JP2018044006A - 睡眠改善のための低用量ドキセピンの使用法 - Google Patents

睡眠改善のための低用量ドキセピンの使用法 Download PDF

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Abstract

【課題】睡眠8時間目の早期覚醒に特徴を有する、睡眠維持不眠症を治療するための薬学的組成物の提供。
【解決手段】不眠症治療において有益な効果を有することが知られている三環系抗うつ薬ドキセピンまたはその薬学的に許容される塩を、少なくとも3mg、最大6mgの用量で含む、睡眠の8時間目の早期覚醒に特徴を有する睡眠維持不眠症を治療するための薬学的組成物であって、用量が睡眠期間の8時間目の早期覚醒を減少させることによって、睡眠維持不眠症を改善するのに有効であり、患者が、望まれる睡眠の所与の8時間の間に、その期間の最後の60分の間に早期の覚醒を経験する、睡眠障害を有している、薬学的組成物。
【選択図】なし

Description

発明の分野
本発明は、個人における睡眠効率および早期の覚醒を含む、睡眠を改善するための低用量ドキセピン(例えば、1〜6ミリグラム)の使用に関する。
発明の背景
睡眠は健康および生活の質のために必要不可欠である。不眠症は米国において増えつつある健康問題である。1000万〜1500万人以上が慢性不眠症を患っており、その上に毎年7000万人もが不眠症の何らかの形を患っていると考えられる。不眠症は寝つき(入眠)が困難、夜間にしばしば目覚める(分断された睡眠)、目覚めが早すぎる(早期の最終の覚醒)、および/または目覚めたときに元気回復していない感じによって特徴づけられる状態である。米国立睡眠財団(NSF)のSleep in America Poll 2005において、調査回答者の42%が夜間にしばしば目覚めると報告し、成人の22%が目覚めが早すぎ、再び寝つくことができないと報告し、38%が目覚めて元気回復していないと感じると報告した。
睡眠維持困難は慢性不眠症のプライマリーケア患者において最もよく報告される症状で、うつ患者、医学的に病気の集団、特に疼痛症状を伴う者、および高齢者で最も一般的な愁訴である。
不眠症などの睡眠障害を治療するために一般的に用いられる薬剤には、鎮静抗うつ薬、抗ヒスタミン剤、ベンゾジアゼピン類、および非ベンゾジアゼピン催眠薬が含まれる。
不眠症に対する薬物治療においていくつかの進歩が見られるが、不眠症の特定の型を治療するための理想的薬物を見つけるのは難しいことが多い。一つのよくある問題は、睡眠の早期停止または早期の最終の覚醒である。例えば、多くの個人が早期に目覚めて再度寝つけず、それにより一晩中の睡眠が達成できないことがある。就眠の誘導または促進において有効な多くの薬物は、特に睡眠期間の8時間目から最後の1時間までの睡眠維持においてはあまり効果がない。まる8時間の睡眠を誘導するのに十分強力な薬物は重篤な後遺作用を引き起こすことが多く、すなわち、患者は覚醒が困難で、かつ/または鎮静、嗜眠、もしくは失見当識を感じ、精神運動機能の障害を示すこともある。
8時間睡眠期間の最後の60、90、または120分の間に睡眠の早期停止による困難を有する患者に加えて、分断または中断睡眠による問題を有する患者もある。すなわち、その期間中に患者は1回または複数回覚醒し、次いで再度眠り込む。そのような分断された睡眠パターンは休息の感覚を損ない、患者が安らかな睡眠を楽しめなくなる。
両方の患者群はその特定の睡眠不足(sleep deficiency)に対処する薬物からおおいに利益を受けるであろう。
ドキセピンは、不眠症の治療において有益な効果を有することが公知の三環系抗うつ薬である。例えば、米国特許第5,502,047号(特許文献1)および第6,211,229号(特許文献2)を参照されたい。しかし、本発明よりも前に、ドキセピンは8時間睡眠期間の終わりに睡眠の早期停止を治療する際に特定の有効性を有することは知られておらず、また、8時間睡眠期間の最後の60、90、もしくは120分の間に睡眠妨害パターンを有する患者を治療する際に有効であることも知られていなかった。ドキセピンの平均半減期は17時間で、その主な活性代謝産物、デスメチルドキセピンの半減期は51時間である。したがって、睡眠周期の開始時に服用すると、薬物または活性代謝産物の大部分は睡眠周期の終わりにまだ体内に残ることになる。その結果、高齢者の早期の最終の覚醒または最後の1時間の睡眠効率に対処するのに十分なドキセピンの用量は、睡眠後の鎮静または他の望ましくない副作用も引き起こすことになろう。
本発明は、患者における最後の1時間の睡眠効率および早期の最終の覚醒を、有害な副作用なしに治療するためのドキセピンの驚くべき能力を記載する。
米国特許第5,502,047号 米国特許第6,211,229号
いくつかの態様は、それを必要としている患者において早期の覚醒を軽減または防止する方法を提供する。いくつかの態様において、方法は望まれる睡眠の所与の8時間の期間に、患者がその期間の最後の60分の間に終わる睡眠期間を経験する、睡眠障害を有している患者を特定する段階;およびその患者に、睡眠期間の前に、ドキセピン、その薬学的に許容される塩、またはそのプロドラッグを、睡眠期間を延長するために有効であり得る、1ミリグラム(mg)から6mgの間の用量で投与する段階を含む。態様のいくつかの局面において、患者はその期間の最後の45分の間に終わる睡眠期間を経験するとして特定することができる。態様のいくつかの局面において、患者はその期間の最後の30分の間に終わる睡眠期間を経験するとして特定することができる。いくつかの態様において、睡眠期間はその期間の7時間目の間またはその後に終わるように延長することができる。いくつかの態様において、睡眠期間はその期間の7.5時間目の間またはその後に終わるように延長することができる。いくつかの局面において、患者は睡眠後の覚醒時間を減らす必要があるとしてさらに特定することができる。もう一つの態様において、患者は慢性または非慢性不眠症を患っている。さらにもう一つの態様において、患者は一過性不眠症を患っている。
いくつかの態様は、患者の睡眠期間の8時間目における分断された睡眠を減少させる方法を提供する。いくつかの態様において、方法は睡眠期間の8時間目の間に分断された睡眠を患っている患者を特定する段階;およびその患者にドキセピン、その薬学的に許容される塩、またはプロドラッグを約1mgから6mgの間の用量で投与する段階を含む。いくつかの態様において、ドキセピンの用量は、例えば、約1mg、3mgまたは6mgである。したがって、一つの局面において、ドキセピンの用量は約1mgであり得る。一つの局面において、ドキセピンの用量は約3mgであり得る。一つの局面において、ドキセピンの用量は約6mgであり得る。もう一つの態様において、患者は慢性または非慢性不眠症を患っている。さらにもう一つの態様において、患者は一過性不眠症を患っている。
いくつかの態様は、睡眠障害の治療法であって、LPS、WASO、TST、TWT、SE、第2段階の睡眠までの潜時、WTDS、またはWTASの一つまたは複数に関連する睡眠不足を含む、一過性不眠症を患っている患者を特定する段階;およびその患者にドキセピン、その薬学的に許容される塩、またはプロドラッグを約0.5mgから6mgの間の用量で投与する段階を含む方法を提供する。一つの態様において、ドキセピンの用量は約1mg、3mgまたは6mgである。他の態様において、ドキセピンの用量は約0.5mg、1mg、3mgまたは6mgである。
いくつかの態様は、望まれる睡眠の所与の8時間の間に、その期間の最後の60分の間に終わる睡眠期間を経験する、睡眠障害を有している患者において早期の覚醒を軽減または防止する際に用いるための薬剤の調製または製造における、ドキセピン、その薬学的に許容される塩、またはそのプロドラッグの0.5mgから6mgの間の用量での使用を提供する。特定の態様において、患者はその期間の最後の45分の間または最後の30分の間に終わる睡眠期間を経験し、睡眠期間はその期間の7時間目または7.5時間目の間またはその後に終わるように延長される。
いくつかの態様は、睡眠期間の8時間目の間に分断された睡眠を患っている患者を治療する際に用いるための薬剤の調製または製造における、ドキセピン、その薬学的に許容される塩、またはそのプロドラッグの約0.5mgから6mgの間の用量での使用を提供する。一つの態様において、ドキセピンの用量は約1mg、3mgまたは6mgである。特定の態様において、ドキセピンの用量は約0.5mg、1mg、3mgまたは6mgである。
[請求項1001]
必要としている患者において早期の覚醒を軽減または防止する方法であって、以下の段階を含む方法:
望まれる睡眠の所与の8時間の期間に、患者がその期間の最後の60分の間に終わる睡眠期間を経験する、睡眠障害を有している患者を特定する段階;および
前記患者に、睡眠期間の前に、ドキセピン、その薬学的に許容される塩、またはそのプロドラッグを、睡眠期間を延長するために有効な0.5mgから6mgの間の用量で投与する段階。
[請求項1002]
患者が前記期間の最後の45分の間に終わる睡眠期間を経験するとして特定される、請求項1001記載の方法。
[請求項1003]
患者が前記期間の最後の30分の間に終わる睡眠期間を経験するとして特定される、請求項1001記載の方法。
[請求項1004]
睡眠期間が前記期間の7時間目の間またはその後に終わるように延長される、請求項1001記載の方法。
[請求項1005]
睡眠期間が前記期間の7.5時間目の間またはその後に終わるように延長される、請求項1001記載の方法。
[請求項1006]
患者が睡眠後の覚醒時間を減らす必要があるとしてさらに特定される、請求項1001記載の方法。
[請求項1007]
患者が慢性または非慢性不眠症を患っている、請求項1001記載の方法。
[請求項1008]
患者が一過性不眠症を患っている、請求項1007記載の方法。
[請求項1009]
患者の睡眠期間の8時間目における分断された睡眠を減少させる方法であって、以下の段階を含む方法:
睡眠期間の8時間目の間に分断された睡眠を患っている患者を特定する段階;および
前記患者に、ドキセピン、その薬学的に許容される塩、またはプロドラッグを約0.5mgから6mgの間の用量で投与する段階。
[請求項1010]
ドキセピンの用量が約1mg、3mgまたは6mgである、請求項1009記載の方法。
[請求項1011]
ドキセピンの用量が約0.5mgである、請求項1010記載の方法。
[請求項1012]
ドキセピンの用量が約1mgである、請求項1010記載の方法。
[請求項1013]
ドキセピンの用量が約3mgである、請求項1010記載の方法。
[請求項1014]
ドキセピンの用量が約6mgである、請求項1010記載の方法。
[請求項1015]
患者が慢性または非慢性不眠症を患っている、請求項1009記載の方法。
[請求項1016]
患者が一過性不眠症を患っている、請求項1015記載の方法。
[請求項1017]
睡眠障害の治療法であって、以下の段階を含む方法:
LPS、WASO、TST、TWT、SE、第2段階の睡眠までの潜時、WTDS、またはWTASの一つまたは複数に関連する睡眠不足(sleep deficiency)を含む一過性不眠症を患っている患者を特定する段階;および
前記患者に、ドキセピン、その薬学的に許容される塩、またはプロドラッグを、約0.5mgから6mgの間の用量、または任意の適当な投与経路により標的血漿濃度特性を達成する用量で投与する段階。
[請求項1018]
ドキセピンの用量が約1mg、3mgまたは6mgである、請求項1017記載の方法。
[請求項1019]
ドキセピンの用量が約0.5mgである、請求項1017記載の方法。
[請求項1020]
ドキセピンの用量が約1mgである、請求項1017記載の方法。
[請求項1021]
ドキセピンの用量が約3mgである、請求項1017記載の方法。
[請求項1022]
ドキセピンの用量が約6mgである、請求項1017記載の方法。
[請求項1023]
望まれる睡眠の所与の8時間の期間に、患者が前記期間の最後の60分の間に終わる睡眠期間を経験する、睡眠障害を有している患者において早期の覚醒を軽減または防止する際に用いるための薬剤の調製における、ドキセピン、その薬学的に許容される塩、またはそのプロドラッグの0.5mgから6mgの間の用量での使用。
[請求項1024]
患者が前記期間の最後の45分の間に終わる睡眠期間を経験する、請求項1023記載の使用。
[請求項1025]
患者が前記期間の最後の30分の間に終わる睡眠期間を経験する、請求項1023記載の使用。
[請求項1026]
睡眠期間が前記期間の7時間目の間またはその後に終わるように延長される、請求項1023記載の使用。
[請求項1027]
睡眠期間が前記期間の7.5時間目の間またはその後に終わるように延長される、請求項1023記載の使用。
[請求項1028]
睡眠期間の8時間目の間の分断された睡眠を治療する際に用いるための薬剤の調製における、ドキセピン、その薬学的に許容される塩、またはそのプロドラッグの約0.5mgから6mgの間の用量での使用。
[請求項1029]
ドキセピンの用量が約1mg、3mgまたは6mgである、請求項1028記載の使用。
[請求項1030]
ドキセピンの用量が約0.5mgである、請求項1028記載の使用。
[請求項1031]
ドキセピンの用量が約1mgである、請求項1029記載の使用。
[請求項1032]
ドキセピンの用量が約3mgである、請求項1029記載の使用。
[請求項1033]
ドキセピンの用量が約6mgである、請求項1029記載の使用。
睡眠ポリグラフを用いて分析することができる異なるパラメーターを例示する図である。 1mg、3mgおよび6mgドキセピンについて、様々な時点でのドキセピン血漿特性濃度(plasma profile concentration)を示すグラフである。 1mg、3mgおよび6mgドキセピンで治療した後の高齢者における夜の時間毎の睡眠効率(SE)を示すグラフである(プロトコルに適合した集団のデータ)。 1mg、3mgまたは6mgドキセピンで治療した成人(18〜64歳)における夜の時間毎のSEを示すグラフである。 プラセボ、3mgドキセピンまたは6mgドキセピンで治療した成人における夜の時間毎のSEを示すグラフである。 3mgドキセピンまたは6mgドキセピンで治療した成人における第1夜、第15夜および第29夜の夜の時間毎のSEを示すグラフである。 第1夜の夜の時間毎のSEを示すグラフである:ITT分析集団。 6mgドキセピンで治療した一過性不眠症の成人における夜の時間毎のSEを示すグラフである。
発明の詳細な説明
現在、多くの個人が不眠症などの睡眠障害を患っている。不眠症を有するこれらの個人の中には、早期の最終の覚醒のために総睡眠期間が短いものもある。同様に、これらの個人の中には、特にその睡眠期間の最後の1〜2時間に一時的覚醒を患っているものもある。睡眠の最後の時間における早期の最終の覚醒および一時的覚醒により、個人は疲労し、元気回復できず、その全体的な健康および生産性が低下しうる。したがって、睡眠効率および総睡眠時間を改善するために、そのような個人を治療する方法が必要とされている。
本発明は、そのような個人の睡眠を改善するためのドキセピン、例えば、低用量ドキセピンの使用法に関する。いくつかの態様は、個人の早期の最終の覚醒を防止または軽減するためのドキセピンの使用法に関する。同様に、いくつかの態様は、個人の睡眠の最後の時間、好ましくは睡眠期間の最後の1時間の一時的覚醒を減らすことに関する。
前述のとおり、現在様々な薬剤が不眠症などの睡眠障害の治療のために認可されている。認可薬剤の多くは好ましくない副作用を有している。加えて、過去に認可された薬剤は薬剤服用中の個人の睡眠経験を有効に管理しない。例えば、認可薬剤は睡眠の最後の時間、特に睡眠期間の最後の1時間に患者の分断された睡眠を改善しない。さらに、一例として、すでに認可された薬剤の多くは薬剤服用中の個人の早期の最終の覚醒を軽減または防止しない。簡単に言うと、現在認可されている薬剤は、睡眠の最後の時間に患者の睡眠経験を完全に改善することはない。
ドキセピンHClはうつ治療用に現在認可されている三環系化合物である。うつの治療のために推奨される1日用量は75mgから300mgの範囲である。ドキセピンは、不眠症治療用にFDAで認可されているほとんどの製剤とは異なり、第4級(Schedule IV)規制物質ではない。米国特許第5,502,047号および第6,211,229号は、その全内容が参照により本明細書に組み入れられるが、慢性および非慢性(例えば、一過性/短期)不眠症を治療するためのドキセピンの、うつを治療するために用いるものよりもはるかに低い用量での使用を記載している。
本発明のいくつかの態様は、早期もしくは早い最終の覚醒を防止するため、および/または分断された睡眠を改善するための、低用量ドキセピン、その薬学的に許容される塩またはプロドラッグの能力に関し、これはそのような治療を必要としている個人を特定し、個人に低用量のドキセピン、その薬学的に許容される塩、またはそのプロドラッグを提供することにより、8時間睡眠期間の7時間目および8時間目における睡眠効率(SE)の減少によって評価することができる。
定義
本明細書において用いられる「睡眠ポリグラフ」(PSG)なる用語は、睡眠中にいくつかの生理的変数を測定し、記録する、診断試験を意味する。脳の電気的活性、眼および顎の筋肉の動き、脚の筋肉の動き、空気流、呼吸努力(胸部および腹部可動域)、EKGならびに酸素飽和度を記録するために、生理的センサーの導線を患者に設置する。すべての導線から情報を集め、コンピューターに送り込み、一連の波形記録として出力し、これにより技術者は様々な波形を視覚化し、試験のための評点を割当て、診断プロセスを補助することができる。一次有効性変数、睡眠中の覚醒時間(WTDS)および様々な二次有効性変数はすべてPSGに基づき、以下のとおりに定義される。
「睡眠中の覚醒時間」(WTDS)は、典型的には分で表され、持続的睡眠の開始後から最終の覚醒前までの覚醒事象(エポック)の数を2で割ったものである。各エポックはPSGの記録上で30秒間と定義される。
「睡眠後の覚醒時間」(WTAS)は、典型的には分で表され、最終の覚醒後からPSGの記録終了までのエポック(すなわち、記録終了直前の覚醒エポック)の数を2で割ったものである。患者が記録終了直前に覚醒エポックを持たない場合、WTASはゼロである。
「入眠後の覚醒」(WASO)はWTDSとWTASとの和である。
「持続的睡眠までの潜時」(LPS)は、典型的には分で表され、PSGの記録の開始(消灯)から最初の20連続非覚醒エポックまでのエポックの数を2で割ったものである。
「総睡眠時間」(TST)は、典型的には分で表され、PSGの記録の開始から記録終了までの非覚醒エポックの数を2で割ったものである。
「睡眠効率」(SE)は、TSTをベッド内の時間(8時間)で割り、100をかけたもので、パーセンテージで表す。これは夜の3分の1それぞれの睡眠に対するSEに分けることもでき、一夜の各160分間隔のSEを表す。最終的に、SEは夜または睡眠期間における個々の時間、例えば、睡眠期間の最後の1時間について評価することができる。
「分断された睡眠」なる用語は、測定期間または睡眠期間において中断された睡眠、例えば、患者が測定期間中に覚醒している時間を意味しうる。分断は複数回の覚醒または長期間の1回もしくは複数回の覚醒の結果起こりうる。
「プロドラッグ」なる用語は、インビボで活性薬物に変換される薬剤を意味する。プロドラッグは、いくつかの状況において、活性薬物よりも投与が容易であり得るため、有用であることが多い。例えば、プロドラッグは経口投与によって生物利用可能であり得るが、活性薬物はそうではない。プロドラッグは活性薬物よりも薬学的組成物中での溶解性が改善されている場合もある。プロドラッグの一例は、それに限定されるわけではないが、水溶性が移動に有害である場合に細胞膜を通過しての移動を容易にするためにエステル(「プロドラッグ」)として投与されるが、次いで水溶性が有益である細胞内にいったん入ると、代謝により活性実体であるカルボン酸に加水分解される、本発明の化合物である。プロドラッグのさらなる例は、酸基に結合された短鎖ペプチド(ポリアミノ酸)であり得、ここでペプチドは代謝されて活性部分を現す。
「薬学的に許容される塩」なる用語は、投与される生物に著しい刺激を与えず、化合物の生物活性および特性を抑止しない、化合物のイオン型を意味する。薬学的塩は、本発明の化合物を塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸などの無機酸と反応させることにより得ることができる。薬学的塩は、本発明の化合物を塩基と反応させて、アンモニウム塩;ナトリウムまたはカリウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウムまたはマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;ジシクロヘキシルアミン、N-メチル-D-グルタミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミンなどの有機塩基の塩、およびアルギニン、リシンなどのアミノ酸との塩を生成することにより得ることもできる。
「低用量」なる用語は、約0.5から6mgの間の1日用量範囲を意味しうる。いくつかの態様において、低用量ドキセピンの1日用量は約1、2、3、4、5または6mgであり得る。これらの用量は副作用が軽減され、驚くほど有効で、発現が比較的速やかである。一つの態様において、約1mgの初期1日用量を投与することができる。睡眠の所望の改善が達成されない場合、用量を所望の用量が達成されるまで、または最大の所望の用量に達するまで徐々に増やしてもよく、これは、例えば、2mg、3mg、4mg、5mgまたは6mgであり得る。本明細書に記載の態様において、ドキセピンの他の用量を用いうることに留意すべきである。例えば、用量は約0.5から約10mgであり得る。
化合物
ドキセピン:
ドキセピンHClはうつおよび不安の治療用に、現在認可されており、入手可能な三環系化合物である。ドキセピンは下記の構造を有する。
Figure 2018044006
本明細書に開示するすべての化合物について、特に記載がないかぎり、炭素-炭素二重結合が示されている場合、シスおよびトランス両方の立体異性体、ならびにその混合物が含まれる。
ドキセピンはジベンゾキセピン三環系化合物として公知の精神治療薬のクラスに属し、うつおよび不安を治療するための抗うつ薬として用いるために現在認可され、処方されている。ドキセピンは十分に確立された安全特性を有し、35年以上にわたって処方されている。
ドキセピンは、不眠症治療用にFDAで認可されているほとんどの製剤とは異なり、第4級規制物質ではない。米国特許第5,502,047号および第6,211,229号は、その全内容が参照により本明細書に組み入れられるが、慢性および非慢性(例えば、一過性/短期)不眠症を治療するためのドキセピンの、うつを治療するために用いるものよりもはるかに低い用量での使用を記載している。
本明細書に記載の方法において用いるためのドキセピンは、任意の適当な供給源から入手するか、または任意の適当な方法により調製しうることが企図される。前述のとおり、ドキセピンはうつおよび不安の治療用に高用量(75〜300ミリグラム)で認可され、入手可能である。ドキセピンHClは市販されており、いくつかの供給源からカプセルの形で入手してもよい。ドキセピンはSINEQUAN(登録商標)の商品名およびジェネリック型で市販されており、米国では一般に10、25、50、75、100および150mg用量のカプセル型、ならびに10mg/mLの濃縮液型で薬局から入手することができる。ドキセピンHClはPlantex Ltd. Chemical Industries (Hakadar Street, Industrial Zone, P.O. Box 160, Netanya 42101, Israel)、Sifavitor S.p.A. (Via Livelli 1 - Frazione, Mairano, Italy)、またはDipharma S.p.A. (20021 Baranzate di Bollate, Milano, Italy)から入手可能である。同様に、ドキセピンはPharmacyRx (NZ) (2820 1st Avenue, Castlegar, B.C., Canada)から10、25、50、75、100および150mgの量のカプセル型でも市販されている。さらに、ドキセピンHClはCVS Online Pharmacy Store (CVS.com)から10、25、50、75、100および150mgの量のカプセル型、および10mg/ml濃縮液で入手することができる。
また、ドキセピンは米国特許第3,438,981号に記載の方法に従って調製することができ、この開示はその全体が参照により本明細書に組み入れられる。本明細書に記載の態様の多くは「ドキセピン」について具体的に言及しているが、例えば、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、代謝産物、投与後に生成されるドキセピンのインサイチュー塩、および多形や水和物を含む固体型を含む、他のドキセピン関連化合物も用いうることに留意し、理解すべきである。
代謝産物:
加えて、ドキセピン代謝産物を調製し、用いることができる。例示のために、ドキセピンの代謝産物のいくつかの例には、デスメチルドキセピン、ヒドロキシドキセピン、ヒドロキシル-N-デスメチルドキセピン、ドキセピンN-オキシド、N-アセチル-N-デスメチルドキセピン、N-デスメチル-N-ホルミルドキセピン、4級アンモニウム連結グルクロニド、2-O-グルクロニルドキセピン、ジデスメチルドキセピン、3-O-グルクロニルドキセピン、またはN-アセチルジデスメチルドキセピンが含まれるが、それらに限定されるわけではない。ドキセピンの代謝産物は、ドキセピンについて前述した方法を含む、任意の適当な方法により入手または調製することができる。
デスメチルドキセピンは下記の構造を有する。
Figure 2018044006
デスメチルドキセピンは法医学上の標準物質として市販されている。例えば、Cambridge Isotope Laboratories, Inc. (50 Frontage Road, Andover, MA)から入手可能である。本明細書に記載の方法において用いるためのデスメチルドキセピンは、任意の適当な方法により調製することができる。例えば、デスメチルドキセピンは臭化3-メチルアミノプロピルトリフェニルホスホニウム臭化水素酸塩および6,11-ジヒドロジベンズ(b,e)オキセピン-11-オンから米国特許第3,509,175号に教示される方法に従って調製することができ、この開示はその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
ヒドロキシドキセピンは下記の構造を有する。
Figure 2018044006
2-ヒドロキシドキセピンはShu et al. (Drug Metabolism and Disposition (1990) 18:735-741)によって教示されるものを含む、任意の適当な方法によって調製することができ、この開示はその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
ヒドロキシル-N-デスメチルドキセピンは下記の構造を有する。
Figure 2018044006
2-ヒドロキシ-N-デスメチルドキセピンは任意の適当な方法によって調製することができる。
ドキセピンN-オキシドは下記の構造を有する。
Figure 2018044006
ドキセピンN-オキシドは任意の適当な方法によって調製することができる。例えば、ドキセピンN-オキシドはHobbs (Biochem Pharmacol (1969) 18:1941-1954)によって教示されるとおりに調製することができ、この開示はその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
N-アセチル-N-デスメチルドキセピンは下記の構造を有する。
Figure 2018044006
N-アセチル-N-デスメチルドキセピンは任意の適当な手段によって調製することができる。例えば、(E)-N-アセチル-N-デスメチルドキセピンはMoody et al. (Drug Metabolism and Disposition (1999) 27:1157-1164)によって教示されているとおり、ドキセピンと共にインキュベートした糸状菌において産生されており、この開示はその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
N-デスメチル-N-ホルミルドキセピンは下記の構造を有する。
Figure 2018044006
N-デスメチル-N-ホルミルドキセピンは任意の適当な手段によって調製することができる。例えば、(E)-N-デスメチル-N-ホルミルドキセピンはMoody et al. (Drug Metabolism and Disposition (1999) 27:1157-1164)によって教示されているとおり、ドキセピンと共にインキュベートした糸状菌において産生されており、この開示はその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
N-アセチルジデスメチルドキセピンは下記の構造を有する。
Figure 2018044006
N-アセチルジデスメチルドキセピンは任意の適当な手段によって調製することができる。例えば、(E)-N-アセチルジデスメチルドキセピンはMoody et al. (Drug Metabolism and Disposition (1999) 27:1157-1164)によって教示されているとおり、ドキセピンと共にインキュベートした糸状菌において産生されており、この開示はその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
ジデスメチルドキセピンは下記の構造を有する。
Figure 2018044006
ジデスメチルドキセピンは任意の適当な手段によって調製することができる。例えば、(Z)-および(E)-ジデスメチルドキセピンはDeuschle et al. (Psychopharmacology (1997) 131:19-22)によって教示されているとおり、ドキセピンを服用しているうつ患者の血漿および脳脊髄液から単離されており、この開示はその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
3-O-グルクロニルドキセピンは下記の構造を有する。
Figure 2018044006
3-O-グルクロニルドキセピンは任意の適当な手段によって調製することができる。例えば、(E)-3-O-グルクロニルドキセピンはShu et al. (Drug Metabolism and Disposition (1990) 18:1096-1099)によって記載されているとおり、ドキセピンを投与したラットの胆汁から単離されており、この開示はその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
2-O-グルクロニルドキセピンは下記の構造を有する。
Figure 2018044006
2-O-グルクロニルドキセピンは任意の適当な手段によって調製することができる。例えば、(E)-2-O-グルクロニルドキセピンはShu et al. (Drug Metabolism and Disposition (1990) 18:1096-1099)によって記載されているとおり、ドキセピンを投与したラットの胆汁、およびドキセピンを投与したヒトの尿から単離されており、この開示はその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
ドキセピンの4級アンモニウム連結グルクロニド(ドキセピンN+-グルクロニド)は下記の構造を有する。
Figure 2018044006
N+-グルクロニドは任意の適当な手段によって得るることができる。例えば、ドキセピンN+-グルクロニドはLuo et al. (Drug Metabolism and Disposition, (1991) 19:722-724)によって教示されるとおりに調製することができ、この開示はその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
薬学的に許容される塩:
前述のとおり、本明細書に記載の方法および他の態様はドキセピンの任意の適当な薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ、またはドキセピン代謝産物の塩もしくはプロドラッグを用いることができる。したがって、塩およびプロドラッグを組み合わせての置換または使用は本明細書に記載の態様において具体的に企図される。薬学的に許容される塩およびプロドラッグは任意の適当な方法によって調製することができる。
「薬学的に許容される塩」なる用語は、投与される生物に著しい刺激を与えず、化合物の生物活性および特性を抑止しない、化合物のイオン型を意味する。薬学的塩は、本発明の化合物を塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸などの無機酸と反応させることにより得ることができる。薬学的塩は、本発明の化合物を塩基と反応させて、アンモニウム塩;ナトリウムまたはカリウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウムまたはマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;ジシクロヘキシルアミン、N-メチル-D-グルタミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミンなどの有機塩基の塩、およびアルギニン、リシンなどのアミノ酸との塩を生成することにより得ることもできる。薬学的に許容される塩は以下の段落でさらに詳細に記載する。
薬学的に許容される酸付加塩を調製するために用いることができる酸には、例えば、非毒性酸付加塩、すなわち酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、炭酸水素塩、硫酸水素塩、酒石酸水素塩、ホウ酸塩、臭化物、エデト酸カルシウム、カンシラート、炭酸塩、塩化物、クラブラン酸塩、クエン酸塩、二塩酸塩、エデト酸塩、ジスリアート(dislyate)、エストラート、エシラート、エチルコハク酸塩、フマル酸塩、グルセプタート、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニラート、ヘキシルレゾルシナート、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨウ化物、イソチオナート(isothionate)、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシラート、メチル硫酸塩、ムカート、ナプシラート、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩(エンボナート)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロ酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシル酸塩、トリエチオドード(triethiodode)、および吉草酸塩などの薬理学的に許容されるアニオンを含む塩を生成するものが含まれる。
薬学的に許容される塩基付加塩を調製するために用いることができる塩基には、例えば、非毒性塩基付加塩、すなわちアルカリおよびアルカリ土類金属または有機アミンなどの金属またはアミンと生成される塩基塩を生成するものが含まれる。カチオンとして用いられる金属の非限定例には、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどが含まれる。同様に含まれるものは、例えば、銀、亜鉛、コバルト、およびセリウムなどの重金属塩である。適当なアミンの非限定例には、N,N'-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、N-メチルグルカミン、およびプロカインが含まれる。
プロドラッグ:
「プロドラッグ」なる用語は、インビボで活性薬物に変換される薬剤を意味する。プロドラッグは、いくつかの状況において、活性薬物よりも投与が容易であり得るため、有用であることが多い。例えば、プロドラッグは経口投与によって生物利用可能であり得るが、活性薬物はそうではない。プロドラッグは活性薬物よりも薬学的組成物中での溶解性が改善されている場合もある。プロドラッグの一例は、それに限定されるわけではないが、水溶性が移動に有害である場合に細胞膜を通過しての移動を容易にするためにエステル(「プロドラッグ」)として投与されるが、次いで水溶性が有益である細胞内にいったん入ると、代謝により活性実体であるカルボン酸に加水分解される、本発明の化合物である。プロドラッグのさらなる例は、酸基に結合された短鎖ペプチド(ポリアミノ酸)であり得、ここでペプチドは代謝されて活性部分を現す。プロドラッグ群の例は、例えば、T. Higuchi and V. Stella, in ''Pro-drugs as Novel Delivery Systems,'' Vol. 14, A.C.S. Symposium Series, American Chemical Society (1975);H. Bundgaard, ''Design of Prodrugs,'' Elsevier Science, 1985;および''Bioreversible Carriers in Drug Design: Theory and Application,'' edited by E. B. Roche, Pergamon Press: New York, 14-21 (1987)において見いだすことができ、これらはそれぞれその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
低用量ドキセピンの使用法
いくつかの態様は、それを必要としている患者において早期の覚醒を軽減または防止するための方法に関する。方法は望まれる睡眠の所与の睡眠期間、例えば8時間の間に、その期間の最後の60分の前またはその間に終わる睡眠期間を経験する、睡眠障害を有している患者を特定する段階;およびその患者に、睡眠期間を延長するために有効である用量、好ましくは1から6mgの間のドキセピンを投与する段階を含みうる。いくつかの局面において、患者は最後の60分、45分、30分または15分以内に終わる睡眠期間を経験しうる。他の局面において、睡眠期間はさらに早く、例えば、最後の90分、最後の120分、またはそれよりも長い間に終わりうる。いくつかの局面において、睡眠期間は、8時間睡眠期間の7時間目の間またはその後(例えば、7.5時間目)に終わるように睡眠期間を延長するために、低用量のドキセピンを投与することにより長くしてもよい。また、患者は睡眠中(または後)の覚醒時間を減らす必要があるとして特定することができる。
さらに、いくつかの態様は、患者の睡眠期間の最後の時間、好ましくは睡眠の最後の1時間または8時間目における分断された睡眠を改善する方法に関する。方法は、例えば、睡眠期間の最後の1時間またはそれよりも長い時間の間に分断された睡眠を患っている、または経験する患者を特定する段階;およびその患者にドキセピンを約1mgから6mgの間の用量で投与する段階を含む。好ましくは、この方法は睡眠期間の8時間目の間の分断された睡眠を軽減または改善するために用いることができる。いくつかの局面において、ドキセピンの用量は約1mg、3mgまたは6mgであり得る。
いくつかの態様は、早期の覚醒しやすい個人でWTASを減少させるための低用量ドキセピンの使用法に関する。そのような必要がある個人を特定することができ、低用量ドキセピンを個人に、例えば、睡眠期間の前に投与することができる。
本明細書に記載の方法は、不眠症などの睡眠障害を患っている個人を治療するために用いることができる。個人は慢性不眠症または非慢性不眠症を患っている。慢性(例えば、3〜4週間よりも長く)または非慢性不眠症のために、患者は入眠、睡眠維持(夜間の睡眠の覚醒期間による中断)、睡眠持続時間、睡眠効率、早朝覚醒、またはその組み合わせにおける困難を患っていることもある。また、不眠症は、例えば、他の薬剤の併用が原因であることもある。非慢性不眠症は、例えば、短期不眠症または一過性不眠症であり得る。慢性または非慢性不眠症は原発性不眠症または別の状態、例えば、うつもしくは慢性疲労症候群などの疾患の続発性もしくはそれが原因の不眠症であり得る。いくつかの局面において、患者は疾患の一成分である不眠症を患っていないものであり得、またはそれ以外は健常である患者を治療することもできる。前述のとおり、慢性または非慢性不眠症は原発性不眠症、すなわち別の精神障害、全身の医学的状態、または物質が原因ではないものであり得る。多くの場合、そのような状態は慢性不眠症に関連しており、診断可能なDSM-IV障害、不安もしくはうつなどの障害、または生理的睡眠-覚醒システムの障害が原因の不眠症が含まれるが、それらに限定されるわけではない。いくつかの局面において、不眠症は非慢性、または持続時間の短い(例えば、3〜4週間未満)ものであり得る。そのような不眠症の原因の例は外因性または内因性であってもよく、不適切睡眠衛生、高地不眠症、または適応性睡眠障害(例えば、死別)などの睡眠障害国際分類(ICSD)によって定義される環境性睡眠障害が含まれるが、それらに限定されるわけではない。また、短期不眠症は交替勤務睡眠障害などの障害によって引き起こされることもある。
ドキセピンの投与
方法を実施する際に、ドキセピン、ドキセピンの薬学的に許容される塩、またはドキセピンのプロドラッグを任意の適当な経路または送達法を用いて投与することができる。同様に、ドキセピン、その薬学的に許容される塩またはプロドラッグを組成物中に含んで投与することもできる。
適当な投与経路には、経口、口腔内、舌下、経皮、直腸、局所、経粘膜、または腸内投与;筋肉内、皮下、静脈内、髄内注射、ならびにクモ膜下、直接脳室内、腹腔内、鼻腔内、または眼内注射を含む非経口送達が含まれる。
経口投与用に、化合物は、活性化合物を当技術分野において周知の薬学的に許容される担体と混合することにより容易に製剤することができる。そのような担体は、治療を受ける患者が経口摂取するための錠剤、丸剤、糖衣錠、カプセル剤、液剤、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁剤などとして本発明の化合物を製剤することを可能にする。経口経路による投与は、例えば、カプセル剤、錠剤、顆粒剤、噴霧剤、シロップ、液剤、散剤、顆粒剤、ペースト(例えば、舌への塗布用)を用いて行うことができる。経口投与は、例えば、即時融解製剤を用いて行うことができる。経口使用のための薬学的製剤は、一つまたは複数の固体賦形剤を本発明の薬学的組み合わせと混合し、得られた混合物を任意に粉砕し、望まれる場合には適当な補助剤を加えた後に顆粒の混合物を加工して、錠剤または糖衣錠の中心とすることにより得ることができる。適当な賦形剤は、特に、乳糖、ショ糖、マンニトール、またはソルビトールを含む糖類;例えば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および/またはポリビニルピロリドン(PVP)などのセルロース製剤などの充填剤である。望まれる場合には、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくはアルギン酸ナトリウムなどのその塩などの崩壊剤を加えてもよい。
舌下を含む経口で用いることができる薬学的製剤には、例えば、バルクまたは単位用量剤形の液剤、散剤、および懸濁剤が含まれる。同様に、経口製剤には、例えば、丸剤、錠剤、顆粒剤、噴霧剤、シロップ、ペースト、散剤、巨丸剤、あらかじめ測定したアンプルまたはシリンジ、ゼラチン製のプッシュフィットカプセル、ならびにゼラチンおよびグリセロールまたはソルビトールなどの可塑剤製の密封軟カプセルが含まれうる。プッシュフィットカプセルは、活性成分を、乳糖などの充填剤、デンプンなどの結合剤、および/またはタルクもしくはステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、ならびに任意に安定剤との混合物で含むことができる。軟カプセル中で、活性化合物は脂肪油、流動パラフィン、または液状ポリエチレングリコールなどの適当な液体に溶解または懸濁されていてもよい。加えて、安定剤を添加してもよい。経口投与用のすべての製剤は、そのような投与に適当な用量であるべきである。
口腔投与用に、組成物は任意の適当な剤形、例えば、錠剤またはロゼンジの形をとってもよい。
局所投与用に、化合物を軟膏、ゲル、クリーム、ペースト、膏薬、ゲル、クリームもしくはローションとして、または経皮パッチとして表皮への投与用に製剤してもよい。軟膏およびクリームは、例えば、適当な増粘および/またはゲル化剤を加えて、水性または油性基剤と共に製剤してもよい。ローションは水性または油性基剤と共に製剤してもよく、一般には一つまたは複数の乳化剤、安定化剤、分散剤、懸濁化剤、増粘剤、または着色剤も含む。
注射用に、本発明の物質を、好ましくはハンクス液、リンゲル液、または生理食塩緩衝液などの生理的に適合する緩衝液中の水溶液に製剤してもよい。経粘膜投与用に、浸透する障壁に適した浸透剤を製剤中で用いる。そのような浸透剤は一般に当技術分野において公知である。
吸入による投与用に、本発明に従って用いるための化合物を、適当な噴射剤、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、または他の適当なガスを用いて、加圧パックまたはネブライザーからエアロゾル噴霧剤の形で都合よく送達する。加圧エアロゾルの場合は、計量された量を送達するためのバルブを用いて用量単位を決定してもよい。吸入器または注入器で用いるための、例えばゼラチン製のカプセルまたはカートリッジは、化合物および乳糖またはデンプンなどの適当な粉末基剤の粉末混合物を入れて製剤してもよい。
化合物は、注射、例えばボーラス注射または持続注入による非経口投与用に製剤してもよい。注射用製剤は、例えばアンプルまたは複数回用量容器の単位用量剤形で、保存剤を添加して提供してもよい。組成物は、油性または水性媒体中の懸濁剤、液剤または乳剤などの剤形でもよく、かつ懸濁化剤、安定剤および/または分散剤などの製剤用物質を含有していてもよい。
非経口投与用の薬学的製剤には、水溶性型の活性化合物の水溶液が含まれる。加えて、活性化合物の懸濁剤を、適当な油性注射用懸濁剤として調製してもよい。適当な親油性溶媒または媒体には、ゴマ油などの脂肪油、またはオレイン酸エチルもしくはトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステル、またはリポソームが含まれる。水性注射用懸濁剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストランなどの懸濁剤の粘度を高める物質を含有していてもよい。任意に、懸濁剤は適当な安定剤または高濃度の溶液を調製できるように化合物の溶解性を高める物質を含有していてもよい。
加えて、本明細書に記載の任意の化合物および組成物をデポー製剤として製剤することもできる。そのような長期間作用製剤は移植(例えば、皮下または筋肉内)または筋肉注射によって投与してもよい。したがって、例えば、化合物は、適当なポリマーもしくは疎水性材料(例えば、許容される油中の乳剤として)またはイオン交換樹脂を用いて、あるいは難溶性の誘導体、例えば難溶性の塩として製剤してもよい。さらに、本明細書に記載の任意の化合物および組成物を即時融解製剤として製剤することもできる。化合物および組成物は、点滴、坐剤、膏薬、軟膏、経皮パッチなどの吸収性材料などとして製剤し、投与することもできる。
本発明の化合物を徐放剤形または徐放薬物送達系で投与することもできる。代表的な徐放材料の記載はRemington: The Science and Practice of Pharmacy (20th ed, Lippincott Williams & Wilkens Publishers (2003))に組み込まれた材料において見いだすことができ、これはその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
製剤および投与のための様々な技術はRemington: The Science and Practice of Pharmacy (20th ed, Lippincott Williams & Wilkens Publishers (2003))において見いだすことができ、これはその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
組成物
前述のとおり、ドキセピン、その薬学的に許容される塩、および/またはプロドラッグは単独、あるいは例えば他の不眠症もしくは睡眠薬剤などの他の物質との組み合わせ、または原疾患を治療する他の薬剤との組み合わせで用いることができる。単独または組み合わせでのドキセピンは組成物の一部として含まれることもできる。化合物および組成物は、本明細書においてさらに詳細に論じるとおり、薬学的送達に適した化合物の任意の形を含むことができる。
本明細書に開示する組成物および製剤は、一つまたは複数の薬学的に許容される担体材料または賦形剤を含むこともできる。そのような組成物は保存のため、およびその後の投与のために調製することができる。治療的使用のために許容される担体または希釈剤は薬学の技術分野において周知で、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy (20th ed, Lippincott Williams & Wilkens Publishers (2003))に組み込まれた材料において見いだすことができ、これはその全体が参照により本明細書に組み入れられる。本明細書における「担体」材料または「賦形剤」なる用語は、それ自体は治療薬ではないが、担体および/もしくは希釈剤および/もしくは補助剤、または治療薬を被験者に送達するための媒体として用いる、あるいは薬学的組成物の取り扱いもしくは保存特性を改善するため、または組成物の用量単位を経口投与に適したカプセル剤もしくは錠剤などの分離した物品に形成することを可能もしくは容易にするために薬学的組成物に加える、任意の物質を意味する。賦形剤には、例示のためであって、限定のためではなく、希釈剤、崩壊剤、結合剤、接着剤、湿潤剤、ポリマー、滑沢剤、すべり剤、不愉快な味または臭いをマスクまたは相殺するために加える物質、香料、色素、芳香剤、および組成物の外観を改善するために加える物質が含まれうる。許容される賦形剤には、乳糖、ショ糖、デンプン粉末、トウモロコシデンプンまたはその誘導体、アルカン酸のセルロースエステル、セルロースアルキルエステル、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、リン酸および硫酸のナトリウムおよびカルシウム塩、ゼラチン、アカシアゴム、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、および/またはポリビニルアルコール、食塩水、デキストロース、マンニトール、乳糖、レシチン、アルブミン、グルタミン酸ナトリウム、塩酸システインなどが含まれる。ゼラチン軟カプセルに適した賦形剤の例には、植物油、ワックス、脂肪、半固体および液体ポリオール、が含まれる。液剤およびシロップの調製に適した賦形剤には、水、ポリオール、ショ糖、転化糖およびグルコースが含まれるが、それらに限定されるわけではない。注射用液剤に適した賦形剤には、水、アルコール、ポリオール、グリセロール、および植物油が含まれるが、それらに限定されるわけではない。薬学的組成物はさらに保存剤、可溶化剤、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、甘味料、着色料、香料、緩衝剤、コーティング剤、または抗酸化剤を含むことができる。注射用の滅菌組成物は、Remington: The Science and Practice of Pharmacy (20th ed, Lippincott Williams & Wilkens Publishers (2003))に組み込まれた材料に記載の通常の薬学的慣例に従って製剤することができる。例えば、活性化合物の水あるいはゴマ油、落花生油、もしくは綿実油などの天然植物油、またはオレイン酸エチルなどの合成脂肪媒体中への溶解または懸濁が望ましいと考えられる。緩衝剤、保存剤、抗酸化剤などを認められた薬学的慣例に従って組み込むことができる。化合物をマイクロカプセル化された剤形で調製することもできる。加えて、望まれる場合には、注射用薬学的組成物は少量の、湿潤剤、pH緩衝化剤などの非毒性補助物質を含んでいてもよい。望まれる場合には、吸収増強製剤(例えば、リポソーム)を用いることもできる。
組成物および製剤は、移動、送達、耐容性などを改善する任意の他の物質を含むこともできる。これらの組成物および製剤には、例えば、散剤、ペースト、軟膏、ゼリー、ワックス、オイル、脂質、小胞を含む脂質(カチオンまたはアニオン)(Lipofectin(登録商標)など)、DNA結合体、無水吸収ペースト、水中油および油中水乳剤、乳剤カーボワックス(様々な分子量のポリエチレングリコール)、半固体ゲル、ならびにカーボワックスを含む半固体混合物が含まれる。前述の任意の混合物は、製剤中の活性成分が製剤によって不活化されず、製剤が生理的に適合性で、投与経路に耐容性であるとの条件で、本発明の治療および療法において適切であり得る。薬化学の当業者には周知の製剤、賦形剤および担体に関するさらなる情報については、Baldrick P. ''Pharmaceutical excipient development: the need for preclinical guidance.'' Regul. Toxicol. Pharmacol. 32(2):210-8 (2000)、Charman WN ''Lipids, lipophilic drugs, and oral drug delivery-some emerging concepts.'' J Pharm Sci.89(8):967-78 (2000)、Powell et al. ''Compendium of excipients for parenteral formulations'' PDA J Pharm Sci Technol 52:238-311 (1998)およびその中の引用文献も参照されたい。
本発明の化合物を徐放剤形または徐放薬物送達系で投与することもできる。代表的な徐放材料の記載はRemington: The Science and Practice of Pharmacy (20th ed, Lippincott Williams & Wilkens Publishers (2003))に組み込まれた材料において見いだすことができ、これはその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
用量
前述のとおり、いくつかの態様において、好ましい用量は約1mgから6mgの間であり得る。好ましくは、用量は約0.5mg、1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、または約6mgであり得る。いくつかの態様において、用量は約0.01mgから20mgの間、または約0.5mgから10mgの間であることに留意すべきである。さらに、用量は約7mg、約8mg、約9mg、または約10mgであり得る。
選択される用量レベルは、例えば、投与経路、治療中の状態の重症度、ならびに治療中の患者の状態および過去の既往歴に依存しうる。しかし、所望の治療効果を得るのに必要とされるよりも低いレベルで化合物の用量を開始し、所望の効果が得られるまで用量を徐々に増やすことは、当分野の技術範囲内である。しかし、任意の特定の患者に対する具体的用量レベルは、遺伝的性質、体重、全身の健康、食事、投与の時間および経路、他の薬物との併用、ならびに治療中の特定の状態、およびその重症度を含む様々な因子に依存しうることが理解されるであろう。不眠症の治療のために、好ましくは1回用量を就寝前に投与する。
選択される用量は、LPS、WASO、TST、SE、WTDS、またはWTASを含む一つまたは複数のPSGの睡眠変数の改善に関与している平均血漿濃度特性を標的とすることにより決定することもできる(図1)。そのような血漿濃度特性の例を図2に示す。標的血漿濃度特性は、経口、口腔内、舌下、経皮、直腸、局所、経粘膜、または腸内投与;筋肉内、皮下、静脈内、髄内注射、ならびにクモ膜下、直接脳室内、腹腔内、鼻腔内、または眼内注射を含む非経口送達を含む任意の適当な投与経路により、任意の適当な製剤を用いて達成しうる。
実施例
実施例1
ドキセピンを以下の方法により調製する。
(a)グリニャール化合物を、エーテル(100mL)中のマグネシウム(4.8g、0.2グラム-原子)から通常の様式で調製し、(3-クロロプロピル)-tertブチルエーテル(30g、34ml)およびエーテル(100mL)に溶解した6,11-ジヒドロジベンゾ-[b,e]-オキセピン-11-オン(16.40g、0.078mol)を、フラスコの内容物がわずかに沸騰するように滴下する。混合物を還流冷却器内で撹拌しながら1時間加熱して反応を完了させ、次いで塩化アンモニウム溶液で分解する。エーテル残渣(24.0g)をリグロインで抽出する場合、分離、乾燥および溶媒除去により、融点が124〜126℃の生成物11-(3-tertブトキシプロピル)-11-ヒドロキシ-6,11-ジヒドロジベンゾ-[b,e]-オキセピン(20.3g、理論の80.0%)を得る。その後、(3-クロロプロピル)-tertブチルエーテルを以下の様式で得る:1-クロロプロパノール-(3)(19g、0.2mol)、液体イソブチレン(50mL)および濃硫酸(0.5mL)をオートクレーブ内で24時間放置し、次いで過剰の炭酸水素ナトリウム溶液に加え、エーテルで抽出する。エーテル溶液を塩化カルシウムで乾燥し、蒸留する。沸点が150〜156℃の(3-クロロプロピル)-tertブチルエーテルを回収する(23.6g、理論の78%)。
(b)上記の(a)に従って得た11-(3-tertブトキシプロピル)-11-ヒドロキシ-6,11-ジヒドロジベンゾ-[b,e]-オキセピン(30.8g)および無水アルコール性塩酸(150ml)を沸点で1時間加熱する。溶媒を蒸発により除去後、残渣をリグロインで結晶化し、融点が108〜111℃の11-(3-ヒドロキシプロピリデン)-6,11-ジヒドロジベンゾ-[b,e]-オキセピン(21.0g、理論の88.5%)を得た。酢酸エステルから再結晶後、化合物の融点は112〜114℃である。
(c)ベンゼン(5mL)に溶解した塩化チオニル(5.0ml)を室温で上記の(b)で得た11-(3-ヒドロキシプロピリデン)-6,11-ジヒドロジベンゾ-[b,e]-オキセピン(12.6g、0.05mol)に滴下する。1時間放置した後、フラスコの内容物を沸点で2時間加熱する。その後、揮発性成分を除去し、残渣を高減圧下で蒸留する。B.P.0.1が169〜172℃、融点が106〜111℃の11-(3-クロロプロピリデン)-6,11-ジヒドロジベンゾ-[b,e]-オキセピン(10.6g、理論の78.5%)を得る。酢酸エステル(20ml)から再結晶後、融点113〜115℃の純粋な生成物(9.1g、理論の67.5%)を得る。しかし、さらなる処理のために粗生成物を極めて容易に用いることができる。
(d)テトラヒドロフラン(20mL)中の上記の(c)に従って調製した11-(3-クロロプロピリデン)-6,11-ジヒドロジベンゾ-[b,e]-オキセピン(5.4g、0.02mol)およびエタノール(20mL)中のジメチルアミン(5.5g、0.12mol)を一緒にガラスオートクレーブを用い、95〜100℃(沸騰した水浴)の温度で3時間加熱する。オートクレーブの内容物に水および6N塩酸を加え、混合物をエーテルで抽出する。分離した水性酸成分を、希苛性ソーダ溶液でアルカリ性にし、それにより分離した油状物をエーテルに溶解する。エーテル残渣を高減圧下で蒸留した後、B.P.0.1が147〜150℃の11-(3-ジメチルアミノ-プロピリデン)-6,11-ジヒドロジベンゾ-[b,e]-オキセピン(4.1g、理論の73.5%)を得る。塩酸塩の融点は182〜184℃である(イソプロパノールから再結晶)。
実施例2
デスメチルドキセピンの調製
デスメチルドキセピンを以下の方法に従って調製する。米国特許第3,509,175号のとおりに調製した無水臭化3-メチルアミノプロピルトリフェニルホスホニウム臭化水素酸塩(1530g)を無水テトラヒドロフラン(4.5L)に懸濁し、ヘプタン中のブチルリチウム(6.0mol)を1時間で加える。さらに30分後、6,11-ジヒドロジベンズ[b,e]オキセピン-11-オン(483g)を暗赤色溶液に加え、反応混合物を還流下で10時間維持する。水(500mL)を室温で加え、溶媒を減圧下で除去する。粗製残渣を10%塩酸で酸性(pH2)になるまで処理し、次いでベンゼン(1.5L)を加える。撹拌後、混合物は3相に分離する(不溶性塩酸塩生成物相、水相および有機相)。ベンゼン層をデカンテーションで除去し、残る混合物を10%水酸化ナトリウム溶液で塩基性にし、ベンゼン(3×1500mL)で抽出する。ベンゼン抽出物を洗浄し、次いで無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮して、デスメチルドキセピンの固体残渣を得る。
実施例3
(E)-デスメチルドキセピンの調製
E)-デスメチルドキセピンを以下のとおりにドキセピン塩酸塩から調製する。ドキセピン塩酸塩(E/Z=85/15)(55.0g、0.174mol)をH2O(600mL)に溶解し、6M NaOHで塩基性にし、CHCl3(3×600mL)で抽出する。CHCl3抽出物を合わせ、Na2SO4で乾燥し、溶媒を減圧下で除去する。得られた油状物をEtOH(250mL)に溶解し、次いでEtOH(100mL)に溶解したマレイン酸(21.15g、0.182mol)を撹拌しながらゆっくり加え、続いてEtOH(350mL)を追加する。得られた混濁溶液を澄明になるまで還流し、次いで室温で終夜放置する。得られた結晶を減圧ろ過により単離する。さらにEtOHから再結晶を行い、E/Z比が98/2の白色結晶性生成物((E)-ドキセピンマレイン酸塩)を得る。次いで、(E)-ドキセピンマレイン酸塩(2.50g、6.32mmol)をH2O(60mL)に部分溶解し、6M NaOHで塩基性にし、CHCl3(3×60mL)で抽出する。CHCl3抽出物を合わせ、食塩水(60mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、溶媒を減圧下で除去する。得られた油状物をCHCl3(10mL)に再度溶解し、トリエチルアミン(1.8mL、13mmol)を加え、クロロギ酸2,2,2-トリクロロエチル(1.8mL、13mmol)を加え、反応混合物をN2雰囲気下で3.5時間撹拌する。次いで、完了した反応物をEt2O(140mL)で希釈し、0.5M HCl(2×140mL)、H2O(140mL)、および食塩水(140mL)で逐次洗浄し、次いでMgO4で乾燥し、溶媒を減圧下で除去する。得られた材料をシリカゲルカラムクロマトグラフィにより、EtOAc/Hex(20/80)で溶出してさらに精製し、所望の生成物(1.48g、3.36mmol)を澄明油状物で得る。次いで、N-保護(E)-デスメチルドキセピン中間体(1.44g、3.27mmol)をTHF(12mL)に溶解し、亜鉛末(2.88g)を加え、1Mリン酸ナトリウム(pH=5.5、2.3mL)を加え、反応物を17時間撹拌する。反応混合物を減圧ろ過し、ろ液の溶媒を減圧下で除去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィにより、THF/MeOH/NH4OH(85/15/0.4)で、次いでTHF/MeOH/NH4OH(75/25/0.4)で溶出して精製し、所望の生成物(744mg、2.80mmol)を淡黄色固体で得る。
実施例4
(Z)-デスメチルドキセピンの調製
Z)-デスメチルドキセピンを以下のとおりにドキセピン塩酸塩から調製する。ドキセピン塩酸塩(E/Z=85/15)(100g、0.317mol)をH2O(800mL)に溶解し、6M NaOHで塩基性にし、CHCl3(3×800mL)で抽出する。CHCl3抽出物を合わせ、Na2SO4で乾燥し、溶媒を減圧下で除去する。得られた油状物をEtOH(700mL)に溶解し、次いでEtOH(600mL)に溶解したマレイン酸(36.7g、0.317mol)を撹拌しながらゆっくり加える。得られた混濁溶液を澄明になるまで還流し、次いで室温で終夜放置する。結晶を減圧ろ過により単離し、母液を取っておく。結晶を前述のとおりにさらに2回再結晶し、3回分の母液を取っておいて合わせ、溶媒を減圧下で除去する。母液材料を還流EtOHから再結晶して、最終的に組成物中65%Z異性体である母液生成物(24g)を得る。この材料をEtOH(450mL)から再結晶して、80%Z異性体である結晶(9.1g)を得る。この材料をCHCl3/CCl4(50/50)(170mL)から4℃で再結晶して、組成物中87%Z異性体である結晶材料(7.65g)を得る。CHCl3/CCl4からさらに3回再結晶を行って、最終的にE/Z比が4/96の所望の生成物((Z)-ドキセピンマレイン酸塩)(5.12g、12.9mmol)を得る;融点:162〜163℃。次いで、(Z)-ドキセピンマレイン酸塩(1.00g、2.53mmol)をH2O(35mL)に部分溶解し、6M NaOHで塩基性にし、CHCl3(3×35mL)で抽出する。CHCl3抽出物を合わせ、食塩水(35mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、溶媒を減圧下で除去する。得られた油状物をCHCl3(4mL)に再度溶解し、トリエチルアミン(0.65mL、4.7mmol)を加え、クロロギ酸2,2,2-トリクロロエチル(0.65mL、4.7mmol)を加え、反応物をN2雰囲気下で3.5時間撹拌する。次いで、完了した反応混合物をEt2O(50mL)で希釈し、0.5M HCl(2×50mL)、H2O(50mL)、および食塩水(50mL)で逐次洗浄し、次いでMgO4で乾燥し、溶媒を減圧下で除去する。得られた材料をシリカゲルカラムクロマトグラフィにより、EtOAc/Hex(20/80)で溶出してさらに精製し、所望の生成物(710mg、1.61mmol)を澄明油状物で得る。次いで、N-保護(Z)-デスメチルドキセピン(679mg、1.54mmol)をTHF(5.7mL)に溶解し、亜鉛末(1.36g)を加え、1Mリン酸ナトリウム(pH=5.5、1.1mL)を加え、反応物を17時間撹拌する。反応混合物を減圧ろ過し、ろ液の溶媒を減圧下で除去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィにより、THF/MeOH/NH4OH(85/15/0.4)で、次いでTHF/MeOH/NH4OH(82/18/0.4)で溶出して精製し、所望の生成物(364mg、1.37mmol)を淡黄色固体で得る。
実施例5
(Z)-2-ヒドロキシ-11-(3-ジメチルアミノプロピリデン)-6,11-ジヒドロジベンゾ[b.e]オキセピンの調製
2-メトキシ-11-(3-ジメチルアミノプロピル)-6,11-ジヒドロジベンゾ[b,e]オキセピン(165mg、0.005mol)と氷酢酸(0.2mL)およびヨウ化水素酸(0.2mL、57%)との混合物を撹拌し、90℃で5時間加熱した。次いで、生成物を抽出し、氷水(25mL)に注いで精製し、水酸化ナトリウム(2N)でアルカリ性とし、エーテル(2×10mL)で抽出した。次いで、水層を塩酸(6N)でpH6.8に調節した。混合物に炭酸水素ナトリウム溶液(5%)を加えてpH7とし、クロロホルム(2×10mL)で抽出した。抽出物を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で蒸発させて、帯黄色固体を得た。粗製反応生成物を調製用TLC(クロロホルム/トルエン/メタノール/アンモニア、4:3:2:1、v/v)で精製した。
実施例6
(E)-2-ヒドロキシ-11-(3-ジメチルアミノプロピリデン)-6,11-ジヒドロジベンゾ[b,e]オキセピンの調製
(Z)-2-ヒドロキシ-11-(3-ジメチルアミノプロピリデン)-6,11-ジヒドロジベンゾ[b,e]オキセピン(2.5mg、8.5×10-6mol)の混合物を塩酸(1mL)およびメタノール(9mL)の混合物に溶解し、140℃(油浴)で4時間加熱した。生成物をHPLCおよび溶媒の蒸発により単離した。
実施例7
(Z)-2-ヒドロキシ-11-(3-メチルアミノプロピリデン)-6,11-ジヒドロジベンゾ[b,e]オキセピンの調製
2-メトキシ-11-(3-メチルアミノプロピル)-6,11-ジヒドロジベンゾ[b,e]オキセピン(0.005mol)と氷酢酸(0.2mL)およびヨウ化水素酸(0.2mL、57%)との混合物を撹拌し、90℃で5時間加熱する。次いで、生成物を抽出し、氷水(25mL)に注いで精製し、水酸化ナトリウム(2N)でアルカリ性とし、エーテル(2×10mL)で抽出する。次いで、水層を塩酸(6N)でpH6.8に調節する。混合物に炭酸水素ナトリウム溶液(5%)を加えてpH7とし、クロロホルム(2×10mL)で抽出する。抽出物を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で蒸発させて、帯黄色固体を得る。粗製反応生成物を調製用TLC(クロロホルム/トルエン/メタノール/アンモニア、4:3:2:1、v/v)で精製する。
実施例8
(E)-2-ヒドロキシ-11-(3-メチルアミノプロピリデン)-6,11-ジヒドロジベンゾ[b,e]オキセピンの調製
(Z)-2-ヒドロキシ-11-(3-メチルアミノプロピリデン)-6,11-ジヒドロジベンゾ[b,e]オキセピン(2.5mg)の混合物を塩酸(1mL)およびメタノール(9mL)の混合物に溶解し、140℃(油浴)で4時間加熱する。生成物をHPLCおよび溶媒の蒸発により単離する。
実施例9
ドキセピン-N-オキシドの調製
ドキセピン塩酸塩の水溶液をアルカリ性にし、塩化メチレンで抽出した。溶媒を除去し、残渣をメタノールに溶解して、過剰の30%過酸化水素で5日間処理した。クロマトグラフィ試験により、ドキセピンがより極性の高い物質に完全に変わっていることが示され、その質量分析からN-オキシドであることが判明した。
Hobbs, D. C., Distribution and Metabolism of Doxepin (1969) Biochem Pharmacol 18:1941-1954;その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
実施例10
(Z)ドキセピン- N-オキシドの調製
精製した(Z)-ドキセピン塩酸塩の水溶液をアルカリ性にし、塩化メチレンで抽出する。溶媒を除去し、残渣をメタノールに溶解して、過剰の30%過酸化水素で5日間処理する。クロマトグラフィ試験により、ドキセピンがより極性の高い物質に完全に変わっていることが示され、その質量分析からドキセピンの(Z)異性体のN-オキシドであることが判明する。
実施例11
(E)-ドキセピン-N-オキシドの調製
精製した(E)-ドキセピン塩酸塩の水溶液をアルカリ性にし、塩化メチレンで抽出する。溶媒を除去し、残渣をメタノールに溶解して、過剰の30%過酸化水素で5日間処理する。クロマトグラフィ試験により、ドキセピンがより極性の高い物質に完全に変わっていることが示され、その質量分析からドキセピンの(E)異性体のN-オキシドであることが判明する。
実施例12
(E)-N-アセチル-N-デスメチルドキセピン、(E)-N-デスメチル-N-ホルミルドキセピン、および(E)-N-アセチルジデスメチルドキセピンの単離
(E)-N-アセチル-N-デスメチルドキセピン、(E)-N-デスメチル-N-ホルミルドキセピン、および(E)-N-アセチルジデスメチルドキセピンをクンニングアメラ-エレガンス(Cunninghamella elegans、C.elegans)からMoody et al. (Drug Metabolism and Disposition (1999) 27:1157-1164)の組み込まれた材料において記載のとおりに単離する。簡単に言うと、C. elegans ATCC 9245の培養物を125rpmで操作中の回転撹拌機により26℃で48時間インキュベートし、次いで滅菌生理食塩溶液(0.5mL)に溶解したドキセピン塩酸塩(E/Z比83:16%)(10mg)を加える。96時間インキュベートした後、各フラスコの内容物をガラスウールを通して分液漏斗にろ過し、同量の酢酸エチルで3回抽出する。有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、34°、減圧下で蒸発乾固させる。HPLC分析のために、残渣をメタノールに溶解し、約100μLまで濃縮する。
抽出物を、Beckmanモデル100Aポンプ、Waters 486ターンテーブルUV吸収検出器、およびShimadzuモデルCR601 Chromatopac積分器からなる半調製スケールのHPLCシステムに繰り返し注入する。化合物を10.0×250mmカラムで30分間で30から75%メタノール-緩衝液(v/v)の直線勾配を用い、1.0mL/分で溶出する。用いる緩衝液は25mM酢酸アンモニウム、pH7.2である。類似の保持時間の化合物を集める。NMRおよび質量分析により(E)-N-アセチル-N-デスメチルドキセピン、(E)-N-デスメチル-N-ホルミルドキセピン、および(E)-N-アセチルジデスメチルドキセピンの単離を確認する。
実施例13
(Z)-N-アセチル-N-デスメチルドキセピン、(Z)-N-デスメチル-N-ホルミルドキセピン、および(Z)-N-アセチルジデスメチルドキセピンの単離
(Z)-N-アセチル-N-デスメチルドキセピン、(Z)-N-デスメチル-N-ホルミルドキセピン、および(Z)-N-アセチルジデスメチルドキセピンをクンニングアメラ-エレガンス(C.elegans)から(E)異性体について実施例12で前述したとおりに単離する。しかし、実施例13とは異なり、培養物を最初にZ/E比が85:15よりも高いドキセピンのシス(Z)-異性体を多く含むドキセピンとインキュベートする。NMRおよび質量分析により(Z)-N-アセチル-N-デスメチルドキセピン、(Z)-N-デスメチル-N-ホルミルドキセピン、および(Z)-N-アセチルジデスメチルドキセピンの単離を確認する。
実施例14
(E)-および(Z)-N-ジデスメチルドキセピンの単離
(E)-および(Z)-N-ジデスメチルドキセピンを、Deuschle et al. (Psychopharmacology (1997) 131:19-22)の組み込まれた材料において記載の方法に従い、ドキセピンで治療した患者の血清および脳脊髄液から単離する。簡単に言うと、血液および脳脊髄液をドキセピンで治療中の患者から採取する。遠心分離(15000gで5分間)後、試料100μlを、Lichrospher RP-8 DIOLを充填したクリーンアップカラム(10.0×4.0mm)に直接注入する。干渉血漿またはCSF成分を、5%アセトニトリルを含む水を用い、流速1.5mL/分で洗浄して廃棄する。5分後、流れを分析カラムに切り換え、対象となる薬物をメタノール:アセトニトリル:0.008Mリン酸緩衝液、pH6.4(188:578:235;V/V)を溶離に用いて分離する。NMRおよび質量分析により(E)-N-ジデスメチルドキセピンおよび(Z)-N-ジデスメチルドキセピンの単離を確認する。
実施例15
(E)-2-O-グルクロニルドキセピンおよび(E)-3-O-グルクロニルドキセピンの単離
(E)-2-O-グルクロニルドキセピンおよび(E)-3-O-グルクロニルドキセピンを、Shu et al. (Drug Metabolism and Disposition (1990)18: 1096-1099)の組み込まれた材料において記載の方法に従い、ラット胆汁から単離する。簡単に言うと、ドキセピン塩酸塩(28mg/kg)の腹腔内注射後4時間の間にラットからラット胆汁の試料を採取する。試料を2つの溶媒送達ポンプ(Waters M045)、システムコントローラー(Waters Model 720)、UV吸収検出器(Waters Model 441)、および積分器(Hewlett 3390A)からなる勾配HPLCシステムでクロマトグラフィにかける。クロマトグラフィをSpherisorb nitrileを充填し、50℃に維持したカラム(3μm、0.46×15cm)で実施する。分析は95%溶媒A(水)および5%溶媒B(アセトニトリル/メタノール、75:25、v/v)による初期均一溶媒期間(1分間)で開始する。その後、1分から16分まで溶媒Bの割合を5%から100%に高めることにより直線勾配溶離を確立し、続いて100%溶媒Bによる均一溶媒溶離の最終期間(4分間)とする。流速は1.5mL/分で、254nmのUV吸収を0.005 AUFSの感度でモニターする。NMRおよび質量分析により(E)-2-O-グルクロニルドキセピンおよび(E)-3-O-グルクロニルドキセピンの単離を確認する。
実施例16
(Z)-2-O-グルクロニルドキセピンおよび(Z)-3-O-グルクロニルドキセピンの単離
(Z)-2-O-グルクロニルドキセピンおよび(Z)-3-O-グルクロニルドキセピンを、ラットにZ/E比が85:15よりも高いドキセピンのシス(Z)-異性体を多く含むドキセピンを注射する以外は、実施例16で前述した方法に従ってラットから単離する。NMRおよび質量分析により(Z)-2-O-グルクロニルドキセピンおよび(Z)-3-O-グルクロニルドキセピンの単離を確認する。
実施例17
(E)-および(Z)-ドキセピンN + -グルクロニドの調製
ドキセピンの4級アンモニウム連結グルクロニド(ドキセピンN+-グルクロニド)を、Luo et al. (Drug Metabolism and Disposition, (1991) 19:722-724)の組み込まれた材料に記載の有機合成により得る。簡単に言うと、合成法はドキセピンの市販試料のメチル(2,3.4-トリ-O-アセチル-1-ブロモ-1-デオキシ-α-D-グルコピラノシド)ウリナートの4級化と、続く水酸化ナトリウム処理による保護基の除去を含む。したがって、ドキセピンN+-グルクロニドの(Z)-異性体を調製するためには、(Z)-ドキセピンを出発原料として用いる。ドキセピンの(E)-異性体を調製するためには、(E)-ドキセピンを出発原料として用いる。
実施例18
原発性不眠症の高齢患者においてドキセピン塩酸塩(HCl)の3つの用量レベルの睡眠維持効果をプラセボと比べて評価するための第II相試験
原発性睡眠維持不眠症の65歳以上の患者においてドキセピン(1mg、3mgおよび6mg)の効果をプラセボと比べて評価するために、第II相無作為多施設二重盲検プラセボ対照4期間交差用量反応試験を計画した。患者にPSGのスクリーニング期間の連続2夜にわたり一重盲検プラセボを投与し、4治療期間それぞれの連続2夜にわたり二重盲検試験薬を投与した。各試験薬投与後、患者は睡眠施設で連続8時間のPSGの記録を行った。各PSGの評価が完了した翌日には、患者を睡眠施設から退院させた。各PSGの評価来院の間に5または12日間の無試験薬期間を設けた。患者ごとの試験参加期間は約7から11週間であった。
スクリーニングPSGの評価に基づき、試験登録に適格であった患者を、ラテン方格デザインを用いて治療順序に無作為化した。最終試験来院を、4治療期間完了後または試験中止後いずれかの患者について実施した。有効性評価を各来院時に行い、安全性評価を試験期間中を通して行った。
71名の患者がプロトコルに適合した解析集団に含まれた。主な登録基準は、Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, fourth Edition(DSM-IV)で規定される原発性不眠症の少なくとも3ヶ月の既往歴を有し、PSGのスクリーニング前の7夜のうち4夜で下記のそれぞれを報告している、65歳以上で全身健康状態が良好な男性および/または女性患者であった:総睡眠時間(TST)≦6.5時間、入眠後の覚醒(WASO)≧60分、および入眠までの潜時(LSO)≧20分。加えて、患者はスクリーニングPSGの期間中にPSGの評価に基づき下記の登録基準を満たしていなければならなかった:PSGのスクリーニングの夜の睡眠中の覚醒時間(WTDS)≧60分で、<45分の夜はない;PSGのスクリーニングの両夜でTST>240分および≦410分;PSGのスクリーニングの両夜で持続的睡眠までの潜時(LPS)≧10分、PSGのスクリーニング第1夜の睡眠1時間毎に覚醒を伴う定期的な肢の動き<15、およびPSGのスクリーニング第1夜の睡眠1時間毎に無呼吸/呼吸低下<15。ドキセピンHCl 1mg、3mgおよび6mgカプセル、ならびにプラセボカプセルは経口投与用の1回用量で提供した。
一次有効性評価はWTDSであった。二次有効性評価にはWASO、TST、SEおよびWTASが含まれた。すべての客観的有効性評価は第1夜および第2夜に実施した。
有効性解析はプロトコルに適合した集団(PP;一次解析集団)を用いた。PP解析集団は、有効性の評価に影響をおよぼす可能性がある重要なプロトコル派生がなく、4治療期間のそれぞれからWTDSデータを提供した、すべての患者を含んでいた。一次および二次有効性解析はPP解析集団に基づいていた。
各治療期間内で、適当な場合には、2つのデータ点の平均を解析に用いた。一次有効性変数、WTDS、ならびに二次客観的パラメーターを、順序、順序内の患者、治療および期間に関して、分散分析(ANOVA)モデルを用いて解析した。各活性治療薬とプラセボの対比較をダネット検定を用いて行った。二重盲検試験薬の少なくとも一回用量を服用したすべての無作為化患者を安全性解析に含め、この解析は観察されたデータに基づいていた。
有効性結果
一次
WTDSはPP解析集団のプラセボに比べてドキセピン1mg(p=0.0001)、3mg(p<0.0001)および6mg(p<0.0001)用量レベルで統計学的に有意な減少を示した。観察された平均値(±SD)は以下のとおりであった:プラセボ:86.0(38.15);ドキセピン1mg:70.1(32.78);ドキセピン3mg:66.4(31.56)およびドキセピン6mg:60.2(28.00)。ITT解析集団を用いての結果はPP解析集団からのものと一致していた。
二次
二次PSGの有効性評価を表1にまとめている。WASOはプラセボに比べてドキセピン1mg(p<0.0001)、3mg(p<0.0001)、および6mg(p<0.0001)用量レベルで統計学的に有意な減少を示した。SEはプラセボに比べてドキセピンの3つの用量レベルすべて(1mg、p<0.0001;3mg、p<0.0001;6mg、p<0.0001)で統計学的に有意な上昇を示した。TSTはプラセボに比べてドキセピンの3つの用量レベルすべて(1mg、p<0.0001;3mg、p<0.0001;6mg、p<0.0001)で統計学的に有意な上昇を示した。WTASは、すべてプラセボに比べて、ドキセピン3mg(p=0.0264)および6mg(p=0.0008)用量レベルで統計学的に有意な減少を示し、ドキセピン1mg用量レベルで数値的に低下した。
(表1)二次PSGの有効性評価:プロトコルに適合した解析集団
Figure 2018044006
[1]各活性治療薬とプラセボをダネット検定を用いて比較したP値
SEを夜の各時間についても解析した。結果を図2にまとめている。また、表2に7および8時間目のデータをまとめている。1mgの1時間目の値を除き、プラセボに比べて3つのドキセピン用量はすべて夜間の各時間でSEの数値的上昇を示し、3および6mg用量レベルのいくつかの時点ではSEが統計学的有意に上昇した。ドキセピン6mg用量レベルで、SEは2、4、5、6、7および8時間目に統計学的に有意な上昇を示した。ドキセピン3mg用量レベルでは、SEは5、6、7および8時間目に統計学的に有意な上昇を示した。ドキセピン1mg用量レベルでは、SEは5および6時間目に統計学的に有意な上昇を示した。
(表2)7および8時間目の睡眠効率:プロトコルに適合した解析集団
Figure 2018044006
[1]:第1夜および第2夜の測定値を平均した。一方の夜の値が欠側値であった場合、n非欠側値を用いた。
[2]:各活性治療薬とプラセボを比較したP値。
結論
ドキセピン1mg、3mgおよび6mgは、原発性睡眠維持不眠症の高齢患者(65歳以上)において睡眠維持パラメーターに対する有効性を示し、これは用量に関連するようであった。すべてプラセボに比べて、ドキセピン3mgおよび6mg用量レベルでのWTASの統計学的に有意な低下ならびにドキセピン1mg用量レベルでの数値的低下によって証明されたとおり、早期の最終の覚醒の遅延における有効性もドキセピン1mg、3mgおよび6mgで示された。また、すべてプラセボに比べて、ドキセピン3mgおよび6mg用量レベルの7および8時間目でのSEの統計学的に有意な上昇、ならびに1mgでの数値的上昇によって証明されたとおり、ドキセピン1mg、3mg、および6mgについて7および8時間目の分断された睡眠の改善における有効性が示された。すべてのドキセピン用量はよく耐容され、プラセボと同様の有害作用特性を示した。翌日の残留鎮静については有意な作用はなかった。睡眠構築は概ね維持された。
実施例19
原発性不眠症の成人患者においてドキセピン塩酸塩(HCl)の3つの用量レベルの睡眠維持効果をプラセボと比べて評価するための第II相試験
原発性睡眠維持不眠症の患者においてドキセピン(1mg、3mgおよび6mg)の効果をプラセボと比べて評価するために、第II相無作為多施設二重盲検プラセボ対照4期間交差用量反応試験を計画した。
患者にPSGのスクリーニング期間の連続2夜にわたり一重盲検プラセボを投与し、4治療期間それぞれの連続2夜にわたり二重盲検試験薬を投与した。各試験薬投与後、患者は睡眠施設で連続8時間のPSGの記録を行った。各PSGの評価が完了した翌日には、患者を睡眠施設から退院させた。各PSGの評価来院の間に5または12日間の無試験薬期間を設けた。
スクリーニングPSGの評価に基づき、試験登録に適格であった患者を、ラテン方格デザインを用いて治療順序に無作為化した。最終試験来院を、4治療期間完了後または試験中止後いずれかの患者について実施した。有効性評価を各来院時に行い、安全性評価を試験期間中を通して行った。
61名の患者がプロトコルに適合した解析集団に含まれた。主な登録基準は、DSM-IVで規定される原発性不眠症の少なくとも3ヶ月の既往歴を有し、PSGのスクリーニング前の7夜のうち4夜で下記のそれぞれを報告している、18から64歳で全身健康状態が良好な男性および/または女性患者であった:総睡眠時間(TST)≦6.5時間、WASO≧60分、およびLSO≧20分。加えて、患者はスクリーニングPSGの期間中にPSGの評価に基づき下記の登録基準を満たしていなければならなかった:PSGのスクリーニングの夜のWTDS≧60分で、<45分の夜はない;PSGのスクリーニングの両夜でTST>240分および≦410分;PSGのスクリーニングの両夜でLPS≧10分、PSGのスクリーニング第1夜の睡眠1時間毎に覚醒を伴う定期的な肢の動き<10、およびPSGのスクリーニング第1夜の睡眠1時間毎に無呼吸/呼吸低下<10。ドキセピンHCl 1mg、3mgおよび6mgカプセル、ならびにプラセボカプセルは経口投与用の1回用量で提供した。
一次および二次有効性評価は実施例1で前述したとおりであった。すべての客観的有効性評価は各治療期間の第1夜および第2夜に実施した。統計法は実施例1で前述したとおりであった。
有効性結果
一次
WTDSはプラセボに比べてドキセピン3mg(p<0.0001)および6mg(p=0.0002)用量レベルで統計学的に有意な減少を示した。ドキセピン1mg用量レベルではWTDSは数値的には減少したが、有意ではなかった。観察された平均値(±SD)は以下のとおりであった:プラセボ:51.9(42.25);ドキセピン1mg:43.2(28.21);ドキセピン3mg:33.4(21.87)およびドキセピン6mg:35.3(25.17)。
二次
二次PSGの有効性評価を表3にまとめている。SEはプラセボに比べてドキセピンの3つの用量レベルすべて(1mg、p=0.0004;3mg、p<0.0001;6mg、p<0.0001)で統計学的に有意な上昇を示した。TSTはプラセボに比べてドキセピンの3つの用量レベルすべて(1mg、p=0.0004;3mg、p<0.0001;6mg、p<0.0001)で統計学的に有意な上昇を示した。WTASはプラセボに比べてドキセピン6mg用量レベル(p=0.0105)で統計学的に有意な減少を示した。プラセボに比べてドキセピン1mgおよび3mg用量レベルではWTASの数値的減少が見られたが、これらの差は有意ではなかった。WASOはプラセボに比べてドキセピン1mg(0.0130)、3mg(p<0.0001)、および6mg(p<0.0001)用量レベルで統計学的に有意な減少を示した。
(表3)二次PSGの有効性評価:プロトコルに適合した解析集団
Figure 2018044006
[1]各活性治療薬とプラセボをダネット検定を用いて比較したP値
SEを夜の各時間についても解析した。結果を図3にまとめている。プラセボに比べて3つのドキセピン用量はすべて夜間の各時間でSEの数値的上昇を示し、3および6mg用量レベルのいくつかの時点ではSEが統計学的有意に上昇した。3つのドキセピン用量はすべて夜間の7および8時間目にSEの統計学的に有意な上昇を示した。表4に7および8時間目のデータをまとめている。
(表4)7および8時間目の睡眠効率:プロトコルに適合した解析集団
Figure 2018044006
[1]:第1夜および第2夜の測定値を平均した。一方の夜の値が欠側値であった場合、非欠側値を用いた。
[2]:各活性治療薬とプラセボを比較したP値。
結論
ドキセピン1mg、3mgおよび6mgは、原発性睡眠維持不眠症の成人患者において睡眠維持パラメーターに対する有効性を示した。すべてプラセボに比べて、ドキセピン6mg用量レベルでのWTASの有意な低下ならびにドキセピン1mgおよび3mg用量レベルでの数値的低下によって証明されたとおり、ドキセピン1mg、3mgおよび6mgは早期の最終の覚醒の防止または遅延における有効性も示した。また、すべてプラセボに比べて、3つの用量すべての7および8時間目でのSEの有意な改善によって証明されたとおり、ドキセピン1mg、3mg、および6mgについて7および8時間目の分断された睡眠の改善における有効性が示された。すべてのドキセピン用量はよく耐容され、プラセボと同様の有害作用特性を示した。翌日の残留鎮静および睡眠構築において観察される臨床的に意味のある変化ついては有意な作用はなかった。
実施例20
原発性不眠症の患者においてドキセピン塩酸塩(HCl)の睡眠維持効果をプラセボに比べて評価するための第III相試験
睡眠維持困難を有する原発性不眠症患者において3mgおよび6mgの2用量のドキセピンHClの有効性および安全性を評価するために、第III相無作為二重盲検プラセボ対照平行群多施設試験を実施した。Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fourth Edition Text Revision(DSM-IV-TR)で規定される原発性不眠症に従い、原発性不眠症の3ヶ月の既往歴を有する患者を登録した。
本試験は、原発性不眠症および睡眠維持困難を有する被験者において3mgおよび6mgの2用量レベルのドキセピンの有効性および安全性を評価するために計画された、無作為二重盲検プラセボ対照平行群試験であった。有効性および安全性評価を試験期間中を通して行った。ドキセピン3mgおよび6mgカプセル、ならびにプラセボカプセルは経口投与用の1回用量で提供した。睡眠効率(SE)を評価した。データは無作為化し、観察された症例に基づいて解析した。
診断および主な登録基準
被験者は原発性不眠症(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fourth Edition, Text Revisionで規定されるとおり)の少なくとも3ヶ月の既往歴を有し、PSGのスクリーニング前の連続7夜のうち少なくとも4夜で入眠後の覚醒(WASO)≧60分、入眠までの潜時(LSO)≧20分、および総睡眠時間(TST)≦6.5時間を経験していると報告した、18歳から64歳までの女性および男性であった。
評価の基準:
一次有効性変数:一次有効性変数は第1夜のWASOであった。
他の客観的変数:二重盲検治療期間中の各PSGの記録夜間に得た他の有効性変数は睡眠中の覚醒時間(WTDS)、TST、全般の睡眠効率(SE)、夜の3分の1毎のSE、夜の時間毎のSE、持続的睡眠までの潜時(LPS)、第2段階の睡眠までの潜時、入眠後の覚醒回数(NAASO)、総覚醒時間(TWT)、睡眠後の覚醒時間(WTAS)、および睡眠構築(第1、2、および3〜4段階の睡眠のパーセンテージおよび分;急速眼球運動(レム[REM])睡眠およびノンレム睡眠のパーセンテージ;ならびにレム睡眠までの潜時を含む)であった。
主観的変数:主観的有効性変数は主観的TST(sTST)、主観的WASO(sWASO)、LSO、主観的NAASO(sNAASO)、および睡眠の質であった。これらの変数を各PSGの記録夜の翌朝に記入された質問表を用いて評価した。眩暈、働く能力、および日中の総居眠り時間を、第2夜、第16夜、および第30夜に記入された夜の質問表を用いて評価した。他の二次主観的有効性変数には、臨床医によって記入された重症度および治療効果についての2項目Clinical Global Impressions(CGI);被験者によって記入された治療効果に関する5項目CGI;被験者によって記入されたInsomnia Severity Index(ISI);および家庭で試験薬を投与した後の夜毎の総睡眠時間の平均の主観的評価が含まれた。
合計229名の被験者を試験(プラセボに77名、3mgに77名、および6mgに76名)に無作為割化した。これらの群は体重、身長、性別、および基準線の睡眠特性に関して同等であった。合計203名(89%)の被験者が試験を完了し、治療群をまたがって早期停止率は同等であった。
結果の概要:
229名の無作為化した被験者のうち、203名(89%)が試験を完了し、26名(11%)が試験を中止した。早期停止率および基準線の特性は治療群をまたがって同等であった。試験集団は女性(73%)および男性(27%)であった。平均年齢は44.5歳であった。被験者は白人(48%)、黒人/アフリカ系アメリカ人(33%)、ラテンアメリカ系(16%)、アジア人(1%)、およびその他(2%)であった。
有効性結果:
先験的ITT解析集団を用いての一次有効性変数(第1夜のWASO)。
第1夜の平均WASOは、プラセボに比べてドキセピン3mgおよび6mg投与後に約25から30分、統計学的有意に減少した。加えて、平均WASOは、治療29夜を通して、プラセボに比べて各ドキセピン治療群で約15から20分、統計学的有意に減少した。第1夜、第15夜、および第29夜の平均、ならびに対応試験の夜(第1夜と第2夜;第15夜と第16夜;および第29夜と第30夜)の平均についても、WASOの同様の結果が観察された。
夜の二番目の3分の1におけるSEおよび最後の3分の1におけるSEにおいて、プラセボに比べてドキセピン3mgおよび6mgで一貫した統計学的有意な改善が見られた。特に、8時間睡眠期間の7および8時間目のSEは驚くことに、低用量ドキセピンでの治療により統計学的有意な上昇を示した。これらの結果をそれぞれ表5〜7に示す。結果を図4および5にグラフでも示している。
(表5)第1夜および第29夜の主要な客観的有効性変数
Figure 2018044006
示したデータは平均(SD)である。
各活性治療薬とプラセボを比較したp値は、ダネット検定を用い、治療および施設の主な効果を共変動としての基準線値と共に含む、ANCOVAモデルからもとめた。
1log変換データで行った解析。
睡眠効率
全般の睡眠効率
全般の平均SEにおいて、プラセボに比べて第1夜のドキセピン群および第29夜の3mgおよび9mg群で、統計学的有意な上昇が見られた。加えて、プラセボに比べて各ドキセピン群で第1夜、第15夜、および第29夜の平均について全般の平均SEの統計学的有意な上昇が見られた。
(表6)基準線、第1夜、第29夜、ならびに第1夜、第15夜、および第29夜の平均の全般SE:ITT解析集団
Figure 2018044006
1各活性治療薬とプラセボを比較したp値は、ダネット検定を用い、治療および施設の主な効果を共変動としての基準線値と共に含む、ANCOVAモデルからもとめた。
睡眠効率:夜の最後の3分の1
第1夜の夜の最後の3分の1における平均SE値において、プラセボに比べて3mgおよび6mgの各ドキセピン群で統計学的有意な改善が観察され、第15夜(3mgおよび6mg群)および第29夜(6mg群)まで持続した。
(表7)基準線、第1夜および第29夜の夜の最後の3分の1におけるSE:ITT解析集団
Figure 2018044006
1各活性治療薬をプラセボと比較したp値は、ダネット検定を用い、治療および施設の主な効果を共変動としての基準線値と共に含む、ANCOVAモデルからもとめた。
夜の時間毎の睡眠効率
ダネット検定を用いての複数の比較について調節した、第1夜の夜の時間毎の睡眠効率を図7に示す。
プラセボに比べての3mgおよび6mgの各ドキセピン群の夜の時間毎の睡眠効率は、8時間目を含む第1夜のほとんどの評価時点で有意に改善された(p<0.0001)。
8時間目の睡眠効率
表8に示すとおり、ドキセピン3mgおよび6mgの8時間目の平均SEは、それぞれ87.8%および88.4%であるのに対し、プラセボ群では74.5%であった。
(表8)基準線、第1夜および第29夜の8時間目のSE:ITT解析集団
Figure 2018044006
1各活性治療薬をプラセボと比較したp値は、ダネット検定を用い、治療および施設の主な効果を共変動としての基準線値と共に含む、ANCOVAモデルからもとめた。
[1]:各活性治療薬をプラセボと比較したp値
実施例21
一過性不眠症の患者においてドキセピン塩酸塩(HCl)の睡眠維持効果をプラセボに比べて評価するための第III相試験
成人被験者における一過性不眠症治療のためのドキセピンHClの有効性および安全性を評価するために、第III相無作為二重盲検プラセボ対照平行群多施設試験を実施した。
この無作為二重盲検プラセボ対照平行群単一用量試験は、成人被験者においてドキセピン6mgの効果を評価するために計画された。健常成人被験者で一過性不眠症を誘導するために、実験室適合モデル(すなわち、第1夜効果)および3時間の位相前進を行った。
診断および主な登録基準:
被験者はスクリーニング時にEpworth Sleepiness Scaleの点が≦12で、3ヶ月の正常な夜間睡眠歴を有する、25歳から55歳までの健常女性および男性であった。同様に、適格性は無作為化前7日間に得た睡眠日記情報に基づき、プロトコル規定基準を用いて決定した。
評価の基準:
一次有効性変数:一次有効性変数は第1夜の持続的睡眠までの潜時(LPS)であった。
主要な二次有効性変数:主要な二次有効性変数は第1夜の入眠後の覚醒(WASO)であった。
他の客観的変数:第1夜に得た他のPSGの変数は総睡眠時間(TST);夜間全般および時間毎の総覚醒時間(TWT);夜間全般、夜の3分の1毎、夜の時間毎、および夜の最後の4分の1における睡眠効率(SE);第2段階の睡眠までの潜時;睡眠中の覚醒時間(WTDS);睡眠後の覚醒時間(WTAS);夜間全般および時間毎の入眠後の覚醒回数(NAASO);および第1、2、および3〜4段階の睡眠のパーセンテージおよび分、急速眼球運動(レム)睡眠およびノンレム睡眠のパーセンテージ、ならびにレム睡眠までの潜時を含む、睡眠構築であった。
主観的変数:第2日の朝に記入された質問表から得た主観的変数は入眠までの潜時(LSO)、主観的TST(sTST)、主観的NAASO(sNAASO)、主観的WASO(sWASO)、および睡眠の質であった。
結果の概要:
565名の無作為化した被験者すべて(プラセボ群282名およびドキセピン6mg群283名)が試験を完了した。人口統計学および他の基準線の特性は2つの治療群の間でほぼ同等であった。試験者は女性(55%)および男性(45%)であった。平均年齢は35.5歳であった。被験者は白人(50%)、ラテンアメリカ系(32%)、黒人/アフリカ系アメリカ人(15%)、アジア人(1%)、ハワイ先住民または他の太平洋諸島民(≦1%)、およびその他(2%)であった。
有効性結果:
一次および主要な二次客観的有効性変数
ドキセピン6mgの投与により、プラセボと比べて、第1夜のLPS(一次有効性変数)およびWASO(主要な二次有効性変数)の統計学的有意な改善が得られた。LPSおよびWASOの改善は性別および人種/民族性とは無関係であった。
(表9)第1夜の一次および主要な二次客観的PSGの変数:ITT解析集団
Figure 2018044006
1治療を比較したp値は、治療および施設の主な効果を含むANOVAモデルからもとめた。
他の二次客観的有効性変数
ドキセピン6mgの投与後に、プラセボと比較して、TST、TWT、SE、第2段階の睡眠までの潜時、WTDS、およびWTASを含む客観的有効性変数の統計学的有意な改善が認められた。SEおよびTWTの夜の時間毎の解析は、すべての時点でプラセボに比べてドキセピン6mgで統計学的に有意であった。TWTの改善はドキセピン6mg群で夜のすべての時間をまたがって均等に分布していた。
睡眠構築に対してはドキセピン6mgの臨床上意味のある効果はなく;睡眠段階はプラセボと比べて保存された。第2段階および第3〜4段階の睡眠に費やされた時間(分)はプラセボ群よりもドキセピン6mg群で長く、レム睡眠に費やされた時間(分)では治療群の間で差はなかった。
(表10)第1夜の他の客観的PSGの変数:ITT解析集団
Figure 2018044006
1ドキセピン6mg治療とプラセボを比較したp値は、治療および施設の主な効果を含むANOVAモデルからもとめた。
一次および主要な二次有効性変数のステップダウン法:LPSに関するドキセピン6mg群のプラセボとの比較は統計学的に有意であった。したがって、WASOに関する比較を行った。同様に、ドキセピン6mgの投与後に、プラセボと比較して、WASOの統計学的有意な改善が見られた。
一次および主要な二次有効性変数の感受性解析:LPSおよびWASO両方の感受性解析について、ドキセピン6mg群のプラセボと比較しての結果は統計学的に有意で(p<0.0001)、ITT解析集団を用いて観察した症例の結果と同様であった。
主観的有効性変数:ドキセピン6mg投与後の第2日に、プラセボと比較して、すべての主観的有効性変数(LSO、sTST、sWASO、sNAASO、および睡眠の質)で統計学的有意な改善が見られた。
結論:
ドキセピン6mgの投与は、プラセボと比較して、入眠、睡眠維持、および早朝覚醒の防止を評価するために本試験で用いた客観的尺度およびすべての主観的尺度において、統計学的有意かつ臨床上意味のある効果をもたらした。ドキセピン6mgは、1回用量投与後に安全でよく耐容され、有害作用特性はプラセボと同等であった。
ドキセピン6mgをプラセボと比較しての有効性および安全性の結果には下記が含まれる。
LPS(一次有効性変数)およびLSOにより評価しての、入眠の客観的および主観的尺度両方における統計学的有意な効果(p<0.0001)。LPSの最小二乗平均はドキセピン6mg群でプラセボ群に比べて13.0分短かった。LSOの幾何最小二乗平均はドキセピン6mg群では23.4分であったのに対し、プラセボ群では31.7分であった。
WASO(主要な二次有効性変数)、TST、全般SE、夜の時間毎のSE、WTDS、全般TWT、夜の時間毎のTWT、sTST、およびsWASOを含む、睡眠維持の複数の客観的および主観的尺度における統計学的有意な効果。客観的および主観的評価の結果は一貫していたが、いくつかの場合に(すなわち、TSTおよびWASO)主観的評点は同じ変数のPSGの尺度で見られた効果の強さを過小評価していた。
7および8時間目のSE、WTAS、および夜の最後の4分の1におけるSEを含む、PSGの変数を用いて評価した、早朝覚醒防止における統計学的有意な改善。
覚醒回数およびTWTは、1時間目以降、ドキセピンで夜の時間をまたがって均等に分布していた。
睡眠構築に対して臨床上意味のある効果はなかった;睡眠段階は保存された。
臨床上意味のある翌日の後遺症状/残留作用はなかった。
ドキセピン6mg群で抗コリン作用の可能性がある有害作用または記憶障害関連の有害作用の報告はなかった。
検査値、生命徴候測定値、ECG、身体検査、または神経学的評価で、臨床上意味のある変化は認められなかった。両治療群で、検査値に関連する有害作用の発生率は低かった。
睡眠効率
全般の睡眠効率
全般の平均SEにおいて、プラセボに比べてドキセピン6mg群で統計学的有意な改善が見られた。最小二乗平均SEは、プラセボ群に比べてドキセピン6mg群で10.6%高かった(改善された)。SEの結果を表11に示す。
(表11)第1夜の全般および夜の第一、第二、および最後の3分の1におけるSE:ITT解析集団
Figure 2018044006
1治療を比較したp値は、治療および施設の主な効果を含むANOVAモデルからもとめた。
睡眠効率:夜の最後の3分の1
夜の最後の3分の1における平均SEにおいて、プラセボに比べてドキセピン6mg群で統計学的有意な改善が観察された。最小二乗平均SEは、プラセボ群に比べてドキセピン6mg群で9.5%高かった(改善された)。
夜の最後の4分の1における睡眠効率
ITT解析集団を用いての治療群毎の夜の最後の4分の1におけるSEの概要を表12に示す。
夜の最後の4分の1における平均SEにおいて、プラセボに比べてドキセピン6mg群で統計学的有意な改善が観察された。夜の最後の4分の1における最小二乗平均SEは、プラセボ群に比べてドキセピン6mg群で10.4%高かった(改善された)。
(表12)第1夜の最後の4分の1におけるSE:ITT解析集団
Figure 2018044006
1治療を比較したp値は、治療および施設の主な効果を含むANOVAモデルからもとめた。
夜の時間毎の睡眠効率
プラセボに比べてドキセピン6mg群の夜の時間毎の睡眠効率は、すべての時点で統計学的有意に改善された(p≦0.0003)。第1夜の夜の時間毎の睡眠効率を図6に示す。
ITT解析集団を用いての7時間目の睡眠効率を表13に示す。
ITT解析集団を用いての8時間目の睡眠効率を表14に示す。
(表13)第1夜の7時間目のSE:ITT解析集団
Figure 2018044006
1治療を比較したp値は、治療および施設の主な効果を含むANOVAモデルからもとめた。
(表14)第1夜の8時間目のSE:ITT解析集団
Figure 2018044006
1治療を比較したp値は、治療および施設の主な効果を含むANOVAモデルからもとめた。
当業者には明らかであるとおり、本明細書に記載の態様には、その範囲から逸脱することなく、多くの改変および変更を加えてもよい。本明細書に記載の具体的態様は、例示のために示すにすぎない。

Claims (33)

  1. 必要としている患者において早期の覚醒を軽減または防止する方法であって、以下の段階を含む方法:
    望まれる睡眠の所与の8時間の期間に、患者がその期間の最後の60分の間に終わる睡眠期間を経験する、睡眠障害を有している患者を特定する段階;および
    前記患者に、睡眠期間の前に、ドキセピン、その薬学的に許容される塩、またはそのプロドラッグを、睡眠期間を延長するために有効な0.5mgから6mgの間の用量で投与する段階。
  2. 患者が前記期間の最後の45分の間に終わる睡眠期間を経験するとして特定される、請求項1記載の方法。
  3. 患者が前記期間の最後の30分の間に終わる睡眠期間を経験するとして特定される、請求項1記載の方法。
  4. 睡眠期間が前記期間の7時間目の間またはその後に終わるように延長される、請求項1記載の方法。
  5. 睡眠期間が前記期間の7.5時間目の間またはその後に終わるように延長される、請求項1記載の方法。
  6. 患者が睡眠後の覚醒時間を減らす必要があるとしてさらに特定される、請求項1記載の方法。
  7. 患者が慢性または非慢性不眠症を患っている、請求項1記載の方法。
  8. 患者が一過性不眠症を患っている、請求項7記載の方法。
  9. 患者の睡眠期間の8時間目における分断された睡眠を減少させる方法であって、以下の段階を含む方法:
    睡眠期間の8時間目の間に分断された睡眠を患っている患者を特定する段階;および
    前記患者に、ドキセピン、その薬学的に許容される塩、またはプロドラッグを約0.5mgから6mgの間の用量で投与する段階。
  10. ドキセピンの用量が約1mg、3mgまたは6mgである、請求項9記載の方法。
  11. ドキセピンの用量が約0.5mgである、請求項10記載の方法。
  12. ドキセピンの用量が約1mgである、請求項10記載の方法。
  13. ドキセピンの用量が約3mgである、請求項10記載の方法。
  14. ドキセピンの用量が約6mgである、請求項10記載の方法。
  15. 患者が慢性または非慢性不眠症を患っている、請求項9記載の方法。
  16. 患者が一過性不眠症を患っている、請求項15記載の方法。
  17. 睡眠障害の治療法であって、以下の段階を含む方法:
    LPS、WASO、TST、TWT、SE、第2段階の睡眠までの潜時、WTDS、またはWTASの一つまたは複数に関連する睡眠不足(sleep deficiency)を含む一過性不眠症を患っている患者を特定する段階;および
    前記患者に、ドキセピン、その薬学的に許容される塩、またはプロドラッグを、約0.5mgから6mgの間の用量、または任意の適当な投与経路により標的血漿濃度特性を達成する用量で投与する段階。
  18. ドキセピンの用量が約1mg、3mgまたは6mgである、請求項17記載の方法。
  19. ドキセピンの用量が約0.5mgである、請求項17記載の方法。
  20. ドキセピンの用量が約1mgである、請求項17記載の方法。
  21. ドキセピンの用量が約3mgである、請求項17記載の方法。
  22. ドキセピンの用量が約6mgである、請求項17記載の方法。
  23. 望まれる睡眠の所与の8時間の期間に、患者が前記期間の最後の60分の間に終わる睡眠期間を経験する、睡眠障害を有している患者において早期の覚醒を軽減または防止する際に用いるための薬剤の調製における、ドキセピン、その薬学的に許容される塩、またはそのプロドラッグの0.5mgから6mgの間の用量での使用。
  24. 患者が前記期間の最後の45分の間に終わる睡眠期間を経験する、請求項23記載の使用。
  25. 患者が前記期間の最後の30分の間に終わる睡眠期間を経験する、請求項23記載の使用。
  26. 睡眠期間が前記期間の7時間目の間またはその後に終わるように延長される、請求項23記載の使用。
  27. 睡眠期間が前記期間の7.5時間目の間またはその後に終わるように延長される、請求項23記載の使用。
  28. 睡眠期間の8時間目の間の分断された睡眠を治療する際に用いるための薬剤の調製における、ドキセピン、その薬学的に許容される塩、またはそのプロドラッグの約0.5mgから6mgの間の用量での使用。
  29. ドキセピンの用量が約1mg、3mgまたは6mgである、請求項28記載の使用。
  30. ドキセピンの用量が約0.5mgである、請求項28記載の使用。
  31. ドキセピンの用量が約1mgである、請求項29記載の使用。
  32. ドキセピンの用量が約3mgである、請求項29記載の使用。
  33. ドキセピンの用量が約6mgである、請求項29記載の使用。
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