JP2018057362A - 胃癌発症リスクの診断補助方法ならびに当該方法に利用される人工dnaおよび胃癌発症リスク診断用キット - Google Patents

胃癌発症リスクの診断補助方法ならびに当該方法に利用される人工dnaおよび胃癌発症リスク診断用キット Download PDF

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【課題】胃癌を有する患者の非癌部に特異的な新規マーカーを用いて、被検者の生体試料から抽出したDNAのメチル化状態を解析し、その解析結果に基づいて被検者の胃癌発症リスクに関する情報を取得する方法の提供。【解決手段】被検者のDNA試料に含まれる遺伝子の遺伝子領域に存在するCpG部位のメチル化の状態を解析する工程、及び解析工程で得られた結果に基づいて、被検者の胃癌発症リスクに関する情報を取得する工程、を含み、DNA試料が、ピロリ菌感染経験を有する被検者から採取した非癌部試料から調製され、遺伝子が、BHLHE22遺伝子、GUSBP5遺伝子、RIMS1遺伝子、LINC00643遺伝子、FGF12遺伝子、FLT3遺伝子、RPRM遺伝子、JAM2遺伝子、SEPT9遺伝及びSTX16遺伝子から選択される1つ以上の遺伝子である胃癌発症リスクの診断補助方法。【選択図】図1

Description

本発明は、被検者の胃癌発症リスクの診断補助方法に関する。また本発明は、当該方法に利用される人工DNAおよび胃癌発症リスク診断用キットに関する。
胃癌の主原因はピロリ菌感染である。ピロリ菌感染により胃粘膜変化を来たした場合、胃癌のスクリーニングのため除菌後も定期的な経過観察が推奨されている。胃癌の検査には、胃内視鏡検査および胃レントゲン検査がある。しかし、胃内視鏡検査では胃カメラの挿入時の嘔吐反射を伴う場合があり、また、胃レントゲン検査ではバリウムを飲む必要があり、通年で行う場合は身体的、経済的にも被検者への負担が大きい。
近年、癌の診断方法として、正常胃粘膜に蓄積した遺伝子異常に基づく方法が研究されている。そのような方法としては、例えば、DNAのメチル化異常に関する情報に基づく方法が挙げられる。この方法では、所定の遺伝子の塩基配列中のCpG部位をマーカーとして用いる。そして、内視鏡検査などにより採取された胃粘膜DNAを用いた該マーカーのメチル化状態の解析結果に基づいて癌細胞の存否や遺伝子異常の蓄積の程度などの情報を取得し、これを指標にして癌の存在、癌の病態や発癌リスクなどの診断が行われる。
例えば、特許文献1には、SDC2遺伝子のCpGアイランドのメチル化レベルを測定することによって胃癌を早期に診断できることが開示されている。その他、p53遺伝子、ADCY3遺伝子、BARHL2遺伝子、ACGM1遺伝子、VLDLR遺伝子等が胃癌において高度にメチル化される遺伝子として報告されている(特許文献2〜6)。
米国特許出願公開第2016/040244号明細書 米国特許出願公開第2015/254400号明細書 米国特許出願公開第2015/240313号明細書 特開2014−161308号 特開2007−54059号 米国特許出願公開第2009/054245号明細書
このような定期的に検査を受けることが望まれる被検者への負担を減らすため、DNAメチル化を用いた発癌リスク診断の一つとして、さらなる発がんリスクを評価できるメチル化マーカーの開発が望まれていた。
本発明者らは、ピロリ菌感染経験者のうち、胃癌を発症する者と発症しない者が存在することに着目した。本発明者らは、ピロリ菌感染経験を有する胃癌患者と、ピロリ菌感染経験を有するが胃癌を発症しなかった者の非癌部組織から得たゲノムDNAを検証したところ、胃癌患者に特異的にメチル化が認められる遺伝子領域を新規マーカーとして同定した。そして、これらのマーカーについてメチル化状態を解析して得られた結果に基づいて、ピロリ菌感染経験者の胃癌発症リスクを評価し得ることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明によれば、被検者のDNA試料に含まれる遺伝子の遺伝子領域に存在するCpG部位のメチル化の状態を解析する工程および解析工程で得られた結果に基づいて、被検者の胃癌発症リスクに関する情報を取得する工程を含み、DNA試料がピロリ菌感染経験を有する被検者から採取した非癌部試料から調製され、遺伝子が、BHLHE22遺伝子、GUSBP5遺伝子、RIMS1遺伝子、LINC00643遺伝子、FGF12遺伝子、FLT3遺伝子、RPRM遺伝子、JAM2遺伝子、SEPT9遺伝子およびSTX16遺伝子からなる群より選択される少なくとも1つである、胃癌発症リスクの診断補助方法が提供される。
また、本発明によれば、上記診断補助方法に用いられる、ピロリ菌感染経験を有する被検者から採取した非癌部試料から調製され、遺伝子の遺伝子領域の全部またはその一部の連続する塩基配列をバイサルファイト処理して得られる配列を有し、遺伝子領域は、CpG部位と、CpG部位を構成しないシトシン塩基とを含み、胃癌発症リスクを診断するためのマーカーとして用いられ、遺伝子が、BHLHE22遺伝子、GUSBP5遺伝子、RIMS1遺伝子、LINC00643遺伝子、FGF12遺伝子、FLT3遺伝子、RPRM遺伝子、JAM2遺伝子、SEPT9遺伝子およびSTX16遺伝子からなる群より選択される少なくとも1つである人工DNAが提供される。
さらに、本発明によれば、上記診断補助方法に用いられる、フォワードプライマーとリバースプライマーとを含み、フォワードプライマーおよびリバースプライマーは、遺伝子領域中のCpG部位を有する塩基配列における、CpG部位以外に存在するシトシンが他の塩基に変換された塩基配列からなる核酸にハイブリダイズし、もしくはメチル化CpG部位を含む領域にハイブリダイズし、遺伝子が、BHLHE22遺伝子、GUSBP5遺伝子、RIMS1遺伝子、LINC00643遺伝子、FGF12遺伝子、FLT3遺伝子、RPRM遺伝子、JAM2遺伝子、SEPT9遺伝子およびSTX16遺伝子からなる群より選択される少なくとも1つであるキットが提供される。
本発明は、胃癌発症リスクの診断を補助することを可能にする方法を提供できる。また、本発明は、当該方法に利用される人工DNAおよび胃癌発症リスク診断用キットを提供できる。
実施例3におけるROC曲線を示す図である。 被検者の胃癌発症リスクに関する情報を提供するための診断補助置の一例を示した概略図である。 図2の診断補助装置の機能構成を示すブロック図である。 図2に示された診断補助装置のハードウェア構成を示すブロック図である。 図2に示された診断補助装置を用いた、被検者の胃癌発症リスクに関する情報を提供するための判定のフローチャートである。
本実施形態の胃癌発症リスクの診断補助方法(以下、単に「方法」ともいう)では、まず、ピロリ菌(Helicobacter pylori)の感染経験を有する被検者から採取した非癌部試料からDNA試料を調製する。ピロリ菌の感染経験を有する被検者には、ピロリ菌に感染している保菌者および過去に感染していたがすでに除菌した者が含まれる。ピロリ菌感染経験の有無は、例えば、内視鏡観察による幽門部の萎縮性胃炎が観察されるか否か等によって判別できる。またピロリ菌に感染している保菌者であるか否かは、例えば、ヘリコバクターピロリIgG抗体検査や尿素呼吸試験法等によって判別できる。
本実施形態において、非癌部試料は、被検者から採取した非癌部試料から調製されるものであれば制限されない。非癌部とは実質的に癌細胞を含まない部分をいう。好ましくはゲノムDNAを含む試料、例えば臨床検体である。臨床検体としては、例えば、体液、尿、手術または生検により採取した組織などが挙げられる。体液としては、血液、血清、血漿、リンパ液、腹水、骨髄液、乳頭分泌液などが挙げられる。また、被検者から採取した細胞または組織を培養して得られた培養物を非癌部試料として用いることもできる。さらに、被検者から採取した組織のホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)試料を非癌部試料として用いてもよい。非癌部試料として、特に胃癌細胞を実質的に含まない胃粘膜が好ましい。
DNA試料の調製は、非癌部試料からDNAを抽出することにより行うことができる。非癌部試料からのDNAの抽出方法は当該技術において公知である。例えば、非癌部試料と、細胞または組織を可溶化する界面活性剤(例えばコール酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウムなど)を含む処理液とを混合し、得られた混合液に物理的処理(撹拌、ホモジナイズ、超音波破砕など)を施して、非癌部試料に含まれるDNAを該混合液中に遊離させることによって、DNAを抽出することができる。この場合、混合液を遠心分離して細胞破片を沈殿させ、遊離したDNAを含む上清を後述の解析工程に用いることが好ましい。また、得られた上清を当該技術において公知の方法により精製してもよい。なお、非癌部試料からのDNAの抽出および精製は、市販のキットを用いて行うこともできる。
上記の調製工程は、抽出したDNAを断片化する工程をさらに含むことが好ましい。DNAを適当な長さに断片化することにより、後述するメチル化DNA免疫沈降(MeDIP)法および非メチル化シトシン変換処理を効率よく行うことができる。
DNAの断片化は、超音波処理、アルカリ処理、制限酵素処理などにより行うことができる。例えば、アルカリ処理によりDNAの断片化を行なう場合は、DNA溶液に水酸化ナトリウム溶液を終濃度0.1〜1.0Nとなるよう添加し、10〜40℃で5〜15分間インキュベーションすることによりDNAが断片化される。また、制限酵素処理によりDNAの断片化を行なう場合、用いる制限酵素はDNAの塩基配列に基づいて適宜選択され、例えばMseIやBamHIなどが用いられる。
本実施形態の方法では、上記の調製工程で得られたDNAに含まれるBHLHE22遺伝子、FGF12遺伝子、FLT3遺伝子、RPRM遺伝子、RIMS1遺伝子、JAM2遺伝子、LINC00643遺伝子、SEPT9遺伝子、STX16遺伝子およびGUSBP5遺伝子からなる群より選ばれる少なくとも1つの遺伝子の遺伝子領域に存在するCpG部位のメチル化の状態を解析する。本明細書において、「遺伝子領域」とは、転写領域だけでなく転写開始点上流のプロモータ領域など当該遺伝子の発現制御に関わる領域を含み得る。転写領域は、5’非翻訳領域(5’UTR)、遺伝子本体(gene body;body)、3’非翻訳領域(3’UTR)などを含み得る。また遺伝子本体は、エクソンおよびイントロンを含み得る。また本明細書において、「CpG部位」とは、塩基配列中のシトシン(C)とグアニン(G)とが5'から3'への方向にこの順序で隣り合った配列の部位を意味する。CpGの「p」の文字は、シトシンとグアニンとの間のホスホジエステル結合を表わす。
BHLHE22遺伝子、FGF12遺伝子、FLT3遺伝子、RPRM遺伝子、RIMS1遺伝子、JAM2遺伝子、LINC00643遺伝子、SEPT9遺伝子、STX16遺伝子およびGUSBP5遺伝子の塩基配列自体は公知であり、GeneBank、Ensembl等の公知のデータベースから入手可能である。上記遺伝子のGene bankまたはEnsemblのアクセッションナンバーを表1に示す。
Figure 2018057362
上記各遺伝子の遺伝子配列は、例えば、配列番号1〜9もしくは62の塩基配列またはそれらの逆相補鎖配列を含み得る。配列番号1はBHLHE22、配列番号2はFGF12、配列番号3はFLT3、配列番号4はRPRM、配列番号5はRIMS1、配列番号6はJAM2、配列番号7はLONC00643、配列番号8はSEPT9、配列番号9はSTX16、配列番号62はGUSBP5の領域である。
本実施形態では、CpG部位のメチル化の状態の解析は、例えば、各遺伝子領域に存在するCpG部位のうち、少なくとも1つのCpG部位のシトシンがメチル化されているか否かを調べることにより行うことができる。解析対象のCpG部位は、Top strand側であってもよいし、Bottom strand側であってもよい。また、解析するCpG部位は1つであっても、複数であってもよい。なお、複数のCpG部位は、1つの遺伝子の遺伝子領域から選択してもよいし、複数の遺伝子の遺伝子領域のそれぞれの中から選択してもよい。各遺伝子領域に存在するCpG部位の中でも、特にピロリ菌感染経験がある胃癌患者の非癌部組織に特異的なメチル化が認められるCpG部位であることから、以下に示すCpG部位を解析対象として含むことが好ましい。以下に示す同一の塩基配列内に含まれる複数のCpG部位は、ほとんどがメチル化されているか、ほとんどがメチル化されていないかのいずれかであることが認められた部位である。そのため、同一の塩基配列内のすべての当該CpG部位のメチル化を検出する必要はなく、そのうちの少なくとも1カ所のCpG部位のメチル化の有無を検出することにより、当該CpG部位全体のメチル化の有無を判定できる。
配列番号1の塩基配列に含まれるCpG部位のうち、5’末端側から数えて1〜5番目のCpG部位、
配列番号2の塩基配列に含まれるCpG部位のうち、5’末端側から数えて1,2,26,30,32番目のCpG部位、
配列番号3の塩基配列に含まれるCpG部位のうち、5’末端側から数えて1,18,19,31,72番目のCpG部位、
配列番号4の塩基配列に含まれるCpG部位のうち、5’末端側から数えて1,6,9,11,25番目のCpG部位、
配列番号5の塩基配列に含まれるCpG部位のうち、5’末端側から数えて1,29,32,34,47番目のCpG部位、
配列番号6の塩基配列に含まれるCpG部位のうち、5’末端側から数えて1,2,13,18,29番目のCpG部位、
配列番号7の塩基配列に含まれるCpG部位のうち、5’末端側から数えて1,13,17,18,20,23番目のCpG部位、
配列番号8の塩基配列に含まれるCpG部位のうち、5’末端側から数えて1,16,17,18,42番目のCpG部位、
配列番号9の塩基配列に含まれるCpG部位のうち、5’末端側から数えて1,34,116番目のCpG部位および
配列番号62の塩基配列に含まれるCpG部位のうち、5’末端側から数えて7,8,10,11,12番目のCpG部位。
別の実施形態において、メチル化解析は、各遺伝子領域におけるメチル化の頻度を調べることにより行ってもよい。ここで、「メチル化の頻度」とは、たとえば、上記各遺伝子領域に存在するCpG部位の数に対する、メチル化されたCpG部位の数の割合であり得る。この実施形態では、解析対象は、上記各遺伝子の遺伝子領域の全部であってもよいし、少なくとも1つのCpG部位を含む一部分であってもよい。解析対象は、上記遺伝子のうちのいずれか1つの遺伝子の遺伝子領域から決定してもよいし、複数の遺伝子の遺伝子領域から決定してもよい。本実施形態においても、上述したCpG部位を含む部分を解析対象とすることが好ましい。
上記のメチル化の頻度は、DNA中のCpG部位のメチル化状態を、後述するMassARRAY(登録商標)などの質量分析法で解析することにより得られる「メチル化スコア」であってもよい。MassARRAY(登録商標)では、DNA断片を測定して、メチル化DNA断片に由来するピークと非メチル化DNA断片に由来するピークとの面積比からメチル化スコアを算出できる。
本実施形態では、上記各遺伝子領域におけるメチル化の頻度は、用手法によって算出してもよいし、コンピュータなどの機械によって算出してもよい。
メチル化解析の手段としては、当該技術において種々の解析方法が公知である。本実施形態の方法では、いずれの解析方法を用いるかは特に限定されない。好ましくは、メチル化DNAと非メチル化DNAとを区別する工程と、DNAを増幅する工程と、メチル化DNAおよび/または非メチル化DNAを検出する工程とを含む方法である。
メチル化DNAと非メチル化DNAとを区別する工程としては、メチル化感受性制限酵素処理、MeDIP法、非メチル化シトシン変換処理などを行う工程が挙げられる。
DNAを増幅する工程としては、PCR法、定量的PCR法、IVT(in vito transcription)増幅法、SPIA(商標)増幅法などを行う工程が挙げられる。
メチル化DNAおよび/または非メチル化DNAを検出する工程としては、電気泳動法、シークエンス解析法、マイクロアレイ解析法、質量分析法、サザンハイブリダイゼーションなどを行う工程が挙げられる。
MeDIP法とは、抗メチル化シトシン抗体もしくは抗メチル化シチジン抗体、またはメチル化DNA結合タンパク質を特異的に認識する抗体を用いる免疫沈降により、生体試料に含まれるメチル化DNAを濃縮する方法である。本実施形態では、抽出工程で得られたDNAに含まれるメチル化DNAをMeDIP法により濃縮し、得られたメチル化DNAについてメチル化解析を行ってもよい。また、MeDIP法により濃縮したメチル化DNAを、IVT増幅法などにより増幅し、得られた増幅産物について、マイクロアレイを用いてメチル化解析することもできる。このような解析方法は、MeDIP on chip法と呼ばれる。
非メチル化シトシン変換処理とは、生体試料から抽出したDNAと非メチル化シトシン変換剤とを反応させることにより、該DNA中の非メチル化シトシンを他の塩基(ウラシル、チミン、アデニンまたはグアニン)に変換する処理である。ここで、非メチル化シトシン変換剤とは、DNAと反応して該DNA中の非メチル化シトシンを他の塩基(ウラシル、チミン、アデニンまたはグアニン)に変換できる物質である。このような非メチル化シトシン変換剤としては、例えば亜硫酸水素のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などの亜硫酸水素塩(バイサルファイト)が好適に用いられる。
バイサルファイトを用いるDNAの処理では、該DNA中の非メチル化シトシンは、脱アミノ化反応によりウラシルに変換されるが、メチル化シトシンには、このような塩基の変換が起こらない。したがって、DNA中のCpG部位のメチル化状態の違いは、バイサルファイトを用いる非メチル化シトシン変換処理によって、塩基配列の違い(CおよびUの違い)に変換される。なお、このようなバイサルファイトによる非メチル化シトシン変換処理は、バイサルファイト処理と呼ばれる。
バイサルファイト処理を行なう場合、バイサルファイトの添加量(濃度)は、DNA中の非メチル化シトシンを十分に変換できる程度であれば特に限定されない。例えば、DNAを含む溶液中の終濃度として1M以上、好ましくは1〜15 M、より好ましくは3〜10 Mである。また、バイサルファイトを添加した後のインキュベーションの条件(温度および時間)は、バイサルファイトの添加量に応じて適宜設定できる。例えば、バイサルファイトを終濃度6Mで添加した場合、50〜80℃で10〜90分間インキュベーションする。
DNAに含まれるCpG部位のメチル化は、バイサルファイト処理したDNAをシークエンス解析して、本来の塩基配列との違いを検出することにより解析できる。この方法は、バイサルファイトシークエンス法と呼ばれている。
パイロシークエンス法は、バイサルファイト処理したDNAをPCRで増幅し、そのPCR産物をパイロシークエンサーで解析する方法である。PCRの際、ビオチン化プライマー(またはビオチン化ユニバーサルプライマー)を片側のプライマーに使用して、PCR産物の片側の一本鎖だけをビオチン標識する。これを変性処理して一本鎖化し、ビーズで吸着して選別した後、シークエンスプライマーをアニールさせショートシークエンスを行う。メチル化されたCpG部位の割合を測定することでDNAのメチル化レベルを解析できる。
また、CpG部位のメチル化は、質量分析法によって解析することができる。具体的には、バイサルファイト処理したDNAを鋳型として、解析対象とする塩基配列に特異的なプライマーセットを用いてPCR増幅した後、得られたPCR産物をさらにIVT増幅することにより、メチル化シトシンおよびウラシルはそれぞれグアニン(G)およびアデニン(A)となる。得られたIVT増幅産物をRNase Aで切断し、得られた核酸断片間におけるGとAとの質量差(16 Da)をMALDI-TOF(マトリックス支援レーザ脱離イオン化−飛行時間)型質量分析装置を用いて検出することにより、DNAのメチル化を解析できる。この方法はMassARRAY(登録商標)解析と呼ばれる。
IVT産物においてRNase Aによって切断される部位は、任意の塩基と該塩基に隣接するウラシル(U)またはチミン(T)との間であることが知られている。したがって、RNase Aによって切断されたIVT産物の塩基配列および質量は、鋳型として用いたDNAの塩基配列から予測することが可能である。したがって、MassARRAY(登録商標)で得られた各ピークについて、鋳型としたDNAの塩基配列のどの部分に由来するかを同定できる。例えば、DNA断片中の1か所のCpG部位がメチル化していた場合、MassARRAY(登録商標)で得られるピークは、高質量側へ16 Daシフトする。複数のCpG部位を有するDNA断片の解析では、例えば、該DNA断片中のCpG部位が2か所メチル化していた場合は32 Daシフトし、3か所メチル化していた場合は48 Daシフトする。
MassARRAY(登録商標)などの質量分析法では、測定したDNA断片のメチル化スコアを算出することができる。例えば、所定の配列のDNA断片について、分析で得られたチャートにおける非メチル化DNA断片のピークとメチル化DNA断片のピークとの面積比が1:3であった場合、このDNA断片のメチル化スコアは、3/(1+3)=0.75より、0.75となる。なおメチル化スコアは、理論上、DNA断片が有する全てのCpG部位がメチル化している場合は1であり、全てのCpG部位がメチル化していない場合は0である。
CpG部位のメチル化は、メチル化特異的PCR(MSP)法および定量的MSP(qMSP)法によって解析することができる。MSP法とは、バイサルファイト処理したDNAを、後述するプライマーセットを用いてPCR増幅を行い、PCR産物の有無を確認することによって、CpG部位のメチル化の有無を解析する方法である。MSP法では、解析対象のCpG部位がメチル化されている(すなわち、シトシンがウラシルに変換されていない)塩基配列は増幅できるが、CpG部位がメチル化されていない(すなわち、該シトシンがウラシルに変換されている)塩基配列は増幅できないプライマーセットを用いる。このようなプライマーセットを用いるMSP法では、PCR産物が得られた場合に、解析対象のCpG部位がメチル化されていることがわかる。また、MSP法は、解析対象のCpG部位のシトシンがウラシルに変換されていない塩基配列は増幅できないが、CpG部位のシトシンがウラシルに変換されている塩基配列は増幅できるプライマーセットを用いて行なうこともできる。この場合、PCR産物が得られなかった場合に、解析対象のCpG部位がメチル化されていることがわかる。
PCR産物の有無は、例えば、ゲル電気泳動法により確認できる。増幅後の反応液をゲルに電気泳動して、PCR産物に由来するバンドがゲルに存在するか否かを目視で確認してもよい。あるいは、泳動後のゲルの画像を取得して、画像解析により確認してもよい。画像解析は、例えば、ゲルの画像中、PCR産物が存在すると予想される領域の画素の濃淡を示す値(例えば、バンド強度)を取得し、この値と所定の閾値を比較して行うことができる。具体的には、画素の濃淡を示す値が所定の閾値以上である場合、PCR産物が得られたと判定でき、画素の濃淡を示す値が所定の閾値より小さい場合、PCR産物が得られなかったと判定できる。なお、画素の濃淡に関する所定の閾値は特に限定されず、例えば、バックグラウンドの画素の濃淡を示す値であってもよいし、その値の2倍又は3倍の値であってもよい。
MSP法で用いられるプライマーセットに含まれる各プライマーは、解析対象のCpG部位を含む塩基配列に応じて当業者が適宜設計できるが、プライマーの3'末端またはその付近に、解析対象のCpG部位のシトシンを含むように設計することが好ましい。
定量的MSP法は、MSPをリアルタイムPCRの手法を用いて行うものであり、SYBR Green Iを用いたリアルタイムMSP、TaqManプローブを用いたMethyLightなどがある。
CpG部位のメチル化は、マイクロアレイを用いて解析することもできる。この場合、解析用マイクロアレイは、各遺伝子の領域の塩基配列に相補的な核酸プローブを、基板上に固定して作製できる。なお、このようなマイクロアレイは、当該技術において公知の方法により作製できる。
マイクロアレイによる解析では、生体試料から抽出したDNAは、当該技術において公知の標識物質により標識されていることが好ましい。よって、本実施形態の判定方法は、抽出したDNAを標識する工程をさらに含むことが好ましい。この標識工程は、生体試料中の全てのDNAを標識できるので、上記のDNA増幅工程の後に行われるのが有利である。なお、標識物質としては、蛍光物質、ビオチンなどのハプテン、放射性物質などが挙げられる。また、蛍光物質としては、Cy3、Cy5、FITC、Alexa Fluor(商標)などが挙げられる。このようにDNAを標識することにより、マイクロアレイ上のプローブからのシグナルの測定が容易になる。なお、DNAをこれらの標識物質で標識する方法は、当該技術において公知である。
上記のシグナルは、マイクロアレイの種類に応じて適切なシグナルであり得る。例えば、シグナルは、マイクロアレイの各プローブとハイブリダイズしたDNA断片が存在する場合に発生する電気的シグナルであってもよいし、上記のように解析対象のDNAが標識されている場合は、標識物質から生じる蛍光、発光などのシグナルであってもよい。シグナルの検出は、通常のマイクロアレイ測定装置に備えられたスキャナーにより行うことができる。スキャナーとしては、例えば、GeneChip(登録商標) Scanner3000 7G(Affymetrix社)、Illumina(登録商標) BeadArray Reader(Illumina社)などが挙げられる。
本実施形態では、上記解析工程において、メチル化されたCpG部位が存在するという解析結果が得られた場合、被検者が胃癌発症高リスク群(胃癌になる危険性が高い)であるという情報を取得できる。
別の実施形態では、メチル化解析で得られたメチル化の頻度が所定の閾値より高いか、または閾値と同じという結果が得られた場合、被検者が胃癌発症高リスク群であるという情報を取得できる。
なお、所定の閾値は特に限定されず、種々の生体試料についてのデータの蓄積により経験的に設定することができる。あるいは、次のようにして所定の閾値を設定してもよい。まず、ピロリ菌感染経験のある健常人の生体試料、および、ピロリ菌感染経験のある胃癌患者の非癌部試料のそれぞれから抽出したDNAについて、メチル化の頻度を解析する。次いで、得られた解析結果に基づいて、ピロリ菌感染経験のある健常人の生体試料のメチル化の頻度よりも高く且つピロリ菌感染経験のある胃癌患者の非癌部試料のメチル化の頻度よりも低い範囲から閾値を設定する。好ましくは、ピロリ菌感染経験のある健常人の生体試料とピロリ菌感染経験のある胃癌患者の非癌部試料とを高精度に区別し得る値を、閾値として設定する。
一方、本実施形態では、上記解析工程において、メチル化されたCpG部位が存在しないという解析結果が得られた場合、被検者が胃癌発症低リスク群(胃癌になる危険性が低い)であるとの情報を取得できる。
別の実施形態では、メチル化解析で得られたメチル化の頻度が所定の閾値より低い場合、被検者が胃癌発症低リスク群であるという情報を取得できる。
本発明の範囲には、メチル化解析により胃癌発症リスクに関する情報を取得するためのマーカーとして用いられる、上記各遺伝子の遺伝子領域の全部またはその一部の連続する塩基配列をバイサルファイト処理して得られる配列を有する人工DNAも包含され得る。このような人工DNAにおいて、上記各遺伝子の遺伝子領域は、CpG部位と、CpG部位を構成しないシトシンとを含み得る。ここで、CpG部位を構成しないシトシンとは、CpG部位に含まれるシトシン以外であればよく、例えば、シトシン(C)と、アデニン(A)、チミン(T)またはシトシン(C)とが5'から3'への方向にこの順序で隣り合った塩基配列(すなわち、CA、CTまたはCC)中のシトシンが挙げられる。また、そのような人工DNAは、被検者から単離したDNAに由来し得る。
本実施形態では、ピロリ菌感染経験を有する被検者から採取した非癌部試料から調製したDNA試料中の上記のマーカーについてメチル化解析を行い、得られた解析結果に基づいて該被検者の胃癌発症リスクに関する情報を取得することができる。なお、メチル化解析および胃癌発症リスクの情報の取得については、これまでに述べたことと同様である。
本実施形態のマーカーとして用いられる人工DNAにおいては、上記の単離DNAのバイサルファイト処理により、該単離DNA中の非メチル化シトシンはウラシルに変換され得るが、メチル化シトシンはそのままであり得る。本実施形態では、このようなマーカーとして用いられる人工DNAのヌクレオチド配列を解析することにより、メチル化の有無やメチル化の頻度を検出することができる。なお、上記の単離DNAは、これまでに述べたDNA試料の調製と同様にして得ることができる。また、バイサルファイト処理、メチル化解析および胃癌発症リスクの情報の取得についても、これまでに述べたことと同様である。
本実施形態において、マーカーとして用いられる人工DNAのサイズは、MSP法、qMSP法、バイサルファイトシークエンス法、パイロシークエンス法または質量分析法によるメチル化解析が可能なサイズであれば特に限定されないが、好ましくは80〜500塩基、より好ましくは100〜400塩基であり得る。
本実施形態において、マーカーとして用いられる人工DNAとしては、例えば、配列番号10〜19、63の塩基配列からなる人工DNAが挙げられる。このうち、配列番号11および12の塩基配列からなるマーカーとして用いられる人工DNAは、MSP法によるメチル化解析に適している。また配列番号10、13〜19、63の塩基配列からなるマーカーとして用いられる人工DNAは、パイロシークエンス法によるメチル化解析に適している。
配列番号10はBHLHE22、配列番号11はFGF12、配列番号12、13はFLT3、配列番号14はRPRM、配列番号15はRIMS1、配列番号16はJAM2、配列番号17はLONC00643、配列番号18はSEPT9、配列番号19はSTX16、配列番号63はGUSBP5に対応する。
本発明の範囲には、胃癌発症リスク診断用試薬キット(以下、単に「キット」ともいう)も含まれる。本実施形態のキットは、バイサルファイト処理されたDNAを増幅するためのプライマーを含み得る。このようなプライマーは、各遺伝子の遺伝子領域中のCpG部位を有する塩基配列における、CpG部位以外に存在するシトシンが他の塩基に変換された塩基配列からなる核酸にハイブリダイズし、且つメチル化CpG部位を含む領域にハイブリダイズし得る。
本実施形態において、キットに含まれるプライマーは、MSP法、バイサルファイトシークエンス法、パイロシークエンス法などのPCR増幅を伴う解析方法、MassARRAY (登録商標)などの質量分析法によりCpG部位のメチル化解析を行うためのプライマーであり得る。好ましくは、MSP法、バイサルファイトシークエンス法、パイロシークエンス法またはMassARRAY (登録商標)などの質量分析法で用いられるフォワードプライマーとリバースプライマーであり得る。なお、プライマーの塩基配列は、上記各遺伝子の遺伝子領域の塩基配列に応じて当業者が適宜設定できる。例えば、以下のいずれかのプライマーセットを使用できる。
解析対象がBHLHE22遺伝子であるとき、配列番号20および21、もしくは、配列番号64および65のプライマーセット、
解析対象がFGF12遺伝子であるとき、配列番号22および23のプライマーセット、
解析対象がFLT3遺伝子であるとき、配列番号24および25、もしくは、配列番号38および39のプライマーセット、
解析対象がRPRM遺伝子であるとき、配列番号26および27のプライマーセット、
解析対象がRIMS1遺伝子であるとき、配列番号28および29のプライマーセット、
解析対象がJAM2遺伝子であるとき、配列番号30および31のプライマーセット、
解析対象がLINC00643遺伝子であるとき、配列番号32および33のプライマーセット、
解析対象がSEPT9遺伝子であるとき、配列番号34および35のプライマーセット、
解析対象がSTX16遺伝子であるとき、配列番号36および37のプライマーセット、または、
解析対象がGUSBP5遺伝子であるとき、配列番号66および67のプライマーセット。
上記のキットは、第2のプライマーを含んでいてもよい。このような第2のプライマーは、各遺伝子の遺伝子領域中のCpG部位を有する塩基配列における、シトシンが他の塩基に変換された塩基配列からなる核酸にハイブリダイズし得る。また、第2のプライマーは、非メチル化CpG部位のシトシンが変換処理によって他の塩基に変換された配列を含む領域にハイブリダイズし得る。例えば解析対象がFGF12遺伝子であるとき、配列番号40および41のプライマーセットを使用できる。また解析対象がFLT3遺伝子であるとき、配列番号42および43のプライマーセットを使用できる。
別の実施形態では、上記のキットは、パイロシークエンスに用いるシークエンスプライマーを含み得る。シークエンスプライマーの塩基配列は、上記各遺伝子の遺伝子領域の塩基配列に応じて当業者が適宜設定できる。例えば、以下のいずれかのプライマーを使用できる。
解析対象がBHLHE22遺伝子であるとき、配列番号44、もしくは、68のプライマー、
解析対象がRPRM遺伝子であるとき、配列番号45のプライマー、
解析対象がRIMS1遺伝子であるとき、配列番号46のプライマー、
解析対象がJAM2遺伝子であるとき、配列番号47のプライマー、
解析対象がLINC00643遺伝子であるとき、配列番号48のプライマー、
解析対象がSEPT9遺伝子であるとき、配列番号49のプライマー、
解析対象がSTX16遺伝子であるとき、配列番号50のプライマー、
解析対象がFLT3遺伝子であるとき、配列番号51のプライマー、または
解析対象がGUSBP5遺伝子であるとき、配列番号69のプライマー。
本発明には、患者の胃癌発症リスクに関する情報の取得をコンピュータに実行させるためのプログラム製品も含まれる。このようなプログラム製品としては、インターネット等を介してダウンロード可能なプログラムや、当該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体などが例示される。
たとえば、以下のような工程をコンピュータに実行させるためのプログラムが例示される。
ピロリ菌感染経験を有する被検者由来の非癌部試料に含まれるBHLHE22遺伝子、GUSBP5遺伝子、RIMS1遺伝子、LINC00643遺伝子、FGF12遺伝子、FLT3遺伝子、RPRM遺伝子、JAM2遺伝子、SEPT9遺伝子およびSTX16遺伝子からなる群より選択される少なくとも1つの遺伝子の遺伝子領域に存在するCpG部位のメチル化の解析結果を測定装置から取得するステップ;
取得した解析結果に基づいて、前記被検者における胃癌発症リスクを判定するステップ。
以下に、本実施形態の方法を実施するのに好適な装置の一形態を、図面を参照して説明する。しかし、本発明はこの実施形態のみに限定されるものではない。図2は、被検者の胃癌発症リスクに関する情報の取得に用いる診断補助装置の一例を示した概略図である。図2に示された診断補助装置10は、測定装置20と、前記測定装置20と接続された判定装置30とを含んでいる。
本実施形態において、MSP法によりメチル化解析を行う場合、測定装置20は、蛍光イメージスキャナなどのゲルイメージング装置であり得る。この場合、MSP法による核酸増幅を行った反応液をゲル電気泳動し、泳動後のゲルを測定装置20にセットすると、測定装置20は増幅産物を検出する。そして、測定装置20は、増幅産物のゲル画像情報を取得し、得られた情報を判定装置30に提供する。
なお、測定装置20は、MALDI-TOF型質量分析装置であってもよい。この場合、測定装置20は、被検物質の飛行時間や質量電荷比(m/z値)などの質量分析情報を取得する。被検者由来のDNA試料から調製した測定用試料を測定装置20にセットすると、測定装置20は、該測定用試料に含まれる核酸の質量分析情報を取得し、得られた質量分析情報を判定装置30に提供する。
判定装置30は、コンピュータ本体300と、キーボードやマウスからなる入力部301と、LCDやCRTからなり検体情報や判定結果などを表示する表示部302とを含む。判定装置30は、測定装置20から、増幅産物のゲル画像情報を取得する。そして、判定装置30は、これらの情報に基づいて、被検者における胃癌発症リスクに関する情報を提供するプログラムを実行する。
なお、判定装置30は、図2に示されるように測定装置20とは別個の機器であってもよいし、測定装置20を内包する機器であってもよい。後者の場合、判定装置30は、それ自体で診断補助装置10であり得る。
図3は、判定装置30のコンピュータ本体300のソフトウェアを機能ブロックで示すブロック図である。図3に示されるように、コンピュータは、取得部321と、記憶部322と、算出部323と、判定部324と、出力部325とを備える。取得部321は、測定装置20と、ネットワークを介して通信可能に接続されている。
取得部321は、測定装置20から提供された情報を取得する。記憶部322は、判定に必要な閾値およびバンド強度を取得するための式や処理プログラムなどを記憶する。算出部323は、取得部321で取得された情報を用い、記憶された処理プログラムにしたがって、バンド強度を算出する。判定部324は、取得部321によって取得されたか、または算出部323によって算出されたバンド強度が、記憶部322に記憶された閾値以上であるか否かを判定する。出力部325は、判定部324による判定結果を、被検者の胃癌発症リスクに関する情報として表示部302へ出力する。
図4は、図3に示すコンピュータ本体300のハードウェア構成を示すブロック図である。図4に示されるように、コンピュータ本体300は、CPU(Central Processing Unit)310と、ROM(Read Only Memory)311と、RAM(Random Access Memory)312と、ハードディスク313と、入出力インターフェイス314と、読出装置315と、通信インターフェイス316と、画像出力インターフェイス317とを備えている。CPU310、ROM311、RAM312、ハードディスク313、入出力インターフェイス314、読出装置315、通信インターフェイス316および画像出力インターフェイス317は、バス318によってデータ通信可能に接続されている。
CPU310は、ROM311に記憶されているプログラムおよびRAM312にロードされたプログラムを実行することが可能である。CPU310がプログラムを実行することにより、図3に示す各機能が実行される。これにより、判定装置30が、被検者の胃癌発症リスクに関する情報を提供するための判定装置として機能する。
ROM311は、マスクROM、PROM、EPROM、EEPROMなどによって構成されている。ROM311には、前述のようにCPU310によって実行されるプログラムおよびこれに用いるデータが記録されている。
RAM312は、SRAM、DRAMなどによって構成されている。RAM312は、ROM311およびハードディスク313に記録されているプログラムの読み出しに用いられる。RAM312はまた、これらのプログラムを実行するときに、CPU310の作業領域として利用される。
ハードディスク313は、CPU310に実行させるためのオペレーティングシステム、アプリケーションプログラム(被検者の胃癌発症リスクに関する情報を提供するためのコンピュータプログラム)などのプログラムおよび当該プログラムの実行に用いるデータがインストールされている。
読出装置315は、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、DVD−ROMドライブなどによって構成されている。読出装置315は、可搬型記録媒体40に記録されたプログラムまたはデータを読み出すことができる。
入出力インターフェイス314は、例えば、USB、IEEE1394、RS−232Cなどのシリアルインターフェイスと、SCSI、IDE、IEEE1284などのパラレルインターフェイスと、D/A変換器、A/D変換器などからなるアナログインターフェイスとから構成されている。入出力インターフェイス314には、キーボード、マウスなどの入力部301が接続されている。操作者は、当該入力部301により、コンピュータ本体300に各種の指令を入力することが可能である。
通信インターフェイス316は、例えば、Ethernet(登録商標)インターフェイスなどである。コンピュータ本体300は、通信インターフェイス316により、プリンタなどへの印刷データの送信も可能である。
画像出力インターフェイス317は、LCD、CRTなどで構成される表示部302に接続されている。これにより、表示部302は、CPU310から与えられた画像データに応じた映像信号を出力することができる。表示部302は、入力された映像信号にしたがって画像(画面)を表示する。
次に、診断補助装置10による、被検者の胃癌発症リスクに関する情報の取得の処理手順を説明する。
図5は、胃癌発症リスクに関する情報の取得のフローチャートの一例である。ここでは、ピロリ菌感染経験のある被検者由来の非癌部試料を用いて得られたゲル画像情報からバンド強度を取得し、得られたバンド強度が閾値以上であるか否かの判定を行う場合を例として挙げて説明する。しかし、本発明は、この実施形態のみに限定されるものではない。
まず、ステップS1−1において、診断補助装置10の取得部321は、測定装置20から各遺伝子の領域についてのゲル画像情報を取得する。次に、ステップS1−2において、算出部323は、得られたゲル画像情報からバンド強度を取得し、記憶部322に送信する。
その後、ステップS1−3において、判定部324は、ステップS1−2で取得したバンド強度が、記憶部322に記憶された閾値以上であるか否かの判定を行う。ここで、バンド強度が閾値より小さいとき、ルーチンはステップS1−4に進行する。そして、判定部324は被検者が胃癌発症低リスク群であることを示す判定結果を出力部325に送信する。一方、バンド強度が閾値以上であるとき、ルーチンはステップS1−5に進行する。そして、判定部324は被検者が胃癌発症高リスク群であることを示す判定結果を出力部325に送信する。
最後に、ステップS1−6において、出力部325は、判定結果を、被検者の胃癌発症リスクに関する情報として出力し、表示部302に表示させる。これにより、診断補助装置10は、被検者が胃癌を発症する危険性が高いか否かについて診断することを補助する情報を医師などに提供することができる。
以下に、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
実施例1:ピロリ菌感染経験のある健常人の正常胃粘膜とピロリ菌感染経験がある胃癌患者の内視鏡切除後の非癌部組織に基づく新規マーカーの同定
(1)生体試料の採取
ピロリ菌感染経験のある健常人から前庭部小弯の1箇所の粘膜を採取した(58検体;グループ2(G2))。またピロリ菌感染経験のある内視鏡的切除後の胃癌患者(96検体;グループ3(G3))から同様にして非癌部組織を採取した。コントロールとして同様にしてピロリ菌感染経験のない健常人(8検体;グループ1(G1))から粘膜を採取した。
(2)測定用試料の作製
(i)ゲノムDNAの抽出
G2の12検体及びG3の12検体について、胃粘膜組織が保管されるRNAlaterなどの組織保存液を核酸保護作用のあるEDTAと塩からなる水溶液でリンスおよび置換し、SDS(最終濃度1%)および蛋白分解酵素(Protease K)を加え55℃にて一晩かけて蛋白分解処理を行った。
次いでRNase(20mg/ml)を1μl加え37℃で一時間RNA分解処理を行った後、フェノール・クロロホルム処理にて蛋白除去を行った。さらにエタノール沈殿にてDNAを精製し1xTE溶液50μlに溶解してゲノムDNAを調製した。
(ii)ゲノムDNA断片化
(i)で得られたゲノムDNA 5μgに対し、100unit のBamHI (HC:high concentration, TKR1010AH 50 units/μl)を用い30℃で15〜16時間酵素処理をした。フェノール・クロロホルム処理にて蛋白除去を行った後、エタノール沈殿にてDNAを精製し1xTE溶液20μlに溶解してDNA断片を得た。
(iii)バイサルファイト処理
(ii)で得られたDNA断片1μgを、innuCONVERT Bisulfite Basic Kit (Analytik jena AG社)を用いてバイサルファイト処理を行い、処理後のDNA断片を1xTEバッファー(10mMトリス-HCl、1mM EDTA)40μlに溶出した。
(3)infinium解析
バイサルファイト変換後のDNA断片について、Infinium HumanMethylation450 BeadChip(Illumina社)を用いてメチル化解析を行った。Infinium HumanMethylation450 BeadChipには、ヒトのゲノム上にあるCpGサイトのうち、482,421ヶ所のCpGサイトごとにメチル化用プローブと非メチル化用プローブを設けている。対象となる遺伝子のCpGサイトのメチル化用プローブのシグナル強度(シグナルM)と非メチル化用プローブのシグナル強度(シグナルU)をiScan system(ilumina社)で検出し、以下の計算式により対象となる遺伝子のCpGサイトのメチル化率(mCpG)を算出した。
(mCpG)=(シグナルM)/{(シグナルM)+(シグナルU)}
G2とG3のメチル化率を比較し、以下の二つの方法(従来法およびiEVORA法(Teschendorff, A. E., et al. (2016). "DNA methylation outliers in normal breast tissue identify field defects that are enriched in cancer." Nat Commun 7: 10478.))に従って、ピロリ菌感染経験がある胃癌患者の非癌部組織に特異的なメチル化が認められる10の遺伝子の遺伝子領域をマーカーとして選抜した。
(従来法)
1.全プローブから性染色体上のプローブおよびメチル化率データが欠損しているプローブを除去する。
2.残りのプローブのうち、健常人の血液サンプル(3人のデータを平均化)でメチル化率が0.2以下のプローブを抽出する。
3.G1でメチル化率が0.2以下のプローブを抽出する。
4.G3のメチル化率がG2のメチル化率より0.2以上大きいプローブを抽出する。
抽出したプローブの前後2プローブずつ(連続5プローブ)においてG3のメチル化率がG2のメチル化率より0.2以上大きいプローブを抽出する。
(iEVORA法)
1.全プローブから性染色体上のプローブおよびメチル化率データが欠損しているプローブを除去する。
2.iEVORA algorithmに基づき、プローブを抽出する(FDR< 0.001, P-value for methylation difference< 0.05を有意と設定)。
なお、GUSBP5は、上記のiEVORA法の1.および2.に加えて、さらに下記の3.および4.の条件を加えて絞り込むことによって選別された。
3.G3のメチル化率がG2のメチル化率より0.2以上大きいプローブを抽出する。もしくは、前後1プローブ(連続3プローブ)が2.で抽出されているプローブを抽出する。
4.残りのプローブのうち、健常人の血液サンプル(3人のデータを平均化)でメチル化率が0.2以下のプローブを抽出する。
表2に各遺伝子領域の配列番号と遺伝子名を示す。またInfinium解析により、G3のメチル化率がG2のメチル化率より0.2以上大きいことが認められたCpG部位を以下に示す。
配列番号1の塩基配列に含まれるCpG部位のうち、5’末端側から数えて1〜5番目のCpG部位、
配列番号2の塩基配列に含まれるCpG部位のうち、5’末端側から数えて1,2,26,30,32番目のCpG部位、
配列番号3の塩基配列に含まれるCpG部位のうち、5’末端側から数えて1,18,19,31,72番目のCpG部位、
配列番号4の塩基配列に含まれるCpG部位のうち、5’末端側から数えて1,6,9,11,25番目のCpG部位、
配列番号5の塩基配列に含まれるCpG部位のうち、5’末端側から数えて1,29,32,34,47番目のCpG部位、
配列番号6の塩基配列に含まれるCpG部位のうち、5’末端側から数えて1,2,13,18,29番目のCpG部位、
配列番号7の塩基配列に含まれるCpG部位のうち、5’末端側から数えて1,13,17,18,20,23番目のCpG部位、
配列番号8の塩基配列に含まれるCpG部位のうち、5’末端側から数えて1,16,17,18,42番目のCpG部位、
配列番号9の塩基配列に含まれるCpG部位のうち、5’末端側から数えて1,34,116番目のCpG部位および
配列番号62の塩基配列に含まれるCpG部位のうち、5’末端側から数えて7,8,10,11,12番目のCpG部位。
上記CpG部位のうち、以下に示すCpG部位について、G2とG3のメチル化率の差、G2とG3のメチル化率の比を求めた。メチル化率の差は、G3のメチル化率の平均値からG2のメチル化率の平均値を控除した値とした。メチル化率の比は、G3のメチル化率の平均値を、G2のメチル化率の平均値で除した値とした。またG3とG2のメチル化率についてWelchのt-testにより検定した。結果を表2に示す。
配列番号1の塩基配列に含まれるCpG部位のうち、5'末端から数えて3番目のCpG部位、
配列番号2の塩基配列に含まれるCpG部位のうち、5'末端から数えて26番目のCpG部位、
配列番号3の塩基配列に含まれるCpG部位のうち、5'末端から数えて19番目のCpG部位、
配列番号4の塩基配列に含まれるCpG部位のうち、5'末端から数えて9番目のCpG部位、
配列番号5の塩基配列に含まれるCpG部位のうち、5'末端から数えて32番目のCpG部位、
配列番号6の塩基配列に含まれるCpG部位のうち、5'末端から数えて13番目のCpG部位、
配列番号7の塩基配列に含まれるCpG部位のうち、5'末端から数えて17番目のCpG部位、
配列番号8の塩基配列に含まれるCpG部位のうち、5'末端から数えて17番目のCpG部位、
配列番号9の塩基配列に含まれるCpG部位のうち、5'末端から数えて34番目のCpG部位、
配列番号62の塩基配列に含まれるCpG部位のうち、5’末端側から数えて10番目のCpG部位。
Figure 2018057362
実施例2:
実施例1で選抜した10の遺伝子の遺伝子領域について、MSPまたはパイロシークエンス法を用いて検証した。
(1)実施例1で用いた検体と同じグループから採取した別検体であるG2の12検体及びG3の12検体について、実施例1と同様にして測定用試料を作製した。
(2)定量的メチル化特異的PCR(qMSP)
上記(1)で得られた測定用試料を用いて、FLT3遺伝子およびFGF12遺伝子についてはqMSPによりメチル化解析を行った。用いたPCR試薬の組成、プライマーセット、PCR条件および解析対象CpG部位を以下に示す。qMSPは、SYBR Green I(BioWhittaker Molecular Applications社)及びCFX connect(Bio-Rad Laboratories社)を用いたリアルタイムPCRによって行った。メチル化分子数(M個)と非メチル化分子数(U個)を測定し、以下の計算式によりメチル化率を算出した。メチル化率の差は、G3のメチル化率の平均値からG2のメチル化率の平均値を控除した値とした。メチル化率の比は、G3のメチル化率の平均値を、G2のメチル化率の平均値で除した値とした。またG3とG2のメチル化率についてWelchのt-testにより検定した。結果を表4に示す。
メチル化率=M/(M+U)
<PCR試薬>
DW(滅菌水) 14.3μL
10X PCR buffer(MgCl2 15mM) 2.0μL
dNTP(2mM) 2.0μL
10×SYBR Green I溶液 0.1μL
AmpliTaq Gold(5U/μl) 0.2μL
20μM フォワードプライマー 0.2μL
20μMリバースプライマー 0.2μL
測定用試料 1μL
トータル 20μL
<PCR反応条件>
アニーリング温度:FGF12(M 62℃、U 62℃)、FLT3(M 62℃、U 64℃)
PCR program:95℃(15min)-[94℃(30sec)-アニーリング温度(30sec)-72℃(30sec)]x40 cycle-72℃(10min)-15℃(∞)
<プライマーセット>
上記qMSPで用いたプライマーセットを表3に示す。表中「M」は、増幅対象の領域のDNAがメチル化している場合に増幅産物を得ることができるプライマーセット(以下、「メチル化検出用プライマーセット」とも呼ぶ)であり、「UM」は増幅対象の領域のDNAがメチル化していない場合に増幅産物を得ることができるプライマーセットである(以下、「非メチル化検出用プライマーセット」とも呼ぶ)。各遺伝子領域において、メチル化検出用プライマーセットで解析される領域の塩基配列を配列番号53(FGF12)および54(FLT3)で示した。
配列番号22および23、配列番号40および41のプライマーセットは、配列番号2の塩基配列の5'末端から数えて24〜28番目のCpG部位を解析対象とする。また配列番号24および25、配列番号42および43のプライマーセットは、配列番号3の塩基配列の5'末端から数えて18〜20番目および29〜30番目のCpG部位を解析対象とする。
<解析対象CpG部位>
配列番号2の塩基配列に含まれるCpG部位のうち、5'末端から数えて26番目のCpG部位、
配列番号3の塩基配列に含まれるCpG部位のうち、5'末端から数えて19番目のCpG部位。
Figure 2018057362
Figure 2018057362
(3)パイロシークエンシング(pyrosequencing)
測定用試料のDNAは、表5に記載したプライマーセットを用いて増幅した。用いたPCR試薬の組成、プライマーセット、PCR条件および解析対象のCpG部位を以下に示す。パイロシークエンシングはPSQ 96 Pyrosequencing System(Qiagen社)を用いて行った。メチル化率はPSQ Assay Design software(Qiagen社)を用いて計算した。メチル化率の差は、G3のメチル化率の平均値からG2のメチル化率の平均値を控除した値とした。メチル化率の比は、G3のメチル化率の平均値を、G2のメチル化率の平均値で除した値とした。またG3とG2のメチル化率についてWelchのt-testにより検定した。結果を表6に示す。
<PCR試薬>
DW(滅菌水) 15μL
2xPyroMark PCR Mix 22μL
10xCoralLord Conc. 4.4μL
25mM MgCl2 0.4μL
5μMフォワードプライマー 1.1μL
5μMリバースプライマー 1.1μL
測定用試料 1μL
トータル 45μL
<PCR反応条件>
アニーリング温度:BHLHE22(1): 55℃、BHLHE22(2): 51℃、RPRM 50℃、RIMS1: 57℃、JAM2: 58、LINC00643: 52℃、STX16: 56℃、FLT3: 58℃、GUSBP5:56℃
PCR program:95℃(15min)-[94℃(30sec)-アニーリング温度(30sec)-72℃(30sec)]x40 cycle-72℃(10min)-15℃(∞)
<プライマー>
上記パイロシークエンスで用いたPCR増幅用プライマーセットおよびパイロシークエンス用のシークエンスプライマーを表5に示す。各プライマーセットで解析される領域の塩基配列を配列番号52,55〜61,70で示した。
<解析対象のCpG部位>
配列番号1の塩基配列に含まれるCpG部位のうち、5'末端から数えて3番目のCpG部位、
配列番号3の塩基配列に含まれるCpG部位のうち、5'末端から数えて19番目のCpG部位、
配列番号4の塩基配列に含まれるCpG部位のうち、5'末端から数えて9番目のCpG部位、
配列番号5の塩基配列に含まれるCpG部位のうち、5'末端から数えて32番目のCpG部位、
配列番号6の塩基配列に含まれるCpG部位のうち、5'末端から数えて13番目のCpG部位、
配列番号7の塩基配列に含まれるCpG部位のうち、5'末端から数えて17番目のCpG部位、
配列番号8の塩基配列に含まれるCpG部位のうち、5'末端から数えて17番目のCpG部位、
配列番号9の塩基配列に含まれるCpG部位のうち、5'末端から数えて34番目のCpG部位、
配列番号62の塩基配列に含まれるCpG部位のうち、5'末端から数えて10番目のCpG部位。
Figure 2018057362
Figure 2018057362
実施例3:バリデーション
(1)実施例1及び2で用いた検体とは異なるG2の22体及びG3の41検体について、実施例1と同様にして測定用試料を調製した後、実施例2と同様にしてqMSP及びパイロシークエンシングを行った。結果を表7に示す。
Figure 2018057362
(2)各遺伝子領域およびmiR124a-3について、ROC解析を行った。結果を表8に示す。またROC曲線を図1に示す。
Figure 2018057362
上記各遺伝子領域において、G3とG2間でメチル化率に統計学的有意差が認められ、バリデーションコフォートにおいても再現された。ROC解析においても、これらのマーカーは従来用いられていたmiR124a-3と同等以上の感度および特異度を示した。
10 診断補助装置
20 測定装置
30 判定装置
40 記録媒体
300 コンピュータ本体
301 入力部
302 表示部
310 CPU
311 ROM
312 RAM
313 ハードディスク
314 入出力インターフェイス
315 読出装置
316 通信インターフェイス
317 画像出力インターフェイス
318 バス
321 取得部
322 記憶部
323 算出部
324 判定部
325 出力部

Claims (15)

  1. 被検者の胃癌発症リスクの診断を補助する方法であって、
    前記被検者のDNA試料に含まれる遺伝子の遺伝子領域に存在するCpG部位のメチル化の状態を解析する工程、および
    前記解析工程で得られた結果に基づいて、前記被検者の胃癌発症リスクに関する情報を取得する工程、を含み、
    前記DNA試料が、ピロリ菌感染経験を有する被検者から採取した非癌部試料から調製され、
    前記遺伝子が、BHLHE22遺伝子、GUSBP5遺伝子、RIMS1遺伝子、LINC00643遺伝子、FGF12遺伝子、FLT3遺伝子、RPRM遺伝子、JAM2遺伝子、SEPT9遺伝子およびSTX16遺伝子からなる群より選択される少なくとも1つである、
    胃癌発症リスクの診断補助方法。
  2. 前記解析工程が、CpG部位のメチル化の有無を解析する工程である、請求項1記載の方法。
  3. 前記解析工程においてメチル化が存在するとの解析結果が得られた場合には、前記情報取得工程において前記被検者が胃癌発症高リスク群であるとの情報を取得する、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記解析工程においてメチル化が存在しないとの解析結果が得られた場合には、前記情報取得工程において前記被検者が胃癌発症低リスク群であるとの情報を取得する、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 前記解析工程が、メチル化の頻度を解析する工程である、請求項1記載の方法。
  6. 前記解析工程においてメチル化の頻度が所定の閾値より高い場合に、前記情報取得工程において前記患者が胃癌発症高リスク群であるとの情報を取得する、請求項5記載の方法。
  7. 前記解析工程においてメチル化の頻度が所定の閾値より低い場合に、前記情報取得工程において前記患者が胃癌発症低リスク群であるとの情報を取得する、請求項5または6に記載の方法。
  8. 前記非癌部試料が、胃癌細胞を実質的に含まない胃粘膜である、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
  9. 前記BHLHE22遺伝子の遺伝子領域が配列番号1の塩基配列を含み、
    前記GUSBP5遺伝子の遺伝子領域が配列番号62の塩基配列を含み、
    前記RIMS1遺伝子の遺伝子領域が配列番号5の塩基配列を含み、
    前記LINC00643遺伝子が配列番号7の塩基配列を含み、
    前記FGF12遺伝子の遺伝子領域が配列番号2の塩基配列を含み、
    前記FLT3遺伝子の遺伝子領域が配列番号3の塩基配列を含み、
    前記RPRM遺伝子の遺伝子領域が配列番号4の塩基配列を含み、
    前記JAM2遺伝子の遺伝子領域が配列番号6の塩基配列を含み、
    前記SEPT9遺伝子が配列番号8の塩基配列を含み、
    前記STX16遺伝子が配列番号9の塩基配列を含む、
    請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
  10. 前記解析工程において、メチル化の状態を解析するCpG部位が、以下のi)〜x)に含まれるすべてのCpG部位からなる群より選択される少なくとも1つである、請求項1〜9のいずれかに記載の方法:
    i)配列番号1の塩基配列に含まれるCpG部位のうち、5’末端側から数えて1〜5番目のCpG部位、
    ii)配列番号2の塩基配列に含まれるCpG部位のうち、5’末端側から数えて1,2,26,30および32番目のCpG部位、
    iii)配列番号3の塩基配列に含まれるCpG部位のうち、5’末端側から数えて1,18,19,31および72番目のCpG部位、
    iv)配列番号4の塩基配列に含まれるCpG部位のうち、5’末端側から数えて1,6,9,11および25番目のCpG部位、
    v)配列番号5の塩基配列に含まれるCpG部位のうち、5’末端側から数えて1,29,32,34および47番目のCpG部位、
    vi)配列番号6の塩基配列に含まれるCpG部位のうち、5’末端側から数えて1,2,13,18および29番目のCpG部位、
    vii)配列番号7の塩基配列に含まれるCpG部位のうち、5’末端側から数えて1,13,17,18,20および23番目のCpG部位、
    viii)配列番号8の塩基配列に含まれるCpG部位のうち、5’末端側から数えて1,16,17,18および42番目のCpG部位、
    ix)配列番号9の塩基配列に含まれるCpG部位のうち、5’末端側から数えて1,34および116番目のCpG部位、並びに
    x)配列番号62の塩基配列に含まれるCpG部位のうち、5’末端側から数えて7,8,10,11および12番目のCpG部位。
  11. 前記メチル化状態の解析が、マイクロアレイ、シークエンシング、質量分析およびメチル化特異的PCRから選択される少なくとも1つにより行われる、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載の方法に用いられる、人工的に合成されたDNAであって、
    前記DNAは、ピロリ菌感染経験を有する被検者から採取した非癌部試料から調製され、遺伝子の遺伝子領域の全部またはその一部の連続する塩基配列をバイサルファイト処理して得られる配列を有し、
    前記遺伝子領域は、CpG部位と、CpG部位を構成しないシトシン塩基とを含み、
    胃癌発症リスクを診断するためのマーカーとして用いられ、
    前記遺伝子が、BHLHE22遺伝子、GUSBP5遺伝子、RIMS1遺伝子、LINC00643遺伝子、FGF12遺伝子、FLT3遺伝子、RPRM遺伝子、JAM2遺伝子、SEPT9遺伝子およびSTX16遺伝子からなる群より選択される少なくとも1つである、
    前記人工DNA。
  13. 配列番号10〜19、または63で示されるいずれかの塩基配列を含む、請求項12に記載の人工DNA。
  14. 請求項1〜11のいずれかに記載の方法に用いられる胃癌発症リスク診断用キットであって、
    フォワードプライマーとリバースプライマーとを含み、
    前記フォワードプライマーおよびリバースプライマーは、遺伝子の遺伝子領域中のCpG部位を有する塩基配列における、CpG部位以外に存在するシトシンが他の塩基に変換された塩基配列からなる核酸にハイブリダイズし、
    メチル化CpG部位を含む領域にハイブリダイズし、
    前記遺伝子が、BHLHE22遺伝子、GUSBP5遺伝子、RIMS1遺伝子、LINC00643遺伝子、FGF12遺伝子、FLT3遺伝子、RPRM遺伝子、JAM2遺伝子、SEPT9遺伝子およびSTX16遺伝子からなる群より選択される少なくとも1つである、
    前記キット。
  15. 前記フォワードプライマーの塩基配列と前記リバースプライマーの塩基配列の組み合わせが以下のi)〜x)のいずれかである、請求項14に記載のキット:
    i)配列番号20および配列番号21、もしくは、配列番号64および配列番号65、
    ii)配列番号22および配列番号23、
    iii)配列番号24および配列番号25、もしくは、配列番号38および配列番号39、
    iv)配列番号26および配列番号27、
    v)配列番号28および配列番号29、
    vi)配列番号30および配列番号31、
    vii)配列番号32および配列番号33、
    viii)配列番号34および配列番号35、
    ix)配列番号36および配列番号37、または
    x)配列番号66および配列番号67。

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