次に、本発明の実施の形態を、実施例を用いて説明する。尚、以下では、遊技媒体として遊技球を用いる遊技機であって、図柄の変動表示の終了に伴い当り図柄が停止表示されると、遊技者に所定量の遊技利益(例えば、賞球)を付与可能な当り遊技が実行可能となるタイプ(所謂セブン機タイプ)のパチンコ遊技機に、本発明を適用した例を説明する。
図1乃至図3に示すように、実施例1のパチンコ遊技機1は、遊技機枠50と、遊技機枠50内に取り付けられた遊技盤2とを備えており、遊技盤2は遊技機枠50から着脱自在に構成されている。図3は、遊技盤2を遊技機枠50から取り外した状態のものを示す。遊技機枠50は、装飾面を有する前面枠51と、遊技盤2等を取り付ける本体枠52と、パチンコ遊技機1をホールの島設備に取り付けるための外枠53と、を有して構成されており、前面枠51、本体枠52及び外枠53は、一側端側で軸支され夫々開閉可能に構成されている。
また、前面枠51には、遊技者の操作量(回転角度)に応じた発射強度で遊技球を発射させるための発射ハンドル60、遊技球を貯留し貯留した遊技球を発射装置側に供給可能な打球供給皿(上皿)61、及び打球供給皿61に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿(下皿)62が設けられている。また前面枠51には、遊技の進行に伴って実行される遊技演出の実行中などに遊技者が操作可能な第1演出ボタン63a、第2演出ボタン63b(これら2個の演出ボタンを総称して単に「演出ボタン63」ともいう)が設けられており、この他、装飾用の枠ランプ66及びスピーカ67等も設けられている。
演出ボタン63は遊技者による入力が可能な入力手段として機能するもので、遊技演出の種類に応じて使用する演出ボタンを使い分けることができる。遊技演出の実行中に第1演出ボタン63aまたは第2演出ボタン63bを操作すると、当該操作に基づいて所定の操作対応演出が行われる。尚、演出ボタン63の構成は本実施例の態様に限らず、遊技者が入力を行うことができるものであればたり、遊技者が直接ボタン部に接触して入力を行う入力手段(例えば、出没式、タッチセンサ式等)であってもよいし、遊技者の身体の一部が近接したことを検知して入力を行う非接触式の入力手段(光電式等)であってもよい。
遊技盤2には、発射ハンドル60の操作により発射された遊技球が流下する遊技領域3が、レール部材4で囲まれて形成されている。また遊技盤2には、装飾用の盤面ランプ5が設けられている。遊技領域3には、遊技球を誘導する複数の遊技釘16が突設されている。また、レール部材4の先端には球戻り防止片6が設けられており、一旦遊技領域へ誘導された遊技球が発射装置側へ戻るのを防止することができる。
また、遊技領域3の中央付近には、液晶表示装置からなる画像表示装置7(演出表示装置)が設けられている。画像表示装置7は演出表示手段として機能するもので、その表示画面7aには、演出図柄8L、8C、8R(単に「演出図柄8」ともいう)が表示される演出図柄表示領域7b(「演出図柄表示部」ともいう)が設けられている。演出図柄8L、8C、8Rは、後述の第1特別図柄の変動表示及び第2特別図柄の変動表示に同期して変動表示を行う。演出図柄表示領域7bは、例えば「左」「中」「右」の3つの図柄表示エリアからなり、左の図柄表示エリアには左演出図柄8Lが表示され、中の図柄表示エリアには中演出図柄8Cが表示され、右の図柄表示エリアには右演出図柄8Rが表示される。
演出図柄8L、8C、8Rはそれぞれ、例えば「1」〜「9」までの数字をあらわした複数の図柄(識別情報)からなる。演出図柄表示領域7bに停止表示される左、中、右の演出図柄によって、後述(図4参照)の第1特別図柄表示器41a(「第1特別図柄表示部」ともいう)に表示される第1特別図柄の変動表示の結果、及び第2特別図柄表示器41b(「第2特別図柄表示部」ともいう)に表示される第2特別図柄の変動表示の結果(つまり、特別図柄当否判定(単に「当否判定」ともいう)の結果)を、遊技者が認識し易いように表示する。尚、第1特別図柄、第2特別図柄、演出図柄のいずれかを指して単に「図柄」や「識別情報」ということもある。
例えば、特別図柄当否判定の結果が大当りとなった場合には、「777」などの3桁同一のゾロ目(「当り演出図柄」ともいう)で演出図柄を停止表示することが可能である。また、小当りとなった場合には「135」などの予め設定したチャンス図柄や「3★3」などの専用図柄(「小当り演出図柄」ともいう)で演出図柄を停止表示することが可能である。また、外れとなった場合には「637」や「373」などの3つの図柄のうち少なくとも1つの図柄が異なるバラケ目図柄(「外れ演出図柄」ともいう)で演出図柄を停止表示することが可能である。これにより、遊技者は停止表示した演出図柄を見ることで、遊技の進行状況を容易に把握することが可能となる。つまり遊技者は、一般的には特別図柄当否判定の結果を第1特別図柄表示器41aや第2特別図柄表示器41bに表示される特別図柄を見て直接的に把握するのではなく、演出図柄表示領域7bに表示される演出図柄を見て把握する。尚、左・中・右の図柄表示エリアの位置は夫々区別して設ける必要はなく、左・中・右の演出図柄の表示エリアをそれぞれ図柄表示エリア(演出図柄表示領域7b)の全体としてもよい。また、演出図柄の変動表示(変動演出表示)の態様としては、例えば上下、左右、斜め方向等にスクロール表示する態様がある。
画像表示装置7の表示画面7a上では、前述のような演出図柄を用いた遊技演出(演出図柄遊技演出)を表示するほか、当り遊技に伴って実行される当り遊技演出や、客待ち用のデモ演出などが表示される。尚、演出図柄遊技演出や当り遊技演出やデモ演出では、数字等の演出図柄のほか、背景画像やキャラクタ画像などの演出図柄以外の演出画像も表示される。
また、図3に示すように、画像表示装置7の表示画面7aには、後述の第1特図保留の記憶数(特図1保留球数ともいう)に応じて第1演出保留を表示するとともに、後述の第2特図保留の記憶数(特図2保留球数ともいう)に応じて第2演出保留を表示する演出保留表示領域9(演出保留表示部)が形成されている。本実施例では、第1特図保留および第2特図保留として記憶可能な特図保留の数の上限(上限数)を、それぞれ「4」としており、第1特図保留の上限数「4」と第2特図保留の上限数「4」との合計である「8」が、本パチンコ遊技機1で記憶可能な特図保留の上限数となっている。このことから、本実施例では、図3に示すように、特図保留4個分に相当する4つの演出保留を表示可能な演出保留表示領域を上下に2つ並べて配置し、下段の演出表示領域である「下演出保留表示領域9a」と上段の演出保留表示領域である「上演出保留表示領域9b」とによって、演出保留表示領域9を構成している。尚、以下では、第1特図保留および第2特図保留を総称して特図保留ということがあり、特図1保留球数および特図2保留球数を総称して特図保留球数ということがあり、第1演出保留および第2演出保留を総称して演出保留ということがある。
演出保留表示領域9のうち、下演出保留表示領域9aでは、特図保留球数が「1」〜「4」の特図保留に対応する4つの演出保留h1〜h4を表示し、上演出保留表示領域9bでは、特図保留球数が「5」〜「8」の特図保留に対応する4つの演出保留h5〜h8を表示することが可能となっている。このような演出保留表示領域9に表示される演出保留(第1演出保留または第2演出保留)の表示数により、後述の第1特図保留表示器43a(図4参照)にて表示される第1特図保留の記憶数および第2特図保留表示器43bにて表示される第2特図保留の記憶数を遊技者に示すことが可能となっている。
本実施例では、第1演出保留と第2演出保留とで、演出保留の表示態様(外観デザイン、色など)を同一としており、下演出保留表示領域9aに表示される演出保留(h5〜h8)と上演出保留表示領域9bに表示される演出保留(h1〜h4)とで、表示態様が異なる場合があるものとしている。すなわち、上演出保留表示領域9bに表示された演出保留(h5〜h8)から下演出保留表示領域9aに表示された演出保留(h1〜h4)に対して何らかのアクションや作用等を施す演出を行うことで、演出保留(h1〜h4)の表示態様を変化させる演出(保留表示変化)、つまり、特図保留球数が「1」〜「4」の特図保留に係る予告演出(保留予告演出)を行うものとなっている。このように、上演出保留表示領域9bに表示された演出保留が契機となって、下演出保留表示領域9aに表示された演出保留に係る予告演出(保留予告演出)が行われることで、下演出保留表示領域9aと上演出保留表示領域9bとで演出保留の表示態様が異なる場合がある。当該予告演出の詳細については後述する。尚、第1演出保留(第1特図保留)と第2演出保留(第2特図保留)とを識別可能とすべく、それぞれの演出保留の表示態様を異ならせるようにしてもよい。
また、本実施例では、後述するように、第1特図保留および第2特図保留は、原則、交互に増加して、交互に消化される構成となっている。尚、ここでいう「消化」とは、特図保留として記憶した取得乱数値(取得情報)の判定(当否判定等)を行って当該判定結果に基づく特別図柄の変動表示を行うことを意味する。そして、特図保留の記憶(発生)に伴って、特図保留球数が「4」になるまでは、図3に示す演出保留表示領域9のうち下演出保留表示領域9aにて演出保留が左から右に順に追加表示され、特図保留球数が「4」を越えて「8」になるまでは、上演出保留表示領域9bにて演出保留が左から右に順に追加表示される。一方、特図保留の消化に伴って、下演出保留表示領域9aの左端に表示されている演出保留が消去され、残りの演出保留が下演出保留表示領域9aおよび上演出保留表示領域9bにて右から左に1つシフト(移動表示)される。このようにして、演出保留表示領域9では、演出保留の表示によって特図保留が記憶されている(存在する)ことを遊技者に認識可能に示すとともに、演出保留の表示数によって特図保留の記憶数(特図保留球数)を遊技者に認識可能に示すのである。
尚、本実施例の「演出保留(第1演出保留、第2演出保留)」は、本発明の「記憶表示」の一態様に相当し、演出保留を表示する「演出保留表示領域9(画像表示装置7)」は、本発明の「記憶表示手段」および「記憶表示領域」の一態様に相当する。また、予告演出の実行対象となる特図保留球数「1」〜「4」の特図保留に対応する演出保留を表示する「下演出保留表示領域9a」は、本発明の「第1記憶表示領域」の一態様に相当し、予告演出の実行契機となる特図保留球数「5」〜「8」の特図保留に対応する演出保留を表示する「上演出保留表示領域9b」は、本発明の「第2記憶表示領域」の一態様に相当する。
遊技領域3の中央付近であって画像表示装置7の前方には、演出図柄表示領域7bを取り囲むように、センター装飾体10が設けられている。センター装飾体10の下部には、遊技球が転動可能な遊技球転動面を有するステージ部11が設けられている。またセンター装飾体10の左部には、中空状のワープ部12が設けられている。ワープ部12にはワープ入口とワープ出口とが設けられており、遊技領域3を流下する遊技球をワープ入口から受け入れ、当該遊技球をワープ出口から排出しステージ部11へと誘導する。ステージ部11の転動面に誘導された遊技球は、ステージ部11に誘導されない遊技球と比して高い可能性で、後述の入球口18aに入球可能とされている。さらにセンター装飾体10の上部には、LED等の電飾部材(盤面ランプ5)を有し遊技状態に応じて点灯可能であって、文字や図形等を象った装飾部材13が配されている。
また、センター装飾体10の上部であって、装飾部材13の後方には、遊技演出に伴って動作可能な可動装飾部材14が設けられている。図3では、可動装飾部材14の一部分のみが視認可能となっているが、例えば、比較的当りの可能性の高い遊技演出の実行に伴って、可動装飾部材14が下方に落下し、当該可動装飾部材が表示画面7aの前面を覆い、その大部分が視認可能となる。これにより、遊技者は当りへの期待感を高めることとなる。
遊技領域3の下部中央には、第1始動口19および第2始動口20が左右に並べて設けられている。第1始動口19および第2始動口20は、遊技球受入口の大きさが変化しない非可変式の入球口によって構成されるもので、これら2つの始動口の上方に、画像表示装置7の下方に位置する入球口18aに入球した遊技球を第1始動口19または第2始動口20に振り分ける(誘導する)遊技球振分装置18(遊技球誘導装置)が設けられている。図47に遊技球振分装置18の構成の概略を示す。図47に示すように、遊技球振分装置18は、カバー体18cの上部に入球口18aを形成してなるもので、カバー体18cの内部には入球口18aに入球した遊技球が流下する遊技球通路(空間)が形成されている。遊技球通路として第1通路18L(左通路)と第2通路18R(右通路)があり、第1通路18Lは第1始動口19に遊技球を導き、第2通路18Rは第2始動口20に遊技球を導くものとなっている。カバー体18cは半透明の樹脂(プラスチック)からなるもので、入球口18aに入球した遊技球がカバー体18cの内部(遊技球通路)を流下する様子を、外部から把握することが可能となっている。
また、カバー体18cの内部には、入球口18aに入球した遊技球を第1通路18L(第1始動口19)または第2通路18R(第2始動口20)に振り分ける(誘導する)ための振分部材18bが設けられている。振分部材18bは、カバー体18cの背面に対して回転可能に軸支されており、振分部材18bを支持する軸を中心として、2つの規制部材18d,18eによって定まる所定の回転角度の範囲内で、左回り(反時計回り)または右回り(時計回り)に回動するものとなっている。尚、規制部材18d,18eは手前側に突出する円柱状の突出片となっており、カバー体18cの背面(奥側の面)に一体的に設けられている。
また、図47には示していないが、カバー体18cの背面裏側には、振分部材18bの状態を検知可能なセンサが設けられている。すなわち、振分部材18bの右振分片18gが規制部材18eとの当接位置に存在していることを検知可能な第1振分センサ18sと、振分部材18bの左振分片18fが規制部材18dとの当接位置に存在していることを検知可能な第2振分センサ18tが設けられている(図5を参照)。つまり、第1振分センサ18sが右振分片18gの存在を検知している場合(第1振分センサ18sがON、第2振分センサ18tがOFFの場合)には、振分部材18bが右側に傾いている状態(第1状態)にあり、第2振分センサ18tが左振分片18fの存在を検知している場合(第1振分センサ18sがOFF、第2振分センサ18tがONの場合)には、振分部材18bが左側に傾いている状態(第2状態)にある、ということになる。第1振分センサ18sおよび第2振分センサ18tは、後述するサブ制御基板90に接続されており、両センサの検知信号はサブ制御基板90に入力する。第1振分センサ18sおよび第2振分センサ18tは、非接触で検知物体が近づいたことを検知可能なセンサであればよく、例えば、フォトセンサや近接センサ等を用いることができる。
尚、本実施例では、振分部材18bが右側に傾いている状態(第1状態)を検知可能なセンサ(第1振分センサ18s)と、振分部材18bが左側に傾いている状態(第2状態)を検知可能なセンサ(第2振分センサ18t)とをそれぞれ設けているが、振分部材18bの状態を1つのセンサの検知状況に基づいて判別するようにしてもよい。例えば、第2振分センサ18tを設けずに第1振分センサ18sだけを設ける構成とした場合、振分部材18bが右側に傾いている状態(第1状態)にあるときは第1振分センサ18sがONとなり、振分部材18bが左側に傾いている状態(第2状態)にあるときは第1振分センサ18sがOFFとなるようにすることで、振分部材18bの状態を1つのセンサの検知状況に基づいて判別することが可能となる。あるいは、第1振分センサ18sを設けずに第2振分センサ18tだけを設ける構成としてもよく、この場合も同様に振分部材18bの状態を判別することが可能である。
ここで、遊技球振分装置18による遊技球の振り分け動作について図48を用いて説明する。図48(a)に示すように、振分部材18bが右側に傾いている状態(第1状態)で遊技球が入球口18aに入球すると、当該入球した遊技球は振分部材18bの左振分片18f上に落下し、その落下した遊技球の重みによって、振分部材18bが左回り(反時計回り)に回動する(図48(b)を参照)。そして、左振分片18fが規制部材18dに当接して振分部材18bが左側に傾くと、遊技球は第1通路18Lに向かって流下して、第1始動口19へ誘導される(図48(c)を参照)。
次に、図48(d)に示すように、振分部材18bが左側に傾いている状態(第2状態)で遊技球が入球口18aに入球すると、当該入球した遊技球は振分部材18bの右振分片18g上に落下し、その落下した遊技球の重みによって、振分部材18bが右回り(時計回り)に回動する(図48(e)を参照)。そして、右振分片18gが規制部材18eに当接して振分部材18bが右側に傾くと、遊技球は第2通路18Rに向かって流下して、第2始動口20へ誘導される(図48(f)を参照)。
このような遊技球振分装置18による遊技球の振り分け動作によれば、振分部材18bが右側に傾いている状態(第1状態)で遊技球が入球口18aに入球した場合、当該遊技球は第1通路18Lに誘導されて第1始動口19に入球することとなり、第2始動口20には入球しない。一方、振分部材18bが左側に傾いている状態(第2状態)で遊技球が入球口18aに入球した場合、当該遊技球は第2通路18Rに誘導されて第2始動口20に入球することとなり、第1始動口19には入球しない。そして、遊技球が振分部材18bによって振り分けられる毎に、振分部材18bの傾く方向が変化する(切り換わる)ので、入球口18aに遊技球が入球する度に、振分部材18bは、入球した遊技球を第1始動口19または第2始動口20に交互に振り分ける(誘導する)こととなる。このように入球口18aに入球した遊技球を振り分ける本実施例の「振分部材18b」は、本発明の「振分手段」の一態様に相当する。
尚、稀ではあるが、例えば、2個の遊技球が入球口18aに立て続けに(連なって)入球した場合、それら2個の遊技球が振分部材18bにより同じ方向に振り分けられて第1始動口19または第2始動口20に連続して入球することもあり得る。この場合、第1始動口19または第2始動口20への交互の入球の原則は崩れることとなる(イレギュラー入球)。
以上のような構成の遊技球振分装置18(振分部材18b)による振り分けを経て遊技球が第1始動口19に入球すると、当該入球に基づいて特別図柄当否判定用乱数等が取得され、予め定められた実行条件が成立すると第1特別図柄に係る当否判定(第1特別図柄当否判定)が実行されると共に第1特別図柄が変動表示され、当否判定の結果に基づいて停止表示される。また、遊技球振分装置18(振分部材18b)による振り分けを経て遊技球が第2始動口20に入球すると、当該入球に基づいて特別図柄当否判定用乱数等が取得され、予め定められた所定条件が成立すると第2特別図柄の当否判定(第2特別図柄当否判定)が実行されると共に第2特別図柄が変動表示され、当否判定の結果に基づいて停止表示される。
遊技領域3における画像表示装置7の右方には、遊技球受入口の大きさが変化することで遊技球の入球可能性が変化し得る可変式の第3始動口21(「可変始動口」ともいう)を備える可変入賞装置22が設けられている。第3始動口21への遊技球の入球に基づいて、特別図柄当否判定用乱数等が取得され、予め定められた実行条件が成立すると第2特別図柄の当否判定(第2特別図柄当否判定)が実行されると共に第2特別図柄が変動表示され、当否判定の結果に基づいて停止表示される。
つまり、第1始動口19は、第1特別図柄当否判定に係る特別図柄当否判定用乱数等の取得契機となる始動口であって、第1特別図柄当否判定の実行契機となる始動口でもあり、第1特別図柄の変動表示の実行契機となる始動口でもある。また、第2始動口20および第3始動口21は、ともに第2特別図柄当否判定に係る特別図柄当否判定用乱数等の取得契機となる始動口であって、第2特別図柄当否判定の実行契機となる始動口でもあり、第2特別図柄の変動表示の実行契機となる始動口でもある。
可変入賞装置22は、可動部材(羽根部材)23を備え、可動部材23の作動によって第3始動口21を開閉するものである。この開閉動作によって、第3始動口21は、第1の態様(閉状態)から当該第1の態様よりも遊技球の入球可能性が高い第2の態様(開状態)へと変化可能である。可動部材23は、第3始動口ソレノイド24(図5参照)により駆動される。本実施例では、第3始動口21は、可動部材23が開状態にあるときだけ遊技球が入球可能とされ、可動部材23が閉状態にあるときには遊技球が入球不能となっている。尚、第3始動口21は、可動部材23が閉状態にあるときは開状態にあるときよりも遊技球が入球困難となるものであれば、可動部材23が閉状態にあるときに完全に入球不能となるものでなくてもよい。
尚、前述したように、第1始動口19および第2始動口20は、それぞれ単体では遊技球受入口の大きさが変化しない非可変式の入球口によって構成されているが(非可変始動口)、遊技球振分装置18(振分部材18b)の存在によって、遊技球の入球可能性が変化し得る(本例では遊技球が入球可能または入球不能となり得る)ものとなっている。このことから、第1始動口19および第2始動口20を可変始動口として捉えることもできる。このように、単体では非可変始動口であるが、遊技球振分装置18(振分部材18b)の存在によって可変始動口として捉えることのできる始動口(第1始動口19および第2始動口20)や、第3始動口21のように元来可変式の入球口として構成される可変始動口のことを、総称して「特定始動口」ということもある。
遊技領域3における第1始動口19の右方には、第1大入賞口30(「第1可変入球口」ともいう)を備えた第1大入賞装置31と、第2大入賞口35(「第2可変入球口」ともいう)を備えた第2大入賞装置36とが設けられており、本実施例1では、第1大入賞装置31(第1大入賞口30)の真上に第2大入賞装置36(第2大入賞口35)が配置されている。第1大入賞装置31は、開閉部材32を備え、開閉部材32の作動により第1大入賞口30を開閉するものである。開閉部材32は、第1大入賞口ソレノイド33(図5参照)により駆動される。第1大入賞口30は、開閉部材32が開状態にあるときだけ遊技球が入球可能となる。すなわち、第1大入賞口30は、開閉部材32の開閉動作により、遊技球が入球不能な入球不能状態(閉状態)と遊技球が入球可能な入球可能状態(開状態)とに変化可能である。
また、第2大入賞装置36は、開閉部材37を備え、開閉部材37の作動により第2大入賞口35を開閉するものである。開閉部材37は、第2大入賞口ソレノイド38(図5参照)により駆動される。第2大入賞口35は、開閉部材37が開状態にあるときだけ遊技球が入球可能となる。すなわち、第2大入賞口35は、開閉部材37の開閉動作により、遊技球が入球不能な入球不能状態(閉状態)と遊技球が入球可能な入球可能状態(開状態)とに変化可能である。
また、第2大入賞装置36は、第2大入賞口35に入球した遊技球が通過可能な特定領域39と、第2大入賞口35に入球した遊技球を特定領域39又は特定領域39以外の領域(非特定領域)に誘導する(振り分ける)ための図示しない可動片を含んで構成されている。可動片は、図示しない可動片ソレノイドにより駆動されるもので、第2大入賞口35の開放、換言すると開閉部材37の開放動作の開始を契機として、その動作が開始される。可動片の動作は、第2大入賞口35の開放開始から80msが経過した時点で開始されるものとなっており、その後、所定の動作時間(例えば2000ms)が経過するか、ラウンドが終了(第2大入賞口35が閉鎖)するまで、その動作状態が維持される。そして、可動片の動作が終了すると、特定領域39は可動片によって塞がれる。つまり、可動片が動作していないときは(非動作状態)、第2大入賞口35に入球した遊技球は非特定領域に誘導されて特定領域39を通過することが不可能となる。一方、可動片が動作しているときは(動作状態)、第2大入賞口35に入球した遊技球は特定領域39に誘導されて、特定領域39を通過することが可能となる。本パチンコ遊技機1では、第2大入賞口35に入球した遊技球の少なくとも1個が特定領域39を通過したことが検知されることに基づいて、後述の高確率状態を発生させている。つまり特定領域39は、確変作動口となっている。このような特定領域39は、第1大入賞装置31には設けられていない。尚、高確率状態は、特別遊技とは別に遊技者に付与される遊技上の特典の一つである。
遊技領域3におけるセンター装飾体10の右側領域には、遊技球が通過可能なゲート28(遊技球通過口)が設けられている。ゲート28への遊技球の通過に基づいて、普通図柄当否判定用乱数等が取得され、予め定められた所定条件が成立すると、第3始動口21を開状態とするか否かを判定する普通図柄当否判定が実行されると共に普通図柄が変動表示され、普通図柄当否判定の結果に基づいて停止表示される。当り普通図柄が停止表示すると第3始動口21を開状態となる。さらに、遊技領域3の下部には、複数の一般入賞口27が設けられている。本実施例では、一般入賞口27を4個設けてあり、そのうちの3個を第1始動口19の左方に設けられた左一般入賞口とし、1個を第2大入賞口35(第2大入賞装置36)の右方に設けられた右一般入賞口としている。第1始動口19、第2始動口20、第3始動口21、第1大入賞口30、第2大入賞口35、及び一般入賞口27は、それぞれ賞球の払い出し契機となる入球口であり、各入球口に遊技球が入球した場合には、夫々の入球口において予め定められた数の遊技球(賞球)が払い出される。具体的には、第1始動口19および第2始動口20の賞球数は「4」、第3始動口21の賞球数は「2」、第1大入賞口20および第2大入賞口35の賞球数は「15」、一般入賞口27の賞球数は「10」としている。
このように複数の入球口(入球口18a、第1始動口19、第2始動口20、第3始動口21、第1大入賞口30、第2大入賞口35、一般入賞口27及びゲート28)等が配されている遊技領域3を、左右方向の中央より左側の左遊技領域3A(第1領域)と、右側の右遊技領域3B(第2領域)と、に分けることができる。左遊技領域3Aを遊技球が流下するように遊技球を発射することを「左打ち」といい、右遊技領域3Bを遊技球が流下するように遊技球を発射することを「右打ち」という。ここで、複数の入球口のうち、入球口18aおよび3個の左一般入賞口27は、遊技領域3のうち左遊技領域3Aを流下する遊技球が入球可能となるように設けてあり、入球口18aに入球した遊技球は第1始動口19または第2始動口20に入球することから、第1始動口19および第2始動口20も左遊技領域3Aを流下する遊技球が入球可能となるように設けてあることとなる。また、第3始動口21、第1大入賞口30、第2大入賞口35、右一般入賞口27およびゲート28は、遊技領域3のうち右遊技領域3Bを流下する遊技球が入球可能となるように設けてある。本パチンコ遊技機1では、遊技開始の際には、原則、左打ちにて入球口18a(第1始動口19または第2始動口20)への入球を狙う。一方、第1始動口19または第2始動口20への入球に基づく当否判定において当りとなり遊技状態が変化した際には、原則、右打ちにてゲート28、第3始動口21、第1大入賞口30および第2大入賞口35への入球を狙うこととなる。
また、図3および図4に示すように、遊技盤2の右下部には主表示器40が配置されている。主表示器40には、第1特別図柄を変動表示および停止表示する第1特別図柄表示器41a(第1特別図柄表示部)と、第2特別図柄を変動表示および停止表示する第2特別図柄表示器41b(第2特別図柄表示部)と、普通図柄を変動表示および停止表示する普通図柄表示器42(普通図柄表示部)と、が含まれている。また主表示器40には、第1特別図柄に係る当否判定情報(第1特図保留)の記憶数を表示する第1特図保留表示器43aと、第2特別図柄に係る当否判定情報(第2特図保留)の記憶数を表示する第2特図保留表示器43bと、普通図柄表示器42の作動保留(普図保留)の記憶数を表示する普図保留表示器44と、が含まれている。さらに主表示器40には、第1特別図柄当否判定または第2特別図柄当否判定の結果が当りになったことを示す当り表示器48と、第1特別図柄当否判定または第2特別図柄当否判定の結果が当りになった場合に実行される当り遊技のラウンド数を示すラウンド表示器45と、確率変動機能が作動することを示す遊技状態表示器46と、遊技球の発射方向、すなわち右打ちを行うべき状態か左打ちを行うべき状態かを示す発射方向表示器47と、が含まれている。主表示器40に含まれるこれらの各種表示器は後述の主制御部によって表示制御される。
第1特別図柄の変動表示は、第1始動口19への遊技球の入球に基づいて行われる。第2特別図柄の変動表示は、第2始動口20または第3始動口21への遊技球の入球に基づいて行われる。尚、以下の説明では、第1特別図柄および第2特別図柄を総称して特別図柄ということがある。また、第1特別図柄表示器41aおよび第2特別図柄表示器41bを総称して特別図柄表示部41ということがある。また、第1特図保留表示器43aおよび第2特図保留表示器43bを総称して特図保留表示部43ということがある。
特別図柄表示部41では、特別図柄(識別情報)を所定時間変動表示した後に停止表示し、停止表示された特別図柄(停止図柄)によって第1始動口19、第2始動口20または第3始動口21への入球に基づく抽選(特別図柄当否判定、大当り抽選)の結果を報知する。停止表示される特別図柄は、特別図柄当否判定によって複数種類の特別図柄の中から選択された一つの特別図柄である。停止図柄が予め定めた特定特別図柄(特定識別情報)である場合、すなわち、特別図柄の停止表示の態様が大当り図柄や小当り図柄等の当り態様(特定態様)である場合には、停止表示された当り図柄の種類に応じた開放パターンにて第1大入賞口30または第2大入賞口35を開放させる特別遊技(大当り遊技、小当り遊技)が行われる。尚、特別遊技における大入賞口(第1大入賞口30及び第2大入賞口35)の開放パターンについては後述する。
具体的に、図4に示すとおり、第1特別図柄表示器41aは、「i〜p」で示す8個のLEDで構成されており、第1特別図柄当否判定の結果に応じた第1特別図柄(第1識別情報)を表示する。例えば、第1特別図柄当否判定の結果が、第1大当り(15R大当り)となった場合には、「ijn」の3個のLEDを点灯し残りを消灯する(15R第1大当り図柄)。また、第2大当り(15R大当り)となった場合には、「ijk」の3個のLEDを点灯し残りを消灯する(15R第2大当り図柄)。また、第3大当り(2R大当り)となった場合には、「jnop」の4個のLEDを点灯し残りを消灯する(2R第3大当り図柄)。また、第1小当りとなった場合には、「mnop」の4個のLEDを点灯し残りを消灯する(第1小当り図柄)。また、外れとなった場合には、「lo」の2個のLEDを点灯し残りを消灯する(外れ図柄)。一方、第2特別図柄表示器41bは、「a〜h」で示す8個のLEDで構成されており、第2特別図柄当否判定の結果に応じた第2特別図柄(第2識別情報)を表示する。例えば、第2特別図柄当否判定の結果が、第4大当り(15R大当り)となった場合には、「abc」の3個のLEDを点灯し残りを消灯する(15R第4大当り図柄)。また、第5大当り(15R大当り)となった場合には、「abd」の3個のLEDを点灯し残りを消灯する(15R第5大当り図柄)。また、第2小当りとなった場合には、「cdeh」の4個のLEDを点灯し残りを消灯する(第2小当り図柄)。また、外れとなった場合には、「eh」の2個のLEDを点灯し残りを消灯する(外れ図柄)。特別図柄が停止表示される前には所定の変動時間にわたって特別図柄の変動表示がなされるが、その変動表示の態様は、例えば予め定められた順序で、左から右へ光が繰り返し流れるように各LEDが点灯する態様とすることができる。
尚、特別図柄当否判定(第1特別図柄当否判定、第2特別図柄当否判定)の結果に基づいて演出図柄8(識別情報)を表示する画像表示装置7や、第1特別図柄当否判定の結果に基づいて第1特別図柄(第1識別情報)を表示する第1特別図柄表示器41a、第2特別図柄当否判定の結果に基づいて第2特別図柄(第2識別情報)を表示する第2特別図柄表示器42aは、本発明の「識別情報表示手段」の一態様に相当する。
本パチンコ遊技機1では、第1始動口19、第2始動口20または第3始動口21への遊技球の入球があると、その入球に基づいて特別図柄当否判定用乱数等の各種情報(「取得情報」ともいう)を取得し、取得した各種情報は、主制御部のRAMに形成される特図保留記憶部(図示せず)に一旦記憶される。詳細には、第1始動口19への入球であれば第1特図保留(第1取得情報)として特図保留記憶部(図示せず)に記憶され、第2始動口20または第3始動口21への入球であれば第2特図保留(第2取得情報)として特図保留記憶部(図示せず)に記憶される。前述したように、特図保留記憶部に記憶可能な第1特図保留および第2特図保留の各々の数(保留数)は所定数までとされており、本実施例におけるその上限値はそれぞれ「4」となっている。
本実施例では、特図保留記憶部に「0000」〜「0007」に対応する特図保留8個分のアドレス空間を設け、このアドレス空間に、第1特図保留および第2特図保留をその発生順に記憶(格納)するものとしている。但し、特図保留記憶部として、第1特図に対応する第1特図保留記憶部と、第2特図に対応する第2特図保留記憶部とを設け、第1特図保留記憶部と第2特図保留記憶部の各々に「0000」〜「0003」(特図保留4個分)に対応するアドレス空間を設け、第1特図保留記憶部のアドレス空間に第1特図保留をその発生順に記憶(格納)し、第2特図保留記憶部のアドレス空間に第2特図保留をその発生順に記憶(格納)するようにしてもよい。このように第1特図保留および第2特図保留をそれぞれ対応する特図保留記憶部に記憶する場合、主制御部のRAMに、第1特図保留および第2特図保留の発生順を記憶する領域(特図保留発生順序記憶部)を設けることとしてもよい。本実施例では、後述するように、特図保留(第1特図保留および第2特図保留)の消化をその発生順に行うこととしており、最も古い特図保留から順に消化する構成としているからである。尚、第1特図保留および第2特図保留を記憶する特図保留記憶部を「取得情報記憶手段」ともいい、第1特図保留を記憶する特図保留記憶部(第1特図保留記憶部)を「第1取得情報記憶手段」ともいい、第2特図保留を記憶する特図保留記憶部(第2特図保留記憶部)を「第2取得情報記憶手段」ともいう。
特図保留記憶部に記憶された特図保留は、その特図保留に基づく特別図柄の変動表示が可能となったときに消化される。特図保留の消化とは、その特図保留に対応する特別図柄当否判定用乱数等を判定して、その判定結果を示すための特別図柄の変動表示を実行することをいう。従って、本パチンコ遊技機1では、第1始動口19、第2始動口20または第3始動口21への遊技球の入球に基づく特別図柄の変動表示が直ちに実行できない場合、すなわち特別図柄の変動表示の実行中や特別遊技の実行中である場合であっても、所定数を上限として、その入球に対する特別図柄当否判定の権利を留保することが可能となっている。
特図保留記憶部に記憶された特図保留の数は、第1特図保留表示器43aおよび第2特図保留表示器43bに表示される。具体的には、第1特図保留表示器43aは「uv」の2個のLEDで構成されており、第1特図保留の数に応じてLEDを表示制御することにより、第1特図保留の数を表示するものとなっている。例えば、保留数が「0」の場合は「u□v□」(例えば、□:消灯、●:赤点灯、▲:緑点灯とする)というように両LEDを消灯する表示態様とし、保留数が「1」の場合は「u□v●」というように「u」のLEDを消灯し「v」のLEDを赤色で点灯させる表示態様とし、保留数が「2」の場合は「u●v□」というように「u」のLEDを赤色で点灯させ「v」のLEDを消灯する表示態様とし、保留数が「3」の場合は「u●v●」というように両方のLEDを赤色で点灯させる表示態様とし、保留数が「4(上限数)」の場合は「u▲v▲」というように両方のLEDを緑色で点灯させ表示態様とすることができる。
また、第2特図保留表示器43bは「wx」の2個のLEDで構成されており、第2特図保留の数に応じてLEDを表示制御することにより、第2特図保留の数を表示するものである。例えば、保留数が「0」の場合は「w□x□」(例えば、□:消灯、●:赤点灯、▲:緑点灯とする)というように両LEDを消灯する表示態様とし、保留数「1」〜「4」についても第1特図保留表示器43aと同様に定められている。
普通図柄の変動表示は、ゲート28への遊技球の通過を契機として行われる。普通図柄表示器42では、普通図柄を所定時間変動表示した後、停止表示し、停止表示された普通図柄(停止図柄)によって、ゲート28への遊技球の通過に基づく普通図柄当否判定の結果を報知する。停止表示される普通図柄は、普通図柄当否判定によって複数種類の普通図柄の中から選択された一つの普通図柄である。停止表示された普通図柄が予め定めた特定普通図柄(当り普通図柄)である場合には、現在の遊技状態に応じた開放パターンにて第3始動口21を開放させる補助遊技が行われる。尚、第3始動口21の開放パターンについては後述する。
具体的には図4に示す通り、普通図柄表示器42は、「st」の2個のLEDから構成されており、その点灯態様によって普通図柄当否判定の結果に応じた普通図柄を表示するものである。例えば、判定結果が当りである場合には、「s■t■」(例えば、■:点灯、□:消灯とする)というように両LEDが点灯した当り普通図柄を停止表示する。また判定結果が外れである場合には、「s□t■」というように「t」のLEDのみが点灯した態様の外れ普通図柄を表示する。尚、外れ普通図柄は、特定普通図柄ではない。普通図柄が停止表示される前には予め定められた所定の変動時間にわたって普通図柄の変動表示が実行されるが、その変動表示の態様は、例えば両LEDが交互に点灯・消滅を繰り返す態様である。
本パチンコ遊技機1では、ゲート28への遊技球の通過があると、その通過に基づいて普通図柄当否判定用乱数等の各種情報(「取得情報」ともいう)を取得し、取得した各種情報は主制御部のRAMに形成される普図保留記憶部(図示せず)に普図保留として一旦記憶される。普図保留記憶部に記憶可能な普図保留の数は所定数までとされており、本実施例におけるその上限値は「4」となっている。普図保留記憶部に記憶された普図保留は、その普図保留に基づく普通図柄の変動表示が可能となったときに消化される。普図保留の消化とは、その普図保留に対応する普通図柄当否判定用乱数を判定して、その判定結果を示すための普通図柄の変動表示を実行することをいう。従って本パチンコ遊技機1では、ゲート28への遊技球の通過に基づく普通図柄の変動表示がその通過時にすぐ実行できない場合、すなわち普通図柄の変動表示の実行中や補助遊技の実行中である場合であっても、所定個数を上限として、その通過に対する普通図柄当否判定の権利を留保することができるようになっている。
普図保留記憶部に記憶された普図保留の数は、普図保留表示器44に表示される。具体的には普図保留表示器44は、「qr」の2個のLEDで構成されており、普図保留の数に応じてLEDを点灯させることにより普図保留の数を表示するものである。例えば、保留数が「0」の場合は「q□r□」(例えば、□:消灯、●:赤点灯、▲:緑点灯とする)というように両LEDを消灯する表示態様とし、保留数が「1」の場合は「q□r●」というように「q」のLEDを消灯し「r」のLEDを赤色で点灯させる表示態様とすることができる。また、保留数「2」〜「4」についても第1特図保留表示器43aと同様に定められている。
次に図2及び図5に基づいて、本パチンコ遊技機1における電気的な構成を説明する。本実施例のパチンコ遊技機1は、特別図柄当否判定や普通図柄当否判定や遊技状態の移行など、遊技進行や遊技利益に関する制御を行う主制御基板80(「主制御部」ともいい「遊技制御部」ともいう)、遊技の進行に伴って実行する演出に関する制御を行うサブ制御基板90(「サブ制御部」ともいい「演出制御部」ともいう)、遊技球の払い出しに関する制御を行う払出制御基板110(「払出制御部」ともいう)、画像表示装置7や演出表示器102、演出第1特図保留表示器103aおよび演出第2特図保留表示器103b等の表示制御を行う画像制御基板100(画像制御部)等を備えている。
また、図2に示すように、パチンコ遊技機1の後面側(裏面側)の略中央部には主制御基板80を収納した主制御基板収納ケースが設けられ、この主制御基板ケースの上方には、音声制御基板106、ランプ制御基板107及び画像制御基板100を収納した画像制御基板等収納ケースが設けられ、その画像制御基板等収納ケース上にはサブ制御基板90を収納したサブ制御基板収納ケースが設けられている。また、主制御基板ケースの下方左側には、払出制御基板を収納する払出制御基板ケースが設けられ、その右側には、電源基板109を収納する電源基板ケースが設けられている。
主制御基板80には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1の遊技の進行を制御する遊技制御用ワンチップマイコン(以下「遊技制御用マイコン」)81が実装されている。遊技制御用マイコン81には、遊技の進行を制御するためのプログラム等を記憶したROM、ワークメモリとして使用されるRAM、ROMに記憶されたプログラムを実行するCPUが含まれている。遊技制御用マイコン81は、入出力回路87(I/Oポート部)を介して他の基板等とデータ(情報)の送受信を行う。入出力回路87は、遊技制御用マイコン81に内蔵されていてもよい。また、ROMは外付けであってもよい。遊技制御用マイコン81のRAMには、前述した特図保留記憶部と普図保留記憶部とが設けられている。また、主制御基板80(遊技制御用マイコン81)のRAM(主制御RAM)の所定アドレスには、各種フラグや各種計数カウンタに用いるための記憶領域が確保されている。
主制御基板80には、中継基板88を介して各種センサやソレノイドが接続されている。そのため、主制御基板80には各センサから信号が入力され、各ソレノイドには主制御基板80から信号が出力される。具体的にはセンサ類としては、第1始動口センサ19a、第2始動口センサ20a、第3始動口センサ21a、ゲートセンサ28a、第1大入賞口センサ30a、第2大入賞口センサ35a、特定領域センサ39aおよび一般入賞口センサ27aが接続されている。これら各種センサを「遊技球検知手段」ともいう。
第1始動口センサ19aは、第1始動口19内に設けられて第1始動口19に入球した遊技球を検知するもので、第2始動口センサ20aは、第2始動口20内に設けられて第2始動口20に入球した遊技球を検知するもので、第3始動口センサ21aは、第3始動口21内に設けられて第3始動口21に入球した遊技球を検知するものである。ゲートセンサ28aは、ゲート28内に設けられてゲート28を通過した遊技球を検知するものである。第1大入賞口センサ30aは、第1大入賞口30内に設けられて第1大入賞口30に入球した遊技球を検知するもので、第2大入賞口センサ35aは、第2大入賞口35内に設けられて第2大入賞口35に入球した遊技球を検知するものである。特定領域センサ39aは、第2大入賞口35内の特定領域39に設けられており、特定領域39を通過した遊技球を検知するものである。一般入賞口センサ27aは、各一般入賞口27内にそれぞれ設けられて一般入賞口27に入球した遊技球を検知するものである。
またソレノイド類としては、第3始動口ソレノイド24、第1大入賞口ソレノイド33、第2大入賞口ソレノイド38及び図示しない可動片ソレノイドが接続されている。これら各種ソレノイドを「駆動手段」ともいう。第2始動口ソレノイド24は、可変入賞装置22の可動部材23を駆動するためのもので、第1大入賞口ソレノイド33は、第1大入賞装置31の開閉部材32を駆動するためのものである。また、第2大入賞口ソレノイド38は、第2大入賞装置36の開閉部材37を駆動するためのもので、可動片ソレノイドは、第2大入賞装置36の可動片(図示せず)を駆動するものである。
さらに主制御基板80には、第1特別図柄表示器41a、第2特別図柄表示器41b、普通図柄表示器42、第1特図保留表示器43a、第2特図保留表示器43b、普図保留表示器44、ラウンド表示器45、遊技状態表示器46、発射方向表示器47および当り表示器48が接続されている。すなわち、これらの主表示器40の表示制御は、遊技制御用マイコン81によりなされる。
また主制御基板80は、払出制御基板110に各種コマンドを送信するとともに、払い出し監視のために払出制御基板110から信号を受信する。払出制御基板110には、賞球や貸球を払い出す払出装置120、及びカードユニット135(パチンコ遊技機1に隣接して設置され、挿入されたプリペイドカード(遊技価値記憶媒体)等に記憶されている情報に基づいて球貸しを可能にするもの)が接続されているとともに、発射制御基板111(「発射制御部」ともいう)を介して発射装置112が接続されている。発射装置112には、発射ハンドル60(図1参照)が含まれる。
払出制御基板110は、プログラムに従ってパチンコ遊技機1の遊技球の払い出しを制御する払出制御用ワンチップマイコン116(「払出制御用マイコン」ともいう)が実装されている。払出制御用マイコン116には、遊技球の払い出しを制御するためのプログラム等を記憶したROM、ワークメモリとして使用されるRAM、ROMに記憶されたプログラムを実行するCPUが含まれている。払出制御用マイコン116は、入出力回路117を介し、遊技制御用マイコン81からの信号や、パチンコ遊技機1に接続されたカードユニット135からの信号に基づいて、払出装置120の払出モータ121を駆動して賞球の払い出しを行ったり、貸球の払い出しを行ったりする。払い出される遊技球は、その計数のため払出センサ122、123により検知される。遊技者による発射装置112のハンドル60(図1参照)の操作があった場合には、タッチスイッチ114が発射ハンドル60への遊技者の接触を検知し、発射ボリューム115が発射ハンドル60の回転量を検知する。そして、発射ボリューム115の検知信号の大きさに応じた強さで遊技球が発射されるよう発射モータ113が駆動制御されることとなる。尚、本実施例では、発射モータ113の駆動により発射装置112が連続して発射可能な遊技球の数は1分間で約100個となっている。
また主制御基板80は、サブ制御基板90に対し各種コマンドを送信する。主制御基板80とサブ制御基板90との接続は、主制御基板80からサブ制御基板90への信号の送信のみが可能な単方向通信接続となっている。すなわち、主制御基板80とサブ制御基板90との間には、通信方向規制手段としての図示しない単方向性回路(例えばダイオードを用いた回路)が介在している。
また図5に示すように、サブ制御基板90には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1の演出を制御する演出制御用ワンチップマイコン91(「演出制御用マイコン」)が実装されている。演出制御用マイコン91には、遊技の進行に伴って演出を制御するためのプログラム等を記憶したROM、ワークメモリとして使用されるRAM、ROMに記憶されたプログラムを実行するCPUが含まれている。演出制御用マイコン91は、入出力回路95を介して他の基板等とデータの送受信を行う。入出力回路95は、演出制御用マイコン91に内蔵されていてもよい。また、ROMは外付けであってもよい。また、サブ制御基板90(演出制御用マイコン91)のRAM(演出制御RAM)の所定アドレスには、各種フラグや各種計数カウンタに用いるための記憶領域が確保されている。
サブ制御基板90には、画像制御基板100、音声制御基板106、ランプ制御基板107が接続されている。サブ制御基板90の演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、画像制御基板100の画像制御用ワンチップマイコン101(「画像制御用マイコン」)のCPUに、画像表示装置7、演出表示器102、演出第1特図保留表示器103aおよび演出第2保留表示器103bの表示制御を行わせる。画像制御基板100のRAMは、画像データを展開するためのメモリである。画像制御基板100のROMには、画像表示装置7に表示される静止画データや動画データ(ムービー)、具体的にはキャラクタ、アイテム、図形、文字、数字および記号等(演出図柄、保留図柄等を含む)や背景画像等の各種画像データが格納されている。画像制御用マイコン101は、演出制御用マイコン91からの指令に基づいてROMから画像データを読み出す。そして、読み出した画像データに基づいて表示制御を実行する。また、画像制御用マイコン101は、自身が行う表示制御(画像制御)によって実行される変動演出表示の進捗状況(経過時間等)を監視(把握)可能に構成されている。
演出表示器102は、2個のLEDからなり、演出図柄8の変動表示および停止表示にあわせて変動表示および停止表示を行い、2個のLEDの点灯・消灯または色の組合せにより、演出図柄8の表示結果(特別図柄当否判定の結果)を示す表示態様で停止表示する。また、演出第1特図保留表示器103aおよび演出第2保留表示器103bも同様に2個のLEDからなる。そして、2個のLEDの点灯・消灯または色の組合せにより、演出第1特図保留表示器103aは、第1特図保留表示器43aで表示される保留個数と同じ保留個数を示す表示態様で表示制御され、演出第2特図保留表示器103bは、第2特図保留表示器43bで表示される保留個数と同じ保留個数を示す表示態様で表示制御される。これは、キャラクタ図柄を表示画面7a(演出図柄表示部)の略全体に表示したり、可動装飾部材14を動作させて表示画面7aの演出図柄表示領域7b(演出図柄表示部)を被覆したりすることで、演出図柄、第1演出保留および第2演出保留の一部または全部が視認できない状態になることがあり得るため、この様な表示器が設けられている。尚、画像制御基板100の画像制御用ワンチップマイコン101に換えて、または加えてVDP(Video Display Processor)を設けてもよい。
また演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、音声制御基板106を介してスピーカ67から音声、楽曲、効果音等を出力する。スピーカ67から出力する音声等の音響データは、サブ制御基板90のROMに格納されている。尚、音声制御基板106にCPUを実装してもよく、その場合、そのCPUに音声制御を実行させてもよい。さらにこの場合、音声制御基板106にROMを実装してもよく、そのROMに音響データを格納してもよい。また、スピーカ67を画像制御基板100に接続し、画像制御用マイコン101に音声制御を実行させてもよい。さらにこの場合、画像制御基板100のROMに音響データを格納してもよい。
また演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、枠ランプ66や盤面ランプ5等のランプの発光態様を決める発光パターンデータ(点灯/消灯や発光色等を決めるデータ、ランプデータともいう)を、ROMに格納されているデータから決定し、ランプ制御基板107を介して枠ランプ66や盤面ランプ5等のランプ(LED)の点灯制御を行う。
さらに演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、ランプ制御基板107に中継基板108を介して接続された可動装飾部材14を動作させる。前述したように、可動装飾部材14は、センター装飾体10(装飾部材13の後方)に設けられた可動式のいわゆるギミックのことである。演出制御用マイコン91は、可動装飾部材14を所定の動作態様で動作させるための動作パターンデータ(「駆動データ」ともいう)を、サブ制御基板90のROMに格納されているデータから決定し、決定した動作パターンデータに基づいて可動装飾部材14の動作を制御する。尚、ランプ制御基板107にCPUを実装してもよく、その場合、そのCPUにランプの点灯制御や可動装飾部材14の動作制御を実行させてもよい。さらにこの場合、ランプ制御基板107にROMを実装してもよく、そのROMに発光パターンや動作パターンに関するデータを格納してもよい。また、可動装飾部材14は複数の装飾LEDを含んで構成されており、装飾LEDの発光態様(点灯/消灯/点滅や発光色等)を決める発光パターンデータも、可動装飾部材14の動作パターンデータに含まれている。このため、可動装飾部材14の動作には、可動装飾部材14の上下動だけでなく、装飾LEDの発光(点灯/点滅等)も含まれることとなる。
またサブ制御基板90には、第1演出ボタン63aまたは第2演出ボタン63b(図1参照)が操作(押す、回転、引く等)されたことを検知する第1演出ボタン検知スイッチ63cおよび第2演出ボタン検知スイッチ63dが接続されている。従って、第1演出ボタン63aまたは第2演出ボタン63bに対して遊技者が所定の入力操作を行うと、対応する演出ボタン検知スイッチからサブ制御基板90に対して信号が出力される。尚、第1演出ボタン検知スイッチ63cおよび第2演出ボタン検知スイッチ63dを総称して単に「演出ボタン検知スイッチ」ともいう。
またサブ制御基板90には、振分部材18bの右振分片18g(図47参照)が規制部材18eとの当接位置に存在していること、換言すると、振分部材18bが右側に傾いている状態(第1状態)にあることを検知する第1振分センサ18sと、振分部材18bの左振分片18f(図47参照)が規制部材18dとの当接位置に存在していること、換言すると、振分部材18bが左側に傾いている状態(第2状態)にあることを検知する第2振分センサ18tと、が接続されている。従って、振分部材18bの右振分片18gが規制部材18eに当接して振分部材18bが右側に傾いているときには(図48(a)参照)、第1振分センサ18sからサブ制御基板90に対して検知信号が出力され、振分部材18bの左振分片18fが規制部材18dに当接して振分部材18bが左側に傾いているときには(図48(d)参照)、第2振分センサ18tからサブ制御基板90に対して検知信号が出力される。尚、第1振分センサ18sおよび第2振分センサ18tを総称して「振分センサ」ということがある。
次に、本実施例のパチンコ遊技機1における当否判定に係る制御(判定手段)について説明する。特別図柄当否判定の結果として、「大当り」、「小当り」、「外れ」がある。特別図柄当否判定の結果が「大当り」のときには、特別図柄表示部41に「大当り図柄」が停止表示され、「小当り」のときには、特別図柄表示部41に「小当り図柄」が停止表示され、「外れ」のときには、特別図柄表示部41に「外れ図柄」が停止表示される。大当り又は小当りと判定されると、停止表示された特別図柄の種類に応じた開放パターンにて、第1大入賞口30または第2大入賞口35を開放する「特別遊技」が実行される。大当りとなって実行される特別遊技を「大当り遊技」といい、小当りとなって実行される特別遊技を「小当り遊技」という。
当りには複数の種別がある。図6に示すように、当りの種別のうち、大当り種別としては、15R(ラウンド)第1大当り」、「15R第2大当り」、「2R第3大当り」、「15R第4大当り」および「15R第5大当り」があり、小当り種別としては「第1小当り」および「第2小当り」がある。「15R第1大当り」および「15R第4大当り」は、大入賞口(第1大入賞口30又は第2大入賞口35)の開放回数(ラウンド数)が15回であり、1ラウンド目と2ラウンド目に、特定領域39への遊技球の通過が可能(容易)な態様で第2大入賞口35を開放させる大当りである。この特定領域39への遊技球の通過を狙うラウンドを「チャンスラウンド」や「チャレンジラウンド」ということができる。「15R第2大当り」および「15R第5大当り」は、大入賞口(第1大入賞口30又は第2大入賞口35)の開放回数(ラウンド数)が15回であるものの、前述のチャンスラウンドである1ラウンド目と2ラウンド目の開放時間が極短時間(一瞬開閉)で、特定領域39への遊技球の通過が困難(実質的に不可能)な大当りである。すなわち、「15R第2大当り」および「15R第5大当り」は、特定領域39への遊技球の通過が可能(容易)な態様で第2大入賞口35を開放させることのない大当りであるといえる。「2R第3大当り」は、大入賞口(第1大入賞口30または第2大入賞口35)の開放回数(ラウンド数)が2回であり、チャンスラウンドである1ラウンド目と2ラウンド目に特定領域39への遊技球の通過が可能な態様で第2大入賞口35を開放させる大当りである。但し、第2大入賞口35の開放時間が1ラウンド目と2ラウンド目を合わせても1.8秒であるので、15R第1大当りや15R第4大当りに比べ特定領域39への遊技球の通過可能性が低いものとなっている。
本実施例のパチンコ遊技機1では、大当り遊技中の特定領域39への遊技球の通過に基づいて、その大当り遊技の終了後の遊技状態を、後述の高確率状態に移行させる。従って、特別図柄当否判定の結果が15R第1大当りまたは15R第4大当りとなった場合には、特定領域39への遊技球の通過可能性が極めて高い態様で1ラウンド目と2ラウンド目のチャンスラウンドが実行されるため、当該大当り遊技の実行中に特定領域39へ遊技球を通過させることで、大当り遊技後の遊技状態を高確率状態に移行させることができる。このことから、15R第1大当り及び15R第4大当りは、いわゆる「確変大当り」であるといえる。また、特別図柄当否判定の結果が2R第3大当りとなった場合には、15R第1大当りや15R第4大当りほどではないものの特定領域39への遊技球の通過可能性がある態様で1ラウンド目と2ラウンド目のチャンスラウンドが実行されるため、当該大当り遊技の実行中に特定領域39へ遊技球を通過させることができれば、大当り遊技後の遊技状態を高確率状態に移行させることができる。
これに対して、特別図柄当否判定の結果が15R第2大当りまたは15R第5大当りとなった場合には、1ラウンド目と2ラウンド目のチャンスラウンドの開放時間が各0.1秒であるので、第2大入賞口35へ遊技球を入球させるのが非常に困難であるので、当該大当り遊技の実行中に特定領域39へ遊技球を通過させることができず、その大当り遊技後の遊技状態は、後述の通常状態(低確率状態)となる可能性が非常に高い(低確率状態になるといってもよい)。このことから、15R第2大当り及び15R第5大当りは、いわゆる「通常大当り」であるといえる。
一方、小当りは、見かけ上2R第3大当りと同じ開放パターンで大入賞口(第2大入賞口35)を開放させる当りである。すなわち小当りでは、特定領域39への遊技球の通過が可能な態様で第2大入賞口35を開放させる。しかしながら、小当り遊技の実行中に特定領域39への遊技球の通過があったとしても、小当り遊技の実行後の遊技状態は小当り遊技の実行前から変化しないものとなっている。そのため、小当り遊技の実行前の遊技状態が通常状態(低確率状態)であれば、小当り遊技の実行後の遊技状態も通常状態となる。そして遊技者から見れば、上記の2R第3大当りと小当りとは大入賞口(第2大入賞口35)の開放パターンを見ても区別することができない。すなわち遊技者は特別図柄当否判定の結果が「2R第3大当り」になったのか「小当り」になったのかを認識するのが困難である。そのため、2R第3大当りとしての特別遊技中(大当り遊技中)に遊技球が特定領域39を通過したとしても、それだけでは、その後の遊技状態が高確率状態に移行したかどうかを認識するのは困難である。また、小当りとしての特別遊技中(小当り遊技中)に遊技球が特定領域39を通過したとしても、それだけでは、その後の遊技状態が通常状態のままか、高確率状態に移行したかを認識するのは困難である。その結果、小当りとなった場合および2R第3大当りになった場合には、高確率状態であるかもしれないという期待感を持ちつつ遊技を進行することができ、遊技興趣を高めることができる。尚、小当りにおいては大入賞口の開放回数をラウンド数とはいわず、単に開放回数という。
本実施例のパチンコ遊技機1における各大当り及び小当りとなったときの大入賞口の開放パターンは、図6のようになっている。すなわち、15R第1大当りとなった場合(第1特別図柄表示器41aに15R第1大当り図柄が停止表示された場合)および15R第4大当りとなった場合(第2特別図柄表示器41bに15R第4大当り図柄が停止表示された場合)には、1R〜2Rでは第2大入賞口35を最大28秒開放させ、3R〜15Rでは第1大入賞口30を最大28秒開放させる。この当りでは、1R目と2R目における第2大入賞口35の開放時間が夫々28秒あるため、第2大入賞口35の開放開始を契機に可動片が動作状態となることで、そのラウンド中に遊技球が特定領域39を通過する可能性は極めて高いものとなっている。
また、15R第2大当りとなった場合(第1特別図柄表示器41aに15R第2大当り図柄が停止表示された場合)および15R第5大当りとなった場合(第1特別図柄表示器41aに15R第5大当り図柄が停止表示された場合)には、1R〜2Rまでは第2大入賞口35を最大0.1秒開放させ、3R〜15Rまでは第1大入賞口30を最大28秒開放させる。この当りでは、1R目と2R目における第2大入賞口35の開放時間が夫々最大0.1秒(100ms)という極短時間(一瞬開閉)とされており、また、前述したように可動片が第2大入賞口35の開放開始から80ms経過後に動作を開始するため、そのラウンド中に遊技球が特定領域39を通過することはほぼ不可能となっている。すなわち、15R第2,第5大当り用の開放パターンは、15R第1,第4大当り用の開放パターンと比べて第1ラウンドおよび第2ラウンドの開放態様が異なっている。15R第1,第4大当りでは、1ラウンド目と2ラウンド目に第2大入賞口35が28秒開放するため、第2大入賞口35に遊技球が容易に入球する。そして、第2大入賞口35へ入球した遊技球は、高い可能性で特定領域39を通過する。これに対して、15R第2,第5大当りでは、1ラウンド目と2ラウンド目に第2大入賞口35が100ms(0.1秒)しか開放せず、しかも、その開放開始から80msが経過するまでは可動片が作動しないことから、第2大入賞口35に遊技球が入球すること及び遊技球が特定領域39を通過することは非常に困難となっている。従って、15R第2,第5大当りに係る大当り遊技の実行中に遊技球が特定領域39を通過する可能性は、15R第1,第4大当りと比してかなり低くなっており、実質的には通過不可能となっている。
また図6に示すように、2R第3大当りに当選した場合(第1特別図柄表示器41aに2R第3大当り図柄が停止表示された場合)には、1R〜2Rまで第2大入賞口35を最大0.9秒開放させる。この当りでは、1R目と2R目の第2大入賞口35の開放時間の合計が最大で1.8秒となるため、そのラウンド中に遊技球を第2大入賞口35に入球させることは不可能ではない。また、第2大入賞口35の900ms(0.9秒)の開放時間のうち、開放開始から80msを除く残りの820ms(約0.8秒)は可動片が動作状態となり、その間は遊技球が特定領域39を通過することが可能となる。本実施例のパチンコ遊技機1においては、0.6秒程度で1個の遊技球が発射されるようになっているので、第2大入賞口35の開放時間が合計で1.8秒あれば、第2大入賞口35へ遊技球を入球させて特定領域39への遊技球の通過を狙うことは十分に可能である。但し、2R第3大当りは、第2大入賞口の総開放時間が1.8秒と短いため、他の15R大当りのように多くの賞球(遊技利益)を望めるものではない。すなわち他の大当りに比してほとんど賞球の獲得できない大当りである。
また、第1小当りとなった場合(第1特別図柄表示器41aに第1小当り図柄が停止表示された場合)と、第2小当りとなった場合(第2特別図柄表示器41bに第2小当り図柄が停止表示された場合)には、第2大入賞口35の最大0.9秒間の開放を2回行う。すなわち、2R第3大当りと同じ開放パターンにて大入賞口を開放させる。この小当りにおいても、第2大入賞口35の開放時間が合計1.8秒あるため、遊技球を第2大入賞口35に入球させて特定領域39を通過させることが可能となっている。しかし前述の通り、特定領域39への通過があっても小当り遊技の前後で遊技状態の変化はない。またこの小当りは、大入賞口の総開放時間が1.8秒と短いため、2R第3大当りと同様に多くの賞球を望めるものではない。すなわち小当りは、遊技状態の移行という点についても、賞球という点についても、遊技者にとっての特典がほぼないもの(入球による賞球のみ)となっている。
このように、本実施例では、第2大入賞口35の開放パターンとして、遊技球が特定領域39を通過可能(通過容易)な第1の開放パターンと(15第1大当り、15R第4大当り)、遊技球が特定領域39を通過困難(通過不能)な第2の開放パターンと(15R第2大当り、15R第5大当り)、遊技球が特定領域を通過可能であって第1の開放パターンより通過可能性が低い第3の開放パターンと(2R第3大当り)、を有するものとなっている。また、小当り用の開放パターンとして、遊技球が特定領域39を通過可能であるが通過した場合であっても特典を付与しない(高確率状態を発生しない)第4の開放パターンを有するものとなっている。尚、第4の開放パターンは、他の態様として特定領域39を通過不能な開放パターンとしてもよい。
図6の大当り種別決定用乱数の欄に示すように、第1特別図柄(特図1)の当否判定における各大当りへの振分確率は、15R第1大当りが40%、15R第2大当りが50%、2R第3大当りが10%となっている。これに対して、第2特別図柄(特図2)の当否判定における大当りは、15R第4大当りが60%、15R第5大当りが40%となっている。この振分確率は、大当り遊技中に遊技球が特定領域39を通過する可能性、すなわち高確率状態となる確率を表しているものといえ、また、後述の開放延長機能が作動する高ベース状態となる確率を表しているものといえる。
すなわち、高確率状態となる確率については、第1始動口19への入球に基づく当否判定(第1特別図柄当否判定)で大当りとなった場合、その確率は少なくとも40%となっており、2R第3大当りに係る大当り遊技中に遊技球が特定領域39を通過する場合を含めると、その確率は50%となる。一方、第2始動口20または第3始動口21への入球に基づく当否判定(第2特別図柄当否判定)で大当りとなった場合、その確率は60%となっている。
また、高ベース状態となる確率については、開放延長機能が作動していない遊技状態(低ベース状態)において第1特別図柄当否判定で大当りとなった場合、その確率は90%となっており、高ベース状態において第1特別図柄当否判定で大当りとなった場合の2R第3大当りを含めると、その確率は100%となっている。一方、第2特別図柄当否判定で大当りとなった場合、その確率は100%となっている。そして、第2特別図柄当否判定で大当りとなった場合には、第1特別図柄当否判定で大当りとなった場合に発生し得る2R大当り(2R第3大当り)が発生することはなく、必ず15R大当りとなる。
このように本実施例のパチンコ遊技機1では、第1始動口19に遊技球が入球して行われる第1特別図柄当否判定(第1特別図柄の大当り抽選)において大当りとなるよりも、第2始動口20または第3始動口21に遊技球が入球して行われる第2特別図柄当否判定(第2特別図柄の大当り抽選)において大当りとなる方が、高確率状態になる確率や15R分の賞球を獲得できる可能性が高くなっている。つまり、第2特別図柄当否判定で大当りとなる場合の方が、第1特別図柄当否判定で大当りとなる場合に比べ、遊技者にとって有利となる可能性が高くなるように設定されており、第2特別図柄を変動表示させた方が、第1特別図柄を変動表示させるよりも遊技者にとって有利に働く可能性が高いものとなっている。このため、遊技者は、第2特別図柄当否判定(第2特別図柄の大当り抽選)で大当りになることを期待して遊技を行うこととなる。特に第3始動口21への入球頻度が高まる開放延長機能の作動中(高ベース状態)においては顕著である。
ここで、特別図柄の停止表示の態様として、大当り図柄のことを「特定態様」あるいは「第1特定態様」ともいい、小当り図柄のことを「所定態様」あるいは「第2特定態様」ともいい、外れ図柄のことを「非特定態様」ともいう。また、特別図柄が変動表示する際の遊技状態として、開放延長機能が作動しない遊技状態(低ベース状態)のことを「第1遊技状態」ともいい、開放延長機能が作動する遊技状態(高ベース状態)のことを「第2遊技状態」ともいう。
本パチンコ遊技機1では、大当りか、小当りか、外れかの判定は「特別図柄当否判定用乱数(「当否判定用情報」ともいう)」に基づいて行われ、大当りとなった場合の大当りの種別の判定は「大当り種別決定用乱数(「図柄決定用乱数」、「図柄決定用情報」ともいう)」に基づいて行われる。図7(A)に示すように、特別図柄当否判定用乱数は「0〜629」の範囲で値をとる。大当り種別決定用乱数は「0〜99」の範囲で値をとる。尚、第1始動口19、第2始動口20または第3始動口21への入球に基づいて取得される乱数(取得情報)には、特別図柄当否判定用乱数及び大当り種別決定用乱数の他に、「リーチ乱数(「リーチ情報」ともいう)」及び「変動パターン乱数(「変動パターン情報」ともいう)」がある。
リーチ乱数は、特別図柄当否判定の結果が外れである場合に、演出図柄を用いてその結果を示す遊技演出(演出図柄遊技演出)においてリーチを発生させるか否かを決める乱数である。リーチとは例えば、左と右の2個の演出図柄8R、8Lが同じ図柄で停止(仮停止)され、残り1個の中演出図柄8Cが変動中の状態をいう(「7↓7」の状態)。そして、変動中の中演出図柄8Cが停止中の演出図柄8R、8Lと同じ図柄で停止すれば、3つの演出図柄が同一の図柄で停止することとなり、当りとなる。尚、この場合の演出図柄の停止(仮停止)には、演出図柄表示領域7b内で多少揺れているような表示(揺れ変動)も含まれる。このリーチ乱数は「0〜126」の範囲で値をとる。また、変動パターン乱数は、変動時間を含む変動パターンを決めるための乱数で、「0〜198」の範囲で値をとる。
また、ゲート28の通過に基づいて取得される乱数には、図7(B)に示す普通図柄当否判定用乱数がある。普通図柄当否判定用乱数は、第3始動口21を開放させる補助遊技を行うか否かの判定(普通図柄抽選)のための乱数である。普通図柄乱数は「0〜240」の範囲で値をとる。
次に、本実施例のパチンコ遊技機1の遊技状態について説明する。パチンコ遊技機1は、特別図柄に対する確率変動機能、普通図柄に対する確率変動機能、変動時間短縮機能および開放延長機能の各機能が作動状態または非作動状態となる組合せにより、複数の遊技状態を有している。特別図柄(第1特別図柄および第2特別図柄)について確率変動機能が作動している状態を「高確率状態」といい、作動していない状態を「通常状態(「低確率状態」ともいう)」という。高確率状態では、特別図柄当否判定において大当りと判定される確率が通常状態よりも高くなっている。すなわち、通常状態では通常状態用の大当り判定テーブルを用いて当否判定を行い、高確率状態では、大当りと判定される特別図柄当否判定用乱数の値が通常状態よりも多い高確率状態用の大当り判定テーブルを用いて当否判定を行う(図8(A)参照)。つまり、特別図柄の確率変動機能が作動すると、作動していないときに比して、特別図柄の変動表示の結果が大当りとなる(停止図柄が大当り図柄となる)確率が高くなる。
また、特別図柄(第1特別図柄および第2特別図柄)について変動時間短縮機能が作動している状態を「時短状態」といい、作動していない状態を「非時短状態」という。時短状態では、特別図柄の変動時間(変動表示の開始時から確定表示時までの時間)の平均値が、非時短状態における特別図柄の変動時間の平均値よりも短くなる。すなわち、時短状態においては、変動時間の短い変動パターンが選択されることが非時短状態よりも多くなるように定められた変動パターンテーブルを用いて、変動パターンの判定を行う(図9参照)。その結果、時短状態では、特図保留の消化ペースが速くなり、始動口への有効な入球(特図保留として記憶され得る入球)が発生しやすくなる。そのため、スムーズな遊技の進行のもとで大当りを狙うことができる。
特別図柄(第1特別図柄及び第2特別図柄)についての確率変動機能と変動時間短縮機能は同時に作動することもあるし、片方のみが作動することもある。そして、普通図柄についての確率変動機能および変動時間短縮機能は、特別図柄の変動時間短縮機能に同期して作動するようになっている。すなわち、普通図柄の確率変動機能および変動時間短縮機能は、特別図柄の時短状態において作動し、非時短状態において作動しない。よって、時短状態では、普通図柄当否判定における当り確率が非時短状態よりも高くなっている。すなわち、当りと判定される普通図柄乱数(当り乱数)の値が非時短状態で用いる普通図柄当り判定テーブルよりも多い普通図柄当り判定テーブルを用いて、普通図柄当否判定(普通図柄の判定)を行う(図8(D)参照)。このため、普通図柄についての確率変動機能が作動すると、作動していないときに比して、普通図柄の変動表示の結果が当りとなる(停止図柄が普通当り図柄となる)確率が高くなる。
また時短状態では、普通図柄の変動時間が非時短状態よりも短くなっている。本実施例では、普通図柄の変動時間は非時短状態では30秒であるが、時短状態では1秒である(図8(E)参照)。さらに時短状態では、補助遊技における第3始動口21の開放時間が、非時短状態よりも長くなっている。すなわち、可変入賞装置22の開放時間延長機能が作動している。加えて時短状態では、補助遊技における第3始動口21の開放回数が非時短状態よりも多くなっている。すなわち、可変入賞装置22の開放回数増加機能が作動している。具体的に、非時短状態において普通図柄当否判定の結果が当りになると、可変入賞装置22の可動部材23が0.2秒の開放動作を1回行い、その間、第3始動口21が開状態となる。また時短状態において普通図柄当否判定の結果が当りになると、可変入賞装置22の可動部材23が2.0秒の開放動作を3回行うものとされる。
普通図柄についての確率変動機能および変動時間短縮機能、並びに、可変入賞装置22の開放時間延長機能および開放回数増加機能が作動している状況下では、これらの機能が作動していない場合に比して、第3始動口21が頻繁に開放され、第3始動口21へ遊技球の入球頻度が高くなる(「高頻度状態」ともいう)。その結果、発射球数に対する賞球数の割合であるベースが高くなる。従って、これらの機能が作動している状態を「高ベース状態」といい、作動していない状態を「低ベース状態」という。高ベース状態(高頻度状態)では、手持ちの遊技球を大きく減らすことなく大当りを狙うことができる。
尚、高ベース状態(高頻度状態)は、上記の全ての機能が作動するものでなくてもよい。すなわち、普通図柄についての確率変動機能および変動時間短縮機能、並びに、可変入賞装置22の開放時間延長機能および開放回数増加機能のうち少なくとも一つの機能の作動によって、その機能が作動していないときよりも第3始動口21が開放され易く(入球頻度が高く)なっていればよい。また、高ベース状態は、特別図柄の時短状態に付随せずに独立して制御されるようにしてもよい。この様な高ベース状態を発生する機能を「高ベース発生機能」ということもできる。
本実施例のパチンコ遊技機1では、15R第1,第4大当りとなった場合の大当り遊技終了後の遊技状態は、その大当り遊技中に遊技球が特定領域39を通過していれば、特別図柄の高確率状態かつ特別図柄の時短状態かつ高ベース状態となる(図6参照)。この遊技状態を特に「高確高ベース状態」という。高確高ベース状態は、所定回数(本例では100回)の特別図柄の変動表示が実行されるか、大当りとなって大当り遊技が実行されることにより終了する。
また、15R第2,第5大当りとなった場合の大当り遊技終了後の遊技状態は、その大当り遊技中に遊技球が特定領域39を通過することは極めて困難(実質的に不可能)であることから特別図柄の通常状態となり、これに加えて特別図柄の時短状態かつ高ベース状態となる(図6参照)。この遊技状態を特に「低確高ベース状態」という。低確高ベース状態は、所定回数(本例では100回)の特別図柄の変動表示が実行されるか、所定回数(本例では100回)の特別図柄の変動表示が実行されるまでに大当りに当選して当該大当りに係る大当り遊技が実行されることにより終了する。尚、可能性は限りなく低いが、仮に、15R第2大当りまたは15R第5大当りに係る大当り遊技中に遊技球が特定領域39を通過した場合には、その大当り遊技終了後の遊技状態は「高確高ベース状態」となる。また、可能性は限りなく低いが、仮に、15R第1大当りまたは15R第4大当りに係る大当り遊技中に遊技球が特定領域39を通過しなかった場合には、その大当り遊技終了後の遊技状態は「低確高ベース状態」となる。
また、低確低ベース状態において、2R第3大当りとなった場合の大当り遊技終了後の遊技状態は、その大当り遊技中に遊技球が特定領域39を通過していれば、特別図柄の高確率状態かつ特別図柄の非時短状態かつ低ベース状態となる(図6参照)。この遊技状態を特に「高確低ベース状態」という。高確低ベース状態は、所定回数(本例では100回)の特別図柄の変動表示が実行されるか、大当りとなって大当り遊技が実行されることにより終了する。この高確低ベース状態は、高確率状態であることが潜伏している状態、すなわち高確率状態であることが遊技者にとって認識困難な状態である。つまり、高確低ベース状態は、いわゆる「潜伏確変状態(「確率非報知状態」ともいう)」である。これに対して、上記の高確高ベース状態は、高確率状態であることが遊技者にとって明らかな状態である。つまり高確高ベース状態は、いわゆる「確変遊技状態」である。
また、高ベース状態において、2R第3大当りとなった場合の大当り遊技終了後の遊技状態は、その大当り遊技中に遊技球が特定領域39を通過していれば「高確高ベース状態」となる(図6参照)。すなわち、特別図柄の時短機能およびベース状態については、大当り遊技の実行前の状態と同じ状態とされる。
高確高ベース状態や低確高ベース状態といった高ベース状態では、右打ちにより右遊技領域3Bへ遊技球を進入させた方が有利に遊技を進行できる。高ベース状態では、低ベース状態と比べて第3始動口21が開放されやすくなっており、入球口18a(第1始動口19または第2始動口20)への入球よりも第3始動口21への入球の方が容易となっているからである。そのため、高ベース状態では、普通図柄当否判定の契機となるゲート28へ遊技球を通過させつつ、第3始動口21へ遊技球を入球させるべく右打ちを行うことで、左打ちを行うよりも多くの始動入球(特別図柄当否判定の機会)を得ることができる。この状態のとき、発射方向表示器47が所定の態様で点灯制御され、右遊技領域へ発射すべきことを報知する。
これに対して、高確低ベース状態や低確低ベース状態といった低ベース状態では、左打ちにより左遊技領域3Aへ遊技球を進入させた方が有利に遊技を進行できる。低ベース状態では、高ベース状態と比べて第3始動口21が開放されにくくなっており、第3始動口21への入球よりも入球口18a(第1始動口19または第2始動口20)への入球の方が容易となっているからである。そのため、低ベース状態では、入球口18a(第1始動口19または第2始動口20)へ遊技球を入球させるべく左打ちを行うことで、右打ちを行うよりも多くの始動入球(特別図柄当否判定の機会)を得ることができる。この状態のとき、発射方向表示器47が所定の態様で点灯制御(表示制御)され、左遊技領域へ発射すべきことを報知する。
具体的には発射方向表示器47は、「yz」の2個のLEDで構成されており、遊技状態に応じてLEDを点灯させることにより発射方向を示すものである。例えば、低ベース状態では、「y□z□」(例えば、□:消灯、■:点灯とする)というように両LEDを消灯する表示態様として左遊技領域へ発射すべきことを報知することができる。また、高ベース状態では、「y■z■」(例えば、□:消灯、■:点灯とする)というように両LEDを点灯する表示態様として右遊技領域へ発射すべきことを報知することができる。
以上のように、本実施例のパチンコ遊技機1においては、小当り遊技や大当り遊技が行われていない低確低ベース状態を基準とすると、この低確低ベース状態を「通常遊技状態」もしくは「通常状態」として捉えることができ、当該状態での特別図柄を変動表示させる遊技(図柄変動遊技)を「通常遊技」として捉えることができる。
一方、大当り遊技は、特別図柄を変動表示させて大当り図柄が停止表示されることで実行され得る遊技であって、遊技者にとっては、大入賞口(第1大入賞口32、第2大入賞口35)への遊技球の入球により多量の賞球を得ることが可能な有利な遊技であることから、大当り遊技を「特別遊技」として捉えることができ、当該大当り遊技が行われる遊技状態を「特別遊技状態」として捉えることができる。
また、小当り遊技は、大当り遊技ほどではないものの、大入賞口(第1大入賞口32、第2大入賞口35)への遊技球の入球により賞球を得ることは可能なので、一応は、通常遊技に比べ遊技者に有利な遊技といえる。よって、小当り遊技も「特別遊技」として捉えることができ、当該小当り遊技が行われる遊技状態も「特別遊技状態」として捉えることができる。尚、大当り遊技としての特別遊技と、小当り遊技としての特別遊技を区別するため、小当り遊技としての特別遊技を「小利益特別遊技」として捉えることもできる。
[主制御メイン処理]
次に、遊技制御用マイコン81の動作(主制御部による制御処理)について説明する。尚、遊技制御用マイコン81の動作説明にて登場するカウンタ、フラグ、ステータス、バッファ等は、主制御基板80のRAMに設けられている。主制御基板80に備えられた遊技制御用マイコン81は、パチンコ遊技機1の電源がオンされると、主制御基板80のROMから図10に示した主制御メイン処理のプログラムを読み出して実行する。同図に示すように、主制御メイン処理では、まず初期設定を行う(S101)。初期設定では例えば、スタックの設定、定数設定、割り込み時間の設定、主制御基板80のCPUの設定、SIO、PIO、CTC(割り込み時間用コントローラ)の設定や、各種のフラグ、ステータス及びカウンタのリセット等を行う。フラグの初期値は「0」つまり「OFF」であり、ステータスの初期値は「1」であり、カウンタの初期値は「0」である。初期設定(S101)は、電源投入後に一度だけ実行され、それ以降は実行されない。尚、本明細書および図面において、普通図柄を「普図」、特別図柄を「特図」、第1特別図柄を「特図1」「第1特図」、第2特別図柄を「特図2」「第2特図」ということがある。
初期設定(S101)に次いで、割り込みを禁止し(S102)、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S103)を実行する。この普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S103)では、図7に示した種々の乱数カウンタの値を1加算する更新を行う。各乱数カウンタの値は上限値に至ると「0」に戻って再び加算される。尚各乱数カウンタの初期値は「0」以外の値であってもよく、ランダムに変更されるものであってもよい。更新された乱数カウンタ値は主制御基板80のRAMの所定の更新値記憶領域(図示せず)に逐次記憶される。
普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S103)が終了すると、割り込みを許可する(S104)。割り込み許可中は、割り込み処理(S105)の実行が可能となる。この割り込み処理(S105)は、例えば4ms周期で主制御基板80のCPUに繰り返し入力される割り込みパルスに基づいて実行される。そして、割り込み処理(S105)が終了してから、次に割り込み処理(S105)が開始されるまでの間に、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S103)による各種カウンタ値の更新処理が繰り返し実行される。尚、割り込み禁止状態のときにCPUに割り込みパルスが入力された場合は、割り込み処理(S105)はすぐには開始されず、割り込み許可(S104)がされてから開始される。
[割り込み処理]
次に、割り込み処理(S105)について説明する。図11に示すように、割り込み処理(S105)では、まず出力処理(S201)を実行する。出力処理(S201)では、以下に説明する各処理において主制御基板80のRAMに設けられた出力バッファにセットされたコマンド(制御信号)等を、サブ制御基板90や払出制御基板110等に出力する。ここで出力するコマンド等には、遊技状態、特別図柄当否判定の結果、大当り種別としての図柄、変動パターン等に関する情報等が挙げられる。尚、コマンドは、例えば2バイトの情報からなる。上位1バイトは、コマンドの種類に関する情報であり、下位1バイトはコマンドの内容に関する情報である。
出力処理(S201)に次いで行われる入力処理(S202)では、主にパチンコ遊技機1に取り付けられている各種センサ(第1始動口センサ20a、第2始動口センサ21a、第1大入賞口センサ30a、第2大入賞口センサ35a、一般入賞口センサ27a等(図5参照))が検知した検知信号を読み込み、賞球情報としてRAMの出力バッファに記憶する。また、第1始動口センサ20aや第2始動口センサ21aが遊技球を検知した場合、後述の始動入球時処理(S205)により、各始動口に対応する始動入球コマンドをRAMの出力バッファに記憶する。さらに、下皿62の満杯を検知する下皿満杯スイッチからの検知信号も取り込み、下皿満杯データとしてRAMの出力バッファに記憶する。
次に行われる普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S203)は、図10の主制御メイン処理で行う普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S103)と同じである。即ち、図7に示した各種乱数カウンタ値(普通図柄乱数カウンタ値も含む)の更新処理は、タイマ割り込み処理(S105)の実行期間と、それ以外の期間(割り込み処理(S105)の終了後、次の割り込み処理(S105)が開始されるまでの期間)との両方で行われている。
普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S203)に次いで、後述する始動口センサ検知処理(S204)、始動入球時処理(S205)、普図動作処理(S206)、特図動作処理(S207)、特定領域センサ検知処理(S208)、保留球数処理(S209)および電源断監視処理(S210)を実行する。この他、遊技を進行させる上で必要な「その他の処理」を実行して、割り込み処理(S105)を終了する。そして、次に主制御基板80のCPUに割り込みパルスが入力されるまでは主制御メイン処理のS102〜S104の処理が繰り返し実行され(図10参照)、割り込みパルスが入力されると(約4msec後)、再び割り込み処理(S105)が実行される。再び実行された割り込み処理(S105)の出力処理(S201)においては、前回の割り込み処理(S105)にてRAMの出力バッファにセットされたコマンド等が出力される。
[始動口センサ検知処理]
図12に示すように、始動口センサ検知処理(S204)ではまず、遊技球がゲート28を通過したか否か、即ち、ゲートセンサ28aによって遊技球が検知されたか否かを判定する(S301)。遊技球がゲート28を通過していなければ(S301でNO)S305に進み、遊技球がゲート28を通過していれば(S301でYES)、普通図柄保留球数(普図保留の数、具体的にはRAMに設けた普図保留の数をカウントするカウンタの値)が4未満であるか否かを判定する(S302)。
普通図柄保留球数が4未満でなければ(S302でNO)S305に進み、普通図柄保留球数が4未満であれば(S302でYES)、普通図柄保留球数に「1」を加算し(S303)、普通図柄乱数取得処理(S304)を行う。普通図柄乱数取得処理(S304)では、RAMの更新値記憶領域(図示せず)に記憶されている普通図柄当否判定用乱数カウンタの値(ラベル−TRND−H、図7(B))を取得し、その取得乱数値(取得情報)を、主制御基板80のRAMに設けられた普図保留記憶部のうち現在の普通図柄保留球数に応じたアドレス空間に格納する。
S305では、第2始動口20または第3始動口21に遊技球が入球したか否か、即ち、第2始動口センサ20aまたは第3始動口センサ21aによって遊技球が検知されたか否かを判定する(S305)。第2始動口20または第3始動口21に遊技球が入球していない場合(S305でNO)にはS309に進むが、第2始動口20または第3始動口21に遊技球が入球した場合には(S305でYES)、特図2保留球数(第2特図保留の数、具体的には主制御部80のRAMに設けた第2特図保留の数をカウントするカウンタの数値)が4(上限数)未満であるか否かを判定する(S306)。そして、特図2保留球数が4未満でない場合(S306でNO)には、S309に進むが、特図2保留球数が4未満である場合には(S306でYES)、特図2保留球数に「1」を加算する(S307)。
続いて特図2関係乱数取得処理(S308)を行う。特図2関係乱数取得処理(S308)では、RAMの更新値記憶領域(図示せず)に記憶されている特別図柄当否判定用乱数カウンタの値(ラベル−TRND−A)、大当り種別決定用乱数カウンタの値(ラベル−TRND−AS)、リーチ乱数カウンタの値(ラベル−TRND−RC)および変動パターン乱数カウンタの値(ラベル−TRND−T1)を取得し(つまり図7(A)に示す乱数の値を取得し)、それら取得乱数値(取得情報)を特図保留記憶部のうち現在の特図保留球数に応じたアドレス空間に格納する。このとき、格納(記憶)する取得乱数値(取得情報)が第2特図に対応するもの(第2特図保留)であることを示す情報も併せて格納(記憶)する。
続いてS309では、第1始動口19に遊技球が入球したか否か、即ち、第1始動口センサ19aによって遊技球が検知されたか否かを判定する(S309)。第1始動口19に遊技球が入球していない場合(S309でNO)には処理を終えるが、第1始動口19に遊技球が入球した場合には(S309でYES)、特図1保留球数(第1特図保留数、具体的には主制御部80のRAMに設けた第1特図保留の数をカウントするカウンタの数値)が4(上限数)未満であるか否かを判定する(S310)。そして、特図1保留球数が4未満でない場合(S310でNO)には、処理を終えるが、特図1保留球数が4未満である場合には(S310でYES)、特図1保留球数に「1」を加算する(S311)。
続いて特図1関係乱数取得処理(S312)を行う。特図1関係乱数取得処理(S312)では、特図2関係乱数取得処理(S308)と同様に、RAMの更新値記憶領域(図示せず)に記憶されている特別図柄当否判定用カウンタの値(ラベル−TRND−A)、大当り種別決定用乱数カウンタの値(ラベル−TRND−AS)、リーチ乱数カウンタの値(ラベル−TRND−RC)及び変動パターン乱数カウンタの値(ラベル−TRND−T1)を取得し(つまり図7(A)に示す乱数値を取得し)、それら取得乱数値(取得情報)を特図保留記憶部のうち現在の特図保留球数に応じたアドレス空間に格納する。このとき、格納(記憶)する取得乱数値(取得情報)が第1特図に対応するもの(第1特図保留)であることを示す情報も併せて格納(記憶)する。
[始動入球時処理]
遊技制御用マイコン81は、図12に示した始動口センサ検知処理(S204)に次いで、図13に示す始動入球時処理(S205)を行う。始動入球時処理(S205)では、まず、特図2保留球数が「1」増加したか否かを判定する(S315)。この処理は、直前の始動口センサ検知処理(S204)におけるS307で特図2保留球数に「1」を加算している場合、特図2保留球数が「1」増加したと判定して(S315でYES)、S316に移行し、増加してなければ(S315でNO)、S319に移行する。S316では、直前の始動口センサ検知処理(S204)における特図2関係乱数取得処理(S312)で取得して特図保留記憶部に記憶した最新の取得乱数値(取得情報)を読み出し(S316)、読み出した取得乱数値の判定を行う(S317)。読み出した取得乱数値のうち、特別図柄当否判定用乱数カウンタの値(特別図柄当否判定用乱数値)については、現在の遊技状態に応じた大当り判定テーブル(図8(A)を参照)、すなわち、高確率状態であれば高確率状態用の大当り判定テーブル、通常状態(低確率状態)であれば通常状態用の大当り判定テーブルに基づいて、大当り判定値と一致するか否かを判定する。S317の処理は、後述の特図2当否判定処理(S1204)における当否判定(S1303,S1309)に先立って行う事前判定(所謂「保留先読み」)に相当するものである。
尚、特図保留記憶部に記憶される取得乱数値(取得情報)のうち、大当り判定値と一致する特別図柄当否判定用乱数値のことを「特定取得情報」もしくは「大当り保留」ともいい、大当り判定値および小当り判定値と一致しない特別図柄当否判定用乱数値、すなわち外れ判定値のことを「非特定取得情報」もしくは「外れ保留」ともいう。また、小当り判定値と一致する特別図柄当否判定用乱数値のことを「所定取得情報」もしくは「小当り保留」ともいう。
次いでS318では、S317の事前判定の結果を示す情報、具体的には、特別図柄当否判定用乱数値が大当り判定値と一致するか否かを示す情報(当否情報)、大当り種別決定用乱数カウンタの値(大当り種別決定用乱数値)を示す情報、リーチ乱数カウンタの値(リーチ乱数値)を示す情報および変動パターン乱数カウンタの値(変動パターン乱数値)を示す情報を含むコマンドデータを、始動入球コマンド(特図2始動入球コマンド)として生成し、この始動入球コマンドを主制御基板80のRAMに設けられたサブ制御基板90へのコマンド送信用の出力バッファにセットする(S318)。
次いでS319では、前述の特図2と同様に、特図1保留球数が「1」増加したか否かを判定する(S319)。この処理は、直前の始動口センサ検知処理(S204)におけるS311で特図1保留球数に「1」を加算している場合、特図1保留球数が「1」増加したと判定して(S319でYES)、S320に移行し、増加してなければ(S319でNO)、そのまま処理を終える。
S320〜S322の処理は、前述したS316〜S318と同様の処理を特図1について行うものである。すなわち、直前の始動口センサ検知処理(S204)における特図1関係乱数取得処理(S312)で取得して特図保留記憶部に記憶した最新の取得乱数値(取得情報)を読み出し(S320)、読み出した取得乱数値の事前判定を行い(S321)、この事前判定の結果を示す情報(当否情報、大当り種別決定用乱数値を示す情報、リーチ乱数値を示す情報、変動パターン乱数値を示す情報)を含むコマンドデータを、始動入球コマンド(特図1始動入球コマンド)として生成し、この始動入球コマンドを出力バッファにセットする(S322)。尚、S322の事前判定(保留先読み)は、後述の特図1当否判定処理(S1208)における当否判定(S1603,S1609)に先立って行うものである。
[普図動作処理]
遊技制御用マイコン81は、始動入球遊技処理(S205)に次いで、図14に示す普図動作処理(S206)を行う。普図動作処理(S206)では、普通図柄表示器42および可変入賞装置22に関する処理を4つの段階に分け、それらの各段階に「普図動作ステータス1、2、3、4」を割り当てている。そして、「普図動作ステータス」が「1」である場合には(S401でYES)、普通図柄待機処理(S402)を行い、「普図動作ステータス」が「2」である場合には(S401でNO、S403でYES)、普通図柄変動中処理(S404)を行い、「普図動作ステータス」が「3」である場合には(S401、S403で共にNO、S405でYES)、普通図柄確定処理(S406)を行い、「普図動作ステータス」が「4」である場合には(S401、S403、S405の全てがNO)、普通電動役物処理(S407)を行う。尚普図動作ステータスは、初期設定では「1」である。
[普通図柄待機処理]
図15に示すように、普通図柄待機処理(S402)ではまず、普通図柄の保留球数が「0」であるか否かを判定し(S501)、「0」であれば(S501でYES)この処理を終える。一方「0」でなければ(S501でNO)、後述の普通図柄当否判定処理を行う(S502)。また、普通図柄当否判定処理(S502)に次いで、普通図柄変動パターン選択処理を行う(S503)。普通図柄変動パターン選択処理では、図8(E)に示す普通図柄変動パターン選択テーブルを参照して、遊技状態が時短状態であれば、普通図柄の変動時間が1秒の普通図柄変動パターンを選択する。一方、遊技状態が非時短状態であれば、普通図柄の変動時間が30秒の普通図柄変動パターンを選択する。また普通図柄変動パターン選択処理に次いで後述の普通図柄乱数シフト処理(S504)を行う。また、普通図柄乱数シフト処理(S504)に次いで、普通図柄変動開始処理を行い(S505)、処理を終える。普通図柄変動開始処理では、S503で選択した普通図柄変動パターンにて普通図柄の変動表示を開始するとともに、普通動作ステータスを「2」にセットする。また、普通図柄変動開始処理では、サブ制御基板90に普通図柄の変動開始を知らせるため、普通図柄変動開始コマンドをセットする。
[普通図柄当否判定処理]
図16に示すように、普通図柄当否判定処理(S502)ではまず、普図保留記憶部に格納されている普通図柄当否判定用乱数カウンタの値(ラベル−TRND−H)を読み出す(S601)。次いで、時短フラグがONか否か(すなわち遊技状態が時短状態であるか否か)を判定する(S602)。S602で、時短フラグがONである、すなわち時短状態であると判定した場合(S602でYES)、図8(D)に示す普通図柄当り判定テーブルのうち時短状態用のテーブル(当り判定値が「0」〜「239」)に基づく高確率普図当否判定により、当りか否かを判定し(S604)、S605の処理に移行する。すなわち、読み出した普通図柄当否判定用乱数カウンタの値(ラベル−TRND−H)が当り判定値の何れかと一致するか否かを判定する。一方、S602で、時短フラグがONでない、すなわち、非時短状態であると判定した場合(S602でNO)、図8(D)に示す普通図柄当り判定テーブルのうち非時短状態用のテーブル(当り判定値が「0」、「1」)に基づく低確率普図当否判定により、当りか否かを判定し(S603)、S605の処理に移行する。そして、S605で、普図当否判定(S603、S604)の結果が、当り(普図当り)か否かを判定し(S605)、外れと判定した場合(S605でNO)、停止表示する外れ普通図柄(普図外れ図柄)を決定し(S606)、処理を終える。一方、S605で当り(普図当り)と判定した場合(S605でYES)、停止表示する当り普通図柄(普図当り図柄)を決定し(S607)、普図当りフラグをONにして(S608)、処理を終える。
[普通図柄乱数シフト処理]
普通図柄変動パターン選択処理(S503)に次いで普通図柄乱数シフト処理(S504)を実行する。図17に示すように、普通図柄乱数シフト処理(S504)ではまず、普通図柄保留球数を1デクリメントする(S701)。次いで、普図保留記憶部における各普図保留の格納場所を、現在の位置から読み出される側に一つシフトする(S702)。そして、普図保留記憶部における最上位の保留記憶の格納場所であるアドレス空間を空(「0」)にして、即ち普図保留の4個目に対応するRAM領域を0クリアして(S703)、処理を終える。このようにして、普図保留が保留順に消化されるようにしている。
[普通図柄変動中処理]
図18に示すように、普通図柄変動中処理(S404)ではまず、普通図柄の変動時間が経過したか否かを判定し(S801)、経過していなければ(S801でNO)処理を終える。一方、経過していれば(S801でYES)、普通図柄変動停止コマンドをセットする(S802)とともに、普図動作ステータスを「3」にセットする(S803)。そして、普通図柄の変動表示を、普通図柄当否判定用乱数の判定結果に応じた表示結果(当り普通図柄又は外れ普通図柄)で停止させる等のその他の処理を行ってから(S804)、この処理を終える。
[普通図柄確定処理]
図19に示すように、普通図柄確定処理(S406)ではまず、普図当りフラグがONであるか否かを判定する(S901)。普図当りフラグがONでなければ(S901でNO)、普図動作ステータスを「1」にセットして(S905)、この処理を終える。一方、普図当りフラグがONであれば(S901でYES)、続いて時短フラグがONであるか否か、すなわち時短状態中か否かを判定する(S902)。そして時短状態中であれば(S902でYES)、可変入賞装置22(第3始動口21)の開放パターンとして時短状態中の開放パターンをセットする(S903)。時短状態中の開放パターンとは、前述の通り、2.0秒の開放を3回繰り返す開放パターン(開放時間6.0秒の開放パターン)である。従って、第3始動口21の開放回数をカウントする第3始動口開放カウンタに「3」をセットする。
これに対して、非時短状態中であれば(S902でNO)、可変入賞装置22(第3始動口21)の開放パターンとして非時短状態中の開放パターンをセットする(S906)。非時短状態中の開放パターンとは、前述の通り、0.2秒の開放を1回行う開放パターンである。従って、第3始動口開放カウンタに「1」をセットする。そして、開放パターンのセット(S903、S906)に続いて、普図動作ステータスを「4」にセットし(S904)、この処理を終える。
[普通電動役物処理]
図20に示すように、普通電動役物処理(S407)ではまず、普図当り終了フラグがONであるか否かを判定する(S1001)。普図当り終了フラグは、当りとなって実行された補助遊技において、第3始動口21の開放が終了したことを示すフラグである。
普図当り終了フラグがONでなければ(S1001でNO)、第3始動口21の開放中か否かを判定する(S1002)。開放中でなければ(S1002でNO)、第3始動口21を開放させる時期(タイミング)に至ったか否かを判定し(S1003)、至っていなければ(S1003でNO)処理を終え、至っていれば第3始動口21を開放させ(S1004)、処理を終える。一方、第3始動口21の開放中であれば(S1002でYES)、第3始動口21を閉鎖させる時期(タイミング)に至ったか否か(すなわち第3始動口21を開放してから予め定められた開放時間が経過したか否か)を判定し(S1005)、至っていなければ(S1005でNO)処理を終え、至っていれば(S1005でYES)第3始動口21を閉状態(閉鎖)とする(S1006)。
そして第3始動口21の閉鎖処理(S1006)に次いで、第3始動口開放カウンタの値を1デクリメントし(S1007)、第3始動口開放カウンタの値が「0」であるか否かを判定する(S1008)。「0」でなければ(S1008でNO)、再び第3始動口21を開放させるためにそのまま処理を終える。一方「0」であれば(S1008でYES)、補助遊技を終了させる普図当り終了処理を行う(S1009)とともに、普図当り終了フラグをセットして(S1010)処理を終える。尚、第2始動口開放カウンタは、時短状態中であれば第3始動口21の開放(可動部材23の開放動作)が3回なされると「0」になり、非時短状態中であれば第3始動口21の開放が1回なされると「0」になる。
これに対してS1001において普図当り終了フラグがONであれば(S1001でYES)、S903又はS906にてセットされた回数の第3始動口21の開放動作は終了しているので、普図当り終了フラグをOFFするとともに(S1011)、普図当りフラグをOFFし(S1012)、普図動作ステータスを「1」にセットして(S1013)処理を終える。これにより、次回の割り込み処理において、普図動作処理(図13)として再び普通図柄待機処理(S402)が実行されることになる。
[特図動作処理]
図11に示すように遊技制御用マイコン81は、普図動作処理(S206)に次いで特図動作処理(S207)を行う。特図動作処理(S207)では、図21に示すように、特別図柄表示器41および大入賞装置(第1大入賞装置31および第2大入賞装置36)に関する処理を5つの段階に分け、それらの各段階に「特図動作ステータス1、2、3、4、5」を割り当てている。そして、「特図動作ステータス」が「1」である場合には(S1101でYES)、特別図柄待機処理(S1102)を行い、「特図動作ステータス」が「2」である場合には(S1101でNO、S1103でYES)、特別図柄変動中処理(S1104)を行い、「特図動作ステータス」が「3」である場合には(S1101、S1103で共にNO、S1105でYES)、特別図柄確定処理(S1106)を行い、「特図動作ステータス」が「4」である場合には(S1101、S1103、S1105で共にNO、S1107でYES)、大当り遊技としての特別電動役物処理1(S1108)を行い、「特図動作ステータス」が「5」である場合には(S1101、S1103、S1105、S1107の全てがNO)、小当り遊技としての特別電動役物処理2(S1109)を行う。尚、特図動作ステータスは、初期設定では「1」である。
[特別図柄待機処理]
図22に示すように、特別図柄待機処理(S1102)ではまず、特図保留球数(特図1保留球数および特図2保留球数)が「0」であるか否かを判定する(S1201)。特図保留球数が「0」である場合(S1201でYES)、即ち、第1始動口19への入球に基づいて取得される乱数カウンタ値(取得情報)の記憶がなく、第2始動口20または第3始動口21への入球に基づいて取得される乱数カウンタ値(取得情報)の記憶もない場合には、画像表示装置7の表示画面7aを待機画面とする処理中(客待ち用のデモ画面の実行中)であるか否かを判定し(S1212)、そうであれば(S1212でYES)処理を終え、そうでなければ(S1212でNO)待機画面を表示するために待機画面設定処理を実行する(S1213)。
S1201において特図保留球数(特図1保留球数および特図2保留球数)が「0」でない場合(S1201でNO)、即ち、第1始動口19、第2始動口20または第3始動口21への入球に基づいて取得される乱数カウンタ値の記憶(特図保留)が1つ以上ある場合には、RAMの特図保留記憶部の最下位の領域(即ち特図保留の1個目に対応するRAM領域)に記憶されている(記憶順が最も古い記憶の)乱数カウンタの値(特別図柄当否判定用乱数、大当り種別決定用乱数、リーチ乱数および変動パターン乱数)を読み出し(S1202)、その読み出した乱数カウンタの値が特図2に対応するもの(第2特図保留)であるか否かを判定する(S1203)。
読み出した乱数カウンタの値が特図2に対応するものである場合(S1203でYES)、後述の特図2当否判定処理(S1204)、特図2変動パターン選択処理(S1205)、特図2乱数シフト処理(S1206)、特図2変動開始処理(S1207)をこの順に行う。一方、読み出した乱数カウンタの値が特図2に対応するものでない場合(S1203でNO)、すなわち、特図1に対応するものである場合、後述の特図1当否判定処理(S1208)、特図1変動パターン選択処理(S1209)、特図1乱数シフト処理(S1210)、特図1変動開始処理(S1211)をこの順に行う。これにより本実施例では、第1特図保留に基づく第1特別図柄の変動表示と、第2特図保留に基づく第2特別図柄の変動表示とが、始動入球順に行われる。すなわち、特図保留(第1特図保留および第2特図保留)の消化は、その特図保留の発生順(記憶順)に行われ、発生順(記憶順)の最も古い特図保留から順に消化される。
[特図2当否判定処理]
図23に示すように、特図2当否判定処理(S1204)ではまず、確変フラグがONか否か、すなわち高確率状態であるか否かを判定する(S1302)。そして、高確率状態でなければ(S1302でNO)、すなわち通常状態であれば、S1202で読み出した特別図柄当否判定用乱数カウンタの値の判定(当否判定)を、大当り判定テーブル(図8(A))のうち通常状態用の大当り判定テーブル(大当り判定値が「3」及び「397」)に基づいて行う(S1303)。一方、高確率状態であれば(S1302でYES)、S1202で読み出した特別図柄当否判定用乱数カウンタの値の判定(当否判定)を、大当り判定テーブル(図8(A))のうち高確率状態用の大当り判定テーブルに基づいて行う(S1309)。高確率状態用の大当り判定テーブルでは、大当り判定値は、「3」、「53」、「113」、「173」、「227」、「281」、「337」、「397」、「449」、「503」とされている。
当否判定(S1303、S1309)の結果が「大当り」と判定した場合(S1304でYES)、S1202で読み出した大当り種別決定用乱数カウンタの値の判定(大当り種別の判定)を、図8(B)に示す大当り種別判定テーブルに基づいて行い(S1310)、当該大当り種別決定用乱数の値に基づいて大当り図柄を決定し(S1311)、大当りフラグをONにして(S1312)、処理を終える。尚、第1特別図柄に係る当否判定の場合は、第1特別図柄用の大当り種別判定テーブルを用いて大当り種別を判定し、第2特別図柄に係る当否判定の場合は、第2特別図柄用の大当り種別判定テーブルを用いて大当り種別を判定する。また、第1特別図柄(特図1)の当否判定にて大当りと判定した場合は、その大当りは、15R第1大当り、15R第2大当り及び2R第3大当りのうち何れかとされる。また、第2特別図柄(特図2)の当否判定にて大当りと判定した場合は、その大当りは、15R第4大当りまたは15R第5大当りとされる(図8(B))。ここで、大当り判定(特別図柄当否判定)や大当り種別決定判定を、夫々「判定」といってもよいし、大当り判定(当否判定)を行い何れの大当り図柄となるかを含めて「判定」といってもよい。また、これらの結果を「判定結果」ということもある。
また、大当りフラグには、大当りの種別が15R大当り(15R第1大当り、15R第2大当り、15R第4大当り又は15R第5大当り)であった場合にONする長当りフラグと、2R大当り(2R第3大当り)であった場合にONする短当りフラグとがある。ここで、ラウンド表示器45は、2R用ランプと15R用ランプとの2個のLEDで構成されており、2R第3大当りとなって短当りフラグがONにされると、2R第3大当り図柄が確定表示するタイミングで、2R用ランプの方が点灯表示される。具体的には、「2R▲15R△」(例えば、▲:点灯、△:消灯とする)の様な表示態様となる。また、15R大当り(15R第1大当り、15R第2大当り、15R第4大当り又は15R第5大当り)となって長当りフラグがONにされると、対応する大当り図柄が確定表示するタイミングで、15R用ランプの方が点灯表示される。具体的には、「2R△15R▲」の様な表示態様となる。
一方、当否判定(S1303、S1309)の結果が「大当り」でないと判定した場合(S1304でNO)、小当りか否かを判定する(S1305)。すなわち、S1202で読み出した特別図柄当否判定用乱数カウンタの値が、小当り判定値である「101」〜「105」の何れかと一致するか否かを判定する(図8(A))。そして、「小当り」でないと判定した場合(S1305でNO)、外れ図柄を決定し(S1308)、処理を終える。つまり、当否判定(S1303、S1309)の結果が「大当り」でもなく「小当り」でもない場合は、その結果は「外れ」となる。一方、小当り判定(S1305)の結果が「小当り」であると判定した場合(S1305でYES)、小当り図柄を決定し(S1306)、小当りフラグをONにして(S1307)、処理を終える。尚、小当りか否かを決める乱数を、特別図柄当否判定用乱数とは別に設けてもよい。
[特図2変動パターン選択処理]
特別図柄待機処理(図22)では、特図2当否判定処理(S1204)に次いで、特図2変動パターン選択処理を行う(S1205)。図24及び図25に示すように、特図2変動パターン選択処理(S1205)ではまず、遊技状態が時短状態か否か(時短フラグがONか否か)を判定する(S1401)。そして、時短状態でなければ(S1401でNO)、すなわち非時短状態であれば、大当りフラグがONか否かを判定し(S1402)、ONであれば(S1402でYES)、非時短状態中大当り用テーブル(図9に示す変動パターンテーブルのうち非時短状態かつ大当りに該当する部分)を参照して、S1202で読み出した変動パターン乱数カウンタの値に基づいて変動パターンを選択する(S1403)。尚、変動パターンが決まれば変動時間も決まる。また本実施例では、非時短状態中大当り用テーブルは、大当りが長当り(15R大当り)か短当り(2R大当り)かによっても分かれている。しかし本処理は、特図2についての変動パターン選択処理なので、特図2の抽選にて当選する大当りには15R大当り(長当り)しかない。従って本処理にて参照される箇所は、常に長当りの箇所となり、変動パターンP1または変動パターンP2が選択される。尚、非時短状態中大当り用テーブルは、長当り用と短当り用とに分かれていなくてもよい。これは後述の時短状態中大当り用テーブルについても同様である。
一方、大当りフラグがONでなければ(S1402でNO)、小当りフラグがONか否かを判定する(S1405)。そして、小当りフラグがONであれば(S1405でYES)、非時短状態中小当り用テーブル(図9に示す変動パターンテーブルのうち非時短状態かつ小当りに該当する部分)を参照して、S1202で読み出した変動パターン乱数カウンタの値に基づいて変動パターンを選択する(S1409)。具体的には、本実施例では必ず変動パターンP4が選択される。
また、小当りフラグがONでなければ(S1405でNO)、S1202で読み出したリーチ乱数カウンタの値がリーチ成立乱数値と一致するか否かを判定する(S1406)。図8(C)に示すように、リーチ成立乱数値は時短状態であれば「0」〜「5」であり、非時短状態であれば「0」〜「13」である。すなわち、時短状態の方が非時短状態よりも外れ時のリーチがかかり難くなっている。これは、時短状態において変動時間の短いリーチ演出無し外れがより多く選択されようにすることで、特図保留の消化スピードを早めるためである。
リーチ乱数カウンタの値がリーチ成立乱数値と一致する場合(S1406でYES)、即ち、リーチ有外れの場合には、非時短状態中リーチ有外れ用テーブル(図9に示す変動パターンテーブルのうち非時短状態かつリーチ有外れに該当する部分)を参照して、S1202で読み出した変動パターン乱数カウンタの値に基づいて変動パターンを選択する(S1407)。本実施例では、変動パターンP5〜P7のいずれかが選択される。
リーチ乱数カウンタの値がリーチ成立乱数値と一致しない場合(S1406でNO)、即ち、リーチ無外れの場合には、非時短状態中リーチ無外れ用テーブル(図9に示す変動パターンテーブルのうち非時短状態かつリーチ無外れに該当する部分)を参照して、S1202で読み出した変動パターン乱数カウンタの値に基づいて変動パターンを選択する(S1408)。このリーチ無外れ時には、保留球数に応じた短縮変動の機能が働くようになっている。すなわち、特図1保留球数と特図2保留球数とを合算した特別図柄の保留球数(全保留球数)が「7」又は「8」であるときは、当該保留球数が「1」〜「6」であるときに比して変動時間の短い変動パターンが選択されるようになっている。本実施例では、変動パターンP8またはP9が選択される。
またS1401において、遊技状態が時短状態であると判定した場合(S1401でYES)には、図25に示すように、参照する変動パターンテーブルを時短状態中用のテーブル(図9に示す変動パターンテーブルのうち時短状態に該当する部分)にする事以外は、上記ステップS1402〜S1409と同様の流れで処理(S1410〜S1416)を行う。すなわち、大当りであれば図9の時短状態中かつ大当りに該当する部分を参照し、小当りであれば図9の時短状態中かつ小当りに該当する部分を参照し、リーチ有外れであれば図9の時短状態中かつリーチ有外れに該当する部分を参照し、リーチ無外れであれば図9の時短状態中かつリーチ無外れに該当する部分を参照して、S1202で読み出した変動パターン乱数カウンタの値に基づいて変動パターンを選択する。
尚、時短状態中の変動パターンテーブル(図9に示す変動パターンテーブルのうち時短状態に該当する部分)では、リーチ無外れ時の保留球数に応じた短縮変動の機能が、特別図柄の全保留球数が「2」〜「8」のときに働く(変動パターンP17)。すなわち、非時短状態中よりも短縮変動が選択され易くなっている。また、大当りのうち長当りに当選した場合に、変動時間の短い変動パターン(変動パターンP11)が非時短状態中よりも選択され易くなっている。つまり、時短状態中の変動パターンテーブルは、非時短状態中の変動パターンテーブルよりも特別図柄の変動時間の平均値が短くなるようなテーブルとなっている。
前述のようにして変動パターンの選択を行った後は、図24に示すその他の処理(S1404)を行ってこの処理を終える。尚、その他の処理(S1404)では、選択した変動パターンに応じた変動パターン指定コマンド(特図2対応の変動パターン指定コマンド)をRAMの出力バッファにセットする。セットした変動パターン指定コマンドは、後述の変動開始コマンドに含められて、出力処理(S201)によりサブ制御基板90に送られる。
[特図2乱数シフト処理]
図26に示すように、特図2乱数シフト処理(S1206)ではまず、特図2保留球数を1デクリメントする(S1501)。次いで、特図保留記憶部における各種カウンタ値の格納場所を、1つ下位側(例えば特図保留記憶部がアドレス「0000」〜「0007」に対応するアドレス空間からなる場合、アドレス「0000」側)にシフトする(S1502)。そして、特図保留記憶部の最上位のアドレス空間に「0」をセットして、即ち、(上限数まで記憶されていた場合)第1特図保留と第2特図保留の上限数の合計である8個目に対応するRAM領域を0クリアして(S1503)、この処理を終える。
特図2乱数シフト処理(S1206)を実行した後は、図22の特図2変動開始処理(S1207)を実行する。特図2変動開始処理(S1207)では、特図動作ステータスを「2」にセットすると共に、変動開始コマンドをRAMの出力バッファにセットして、第2特別図柄の変動表示を開始する。
図22の特別図柄待機処理(S1102)において、読み出した乱数カウンタの値が特図2に対応するものでない場合(S1203でNO)には、特図1当否判定処理(S1208)、特図1変動パターン選択処理(S1209)、特図1乱数シフト処理(S1210)、特図1変動開始処理(S1211)をこの順に行う。
[特図1当否判定処理]
図27に示すように、特図1当否判定処理(S1208)では、図23に示した特図2当否判定処理(S1204)と同様の流れで処理(S1601〜S1612)を行う。従って本処理の詳細な説明は省略する。
但し、本処理は特図1に関する処理であるので、S1610における大当りの種別判定では、15R第1大当り、15R第2大当り及び2R第3大当りの何れかとなる可能性がある(図8(B))。図8(B)の第1特別図柄(特図1)の欄に示すように、各大当りの振分率は、15R第1大当りが40%、15R第2大当りが50%、2R第3大当りが10%となっている。この大当りの種別判定で15R第1大当りまたは15R第2大当りと判定した場合には、ステップS1612において大当りフラグとして長当りフラグをONする。一方、2R第3大当りと判定した場合には、S1612において大当りフラグとして短当りフラグをONする。
[特図1変動パターン選択処理]
図28及び図29に示すように、特図1変動パターン選択処理(S1209)では、図24及び図25に示した特図2変動パターン選択処理(S1205)と同様の流れで処理(S1701〜S1720)を行う。従って本処理の詳細な説明は省略する。
但し、本処理は特図1に関する処理であるので、S1702(図28)でYESの場合(すなわち大当りフラグがONの場合)には、さらに大当りの種別が15R大当り(15R第1大当りまたは15R第2大当り)であるか否かを判定する(S1703)。そして15R大当りである場合には(S1703でYES)、非時短状態中15R大当り用テーブル(図9に示す変動パターンテーブルのうち非時短状態かつ長当りに該当する部分)を参照して、S1202で読み出した変動パターン乱数カウンタの値に基づいて変動パターンを選択する(S1704)。具体的には、変動パターンP1または変動パターンP2が選択される。
一方、S1703において15R大当りでないと判定した場合(S1703でNO)、即ち2R第3大当りである場合には、非時短状態中2R大当り用テーブル(図9に示す変動パターンテーブルのうち非時短状態かつ短当りに該当する部分)を参照して、S1202で読み出した変動パターン乱数カウンタの値に基づいて変動パターンを選択する(S1706)。具体的には、変動パターンP3が選択される。
また、この特図1変動パターン選択処理では、S1712(図29)でYESの場合(すなわち大当りフラグがONの場合)にも、さらに大当りの種別が15R大当り(15R第1大当りまたは15R第2大当り)であるか否かを判定する(S1713)。そして15R大当りである場合には(S1713でYES)、時短状態中15R大当り用テーブル(図9に示す変動パターンテーブルのうち時短状態かつ長当りに該当する部分)を参照して、S1202で読み出した変動パターン乱数カウンタの値に基づいて変動パターンを選択する(S1714)。具体的には、変動パターンP10またはP11が選択される。
一方、S1713において15R大当りでないと判定した場合(S1713でNO)、即ち2R第3大当りである場合には、時短状態中2R大当り用テーブル(図9に示す変動パターンテーブルのうち時短状態かつ短当りに該当する部分)を参照して、S1202で読み出した変動パターン乱数カウンタの値に基づいて変動パターンを選択する(S1715)。具体的には、変動パターンP12が選択される。
この特図1変動パターン選択処理において、変動パターンの選択(S1704、S1706、S1709、S1710、S1711、S1714、S1715、S1718、S1719、S1720)を行った後は、その他の処理(S1705、図29)を行って、この処理を終える。その他の処理(S1705)では、選択した変動パターンに応じた変動パターン指定コマンド(特図1対応の変動パターン指定コマンド)をRAMの出力バッファにセットする。セットした変動パターン指定コマンドは、後述の変動開始コマンドに含められて、出力処理(S201)によりサブ制御基板90に送られる。
[特図1乱数シフト処理]
図30に示すように、特図1乱数シフト処理(S1210)ではまず、特図1保留球数を1デクリメントする(S1801)。次いで、特図保留記憶部における各種カウンタ値の格納場所を、1つ下位側にシフトする(S1802)。そして、特図保留記憶部の最上位のアドレス空間に「0」をセットして、即ち、(上限数まで記憶されていた場合)第1特図保留と第2特図保留の上限数の合計である8個目に対応するRAM領域を0クリアして(S1803)、この処理を終える。
特図1乱数シフト処理(S1210)を実行した後は、図22の特図1変動開始処理(S1211)を実行する。特図1変動開始処理(S1211)では、特図動作ステータスを「2」にセットすると共に、変動開始コマンドをRAMの出力バッファにセットして、第1特別図柄の変動表示を開始する。
[特別図柄変動中処理]
図31に示すように、特別図柄変動中処理(S1104)ではまず、特別図柄の変動時間(図22のS1205またはS1209で選択された変動パターンに応じて決まる変動時間、図9参照)が経過したか否かを判定する(S1901)。変動時間が経過していないと判定した場合(S1901でNO)、処理を終える。これにより特別図柄の変動表示が継続される。
一方、変動時間が経過したと判定した場合(S1901でYES)、変動停止コマンドをセットする(S1902)。そして、確変フラグがONか否かを判定し(S1903)、ONであれば(S1903でYES)、確変カウンタを1減算し(S1904)、確変カウンタの値が「0」か否かを判定する(S1905)。S1905で確変カウンタが「0」であると判定した場合、確変フラグをOFFし、S1907の処理に移行する。一方、確変フラグがONでないと判定した場合(S1903でNO)、及び確変カウンタが「0」でないと判定した場合(S1905でNO)、S1907の処理に移行する。
そしてS1907では、時短フラグがONか否かを判定し(S1907)、時短フラグがONであると判定した場合(S1907でYES)、時短状態中に実行した特別図柄の変動表示回数をカウントする時短カウンタの値を1減算し(S1908)、時短カウンタの値が「0」か否かを判定し(S1909)、「0」であれば(S1909でYES)、時短フラグをOFFにし(S1910)、S1911の処理に進む。また、時短フラグがONでないと判定した場合(S1907でNO)および時短カウンタの値が「0」でないと判定した場合(S1909でNO)、S1911の処理に進む。S1911では、特図動作ステータスを「3」にセットする(S1911)。そして、特別図柄の変動表示を、特別図柄当否判定乱数及び大当り種別決定用乱数の判定結果に応じた結果で停止させる等のその他の処理を行い(S1912)、この処理を終える。
[特別図柄確定処理]
図32に示すように、特別図柄確定処理(S1106)ではまず、大当りフラグがONであるか否かを判定する(S2001)。大当りフラグがONであれば(S2001でYES)、続いて大当りの種別が15R大当り(15R第1大当り、15R第2大当り、15第4大当り及び15R第5大当りのいずれか)か否かを判定する(S2002)。そして、15R大当りであれば(すなわち長当りフラグがONであれば)、大当り遊技中に実行するラウンド(1ラウンド1回開放の態様では、1回のラウンドは大入賞口の開放から閉塞まで)の回数をカウントするラウンドカウンタの値を「15」にセットするとともに、大入賞口(第1大入賞口30又は第2大入賞口35)の開放パターンとして、15R第1大当りであれば15R第1大当り用の開放パターン(図6参照)をセットし、15R第2大当りであれば15R第2大当り用の開放パターン(図6参照)をセットし、15R第4大当りであれば15R第4大当り用の開放パターン(図6参照)をセットし、15R第5大当りであれば15R第5大当り用の開放パターン(図6参照)をセットする(S2003)。
S2002において15R大当りでなければ(すなわち短当りフラグがONであれば)、大当り種別は2R第3大当りであるため、ラウンドカウンタの値を「2」にセットするとともに、大入賞口(第1大入賞口30又は第2大入賞口35)の開放パターンとして、2R第3大当り用の開放パターン(図6参照)をセットする(S2004)。
S2003又はS2004の処理を終えたら、大当り遊技を開始するべく、大当りのオープニングコマンドをセットするとともに(S2005)、大当り遊技のオープニング演出を開始し(S2006)、特図動作ステータスを「4」にセットする(S2007)。
また、S2001において大当りフラグがONでないと判定した場合(S2001でNO)、小当りフラグがONであるか否かを判定する(S2008)。小当りフラグがONであれば(S2008でYES)、小当り遊技中における大入賞口(第2大入賞口35)の開放回数をカウントする小当り用開放カウンタの値を「2」にセットするとともに、大入賞口(第2大入賞口35)の開放パターンとして、小当り用の開放パターン(図6参照)をセットする(S2009)。
S2009の処理を終えたら、小当り遊技を開始するべく、小当りのオープニングコマンドをセットするとともに(S2010)、小当り遊技のオープニング演出を開始し(S2011)、特図動作ステータスを「5」にセットする(S2012)。尚、S2008において小当りフラグがONでなければ(S2008でNO)、大当り遊技も小当り遊技も開始しないため、特図動作ステータスを「1」にセットし、処理を終える。
[特別電動役物処理1(大当り遊技)]
図33に示すように、特別電動役物処理1(S1108)ではまず、確変フラグがONか否かを判定し(S2101)、ONと判定した場合(S2101でYES)、確変フラグをOFFする(S2102)。また、時短フラグがONか否かを判定し(S2103)、ONと判定した場合(S2103でYES)、時短フラグをOFFする(S2104)。つまり、大当り遊技の実行中は、低確率状態かつ非時短状態に制御される。本実施例では非時短状態時は常に低ベース状態であるので、大当り遊技の実行中は低確低ベース状態に制御されることにもなる。
次に、大当り終了フラグがONであるか否かを判定する(S2105)。大当り終了フラグは、大当り遊技において大入賞口(第1大入賞口30及び第2大入賞口35)の開放が全て終了(大当り遊技が終了)したことを示すフラグである。大当り終了フラグがONでなければ(S2105でNO)、大入賞口(第1大入賞口30又は第2大入賞口35)の開放中か否かを判定する(S2106)。開放中でなければ(S2106でNO)、大入賞口(第1大入賞口30又は第2大入賞口35)を開放させる時期(タイミング)に至ったか否か、すなわち大当りのオープニングの時間が経過して1ラウンド目を開始する時期に至ったか、又は、ラウンド間のインターバルの時間が経過して次ラウンド(次の開放)を開始する時期に至ったか否かを判定する(S2107)。これは、前述した大当り種別毎に設定した大入賞口開放パターンに基づいて判定する。例えば、1ラウンド目の開始前であれば、オープニング期間が終了して1ラウンド目の最初の開放処理を実行するタイミングであるか否かによって判定する。また、既に1ラウンド目を開始した後であれば、前のラウンドが終了し、かつ、所定のインターバル期間が終了している否かによって判定する。尚、ラウンドを、単に「R」ともいい、「ラウンド遊技」ともいう。
S2107の判定結果がNOであれば、そのまま処理を終える。一方、S2107の判定結果がYESであれば、実行されるラウンドが1ラウンド目及び2ラウンド目の何れかのラウンドに該当するか否かを判定する(S2108)。これは、大当り種別毎に、ラウンドカウンタの値を用いて判定してもよいし、別途実行するラウンドが何ラウンド目かをカウントするラウンドカウンタを設けて判定してもよい。1ラウンド目及び2ラウンド目のいずれのラウンドでもない(すなわち、3〜15ラウンドの何れか)場合(S2108でNO)、S2110に進んで、大当りの種類に応じた開放パターン(図6参照)に従って第1大入賞口30を開放させるべく、第1大入賞装置31を作動させる。一方、1ラウンド目又は2ラウンド目であると判定した場合(S2108でYES)、V有効期間設定処理(S2109)を行ってからS2110に進んで、大当りの種類に応じた開放パターン(図6参照)に従って第2大入賞口35を開放させるべく、第2大入賞装置36を作動させる。また、大入賞口(第1大入賞口30又は第2大入賞口35)を開放する際、すなわちラウンドを開始する際には、対応するラウンドのラウンド開始コマンドをセットする。例えば、1ラウンド目の開始であれば「1R開始コマンド」、2ラウンド目の開始であれば「2R開始コマンド」のように、開始するラウンドを特定可能なラウンド開始コマンドをセットする。セットしたラウンド開始コマンドは、S201の出力処理により、サブ制御部90に送信される。
V有効期間設定処理(S2109)では、1ラウンド又は2ラウンドにおける第2大入賞口35の開放中(可動片が動作状態のとき)及び第2大入賞口35の閉鎖後の数秒間を、特定領域センサ39aによる遊技球の検知を有効と判定する期間(第1期間に相当)に設定する。尚、本実施例ではこれ以外の期間(小当り中や特別遊技を実行していないときも含む)は、特定領域センサ39aによる遊技球の検知を無効と判定する期間(第2期間に相当)に設定している。ここで、特定領域センサ39aによる遊技球の検知を有効と判定するというのは、特定領域センサ39aによる遊技球の検知に基づいてVフラグをONする(後述の特定領域センサ検知処理(図36)のステップS2401〜S2403参照)ということであり、特定領域センサ39aによる遊技球の検知を無効と判定するというのは、特定領域センサ39aによる遊技球の検知があってもVフラグをONしないということである。
ここで、特定領域センサ39aによって遊技球が検知され、VフラグがONになったタイミングで、遊技状態表示器46を所定の表示態様とし、大当り遊技終了後の遊技状態が高確率状態となることを報知する。具体的には、遊技状態表示器46は「a1a2a3」の3個のLEDで構成されている。そして、本実施例では、通常状態(低確率状態)においては、「a1□a2□a3□」(例えば、□:消灯、■:点灯)の表示態様とされる。また、大当り遊技中の特定領域センサ39aによって遊技球が検知され、VフラグがONになったタイミングで、「a1■a2■a3■」の表示態様とされる。そして、大当り遊技が終了し、遊技状態が高確率状態に設定されると「a1□a2□a3□」の表示態様とされる。また、遊技状態表示器46の点灯制御タイミングはこのようなタイミングに限定されず、大当り遊技中は、遊技球が特定領域39を通過しても「a1□a2□a3□」の表示態様のままとし、大当り遊技終了後の高確率状態へ移行するタイミングで「a1■a2■a3■」とし、高確率状態から低確率状態に移行するタイミングで「a1□a2□a3□」の表示態様としてもよい。
すなわち、後述の特定領域センサ検知処理(図36)では、V有効期間中のV通過(特定領域39への遊技球の通過)の検知時のみVフラグをONし、V有効期間外(V無効期間中)のV通過検知時にはVフラグをONしないこととしている。尚、VフラグがONである場合には、確変フラグがONされる、すなわち大当り遊技後の遊技状態が高確率状態に設定される(後述の遊技状態設定処理(図34))。このようにすることで、不正行為によるV通過に基づいてVフラグがONされることのないように、すなわち不正に高確率状態に設定されることのないようにしている。
また、大当り遊技の1R目または2R目でV通過があれば、当該大当り遊技終了後の遊技状態を高確率状態に設定する一方で、小当り遊技中にV通過があっても、小当り遊技前の遊技状態が通常状態であれば、その小当り遊技終了後の遊技状態も通常状態とし、小当り遊技前の遊技状態が高確率状態であれば、その小当り遊技終了後の遊技状態も高確率状態とする。つまり、小当り遊技の前後で当否判定確率を変化させないようにしている。
尚、本実施例では、V有効期間設定処理(S2109)において、15R第2,第5大当りである場合にも特定領域センサ39aによる遊技球の検知を有効と判定する期間(第1期間)に設定するが、他の態様として、15R第2,第5大当りの場合は1R目及び2R目において第1期間を設定しないものとしてもよい。すなわち、15R第2,第5大当りの場合は1R目及び2R目を第2期間に設定するようにしてもよい。15R第2,第5大当りに係る大当り遊技では、第2大入賞口35の開放時間を0.1秒と極短時間に設定しているため遊技球が第2大入賞口35へ入球する可能性は限りなく低いが、第2期間に設定しておけば、万が一入球した場合でもVフラグがONになることはない。これにより、不正にVフラグをONにしたり、まれな入球によりVフラグがONになったりしてしまうのを防止することができる。尚、本実施例では1ラウンド又は2ラウンドにおいて特定領域センサ39aによる遊技球の検知を有効としているが、ラウンド(チャンスラウンド)の場所はこれに限らなくてもよい。
S2106において大入賞口(第1大入賞口30又は第2大入賞口35)の開放中であれば(S2106でYES)、そのラウンドにおける大入賞口への入球個数が規定の最大入球個数(本実施例では1ラウンド当り10個)に達しているか否かを判定する(S2111)。規定入球個数に達していなければ(S2111でNO)、大入賞口を閉鎖させる時期(タイミング)に至ったか否か、すなわち大入賞口を開放してから所定の開放時間(図6参照)が経過したか否かを判定する(S2112)。そして、大入賞口の開放時間が経過していなければ(S2112でNO)、処理を終える。
これに対して、規定入球個数に達している場合(S2111でYES)、又は大入賞口の開放時間が経過した場合(S2112でYES)、すなわち2つのラウンド終了条件のうちのいずれかが成立した場合には、大入賞口(第1大入賞口30又は第2大入賞口35)を閉鎖する(S2113)。そして、ラウンドカウンタの値を1デクリメントし(S2114)、ラウンドカウンタの値が「0」であるか否かを判定する(S2115)。「0」でないと判定した場合(S2115でNO)、次のラウンドを開始するため、処理を終える。また、大入賞口(第1大入賞口30又は第2大入賞口35)を閉鎖する際、すなわちラウンドを終了する際には、対応するラウンドのラウンド終了コマンドをセットする。例えば、1ラウンド目の終了であれば「1R終了コマンド」、2ラウンド目の終了であれば「2R終了コマンド」のように、終了するラウンドを特定可能なラウンド終了コマンドをセットする。このセットしたラウンド終了コマンドは、S201の出力処理により、サブ制御部90に送信される。尚、ラウンド終了コマンドは、大当り遊技の最終ラウンドを除くラウンドの終了の際、すなわち、S2115でラウンドカウンタの値が「0」でないと判定した場合に送信される。例えば、実行する大当り遊技のラウンド数が15R大当り遊技であれば、14Rの終了まではラウンド終了コマンドが送信されるが、15Rの終了に際しては送信されない。最終ラウンドの終了に際しては、後述するS2116の処理でセットするエンディングコマンドが送信されるからである。
一方、「0」と判定した場合(S2115でYES)、大当り遊技を終了させる大当り終了処理として、大当りのエンディングコマンドをセットするとともに(S2116)、大当りのエンディング演出を開始する(S2117)。そして、大当り終了フラグをセットし(S2118)、処理を終える。尚、ラウンドカウンタは、長当り(15R大当り)であれば大入賞口の開放が15回実行されると「0」になり、短当り(2R大当り)であれば大入賞口の開放が2回実行されると「0」になる。
またS2105において大当り終了フラグがONであれば(S2105でYES)、最終ラウンドが終了しているので、大当りのエンディング演出の実行時間(エンディング時間)が経過したか否かを判定し(S2119)、エンディング時間が経過していなければ(S2119でNO)、処理を終える。一方、エンディング時間が経過していれば(S2119でYES)、大当り終了フラグをOFFにした後(S2120)、後述の遊技状態設定処理(S2121)を行う。そして、大当りフラグをOFFにし(S2122)、特図動作ステータスを「1」にセットし(S2123)、処理を終える。これにより、次回の割り込み処理において、特図動作処理(図21)として再び特別図柄待機処理(S1102)が実行されることになる。以上の特別電動役物処理1(S1108)を実行する遊技制御用マイコン81は「特別遊技実行手段」として機能するものといえる。
[遊技状態設定処理]
図34に示すように、遊技状態設定処理(S2121)ではまず、VフラグがONであるかどうかを判定する(S2201)。Vフラグは後述の特定領域センサ検知処理(図36)にてONされるフラグである。そして、VフラグがONであれば(S2201でYES)、確変フラグをONにするとともに(S2202)、確変カウンタに「100」をセットし(S2203)、VフラグをOFFにし(S2204)、S2205の処理に進む。一方、VフラグがOFFであれば(S2201でNO)、確変フラグをONにすることなく、S2205の処理に進む。すなわち、本パチンコ遊技機1では、この遊技状態設定処理においてVフラグがONになっているか否かに基づいて、大当り遊技終了後の遊技状態を高確率状態に設定するか否かを決めている。
S2205では、終了した大当り遊技(今回実行した大当り遊技)が15R大当りであるか否かを判定する。そして、15R大当りであると判定した場合(S2205でYES)、時短フラグをONにするとともに(S2207)、時短カウンタに「100」をセットし(S2208)、処理を終える。ここで、今回の大当り遊技が15R第1大当り又は15R第4大当りに係るものであれば、当該大当り遊技中に遊技球が特定領域39(V通過)を通過してVフラグがONになっている筈なので(S2201でYES)、この場合の大当り遊技終了後の遊技状態は高確高ベース状態になる。また、今回の大当り遊技が15R第2大当り又は15R第5大当りに係るものであれば、当該大当り遊技中にV通過せずVフラグがONになっていない筈なので(S2201でNO)、この場合の大当り遊技終了後の遊技状態は低確高ベース状態になる。
一方、S2205で、終了した大当り遊技(今回実行した大当り遊技)が15R大当りでない、すなわち、2R第3大当りであると判定した場合(S2205でNO)、今回の大当り遊技開始前の遊技状態、すなわち2R第3大当りとなった際の遊技状態が時短状態であったか否かを判定し(S2209)、時短状態でなかったと判定した場合(S2209でNO)、時短フラグをONにすることなく、そのまま処理を終える。これにより、今回の大当り遊技でVフラグがONにならなかった場合(S2201でNO)、大当り遊技終了後の遊技状態は低確低ベース状態となり、今回の大当り遊技でVフラグがONになった場合(S2201でYES)、大当り遊技終了後の遊技状態は高確低ベース状態となる。
一方、S2209で、2R第3大当りとなった際の遊技状態が時短状態であったと判定した場合(S2209でYES)、時短フラグをONにするとともに(S2207)、時短カウンタに「100」をセットし(S2208)、処理を終える。これにより、今回の大当り遊技でVフラグがONにならなかった場合(S2201でNO)、大当り遊技終了後の遊技状態は低確高ベース状態となり、今回の大当り遊技でVフラグがONになった場合(S2201でYES)、大当り遊技終了後の遊技状態は高確高ベース状態となる。
尚、高確高ベース状態、低確高ベース状態および高確低ベース状態は、いずれも、特別図柄が100回変動表示すること、及び、次の大当りが発生すること、の何れかの条件の成立により終了する。
また、2R第3大当りに係る大当り遊技開始前の遊技状態が時短状態かどうかを判定する処理(S2209)を行うのは、当該大当り遊技前後の時短機能および高ベース機能の作動状態を、小当りが発生した場合の状態(条件)と同じにするためである。これらの作動状態が2R第3大当りの場合と小当りの場合とで異なっていると、大入賞口の開放パターンで何れの当りかを認識し難くしたとしても、その後の遊技状態(時短機能および高ベース機能の作動状態)によって、何れの当りかが容易に判別可能となってしまうからである。これにより、2R第3大当りと小当りとを大入賞口の開放パターンによって判別し難くすると共に、その後の時短機能や高ベース発生機能の作動状態によっても判別し難くするものとしている。
[特別電動役物処理2(小当り遊技)]
図35に示すように、特別電動役物処理2(S1109)ではまず、小当り終了フラグがONであるか否かを判定する(S2301)。小当り終了フラグは、小当り遊技において第2大入賞口35の開放が全て終了したことを示すフラグである。小当り終了フラグがONでなければ(S2301でNO)、第2大入賞口35の開放中か否かを判定する(S2302)。開放中でなければ(S2302でNO)、大入賞口(第1大入賞口30又は第2大入賞口35)を開放させる時期(タイミング)に至ったか否か、すなわち小当りのオープニングの時間が経過して1回目の開放を開始する時期に至ったか、又は、複数回にわたる開放の間のインターバルの時間が経過して次の開放を開始する時期に至ったか否かを判定する(S2303)。S2303の判定結果がNOであれば、そのまま処理を終える。一方、S2303の判定結果がYESであれば、V無効期間設定処理(S2304)を行ってから、S2305に進み、小当りの開放パターン(図6参照)に従って第2大入賞口35を開放させるべく第2大入賞装置36を作動させる。
V無効期間設定処理(S2304)では、小当り遊技における第2大入賞口35の開放中および第2大入賞口35の閉鎖後の数秒間を、特定領域センサ39aによる遊技球の検知を無効と判定する期間(第2期間)に設定する。また、本実施例では、前述のV有効期間設定処理(S2109)で有効期間に定める期間以外の期間は無効期間(第2期間)とされている。従って、このV無効期間設定処理では、有効期間となっていないか、すなわち無効期間に設定されているかを確認する。具体的には、V有効期間の経過をカウントダウンにて計測するVタイマ(主制御基板80のRAMに設けられている)が「0」(すなわち有効期間無しの状態)に設定されているかを確認する。Vタイマが「0」でなければVタイマに「0」をセットする。尚Vタイマが「0」か否かを確認することなく、Vタイマに「0」をセットする即ち有効期間無しの状態に設定するようにしてもよい。これにより、小当り遊技中にV通過があっても、小当り遊技開始前の遊技状態が通常状態であれば、その小当り遊技終了後の遊技状態は高確率状態に移行しないようになる。尚、本実施例では、前述のV有効期間設定処理(S2109)で有効期間に定める期間以外の期間は無効期間であるため、S2304の処理を省略してもよい。
S2302において第2大入賞口35の開放中であれば、(S2302でYES)、2回の開放中における第2大入賞口35への入球個数、すなわち2回の開放において入球した遊技球を全て足した数が、規定の最大入球個数(本実施例では10個)に達しているか否かを判定する(S2306)。規定入球個数に達していなければ(S2306でNO)、第2大入賞口35を閉鎖させる時期に至ったか否か、すなわち第2大入賞口35を開放してから所定の開放時間(図6参照)が経過したか否かを判定する(S2307)。そして、第2大入賞口35の開放時間が経過していなければ(S2307でNO)、処理を終える。
これに対して、2回の開放中における第2大入賞口35への入球個数が規定入球個数に達している場合(S2306でYES)、第2大入賞口35を閉鎖し(S2314)、S2311の小当り終了処理に移行する。一方、S2307で、第2大入賞口35の開放時間が経過したと判定した場合(S2307でYES)には、第2大入賞口35を閉鎖する(S2308)。そして、小当り用開放カウンタの値を1デクリメントし(S2309)、小当り用開放カウンタの値が「0」であるか否かを判定する(S2310)。S2310で「0」でないと判定した場合(S2310でNO)、次の開放を開始するため、そのまま処理を終える。
一方、S2310で「0」であると判定した場合(S2310でYES)、S2311の小当り終了処理に移行する。S2311では、小当り遊技を終了させる小当り終了処理として、小当りのエンディングコマンドをセットするとともに(S2311)、小当りのエンディング演出を開始する(S2312)。そして、小当り終了フラグをセットし(S2313)、処理を終える。尚、小当り用開放カウンタは、第2大入賞口35の開放が2回なされると「0」になる。
S2301において、小当り終了フラグがONであれば(S2301でYES)、2回の開放が終了しているので、小当りのエンディングの時間が経過したか否かを判定し(S2315)、エンディング時間が経過していなければ(S2315でNO)、処理を終える。一方、エンディング時間が経過していれば(S2315でYES)、小当り終了フラグをOFFにするとともに(S2316)、小当りフラグをOFFにし(S2317)、さらに、特図動作ステータスを「1」にセットし(S2318)、処理を終える。これにより、次回の割り込み処理において、特図動作処理(図20)として再び特別図柄待機処理(S1102)が実行されることになる。
尚、小当り遊技の開始に際して確変フラグや時短フラグをONからOFFに切り変えることはしない。また、小当り遊技の終了に際しては、遊技状態設定処理(S2121、図36)を行わない。すなわち、本パチンコ遊技機1では、小当り遊技の実行前と実行後において遊技状態を変化させない。以上の特別電動役物処理2(S1109)を実行する遊技制御用マイコン81は「小利益特別遊技実行手段」として機能するといえる。
[特定領域センサ検知処理]
図11に示すように遊技制御用マイコン81は、特図動作処理(S207)に次いで特定領域センサ検知処理(S208)を行う。特定領域センサ検知処理(S208)では、図36に示すように、まず、特定領域センサ39aによる遊技球の検知があったか否かを判定し(S2401)、検知がないと判定した場合(S2401でNO)、処理を終える。一方、S2401で検知があると判定した場合(S2401でYES)、V有効期間中か否かを判定する(S2402)。V有効期間は、前述の特別電動役物処理1(図33)におけるV有効期間設定処理(S2109)にて設定される期間である。V有効期間は、大当り遊技における1ラウンド目と2ラウンド目に設定される。
また、S2402でV有効期間中であると判定した場合(S2402でYES)、VフラグをONにすると共に(S2403)、現在実行中の大当り遊技が2R大当り(2R第3大当り)であるか否かを判定する(S2404)。そして、2R大当りでないと判定した場合(S2404でNO)、すなわち15R大当りであれば、第1V通過コマンドをセットし(S2405)、処理を終える。一方、2R大当りであると判定した場合(S2404でYES)、第2V通過コマンドをセットし(S2406)、処理を終える。主制御基板80のCPUは、所定のタイミングでこのV通過コマンドをサブ制御基板90に送信し、サブ制御基板90は受信したV通過コマンドの種別によって、演出図柄表示領域等で遊技演出を実行する。
また、S2402でV有効期間中でないと判定した場合(S2402でNO)、VフラグをONにすることなく、第3V通過コマンドをセットし(S2407)、処理を終える。尚、第1V通過コマンドは、サブ制御基板90にV通過の報知制御を行わせるためのコマンドである。これに対して、第2V通過コマンド及び第3V通過コマンドは、サブ制御基板90にV通過の報知制御を原則行わせないためのコマンドである。また、遊技制御用マイコン81は、このような特定領域センサ検知処理(S208)やV有効期間設定処理(S2109)を実行することにより、特定領域39への遊技球の通過の有効無効を切り替える手段(特定領域状態切替手段)として機能する。
[保留球数処理]
図11に示すように遊技制御用マイコン81は、特定領域センサ検知処理(S208)に次いで保留球数処理(S209)を行う。保留球数処理(S209)では図37に示すように、まず、主制御基板80のRAMに記憶されている特図1保留球数、特図2保留球数及び普通図柄保留球数を読み出す(S2501)。次いで、その保留球数のデータ(その保留球数情報をサブ制御基板90等に送信するための保留球数コマンド)を、RAMの出力バッファにセットする(S2502)。この保留球数に係るデータ(保留球数コマンド)は、次回の割り込み処理(S105)での出力処理(S201)によって出力され、割り込み処理毎に、保留球数に係るデータ(保留球数コマンド)の出力バッファへのセット(S2502)と、出力処理(S201)とが順次行われる。尚、特図保留球数が加算された際の特図保留球数のデータ、すなわち始動入球(始動入賞)の発生に伴う特図保留球数のデータについては、前述の始動入球コマンドに含めるか、加算後(始動入球後)の特図保留球数を示す保留球数コマンドを始動入球コマンドとともに出力バッファにセットするものとしてもよい。また、特図保留球数が減算された際の保留球数のデータ、すなわち特別図柄の変動開始(特図保留の消化)に伴う特図保留球数のデータについては、前述の変動開始コマンドに含めるか、減算後(特図保留消化後)の特図保留球数を示す保留球数コマンドを変動開始コマンドとともに出力バッファにセットするものとしてもよい。
[電源断監視処理]
図11に示すように遊技制御用マイコン81は、保留球数処理(S209)に次いで電源断監視処理(S210)を行う。電源断監視処理(S210)では図38に示すように、まず、電源断信号の入力の有無を判定し(S2601)、入力がなければ(S2601でNO)、処理を終える。一方、電源断信号の入力があれば(S2601でYES)、現在の遊技機の状態(確変かどうか、当り遊技中かどうか、保留球数はいくつか、確変・時短の残り変動回数はいくつか等)に関するデータをRAMに記憶するとともに(S2602)、電源断フラグをONし(S2603)、その後は割り込み処理(図11)に戻ることなくループ処理をする。
[サブ制御メイン処理]
次に、遊技の状況に応じた演出を実行する演出実行手段として機能する演出制御用マイコン91の動作について説明する。尚、演出制御用マイコン91の動作説明にて登場するカウンタ、フラグ、ステータス、バッファ等は、サブ制御基板90(サブ制御部)のRAMに設けられている。サブ制御基板90に備えられた演出制御用マイコン91(演出実行手段)は、パチンコ遊技機1の電源がオンされると、サブ制御基板90のROMから図39に示すサブ制御メイン処理のプログラムを読み出して実行する。同図に示すように、サブ制御メイン処理では、まずCPU初期化処理を行う(S4001)。CPU初期化処理(S4001)では、スタックの設定、定数設定、CPU92の設定、SIO、PIO、CTC(割り込み時間用コントローラ)等の設定や各種のフラグ、ステータス及びカウンタのリセット等を行う。
続いて、S4002で、電源断信号がONでかつサブ制御基板90のRAMの内容が正常であるか否かを判定する(S4002)。そして、この判定結果がNOであれば(S4002でNO)、サブ制御基板90のRAMの初期化をし(S4003)、S4004に進む。一方、判定結果がYESであれば(S4002でYES)、サブ制御基板90のRAMを初期化することなくS4004に進む。すなわち、電源断信号がONでない場合、又は電源断信号がONであってもRAMの内容が正常でない場合には(S4002でNO)、サブ制御基板90のRAMを初期化するが、停電などで電源断信号がONとなったがRAMの内容が正常に保たれている場合には(S4002でYES)、RAMを初期化しない。RAMを初期化すれば、各種のフラグ、ステータス及びカウンタの値はリセットされる。尚、このS4001〜S4003は、電源投入後に(電源投入に際して)一度だけ実行され、それ以降は実行されない。また、本実施例では、演出制御用マイコン91においても、図11に示す遊技制御用マイコン81による電源断監視処理(S210)と同様の処理を行うこととしており、停電などで電源断信号がONになると、そのときの演出制御に係るデータがサブ制御基板90のRAMに記憶されるものとなっている。つまり、停電などの電源断発生時における演出制御に係るデータがバックアップされるものとなっている。このため、停電等の電源断から復帰した後の電源投入時(電断復帰時)に、サブ制御基板90のRAMの初期化(S4003)が行われない限り、演出制御用マイコン91による演出制御の状態は電源断発生前の状態に復帰する。
S4004では、割り込みを禁止する。次いで、乱数シード更新処理を実行する(S4005)。乱数シード更新処理(S4005)では、種々の演出決定用乱数カウンタの値を更新する。更新された乱数カウンタ値はサブ制御基板90のRAMの所定の更新値記憶領域(図示せず)に逐次記憶される。尚、演出決定用乱数には、実行する演出図柄遊技演出の態様(変動演出パターン)を決定する変動演出決定用乱数や予告演出を決定する予告演出決定用乱数、演出図柄を決定する演出図柄決定用乱数等がある。乱数の更新方法は、前述の主制御基板80が行う乱数更新処理と同様の方法をとることができる。更新に際して乱数値を1ずつ加算するのではなく、2ずつ加算するなどしてもよい。演出決定用乱数は、予め定められたタイミングで取得される。このタイミングとしては、例えば主制御基板80から始動入球があった旨を通知する制御信号(始動入球コマンド)が送信されてきたときや、主制御基板80から変動開始を通知する制御信号(変動開始コマンド)が送信されてきたときや、後述の変動演出パターンを決定するときなどとすることができる。取得した演出決定用乱数の格納場所は、サブ制御基板90のRAMの所定の乱数カウンタ値記憶領域(図示せず)である。
乱数シード更新処理(S4005)が終了すると、コマンド送信処理を実行する(S4006)。コマンド送信処理では、サブ制御基板90のRAM内の出力バッファに格納されている各種のコマンド(制御信号)を、画像制御基板100、音声制御基板106およびランプ制御基板107に送信する。コマンドを受信した各制御基板(各制御部)は、受信したコマンドに従い各種の演出装置(画像表示装置7、スピーカ67、盤面ランプ5、枠ランプ66及び可動装飾部材14等)を用いて各種の演出(演出図柄遊技演出や、大当り遊技及び小当り遊技に伴う特別遊技演出等)を実行する。演出制御用マイコン91は続いて、割り込みを許可する(S4007)。以降、S4004〜S4007をループさせる。割り込み許可中においては、受信割り込み処理(S4008)、2msタイマ割り込み処理(S4009)および10msタイマ割り込み処理(S4010)の実行が可能となる。
[受信割り込み処理]
受信割り込み処理(S4008)では、図40に示すように、ストローブ信号(STB信号)がONか否か、すなわち主制御基板80から送られたストローブ信号が演出制御用マイコン91の外部INT入力部に入力されたか否かを判定する(S4101)。そして、S4101で、ストローブ信号がONでないと判定した場合(S4101でNO)、処理を終える。一方、S4101で、ストローブ信号がONであると判定した場合(S4101でYES)、主制御基板80から送信されてきた各種のコマンドをサブ制御基板90のRAMに格納し(S4102)、処理を終える。この受信割り込み処理(S4008)は、他の割り込み処理(S4009、S4010)に優先して実行される処理である。
[2msタイマ割り込み処理]
2msタイマ割り込み処理(S4009)は、サブ制御基板90に2msec周期の割り込みパルスが入力する度に実行する処理である。図41に示すように、2msタイマ割り込み処理(S4009)ではまず、演出ボタン検知スイッチ63c、63dからの検知信号に基づいて演出スイッチデータ(エッジデータ及びレベルデータ)を作成する入力処理を行う(S4201)。続いて、後述の10msタイマ割り込み処理で作成したランプデータを出力するランプデータ出力処理を行う(S4202)。次いで、可動装飾部材14(電気的駆動源)を駆動するための駆動データを出力する駆動データ出力処理を行う(S4203)。この駆動データも、後述の10msタイマ割り込み処理で作成される。そして、ウォッチドッグタイマのリセット処理を行うウォッチドッグタイマ処理を行う(S4204)。
[10msタイマ割り込み処理]
10msタイマ割り込み処理(S4010)は、サブ制御基板90に10msec周期の割り込みパルスが入力する度に実行する処理である。図42に示すように、10msタイマ割り込み処理(S4010)では、まず、後述する受信コマンド解析処理(S4302)を行う。次いで、2msタイマ割り込み処理で作成した演出スイッチデータを10msタイマ割り込み処理用の演出スイッチデータとしてサブ制御基板90のRAMに格納する演出スイッチ状態取得処理を行い(S4303)、当該演出スイッチ状態取得処理にて格納した演出スイッチデータに基づいて演出スイッチ処理を行う(S4304)。その後、ランプデータ(盤面ランプ5や枠ランプ66の点灯を制御するデータ)を作成したり、演出決定用乱数を更新したりするなどのその他の処理を実行する(S4305)。
[受信コマンド解析処理]
図43に示すように、受信コマンド解析処理(S4302)ではまず、主制御基板80から始動入球コマンドを受信したか否かを判定し(S4395)、始動入球コマンドを受信していないと判定した場合(S4395でNO)、S4401の処理に移行し、始動入球コマンドを受信したと判定した場合(S4395でYES)、演出保留情報記憶処理(S4400)を行って、S4401の処理に移行する。演出保留情報記憶処理(S4400)は、S4395で受信した始動入球コマンド(特図1始動入球コマンド又は特図2始動入球コマンド)に含まれる各種情報(事前判定結果、大当り種別決定用乱数値、変動パターン乱数値等の遊技情報)を、特別図柄の種類(第1特別図柄、第2特別図柄)および始動入球コマンドの送受信時(コマンド生成時)の特図保留球数に応じて、シフトメモリ形式でサブ制御基板90のRAMの所定の演出保留情報記憶領域に記憶する。例えば、受信した始動入球コマンドが特図1の保留球数「4」に対応する特図1始動入球コマンドである場合、その特図1始動入球コマンドに含まれる事前判定結果や当り種別等の情報を、特図1演出保留情報記憶領域のうち保留数4に対応する領域に、特図1演出保留情報として記憶する。こうして記憶される演出保留情報は、後述する変動演出表示や予告演出、演出モード等の各種演出の実行に用いられる。この演出保留情報に基づいて実行する予告演出が、いわゆる「保留先読み演出」となる。サブ制御基板90における演出保留情報記憶領域の記憶内容(演出保留情報)は、前述の主制御基板(主制御部)80における特図保留記憶部(第1特図保留記憶部、第2特図保留記憶部)の記憶内容(取得情報)と一致するものである。このことから、サブ制御基板90の演出保留情報記憶領域も「取得情報記憶手段」といえる。
次に、S4401では、主制御基板80から変動開始コマンドを受信したか否かを判定し(S4401)、変動開始コマンドを受信したと判定した場合(S4401でYES)、後述する変動演出開始処理(S4402)を行って、S4403の処理に移行し、変動開始コマンドを受信していないと判定した場合(S4401でNO)、変動演出開始処理を行うことなく、S4403の処理に移行する。
S4403では、主制御基板80から保留球数コマンドを受信したか否かを判定し(S4403)、保留球数コマンドを受信したと判定した場合(S4403でYES)、後述する保留演出処理(S4404)を行って、S4406の処理に移行し、保留球数コマンドを受信していないと判定した場合(S4403でNO)、保留演出処理を行うことなく、S4406の処理に移行する。
S4406では、主制御基板80から変動停止コマンドを受信したか否かを判定し(S4406)、変動停止コマンドを受信したと判定した場合(S4406でYES)、演出図柄を停止表示して変動演出表示を終了させる変動演出終了処理を行う(S4407)。変動演出終了処理(S4407)では、演出図柄8を停止表示して変動演出表示を終了させるための変動演出終了コマンドを出力バッファにセットする。セットした変動演出終了コマンドがコマンド送信処理(S4006)により画像制御基板100に送信されると、画像制御用マイコン101は、画像表示装置7の表示画面7a上で変動表示していた演出図柄8を停止表示して、演出図柄遊技演出(変動演出)を終了させる。一方、S4406で、変動停止コマンドを受信していないと判定した場合(S4406でNO)、変動演出終了処理を行うことなく、S4408の処理(図44)に移行する。尚、変動演出とは、特別図柄の変動表示に合わせて行われる種々の演出を指す。
図44に示すように、S4408では、主制御基板80から大当り遊技関連コマンドを受信したか否かを判定する(S4408)。ここで、大当り遊技関連コマンドとは、大当り遊技の実行にあたり主制御基板80から送信されるコマンドのことであり、本実施例では、大当り遊技の開始(大当りの発生)に際して送信されるオープニングコマンド、ラウンドの開始に際して送信されるラウンド開始コマンド、ラウンドの終了に際して送信されるラウンド終了コマンド、大当り遊技の終了に際して送信されるエンディングコマンドが該当する。S4408では、これらの大当り遊技関連コマンドの何れかを受信したか否かを判定し、受信していなければ(S4408でNO)、S4412の処理に移行し、受信していれば(S4408でYES)、当該受信したコマンドの種類に応じた演出(大当り遊技関連演出)の実行に係る処理を行う(S4409)。例えば、受信した大当り遊技関連コマンドがオープニングコマンドであれば、当該コマンドに基づき特定される大当りの種別に応じたオープニング演出を指定するオープニング演出コマンドをサブ制御基板90のRAMの出力バッファにセットし、ラウンド開始コマンドであれば、当該コマンドに基づき特定されるラウンドに応じたラウンド演出を指定するラウンド演出コマンドをサブ制御基板90のRAMの出力バッファにセットし、エンディングコマンドであれば、当該コマンドに基づき特定される大当りの種別に応じたエンディング演出を指定するエンディング演出コマンドをサブ制御基板90のRAMの出力バッファにセットする。これらのセットした大当りに係る各種の演出コマンドがコマンド送信処理(S4006)により画像制御基板100に送信されると、画像制御用マイコン101は、大当り遊技の進行状況に合わせて、オープニング演出やラウンド演出等の大当り遊技に関連する演出を画像表示装置7の表示画面7a上で実行する。
続いてS4412では、主制御基板80から第1V通過コマンドを受信したか否かを判定し(S4412)、第1V通過コマンドを受信したと判定した場合(S4412でYES)、V通過報知コマンドをセットし(4413)、S4414の処理に移行する。尚、第1V通過コマンドは、15R第1,第5大当りにおいてV有効期間中に特定領域センサ39aによる遊技球の検知があったことを主制御基板80からサブ制御基板90に通知するコマンドである。V通過報知コマンドがコマンド送信処理(S4006)にて画像制御基板100(画像制御部)等に送信されると、画像制御用マイコン101は、所定の画像情報を画像制御基板100のROMから読み出して、画像表示装置7の表示画面7aにて「V通過!」等の文字を表示する。これにより、遊技球が特定領域39を通過し、大当り遊技終了後の遊技状態が高確率状態になることが遊技者に報知される。一方、S4412で、第1V通過コマンドを受信していないと判定した場合(S4412でNO)、V通過報知コマンドをセットすることなく、S4414の処理に移行する。
尚、「V通過!」の文字を表示することは、V通過報知態様の一つであり、他の表示内容(例えば「V」の文字を模したオブジェクト画像を表示したり、「確変GET」の文字を表示したりする等)で、V通過を報知してもよい。これにより、実行中の大当り遊技(特別遊技)後の遊技状態が高確率状態となることを、遊技者に対して報知することが可能となる。
続いてS4414では、演出制御用マイコン91で、主制御基板80から第2V通過コマンド(S2406でセット)を受信したか否かを判定し(S4413)、第2V通過コマンドを受信していないと判定した場合(S4414でNO)、S4415の処理に移行して第3V通過コマンドを受信したか否かを判定する(S4415)。そして、S4414で第2V通過コマンドを受信したと判定した場合(S4414でYES)と、S4415で第3V通過コマンドを受信したと判定した場合(S4415でYES)との何れの場合もV通過非報知コマンドをセットし(S4416)、S4417の処理に移行する。一方、S4415で、第3V通過コマンドを受信していないと判定した場合(S4415でNO)、V通過非報知コマンドをセットすることなく、S4417の処理に移行する。
ここで、第2V通過コマンドは、2R第3大当りにおいてV有効期間中に特定領域センサ39aによる遊技球の検知があったことを主制御基板80からサブ制御基板90に通知するコマンドである。また第3V通過コマンドは、小当り中などのV無効期間中に特定領域センサ39aによる遊技球の検知があったことを主制御基板80からサブ制御基板90に通知するコマンドである。
V通過非報知コマンドがコマンド送信処理(S4006)にて画像制御基板100等に送信されると、画像制御用マイコン101は、画像表示装置7の表示画面7aにおいて、「V通過!」等のVを通過したことを示す文字の表示がない画面(すなわちV通過の報知が何もない画面)に、表示制御する。換言すれば、V通過非報知態様とするのである。従って、本実施例のパチンコ遊技機1では、2R第3大当りや小当りにおいて遊技球が特定領域39を通過しても、そのことは遊技者に報知されないものとされる。
尚、前述の特定領域センサ検知処理(図36)にてセットするコマンドを第1V通過コマンドのみとし、第2V通過コマンドや第3V通過コマンドをセットしないこととしてもよい。この場合、受信コマンド解析処理(S4302)では、前述のS4414〜S4416を実行しないこととする。このように構成しても、15R第1,第5大当りにおけるV有効期間中にV通過があったときのみ、その旨が遊技者に報知されるパチンコ遊技機とすることができる。すなわち、V通過の報知のための演出をしない場合にはあえてコマンド(V通過非報知コマンド)をセットしなくてもよい。但し、本実施例のようにコマンドをセットしてそれに基づいて画像制御基板100を制御した方が、画像制御の安定性を増すことが可能となる。
最後にS4417の処理を行い、本処理を終える。S4417では、その他の処理として、前述した各種コマンドを除いた他の受信コマンド(例えば、普通図柄変動開始コマンドや普通図柄変動停止コマンド)に基づく処理を行う(S4417)。
[変動演出開始処理]
次に、受信コマンド解析処理(S4302)にて実行される変動演出開始処理(S4402)について説明する。図45に示すように、変動演出開始処理(S4402)ではまず、S4501で、演出制御用マイコン91が変動演出決定用乱数や予告演出決定用乱数、演出図柄決定用乱数等の各種演出決定用乱数を取得する演出決定用乱数処理(S4501)を行う。本実施例では、主制御部80から変動開始コマンドを受信したタイミングで、S4501の処理を行い、夫々の乱数から所定の値(取得情報)を取得する。この取得した値に基づいて、実行する演出図柄の変動表示(変動演出表示)の態様や予告演出、停止表示する演出図柄等を決定する。尚、本実施例の演出決定用乱数のうち、変動演出決定用乱数および予告演出決定用乱数は、それぞれ「0〜99」の範囲で値をとるものとしている。
続いてS4502では、演出制御用マイコン91が変動開始コマンドを解析する(S4502)。変動開始コマンドには、第1特別図柄または第2特別図柄の変動パターン選択処理で選択された変動パターンを指定する変動パターン指定コマンド(変動パターンを指定する情報)が含まれている。そして、変動パターンを指定する情報には、図9に示す変動パターン情報(P1乃至P17)や、現在の遊技状態を指定する遊技状態情報や、第1特別図柄当否判定又は第2特別図柄当否判定の判定結果や、当り種別を指定する図柄情報等が含まれている(図8参照)。また、変動パターン指定コマンドには、第1特別図柄に対応するものと第2特別図柄に対応するものとが存在することから、変動パターン指定コマンドを解析することで、今回開始する演出図柄遊技演出(変動演出)が特図1に係るものなのか特図2に係るものなのかが判別可能となる。尚、これらの変動パターン情報や遊技状態情報や図柄情報等は、これ以降に実行する変動演出開始処理以外の他の処理においても利用可能である。
続いてS4503で、演出制御用マイコン91が現在のモードステータスを参照する(S4503)。モードステータスは、実行する演出モードを決めるためのものである。モードステータスは「1」〜「5」までの何れかの値とされ、各値は演出モードA〜Eに対して割り当てられている。
ここで演出モードとは、画像表示装置7における演出の態様であり、演出モードが異なると、演出図柄の変動表示や予告演出、リーチ演出等の演出図柄遊技演出の演出態様の一部又は全部が異なるものとされる。具体的に、登場するキャラクタ、アイテム、背景画像が異なる等、画像表示装置7に表示される画像が異なり、演出図柄遊技演出も演出モードに応じた態様で実行されるものとすることができる。
また、リーチ演出とは、例えば、特別図柄当否判定の結果が大当りであることを示す場合の演出図柄8の表示態様として、3個の演出図柄8L、8C、8Rがすべて同一(ゾロ目)となる態様(大当り態様、特定態様)を設けている場合において、3個の演出図柄8L、8C、8Rのうちの2個が大当り態様を構成する図柄で停止表示(仮停止)され、残り1個が変動表示を続けている状態で、残り1個の演出図柄が大当り態様を完成させる図柄で停止表示されるか否かを示す演出のことをいう。
また、予告演出とは、例えば、現在実行中あるいは保留に基づいて後に行われる演出図柄の変動表示の結果が大当り態様となる可能性を文字やキャラクタ等で示唆したり、現在実行中あるいは保留に基づいて後に行われる演出図柄の変動表示でリーチ演出が発生する可能性を文字やキャラクタ等で示唆したりする等、後の遊技展開を示唆する演出のことをいう。
本実施例では、演出モードA(モードステータス1)は低確低ベース状態に制御されているときに実行され、演出モードB(モードステータス2)は低確高ベース状態に制御されているときに実行され、演出モードC(モードステータス3)は高確高ベース状態に制御されているときに実行される。従って、演出モードがA〜Cのいずれであるかを確認することで、遊技者は現在の遊技状態を把握することができる。また、演出モードD(モードステータス4)および演出モードE(モードステータス5)は、高確低ベース状態または低確低ベース状態に制御されているときに実行される。従って、演出モードがDまたはEであるときには、遊技者は演出モードを確認しても、特別図柄当否判定の確率状態が、高確率状態にあるのか低確率状態(通常状態)にあるのかを把握することは困難である。その意味において演出モードD,Eは、確率非報知モードといえる。
続いてS4504では、演出制御用マイコン91が制御する画像表示装置7、盤面ランプ5、可動装飾部材14等の変動演出パターン(「演出パターン」ともいう)を決めるための図示しない変動演出パターン決定テーブルをセットする(S4504)。具体的には、S4503で参照したモードステータス(現在の演出モード)と主制御部80から受信した変動パターン指定コマンドに基づいて、使用する変動演出パターン決定テーブルをセットする。例えば、受信した変動パターン指定コマンドが指定する変動パターン情報が「P1(変動パターンP1)」(図9を参照)であった場合、変動演出パターン決定テーブルとして、現在の演出モードに対応した当り時変動演出パターン決定テーブルがセットされる。本実施例では、演出モード(モードステータス)に対応した複数の変動演出パターン決定テーブルがサブ制御基板90のROMに予め格納されているので、S4504では、それらの変動演出パターン決定テーブルの中から、S4503で参照したモードステータス(現在の演出モード)に対応するテーブルが選択されてセットされる。変動演出パターン決定テーブルは、主に、演出図柄の変動態様(変動演出表示の演出態様)を決定するためのもので、複数の変動演出パターン決定テーブルがサブ制御基板90のROMに予め格納されている。S4504では、それら複数の変動演出パターン決定テーブルのうちの何れかをセットする。
続いてS4505では、S4501において取得した変動演出決定用乱数およびS4504においてセットした変動演出パターン決定テーブルに基づいて、指定された変動パターンに適合した変動演出パターンを選択し、これを設定する(S4505)。変動演出パターンとしては、演出図柄表示領域7b(表示画面7a)に表示される演出図柄の変動態様(変動演出表示の演出態様)が設定される。これにより、演出図柄遊技演出において、リーチ演出を実行する場合(リーチ有演出図柄遊技演出)と、特定のキャラクタを用いて行うキャラクタ演出を実行する場合(キャラクタ演出図柄遊技演出)、リーチ演出やキャラクタ演出を実行しない場合(リーチ無演出図柄遊技演出)とが決定される。また、S4505では、S4501において取得した演出図柄決定用乱数および図示しない停止図柄決定テーブルに基づいて、停止表示する演出図柄(「停止演出図柄」ともいう)を決定し、これを設定する。演出図柄の変動表示(変動演出表示)の結果として停止表示される演出図柄は、特別図柄当否判定の結果が15R第1,第5大当りのときは「777」等の奇数図柄のゾロ目とされ、15R第2,第3大当りのときは「666」等の偶数図柄のゾロ目とされる。また、リーチ有り外れのときは「787」等の3個の演出図柄のうち1個の演出図柄が他の演出図柄と異なるバラケ目、リーチ無し外れのときは「635」等の3個の演出図柄のうち少なくとも1個の演出図柄が他の演出図柄が異なるバラケ目が選択されるようになっている。また、2R第3大当りや小当りのときは「135」等の予め定めたチャンス目や「3☆3」等の専用図柄を停止表示してもよい。すなわち、2R第3大当りのときと小当りのときとで、同じ演出図柄を停止表示するようになっている。このため、遊技者は、停止表示された演出図柄を確認しただけでは、2R第3大当りとなったのか、小当りとなったのかを判別することはできない。尚、前述の演出図柄の停止表示態様は一例であり、大当りとなったときに、停止演出図柄として何を停止表示するかは適宜変更可能である。
また、本実施例のパチンコ遊技機1には、演出図柄の変動態様として、リーチA、リーチB、リーチC、スーパーリーチ(「SPリーチ」ともいう)A、スーパーリーチB、スーパーリーチC、キャラクタ演出が設定されており、S4505で、変動演出パターン決定テーブルに基づいて、これらのうち何れの演出を行うか、又はこれらの演出を行わない(これを「ノーマル変動」ともいう)かが決定される。そして、リーチ有り演出図柄遊技演出が実行される場合には、変動パターン指定コマンド及び変動演出パターン決定テーブルに基づいて、何れかのリーチ演出が設定される。ここで、演出図柄遊技演出として、スーパーリーチ演出が実行される場合には、ノーマルリーチ演出が実行される場合と比較して、大当りとなる可能性が高くなるように設定されている。すなわち、スーパーリーチ演出はリーチ(ノーマルリーチ)演出と比較して大当り信頼度(大当りとなる可能性)の高い遊技演出であるといえる。
続いてS4506では、予行演出を実行する場合に、その予告演出の態様(予告演出パターン)を設定する(S4506)。本実施例では、主制御部80からの変動パターン指定コマンドに基づいて指定される変動パターンがリーチ有りの変動パターンに該当する場合、すなわち、変動演出パターンがリーチ演出を含む場合に、そのリーチ演出の実行に際して(リーチ成立に伴って)予告演出を実行するものとしている。S4506では、S4501において取得した予告演出決定用乱数および図示しない示す予告演出パターン決定テーブルに基づいて予告演出パターンを選択し、これを設定する。尚、S4506で設定する予告演出パターンは、当該変動表示にて行うリーチ演出の信頼度やリーチ演出の種類等を示唆する当該変動予告に係るものであり、後述の保留演出処理(S4404)で設定する保留予告演出に係る予告演出パターンとは異なるものである。
続いてS4507では、S4505で設定した変動演出パターンおよびS4506で設定した予告演出パターンに基づいて演出図柄遊技演出(変動演出表示、予告演出等)を開始するための変動演出開始コマンドを出力バッファにセットし(S4507)、変動演出開始処理を終える。S4507でセットされた変動演出開始コマンドが、コマンド送信処理(S4006)により画像制御基板100に送信されると、画像制御用マイコン101は、変動演出開始コマンドに基づき特定される変動演出パターン、すなわちS4505で設定された変動演出パターンに対応する所定の変動画像データと、変動演出開始コマンドに基づき特定される予告演出パターン、すなわちS4506で設定された予告演出パターンに対応する所定の予告画像データを画像制御基板100のROMから読み出して、該読み出した画像データによる変動演出表示や予告演出等を画像表示装置7の表示画面7a上で実行する。
[保留演出処理]
次に、受信コマンド解析処理(S4302)にて実行される保留演出処理(S4404)について説明する。この保留演出処理は、特図保留の演出に係る処理である。図46に示すように、保留演出処理(S4404)ではまず、S4403で受信した保留球数コマンドにより特定される特図保留球数(特図1保留球数、特図2保留球数)と、サブ制御基板90のRAMに設けた第1特図保留の数および第2特図保留の数をカウントする特図保留球数カウンタの値とを比較し、受信した特図保留球数が、特図保留球数カウンタの値に対して増加または減少しているのか、あるいは、同数であるのかを判定する(S4601)。このS4601の判定を行うにあたり、S4403で受信した保留球数コマンドにより特定される特図保留球数のうち、特図1保留球数については特図1保留球数カウンタの値が比較対象となり、特図2保留球数については特図2保留球数カウンタの値が比較対象となる。
ここで、本実施例では、特図保留球数カウンタとして、特図1保留球数をカウントする特図1保留球数カウンタと、特図2保留球数をカウントする特図2保留球数カウンタと、特図1保留球数および特図2保留球数の合計(つまり、全体の特図保留球数、以下、単に「特図保留球数」ともいう。)をカウントする全特図保留球数カウンタと、を有している。S4403で受信した保留球数コマンドにより特定される特図保留球数に基づい特図保留球数カウンタの値(カウント値)を更新する場合、特図1保留球数については特図1保留球数カウンタにセットされ、特図2保留球数については特図2保留球数カウンタにセットされる。また、特図1保留球数カウンタのカウント値と特図2保留球数カウンタのカウント値との合計が全特図保留球数カウンタにセットされる。これらの特図保留球数カウンタで管理される特図保留の数に関する情報は、前述した演出保留情報の一つとして捉えることができ、各特図保留球数カウンタによるカウント値は、演出保留情報記憶領域(特図1演出保留情報記憶領域、特図2演出保留情報記憶領域)で記憶される演出保留情報の数と一致し、また、主制御基板(主制御部)80における特図保留記憶部(第1特図保留記憶部、第2特図保留記憶部)で記憶される取得情報の数とも一致する。
主制御基板80からの保留球数コマンドは、前述のように、遊技制御用マイコン81(主制御部80)による割り込み処理(S105)が行われる毎に、出力処理(S201)によって出力(送信)されるが、当該出力処理(S201)おいて始動入球コマンドと併せて出力(送信)される場合には、そのときの保留球数コマンドは、始動入球コマンドが特図1に対応するもの(特図1始動入球コマンド)であれば特図1保留球数の増加を示すものとなり、特図2に対応するもの(特図2始動入球コマンド)であれば特図2保留球数の増加を示すものとなる。また、出力処理(S201)おいて変動開始コマンドと併せて出力(送信)される場合には、そのときの保留球数コマンドは、変動開始コマンドが特図1に対応するものであれば特図1保留球数の減少(第1特図保留消化)を示すものとなり、特図2に対応するものであれば特図2保留球数の減少(第2特図保留消化)を示すものとなる。一方、出力処理(S201)おいて保留球数コマンドが始動入球コマンドや変動開始コマンドと併せてではなく単独で(独立して)出力(送信)される場合には、特図保留球数(特図1保留球数、特図2保留球数)に変動(増減)が無いことを示すものとなる。
S4601にて、特図1保留球数および特図2保留球数の何れかについて増減(変動)がないと判定した場合(S4601でNO)、そのまま処理を終え、特図1保留球数および特図2保留球数の何れかについて増減(変動)があると判定した場合(S4601でYES)、その増減が生じた特図保留に対応する特図保留球数カウンタおよび全特図保留球数カウンタの値を更新する(S4602)。
続いてS4603では、保留予告演出を実行するか否かを判定する(S4603)。本実施例では、遊技状態が低ベース状態(低確低ベース状態または高確低ベース状態)にある場合と高ベース状態(低確高ベース状態または高確高ベース状態)にある場合との双方で、保留表示領域に表示される演出保留の表示態様を変化させる保留予告演出が実行可能となっている。
例えば、低ベース状態では、入球口18aへの遊技球の入球を狙って左打ちにより遊技を進めるものとなっており、入球口18aに入球した遊技球は、振分部材18bによって第1始動口19または第2始動口20に交互に振り分けられる。このことから、低ベース状態は、遊技球が第1始動口19または第2始動口20に交互に入球することで、比較的コンスタントに特図保留が蓄えられやすい(特図保留球数が「1」〜「8」の何れかとなりやすい)遊技状態といえる。このような低ベース状態では、図3に示すように演出保留表示領域9を下演出保留表示領域9aと上演出保留表示領域9bの上下2段形式で表示し、下演出保留表示領域9aに表示される演出保留(h5〜h8)と、上演出保留表示領域9bに表示される演出保留(h1〜h4)との協働による保留予告演出を実行可能としている。具体的には、S4602で更新した全特図保留球数カウンタの値(つまり、特図保留球数)が増加により「5」〜「8」の何れかとなった場合に、そのとき存在する特図保留球数が「4」以下の特図保留(第1特図保留、第2特図保留)について、保留予告演出を行うものとしている。
すなわち、特図保留球数が「4」から「5」に増えた場合には、そのとき存在する特図保留球数「1」の特図保留(記憶順が1番目の特図保留)に係る保留予告演出を行い、特図保留球数が「5」から「6」に増えた場合には、そのとき存在する特図保留球数「2」の特図保留(記憶順が2番目の特図保留)に係る保留予告演出を行い、特図保留球数が「6」から「7」に増えた場合には、そのとき存在する特図保留球数「3」の特図保留(記憶順が3番目の特図保留)に係る保留予告演出を行い、特図保留球数が「7」から「8」に増えた場合には、そのとき存在する特図保留球数「4」の特図保留(記憶順が4番目の特図保留)に係る保留予告演出を行う。つまり、図3に示す演出保留表示領域9のうち、下演出保留表示領域9aにおいて特図保留球数「1」〜「4」に対応する4つの演出保留が表示された状態で、上演出保留表示領域9bにおいて特図保留球数「5」〜「8」に対応する演出保留が特図保留球数の増加に伴い追加表示されるたびに、当該追加表示された演出保留の真下に表示されている演出保留の表示態様を変化させて保留予告演出を行うものとなっている。
一方、高ベース状態では、第3始動口21への遊技球の入球を狙って右打ちにより遊技を進めるものとなっており、第3始動口21は第2特別図柄(特図2)に対応するものとなっている。このことから、高ベース状態は、遊技球が第3始動口21に入球することで第2特図保留が蓄えられやすく、第1特図保留は殆ど蓄えられない(特図保留球数が「1」〜「4」の何れかとなりやすい)遊技状態といえる。このため、高ベース状態では、図示はしないが演出保留を横一列(左右一列)に表示画面7aの下部(演出保留表示領域9)に表示して、特図保留球数の増加(特図保留の記憶)に伴い、当該増加した最新の特図保留に対応する演出保留の表示態様が事前判定結果の結果に基づき変化し得るオーソドックスな保留予告演出を行うものとしている。
S4603では、以上のような保留予告演出を実行するか否かを、現在の遊技状態、特図保留球数等に基づいて判定する。尚、遊技状態については、例えば、主制御部80から送信される変動開始コマンドに含まれる遊技状態情報や、現在の演出モード(モードステータス)等を参照することによって判定することが可能である。そして、現在の遊技状態が高ベース状態である場合、前述のS4602での更新結果を基に、特図保留球数が増加により「1」以上となったか否かを判定し、「1」以上となっていれば、さらに保留予告演出を実行するか否かの乱数抽選を行い、実行する旨の結果となれば、最新の特図保留(新たに発生した特図保留)について保留予告演出を実行すると判定する(S4603でYES)。一方、特図保留球数が減少した場合や前述の乱数抽選に外れた場合には、保留予告演出を実行しないと判定する(S4603でNO)。
また、現在の遊技状態が低ベース状態である場合、現在の特図保留球数に基づいて保留予告演出を実行するか否かが決定される。すなわち、前述のS4602での更新結果を基に、特図保留球数が増加により「5」〜「8」の何れかとなったか否かを判定し、「5」〜「8」の何れかとなったのであれば、保留予告演出を実行すると判定し(S4603でYES)、「5」〜「8」の何れにもなっていなければ(つまり、「1」〜「4」の何れかとなったのであれば)、保留予告演出を実行しないと判定する(S4603でNO)。また、特図保留球数が減少した場合にも保留予告演出を実行しないと判定する(S4603でNO)。
そして、S4603で保留予告演出を実行しないと判定した場合は(S4603でNO)、S4604の処理を行うことなくS4605の処理に進み、保留予告演出を実行すると判定した場合は(S4603でYES)、保留予告演出の演出パターン(保留予告演出パターン)を決定する(S4604)。保留予告演出パターンは、前述のS4400で記憶した演出保留情報(事前判定結果等に係る情報)に基づいて決定される。すなわち、S4400で記憶した演出保留情報のうち、保留予告演出の実行対象となる特図保留に対応する演出保留情報を参照し、当該参照した演出保留情報に基づいて保留予告演出パターンを決定する。本実施例では、保留予告演出パターンとして、いわゆる大当り信頼の異なる複数の保留予告演出パターンを備えている。具体的には、大当り信頼度が最も低く設定された低信頼度パターン(第1予告演出パターン)、当該低信頼度パターンよりも大当り信頼度が高く設定された中信頼度パターン(第2予告演出パターン)、当該中信頼度パターンよりも大当り信頼度が高く設定された高信頼度パターン(第3予告演出パターン)の3つのパターンが存在する。これら3つのパターンのうちの何れかを、保留予告演出の実行対象となる特図保留に対応する演出保留情報に基づいて選択し、当該選択したパターンを実行する保留予告演出パターンとして決定する。
例えば、保留予告演出の実行対象に係る演出保留情報が、事前判定結果が大当りである旨を示す情報である場合、高信頼度パターン、中信頼度パターンおよび低信頼度パターンのうち高信頼度パターンの選択確率が最も高くなり、中信頼度パターンは選択確率が低いものの選択され得るものとなり、低信頼度パターンは選択されないものとなる。また、保留予告演出の実行対象に係る演出保留情報が、事前判定結果が外れであって変動パターンがP5〜P7等のリーチあり変動パターン(リーチ演出が実行可能な変動パターン)である旨を示す情報である場合、中信頼度パターンの選択確率が最も高くなり、高信頼度パターンと低信頼度パターンの選択確率は低くなる。また、保留予告演出の実行対象に係る演出保留情報が、事前判定結果が外れであって変動パターンがP8,P9等のリーチなし変動パターンである旨を示す情報である場合、低信頼度パターンの選択確率が最も高くなり、以下、中信頼度パターン、高信頼度パターンの順で選択確率は低くなる。尚、ここでの保留予告演出パターンの種類や選択条件(選択基準)、大当り信頼度等はあくまでも一例であり、遊技機の仕様(スペック)や演出図柄遊技演出の選択率等に応じて、適宜設計することが可能である。
続いてS4605では、演出保留表示コマンドを出力バッファにセットする(S4605)。本実施例では、演出保留表示コマンドとして、保留球数の増減(変動)があった特図保留(第1特図保留または第2特図保留)に対応する演出保留(第1演出保留または第2演出保留)を示す「演出保留指定コマンド」と、増減後(変動後)の特図保留球数(S4602で更新した全特図保留球数カウンタの値)を示す「演出保留数指定コマンド」と、予告演出(保留予告演出)の演出パターンを示す「保留予告指定コマンド」と、の3種類のコマンドが設けられており、これらのコマンドをS4605でセットする。
例えば、現在の遊技状態が低ベース状態であって、S4602により更新された全特図保留球数カウンタのカウント値によって特定される特図保留球数が「1」〜「4」である場合、未だ保留予告演出を行う状況ではなく(S4603でNO)、S4604の処理を行っていない(保留予告演出パターンを決定していない)ことから、この場合のS4605では「演出保留指定コマンド」および「演出保留数指定コマンド」をセットし、「保留予告指定コマンド」はセットしない。
一方、現在の遊技状態が低ベース状態であって、S4602により更新された全特図保留球数カウンタのカウント値によって特定される特図保留球数が「5」〜「8」である場合や(S4603でYES)、現在の遊技状態が高ベース状態であってS4603で保留予告演出を実行すると判定された場合(S4603でYES)、S4604の処理を行っている(保留予告演出パターンを決定している)ことから、この場合のS4605では「演出保留指定コマンド」および「演出保留数指定コマンド」に加え、保留予告演出の実行対象となる特図保留に係る「保留予告指定コマンド」をセットする。すなわち、S4604で決定した保留予告演出パターンを指定する「保留予告指定コマンド」をセットする。
ここで、低ベース状態での保留予告演出の実行対象となる特図保留に係る「保留予告指定コマンド」は、例えば、特図保留球数が「5」に増えた場合には、そのとき存在する(記憶されている)特図保留球数「1」の特図保留に係る保留予告演出パターンがS4604で決定されていることから、当該保留予告演出パターンを指定する「保留予告指定コマンド」がセットされる。以下、同様に、特図保留球数が「6」に増えた場合には特図保留球数「2」の特図保留に係る「保留予告指定コマンド」、特図保留球数が「7」に増えた場合には特図保留球数「3」の特図保留に係る「保留予告指定コマンド」、特図保留球数が「8」に増えた場合には特図保留球数「4」の特図保留に係る「保留予告指定コマンド」が、それぞれセットされる。また、高ベース状態での保留予告演出の実行対象となる特図保留に係る「保留予告指定コマンド」は、S4603で保留予告演出を実行する旨の判定をしたときの最新の特図保留に係る「保留予告指定コマンド」がセットされる。
また、「演出保留指定コマンド」および「保留数指定コマンド」については、例えば、特図1保留球数が「0」から「1」に増えて特図保留球数が「0」から「1」に増えた場合には、「第1演出保留指定コマンド」および「演出保留数1指定コマンド」、特図2保留球数が「0」から「1」に増えて特図保留球数が「1」から「2」に増えた場合には、「第2演出保留指定コマンド」および「演出保留数2指定コマンド」、といったように、保留球数が増えた特図保留に対応する演出保留を示す「演出保留指定コマンド」と、増加後の特図保留球数(S4602で更新した全特図保留球数カウンタの値)を示す「演出保留数指定コマンド」がセットされる。同様に、例えば、特図2保留球数が「4」から「3」に減って特図保留球数が「8」から「7」に減った場合には、「第2演出保留指定コマンド」および「演出保留数7指定コマンド」、特図1保留球数が「3」から「2」に減って特図保留球数が「5」から「4」に減った場合には、「第1演出保留指定コマンド」および「演出保留数4指定コマンド」、といったように、保留球数が減った特図保留に対応する演出保留を示す「演出保留指定コマンド」と、減少後の特図保留球数(S4602で更新した全特図保留球数カウンタの値)を示す「演出保留数指定コマンド」がセットされる。
つまり、「演出保留指定コマンド」については、第1特図保留(第1演出保留)および第2特図保留(第2演出保留)の各々に対応する「第1演出保留指定コマンド」および「第2演出保留指定コマンド」が予め設けられており、S4601で保留球数増減ありと判定した特図保留の種類に応じたコマンドがセットされる。また、「演出保留数指定コマンド」については、特図保留球数「1」〜「8」の各々に対応する「演出保留数1指定コマンド」〜「演出保留数8指定コマンド」が予め設けられており、S4602で更新した全特図保留球数カウンタの値で示される特図保留球数に応じたコマンドがセットされる。
こうしてS4605でセットされた演出保留表示コマンドが、コマンド送信処理(S4006)により画像制御基板100に送信されると、画像制御用マイコン101は、演出保留表示コマンドに基づき特定される演出保留に対応する所定の保留画像データを画像制御基板100のROMから読み出して、該読み出した画像データによる保留演出表示を画像表示装置7の表示画面7a上で実行する。具体的には、演出保留表示コマンドに基づき特定される演出保留が第1特図保留に対応する場合、当該第1特図保留に対応する演出保留(第1演出保留)を、同じく演出保留表示コマンドに基づき特定される特図保留球数に応じた演出保留表示領域9上の所定箇所(所定位置)に表示する。同様に、演出保留表示コマンドに基づき特定される演出保留が第2特図保留に対応する場合、当該第2特図保留に対応する演出保留(第2演出保留)を、同じく演出保留表示コマンドに基づき特定される特図保留球数に応じた演出保留表示領域9上の所定箇所(所定位置)に表示する。また、演出保留表示コマンドとして保留予告指定コマンドが含まれている場合(保留予告演出を伴う場合)、当該保留予告指定コマンドに基づき特定される保留予告演出パターンにしたがって、保留予告演出を演出保留表示領域9上で行う。
以上の保留演出処理(S4404)を実行する演出制御用マイコン91や、保留予告指定コマンドに基づいて保留予告演出に係る画像表示(演出表示)を演出保留表示領域9(画像表示装置7)で行う画像制御用マイコン101は、本発明の「予告演出実行手段」の一態様に相当する。
尚、本実施例では、特図保留の種類に応じた演出保留を指定するための「演出保留指定コマンド」を設けているが、前述のように、第1演出保留と第2演出保留とで表示態様(色、デザイン等)を同様としていることから、「演出保留指定コマンド」は設けなくても差し支えない。但し、遊技状態(高確率状態、高ベース状態、低ベース状態等)や演出モード等によって、第1演出保留と第2演出保留の表示態様が同じになる場合とそうでない場合とが生じ得るなど、第1演出保留と第2演出保留とで表示態様を異ならせることもあるのであれば、「演出保留指定コマンド」を設けておくのが望ましい。
[保留予告演出]
以上の保留演出処理(S4404)によって、画像表示装置7の表示画面7a上(演出保留表示領域9上)で、演出保留の表示や演出保留を用いた予告演出(保留予告演出)が行われる。前述のように、本実施例では、低ベース状態と高ベース状態の何れにおいても、予告演出が実行可能に構成されているが、以下では、本発明の要旨に関係する低ベース状態での保留予告演出について詳しく説明する。
前述したように、低ベース状態では、特図保留記憶部に記憶されている特図保留(取得情報)の数が「5」以上(「5」〜「8」)になった場合(特図保留球数が「4」を越えた場合)、そのとき記憶されている特図保留のうち特図保留球数が「4」以下(「1」〜「4」)の特図保留について、保留予告演出が実行されるものとなっている。換言すると、特図保留記憶部に4個の特図保留が記憶されている(先の取得情報が存在する)状況下で、特図保留球数が「5」以上となる特図保留(後の取得情報)が記憶されたことに基づいて、当該新たな記憶よりも前に記憶されている特図保留球数「4」以下の特図保留(先の取得情報)について、保留予告演出が実行されるものとなっている。
図49(a)、図50および図51は、画像表示装置7の表示画面7aのうち、低ベース状態での演出保留表示領域9を抜粋して示したものである。尚、図中の破線は、下演出保留表示領域9aおよび上演出保留表示領域9bの境界や演出保留の表示箇所、表示有無等を分かり易く示すために便宜的に付したものである。前述したように、下演出保留表示領域9aには、特図保留球数「1」〜「4」の特図保留に対応する演出保留h1〜h4が、特図保留球数の増加に伴って左から右に向かって順に表示(追加表示)される。同様に、上演出保留表示領域9bには、特図保留球数「5」〜「8」の特図保留に対応する演出保留h5〜h8が、特図保留球数の増加に伴って左から右に向かって順に表示(追加表示)される。また、特図保留球数の減少(特図保留の消化)に伴って、下演出保留表示領域9aの左端に表示されている記憶順の最も古い特図保留に対応する演出保留h1が消去され、残りの演出保留が、それぞれ下演出保留表示領域9aおよび上演出保留表示領域9bにて右から左に向かって1つシフト(移動表示)される。
図49(a)は、特図保留球数が「2」の状態を示しており、具体的には、第1特図保留が記憶された後、当該保留消化前に第2特図保留が記憶された状態を示している。この場合、第1特図保留に対応する演出保留h1と、第2特図保留に対応する演出保留h2とが、下演出保留表示領域9aの左端から順に1つずつ表示される。この状態では、特図保留球数が「4」になっておらず、下演出保留表示領域9aでの演出保留表示に未だ空が存在することから、保留予告演出は行われない。
ここで、本実施例における演出保留の表示態様について説明する。図49(b)に示すように、本実施例では、演出保留の表示態様として「通常表示態様」、「予告契機表示態様」、「予告表示態様1」、「予告表示態様2」および「予告表示態様3」の5つの態様が設けられている。このうち、「通常表示態様」、「予告契機表示態様」および「予告表示態様3」は、それぞれ表示態様が1種類となっており、「予告表示態様1」および「予告表示態様2」は、それぞれ表示態様が2種類存在するものとなっている。
「通常表示態様」は、保留予告演出を伴わない通常の演出保留表示であり、特図保留記憶部における特図保留(第1特図保留、第2特図保留)の記憶数(特図保留球数)が「1」〜「4」の場合に、下演出保留表示領域9aに表示されるものである。本実施例では「通常表示態様」を無地の所定の色からなる丸い図形(丸図柄)としている。尚、図面では、説明の便宜上「通常表示態様」の演出保留を「○」で示している。
「予告契機表示態様」は、保留予告演出の実行契機となる特図保留を示す演出保留表示であり、特図保留記憶部における特図保留球数が「5」〜「8」の場合に、上演出保留表示領域9bに表示されるものである。「予告契機表示態様」で表示された演出保留は、当該表示後の保留予告演出の実行に伴って、表示態様が「通常表示態様」に変化するものとなっている。つまり、上演出保留表示領域9bに表示される演出保留は、当初「予告契機表示態様」で表示され、その後、「通常表示態様」に変化するものとなっている。本実施例では「予告契機表示態様」を、通常表示態様の「○」を所定の色の膜で覆った(コーティングした)ものとしている。尚、図面では、説明の便宜上「予告契機表示態様」の演出保留を「●」で示している。
「予告表示態様1〜3」は、保留予告演出が行われた特図保留を示す演出保留表示である。下演出保留表示領域9aにて当初「通常表示態様」で表示された演出保留のうち、保留予告演出が行われることとなった演出保留は、保留予告演出の実行により表示態様が「予告表示態様1〜3」の何れかに変化する。いずれの表示態様に変化するかは、前述の保留演出処理(S4404)によって決定される保留予告演出パターンに依存する。「予告表示態様1〜3」では、いずれも保留予告演出の実行に伴って当該保留に係る大当り信頼度を示唆する文字や記号等を表示する。
「予告表示態様1」は、大当り信頼度が最も低い低信頼度パターン(第1予告演出パターン)に基づく保留予告演出の実行によって表示されるもので、通常表示態様の演出保留に低信頼度を示唆する「?」や「??」を付加して表示するものとなっている。また、「予告表示態様2」は、大当り信頼度が低信頼度よりも高い中信頼度パターン(第2予告演出パターン)に基づく保留予告演出の実行によって表示されるもので、通常表示態様の演出保留に中信頼度を示唆する「!」や「SP」を付加して表示するものとなっている。尚、「SP」はSPリーチの実行を示唆するものである。さらに、「予告表示態様3」は、大当り信頼度が最も高い高信頼度パターン(第3予告演出パターン)に基づく保留予告演出の実行によって表示されるもので、通常表示態様の演出保留に高信頼度を示唆する「激熱」を付加して表示するものとなっている。
このようにして表示される演出保留を用いた保留予告演出は、次のようにして行われる。例えば、前述した図49(a)に示す特図保留球数が「2」の状態において、このとき存在する2個の特図保留が消化されることなく、3個の遊技球が入球口18aに順次入球して、これらの遊技球が遊技球振分装置18(振分部材18b)によって第1始動口19、第2始動口20、第1始動口19の順に交互に振り分けられたとする。この場合、各始動口への入球に基づいて取得された取得乱数値(取得情報)が、特図保留として「第1特図保留」、「第2特図保留」、「第1特図保留」の順で特図保留記憶部に記憶され、特図保留球数が「2」から「5」に増える。これに伴い、対応する演出保留が演出保留表示領域9に表示される(S4404、S4605等を参照)。すなわち、特図保留球数が「2」から「5」に増えたことにより、演出保留表示領域9のうち下演出保留表示領域9aに演出保留が2つ追加表示されるとともに、上演出保留表示領域9bに演出保留が1つ追加表示され、演出保留表示領域9の表示内容(表示状態)は、図49(a)に示す状態から図50(a)に示す状態に遷移する。このとき、下演出保留表示領域9aには4つの演出保留h1〜h4が通常表示態様(図49(b)を参照)で表示され、上演出保留表示領域9bには1つの演出保留h5が予告契機表示態様(図49(b)を参照)で表示される。
こうして特図保留球数「5」の特図保留に対応する演出保留h5、すなわち、保留予告演出の実行契機となる特図保留に対応する演出保留h5が、上演出保留表示領域9bに予告契機表示態様で表示されると、当該演出保留h5の真下に位置する演出保留h1、すなわち、保留予告演出の実行対象となる特図保留球数「1」の特図保留(記憶順が1番目の特図保留)について、保留予告演出が行われる。具体的には、図50(b)に示すように、上演出保留表示領域9bに表示された演出保留h5の膜(コーティング)が、その真下に位置する演出保留h1に流れていき、当該演出保留h1が周囲から徐々に膜で覆われていく様子を表した演出が展開される。
そして、上演出保留表示領域9bに予告契機表示態様で表示されていた演出保留h5の膜が完全に解かれ、当該演出保留h5の表示態様が通常表示態様(「○」)に変化するとともに、当該演出保留h5の真下に位置する演出保留h1が膜で覆われると、今度は、当該演出保留h1を覆った膜が解かれていく演出がさらに展開される。そして、演出保留h1を覆った膜が解かれると、図50(c)に示すように、当該演出保留h1に対応する特図保留、すなわち、特図保留球数「1」の特図保留の信頼度が示される。尚、図50(c)では、特図保留球数「1」の特図保留に対応する演出保留h1が「予告表示態様2」で表示された場合、すなわち、中信頼度パターンに基づく保留予告演出が行われた場合を示している。
このように、特図保留球数が「4」を越えた(「5」以上となった)ことによって、上演出保留表示領域9bに演出保留h5が新たに表示(追加表示)されると(図50(a))、当該追加表示された演出保留h5の真下(下演出保留表示領域9a)に表示されている演出保留h1の表示態様が変化する保留予告演出が行われる(図50(b),(c))。ここで、図50では、特図保留球数が「5」に増えた場合を例示しているが、図50(c)に示す状態で特図保留が消化されることなく、さらに遊技球が遊技球振分装置18(振分部材18b)による振り分けを経て始動口(第1始動口19または第2始動口20)に入球し、特図保留球数が「6」、「7」、「8」と増えていくとする。この場合、特図保留球数が「6」になると、当該保留球数「6」に対応する演出保留h6の真下に表示されている特図保留球数「2」(記憶順2番目)に対応する演出保留h2の表示態様が「予告表示態様1〜3」の何れかに変化する保留予告演出が行われる。同様に、特図保留球数が「7」になると、特図保留球数「3」(記憶順3番目)に対応する演出保留h3の表示態様が「予告表示態様1〜3」の何れかに変化する保留予告演出が行われ、特図保留球数が「8」になると、特図保留球数「4」(記憶順4番目)に対応する演出保留h4の表示態様が「予告表示態様1〜3」の何れかに変化する保留予告演出が行われる。
また、上演出保留表示領域9bに演出保留(h5〜h8)が表示された場合、当該演出保留に対応する特図保留、すなわち、保留球数が「5」〜「8」の特図保留については、当該保留が発生した時点(記憶された時点)では保留予告演出の実行対象とならない。このように保留発生時(保留記憶時)には保留予告演出の実行対象とならない特図保留(取得情報)は、その後の特図保留の消化に伴って、特図保留記憶部における保留球数「4」以下の格納場所にシフト(移動)されることで、保留予告演出の実行対象となり得る。
例えば、図50に示すように特図保留球数が「5」になった後、特図保留球数が増加することなく(つまり、始動入球することなく)特図保留が3個消化され、特図保留球数が「2」になったとする。この場合、演出保留表示領域9の表示内容は、図50(c)に示す状態から図51(d)に示す状態に遷移する。尚、図51(d)は、特図保留球数「5」の特図保留に対応する演出保留h5が、特図保留球数「2」の位置(下演出保留表示領域9a)に移動して、演出保留h2として表示された場合を示している。
この状態で、今度は、特図保留が消化されることなく4個の遊技球が遊技球振分装置18(振分部材18b)による振り分けを経て始動口(第1始動口19または第2始動口20)に入球し、特図保留球数が「6」に増えたとする。この場合、演出保留表示領域9の表示内容は、図51(d)に示す状態から図51(e)に示す状態に遷移する。こうして特図保留球数「6」の特図保留に対応する演出保留h6が上演出保留表示領域9bに予告契機表示態様で表示されると、図3(e),(f)に示すように、演出保留h6の真下に位置する演出保留h2、すなわち、保留予告演出の実行対象となる特図保留球数「2」の特図保留(記憶順が2番目の特図保留)について、保留予告演出が行われる。このように、保留発生時(保留記憶時)には保留予告演出の実行対象ではなかった特図保留(特図保留球数「5」〜「8」の特図保留)について、当該特図保留が保留球数「1」〜「4」の何れかに該当するようになった後、当該特図保留が消化される前に特図保留球数が増加して「5」以上になることで、当該特図保留について保留予告演出が実行可能となる。
尚、図51(e),(f)では、特図保留球数「5」の特図保留の発生(記憶)を契機として、特図保留球数「1」の特図保留について保留予告演出が行われた後、さらに、特図保留球数「6」の特図保留の発生(記憶)を契機として、特図保留球数「2」の特図保留について保留予告演出が行われる様子を示している。
以上説明した実施例1のパチンコ遊技機1では、特図保留記憶部に特図保留が記憶されている状況下で特図保留が新たに記憶されたことに基づいて、当該新たな記憶よりも前に記憶されている特図保留について、保留予告演出が行われるものとなっている。具体的には、特図保留記憶部に4個の特図保留が記憶されている状況下で、特図保留球数が「5」以上となる特図保留が新たに記憶されたことに基づいて、当該新たな記憶よりも前に記憶されている特図保留球数「4」以下の特図保留について、保留予告演出が実行されるものとなっている。換言すると、特図保留記憶部に記憶されている特図保留(取得情報)の数が「5」以上(「5」〜「8」)になった場合(特図保留球数が「4」を越えた場合)、そのとき記憶されている特図保留のうち特図保留球数が「4」以下(「1」〜「4」)の特図保留について、保留予告演出が行われるものとなっている。
これにより、特図保留が5個以上記憶されることで、それよりも前に記憶されている特図保留球数「1」〜「4」の特図保留について保留予告演出が行われるといった新たな保留予告演出の実行態様を実現し、遊技興趣の向上を図ることが可能となる。また、特図保留を5個以上記憶させることが保留予告演出の実行に繋がることから、特図保留を5個以上記憶させることに意味を持たせることが可能となり、このことを活かした遊技性により遊技興趣の向上を図ることも可能となる。尚、特図保留を5個以上記憶させるには、その分、始動入球を生じさせるべく遊技球を発射する必要があることから、本実施例の保留予告演出の実行のために特図保留を5個以上記憶させることは、遊技機の稼働向上にも貢献する。
また、実施例1のパチンコ遊技機1では、特図保留球数「5」の特図保留の発生を契機に特図保留球数「1」の特図保留に係る保留予告演出を行い、特図保留球数「6」の特図保留の発生を契機に特図保留球数「2」の特図保留に係る保留予告演出を行い、特図保留球数「7」の特図保留の発生を契機に特図保留球数「3」の特図保留に係る保留予告演出を行い、特図保留球数「8」の特図保留の発生を契機に特図保留球数「4」の特図保留に係る保留予告演出を行うものとなっている。つまり、特図保留が4個記憶されている状況下での更なる特図保留の発生毎に、保留予告演出が行われるものとなっている。これにより、特図保留球数が「4」を越えた後の更なる特図保留の発生毎(すなわち、始動口への遊技球の入球毎)に、記憶順の古い特図保留から順に予告演出が行われるといった新たな予告演出の実行態様を実現することが可能となる。
また、実施例1のパチンコ遊技機1では、特図保留記憶部に記憶されている特図保留(先の特図保留)の記憶順と、当該特図保留が記憶されている状況下で新たに記憶された特図保留(後の特図保留)の記憶順とが所定の対応関係を満たす場合に、先の特図保留について保留予告演出が行われるものとなっている。具体的には、先の特図保留より記憶順が4つ後の特図保留が記憶された場合に、先の特図保留について保留予告演出が行われるものとなっている。つまり、「先の特図保留の記憶順」と「後の特図保留の記憶順」との差が「4」となる関係(例えば、「先の特図保留の記憶順」+「4」=「予告演出実行契機となる後の特図保留の記憶順」)を満たす2つの特図保留(先の特図保留および後の特図保留)が記憶された場合に、先の特図保留について保留予告演出が行われるものとなっている。これにより、複数の特図保留が単に記憶されるだけではなく、「先の特図保留の記憶順」と「後の特図保留の記憶順」とが所定の対応関係を満たすことで、先の特図保留について保留予告演出が行われるといった新たな保留予告演出の実行態様を実現することが可能となる。
また、実施例1のパチンコ遊技機1では、演出保留表示領域9を「下演出保留表示領域9a」と「上演出保留表示領域9b」との上下2段の表示領域によって構成し、下演出保留表示領域9aに表示される4つの演出保留h1〜h4と、上演出保留表示領域9bに表示される4つの演出保留h5〜h8とを、それぞれ1つずつ上下一対となるように表示するものとなっている(図49(a)を参照)。そして、下演出保留表示領域9aおよび上演出保留表示領域9bに、上下一対となる2つの演出保留(1組の演出保留)が表示されると、これら2つの演出保留が関連する態様の保留予告演出が行われるものとなっている。具体的には、上演出保留表示領域9bに表示された演出保留が、下演出保留表示領域9aに表示された演出保留の表示態様を変化させて当該保留の大当り信頼度を示唆する演出(保留表示変化)が行われる。これにより、上演出保留表示領域9bでの演出保留表示と、下演出保留表示領域9aでの演出保留表示とを連携させた新たな保留表示変化の態様を実現し、保留予告演出の演出効果や興趣を高めることが可能となる。
また、実施例1のパチンコ遊技機1では、特図保留球数「1」〜「4」の特図保留(保留予告演出の実行対象となる特図保留)に対応する演出保留h1〜h4が下演出保留表示領域9aに表示され、特図保留球数「5」〜「8」の特図保留(保留予告演出の実行契機となる特図保留)に対応する演出保留h5〜h8が上演出保留表示領域9bに表示される。これにより、保留予告演出の実行対象となる特図保留に対応する演出保留と、保留予告演出の実行契機となる特図保留に対応する演出保留とを、区別して分かり易く表示することが可能となる。
また、実施例1のパチンコ遊技機1では、第1始動口19への遊技球の入球に基づく第1特図保留と、第2始動口20への遊技球の入球に基づく第2特図保留とを、それぞれ所定の上限数(本例では「4」)まで記憶可能となっており、各保留の上限数分の特図保留(本例では最大8個)の特図保留(演出保留)を活かして、保留予告演出が実行可能となっている。
特に、実施例1のパチンコ遊技機1では、最大8個の特図保留うち4個の特図保留が記憶されている状況下で更に特図保留が記憶されることで、先に記憶されている4個の特図保留の何れかについて予告演出が行われる。そして、実施例1では、第1始動口19と第2始動口20への遊技球の入球を交互に発生させる遊技球振分装置18(振分部材18b)を備えていることから第1特図保留の記憶と第2特図保留の記憶とが恒常的(コンスタント)に発生し、特図保留が蓄えられやすい構成となっている。これにより、複数の特図保留が記憶されている状況を生じやすくして、保留予告演出の実行機会を増やすことが可能となる。
尚、前述の実施例1では、画像表示装置7(表示画面7a)に表示される演出保留表示領域9の表示形態を、2つの演出保留表示領域(下演出保留表示領域9a、上演出保留表示領域9b)を上下に並べて配置したものとしていたが、保留予告演出の実行対象となる特図保留に対応する演出保留と、保留予告演出の実行契機となる特図保留に対応する演出保留とを識別可能に表示できれば、その表示形態は特に問わない。例えば、2つの演出保留表示領域を左右に並べて配置したり、2つの演出保留表示領域をそれぞれ離して配置したりしてもよい。
また、前述の実施例1では、図50(a)〜(c)に示す態様で保留予告演出を行うものとしていたが、保留予告演出の実行態様(演出態様)は、これに限定されるものではない。例えば、保留予告演出の別例として、図52に示すような保留予告演出を行うことも可能である。すなわち、演出保留の通常表示態様を、キャラクタの顔を模したデザインとし(第1保留図柄)、演出保留の予告契機表示態様を、通常表示態様のキャラクタが帽子をかぶったデザイン(第2保留図柄)とする。そして、図52(a)に示すように、上演出保留表示領域9bに演出保留h5が予告契機表示態様で表示された後、当該演出保留h5のキャラクタが、帽子を真下(下演出保留表示領域9a)に表示されている演出保留h1に対して投げる演出を展開する。この帽子を、演出保留h1のキャラクタがかぶるか否かによって、当該保留の大当り信頼度を示唆するものとする。尚、図52(b)は、下演出保留表示領域9aに表示されている演出保留h1のキャラクタが、上演出保留表示領域9bに表示された演出保留h5のキャラクタからの帽子をかぶった様子(成功パターン)を示しており、帽子をかぶっらなかった場合(失敗パターン)よりも大当り信頼度が高い旨を示唆する態様である。
また、前述の実施例1では、特図保留球数が「4」を超えること(特図保留が5個以上記憶されること)で、それよりも前に記憶されている特図保留球数「1」〜「4」の特図保留について保留予告演出を行うものとしていたが、保留予告演出を行う基準(実行条件)となる特図保留球数は「4」に限定されるものではない。例えば、特図保留が3個以上記憶されることで、それよりも前に記憶されている特図保留球数「1」,「2」の特図保留について保留予告演出を行ったり、特図保留が7個以上記憶されることで、それよりも前に記憶されている特図保留球数「1」〜「6」の特図保留について保留予告演出を行ったりする等、基準となる特図保留球数を任意に定めることが可能である。また、基準となる特図保留球数を、所定条件の成立に基づいて変動し得るように構成することも可能である。例えば、低ベース状態の演出モードを予め複数設けておき、サブ制御側の演出モード移行抽選に当選した場合や、基準となる特図保留球数を変更するか否かを決定するため専用の抽選を遊技の進行中の所定時期にサブ制御側で行うこととして当該抽選に当選した場合、特別図柄の変動回数が所定回数に到達した場合等に、基準となる特図保留球数を変更する構成が挙げられる。
また、前述の実施例1では、4個の特図保留が記憶されている状況下で、さらに特図保留が1個記憶される毎に、先に記憶されている4個の特図保留のうちの1個について保留予告演出を行うものとしていたが、保留予告演出を行う特図保留の個数は1個に限定されるものではない。例えば、特図保留球数「1」〜「4」の特図保留が記憶されている状況下で、特図保留球数「5」の特図保留が記憶されたことに基づいて、特図保留球数「1」〜「4」のうち「1」と「3」の特図保留に係る保留予告演出を行ったり、特図保留球数「6」の特図保留が記憶されたことに基づいて、特図保留球数「1」〜「4」のうち「2」と「4」の特図保留に係る保留予告演出を行ったり、特図保留球数「5」の特図保留が記憶されたことに基づいて、特図保留球数「1」〜「4」のすべての特図保留に係る保留予告演出を行ったりする等、一の後の特図保留の記憶(発生)を契機に複数の先の特図保留について保留予告演出を行うようにしてもよい。あるいは、特図保留球数「5」〜「8」のうち、特図保留球数「5」または「8」の特図保留が記憶された場合には、特図保留球数「1」〜「4」のうちの一または複数の保留予告演出を行い、特図保留球数「6」または「7」の特図保留が記憶された場合には保留予告演出を行わないといったように、保留予告演出の実行契機とならない特図保留を設定してもよい。
また、前述の実施例1では、先の特図保留の記憶順(例えば1番目)から4つ後(例えば5番目)の特図保留(後の特図保留)が記憶された場合に、当該先の特図保留について保留予告演出を行うものとしていた。すなわち、「先の特図保留の記憶順」と「後の特図保留の記憶順」との差が「4」となる関係を満たす2つの特図保留(先の特図保留および後の特図保留)が記憶された場合に、先の特図保留について保留予告演出を行うものとしていた。この「先の特図保留の記憶順」と「後の特図保留の記憶順」との関係については、前述の実施例1に限定されるものではない。例えば、「先の特図保留の記憶順」と「後の特図保留の記憶順」との差は、記憶可能な特図保留球数の範囲内(例えば「1」〜「7」)で任意に定めることが可能である。
また、「先の特図保留の記憶順」と「後の特図保留の記憶順」との関係を「両者の記憶順の差」により定めるのではなく、例えば、「一対一の対応関係」や「一対多の対応関係」、「多対多の対応関係」、「多対一の対応関係」等のように、「保留予告演出の実行対象となる特図保留(先の特図保留)」と「保留予告演出の実行契機となる特図保留(後の特図保留)」との対応関係を予め定めておくことも可能である。具体的には、例えば、記憶順「1」の特図保留(先の特図保留)に係る保留予告演出を記憶順「7」の特図保留(後の特図保留)が記憶されたことを契機に行ったり、記憶順「2」の特図保留(先の特図保留)に係る保留予告演出を記憶順「5」と「6」の特図保留(後の特図保留)が記憶されたことを契機に行ったり、記憶順「3」と「4」の特図保留(先の特図保留)に係る保留予告演出を記憶順「5」の特図保留(後の特図保留)が記憶されたことを契機に行ったり、記憶順「1」と「2」の特図保留(先の特図保留)に係る保留予告演出を記憶順「7」と「8」の特図保留(後の特図保留)が記憶されたことを契機に行ったりする等、両者の対応関係を任意に定めることが可能である。
また、前述の実施例1では、「先の特図保留の記憶順」と「後の特図保留の記憶順」との対応関係に合わせて、演出保留表示領域の態様を、先の特図保留(保留予告演出の実行対象)に係る演出保留の表示位置と、後の特図保留(保留予告演出の実行契機)に係る演出保留の表示位置とが上下一対となるように構成していたが、必ずしも上下一対でなくてもよい。
また、保留予告演出の実行契機となる後の特図保留が記憶された際に、保留予告演出を行う特図保留(保留予告演出の実行対象)を、サブ制御部90(演出制御用マイコン91)での乱数抽選等によってランダムに決定するようにしてもよい。具体的には、例えば、図46に示す保留演出処理(S4404)にて保留予告演出パターンを決定するにあたり(S4606)、保留予告演出の実行対象とする特図保留を特図保留球数「1」〜「4」のうちの何れかに決定すればよい。また、保留予告演出の実行対象とする特図保留について、保留予告演出を実行済の特図保留が未だ消化されずに残っており、その状態で保留予告演出の実行契機となる後の特図保留が更に記憶された場合(例えば図51(e)の状況)、保留予告演出を実行済の特図保留について、再度、保留予告演出を行うようにしてもよい。この場合の保留予告演出の演出パターンは、先に行った保留予告演出の演出パターンと同じパターンであっても異なるパターンであってもどちらでもよい。
次に、実施例2のパチンコ遊技機1について説明する。実施例2は、前述した実施例1と共通する部分と異なる部分とが存在するので、以下では、実施例1と共通する部分や共通する作用効果等については説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
実施例2では、実施例1と比較して、低ベース状態での演出保留表示領域を含めた演出保留の表示形態と、低ベース状態での保留予告演出の実行態様が異なっている。図53は、画像表示装置7の表示画面7aのうち、実施例2に係る低ベース状態での演出保留表示領域9を抜粋して示したものである。尚、図中の破線は、演出保留の表示箇所や表示有無等を分かり易く示すために便宜的に付したものである。
図53(a)に示すように、本実施例の演出保留表示領域9は、第1特図保留および第2特図保留のそれぞれの上限数分の演出保留を横一列に表示可能となっている。つまり、特図1保留球数の上限4個と特図2保留球数の上限4個との合計である8個の演出保留を、横一列に表示可能となっている。そして、演出保留表示領域9のうち、左側4個分の演出保留を表示可能な領域を、特図保留球数「1」〜「4」(記憶順1番目〜4番目)の特図保留に対応する演出保留h1〜h4を表示可能な左演出保留表示領域9c(第1記憶表示領域)とし、右側4個分の演出保留を表示可能な領域を、特図保留球数「5」〜「8」(記憶順5番目〜8番目)の特図保留に対応する演出保留h5〜h8を表示可能な右演出保留表示領域9dとしている。
また、本実施例においても、第1特図保留に対応する演出保留(第1演出保留)と第2特図保留に対応する演出保留(第2演出保留)とで、演出保留の表示態様(外観デザイン、色など)を同一としており、演出保留の表示態様によって第1特図保留と第2特図保留とを区別しないものとしている。このため、演出保留表示領域9では、保留予告演出が行われていない場合、全特図保留の記憶数(特図保留球数)に応じて、原則、同じデザインの演出保留が、全特図保留球数カウンタのカウント値(S4602参照)に基づいて表示される。本実施例の演出保留は、実施例1と同様の「通常表示態様」および「予告表示態様1〜3」で表示可能となっているが、本実施例では、実施例1の「予告契機表示態様」を備えていない。
本実施例の演出保留表示領域9では、特図保留球数が「1」増える毎に、演出保留が左演出保留表示領域9cの左端から右演出保留表示領域9dの右端に向かって1つずつ順に追加表示される。一方、特図保留球数が「1」減る毎に、左演出保留表示領域9cの左端に表示されている記憶順の最も古い特図保留(特図保留球数「1」の特図保留)に対応する演出保留h1が消去され、残りの演出保留が演出保留表示領域9の右から左に向かって1つシフト表示(移動表示)されるものとなっている。このように、本実施例の演出保留表示領域9では、演出保留の表示によって特図保留が記憶されている(存在する)ことを遊技者に認識可能に示すとともに、演出保留の表示数によって特図保留の記憶数(特図保留球数)を遊技者に認識可能に示すのである。
また、本実施例の演出保留表示領域9には、図53に示すように、特図保留球数「4」に対応する演出保留h4の表示箇所と、特図保留球数「5」に対応する演出保留h5の表示箇所との間、すなわち、左演出保留表示領域9cと右演出保留表示領域9dとの間に、各領域間(演出保留表示領域9上)を左右方向に移動表示する演出保留が通過する様子を表現するためのゲート画像Gが表示されている。このゲート画像Gは、保留予告演出が行われることとなる境界を示すもので、本実施例では、ゲート画像Gより右側(右演出保留表示領域9d)に演出保留が表示されると、当該ゲート画像Gより右側に表示された演出保留の表示態様が所定のタイミングで通常表示態様から予告表示態様に変化する保留予告演出が行われる。つまり、特図保留球数が「5」以上になると、その後、当該「5」以上となった特図保留(特図保留球数「5」〜「8」の特図保留)について、保留予告演出が行われる。
具体的に、本実施例の低ベース状態における保留予告演出は、特図保留の消化(特図保留球数の減少)に伴い、特図保留の記憶順が5番目から4番目に移行する特図保留を対象に行われる。つまり、特図保留記憶部における特図保留(取得情報)の格納場所が保留球数「5」の位置から保留球数「4」の位置にシフトされる特図保留を、保留予告演出の実行対象としている。このため、本実施例では、図46に示す保留演出処理(S4404)のうち、保留予告演出を実行するか否かの判定(S4603)は、次のようにして行われる。すなわち、現在の遊技状態が低ベース状態であれば、現在の特図保留球数に基づいて保留予告演出を実行するか否かを決定する。具体的には、S4602での全特図保留球数カウンタの更新結果を基に、特図保留球数が減少により「7」〜「4」の何れかとなったか否かを判定し、「7」〜「4」の何れかとなっていれば、特図保留の記憶順が5番目から4番目に移行する特図保留(特図保留球数が「5」から「4」にシフトされる特図保留)が存在することとなるので、保留予告演出を実行すると判定する(S4603でYES)。
こうして保留予告演出を実行すると判定したら(S4603でYES)、特図保留の記憶順が5番目から4番目に移行する特図保留に関し、保留予告演出パターンを決定する(S4604)。この決定は、前述の実施例1と同様にして行われる。以下、本実施例の低ベース状態における保留予告演出の態様について詳しく説明する。
[実施例2の保留予告演出]
図53(a)に示すように、特図保留球数が「0」のときには、演出保留表示領域9には演出保留が1つも表示されていない。この状態から、遊技球が遊技球振分装置18(振分部材18b)による振り分けを経て始動口に入球し、当該入球に基づく取得乱数値(取得情報)が特図保留として記憶されると、その記憶数(特図保留球数)が増える毎に、演出保留が、左演出保留表示領域9cの左端から順に追加表示される。図53(b)は、特図保留球数が「2」の状態を示している。この特図保留(特図保留球数)の増加に伴う演出保留の追加表示は、特図保留球数が「8」になるまで同様に行われる。
そして、特図保留球数が「4」を越えた場合、すなわち特図保留球数が「5」以上となった場合、その特図保留球数「5」以上の特図保留に対応する演出保留h5〜h8は右演出保留表示領域9dに表示される。この右演出保留表示領域9dに表示された演出保留h5〜h8は、その後の特図保留の消化(減少)に伴う左側へのシフト表示(移動表示)によってゲート画像Gを通過する。このとき、ゲート画像Gを通過する演出保留の表示態様が保留予告演出の実行により変化する。つまり、特図保留の記憶順が5番目から4番目に移行する特図保留に対応する演出保留(h5→h4)の表示態様が変化する。
例えば、図53(b)に示す特図保留球数「2」の状態から、特図保留が消化されることなく、さらに6個の始動入球が発生し、特図保留球数が「8」になったとする。このとき、演出保留表示領域9には、図53(c)に示すように、8つ演出保留h1〜h8が表示される。この状態から、特図保留が1個消化されると(特図保留球数が「7」になると)、左演出保留表示領域9cの左端に表示されている演出保留h1が消去され、残りの7つの演出保留h2〜h8がそれぞれ左に1つシフト(移動表示)する。このとき、図53(c),(d)に示すように、特図保留消化前に右演出保留表示領域9dの左端に表示されていた演出保留h5(特図保留球数「5」)は、特図保留消化に伴いゲート画像Gを通過して表示態様が変化し、その変化後の表示態様(予告表示態様)で左演出保留表示領域9cの右端(特図保留球数「4」の位置)に演出保留h4として表示される。これが、本実施例の保留予告演出である。
つまり、本実施例では、前述のように、特図保留の記憶順が5番目から4番目に移行する特図保留を対象に保留予告演出が行われるものとなっている。右演出保留表示領域9dの左端に表示される演出保留h5は、特図保留の記憶順が5番目から4番目に移行する特図保留に対応するものであることから、保留予告演出の実行対象となる。
尚、本実施例の保留予告演出による演出保留の表示態様の変化は、変化の過程(保留表示変化の態様)が実施例1と異なるが、変化後の表示態様は実施例1と同様である。すなわち、前述の実施例1と同様に、保留予告演出の実行により、通常表示態様で表示されていた演出保留が、表示態様の変化によって「予告表示態様1〜3」の何れかで表示される。図53(d)は、左演出保留表示領域9cの右端(特図保留球数「4」の位置)に移動した演出保留(h5→h4)が「予告表示態様1」で表示された場合、すなわち、低信頼度パターンに基づく保留予告演出が行われた場合を示している。
また、図53(d)に示す特図保留球数「7」の状態から、特図保留が1個消化されると(特図保留球数が「6」になると)、左演出保留表示領域9cの左端に表示されている演出保留h1が消去され、残りの6つの演出保留h2〜h7がそれぞれ左に1つシフト(移動表示)する。このとき、図53(d),(e)に示すように、特図保留消化前に右演出保留表示領域9dの左端に表示されていた演出保留h5(特図保留球数「5」)は、前述した先の保留予告演出と同様に、ゲート画像Gを通過して表示態様が変化し、その変化後の表示態様で演出保留4として表示される。尚、図53(e)は、左演出保留表示領域9cの右端(特図保留球数「4」の位置)に移動した演出保留(h5→h4)が「予告表示態様2」で表示された場合、すなわち、中信頼度パターンに基づく保留予告演出が行われた場合を示している。そして、保留予告演出により表示態様が変化した演出保留は、当該演出保留に係る特図保留が消化されるまで、その表示態様は維持される(図53(e)を参照)。
以上説明した実施例2のパチンコ遊技機1では、特図保留記憶部に記憶されている特図保留の数(特図保留球数)が「4」を越えて記憶される特図保留、すなわち、特図保留球数が「5」以上として記憶される特図保留について、保留予告演出が実行可能となっている。これにより、保留球数が「4」を越える特図保留(記憶順が5番目以降の特図保留)が記憶されることで、当該越えた分の特図保留について保留予告演出が行われるといった新たな保留予告演出の実行態様を実現し、遊技興趣の向上を図ることが可能となる。また、本実施例においても、前述の実施例1と同様に、特図保留を5個以上記憶させることが保留予告演出の実行に繋がることから、特図保留を5個以上記憶させることに意味を持たせることが可能となり、このことを活かして遊技興趣の向上や遊技機の稼働向上を図ることが可能となる。
また、実施例2のパチンコ遊技機1では、特図保留球数が「4」を越えた後(「5」以上となった後)、その超えた分の特図保留についての保留予告演出が特図保留の消化(特図保留球数の減少)によって行われるものとなっている。これにより、保留予告演出の実行対象となる特図保留発生後の特図保留の消化に対する遊技者の関心度を高め、興趣向上を図ることが可能となる。
実施例2のパチンコ遊技機1では、特図保留の記憶順が5番目から4番目に移行する特図保留に対応する演出保留を移動表示(左にシフト)するにあたり、当該演出保留が、左演出保留表示領域9cと右演出保留表示領域9dとの間のゲート画像Gを通過する様子を表現した演出を行い、このゲート通過により演出保留の表示態様を変化させて、保留予告演出を行うものとしている。このように、左演出保留表示領域9cと右演出保留表示領域9dとの領域間を移動表示する演出保留の表示態様を変化させるという新たな保留表示変化の態様を実現することで、保留予告演出の演出効果を高めることが可能となる。
また、実施例2のパチンコ遊技機1においても、前述の実施例1と同様に、最大8個の特図保留の特図保留(演出保留)を活かして保留予告演出が実行可能となっている。そして、第1始動口19と第2始動口20への遊技球の入球を交互に発生させる遊技球振分装置18(振分部材18b)を備えていることから、第1特図保留の記憶と第2特図保留の記憶とが恒常的(コンスタント)に発生し、特図保留が蓄えられやすい構成となっている。これにより、実施例2においても、複数の特図保留が記憶されている状況を生じやすくして、保留予告演出の実行機会を増やすことが可能となる。
尚、前述の実施例2では、特図保留球数が「4」を越えた分(特図保留球数が「5」〜「8」)の特図保留について、その記憶順が5番目から4番目に移行する際に保留予告演出を行うものとしていたが、その越えた分(特図保留球数が「5」〜「8」)の特図保留について保留予告演出を行う否か(つまり、保留予告演出の実行対象とするか否か)を、サブ制御部90(演出制御用マイコン91)での乱数抽選等によって別途決定してもよい。
また、前述の実施例2では、特図保留球数が「4」を越えた分(特図保留球数が「5」〜「8」)の特図保留について、特図保留の記憶順が5番目から4番目に移行する際、すなわち、特図保留球数の減少に基づいて、保留予告演出を行うものとしていたが、特図保留球数の増加に基づいて、保留予告演出を行う構成としてもよい。このような保留予告演出の一例(変形例1)を、図54に基づいて説明する。
変形例1では、演出保留表示領域9の表示形態が前述の実施例2と同様で、特図保留の記憶(発生)に伴う演出保留の表示態様が異なるものとなっている。すなわち、特図保留球数が「1」増える毎に、左演出保留表示領域9cの左端から右演出保留表示領域9dの右端に向かって演出保留を1つずつ追加表示するが、この追加表示を、図54(a)に示すようにシフト表示(移動表示)の態様で行うものとなっている。これによっても、演出保留の表示によって特図保留が記憶されている(存在する)ことを遊技者に認識可能に示すとともに、演出保留の表示数によって特図保留の記憶数(特図保留球数)を遊技者に認識可能に示すことが可能である。
そして、図54(a)に示す状態から、特図保留が消化されることなく、3個の遊技球が始動口(第1始動口19または第2始動口20)に入球し、特図保留球数が「2」から「5」に増えたとする。この場合、特図保留球数が「5」となる特図保留の発生に基づく演出保留の追加表示を行うにあたり、それまで左演出保留表示領域9cの特図保留球数「4」の位置に表示していた演出保留h4を、右演出保留表示領域9dの特図保留球数「5」の位置に移動表示するが(h4→h5)、この移動表示を、図54(b)に示すように、演出保留がゲート画像Gを通過する態様で行う。そして、ゲート画像Gを通過した演出保留(h4→h5)を予告表示態様で表示することによって、保留予告演出を行う(図54(b)を参照)。
尚、本変形例1では、予告表示態様を、キャラクタの顔(表情)を模した3つの態様としている。具体的には、「不機嫌な顔」、「普通の顔」および「笑顔」の3つの表情からなる表示態様を有しており、これら3つの表情によって大当り信頼度を示唆するものとなっている。当該予告表示態様のうち、大当り信頼度が最も高いのは「笑顔」であり、以下、「普通の顔」「不機嫌な顔」の順で信頼度が低くなる。つまり、「不機嫌な顔」が実施例2の「予告表示態様1」に相当し、「普通の顔」が実施例2の「予告表示態様2」に相当し、「笑顔」が実施例2の「予告表示態様3」に相当する。このことから、図54(b)は、演出保留5hが「普通の顔」(予告表示態様2)で表示された場合、すなわち、中信頼度パターンに基づく保留予告演出が行われた場合を示している。
また、図54(b)に示す状態から、特図保留が消化されることなく遊技球が始動口(第1始動口19または第2始動口20)に入球し、特図保留球数が「5」から「6」に増えたとする。この場合、特図保留球数が「6」となる特図保留の発生に基づく演出保留を追加表示するにあたり、それまで左演出保留表示領域9cの特図保留球数「4」の位置に表示していた演出保留h4を、右演出保留表示領域9dの特図保留球数「5」の位置にゲート画像Gを通過させて移動表示するとともに(h4→h5)、それまで特図保留球数「5」の位置に表示していた演出保留h5を右に1つシフトして、特図保留球数「6」の位置に移動表示する(h5→h6)。そして、特図保留球数「6」の位置に移動した演出保留h6を、特図保留球数「6」に対応する特図保留に係る保留予告演出パターン(S4604)に基づく予告表示態様で表示し、特図保留球数「5」の位置に移動した演出保留h5を、先の保留予告演出による予告表示態様(ここでは「普通の顔」)で表示する(図54(c)。尚、図54(c)は、演出保留h5が先の保留予告演出による「普通の顔」(予告表示態様2)で表示されるとともに、新たに演出保留h6が「不機嫌な顔」(予告表示態様1)で表示された場合、すなわち、中信頼度パターンに基づく保留予告演出が新たに行われた場合を示している。
この後、特図保留球数が「7」、「8」と増えていく場合にも同様に、演出保留の追加表示を行うとともに保留予告演出を行う。例えば、図54(d)は、図54(c)に示す状態から、特図保留が消化されることなく遊技球が始動口(第1始動口19または第2始動口20)に入球し、特図保留球数が「6」から「7」に増えた場合を示している。この場合、特図保留球数「7」の位置に移動した演出保留h7を、特図保留球数「7」に対応する特図保留に係る保留予告演出パターン(S4604)に基づく予告表示態様で表示し、特図保留球数「6」の位置に移動した演出保留h6(h5→h6)および特図保留球数「5」の位置に移動した演出保留h5(h4→h5)を、それぞれ先の保留予告演出による予告表示態様(ここでは「普通の顔」、「不機嫌な顔」)で表示する。尚、図54(d)は、新たに演出保留h7が「笑顔」(予告表示態様3)で表示された場合、すなわち高信頼度パターンに基づく保留予告演出が新たに行われた場合を示している。こうして予告表示態様で表示された演出保留は、当該演出保留に係る特図保留が消化されるまで、その表示態様が維持される(図54(e)を参照)。
このような変形例1によっても、前述の実施例2と同様に、特図保留球数が「4」を越えて記憶される特図保留、すなわち、特図保留球数が「5」以上として記憶される特図保留について保留予告演出を行うことが可能となり、前述の実施例2と同様の作用効果が得られる。
また、前述の実施例2では、左演出保留表示領域9cに表示される演出保留h1〜h4、すなわち、特図保留球数「1」〜「4」(記憶順1番目〜4番目)の特図保留について、保留予告演出を行わないものとしていたが、特図保留球数「1」〜「4」の特図保留についても保留予告演出を行う構成としてもよい。このような保留予告演出の一例(変形例2)を、図55に基づいて説明する。
図55(a)に示すように、変形例2の演出保留表示領域9では、前述の実施例2および変形例1で表示していたゲート画像Gを表示しないものとなっている。このため、変形例2では、左演出保留表示領域9cと右演出保留表示領域9dとの境界を視覚的に明確に示すための措置はなされていないものとなる。但し、本変形例2では、特図保留記憶当初の演出保留の表示態様を、特図保留球数「1」〜「4」(記憶順1番目〜4番目)に対応するものと、特図保留球数「5」〜「8」(記憶順5番目〜8番目)に対応するものとで異ならせている。また、特図保留に係る保留予告演出の実行態様を、特図保留球数「1」〜「4」の特図保留に係るものと、特図保留球数「5」〜「8」の特図保留に係るものとで異ならせている。また、第1特図保留と第2特図保留とで、記憶可能な特図保留の記憶数の上限が同じなので、例えば、演出保留の表示数により、演出保留が右演出保留表示領域9dに表示されているか否かを把握することが可能である。これらのことから、前述の実施例2や変形例1のようなゲート画像Gが無くても、左演出保留表示領域9cと右演出保留表示領域9dとの境界は実質的に把握可能である。
変形例2では、特図保留の記憶(発生)に伴う演出保留の追加表示と、特図保留の消化に伴う演出保留の移動表示(シフト表示)を、前述の実施例2と同様の態様で行う。そして、特図保留球数「1」〜「4」(記憶順1番目〜4番目)の特図保留について、当該特図保留の記憶、すなわち、特図保留球数の増加に基づいて、保留予告演出を行うか否かを決定する。この決定は、前述の保留演出処理(S4404)におけるS4603で、例えば、サブ制御部90側の乱数抽選により行うことができる。このため、特図保留球数「1」〜「4」の特図保留に係る保留予告演出は、実行される場合と実行されない場合とがある。
そして、本変形例2では、特図保留球数「1」〜「4」の特図保留に係る保留予告演出を、演出保留の色によって行う(色予告)。すなわち、左演出保留表示領域9cに表示される演出保留h1〜h4の色によって、当該保留の大当り信頼度を示唆するものとなっている。具体的には、演出保留h1〜h4の通常表示態様として「白」、予告表示態様として「青」、「緑」、「赤」を設けており、保留予告演出を行う場合には、演出保留h1〜h4を予告表示態様で表示する。尚、本変形例2では、大当り信頼度が最も高いのは「赤」であり、以下、「緑」、「青」の順で信頼度が低くなる。図55(b)では、4個の特図保留のうち特図保留球数「2」(記憶順2番目)の特図保留について保留予告演出を行い、当該特図保留に対応する演出保留h2を「青」で表示している。
一方、特図保留球数「5」〜「8」(記憶順5番目〜8番目)の特図保留については、まず、特図保留の記憶(特図保留球数の増加)に伴って、右演出保留表示領域9dに追加表示する演出保留を、前述の通常表示態様および予告表示態様を構成する4色、すなわち「白」、「青」、「緑」および「赤」のうち、2色を組み合わた態様で表示する。具体的には、例えば、図55(c)に示すように、「青・緑」や「青・赤」、「白・青」など、1つの演出保留を2色で表示する。この演出保留の2色表示は、右演出保留表示領域9dへの追加表示の際、当該追加表示する演出保留に対応する演出保留情報を参照して表示態様を決定してもよく、あるいは、乱数抽選によってランダムに決定してもよい。また、例えば、「青・赤」の1パターンで表示するものとしてもよい。
こうして右演出保留表示領域9dに演出保留が表示された特図保留(記憶順5番目〜8番目の特図保留)について、前述の実施例2と同じ要領で、特図保留の消化(特図保留球数の減少)に伴って保留予告演出を行う。すなわち、本変形例2においても、特図保留の記憶順が5番目から4番目に移行する特図保留を対象に、保留予告演出を行う。つまり、特図保留球数「5」の位置に2色表示している演出保留h5の表示態様を、特図保留球数「4」の位置への移動(h5→h4)に際して、その2色のうちの何れか1色で表示する態様に変化させる演出を、保留予告演出として行う。この保留予告演出も、前述の保留演出処理(S4404)により実行される。すなわち、S4604にて予告演出パターンを決定する際、保留予告演出の実行対象の特図保留に係る演出保留情報を参照し、2色表示している演出保留を1色で表示する場合の表示色を決定するのである。
尚、図55(d)は、図55(c)に示す状態から特図保留が1個消化され、図55(c)の特図保留球数「5」の位置に「青・緑」で表示していた演出保留h5の表示態様(色)が、特図保留球数「4」の位置に移動表示する際の保留予告演出(保留変化表示)によって「緑」に変化した場合を示している。また、図55(e)は、図55(d)に示す状態から特図保留が1個消化され、図55(d)の特図保留球数「5」の位置に「青・赤」で表示していた演出保留h5の表示態様(色)が、特図保留球数「4」の位置に移動表示する際の保留予告演出(保留変化表示)によって「赤」に変化した場合を示している。
このような変形例2によっても、前述の実施例2と同様に、特図保留球数が「4」を越えて記憶される特図保留、すなわち、特図保留球数が「5」以上として記憶される特図保留について保留予告演出を行うことが可能となり、前述の実施例2と同様の作用効果が得られる。
これに加えて、変形例2では、特図保留球数「1」〜「4」(記憶順1番目〜4番目)の特図保留についても保留予告演出を行い、この保留予告演出と、特図保留球数「5」〜「8」(記憶順5番目〜8番目)の特図保留に係る保留予告演出とで、保留予告演出の実行態様が異なるものとなっている。すなわち、特図保留球数「1」〜「4」の特図保留に係る保留予告演出は、特図保留の記憶(特図保留球数の増加)に基づいて実行され得るもので、実行されない場合もある。一方、特図保留球数「5」〜「8」の特図保留に係る保留予告演出は、特図保留の消化(特図保留球数の減少)に基づいて必ず実行されるものとなっている。また、特図保留球数「1」〜「4」の特図保留に係る保留予告演出と、特図保留球数「5」〜「8」の特図保留に係る保留予告演出とで、演出パターンも異なるものとなっている(「最初から1色表示」と「当初の2色表示から1色に変化」)。これにより、特図保留の記憶数(特図保留球数)が「4」を超えると、当該越えた分の特図保留に係る保留予告演出がそれまでと異なる態様で行われるといった新たな保留予告演出の実行態様を実現することが可能となる。
また、前述の実施例2では、特図保留球数が「4」を越えて記憶される特図保留について保留予告演出を行うこととし、この特図保留球数「4」が、保留予告演出が行われない特図保留と行われる特図保留との境界を定める基準となる特図保留球数、換言すると、保留予告演出の実行対象となる(あるいは実行対象とならない)特図保留を定める基準となる特図保留球数となっていた。このような基準となる特図保留球数は、必ずしも「4」でなくてもよく、例えば「2」や「6」など任意に定めることが可能である。
また、そのような基準となる特図保留球数を、所定条件が成立することに基づいて変動し得るように構成することも可能である。例えば、前述の実施例1でも説明したように、演出モード移行抽選や、基準となる特図保留球数を変更するか否かを決定するための専用の抽選、特別図柄の変動回数等に基づいて、基準となる特図保留球数を変更するか否かを決定し、変更することが決定された場合(所定条件が成立した場合)に、基準の特図保留球数を変更する構成とすることが可能である。そして、基準の特図保留球数を変更した場合には、例えば、前述の実施例2の演出保留表示領域9に表示するゲート画像Gの表示位置を、その変更後の特図保留球数に応じて変更する。このような構成により、保留予告演出(保留表示変化)の実行タイミングや、保留予告演出が実行される度合(実行機会)に変化をもたらすことが可能となる。また、このような構成を前述の変形例2に採用することで、保留予告演出の実行態様が変化する時期(タイミング)を変更することも可能となる。
以上、本発明の実施の形態として実施例1,2および変形例1,2を説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することが可能である。
例えば、前述した実施例や変形例では、特図保留に係る予告演出(保留先読み演出)として、演出保留の表示態様を変化させる保留予告演出(保留変化表示)を行うものとしていたが、予告演出の態様はこれに限定されるものではない。すなわち、本発明に適用可能な予告演出は、前述した実施例や変形例のような保留変化表示によるものに限られず、背景予告やステップアップ予告、カットイン予告、連続予告等、事前判定の結果に基づいて実行可能な様々な予告演出(保留先読み演出)を、本発明に係る予告演出として適用することが可能である。要するに、特図保留の記憶状況に応じて実行可能となる予告演出の種類(態様)は特に問わない。
また、前述した実施例では、遊技球振分装置18の構成として、入球口18aに入球した遊技球の自重により振分部材18bが回動し、その振分部材18bの動作により遊技球を2つの始動口の何れかに交互に振り分けるものとしていたが、振り分けの態様(振分順序)は交互に限定されるものではない。例えば、前述の実施例では、振分部材18bをメカ的に動作させるものとしていたが、これに代えて、モータやソレノイド等の駆動源を用いて振分部材18bを動作させることとし、振分動作を時間や始動口への入球数等により制御するようにしてもよい。この場合、各始動口への遊技球の振り分けは、1球毎の交互の振り分けだけでなく、他の振り分け態様、例えば、第1始動口19に2個の遊技球を振り分けた後に第2始動口20に1個の遊技球を振り分ける動作を繰り返したり、第1始動口19に遊技球を振り分ける状態を第1時間(例えば60秒)維持した後に第2始動口20に遊技球を振り分ける状態を第2時間(例えば10秒)維持する動作を繰り返したりする等、種々の振り分けの態様を採ることが可能である。
また、遊技球振分装置18(振分部材18b)による遊技球の振り分け先となる2つの始動口に関し、前述した実施例では、いずれも非可変式の始動口(第1始動口19および第2始動口20)としていたが、振り分け先となる2つの始動口を、非可変式の始動口と可変式の始動口とにより構成してもよい。
また、前述した実施例では、第1特図保留の消化(第1特別図柄の変動表示)と第2特図保留の消化(第2特別図柄の変動表示)を、始動入球順に行うものとしていたが、これに限定されるものではない。例えば、第1特図保留の消化と第2特図保留の消化の何れか一方を他方に優先して行う構成(いわゆる「優先消化」、「優先変動」)や、第1特図保留の消化と第2特図保留の消化とを並行して行う構成(いわゆる「同時消化」、「同時変動」)としてもよい。
また、前述した実施例では、2つの始動口の上方に遊技球振分装置18を設け、入球口18aに入球した遊技球を何れかの始動口に振り分けるものとしていたが、遊技球振分装置18を備えない構成としてもよい。例えば、遊技領域の略中央下部であってセンター装飾体(センター役物)や画像表示装置の下方に、非可変式の始動口と可変式の始動口(普通電動役物)とを上下に並べて配置し、それら始動口のうち一方を第1特別図柄に対応する始動口とし、他方を第2特別図柄に対応する始動口としてもよい。
また、前述した実施例では、確変作動口としての特定領域39を有するパチンコ遊技機に本発明を適用したものを例示したが、これに限らず、大入賞口内に特定領域39を有することなく、特別図柄当否判定の結果(停止表示される大当り図柄の種類)に基づいて高確率状態を付与するか否かを決定するタイプの遊技機においても、本発明は適用可能である。また、前述した実施例では、当りの種別として大当りと小当りを備えていたが、小当りを備えていない遊技機にも本発明は適用可能である。
[その他]
以下、本発明に関連する他の発明(関連発明)について、本発明を含めて参考的に開示しておく。
(1−1)始動口への遊技球の入球に基づいて取得される取得情報を記憶可能な取得情報記憶手段と、
前記取得情報記憶手段から読み出された取得情報に基づいて識別情報の変動表示を実行可能な識別情報表示手段と、
前記識別情報が特定態様で停止表示したことに基づいて、遊技者に所定の利益が付与され得る特別遊技を実行可能な特別遊技実行手段と、
前記取得情報記憶手段に記憶されている取得情報に係る所定の予告演出を実行可能な予告演出実行手段と、
を備え、
前記予告演出実行手段は、前記取得情報記憶手段に記憶されている先の取得情報が存在する状況下で、新たに取得される後の取得情報が記憶されたことに基づいて、前記先の取得情報について前記予告演出を実行可能である
ことを特徴とする遊技機。
(1−2)上記(1−1)の遊技機において、
前記予告演出実行手段は、前記先の取得情報が複数存在する状況下で前記後の取得情報が記憶されたことに基づいて、前記複数の先の取得情報のうち少なくとも1つの取得情報について前記予告演出を実行可能である
ことを特徴とする遊技機。
(1−3)上記(1−1)または(1−2)の遊技機において、
前記予告演出実行手段は、前記先の取得情報が複数存在する状況下で前記後の取得情報が記憶されたことに基づいて、前記複数の先の取得情報のうち記憶順の古い取得情報について前記予告演出を実行可能である
ことを特徴とする遊技機。
(1−4)上記(1−1)ないし(1−3)の何れか一つの遊技機において、
前記予告演出実行手段は、前記先の取得情報の記憶順と、前記後の取得情報の記憶順とが所定の対応関係を満たす場合に、前記予告演出を実行する
ことを特徴とする遊技機。
(1−5)上記(1−1)ないし(1−4)の何れか一つの遊技機において、
前記取得情報が記憶されていることを示す記憶表示を表示可能な記憶表示手段を備え、
前記予告演出実行手段は、前記記憶表示の表示態様を変化させる演出を前記予告演出として実行可能である
ことを特徴とする遊技機。
(1−6)上記(1−5)の遊技機において、
前記記憶表示の表示領域として、前記先の取得情報に対応する記憶表示を表示可能な第1記憶表示領域と、前記後の取得情報に対応する記憶表示を表示可能な第2記憶表示領域とを有し、
前記予告演出実行手段は、前記第1記憶表示領域での前記記憶表示の表示態様を変化させる演出を前記予告演出として実行可能である
ことを特徴とする遊技機。
(1−7)上記(1−1)ないし(1−6)の何れか一つの遊技機において、
前記始動口として、少なくとも第1始動口と第2始動口とを有し、
前記第1始動口への遊技球の入球に基づいて取得される取得情報と、前記第2始動口への遊技球の入球に基づいて取得される取得情報とを、それぞれ所定の上限数まで記憶可能である
ことを特徴とする遊技機。
(1−8)上記(1−7)の遊技機において、
所定の入球口に入球した遊技球を前記第1始動口または前記第2始動口に所定の順序で振り分ける振分手段を備える
ことを特徴とする遊技機。
(2−1)始動口への遊技球の入球に基づいて取得される取得情報を所定の上限数まで記憶可能な取得情報記憶手段と、
前記取得情報記憶手段から読み出された取得情報に基づいて識別情報の変動表示を実行可能な識別情報表示手段と、
前記識別情報が特定態様で停止表示したことに基づいて、遊技者に所定の利益が付与され得る特別遊技を実行可能な特別遊技実行手段と、
前記取得情報記憶手段に記憶されている取得情報に係る所定の予告演出を実行可能な予告演出実行手段と、
を備え、
前記予告演出実行手段は、前記取得情報記憶手段による記憶数が所定数になるまで記憶される取得情報と、前記所定数を越えて記憶される取得情報とのうち、少なくとも前記所定数を越えて記憶される取得情報について前記予告演出を実行可能である
ことを特徴とする遊技機。
(2−2)上記(2−1)の遊技機において、
前記予告演出実行手段は、前記記憶数の増加に基づいて前記予告演出を実行可能である
ことを特徴とする遊技機。
(2−3)上記(2−1)または(2−2)の遊技機において、
前記予告演出実行手段は、前記記憶数の減少に基づいて前記予告演出を実行可能である
ことを特徴とする遊技機。
(2−4)上記(2−1)ないし(2−3)の何れか一つの遊技機において、
前記取得情報が記憶されていることを示す記憶表示を表示可能な記憶表示手段を備え、
前記予告演出実行手段は、前記記憶表示の表示態様を変化させる演出を前記予告演出として実行可能である
ことを特徴とする遊技機。
(2−5)上記(2−4)の遊技機において、
前記記憶表示手段は、前記記憶数の変動に応じて前記記憶表示を所定の記憶表示領域で移動表示することが可能であり、
前記記憶表示領域には、前記記憶数が前記所定数になるまで記憶される前記取得情報に対応する記憶表示を表示可能な第1記憶表示領域と、前記所定数を越えて記憶される前記取得情報に対応する記憶表示を表示可能な第2記憶表示領域とが設けられ、
前記予告演出実行手段は、前記第1記憶表示領域と前記第2記憶表示領域との領域間を前記記憶表示が移動表示する場合に、該記憶表示の表示態様を変化させる演出を前記予告演出として実行可能である
ことを特徴とする遊技機。
(2−6)上記(2−1)ないし(2−5)の何れか一つの遊技機において、
前記所定数は、所定条件の成立に基づいて、前記上限数よりも少ない数の範囲内で変動し得る
ことを特徴とする遊技機。
(2−7)上記(2−1)ないし(2−6)の何れか一つの遊技機において、
前記始動口として、少なくとも第1始動口と第2始動口とを有し、
前記取得情報として、前記第1始動口への遊技球の入球に基づいて取得される第1取得情報と、前記第2始動口への遊技球の入球に基づいて取得される第2取得情報とを有し、
前記第1取得情報は所定の第1上限数まで記憶可能であるとともに、前記第2取得情報は所定の第2上限数まで記憶可能であり、
前記上限数は、前記第1上限数と前記第2上限数との合計数である
ことを特徴とする遊技機。
(2−8)上記(2−7)の遊技機において、
所定の入球口に入球した遊技球を前記第1始動口または前記第2始動口に所定の順序で振り分ける振分手段を備える
ことを特徴とする遊技機。
(3−1)始動口への遊技球の入球に基づいて取得される取得情報を所定の上限数まで記憶可能な取得情報記憶手段と、
前記取得情報記憶手段から読み出された取得情報に基づいて識別情報の変動表示を実行可能な識別情報表示手段と、
前記識別情報が特定態様で停止表示したことに基づいて、遊技者に所定の利益が付与され得る特別遊技を実行可能な特別遊技実行手段と、
前記取得情報記憶手段に記憶されている取得情報に係る所定の予告演出を実行可能な予告演出実行手段と、
を備え、
前記予告演出実行手段は、前記取得情報記憶手段に記憶される取得情報の記憶数が所定数を越えた場合に、記憶されている取得情報のうち前記所定数以下の取得情報について前記予告演出を実行可能である
ことを特徴とする遊技機。
(3−2)上記(3−1)の遊技機において、
前記予告演出実行手段は、前記記憶数が前記所定数を越えてから前記上限数になるまで、前記取得情報が記憶される毎に前記予告演出を実行可能である
ことを特徴とする遊技機。
(3−3)上記(3−1)または(3−2)の遊技機において、
前記取得情報が記憶されていることを示す記憶表示を表示可能な記憶表示手段を備え、
前記予告演出実行手段は、前記記憶表示の表示態様を変化させる演出を前記予告演出として実行可能である
ことを特徴とする遊技機。
(3−4)上記(3−3)の遊技機において、
前記記憶表示の表示領域として、前記記憶数が前記所定数になるまで記憶される前記取得情報に対応する記憶表示を表示可能な第1記憶表示領域と、前記所定数を越えて記憶される前記取得情報に対応する記憶表示を表示可能な第2記憶表示領域とを有し、
前記予告演出実行手段は、前記第1記憶表示領域での前記記憶表示の表示態様を変化させる演出を前記予告演出として実行可能である
ことを特徴とする遊技機。
(3−5)上記(3−4)の遊技機において、
前記第1記憶表示領域での前記記憶表示の表示態様を変化させる演出は、前記第2記憶表示領域での前記記憶表示と関連して行われる演出である
ことを特徴とする遊技機。
(3−6)上記(3−1)ないし(3−5)の何れか一つの遊技機において、
前記始動口として、少なくとも第1始動口と第2始動口とを有し、
前記取得情報として、前記第1始動口への遊技球の入球に基づいて取得される第1取得情報と、前記第2始動口への遊技球の入球に基づいて取得される第2取得情報とを有し、
前記第1取得情報は所定の第1上限数まで記憶可能であるとともに、前記第2取得情報は所定の第2上限数まで記憶可能であり、
前記上限数は、前記第1上限数と前記第2上限数との合計数である
ことを特徴とする遊技機。
(3−7)上記(3−6)の遊技機において、
所定の入球口に入球した遊技球を前記第1始動口または前記第2始動口に所定の順序で振り分ける振分手段を備える
ことを特徴とする遊技機。
(4−1)始動口への遊技球の入球に基づいて取得される取得情報を所定の上限数まで記憶可能な取得情報記憶手段と、
前記取得情報記憶手段から読み出された取得情報に基づいて識別情報の変動表示を実行可能な識別情報表示手段と、
前記識別情報が特定態様で停止表示したことに基づいて、遊技者に所定の利益が付与され得る特別遊技を実行可能な特別遊技実行手段と、
前記取得情報記憶手段に記憶されている取得情報に係る所定の予告演出を実行可能な予告演出実行手段と、
を備え、
前記予告演出実行手段は、前記取得情報記憶手段による記憶数が所定数になるまで記憶される取得情報に係る予告演出と、前記所定数を越えて記憶される取得情報に係る予告演出とを、異なる態様で実行可能である
ことを特徴とする遊技機。
(4−2)上記(4−1)の遊技機において、
前記予告演出実行手段は、前記記憶数が前記所定数になるまで記憶される取得情報に係る予告演出を、前記記憶数の増加に基づいて実行可能である
ことを特徴とする遊技機。
(4−3)上記(4−1)または(4−2)の遊技機において、
前記予告演出実行手段は、前記記憶数が前記所定数を越えて記憶される取得情報に係る予告演出を、前記所定数を越えて前記取得情報が記憶された後の前記記憶数の減少に基づいて実行可能である
ことを特徴とする遊技機。
(4−4)上記(4−1)ないし(4−3)の何れか一つの遊技機において、
前記取得情報が記憶されていることを示す記憶表示を表示可能な記憶表示手段を備え、
前記予告演出実行手段は、前記記憶表示の表示態様を変化させる演出を前記予告演出として実行可能である
ことを特徴とする遊技機。
(4−5)上記(4−1)ないし(4−4)の何れか一つの遊技機において、
前記所定数は、所定条件の成立に基づいて、前記上限数よりも少ない数の範囲内で変動し得る
ことを特徴とする遊技機。
(4−6)上記(4−1)ないし(4−5)の何れか一つの遊技機において、
前記始動口として、少なくとも第1始動口と第2始動口とを有し、
前記取得情報として、前記第1始動口への遊技球の入球に基づいて取得される第1取得情報と、前記第2始動口への遊技球の入球に基づいて取得される第2取得情報とを有し、
前記第1取得情報は所定の第1上限数まで記憶可能であるとともに、前記第2取得情報は所定の第2上限数まで記憶可能であり、
前記上限数は、前記第1上限数と前記第2上限数との合計数である
ことを特徴とする遊技機。
(4−7)上記(4−6)の遊技機において、
所定の入球口に入球した遊技球を前記第1始動口または前記第2始動口に所定の順序で振り分ける振分手段を備える
ことを特徴とする遊技機。