JP2018045134A - 表示体 - Google Patents

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Abstract

【課題】水溶液あるいはアルコール溶液の湿潤を必要とせず、また、表示体の作製に特殊な装置を使用せず、多層膜構造を形成する材料の屈折率差、および各相の厚みの差を利用した、構造発色の発現が可能な表示体を提供すること。【解決手段】基材と、基材上に形成された高分子膜とを備え、高分子膜は、物性の異なる第1相と第2相の2種類の高分子相が交互に積層された構造を有し、第1相および第2相の少なくとも一方が、カチオン重合性化合物と光酸発生剤を含むことを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、多層積層構造に由来する光学特性を有する表示体に関し、記録媒体、装飾用シート、画像表示および画像形成素子のための表示体に関する。
包装容器や家電機器といった商品などの外装には、顔料や染料などの色素による着色、微細な周期構造による構造発色、金属版による凹凸形成などの様々な装飾が施されている。
中でも、微細な周期構造により光を反射して発色する構造発色は、色素等に見られる経時的な退色がおこりにくく、高い彩度を有し、鮮やかな色を示す特徴がある。
このような構造発色を利用した表示部材としては、異なる屈折率を有するポリマーが交互に積層された多層膜構造体を有し、水溶液にその多層膜構造体を浸漬させることにより、ポリマー層が膨潤し発色変化を生じさせる表示部材が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
非特許文献1に記載の多層膜構造を利用した表示体では、可視光領域に反射波長を得るためには、多層膜構造への水溶液あるいはアルコール溶液の浸漬が必要であり、乾燥時の多層膜構造は無色透明となっている。
また、着色基材層の上に結合材、カラークリヤー層、クリヤー層が積層されたことを特徴とする積層体で、カラークリヤー層を形成する構造発色チップにより、可視光領域の反射光を呈色する積層体が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この積層体では、構造発色チップの平均粒子径を0.1mm以上50mm以下、厚みを30μm以上500μm以下とすることにより、構造発色チップの構造発色性に加えて、奥行き感のある優れた美観性を発することができる。
しかし、特許文献1に記載の積層体は、奥行き感のある優れた美観性を得るために、構造発色チップのバラツキ、配向性等を制御しておらず、作製した積層体ごとに異なる意匠性を示す可能性がある。
特許第5086573号公報
Youngjong, K., 「Broad−wavelength−range chemically tunable block−copolymer photonic gels」, Nature materials, 2007, Vol. 6, pp. 957−960 Leibler, L., 「Theory of Microphase Separation in Block Copolymers」, Macromolecules, 1980, Vol. 13, pp. 1602−1617
非特許文献1に記載の多層膜構造を利用した表示体では、可視光領域の反射波長を継続
的に得るためには、水溶液あるいはアルコール溶液への多層膜構造の浸漬を保持する必要があり、乾燥時には無色透明となる。
また、特許文献1に記載の積層体は、構造発色チップのバラツキ、配向性等を制御していないため、作製した積層体ごとに異なる意匠性を示す可能性がある。
本発明は、これらの課題に鑑みてなされたものであり、多層膜構造を利用した表示体において、水溶液あるいはアルコール溶液の湿潤状態を保つ必要がなく、また、作製した積層体について意匠性のバラツキが小さい表示体を提供することを目的とする。
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、本発明の請求項1の発明は、基材と、前記基材上に形成された高分子膜とを備え、前記高分子膜は、物性の異なる第1相と第2相の2種類の高分子相が交互に積層された構造を有し、前記第1相および前記第2相の少なくとも一方が、カチオン重合性化合物と光酸発生剤を含むことを特徴とする、表示体である。
本発明の請求項2の発明は、前記第1相および前記第2相の少なくとも一方が、酸により膨潤する性質を有し、前記第1相および前記第2相の少なくとも一部または全体が酸により膨潤した際に、前記表示体の酸により膨潤した箇所の反射光の波長が変化することを特徴とする、請求項1に記載の表示体である。
本発明の請求項3の発明は、前記第1相および前記第2相の少なくとも一方に含まれるカチオン重合性化合物が、酸により重合する性質を有し、前記第1相および前記第2相の少なくとも一部または全体でカチオン重合性化合物が重合した際に、カチオン重合性化合物が重合した箇所の相の厚みを固定化することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の表示体である。
本発明の請求項4の発明は、前記高分子膜はブロック共重合体を含み、前記ブロック共重合体の1つまたは複数のブロックが前記第1相を構成し、前記ブロック共重合体の前記第1相を構成するブロックとは異なるブロックが前記第2相を構成することを特徴とする、請求項1から請求項3に記載の表示体である。
本発明の請求項5の発明は、前記高分子膜は、ラメラ状のミクロ相分離構造を有することを特徴とする、請求項4に記載の表示体である。
本発明の請求項6の発明は、前記ブロック共重合体は、前記第1相を構成する前記ブロック共重合体の1つまたは複数のブロックの体積分率が0.35以上0.65未満の範囲内であることを特徴とする、請求項4または請求項5に記載の表示体である。
本発明の請求項7の発明は、前記ブロック共重合体は、60000以上の重量平均分子量を有することを特徴とする、請求項4から請求項6のいずれかに記載の表示体である。
本発明の請求項8の発明は、前記高分子膜が400nm以上5000nm以下の膜厚を有することを特徴とする、請求項1から請求項7のいずれかに記載の表示体である。
本発明の実施形態の表示体は、水溶液あるいはアルコール溶液の湿潤を必要とせず、高分子膜へのカチオン重合性化合物と光酸発生剤の導入量、および活性エネルギー線の照射によって、反射光の波長を自在に調整可能となった。つまり、多層膜構造を形成する材料
の屈折率差、および各相の厚みの差を利用した構造発色が可能となり、可視光領域の反射光を示す表示体も提供することができる。
本発明の実施形態に係る表示体の要部を切断した端面の拡大図。 本発明の実施形態に係る高分子膜の一部が活性エネルギー線の照射により膨潤した前後の状態を示す要部を切断した端面の拡大図。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る表示体の要部を切断した端面の拡大図である。
図1に示すように、表示体1は、任意選択的に設けてもよい基材4と、基材4上の高分子膜5とを含む。高分子膜5は、異なる種類の第1相2および第2相3が、膜厚方向交互に積層した構造を有する。また、第1相2または第2相3の少なくとも一方には、カチオン重合性化合物と光酸発生剤が導入されている。
まず、基材4について説明する。基材4の材料は、表示体1の使用目的にあわせて適宜選択することができる。基材4の材料の例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート共重合体(PETG)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ガラス、およびシリコンなどが挙げられるが、これらに限られるものではない。さらに、インジウム−スズ酸化物(ITO)やケイ素酸化物(SiOx)による表面修飾を施してもよい。基材4は、透明なもの、不透明なもの、反射性を有するもののいずれであってもよい。また、基材4は、表示体1の使用目的に合わせて、黒色、白色などの任意の色を有することができる。さらに、基材4は、光沢を有してもよいし、光沢を有していなくてもよい。なお、高分子膜5が自立性である場合には、基材4を省略することができる。
次に、第1相2、第2相3および高分子膜5について説明する。第1相2および第2相3からなる高分子膜5の多層構造は、好適には、ブロック共重合体を用いて形成することができる。なお、ブロック共重合体とは、互いに相溶性の低い2つ以上の異なるポリマーブロックがそれらの末端で結合している高分子である。ここで、本発明における「互いに相溶性が低い」とは、χ×N>10.5の式を満たすことを意味する(例えば、非特許文献2参照)。ここで、χは、異種のポリマーブロック間で定められるフローリー・ハギンズの相互作用パラメータを表し、Nはブロック共重合体の重合度を表す。
このようなブロック共重合体は、この共重合体を相転移温度以上に加熱するアニール処理により、周期的なミクロ相分離構造を自己組織的に形成する(自己組織化現象)。このミクロ相分離構造において、相溶性の低いポリマーブロックは、互いに交じり合わないようにミクロ領域を形成する。そのミクロ領域の寸法は、各ポリマーブロックのポリマー鎖長に依存する。また、どのようなミクロ相分離構造が形成されるかは、ブロック共重合体を形成する各ポリマーブロックの体積分率によって決定される。自己組織化現象によって形成されるミクロ相分離構造は、スフィア(球状)構造、シリンダ(柱状)構造、ジャイロイド構造、ラメラ(板状)構造などを含む。
本実施形態においては、前述の自己組織化現象を用いて、2つの異なる有機相(ブロック共重合体の1つまたは複数のブロックから構成される第1相2、および、ブロック共重合体の第1相2を構成するブロックとは異なるブロックから構成される第2相3)が交互に積層した、ラメラ構造の高分子膜5を形成することができる。自己組織化現象を用いる方法以外に、異種の樹脂を同時にフィルム上に押出して積層膜を形成する、多層共押出法
を用いて高分子膜5を形成することもできる。しかしながら、多層共押出法においては、一度に形成できる層の数が制限される。したがって、1回の塗布およびアニール処理のみで20以上の相が交互に積層された高分子膜5を形成することができる、自己組織化現象を用いる方法が好ましい。
ブロック共重合体には、各ポリマーブロックがそれらの末端において直列に結合した線状ブロック共重合体、各ポリマーブロックが一点で結合したスター型ブロック共重合体などが含まれる。本実施形態においては、いずれのブロック共重合体も使用することができる。本発明においては、2つの異種のポリマーブロックが、それらの末端において結合したジブロック共重合体を用いることが好ましい。
本実施形態で用いることができるジブロック共重合体の例としては、ポリ(スチレン−b−ポリ乳酸)、ポリ(スチレン−b−2−ビニルピリジン)、ポリ(スチレン−b−4−ビニルピリジン)、ポリ(スチレン−b−ジメチルシロキサン)、ポリ(スチレン−b−N,N−ジメチルアクリルアミド)、ポリ(ブタジエン−b−4−ビニルピリジン)、ポリ(スチレン−b−フェロセニルジメチルシラン)、ポリ(ブタジエン−b−メチルメタクリレート)、ポリ(ブタジエン−b−t−ブチルメタクリレート)、ポリ(ブタジエン−b−t−ブチルアクリレート)、ポリ(ブタジエン−b−ジメチルシロキサン)、ポリ(t−ブチルメタクリレート−b−4−ビニルピリジン)、ポリ(エチレン−b−メチルメタクリレート)、ポリ(t−ブチルメタクリレート−b−2−ビニルピリジン)、ポリ(エチレン−b−2−ビニルピリジン)、ポリ(エチレン−b−4−ビニルピリジン)、ポリ(イソプレン−b−2−ビニルピリジン)、ポリ(メチルメタクリレート−b−スチレン)、ポリ(t−ブチルメタクリレート−b−スチレン)、ポリ(メチルアクリレート−b−スチレン)、ポリ(ブタジエン−b−スチレン)、ポリ(イソプレン−b−スチレン)、ポリ(ブタジエン−b−アクリル酸ナトリウム)、ポリ(ブタジエン−b−エチレンオキシド)、ポリ(t−ブチルメタクリレート−b−エチレンオキシド)、ポリ(スチレン−b−ポリアクリル酸)、およびポリ(スチレン−b−メタクリル酸)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ブロック共重合体がラメラ構造を有するために、第1相2を構成するブロック共重合体の1つまたは複数のブロックの体積分率と、第2相3を構成するブロック共重合体の1つまたは複数のブロック(第1相2を構成するブロックとは異なるブロック)の体積分率とが、0.35以上0.65未満の範囲内とすることが望ましい。ポリマーブロックの体積分率が0.35未満である場合または0.65以上である場合、スフィア構造またはシリンダ構造が得られ、ラメラ構造を得ることが困難となる。
図1に示す例では、高分子膜5はラメラ構造を有している。ジブロック共重合体を用いる場合、ラメラ構造の繰り返しのパターンサイズ(周期的なパターンのサイズ)は、ジブロック共重合体の分子量に依存する。したがって、ジブロック共重合体の分子量を適宜に選択することにより、周期的なパターンのサイズ、すなわち周期的な相分離構造のサイズを、目標とするサイズに調整することができる。
異なる種類の材料からなる第1相2および第2相3が交互に積層された高分子膜5は、スネルの法則およびブラックの法則より導かれる下記の式(1)によって決定される特定の波長λ1の光を反射する特性を有する。
λ1=2d(n −cos2θ)1/2 ……(1)
(式中、nは第1相2と第2相3との屈折率の比(以下、「相対屈折率」と称する)を表し、dは第1相2または第2相3の厚さを表し、θは反射光の出射角を表す。)
本実施形態では、相対屈折率nは、第1相2および第2相3を構成する材料の絶対屈
折率、ならびに、第1相2および第2相3を構成する材料の重量比などによって決定される。特に、本実施形態では、高分子膜5の各相にカチオン重合性化合物および光酸発生剤を導入することから、20〜100nmのラメラパターン周期を実現できる分子量を有する有機ポリマー(ブロック共重合体)を使用することがより望ましい。ラメラパターン周期が20nm未満である場合、高分子膜5の各相にカチオン重合性化合物および光酸発生剤を導入することが困難となる。また、ラメラパターン周期が100nmを超える場合、ラメラ構造を形成する自己組織化現象の進行が遅くなり、好ましくない。
20nm以上のラメラパターン周期を得るためには、ブロック共重合体が、60000以上の重量平均分子量を有する必要がある。重量平均分子量が60000未満のブロック共重合体を用いた場合、ラメラパターン周期が20nm以下となり、反射光の波長λ1は紫外領域となる。
また、高分子膜5からの反射光が可視光である場合、目視で観察可能な強度を有するために、高分子膜5が10層以上の第1相2および10層以上の第2相3を有するように、高分子膜5の膜厚を設定することが望ましい。特に、反射光が鮮明に観察されること、および、自己組織化が進行し易いことの観点から、第1相2および第2相3の層数の合計は、20から50の範囲内であることが好ましい。この層数を実現するために、高分子膜5の膜厚は、400nm〜5000nmの範囲内であることが好ましい。第1相2および第2相3の層数の合計が20未満(すなわち、高分子膜5の膜厚が400nm未満)である場合、反射光の強度が小さくなり、目視で観察することが困難となる。
前述のように、ブロック共重合体の自己組織化は、相転移温度以上でアニール(加熱)されることで誘起される。しかしながら、ブロック共重合体の分子量が大きくなるに従って、ブロック共重合体の流動性が低下する。そのため、相分離挙動は鈍くなり、ミクロ相分離構造が形成されにくくなる。そのため、大きな分子量を有するブロック共重合体の自己組織化には、非常に長時間のアニール処理が必要となる。ここで、自己組織化現象を促進させるために、ブロック共重合体に親和性のある溶媒蒸気下でアニール処理を行うとよい。溶媒蒸気の存在により、ブロック共重合体の流動性が向上し、自己組織化が促進されることが知られており、アニール時間の短縮および加熱温度の低減が可能となる。
溶媒蒸気下のアニール処理で使用する溶媒は、ブロック共重合体に親和性のある溶媒であれば特に限定されない。溶媒蒸気下のアニール処理で用いることができる溶媒の例としては、クロロホルム、トルエン、テトラヒドロフラン、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート(PGMEA)などが挙げられる。
また、溶媒蒸気下のアニール処理は、好適には、使用する溶媒の沸点未満の温度で実施される。使用する溶媒の沸点以上の温度で処理を行った場合、高分子膜5周辺で溶媒が揮発し、溶媒蒸気が十分に高分子膜5内に浸透せず、有機ポリマーの流動性を向上させることができない。
次に、高分子膜5の第1相2および第2相3の少なくとも一方に導入する、カチオン重合性化合物および光酸発生剤について説明する。
カチオン重合性化合物は、エポキシ、オキセタン、ビニルエーテル等のカチオン重合性の反応基を有する化合物である。本実施形態で用いることのできるカチオン重合性化合物の例としては、エポキシ化合物、オキセタン化合物、ビニルエーテル化合物等が挙げられるが、これらに限られるものではない。また、これらのカチオン重合性化合物を単独で用いる必要は無く、二つ以上の成分を含有するカチオン重合性化合物を用いることも可能である。
光酸発生剤は、可視光線、紫外線、X線、電子線のような活性エネルギー線の照射によって、酸を発生し、カチオン重合性化合物の重合反応を開始させるものである。本実施形態で用いることのできる光酸発生剤の例としては、ジアゾニウム塩化合物、ヨードニウム塩化合物、スルホニウム塩化合物、ホスホニウム塩化合物等が挙げられるが、これらに限られるものではない。また、これらの光酸発生剤を単独で用いる必要は無く、二つ以上の成分を含有する光酸発生剤を用いることも可能である。
カチオン重合性化合物および光酸発生剤を高分子膜5に導入する方法としては、高分子膜5が溶解せず、高分子膜5の第1相2あるいは第2相3の少なくとも一方が膨潤する溶媒に上記カチオン重合性化合物および光酸発生剤を添加し、その溶液に高分子膜5を浸漬させることで膜中に浸透させ、その後、高分子膜5を取り出して乾燥させることで導入することができる。用いることができる液体の例としては、アルコール類、および有機溶媒等が挙げられるが、これらに限られるものではない。
カチオン重合性化合物と光重合開始剤の配合は、材料によって適宜処方すればよいが、光酸発生剤は0.1質量%以上15質量%以下の範囲内で配合することが望ましい。光酸発生剤の配合量が0.1質量%未満である場合、活性エネルギー線照射時のカチオン重合性化合物の反応率が低下し、高分子膜5の耐久性が低下する。また、光酸発生剤の配合量が15質量%を超える場合、活性エネルギー線照射によりカチオン重合性化合物から生成するポリマーの重量平均分子量が低下し、高分子膜5の耐久性が低下する。
次に、高分子膜5における構造発色の波長λ1の2つの制御方法について説明する。
構造発色の波長λを制御する第1の方法は、カチオン重合性化合物および光酸発生剤を導入した後の高分子膜5に活性エネルギー線を照射することで、発色の波長を制御することである。図2は、高分子膜5の一部が活性エネルギー線の照射により膨潤した前後の状態を示す要部を切断した端面の拡大図である。高分子膜5に活性エネルギー線を照射すると、活性エネルギー線が照射された第1相2および第2相3の少なくとも一方に含まれる光酸発生剤から酸が発生し、当該相を構成するポリマーブロックに正電荷を付与することができる。正電荷を付与されたポリマーブロックは、正電荷の静電的反発によって、膨潤率が増大し、層厚dが大きくなる。前述のように、構造発色の波長λは、上記の式(1)における層厚dの増加に比例して、増加する。言い換えると、膨潤時の層厚dが大きくなると、構造発色は長波長シフトする。したがって、図2に示すように、光酸発生剤の種類と量を適切に選択することで、層厚dを制御することにより、構造発色の波長λを制御することができる。図2に示す例では、活性エネルギー線照射領域6において第2相3の層厚dが増加している。
なお、活性エネルギー線を照射すると、光酸発生剤から生じた酸によりカチオン重合性化合物の重合反応が進行するために相の厚みは固定化され、構造発色の波長λは維持される。
また、活性エネルギー線未照射の領域では、光酸発生剤から酸が発生しないため、層厚dは変化しない。つまり、高分子膜5に活性エネルギー線照射領域をパターニングすることによって、構造発色の反射波長が異なる領域を画定することができる。この効果は、構造発色の色コントラストを向上させる点において有効である。
また、構造発色の波長λを制御する第2の方法は、カチオン重合性化合物および光酸発生剤を導入する前の高分子膜5中の有機ポリマーの架橋率を制御することにより、発色の波長を制御することである。ポリマーの架橋率が増大するほど、高分子膜5が膨潤する
際の膨潤率は低下する。そして、膨潤率の低下は、高分子膜の寸法変化(広がりおよび伸び)の抑制をもたらす。膨潤率の低下によって、層厚dの変化が小さくなり、活性エネルギー線照射で発生した酸による膨潤時の層厚dが小さくなる。前述のように、構造発色の波長λは、上記の式(1)における層厚dの減少に比例して、減少する。言い換えると、膨潤時の層厚dが小さくなると、構造発色は短波長シフトする。以上のことから、ポリマーの架橋率を制御することによって、構造発色の色を選択することが可能となる。
紫外線による光架橋を用いる場合、高分子膜5中の有機ポリマーの架橋率は、光照射量によって制御することができる。本実施形態において、構造発色を可視光領域に発現させるには、紫外線照射量を典型的には5mJ/cm以上500mJ/cm以下の範囲で選択することが望ましい。照射する紫外線の波長領域は、200nmから500nmの範囲内で選択される。また、使用する光源としては、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、およびLEDランプが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
光架橋を行う際に架橋率を制御するための別法として、グレースケールマスクを用いた光照射を用いることができる。グレースケールマスクは、光遮蔽パターンを網点状に形成し、その網点の密度によってサンプルに入射される光量を制御するマスクである。グレースケールマスクを用いた一度の光照射プロセスで、表示体1の同一面内に波長の異なる構造発色パターン(いわゆる、カラー画像)を得ることができる。その結果、表示体1の意匠性は著しく向上する。
高分子膜5の反射波長は、各相の屈折率、活性エネルギー線照射時の膜厚変化、有機ポリマーの架橋率により異なるが、スネルの法則およびブラックの法則より導かれる上記の式(1)によって求められる膜厚により定めることができ、可視光領域での反射光を誘起することができる。
本実施形態に係る表示体の反射光が可視光になる場合は、物性の異なる第1相2と第2相3の2種類の高分子相が交互に積層された高分子膜積層体構成の表示体であって、第1相2と第2相3の屈折率の差が、0.05以上であることが好ましい。第1相2と第2相3との屈折率の差が、0.05未満である場合、反射光の波長が紫外領域となる。
また、本実施形態において、基材4は、高分子膜5との界面あるいはその反対面(基材裏面)側に、光沢のある反射層、あるいは黒色層を有してもよい。これらの層を設けることによって、構造発色の目視観察時の視認性を向上させ、表示体1の意匠性を高めることができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、これにより本発明が限定的に解釈されるものではない。
(実施例1)
スピンコート法を用いて、ITO犠牲層を有するガラス基板の上に、ポリ(スチレン−b−2−ビニルピリジン)(PS−b−P2VP)の7%PGMEA溶液を塗布し、膜厚800nmの高分子膜を形成した。使用したPS−b−P2VPは、107000の重量平均分子量および1.05の多分散度を有した。また、PS−b−P2VP中のポリスチレン(PS)ブロックの体積分率は0.52であった。また、スピンコート時の回転数は、400rpmであった。
次に、高分子膜を形成した転写版を、3mLのクロロホルムを入れたガラス瓶内に配置した。ガラス瓶を12時間にわたって50℃に加熱し、溶媒蒸気存在下でのアニーリング
処理を行い、高分子膜を自己組織化させ、第1相と第2相が交互に20層ずつ重なった高分子膜積層体を形成した。
次に、アニーリング後の転写版を0.1Mの塩酸水溶液に浸漬し、犠牲層を溶解させて、高分子膜を浮遊させた。最後に、浮遊した高分子膜を平坦面(犠牲層との接触面とは反対側の面)がPET基材と密着するようにすくい上げ、乾燥させて、表示体を得た。
次に、アニーリング後の高分子膜にエポキシモノマー溶液を滴下し、第2相にエポキシモノマーとスルホニウム塩化合物を浸み込ませ、室温で30分乾燥させて、高分子とエポキシモノマー、スルホニウム塩化合物の混合層である第2相を形成した。得られた表示体のサンプルは、可視光領域の反射光に目立ったピーク波長は確認できず、無色透明であった。
エポキシモノマー溶液の組成は、2、2−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)プロパン(CAS番号:1675−54−3、エポキシモノマー)を47.5%重量、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムヘキサフルオロホスファート(CAS番号:68156−13−8、スルホニウム塩化合物)を5.0%重量、エタノールを47.5%重量とした。
得られた高分子膜に、メタルハライドランプから、200mJ/cmの紫外線を照射したところ、ピーク波長を540nmとする緑色の反射光を確認することができた。
(実施例2)
実施例1と同様の手順で、自己組織化させた高分子膜がPET基材に密着した、表示体を作製した。
次に、アニーリング後の高分子膜にエポキシモノマー溶液を滴下し、第2相にエポキシモノマーとスルホニウム塩化合物を浸み込ませ、室温で30分乾燥させて、高分子とエポキシモノマー、スルホニウム塩化合物の混合層である第2相を形成した。得られた表示体のサンプルは、可視光領域の反射光に目立ったピーク波長は確認できず、無色透明であった。
エポキシモノマー溶液の組成は、2、2−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)プロパン(CAS番号:1675−54−3、エポキシモノマー)を47.5%重量、ジフェニル[4−(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムヘキサフルオロホスファート(CAS番号:68156−13−8、スルホニウム塩化合物)を5.0%重量、エタノールを47.5%重量とした。
得られた高分子膜の上に、Cr薄膜からなるパターニングされた紫外線遮蔽マスクを載置し、メタルハライドランプから、200mJ/cmの紫外線を照射したところ、紫外線を照射した領域では、ピーク波長を540nmとする緑色の反射光を確認することができた。また、紫外線が遮蔽された領域では、可視光領域の反射光に目立ったピーク波長は確認できず、無色透明であった。
(比較例1)
実施例1と同様の手順で、自己組織化させた高分子膜がPET基材に密着した、表示体を作製した。
次に、アニーリング後の高分子膜にエポキシモノマー溶液を滴下し、第2相にエポキシモノマーを浸み込ませ、室温で30分乾燥させて、高分子とエポキシモノマーの混合層で
ある第2相を形成した。得られた表示体のサンプルは、可視光領域の反射光に目立ったピーク波長は確認できず、無色透明であった。
エポキシモノマー溶液の組成は、2、2−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)プロパン(CAS番号:1675−54−3、エポキシモノマー)を50.0%重量、エタノールを50.0%重量とした。
得られた高分子膜に、メタルハライドランプから、200mJ/cmの紫外線を照射したところ、可視光領域の反射光に目立ったピーク波長は確認できず、無色透明であった。
以上のように、実施例1〜実施例2の表示体は、紫外線を照射した領域で可視光領域の反射光を発した一方、比較例1の表示体は可視光領域に反射光を有さなかった。つまり、自己組織化により、第1相、第2相を形成し、第1相、第2相の少なくとも一方の相に、カチオン重合性化合物と光酸発生剤を導入することにより、可視光領域に反射光を有する表示体を提供することができることがわかった。
多層膜構造を形成する材料の屈折率差、および各相の厚みの差を利用した、構造発色の発現が可能な本発明の表示体は、記録媒体、装飾用シート、画像表示および画像形成素子などに利用できる。
1・・・表示体
2・・・第1相
3・・・第2相
4・・・基材
5・・・高分子膜
6・・・活性エネルギー線照射領域

Claims (8)

  1. 基材と、
    前記基材上に形成された高分子膜とを備え、
    前記高分子膜は、物性の異なる第1相と第2相の2種類の高分子相が交互に積層された構造を有し、
    前記第1相および前記第2相の少なくとも一方が、カチオン重合性化合物と光酸発生剤を含むことを特徴とする、表示体。
  2. 前記第1相および前記第2相の少なくとも一方が、酸により膨潤する性質を有し、前記第1相および前記第2相の少なくとも一部または全体が酸により膨潤した際に、前記表示体の酸により膨潤した箇所の反射光の波長が変化することを特徴とする、請求項1に記載の表示体。
  3. 前記第1相および前記第2相の少なくとも一方に含まれるカチオン重合性化合物が、酸により重合する性質を有し、前記第1相および前記第2相の少なくとも一部または全体でカチオン重合性化合物が重合した際に、カチオン重合性化合物が重合した箇所の相の厚みを固定化することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の表示体。
  4. 前記高分子膜はブロック共重合体を含み、前記ブロック共重合体の1つまたは複数のブロックが前記第1相を構成し、前記ブロック共重合体の前記第1相を構成するブロックとは異なるブロックが前記第2相を構成することを特徴とする、請求項1から請求項3に記載の表示体。
  5. 前記高分子膜は、ラメラ状のミクロ相分離構造を有することを特徴とする、請求項4に記載の表示体。
  6. 前記ブロック共重合体は、前記第1相を構成する前記ブロック共重合体の1つまたは複数のブロックの体積分率が0.35以上0.65未満の範囲内であることを特徴とする、請求項4または請求項5に記載の表示体。
  7. 前記ブロック共重合体は、60000以上の重量平均分子量を有することを特徴とする、請求項4から請求項6のいずれかに記載の表示体。
  8. 前記高分子膜が400nm以上5000nm以下の膜厚を有することを特徴とする、請求項1から請求項7のいずれかに記載の表示体。
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