JP2018035553A - 可縮支保工の設計方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】地山状況に応じて定量的に可縮支保工の設計をすることを可能とした可縮支保工の設計方法を提案する。【解決手段】可縮部材4と支保部材3とを備える可縮支保工2の設計方法であって、地山条件に応じて可縮支保工2に作用する荷重の反力(支保工内圧)とトンネル壁面変位量との関係を表わす地山特性曲線を求める作業と、地山特性曲線により可縮部材4の降伏圧に応じたトンネル壁面変位量であるトンネル変形量を算出する作業と、可縮部材4が降伏するまでの変形量である弾性分変形量と前記可縮部材4が降伏した後の可縮支保工2の変形量である塑性分変形量を足し合わせることにより可縮変形量を算出する作業と、可縮変形量に応じて前記可縮部材4の数量およびレイアウトを設定する作業とを備えている。【選択図】図1

Description

本発明は、トンネル内空の安定化に寄与する可縮支保工の設計方法に関する。
NATM等の山岳トンネル工法では、掘削により露出した地山面に吹き付けられた吹付けコンクリートや、地山面に沿って組み立てられた鋼製支保工等のトンネル支保工により安全性を確保している。
大土被りのトンネルでは、トンネル周辺の地山の変形量が増大することでトンネル支保工に対して大きな応力が発生する場合がある。断層破砕帯や膨張性地山を掘進することにより形成されたトンネル等でも同様である。
大きな応力が発生することが予想されるトンネルでは、トンネル支保工の剛性や強度を増加させる場合がある。鋼製支保工のサイズアップ、吹付けコンクリートの増強、吹付け厚の増加等によりトンネル支保工の剛性や強度を増加させると、材料費および施工の手間が増加するとともに、トンネルの断面寸法にも影響がおよぶ。
そのため、特許文献1には、トンネル支保工(支保部材)の一部に形成された隙間に、体積比1.0%近い鋼繊維と中空粒子とを含有する繊維補強セメント系材料からなる可縮部材を介設した可縮支保工を採用し、地山の変形をこの可縮部材により吸収するトンネルの安定化方法が開示されている。可縮部材は、吹付けコンクリート等の支保部材に変状を与えない程度の剛性を有し、かつ、一定の荷重強度を維持しながら変形するため、可縮中においてもトンネルの内圧を維持することを可能としている。
特開2005−232958号公報
可縮支保工の設計手法は確立されておらず、可縮部材の数や配置等は、設計者の経験や主観により設定される。そのため、設計者の熟練度等により、支保構造に差が生じるおそれがあった。
本発明は、地山状況に応じて定量的に可縮支保工の設計をすることを可能とした可縮支保工の設計方法を提案することを課題とする。
前記課題を解決するために、第一の発明は、可縮部材のスペック(最大変形量や降伏強度等)が与えられている場合に可縮部材の最適な数量およびレイアウトを設計する可縮支保工の設計方法である。一方、第二の発明は、地山条件に応じた可縮部材のスペック、数量およびレイアウトを設計する可縮支保工の設計方法である。可縮支保工とは、可縮部材と支保部材とを備えるトンネル支保工である。
第一の発明は、地山条件に応じて、可縮支保工に作用する荷重の反力(支保工内圧)とトンネル壁面変位量(地山のトンネル半径方向の変位量)との関係を表わす地山特性曲線を求める作業と、前記地山特性曲線により可縮部材の降伏圧に応じたトンネル壁面変位量であるトンネル変形量を算出する作業と、前記可縮部材が降伏するまでの前記可縮支保工の変形量である弾性分変形量と前記可縮部材が降伏した後の前記可縮支保工の変形量である塑性分変形量を足し合わせることにより可縮変形量を算出する作業と、前記可縮変形量に応じて前記可縮部材の数量およびレイアウトを設定する作業とを備えている。
第一の発明の可縮支保工の設計方法によれば、可縮部材のレイアウトを地山状況に応じて設定することができるため、定量的に可縮支保工を設計することができる。すなわち、本発明によれば、地山特性曲線を利用してトンネルに作用する応力に応じた可縮支保工を形成するため、可縮部材の性能を最大限に生かした経済的な設計を可能としている。
なお、「地山特性曲線」とは、可縮支保工に作用する荷重の反力(支保工内圧)とトンネル壁面変位量(地山のトンネル半径方向の変位量)との関係を表わす曲線であって、例えば、Fenner−Pacher型曲線、Salenconの理論解または岡式弾塑性の理論解により算出する。また、地山特性曲線には直線を含むものとする。また、地山特性曲線は、必ずしもグラフ化(図化)する必要はない。
第二の発明は、地山条件に応じて、可縮支保工に作用する荷重の反力(支保工内圧)とトンネル壁面変位量(地山のトンネル半径方向の変位量)との関係を表わす地山特性曲線を求める作業と、前記可縮支保工の最大変形量を仮定する作業と、前記地山特性曲線により前記最大変形量に応じた支保工内圧である最小降伏圧を算出する作業と、前記地山特性曲線と支保部材の剛性との関係により前記可縮支保工の最大降伏圧を算出する作業と、前記最小降伏圧から前記最大降伏圧までの範囲内に収まるように前記可縮支保工の降伏圧を設定し、前記降伏圧に達するまでの前記可縮支保工の変形量である弾性分変形量と前記降伏圧に達した後の前記可縮支保工の変形量である塑性分変形量を足し合わせることにより可縮変形量を算出する作業と、前記可縮変形量に応じて、可縮部材の数量およびレイアウトを設定する作業とを備えていることを特徴としている。
第二の発明の可縮支保工の設計方法によれば、地山特性曲線を利用して可縮部材のスペック、数量およびレイアウトを設定するため、FEM解析等の数値計算が不要で、経済的かつ簡便に地山状況に応じた可縮支保工を設計することができる。すなわち、本発明によれば、可縮部材の仕様(降伏強度と変形性能)を地山状況に応じて設定すること(地山状況に応じた可縮部材を選定すること)ができ、ひいては、地山状況に最も適した可縮支保工を構築することができる。
本発明の可縮支保工の設計方法によれば、地山状況に応じた定量的な可縮支保工の設計を行うことが可能となる。
(a)は本発明の実施形態に係るトンネルを示す断面図、(b)はトンネルの支保構造を示す縦断図である。 本発明の実施形態に係る可縮部材を示す斜視図である。 第一の実施形態に係る可縮支保工の設計方法を示すフローチャート図である。 第一の実施形態に係る地山特性曲線および可縮支保工の力学モデルを示すグラフである。 第二の実施形態に係る可縮支保工の設計方法を示すフローチャート図である。 第二の実施形態に係る地山特性曲線および可縮支保工の力学モデルを示すグラフである。
<第一の実施形態>
第一の実施形態では、図1(a)に示すように、NATMにより構築するトンネル1に設置される可縮支保工の設計方法について説明する。
本実施形態の可縮支保工2は、吹付けコンクリート31、鋼製支保工32およびロックボルト33等からなる支保部材3(図1(b)参照)と、可縮部材4とを備えている。本実施形態の吹付けコンクリート31および鋼製支保工32は、アーチ状(馬蹄形状)に形成されている。なお、吹付けコンクリート31および鋼製支保工32の形状は限定されるものではなく、リング状であってもよい。
支保部材3は、地山の掘削により露出した地山に対して吹付けコンクリート31を吹き付けるとともに、鋼製支保工32の建込およびロックボルト33の打設を行うことにより形成する。吹付けコンクリート31の吹付け厚は限定されるものではなく、地山状況等に応じて適宜決定する。また、吹付けコンクリート31は、一次吹付けと二次吹付けに分ける等、複数の層に分けて施工してもよい。鋼製支保工32は、前回の施工サイクルで建て込まれた鋼製支保工32から所定の間隔をあけて建て込む。ロックボルト33の打設は、トンネル1の周囲の地山に対してロックボルト孔を穿孔し、このロックボルト孔にモルタルを注入するとともにロックボルト33を挿入することにより行う。
可縮部材4は、図1(a)に示すようにアーチ状に形成された吹付けコンクリート31を区切るように配設されている。可縮支保工2内における可縮部材4の設置箇所は、限定されるものではない。本実施形態では、予め所定の位置に可縮部材4を配置した状態で地山Gに対して吹付けコンクリート31を吹き付けることで、可縮部材4を配置する。なお、可縮部材4の吹付けコンクリート31への設置方法は限定されるものではなく、例えば、吹付けコンクリート31の施工後に可縮部材4を設置するための凹部を形成してもよい。または、吹付けコンクリート31の施工時に、箱抜き等により予め吹付けコンクリート31にトンネル軸方向に沿った間隙を形成しておき、この間隙に可縮部材4を配設してもよい。また、吹付けコンクリート31を2層に分けて施工する場合には、一次吹付けの施工後に、二次吹付けを横断するように可縮部材4を配置してから、二次吹付けの施工を行ってもよい。
図2に示すように、本実施形態では、可縮部材4として、四角柱状に形成された本体部41と、本体部41に周設された補強体42とを備えたものを使用する。なお、可縮部材4の構成は限定されるものではなく、例えば、無数の気泡を有した繊維補強コンクリートの硬化体や、多層構造になる鋼管が座屈しながら変形する部材等であってもよい。
本体部41は、セメントと、多孔質材と、水とを含んだモルタルの硬化体により形成されている。モルタルの配合は、本体部41の圧縮強度が吹付けコンクリート21の圧縮強度よりも低くなる配合とする。なお、本体部41は、モルタルに限定されるものではなく、例えば、コンクリートであってもよい。また、本体部41の形状は、四角柱状に限定されるものではなく、例えば、円柱状であってもよい。
本実施形態では、補強体42として、繊維シート(いわゆる土木シート)を本体部41に巻き付けている。補強体42は、本体部41の外周囲を拘束し、本体部41の圧縮時に生じる側方への変形を抑制する。すなわち、可縮部材4は、補強体42が本体部41に周設されていることで、三軸状態となり、本体部41の降伏後も可縮部材4の応力が急激に低下することがなく、トンネル壁面変位を吸収することを可能としている。なお、補強体42は、本体部41の圧縮時の側方への変形を抑制することが可能であれば、繊維シートに限定されるものではない。
次に、可縮部材4の数量およびレイアウトの設計方法について説明する。本実施形態の可縮支保工の設計方法は、図3に示すように、トンネル形状設定作業S10、地山条件設定作業S11、地山特性曲線設定作業S12、先行変位量設定作業S13、トンネル変形量算出作業S14、可縮変形量算出作業S15およびレイアウト設定作業S16を備えている。なお、本実施形態では、変形量および降伏圧Pが既知の可縮部材4を使用する。ここで、可縮部材4の降伏圧Pとは、可縮部材4の降伏強度σに対応するトンネル半径方向の応力であって、P=σ×t/Rで表わすことができる。なお、降伏強度σは、可縮部材4の一軸圧縮強度であって、可縮部材4をトンネル壁面に設置した場合、トンネル周方向の応力が当該降伏強度σを超えると可縮部材は降伏する。また、tは支保部材(吹付けコンクリート)の厚さ、Rはトンネルの掘削半径である。
トンネル形状設定作業S10では、トンネル掘削半径を設定する。トンネル掘削半径は、設計内空半径に、覆工コンクリート厚、支保部材厚および変形余裕量を加えた値とする。変形余裕量は、地山特性やトンネルの断面形状等に応じて、適宜設定する。なお、トンネル掘削半径の設定方法は限定されるものではない。
地山条件設定作業S11は、土被りや地山等級等に応じて地山物性値を設定する作業である。地山物性値は、地山の単位体積重量、変形係数、粘着力、内部摩擦角、ポアソン比などであり、既往のデータ、地質調査結果、地表踏査結果、物理探査結果等に基づいて設定する。
地山特性曲線設定作業S12では、可縮支保工2に作用する荷重の反力(支保工内圧)とトンネル壁面変位量(地山のトンネル半径方向の変位量)との関係を表わす地山特性曲線を求める。地山特性曲線は、土被りや地山物性値等の地山条件に応じて設定する。本実施形態では、図4に示すように、地山特性曲線(Fenner−Pacher型曲線)Lを作成する。なお、地山特性曲線は、Fenner−Pacher型曲線に限定されるものではなく、例えば、Salenconの理論解や岡式弾塑性の理論解を採用してもよい。
先行変位量設定作業S13では、可縮支保工2を設置するまでにトンネル壁面に生じる変位量(先行変位量δ)を仮定する。先行変位量δは、地山物性値や土被り等の地山条件に基づいて、既往事例や数値解析等により仮定する。
トンネル変形量算出作業S14では、トンネル壁面の変形量をδとして仮定する。トンネル変形量δを可縮部材4の降伏圧Pに応じたトンネル壁面変位量(ひずみ)と仮定すれば、地山特性曲線において、可縮部材4の降伏圧Pを支保工内圧とした場合のトンネル壁面変位量(点Aのトンネル壁面変位量)はトンネル変形量δと等しい。
可縮変形量算出作業S15では、可縮支保工2の変形量(可縮変形量)を算出する。
まず、可縮支保工2の変形量の弾性分(以下、「弾性分変形量δ」という)を算出する。弾性分変形量δは、可縮部材4の降伏圧Pが作用した際の可縮支保工2の変形量である。すなわち、弾性分変形量δは、可縮部材4が降伏するまでの可縮支保工2に発生するトンネル半径方向の変形量である。
次に、降伏後の可縮部材4によって吸収するトンネル壁面変位量である変形量の塑性分(以下、「塑性分変形量δ」という)を算出する。塑性分変形量δは、トンネル変形量δから先行変位量δおよび弾性分変形量δを減じた値である。
そして、弾性分変形量δと塑性分変形量δを足し合わせて可縮変形量δ+δを算出する。
レイアウト設定作業S16では、可縮部材4の数量およびレイアウトを設定する。
まず、可縮変形量δ+δに応じて、断面当たりの可縮部材4の数量を設定する。すなわち、可縮変形量δ+δから、可縮部材4の1個当たりの変形量δを除することで、可縮部材4の数量(トンネル周方向の数量)を設定する。このとき、可縮部材4の数量に応じた変形量(1個当たりの変形量δ×可縮部材4の数量)が可縮変形量δ+δを上回るように、可縮部材4の数量を決定する。例えば、可縮部材4の1個当たりの変形量δが0.3で、可縮変形量δ+δ=1の場合は、可縮部材4の数量は4個(>1/0.3)にすればよい。ただし、変形量δは、トンネル半径方向の変形量であり、可縮部材4の周方向の変形量δ’(一軸圧縮試験時の軸方向の変形量に相当する)は、δ’=2π×δで表すことができる。
可縮部材4の数量が決定したら、可縮部材4のレイアウトを設定する。例えば、可縮部材4の数量が8個の場合は、トンネル断面の左右に4個ずつ配置すればよい(図1(a)参照)。また、可縮部材4の数量が4個の場合は、トンネル断面の左右に2個ずつ配置すればよい。なお、可縮部材4のレイアウトは限定されるものではなく、例えば、トンネル周方向に対して、複数の可縮部材4を連続して配置してもよい。
本実施形態の可縮支保工の設計方法によれば、変形量および降伏圧が与えられている可縮部材4を、地山状況に応じて配置することができるため、定量的に可縮支保工2を設計することができる。地山特性曲線を利用してトンネル1に作用する応力に応じた可縮支保工2を形成するため、可縮部材4の性能を最大限に生かすことが可能となり、ひいては、経済的な設計が可能となる。
吹付けコンクリート31よりも低強度の可縮部材4を使用しているため、外力によるトンネル支保工の変形を可縮部材4に集中させることができる。そのため、支保部材3に変状を与える過度な応力が生じることがなく、トンネル1の支保工(あるいは覆工)としての安全性を維持することができる。
<第二の実施形態>
第二の実施形態では、第一の実施形態と同様に、NATMにより構築するトンネル1に設置される可縮支保工の設計方法について説明する。
本実施形態の可縮支保工2は、図1(a)および(b)に示すように、吹付けコンクリート31、鋼製支保工32およびロックボルト33等からなる支保部材3と、可縮部材4とを備えている。
なお、支保部材3および可縮部材4の詳細は、第一の実施形態で示したものと同様なため、詳細な説明は省略する。
次に、可縮部材4の数量およびレイアウトの設計方法について説明する。本実施形態の可縮支保工の設計方法は、図5に示すように、トンネル形状設定作業S20、地山条件設定作業S21、地山特性曲線設定作業S22、先行変位量設定作業S23、最大変形量算出作業S24、最小降伏圧算出作業S25、最大降伏圧算出作業S26、降伏圧設定作業S27、可縮変形量算出作業S28およびレイアウト設定作業S29を備えている。本実施形態では、降伏強度(降伏圧)が異なる、複数種の可縮部材4の中から最適の降伏強度(降伏圧)を有した可縮部材4を選定して、配設する場合について説明する。なお、可縮部材4は、地山条件に応じた降伏強度(降伏圧)となるように製造してもよい。ここで、可縮部材4の降伏圧Pとは、可縮部材4の降伏強度σに対応するトンネル半径方向の応力であって、P=σ×t/Rで表わすことができる。なお、降伏強度σは、可縮部材4の一軸圧縮強度であって、可縮部材4をトンネル壁面に設置した場合、トンネル周方向の応力が当該降伏強度σを超えると可縮部材は降伏する。また、tは支保部材(吹付けコンクリート)の厚さ、Rはトンネルの半径である。
トンネル形状設定作業S20、地山条件設定作業S21、地山特性曲線設定作業S22および先行変位量設定作業S23の詳細は、第一の実施形態で示したトンネル形状設定作業S10、地山条件設定作業S11、地山特性曲線設定作業S12および先行変位量設定作業S13と同様なため、詳細な説明は省略する。
最大変形量算出作業S24では、可縮支保工2の最大変形量δmax(トンネル壁面変位量の許容値)を仮定する(図6参照)。最大変形量δmaxは、地山特性やトンネル断面形状等に応じて推定する。
最小降伏圧算出作業S25では、可縮部材4の最小降伏圧Pminを算出する。最小降伏圧Pminは、最大変形量δmaxに応じた支保工内圧である。すなわち、図6に示すように、最大変形量δmax(点A)に対応する支保工内圧を地山特性曲線(地山特性曲線)から求め、これを可縮部材4の最小降伏圧Pminとする。
最大降伏圧算出作業S26では、可縮支保工2の最大降伏圧Pmaxを算出する。最大降伏圧Pmaxは、可縮支保工2の降伏圧が地山特性に対して過大になることがないように、可縮部材の弾性的挙動を示す直線Lと地山特性曲線Lとの交点Bにおける支保工内圧とする。本実施形態では、トンネル壁面変位量が先行変位量δになったときに支保部材3を設置したと仮定している。すなわち、(δ,0)を基点として延びる直線Lと地山特性曲線Lとの交点Bを求め、この交点Bに対応する支保工内圧を最大降伏圧Pmaxとする。
降伏圧設定作業S27では、可縮部材4の降伏強度σに対応する降伏圧Pを設定する。
降伏圧Pは、支保部材の降伏圧Psy以下で、かつ、最小降伏圧Pmin以上となるように設定する。支保部材の降伏圧Psyは、最大降伏圧Pmaxから最小降伏圧Pminの範囲内に収まるように設定する。本実施形態では、降伏圧Pが異なる複数の可縮部材4,4,…の中から、支保部材の降伏圧Psyから最小降伏圧Pminの範囲内に収まる降伏圧Pを有する可縮部材4を選定する。
可縮変形量算出作業S28では、可縮支保工2の可縮変形量を算出する。
まず、降伏圧Pに対応する可縮支保工の弾性分の変形量である弾性分変形量δを算出する。弾性分変形量δは、可縮部材4が降伏するまでの可縮支保工2の変形量である。続いて、降伏圧Pに対応するトンネル壁面変位量であるトンネル変形量δを地山特性曲線(地山特性曲線L)により算出する(点C)。そして、可縮支保工2によって吸収するトンネル壁面変位量である可縮支保工の塑性分変形量δを算出する。塑性分変形量δは、トンネル変形量δから先行変位量δおよび弾性分変形量δを減じた値である。塑性分変形量δが決定したら、弾性分変形量δと塑性分変形量δとを足し合わせて可縮変形量を算出する。
レイアウト設定作業S29では、数量およびレイアウトを設定する。
まず、降伏強度σ(降伏圧P)が異なる複数種の可縮部材4の中からPmin≦P<Psyを満たす最適の降伏強度(降伏圧)を有していると思われる可縮部材4を選定する。次に、可縮変形量(弾性分変形量δ+塑性変形量δ)から、可縮部材4の1個当たりの変形量δを除することで可縮部材4の数量を算出する。このとき、可縮部材4の数量に応じた変形量(1個当たりの変形量δ×数量)が、可縮変形量δ+δを上回るように、可縮部材4の数量を決定する。例えば、可縮部材4の1個当たりの変形量δが0.3で、可縮変形量δ+δ=1の場合は、可縮部材4の数量は4個(>1/0.3)にすればよい。ただし、変形量δは、トンネル半径方向の変形量であり、可縮部材4の周方向の変形量δ’(一軸圧縮試験時の軸方向の変形量に相当する)は、δ’=2π×δで表すことができる。
可縮部材4の数量が決定したら、可縮部材4のレイアウトを設定する。例えば、可縮部材4の数量が8個の場合は、トンネル断面の左右に4個ずつ配置すればよい(図1(a)参照)。また、可縮部材4の数量が4個の場合は、トンネル断面の左右に2個ずつ配置すればよい。
なお、可縮部材4の降伏強度σは、支保部材3(吹付けコンクリート31)の設計基準強度(σ’ck)よりも低い値とする(F×σ≦σ’ck:F=安全率)。
ここで、可縮部材4の数量は、経済性および施工性を考慮して設定する。すなわち、可縮部材4の数が多く、不経済かつ施工に手間がかかる場合等には、降伏圧Pが異なる他の可縮部材により再度数量及びレイアウトを検討する。可縮部材4として降伏圧P(降伏強度σ)が大きいものを使用する場合には、可縮部材4の数量を少なくすることができる。可縮部材4の数量が少ない場合には、施工時の手間を省略することができるが、可縮部材4の強度を高めることで可縮部材4が高価になるおそれがある。一方、可縮部材4として降伏圧P(降伏強度σ)が小さいものを使用する場合には、可縮部材4の数量を多くする必要がある。可縮部材4の強度を低くすることで、可縮部材4の製造コストを下げることができるが、多数配置することによって、施工に手間がかかる。したがって、可縮部材4のスペック、数量およびレイアウトは、施工性および経済性を考慮して最適な組み合わせを決定する必要がある。
本実施形態の可縮支保工の設計方法によれば、地山特性曲線を利用して、可縮部材4のスペック、数量およびレイアウトを設定するため、FEM等の数値計算を必要とせず、より経済的で、かつ、地山状況に応じた可縮支保工2の設計が容易かつ迅速にできる。すなわち、可縮部材4の降伏強度と変形性能を地山状況に応じて設定すること(地山状況に応じた可縮部材4を選定すること)ができ、ひいては、施工性に優れ、かつ、地山状況に最も適した可縮支保工2を構築することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが本発明は、前述の実施形態に限られず、前記の各構成要素については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。
可縮部材の構成は、前記各実施形態で示した本体部と補強体とを備えるものに限定されない。例えば、鋼繊維と中空粒子とを含有する繊維補強セメント系材料からなるものであってもよい。
また、可縮部材は、予め工場等で製造したものを使用してもよいし、現場にて製造してもよい。
トンネルの支保構造は、地山状況(地山等級)に応じて適宜決定すればよい。
さらに、本発明の可縮支保工の設計方法が採用可能なトンネルの施工方法はNATMに限定されるものではなく、例えば、在来工法、TBMまたはシールド工法に適用してもよい。
1 トンネル
2 可縮支保工
3 支保部材
4 可縮部材

Claims (2)

  1. 可縮部材と支保部材とを備える可縮支保工の設計方法であって、
    地山条件に応じて、前記可縮支保工に作用する荷重の反力とトンネル壁面変位量との関係を表わす地山特性曲線を求める作業と、
    前記地山特性曲線により前記可縮部材の降伏圧に応じたトンネル壁面変位量であるトンネル変形量を算出する作業と、
    前記可縮部材が降伏するまでの前記可縮支保工の変形量である弾性分変形量と前記可縮部材が降伏した後の前記可縮支保工の変形量である塑性分変形量を足し合わせることにより可縮変形量を算出する作業と、
    前記可縮変形量に応じて、前記可縮部材の数量およびレイアウトを設定する作業と、を備えていることを特徴とする、可縮支保工の設計方法。
  2. 可縮部材と支保部材とを備える可縮支保工の設計方法であって、
    地山条件に応じて、前記可縮支保工に作用する荷重の反力とトンネル壁面変位量との関係を表わす地山特性曲線を求める作業と、
    前記可縮支保工の最大変形量を仮定する作業と、
    前記地山特性曲線により前記最大変形量に応じた支保工内圧である最小降伏圧を算出する作業と、
    前記地山特性曲線と前記支保部材の剛性との関係により前記可縮支保工の最大降伏圧を算出する作業と、
    前記最小降伏圧から前記最大降伏圧までの範囲内に収まるように前記可縮支保工の降伏圧を設定する作業と、
    前記降伏圧に達するまでの前記可縮支保工の変形量である弾性分変形量と前記降伏圧に達した後の前記可縮支保工の変形量である塑性分変形量を足し合わせることにより可縮変形量を算出する作業と、
    前記可縮変形量に応じて、前記可縮部材の数量およびレイアウトを設定する作業と、を備えていることを特徴とする、可縮支保工の設計方法。
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