JP2018055771A - リチウムイオン二次電池用正極およびこれを用いたリチウムイオン二次電池 - Google Patents

リチウムイオン二次電池用正極およびこれを用いたリチウムイオン二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】充放電サイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池用正極、およびリチウムイオン二次電池の提供。【解決手段】正極は、正極集電体12の少なくとも一方の主面に正極合剤層14が設けられ、正極合剤層14は、リチウムイオンを吸蔵および放出が可能な正極活物質を含み、正極合剤層14は、その表面にタンパク質の被膜15を有するリチウムイオン二次電池。【選択図】図2

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池用正極およびこれを用いたリチウムイオン二次電池に関する。
近年、携帯型電子機器、自動車、電力貯蔵用などの電源として、リチウムイオン二次電池が広く利用されている。上記リチウムイオン二次電池は、正極、負極、正極と負極とを絶縁するセパレーター、および正極と負極との間でイオンの移動を可能にするための電解質で主に構成されている。リチウムイオン二次電池は高エネルギー密度であることから、携帯電話やノート型パソコンなどのエレクトロニクス携帯機器の電源として実用化され、広く普及している。昨今、携帯型電子機器、通信機器等の著しい発展に伴い、機器の小型化、軽量化の観点から、更なる高エネルギー密度のリチウムイオン二次電池が強く要望されている。また、自動車用電池においては長寿命化が強く要望されている。
ところで、リチウムイオン二次電池の正極活物質として使用される層状岩塩構造を有するリチウム複合金属酸化物は、充電時に膨張し放電時に収縮することが知られている。このため、前記の正極活物質を用いた正極は、充電と放電の繰り返しによって正極合剤層にクラックが発生し、また活物質粒子自体にクラックが発生する場合もある。この結果、導電パスが切断されるため電子伝導性が減少し、優れた充放電サイクル特性が得られないという問題があった。
この課題に対し、先行技術文献1には、非水系電解液二次電池のインタ−カレ−ション型正極活物質として、放電時に結晶構造が膨張し充電時に結晶構造が収縮する活物質と、放電時に結晶構造が収縮し充電時に結晶構造が膨張する活物質を混合して用いることが開示されている。先行技術文献2には、正極が、LiM1O(M1はCo、Ni及びFeの一種以上の遷移元素で、0<x≦1.3)で表され、放電時に結晶格子が収縮し、充電時に結晶格子が膨張するR−3m型結晶構造を有する部分と、Li(M2はMn及びTiの一種以上の遷移元素で、0<y≦2)で表され、放電時に結晶格子が膨張し、充電時に結晶格子が収縮するFd3m型結晶構造を有する部分とが非結晶部分を介して複合化されてなる複合粒子を、正極活物質とする、正極と、リチウムイオンを可逆的に吸蔵及び放出することが可能な負極と、を備える、非水電解質二次電池が開示されている。
しかしながら、先行技術文献1または2に記載の手法を用いた場合においても、我々の検討においては、満足すべき充放電サイクル特性が得られなかった。
特開平5−82131号公報 特開平8−50895号公報
本発明の目的は、前記事情に鑑みてなされたものであり、充放電サイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池用正極、およびこれを用いたリチウムイオン二次電池を提供することにある。
本発明に係るリチウムイオン二次電池用正極は、正極集電体の少なくとも一方の主面に正極合剤層が設けられ、前記正極合剤層はリチウムイオンを吸蔵および放出が可能な正極活物質を含み、前記正極合剤層の表面の少なくとも一部にタンパク質を含む被膜を有するものである。
さらに前記タンパク質は、カゼインのアルカリ金属塩、カゼインマグネシウム、カゼインのアルカリ土類金属塩、カゼイン、アルブミン、リゾチーム、グロブリンから選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
さらに前記タンパク質は、カゼインのアルカリ金属塩であって、前記カゼインのアルカリ金属塩は、カゼインリチウム、カゼインナトリウム、カゼインカリウムの少なくとも1種を含むことが好ましい。
さらに前記タンパク質は、カゼインのアルカリ土類金属塩であって、前記カゼインのアルカリ土類金属塩は、カゼインカルシウム、カゼインストロンチウム、カゼインバリウムの少なくとも1種を含むことが好ましい。
さらに前記タンパク質を含む被膜の担持量が、正極合剤層の表面積当たり0.01〜5mgcm−2であるであることが好ましい。
さらに前記正極活物質は、層状岩塩構造を有するリチウム複合金属酸化物を含むことが好ましい。
本発明に係るリチウムイオン二次電池は、前記リチウムイオン二次電池用正極、リチウムイオンを吸蔵および放出する負極、前記正極と前記負極との間に介在するセパレーター、および、電解質とを備えたリチウムイオン二次電池とする。
本発明の正極によれば、正極合剤層の表面にタンパク質を含む被膜を有することにより、充放電サイクル特性が向上する正極となる。
本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池の構成を表す断面図である。 本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池用正極の構成を表す断面図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。また以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに以下に記載した構成要素は、適宜組み合わせることができる。
<リチウムイオン二次電池>
図1に、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池100の構成断面図を示す。リチウムイオン二次電池100は、リチウムイオン二次電池用正極、リチウムイオン二次電池用負極、およびリチウムイオン二次電池用正極とリチウムイオン二次電池用負極との間に介在されたセパレーター18、とから構成されている。前記セパレーター18は、正極と負極とが物理的に接触することを防止し、正極、負極およびセパレーターには電解質(図示せず)が含浸されている。
リチウムイオン二次電池の形状としては、図1のラミネートフィルム型に制限されるものではなく、例えば、円筒型、角型、コイン型などいずれであってもよい。本実施形態では、ラミネートフィルムを外装体50として用い、実施例では、ラミネートフィルム型電池を作製し評価する。前記のラミネートフィルムとしては、例えば、ポリプロピレン、アルミニウム、ポリアミドがこの順に積層されてなる3層構造として構成されているものを用いることができる。
(リチウムイオン二次電池用正極)
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池用正極10は、正極集電体の少なくとも一方の主面に正極合剤層が設けられ、前記の正極合剤層は、リチウムイオンを吸蔵および放出が可能なリチウム複合金属酸化物を含む正極活物質を含み、前記の正極合剤層は、その表面の一部にタンパク質を含む被膜を有している。
係る構成によれば、前記タンパク質は、充電時の酸化反応によって収縮し、放電時の還元反応によって伸長する、という性質を有する。したがって、充電時に前記正極合剤層が膨張する際には、タンパク質の収縮によって合剤層の膨張を抑制し、正極合剤層にクラックが発生した場合でも、放電時にタンパク質が伸長することでクラックを覆うと予想される。そして再び充電時にタンパク質は収縮し、放電時に伸長を繰り返すことで、タンパク質の被膜は崩壊することなく、正極合剤層のクラック抑制効果が持続すると考えられる。その結果、導電パスの切断が抑制され、優れた充放電サイクル特性が得られる。以上の作用効果により、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池では、優れた充放電サイクル特性を発現できると考えられる。
さらに前記タンパク質は、カゼインのアルカリ金属塩、カゼインマグネシウム、カゼインのアルカリ土類金属塩、カゼイン、アルブミン、リゾチーム、グロブリンから選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
係る構成によれば、前記タンパク質は正極合剤層の表面に担持しやすく、より効果的に充放電サイクル特性の向上を図ることが可能となる。
さらに前記タンパク質は、カゼインのアルカリ金属塩であって、前記カゼインのアルカリ金属塩は、カゼインリチウム、カゼインナトリウム、カゼインカリウムの少なくとも1種を含むことが好ましい。
係る構成によれば、前記タンパク質は正極合剤層の表面に担持しやすく、より効果的にサイクル特性の向上を図ることが可能となる。
さらに前記タンパク質は、カゼインのアルカリ土類金属塩であって、前記カゼインのアルカリ土類金属塩は、カゼインカルシウム、カゼインストロンチウム、カゼインバリウムの少なくとも1種であることが好ましい。
係る構成によれば、前記タンパク質は正極合剤層の表面に担持しやすく、より効果的にサイクル特性の向上を図ることが可能となる。
さらに前記タンパク質を含む被膜の担持量が、正極合剤層の表面積当たり0.01〜5mgcm−2であることが好ましい。
さらに前記タンパク質を含む被膜の担持量が、正極合剤層の表面積当たり0.01〜1.5mgcm−2であることがより好ましい。
(リチウムイオン二次電池用正極)
前記のリチウムイオン二次電池用正極は、正極集電体の少なくとも一方の主面にリチウムイオンを吸蔵および放出する正極合剤層が設けられ、前記正極合剤層は、少なくともリチウムイオンを吸蔵および放出する正極活物質を含んでいる。
[正極活物質]
本実施形態に係る正極活物質としては、例えば、リチウム金属酸化物、リチウム金属硫化物などが好適であり、これらの2種以上を混合して用いてもよい。特に、エネルギー密度を高くするには、一般式LiMOで表されるリチウム複合金属酸化物が好ましい。なお、Mは1種類以上の遷移金属が好ましく、具体的には、Co、Ni、Mn、Fe、Al、V、Tiのうちの少なくとも1種が好ましい。xは、電池の充放電状態によって異なり、通常、0.05≦x≦1.10の範囲内の値である。また、他にもスピネル型結晶構造を有するマンガンスピネル(LiMn)や、オリビン型結晶構造を有するリン酸鉄リチウム(LiFePO)なども、高いエネルギー密度を得ることができるので好ましい。
具体的には、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、LiNiCoMn(x+y+z+a=1、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、0≦a≦1、MはAl、Mg、Nb、Ti、Cu、Zn、Crより選ばれる1種類以上の元素が挙げられる)、リチウムバナジウム化合物(LiV)、オリビン型LiMPO(ただし、Mは、Co、Ni、Mn、Fe、Mg、Nb、Ti、Al、Zrより選ばれる1種類以上の元素、またはVOを示す)、チタン酸リチウム(LiTi12)、LiNiCoAl(0.9<x+y+z<1.1)などが挙げられる。また、これらの材料に限定することはなく、他にもリチウムイオンを電気化学的に挿入および脱離する正極活物質材料であれば、特に制限はされない。
[正極導電助剤]
本実施形態に係る正極合剤層において、導電性の向上を目的として導電助剤を添加してもよい。本実施形態において用いられる導電助剤は特に制限されず、負極合剤層で使用される導電助剤と同様の周知の材料を用いることができる。
[正極バインダー]
正極合剤層において、活物質と導電助剤と集電体との結着性の向上を目的としてバインダーを用いてもよい。本実施形態の正極合剤層に用いられるバインダーとしては、有機溶剤系バインダーでもよく、水系バインダーでもよい。例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエチレンビニルアルコール、ポリアクリレート、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリウレタンなどが挙げられ、これらの1種類で用いてもよく、複数種を併用することもできる。なお、これら列挙したバインダーに限定されるものではない。
[正極集電体]
本実施形態のリチウムイオン二次電池用正極として、集電体を構成する材料は特に限定するものではないが、正極10に用いられる正極集電体12としては、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、チタン、またはこれらの合金箔を用いることができ、特に正極集電体12としては、アルミニウム箔が好ましい。
(リチウムイオン二次電池用負極)
前記のリチウムイオン二次電池用負極は、負極集電体の少なくとも一方の主面にリチウムイオンを吸蔵および放出する負極合剤層が設けられ、前記負極合剤層は、少なくともリチウムイオンを吸蔵および放出する負極活物質を含んでいる。
[負極活物質]
本実施形態に係る負極活物質としては、例えば、リチウムイオンを電気化学的に挿入および脱離する黒鉛などの炭素材料が好ましい。また、ケイ素、スズ、ゲルマニウム、鉄、またはこれらの化合物や合金を使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記した炭素材料は、例えば、結晶質炭素、非晶質炭素、またはこれらを組み合わせて使用してもよい。前記の結晶質炭素としては、例えば、無定形状、球状、粒状、多角形状、鱗片状、板状、繊維状などの天然黒鉛、または人造黒鉛が挙げられ、前記の非晶質炭素としては、例えば、ソフトカーボン、ハードカーボン、メソフェーズピッチ炭化物、焼成したコークスなどが挙げられる。
また、本実施形態に係る負極活物質として、前記に挙げた材料に限定されることはなく、他にもリチウムイオンを電気化学的に挿入および脱離する材料であれば特に制限はされない。
[負極導電助剤]
本実施形態に係る負極合剤層において、導電性の向上を目的として導電助剤を添加してもよい。本実施形態において用いられる導電助剤は特に制限されず、周知の材料を用いることができる。例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック、気相成長炭素繊維(VGCF)、カーボンナノチューブ(CNT)、グラフェン、および黒鉛などの炭素材料が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
[負極バインダー]
負極合剤層において、活物質と導電助剤と集電体との結着性の向上を目的としてバインダーを用いてもよい。本実施形態の負極合剤層に用いられるバインダーとしては、有機溶剤系バインダーでもよく、水系バインダーでもよい。例えば、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリアミド、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、アルギン酸塩、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリウレタンなどが挙げられ、これらの1種類で用いてもよく、複数種を併用することもできる。なお、これら列挙したバインダーに限定されるものではない。
[負極集電体]
集電体は、導電性材料から構成され、その一方の主面または両面に合剤層が配置される。本実施形態のリチウムイオン二次電池用負極として、集電体を構成する材料は特に限定するものではないが、負極20に用いられる負極集電体22としては、銅、ステンレス鋼、ニッケル、チタン、またはこれらの合金箔を用いることができる。特に銅、銅合金、ステンレス鋼が好ましく、コストの面からは電解銅箔および圧延銅箔を好適に用いることができる。強度の面からは、ステンレス鋼や銅合金の圧延箔が好適に用いることができる。
(セパレーター)
セパレーター18は、負極20と正極10との間に介在され、両極の接触による短絡を防止し、さらに電解質が含浸されていることにより、リチウムイオンを通過させるものである。このセパレーター18は、例えば微小な孔を多数有する多孔性膜を備えるものであって、前記のセパレーター18の具体的な材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系多孔膜、ポリイミド、ポリアミドイミドなどの高耐熱多孔膜、前記のポリオレフィン系多孔膜と高耐熱多孔膜との複合膜、芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミドなどの不織布などが挙げられる。またセパレーター18は、例えばその厚みが5μm以上、50μm以下の範囲であると共に、その全体積中における空隙体積の比率を表す空孔率が20%以上、80%以下の範囲であるものが好ましい。
(電解質)
電解質は、正極10、負極20およびセパレーター18に含浸されており、例えば、溶媒とこの溶媒に溶解された電解質塩とを含んでおり、必要に応じて添加剤を含んでいてもよい。前記の電解質の溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、などの環状炭酸エステル、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)などの鎖状炭酸エステル、酢酸メチル(MA),酢酸エチル(EA),プロピオン酸メチル(MP),プロピオン酸エチル(EP)などの鎖状カルボン酸エステル、または、γ−ブチロラクトン(GBL)、γ−バレロラクトン(GVL)などの環状カルボン酸エステルなどが挙げられる。これらのはいずれか1種、または2種以上を混合して溶媒として用いることができる。また、前記の列挙した溶媒に限定されることはなく、電解質塩を溶解させてリチウムイオン二次電池100としたときにその特性を損なわない範囲でれば、特に制限はされない。
また、前記の溶媒には、ビニレンカーボネート(VC)などの不飽和結合を有する環式炭酸エステルや、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ジフルオロエチレンカーボネート(DFEC)などのフッ素化環状カーボネート、1,3−プロパンスルトン(PS)などの硫黄含有化合物、フォスファゼン化合物などの難燃性液体を混合して溶媒として用いることができる。
(電解質塩)
電解質中に含まれる電解質塩としては、例えばリチウム塩が挙げられ、電解質中で解離してリチウムイオンを供給するものである。このリチウム塩としては、特に限定されるものではないが、例えば、LiPF、LiBF、LiAsF、LiClO、LiB(C、LiCHSO、LiC(SOCF、LiN(CFSO(別名、LiTFSIと呼ぶこともある)、LiN(CSO(別名、LiBETIと呼ぶこともある)、LiCFSO、LiCSO、LiC(CFSO、LiN(CFSO)(CSO)、LiN(CFSO)(CSO)、LiN(CFSO)(CSO)、LiN(SOF)(別名、LiFSIと呼ぶこともある)、LiAlCl、LiSiF、LiCl、LiCBO(別名、LiBOBと呼ぶこともある)、あるいはLiBrなどが挙げられ、これらの1種、または2種以上の任意の組み合わせから選択されるものを用いることができる。特に、LiPFは高いイオン伝導性を得ることができるため好適に用いることができる。
(リチウムイオン二次電池の製造方法)
本実施形態のリチウムイオン二次電池100は、例えば、次のようにして製造することができる。
[正極の製造方法]
正極10は以下のようにして製造することができる。例えば、前記した正極活物質と、導電助剤と、バインダーと、溶媒とを混合分散させて、ペースト状の正極スラリーを作製する。次いで、この正極スラリーを例えばコンマロールコーターを用いて、所定の厚みを有する正極合剤層14をアルミニウム箔などの正極集電体12の片面または両面に塗布し、乾燥炉内にて溶媒を乾燥させる。なお、前記の正極集電体12の両面に塗布された場合、正極合剤層14となる塗膜の厚みは、両面とも同じ膜厚であることが望ましい。
前記の正極合剤層14が形成された正極10をロールプレス機などにより所定の厚みおよび密度になるように調整し、同時に正極合剤層14を正極集電体12の片面または両面に圧着させ、正極合剤層14と正極集電体12との密着性を高める。
前記の正極を金型で所定の電極サイズに打ち抜き、本実施形態のリチウムイオン二次電池用の正極10とする。前記の通り、前記の正極10の面積は、負極20の面積よりも小さいサイズであることが好ましい。正極10の面積を、対向する負極20の面積よりも小さくすることで、リチウムデンドライトの析出による内部短絡の発生を防止するためである。
また前記の正極10において、使用するバインダーによって適宜熱処理を行っても良い。
本実施形態の正極は、正極合剤層14の表面の一部または全面にタンパク質の被膜40を有する。タンパク質の被膜を形成する方法としては、例えば、塗布法、浸漬法、あるいはディップコーティング法などの液相法が挙げられる。これらの方法を単独で用いてもよいし、2種以上の方法を併用してもよい。例えば、浸積法では、タンパク質を含有する溶液中に、前記正極10を数秒から数分間浸漬させ、その後正極10を引き上げて、乾燥させる。あるいは塗布法では、前記タンパク質を含有する溶液を正極10の正極合剤層14の表面に塗布し、乾燥させることで、タンパク質の被膜が形成される。塗布法では、コンマロールコーター、ドクターブレード、スピンコーターなどの装置を用いることができる。さらに、前記タンパク質の被膜の担持量は、前記タンパク質を含有する溶液の濃度、含浸回数、塗布回数などを調整することで、タンパク質の被膜の担持量を容易に制御することができる。
タンパク質の被膜の平均担持量は以下のようにして求める。まず、タンパク質の被膜を形成させる以前の正極の重量を測定しておく。次に、前記方法のいずれかによってタンパク質の被膜を形成し、再び重量を測定する。重量の差分を正極の面積で割った数値が、単位面積当たりの平均担持量(mg・cm−2)となる。
[タンパク質の被膜の同定]
本実施形態の正極の正極合剤層の表面に形成されたタンパク質の被膜の同定は、例えば電界放出形走査型電子顕微鏡(FE−SEM)、エネルギー分散型X線分光法(EDX)、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)の全反射減衰法(ATR法)、熱分解ガスクロマトグラフ質量分析法などにより行うことができる。
FE−SEMでは、タンパク質の被膜を形成させる前後における正極合剤層の表面を観察することで、被膜の有無を簡便に確認することができる。
FT−IRでは、被覆させる各タンパク質を粉末単体で測定しておき、各タンパク質の吸収スペクトル位置を確認し、次いで各タンパク質の被膜を形成させた正極の吸収スペクトル位置を測定することで、正極合剤層の表面におけるタンパク質の被膜の有無を確認することができる。
なお、本実施形態のFT−IRによるタンパク質の解析においては、4000〜400cm−1の範囲で吸収スペクトルを収集し、1640cm−1付近の吸収スペクトルをペプチド結合(C=O伸縮振動)、1520cm−1付近の吸収スペクトルをペプチド結合(N−H変角振動およびC−N伸縮振動)、1235cm−1付近の吸収スペクトルをペプチド結合(C−N伸縮振動およびN−H変角振動)、3280cm−1付近の吸収スペクトルをタンパク質の側鎖のアミノ基(N−H伸縮振動)、1400cm−1付近の吸収スペクトルをタンパク質の側鎖カルボキシル基に帰属する吸収スペクトルとした。
さらに、カゼインのアルカリ金属塩であるカゼインリチウム、カゼインナトリウム、カゼインカリウム、カゼインのアルカリ土類金属塩であるカゼインマグネシウム、カゼインカルシウム、カゼインストロンチウム、カゼインバリウムは、EDXにより各カゼインに含まれる金属元素を分析することで、各カゼインを同定することができる。
[負極の製造方法]
まず、負極20は負極活物質と、導電助剤と、バインダーと、溶媒とを混合分散させてペースト状の負極スラリーを作製する。
前記の溶媒としては、負極スラリーに添加するバインダーに対して良溶媒を用いることが望ましく、例えば、有機系溶媒であれば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキサイド、メチルエチルケトン、アセトニトリル、などが挙げられ、水系溶媒であれば、イオン交換水、蒸留水などが挙げられる。
次いで、この負極スラリーを例えばコンマロールコーターを用いて、所定の厚みを有する負極合剤層24を銅箔などの負極集電体22の片面または両面に塗布し、乾燥炉内にて溶媒を乾燥させる。なお、前記の負極集電体22の両面に塗布された場合、負極合剤層24となる塗膜の厚みは、両面とも同じ膜厚であることが望ましい。前記の負極合剤層24が形成された負極20をロールプレス機などにより所定の厚みおよび密度になるように調整し、同時に負極合剤層24を負極集電体22の片面または両面に圧着させ、負極合剤層24と負極集電体22との密着性を高める。
前記の負極を金型で所定の電極サイズに打ち抜き、リチウムイオン二次電池用の負極20とする。前記の負極20の面積は、正極10の面積よりも大きいサイズであることが好ましい。負極20の面積を、対向する正極10の面積よりも大きくすることで、リチウムの析出による内部短絡の発生を防止するためである。
前記の負極20は、真空中または不活性ガスの雰囲気中において前記のバインダーの熱分解する温度以下で熱処理することで、バインダーの重合およびまたは架橋によって負極合剤層24と負極集電体22の界面、および負極活物質同士での密着性をさらに高めることができる。また、負極集電体22の表面が一定の表面粗さを有していれば、その表面の凹凸部分にバインダーが入り込むことにより、バインダーと負極集電体22の間にアンカー効果が作用し、密着性が向上する。そのため、リチウムイオンの吸蔵および放出によって負極活物質が体積膨張した場合においても、負極集電体22からの負極合剤層24の剥離を抑制することができる。
続いて、負極20と正極10とをセパレーター18を介して積層することで電極積層体30を作製する。任意の積層数で構成された電極積層体を作製することができる。前記のセパレーター18は、負極20と正極10とが直接接触しないようにするために、金型を用いて両電極よりも電極サイズが大きく打ち抜いたものを好適に用いることができる。
次いで、前記の電極積層体30の負極20において、負極合剤層24を設けていない負極集電体の突起端部に、ニッケル製の負極リード62を取り付け、一方、電極積層体30の正極10においては、正極合剤層14を設けていない正極集電体の突起端部に、アルミニウム製の正極リード60を超音波溶接機によって取り付ける。そして、この電極体30を、アルミニウムのラミネートフィルムの外装体50内に挿入して周囲の1箇所を除いてヒートシールすることにより閉口部を形成し、外装体50内に所定量の電解質を注入した後に、残りの1箇所を減圧しながらヒートシールすることで密封し、リチウムイオン二次電池100(以後、ラミネートセルと呼ぶ場合がある)を作製することができる。
このリチウムイオン二次電池100では、充電を行うと、例えば、正極合剤層14からリチウムイオンが放出され、電解質を介して負極合剤層24に吸蔵される。また、放電を行うと、例えば、負極合剤層24からリチウムイオンが放出され、電解質を介して正極合剤層14に吸蔵される。
(電池評価)
本実施形態において作製されるリチウムイオン二次電池は、下記の電池特性について評価することができる。
[充放電サイクル試験]
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池は、例えば以下に示す充放電条件によって充放電サイクル特性を評価することができる。充放電サイクル試験条件は、25℃の温度下において、0.5Cの定電流で4.4Vの電池電圧になるまで定電流定電圧充電(CC−CV充電)を行い、その後、1.0Cの定電流で2.5Vの電池電圧になるまで放電させる(CC放電)。上記の充電と放電を1サイクルとし、これを500サイクル繰り返した後の放電容量維持率を充放電サイクル特性として評価した。充放電電流の表記は、C(シー)レート表記を使う。nC(mA)は、公称容量(mAh)を1/n(h)で充放電できる電流である。例えば、公称容量70mAhの電池の場合、0.05Cの電流は3.5mA(計算式70×0.05=3.5)である。同様に、0.2Cの電流は14mA、2Cの電流は140mAである。
第500サイクルの放電容量維持率は、以下の計算式によって定義される。
第500サイクルの放電容量維持率(%)=(第500サイクルの放電容量÷第1サイクルの放電容量)×100
以上、本発明に係る実施形態について詳細に説明したが、前記の実施形態に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、前記の実施形態においては、ラミネートフィルム型のリチウムイオン二次電池について説明したが、正極、負極およびセパレーターを巻回または折り畳んだ構造を有するリチウムイオン二次電池についても同様に適用することができる。さらに、電池形状として、円筒型、角型、コイン型などのリチウムイオン二次電池についても好適に応用することができる。
以下、前記の実施形態に基づいて、さらに実施例および比較例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。
(リチウムイオン二次電池用正極の作製)
正極活物質としてNCA(LiNi0.8Co0.15Al0.05)を96重量%と、導電助剤としてケッチェンブラックを2重量%と、バインダーとしてPVdFを2重量%と、溶媒のN−メチル−2−ピロリドンとを、自転公転する攪拌機(商品名:ハイブリッドミキサー)を用いて混合分散させ、所定の粘度に調整したペースト状の正極スラリーを作製した。そして、コンマロールコーターを用いて、この正極スラリーを厚さ20μmのアルミニウム箔の両面に所定の厚みとなるように、均一に正極合剤層を塗布した。なお、正極合剤層に含まれる正極活物質重量は、正極合剤層の主面の単位面積当たりの正極活物質量で23mg・cm−2とした。次いで、乾燥炉内にて、110℃の大気雰囲気下で前記の正極合剤層中のN−メチル−2−ピロリドンを乾燥除去させた。なお、前記のアルミニウム箔の両面に塗布された正極合剤層の塗膜の厚みは、同じ膜厚に調整した。前記の正極活物質が形成された正極をロールプレス機によって、正極合剤層を正極集電体の両面に圧着させ、所定の密度を有する正極を得た。
前記の正極を、金型を用いて18mm×22mmに打ち抜き、リチウムイオン二次電池用正極を作製した。
(実施例1〜8)
実施例1〜8に係るリチウムイオン二次電池用正極は、前記正極を0.2質量%カゼインナトリウム水溶液に1分間含浸させた後、前記正極を前記水溶液から引き上げて60℃の乾燥機中で乾燥させることで、正極合剤層の表面に、カゼインナトリウムの被膜を担持させた。カゼインナトリウム被膜の平均担持量は、含浸回数を調整することで、表1に示した担持量にそれぞれ調製した。なお、カゼインナトリウム被膜の担持量は、含浸前後の正極の重量変化より算出し、正極合剤層の単位表面積当たりの平均担持量で表記した。
(比較例1)
比較例1に係るリチウムイオン二次電池用正極は、カゼインナトリウムの被膜を担持させないこと以外は実施例1と同様の正極を用いた。
(実施例9〜16)
実施例9〜16に係るリチウムイオン二次電池用正極は、正極活物質をLCO(LiCoO)に変更した以外は、実施例1と同様の手順でリチウムイオン二次電池用正極を作製した。カゼインナトリウム被膜の担持量は、含浸回数を調整することで、表2に示した平均担持量にそれぞれ調製した。
(比較例2)
比較例2に係るリチウムイオン二次電池用正極は、比較例1の正極活物質をコバルト酸リチウム(LiCoO)に変更し、比較例1と同様にカゼインナトリウムの被膜を担持させなかった。
(実施例17)
実施例17に係るリチウムイオン二次電池用正極は、比較例1の正極を0.2%のカゼインカリウム水溶液に1分間含浸させた後、この正極を水溶液から引き上げて60℃の乾燥機中で乾燥させることで、正極合剤層の表面に、カゼインカリウムの被膜を担持させた。カゼインカリウムの担持量は含浸回数を調整することで、表3に示した平均担持量に調製した。
(実施例18〜22)
実施例18〜22に係るリチウムイオン二次電池用負極は、実施例4のカゼインナトリウムの被膜が形成された正極を1%の水酸化リチウム水溶液、1%の塩化マグネシウム水溶液、1%の塩化カルシウム水溶液、1%の塩化ストロンチウム水溶液、1%の塩化バリウム水溶液にそれぞれ含浸させ、この正極を各水溶液から引き上げて60℃の乾燥機中で乾燥させた。被膜であるカゼインナトリウム分子内のナトリウムイオンを前記水溶液中の各金属イオンで置換させることで、正極合剤層の表面に、カゼインリチウム、カゼインマグネシウム、カゼインカルシウム、カゼインストロンチウム及びカゼインバリウムの被膜を担持させた。
(実施例23)
実施例23に係るリチウムイオン二次電池用正極は、比較例1の正極を0.2%のカゼイン分散液に1分間含浸させた後、この正極を水溶液から引き上げて60℃の乾燥機中で乾燥させることで、負極合剤層の表面に、カゼインの被膜を担持させた。カゼインの担持量は含浸回数を調整することで、表3に示した平均担持量に調製した。
(実施例24〜30)
実施例24〜30に係るリチウムイオン二次電池用正極は、比較例1の正極を0.2%のアルブミン水溶液に1分間含浸させた後、この正極を水溶液から引き上げて60℃の乾燥機中で乾燥させることで、正極合剤層の表面に、アルブミンの被膜を担持させた。アルブミンの担持量は含浸回数を調整することで、表4に示した平均担持量にそれぞれ調製した。
(実施例31〜37)
実施例31〜37に係るリチウムイオン二次電池用正極は、比較例1の正極を0.2%のリゾチーム水溶液に1分間含浸させた後、この正極を水溶液から引き上げて60℃の乾燥機中で乾燥させることで、正極合剤層の表面に、リゾチームの被膜を担持させた。リゾチームの担持量は含浸回数を調整することで、表5に示した平均担持量にそれぞれ調製した。
(実施例38〜44)
実施例38〜44に係るリチウムイオン二次電池用正極は、比較例1の正極を0.2%のグロブリン水溶液に1分間含浸させた後、この正極を水溶液から引き上げて60℃の乾燥機中で乾燥させることで、正極合剤層の表面に、グロブリンの被膜を担持させた。グロブリンの担持量は含浸回数を調整することで、表6に示した平均担持量にそれぞれ調製した。なお、グロブリン水溶液の作製時においては、1molL−1の水酸化ナトリウム水溶液を添加させて、グロブリンを溶解させた。
(リチウムイオン二次電池用負極の作製)
塗料組成比として、負極活物質として黒鉛93.5重量%と、導電助剤としてアセチレンブラックを2重量%と、バインダーとしてスチレン−ブタジエン共重合体(SBR)3重量%、カルボキシメチルセルロース(CMC)1.5重量%と、溶媒の蒸留水とを、自転公転する攪拌機(商品名:ハイブリッドミキサー)を用いて混合分散させ、所定の粘度に調整したペースト状の負極スラリーを作製した。そして、コンマロールコーターを用いて、この負極スラリーを銅箔(厚さ10μm)表面に所定の厚みで負極合剤層を塗布した。なお、負極合剤層に含まれる負極活物質質量は、負極合剤層の主面の単位面積当たりの負極活物質質量で10mg・cm−2とした。100℃の乾燥炉内にて前記の負極合剤層中の水を乾燥除去させた後、もう一方の銅箔の裏面側にも同様の手順で負極合剤層を塗布した。
前記の負極合剤層が形成された負極をロールプレス機によって、負極合剤層を負極集電体の両面に圧着させ、所定の密度を有する負極を得た。
前記の負極を、金型で19mm×23mmサイズに打ち抜き、次いで残留溶媒の乾燥除去を目的として、真空中にて100℃で12時間保持し、リチウムイオン二次電池用負極を得た。
(リチウムイオン二次電池の作製)
前記の作製した実施例および比較例に係るリチウムイオン二次電池用正極は、前記のリチウムイオン二次電池用負極と、厚さ16μmの22mm×23mmサイズのポリエチレン製のセパレーターを介して積層し、電極積層体を作製した。これを電極体1層とし、同様の作製方法にて4層で構成された電極積層体を作製した。なお、前記の正極および負極は、両面に各合剤層を備えているため、正極2枚と負極3枚とセパレーター4枚とで構成されている。さらに、前記の電極積層体の正極において、正極合剤層を設けていないアルミニウム箔の突起端部にアルミニウム製の正極リードを取り付け、一方、電極積層体の負極においては、負極合剤層を設けていない銅箔の突起端部にニッケル製の負極リードを超音波融着機によって取り付けた。そしてこの電極積層体を、ラミネート外装体内に挿入させた。外装体周囲の1辺を除いてヒートシールすることにより閉口部を形成し、この開口部より、EC:DECが3:7の体積割合で配合された溶媒中に、リチウム塩としてLiPFが1molL−1となるように添加された電解質を注入した。そして、前記の外装体の開口部を真空シール機によって減圧しながらヒートシール機で密封し、実施例および比較例に係るラミネートタイプのリチウムイオン二次電池をそれぞれ作製した。
(結果)
代表として実施例4と比較例1に係るリチウムイオン二次電池用正極をFE−SEMで観察した。実施例4では、正極合剤層の表面に被膜の存在が観察された。一方、比較例1では、正極合剤層の表面に被膜の存在は観察されなかった。
実施例4と比較例1に係るリチウムイオン二次電池用正極のFT−IRを測定した。実施例4に係るリチウムイオン二次電池用正極では、カゼインナトリウムのペプチド結合に帰属する吸収スペクトルを1640cm−1付近、1514cm−1付近、また、カゼインナトリウムの側鎖のアミノ基に帰属する吸収スペクトルを3273cm−1付近に確認した。さらにEDXを測定したところ、実施例4の正極合剤層表面からカゼインナトリウム分子内に含まれるナトリウム元素および窒素元素が検出された。以上の解析結果から、実施例4の正極合剤層に担持された被膜が、カゼインナトリウムであることを確認した。
それ以外の実施例に係るリチウムイオン二次電池用正極においても、実施例4と同様の解析手法を用いて、正極合剤層の表面に各タンパク質の被膜が担持されていることを確認した。
実施例1〜8および比較例1に係るリチウムイオン二次電池の充放電サイクル特性の結果を表1に示す。なお、なお、充放電サイクル特性の効果は、比較例1の500サイクル容量維持率を100%とし、それに対する各実施例の500サイクル容量維持率を比率で示す。NCAを含む正極合剤層の表面に対して、カゼインナトリウムの被膜を有する実施例では優れた充放電サイクル特性を示すことが確認された。特に、カゼインナトリウムの平均担持量が0.01〜1.5mg・cm−2である場合は、より特性に優れていた。
Figure 2018055771
実施例9〜16および比較例2に係るリチウムイオン二次電池の充放電サイクル特性の結果を表2に示す。なお、充放電サイクル特性の効果は、比較例2の500サイクル容量維持率を100%とし、それに対する各実施例の500サイクル容量維持率を比率で示す。正極活物質としてLCOを用いた場合においても、正極合剤層の表面に対して、カゼインナトリウムの被膜を有する実施例では優れた充放電サイクル特性を示すことが確認された。特に、カゼインナトリウムの平均担持量が0.01〜1.5mg・cm−2である場合は、より特性に優れていた。
Figure 2018055771
実施例17〜23に係るリチウムイオン二次電池の充放電サイクル特性の結果を表3に示す。なお、充放電サイクル特性の効果は、比較例1の500サイクル容量維持率を100%とし、それに対する各実施例の500サイクル容量維持率を比率で示す。正極合剤層にカゼインカリウム、カゼインリチウム、カゼインマグネシウム、カゼインカルシウム、カゼインストロンチウム、カゼインバリウムの被膜を担持させた各実施例では、担持していない比較例1よりも充放電サイクル特性に優れていた。一方、カゼインの被膜を担持させた実施例23では、改善効果が小さかった。
Figure 2018055771
実施例24〜30に係るリチウムイオン二次電池の充放電サイクル特性の結果を表4に示す。充放電サイクル特性の効果は、比較例1の500サイクル容量維持率を100%とし、それに対する各実施例の500サイクル容量維持率を比率で示す。正極合剤層の表面に対して、アルブミンの被膜を有する実施例では優れた充放電サイクル特性を示すことが確認された。特に、アルブミンの平均担持量が0.01〜1.5mg・cm−2である場合は、より特性に優れていた。
Figure 2018055771
実施例31〜37に係るリチウムイオン二次電池の充放電サイクル特性の結果を表5に示す。なお、充放電サイクル特性の効果は、比較例1の500サイクル容量維持率を100%とし、それに対する各実施例の500サイクル容量維持率を比率で示す。正極合剤層の表面に対して、リゾチームの被膜有する実施例では優れた充放電サイクル特性を示すことが確認された。特に、リゾチームの平均担持量が0.01〜1.5mg・cm−2である場合は、より特性に優れていた。
Figure 2018055771
実施例38〜44に係るリチウムイオン二次電池の充放電サイクル特性の結果を表6に示す。なお、充放電サイクル特性の効果は、比較例1の500サイクル容量維持率を100%とし、それに対する各実施例の500サイクル容量維持率を比率で示す。正極合剤層の表面に対して、グロブリンの被膜を有する実施例では優れた充放電サイクル特性を示すことが確認された。特に、グロブリンの平均担持量が0.01〜1.5mg・cm−2である場合は、より特性に優れていた。
Figure 2018055771
以上の結果から、ここに開示される技術によれば、正極合剤層の表面にタンパク質の被膜を有する正極を用いることで、優れた充放電サイクル特性となるリチウムイオン二次電池を実現することができる。
以上、本発明を詳細に説明したが、上記実施形態および実施例は例示にすぎず、ここに開示される発明には上述の具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
100・・・リチウムイオン二次電池、10・・・正極(同義:リチウムイオン二次電池用正極)、11・・・正極活物質、12・・・正極集電体、14・・・正極合剤層、15・・・タンパク質被膜、60・・・正極リード、20・・・負極(同義:リチウムイオン二次電池用負極)、22・・・負極集電体、24・・・負極合剤層、62・・・負極リード、18・・・セパレーター、30・・・電極体、50・・・外装体、

Claims (7)

  1. 正極集電体の少なくとも一方の主面に正極合剤層が設けられ、前記正極合剤層は、リチウムイオンを吸蔵および放出が可能な正極活物質を含み、前記正極合剤層の表面の少なくとも一部にタンパク質を含む被膜を有するリチウムイオン二次電池用正極。
  2. 前記タンパク質は、カゼインのアルカリ金属塩、カゼインマグネシウム、カゼインのアルカリ土類金属塩、カゼイン、アルブミン、リゾチーム、グロブリンから選ばれる少なくとも1種を含む請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用正極。
  3. 前記タンパク質は、カゼインのアルカリ金属塩であって、前記カゼインのアルカリ金属塩は、カゼインリチウム、カゼインナトリウム、カゼインカリウムの少なくとも1種を含む請求項1または2に記載のリチウムイオン二次電池用正極。
  4. 前記タンパク質は、カゼインのアルカリ土類金属塩であって、前記カゼインのアルカリ土類金属塩は、カゼインカルシウム、カゼインストロンチウム、カゼインバリウムの少なくとも1種を含む請求項1または2に記載のリチウムイオン二次電池用正極。
  5. 前記タンパク質を含む被膜の平均担持量が、前記正極合剤層に対して0.01〜5mg・cm−2である請求項1〜4のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用正極。
  6. 前記正極活物質は、層状岩塩構造を有するリチウム複合金属酸化物を含む請求項1〜5のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用正極。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用正極、リチウムイオンを吸蔵及び放出する負極、前記正極と前記負極との間に介在するセパレーター、および、電解質とを備えたリチウムイオン二次電池。

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