JP2018050910A - 洗濯機のサービスシステム - Google Patents
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Abstract
【課題】振動、騒音という原因の特定が困難な不具合の原因箇所を、ユーザーによる簡単な操作で行える自己診断機能によって特定できる洗濯機のサービスシステムを実現する。【解決手段】洗濯機25と、ユーザーが使用する情報端末器16と、保守管理センター18とから構成され、洗濯機25は洗濯機全体を制御する制御手段1と、部品である能動負荷部10と、モータ12によって駆動される回転槽13と、洗濯機25の3方向の加速度を検出する3次元加速度センサ7とを備え、洗濯機25は所定の診断シーケンスにしたがって運転・診断し、3次元加速度センサ7の検出する加速度から計算処理によって求めた振幅スペクトラムを異常振幅スペクトラム保持部43に保持された異常スペクトラムのデータと比較し、その一致性から振動、騒音を引き起こす原因である異常部位を特定することにより、上記課題を解決できる。【選択図】図2
Description
本発明は、洗濯機の振動から生じる各周波数における異常音を電気的に検出して振動、騒音の発生源となっている部品、部位を特定し、情報端末器を利用してサービスマンに通知せしめる洗濯機のサービスシステムに関するものである。
従来からもっぱら洗濯機据え付けでの不具合の一つである設置傾きを確認するために、洗濯機の外枠上部にパラフィン油等の液体を入れた透明な容器に気泡を閉じ込めて密閉した水準器が取り付けられていた。この水準器上面には、一回り大きい円とその中心の目安となる十字でできたマークが表示されており、ユーザーあるいは販売店員が洗濯機を据え付けたとき、前記気泡がマーク内に位置するように、洗濯機外枠(筐体)下のゴム足等の高さを調整し傾きを正している(水平を保って据え付ける)。これら従来の水準器は、いずれも洗濯機の設置傾きをサービスマン及びユーザーが目視により傾き調整を行うためのものであった。
しかし、長年の使用により筐体設置面が脆弱化し、振動が激しくなったり、ユーザー都合による引越でユーザー自ら筐体設置を行う時、規定通りの水準器監視に基づく手順がなされず略水平から傾いた不安定な筐体設置がなされ振動が激しくなったり、という事例は洗濯機の生涯使用において往々にして発生し、振動と、それに伴う騒音問題を引き起こしていた。それに対応するため、この筐体の傾きを電子的に、且つ安価な手段によって測定、監視し洗濯機の運転を制御し、使い勝手が良く、振動による騒音が少ない洗濯機を提供する考案が構築されていた(例えば、特許文献1参照)。
図15は、従来の洗濯機の設置の傾斜および振動を検出する水準器を設けた洗濯機の外観図である。全自動洗濯機の外装は、鋼鈑製の外枠とその上部に取り付けられたトップカバー83により構成される。トップカバー83は、蓋84と、主に給水に関連する部品を収納する後部収納箱85と、操作パネル90及び電気部品を収納する前部操作箱86と、衣類等の洗濯物の投入口87で構成される。
図16は、従来の洗濯機に搭載された水準器の構造を示す図である。水準器88は投入口87の脇のプラスチック部分に配されている。水準器88は、可視光を透過するつまり透明もしくは半透明なアクリルカバー75に気泡76を残して、赤外線が透過可能なノルマルパラフィン油などの液体77を満たし、赤外線が透過可能なアクリルなどでできた底板79で密閉したものである。アクリルカバー75の上面には気泡76より一回り大きい円とその中心の目安となる十字でできたマークが描かれており、水準器88が水平になったとき該気泡76が気泡許容範囲円である上記マークの中心に来るようにしてある(図示せず)。また、水準器88の底面の中心付近に反射型フォトインタラプタ78を備える。
反射型フォトインタラプタ78は赤外線発光LED80と赤外線フォトトランジスタ81とで構成されている。赤外線発光LED80は、赤外線を水準器88の上面の中心付近に向けて照射する。赤外線フォトトランジスタ81は、水準器88の上面で反射した赤外線を受光する。結果赤外線フォトトランジスタ81には受光した赤外線量に応じた電流が流れる。
図15のように洗濯機が略水平であるときは、気泡76はアクリルカバー75の中心に来ており、赤外線発光LED80から出力される赤外線は底板79、液体77、気泡76を透過し、アクリルカバー75で一部が反射されて、気泡76、液体77、底板79を透
過して赤外線フォトトランジスタ81に入射する。そして、この場合反射経路中のほとんどが気泡76である。しかし洗濯機が傾いていくと、水準器88も傾き、気泡76は傾いた上側に移動し、赤外線の反射経路に液体77の部分が多くなっていく。さらに、傾きが大になると反射経路中に気泡76が位置しなくなり、反射経路は底板79、液体77、底板79となる。気泡76の移動により、赤外線の反射経路における赤外線吸収量が変化し、受光部である赤外線フォトトランジスタ81の出力電流が変化する。
過して赤外線フォトトランジスタ81に入射する。そして、この場合反射経路中のほとんどが気泡76である。しかし洗濯機が傾いていくと、水準器88も傾き、気泡76は傾いた上側に移動し、赤外線の反射経路に液体77の部分が多くなっていく。さらに、傾きが大になると反射経路中に気泡76が位置しなくなり、反射経路は底板79、液体77、底板79となる。気泡76の移動により、赤外線の反射経路における赤外線吸収量が変化し、受光部である赤外線フォトトランジスタ81の出力電流が変化する。
また、洗濯槽が振動するとこれを内装する水受け槽(水槽)である外槽も振動し、これを懸架している外枠、外枠上にあるトップカバー83も振動する。この振動で、前記水準器88内の気泡76は、液体77に対して相対的に振動(移動)する。この振動のため、前記反射経路内での気泡経路長が変化する。つまり、この変化で洗濯槽の振動振幅を検出することができる。
このような構成とすることによって、従来例において反射型フォトインタラプタ78を取り付けた水準器88を洗濯機に備え、赤外線フォトトランジスタ81の出力電流の大きさを計測することにより、洗濯機の傾きや振動の大きさを電気的に検出することを可能とするものである。
しかしながら、このような従来の洗濯機の振動や傾きを検知する方式では、洗濯機の機械室内のどの部品または部位から振動が発生しているのかという振動源所在を解明することは不可能である。敢えて可能となる事象としては、振動が激しくなり、水槽と外枠が衝突する不安全性を検知して動作を停止したり、ユーザーに警報を発したりする程度に限定される。すなわち、振動、騒音の本質的な問題を特定する振動部品や振動部位、または設置の不具合及びその箇所などを検出することはできないという課題があった。
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、振動、騒音を発生させている振動部品や振動部位、または設置の不具合及びその箇所などを類推し、より精度の高い補償サービスを行うことができる洗濯機のサービスシステムを提供することを目的としている。
従来の課題を解決するために、本発明の洗濯機のサービスシステムは、ユーザーが使用する情報端末器と、前記情報端末器と通信回線によって連携された保守管理センターのサービス管理システムと、前記情報端末器と通信回線によって連携された洗濯機とから構成され、前記洗濯機は、洗濯機全体を制御する制御手段と、前記情報端末器と通信回線を介して通信するデータ通信手段と、診断の運転コース及び診断作業の内容を記憶した診断シーケンス部と、診断結果を保持する診断結果保持部と、電源入り切りや洗濯機の運転コース等の設定を行う入力手段と、設定された運転コースの内容や運転コースの進行状態を表示する表示手段と、過去の故障履歴や運転履歴を記憶した不揮発性メモリと、モータ、ポンプ等のアクチュエーターからなる能動負荷部と、前記制御手段と前記能動負荷部の電気的整合を取る駆動部と、洗濯物を入れる回転槽と、前記回転槽を駆動するモータと、前記洗濯機に固定され、水平の2軸方向と鉛直の1方向の加速度を検出する3次元加速度センサとを備え、脱水行程において、前記情報端末器からの指令を受け前記診断シーケンス部の持つ診断シーケンスにしたがって振動に関する診断を実行し、前記3次元加速度センサの検出する加速度から計算処理によって求めた振動振幅データを一定サンプリング周期で
一定期間検出し離散的フーリエ変換処理で振動数と振動振幅の関係である振幅スペクトラムを獲得し、前記振幅スペクトラムを異常振幅スペクトラム保持部に既知の不具合パラメータとして保持された異常スペクトラムのストックデータ群の中のデータと比較し、その一致性から振動、騒音を引き起こす原因である異常部位を特定する構成としたものである。
一定期間検出し離散的フーリエ変換処理で振動数と振動振幅の関係である振幅スペクトラムを獲得し、前記振幅スペクトラムを異常振幅スペクトラム保持部に既知の不具合パラメータとして保持された異常スペクトラムのストックデータ群の中のデータと比較し、その一致性から振動、騒音を引き起こす原因である異常部位を特定する構成としたものである。
これにより、サービスマンはユーザーがサービスコールする振動、騒音という非常に広範で漠然とした情報を元に訪問するのではなく、事前の不良箇所を特定できた条件下でサービス訪問できるため、万全で漏れのない補修パーツ、冶工具、ユーザーへの状況説明のトーク等の準備を事前におこなえるため、的確で迅速かつ高質な補修サービスを実施することができる。
本発明の洗濯機のサービスシステムは、振動、騒音という洗濯機にとって最も多く、かつ原因の特定が困難な不具合を、異常を感じたユーザーによる簡単な操作で行える自己診断機能によって特定できるため、補修サービスの的確化、迅速化、高質化が促進されるものである。
第1の発明は、ユーザーが使用する情報端末器と、前記情報端末器と通信回線によって連携された保守管理センターのサービス管理システムと、前記情報端末器と通信回線によ
って連携された洗濯機とから構成され、前記洗濯機は、洗濯機全体を制御する制御手段と、前記情報端末器と通信回線を介して通信するデータ通信手段と、診断の運転コース及び診断作業の内容を記憶した診断シーケンス部と、診断結果を保持する診断結果保持部と、電源入り切りや洗濯機の運転コース等の設定を行う入力手段と、設定された運転コースの内容や運転コースの進行状態を表示する表示手段と、過去の故障履歴や運転履歴を記憶した不揮発性メモリと、モータ、ポンプ等のアクチュエーターからなる能動負荷部と、前記制御手段と前記能動負荷部の電気的整合を取る駆動部と、洗濯物を入れる回転槽と、前記回転槽を駆動するモータと、前記洗濯機に固定され、水平の2軸方向と鉛直の1方向の加速度を検出する3次元加速度センサとを備え、脱水行程において、前記情報端末器からの指令を受け前記診断シーケンス部の持つ診断シーケンスにしたがって振動に関する診断を実行し、前記3次元加速度センサの検出する加速度から計算処理によって求めた振動振幅データを一定サンプリング周期で一定期間検出し離散的フーリエ変換処理で振動数と振動振幅の関係である振幅スペクトラムを獲得し、前記振幅スペクトラムを異常振幅スペクトラム保持部に既知の不具合パラメータとして保持された異常スペクトラムのストックデータ群の中のデータと比較し、その一致性から振動、騒音を引き起こす原因である異常部位を特定する構成とした洗濯機のサービスシステムとすることにより、前記能動負荷部、モータ等が引き起こす振動、騒音の原因を特定する優れた故障診断能力を得られるとともに、この故障診断結果を元に、ユーザーを訪問する事前にサービスマンが故障の部位やユーザーの誤使用などの原因特定ができるため、効率的かつ合理的で高質なサービス提供を促進することができる。
って連携された洗濯機とから構成され、前記洗濯機は、洗濯機全体を制御する制御手段と、前記情報端末器と通信回線を介して通信するデータ通信手段と、診断の運転コース及び診断作業の内容を記憶した診断シーケンス部と、診断結果を保持する診断結果保持部と、電源入り切りや洗濯機の運転コース等の設定を行う入力手段と、設定された運転コースの内容や運転コースの進行状態を表示する表示手段と、過去の故障履歴や運転履歴を記憶した不揮発性メモリと、モータ、ポンプ等のアクチュエーターからなる能動負荷部と、前記制御手段と前記能動負荷部の電気的整合を取る駆動部と、洗濯物を入れる回転槽と、前記回転槽を駆動するモータと、前記洗濯機に固定され、水平の2軸方向と鉛直の1方向の加速度を検出する3次元加速度センサとを備え、脱水行程において、前記情報端末器からの指令を受け前記診断シーケンス部の持つ診断シーケンスにしたがって振動に関する診断を実行し、前記3次元加速度センサの検出する加速度から計算処理によって求めた振動振幅データを一定サンプリング周期で一定期間検出し離散的フーリエ変換処理で振動数と振動振幅の関係である振幅スペクトラムを獲得し、前記振幅スペクトラムを異常振幅スペクトラム保持部に既知の不具合パラメータとして保持された異常スペクトラムのストックデータ群の中のデータと比較し、その一致性から振動、騒音を引き起こす原因である異常部位を特定する構成とした洗濯機のサービスシステムとすることにより、前記能動負荷部、モータ等が引き起こす振動、騒音の原因を特定する優れた故障診断能力を得られるとともに、この故障診断結果を元に、ユーザーを訪問する事前にサービスマンが故障の部位やユーザーの誤使用などの原因特定ができるため、効率的かつ合理的で高質なサービス提供を促進することができる。
第2の発明は、上記第1の発明において、前記異常振幅スペクトラム保持部は前記洗濯機内に設置し、前記洗濯機の制御手段が前記振幅スペクトラムの獲得、前記異常振幅スペクトラム保持部に保持されたデータとの比較、異常部位の特定等の診断処理を実行し、振動、騒音を引き起こす原因を診断結果として前記診断結果保持部に記憶し、前記診断結果保持部に記憶した診断結果と前記不揮発性メモリに記憶されたデータをユーザーの持つ前記情報端末器に吸い上げ、通信回線を経由して前記サービス管理システムに転送する構成とした洗濯機のサービスシステムとしたことにより、3次元加速度センサによる加速度検出から複雑な計算処理による振幅スペクトラムの獲得、予め記憶させた異常スペクトラムとの比較、等の一連の診断動作をすべて洗濯機内で行った上、診断結果保持部に記憶させた診断結果を情報端末器に転送する(膨大な加速度ロウデータを転送する必要がない)ので、通信回線の負荷が少なく、診断結果を速やかに情報端末器を経由して保守管理センターのサービス管理システムに転送することができる。また、保守管理センター側においても、各洗濯機の個別の加速度ロウデータや機種に依存する不具合パラメータとしての異常スペクトラムを市場に流通している全機種に亘って保有しておく必要がなく、サービス管理システムを簡素化することができる。
第3の発明は、上記第1の発明において、前記異常振幅スペクトラム保持部は前記保守管理センターのサービス管理システム内に設置し、前記サービス管理システム内のコンピュータが、前記洗濯機の制御手段によって転送された前記3次元加速度センサの検出ロウデータを基に、前記振幅スペクトラムの獲得、前記異常振幅スペクトラム保持部に保持されたデータとの比較、異常部位の特定等の診断処理を実行する構成とした洗濯機のサービスシステムとしたことにより、洗濯機の制御手段は軽い負担で済み、高度な演算処理で求められる振動、騒音の部位特定という高度な演算処理能力がなければ求めることができないソリューションをサービス管理システム内のコンピュータで素早く構築することができ、現場での補修サービスを担うサービスマンに伝達することができる。
第4の発明は、上記第1〜第3のいずれか1つの発明において、前記3次元加速度センサは、前記回転槽を回転可能に支持して内包する水槽に係合させて設置した洗濯機のサービスシステムとすることによって、最も大きな動力で動作する洗濯用のモータからの振動
の作用力を選択的に受信することにより、より振動、騒音の受信感度を高め不具合要因の究明を容易ならしめることができる。
の作用力を選択的に受信することにより、より振動、騒音の受信感度を高め不具合要因の究明を容易ならしめることができる。
第5の発明は、上記第1〜第3のいずれか1つの発明において、前記3次元加速度センサは、前記洗濯機の上部筐体外枠に係合させて設置した洗濯機のサービスシステムとすることによって、最も振れの大きい上部筐体外枠に伝わる振動を検知することができるため、モータのみならず能動部品によるオーバーオールの振動を受信でき不具合要因の究明の範囲を格段に広がらせることができる。
第6の発明は、上記第1〜第3のいずれか1つの発明において、前記3次元加速度センサは、前記回転槽を回転可能に支持して内包する水槽と前記洗濯機の上部筐体外枠の両方にそれぞれ係合させて設置した洗濯機のサービスシステムとすることによって、筐体全体に伝わる振動は言うまでもなく、最も大きな動力で動作する洗濯用のモータからの振動の作用力は特に選択的に受信することによって、洗濯機のあらゆる振動を網羅的かつ注意深く観測することができ、不具合要因の究明の精度を格段に向上させることができる。
第7の発明は、上記第1〜第6のいずれか1つの発明において、前記3次元加速度センサの検出する加速度のサンプリングを前記モータの回転周期Tの期間内にN個検出することによってサンプリング周波数fs(fs=N/T)で前記離散的フーリエ変換処理を行い、fs/2が略1kHz以上となるように振動振幅データを獲得し、振動数と振動振幅の関係である前記振幅スペクトラムを獲得する構成とした洗濯機のサービスシステムとすることにより、低周波振動から高周波振動、振幅まで、人間が不快に感じる耳障りな騒音源によって生じる振幅スペクトラムを網羅的に検出して異常振幅スペクトラム保持部のもつ異常振幅スペクトラム群の中からのデータの一致性および選出から高精度な振動、騒音所在の特定が可能となり、迅速で高精度かつ上質な補修サービスを実現することができる。
第8の発明は、上記第7の発明において、前記能動負荷部の一つであるDCブラシレスモータからなる洗濯用のモータと、前記回転槽の機械的回転角度を認識できる前記モータを駆動するインバータを有し、前記加速度のサンプリングを前記モータの連続する回転周期に分割、その分割回転周期でシェアリングして測定しデータを取得する構成とした洗濯機のサービスシステムとすることにより、制御手段の責務負担を軽減させることができる。
第9の発明は、上記第1〜第8の発明において、前記制御手段は、前記情報端末器からのユーザーによる診断指令を前記データ通信手段を経由して受けた場合、前記診断シーケンス部の持つ診断シーケンスにしたがって振動、騒音に関する診断を行い、診断終了をユーザーに知らせる構成としたこと洗濯機のサービスシステムとするにより、リアルタイムに不具合が起こった時点のデータ取得ができるため、その時の振動、異常音が発生した原因を特定することが容易になり、正確で現場現物に即した不具合の判断および補償サービスが実施できる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における洗濯機のサービスシステムの構成を示す図である。図1において、情報端末器16は携帯電話やスマートフォン等からなり、洗濯機25とデータ通信可能となっている。また情報端末器16は携帯電話通信(LTE、3G)やWi−Fi等を用い通信回線17(インターネット回線)を経由して本システムのホスト
機能を司る保守管理センター18と通信可能になっている。なお、保守管理センター18には情報を蓄積するサーバー19とその情報を演算処理する演算器20を有しており、これらの管理システム全体をサービス管理システムと称する。したがって、洗濯機25、情報端末器16、保守管理センター18は通信回線17によって双方向に通信することができ、データの相互交換が可能な状態になっている。情報端末器16は固有の表示操作装置23、洗濯機25は具備された表示操作装置24でデータ及びその加工データを視認することができるとともに、システム上のプロセスにコマンドを送ったりする操作機能を備えている。
図1は、本発明の実施の形態1における洗濯機のサービスシステムの構成を示す図である。図1において、情報端末器16は携帯電話やスマートフォン等からなり、洗濯機25とデータ通信可能となっている。また情報端末器16は携帯電話通信(LTE、3G)やWi−Fi等を用い通信回線17(インターネット回線)を経由して本システムのホスト
機能を司る保守管理センター18と通信可能になっている。なお、保守管理センター18には情報を蓄積するサーバー19とその情報を演算処理する演算器20を有しており、これらの管理システム全体をサービス管理システムと称する。したがって、洗濯機25、情報端末器16、保守管理センター18は通信回線17によって双方向に通信することができ、データの相互交換が可能な状態になっている。情報端末器16は固有の表示操作装置23、洗濯機25は具備された表示操作装置24でデータ及びその加工データを視認することができるとともに、システム上のプロセスにコマンドを送ったりする操作機能を備えている。
図2は、本発明の実施の形態1における洗濯機のサービスシステムのシステム構成を示すブロック図である。図2に示すように、情報端末器16は内部に、外部とのデータ通信を行うためのデータ通信手段15を内蔵しており、さらに外部とデータ通信を行った結果を表示操作装置23に表示するためのデータを保管するための不揮発性メモリ11を内蔵している。
洗濯機25には、洗い、すすぎ、脱水の一連の動作を制御するとともに、診断の実行および診断によって得られた情報の演算処理を行う制御手段1と、診断の運転コース及び診断作業の内容の特定の診断シーケンスを保持した診断シーケンス部2と、洗濯機25に固定され、水平の2軸方向と鉛直の1方向の加速度を検出する3次元加速度センサ7と、ユーザーの指示にしたがって洗濯機25を運転し、シーケンス進行中に異常振動、騒音を確認した場合に検診結果を保持する診断結果保持部3と、電源入切や運転コースなどの設定を行う入力手段5と、入力手段5により設定された運転内容の表示や運転コースの進行状態を表示する表示手段6とを備える。
さらに、洗濯機25の制御手段1は、駆動部8を介して能動負荷部10(モータ、ソレノイド、リレー、モータ駆動用インバータ、半導体素子のトライアック等のアクチュエーター)を駆動する。
さらに、洗濯機25の内部には情報端末器16とのデータ通信を行うためのデータ通信手段9、診断結果保持部3に保持された内容、洗濯機25の内部の故障履歴、洗濯機25の運転履歴のデータを記憶する不揮発性メモリ4を設けている。
また、情報端末器16の表示操作装置23は、ユーザーによる診断過程またはその結果が出た時点などにユーザーの結果確認や動作プロンプト等を随時表示するインターフェースでもある。
情報端末器16のデータ通信手段15および洗濯機25のデータ通信手段9は、NFC規格に準じた近距離無線通信装置を用いる。またデータ通信手段15およびデータ通信手段9は、RFID用のICと、アンテナで構成しても良いし、ブルートゥース(登録商標)等の小電力無線回線でも良い。
図3は、本発明の実施の形態1における洗濯機のサービスシステムの3次元加速度センサ7の構成を示すブロック図である。3次元加速度センサ7は、3軸(水平面軸(X軸、Y軸で互いに90度角度が異なる)、垂直軸(Z軸))の加速度を検出する加速度センサ素子30を3つ有するセンサブロックからなる3次元加速度センサ本体26、3次元加速度センサ本体26が出力する物理量を電圧に変換する波形整形回路27、その電圧をデジタル信号に変換するA/D変換回路28、および受信回路である制御手段1とのインターフェースを形成するI/F回路29により構成される。これらにより構成される3次元加速度センサ7によって、X、Y、Z軸方向の洗濯機25が受ける加速度を検出する。
上記3次元加速度センサ本体26を構成する加速度センサ素子30について、以下に詳しく説明する。図4は、本発明の実施の形態1における洗濯機のサービスシステムの加速度センサ素子の構成を示すブロック図である。加速度センサ素子30は、一般的にMEMSといわれる微小な素子で、全体のベースとなる絶縁物からなる基台31、加速度を受けて撓る可撓性を有する絶縁性の薄板からなる可撓板32、可撓板32に形成された薄膜の可撓電極33、それに対向する位置に配され基台の一部に形成された薄膜からなる固定電極34から構成されている。この構成により、可撓電極33と固定電極34との平行する2板からなるコンデンサ構成となる。
この静電容量から加速度を検出する。可撓板32は微小な重量mを有する。外部から応力Fを受けた時、F=m・a(aは加速度)の関係となる。可撓板32は弾性係数kをもちF=k・x(xは電極間距離)の関係で均衡する。すなわちm・a=k・xである。この式を加速度aの式でまとめると、数式1となり、加速度は電極間距離xに比例することになる。
このような構成で、ユーザーは洗濯機使用時に何か振動、騒音に関する違和感があったりしたとき、洗濯機25の診断を行うオプションサービス機能を有している。このサービス機能の動作、作用について以下に説明する。
洗濯機25の回転槽13内に偏って衣類が投入された際、洗い、すすぎの行程を経て脱水の行程に入っても、初期衣類投入時の偏りの偏荷重は洗濯槽内に残存する。その状態での脱水行程の進行は機器の持つ機械的共振点(複数存在する)の前で3次元加速度センサ7によって加速度から揺れ幅(振動)に相当するディメンジョンのデータを検出し、その振れ幅(振動)が大きいとき、その共振点を超えて回転槽13の回転速度を上昇させていくことに躊躇する。何故ならばそのまま回転速度を上昇すると共振点で共振現象によって振動が増幅され、振れ回りがユーザーの粛正性に対する許容限界を超えるほど激しくなるからである。
したがって、一般的には、この複数ある共振点の前では速度上昇を意図的に停滞化させ、振れ幅が許容範囲内であることを確認した上で一気に共振点を通過するように加速度を上げて回転速度を上昇させてこの共振点の関門を突破する。一般的にはこの思想で脱水時の回転槽13の回転速度を所望の回転速度に上昇させるため適宜、チェックを行いながら回転速度上昇を行う。
しかしながら、このように一般的な正規の手法によって所望回転速度に達しても、洗濯機25に設置の傾きなどがある場合、かなりの振動を有することは避けられない。設置時に当然、洗濯機25の水平設置度を担保するため、水準器等で確認しながら調整足ゴム35を調整して水平を確保する行為を設置業者は行う。しかし、誤ってラフな調整になってしまったり、接地面が疲労老朽化して水平が担保できない状況に至ってしまったりすることも十分想定される。
このような洗濯機25の設置が調整足ゴム35の調整不備や接地面が疲労老朽化して水平が担保できない状況では、脱水時の振動の状況は様々である。回転槽13回転駆動用のモータ12の回転周期が主立ったものであるが、そのスペクトラム周辺で不安定性の状況に応じてXYZ軸に種々副次的なスペクトラムが発生するとともに、左右に不安定な場合X軸(左右)に顕著に振動スペクトラムが表れてくる。また、前後に不安定要素が存在する場合Y軸(前後)に顕著に振動スペクトラムが表れてくる。しかもその振動数の所在は振動数軸を考えると基本スペクトラムの脱水回転周波数の近傍に往々にして出現する。
また、その他の振動、騒音の発生メカニズムについて以下に説明する。図5は、本発明の実施の形態1における洗濯機の回転槽13の近傍の構成を示す分解斜視図である。
堅牢な鋼材によって強固にシャフトフランジ36によって固定された回転槽13を回転させる軸がモータ回転軸37である。水槽の一部を形成する樹脂からなる受け筒38にワッシャ39を介し強固な鋼材からなるメカケース40がモータ12を強固に固定保持するベースとなる。モータ12はステータ41とローター44からなるDCブラシレスモータでインバータ(図示せず)によって自在かつインテリジェンスに回転を制御できる。
この高速に回転するモータ12とモータ回転軸37を支えるボールベアリング42等からなる摺動部からは経時変化による摩耗が進行すると「キーキー」という耳障りな高周波音が発生しユーザーの騒音クレームの一因である。それに限らずモータ12の大きな動力を機械的に回転槽13まで伝達する経路の各部からは同様な高周波音を発生させることが多く報告されている。これは振動スペクトラムでいうと略1kHz付近に突出した狭帯域のスペクトラムを発生させる。
これらの不安定性にともなうスペクトラムの不均一性は設計段階で十分検証可能であり、本実施の形態における洗濯機のサービスシステムでは、どの部位が不安定であると、どういう異常スペクトラムがXYZ軸のどの振動数帯にあらわれるかという各不具合に応じた参照スペクトラムをパラメータとして事前に準備し、異常振幅スペクトラム保持部43(図2参照)に格納保持している。
この各不具合に応じた参照スペクトラムを参照して行う故障診断のプロセスを以下に説明する。まず制御手段1は診断シーケンス部2のもつ診断シーケンスに基づいて回転槽13を所定回転速度まで高速化して維持する。その回転速度で3次元加速度センサ7から所定サンプリング周期でXYZ軸からの振動振幅データを一定期間取得する。
ここでDFT(Discrete Fourier Transform)シーケンス
によって振動振幅スペクトラムを計算により求める。
によって振動振幅スペクトラムを計算により求める。
サンプリング間隔hでサンプリングされた有限のデータN個のサンプリング系列をX(n)(n=0、・・・、N−1)とすると、このデータに対してDFT処理をおこなう。一般にフーリエ展開においては時間x(n)にある波形e^(−j2πft)を掛けて、その一周期分を積分すると、ある波形の振幅を求めることができる。これを離散化して考えると、数式4となる。
図6は、本発明の実施の形態1における洗濯機の脱水が正常に動作している状態における振幅スペクトラムを示す図である。回転槽13が900r/minで回転しているときのZ軸(垂直)、X軸(左右)、Y軸(前後)の振幅スペクトラムを観測すると、約15Hz付近で回転槽13の基本振動が存在する。本実施の形態における洗濯機は、図1に示
すように、上下方向に揺動可能に弾性支持された水槽内で水平に近い回転軸まわりに回転槽13が高速回転する形態のドラム式洗濯機であるので、当然、垂直方向に最も大きなピークが存在し、X軸、Y軸にもその影響でやや小さいピークが存在する。
すように、上下方向に揺動可能に弾性支持された水槽内で水平に近い回転軸まわりに回転槽13が高速回転する形態のドラム式洗濯機であるので、当然、垂直方向に最も大きなピークが存在し、X軸、Y軸にもその影響でやや小さいピークが存在する。
図7は、本発明の実施の形態1における洗濯機の回転槽13の左右アンバランス状態における振幅スペクトラムを示す図、図8は、本発明の実施の形態1における洗濯機の回転槽13の前後アンバランス状態における振幅スペクトラムを示す図である。X軸の3Hz付近の低周波域にやや大きめのピークが存在する(図7(b)参照)。しからば前後方向のアンバランス状態はどうかというと、図8に見られるように、左右とは対照的に前後に同様の現象が発生しており、Y軸の3Hz付近の低周波域にやや大きめのピークが存在する(図8(c)参照)。これらから類推すると、調整脚ゴム35の偏りや、設置面の経時変化に伴う老朽化による不安定性はXYZ軸の低周波域挙動を観測しておけば容易に不具合箇所を特定することができる。
一方、モータ動力伝達系統の摺動部摩耗疲労による「キーキー」音の場合は、図9の本発明の実施の形態1における洗濯機のモータ動力伝達系統の摺動部摩耗疲労の場合の振幅スペクトラムを示す図に見られるように、400〜500Hz付近の比較的高周波域でピークが存在する。
このように、想定しうる全ての原因と関連付けられている振動、騒音事象についての振幅スペクトラムが異常振幅スペクトラム保持部43に蓄積されているため、測定した振動、騒音の振幅スペクトラムと比較して類似するものを特定すれば不具合箇所も特定して診断結果保持部3に蓄積され、不揮発性メモリ4に蓄積された過去の異常履歴や運転履歴とともにユーザーの情報端末器16を経由して保守管理センター18のサーバー19にストレージされる。
以上のように、本実施の形態における洗濯機のサービスシステムは、ユーザーが洗濯機25の振動、騒音に非定常性や違和感を感じた際、ユーザーの所有する情報端末器16から洗濯機25のデータ通信手段9へ診断指令を送信する。その指令を洗濯機25の制御手段1が受け解読し、診断シーケンス部2に保有する診断シーケンスに沿って機器を制御駆動する。ここで、洗濯機25内部の振動、騒音を検知しやすい場所に設置された3次元加速度センサ7は駆動源の振動エネルギーからの伝達を受け振動する。
3次元加速度センサ7は、3次元空間の各XYZ軸方向の振動を加速度というセンシングデータとして検出し、制御手段1によって各XYZ軸方向の振幅に変換する。この時系列的に一定サンプリング間隔で取得された振幅データは、制御手段1によって離散的フーリエ変換処理されて各XYZ軸の振動数軸に基づく振幅データ列に変換され、その各点のピークを包絡線でつなぐと各XYZ軸の振動数−振幅特性の形状俯瞰フォーム(振幅スペクトラム)を得ることができる。
そして、制御手段1は、この各XYZ軸方向の振幅スペクトラムを、予め、振動部品や振動部位、または設置の不具合及びその箇所の不具合から想定される振動、騒音の形状俯瞰を形状パラメータとして保持する異常振幅スペクトラム保持部43の異常スペクトラムのデータ群の中のデータと比較し、センシングした振動数−振幅特性の振幅スペクトラムと類似するパラメータを選択して振動、騒音の元凶となる不具合点を特定し、その結果をデータ通信手段9から、ユーザーがもつ情報端末器16、保守管理センター18を経由してサービスマンに無線通信伝達する。
したがって、サービスマンは、振動、騒音に関するサービスコールがあり、かつユーザーが検診を実施していれば、サーバー19に保存されたデータから不具合箇所とおぼしき
原因系に対する対処を考案し、必要かつ適切なサービスパーツ、修理工具等の準備をしてユーザー宅を訪問することができるため、効率的かつ合理的で高質なサービス提供を促進することができる。
原因系に対する対処を考案し、必要かつ適切なサービスパーツ、修理工具等の準備をしてユーザー宅を訪問することができるため、効率的かつ合理的で高質なサービス提供を促進することができる。
また、本実施の形態における洗濯機のサービスシステムは、3次元加速度センサ7による加速度検出から複雑な計算処理による振幅スペクトラムの獲得、予め記憶させた異常スペクトラムとの比較、等の一連の診断動作をすべて洗濯機25内で行った上、診断結果を診断結果保持部3に記憶させ、その診断結果を情報端末器16に転送する(膨大な加速度ロウデータを転送する必要がない)ので、通信回線の負荷が少なく、診断結果を速やかに情報端末器16を経由して保守管理センター18のサービス管理システムに転送することができる。
また、保守管理センター18側においても、各洗濯機の個別の加速度ロウデータや機種に依存する不具合パラメータとしての異常スペクトラムを市場に流通している全機種に亘って保有しておく必要がなく、サービス管理システムを簡素化することができる。
次に、3次元加速度センサ7の洗濯機25への取り付け位置について説明する。図10は、本発明の実施の形態1における洗濯機25の内部構造をあらわす断面図である。
洗濯機25は、その前面の衣類投入口を覆うふた45、回転槽13を回転可能に支持して内包する水槽46、ユーザーインターフェースを司る表示コントローラ48、表示コントローラ48を保護する表示カバー47、水槽46を懸架するサスペンション49、洗濯機25の外枠50の一部を構成し洗濯機25の上面を覆うトップカバー54、回転槽13をモータ回転軸37によって回転駆動させるモータ12、モータ回転軸37を強固に保持するシャフトフランジ36、水槽46全体を支え衝撃を緩衝するダンパ51、ダンパ51を固定してスラスト方向の動きを保持するダンパスラストフランジ53、洗濯機25の水平の2軸方向と鉛直の1方向の加速度を検出する3次元加速度センサ7を備えている。
ここで、水槽46は大きな回転動力によって運動する回転槽13と係合しているため、モータ12の回転力を直接受け振動する。本実施の形態における洗濯機では、図10に示すように、この最も振動しやすい水槽46の上に直接、3次元加速度センサ7を取り付ける構造としているため振動を最も高感度で検知しやすい構造となっている。
しかしながら、洗濯機25そのものの振動を正確に検知できているかというと、図10の構成ではやや振動が検知しにくい構成になっている。そこで、図11の本発明の実施の形態1における洗濯機25の内部構造をあらわす第二の構成の断面図に示したような構成が考えられる。この構成では、洗濯機25の上部筐体外枠である上面を覆うトップカバー54の直下に3次元加速度センサ7が直接取り付け固定されている。このような構成にセンサを配することによって洗濯機25全体の動きをより直接的かつ敏感に正確にセンシングすることができるため、洗濯機25の設置の不安定の際に生じる振動等の検出には有利に働く。なお、3次元加速度センサ7は上記のトップカバー54の直下に配設するのが理想的であるが、洗濯機25の外枠であれば任意の位置に固定しても検知可能である。
この両方を備えた構成として、図12の本発明の実施の形態1における洗濯機25の内部構造をあらわす第三の構成の断面図で示したような2センサ方式の構成も考えられる。水槽46の直上とトップカバー54の直下に3次元加速度センサ7がそれぞれ配設されている。こうすることにより、主たる大きな振動源のモータ12から出る振動、騒音はもちろんのこと、洗濯機25全体の振動、騒音ももれなく検知でき、網羅的に発生箇所を特定することが可能となり。高性能な振動、騒音発生箇所特定手段を保有することができる。
(実施の形態2)
図13は、本発明の実施の形態2における洗濯機のサービスシステムの構成を示す図である。
図13は、本発明の実施の形態2における洗濯機のサービスシステムの構成を示す図である。
上記実施の形態1における洗濯機のサービスシステムでは制御手段1にて診断によって得られた情報や振動、騒音の振幅スペクトラム分析等の演算を行うが、本システムの場合は演算処理が非常に複雑な数理計算式の実行を伴う。したがって、3次元加速度センサ7による検出加速度から離散的フーリエ変換処理で振幅スペクトラムを獲得し、異常スペクトラムのストックデータとの一致性から異常部位を特定するという複雑な演算を伴うタスクを洗濯機25で完結させることは、本システムにまつわるタスク以外にも多くの演算処理を実施しなければならないトータルの制御手段1のタスク量からすると責務負担が大きすぎる可能性がある。
そこで、本実施の形態における洗濯機のサービスシステムでは、保守管理センター18内にサーバー19と演算器20を備えた高性能の処理能力をもつコンピューターシステムを配置している。制御手段1は、複雑な演算を行うことなく測定したロウデータを一斉に保守管理センター18にバッチ転送する。保守管理センター18では、それを高性能コンピューターシステムの演算器20で瞬時に処理し、振動スペクトラムの算出や、蓄積された不具合の振動スペクトラム群のパラメータとの一致性による故障部位の特定を素早く行う。そして、その診断結果は通信回線21を経由してサービスマン22に伝達する構成としている。このように構成することにより、制御手段1は軽い負担で済み、高度な演算処理で求められる振動、騒音の部位特定という高度な演算処理能力がなければ求めることができないソリューションを素早く現場での補修サービスを担うサービスマン22に伝達することができるため、サービスマン22は素早く必要かつ適切なサービスパーツ、修理工具等の準備をしてユーザー宅を訪問することができるため、効率的かつ合理的で高質なサービス提供を促進することができる。
(実施の形態3)
脱水回転速度を900r/minとした場合のデータサンプリングスピードは、数式12から計算で求めたように500μsecと非常に高速である。したがって、その間の演算処理がほとんど、この処理で費やされてします可能性がある。また、制御手段1と3次元加速度センサ7の通信に所用する時間を勘案すると、この短時間インターバルでデータ取得できない可能性がある。
脱水回転速度を900r/minとした場合のデータサンプリングスピードは、数式12から計算で求めたように500μsecと非常に高速である。したがって、その間の演算処理がほとんど、この処理で費やされてします可能性がある。また、制御手段1と3次元加速度センサ7の通信に所用する時間を勘案すると、この短時間インターバルでデータ取得できない可能性がある。
そこで、本発明の実施の形態3における洗濯機のサービスシステムは、連続する回転周期で分散してデータをシェアリング取得する方法を特徴とするものである。
図14は、本発明の実施の形態3における洗濯機のサービスシステムの演算処理の一例を示す概念図である。図14(a)は、回転槽1回目の回転時のデータサンプリングaである。ここでは例として1回転に90度回転毎に4個のデータ(aと表示)を取得するとする。図14(b)は、回転槽2回目の回転時のデータサンプリングbを重ね合わせて表示したものである。ここでは、インバータの機械的位置センシング機能により、図14(a)に示した1回目の回転時より機械角で若干遅れたタイミングで4個のデータ(bと表示)を取得する。同様に、図14(c)では、さらにもう少し遅延した機械角から回転槽3回目の回転時の4個のデータ(cと表示)のデータサンプリングcを行う。さらに、図14(d)では、同様の機械角の遅れから回転槽4回目の回転時のデータサンプリングdを行い、4個のデータ(dと表示)を取得する。
この律速にしたがって所定の回転速度取得を繰り返すと1回転微少データサンプリングインターバルで取得したのと同じ結果を導出することができる。なお、この手法では短時
間の複数回転の間では波形脈動には大きな変化がないという仮定であるが、実用上は問題なく充分に妥当性のあるものである。
間の複数回転の間では波形脈動には大きな変化がないという仮定であるが、実用上は問題なく充分に妥当性のあるものである。
(実施の形態4)
ユーザーから振動、異常音というクレームを受けてサービスマンがユーザー宅を訪問して、再現するかどうかを確認するが、どうしても再現できない場合が多々見られる。
ユーザーから振動、異常音というクレームを受けてサービスマンがユーザー宅を訪問して、再現するかどうかを確認するが、どうしても再現できない場合が多々見られる。
本発明の実施の形態4における洗濯機のサービスシステムは、それを回避する一手段として、ユーザーが実際に洗濯を行っていて振動、異常音を感じたとき、その場でユーザーが情報端末器16で洗濯機25からデータを吸い上げることができる構成としたことを特徴とするものである。
図2または図13に示した洗濯機のサービスシステムにおいて、情報端末器16からユーザーによる診断実施の指令が出ると、制御手段1は、情報端末器16のデータ通信手段15および洗濯機のデータ通信手段9を通じてその指令を受け、直ちに診断シーケンス部2の診断シーケンスにしたがってデータ取得を開始する。データ取得が終わるとユーザーに情報端末器16の不揮発性メモリ11に保存された内容と洗濯機25の診断結果保持部3および不揮発性メモリ4に保存された内容のデータ転送の指示を促す。ここでは診断終了を、警報音を鳴らしたり、診断終了を洗濯機25の表示手段6によって表示点灯させたり、情報端末器16の表示操作装置23に表示させたり等の処理として実行する。それをユーザーが認識すると情報端末器16による保守管理センター18へのデータ転送の処理が行われる。そしてこれらの情報は保守管理センター18のサーバー19に保持された後、通信回線を経由してサービスマンに診断結果およびそれに対する補償サービスの具体的処方箋として伝達される。
こうすることによりリアルタイムに不具合が起こった時点のデータ取得ができるため、その時の振動、異常音が発生した原因を正確に特定することが容易になり、正確で現場現物に即した不具合の判断および補償サービスが実施できる。
以上のように、本発明にかかる洗濯機のサービスシステムは、振動、騒音という洗濯機にとって最も多く、かつ原因の特定が困難な不具合の原因箇所を、異常を感じたユーザーによる簡単な操作で行える自己診断機能によって特定できるため、補修サービスの的確化、迅速化、高質化が促進され、さらにユーザー宅訪問事前に洗濯機の状態情報をサービスマンが把握することが可能となるため、再現性に富み合理的で効率性の高いサービスを提供することができるので、特に家庭用の洗濯機のサービスシステムとして有用である。
1 制御手段
2 診断シーケンス部
3 診断結果保持部
4、11 不揮発性メモリ
5 入力手段
6 表示手段
7 3次元加速度センサ
8 駆動部
9、15 データ通信手段
10 能動負荷部
12 モータ
13 回転槽
16 情報端末器
17、21 通信回線
18 保守管理センター
19 サーバー
20 演算器
25 洗濯機
43 異常振幅スペクトラム保持部
50 外枠
54 トップカバー
2 診断シーケンス部
3 診断結果保持部
4、11 不揮発性メモリ
5 入力手段
6 表示手段
7 3次元加速度センサ
8 駆動部
9、15 データ通信手段
10 能動負荷部
12 モータ
13 回転槽
16 情報端末器
17、21 通信回線
18 保守管理センター
19 サーバー
20 演算器
25 洗濯機
43 異常振幅スペクトラム保持部
50 外枠
54 トップカバー
Claims (9)
- ユーザーが使用する情報端末器と、前記情報端末器と通信回線によって連携された保守管理センターのサービス管理システムと、前記情報端末器と通信回線によって連携された洗濯機とから構成され、前記洗濯機は、洗濯機全体を制御する制御手段と、前記情報端末器と通信回線を介して通信するデータ通信手段と、診断の運転コース及び診断作業の内容を記憶した診断シーケンス部と、診断結果を保持する診断結果保持部と、電源入り切りや洗濯機の運転コース等の設定を行う入力手段と、設定された運転コースの内容や運転コースの進行状態を表示する表示手段と、過去の故障履歴や運転履歴を記憶した不揮発性メモリと、モータ、ポンプ等のアクチュエーターからなる能動負荷部と、前記制御手段と前記能動負荷部の電気的整合を取る駆動部と、洗濯物を入れる回転槽と、前記回転槽を駆動するモータと、前記洗濯機に固定され、水平の2軸方向と鉛直の1方向の加速度を検出する3次元加速度センサとを備え、脱水行程において、前記情報端末器からの指令を受け前記診断シーケンス部の持つ診断シーケンスにしたがって振動に関する診断を実行し、前記3次元加速度センサの検出する加速度から計算処理によって求めた振動振幅データを一定サンプリング周期で一定期間検出し離散的フーリエ変換処理で振動数と振動振幅の関係である振幅スペクトラムを獲得し、前記振幅スペクトラムを異常振幅スペクトラム保持部に既知の不具合パラメータとして保持された異常スペクトラムのストックデータ群の中のデータと比較し、その一致性から振動、騒音を引き起こす原因である異常部位を特定する構成とした洗濯機のサービスシステム。
- 前記異常振幅スペクトラム保持部は前記洗濯機内に設置し、前記洗濯機の制御手段が前記振幅スペクトラムの獲得、前記異常振幅スペクトラム保持部に保持されたデータとの比較、異常部位の特定等の診断処理を実行し、振動、騒音を引き起こす原因を診断結果として前記診断結果保持部に記憶し、前記診断結果保持部に記憶した診断結果と前記不揮発性メモリに記憶されたデータをユーザーの持つ前記情報端末器に吸い上げ、通信回線を経由して前記サービス管理システムに転送する構成とした請求項1記載の洗濯機のサービスシステム。
- 前記異常振幅スペクトラム保持部は前記保守管理センターのサービス管理システム内に設置し、前記サービス管理システム内のコンピュータが、前記洗濯機の制御手段によって転送された前記3次元加速度センサの検出ロウデータを基に、前記振幅スペクトラムの獲得、前記異常振幅スペクトラム保持部に保持されたデータとの比較、異常部位の特定等の診断処理を実行する構成とした請求項1記載の洗濯機のサービスシステム。
- 前記3次元加速度センサは、前記回転槽を回転可能に支持して内包する水槽に係合させて設置した請求項1〜3のいずれか1項記載の洗濯機のサービスシステム。
- 前記3次元加速度センサは、前記洗濯機の上部筐体外枠に係合させて設置した請求項1〜3のいずれか1項記載の洗濯機のサービスシステム。
- 前記3次元加速度センサは、前記回転槽を回転可能に支持して内包する水槽と前記洗濯機の上部筐体外枠の両方にそれぞれ係合させて設置した請求項1〜3のいずれか1項記載の洗濯機のサービスシステム。
- 前記3次元加速度センサの検出する加速度のサンプリングを前記モータの回転周期Tの期間内にN個検出することによってサンプリング周波数fs(fs=N/T)で前記離散的フーリエ変換処理を行い、fs/2が略1kHz以上となるように振動振幅データを獲得し、振動数と振動振幅の関係である前記振幅スペクトラムを獲得する構成とした請求項1〜6のいずれか1項記載の洗濯機のサービスシステム。
- 前記能動負荷部の一つであるDCブラシレスモータからなる洗濯用のモータと、前記回転槽の機械的回転角度を認識できる前記モータを駆動するインバータを有し、前記加速度のサンプリングを前記モータの連続する回転周期に分割、その分割回転周期でシェアリングして測定しデータを取得する構成とした請求項7記載の洗濯機のサービスシステム。
- 前記制御手段は、前記情報端末器からのユーザーによる診断指令を前記データ通信手段を経由して受けた場合、前記診断シーケンス部の持つ診断シーケンスにしたがって振動、騒音に関する診断を行い、診断終了をユーザーに知らせる構成とした請求項1〜8のいずれか1項記載の洗濯機のサービスシステム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016189648A JP2018050910A (ja) | 2016-09-28 | 2016-09-28 | 洗濯機のサービスシステム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2016189648A JP2018050910A (ja) | 2016-09-28 | 2016-09-28 | 洗濯機のサービスシステム |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018050910A true JP2018050910A (ja) | 2018-04-05 |
Family
ID=61833255
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JP (1) | JP2018050910A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2020199010A (ja) * | 2019-06-07 | 2020-12-17 | 日立グローバルライフソリューションズ株式会社 | 洗濯機および洗濯機の異常診断方法 |
-
2016
- 2016-09-28 JP JP2016189648A patent/JP2018050910A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2020199010A (ja) * | 2019-06-07 | 2020-12-17 | 日立グローバルライフソリューションズ株式会社 | 洗濯機および洗濯機の異常診断方法 |
JP7245725B2 (ja) | 2019-06-07 | 2023-03-24 | 日立グローバルライフソリューションズ株式会社 | 洗濯機および洗濯機の異常診断方法 |
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