JP2016177922A - 蛍光光源装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】蛍光プレートにおいて生じた熱が光ファイバに伝熱されて光ファイバが損傷することを確実に防止することができ、高い光出力を安定して得ることのできる蛍光光源装置を提供すること。
【解決手段】励起光源から光ファイバによって導光された励起光が蛍光プレートに照射されることにより蛍光プレートから放射された蛍光を反射ミラーによって反射して照射する蛍光光源装置において、蛍光プレートおよび反射ミラーは、金属製のハウジングの内部において、ハウジングに固定されて設けられ、光ファイバは、その光出射端部に装着された装着部材がハウジングに固定された光ファイバ保持板に固定されて設けられており、ハウジングから光ファイバの光出射端部に至る熱伝導経路を形成する構成部材の少なくとも一部が、断熱材により構成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は蛍光光源装置に関する。特に、蛍光体物質をレーザ光で励起し蛍光を発生させる蛍光光源装置に関する。
近年、高輝度光源を実現するために、励起光源として半導体レーザ(LD;Laser Diode)を用い、半導体レーザからの励起光を蛍光体物質を含む発光部に照射し、これにより発生した蛍光を照明光として用いる蛍光光源装置の研究開発が行われている。
このような半導体レーザを励起光源として用いた蛍光光源装置を高輝度光源として機能する発光装置に適用することが検討されている。このような発光装置としては、例えば、家庭用照明器具などの照明装置、車両用前照灯、プロジェクタ、探照灯などを例示することができる。
図4は、従来の蛍光光源装置の一例における構成の概略を示す、反射鏡の光軸に沿った断面図である。
この蛍光光源装置は、半導体レーザアレイよりなる励起光源70と、励起光源70からのレーザ光によって蛍光を発する蛍光体物質を含む発光部75と、反射面が発光部75と対向する状態で配置された反射鏡80と、反射鏡80の開口部を覆う透明板81とにより構成されている。図4において、71は半導体レーザ、72は非球面レンズ、73は励起光源70からのレーザ光を導光する光ファイバである。光ファイバ73は、ハウジング90を貫通して延び、反射鏡80と透明板81とにより囲まれた空間の内部で、反射鏡80又は熱伝導部材85に対して固定されたフェルール78に保持されている。発光部75は、冷却部86に熱的に接続された板状の熱伝導部材85と、透明窓81とによって狭持されて固定されている。冷却部86は、冷却液をその内部に循環させる冷却装置又は風冷の冷却装置(ファン)により構成されている。このような蛍光光源装置は、特許文献1に開示されている。
特許第5021089号公報
而して、このような蛍光光源装置においては、発光部75に入射されたレーザ光の光エネルギーの一部は、熱エネルギーに変換されて発光部75および発光部75を保持する熱伝導部材85の温度を上昇させる。また、レーザ光の一部は、熱伝導部材85に吸収され発熱し、やはり温度上昇の原因となる。
しかしながら、上記構成の蛍光光源装置を例えば探照灯などの自然空冷で用いる発光装置に適用した場合には、レーザ光を発光部75に照射することにより生じた熱を十分に排熱することができない。このため、発光部75に熱的に接続されている部材、具体的には、透明板81、反射鏡80、光ファイバ73、ハウジング90および熱伝導部材85などは、大きく温度上昇することとなる。
従って、発光装置に高い照度を得るために、励起光源70を構成する半導体レーザ71のパワーを大きくすると、発光部75での発熱が一層増大する。その結果、発光部75に熱的に接続されている光ファイバ73の光出射端部73aとフェルール78も高温になる。さらに、レーザ光通過や反射による戻り光による発熱も伴うので、一般の光ファイバの使用可能温度範囲(例えば−20℃〜60℃)を超えてしまう、という問題がある。光ファイバ73の温度が使用可能な最大温度を超えると、光ファイバ73が損傷、劣化して光ファイバ73の出力効率の低下を引き起こすため、安定した光出力を得ることができなくなる。
本発明は、以上の問題に鑑みてなされたものであり、蛍光プレートにおいて生じた熱が光ファイバに伝熱されることによって光ファイバが損傷することを確実に防止することができ、高い光出力(高照度)を安定して得ることのできる蛍光光源装置を提供することを目的とする。
本発明の蛍光光源装置は、励起用光源と、当該励起用光源から放射された励起光を導光する光ファイバと、当該光ファイバから出射される光が照射されることにより蛍光を発する蛍光プレートと、当該蛍光プレートから放射された蛍光を反射する反射ミラーとを備えた蛍光光源装置において、
前記蛍光プレートおよび前記反射ミラーは、金属製のハウジングの内部において、当該ハウジングに固定されて設けられ、前記光ファイバは、当該光ファイバの光出射端部に装着された装着部材が当該ハウジングに固定された光ファイバ保持板に固定されて設けられており、
前記ハウジングから前記光ファイバの光出射端部に至る熱伝導経路を形成する構成部材の少なくとも一部が、断熱材により構成されていることを特徴とする。
本発明の蛍光光源装置においては、下記(1)〜(3)のいずれかの形態を有するものとすることができる。
(1)前記光ファイバ保持板は、前記熱伝導経路の一部を形成する熱伝導抑制部材を介して前記ハウジングに対して固定されて設けられており、当該熱伝導抑制部材が断熱材により構成されている。
(2)前記熱伝導経路の一部を形成する前記光ファイバ保持板が、断熱材により構成されている。
(3)前記熱伝導経路の一部を形成する前記装着部材が、断熱材により構成されている。
本発明の蛍光光源装置によれば、基本的には、蛍光プレートに生ずる熱が金属製のハウジングに伝熱されてハウジングの全体から外部に放熱されるので、自然空冷で使用する場合であっても、蛍光プレートに生ずる熱を効率よく排熱することができる。しかも、ハウジングから光ファイバに至る熱伝導経路を形成する断熱材よりなる構成部材によって、蛍光プレートからハウジングを介して光ファイバに伝熱される熱量を小さく抑制することができる。このため、光ファイバの温度が耐熱温度を超えた状態となることを回避することができ、光ファイバの所期の出力効率を安定して得ることができる。
従って、蛍光プレートの励起光受光面に入射されるレーザ光の入力を高くすることができるようになり、高い照度の光を照射することができる。
本発明の第1の実施形態に係る蛍光光源装置の一例における構成の概略を示す、反射ミラーの光軸に沿った断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る蛍光光源装置の一例における構成の概略を示す、反射ミラーの光軸に沿った断面図である。 本発明の第3の実施形態に係る蛍光光源装置の一例における要部の構成の概略を示す、反射ミラーの光軸に沿った断面図である。 従来の蛍光光源装置の一例における構成の概略を示す、反射鏡の光軸に沿った断面図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態に係る蛍光光源装置は、光ファイバ保持板が、ハウジングから光ファイバに至る熱伝導経路の一部を形成する構成部材である断熱材よりなる熱伝導抑制部材を介して、金属製のハウジングに対して固定されて設けられた構成とされている。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る蛍光光源装置の一例における構成の概略を示す、反射ミラーの光軸に沿った断面図である。この蛍光光源装置は、例えば自然空冷で使用される探照灯を構成するものである。
この蛍光光源装置は、励起光が照射されることにより蛍光を発する蛍光プレート26を備えており、蛍光プレート26は、金属製の筒状のハウジング10に固定されている。蛍光プレート26は、例えばセリウム付活のYAG蛍光体(発光波長:550nm)により構成されている。
ハウジング10は、例えばアルミニウムまたはアルミニウム合金などの熱伝導性材料よりなり、円筒状の基体部分(リム)11と、この基体部分11の内周面から基体部分11の中心軸Cに向かって延びる、蛍光プレート26の排熱用熱伝導経路を構成する導熱部分(スポーク)16とを有する。
ハウジング10の基体部分11は、一端側筒状部12と、一端側筒状部12の他端に段部15aを介して連続する中央筒状部13と、中央筒状部13の他端に段部15bを介して連続する他端側筒状部14とを有する。中央筒状部13は一端側筒状部12より大きい内径を有し、他端側筒状部14は中央筒状部13より大きい内径を有する。
ハウジング10の導熱部分16は、例えば、基体部分11の中心軸Cに沿って延びる平板状の導熱板17により構成されている。導熱板17の径方向における内端は、基体部分11の中心軸(ハウジング10の中心軸)C上に位置されており、外端は、基体部分11の内周面に一体に接合されて熱的に接続されている。
なお、ハウジング10は、基体部分11を形成する材料と、導熱部分16を形成する各導熱板17を接合して一体化されたものとされているが、例えば鋳造等により一体成型したものであってもよい。
導熱板17の厚みおよび軸方向(図1における左右方向)の長さ寸法は、導熱板17それ自体による光損失の程度を小さく抑制しながら、一定以上の排熱量(伝熱量)例えば20W以上の排熱量が得られるよう設定することができる。例えば、導熱板17の厚みは、2mm以上5mm以下の大きさとされていることが好ましく、また、導熱板17の軸方向の長さ寸法は、40〜80mmの範囲内の大きさとされていることが好ましい。
導熱板17の内端部における一側面には、例えば銅(Cu)とモリブデン(Mo)との焼結体により構成された蛍光プレート支持基板(図示せず)が設けられている。この蛍光プレート支持基板の一面上には、蛍光プレート26が設けられている。ハウジング10と蛍光プレート支持基板、並びに、蛍光プレート26と蛍光プレート支持基板は、例えばSn−Ag−Cu合金などのハンダ(不図示)によって互いに接合されて熱的に接続されている。
ハウジング10を構成する基体部分11の一端側開口端面には、円板状の窓部材30が基体部分11の一端側開口を塞ぐよう設けられている。
窓部材30は、無反射コートが施された、例えばテンパックス(登録商標)などのホウケイ酸ガラスなどにより構成されている。
ハウジング10を構成する基体部分11における中央筒状部13の内部には、例えば放物面鏡よりなる反射鏡40がその反射面40aが蛍光プレート26の励起光受光面と対向して配置されている。反射鏡40は、その開口端面が反射鏡位置規定面NS として設定される基体部分11の段部15aにおける平坦面に対接されて配置されている。反射鏡40の光軸OM は、基体部分11の中心軸C上に位置されており、反射鏡40の焦点は、蛍光プレート26の励起光受光面上に位置されている。
反射鏡40は、例えばホウケイ酸ガラスなどよりなる基材の内面に、反射膜が形成されて構成されている。この反射鏡40は、後述する複数の励起光源の各々からの励起光を透過する励起光透過部43を有する。
反射膜は、励起光および蛍光を反射する機能を有し、例えば、酸化チタン(TiO2 )層および酸化シリコン(SiO2 )層が交互に積層されてなる誘電体多層膜により構成されている。
ハウジング10を構成する基体部分11の他端側開口部は、例えばアルミニウムまたはアルミニウム合金よりなる円板状の光ファイバ保持板35によって閉塞されている。
光ファイバ保持板35は、ハウジング10と、ハウジング10における基体部分11の他端側開口端面に例えばネジ止めされて固定された、金属製の円環板状の押さえ部材38とによって狭持されて設けられている。光ファイバ保持板35の一面における周縁部と、基体部分11における段部15bの平坦面との間には、例えば各々O−リングよりなる一対のシール部材33および当該シール部材33間に配置された後述する円環板状の熱伝導抑制部材20aが介在されている。そして、一対のシール部材33の各々が圧潰されて熱伝導抑制部材20aの一面および他面が、それぞれハウジング10における段部15bの平坦面および光ファイバ保持板35の一面に対接されている。また、光ファイバ保持板35の他面における周縁部と、押さえ部材38の一面との間には、例えば各々O−リングよりなる一対のシール部材34および当該シール部材34間に配置された後述する円環板状の熱伝導抑制部材20bが介在されている。そして、一対のシール部材34の各々が圧潰されて熱伝導抑制部材20bの一面および他面が、それぞれ光ファイバ保持板35の他面および押さえ部材38の一面に対接されている。
上述したように、基体部分11の一端側開口は窓部材30によって塞がれており、従って、保持構造体であるハウジング10、窓部材30および光ファイバ保持板35によって画成された、蛍光プレート26が位置される空間(蛍光部材配置空間S)が閉鎖空間とされている。
光ファイバ保持板35には、その厚み方向に貫通してハウジング10における基体部分11の中心軸Cに沿って互いに平行に延びる複数の励起光導入孔36が形成されている。
また、光ファイバ保持板35の一面には、筒状のレンズ保持部材47が設けられている。このレンズ保持部材47によって、各励起光導入孔36から出射される励起光を集光して蛍光プレート26に照射する集光レンズ48が、その光軸OL が反射鏡40の光軸OM と一致する姿勢で、保持されている。複数の励起光導入孔36の各々からの励起光を集光レンズ48によって集光して蛍光プレート26に照射する構成とされていることにより、蛍光プレート26を効率よく励起させて発光させることができる。
この蛍光光源装置は、複数の励起光源50を具えており、各励起光源50からの励起光はLD用の光ファイバ55を介して励起光導入孔36に導入される。
光ファイバ55の、フェルール(図示せず)が装着された光出射端部55aには、装着部材(レセプタクル)56が設けられており、当該装着部材56が、光ファイバ保持板35の他面において、励起光導入孔36に対応する位置に固定されて設けられている。
各々の励起光源50は、各々LD素子を具えた複数のレーザ光源51を具えている。LD素子は、例えば互いに同一の発振波長のレーザ光を出射する半導体レーザよりなり、具体的には例えば、発振波長が455nmである青色のレーザ光を放射するものが用いられる。53はコンデンサレンズ、54は反射ミラーである。
而して、この蛍光光源装置においては、上述したように、光ファイバ保持板35が、断熱材よりなる熱伝導抑制部材20a,20bが介在された状態で、金属製のハウジング10および押さえ部材38によって狭持されて設けられ、これによりハウジング10に対して固定されている。
熱伝導抑制部材20a,20bを構成する断熱材としては、熱伝導率の小さいものであれば特に限定されるものではないが、熱伝導率が例えば4W/(m・K)以下であるものであることが好ましい。このような材料としては、例えば、ポリアセタールやポリイミドなどのプラスチック材料、マセライトなどのマシナブルセラミックス、アルミナなどのエンジニアリングセラミックスなどを例示することができる。具体的には、ハウジング10を構成する金属材料(例えばアルミニウムまたはアルミニウム合金)よりも熱伝導率の小さい材料の中から、最高使用温度や機械的強度を考慮して、適用する部位に適切な材料が選択される。
熱伝導抑制部材20a,20bの厚さは、例えば10〜20mmである。
上記の蛍光光源装置においては、複数の励起光源50の各々からの励起光が光ファイバ55によって導光されて光ファイバ保持板35おける対応する励起光導入孔36内に入射される。ここに、各々の励起光源50においては、複数のレーザ光源51の各々におけるLD素子から出射されたレーザ光(青色光)が励起光としてコンデンサレンズ53により集光されて対応する光ファイバ素子に入射され、複数のレーザ光源51の各々からの励起光が共通の励起光導入孔36内に入射される。励起光導入孔36内に入射された励起光(図1において実線の矢印で示す。)は、励起光導入孔36内に配置されたコリメータレンズ(図示せず)によって平行光とされて集光レンズ48に入射され、集光レンズ48によって集光されながら反射鏡40の励起光透過部43を介して蛍光プレート26の励起光受光面に照射される。励起光が蛍光プレート26に照射されることにより蛍光プレート26から発せられる蛍光(図1おいて二点鎖線の矢印で示す。)は、反射鏡40により反射されて平行光とされ、蛍光プレート26の励起光受光面によって反射されたレーザ光の反射鏡40による反射光(青色光)と混合されて白色光として窓部材30を介して照射される。
一方、レーザ光が照射されることにより蛍光プレート26に生じた熱は、ハウジング10における導熱板17を介して基体部分11に伝熱され、ハウジング10の外周面が主として放熱面として機能して、基体部分11の全体から外部に放熱される。
而して、上記構成の蛍光光源装置によれば、基本的には、蛍光プレート26に生ずる熱が導熱板17を介して基体部分11に伝熱されてハウジング10の全体から外部に放熱されるので、自然空冷で使用する場合であっても、蛍光プレート26に生ずる熱を効率よく排熱することができる。
しかも、導熱板17を介して基体部分11に伝熱された蛍光プレート26に生じた熱の一部は、光ファイバ保持板35および装着部材56により形成される熱伝導経路を経て光ファイバ55の光出射端部55aに伝熱されるところ、ハウジング10と光ファイバ保持板35との間、並びに押さえ部材38と光ファイバ保持板35との間に介在された、熱伝導経路の一部を形成する断熱材よりなる熱伝導抑制部材20a,20bによって、光ファイバ55に伝熱される熱量を小さく抑制することができる。これにより、光ファイバ55の温度が耐熱温度を超えた状態となることを回避することができ、光ファイバ55の所期の出力効率を安定して得ることができる。
従って、ハウジング10から光ファイバ55の光出射端部55aに至る熱伝導経路を形成する構成部材の一部を断熱材により構成することにより、例えば、動作時における光ファイバ55の温度上昇を約30%減らすことが可能となる。これにより、光ファイバ55の温度を耐熱温度以下に維持することができ、蛍光プレート26の励起光受光面に入射されるレーザ光の入力を高くすることができるようになる。例えばレーザ光の入力を40W以上とすることができるようになる。従って、上記の蛍光光源装置によれば、高い照度の光を照射することができる。
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態に係る蛍光光源装置は、ハウジングから光ファイバに至る熱伝導経路の一部を形成する構成部材である光ファイバ保持板が、断熱材により構成されたものである。
図2は、本発明の第2の実施形態に係る蛍光光源装置の一例における構成の概略を示す、反射ミラーの光軸に沿った断面図である。
この蛍光光源装置は、光ファイバ保持板35aが断熱材により構成されており、光ファイバ保持板35aが、ハウジング10の基体部分11の他端側開口端面に、例えばO−リングよりなるシール部材33が介在された状態で、設けられた構成とされていることの他は、図1に示す蛍光光源装置と同一の構成を有する。図1に示す蛍光光源装置と同一の構成部材には、便宜上同一の符号が付されており、説明を省略することとする。
光ファイバ保持板35aを構成する断熱材としては、第1の実施形態に係る蛍光光源装置における熱伝導抑制部材20a,20bを構成するものとして例示したものを用いることができる。
光ファイバ保持板35aは、シール部材33が圧潰されて一面における周縁部がハウジング10における基体部分11の他端側開口端面に対接した状態が得られるよう、基体部分11に対して例えばネジ止めされて固定されている。固定用ネジ37としては、例えば断熱材により構成されたものが用いられることが好ましい。
而して、上記構成の蛍光光源装置によっても、第1の実施形態に係る蛍光光源装置と同様の効果を得ることができる。すなわち、ハウジング10から光ファイバ55に至る熱伝導経路の一部を形成する光ファイバ保持板35aが断熱材により構成されていることによって、光ファイバ55に伝熱される熱量を小さく抑制することができる。このため、光ファイバ55の温度が耐熱温度を超えた状態となることを回避することができ、光ファイバ55の所期の出力効率を安定して得ることができる。
<第3の実施形態>
本発明の第3の実施形態に係る蛍光光源装置は、光ファイバの光出射側端部に設けられた、ハウジングから光ファイバに至る熱伝導経路の一部を形成する構成部材である装着部材が、断熱材により構成されたものである。
図3は、本発明の第3の実施形態に係る蛍光光源装置の一例における要部の構成の概略を示す、反射ミラーの光軸に沿った断面図である。
この蛍光光源装置は、光ファイバ保持板35が、ハウジング10における基体部分11の他端側開口端面に、例えばO−リングよりなるシール部材33が介在された状態で、設けられた構成とされており、光ファイバ55の光出射端部55aに設けられた装着部材56aが断熱材により構成されていることの他は、図1に示す蛍光光源装置と同一の構成を有する。図1に示す蛍光光源装置と同一の構成部材には、便宜上同一の符号が付されており、説明を省略することとする。
装着部材56aは、光ファイバ55の光出射端部55aが挿入されて保持される円筒状の保持部57とこの保持部57の一端面に連続する平板状の装着部58とを有する。59は、保持部57を内部に受容した状態で、保持部57の外周面に係合されて装着される円筒状のキャップナットである。
装着部材56aを構成する断熱材としては、第1の実施形態に係る蛍光光源装置における熱伝導抑制部材20a,20bを構成するものとして例示したものを用いることができる。
而して、上記構成の蛍光光源装置によっても、第1の実施形態に係る蛍光光源装置と同様の効果を得ることができる。すなわち、光ファイバ55の光出射端部55aに装着された、ハウジング10から光ファイバ55に至る熱伝導経路の一部を形成する装着部材56aが断熱材により構成されていることによって、ハウジング10から光ファイバ55に至る熱伝導経路に断熱材が介在された状態とされている。これにより、光ファイバ55に伝熱される熱量を小さく抑制することができるので、光ファイバ55の温度が耐熱温度を超えた状態となることを回避することができ、光ファイバ55の所期の出力効率を安定して得ることができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
例えば、第1の実施形態に係る蛍光光源装置において、ハウジングから光ファイバに至る熱伝導経路を形成する光ファイバ保持板および光ファイバの光出射側端部に設けられた装着部材の一方または両方が断熱材により構成されていてもよい。
また、本発明の蛍光光源装置においては、ハウジングにおける導熱部分は複数の導熱板により構成されていてもよい。この場合には、導熱板の数および配置パターンは、ハウジングの構造が軸対称となるよう設定されていることが好ましい。
さらにまた、本発明の蛍光光源装置においては、保持構造体であるハウジングの外周面が、主として、蛍光部材に生じた熱を放熱する放熱面として機能する構成とされているため、ハウジングは、その外周面に放熱面積を拡大する放熱用凹凸構造を有する構成とされていてもよい。放熱用凹凸構造の具体的構成は、特に限定されるものではないが、ハウジングの外周面に一体に設けられた放熱用フィンにより構成することができる。
以下、本発明に係る蛍光光源装置の実施例について具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<作製例1>
図1に示す構成に従って、本発明に係る蛍光光源装置(A)を作製した。この蛍光光源装置(A)の仕様を以下に示す。
〔ハウジング(10)〕
基体部分(11):材質;アルミニウム合金(熱伝導率:210W/(m・K))、外径;φ260mm、軸方向の長さ寸法;260mm
導熱板(17):材質;アルミニウム合金(熱伝導率:96W/(m・K))、厚さ;20mm、軸方向の長さ寸法;60mm、径方向の長さ寸法;110mm
〔蛍光プレート(26)〕
材質;YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)の多結晶体、形状;10mm角、厚さ;0.5mm
〔光ファイバ保持板(35)〕
材質;アルミニウム合金(熱伝導率:169W/(m・K))、直径;φ250mm、厚さ;10mm
〔熱伝導抑制部材(20)〕
材質;ポリイミド(熱伝導率:0.1〜0.5W/(m・K))、外径;φ250mm、内径;φ243mmの円環板状、厚み;10mm
〔装着部材(56)〕
材質;真鍮(熱伝導率:106W/(m・K))
〔光ファイバ(55)〕
使用可能温度範囲;−20℃〜60℃
〔励起光源(50)〕
レーザ光源(51)の数;6個
LD素子;発振波長455nm
<比較作製例1>
光ファイバ保持板が熱伝導抑制部材を介さず、シール部材のみが介在された状態でハウジングの基体部分に対接されて設けられた構成とされていることの他は、上記作製例1において作製した蛍光光源装置(A)と同一の構成を有する蛍光光源装置(B)を作製した。
<実施例1>
上記の蛍光光源装置(A)および蛍光光源装置(B)の各々について、励起光源(50)を、蛍光プレート(26)の励起光受光面に入射されるレーザ光の入力が110Wとなる点灯条件で、点灯させとき、蛍光光源装置(B)では、光ファイバ(55)の温度が最大で74℃(耐熱温度以上)となるのに対して、本発明に係る蛍光光源装置(A)では、光ファイバ(55)の温度は最大でも59℃であった。ここに、光ファイバ(55)の温度は、装着部材(56)の温度である。蛍光光源装置(B)を基準とすれば、蛍光光源装置(A)での温度差ΔTは15℃であり、蛍光光源装置(B)の場合に対して20%光ファイバの温度上昇を抑制できた。
<作製例2>
図2に示す構成に従って、本発明に係る蛍光光源装置(C)を作製した。この蛍光光源装置(C)は、熱伝導拡散部材を有さず、光ファイバ保持板を断熱材により構成し、光ファイバ保持板をシール部材が介在された状態でハウジングの基体部分に対接させて設けたことの他は、上記の蛍光光源装置(A)と同一の構成を有する。
〔光ファイバ保持板(35a)〕
材質;ポリイミド(熱伝導率:0.1〜0.5W/(m・K))、形状;外径φ260mmの円板状、厚み;10mm
<比較作製例2>
光ファイバ保持板をアルミニウム合金により構成したことの他は、上記作製例2において作製した蛍光光源装置(C)と同一の構成を有する蛍光光源装置(D)を作製した。
<作製例3>
図3に示す構成に従って、本発明に係る蛍光光源装置(E)を作製した。この蛍光光源装置(E)は、熱伝導拡散部材を有さず、光ファイバ保持板をシール部材が介在された状態でハウジングの基体部分に対接させて設け、装着部材(レセプタクル)を断熱材により構成したことの他は、上記の蛍光光源装置(A)と同一の構成を有する。
〔装着部材(56a)〕
材質;ポリイミド(熱伝導率:0.1〜0.5W/(m・K))
保持部(57)の形状;外径φ8mm、内径φ4mm、長さ9mmの円筒状
装着部(58)の形状;15mm角、厚さ2mm
<実施例2>
上記の蛍光光源装置(C)、蛍光光源装置(D)および蛍光光源装置(E)の各々について、励起光源(50)を、蛍光プレート(26)の励起光受光面に入射されるレーザ光の入力が110Wとなる点灯条件で、点灯させたとき、蛍光光源装置(D)では、光ファイバ(55)の温度が最大で74℃(耐熱温度以上)となるのに対して、本発明に係る蛍光光源装置(C)では、光ファイバ(55)の温度は最大でも55℃であり、蛍光光源装置(E)では、光ファイバ(55)の温度は最大でも59℃であった。蛍光光源装置(D)を基準とすれば、蛍光光源装置(C)での温度差ΔTは19℃であり、蛍光光源装置(D)に対して26%光ファイバの温度上昇を抑制できた。また、蛍光光源装置(E)での温度差ΔTは15℃であり、蛍光光源装置(D)に対して20%光ファイバの温度上昇を抑制できた。
以上の結果より、ハウジングから光ファイバの光出射端部に至る熱伝導経路を形成する構成部材の一部が断熱材により構成されていることにより、動作時における光ファイバの温度上昇を約20%程度減らすことができ、光ファイバの温度が耐熱温度を超えた状態となることを確実に防止することができることが確認された。
10 ハウジング
11 基体部分(リム)
12 一端側筒状部
13 中央筒状部
14 他端側筒状部
15a,15b 段部
16 導熱部分(スポーク)
17 導熱板
20a,20b 熱伝導抑制部材
26 蛍光プレート
30 窓部材
33,34 シール部材
35,35a 光ファイバ保持板
36 励起光導入孔
37 固定用ネジ
38 押さえ部材
40 反射鏡
40a 反射面
43 励起光透過部
47 レンズ保持部材
48 集光レンズ
50 励起光源
51 レーザ光源
53 コンデンサレンズ(集光レンズ)
54 反射ミラー
55 光ファイバ
55a 光出射端部
56,56a 装着部材(レセプタクル)
57 保持部
58 装着部
59 キャップナット
70 励起光源
71 半導体レーザ
72 非球面レンズ
73 光ファイバ
73a 光出射端部
75 発光部
78 フェルール
80 反射鏡
81 透明板
85 熱伝導部材
86 冷却部
90 ハウジング
C 基体部分の中心軸
s 反射鏡位置規定面
L 集光レンズの光軸
M 反射鏡の光軸
S 蛍光部材配置空間

Claims (4)

  1. 励起用光源と、当該励起用光源から放射された励起光を導光する光ファイバと、当該光ファイバから出射される光が照射されることにより蛍光を発する蛍光プレートと、当該蛍光プレートから放射された蛍光を反射する反射ミラーとを備えた蛍光光源装置において、
    前記蛍光プレートおよび前記反射ミラーは、金属製のハウジングの内部において、当該ハウジングに固定されて設けられ、前記光ファイバは、当該光ファイバの光出射端部に装着された装着部材が当該ハウジングに固定された光ファイバ保持板に固定されて設けられており、
    前記ハウジングから前記光ファイバの光出射端部に至る熱伝導経路を形成する構成部材の少なくとも一部が、断熱材により構成されていることを特徴とする蛍光光源装置。
  2. 前記光ファイバ保持板は、前記熱伝導経路の一部を形成する熱伝導抑制部材を介して前記ハウジングに対して固定されて設けられており、当該熱伝導抑制部材が断熱材により構成されていることを特徴とする請求項1に記載の蛍光光源装置。
  3. 前記熱伝導経路の一部を形成する前記光ファイバ保持板が、断熱材により構成されていることを特徴とする請求項1に記載の蛍光光源装置。
  4. 前記熱伝導経路の一部を形成する前記装着部材が、断熱材により構成されていることを特徴とする請求項1に記載の蛍光光源装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2018180107A (ja) * 2017-04-06 2018-11-15 セイコーエプソン株式会社 光源装置及びプロジェクター
CN109632130A (zh) * 2018-12-20 2019-04-16 宁波中车时代传感技术有限公司 一种集成化的荧光测温光路模块装置

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