JP2018049736A - バスバー - Google Patents

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Kunihiro Iwata
邦弘 岩田
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Abstract

【課題】バスバーと接続対象とを治具なしで溶接することのできるバスバーを提供する。【解決手段】バスバー1は、板状電極Pとレーザー溶接部を介して電気的に接続されることによって、導電体としての機能を果たすものである。そして、バスバー1は、板状電極Pとレーザー溶接部を介して電気的に接続される前の準備工程で、板状電極Pの挿入を通じて、当該板状電極Pを挟持することのできる有底筒状の電極側端部4、すなわち中空部17を有するようにしている。【選択図】図2

Description

本発明は、バスバーに関する。
配線用材料として用いられるバスバーは、インバータ等の電極である接続対象と電気的に接続されることによって、導電体としての機能を果たすものである。バスバーと接続対象とは、例えば、特許文献1に開示されるように、バスバー等とは別に用意される電極接続具を用いて電気的に接続される。
特許文献1に記載の電極接続具は、先端縁及び側端縁が一致するように重ね合わされた状態のインバータ等のパワーデバイスの板状電極と、接続用バスバーの板状電極とに対して、外周側から嵌合されるように用いられる。この場合、上記パワーデバイスと、上記接続用バスバーとの各板状電極は、電極接続具で密着されることによって、電気的に接続されている。
特開2012−226980号公報
バスバーと接続対象とを電気的に接続する方法として、上記特許文献1に記載の電極接続具を用いる方法の他、バスバーと接続対象とを溶接によって電気的に接続する方法がある。ただし、バスバーと接続対象とを溶接によって電気的に接続する方法の場合、バスバーと接続対象とを溶接前に位置決めする必要がある。すなわち、溶接する場合であっても、上記特許文献1の電極接続具のような位置決め用治具を、バスバー等とは別に用意しなければいけない。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、バスバーと接続対象とを治具なしで溶接することのできるバスバーを提供することにある。
上記課題を解決するバスバーは、接続対象と溶接部を介して電気的に接続されることによって、導電体としての機能を果たすものである。このバスバーは、接続対象と溶接部を介して電気的に接続される前の状態で、接続対象の挿入を通じて、当該接続対象を挟持することのできる有底筒状の挟持部を有している。
上記構成によれば、バスバーと接続対象との溶接前、接続対象は、バスバーが有する挟持部に挿入されることによって、バスバーに対して仮固定される。このように仮固定される場合、接続対象は、バスバーに対して位置決めもされる。これにより、バスバーと接続対象との溶接前、治具なしでも、バスバーに対して接続対象を仮固定するとともに位置決めするための機能を、挟持部によってバスバーに付加することができる。すなわちこの場合、バスバーと接続対象とを治具なしで溶接することができる。
具体的には、上記バスバーにおいて、挟持部には、当該挟持部の外郭をなす周壁が設けられており、周壁部の内面には、当該挟持部に挿入された状態の接続対象を挟み込む対向面が設けられるものである。
そして、上記バスバーにおいて、挟持部には、当該挟持部に接続対象を挿入する際に力を作用させるための部位である力作用部が設けられていることが望ましい。
上記構成によれば、挟持部に対して接続対象を挿入する際、作業者や作業装置によって、接続対象を挿入する際に必要な力が力作用部を通じて発生させられるようになる。これにより、バスバーと接続対象との溶接前、挟持部に対して接続対象を挿入する場合に、挿入作業を容易にするための機能を、挟持部の構成によってバスバーに付加することができる。
また、上記バスバーにおいて、挟持部のうち、当該挟持部に接続対象が挿入可能なように開口する開口部を含む部位では、当該開口部に向かうほど対向面の隙間が大きくなるように構成されていることが望ましい。
上記構成によれば、挟持部に対して接続対象を挿入する際、開口部に対する接続対象の位置決めが補助される。また、挟持部に対して接続対象を挿入する際、接続対象が挟持部の対向面に沿ってガイドされるように挿入が補助される。この場合、接続対象の挿入始めは、当該接続対象を挿入する際に必要な力を比較的小さくすることができる。これにより、バスバーと接続対象との溶接前、挟持部に対して接続対象を挿入する場合に、挿入作業を容易にするための機能を、挟持部の構成によってバスバーに付加することができる。
例えば、バスバーと接続対象とは、レーザー溶接によって溶接される。この場合、上記バスバーにおいて、溶接部は、レーザー溶接部であって、挟持部は、レーザー溶接部となる部位を含み、レーザー溶接部となる部位は、他の部位と比較して肉厚が薄く構成されていることが望ましい。
上記構成によれば、レーザー溶接部となる部位では、他の部位と比較して肉厚が薄く構成されているため、レーザー溶接によって溶接される際、レーザー光のエネルギー(熱)がバスバーと接続対象に伝達され易くなり、バスバーと接続対象とが好適に溶融されるようになる。これにより、バスバーと接続対象とをレーザー溶接する際、バスバーと接続対象との接合強度を高めるための機能を、挟持部の構成によってバスバーに付加することができる。
その他、バスバーと接続対象とは、アーク溶接によって溶接される。この場合、上記バスバーにおいて、溶接部は、アーク溶接部であって、挟持部は、アーク溶接部となる部位を含み、アーク溶接部となる部位は、他の部位と比較してアーク放電し易い形状に構成されていることが望ましい。
上記構成によれば、アーク溶接部となる部位では、他の部位と比較してアーク放電し易い形状に構成されているため、アーク溶接によって溶接される際、アーク放電を生じさせ易くなり、バスバーと接続対象とが好適に溶融されるようになる。これにより、バスバーと接続対象とをアーク溶接する際、バスバーと接続対象との接合強度を高めるための機能を、挟持部の構成によってバスバーに付加することができる。
本発明によれば、バスバーと接続対象とを治具なしで溶接することができる。
第1実施形態のバスバーについてその概略構成を示す斜視図。 同バスバーについてその概略構成を示す斜視図。 図1及び図2におけるIII−III線断面図。 同バスバーについて板状電極が挿入される様子を示す図。 (a),(b)は同バスバーについてその電極側端部(中空部)に板状電極が挿入される様子を示す断面図。 同バスバーと板状電極とをレーザー溶接する際の態様を示す図。 第2実施形態のバスバーについてその概略構成を示す斜視図。 同バスバーと板状電極とをTIG溶接する際の態様を示す図。 変形例のバスバーについてその電極側端部の構成を示す断面図。
(第1実施形態)
以下、バスバーの第1実施形態を説明する。
図1に示すように、バスバー1は、例えば、直流電源Vと直接的又は間接的に接続される電極を構成するものであり、インバータInvの板状電極Pと電気的に接続されることによって、導電体としての機能を果たすものである。バスバー1は、銅等の導電性を有する金属材料からなる。本実施形態のバスバー1は、銅粉末を含む金属粉末を材料とした金属粉末射出成形、所謂、MIM(ミム)により、製造されるものである。
具体的には、バスバー1は、長辺及び短辺を有する直方体状の本体部2を備えている。以下の説明では、本体部2の長手方向を「延出方向」と言い、本体部2の短手方向を「幅方向」と言い、本体部2の長手方向及び短手方向に直交する方向を「肉厚方向」と言う。この場合、本体部2は、幅方向と比較して肉厚方向が小さい薄板状をなしていると言える。本体部2の延出方向の端部2a,2bには、電源側端部3と、電極側端部4とが設けられている。
電源側端部3は、本体部2の端部2aにおいて、長辺側の一端から当該本体部2の幅方向に延びている。電源側端部3は、本体部2の延出方向に厚みを有し、本体部2の肉厚方向に幅を有する薄板状をなしている。
電極側端部4は、本体部2の端部2aの反対側の端部2bにおいて、短辺側の一端から当該本体部2の延出方向に沿って延びている。電極側端部4は、本体部2の肉厚方向に膨出する筒状をなしている。
そして、電源側端部3は、直流電源Vにボルト等を介して連結されている。電極側端部4は、レーザー溶接によって、インバータInvの電極である板状電極Pと電気的に接続される。本実施形態において、電極側端部4は挟持部の一例であり、インバータInvの板状電極Pは接続対象の一例である。
次に、電極側端部4の構成について詳しく説明する。
図1及び図2に示すように、電極側端部4には、当該電極側端部4の外郭をなす周壁Wが設けられている。周壁Wは、本体部2の肉厚方向に対向する側壁12,13と、側壁12,13を本体部2の延出方向の両側で連結する端壁14,15と、側壁12,13及び端壁14,15を本体部2の幅方向の一方側で連結する底壁16とを有している。そして、電極側端部4の内部には、周壁Wの内面によって囲まれてなる中空部17が設けられている。中空部17は、電源側端部3が延びる方向とは反対側の一方に開口する開口部17aを有し、本体部2の幅方向に深さを有する有底筒状をなしている。
側壁12,13のうち、一方の側壁12(図1中、手前側(図2中、奥側))には、電極側端部4の外方から内方に向かって凹んだ凹部18が設けられている。これにより、側壁12のうち、凹部18に対応する部位の肉厚(本体部2の肉厚方向の大きさ)は、他の部位と比較して薄く(小さく)なるように設定されている。この凹部18に対応する部位の肉厚は、側壁13の何れの部位と比較しても薄くなるように設定されている。
また、底壁16において、開口部17aとは反対側の外面16aは、中空部17の深さ方向に直交する方向に対して平坦に設けられている。本実施形態では、本体部2の長辺側の一端と、外面16aとは、面一に構成されている。本実施形態において、底壁16の外面16aは力作用部の一例である。
また、底壁16の略中央には、底壁16の内外を連通する連通孔16bが設けられている。なお、連通孔16bの開口領域は、開口部17aの開口領域と比較して小さく設定されている。
ここで、中空部17の構成についてさらに詳しく説明する。
図2に示すように、開口部17aにおいて、本体部2の延出方向の大きさである端壁14,15の隙間は、板状電極Pの幅と略同一(若干大きく)設定されている。また、端壁14,15の内面である対向面14a,15aは、中空部17の深さ方向に対して平坦に設けられている。これにより、端壁14,15の対向面14a,15aの隙間は、開口部17aから連通孔16bの間で一定の大きさに維持されるように構成されている。
一方、図3に示すように、開口部17aにおいて、本体部2の肉厚方向の大きさである側壁12,13の隙間D1は、板状電極Pの肉厚D0(図中、仮想円内に示す)と比較して大きく設定されている。また、側壁12,13の内面である対向面12a,13aは、中空部17の深さ方向に沿って、側壁12の凹部18に対応する部位において最接近し、開口部17a及び連通孔16bに対応する部位に向かうほど離間するように設けられている。この最接近する場合の対向面12a,13aの隙間D2は、板状電極Pの肉厚D0と比較して若干小さく設定されている。これにより、中空部17のうち、開口部17aから側壁12の凹部18に対応する部位の間の開口部17aを含む部位では、当該開口部17aに向かうほど側壁12,13の対向面12a,13aの隙間が大きくなるように構成されている。
以下、バスバー1と板状電極Pとを溶接する工程について説明する。この工程には、実際の溶接前の準備工程と、実際に溶接するレーザー溶接工程との大きく2つの工程がある。
図4、図5(a)、及び図5(b)に示すように、準備工程では、電極側端部4の中空部17(バスバー1)に対して板状電極Pを挿入することによって、バスバー1に対して板状電極Pを仮固定する。
図4に示すように、電極側端部4と、板状電極Pとは、中空部17の開口部17aの長手方向及び短手方向と、板状電極Pの先端の長手方向及び短手方向とがそれぞれ一致するように、対向させた状態で配置される。
そして、中空部17に対して板状電極Pが挿入される。この場合、電極側端部4の底壁16の外面16aを作業者や作業装置が押さえる等して、板状電極Pを挿入する際に必要な力である板状電極Pの挿入方向に対向する力を発生させる。この発生させる力によって、開口部17aから底壁16に達する奥まで板状電極Pが挿入されていく。
具体的には、図5(a)に示すように、開口部17aから側壁12の凹部18に対応する部位の間の開口部17aを含む部位において、側壁12,13の対向面12a,13aに対して板状電極Pの先端が当接させられる。これにより、電極側端部4に対して板状電極Pの挿入が位置決めされる。
続いて、開口部17aから側壁12の凹部18に対応する部位の間の開口部17aを含む部位では、側壁12,13の対向面12a,13aを板状電極Pの先端が沿うようにして、板状電極Pが挿入されていく。これにより、電極側端部4に対する板状電極Pの挿入が無理なくガイドされる。このガイドによって、電極側端部4に対する板状電極Pの挿入が比較的小さな力で無理なく実施される。
続いて、側壁12の凹部18に対応する部位では、側壁12,13の対向面12a,13aによって作られる板状電極Pの肉厚と比較して小さい隙間に対して、板状電極Pがその先端から順に圧入されていく。
そして、図5(b)に示すように、底壁16の内面に板状電極Pの先端が達する場合、中空部17の奥まで板状電極Pの挿入が完了する。この場合、中空部17の側壁12,13の対向面12a,13a(特に側壁12の凹部18に対応する部位)は、本体部2の肉厚方向の両側から板状電極Pを締め付けるように挟み込む。すなわち、板状電極Pは、側壁12,13の対向面12a,13aによって挟持される。これにより、電極側端部4(バスバー1)に対して挿入された板状電極Pが仮固定されるとともに位置決めされる。
なお、図5(b)の矢視Aで示すように、底壁16の連通孔16bを通じて中空部17内部の状態を作業者や作業装置が検出する等して、中空部17の奥まで板状電極Pの挿入が完了しているか否かを確認する。この確認によって、中空部17の奥まで板状電極Pの挿入が完了している場合、準備工程が完了する。
また、図5(b)及び図6に示すように、この準備工程の完了後、板状電極Pは、側壁12,13の対向面12a,13aに挟持されることによって挿入方向に抜け落ちないように仮固定される。同様に、板状電極Pは、端壁14,15の対向面14a,15aに囲まれることによって挿入方向以外の方向にグラついて揺動したりもしないように仮固定される。同様に、板状電極Pは、底壁16によって挿入方向にそれ以上は進まないように仮固定される。すなわち、本実施形態において、準備工程の完了後、電極側端部4(バスバー1)に対して仮固定された板状電極Pは、仮に動くとすれば挿入方向に抜け落ちる方向にしか動くことがなく、それ以外の方向の動きについては中空部17を構成する側壁12,13、端壁14,15、及び底壁16によって効果的に規制がなされている。
図6に示すように、準備工程の完了後、レーザー溶接工程では、バスバー1における電極側端部4の側壁12に対してレーザー光を照射することによって、バスバー1と板状電極Pとをレーザー溶接する。
レーザー溶接では、溶接対象であるバスバー1及び板状電極Pに、図示しない電源に接続されるレーザー発生源30のレーザー光のエネルギー(熱)を与えてバスバー1及び板状電極Pを溶融させることにより接合させる。バスバー1及び板状電極Pは、電極側端部4の側壁12の凹部18が設けられる範囲、すなわち側壁12の肉厚が薄い部位がレーザー光の照射範囲となるように配置される。なお、レーザー光は、凹部18における本体部2の延出方向の一方の端から他方の端まで移動しながら当該凹部18の部位を溶融させていく。
レーザー溶接後のバスバー1及び板状電極Pは、レーザー光の照射範囲である凹部18周辺が溶融され、この凹部18周辺の部位が溶融されてなるレーザー溶接部を介して互いに接合される。
以上に説明した本実施形態によれば、以下に示す作用及び効果を奏する。
図5(b)に示すように、バスバー1と板状電極Pとの溶接前の準備工程において、板状電極Pは、バスバー1が有する電極側端部4の中空部17に挿入されることによって、バスバー1に対して仮固定される。このように仮固定される場合、板状電極Pは、バスバー1に対して位置決めもされる。これにより、準備工程において、治具なしでも、バスバー1に対して板状電極Pを仮固定するとともに位置決めするための機能を、電極側端部4の外郭を構成する側壁12,13の対向面12a,13aによってバスバー1に付加することができる。すなわちこの場合、レーザー溶接工程では、バスバー1と板状電極Pとを治具なしで溶接することができる。
また、図5(a)に示すように、準備工程において、電極側端部4に対して板状電極Pを挿入する際、作業者や作業装置によって、板状電極Pを挿入する際に必要な力が、底壁16の外面16aを通じて発生させられるようになる。これにより、準備工程において、電極側端部4に対して板状電極Pを挿入する場合に、挿入作業を容易にするための機能を、電極側端部4の構成である底壁16の外面16aによってバスバー1に付加することができる。
同じく、図5(a)に示すように、準備工程において、電極側端部4に対して板状電極Pを挿入する際、開口部17aに対する接続対象の位置決めが補助される。また、電極側端部4に対して板状電極Pを挿入する際、板状電極Pの先端が側壁12,13の対向面12a,13aに沿ってガイドされるように挿入が補助される。この場合、板状電極Pの挿入始めは、当該板状電極Pを挿入する際に必要な力を比較的小さくすることができる。これにより、準備工程において、挟持部に対して接続対象を挿入する場合に、挿入作業を容易にするための機能を、電極側端部4の構成である側壁12,13の対向面12a,13aによってバスバー1に付加することができる。
そして、図6に示すように、レーザー溶接工程において、レーザー溶接部となる電極側端部4の凹部18では、他の部位と比較して肉厚が薄く構成されているため、レーザー溶接によって溶接される際、レーザー光のエネルギー(熱)がバスバー1と板状電極Pに伝達され易くなり、バスバー1と板状電極Pとが好適に溶融されるようになる。これにより、バスバー1と板状電極Pとをレーザー溶接する際、バスバー1と板状電極Pとの接合強度を高めるための機能を、電極側端部4の構成である側壁12の凹部18によってバスバー1に付加することができる。
(第2実施形態)
次に、バスバーの第2実施形態について説明する。なお、既に説明した実施形態と同一構成などは、同一の符号を付すなどして、その重複する説明を省略する。
図7に示すように、本実施形態において、電極側端部4の側壁12,13のうち、一方の側壁12(図中、手前側)には、側壁12の内外を連通する連通孔12bが設けられている。
また、底壁16において、開口部17aとは反対側の外面16aには、中空部17の深さ方向に突出するターゲット部16cが設けられている。ターゲット部16cは、外面16aを本体部2の肉厚方向に横切るように延びている。
以下、本実施形態において、バスバー1と板状電極Pとを溶接する工程について説明する。本実施形態の電極側端部4は、アーク溶接の一種であるTIG(Tungsten Inert Gas)溶接(ティグ溶接)によって、インバータInvの電極である板状電極Pと電気的に接続される。すなわち、本実施形態の溶接する工程には、実際の溶接前の準備工程と、実際に溶接するTIG溶接工程との大きく2つの工程がある。
本実施形態の準備工程では、図7の矢視Bで示すように、側壁12の連通孔12bを通じて中空部17内部の状態を作業者や作業装置が検出する等して、中空部17の奥まで板状電極Pの挿入が完了している場合、準備工程が完了する。
図8に示すように、準備工程の完了後、TIG溶接工程では、バスバー1における電極側端部4の底壁16に対して溶接用電極を接近させることによって、バスバー1と板状電極PとをTIG溶接する。
TIG溶接では、溶接対象であるバスバー1及び板状電極Pに、図示しない電源に接続される溶接用電源40に接続されるタングステンからなる溶接用電極40aがアーク放電を発生させてバスバー1及び板状電極Pを溶融させることにより接合させる。バスバー1及び板状電極Pは、ターゲット部16cが設けられる電極側端部4の底壁16のターゲット部16cの部位がアーク放電の発生部となるように配置される。なお、アーク放電は、溶接用電極40aと、当該溶接用電極40aに対して底壁16のうちで最接近するターゲット部16cの部位との間に発生する。
TIG溶接後のバスバー1及び板状電極Pは、アーク放電の発生部であるターゲット部16c周辺が溶融され、このターゲット部16c周辺の部位が溶融されてなるアーク溶接部を介して互いに接合される。
以上に説明した本実施形態によれば、上記第1実施形態の作用及び効果に加えて、以下の作用及び効果を得ることができる。
図8に示すように、TIG溶接工程において、アーク溶接部となる電極側端部4の底壁16の特にターゲット部16cでは、他の部位と比較して溶接用電極40aに接近するように構成されているため、TIG溶接によって溶接される際、アーク放電を生じさせ易くなり、バスバー1と板状電極Pとが好適に溶融されるようになる。これにより、バスバー1と板状電極PとをTIG溶接する際、バスバー1と板状電極Pとの接合強度を高めるための機能を、電極側端部4の構成である底壁16のターゲット部16cによってバスバー1に付加することができる。
なお、上記各実施形態は、以下の形態にて実施することもできる。
・図9に示すように、第1実施形態において、側壁12,13のうち、凹部18が設けられていない側壁13の対向面13aには、当該対向面13aから対向面12a側に突出する複数の突起13aaを設けるようにしてもよい。この場合、レーザー溶接の際にレーザー光が照射される側である側壁12に対して、板状電極Pを押し付けることができる。これにより、レーザー溶接によって溶接される際、レーザー光のエネルギー(熱)がバスバー1と板状電極Pにより好適に伝達されるようになる。これにより、バスバー1と板状電極Pとをレーザー溶接する際、バスバー1と板状電極Pとの接合強度をさらに高めるための機能を、電極側端部4の構成である側壁13の対向面13a(突起13aa)によってバスバー1に付加することができる。なお、上記突起13aaの形状は、平面視で丸状や四角状等問わない。同様に、上記突起13aaの数は、大きさや形状によっては複数でなく単数であってもよい。同様に、上記突起13aaの配置は、規則的であるか不規則的であるかは問わない。
・第1実施形態では、レーザー溶接に替えて、電子ビーム溶接を採用してもよい。なお、電子ビーム溶接では、レーザー溶接と比較して大きいエネルギー(熱)を生じさせられることが知られている。そのため、電子ビーム溶接では、レーザー溶接と比較して分厚い(エネルギーが伝達され難い)ものも溶接対象とすることができる。したがって、本変形例では、側壁12に凹部18が設けられていない場合であっても、レーザー溶接の場合と同様の接合強度を確保することができる場合がある。そのため、電子ビーム溶接を採用する場合には、側壁12に凹部18が設けられていることは必須ではなく、当該凹部18が設けられてないようにすることができる。ただし、側壁12(バスバー1)の強度が確保可能であれば、側壁12全体が凹部18程度の薄さの肉厚で構成されていてもよい。この場合、レーザー溶接を採用したとしても、側壁12に凹部18が設けられないようにすることができる。
・第2実施形態では、TIG溶接に替えて、抵抗溶接等、アーク放電を利用する溶接を採用してもよい。この場合であっても、第2実施形態に準じた作用及び効果を奏することができる。なお、第2実施形態では、溶接対象と溶接電極の関係からアーク放電の発生部のコントロールが可能な仕様であれば、底壁16にターゲット部16cが設けられないようにすることができる。
・第2実施形態において、ターゲット部16cは、底壁16の外面16aから突出されるように構成されていればよく、その形状は断面が丸や四角の柱状等問わない。
・各実施形態において、側壁12,13の内面である対向面12a,13aの隙間は、全体的に板状電極Pの肉厚D0と比較して若干小さく設定されるようにしてもよい。すなわち、側壁12,13の対向面12a,13aの隙間は、開口部17aから連通孔16bの間で一定の大きさに維持されるように構成されていてもよい。
・各実施形態において、底壁16の外面16aは、作業者や作業装置が力を作用させることができる形状を有していればよく、平坦ではなく凸凹を有していてもよい。また、これに替えて、力作用部に相当する構成が、側壁12,13に設けられていてもよい。なお、電極側端部4への板状電極Pの挿入の際に他の構成によって力を好適に作用させることができるように構成されている場合には、力作用部に相当する構成が設けられていなくてもよい。
・各実施形態では、準備工程の完了を確認するための連通孔12b,16bが設けられる位置を、仕様等に合わせて変更してもよい。例えば、各実施形態の間で配置の構成を入れ替えて構成してもよい。その他、連通孔12b,16bが設けられないように構成してもよく、この場合、例えば、板状電極Pが挿入されている長さや確認用の力を作用させる等して、準備工程の完了を確認すればよい。
・各実施形態において、バスバー1に接続する接続対象の形状は、断面が丸や四角の棒状の端子等問わない。この場合、接続対象の形状に合わせて、電極側端部4の外郭であったり中空部17の形状であったりを変更する。例えば、接続対象が断面が丸の棒状の端子の場合、電極側端部4の外郭が円筒状をなすように、周壁Wが構成されていればよい。その他、電極側端部4の外郭は変更しなくても、円筒状の中空部17を構成するように周壁Wの内面が構成されていればよい。この場合、電極側端部4に挿入された断面が丸の棒状の端子は、当該端子の径方向において対向する周壁Wの内面に挟持されていればよい。なお、断面が丸の棒状の端子を挟持する構成は、周壁Wの内面の周方向に連続的であるか非連続的であるかは問わない。
1…バスバー、2…本体部、3…電源側端部、4…電極側端部、12…側壁、12a…対向面、12b…連通孔、13…側壁、13a…対向面、13aa…突起、14…端壁、14a…対向面、15…端壁、15a…対向面、16…底壁、16a…外面、16b…連通孔、16c…ターゲット部、17…中空部、17a…開口部、18…凹部、30…レーザー発生源、40…溶接用電源、40a…溶接用電極。

Claims (6)

  1. 接続対象と溶接部を介して電気的に接続されることによって、導電体としての機能を果たすバスバーにおいて、
    前記接続対象と前記溶接部を介して電気的に接続される前の状態で、前記接続対象の挿入を通じて、当該接続対象を挟持することのできる有底筒状の挟持部を有するバスバー。
  2. 前記挟持部には、当該挟持部の外郭をなす周壁が設けられており、
    前記周壁の内面には、前記挟持部に挿入された状態の前記接続対象を挟み込む対向面が設けられている請求項1に記載のバスバー。
  3. 前記挟持部には、当該挟持部に前記接続対象を挿入する際に力を作用させるための部位である力作用部が設けられている請求項2に記載のバスバー。
  4. 前記挟持部のうち、当該挟持部に前記接続対象が挿入可能なように開口する開口部を含む部位では、当該開口部に向かうほど前記対向面の隙間が大きくなるように構成されている請求項2又は請求項3に記載のバスバー。
  5. 前記溶接部は、レーザー溶接部であって、
    前記挟持部は、前記レーザー溶接部となる部位を含み、
    前記レーザー溶接部となる部位は、他の部位と比較して肉厚が薄く構成されている請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載のバスバー。
  6. 前記溶接部は、アーク溶接部であって、
    前記挟持部は、前記アーク溶接部となる部位を含み、
    前記アーク溶接部となる部位は、他の部位と比較してアーク放電し易い形状に構成されている請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載のバスバー。
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