<<第1の実施の形態>>
以下の説明及び図面では、同一の部品には同一の参照番号を付してある。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
ジェスチャ操作に関して、本実施の形態では、指等でタッチパネルに触れてすぐ離す操作を「タップ」、タッチパネルに指等が接触した状態でそのまま指を移動させる操作を「ドラッグ」、及び、タッチパネルの表面を指で払う操作を「フリック」とそれぞれ呼ぶ。タッチパネルへの入力は、指でなく専用の入力ペン等を用いて行なってもよい。
[情報処理装置100の外観]
図1を参照して、情報処理装置100は外部機器であるヘッドホンに音声データを出力するヘッドホン出力部102と、押下されるごとに情報処理装置100のオン/オフを切替える電源104と、メモリカードを挿入可能なカードソケット106と、タッチパネル110とを含む。情報処理装置100はいわゆる音楽再生プレーヤーであり、ヘッドホン出力部102に対応のヘッドホンを接続することで、ユーザはヘッドホンを介して音楽を鑑賞できる。情報処理装置100は図示しないスピーカーをさらに含み、ヘッドホンを使用しない場合、ユーザはこのスピーカーを用いて音楽を鑑賞することもできる。
カードソケット106は、音声データ及び画像データ等を記憶したメモリカードを挿入するソケットである。本実施の形態では1つ以上のデータファイルを記憶するメモリカードが情報処理装置100に装着されているとする。情報処理装置100は電源がオンされると、当該メモリカード内のデータファイルを読出す。その動作の詳細については後述する。
タッチパネル110には種々の機能を設定するための設定画面、及び、実行するデータファイルを選択するための選択画面等が表示される。情報処理装置100で実行されるデータファイルのうち、音声データのものを「音楽ファイル」、画像データのものを「文書ファイル」と呼ぶことがある。
[ハードウェア構成]
図2を参照して、情報処理装置100のタッチパネル110は種々の表示画面を表示する表示装置112と、入力操作を受付けて検知信号を制御装置130へ出力する入力装置114とを含む。表示装置112は液晶パネル、入力装置114は透明のタッチセンサであり、これらはいわゆるタッチパネルとして、一体的に配置される。ユーザは表示装置112に表示される画像を参照しながら、入力装置114に指先で触れて入力を行なう。入力装置114には左右方向をX軸、上下方向をY軸とする仮想的な座標軸が配置されている。これら座標軸に基づく座標により、入力が検出された位置座標を表現できる。本実施の形態では入力装置114の左下頂点を原点としているが、原点及び座標軸はどのように配置されてもよい。
情報処理装置100は、メモリカード120から読出したデータファイルの管理、及び、入力装置114が受付けた指示入力に基づく画像表示の制御等を行なう制御装置130と、制御装置130から送られた音声データをD/A変換して出力する増幅器116とを含む。
制御装置130は、入力装置114からの入力を所定時間ごと(本実施の形態では10ミリ秒ごととする。)に検出し、その履歴に基づいてユーザのジェスチャを検出するジェスチャ検出部132と、ジェスチャ検出部132で検出されたジェスチャの内容に応じて、どのような制御を行なうかについてのコマンドを生成し出力するコマンド解釈部134と、コマンド解釈部134より送られたコマンドに基づき画像表示及び音楽再生等に関する制御を行なう編集処理部140と、編集処理部140から受信した指示信号に基づき、画像データを表示装置112に表示させたり音声データを増幅器116に出力させたりする制御を行なう出力部138と、カードソケット106に挿入されたメモリカード120内のデータファイルを編集処理部140の要求に応じて読出すファイル管理部136と、時間に関するしきい値及び回数に関するしきい値を記憶するしきい値保持部146と、しきい値保持部146に保持される時間に関するしきい値を超えない範囲で、コマンド解釈部134で回数に関するしきい値が示す回数以上に同一コマンドが反復して生成されたか否かを検出し検出信号を出力する反復検出部142と、反復検出部142からの検出信号に応答し、反復されたコマンドを自己生成するコマンド自発部144とを含む。
ジェスチャ検出部132は入力装置114に対して入力が行なわれたか否か、入力が行なわれた場合、当該入力の位置座標はどこかを、10ミリ秒ごとに検出する。ジェスチャ検出部132はさらに、検出された入力内容に応じて、当該入力がタップ、ドラッグ、フリック、及びその他の、いずれのジェスチャ操作に該当するかを判定する。入力装置114に触れた指が同一箇所で離れた場合、ジェスチャ検出部132は当該操作をタップと判定する。指が接触した状態で移動した場合、ジェスチャ検出部132は10ミリ秒あたりの指の移動量(変位量)を計算する。この変位量が所定の値未満であれば、ジェスチャ検出部132は当該操作をドラッグと判定し、所定の値以上であれば当該操作をフリックと判定する。ジェスチャ検出部132はさらに、接触状態の指が離れたことを検知すると、当該操作をドラッグ終了と判定する。
ジェスチャ検出部132は、検出されたジェスチャ操作の種類を、コマンド解釈部134に送信する。このときジェスチャ検出部132は、検出されたジェスチャ操作がタップならばタップされた位置座標を、ドラッグ又はドラッグ終了ならばドラッグ開始時の位置座標及びドラッグ終了時の位置座標を、フリックならば指が接触してから離れるまでの位置座標の変位量を、検出されたジェスチャ操作の種類とともに送信する。検出されたジェスチャ操作の種類が上記いずれか以外の場合でも、ジェスチャ検出部132は当該入力の内容とともに、検出された位置座標の情報をコマンド解釈部134に送信する。
コマンド解釈部134は、ジェスチャ検出部132から送られたジェスチャ操作の種類及び位置座標、並びに、現在の入力状態等の情報に基づきコマンドを生成し、編集処理部140へ送信する。コマンド解釈部134は、ジェスチャ操作の種類がタップでかつスクロールが実行されている場合には停止コマンドを、タップでかつスクロールが実行されていない場合には停止コマンドを、ドラッグならば推移コマンドを、ドラッグ終了ならば停止コマンドを、フリックならば推進コマンドを、それぞれ生成する。これらコマンドについては後述する。
推進コマンドは当該フリックの変位量に基づく速度ベクトルに関する情報を有する。推移コマンド及び推進コマンドは、タッチパネル110に表示される画像をスクロールさせるコマンドである。推移コマンドによれば、ドラッグ開始時の位置座標及び終了時の位置座標に応じて表示画像がスクロールされる。推進コマンドによれば、フリックの変位量に基づき生成された速度ベクトルに応じて表示画像がスクロールされる。フリックの変位量が大きいと、速度ベクトルは大きく、スクロール速度は速くなる。コマンドが編集処理部140へ送信されると、コマンド解釈部134は当該コマンドの種類、及び当該コマンドの発生時刻に関する情報を反復検出部142へ送信する。
生成されたコマンドが推移コマンド又は推進コマンドの場合、入力操作が行なわれた時点においてタッチパネル110に表示されている画像の状態によって、コマンド解釈部134は当該画像のスクロールに制限を加える。後述するファイル選択画面(図3)及び設定画面(図6)等のような、画像が上下方向にのみスクロールする画面が表示されている場合、コマンド解釈部134は左右方向の位置座標の差分をゼロとして変位量を計算する。例えば、操作開始時の位置座標が(30、0)、終了時の位置座標が(40、80)であるドラッグが検出された場合、コマンド解釈部134は左右方向の差分をゼロとし、上方向に80だけ画像をスクロールさせる推移コマンドを生成する。
後述する文書ファイル閲覧画面(図5)のように、上下左右方向と斜め45度方向とにスクロールが制限されており斜め45度方向に近い方向でスクロール操作があった場合、コマンド解釈部134は、変位量のX成分及びY成分の絶対値を足して2で割ったものに各成分の元の符号を付した変位量だけ画像をスクロールさせるコマンドを生成する。例えば、変位量が(−60、80)であるフリックが検出された場合、コマンド解釈部134は左右方向の変位量が−70、上下方向の変位量が70となるように画像をスクロールさせる。
本実施の形態では、ファイル選択画面(図3)及び設定画面(図6)はスクロールが上下2方向に、音楽ファイル再生画面(図4)は上下左右4方向に、文書ファイル閲覧画面(図5)は上下左右斜め8方向に、それぞれスクロールが制限される。コマンドを生成すると、コマンド解釈部134は当該コマンドを編集処理部140及び反復検出部142へ送信する。
編集処理部140は、コマンド解釈部134から送られたコマンドに応じて処理の内容を決定する。例えば、ファイル選択画面(図3)が表示されている状態で選択コマンドが送られてきた場合、編集処理部140は当該選択コマンドが示す位置座標に対応するデータファイルをファイル管理部136より読出し、出力部138に送信する。出力部138は当該データファイルの内容に応じて、増幅器116に音声を出力させたり表示装置112に画像を表示させたりする指示信号を各機能部へ送信する。推進コマンドが送られてきた場合、編集処理部140は当該コマンドが示す速度ベクトルに応じて画像を慣性スクロールするよう指示する信号を出力部138へ送信する。表示装置112では、当該速度ベクトルに基づく速度で、画像のスクロールが行なわれる。このようにして、編集処理部140はコマンド解釈部134から送られたコマンドに応じて、選択されたデータファイルの読出、音楽ファイルの再生及び停止、並びに、表示画像のスクロール等の処理の実行を制御する。
編集処理部140はさらに、表示装置112で画像が慣性スクロールされている場合に、当該スクロールの速度を所定の摩擦係数に基づき減少させる制御を行なう。編集処理部140は慣性スクロールの速度ベクトルの各成分の絶対値を、所定の摩擦係数に基づき減少させる。編集処理部140は、慣性スクロールの速度が減少するごとに、減速後の速度ベクトルに関する情報を出力部138へ送信する。摩擦係数は慣性スクロールの速度にかかわらず常に一定であり、元の速度が大きいほど慣性スクロールは長く続く。
反復検出部142はコマンド解釈部134より送られたコマンドの種類及び発生時刻に基づき、同種のコマンドが所定の時間内に所定の回数以上の回数だけ生成されたか否かを判定する。ユーザはこの所定の時間及び所定の回数を、後述の設定画面(図6)を操作して設定できる。
このように、所定の時間内に所定の回数以上のジェスチャ操作が検出されたことに基づき繰返し同種のコマンドが生成されたことを、以下では「繰返し条件を満たす」と呼ぶことがある。さらに、繰返し条件が満たされたことにより情報処理装置100が特定の動作を行なう状態を、以下では「繰返し状態」と呼ぶことがある。一方、繰返し条件が満たされておらずジェスチャ操作に基づく制御が行なわれている状態を「通常状態」と呼ぶことがある。
本実施の形態では、この判定処理の対象となるのは、選択コマンド、停止コマンド、及び推進コマンドのみである。推移コマンドは判定処理の対象とならない。選択コマンド及び停止コマンドが所定の回数以上生成されていると判定された場合、反復検出部142は選択又は停止の繰返しを検出したことを通知する信号をコマンド自発部144へ送信する。
推進コマンドが所定の回数以上生成された場合、反復検出部142はさらに、検出された複数の推進コマンドの変位量によって表される方向が同一か否かを判定する。例えば、変位量が(0、−80)である推進コマンドと変位量が(0、80)である推進コマンドとが所定の時間内に検出されると、上下方向の各変位量の符号が異なるため、反復検出部142はこれらを同種の推進コマンドと判定しない。すなわち、繰返し条件は充足されない。一方、変位量が(80、−80)の推進コマンドと(90、−90)の推進コマンドとが検出された場合には、反復検出部142は推進の繰返しを検出したと判定する。このように、移動が制限されている方向の成分の符号が同じである推進コマンドが検出された場合、反復検出部142は推進の繰返しを検出したことを通知する信号をコマンド自発部144へ送信する。
コマンド自発部144は、反復検出部142からの通知信号に基づきいずれのコマンドが生成されたかを判定し、推進コマンドが繰返し生成された場合にのみ新たなコマンドを自己生成する。本実施の形態では、選択コマンド又は停止コマンドの繰返しが検出されても新たなコマンドは生成されない。コマンド自発部144は、コマンドを自己生成する時点で実行されている慣性スクロールの速度ベクトルに関する情報を編集処理部140より取得し、繰返し検出された推進コマンドのうち最後に検出された推進コマンドが示す速度ベクトルを当該速度ベクトルに加算する。コマンド自発部144は加算後の速度ベクトルを付した推進コマンドを自己生成し、編集処理部140へ送信する。編集処理部140はこの速度ベクトルに基づき画像をスクロールするよう指示する信号を出力部138へ送信する。
通常の推進コマンドに基づく慣性スクロールは、当該推進コマンドが示す速度ベクトルによってその速さが決まる。一方、推進の繰返しが検出され、コマンド自発部144で自己生成された推進コマンドに基づく慣性スクロールは、コマンドが生成された時点での慣性スクロールの速度ベクトルに生成された当該推進コマンドが示す速度ベクトルを加算して得られる速度ベクトルによってその速さが決まる。したがって、自己生成されたコマンドに基づく慣性スクロールは通常の慣性スクロールに比べて格段に速い。なお、新たなコマンドに基づくスクロールが実行されている場合でも、通常の慣性スクロールが実行されている場合と同様に、編集処理部140は速度を減衰させる制御を行なう。
[表示画面]
タッチパネル110(図2)にはユーザ操作に応じた表示画面が表示される。図3のファイル選択画面160は情報処理装置100の電源がオンされたときにタッチパネル110に表示される画面である。ユーザはファイル選択画面160を操作して、メモリカード120に記憶されているファイルのうちいずれを実行するかを選択できる。
ファイル選択画面160は、各機能キーを表示する機能キー表示領域162と選択可能なデータファイルを表示するファイル表示領域164とを含む。機能キー表示領域162には、メモリカード120より読出されたデータファイル全てを表示する全ファイル表示キー166、読出されたデータファイルのうち音楽ファイルのみを表示する音楽ファイル表示キー168、文書ファイルのみを表示する文書ファイル表示キー170、お気に入り登録されたデータファイルのみを表示するお気に入りファイル表示キー172、図示しない設定画面を表示する設定キー174、及び、情報処理装置100の電源をオフするための電源オフキー176が表示される。
機能キー表示領域162に表示される機能キーのうちいずれの機能キーが選択されているかによって、ファイル表示領域164に表示されるファイルの種類は異なる。図3に示すファイル選択画面160では全ファイル表示キー166が選択されており、このとき、全ファイル表示キー166は二重枠線で強調表示される。この強調表示は、全ファイル表示キー166が選択状態であることを示す。このとき、ファイル表示領域164にはメモリカード120より読出されたデータファイルがファイル表示178−184として表示される。
ファイル表示178及び180は、それぞれ音楽ファイルを示す。各表示には音楽ファイルの楽曲名、演奏時間、演奏者、及び、当該楽曲が収録されている音楽アルバムの名称等が表示される。例えば、ファイル表示178は、楽曲名が「曲A」、曲Aが収録されていた音楽アルバムの名称が「メモリアル・ベスト」、演奏時間が3分05秒、演奏者が歌手Bであることを示す。
ファイル表示182及び184は、それぞれ文書ファイルを示す。各表示には当該文書ファイルの名称及びデータ容量等が表示される。例えばファイル表示182のデータファイルは「××年×月×日特許公報」という名称の文書データであり、そのデータ容量は80キロバイトである。
所望する機能キー又はデータファイルを選択する場合、ユーザは所望の機能キー又はファイル表示が表示される箇所をダブルクリックする。ダブルクリックされた機能キー又はファイル表示は、図3に示される全ファイル表示キー166のように選択状態であることを示す表示となる。選択されたキーの内容に応じた画面がタッチパネル110のファイル表示領域164に表示される。選択されたデータファイルが音楽ファイルの場合は、当該音楽ファイルの再生も同時に行なわれる。
図4を参照して、図3に示されるファイル表示178に対応する音楽ファイルが選択されると、当該音楽ファイルの音声データが増幅器116(図2)より出力されるとともに、タッチパネル110の表示が図3のファイル選択画面160から音楽ファイル再生画面190に切替わる。音楽ファイル再生画面190には、再生中の音楽ファイルの名称を表示するファイル名表示192と、再生中の音楽の音量を示す音量バー194と、現在の再生箇所が曲全体のどの位置かを示す現在位置バー196とが表示される。
音量バー194の中央部には、下端から上方へ伸びる棒が表示される。この棒の長さが音量を示しており、長いほど音量は大きい。この棒を上下方向にドラッグ又はフリックすることで、ユーザは音量を調整できる。
現在位置バー196の中央部にも左端から右方向へ伸びる棒が表示され、この棒の外側には当該棒を囲むようにして左右方向に長い枠が表示されている。この枠の左右方向の長さが再生中の曲全体の長さを示し、再生が進むにつれて棒の長さは右方向へ伸びていく。ユーザは棒の長さを参照して、曲全体のどの位置が再生されているかを容易に確認できる。
現在位置バー196の中央部の棒を左右方向にドラッグすることで、ユーザは再生位置を所望の位置に移動できる。又は、現在位置バー196上で左右方向にフリックを行なっても、ユーザは再生位置を移動できる。この場合はフリックの速さに応じて移動量が決まる。
再生位置が左端又は右端に達してもなお再生位置を移動させる操作が行なわれる場合、当該楽曲の前の曲又は後の曲が再生される。例えば、再生位置が左端に達した状態で左方向への移動が行なわれた場合、前の曲(図3の選択画面において、曲Aの1つ前に表示される曲)が再生される。再生位置が右端に達した状態で右方向への移動が行なわれた場合、曲Aの次の曲が再生される。再生される曲が切替わることにより、ファイル名表示192及び現在位置バー196等の表示も変更される。
現在位置バー196の左端又は右端の中点を中心とした所定範囲内の領域は、曲戻し操作領域198又は曲送り操作領域200と呼ばれる。これら領域内をタップするジェスチャ操作が検出されると、再生位置が再生中の曲の先頭へ移動する曲戻し、又は次の曲へ移動する曲送りが実行される。例えば、図4に示すように曲全体の半ば程度の位置で再生されているときにユーザが曲送り操作領域200をタップすると、再生中の曲の次の曲が先頭から再生される。当該再生に伴ない、現在位置バー196の表示も変更される。又は、曲の先頭から所定範囲内の位置で当該曲が再生されているときにユーザが曲戻し操作領域198をタップすると、当該曲の前の曲が先頭から再生される。所定範囲を超えた位置で再生されているときにタップすると、当該曲の先頭から再生される。
図5を参照して、図3に示されるファイル表示182に対応する文書ファイルが選択されると、タッチパネル110には文書ファイル閲覧画面206が表示される。ユーザはドラッグ又はフリックを行なうことで、文書ファイル閲覧画面206で表示される画像をスクロールさせることができる。上記したように、文書ファイル閲覧画面206では、スクロール可能な方向は上下左右及び斜めの8方向に限定される。ピンチイン及びピンチアウトを行なうことで、ユーザは表示画像を拡大又は縮小させることができる。
図6を参照して、図3に示される設定キー174が押下されると、タッチパネル110の表示は図3のファイル選択画面160から設定画面210に切替わる。設定画面210は情報処理装置100の各種設定を行なうときに表示される画面であり、設定画面210にはスクロールに関する設定項目が表示されている。ユーザが時間に関するしきい値設定ボックス212をタッチすると、0.5秒間隔で0.5秒〜9.5秒までのいずれかの時間を選択するための図示しない選択表示が表示される。同様に、ユーザが回数に関するしきい値設定ボックス214をタッチすると、3回〜9回までのいずれかの回数を選択するための図示しない選択表示が表示される。本実施の形態では、時間に関するしきい値を1.0秒、回数に関するしきい値を3回に設定したものとする。これら時間及び回数に関するしきい値が情報処理装置100の制御にどのように関連するかについては後述する。
[ソフトウェア構成]
<コマンド生成>
図2及び図7を参照して、ジェスチャ検出部132から何らかのジェスチャ操作が検出されたことを通知する信号を受信したことに応答して、コマンド解釈部134では図7に示すプログラムの実行が開始される。
このプログラムは、ジェスチャ操作を検出したことを通知する信号をジェスチャ検出部132より受信するステップ220と、検出されたジェスチャ操作がどのようなものかを判定するステップ222と、ステップ222の判定によりタップが検出されたことに応じて、情報処理装置100が通常状態の場合はタップが行なわれた位置座標を示す情報を付した選択コマンドを生成し、繰返し状態の場合は停止コマンドを生成するステップ224と、ドラッグ終了が検出されたことに応じて、ドラッグ終了時点の位置座標を示す情報を付した停止コマンドを生成するステップ226と、フリックが検出されたことに応じて、当該フリックの変位量に基づく速度ベクトルを示す情報を付した推進コマンドを生成するステップ228と、ドラッグが検出されたことに応じて、ドラッグ開始時の位置座標及び終了時の位置座標を示す情報を付した推移コマンドを生成するステップ230と、その他のジェスチャ操作が検出されたことに応じて、当該ジェスチャ操作に応じたコマンドを生成するステップ232と、ステップ224−232で生成されたコマンドを編集処理部140及び反復検出部142に出力するステップ234とを含む。ステップ234の処理が終了すると図7のプログラムの実行は終了する。
<繰返し状態の検出>
図2及び図8を参照して、情報処理装置100の電源が投入されると、反復検出部142では図8に示すプログラムの実行が開始される。
このプログラムは、初期処理として、実行されたコマンドの値を示す「今回コマンド」に無効値を代入するステップ240を含む。このプログラムはさらに、新たなコマンドを受信したときの初期処理として、前回実行されたコマンドの値を示す「前回コマンド」に今回コマンドの値を代入し、さらに、繰返し回数に1を、繰返し開始時刻に代入実行時点での時刻をそれぞれ代入するステップ242と、今回コマンドにコマンド解釈部134より受信したコマンドの内容を示す値を代入するステップ244と、今回コマンドの値が繰返し条件検出の対象コマンド(本実施の形態では、選択コマンド、停止コマンド、及び推進コマンド)を示しているか否かを判定するステップ246と、ステップ246の判定結果が肯定であることに応答して、今回コマンドと前回コマンドとが同じ種類のコマンドか否かを判定するステップ248と、ステップ248の判定結果が肯定であることに応答して、前回コマンドに今回コマンドの値を代入し、さらに、繰返し回数に1加算するステップ250と、経過時間に、現在時刻から繰返し開始時刻を差引いて得られる時間を代入するステップ252と、ステップ252で算出された経過時間がしきい値保持部146で保持されている所定の時間以下か否かを判定するステップ254と、ステップ254の判定結果が肯定であることに応答して、ステップ250で算出された繰返し回数がしきい値保持部146に保持されるしきい値より大きいか否かを判定するステップ256とを含む。
このプログラムはさらに、ステップ256の判定結果が肯定であることに応答して、今回コマンドの値及び繰返し回数をコマンド自発部144へ出力するステップ258と、繰返し開始時刻にコマンド出力時点の時刻を代入するステップ260と、コマンド解釈部134よりコマンドを受信し、当該コマンドの値を今回コマンドに代入するステップ262と、今回コマンドが対象コマンドか否かを判定するステップ264と、ステップ264の判定結果が肯定であることに応答して、今回コマンドと前回コマンドとが同じか否かを判定するステップ266と、前回コマンドに今回コマンドの値を代入し、さらに繰返し回数に1加算するステップ268と、現在時刻から繰返し開始時刻を差引いて得られる時間を経過時間に代入するステップ270と、ステップ270で算出された経過時間が所定の時間よりも大きいか否かを判定するステップ272とを含む。
ステップ248、254、及び266の判定結果が否定の場合、並びに、ステップ272の判定結果が肯定の場合、制御はステップ242に戻る。ステップ256の判定結果が否定の場合、制御はステップ244に戻る。ステップ246の判定結果が否定の場合、ステップ247で前回コマンドに無効値を代入して、制御はステップ244に戻る。
ステップ264の判定結果が否定の場合、制御はステップ262に戻る。ステップ272の判定が否定の場合、制御はステップ258に戻る。
上記したように、ステップ258において送信されたコマンドに基づき、コマンド自発部144はコマンドを自己生成する。編集処理部140はこの自己生成されたコマンドに基づき繰返し処理を実行するよう出力部138を制御する。したがって、ステップ256の判定結果が肯定であることに応答して、繰返し条件が充足され、情報処理装置100は通常状態から繰返し状態へ移行する。ステップ266の判定結果が否定、又はステップ272の判定結果が肯定であれば、繰返しの実行は終了し、制御は繰返し状態から通常状態に戻る。
[動作]
図2及び図7−12(特に図2、図8、及び図9)を参照して、タッチパネル110に文書ファイルが表示されている状態でユーザが同一方向のフリックを何度か繰返したときに、情報処理装置100で実行される表示制御について説明する。
図9を参照して、本実施の形態では、ユーザは同方向のフリックを5回行なうとする。図9に示されるa1−a2は1回目のフリックにおいて指が入力装置114に接触してから離れるまでの接触時間を示す。同様に、b1−b2は2回目の、c1−c2は3回目の、d1−d2は4回目の、e1−e2は5回目のフリックでの接触時間を、それぞれ示す。時間tは通常状態での時間に関するしきい値を、時間Tは繰返し状態での時間に関するしきい値をそれぞれ示す。本実施の形態では、図6の設定画面210で設定された設定に基づきしきい値t及びしきい値Tはいずれも1.0秒とするが、これらは異なる値でもよい。さらに、速度V1、V2、及びV3は、各時点で実行されるスクロールの速度ベクトルの大きさを示す。説明を簡単にするため、本実施の形態では、ユーザは毎回同一変位量のフリックを行なうとする。
ユーザが1回目のフリック(a1−a2)を行なうと、ジェスチャ検出部132は入力装置114から検出信号を受信し、当該ジェスチャ操作がフリックであることを通知する信号を、フリックの変位量を示すデータとともにコマンド解釈部134へ送信する。
コマンド解釈部134がジェスチャ検出部132から信号を受信したことに応答して、図7に示すプログラムが実行される。コマンド解釈部134はジェスチャ検出部132から受信した信号に基づき、当該ジェスチャがどのような操作であるかを判定する(ステップ222)。当該ジェスチャ操作がフリックであるため、コマンド解釈部134は当該フリックの変位量より算出される速度ベクトルを有する推移コマンドを生成し(ステップ228)、この推移コマンドを編集処理部140及び反復検出部142へ出力する(ステップ234)。ステップ234の処理が終了すると、図7に示すプログラムの実行は終了する。
図8を参照して、コマンド解釈部134からコマンドを受信したことに応答して、反復検出部142は今回コマンドに無効値を代入する(ステップ240)。反復検出部142は前回コマンドに今回コマンドの値を、繰返し開始時刻に現在時刻をそれぞれ代入し、さらに、繰返し回数を1とする(ステップ242)。反復検出部142はコマンド解釈部134より受信したコマンドの値を今回コマンドに代入する(ステップ244)。
反復検出部142はコマンド解釈部134より受信したコマンドが選択コマンド、停止コマンド、及び推進コマンドのいずれかか否かを判定する(ステップ246)。受信したコマンドは推進コマンドであるためこの判定結果は肯定となり、制御はステップ248に進む。反復検出部142は今回コマンドの値と前回コマンドの値とを比較して、これら値が同じか否か、すなわち、今回コマンドと前回コマンドが同種のコマンドか否かを判定する。前回コマンドには無効値が代入されているのでこの判定結果は否定となり、制御はステップ242へ戻る。
反復検出部142は前回コマンドに推進コマンドの値を代入し、繰返し回数を1とし、さらに繰返し開始時刻にその時点での時刻(1回目のフリックで指が離れた時刻である時刻a2)を代入する(ステップ242)。
コマンド解釈部134より推進コマンドを受信したことに応答して、編集処理部140は当該推進コマンドが有する速度ベクトルが示す速度V1で画像をスクロールするよう、出力部138へ指示信号を送信する。出力部138は画像スクロールを指示する信号を表示装置112に送信する。図10に示すように、タッチパネル110上では速度V1で画像がスクロールされる。画像のスクロールが開始されると、編集処理部140は所定間隔で当該スクロールの速度を減衰させる制御を行なう。したがって図9に示すように、スクロール速度はスクロールが開始した時点(a2)から徐々に減衰していく。
ユーザが2回目のフリック(b1−b2)を行なうと、1回目のフリックのときと同様に、コマンド解釈部134は当該フリックに基づく速度ベクトルを有する推進コマンドを生成し、編集処理部140及び反復検出部142へ送信する(ステップ234)。
コマンド解釈部134より推進コマンドを受信したことに応答して、反復検出部142は、当該推進コマンドの値を今回コマンドに代入する(ステップ244)。新たに受信したコマンドは推進コマンドであるため、反復検出部142はステップ246及び248においていずれも肯定と判定する。
ステップ248の判定結果が肯定であることに応答して、反復検出部142は、前回コマンドに新たに生成された推進コマンドを示す値を代入し、繰返し回数を1加算して2とする(ステップ250)。反復検出部142は現在時刻から繰返し時刻を差引いて経過時間を算出し(ステップ252)、この経過時間が時間に関するしきい値tより小さいか否かを判定する。図9を参照して、時間a2−b2はしきい値tより小さいので、ステップ254の判定結果は肯定となる。この時点での繰返し回数は2回であり設定されたしきい値の3回よりも小さいので、反復検出部142はステップ256で否定と判定する。この判定結果に応答して、制御はステップ244に戻る。
1回目のフリックのときと同様に、編集処理部140はコマンド解釈部134より受信した推進コマンドに基づき、速度V1で画像をスクロールするよう指示する信号を出力部138へ送信する。タッチパネル110上では速度V1で画像がスクロールされる(図10)。
3回目のフリック(c1−c2)が検出されると、反復検出部142は2回目のフリックが検出されたときと同様にステップ244−252の処理を実行する。時間a2−c2はしきい値t以下であるので、ステップ254の判定結果は肯定となる。さらにこの時点での繰返し回数は3回でありしきい値の3回と同じ回数であるため、ステップ256において反復検出部142は肯定と判定する。
ステップ256の判定結果が肯定であることに応答して、反復検出部142は3回目に生成された推進コマンドと繰返し回数(3回)をコマンド自発部144へ出力する(ステップ258)。推進コマンド及び繰返し回数を受信したことに応じて、コマンド自発部144は、受信したコマンドの速度ベクトルと3回目のフリックで指が離れた時点(c2)で実行されていたスクロールの速度とを加算して得られる速度ベクトルV2を有する推進コマンドを編集処理部140へ送信する。
編集処理部140はコマンド解釈部134から推進コマンドを受信しているが、その直後に新たに生成された推進コマンドをコマンド自発部144から受信する。したがって編集処理部140はコマンド自発部144から受信した推進コマンドに基づき画像をスクロールするよう指示する信号を出力部138へ送信する。出力部138からの指示信号に基づき、タッチパネル110では、図11に示すように速度V2で画像がスクロールされる。
ユーザが4回目のフリック(d1−d2)を行なうと、コマンド解釈部134は当該フリックに基づく推進コマンドを反復検出部142へ送信する。これに応答して、反復検出部142は受信した推進コマンドの値を今回コマンドに代入する(ステップ262)。今回コマンドの値は推進コマンドを示すため、ステップ264及び266の判定結果はいずれも肯定となる。反復検出部142は前回コマンドに今回コマンドの値を代入し、繰返し回数を1加算して4とする(ステップ268)。反復検出部142は現在時刻(d2)から繰返し開始時刻(c2)を差引いて得られる経過時間(c2−d2)を算出し、この経過時間が時間に関するしきい値Tより大きいか否かを判定する。図9を参照して、時間c2−d2はTより短いためこの判定結果は否定となり、制御はステップ258へ戻る。
反復検出部142は、4回目のフリックに基づく推進コマンドと繰返し回数(4回)をコマンド自発部144へ出力する(ステップ258)。コマンド自発部144は3回目のフリックに基づき推進コマンドを自己生成したときと同様に、時刻d2で実行されるスクロールの速度に、当該推進コマンドの速度ベクトルを加算して得られる速度ベクトルV3を有する推進コマンドを自己生成して、編集処理部140へ送信する。この推進コマンドに応じて、画像は図12に示すように速度V3でスクロールされる。反復検出部142は現在時刻(d2)を繰返し開始時刻の値に代入する(ステップ260)。
ユーザが5回目のフリック(e1−e2)を行なうと、コマンド解釈部134は当該フリックに基づく推進コマンドを編集処理部140及び反復検出部142へ送信する。反復検出部142は4回目のフリックが検出されたときと同様に、ステップ262−270の処理を実行する。受信したコマンドは推進コマンドであるため、ステップ264及び266の判定結果は肯定となる。
図9に示すように、繰返し開始時刻(d2)から5回目のフリックが検出された時刻(e2)までの経過時間(d2−e2)は時間に関するしきい値Tよりも大きい。したがってステップ272の判定結果は肯定となり、制御はステップ242に戻る。ステップ242において、反復検出部142は前回コマンドに当該推進コマンドを、繰返し開始時刻に現在時刻(e2)を代入し、繰返し回数を1とする。
編集処理部140はコマンド解釈部134より受信した推進コマンドに基づき、画像をスクロールするよう指示する信号を出力部138へ送信する。タッチパネル110では、速度V1で画像がスクロールされる(図10)。
[第1の実施の形態の作用及び効果]
本実施の形態に係る情報処理装置100によると、選択コマンド、停止コマンド、及び推進コマンドのいずれかのコマンドのうち、同種のコマンドが所定の時間内に所定の回数以上繰返し生成されると、反復検出部142は繰返し条件を満たすと判定する。さらに当該コマンドが対象コマンド(本実施の形態では、同方向の推進コマンドのみ)であると判定されると、コマンド自発部144は、直前に実行されていたスクロール速度に当該フリックに基づく速度を加算して得られる速度ベクトルを有する推進コマンドを自己生成する。表示装置112では自己生成された推進コマンドに基づき、画像が連続スクロールされる。
上記したように、速度V1がフリックの変位量のみに基づく速度であるのに対し、速度V2及びV3は直前に実行されていたスクロールの速度に、フリックの変位量に基づく速度を加算して得られたものである。したがって、図10−12に示されるように、速度V2及びV3は速度V1よりも格段に速くなる。ユーザはフリックを所定時間内に所定の回数以上繰返すことで、慣性スクロールの速度より速いスクロールを実行させることができる。これにより、少ない操作回数で効率的に画像のスクロールを行なうことができる。
情報処理装置100を通常状態から繰返し状態に移行させるためには、ユーザは時間に関するしきい値t内に所定の回数(本実施の形態では3回)以上のジェスチャ操作を行なわなければならない。一方、繰返し状態に移行した後は、ユーザがしきい値T内に1回フリックを行なえば、当該フリックに基づきスクロールの速度が加速される。このように、情報処理装置100が繰返し状態に移行するまでは、ユーザは短い間隔でフリックを行なわなければ大きな移動量のスクロールが実行できないのに対し、移行後に行なうフリックは、当該フリックを行なうまでの経過時間がしきい値T内であれば、大きな移動量のスクロールを実行させることができる。情報処理装置100が繰返し状態に移行した後は、ユーザはスクロールされる画像を参照しながら、移行前に比べてゆったりとした間隔でフリックを行なうことができる。このように、繰返し状態に移行する前後でのフリックの間隔が異なることでヒステリシスが生じる。これにより、情報処理装置100の操作性を高めることができる。
本実施の形態において検出される接触点の個数は基本的に1個を想定しているが、複数個検出する装置に本実施の形態の仕組を適用することもできる。したがって、タッチパネル110はシングルタッチ対応パネル及びマルチタッチ対応パネルのどちらで構成されていてもよく、情報処理装置100では設計者の意図及びユーザの希望等に応じた設計が可能となる。
<<第2の実施の形態>>
上記した第1の実施の形態では、画像を同一方向に移動させるための推進コマンドが繰返し生成された場合にのみ、コマンド自発部144(図2)は新たなコマンドを自己生成している。選択コマンド又は停止コマンドの繰返しが検出された場合には、新たなコマンドは生成されない。さらに、情報処理装置100が繰返し状態に移行した後は、コマンド自発部144は1回フリックが検出される度に1つの新たなコマンドを自己生成している。これに対して、第2の実施の形態に係るコマンド解釈部134は、同一処理を選択するための選択コマンドが繰返し生成された場合にのみ新たなコマンドを自己生成する。さらに、情報処理装置100が繰返し状態に移行した後、当該コマンド解釈部134は、所定間隔で新たなコマンドを繰返し自己生成する。この自己生成は、当該繰返しを中止させるジェスチャが検出されるまで実行され続ける。これらの点を除けば第2の実施の形態は第1の実施の形態と同様であるため、以下では説明を繰返さない。
[動作]
図2、図4、及び図7−8を参照して、楽曲の再生中にユーザが曲送り操作領域200(図4)を所定の時間内に所定の回数以上繰返しタップしたときに、情報処理装置100で実行される表示制御について説明する。
図4及び図7を参照して、曲Aを再生中に、曲送り操作領域200がタップされたことを通知する信号をジェスチャ検出部132より受信すると(ステップ220)、コマンド解釈部134は当該信号の示すジェスチャ操作がどのような操作かを判定する(ステップ222)。当該操作はタップであり、当該タップが行なわれた時点では画像スクロール等の処理は実行されていないので、コマンド解釈部134は選択コマンドを生成して(ステップ224)編集処理部140及び反復検出部142へ送信する。
図8を参照して、反復検出部142はコマンド解釈部134から選択コマンドを受信したことに応答して、ステップ240及び242の処理を実行する。ステップ244において、反復検出部142は今回コマンドに受信した選択コマンドの値を代入する。
ステップ246の判定処理において、受信したコマンドは選択コマンドなので判定結果は肯定となり、制御はステップ248へ進む。
ステップ248において、前回コマンドが無効値、今回コマンドが受信した選択コマンドの値であるので、反復検出部142は否定と判定する。制御はステップ242へ戻る。
編集処理部140はコマンド解釈部134よりタップされた位置座標が曲送り操作領域200の位置座標であることを示す選択コマンドを受信したことに応答して、曲Aの次の曲をファイル管理部136より読出し、再生中の楽曲を曲Aから当該曲に変更するよう指示する信号を出力部138へ送信する。出力部138は表示装置112及び増幅器116へ制御信号を送信する。タッチパネル110には当該曲を再生中であることを示す画面(図示せず。)が表示され、当該曲が先頭から再生開始される。
曲送り操作領域200がタップされたことが再び検出されると、反復検出部142はステップ242―248の処理を再度繰返す。このとき、前回コマンド及び今回コマンドともに選択コマンドを示すので、ステップ248の判定処理の結果は肯定となる。
反復検出部142はステップ250−254の処理を実行する。1回目のタップが検出された時点から2回目のタップが検出された時点までの経過時間はしきい値である1.0秒以内であるので、ステップ254において反復検出部142は肯定と判定する。
ステップ256において、タップされた繰返し回数は2回であり回数に関するしきい値の3回より小さいので、反復検出部142は否定と判定する。制御はステップ244に戻る。
2回目のタップが検出された場合も、1回目のタップが検出された場合と同様に、編集処理部140は次の曲を再生するよう制御する信号を出力部138へ送信する。これにより、指示された次の曲が再生される。
3回目のタップが検出されると、反復検出部142はステップ244−256の処理を2回目と同様に行なう。ステップ256において、このときの繰返し回数(3回)は所定の回数以上であるため、判定結果は肯定となる。制御はステップ258へ進み、情報処理装置100は通常状態から繰返し状態へ移行する。反復検出部142は今回コマンドの値及び繰返し回数をコマンド自発部144へ送信する(ステップ258)。
選択コマンドを受信したことに応答して、コマンド自発部144は曲送りを行なうための選択コマンドを所定間隔で編集処理部140に繰返し送信する。編集処理部140はコマンド自発部144から受信した選択コマンドに応じて、曲の再生及び表示の変更を行なうための指示信号を繰返し出力部138へ送信する。したがって、情報処理装置100は楽曲の先頭付近のみを再生した後、次の曲に切替わるという処理を繰返す。曲の切替に伴ない、タッチパネル110に表示される画面も切替わる。この曲の切替処理は、当該切替を終了させるジェスチャ操作が検出されるまで実行され続ける。
情報処理装置100が繰返し状態に移行した後にタッチパネル110上の曲送り操作領域200以外のいずれかの箇所をタップする操作が検出されると、コマンド解釈部134は当該操作がタップであることを判定する(ステップ222)。このとき、情報処理装置100は曲の切替を繰返し実行している最中であるため、コマンド解釈部134は曲送り処理を選択するための選択コマンドでなく、曲送りを停止し、タップされた箇所に対応する処理を選択するための選択コマンドを生成する。コマンド解釈部134は生成した当該選択コマンドを編集処理部140及び反復検出部142へ送信する(ステップ234)。
ステップ262において、反復検出部142はコマンド解釈部134より受信した選択コマンドの値を今回コマンドに代入する。受信したコマンドは選択コマンドであるためステップ264の判定結果は肯定となる。しかし、前回コマンドが曲送り処理を選択する選択コマンドであるのに対し、今回コマンドは曲送りを停止し、タップされた箇所に基づく処理を選択する選択コマンドであるため、ステップ268の判定結果は否定となる。このことに応答して、制御はステップ242に戻る。情報処理装置100は繰返し状態から通常状態へ移行する。
コマンド解釈部134から曲の切替えを停止するための選択コマンドを受信したことに応答して、編集処理部140はコマンド自発部144に選択コマンドの自己生成を停止するよう指示する信号を送信する。コマンド自発部144は当該指示信号を受信したことに応答して、選択コマンドの自己生成を停止する。これにより、曲の切替処理の実行が終了する。
[第2の実施の形態の作用及び効果]
第2の実施の形態では、ユーザが所定の時間内に所定の回数以上、曲送り操作領域を繰返しタップすると、その後は自動的に曲送り処理が繰返し実行される。曲の切替処理が実行されている状態でユーザがなんらかのジェスチャ操作を行なうと、当該切替処理は停止する。したがって、曲送りを行なうために通常必要な操作回数よりも操作回数を少なくすることができ、通信量を軽減できる。繰返し状態に移行するためのジェスチャ操作を人でなく外部装置が行なう場合、当該外部装置の操作負荷を軽減することもできる。
<<第3の実施の形態>>
上記した第2の実施の形態では、コマンド解釈部134は、同一処理を選択するための選択コマンドが繰返し生成された場合にのみ新たなコマンドを自己生成する。さらに、情報処理装置100が繰返し状態に移行した後、当該コマンド解釈部134は、所定間隔で新たなコマンドを繰返し自己生成する。この自己生成は、当該繰返しを中止させるジェスチャが検出されるまで実行され続ける。
しかし、本発明はそのような実施の形態に限定されない。繰返し処理に入った後、さらに同じ選択コマンドが入力されるとそのたびに、コマンド解釈部134が発生するコマンドのパラメータを変化させることができる。例えば第2の実施の形態で、局の切替速度を順次早くすることができる。以下に説明する第3の実施の形態は、そのような実施の形態である。これらの点を除けば第3の実施の形態の構成は第2の実施の形態の構成と同様であるため、以下では詳細な説明は繰返さない。
[構成]
この第3の実施の形態に係る音楽再生プレーヤーの構成が第1及び第2の実施の形態と異なるのは、図8に代えて、図13に示すようなフローチャートで示される制御構造を持つプログラムを用いる点である。
図13を参照して、このプログラムが図8に示すものと異なるのは、ステップ258の後の処理である。すなわちこのプログラムは、繰返し処理が開始され、ステップ258で今回コマンドと繰返し回数とをコマンド自発部に出力した後、コマンドを受信したか否か判定するステップ300と、ステップ300でコマンドを受信していないと判定されたときに、コマンド受信なしで3秒が経過したか判定し、3秒経過したときには制御をステップ242、3秒経過していないときには制御をステップ300に、それぞれ戻すステップ302と、ステップ300でコマンドを受信したときに、そのコマンドが繰返しに入るときに受信した選択コマンドと同じ選択コマンドか否かを判定するステップ304とを含む。ステップ304の判定が否定なら制御はステップ242に戻る。
ステップ304の判定が肯定の場合、ステップ306で、コマンド自発部に与えるコマンドのパラメータ値に1を加算し、ステップ308でこのパラメータをコマンド解釈部134に出力する。コマンド解釈部134がコマンドの発生を開始する場合、そのときのパラメータ値はデフォルト値である。したがってステップ306及び308の処理により、次にコマンド解釈部134が発生するコマンドのパラメータは1増加し、例えば曲を変更する(移動する)速度が1段階速くなる。
さらに、ステップ310で、タッチ開始時刻を表す変数に現在時刻を代入する。ステップ312で、コマンド解釈部134からコマンドを受信したか否かを判定する。判定が肯定ならステップ314で、そのコマンドが繰返し処理に入ったときの選択コマンドと同じ選択コマンドか否かを判定する。判定が否定なら制御はステップ242に戻る。判定が肯定の場合、制御はステップ320に進む。ステップ320以後の処理については後述する。
ステップ312の判定が否定の場合、ステップ316で現在時刻とタッチ開始時刻を表す変数との差を計算し、経過時間を表す変数にその値を代入する。さらに、ステップ318で、こうして計算された経過時間が時間に関するしきい値である所定時間以上か否かを判定する。判定が否定なら制御はステップ312に戻る。判定が肯定の場合、処理はタイムアウトとなり、制御はステップ242に戻る。
一方、ステップ314で、繰返し処理に入ったときの選択コマンドと同じ選択コマンドが入力されたと判定された場合には、ステップ320で、現在のパラメータ値が予め決められた最大値MAXと一致しているか否かが判定される。判定が肯定ならコマンド自発部に与えるパラメータの値はそれ以上変更の余地がないので、制御はステップ242に戻る。ステップ320の判定が否定なら、制御はステップ306に戻り、パラメータの値を更新(1増加させる)して、コマンド自発部144に出力する。
[動作]
この第3の実施の形態に係る携帯音楽プレーヤーは以下のように動作する。以下の説明では、この第3の実施の形態特有の機能についてのみ、その動作を説明する。
特定の選択コマンドがある時間内に所定回数繰返して入力されたときに反復検出部142がそれを検出して図13のステップ258の処理を実行し、図2に示すコマンド自発部144がその選択コマンドと同じコマンドの自発を開始するのは、第2の実施の形態の場合と同様である。
この第3の実施の形態の場合、コマンド自発部144がコマンドの自発を開始してから3秒が経過するまでに同じ選択コマンドが入力されない場合(図13のステップ302でYES)、又は3秒以内に別のコマンドが入力された場合(図13のステップ304でNO),追加の選択コマンドの入力はタイムアウトとなる。すなわち、この後に入力されたコマンド、又はステップ300で入力されたコマンドはいずれも第1回目のコマンドとして取り扱われる。
コマンド自発部144がコマンドの自発を開始してから3秒以内に、繰返し処理を発生させたのと同じ選択コマンドが入力された場合(ステップ300及びステップ304でYES)、ステップ306の処理により、コマンド自発部144に与えるパラメータの値が1増加され、ステップ308でコマンド自発部144に与えられる。したがってこの後にコマンド自発部144が発生するコマンドにより、携帯型音楽プレーヤーは、これ以前に発生していたものと異なる挙動を示す。例えば選択コマンドが再生中の曲の切替を行なうものであれば、曲の切替速度が速くなる。選択コマンドがビデオ映像又は音声の再生速度を速めるものであれば、再生速度が速くなる。選択コマンドがビデオ映像をスキップさせるものであれば、ビデオ映像のスキップする距離が大きくなったり、スキップ処理が速くなったりする。
続いて、現在時刻を記憶し(ステップ310)、別のコマンドを受信するか(ステップ312でYES、ステップ314でNO)、繰返し処理を発生させた選択コマンドと同じ選択コマンドを受信せず所定時間経過したときには(ステップ312でNO,ステップ318でYES)、繰返し処理はタイムアウトとなり、制御はステップ242に戻る。所定時間内に、繰返し処理を発生させた選択コマンドと同じ選択コマンドを受信すると(ステップ312及び314でYES)、パラメータの値が最大値になっていなければ(ステップ320でNO)パラメータの値を1増加させて(ステップ306)コマンド自発部に与える。したがってこの携帯型音楽プレーヤーの動きはさらに加速する。パラメータの値が最大値であれば(ステップ320でYES)、携帯型音楽プレーヤーの動きをそれ以上加速させられないので、制御はステップ242に戻り、新たに入力されるコマンドに対して、繰返しの発生があったか否かに関する処理が開始される。
[第3の実施の形態の効果]
以上のように、この第3の実施の形態によれば、例えば音楽を繰返しスキップする場合など、あるボタンを繰返し選択する処理を所定時間内に所定回数繰返すと、コマンド自発部がそのボタンを押したのと同じコマンドを繰返し発生させる。したがって、それ以後、同じボタンを選択する必要はなくなる。これは第2の実施の形態と同様である。第3の実施の形態ではさらに、コマンド自発部によるコマンドの自発が開始した後に、ユーザがさらに同じボタンを押すことで同じ選択コマンドを発生させると、そのたびに携帯音楽プレーヤーの挙動が変化し、例えば音楽をスキップする速度が増加したり、再生速度が増加したりする。したがって、ユーザは同じ操作を繰返した後にさらに同じ操作をすることで、その操作に対応する携帯音楽プレーヤーの挙動を制御することができる。
上記した第1〜第3の実施形態では、情報処理装置100は画像表示が可能な音楽再生プレーヤーであるが、表示装置、入力装置、及び制御装置を有する装置であれば、情報処理装置の構成は音楽再生プレーヤーに限定されない。例えばパーソナルコンピュータ、テレビ受像機、携帯端末、及び車載情報機器等、情報処理装置100を適用可能な分野は多岐に渡る。さらに、表示装置、入力装置、及び制御装置をそれぞれ異なる装置とし、これらが1つの制御システムとして動作するように構成してもよい。
上記した第1及び第2の実施形態では、情報処理装置100はメモリカードに記憶されたデータファイルを読出し、当該データファイルの表示及び再生等を行なっている。しかし、実行するデータファイルを予め情報処理装置100の記憶領域に記憶させておき、選択されたデータファイルを当該記憶領域から読み出すようにしてもよい。
上記した第1及び第2の実施形態では、情報処理装置100にセットする記憶媒体をメモリカードに限定しているが、USBメモリ等、他の記憶媒体を用いてもよい。その場合、情報処理装置100は、接続可能な記憶媒体に対応する接続部をカードソケット106以外にも有する必要がある。
上記した第1の実施の形態では、通常状態から繰返し状態に移行する際に用いられる時間に関するしきい値tと、スクロール速度を加速する際に用いられるしきい値Tは、いずれも1.0秒に設定されている。しかし、これらのしきい値をそれぞれ別個に設定してもよい。例えば、しきい値tを1.0秒に、しきい値Tを2.0秒にそれぞれ設定すれば、繰返し状態へ移行した後に、ユーザはより少ない操作回数で画像を大きくスクロールさせることができる。所望の表示箇所が画像全体のどこにあるかを探す場合、ユーザはスクロールされる画像を参照して探すことが多く、フリック間隔が長くなりやすい。しきい値をそれぞれ個別に設定可能とすることで、情報処理装置100はユーザに応じたフリック間隔を設定可能とする。さらに、繰返し状態に移行後の時間に関するしきい値Tをより細かに設定できるようにしてもよい。例えば、しきい値Tをフリックの回数に応じて段階的に増加させるようにしてもよい。具体的には、移行後の1回目のフリックは1.0秒に設定されたしきい値T1内に、2回目のフリックは2.0秒に設定されたしきい値T2内に行なわれれば、情報処理装置100は繰返し状態を継続するものとしてもよい。
上記した第1の実施の形態では、フリックに応じて画像がスクロールされているが、スクロールでなく表示画像の切替を行なうようにしてもよい。例えば、文書ファイルが表示されている状態において情報処理装置100が繰返し状態に移行した場合、画像がページ単位で切替わるように構成してもよい。こうすることで、ページ数の多い文書から所望の画像又はページを探す場合、効率的に画像を検索できる。
上記した第2の実施の形態では、曲送りを繰返し行なう処理について示しているが、曲戻し操作領域198が連続的にタップされた場合にも同様の制御を実行可能であることはいうまでもない。
今回開示された実施の形態は単に例示であって、本発明が上記した実施の形態のみに制限されるわけではない。本発明の範囲は、発明の詳細な説明の記載を参酌した上で、特許請求の範囲の各請求項によって示され、そこに記載された文言と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含む。