JP2018047958A - 撥ヨーグルト性・撥水性蓋材 - Google Patents
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Abstract
【課題】表面にトリメチルシリル基を結合させることにより疎水化処理が施された疎水化処理シリカ粒子を使用することなく、実用的なヒートシール強度を示し、しかもヨーグルトや乳酸飲料等の乳製品をはじめとする液状乃至流動食品に適用した場合には、蓋材の裏面にヨーグルト等の食品を付着させないだけなく、良好な容器ピール強度と封緘強度とを示し、更に製造コストの低減が可能な新規な撥ヨーグルト性・撥水性蓋材を提供する。
【解決手段】撥ヨーグルト性・撥水性蓋材は、少なくとも基材、ヒートシール層及び撥ヨーグルト性・撥水層がこの順で積層された構造を有するものであって、撥ヨーグルト性・撥水層は、疎水化処理が施された金属炭酸塩粒子を含有する。金属炭酸塩粒子は、炭酸カルシウム粒子である。
【選択図】図1
【解決手段】撥ヨーグルト性・撥水性蓋材は、少なくとも基材、ヒートシール層及び撥ヨーグルト性・撥水層がこの順で積層された構造を有するものであって、撥ヨーグルト性・撥水層は、疎水化処理が施された金属炭酸塩粒子を含有する。金属炭酸塩粒子は、炭酸カルシウム粒子である。
【選択図】図1
Description
本発明は、ヨーグルト、乳酸飲料などの液状乃至流動乳製品等の液状乃至流動食品を収容する容器の開口部をヒートシールにより密封するための撥水性蓋材に関する。
ゼラチンで固形化されていないソフトタイプのヨーグルト製品は、一般に、必要に応じてヒートシール層がライニングされたプラスチック容器にヨーグルトが収容され、そのプラスチック容器の開口部に、透明保護層/印刷層/アルミニウム箔/応力緩和層/ヒートシール層が積層一体化された蓋材を、そのヒートシール層側から適用し、ヒートシールすることにより密封して販売されている。このようなヨーグルト製品においては、従来より、蓋材の裏面(内容物側面)にヨーグルトが付着するという問題があった。
そこで、蓋材のヒートシール性を損なうことなく、蓋材の裏面にヨーグルトが付着しないように、疎水化処理シリカ粒子のエタノール分散液をヒートシール層に塗布乾燥して撥水層(具体的には、撥ヨーグルト層)を形成した撥水性蓋材が提案されている(特許文献1)。ここで、疎水化処理シリカ粒子は、シリカ粒子の表面にトリメチルシリル基を結合させることにより疎水化処理が施されたものである。実際のところ、この撥水性蓋材のヒートシール層のヒートシール性は、撥水層形成前よりも低下するものの実用上問題のないレベルに維持されており、また、撥水層の撥水性も実用上問題のないレベルであった。
しかしながら、特許文献1の疎水化処理シリカ粒子の製造の際、高価でしかも極めて加水分解性が高いために取扱い難いトリメチルシリルクロライドを製造原料として使用する必要があるため、特許文献1の撥水性蓋材については、その製造コストの低減が困難であるという問題があった。
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決しようとするものであり、表面にトリメチルシリル基を結合させることにより疎水化処理が施された疎水化処理シリカ粒子を使用することなく、実用的なヒートシール強度を示し、しかもヨーグルト、乳酸飲料などの液状乃至流動乳製品に適用した場合には、蓋材の裏面にヨーグルトなどの液状乃至流動乳製品を付着させないだけでなく、良好な容器ピール強度と封緘強度とを示し、更に製造コストの低減が可能な新規な撥水性蓋材を提供することである。
本発明者らは、蓋材のヒートシール層の表面に、疎水化処理、好ましくは金属石鹸による湿式表面処理が施された金属炭酸塩粒子を含有する撥水層を形成することにより上述の目的が達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、少なくとも基材、ヒートシール層及び撥水層がこの順で積層された撥水性蓋材であって、撥水層が、疎水化処理が施された金属炭酸塩粒子を含有する撥水性蓋材を提供する。
また、本発明は、上述の撥水性蓋材の製造方法であって、疎水化処理が施された金属炭酸塩粒子を有機溶媒に分散させ、得られた分散液を、基材とヒートシール層とが積層された積層体の当該ヒートシール層に塗布し、乾燥することにより撥水層を形成することを特徴とする製造方法を提供する。
更に、本発明は、食品容器と、その中に収容された液状乃至流動食品と、該容器の開口部を密封している蓋材とから構成される容器入り食品であって、該蓋材が請求項1記載の撥水性蓋材であり、その撥水性蓋材が、撥水層側から開口部に適用されヒートシールされていることを特徴とする容器入り食品を提供する。
本発明の撥水性蓋材においては、ヒートシール層の表面に、疎水化処理が施された金属炭酸塩粒子を含有する撥水層が形成されている。このため、本発明の撥水性蓋材は、実用的なヒートシール強度を示し、しかも液状乃至流動食品、例えばヨーグルトに適用した場合には、蓋材の裏面にヨーグルトを付着させないだけなく、良好な容器ピール強度と封緘強度とを示す。特に、疎水化処理として、低コストで処理が可能な“金属石鹸による湿式表面処理”を採用した場合には、撥水性蓋材の製造コストの低減が可能となる。
<撥水性蓋材>
本発明の撥水性蓋材は、少なくとも基材、ヒートシール層及び撥水層がこの順で積層された撥水性蓋材であって、撥水層が、疎水化処理が施された金属炭酸塩粒子を含有することを特徴とする。なお、これらの基材とヒートシール層との間には、公知の応力緩和層を設けてよく、また、ヒートシール層と反対側の基材表面には、公知の印刷層や、更に透明保護層を設けることができる。また、これらの層を積層するに当たっては、必要に応じて公知のウレタン系のアンカー層を設けることができる。
本発明の撥水性蓋材は、少なくとも基材、ヒートシール層及び撥水層がこの順で積層された撥水性蓋材であって、撥水層が、疎水化処理が施された金属炭酸塩粒子を含有することを特徴とする。なお、これらの基材とヒートシール層との間には、公知の応力緩和層を設けてよく、また、ヒートシール層と反対側の基材表面には、公知の印刷層や、更に透明保護層を設けることができる。また、これらの層を積層するに当たっては、必要に応じて公知のウレタン系のアンカー層を設けることができる。
<撥水層>
本発明の撥水性蓋材の撥水層は、撥水性蓋材のヒートシール側表面に撥水性、特に撥ヨーグルト性を付与する層であり、疎水化処理が施された金属炭酸塩粒子を含有する層である。この撥水層は、疎水化処理が施された金属炭酸塩粒子を有機溶媒に分散させて得た分散液を、ヒートシール層上に塗布乾燥することにより形成することができる。まず、疎水化処理が施されるべき“金属炭酸塩粒子”について説明し、次に“疎水化処理”について説明する。
本発明の撥水性蓋材の撥水層は、撥水性蓋材のヒートシール側表面に撥水性、特に撥ヨーグルト性を付与する層であり、疎水化処理が施された金属炭酸塩粒子を含有する層である。この撥水層は、疎水化処理が施された金属炭酸塩粒子を有機溶媒に分散させて得た分散液を、ヒートシール層上に塗布乾燥することにより形成することができる。まず、疎水化処理が施されるべき“金属炭酸塩粒子”について説明し、次に“疎水化処理”について説明する。
(金属炭酸塩粒子)
金属炭酸塩粒子としては、炭酸カルシウム粒子、炭酸マグネシウム粒子、炭酸バリウム粒子等が挙げられる。中でも、人体に対する安全性、環境負荷、入手コスト等を考慮すると炭酸カルシウム粒子を好ましく挙げられる。なお、本発明においては、これらの粒子を混合して併用することもできる。
金属炭酸塩粒子としては、炭酸カルシウム粒子、炭酸マグネシウム粒子、炭酸バリウム粒子等が挙げられる。中でも、人体に対する安全性、環境負荷、入手コスト等を考慮すると炭酸カルシウム粒子を好ましく挙げられる。なお、本発明においては、これらの粒子を混合して併用することもできる。
また、金属炭酸塩粒子の形状としては、粒状でも非粒状(例えば、棒状、鱗片状等)であってもよいが、表面に無数の凹凸が形成された粒状であることが好ましい。
このような金属炭酸塩粒子の平均一次粒子径は、好ましくは5〜1000nm、より好ましくは10〜200nmである。金属炭酸塩粒子の平均一次粒子径をこの範囲に調整することにより、撥水層を3次元網目構造としてその撥水性、撥ヨーグルト性を向上させることができる。なお、金属炭酸塩粒子の平均一次粒子径が小さすぎると、粒子の製造が困難となり、大きすぎるとヒートシール層と撥水層との間の接着性が低下する傾向がある。
なお、本発明において、金属炭酸塩粒子の平均一次粒子径の測定は、走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡等の電子顕微鏡を使用して行うことができる。具体的には、粒子形状が球状の場合はその直径、非球状の場合はその最長径と最短径との平均値を直径とみなし、任意に選んだ20個分の粒子の直径の平均を平均一次粒子径として定義する。
また、金属炭酸塩粒子の比表面積(BET法)は、好ましくは1〜200m2/g、より好ましくは5〜100m2/gである。比表面積をこの範囲に調整すると、ヒートシール層と撥水層との間の接着性を良好なものとすることができると共に、撥水層に良好な撥水性と撥ヨーグルト性とを付与することができる。
(疎水化処理)
金属炭酸塩粒子の疎水化処理としては、金属炭酸塩粒子の表面を疎水化できる種々の手法を採用することができるが、好ましくは、金属石鹸による湿式表面処理が挙げられる。金属石鹸は、後ほど説明するように、各種脂肪酸の金属塩であり、疎水性部として脂肪酸の炭化水素部分と、親水性部として金属がイオン結合した部分とを有する。金属石鹸は、この親水性部が金属炭酸塩粒子の表面に親和性を有する。従って、金属石鹸で金属炭酸塩粒子を湿式表面処理すると、金属石鹸の疎水性部が金属炭酸塩粒子の最外表面に位置するので、このように表面処理された金属炭酸塩粒子は、撥水性、特に撥ヨーグルト性を示すことになる。以下に金属石鹸による湿式表面処理について詳細に説明する。
金属炭酸塩粒子の疎水化処理としては、金属炭酸塩粒子の表面を疎水化できる種々の手法を採用することができるが、好ましくは、金属石鹸による湿式表面処理が挙げられる。金属石鹸は、後ほど説明するように、各種脂肪酸の金属塩であり、疎水性部として脂肪酸の炭化水素部分と、親水性部として金属がイオン結合した部分とを有する。金属石鹸は、この親水性部が金属炭酸塩粒子の表面に親和性を有する。従って、金属石鹸で金属炭酸塩粒子を湿式表面処理すると、金属石鹸の疎水性部が金属炭酸塩粒子の最外表面に位置するので、このように表面処理された金属炭酸塩粒子は、撥水性、特に撥ヨーグルト性を示すことになる。以下に金属石鹸による湿式表面処理について詳細に説明する。
「金属石鹸」
本発明において使用可能な金属石鹸としては、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、脂環式脂肪酸又は樹脂酸の金属塩である。ここで、脂肪酸の炭素数は、良好な撥水性を示すために8以上であることが好ましい。具体的には、飽和脂肪酸としては、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラギン酸等が挙げられ、不飽和脂肪酸としては、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リシノール酸等が挙げられ、脂環式脂肪酸としては、ナフテン酸等が挙げられ、樹脂酸としては、アビエチン酸、ピマル酸、パラストリン酸、ネオアビエチン酸等が挙げられる。また、金属石鹸を構成する金属としては、Na、K、Ag、Al、Ba、Ca、Cu、Fe、Mg、Mn、Pb、Sn、Sr、Zn等が挙げられ、2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、金属としてNa、Kを使用する金属石鹸は高い水溶性を示すため、水溶性の低い他の金属石鹸と併用することが好ましい。
本発明において使用可能な金属石鹸としては、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、脂環式脂肪酸又は樹脂酸の金属塩である。ここで、脂肪酸の炭素数は、良好な撥水性を示すために8以上であることが好ましい。具体的には、飽和脂肪酸としては、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラギン酸等が挙げられ、不飽和脂肪酸としては、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リシノール酸等が挙げられ、脂環式脂肪酸としては、ナフテン酸等が挙げられ、樹脂酸としては、アビエチン酸、ピマル酸、パラストリン酸、ネオアビエチン酸等が挙げられる。また、金属石鹸を構成する金属としては、Na、K、Ag、Al、Ba、Ca、Cu、Fe、Mg、Mn、Pb、Sn、Sr、Zn等が挙げられ、2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、金属としてNa、Kを使用する金属石鹸は高い水溶性を示すため、水溶性の低い他の金属石鹸と併用することが好ましい。
「金属石鹸による湿式表面処理」
金属炭酸塩粒子の金属石鹸による湿式表面処理は、以下に説明する方法A又は方法Bによって行うことができる。
金属炭酸塩粒子の金属石鹸による湿式表面処理は、以下に説明する方法A又は方法Bによって行うことができる。
「方法A」
湿式表面処理は、炭酸カルシウム等の金属炭酸塩粒子の水性スラリーに、脂肪酸と金属水酸化物又は金属酸化物とを添加し、混合撹拌することにより金属石鹸を生成させると共に、金属炭酸塩粒子の表面を生成した金属石鹸で被覆することにより行うことができる。その後、常法により脱水、乾燥、微粉末化処理することができる。
湿式表面処理は、炭酸カルシウム等の金属炭酸塩粒子の水性スラリーに、脂肪酸と金属水酸化物又は金属酸化物とを添加し、混合撹拌することにより金属石鹸を生成させると共に、金属炭酸塩粒子の表面を生成した金属石鹸で被覆することにより行うことができる。その後、常法により脱水、乾燥、微粉末化処理することができる。
「方法B」
湿式表面処理は、炭酸カルシウム等の金属炭酸塩粒子の水性スラリーに、金属石鹸を直接投入して強撹拌することにより、金属炭酸塩粒子の表面を金属石鹸で被覆することにより行うことができる。その後、常法により脱水、乾燥、微粉末化処理することができる。この場合、金属石鹸を水混和性の有機溶剤、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール、アセトン、エチルメチルケトン、メチルプロピルケトン等のケトン等でスラリーとして投入することが好ましい。
湿式表面処理は、炭酸カルシウム等の金属炭酸塩粒子の水性スラリーに、金属石鹸を直接投入して強撹拌することにより、金属炭酸塩粒子の表面を金属石鹸で被覆することにより行うことができる。その後、常法により脱水、乾燥、微粉末化処理することができる。この場合、金属石鹸を水混和性の有機溶剤、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール、アセトン、エチルメチルケトン、メチルプロピルケトン等のケトン等でスラリーとして投入することが好ましい。
なお、金属炭酸塩粒子の疎水化処理の内容は、撥水性蓋材の撥水性の意図するレベルに応じて決定することができる。例えば、金属石鹸による湿式表面処理の場合、金属炭酸塩粒子の種類、形状、サイズ、多孔質度、金属石鹸の種類、粒度、量、撹拌時の剪断力、撹拌温度、撥水層を構成する金属炭酸塩粒子の塗工量等のファクターを適宜調整することにより金属炭酸塩粒子の疎水化のレベルをコントロールすることができ、最終的に撥水性蓋材の撥水性をコントロールすることができる。簡単には、金属炭酸塩粒子と金属石鹸との混合比で金属炭酸塩粒子の疎水性レベルを調整すればよい。例えば、金属炭酸塩粒子100質量部に対して金属石鹸を0.1〜20.0質量部添加し、室温下、ホモジナイザーで混合撹拌することが挙げられる。
本発明で使用する疎水化処理が施された金属炭酸塩粒子としては、市販品を適用することができる。例えば、疎水化処理炭酸カルシウム粒子として、丸尾カルシウム(株)製造のカルファインN−350(商品名)を挙げることができる。この疎水化処理炭酸カルシウム粒子の平均一次粒子径は40nmであり、BET比表面積は24m2/gである。
本発明を特徴づける撥水層は、以上説明したような疎水化処理が施された金属炭酸塩粒子をエタノール等の有機溶媒と混合し、分散装置(例えばビーズミルやホモミキサー)を用いて分散させて金属炭酸塩粒子スラリーを調製し、バーコーターなどの公知の塗工装置を用いて、ヒートシール層に塗工し、定法に従って乾燥することにより製膜することができる。この場合、塗布量は、良好な撥水性とヒートシール性とを両立させるために、乾燥質量で好ましくは0.05〜20gm2、より好ましくは0.1〜10g/m2である。
撥水層の撥水性の評価は、所定量の水やヨーグルト等の試料を撥水層に置き、定盤の一端辺を徐々に引き上げ、試料滴が動き出し始めた時の水平方向と定盤とが成す角度を測定することで評価することができる。この場合、測定された角度が小さくなると撥水性が高いと評価できる。本発明においては、この角度が30°以下となるような撥水性を示すことが好ましい。
<撥水層以外の撥水性蓋材の構成>
「基材」
本発明の撥水性蓋材を構成する基材としては、紙、合成紙、プラスチックフィルム、アルミニウム等の金属や二酸化ケイ素等のセラミックスを蒸着させた紙やプラスチックフィルム、アルミニウム等の金属箔、それらの複合材料など、一般に包装材料として使用されるものを適宜使用することができる。
「基材」
本発明の撥水性蓋材を構成する基材としては、紙、合成紙、プラスチックフィルム、アルミニウム等の金属や二酸化ケイ素等のセラミックスを蒸着させた紙やプラスチックフィルム、アルミニウム等の金属箔、それらの複合材料など、一般に包装材料として使用されるものを適宜使用することができる。
このような基材の表面には、公知の印刷層が積層されていてもよく、更にポリエステル層等の透明保護層が積層されていてもよい。
「応力緩和層」
本発明において、撥水性蓋材の機械的強度を補強し、ヒートシール時の応力を緩和するために、基材とヒートシール層との間に設けることのできる応力緩和層としては、ポリエチレンやポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂から形成される樹脂層を適用することができる。接着性等を考慮すると低密度ポリエチレン樹脂層を好ましく適用することができる。
本発明において、撥水性蓋材の機械的強度を補強し、ヒートシール時の応力を緩和するために、基材とヒートシール層との間に設けることのできる応力緩和層としては、ポリエチレンやポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂から形成される樹脂層を適用することができる。接着性等を考慮すると低密度ポリエチレン樹脂層を好ましく適用することができる。
応力緩和層の厚さは、その材質にもよるが、好ましくは5〜200μm、より好ましくは10〜50μmである。
「ヒートシール層」
本発明の撥水性蓋材を構成するヒートシール層としては、撥水性蓋材にヒートシール性を付与することができる、いわゆるホットメルト樹脂、シーラント、ラッカー系接着剤等の公知の接着剤を適用することができる。中でも、公知のホットメルト樹脂を好ましく採用することができる。また、ヒートシール層には、エチレン酢酸ビニル共重合体層などの熱可塑性樹脂やワックス、粘着付与剤等を適宜配合することができる。
本発明の撥水性蓋材を構成するヒートシール層としては、撥水性蓋材にヒートシール性を付与することができる、いわゆるホットメルト樹脂、シーラント、ラッカー系接着剤等の公知の接着剤を適用することができる。中でも、公知のホットメルト樹脂を好ましく採用することができる。また、ヒートシール層には、エチレン酢酸ビニル共重合体層などの熱可塑性樹脂やワックス、粘着付与剤等を適宜配合することができる。
ヒートシール層の層厚としては、一般に2〜100μmが好ましい。ヒートシール層には、必要に応じエンボス加工を施しても良い。
<撥水性蓋材の製造>
本発明の撥水性蓋材は、疎水化処理が施された金属炭酸塩粒子を、有機溶媒に分散させ、得られた分散液を、基材にヒートシール層が積層された積層体の当該ヒートシール層上に塗布し、乾燥して撥水層を形成することにより製造することができる。
本発明の撥水性蓋材は、疎水化処理が施された金属炭酸塩粒子を、有機溶媒に分散させ、得られた分散液を、基材にヒートシール層が積層された積層体の当該ヒートシール層上に塗布し、乾燥して撥水層を形成することにより製造することができる。
なお、基材とヒートシール層との積層、更に応力緩和層や印刷層、透明保護層の積層は、それぞれ公知の手法で成膜もしくは積層することができる。
<撥水性蓋材の用途>
本発明の撥水性蓋材は、食品容器と、その中に収容された液状乃至流動食品と、該容器の開口部を密封している蓋材とから構成される容器入り食品の当該蓋材として好ましく適用することできる。この場合、撥水性蓋材は、撥水層側から開口部に適用されヒートシールされる。このようにして得られる「容器入り食品」も本発明の一態様である。食品容器としては、防水層やあるいはヒートシール層が内面にライニングされた紙製の公知の食品容器、プラスチック製の公知の食品容器等を挙げることができる。
本発明の撥水性蓋材は、食品容器と、その中に収容された液状乃至流動食品と、該容器の開口部を密封している蓋材とから構成される容器入り食品の当該蓋材として好ましく適用することできる。この場合、撥水性蓋材は、撥水層側から開口部に適用されヒートシールされる。このようにして得られる「容器入り食品」も本発明の一態様である。食品容器としては、防水層やあるいはヒートシール層が内面にライニングされた紙製の公知の食品容器、プラスチック製の公知の食品容器等を挙げることができる。
液状乃至流動食品における「液状乃至流動」状態とは、容器を傾斜させると内容物が流出可能な状態を意味する。このような液状乃至流動食品としては、ヨーグルト、乳酸飲料等の乳製品、ジャム製品、スープ、カレーソース、シチュー等の食品が挙げられるが、これらに限定されるものではない。このような容器入り食品の蓋材の裏面には、ヨーグルト等の内容物の付着が抑制される。
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。
比較例1
(撥水層を有しない蓋材の作成)
表面に印刷加工を行った厚さ35μmのアルミニウム箔の裏面に、ポリエステル系樹脂でアンカーコート処理を行い、厚さ30μmの低密度ポリエチレンを押出しラミネートし、更に、ワックス50質量部、粘着付与剤15質量部、及びエチレン−酢酸ビニル共重合体35質量部からなるホットメルト樹脂組成物を、ヒートシール層として乾燥重量20g/m2となるようにホットメルトグラビアコートしてヒートシール層を有する蓋材を作成した。
(撥水層を有しない蓋材の作成)
表面に印刷加工を行った厚さ35μmのアルミニウム箔の裏面に、ポリエステル系樹脂でアンカーコート処理を行い、厚さ30μmの低密度ポリエチレンを押出しラミネートし、更に、ワックス50質量部、粘着付与剤15質量部、及びエチレン−酢酸ビニル共重合体35質量部からなるホットメルト樹脂組成物を、ヒートシール層として乾燥重量20g/m2となるようにホットメルトグラビアコートしてヒートシール層を有する蓋材を作成した。
実施例1
(撥水層の形成)
一次平均粒子径が40nm、BET比表面積が24m2/gの疎水化処理炭酸カルシウム粒子(カルファインN−350、丸尾カルシウム(株))10質量部をイソプロピルアルコール100質量部に投入し、ホモミキサーを用いて常温で30分分散させることにより白色スラリーを得た。得られたスラリーを、乾燥塗工量が3.6g/m2となるように、比較例1で得られた蓋材のヒートシール層上に塗工し、70℃で1分乾燥することにより撥水層を形成することにより撥水性蓋材を得た。
(撥水層の形成)
一次平均粒子径が40nm、BET比表面積が24m2/gの疎水化処理炭酸カルシウム粒子(カルファインN−350、丸尾カルシウム(株))10質量部をイソプロピルアルコール100質量部に投入し、ホモミキサーを用いて常温で30分分散させることにより白色スラリーを得た。得られたスラリーを、乾燥塗工量が3.6g/m2となるように、比較例1で得られた蓋材のヒートシール層上に塗工し、70℃で1分乾燥することにより撥水層を形成することにより撥水性蓋材を得た。
実施例2
坪量79g/m2の上質紙に、厚さ20μmの低密度ポリエチレンを押出しラミネートし、さらに比較例1で使用したものと同じホットメルト樹脂組成物を、ヒートシール層として乾燥重量20g/m2となるようにホットメルトグラビアコートしてヒートシール層を有する蓋材を作成した。その上に、一次平均粒子径が30nm、BET比表面積が33m2/gの疎水化処理炭酸カルシウム粒子(カルファインN−40、丸尾カルシウム(株))を使用し、スラリーの乾燥塗工量を5.4g/m2とした以外は、実施例1と同様に撥水層を形成することにより撥水性蓋材を得た。
坪量79g/m2の上質紙に、厚さ20μmの低密度ポリエチレンを押出しラミネートし、さらに比較例1で使用したものと同じホットメルト樹脂組成物を、ヒートシール層として乾燥重量20g/m2となるようにホットメルトグラビアコートしてヒートシール層を有する蓋材を作成した。その上に、一次平均粒子径が30nm、BET比表面積が33m2/gの疎水化処理炭酸カルシウム粒子(カルファインN−40、丸尾カルシウム(株))を使用し、スラリーの乾燥塗工量を5.4g/m2とした以外は、実施例1と同様に撥水層を形成することにより撥水性蓋材を得た。
比較例2
比較例1で得られたものと同じ蓋材のヒートシール層上に、一次平均粒子径が7nm、BET比表面積が220m2/gの疎水化処理シリカ粒子(AEROSIL(登録商標) R−812S、エボニックデグサ社)5質量部をエタノール100質量部に投入し、ホモミキサーを用いて常温で30分分散させることにより白色スラリーを得た。得られたスラリーを、乾燥塗工量が2.3g/m2となるように蓋材のヒートシール層上にバーコータで塗工し、70℃で1分乾燥した。これにより、撥水性蓋材を得た。
比較例1で得られたものと同じ蓋材のヒートシール層上に、一次平均粒子径が7nm、BET比表面積が220m2/gの疎水化処理シリカ粒子(AEROSIL(登録商標) R−812S、エボニックデグサ社)5質量部をエタノール100質量部に投入し、ホモミキサーを用いて常温で30分分散させることにより白色スラリーを得た。得られたスラリーを、乾燥塗工量が2.3g/m2となるように蓋材のヒートシール層上にバーコータで塗工し、70℃で1分乾燥した。これにより、撥水性蓋材を得た。
比較例3
一次平均粒子径0.4〜2.0μm、BET比表面積が5m2/gであって、疎水化表面処理を施していない軽質炭酸カルシウム(丸尾カルシウム(株))10質量部をイソプロピルアルコール100質量部に投入し、ホモミキサーを用いて常温で30分分散させることにより白色スラリーを得た。得られた白色スラリーを、乾燥塗工量が3.6g/m2となるように、比較例1で得られた蓋材のヒートシール層上に塗工し、70℃で1分乾燥し撥水層を形成して、撥水性蓋材を得た。
一次平均粒子径0.4〜2.0μm、BET比表面積が5m2/gであって、疎水化表面処理を施していない軽質炭酸カルシウム(丸尾カルシウム(株))10質量部をイソプロピルアルコール100質量部に投入し、ホモミキサーを用いて常温で30分分散させることにより白色スラリーを得た。得られた白色スラリーを、乾燥塗工量が3.6g/m2となるように、比較例1で得られた蓋材のヒートシール層上に塗工し、70℃で1分乾燥し撥水層を形成して、撥水性蓋材を得た。
(評価)
実施1〜2及び比較例1〜3で得られた蓋材について、「ヒートシール強度」、「容器ピール強度」、「封緘強度」、「撥水性」、「撥ヨーグルト性」を以下に説明するように試験、評価した。
実施1〜2及び比較例1〜3で得られた蓋材について、「ヒートシール強度」、「容器ピール強度」、「封緘強度」、「撥水性」、「撥ヨーグルト性」を以下に説明するように試験、評価した。
「ヒートシール強度」
蓋材を、長さ10cm巾15mmの短冊状に切り出し、サンプルとした。このサンプルを、そのヒートシール層側から、ポリエチレン層がラミネートされた紙材の当該ポリエチレン層に載置し、所定のシール温度(80℃、100℃、120℃、140℃、160℃、180℃)、シール時間1秒、シール圧0.15MPaでヒートシール処理して接着させた。このヒートシールされたサンプルに対し、引張試験機を用いて、300mm/minの引張り速度で180°剥離試験を行った。得られた結果を以下の表1並びに図1に示す。ヒートシール強度は、小さすぎると実際の容器の内容物が輸送途上で漏れ出る可能性が懸念され、大きすぎると高齢者や幼児などの力で蓋材を剥がす時に剥がしにくく、無理に剥がそうとすると内容物が飛び出す可能性が懸念されるので、実用的には5〜25N/15mm、好ましくは10〜20N/15mmであることが望まれる。なお、表1の数値はサンプル数5の平均値である。
蓋材を、長さ10cm巾15mmの短冊状に切り出し、サンプルとした。このサンプルを、そのヒートシール層側から、ポリエチレン層がラミネートされた紙材の当該ポリエチレン層に載置し、所定のシール温度(80℃、100℃、120℃、140℃、160℃、180℃)、シール時間1秒、シール圧0.15MPaでヒートシール処理して接着させた。このヒートシールされたサンプルに対し、引張試験機を用いて、300mm/minの引張り速度で180°剥離試験を行った。得られた結果を以下の表1並びに図1に示す。ヒートシール強度は、小さすぎると実際の容器の内容物が輸送途上で漏れ出る可能性が懸念され、大きすぎると高齢者や幼児などの力で蓋材を剥がす時に剥がしにくく、無理に剥がそうとすると内容物が飛び出す可能性が懸念されるので、実用的には5〜25N/15mm、好ましくは10〜20N/15mmであることが望まれる。なお、表1の数値はサンプル数5の平均値である。
「容器ピール強度」
蓋材を、厚さ30μmの低密度ポリエチレンが押出しラミネートされた、外径71mmのカップ状の紙製のヨーグルト容器の開口部に設けられた巾3mmのフランジに、所定のシール温度(120℃、140℃、160℃)、シール時間1秒、シール圧0.2MPaでヒートシール処理して接着させた。このヒートシールされた蓋材を引張試験機を用いて、300mm/minの引張り速度で135°剥離試験を行った。得られた結果を以下の表2に示す。容器ピール強度は、小さすぎると実際の容器の内容物が輸送途上で漏れ出る可能性が懸念され、大きすぎると高齢者や幼児などの力で蓋材を剥がす時に剥がしにくく、無理に剥がそうとすると内容物が飛び出す可能性が懸念されるので、実用的には5〜25N、好ましくは10〜20Nであることが望まれる。なお、表2の数値はサンプル数3の平均値である。
蓋材を、厚さ30μmの低密度ポリエチレンが押出しラミネートされた、外径71mmのカップ状の紙製のヨーグルト容器の開口部に設けられた巾3mmのフランジに、所定のシール温度(120℃、140℃、160℃)、シール時間1秒、シール圧0.2MPaでヒートシール処理して接着させた。このヒートシールされた蓋材を引張試験機を用いて、300mm/minの引張り速度で135°剥離試験を行った。得られた結果を以下の表2に示す。容器ピール強度は、小さすぎると実際の容器の内容物が輸送途上で漏れ出る可能性が懸念され、大きすぎると高齢者や幼児などの力で蓋材を剥がす時に剥がしにくく、無理に剥がそうとすると内容物が飛び出す可能性が懸念されるので、実用的には5〜25N、好ましくは10〜20Nであることが望まれる。なお、表2の数値はサンプル数3の平均値である。
「封緘強度(内圧をかけ、内容物が漏れ始めたときの内圧)」
蓋材を、厚さ30μmの低密度ポリエチレンが押出しラミネートされた、外径71mmのカップ状の紙製のヨーグルト容器の開口部に設けられた巾3mmのフランジに、所定のシール温度(120℃、140℃、160℃)、シール時間1秒、シール圧0.2MPaでヒートシール処理して接着させた。このヒートシールされたヨーグルト容器について、封緘強度計((株)サン科学)を用いて、封緘強度を測定した。この封緘強度の測定は、昭和54年4月16日厚生省令第17号による「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」で定められた試験法によるものである。得られた結果を以下の表2に示す。封緘強度は、実用的には13.4kPa以上、好ましくは20kPa以上である。数値として大きいことが望ましいが、大きくなりすぎると容器から蓋材を剥がす際、剥がしにくくなる。なお、表2の数値はサンプル数3の平均値である。
蓋材を、厚さ30μmの低密度ポリエチレンが押出しラミネートされた、外径71mmのカップ状の紙製のヨーグルト容器の開口部に設けられた巾3mmのフランジに、所定のシール温度(120℃、140℃、160℃)、シール時間1秒、シール圧0.2MPaでヒートシール処理して接着させた。このヒートシールされたヨーグルト容器について、封緘強度計((株)サン科学)を用いて、封緘強度を測定した。この封緘強度の測定は、昭和54年4月16日厚生省令第17号による「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」で定められた試験法によるものである。得られた結果を以下の表2に示す。封緘強度は、実用的には13.4kPa以上、好ましくは20kPa以上である。数値として大きいことが望ましいが、大きくなりすぎると容器から蓋材を剥がす際、剥がしにくくなる。なお、表2の数値はサンプル数3の平均値である。
「撥水性」
蓋材を、ヒートシール層又は撥水層が表側となるように平坦な矩形の板に貼り付け、その表面に純水0.05gを載せ、板の一辺を徐々に引き上げ、水が玉のような球状のままで転がり始めたときの板と水平方向とのなす角度を測定した。10°未満で水が転がる場合を「良好」、10°以上30°未満で水が転がる場合を「普通」、30°以上にならないと水が転がり始めない場合を「不良」と評価した。得られた結果を表3に示す。なお、本評価において、水が撥水層表面を半円状の形で動く場合は不良と判断し、あくまでも水が撥水層表面ではじかれ、玉のように球状で転がる場合についてのみ評価の対象とした。
蓋材を、ヒートシール層又は撥水層が表側となるように平坦な矩形の板に貼り付け、その表面に純水0.05gを載せ、板の一辺を徐々に引き上げ、水が玉のような球状のままで転がり始めたときの板と水平方向とのなす角度を測定した。10°未満で水が転がる場合を「良好」、10°以上30°未満で水が転がる場合を「普通」、30°以上にならないと水が転がり始めない場合を「不良」と評価した。得られた結果を表3に示す。なお、本評価において、水が撥水層表面を半円状の形で動く場合は不良と判断し、あくまでも水が撥水層表面ではじかれ、玉のように球状で転がる場合についてのみ評価の対象とした。
「撥ヨーグルト性」
蓋材を、ヒートシール層又は撥水層が表側となるように平坦な矩形の板に貼り付け、その表面に市販のヨーグルト(ジョア(登録商標)アロエ食べるタイプ、(株)ヤクルト本社)0.5gを載せ、板の一辺を徐々に引き上げ、ヨーグルトが転がり始めたときの板と水平方向とのなす角度を測定した。30°未満で転がる場合を「良好」、30°以上90°未満で転がる場合を「普通」、90°以上にならないと転がらない場合を「不良」と評価した。得られた結果を表3に示す。本評価において、ヨーグルトが撥水層表面を糸を引くように動く場合は、たとえ30°未満で動き始めたとしても、不良と判断し、あくまでもヨーグルトが撥水層表面ではじかれ、玉のように転がる場合についてのみ評価の対象とした。
蓋材を、ヒートシール層又は撥水層が表側となるように平坦な矩形の板に貼り付け、その表面に市販のヨーグルト(ジョア(登録商標)アロエ食べるタイプ、(株)ヤクルト本社)0.5gを載せ、板の一辺を徐々に引き上げ、ヨーグルトが転がり始めたときの板と水平方向とのなす角度を測定した。30°未満で転がる場合を「良好」、30°以上90°未満で転がる場合を「普通」、90°以上にならないと転がらない場合を「不良」と評価した。得られた結果を表3に示す。本評価において、ヨーグルトが撥水層表面を糸を引くように動く場合は、たとえ30°未満で動き始めたとしても、不良と判断し、あくまでもヨーグルトが撥水層表面ではじかれ、玉のように転がる場合についてのみ評価の対象とした。
(考察)
表1(図1)、表2、表3からわかるように、実施例1及び実施例2の撥水性蓋材は、基本原料として炭酸カルシウムを使用して撥水層を構成しているため、同様のシリカ粒子に比べ低コストで製造できる。また、「撥水性」に関し、10°未満の角度で水が球状で動くという優れた性質を示した。「撥ヨーグルト性」に関しては、30°未満でヨーグルトが球状に動くという優れた性質を示した。「ヒートシール強度」に関しては、一般的にヨーグルト等を充填する際のヒートシール温度である120℃〜160℃で、5.0N/15mm以上の強度を保持しており、実際にヨーグルト等の乳製品の充填された容器ピール強度においても十分な強度を保持していた。さらに、厚生労働省令で定められた封緘強度においても、13.4kPa以上を十分保持していた。このように、実施例1及び2の撥水性蓋材は、いずれの評価項目についても良好な結果を示した。
表1(図1)、表2、表3からわかるように、実施例1及び実施例2の撥水性蓋材は、基本原料として炭酸カルシウムを使用して撥水層を構成しているため、同様のシリカ粒子に比べ低コストで製造できる。また、「撥水性」に関し、10°未満の角度で水が球状で動くという優れた性質を示した。「撥ヨーグルト性」に関しては、30°未満でヨーグルトが球状に動くという優れた性質を示した。「ヒートシール強度」に関しては、一般的にヨーグルト等を充填する際のヒートシール温度である120℃〜160℃で、5.0N/15mm以上の強度を保持しており、実際にヨーグルト等の乳製品の充填された容器ピール強度においても十分な強度を保持していた。さらに、厚生労働省令で定められた封緘強度においても、13.4kPa以上を十分保持していた。このように、実施例1及び2の撥水性蓋材は、いずれの評価項目についても良好な結果を示した。
それに対し、比較例1の蓋材は、撥水層が設けられていないので、撥水性及び撥ヨーグルト性は「不良」という評価結果であった。
比較例2の撥水性蓋材は、疎水化シリカを使用しているので、撥水性や撥ヨーグルト性には実施例と類似した性能を保持していたが、ヒートシール強度やピール強度で実施例より劣り、封緘強度においても実施例と比較すると不十分であった。
比較例3は、炭酸カルシウムの表面に疎水化処理がされていないため、撥水性及び撥ヨーグルト性において性能が不十分であった。
本発明の撥水性蓋材は、ヒートシール層の表面に、疎水化処理が施された金属炭酸塩粒子を含有する撥水層が形成されている。このため、本発明の撥水性蓋材は、実用的なヒートシール強度を示し、しかもヨーグルトなど乳製品の蓋材に適用した場合には、蓋材の裏面にヨーグルトなど乳製品を付着させないだけでなく、良好な容器ピール強度と封緘強度とを示す。従ってヨーグルトや乳酸飲料などの乳製品や水溶性飲料などの蓋材として、蓋の内側にヨーグルトなどの残渣が付着することを防止できるという清潔感や意匠性を保持し、且つ、高齢者や幼児でも開封しやすい強度を保持しているばかりでなく、炭酸カルシウムという類似のシリカに比べ相対的に安価な原料を使用するため、産業上の利用可能性として有用である。
Claims (7)
- 少なくとも基材、ヒートシール層及び撥ヨーグルト性・撥水層がこの順で積層された撥水性蓋材であって、撥ヨーグルト性・撥水層が、疎水化処理が施された金属炭酸塩粒子を含有し、
該金属炭酸塩粒子が、5〜100m2/gのBET比表面積と、10〜200nmの平均一次粒子径とを有する炭酸カルシウム粒子である、撥ヨーグルト性・撥水性蓋材。 - 疎水化処理が、金属石鹸による湿式表面処理である請求項1記載の撥ヨーグルト性・撥水性蓋材。
- 基材とヒートシール層との間に応力緩和層が形成されている請求項1又は2記載の撥ヨーグルト性・撥水性蓋材。
- 基材がアルミニウム箔である請求項1〜3のいずれかに記載の撥ヨーグルト性・撥水性蓋材。
- 請求項1記載の撥ヨーグルト性・撥水性蓋材の製造方法であって、疎水化処理が施された金属炭酸塩粒子を有機溶媒に分散させ、得られた分散液を、基材とヒートシール層とが積層された積層体の当該ヒートシール層に塗布し、乾燥することにより撥ヨーグルト性・撥水層を形成することを特徴とする製造方法。
- 食品容器と、その中に収容された液状乃至流動食品と、該容器の開口部を密封している蓋材とから構成される容器入り食品であって、該蓋材が請求項1記載の撥ヨーグルト性・撥水性蓋材であり、その撥ヨーグルト性・撥水性蓋材が、撥ヨーグルト性・撥水層側から開口部に適用されヒートシールされていることを特徴とする容器入り食品。
- 液状乃至流動食品が、液状乃至流動乳製品である請求項6記載の容器入り食品。
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2017
- 2017-12-19 JP JP2017242328A patent/JP2018047958A/ja active Pending
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