JP2018051769A - 繊維強化樹脂成形品およびその製造方法 - Google Patents

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博 森武
笹山 道章
Michiaki Sasayama
道章 笹山
智行 小林
Satoyuki Kobayashi
智行 小林
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Abstract

【課題】樹脂管の形状に関わらず、樹脂管に繊維強化部を被覆して成形する際に、シワの発生を抑制することが可能な繊維強化樹脂成形品およびその製造方法を提供する。
【解決手段】繊維強化樹脂成形品30は、分岐管10、繊維強化シート21a〜21d,22a〜22d、重なり部24aを備えている。分岐管10は、互いに交差する主管11および枝管12と、外表面13a,13bとを有する。第1繊維強化部21は、外表面13aを覆うように配置されている。第2繊維強化部22は、外表面13bを覆うように配置されている。重なり部24aは、外表面13a,13bの境界部分において、第1繊維強化部21と第2繊維強化部22とが互いに重なり合うように配置されている。
【選択図】図4

Description

本発明は、継手として用いられる繊維強化樹脂成形品およびその製造方法に関する。
繊維強化樹脂成形品は、軽量かつ高強度という特性を有していることから、各種分野において広く使用されている。そして、繊維強化樹脂成形品の製造方法として、環境への配慮に優れたインフュージョン成形が用いられている。
例えば、特許文献1には、繊維強化基材を樹脂管に被覆させた状態で未硬化樹脂を供給して硬化させるインフュージョン成形において、シワの発生がなく、外観良好で、強度を保持させた円筒状部材の接合方法および円筒状成形体の成形方法について開示されている。
特開2011−79283号公報
しかしながら、上記従来の円筒状成形体の成形方法では、以下に示すような問題点を有している。
すなわち、上記公報に開示された方法では、単純な形状の樹脂管が繊維強化基材によって被覆された状態で実施されるインフュージョン成形時には有効である。
しかし、例えば、分岐形状を有する樹脂管、L字型の樹脂管等が繊維強化基材によって被覆された状態で実施されるインフュージョン成形時には、減圧時に繊維強化基材にシワが発生しやすいという問題がある。
例えば、分岐形状を有する樹脂管においては、直管部と、この直管部から分岐する枝管部とに分けて繊維強化基材を積層する必要がある。このため、上記公報に開示された成形方法を適用した場合には、直管部と枝管部とを連結する連結部に積層される繊維強化基材と、直管部に略風車状に積層される繊維強化基材とは、互いに重なり合うように配設される。
このとき、例えば、繊維強化基材を先に連結部に積層し、その後で直管部に積層する場合には、直管部と連結部との境界付近において繊維強化基材が重ね合わされる。このため、直管部に積層される繊維強化基材は、連結部に積層された繊維強化基材の表面と直管部分の表面とにまたがるように配置する必要がある。
ここで、連結部に積層された繊維強化基材と直管部の表面との間には、連結部に積層された繊維強化基材の厚み分に相当する段差が生じている。よって、この段差によって、連結部に積層された繊維強化基材の表面と直管部の表面とで曲率に差が生じる。
上記公報の成形方法のように、繊維強化基材を略風車状に積層する場合には、この段差に対して交差する方向に繊維強化基材の一部を固定した状態で、段差の方向に沿って繊維強化基材をずらしながら重ねて配置する必要がある。このため、中央の連結部の繊維強化基材と直管部の繊維強化基材との継ぎ目では、段差を吸収できる部分がなくシワが生じてしまうおそれがある。
本発明の課題は、樹脂管の形状に関わらず、樹脂管に繊維強化部を被覆して成形する際に、シワの発生を抑制することが可能な繊維強化樹脂成形品およびその製造方法を提供することにある。
第1の発明に係る繊維強化樹脂成形品は、継手として用いられる繊維強化樹脂成形品であって、熱可塑性樹脂によって成形された樹脂管と、シート状の第1繊維強化部と、シート状の第2繊維強化部と、第1重なり部と、を備えている。樹脂管は、互いに交差する第1管部および第2管部と、第1管部および第2管部のそれぞれの管軸を含む中心面によって第1被覆面と第2被覆面とに分割された外表面と、を有する。第1繊維強化部は、第1被覆面を覆うように配置されている。第2繊維強化部は、第2被覆面を覆うように配置されている。第1重なり部は、樹脂管の外表面と中心面とが交差する第1被覆面と第2被覆面との境界部分において、第1繊維強化部と第2繊維強化部とが互いに重なり合うように配置されている。
ここでは、熱可塑性樹脂によって成形され第1管部と第2管部とを有する樹脂管の外表面を、第1管部および第2管部の管軸を含む中心面によって第1被覆面と第2被覆面とに2分割している。そして、第1被覆面を覆うように配置されたシート状の第1繊維強化部と、第2被覆面を覆うように配置されたシート状の第2繊維強化部とを、第1被覆面と第2被覆面との境界部分において互いに重なり合うように配置している。
ここで、繊維強化樹脂成形品のベース部分となる樹脂管は、例えば、分岐形状や略L字形状を有する樹脂管を用いることができる。そして、樹脂管の外表面を2分割する中心面は、樹脂管を構成する第1管部と第2管部の中心軸(管軸)を含む面であって、例えば、樹脂管の外表面を上下に2分割する。
なお、樹脂管は、断面視において円形の部材に限らず、楕円形、多角形等の断面形状を有する管であってもよい。
また、第1・第2繊維強化部としては、ガラス繊維等の繊維素材を含む織布あるいは不織布を用いることができる。
さらに、第1・第2繊維強化部は、例えば、マトリックス樹脂等が含浸された状態で硬化することで、樹脂管の第1被覆面、第2被覆面にそれぞれ固定されていてもよい。
これにより、第1繊維強化部と第2繊維強化部とが、第1被覆面と第2被覆面との境界部分において、互いに重なり合った第1重なり部を形成することで、繊維強化樹脂成形品の製造時に、第1・第2繊維強化部にシワが生じてしまうことを抑制することができる。
すなわち、繊維強化樹脂成形品の製造工程において、第1・第2繊維強化部が互いに重なり合った部分は自由端となる。このため、第1・第2繊維強化部の一部を樹脂管の外表面に固定して製造した場合でも、第1・第2繊維強化部の第1重なり部側の自由端が任意の位置へ移動することができる。
この結果、樹脂管の形状に関わらず、樹脂管に繊維強化部を被覆して成形する際に、シワの発生を抑制することができる。
第2の発明に係る繊維強化樹脂成形品は、第1の発明に係る繊維強化樹脂成形品であって、第1繊維強化部は、第1管部の管軸方向において、複数枚を用いて第1被覆面を被覆するように配置されている。そして、互いに隣接する位置に配置された第1繊維強化部同士の隣接部分において、任意の幅で重なり合う第2重なり部を、さらに備えている。
ここでは、管軸の方向に沿って複数枚の第1繊維強化部を用いて第1被覆面を覆うとともに、互いに隣接する第1繊維強化部同士を任意の幅で重なり合わせた第2重なり部を設けている。
これにより、管軸の方向において複数枚の第1繊維強化部を用いて第1被覆面を覆う場合でも、互いに隣り合う第1繊維強化部の重なり合う部分は自由端となる。
よって、管軸の方向において、第1繊維強化部の少なくとも一端が自由に移動できる状態で、繊維強化樹脂成形品を製造することができる。
この結果、製造時に第1繊維強化部の一部にシワが発生することを効果的に抑制することができる。
第3の発明に係る繊維強化樹脂成形品は、第1または第2の発明に係る繊維強化樹脂成形品であって、第2繊維強化部は、第2管部の管軸方向において、複数枚を用いて第2被覆面を被覆するように配置されている。そして、互いに隣接する位置に配置された第2繊維強化部同士の隣接部分において、任意の幅で重なり合う第3重なり部を、さらに備えている。
ここでは、管軸の方向に沿って複数枚の第2繊維強化部を用いて第2被覆面を覆うとともに、互いに隣接する第2繊維強化部同士を任意の幅で重なり合わせた第3重なり部を設けている。
これにより、管軸の方向において複数枚の第2繊維強化部を用いて第2被覆面を覆う場合でも、互いに隣り合う第2繊維強化部の重なり合う部分は自由端となる。
よって、管軸の方向において、第2繊維強化部の少なくとも一端が自由に移動できる状態で、繊維強化樹脂成形品を製造することができる。
この結果、製造時に第2繊維強化部の一部にシワが発生することを効果的に抑制することができる。
第4の発明に係る繊維強化樹脂成形品は、第1から第3の発明のいずれか1つに係る繊維強化樹脂成形品であって、樹脂管は、主管と、枝管とを含む分岐形状を有している。
ここでは、繊維強化樹脂成形品のベースとなる樹脂管に、主管と枝管とを含む分岐形状を有する樹脂管を用いている。
ここで、上記主管および枝管は、上述した第1管部および第2管部に対応する構成であって、主管から枝管が少なくとも1つ分岐する樹脂管を構成する。
これにより、主管から枝管が分岐する分岐形状を有する繊維強化樹脂成形品の製造工程において、シート状の第1・第2繊維強化部にシワが生じてしまうことを抑制することができる。
第5の発明に係る繊維強化樹脂成形品は、第1から第3の発明のいずれか1つに係る繊維強化樹脂成形品であって、樹脂管は、略直角に屈曲された略L字形状を有している。
ここでは、繊維強化樹脂成形品のベースとなる樹脂管に、略直角に屈曲された略L字状の樹脂管を用いている。
ここで、上記略直角に屈曲された樹脂管では、上述した第1管部と第2管部とが互いに直交する方向に配置され、交差する部分において連結されている。
これにより、略L字状の繊維強化樹脂成形品の製造工程において、シート状の第1・第2繊維強化部にシワが生じてしまうことを抑制することができる。
第6の発明に係る繊維強化樹脂成形品は、第1から第5の発明のいずれか1つに係る繊維強化樹脂成形品であって、第1繊維強化部および第2繊維強化部は、略四角形のシート状に形成されている。
ここでは、樹脂管の外表面が2分割された第1被覆面と第2被覆面とが、略四角形のシート状の繊維強化部(第1・第2繊維強化部)を用いて被覆されている。
これにより、単純形状のシート状の繊維強化部を用いて、繊維強化樹脂成形品を成形することができるため、製造工程を簡素化して小人数で実施することができる。
よって、例えば、樹脂管の径が大きい繊維強化樹脂成形品を製造する場合でも、切り込み等のない簡素な略四角形のシート状の繊維強化部を複数用いて効率よく製造することができる。
第7の発明に係る繊維強化樹脂成形品は、第1から第6の発明のいずれか1つに係る繊維強化樹脂成形品であって、第1繊維強化部および第2繊維強化部は、マトリックス樹脂が含浸された状態で硬化することで、第1被覆面および第2被覆面に対して固定されている。
ここでは、第1・第2被覆面を覆う第1・第2繊維強化部は、マトリックス樹脂が含浸された状態で硬化させることで、樹脂管の外表面(第1・第2被覆面)に固定される。
ここで、マトリックス樹脂としては、熱硬化性樹脂を用いることができる。
これにより、マトリックス樹脂を第1・第2繊維強化部に含浸させた状態で硬化させることで、樹脂管と第1・第2繊維強化部とが一体化された繊維強化樹脂成形品を得ることができる。
第8の発明に係る繊維強化樹脂成形品の製造方法は、上記第1から第7の発明のいずれか1つに係る繊維強化樹脂成形品の製造方法であって、第1配置工程と、第1密封工程と、第1減圧工程と、第1導入工程と、第1硬化工程と、第2配置工程と、第2密封工程と、第2減圧工程と、第2導入工程と、第2硬化工程と、を備えている。第1配置工程は、第1被覆面上に第1繊維強化部を配置する。第1密封工程は、第1配置工程において第1被覆面上に配置された第1繊維強化部を密封する。第1減圧工程は、第1密封工程で密封された第1繊維強化部を含む第1空間を減圧する。第1導入工程は、第1減圧工程で減圧された第1空間にマトリックス樹脂を導入する。第1硬化工程は、第1導入工程で第1空間に導入されたマトリックス樹脂を硬化させる。第2配置工程は、第2被覆面上に第2繊維強化部を配置する。第2密封工程は、第2配置工程において第2被覆面上に配置された第2繊維強化部を密封する。第2減圧工程は、第2密封工程で密封された第2繊維強化部を含む第2空間を減圧する。第2導入工程は、第2減圧工程で減圧された第2空間にマトリックス樹脂を導入する。第2硬化工程は、第2導入工程で第2空間に導入されたマトリックス樹脂を硬化させる。
ここでは、熱可塑性樹脂によって成形され第1管部と第2管部とを有する樹脂管の外表面を、第1管部および第2管部の管軸を含む中心面によって第1被覆面と第2被覆面とに2分割されており、第1被覆面を覆うように配置されたシート状の第1繊維強化部と、第2被覆面を覆うように配置されたシート状の第2繊維強化部とを、第1被覆面と第2被覆面との境界部分において互いに重なり合うように配置した繊維強化樹脂成形品の製造工程を特定する。
具体的には、本製造方法では、樹脂管の外表面のうち、第1被覆面を覆うように第1繊維強化部を配置する工程と、第1繊維強化部を密封する工程と、第1繊維強化部を含む空間を減圧する工程と、減圧された空間にマトリックス樹脂を導入する工程と、導入されたマトリックス樹脂を硬化させる工程とを含んでいる。さらに、本製造方法では、樹脂管の外表面のうち、第2被覆面を覆うように第2繊維強化部を配置する工程と、第2繊維強化部を密封する工程と、第2繊維強化部を含む空間を減圧する工程と、減圧された空間にマトリックス樹脂を導入する工程と、導入されたマトリックス樹脂を硬化させる工程とを含んでいる。
ここで、繊維強化樹脂成形品のベース部分となる樹脂管は、例えば、分岐形状や略L字形状を有する樹脂管を用いることができる。そして、樹脂管の外表面を2分割する中心面は、樹脂管を構成する第1管部と第2管部の中心軸(管軸)を含む面であって、例えば、樹脂管の外表面を上下に2分割する。
なお、樹脂管は、断面視において円形の部材に限らず、楕円形、多角形等の断面形状を有する管であってもよい。
また、第1・第2繊維強化部としては、ガラス繊維等の繊維素材を含む織布あるいは不織布を用いることができる。
さらに、マトリックス樹脂としては、熱硬化性樹脂を用いることができる。
これにより、第1繊維強化部と第2繊維強化部とが、第1被覆面と第2被覆面との境界部分において、互いに重なり合った第1重なり部を形成することで、例えば、第1・第2減圧工程において、第1・第2繊維強化部にシワが生じてしまうことを抑制することができる。
すなわち、繊維強化樹脂成形品の製造工程において、第1・第2繊維強化部が互いに重なり合った部分は自由端となる。このため、第1・第2繊維強化部の一部を樹脂管の外表面に固定して製造した場合でも、第1・第2繊維強化部の第1重なり部側の自由端が任意の位置へ移動することができる。
この結果、樹脂管の形状に関わらず、樹脂管に繊維強化部を被覆して成形する際に、シワの発生を抑制することができる。
この結果、樹脂管の第1被覆面および第2被覆面に第1繊維強化部および第2繊維強化部を被覆した状態で密閉した後、減圧する第1・第2減圧工程において、シワの発生を抑制することができる。
第9の発明に係る繊維強化樹脂成形品の製造方法は、第8の発明に係る繊維強化樹脂成形品の製造方法であって、第1配置工程では、第1管部の管軸方向において、複数の第1繊維強化部を用いて第1被覆面を被覆するように第1繊維強化部が配置されているとともに、互いに隣接する位置に配置された第1繊維強化部同士の隣接部分において、任意の幅で重なり合う第2重なり部を形成する。
ここでは、第1配置工程において、管軸の方向に沿って複数枚の第1繊維強化部を用いて第1被覆面を覆うとともに、互いに隣接する第1繊維強化部同士を任意の幅で重なり合わせた第2重なり部を設けている。
これにより、管軸の方向において複数枚の第1繊維強化部を用いて第1被覆面を覆う場合でも、互いに隣り合う第1繊維強化部の重なり合う部分は自由端となる。
よって、管軸の方向において、第1繊維強化部の少なくとも一端が自由に移動できる状態で、繊維強化樹脂成形品を製造することができる。
この結果、第1減圧工程において、第1繊維強化部の一部にシワが発生することを効果的に抑制することができる。
第10の発明に係る繊維強化樹脂成形品の製造方法は、第8または第9の発明に係る繊維強化樹脂成形品の製造方法であって、第2配置工程では、第2管部の管軸方向において、複数の第2繊維強化部を用いて第2被覆面を被覆するように第2繊維強化部が配置されているとともに、互いに隣接する位置に配置された第2繊維強化部同士の隣接部分において、任意の幅で重なり合う第3重なり部を形成する。
ここでは、第2配置工程において、管軸の方向に沿って複数枚の第2繊維強化部を用いて第2被覆面を覆うとともに、互いに隣接する第2繊維強化部同士を任意の幅で重なり合わせた第3重なり部を設けている。
これにより、管軸の方向において複数枚の第2繊維強化部を用いて第2被覆面を覆う場合でも、互いに隣り合う第2繊維強化部の重なり合う部分は自由端となる。
よって、管軸の方向において、第2繊維強化部の少なくとも一端が自由に移動できる状態で、繊維強化樹脂成形品を製造することができる。
この結果、第2減圧工程において、第2繊維強化部の一部にシワが発生することを効果的に抑制することができる。
第11の発明に係る繊維強化樹脂成形品の製造方法は、第8から第10の発明のいずれか1つに係る繊維強化樹脂成形品の製造方法であって、第1導入工程および第2導入工程では、マトリックス樹脂として熱硬化性樹脂を用いる。そして、第1硬化工程および第2硬化工程では、マトリックス樹脂を硬化させる。
ここでは、樹脂管の外表面に対して第1・第2繊維強化部を固定するために用いられるマトリックス樹脂として、熱硬化性樹脂を用いている。
ここで、マトリックス樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂等の各種熱硬化性樹脂を用いることができる。
これにより、第1・第2硬化工程では、第1・第2導入工程において密閉空間に導入されたマトリックス樹脂を容易に硬化させることができる。
この結果、樹脂管の外表面に第1・第2繊維強化部が固定された繊維強化樹脂成形品を得ることができる。
本発明に係る繊維強化樹脂成形品によれば、樹脂管の形状に関わらず、樹脂管に繊維強化部を被覆して成形する際に、シワの発生を抑制することができる。
本発明の一実施形態に係る繊維強化樹脂成形品のベース部分となる主管と枝管とを含む樹脂管の構成を示す斜視図。 図1の樹脂管に繊維強化シートが巻回される際の状態を示す斜視図。 図2に示す樹脂管に巻回された繊維強化シートの重なり状態を示す斜視図。 (a)は、図1の樹脂管に繊維強化シートが巻回された状態における重なり部を示す平面図。(b)は、その側面図。 図4(a)等に示す繊維強化樹脂成形品を製造するためのインフュージョン成形システムの構成を示す平面図。 図4(a)等に示す繊維強化樹脂成形品の製造方法の流れを示すフローチャート。 本発明の他の実施形態に係る繊維強化樹脂成形品のベースとなる略L字状の樹脂管の構成を示す斜視図。
本発明の一実施形態に係る繊維強化樹脂成形品30およびその製造方法について、図1〜図6を用いて説明すれば以下の通りである。
(繊維強化樹脂成形品30)
本実施形態に係る繊維強化樹脂成形品30は、図1に示す分岐管10の外表面の一部を、図2に示す繊維強化部21,22で覆うようにして固定されており、継手として使用される。
分岐管10は、図1に示すように、平面視において略T字形状を有する樹脂製の配管であって、繊維強化樹脂成形品30のベース部分を構成する。
なお、分岐管10の詳細な構成については、後段にて詳述する。
繊維強化部21,22は、図2に示すように、分岐管10における分岐部分を補強するために用いられるシート状の部材であって、それぞれ4枚の繊維強化シート21a〜21d、繊維強化シート22a〜22dによって構成されている。
なお、繊維強化部21,22の詳細な構成については、後段にて詳述する。
(分岐管10)
分岐管10は、例えば、300mm〜1500mmの直径を有する円筒状の樹脂管であって、図1に示すように、円筒状の主管(第1管部)11と、円筒状の枝管(第2管部)12とを有している。
なお、分岐管10の材質は、樹脂であれば特に限定されるものではなく、例えば、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)およびポリ塩化ビニルなどの熱可塑性樹脂を用いることができる。
主管11は、分岐管10において主管部分として機能する部分であって、図1中において略水平方向に沿って配置されており、軸心X1を有している。
枝管12は、主管11の長手方向における略中央部分から分岐するように形成された支管部分であって、図1中において略鉛直方向に沿って配置されており、軸心X2を有している。
ここで、図1に示すように、主管11から枝分かれした枝管12を含む分岐管10のような形状の樹脂管においては、特に、主管11と枝管12との連結部分付近の強度を補強することが要求される場合がある。
分岐管10では、主管11の軸心X1、枝管12の軸心X2を含む面を中心面Dとすると、分岐管10における繊維強化シート21a〜21d,22a〜22dによって強化される外表面は、中心面Dによって2つに領域に分割される。そして、分岐管10の2分割された外表面は、その一方の外表面(第1被覆面)13aと、他方(図2のドット部分)の外表面(第2被覆面)13bと、を含むように構成される。
そこで、本実施形態の繊維強化樹脂成形品30では、一方の外表面13aが繊維強化部21によって覆われるように固定されるとともに、他方の外表面13bが繊維強化部22によって覆われるように固定される。
(繊維強化部21,22)
繊維強化部21,22は、図2に示すように、それぞれが略四角形のシート状部材(繊維強化シート21a〜21d,22a〜22d)を4枚組み合わせて構成されている。
なお、繊維強化部21,22を構成する繊維強化シート21a〜21d,22a〜22dに含まれる繊維としては、例えば、ガラス繊維を用いることができる。また、繊維強化シート21a〜21d,22a〜22dは、織布であってもよいし不織布であってもよい。
繊維強化部21は、上述した分岐管10の外表面のうち、外表面13a側を覆うように固定されることで、分岐管10の一方の外表面を補強する。そして、繊維強化部21は、図2に示すように、枝管12部分を覆うように固定される繊維強化シート21aと、主管11部分を覆うように固定される3枚の繊維強化シート21b〜21dと、を有している。
繊維強化シート21aは、ガラス繊維を含む略長方形のシートであって、後述する製造工程において、4枚の繊維強化シート21a〜21dのうち、最初に分岐管10の外表面に被せられる。より具体的には、繊維強化シート21aは、図3に示すように、主管11と枝管12との連結部付近における枝管12側に配置される。
繊維強化シート21bは、繊維強化シート21aと同様に、ガラス繊維を含む略長方形のシートであって、後述する製造工程において、4枚の繊維強化シート21a〜21dのうち、2番目に分岐管10の外表面に被せられる。より具体的には、繊維強化シート21bは、図3に示すように、主管11と枝管12との連結部付近における主管11側であって、図2中の左寄りの位置に配置される。
繊維強化シート21cは、繊維強化シート21aと同様に、ガラス繊維を含む略長方形のシートであって、後述する製造工程において、4枚の繊維強化シート21a〜21dのうち、3番目に分岐管10の外表面に被せられる。より具体的には、繊維強化シート21cは、図3に示すように、主管11と枝管12との連結部付近における主管11側であって、図2中の右寄りの位置に配置される。
繊維強化シート21dは、繊維強化シート21aと同様に、ガラス繊維を含む略長方形のシートであって、後述する製造工程において、4枚の繊維強化シート21a〜21dのうち、最後に分岐管10の外表面(主管11と枝管12との連結部付近)に被せられる。より具体的には、繊維強化シート21dは、図2および図3に示すように、主管11と枝管12との連結部上であって、図2における枝管12の直下の位置に配置される。
なお、各繊維強化シート21a〜21dが互いに隣接する部分には、図4(a)に示すように、互いに重ね合わされた部分(重なり部23a〜23c)が形成される。
重なり部23aは、図4(a)に示すように、分岐管10の外表面上に、最初に配置された繊維強化シート21a上に、最後に配置された繊維強化シート21dの端部が重ね合わせるように配置された部分である。
重なり部23bは、図4(a)に示すように、分岐管10の外表面上に、2番目に配置された繊維強化シート21b上に、最後に配置された繊維強化シート21dの端部が重ね合わせるように配置された部分である。
重なり部23cは、図4(a)に示すように、分岐管10の外表面上に、3番目に配置された繊維強化シート21c上に繊維強化シート21dの端部が重ね合わせるように配置された部分である。
繊維強化部22は、上述した分岐管10の外表面のうち、外表面13b側を覆うように固定されることで、分岐管10の他方の外表面を補強する。そして、繊維強化部22は、図2に示すように、枝管12部分を覆うように固定される繊維強化シート22aと、主管11部分を覆うように固定される3枚の繊維強化シート22b〜22dと、を有している。
本実施形態の繊維強化樹脂成形品30の製造方法では、上述した繊維強化シート21a〜21dを外表面13a上に被せた状態で固定した後、繊維強化シート22a〜22dを外表面13b上に被せた状態で固定する。
繊維強化シート22aは、ガラス繊維を含む略長方形のシートであって、後述する製造工程において、4枚の繊維強化シート22a〜22dのうち、最初に分岐管10の外表面に被せられる。より具体的には、繊維強化シート22aは、繊維強化シート21aと同様に、主管11と枝管12との連結部付近における枝管12側に配置される。
繊維強化シート22bは、繊維強化シート22aと同様に、ガラス繊維を含む略長方形のシートであって、後述する製造工程において、4枚の繊維強化シート22a〜22dのうち、2番目に分岐管10の外表面に被せられる。より具体的には、繊維強化シート22bは、繊維強化シート21bと同様に、主管11と枝管12との連結部付近における主管11側に配置される。
繊維強化シート22cは、繊維強化シート22aと同様に、ガラス繊維を含む略長方形のシートであって、後述する製造工程において、4枚の繊維強化シート22a〜22dのうち、3番目に分岐管10の外表面に被せられる。より具体的には、繊維強化シート22cは、繊維強化シート21cと同様に、主管11と枝管12との連結部付近における主管11側に配置される。
繊維強化シート22dは、繊維強化シート22aと同様に、ガラス繊維を含む略長方形のシートであって、後述する製造工程において、4枚の繊維強化シート22a〜22dのうち、最後に分岐管10の外表面(主管11と枝管12との連結部付近)に被せられる。より具体的には、繊維強化シート22dは、繊維強化シート21dと同様に、主管11と枝管12との連結部上に配置される。
なお、詳しい説明は省略するが、各繊維強化シート22a〜22dが互いに隣接する部分には、上述した繊維強化シート21a〜21dが互いに隣接する部分と同様に、互いに重ね合わされた部分が形成されるものとする。
ここで、繊維強化シート22a〜22dは、上述したように、繊維強化シート21a〜21dが2分割された外表面13a上に固定された後、残りの外表面13b上に固定される。
このとき、繊維強化シート21a〜21d,22a〜22dが分岐管10の外表面に固定された状態では、図4(b)に示すように、互いに重ね合わされた部分(重なり部24a)が形成される。
重なり部(第1重なり部)24aは、図4(b)に示すように、主管11の軸心X1と枝管12の軸心X2とを含む中心面Dと分岐管10の外表面とが交差する外表面13a,13bの境界部分において、繊維強化シート21a上に繊維強化シート22aの端部が重ね合わせるように配置されている。そして、重なり部24aは、後述するインフュージョン成形(図5参照)を行う際に、繊維強化シート21aおよび繊維強化シート22aの自由端となる。
これにより、分岐管10の外表面を2つに分割し、分割された外表面13a,13bをそれぞれ繊維強化シート21a〜21d,22a〜22dによって被覆して繊維強化樹脂成形品30を製造する際に、重なり部24a側の自由端が任意の位置へ移動することができる。
この結果、主管11と枝管12とを備えた分岐管10であっても、分岐管10の外表面に被覆された繊維強化シート21a〜21d,22a〜22dにシワが発生することを抑制することができる。
また、本実施形態の繊維強化樹脂成形品30は、略長方形の繊維強化シート21a〜21d,22a〜22dを用いて、分岐管10の外表面を被覆して製造される。
これにより、例えば、切り込み等が設けられた複雑な形状の繊維強化シートを用いて分岐管の外表面を覆う場合と比較して、特に、直径が大きい分岐管10を用いて繊維強化樹脂成形品30を製造する際に、製造時における作業者の作業負担を軽減することができる。
なお、本実施形態では、上述した繊維強化シート21a〜21d,22a〜22dを分岐管10の外表面に固定する方法として、後述するインフュージョン成形システム40を用いて、マトリックス樹脂を繊維強化シート21a〜21d,22a〜22dに含浸させて硬化させる方法が用いられる。
(インフュージョン成形システム40)
インフュージョン成形システム40は、図5に示すように、気密性フィルム41、シール材42a,42b、樹脂導入装置43、減圧装置44およびスパイラル部材45を備えている。
気密性フィルム41は、繊維強化シート21a〜21d,22a〜22dによって被覆された状態の分岐管10を覆うために用いられる。これにより、気密性フィルム41によって形成された外表面13a,13bとの間の空間を、減圧装置44によって減圧することができる。
シール材42aは、気密性フィルム41と、気密性フィルム41によって覆われた分岐管10の外表面13a,13bとの間の空間を密封するために、図5に示すように、主管11の両端および枝管12の端部の計3箇所に設けられた吸入口側にそれぞれ配置されている。
シール材42bは、気密性フィルム41と、気密性フィルム41によって覆われた分岐管10の外表面13a,13bとの間の空間にマトリックス樹脂を導入するために設けられた排気口側に配置されている。そして、シール材42bは、マトリックス樹脂を導入しない間、気密性フィルム41によって覆われた分岐管10の外表面13a,13bとの間の空間を密封する。そして、シール材42bは、図5に示すように、主管11の略中央に設けられた排気口の周囲を覆うように配置されている。
樹脂導入装置43は、後述する繊維強化樹脂成形品30の製造方法(インフュージョン成形)において、気密性フィルム41と気密性フィルム41によって覆われた分岐管10の外表面13a,13bとの間の空間を減圧した状態で、マトリックス樹脂を導入する。
マトリックス樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができる。
減圧装置44は、図5に示すように、主管11の両端および枝管12の端部の計3箇所に設けられた吸入口に対応するように3つ設けられている。そして、減圧装置44は、それぞれの吸入口を介して、上記マトリックス樹脂を導入する前の段階で、気密性フィルム41と気密性フィルム41によって覆われた分岐管10の外表面13a,13bとの間の空間を減圧する。このとき、気密性フィルム41と気密性フィルム41によって覆われた分岐管10の外表面13a,13bとの間の空間は、シール材42a,42bによって密閉されている。よって、減圧装置44は、気密性フィルム41と気密性フィルム41によって覆われた分岐管10の外表面13a,13bとの間の空間に配置された繊維強化シート21a〜21d,22a〜22dを、外表面13a,13bに貼り付けた状態にすることができる。
スパイラル部材45は、図5に示すように、平面視において略T字状に配置されており、樹脂導入装置43から導入されたマトリックス樹脂が所望の方向へ移動していくことを促進するために設けられている。これにより、スパイラル部材45によって、樹脂導入装置43から導入されたマトリックス樹脂は、減圧装置44が設置された三方向へ流れていくように誘導することができる(図5の2点鎖線の矢印方向参照)。
これにより、マトリックス樹脂は、繊維強化シート21a〜21d,22a〜22dに十分に含浸された状態となる。
なお、3箇所の減圧装置44側からマトリックス樹脂を導入してもよい(図5の1点鎖線の矢印方向参照)。この場合には、3方向からマトリックス樹脂が導入されるため、マトリックス 樹脂を充填させる効率がよい。
なお、インフュージョン成形システム40を用いた繊維強化樹脂成形品30の製造方法については、以下で詳細に説明する。
<繊維強化樹脂成形品30の製造方法>
本実施形態の繊維強化樹脂成形品30は、図5に示すインフュージョン成形システム40を用いて、図6に示すフローチャートに従って製造される。
すなわち、ステップS1では、インフュージョン成形システム40における所定の位置へセットされた分岐管10の外表面に対して、中心面Dによって2つの領域に分割された一方の領域(外表面13a)上に、4枚の繊維強化シート21a〜21dが配置される(第1配置工程)。
ここで、4枚の繊維強化シート21a〜21dは、上述したように、繊維強化シート21a、繊維強化シート21b、繊維強化シート21cおよび繊維強化シート21dの順に、外表面13a上に配置される(図3参照)。
次に、ステップS2では、外表面13a上に4枚の繊維強化シート21a〜21dが配置された分岐管10の部分を、気密性フィルム41とシール材42a,42bとを用いて密封する(第1密封工程)。
次に、ステップS3では、3箇所に設けられた吸入口を介して、3つの減圧装置44を用いて、気密性フィルム41と気密性フィルム41によって覆われた分岐管10の外表面13aとの間の空間を減圧する(第1減圧工程)。
このとき、外表面13a上において互いの端部が重なるように配置された4枚の繊維強化シート21a〜21dは、図4(a)に示す重なり部23a,23b,23cの部分において自由端となっている。
これにより、第1減圧工程において、気密性フィルム41によって4枚の繊維強化シート21a〜21dが外表面13aに対して押し付けられるように力が加えられた場合でも、重なり部23a,23b,23c側の端部が自由に移動できる余地がある。この結果、製造時において、繊維強化シート21a〜21dの一部にシワが発生することを抑制することができる。
次に、ステップS4では、減圧された状態の気密性フィルム41と気密性フィルム41によって覆われた分岐管10の外表面13aとの間の空間に、マトリックス樹脂を導入する(第1導入工程)。
これにより、繊維強化シート21a〜21dには、マトリックス樹脂が含浸される。
次に、ステップSで5は、4枚の繊維強化シート21a〜21dに含浸したマトリックス樹脂を硬化させる(第1硬化工程)。
これにより、減圧工程において気密性フィルム41内の空間が減圧され、4枚の繊維強化シート21a〜21dが分岐管10の外表面13aにシワもなく密着した状態で、繊維強化シート21a〜21dに含浸したマトリックス樹脂を硬化させることができる。
この結果、ステップS1〜ステップS5までの第1工程S11において、分岐管10の上半分(外表面13a)側に、4枚の繊維強化シート21a〜21dが貼り付けられた状態で一体化される。
次に、ステップS6では、分岐管10の外表面のうち外表面13a側に4枚の繊維強化シート21a〜21dが固定された状態で、他方の外表面13b上に4枚の繊維強化シート22a〜22dが配置される(第2配置工程)。
ここで、4枚の繊維強化シート22a〜22dは、上述したように、繊維強化シート22a、繊維強化シート22b、繊維強化シート22cおよび繊維強化シート22dの順に、外表面13b上に配置される。
次に、ステップS7では、外表面13b上に4枚の繊維強化シート22a〜22dが配置された分岐管10の部分を、気密性フィルム41とシール材42a,42bとを用いて密封する(第2密封工程)。
次に、ステップS8では、3箇所に設けられた吸入口を介して、3つの減圧装置44を用いて、気密性フィルム41と気密性フィルム41によって覆われた分岐管10の外表面13bとの間の空間を減圧する(第2減圧工程)。
このとき、外表面13b上において互いの端部が重なるように配置された4枚の繊維強化シート22a〜22dは、繊維強化シート21a〜21d側と同様に、重なり部の部分において自由端となっている。
なお、繊維強化シート22a〜22d側の重なり部については、図示されていないが、図4(a)に示す繊維強化シート21a〜21d側と同様に、重なり部(第3重なり部)が形成されているものとする。
さらに、4枚の繊維強化シート22a〜22dは、ステップS1〜ステップS5においてすでに硬化された4枚の繊維強化シート21a〜21dの一部に重なるように配置され、重なり部24aを形成している。そして、この重なり部24aの部分においても、4枚の繊維強化シート22a〜22dは自由端となっている。
これにより、第2減圧工程において、気密性フィルム41によって4枚の繊維強化シート22a〜22dが外表面13bに対して押し付けられるように力が加えられた場合でも、4枚の繊維強化シート22a〜22d同士の重なり部側、および重なり部24a側の端部において自由に移動できる余地がある。この結果、製造時において、繊維強化シート22a〜22dの一部にシワが発生することを抑制することができる。
次に、ステップS9では、減圧された状態の気密性フィルム41と気密性フィルム41によって覆われた分岐管10の外表面13bとの間の空間に、マトリックス樹脂を導入する(第2導入工程)。
これにより、繊維強化シート22a〜22dには、マトリックス樹脂が含浸される。
次に、ステップS10では、4枚の繊維強化シート22a〜22dに含浸したマトリックス樹脂を硬化させる(第2硬化工程)。
これにより、減圧工程において気密性フィルム41内の空間が減圧され、4枚の繊維強化シート22a〜22dが分岐管10の外表面13bにシワもなく密着した状態で、繊維強化シート22a〜22dに含浸したマトリックス樹脂を硬化させることができる。
この結果、ステップS6〜ステップS10までの第2工程S12において、分岐管10の半分(外表面13b)側に、4枚の繊維強化シート22a〜22dが貼り付けられた状態で一体化される。
そして、上述したように、4枚の繊維強化シート22a〜22dにはシワが発生していない状態でマトリックス樹脂が含浸され硬化している。このため、繊維強化シート22a〜22dが、シワのない状態で分岐管10の外表面の残り半分の領域(外表面13b)に固定され、補強された構造物を得ることができる。
以上の工程により、繊維強化シート21a〜21d,22a〜22dにシワがない状態で、分岐管10における強化すべき主管11と枝管12との連結部周辺を強化した繊維強化樹脂成形品30を得ることができる。
本実施形態の繊維強化樹脂成形品30の製造方法では、図6に示すように、中心面Dによって2つの領域に分割された分岐管10の外表面13a,13bに対して、第1工程S11、第2工程S12という2段階で、繊維強化シート21a〜21d,22a〜22dを貼り付けて固定している。
そして、繊維強化シート21a〜21d,22a〜22dは、互いに重ね合わされた重なり部23a,23b,23c,24a等において自由端となっている。
これにより、繊維強化樹脂成形品30の製造時において、分岐管10を補強するための繊維強化シート21a〜21d,22a〜22dにシワが発生することを抑制することができる。
[他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
(A)
上記実施形態では、T字状に分岐した分岐管10の外表面を、複数枚の繊維強化シート21a〜21d,22a〜22dによって被覆した状態でインフュージョン成形を行う例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、樹脂管の形状としては、図1に示す略T字状の分岐管の形状に限らず、図7に示すように、L字状に屈曲した樹脂管110を用いてもよい。
樹脂管110は、図7に示すように、第1管部111と、第1管部111に略直交する第2管部112とによって構成されている。
この場合でも、樹脂管110における外表面のうち、第1管部111の軸心X11、第2管部112の軸心X12を含む中心面Dによって分割された一方を外表面(第1被覆面)113a、他方(図7のドット部分)を他方の外表面(第2被覆面)113bとすると、外表面113a,113bがそれぞれ繊維強化シートによって強化されることで、上記と同様の効果を得ることができる。
(B)
上記実施形態では、繊維強化シート21a〜21d,22a〜22dに含まれる繊維素材として、ガラス繊維を用いた例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
繊維強化シートに含まれる繊維素材は、ガラス繊維に限定されるものではなく、例えば、金属繊維その他の無機繊維;カーボン繊維、アラミド繊維、ポリビニルアルコール繊維、塩化ビニル繊維、アクリル繊維、ポリエステル繊維、ポリウレタン繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリスチレン繊維、およびアセテート繊維その他の有機合成繊維;麻および竹その他の天然繊維;ならびにレーヨンその他の再生繊維等から選択して用いられてもよい。
また、上述した繊維強化シートに含まれる繊維素材は、1種類の繊維素材が単独で用いられてもよいし、複数種類の繊維素材が組み合わされて用いられてもよい。
(C)
上記実施形態では、分岐管10の外表面上に繊維強化シート21a〜21d,22a〜22dを固定するために第1・第2導入工程において導入されるマトリックス樹脂として、不飽和ポリエステル樹脂(熱硬化性樹脂)を用いた例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
第1・第2導入工程において導入されるマトリックス樹脂として、例えば、アクリル樹脂、ビニルエステル樹脂、アルキド樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、およびシリコーン樹脂等の他の熱硬化性樹脂を用いてもよい。
(D)
上記実施形態では、第1繊維強化部および第2繊維強化部として、それぞれ4枚の繊維強化シート21a〜21d,22a〜22dを用いた例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、第1繊維強化部および第2繊維強化部として、3枚以下の繊維強化シートを用いてもよい。あるいは、第1繊維強化部および第2繊維強化部として、5枚以上の繊維強化シートを用いてもよい。
(E)
上記実施形態では、略長方形の4枚の繊維強化シートを用いて、分岐管10の外表面を片側ずつ覆って強化する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、繊維強化シートの形状は略長方形に限定されるものではなく、正方形、多角形、楕円形、円形等、強化対象となる樹脂管の形状に応じて、各種形状の繊維強化シートを用いることができる。
本発明の繊維強化樹脂成形品は、樹脂管の形状に関わらず、樹脂管に繊維強化部を被覆して成形する際に、シワの発生を抑制することができるという効果を奏することから、シート状の繊維強化部を樹脂管の外表面に巻き付けて成形される繊維強化樹脂成形品に対して広く適用可能である。
10 分岐管(樹脂管)
11 主管(第1管部)
12 枝管(第2管部)
13a 外表面(第1被覆面)
13b 外表面(第2被覆面)
21 第1繊維強化部
21a〜21d 繊維強化シート
22 第2繊維強化部
22a〜22d 繊維強化シート
23a、23b、23c 重なり部(第2重なり部)
24a 重なり部(第1重なり部)
30 繊維強化樹脂成形品
40 インフュージョン成形システム
41 気密性フィルム
42a シール材(吸入口側)
42b シール材(排気口側)
43 樹脂導入装置
44 減圧装置
45 スパイラル部材
110 樹脂管
111 第1管部
112 第2管部
113a 外表面(第1被覆面)
113b 外表面(第2被覆面)
D 中心面
S ステップ
X1,X2 軸心(管軸)
X11,X12 軸心(管軸)

Claims (11)

  1. 継手として用いられる繊維強化樹脂成形品であって、
    互いに交差する第1管部および第2管部と、前記第1管部および前記第2管部のそれぞれの管軸を含む中心面によって第1被覆面と第2被覆面とに分割された外表面と、を有するとともに、熱可塑性樹脂によって成形された樹脂管と、
    前記第1被覆面を覆うように配置されたシート状の第1繊維強化部と、
    前記第2被覆面を覆うように配置されたシート状の第2繊維強化部と、
    前記樹脂管の前記外表面と前記中心面とが交差する前記第1被覆面と前記第2被覆面との境界部分において、前記第1繊維強化部と前記第2繊維強化部とが互いに重なり合うように配置された第1重なり部と、
    を備えている繊維強化樹脂成形品。
  2. 前記第1繊維強化部は、前記第1管部の管軸方向において、複数枚を用いて前記第1被覆面を被覆するように配置されており、
    互いに隣接する位置に配置された前記第1繊維強化部同士の隣接部分において、任意の幅で重なり合う第2重なり部を、
    さらに備えている、
    請求項1に記載の繊維強化樹脂成形品。
  3. 前記第2繊維強化部は、前記第2管部の管軸方向において、複数枚を用いて前記第2被覆面を被覆するように配置されており、
    互いに隣接する位置に配置された前記第2繊維強化部同士の隣接部分において、任意の幅で重なり合う第3重なり部を、
    さらに備えている、
    請求項1または2に記載の繊維強化樹脂成形品。
  4. 前記樹脂管は、主管と、枝管とを含む分岐形状を有している、
    請求項1から3のいずれか1項に記載の繊維強化樹脂成形品。
  5. 前記樹脂管は、略直角に屈曲された略L字形状を有している、
    請求項1から3のいずれか1項に記載の繊維強化樹脂成形品。
  6. 前記第1繊維強化部および前記第2繊維強化部は、略四角形のシート状に形成されている、
    請求項1から5のいずれか1項に記載の繊維強化樹脂成形品。
  7. 前記第1繊維強化部および前記第2繊維強化部は、マトリックス樹脂が含浸された状態で硬化することで、前記第1被覆面および前記第2被覆面に対して固定されている、
    請求項1から6のいずれか1項に記載の繊維強化樹脂成形品。
  8. 請求項1から7のいずれか1項に記載の繊維強化樹脂成形品の製造方法であって、
    前記第1被覆面上に前記第1繊維強化部を配置する第1配置工程と、
    前記第1配置工程において前記第1被覆面上に配置された前記第1繊維強化部を密封する第1密封工程と、
    前記第1密封工程で密封された前記第1繊維強化部を含む第1空間を減圧する第1減圧工程と、
    前記第1減圧工程で減圧された前記第1空間にマトリックス樹脂を導入する第1導入工程と、
    前記第1導入工程で前記第1空間に導入された前記マトリックス樹脂を硬化させる第1硬化工程と、
    前記第2被覆面上に前記第2繊維強化部を配置する第2配置工程と、
    前記第2配置工程において前記第2被覆面上に配置された前記第2繊維強化部を密封する第2密封工程と、
    前記第2密封工程で密封された前記第2繊維強化部を含む第2空間を減圧する第2減圧工程と、
    前記第2減圧工程で減圧された前記第2空間に前記マトリックス樹脂を導入する第2導入工程と、
    前記第2導入工程で前記第2空間に導入された前記マトリックス樹脂を硬化させる第2硬化工程と、
    を備えた繊維強化樹脂成型品の製造方法。
  9. 前記第1配置工程では、前記第1管部の管軸方向において、複数の前記第1繊維強化部を用いて前記第1被覆面を被覆するように前記第1繊維強化部が配置されているとともに、互いに隣接する位置に配置された前記第1繊維強化部同士の隣接部分において、任意の幅で重なり合う第2重なり部を形成する、
    請求項8に記載の繊維強化樹脂成形品の製造方法。
  10. 前記第2配置工程では、前記第2管部の管軸方向において、複数の前記第2繊維強化部を用いて前記第2被覆面を被覆するように前記第2繊維強化部が配置されているとともに、互いに隣接する位置に配置された前記第2繊維強化部同士の隣接部分において、任意の幅で重なり合う第3重なり部を形成する、
    請求項8または9に記載の繊維強化樹脂成形品の製造方法。
  11. 前記第1導入工程および前記第2導入工程では、前記マトリックス樹脂として熱硬化性樹脂を用いるとともに、
    前記第1硬化工程および前記第2硬化工程では、前記マトリックス樹脂を硬化させる、
    請求項8から10のいずれか1項に記載の繊維強化樹脂成形品の製造方法。
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CN109723924A (zh) * 2018-10-16 2019-05-07 上海船舶工艺研究所(中国船舶工业集团公司第十一研究所) 一种用于船舶的碳纤维弯头及其制造方法
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