JP2018041704A - 熱輻射光源および光源装置 - Google Patents
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このような活用例としては、熱光発電装置の光源として用いる場合(特許文献1)や、照明用の白熱電球として用いる場合(特許文献2)などを例示できる。
半導体から成る部材に、前記半導体の吸収端に対応する波長よりも短波長の光で共振するように屈折率分布が形成された光学構造を有する光学構造体を備えた熱輻射光源において、
前記光学構造体の基板に配置された微小金属構造体と、前記基板を支持し、前記微小金属構造体に電流を供給する高融点金属細線とを備えた点にある。
このように、光学構造体を加熱して特定の波長分布に制御された輻射光を得る場合に、熱源は微小な微小金属構造体であるため、熱源からの制御されない輻射光を抑制して、熱エネルギーの損失発生を回避できる。
したがってこの熱輻射光源は、供給されたエネルギーを損失することなく、輻射光に変換することができる。すなわち、供給されたエネルギーに対して輻射効率の高い熱輻射光源を提供することができる。
前記微小金属構造体が、前記基板に直接接合されている点にある。
前記微小金属構造体が、前記高融点金属細線と同種の金属を含む点にある。
微小金属構造体は、電気ヒータとして機能するため発熱するが、このように発熱する部位には有機物で成る接着剤や低融点金属で成るハンダのような介在物を用いて接着して接続することは困難である。介在物を用いて接続する場合、有機物を用いた場合は熱で損傷し、低融点金属を用いた場合は高温で溶融するためである。また、他の介在物を用いて接続する場合にも、熱膨張率などの相違により、加熱される使用時と、冷却される停止時との間で応力を生じて接続不良を生じ得るため好ましくない。
前記微小金属構造体が、前記高融点金属細線と直接接合されている点にある。
前記基板として、赤外線を透過可能な材料で形成された赤外透明基板を備えた点にある。
前記微小金属構造体の表面積の、前記光学構造体の輻射面の面積に対する比率が0.35以下である点にある。
ここで、光学学構造体の輻射面の面積とは、光学構造体のある基板の部分の面積(基盤の片面の面積)を言う。
前記高融点金属細線の断面積の、前記光学構造体の輻射面の面積に対する比率が7.2×10−3以下である点にある。
微小金属構造体からの制御されない輻射光は、高融点金属細線の表面積に応じて発生するが、高融点金属細線の表面積は、高融点金属細線の断面積の縮小に応じて小さくなる。そのため、熱輻射光源として良好に機能させるためには高融点金属細線の断面積は、前記光学構造体の輻射面の面積に対する比率で7.2×10−3以下とするのが好適である。当該比率は、好ましくは1.0×10−4以下、さらに好ましくは1.0×10−5とするのが良い。
前記光学構造体が700℃以上に加熱される点にある。
前記熱輻射光源が70Pa以下の真空中にある点にある。
空気による熱伝導でエネルギーの損失を抑制するためには、熱輻射光源を、少なくとも70Pa以下、好ましくは10Pa以下、さらに好ましくは1Pa以下の環境下とするのが良い。
まず、本発明の実施形態に係る光源装置10および熱輻射光源1に係る概略構成を説明する。
まず、高融点金属細線5から供給されたエネルギーである電流を微小金属構造体4で熱のエネルギーに変換する。そして、微小金属構造体4で変換した熱エネルギーを、基板3が熱伝導で光学構造体2に供給する。光学構造体2は、供給された熱エネルギーを波長を制御された輻射光に変換する。
熱輻射光源1が発した輻射光は、窓8から、光源装置10の外部へ取り出すことができる。
真空容器6は、内部に所定の真空状態の空間である真空空間7を形成可能な密閉容器である。真空容器6には、支柱61と窓8が設けられている。
本例では、内面の鏡面加工はステンレス地のままであるが、さらに金メッキなどする場合もある。
窓8は、本例では、可視光から赤外光の領域の光を真空容器6の外部に取り出すために、石英ガラスで形成されたものを使用している。
この真空状態は、少なくとも70Pa以下、好ましくは10Pa以下、さらに好ましくは1Pa以下とする。本例では真空空間7が、10Paの真空に保たれている場合を例示している。
また、基板3は、微小金属構造体4から供給された熱エネルギーを、熱伝導により光学構造体2に供給する熱伝導部材として機能する。
基板3は、赤外透明基板31で構成することができる。
基板3は、赤外透明基板31と供に、さらに第二赤外透明基板32および第三赤外透明基板33とを備える場合がある。
本例では、図3、4に、基板3として、赤外透明基板31と、第二赤外透明基板32および第三赤外透明基板33とを備える場合を示している。
また、光学構造体2は、第三赤外透明基板33の赤外透明基板31に対する他面側の表面にさらに積層した状態で設けられている。
基板3の光学構造体2を備える面が、主に輻射面として機能する。
本例では、基板3は、たとえば300μmの厚みの平板を用いた場合を示している。
本例では、基板3は、およそ10mm角の正方形に設けられている場合を示している。
赤外透明基板31を形成する材料として用いることができる可視光や遠赤外線に含まれる波長の光を透過可能な材料を例示すると、MgO(酸化マグネシウム)、SiO2(酸化ケイ素)、SiC(シリコンカーバイド)、ダイヤモンド、サファイア、アルミニウムナイトライド、ガリウムナイトライド、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、ジンクセレン、フッ化バリウム、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化チタン、酸化イットリアなどを用いることができる。
本例では、赤外透明基板31として酸化マグネシウムで成る基板を用いている。
本例では、赤外透明基板31として、厚み300μmの酸化マグネシウムの平板を用いた場合を例示している。
第二赤外透明基板32として用いることができる可視光や遠赤外線に含まれる波長の光を透過可能な材料を例示すると、MgO(酸化マグネシウム)、SiO2(酸化ケイ素)、SiC(シリコンカーバイド)、ダイヤモンド、サファイア、アルミニウムナイトライド、ガリウムナイトライド、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、ジンクセレン、フッ化バリウム、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化チタン、酸化イットリアなどを用いることができる。
第三赤外透明基板33として用いることができる可視光から遠赤外線に含まれる波長の光を透過可能な材料を例示すると、MgO、SiO、SiC、ダイヤモンド、サファイア、アルミニウムナイトライド、ガリウムナイトライド、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、ジンクセレン、フッ化バリウム、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化チタン、酸化イットリアなども好適に用いることができる。
光学構造体2は、フォトニック結晶として、基板3から供給された熱をその光学構造に対応する波長を含む輻射光に変換する機能を有する。
また、屈折部21の配列は、二次元的な配置・配列には限定されず、三次元的な配置・配列をも含み得る。
また、真性半導体としては、単一元素でなる半導体と、化合物半導体とを含む。
本例では屈折部21は、真性半導体であるSi(シリコン)の結晶で形成されている。
屈折部21として用いることのできる半導体としては、Si結晶のほかに、化合物半導体であり、真性半導体であるSiCなども、好適に用いることもできる。
例えば、当該シリコン基板を基板3上に積層した積層基板を、これらフォトマスク法やエッチング法で浸食して形成することができる。
屈折部21の形状および配列の一例を挙げると、屈折部21の直径Dはおよそ300nmである。また、屈折部21の高さhはおよそ800nmである。屈折部21は正方格子状に配列され、正方格子の周期長a(隣り合う屈折部21の中心間の距離)はおよそ600nmである。
本例で例示したフォトニクス結晶を用いた光学構造体2の場合の輻射光のエネルギーは波長λが1800nm以下に集中しており、熱輻射光源1として好ましい特徴を持つことが示されている。
屈折部21を形成する材料にSi(シリコン)の結晶を用い、赤外透明基板31として酸化マグネシウムで成る基板を用いる場合、第二赤外透明基板32を形成する材料としては、サファイア、ないし、酸化ハフニウムが特に好適である。また、第三赤外透明基板33を形成する材料としては、サファイア、ないし、酸化ハフニウムが特に好適である。
本例では、第二赤外透明基板32を形成する材料として、サファイア、または、酸化ハフニウムを用いる場合には、第三赤外透明基板33を形成する材料としては、それぞれ、酸化ハフニウム、または、サファイアを用いることとし、第二赤外透明基板32と、第三赤外透明基板33とは、それぞれ異なる組み合わせにするとよい。
しかし、シリコンと酸化マグネシウムとは熱輻射光源1が使用されるような高温環境下において互いに接触状態にある場合、徐々に複合酸化物(たとえば、Mg2SiO4)を形成し、熱輻射光源1の輻射効率が経時的に低下する場合がある。
図4および図6に、基板3上にある微小金属構造体4および高融点金属細線5、および微小金属構造体4と高融点金属細線5の接続部である接続部51を拡大した図を示す。なお、図4においては、光学構造体2の図示を省略している。光学構造体2を形成する屈折部21は、図6に示すように、基板3の表面(片面)のうち、微小金属構造体4を配置しない表面の一部または全域に配置することができる。図6の場合は、基板3の表面(片面)のうち、微小金属構造体4を配置しない表面の全域に屈折部21を配置した場合を示している。
微小金属構造体4は、基板3に直接接合された状態で、基板3に配置される高融点金属でなる導電性の、所定の厚みのあるおよそ平板状の構造体である。本例では、微小金属構造体4をおよそ直方体に形成した場合を示している。
高融点金属細線5は、基板3を支持する支持部であり、また、微小金属構造体4に電流を供給する電力導線として機能する。
微小金属構造体4は、発熱体として機能する場合、たとえば500℃から1500℃程度の高温に発熱することができるものが用いられている。微小金属構造体4は、典型的には700℃から1300℃程度の高温に発熱させて用いる。
本例では、その一方の面を基板3に直接接合された第四層44と、第四層44の他方の面上にさらに積層された第三層43と、第三層43の他方の面上にさらに積層された第二金属層42と、第二金属層42の他方の面上にさらに積層された第一金属層41とで成るレイヤ構造(層構造)を有する場合を例示している。
したがって微小金属構造体4は、基板3と直接接続されており、また、基板3と熱的に接続されており、微小金属構造体4は基板3を加熱することができる。
微小金属構造体4は、本例では第一金属層41に白金を、第二金属層42にチタンを用いた場合を例示している。また、第三層43に酸化ケイ素、第四層44にシリコンを用いた場合を例示している。なお、第三層43は、サファイアを用いる場合もある。
高融点金属細線5の材質としては例えば、白金、タングステン、チタン、モリブデン、タンタルなどが用いられる。高融点金属細線5の材質は、微小金属構造体4を高温に発熱させて用いる場合に、溶融しない材質を選択する。
高融点金属細線5は、本例では白金の場合を示している。
第一金属層41は、高融点金属細線5と同種の金属で形成すると好適である。接続部51がそれぞれ同種の金属どうして接続された接続部51となる場合に、その接続が強固になるためである。
本例では、第一金属層41と高融点金属細線5とは、それぞれ同じ材質である白金で形成されているため、接続部51は強固に接合して接続することができる。
なお、第一金属層41と高融点金属細線5との接続方法は、第一金属層41と高融点金属細線5とが直接かつ確実に接続されるものではあれば方法は問わない。
本例では、第一金属層41と高融点金属細線5とは、超音波溶着法(ウエッジボンディング法)で直接、接合状態で接続された場合を例示している。つまり、第一金属層41と高融点金属細線5とは、それぞれ互いの金属部分(白金)が相互拡散して接続部51で接合し、一体の接続部51を形成している。本例では、直接かつ確実に接続される接続方法として、例えば、レーザー溶接で接続する方法も好適である。
本例では、第三赤外透明基板33に微小金属構造体4を電子線蒸着で形成した場合を例示している。
2つの微小金属構造体4は、基板3上に、それぞれ互いに対向する位置に設けられている。また、およそ正方形の基板3上の一辺の、およそ中央部に近接して配置されている。
2つの微小金属構造体4にはそれぞれ2本、合計4本の高融点金属細線5が接続されている。
ここで、基板3の面積とは、基板3の片面の面積を言う。また光学構造体2をそなえて輻射面となる側の面の面積を言う。
微小金属構造体4の厚みは、100nmから1000nm程度の厚みとするのが良い。特に、100nmから700nm程度とするのが好適である。本例では、微小金属構造体4の厚みは、250nmの場合を例示している。
また、本例の微小金属構造体4は、直方体としてその厚みと共に、長辺と短辺とを備える。本例では、当該長辺は300μm、当該短辺は100μmの場合を示している。
なお、微小金属構造体4の面積を小さくしたい場合には、白金で成る第一金属層41に対してチタンで成る第二金属層42の厚みの比率をやや大きく取る(第二金属層42の厚みを厚くする)ことが好ましい。微小金属構造体4に所定の電流を通流した場合の発熱量が大きくなるためである。
以下表1から表4に示す動作例は、基板3が酸化マグネシウムでなる赤外透明基板31の一層でなり、光学構造体2は、シリコンで形成された屈折部21が正方格子状に配列された光学構造を備え、微小金属構造体4は、白金で成る第一金属層41とチタンでなる第二金属層42とで成り、高融点金属細線5は白金でなる場合の熱輻射光源1の1800nm未満の波長の輻射光の輻射効率を示すものである。
・基板3:10mm×10mmの正方形で厚み50μm
・ヒータ電極:3個
・外部温度:25℃
・第一金属層41:厚み300nm
・第二金属層42:厚み40nm
・第三層43:厚み50nm
・第四層44:厚み800nm
・高融点金属細線5:長さ20mmで6本
・真空条件:100mPa
・熱輻射光源1の使用温度:1200℃、1000℃、800℃、700℃と変化させた場合
・微小金属構造体4の面積:一個あたり0.03mm2(合計3個で0.09mm2)
・高融点金属細線5の直径:20μm
・真空条件:100mPa
・熱輻射光源1の使用温度:1000℃
・微小金属構造体4の面積の合計:それぞれの条件で、35mm2、10mm2、1mm2、0.1mm2、0.03mm2と変化させた場合
・高融点金属細線5の直径:20μm
・真空条件:100mPa
・熱輻射光源1の使用温度:1000℃
・微小金属構造体4のひとつあたりの面積:0.03mm2(合計0.09mm2)
・高融点金属細線5の直径:390μm(6本合計の断面積0.72mm2)、146μm(6本合計の断面積0.1mm2)、46.0μm(6本合計の断面積0.01mm2)、14.6μm(6本合計の断面積0.001mm2)、20μm(6本合計の断面積0.0019mm2)
・真空条件:0.01Pa(10mPa)、0.1Pa(100mPa)、1Pa、10Pa、70Pa
・熱輻射光源1の使用温度:1000℃
・微小金属構造体4の面積:0.03m2
・高融点金属細線5の直径:20μm
(1)上記実施形態では、微小金属構造体4は、基板3の光学構造体2を備える面と同じ面に直接接合されて配置した例を説明した。
しかし、微小金属構造体4は、基板3の光学構造体2を備える面の他面に配置してもよい。
しかし、微小金属構造体4は、基板3上のいずれの位置に配置してもよい。
しかし、基板3は、赤外透明基板31のみの一層で形成される場合や、赤外透明基板31と第二赤外透明基板32との2層で形成される場合もある。
しかし、真空容器6は、ステンレス材で形成する場合に限られず、例えば、石英ガラスで形成する場合もある。この場合は、上記実施形態のように窓8から熱輻射光源1が発した輻射光を光源装置10の外部へ取り出すのではなく、真空容器6全体から熱輻射光源1が発した輻射光を取り出すことができる。
しかし、微小金属構造体4の形状は直方体には限られず、例えば、図7に示すように、直方体を湾曲させて曲線を含む形状とすることもできる。微小金属構造体4の形状は、電流を通流して発熱させる発熱体として機能させるための電気抵抗の調整や、配置・レイアウトの都合により、適宜、適した形状とすることができる。
なお、図7の場合は、微小金属構造体4の形状は、直方体を湾曲させて往復するような曲線を含む形状としているが、この場合も、基板3の表面(片面)のうち、微小金属構造体4を配置しない表面の全域に屈折部21を配置することができる。
しかし、微小金属構造体4は、図7に示すように、ひとつの基板3に対して3つ以上配置する場合もある。この場合は、それぞれの微小金属構造体4に、それぞれ2本の高融点金属細線5が接続される。
2 :光学構造体
3 :基板
4 :微小金属構造体
5 :高融点金属細線
10 :光源装置
31 :赤外透明基板
Claims (9)
- 半導体から成る部材に、前記半導体の吸収端に対応する波長よりも短波長の光で共振するように屈折率分布が形成された光学構造を有する光学構造体を備えた熱輻射光源において、
前記光学構造体の基板に配置された微小金属構造体と、前記基板を支持し、前記微小金属構造体に電流を供給する高融点金属細線とを備えた熱輻射光源。 - 前記微小金属構造体が、前記基板に直接接合されている請求項1に記載の熱輻射光源。
- 前記微小金属構造体が、前記高融点金属細線と同種の金属を含む請求項1または2に記載の熱輻射光源。
- 前記微小金属構造体が、前記高融点金属細線と直接接合されている請求項3に記載の熱輻射光源。
- 前記基板として、赤外線を透過可能な材料で形成された赤外透明基板を備えた請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱輻射光源。
- 前記微小金属構造体の表面積の、前記光学構造体の輻射面の面積に対する比率が0.35以下である請求項1から5のいずれか一項に記載の熱輻射光源。
- 前記高融点金属細線の断面積の、前記光学構造体の輻射面の面積に対する比率が7.2×10−3以下である、請求項1から6のいずれか一項に記載の熱輻射光源。
- 前記光学構造体が700℃以上に加熱される請求項1から7のいずれか一項に記載の熱輻射光源。
- 請求項1から8のいずれか一項に記載の前記熱輻射光源が70Pa以下の真空中にある光源装置。
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