JP2018059984A - 表示素子用封止剤及び表示素子 - Google Patents

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由季 西海
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信烈 梁
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穣 末▲崎▼
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勝則 西出
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Abstract

【課題】アウトガスの発生、及び、無機膜を積層した際の無機膜のクラックの発生を抑制することができる表示素子用封止剤を提供する。また、該表示素子用封止剤を用いてなる表示素子を提供する。【解決手段】カルボキシル基及び/又は水酸基を有するエチレン性不飽和単量体の該カルボキシル基及び/又は該水酸基に由来する−COOX基(Xは、水素又は塩形成カチオンである)及び/又は水酸基を有するセグメントと、その他のエチレン性不飽和単量体に由来するセグメントとを有する共重合体である水溶性樹脂、前記水溶性樹脂を架橋することが可能な架橋性官能基を有する架橋性樹脂、及び、水を含有し、硬化物のガラス転移温度が70℃〜200℃である表示素子用封止剤。【選択図】なし

Description

本発明は、アウトガスの発生、及び、無機膜を積層した際の無機膜のクラックの発生を抑制することができる表示素子用封止剤に関する。また、本発明は、該表示素子用封止剤を用いてなる表示素子に関する。
近年、薄型、軽量、低消費電力等の特徴を有する表示素子として、液晶表示素子や有機EL表示素子等が広く利用されている。これらの表示素子では、通常、液晶やカラーフィルター層や発光層の封止に硬化性樹脂組成物が用いられる。
液晶表示素子は、通常、2枚の電極付き透明基板を所定の間隔をおいて対向させ、その周囲を封止剤で封着してセルを形成し、その一部に設けられた液晶注入口からセル内に液晶を注入し、この液晶注入口を、液晶注入口用封止剤を用いて封止することにより製造される。従来、液晶注入口用封止剤としては、1液型又は2液型の硬化性エポキシ樹脂組成物や、特許文献1に記載されているような光硬化型のアクリル系樹脂組成物等が広く用いられてきた。しかしながら、1液型の硬化性エポキシ樹脂組成物は、一般的に高温で長時間の加熱を要するため生産性に劣り、2液型の硬化性エポキシ樹脂組成物は、主剤と硬化剤とを混合するのに手間がかかり、また、混合後は可使時間(ポットライフ)内に使用しなければならないため、特に作業性に劣るものであった。一方、光硬化型のアクリル系樹脂組成物は、作業性や生産性には優れているものの、液晶との相互作用が強いため液晶を汚染して色むらを生じたり、表示素子の製造過程で残存するアクリル樹脂や光開始剤の残渣により多量のアウトガスを発生させたり、接着性や硬化物の透明性に劣るものであったりするという問題があった。
一方で、液晶表示素子の構成部材であるカラーフィルターでは、特許文献2に記載されているような熱硬化性樹脂組成物をカラーフィルターに被覆して封止することにより、着色画素成分である染料や顔料が液晶へ溶出することによって生じる液晶汚染を防止することができるとされている。しかしながら、特許文献2に開示されているような熱硬化性樹脂組成物は、有機溶剤を含有するものであるが、近年は臭気や環境への負荷を低減する観点から揮発性有機溶剤(VOC)を使用しないものが好まれる傾向にあり、更に、樹脂組成物内に有機溶剤が残存した場合にアウトガスが発生することによって液晶への深刻なダメージを引き起こすという問題が生じる。このことから、アウトガスの発生を抑制することができ、かつ、透明性に優れる硬化性樹脂組成物が求められていた。
また、有機EL表示素子では、有機発光材料層や電極が外気に曝されると、その性能が急激に劣化してしまうため、有機EL表示素子の安定性や耐久性を高めるために、有機発光材料層と電極とを、無機材料膜を介して樹脂保護膜で被覆して封止する方法が提案されている。例えば、特許文献3には、無機材料膜の上にアクリル系の樹脂組成物からなる樹脂膜を形成する方法が開示されており、特許文献4には、光カチオン重合による樹脂膜の形成方法が開示されている。しかしながら、このような場合もアクリル樹脂や光開始剤の残渣によるアウトガス発生等の問題があった。
特開平6−160972号公報 特開2015−106032号公報 特開2001−307873号公報 特開2005−336314号公報
本発明は、アウトガスの発生、及び、無機膜を積層した際の無機膜のクラックの発生を抑制することができる表示素子用封止剤を提供することを目的とする。また、本発明は、該表示素子用封止剤を用いてなる表示素子を提供することを目的とする。
本発明は、カルボキシル基及び/又は水酸基を有するエチレン性不飽和単量体の該カルボキシル基及び/又は該水酸基に由来する−COOX基(Xは、水素又は塩形成カチオンである)及び/又は水酸基を有するセグメントと、その他のエチレン性不飽和単量体に由来するセグメントとを有する共重合体である水溶性樹脂、上記水溶性樹脂を架橋することが可能な架橋性官能基を有する架橋性樹脂、及び、水を含有し、硬化物のガラス転移温度が70℃〜200℃である表示素子用封止剤である。
以下に本発明を詳述する。
表示素子用封止剤によるアウトガスの発生を抑制するためには、高分子量の樹脂成分を用いることが考えられ、該高分子量の樹脂成分を用いることによって高くなる粘度を調整する等のために溶剤を用いることが考えられる。
本発明者らは、アウトガスを発生させ難い溶剤として水を用い、更に、透明性に優れ、かつ、アウトガスを発生させ難い水溶性樹脂として、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体と、これと共重合可能なその他のエチレン性不飽和単量体とを単量体成分とする共重合体又は該共重合体の塩を用いることを検討した。しかしながら、得られた表示素子用封止剤は、硬化後に無機膜を積層した際、無機膜にクラックが発生しやすくなることがあるという問題があった。
そこで本発明者らは更に鋭意検討した結果、上記共重合体又は上記共重合体の塩として特定の単量体からなるものを用い、かつ、硬化物のガラス転移温度を特定の範囲となるようにすることにより、アウトガスの発生、及び、無機膜を積層した際の無機膜のクラックの発生を抑制することができる表示素子用封止剤を得ることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
また、本発明の表示素子用封止剤は、低温での加熱硬化が可能であるため、光照射や高温加熱によるデバイスへのダメージを防止することができる。
なお、本明細書において上記「透明」とは、へイズメーターを用いて測定した、全光線透過率が85%以上であり、かつ、ヘイズ値(曇価)が1%以下であることを意味する。
本発明の表示素子用封止剤は、水溶性樹脂を含有する。
上記水溶性樹脂は、カルボキシル基及び/又は水酸基を有するエチレン性不飽和単量体の該カルボキシル基及び/又は該水酸基に由来する−COOX基(Xは、水素又は塩形成カチオンである)及び/又は水酸基を有するセグメントと、その他のエチレン性不飽和単量体に由来するセグメントとを有する共重合体(以下、「本発明にかかる水溶性樹脂」ともいう)である。本発明にかかる水溶性樹脂は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、及び、グラフト共重合体のいずれであってもよい。
なお、本明細書において、上記「水溶性」とは、pH6からpH9の概ね中性の範囲で水溶液を得ることができることを意味する。
上記−COOX基及び/又は水酸基を有するセグメントを有することにより、本発明にかかる水溶性樹脂は、水溶性及び架橋性樹脂との反応性に優れるものとなる。
上記−COOX基及び/又は水酸基を有するセグメントにおいて、−COOX基及び/又は水酸基は、カルボキシル基及び/又は水酸基を有するエチレン性不飽和単量体の該カルボキシル基及び/又は該水酸基に由来する。
上記カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、3−アクリロイルオキシプロピオン酸、クロトン酸、ビニル酢酸、アリル酢酸等のエチレン性不飽和モノカルボン酸、フマル酸、フタル酸、イタコン酸、マレイン酸等の不飽和ジカルボン酸、アコニット酸等の不飽和トリカルボン酸等が挙げられる。なお、上記カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体としては、これらの酸の酸無水物やエステルを用いてもよい。
上記水酸基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2,3−ジヒドロキシプロピル等が挙げられる。
上記カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体及び上記水酸基を有するエチレン性不飽和単量体は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なかでも、共重合性の観点から、上記カルボキシル基及び/又は水酸基を有するエチレン性不飽和単量体は、アクリル酸、メタクリル酸、及び、アクリル酸4−ヒドロキシブチルからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
なお、本明細書において上記「(メタ)アクリル」は、アクリル又はメタクリルを意味する。
上記−COOX基において、Xは、水素又は塩形成カチオンである。
上記Xが塩形成カチオンである場合、該塩形成カチオンとしては、アンモニウムイオン、アルカリ金属イオン等が挙げられる。
なかでも、得られる水溶性樹脂が架橋性樹脂との反応性により優れるものとなることから、上記Xは、水素又はアンモニウムイオンであることが好ましい。
なお、本明細書において上記「アンモニウムイオン」とは、アンモニア、一級アミン、二級アミン、又は、三級アミン由来のカチオンを意味する。
本発明にかかる水溶性樹脂中における上記−COOX基及び/又は水酸基を有するセグメントの含有割合の好ましい下限は2重量%、好ましい上限は70重量%である。上記−COOX基及び/又は水酸基を有するセグメントの含有割合がこの範囲であることにより、耐水性や保存安定性を悪化させることなく、得られる水溶性樹脂が、水溶性及び架橋性樹脂との反応性により優れるものとなる。上記−COOX基及び/又は水酸基を有するセグメントの含有割合のより好ましい下限は5重量%、より好ましい上限は50重量%、更に好ましい上限は30重量%である。
上記その他のエチレン性不飽和単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体や、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン等の芳香族ビニル系単量体や、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体等が挙げられる。これらのその他のエチレン性不飽和単量体は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明にかかる水溶性樹脂中における上記その他のエチレン性不飽和単量体に由来するセグメントの含有割合の好ましい下限は30重量%、好ましい上限は98重量%である。上記その他のエチレン性不飽和単量体に由来するセグメントの含有割合がこの範囲であることにより、得られる表示素子用封止剤の硬化物が、耐湿熱性により優れるものとなる。上記その他のエチレン性不飽和単量体に由来するセグメントの含有割合のより好ましい下限は50重量%、より好ましい上限は95重量%、更に好ましい下限は70重量%である。
また、本発明にかかる水溶性樹脂は、フェニルマレイミド、ベンジルマレイミド、ナフチルマレイミド、o−クロロフェニルマレイミド等の芳香族置換マレイミド系単量体や、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、イソプロピルマレイミド等のアルキル置換マレイミド系単量体等に由来するセグメントを有してもよい。
本発明にかかる水溶性樹脂は、なかでも、側鎖に上記−COOX基を有する(メタ)アクリル共重合体が好適である。
本発明にかかる水溶性樹脂は、上記カルボキシル基及び/又は水酸基を有するエチレン性不飽和単量体に由来するセグメントと上記その他のエチレン性不飽和単量体に由来するセグメントとを有する共重合体であってもよいし、該共重合体がカルボキシル基を有する場合は、該共重合体を、アンモニアやアミン等の塩基により中和してカルボン酸塩としたものであってもよい。
上記カルボキシル基及び/又は水酸基を有するエチレン性不飽和単量体に由来するセグメントと上記その他のエチレン性不飽和単量体に由来するセグメントとを有する共重合体を製造する方法としては、例えば、ラジカル重合開始剤及び必要に応じて分子量調整剤を用いて、上記カルボキシル基及び/又は水酸基を有するエチレン性不飽和単量体や上記その他のエチレン性不飽和単量体等の共重合体を構成する単量体成分を、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、分散重合、乳化重合等の従来公知の方法により重合する方法が挙げられる。なかでも、溶液重合が好適である。
上記溶液重合に用いられる溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、グリコール等の脂肪族アルコール類や、セロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類や、カルビトール、ブチルカルビトール等のカルビトール類や、酢酸セロソルブ、酢酸カルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類や、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類や、テトラヒドロフラン等の環状エーテル、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類や、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等の極性を有する有機溶剤等が挙げられる。
また、上記懸濁重合、上記分散重合、上記乳化重合等に用いられる媒体としては、例えば、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン等の液状の炭化水素や、その他の非極性の有機溶剤等が挙げられる。
上記カルボキシル基及び/又は水酸基を有するエチレン性不飽和単量体に由来するセグメントと上記その他のエチレン性不飽和単量体に由来するセグメントとを有する共重合体を製造する際に有機溶剤を用いた場合は、得られた樹脂溶液に適当量の水を加えた後に減圧等により有機溶剤を留去することが好ましい。
上記カルボキシル基及び/又は水酸基を有するエチレン性不飽和単量体に由来するセグメントと上記その他のエチレン性不飽和単量体に由来するセグメントとを有する共重合体を製造する際に用いるラジカル重合開始剤としては、例えば、過酸化物、アゾ開始剤等が挙げられる。
また、上記分子量調整剤としては、例えば、α−メチルスチレンダイマー、メルカプタン系の連鎖移動剤等が挙げられる。
本発明にかかる水溶性樹脂の重量平均分子量の好ましい下限は5000、好ましい上限は10万である。本発明にかかる水溶性樹脂の重量平均分子量がこの範囲であることにより、アウトガスの発生をより低減することができ、得られる表示素子用封止剤が、液晶表示素子や有機EL表示素子のダメージを抑制する効果により優れるものとなり、かつ、密着性にもより優れるものとなる。本発明にかかる水溶性樹脂の重量平均分子量のより好ましい下限は1万、より好ましい上限は5万である。
なお、本明細書において上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定を行い、ポリスチレン換算により求められる値である。GPCによってポリスチレン換算による重量平均分子量を測定する際のカラムとしては、例えば、Shodex GF−510 HQ、Shodex SB−804 HQ(いずれも昭和電工社製)、TSKgel GMPW、TSKgel G2500PW(いずれも東ソー社製)等が挙げられる。また、GPCで用いる溶媒としては、エタノール、アセトニトリル、水等が挙げられる。
本発明にかかる水溶性樹脂の−COOX基及び/又は水酸基当量、後述する架橋性樹脂の架橋性官能基当量等を調整することにより、得られる表示素子用封止剤の硬化物のガラス転移温度を後述する範囲に容易に調整することができる。
本発明にかかる水溶性樹脂の−COOX基及び/又は水酸基当量の好ましい下限は150、好ましい上限は4000である。本発明にかかる水溶性樹脂の−COOX基及び/又は水酸基当量がこの範囲であることにより、水溶性及び架橋性樹脂との反応性により優れるものとなり、かつ、得られる表示素子用封止剤の硬化物のガラス転移温度を後述する範囲に調整することがより容易となって無機膜を積層した際の無機膜のクラックの発生を抑制する効果により優れるものとなる。本発明にかかる水溶性樹脂の−COOX基及び/又は水酸基当量のより好ましい下限は200、より好ましい上限は2000である。
なお、本発明にかかる水溶性樹脂の−COOX基及び/又は水酸基当量は、本発明にかかる水溶性樹脂の重量(g)を本発明にかかる水溶性樹脂に含まれる−COOX基及び/又は水酸基のモル数(mol)で除して求められる値である。
本発明にかかる水溶性樹脂は、予め水溶液状態又は有機溶剤中に溶解若しくは分散した状態とし、必要に応じて水分量や有機溶剤量を調整した後に、架橋性樹脂等と混合してもよい。
本発明の表示素子用封止剤は、本発明にかかる水溶性樹脂を架橋することが可能な架橋性官能基を有する架橋性樹脂を含有する。
上記架橋性樹脂を用いて本発明にかかる水溶性樹脂を架橋することにより、本発明の表示素子用封止剤の硬化物がガラス基板やアクリル系コーティング層との密着性、硬度、及び、耐湿熱性に優れるものとなる。また、上記架橋性樹脂は、本発明の表示素子用封止剤の硬化物にコーティングを施す場合の塗布時の濡れ性や密着性を向上させる効果も有する。
上記架橋性樹脂の有する架橋性官能基としては、例えば、オキサゾリン基、エポキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、イソシアネート基、カルボジイミド基、アジリジン基等が挙げられる。なかでも、オキサゾリン基が好ましい。
上記架橋性樹脂は、上記架橋性官能基を1分子中に2個以上有することが好ましい。
上述したように本発明にかかる水溶性樹脂の−COOX基及び/又は水酸基当量、上記架橋性樹脂の架橋性官能基当量等を調整することにより、得られる表示素子用封止剤の硬化物のガラス転移温度を後述する範囲に容易に調整することができる。
上記架橋性樹脂の架橋性官能基当量の好ましい下限は100、好ましい上限は1000である。上記架橋性樹脂の架橋性官能基当量がこの範囲であることにより、得られる表示素子用封止剤の硬化物が密着性、硬度、及び、耐湿熱性により優れるものとなり、かつ、得られる表示素子用封止剤の硬化物のガラス転移温度を後述する範囲に調整することがより容易となって無機膜を積層した際の無機膜のクラックの発生を抑制する効果により優れるものとなる。上記架橋性樹脂の架橋性官能基当量のより好ましい下限は120、より好ましい上限は700である。
なお、上記架橋性樹脂の架橋性官能基当量は、架橋性樹脂の重量(g)を架橋性樹脂中に含まれる架橋性官能基のモル数(mol)で除して求められる値である。
上記架橋性樹脂は、水溶性であることが好ましい。
上記架橋性樹脂の樹脂骨格としては、例えば、ポリアクリル骨格、ポリエステル骨格、ポリウレタン骨格、ポリアミド骨格、ポリイミド骨格、ポリスチレン骨格等が挙げられる。なかでも、ポリアクリル骨格が好ましい。
上記架橋性樹脂の重量平均分子量の好ましい下限は300、好ましい上限は50万である。上記架橋性樹脂の重量平均分子量がこの範囲であることにより、本発明にかかる水溶性樹脂をより均一に架橋することができる。
上記架橋性樹脂は、予め水溶液状態又は有機溶剤中に溶解若しくは分散した状態とし、必要に応じて水分量や有機溶剤量を調整した後に、本発明にかかる水溶性樹脂等と混合してもよい。
上記架橋性樹脂を含有する溶液や分散液として市販されているものとしては、例えば、エラストロンシリーズ(第一工業製薬社製)、デュラネートシリーズ(旭化成社製)、カルボジライトシリーズ(日清紡ケミカル社製)、Aquaシリーズ(Baxenden社製)、エポクロスKシリーズ、エポクロスWSシリーズ(いずれも日本触媒社製)等が挙げられる。
更に、本発明にかかる水溶性樹脂の−COOX基及び/又は水酸基と、架橋性樹脂の架橋性官能基のモル比を調整することにより、得られる表示素子用封止剤の硬化物のガラス転移温度を後述する範囲に容易に調整することができる。
また、本発明にかかる水溶性樹脂の有する−COOX基及び/又は水酸基と、架橋性樹脂の有する架橋性官能基とのモル比は、−COOX基及び/又は水酸基:架橋性官能基=1:0.01〜1:10であることが好ましい。本発明にかかる水溶性樹脂の有する−COOX基及び/又は水酸基と、架橋性樹脂の有する架橋性官能基とのモル比がこの範囲であることにより、得られる表示素子用封止剤の硬化物が密着性、硬度、及び、耐湿熱性により優れるものとなる。本発明にかかる水溶性樹脂の有する−COOX基及び/又は水酸基と、架橋性樹脂の有する架橋性官能基とのモル比は、−COOX基及び/又は水酸基:架橋性官能基=1:0.02〜1:8であることがより好ましい。
本発明にかかる水溶性樹脂と上記架橋性樹脂との含有割合は、重量比で、本発明にかかる水溶性樹脂:架橋性樹脂=1:0.01〜1:2であることが好ましい。本発明にかかる水溶性樹脂と上記架橋性樹脂との含有割合がこの範囲であることにより、得られる表示素子用封止剤の硬化物が密着性、硬度、及び、耐湿熱性により優れるものとなる。本発明にかかる水溶性樹脂と上記架橋性樹脂との含有割合は、重量比で、本発明にかかる水溶性樹脂:架橋性樹脂=1:0.02〜1:1.5であることがより好ましい。
本発明の表示素子用封止剤は、溶剤として水を含有する。
上記水を溶剤として用いることにより、アウトガスの発生を抑制することができ、かつ、表示素子用封止剤を塗布及び乾燥する際の、有機化学物質の排出等の環境への負荷、火災の危険性、及び、取扱者の健康への悪影響を低減することができる。
上述したように本発明にかかる水溶性樹脂及び上記オキサゾリン基を有する架橋性樹脂は、それぞれ予め水溶液状態又は有機溶剤中に溶解若しくは分散した状態とした後に他の成分と混合してもよい。
本発明の表示素子用封止剤における水の含有量は特に制限されず、塗布方法等に適した粘度となるように適宜設定されるが、固形分の濃度が1〜50重量%となる量であることが好ましく、10〜40重量%となる量であることがより好ましい。
本発明の表示素子用封止剤は、上記水に加えて有機溶剤等のその他の溶剤を含有してもよいが、アウトガスの発生を抑制するという本発明の目的から、その他の溶剤を含有しないことが好ましい。上記その他の溶剤を含有する場合、その含有量は、溶剤全体の30重量%以下であることが好ましく、10重量%以下であることがより好ましい。
上記その他の溶剤の含有量が多くなりすぎる場合には、共沸等の適当な方法で上記その他の溶剤を除去することが好ましい。上記その他の溶剤の除去は、本発明にかかる水溶性樹脂及び上記架橋性樹脂と混合する前に行ってもよい。
上記その他の溶剤としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のプロピレングリコール類や、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類等の有害性の低い有機溶剤が挙げられる。
本発明の表示素子用封止剤は、本発明の目的を阻害しない範囲で、アンモニア水、水酸化ナトリウム等のpH調整剤、増粘剤、乾燥抑制剤、防腐剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、消泡剤、レベリング剤、カップリング剤、顔料、染料等の公知の各種添加剤を含有してもよい。
本発明の表示素子用封止剤を製造する方法としては、例えば、本発明にかかる水溶性樹脂と、上記架橋性樹脂と、上記水と、必要に応じて用いられる添加剤等とを、撹拌機を用いて混合する方法等が挙げられる。また、均一な混合物となるように、撹拌後、フィルターを用いて濾過を行うことが好ましい。
本発明の表示素子用封止剤を塗布する方法としては、例えば、スピンコート、スリットコート、スクリーン印刷、インクジェット塗布、静電塗布、バーコート、ダイコート、ロールコート等の公知の塗布方法を用いることができ、所望の膜厚及び所定の塗布方法に適した濃度、粘度に調整して使用することができる。
本発明の表示素子用封止剤は、低温での加熱により硬化させることができる。本発明の表示素子用封止剤を硬化させる際の加熱温度は特に限定されないが、通常は60℃〜250℃であり、熱処理時間を短縮するために好ましくは70℃以上、加熱による黄変を抑制するために好ましくは200℃以下である。
本発明の表示素子用封止剤は、硬化物のガラス転移温度の下限が70℃、上限が200℃である。上記硬化物のガラス転移温度がこの範囲であることにより、本発明の表示素子用封止剤は、無機膜を積層した際の無機膜のクラックの発生を抑制する効果に優れるものとなる。上記硬化物のガラス転移温度の好ましい下限は80℃、好ましい上限は190℃、より好ましい下限は90℃、より好ましい上限は180℃である。
なお、本明細書において上記「ガラス転移温度」とは、動的粘弾性測定により得られる損失正接(tanδ)の極大のうち、ミクロブラウン運動に起因する極大が現れる温度を意味し、粘弾性測定装置等を用いた従来公知の方法により測定することができる。また、上記ガラス転移温度を測定する硬化物は、本発明の表示素子用封止剤を、ガラス基板上にスピンコーターで塗布し、70℃で3分加熱した後、更に120℃で30分加熱する方法により得ることができる。
上述したように、本発明の表示素子用封止剤の硬化物のガラス転移温度は、本発明にかかる水溶性樹脂の−COOX基及び/又は水酸基当量、上記架橋性樹脂の架橋性官能基当量等を調整することにより、上記範囲に容易に調整することができる。
本発明の表示素子用封止剤の硬化物を有する表示素子もまた、本発明の1つである。
本発明の表示素子用封止剤は、アウトガスの発生を抑制する効果に優れ、かつ、硬化物は、透明性、密着性、硬度、及び、耐湿熱性に優れるため、本発明の表示素子は、特に表示性能に優れるものとなる。
本発明によれば、アウトガスの発生、及び、無機膜を積層した際の無機膜のクラックの発生を抑制することができる表示素子用封止剤を提供することができる。また、本発明によれば、該表示素子用封止剤を用いてなる表示素子を提供することができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
(水溶性樹脂Aの調製)
容量1000mLの四つ口セパラブルフラスコに、撹拌機、還流冷却器、温度計、窒素ガス導入管、及び、滴下漏斗を備えた反応装置を準備した。該フラスコ中にテトラヒドロフラン50重量部を入れ、窒素ガスを導入してバブリングし、溶存酸素を除去した。カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体としてメタクリル酸41重量部と、その他のエチレン性不飽和単量体としてメタクリル酸メチル190重量部と、ラジカル重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルへキサノエート1.3重量部と、連鎖移動剤としてn−ドデシルメルカプタン1重量部と、溶剤としてテトラヒドロフラン50重量部とを予め混合してモノマー溶液を調製し、上記テトラヒドロフランの入ったフラスコ内を撹拌しながら該モノマー溶液を1時間かけて滴下し、その後80℃にて3時間還流して共重合反応を行い、樹脂溶液を得た。得られた樹脂溶液から共重合樹脂をメタノールで単離し、精製した後、減圧乾燥して樹脂固形物を得た。
次に、得られた樹脂固形物に対して1mol/Lのアンモニア水及び水を添加し、中和しつつ80℃で加熱撹拌して溶解し、水溶性樹脂A(重量平均分子量23000、−COOX基当量572、−COOX基を有するセグメントの割合68重量%)の水溶液(固形分率20重量%)を得た。
(水溶性樹脂Bの調製)
メタクリル酸の配合量を172重量部とし、メタクリル酸メチルの配合量を80重量部としたこと以外は、上記「(水溶性樹脂Aの調製)」と同様にして、水溶性樹脂B(重量平均分子量25000、−COOX基当量151、−COOX基を有するセグメントの割合68重量%)の水溶液(固形分率20重量%)を得た。
(水溶性樹脂Cの調製)
メタクリル酸の配合量をメタクリル酸7重量部とし、メタクリル酸メチルの配合量を275重量部としたこと以外は、上記「(水溶性樹脂Aの調製)」と同様にして、水溶性樹脂C(重量平均分子量27800、−COOX基当量3975、−COOX基を有するセグメントの割合2.5重量%)の水溶液(固形分率20重量%)を得た。
(水溶性樹脂Dの調製)
容量1000mLの四つ口セパラブルフラスコに、撹拌機、還流冷却器、温度計、窒素ガス導入管、及び、滴下漏斗を備えた反応装置を準備した。該フラスコ中にテトラヒドロフラン50重量部を入れ、窒素ガスを導入してバブリングし、溶存酸素を除去した。水酸基を有するエチレン性不飽和単量体としてアクリル酸4−ヒドロキシブチル43重量部と、その他のエチレン性不飽和単量体としてメタクリル酸メチル200重量部と、ラジカル重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルへキサノエート1.3重量部と、連鎖移動剤としてn−ドデシルメルカプタン1重量部と、溶剤としてテトラヒドロフラン50重量部とを予め混合してモノマー溶液を調製し、上記テトラヒドロフランの入ったフラスコ内を撹拌しながら該モノマー溶液を1時間かけて滴下し、その後80℃にて3時間還流して共重合反応を行い、樹脂溶液を得た。得られた樹脂溶液から共重合樹脂をメタノールで単離し、精製した後、減圧乾燥して樹脂固形物を得た。
次に、得られた樹脂固形物に対して水を添加し、80℃で加熱撹拌して溶解し、水溶性樹脂D(重量平均分子量30500、水酸基当量644、水酸基を有するセグメントの割合22重量%)の水溶液(固形分率20重量%)を得た。
(水溶性樹脂Eの調製)
容量1000mLの四つ口セパラブルフラスコに、撹拌機、還流冷却器、温度計、窒素ガス導入管、及び、滴下漏斗を備えた反応装置を準備した。該フラスコ中にテトラヒドロフラン50重量部を入れ、窒素ガスを導入してバブリングし、溶存酸素を除去した。カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体としてメタクリル酸21重量部と、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体としてアクリル酸4−ヒドロキシブチル22重量部と、その他のエチレン性不飽和単量体としてメタクリル酸メチル200重量部と、ラジカル重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルへキサノエート1.3重量部と、連鎖移動剤としてn−ドデシルメルカプタン1重量部と、溶剤としてテトラヒドロフラン50重量部とを予め混合してモノマー溶液を調製し、上記テトラヒドロフランの入ったフラスコ内を撹拌しながら該モノマー溶液を1時間かけて滴下し、その後80℃にて3時間還流して共重合反応を行い、樹脂溶液を得た。得られた樹脂溶液から共重合樹脂をメタノールで単離し、精製した後、減圧乾燥して樹脂固形物を得た。
次に、得られた樹脂固形物に対して水を添加し、80℃で加熱撹拌して溶解し、水溶性樹脂E(重量平均分子量23700、−COOX及び水酸基当量624、−COOX基を有するセグメントの割合8.2重量%、水酸基を有するセグメントの割合12重量%)の水溶液(固形分率20重量%)を得た。
(水溶性樹脂Fの調製)
容量1000mLの四つ口セパラブルフラスコに、撹拌機、還流冷却器、温度計、窒素ガス導入管、及び、滴下漏斗を備えた反応装置を準備した。該フラスコ中にテトラヒドロフラン50重量部を入れ、窒素ガスを導入してバブリングし、溶存酸素を除去した。カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体としてメタクリル酸5重量部と、その他のエチレン性不飽和単量体としてメタクリル酸メチル270重量部と、ラジカル重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルへキサノエート1.3重量部と、連鎖移動剤としてn−ドデシルメルカプタン1重量部と、溶剤としてテトラヒドロフラン50重量部とを予め混合してモノマー溶液を調製し、上記テトラヒドロフランの入ったフラスコ内を撹拌しながら該モノマー溶液を1時間かけて滴下し、その後80℃にて3時間還流して共重合反応を行い、樹脂溶液を得た。得られた樹脂溶液から共重合樹脂をメタノールで単離し、精製した後、減圧乾燥して樹脂固形物を得た。
次に、得られた樹脂固形物に対して1mol/Lのアンモニア水及び水を添加し、中和しつつ80℃で加熱撹拌して溶解し、水溶性樹脂F(重量平均分子量26500、−COOX基当量6890、−COOX基を有するセグメントの割合1.5重量%)の水溶液(固形分率20重量%)を得た。
(実施例1〜6、比較例1、2)
表1に記載された配合比に従い、各材料を、撹拌機で30分間混合した後、孔径5μmのメンブレンフィルターで濾過することにより、実施例1〜6及び比較例1、2の表示素子用封止剤を調製した。
<評価>
実施例及び比較例で得られた各表示素子用封止剤について、以下の評価を行った。結果を表1に示した。
(1)ガラス転移温度
実施例及び比較例で得られた各表示素子用封止剤を、ガラス基板上にスピンコーターにより塗布した後、70℃で3分間加熱乾燥し、120℃で30分間ポストベイクして封止剤を完全に硬化させ、厚さ10μmのフィルムを作製し、試験片とした。得られた試験片について、動的粘弾性測定装置(IT計測制御社製、「DVA−200」)を用いて、25℃〜200℃、10Hzにおいて動的粘弾性を測定し、損失正接(tanδ)の極大値の温度をガラス転移温度として求めた。
(評価用基板の作製)
実施例及び比較例で得られた各表示素子用封止剤を厚さ0.7mm、幅50mm、長さ50mmの無アルカリガラス基板上にスピンコーターにより塗布した後、120℃で10分間乾燥した。次いで、140℃で30分間ポストベイクすることによって、膜厚が約10μmの塗膜がガラス基板上に形成された評価用基板を、無機膜のクラック防止性、透明性、密着性、硬度、耐湿熱性、低アウトガス性、液晶の電圧保持率、及び、液晶表示素子の表示性能の各評価について作製した。
(2)無機膜のクラック防止性
上記「(評価用基板の作製)」で得られた評価用基板について、バッチ式マグネトロン型スパッタリング装置を使用して無機膜を成膜した。成膜条件としては、基板加熱温度を100℃、スパッタリングターゲットを窒化ケイ素、アルゴンガス流量を50sccm、酸素ガス流量を10sccm、RF電源による出力1200Wとして成膜を行い、表示素子用封止剤の硬化物上にスパッタ法にて無機膜を積層した試験片を得た。
また、上記「(評価用基板の作製)」で得られた評価用基板について、平行平板型プラズマCVD装置を使用して無機膜を成膜した。成膜条件としては、基板加熱温度を100℃、原料ガス1としてN(流量2200sccm)、原料ガス2としてNH(流量90sccm)、原料ガス3としてSiH(流量90sccm)、RF電源の出力を1500W、成膜圧力を160Paとして成膜を行い、表示素子用封止剤の硬化物上にCVD法にて無機膜を積層した試験片を得た。
得られたそれぞれの試験片について、無機膜におけるクラックの有無を目視にて確認した。無機膜にクラックが確認されなかった場合を「○」、無機膜にわずかにクラックが確認された場合を「△」、無機膜にはっきりとクラックが確認された場合を「×」として、無機膜のクラック防止性を評価した。
(3)透明性
上記「(評価用基板の作製)」で得られた評価用基板について、へイズメーターを用いて透過率(全光線透過率)とヘイズ値(曇価)の測定を行った。透過率は、85%以上であった場合を「○」、85%未満であった場合を「×」とし、ヘイズ値は、1%以下であった場合を「○」、1%を超えた場合を「×」として透明性を評価した。
(4)密着性
上記「(評価用基板の作製)」で得られた評価用基板について、JIS K5400に準拠して1mm間隔100マス目の碁盤目剥離試験を行った。
テープ剥離後の塗膜の残存率が95%以上であった場合を「○」、80%以上95%未満であった場合を「△」、80%未満であった場合を「×」として密着性を評価した。
(5)硬度
上記「(評価用基板の作製)」で得られた評価用基板について、JIS K5400に準拠して鉛筆硬度を測定した。
(6)耐湿熱性
上記「(評価用基板の作製)」で得られた評価用基板について、温度85℃、湿度85%RHに調整した恒温恒湿オーブン中で240時間保持する高温高湿試験を行った際の高温高湿試験前後における塗膜の状態を目視にて観察した。
高温高湿試験前後で塗膜に変化が見られなかった場合を「○」、高温高湿試験後の塗膜に溶解、剥がれ、クラック、白化等の変化がわずかに見られた場合を「△」、高温高湿試験後の塗膜に溶解、剥がれ、クラック、白化等の変化がはっきりと見られた場合を「×」として耐湿熱性を評価した。
(7)低アウトガス性
上記「(評価用基板の作製)」で得られた評価用基板について、熱分析装置(Seiko Instruments社製、「TG/DTA6200」)を用いて、昇温速度10℃/minで130℃まで加熱したときの重量減少率を測定し、これをアウトガス発生量とした。
アウトガス発生量が0.1%未満であったものを「○」、アウトガス発生量が0.1%以上0.3%未満であった場合を「△」、アウトガス発生量が0.3%以上であった場合を「×」として低アウトガス性を評価した。
(汚染評価用液晶の作製)
上記「(評価用基板の作製)」で得られた評価用基板について、スパーテルにてガラス基板上の塗膜を削り取った後、削り取った塗膜10mgをスクリュー管に計量した。次いで、液晶(メルク社製、「ZLI−4792」)0.5gを上記スクリュー管に計量して入れ、スクリュー管の蓋をしてから、オーブンにて120℃で30分間加熱した後に、液晶を室温まで徐冷させることによって汚染評価用液晶を作製した。
(液晶汚染評価用基板の作製)
ITO透明電極(長さ10mm、幅10mm)が形成されたガラス基板(厚さ0.7mm、幅50mm、長さ50mm)上に、スピンコーターにて配向膜を表面に塗布し、焼成することによって、ガラス基板上に厚さ800Åの配向膜が形成された液晶汚染評価用基板を作製した。
(8)液晶の電圧保持率
上記「(液晶汚染評価用基板の作製)」で得られた液晶汚染評価用基板に、UV硬化型シール剤(積水化学工業社製)を正方形の枠を描くようにディスペンサーで塗布してシールパターンを形成した。形成したシールパターンの内部に、実施例及び比較例で得られた各表示素子用封止剤を微小滴点打ちした後にスピンコーターにて塗布し、120℃で10分間乾燥して膜厚が約5μmの塗膜を得た。続いて上記「(汚染評価用液晶の作製)」で得られた汚染評価用液晶の微小滴を液晶汚染評価用基板の枠内全面に滴下塗布し、真空中にて別のITO透明電極と配向膜とが形成された基板を重ね合わせた。真空を解除した後、外枠シール部にメタルハライドランプを用いて100mW/cmの紫外線を30秒照射した。その後液晶アニールを120℃で60分行うことによって、液晶の電圧保持率評価用の液晶セルを得た。
得られた液晶セルについて、電圧保持率測定装置(東陽テクニカ社製)にて、5V、60Hzの交流電圧を印可し、16.7ミリ秒後の保持電圧を測定することによって、液晶の電圧保持率を測定した。電圧保持率が99.0%以上であった場合を「○」、95.0%以上99.0%未満であった場合を「△」、95.0%未満であった場合を「×」として、液晶の電圧保持率を評価した。
(9)液晶表示素子の表示性能
上記「(液晶汚染評価用基板の作製)」で得られた液晶汚染評価用基板に、UV硬化型シール剤(積水化学工業社製)を正方形の枠を描くようにディスペンサーで塗布してシールパターンを形成した。形成したシールパターンの内部に、実施例及び比較例で得られた各表示素子用封止剤を微小滴点打ちした後にスピンコーターにて塗布し、120℃で10分間乾燥して膜厚が約5μmの塗膜を得た。続いて液晶(メルク社製、「ZLI−4792」)の微小滴を液晶汚染評価用基板の枠内全面に滴下塗布し、真空中にて別のITO透明電極と配向膜とが形成された基板を重ね合わせた。真空を解除した後、外枠シール部にメタルハライドランプを用いて100mW/cmの紫外線を30秒照射した。その後液晶アニールを120℃で60分行って液晶表示素子を得た。
得られた液晶表示素子をAC3.5Vの電圧駆動をさせ、表示素子用封止剤周辺を中間調の電圧にて目視で観察した。表示素子用封止剤周辺に色むらが全く見られなかった場合を「○」、少し薄い色むらが見えた場合を「△」、はっきりとした濃い色むらがあった場合を「×」として液晶表示素子の表示性能を評価した。
(10)有機EL表示素子の表示性能
(10−1)有機発光材料層を含む積層体が配置された基板の作製
ガラス基板(長さ25mm、幅25mm、厚さ0.7mm)にITO電極を1000Åの厚さで成膜したものを基板とした。上記基板をアセトン、アルカリ水溶液、イオン交換水、イソプロピルアルコールにてそれぞれ15分間超音波洗浄した後、煮沸させたイソプロピルアルコールにて10分間洗浄し、更に、UV−オゾンクリーナ(日本レーザー電子社製、「NL−UV253」)にて直前処理を行った。
次に、この基板を真空蒸着装置の基板フォルダに固定し、素焼きの坩堝にN,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(α−NPD)を200mg、他の異なる素焼き坩堝にトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq)を200mg入れ、真空チャンバー内を、1×10−4Paまで減圧した。その後、α−NPDの入った坩堝を加熱し、α−NPDを蒸着速度15Å/sで基板に堆積させ、膜厚600Åの正孔輸送層を成膜した。次いで、Alqの入った坩堝を加熱し、15Å/sの蒸着速度で膜厚600Åの有機発光材料層を成膜した。その後、正孔輸送層及び有機発光材料層が形成された基板を別の真空蒸着装置に移し、この真空蒸着装置内のタングステン製抵抗加熱ボートにフッ化リチウム200mgを、別のタングステン製ボートにアルミニウム線1.0gを入れた。その後、真空蒸着装置の蒸着器内を2×10−4Paまで減圧してフッ化リチウムを0.2Å/sの蒸着速度で5Å成膜した後、アルミニウムを20Å/sの速度で1000Å成膜した。窒素により蒸着器内を常圧に戻し、10mm×10mmの有機発光材料層を含む積層体が配置された基板を取り出した。
(10−2)無機材料膜Aによる被覆
得られた有機発光材料層を含む積層体が配置された基板の、該積層体の全体を覆うように、13mm×13mmの開口部を有するマスクを設置し、プラズマCVD法にて無機材料膜Aを形成した。
プラズマCVD法は、原料ガスとしてSiHガス及び窒素ガスを用い、各々の流量をSiHガス10sccm、窒素ガス200sccmとし、RFパワーを10W(周波数2.45GHz)、チャンバー内温度を100℃、チャンバー内圧力を0.9Torrとする条件で行った。
形成されたシリコンナイトライドの無機材料膜Aの厚さは、約0.2μmであった。
(10−3)樹脂保護膜の形成
上記で得られた無機材料膜Aで被覆された積層体が配置された基板に、スピンコーターによって実施例及び比較例で得られた各表示素子用封止剤を塗布した後、120℃で10分間乾燥した後に、140℃で30分間ポストベイクすることによって、膜厚が約10μmの樹脂保護膜を形成した。
(10−4)無機材料膜Bによる被覆
上記で得られた樹脂保護膜が形成された基板の樹脂保護膜の全体を覆うように、12mm×12mmの開口部を有するマスクを設置し、プラズマCVD法にて無機材料膜Bを形成して表示素子(有機EL表示素子)を得た。
プラズマCVD法は、原料ガスとしてSiHガス及び窒素ガスを用い、各々の流量をSiHガス10sccm、窒素ガス200sccmとし、RFパワーを10W(周波数2.45GHz)、チャンバー内温度を100℃、チャンバー内圧力を0.9Torrとする条件で行った。
形成されたシリコンナイトライドの無機材料膜Bの厚さは、約1μmであった。
(10−5)有機EL表示素子の発光状態
作製した有機EL表示素子をそれぞれ85℃、85%RHの条件下に500時間暴露した後、3Vの電圧を印加し、発光状態(発光及びダークスポット、画素周辺消光の有無)を目視で観察し、ダークスポットや周辺消光が無く均一に発光した場合を「○」、ダークスポットや周辺消光が認められた場合を「△」、非発光部が著しく拡大した場合を「×」として有機EL表示素子の表示性能を評価した。
Figure 2018059984
本発明によれば、アウトガスの発生、及び、無機膜を積層した際の無機膜のクラックの発生を抑制することができる表示素子用封止剤を提供することができる。また、本発明によれば、該表示素子用封止剤を用いてなる表示素子を提供することができる。

Claims (4)

  1. カルボキシル基及び/又は水酸基を有するエチレン性不飽和単量体の該カルボキシル基及び/又は該水酸基に由来する−COOX基(Xは、水素又は塩形成カチオンである)及び/又は水酸基を有するセグメントと、その他のエチレン性不飽和単量体に由来するセグメントとを有する共重合体である水溶性樹脂、前記水溶性樹脂を架橋することが可能な架橋性官能基を有する架橋性樹脂、及び、水を含有し、
    硬化物のガラス転移温度が70℃〜200℃である
    ことを特徴とする表示素子用封止剤。
  2. 水溶性樹脂の−COOX基及び/又は水酸基当量が150〜4000であることを特徴とする請求項1記載の表示素子用封止剤。
  3. 架橋性樹脂の架橋性官能基当量が100〜1000であることを特徴とする請求項1又は2記載の表示素子用封止剤。
  4. 請求項1、2又は3記載の表示素子用封止剤の硬化物を有することを特徴とする表示素子。
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