板は約190℃に設定しておき加圧しない状態に保持する。
次に、リング本体の温度が110℃になったところで(治具温度が140℃)、上下天板にて受圧部が5MPaになる圧力をかけて加圧する。
リング本体温度が170℃を超えてから30分経過で、除圧し治具から外す。
次いで、バリを除去した後、190℃で2時間アフターキュアーして摩擦材が完成する。
本実施形態においては、摩擦層においてカーボンクロスがリング幅方向およびリング周方向に連続的に延び、かつリング半径方向にも適度な厚みを有するため、摩擦層で発生した熱、特に片当たり等によって局部的に発生した熱を、リング幅方向、リング周方向およびリング半径方向に迅速に逃すことができ、膜強度が高く、樹脂の劣化を起こしにくく、耐熱性、耐摩耗性、耐久性に優れる摩擦材とすることができる。
特に、カーボンクロスは、カーボン繊維を束ねたトウを平織りしたクロス状のものであるため、膜強度を向上させることができる。
なお、カーボン繊維にはPAN系とピッチ系があるが、特にピッチ系を用いることで、摩擦材の熱伝導性が良好となる。さらに、耐摩耗性を主にしたものはPAN系が良好となる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る摩擦材について説明する。なお第1実施形態と同様の部分については説明を割愛する。
本実施形態は、摩擦層22が、カーボンクロス15に付着された高熱伝導粒子を含む点で、第1実施形態と相違する。高熱伝導粒子は、カーボンクロス15を構成するカーボン繊維より高い熱伝導率を有する。
図4に示すように、第1実施形態と同様のカーボンクロス15には、高熱伝導粒子の好適例であるミルフィーユ状の球状カーボン粒子17が多数分散付着されている。そしてこのカーボンクロス15を用いて摩擦層22が形成される。
ミルフィーユ状の球状カーボン粒子17は、例えばスーペリアグラファイト社製のか焼コークスであり、石油系直留重質油、コールタールピッチなどを流動層内で、250〜450℃の間で加熱して得られたものであり、コールタールピッチなどの成分留である軽質留分が蒸発してメソフェーズ状の薄片状の皮が層状に重なって粒状に形成されるもので、皮の厚さが5〜20μm、枚数が3〜10枚で、粒径が50〜500μmのメソフェーズ球体からなる。
カーボンクロス15にカーボン粒子17を付着させると、カーボン繊維のトウ16の交差部の凹部にカーボン粒子17が嵌る。当該交差部において、カーボン粒子17に接触する一対のトウ16がある場合、一方のトウ16からカーボン粒子17を通じて他方のトウ16へと熱を伝達させ、当該交差部における熱伝達を向上させることができる。その結果、摩擦層21においてリング幅方向、リング周方向およびリング半径方向に熱をより逃し易くし、摩擦材14の耐熱性、耐摩耗性、耐久性等をさらに向上することができる。また凹部に嵌ったカーボン粒子17は、トウ16同士のずれを抑制する効果も発揮する。
また、球状カーボン粒子17を付着させたカーボンクロス15を複数枚積層させて摩擦層22を形成した場合には、重なり合うカーボンクロス15の間にカーボン粒子17が挟まれ、カーボンクロス15同士がカーボン粒子17を通じて熱的につながるようになる。このため、リング半径方向、すなわち摩擦材厚さ方向の熱伝達性を向上し、摩擦材14の耐熱性、耐摩耗性、耐久性等を向上することができる。
ギアコーンと接触するカーボンクロス15に付着されたカーボン粒子17は、摩擦係数を適切な値に調整する機能をも有する。
カーボンクロス15の厚さが約0.2mmである場合、カーボン粒子17の粒径は、100μm〜500μmであれば、交差部の凹部に嵌る径となって好ましい。
また、カーボン粒子の分散量は、1cm2の正方形エリアの中に10〜150個とするのが好ましい。
本実施形態の摩擦材14の製造方法は、前記第1〜第3ステップのうち、第2ステップが、カーボンクロス15にカーボン粒子17を付着させる第4ステップを含む点で、第1実施形態と異なる。具体的には、第1実施形態の第2ステップが次のように変更される。
本実施形態の第2ステップにおいて、1枚のカーボンクロス15に、樹脂材料である液体フェノール樹脂が薄く塗布され、その後、固体粉末状のカーボン粒子17がカーボンクロス15に振り掛けられ、カーボン粒子17がカーボンクロス15に付着される。代替的に、カーボン粒子17が予め混合された液体フェノール樹脂をカーボンクロス15に塗布してもよい。カーボン粒子17は、カーボンクロス15の表裏の片面または両面に付着させるようにする。
複数枚のカーボンクロス15を積層して用いる場合には、カーボン粒子17を付着させた同様のカーボンクロス15を複数枚用意する。
その後、カーボン粒子17を付着させたカーボンクロス15がガラス繊維クロス23上に載置付着され、すなわち積層される。なお、カーボン粒子17を付着させた複数枚のカーボンクロス15をガラス繊維クロス23上に重ねて積層してもよい。
次に、上述した摩擦材14の製造方法の具体的な一実施例は、次のように修正される。
(A)カーボンクロスの前処理、(B)ガラス繊維クロス、(C)ガラス繊維クロスの前処理、(D)リング本体の接合面の樹脂については前記同様である。
(E)クロス接合樹脂の塗布において、リング本体のテーパ面に35%希釈フェノール樹脂を塗布し、その上に、(C)の前処理でカットされたガラス繊維クロス片を重ねる。次いでガラス繊維クロス上に、35%希釈フェノール樹脂を塗布し、その上に、(A)の前処理でカットされたカーボンクロス片を重ねる。この際、カーボンクロス片を重ねた後に、カーボンクロス片の表面に固体粉末状のカーボン粒子17を振り掛け、その表面にカーボン粒子17を付着させる。付加的または代替的に、カーボンクロス片を重ねる前にカーボン粒子17を振り掛け、カーボンクロス片の裏面にカーボン粒子17を付着させてもよい。こうしてリング本体のテーパ面に、ガラス繊維クロスと、カーボン粒子17が付着されたカーボンクロスとが仮接合される。
この後の(F)摩擦材の成形については前記同様である。
このように本実施形態によれば、カーボンクロス15に高熱伝導粒子であるカーボン粒子17を付着させたので、摩擦層21におけるリング幅方向、リング周方向およびリング半径方向の熱伝達性を改善し、耐熱性、耐摩耗性、耐久性等により優れた摩擦材14を提供することができる。
なお、高熱伝導粒子は必ずしもカーボン粒子17でなくてもよい。
以上、本発明の実施形態を詳細に述べたが、本発明の実施形態は上述のものに限られない。例えば上記各数値はあくまで例示であり、適宜変更可能である。摺動部品はシンクロナイザーリングに限らず、変速機またはそれ以外の他の部品であってもよい。上記実施形態の摩擦材は、摩擦層と断熱層の二層構造であるが、例えば摩擦層と断熱層の間に他の中間層を設けることにより、三層以上の構造としてもよい。
10 シンクロナイザーリング
11 リング本体
14 摩擦材
15 カーボンクロス
16 トウ
17 カーボン粒子
21 摩擦層
22 断熱層
23 ガラス繊維クロス

Claims (9)

  1. 摺動部品に適用される摩擦材であって、
    カーボン繊維のトウを平織りして形成されたカーボンクロスを含む摩擦層と、
    前記摩擦層と前記摺動部品の基材との間に介在するように前記摩擦層の下側に配置された断熱層と、
    を備えたことを特徴とする摩擦材。
  2. 前記カーボンクロスは、単繊維太さ7〜15μmのカーボン繊維を3000〜6000本束ねたトウを平織りして形成される請求項1に記載の摩擦材。
  3. 前記断熱層は、ガラス繊維クロスおよびナノセルロースの少なくとも一方を含む請求項1または2に記載の摩擦材。
  4. 前記摩擦層は、前記カーボンクロスに付着された高熱伝導粒子を含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の摩擦材。
  5. 摺動部品の基材上に樹脂材料を用いて断熱材料を積層させる第1ステップと、
    前記断熱材料の上に樹脂材料を用いて、カーボン繊維のトウを平織りして形成されたカーボンクロスを積層する第2ステップと、
    前記積層された断熱材料およびカーボンクロスを加熱および加圧して摩擦材を形成する第3ステップと、
    を備えたことを特徴とする摩擦材の製造方法。
  6. 前記カーボンクロスは、単繊維太さ7〜15μmのカーボン繊維を3000〜6000本束ねたトウを平織りして形成される請求項5に記載の摩擦材の製造方法。
  7. 前記断熱材料は、ガラス繊維クロスおよびナノセルロースの少なくとも一方を含む請求項5または6に記載の摩擦材の製造方法。
  8. 前記第2ステップは、前記カーボンクロスに高熱伝導粒子を付着させる第4ステップを含む請求項5〜7のいずれか一項に記載の摩擦材の製造方法。
  9. 前記高熱伝導粒子は、ミルフィーユ状の球状カーボン粒子からなる請求項5〜8のいずれか一項に記載の摩擦材の製造方法。
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