JP2018035255A - 太陽電池モジュール用封止材、太陽電池モジュール用シート、太陽電池モジュールの製造方法、及び太陽電池モジュール - Google Patents

太陽電池モジュール用封止材、太陽電池モジュール用シート、太陽電池モジュールの製造方法、及び太陽電池モジュール Download PDF

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祥之 小林
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正範 宮下
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Abstract

【課題】本発明は、ラミネート工程の際のセル破損防止性ならびに耐熱性に優れた太陽電池モジュール用封止材や太陽電池モジュール用シート、及び発電効率に優れた太陽電池モジュールを提供することをその課題とする。をその課題とする。【解決手段】 ポリオレフィン系樹脂を主成分とし、融点が112℃以上130℃以下であり、20℃における結晶化度が29%以上70%以下であり、70℃における結晶化度が29%未満であり、かつ0℃における結晶融解熱量が80J/g以上120J/g以下であることを特徴とする、太陽電池モジュール用封止材。【選択図】図1

Description

本発明は、太陽電池モジュール用封止材、太陽電池モジュール用シート、太陽電池モジュールの製造方法、及び太陽電池モジュールに関するものである。
太陽電池モジュールは、一般に、受光面側から、ガラスが一般的である受光面保護基材、受光面側封止材、電極が配されたセル、裏面側封止材、及び裏面保護シート(バックシートなどと呼ばれることもある)が順に積層された構成となっており、それぞれの構成部材を積層させて、圧着して一体化する工程(例えば、ラミネート工程)を経て製造される。
前記封止材としてエチレン−酢酸ビニル共重合体(以下、EVAと略すことがある。)を主成分とするもの(特許文献1)や、ポリオレフィン系樹脂を主成分とするもの(特許文献2)が知られている。
特開2013−77622号公報 特開2014−237756号公報
しかしながら、特許文献1の封止材はEVAから発生する酢酸によりセルの劣化が起こる恐れがある。また、特許文献2の封止材は、融点が著しく高い樹脂を用いており、ラミネート工程にてセルが破損し、太陽電池モジュールとしたときの発電効率の低下に繋がる恐れがある。さらに、特許文献2の封止材は低融点樹脂を多く含むため、耐熱性に懸念が有り、太陽電池モジュールが高温にさらされた際にセルの位置がずれるなどの不具合が発生する恐れもある。本発明はかかる従来技術の欠点を改良し、ラミネート工程の際のセル破損防止性ならびに耐熱性に優れた太陽電池モジュール用封止材や太陽電池モジュール用シート、及び発電効率に優れた太陽電池モジュールを提供することをその課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、下記の構成からなる。
(1) ポリオレフィン系樹脂を主成分とし、融点が112℃以上130℃以下であり、20℃における結晶化度が29%以上70%以下であり、70℃における結晶化度が29%未満であり、かつ0℃における結晶融解熱量が80J/g以上120J/g以下であることを特徴とする、太陽電池モジュール用封止材。
(2) 融点が112℃以上130℃以下であるポリエチレン系樹脂を樹脂Aとしたときに、樹脂Aを主成分とすることを特徴とする、(1)に記載の太陽電池モジュール用封止材。
(3) 融点が65℃未満である樹脂を樹脂Bとしたときに、太陽電池モジュール用封止材を構成する全成分100質量%中、樹脂Bを10質量%以上50質量%未満含むことを特徴とする、(1)又は(2)に記載の太陽電池モジュール用封止材。
(4) 前記樹脂Bが、ポリオレフィン系樹脂を含むことを特徴とする、(3)に記載の太陽電池モジュール用封止材。
(5) 前記ポリオレフィン系樹脂が、ポリプロピレン系樹脂を含むことを特徴とする、(4)に記載の太陽電池モジュール用封止材。
(6) 前記ポリオレフィン系樹脂が、無水酸基及び/又はカルボキシル基を有する樹脂を含むことを特徴とする、(4)に記載の太陽電池モジュール用封止材。
(7) 前記無水酸基及び/又はカルボキシル基を有する樹脂が、以下の一般式(I)又は(II)で表される環状無水酸基を有する樹脂であることを特徴とする、(6)に記載の太陽電池モジュール用封止材。
Figure 2018035255
(波線はポリマーの主鎖である。)
Figure 2018035255
(波線はポリマーの主鎖である。)
(8) (1)〜(7)のいずれかに記載の太陽電池モジュール用封止材から構成される層をX層、融点が130℃を超える層をY層としたときに、X層及びY層を有することを特徴とする、太陽電池モジュール用シート。
(9) 前記Y層が、ポリエステル系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、及びポリアミド系樹脂から選ばれる少なくとも一つの樹脂を、層を構成する全成分100質量%に対して、50質量%より多く100質量%以下含むことを特徴とする、(8)に記載の太陽電池モジュール用シート。
(10) (1)〜(7)のいずれかに記載の太陽電池モジュール用封止材、又は(8)又は(9)に記載の太陽電池モジュール用シートを含む積層体を、減圧下で加熱圧着する工程を有することを特徴とする、太陽電池モジュールの製造方法。
(11) (1)〜(7)のいずれかに記載の太陽電池モジュール用封止材、及び前記Y層を有することを特徴とする、太陽電池モジュール。
本発明によれば、ラミネート工程の際のセル破損防止性ならびに耐熱性に優れた太陽電池モジュール用封止材や太陽電池モジュール用シート、及び発電効率に優れた太陽電池モジュールを提供することができる。
本発明の一実施態様に係る太陽電池モジュール用封止材の模式図(側面図)を示す。 本発明の一実施態様に係る太陽電池モジュール用封止材の模式図(側面図)を示す。 本発明の一実施態様に係る太陽電池モジュール用封止材の模式図(側面図)を示す。 本発明の一実施態様に係る太陽電池モジュール用シートの模式図(側面図)を示す。 本発明の一実施態様に係る太陽電池モジュール用シートの模式図(側面図)を示す。 本発明の一実施態様に係る太陽電池モジュールの模式図(側面図)を示す。 太陽電池モジュール用封止材のDSC曲線の模式図を示す。 ラミネート工程の際のセル破損防止性、並びに耐熱性評価に用いる太陽電池モジュールを作成する際の積層態様についての模式図(受光面保護基材側から見た上面図)を示す。 図8におけるA−A’断面矢視図を示す。
(太陽電池モジュール用封止材)
以下に、本発明の太陽電池モジュール用封止材について、図面を参照しながら詳細に説明する。本発明の太陽電池モジュール用封止材は、ポリオレフィン系樹脂を主成分とし、融点が112℃以上130℃以下であり、20℃における結晶化度が29%以上70%以下であり、70℃における結晶化度が29%未満であり、かつ結晶融解熱量が80J/g以上120J/g以下であることを特徴とする。
図1〜3に、本発明の一実施態様に係る太陽電池モジュール用封止材の側面図を示す。本発明の太陽電池モジュール用封止材は、本発明の効果を損なわない限り単層構成であっても多層構成であってもよい。封止材を構成する層をxn(nは整数)層とすると、図1はx1層1のみの単層構成の態様、図2はx1層1及びx2層2の2層構成の態様、図3はx1層1、x2層2、及びx3層3の3層構成の態様を表す。複数の層を有する態様としては、例えば、無機粒子の含有量が異なる複数の層を有する態様や、主成分となる樹脂の種類が異なる態様が挙げられる。
本発明の太陽電池モジュール用封止材は、ラミネート工程の際のセル破損防止性、及び太陽電池モジュールとしたときの耐熱性を十分に確保する観点から、融点が112℃以上130℃以下であることが重要である。
太陽電池モジュール用封止材の融点が112℃以上であることにより、太陽電池モジュールとしたときに高温にさらされても溶融しにくくなり、セルがずれることによる外観不具合や配線の短絡を軽減することができる。
ここで融点とは、示差走査熱量計を用い、窒素ガス流入量50mL/分の条件下で、サンプルを10℃/分の速度で30℃から−30℃まで冷却させた後、−30℃にて10分間保持し、10℃/分の速度で440℃まで昇温(1st heating)させたときの1st heatingにおける吸熱ピーク温度のうち、ピーク強度が最大のものをいう。ピーク強度とは、1st heatingにおいて、400℃における点と0℃における点を結んだ線をベースラインとし、ベースラインと各ピークの頂点との距離をいう(図7参照、但し400℃における点は図示しない。)。なお、太陽電池モジュール用封止材の熱分解によるピークは、融点測定のための評価対象から除外するものとする。熱分解によるピークか否かの判断は、熱重量分析(TGA)を用いて行うこととし、重量減少が5%以上のピークを熱分解によるピークとして取り扱う。以後、融点とは、特に断りがない限り本方法により測定した融点をいう。
太陽電池モジュールとしたときの耐熱性を十分に確保する観点から、本発明の太陽電池モジュール用封止材の融点は116℃以上が好ましく、123℃以上がより好ましい。
また、太陽電池モジュール用封止材の融点が130℃以下であることにより、本発明の太陽電池モジュール用封止材は太陽電池モジュールを製造するラミネート工程において十分に溶融し、セルや配線が作る凸凹を包埋することができる。その結果、得られる太陽電池モジュールの外観が良好となる。
本発明の太陽電池モジュール用封止材の融点は、ラミネート工程の際のセル破損防止性、及び太陽電池モジュールとしたときの耐熱性を十分に確保する観点から、116℃以上130℃以下であることが好ましく、123℃以上130℃以下であることが好ましい。
本発明の太陽電池モジュール用封止材は、ラミネート工程の際のセル破損防止性、及び太陽電池モジュールとしたときの耐熱性を十分に確保する観点から、20℃における結晶化度が29%以上70%以下であり、70℃における結晶化度が29%未満であることが重要である。ここで、20℃における結晶化度(%)、及び70℃における結晶化度(%)は、以下の式1、2により算出するものとする。
式1: 20℃における結晶化度(%)=ΔH20℃ ÷ 293 × 100
式2: 70℃における結晶化度(%)=ΔH70℃ ÷ 293 × 100
ΔH20℃とは、20℃における結晶融解熱量(J/g)をいい、ΔH70℃とは、70℃における結晶融解熱量(J/g)をいう、なお、他の温度における結晶融解熱量(J/g)についても、以後同様の表記をすることがある。これらの測定方法については後述する。
太陽電池モジュールを製造するラミネート工程において加圧を開始するときの温度は、通常70℃前後である。太陽電池モジュール用封止材の70℃における結晶化度が29%未満であると、加圧開始段階で太陽電池モジュール用封止材は十分な柔軟性を有するため、ラミネート工程におけるセルの破損が軽減される。上記観点から、太陽電池モジュール用封止材の70℃における結晶化度は、27%以下であることが好ましい。
また、太陽電池モジュール用封止材の70℃における結晶化度の下限値は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されないが、太陽電池モジュールとしたときの耐熱性を確保する観点から5%であることが好ましい。太陽電池モジュール用封止材の70℃における結晶化度が5%以上であることにより、太陽電池モジュールとしたときに高温下にさらされても、太陽電池モジュール用封止材部分の粘度が保たれる。その結果、太陽電池モジュールのセルがずれることによる外観不具合や配線の短絡を軽減することができる。上記観点から、太陽電池モジュール用封止材の70℃における結晶化度の下限値は10%がより好ましく、20%がさらに好ましい。
本発明の太陽電池モジュール用封止材の70℃における結晶化度は、ラミネート工程の際のセル破損防止性、及び太陽電池モジュールとしたときの耐熱性を十分に確保する観点から、5%以上29%未満であることが好ましく、10%以上29%未満であることがより好ましく、20%以上27%以下であることがさらに好ましい。
太陽電池モジュール用封止材の20℃における結晶化度が29%以上であることにより、太陽電池モジュールとしたときに高温下にさらされても、太陽電池モジュール用封止材部分の粘度が保たれる。その結果、太陽電池モジュールのセルがずれることによる外観不具合や配線の短絡を軽減することができる。上記観点から、太陽電池モジュール用封止材の20℃における結晶化度は32%以上が好ましく、34%以上がより好ましい。
また、太陽電池モジュール用封止材の20℃における結晶化度が70%以下であることにより、太陽電池モジュール用封止材の柔軟性を十分確保することができるため、太陽電池モジュールを製造するラミネート工程におけるセルの破損を軽減することができる。上記観点から、太陽電池モジュール用封止材の20℃における結晶化度は50%以下が好ましく、40%以下がより好ましい。
本発明の太陽電池モジュール用封止材の20℃における結晶化度は、ラミネート工程の際のセル破損防止性、及び太陽電池モジュールとしたときの耐熱性を十分に確保する観点から、32%以上50%以下であることが好ましく、34%以上40%以下であることがより好ましい。
本発明の太陽電池モジュール用封止材は、ラミネート工程の際のセル破損防止性、及び太陽電池モジュールとしたときの耐熱性を十分に確保する観点から、0℃における結晶融解熱量が80J/g以上120J/g以下であることが重要である。
0℃における結晶融解熱量(ΔH0℃(J/g))は、前述の1st heatingにおけるDSC曲線と、前述ベースラインにより囲まれる部分の面積をSとすると、以下の式3により求めることができる。また、ΔH20℃(J/g)は、前述の1st heatingにおけるDSC曲線とベースラインにより囲まれる部分のうち、20℃から400℃の間の部分の面積から同様にして求めることができる。ΔH70℃(J/g)についても、面積の測定対象を70℃から400℃の間とする以外はΔH20℃(J/g)と同様にして求めることができる。
式3: ΔH0℃(J/g)=a×S
ここで、比例定数aは、本測定に用いる装置と同じ装置を用い、インジウムや鉛など融解熱量が既知の純物質を測定した時の融解熱量と面積より求めることができる。
太陽電池モジュール用封止材の0℃における結晶融解熱量が80J/g以上であることにより、太陽電池モジュールとしたときに高温下にさらされても、太陽電池モジュール用封止材部分の粘度が保たれる。その結果、太陽電池モジュールのセルがずれることによる外観不具合や配線の短絡を軽減することができる。上記観点から、太陽電池モジュール用封止材の0℃における結晶融解熱量は90J/g以上が好ましく、95J/g以上がより好ましい。
また、太陽電池モジュール用封止材の0℃における結晶融解熱量が120J/g以下であることにより、太陽電池モジュール用封止材の柔軟性を十分確保することができるため、太陽電池モジュールを製造するラミネート工程におけるセルの破損を軽減することができる。上記観点から、太陽電池モジュール用封止材の0℃における結晶融解熱量は115J/g以下が好ましく、110J/g以下がより好ましい。
本発明の太陽電池モジュール用封止材の0℃における結晶融解熱量は、ラミネート工程の際のセル破損防止性、及び太陽電池モジュールとしたときの耐熱性を十分に確保する観点から、90J/g以上115J/g以下であることが好ましく、95J/g以上110J/g以下であることがより好ましい。
本発明の太陽電池モジュール用封止材は、封止性、耐衝撃性、軽量性、及び耐候性の観点から、ポリオレフィン系樹脂を主成分とすることが重要である。ポリオレフィン系樹脂は、ラミネート工程の際に十分溶融、流動するため、容易にセルや配線などの部材を包埋することができる。さらに、ポリオレフィン系樹脂は、衝撃に強く、耐候性に優れ、かつ比較的密度が小さい樹脂である。そのため、太陽電池モジュール用封止材がポリオレフィン系樹脂を主成分とすることにより、太陽電池モジュールとしたときの封止性、耐衝撃性、及び耐候性が向上し、さらに軽量化も容易となる。
ここで、「主成分がポリオレフィン系樹脂である」とは、「太陽電池モジュール用封止材の全成分100質量%中に、ポリオレフィン系樹脂を50質量%より多く100質量%以下含むこと」をいい、以下、「主成分とする」に関して同様の言い換えができる。なお、本発明の効果を損なわない限り、ポリオレフィン系樹脂は一種類でも複数種類を混合したものであってもよい。なお、後者の場合におけるポリオレフィン系樹脂の含有量は全てのポリオレフィン系樹脂を合算して算出するものとする。ポリオレフィン系樹脂としては、例えばポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂を挙げることができる。
ポリエチレン系樹脂としては、例えば、エチレンの単独重合体、エチレンα−オレフィン共重合体、エチレン−官能基含有ビニル化合物共重合体、エチレン−官能基含有アクリル化合物共重合体、又はエチレン−官能基含有メタクリル化合物共重合体などを挙げることでき、なかでもポリエチレン又はエチレンα−オレフィンをより好ましく用いることができる。ここで、α−オレフィンとは炭素数2〜25のアルケンのうちα位に二重結合を持つもののことをいう。本発明の太陽電池モジュール用封止材においては、その柔軟性を高め、太陽電池モジュールに荷重が掛かった際のセルの破損を抑える観点から、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテンなどを用いることが好ましく、1−ブテン、及び/又は、1−ヘキセンを用いることが好ましい。
ポリエチレン系樹脂を密度などの観点から分類した場合、原料樹脂の製造コストの観点から、高密度ポリエチレン(HDPE:密度が945kg/mより大きいポリエチレン)、低密度ポリエチレン(LDPE:高圧法により製造される密度900〜945kg/mのポリエチレン)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE:シングルサイトまたはマルチサイト触媒を用い、低圧法により製造される密度900〜945kg/mのポリエチレン)、超低密度ポリエチレン(VLDPE:密度900kg/m未満のポリエチレン)等を好ましく用いることができ、直鎖状低密度ポリエチレンをより好ましく用いることができる。
ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、アイソタクチックホモポリプロピレン、シンジオタクチックホモポリプロピレン、およびアタクチックホモポリプロピレンなどのプロピレン単独重合体、エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体およびエチレン−プロピレンランダムブロック共重合体などに代表されるα−オレフィン−プロピレン共重合体(ここでいうα−オレフィンとは、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテンおよび1−ノネンなどのことをいう。)、変性ポリプロピレン系樹脂、およびエチレン、イソプレン、ブタジエンおよびスチレンなどのブロック部をもつプロピレンブロック共重合体などが好ましく挙げられる。また、ポリプロピレン系樹脂は1種類もしくは2種類以上を混合して使用してもよく、2種類以上を混合したものの例として、ブロックポリプロピレンと呼ばれる、プロピレンのホモポリマーとエチレン−プロピレン共重合体とを含有する混合物が挙げられる。ブロックポリプロピレンは、反応槽にて重合により作られるプロピレンのホモポリマーと、続いて後続の反応槽にて共重合により作られるエチレン−プロピレン共重合体とを混合物とすることにより得ることができる。
また、前記ポリオレフィン系樹脂は、極性官能基を有するポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂であってもよい。極性官能基を有するポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂は、例えば、エチレンと極性官能基を有する化合物とを共重合して得ることや、ポリエチレンに極性官能基を有する化合物を反応させて得ることや、プロピレンと極性官能基を有する化合物とを共重合して得ることや、ポリプロピレンに極性官能基を有する化合物を反応させて得ることができる。
本発明の太陽電池モジュール用封止材は、太陽電池モジュールとしたときの外観を損なわずに耐熱性を十分に確保する観点から、融点が112℃以上130℃以下であるポリエチレン系樹脂を樹脂Aとしたときに、樹脂Aを主成分とすることが好ましい。樹脂Aを主成分とすることで太陽電池モジュール用封止材の融点は、太陽電池モジュールとしたときに高温下にさらされても溶融しない程度に高くなり、ラミネート工程において十分に溶融する程度に低く抑えられる。そのため、太陽電池モジュールを高温下で使用しても、セルのずれによる外観不具合や配線の短絡が発生しにくくなり、かつラミネート工程でセルや配線が作る凸凹が十分に包埋されて太陽電池モジュールの外観が良好となる。上記観点から、樹脂Aの融点は116℃以上130℃以下であることがより好ましく、123℃以上130℃以下であることがさらに好ましい。
加えて、ポリエチレン系樹脂は光による分解が特に起こりにくい。そのため、太陽電池モジュール用封止材がポリエチレン系樹脂である樹脂Aを主成分とすることにより、太陽電池モジュールとしたときの耐候性も向上し、太陽電池モジュールにクラックなどが発生しにくくなる。すなわち、ポリエチレン系樹脂である樹脂Aを主成分とすることで、太陽電池モジュールの耐用年数がより長くなる。
本発明の太陽電池モジュール用封止材は、ラミネート工程におけるセルの破損軽減及び太陽電池モジュールとしたときの耐熱性向上の観点から、融点が65℃未満である樹脂を樹脂Bとしたときに、太陽電池モジュール用封止材を構成する全成分100質量%中、樹脂Bを10質量%以上50質量%未満含むことが好ましい。
このような態様とすることにより、ラミネート工程で加圧を開始するときの温度にて太陽電池モジュール用封止材が十分に柔らかくなり、ラミネート工程におけるセルの破損を軽減することができる。上記観点から太陽電池モジュール用封止材は、太陽電池モジュール用封止材を構成する全成分100質量%中、樹脂Bを20質量%以上含むことがより好ましく、樹脂Bを25質量%以上含むことがさらに好ましい。
また、太陽電池モジュールとしたときの耐熱性をより高める観点から、太陽電池モジュール用封止材は、太陽電池モジュール用封止材を構成する全成分100質量%中、樹脂Bを40質量%以下含むことがより好ましく、35質量%以下含むことがさらに好ましい。
すなわち、ラミネート工程におけるセルの破損軽減と太陽電池モジュールとしたときの耐熱性向上を両立させる観点からは、太陽電池モジュール用封止材は、太陽電池モジュール用封止材を構成する全成分100質量%中、樹脂Bを20質量%以上40質量%以下含むことがより好ましく、25質量%以上35質量%以下含むことがさらに好ましい。
加えて、太陽電池モジュール用封止材の製造時に、原料樹脂同士の貼り付きや、太陽電池モジュール用封止材同士の貼り付きによる生産性の低下を軽減する観点から、樹脂Bの融点は30℃以上であることが好ましく、40℃以上がより好ましく、50℃以上がさらに好ましい。
太陽電池モジュールとしたときの耐候性の観点から、樹脂Bが、ポリオレフィン系樹脂を含むことが好ましい。ポリオレフィン系樹脂は光による分解が起こりにくく、このような態様とすることにより太陽電池モジュールとしたときの耐候性が向上する。
太陽電池モジュール用封止材とバックシートとの密着性を向上させる観点から、ポリオレフィン系樹脂が、ポリプロピレン系樹脂を含むことが好ましい。このような態様とすることにより、バックシートに用いられる素材との親和性が向上するため、太陽電池モジュール用封止材と、バックシートとの接着性が向上させることができる。
また、太陽電池モジュール用封止材とセルや配線などのセル側部材との接着性の観点から、ポリオレフィン系樹脂が、無水酸基及び/又はカルボキシル基を有する樹脂を含むことが好ましい。このような態様とすることにより、太陽電池モジュール用封止材の極性が増し、セルや配線などのセル側部材との接着性が向上する。無水酸基及び/又はカルボキシル基を有する樹脂としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−α−オレフィン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸グラフト変性樹脂、プロピレン−(メタ)アクリル酸グラフト変性樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体−(メタ)アクリル酸変性樹脂、ポリ無水マレイン酸、エチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−α−オレフィン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸グラフト共重合体樹脂、プロピレン−無水マレイン酸グラフト共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体−無水マレイン酸共重合体樹脂等、不飽和カルボン酸又はその誘導体の単独重合体や、エチレン、プロピレン、酢酸ビニルなど、公知のポリマーに用いられる単量体から選ばれる少なくとも1種以上の単量体と不飽和カルボン酸又はその誘導体との共重合体や、公知のポリマーを、不飽和カルボン酸又はその誘導体を用いて変性した樹脂等が挙げられる。
さらに製造コスト面も考慮すると、本発明の太陽電池モジュール用封止材において、無水酸基及び/又はカルボキシル基を有する樹脂が、以下の一般式(I)又は(II)で表される環状無水酸基を有する樹脂であることがより好ましく、以下の一般式(I)で表される環状無水酸基を有する樹脂であることがさらに好ましい。
Figure 2018035255
(波線はポリマーの主鎖である。)
Figure 2018035255
(波線はポリマーの主鎖である。)
一般式(I)で表される環状無水酸基を有する樹脂は、一般に無水マレイン酸変性樹脂又は無水マレイン酸グラフト樹脂と呼ばれる。一般式(II)で表される環状無水酸基を有する樹脂は、一般に無水マレイン酸共重合体と呼ばれる。一般式(I)又は(II)で表される環状無水酸基を有する樹脂は、公知の方法により製造することができ、例えば、デュポン(株)製“フサボンド”(登録商標)N525、N493、及びM603や、三井化学(株)製“タフマー”(登録商標)MA8510、MH7010、三菱化学(株)製“ダイヤカルナ”(登録商標)が市販されている。
また、一般式(I)で表される環状無水酸基を有する樹脂としては、例えば、デュポン(株)製“フサボンド”(登録商標)N525、N493、三井化学(株)製“タフマー”(登録商標)MA8510、MH7010などが市販されている。
樹脂が前記一般式(I)又は(II)で表される環状無水酸基を有するか否かは、例えば、酸変性樹脂成分を核磁気共鳴(NMR)装置などにより定性分析することで確認することができる。
本発明の太陽電池モジュール用封止材は、図1に例示するような単層構成であってもよく、図2や図3に例示するような多層構成であっても良い。コストダウンや機能分離による接着性や耐熱性の向上の観点から、本発明の太陽電池モジュール用封止材は多層構成であることが好ましい。
本発明の太陽電池モジュール用封止材は厚みが10μm以上1,500μm以下であることが好ましい。厚みが10μm以上であることにより、接着性や封止性を発現することができる。一方、厚みが1,500μm以下であることにより、太陽電池モジュールの軽量化が容易となる。また、前記厚みは、ラミネート工程の際のセル破損防止性の観点から100μm以上がより好ましく、200μm以上がさらに好ましい。また、前記厚みは、太陽電池モジュールの軽量化の観点から1,000μm以下がより好ましく、500μm以下がさらに好ましく、300μm以下が特に好ましい。
本発明の太陽電池モジュール用封止材は、全成分100質量%中に含まれる架橋剤が0.1質量%未満であることが好ましい。上記態様とすることで、本発明の太陽電池モジュール用封止材を製造する際に、高温での高吐出条件にて製膜できるため生産性を高めることができる。架橋剤としては、例えば有機過酸化物が挙げられ、半減期10時間の分解温度が70℃以上のものが挙げられる。
本発明の太陽電池モジュール用封止材は特に太陽電池モジュール用裏面側封止材として好ましく用いることができる。
(太陽電池モジュール用封止材の製造方法)
以下、本発明の太陽電池モジュール用封止材の製造方法について説明するが、本発明の太陽電池モジュール用封止材は、本態様に限定されるものではない。
公知のブレンダーで原料樹脂ペレットをドライブレンドし、これを単軸または二軸押出機を用いて200℃前後の温度で溶融して押し出し、30℃程度に冷却したチルロールにキャストすることで太陽電池モジュール用封止材を製膜することができる。また、太陽電池モジュール用封止材を構成する層の数にあわせて複数の押出機を用いることもできる。製膜方法はTダイ法、カレンダー法、及びインフレ法のいずれの方法でも良いが、生産性の点からTダイ法が好ましい。Tダイ法を用いる場合、フィードブロックやマルチマニホールドダイのどちらを用いても良い。また、太陽電池モジュール用封止材を構成する層が複数の場合、各層は共押出法により一体製膜しても、押出ラミネートしても、公知の接着剤を用いて一体化しても良い。
(太陽電池モジュール用シート)
本発明の太陽電池モジュール用シートは、本発明の太陽電池モジュール用封止材から構成される層をX層、融点が130℃を超える層をY層としたときに、X層及びY層を有することを特徴とする。
本発明の太陽電池モジュール用シートは、X層を有することにより、ラミネート工程におけるセル破損防止性や太陽電池モジュールとしたときの耐熱性に優れる。一方、Y層を有することにより、太陽電池モジュールとしたときの耐熱性をさらに向上させることができる。
Y層の融点の上限値は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されないが、太陽電池モジュール用シートの生産時のエネルギーを低減する観点から、400℃が好ましく、350℃がより好ましい。
本発明の太陽電池モジュール用シートにおいては、機械的強度の観点から、Y層が、ポリエステル系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂から選ばれる少なくとも一つの樹脂を、層を構成する全成分100質量%に対して、50質量%より多く100質量%以下含むことが好ましい。このような態様とすることにより、太陽電池モジュール用シートの機械的強度が向上する。さらに、比重や耐熱性、及びコスト面を考慮すると、Y層が、層を構成する全成分100質量%に対して、ポリエステル系樹脂を50質量%より多く100質量%以下含むことが好ましい。
本発明の太陽電池モジュール用シートは、太陽電池モジュール用封止材に加えて太陽電池モジュール用バックシート、太陽電池モジュール用封止材一体型バックシートとしても使用することができ、断裁工程の削減による太陽電池モジュールの生産性向上が期待できる。
本発明の太陽電池モジュール用シートのX層及びY層はそれぞれ単層構成であっても複数層構成であってもよい。太陽電池モジュール用シートが2層構成であり、一つの層が「ポリオレフィン系樹脂を主成分とし、融点が112℃以上130℃以下であり、20℃における結晶化度が29%以上70%以下であり、70℃における結晶化度が29%未満であり、かつ0℃における結晶融解熱量が80J/g以上120J/g以下である層」であり、もう一つの層が「融点が130℃を超える層」である場合は、前者がX層、後者がY層となる。
しかしながら、X層及び/又はY層が複数の層を有する場合(太陽電池モジュール用シートが全体で3つ以上の層を有する場合)、X層とY層を有するか否かの判断や、X層とY層の特定が困難となる。このような場合においては、以下の基準により判断する。
先ず、厚み方向から見て端部に位置する層から順に各層の融点を測定し、その中から融点が112℃以上130℃以下である層を特定する。次いで、特定した層が1つである場合にはその層について、特定した層が連続して複数存在する場合はこれらの層全体を1つの層とみなして、「ポリオレフィン系樹脂を主成分とし、20℃における結晶化度が29%以上70%以下であり、70℃における結晶化度が29%未満であり、かつ0℃における結晶融解熱量が80J/g以上120J/g以下である(以下、本段落において要件1ということがある。)」に該当するか否かを評価する。要件1に該当する場合は、その層(複数層からなる場合は1つの層とみなした複数層の集合体)をX層とする。なお、層の連続性を判断する上で厚みが10μm以下の層は存在しないものとみなし、要件1に該当する層又は一つの層とみなした複数層の集合体が複数存在する場合は、厚みの最も大きいものをX層とする。また、112℃以上130℃以下である3層が連続した集合体が要件1を満たさないが、そのうち1層または2層の集合体が要件1を満たすのであれば、そのうち最も厚みの大きいものをX層とする。また、Y層についても112℃以上130℃以下である層ではなく、融点が130℃を超える層を特定する以外は、X層と同様の方法により定めることができる。X層及びY層が複数の層を有する太陽電池モジュール用シートの例を、図4、5に示す。図4は、X層6が2つの「融点が112℃以上130℃以下であり要件1を満たす層4」より形成され、Y層7が2つの「融点が130℃を超える層5」より形成されている例である。図5は、X層6が3つの「融点が112℃以上130℃以下であり要件1を満たす層4」と接着層8より形成され、Y層7が2つの「融点が130℃を超える層5」より形成されている例である。なお、図5の接着層8の厚みは10μm以下である。
ここで、太陽電池モジュール用シートの各層の融点とは、示差走査熱量計を用い、窒素ガス流入量50mL/分の条件下で、各層を剥離や研磨により単離したサンプルを10℃/分の速度で30℃から−30℃まで冷却させた後、−30℃にて10分間保持し、10℃/分の速度で440℃まで昇温(1st heating)させたときの1st heatingにおける吸熱ピーク温度のうち、ピーク強度が最大のものをいう。なお、熱分解によるピークは評価対象から除外する。熱分解によるピークか否かの判断は、熱重量分析(TGA)を用いて、重量減少が5%未満のピークは溶融に伴うピークと判断し、重量減少が5%以上のピークは熱分解によるピークと判断する。なお、以後太陽電池モジュール用シートの各層の融点については、本方法により測定した融点をいう。なお、ピーク強度を求める際、1st heatingにおいて、400℃における点と、0℃における点を結んだ線をベースラインとし、ベースラインと各ピークの頂点との距離を各ピークのピーク強度とする。
本発明の太陽電池モジュール用シートは、ラミネート工程の際のセル破損防止性の観点から、いずれかの表層にX層を有することが好ましい。
本発明の太陽電池モジュール用シートはX層の厚みが10μm以上1,500μm以下であることが好ましい。10μm以上であることにより、接着性や封止性を発現することができる。1,500μm以下であることにより、太陽電池モジュールの軽量化が容易となる。また、前記厚みは、ラミネート工程の際のセル破損防止性の観点から100μm以上がより好ましく、200μm以上がさらに好ましい。また、前記厚みは、太陽電池モジュールの軽量化の観点から1,000μm以下が好ましく、500μm以下がより好ましく、300μm以下がさらに好ましい。
(太陽電池モジュール用シートの製造方法)
以下、本発明の太陽電池モジュール用シートの製造方法について説明するが、本発明の太陽電池モジュール用シートの製造方法は、本態様に限定されるものではない。
本発明の太陽電池モジュール用シートは、本発明の太陽電池モジュール用封止材を融点が130℃を超えるフィルムの上に公知の接着剤を用いて貼り合わせたり、融点が130℃を超えるフィルムの上にX層を得るための樹脂組成物を押出ラミネートすることで本発明の太陽電池モジュール用シートを好ましく得ることができる。また、X層を得るための樹脂組成物を押し出すための1つまたは複数の押出機に加え、Y層やその他の層を得るための樹脂組成物を押し出すための1つまたは複数の押出機を用い、共押出し法により製膜することもできる。
(太陽電池モジュール)
本発明の太陽電池モジュールは、本発明の太陽電池モジュール用封止材及びY層を有することを特徴とする。このような態様とすることにより、太陽電池モジュールは太陽電池モジュールを生産する際のセル破損を低減でき、かつ耐熱性に優れたものとなる。また、本発明の太陽電池モジュールは、前述した太陽電池モジュール用封止材やY層の好ましい態様のもの有する構成とすることが好ましい。
(太陽電池モジュールの製造方法)
本発明の太陽電池モジュールの製造方法は、本発明の太陽電池モジュール用封止材、又は本発明の太陽電池モジュール用シートを含む積層体を、減圧下で加熱圧着する工程を有することが重要である。このような態様の具体例としては、受光面保護基材、受光面側封止材、セル、本発明の太陽電池モジュール用封止材、及びバックシートを、この順に重ねて減圧下で加熱圧着する工程を有する態様が挙げられる。
このとき、本発明の太陽電池モジュール用封止材とバックシートを、本発明の太陽電池モジュール用シートに置き換えてもよい。その場合は、受光面保護基材、受光面側封止材、セル、本発明の太陽電池モジュール用シート、この順に重ねて減圧下で加熱圧着する。こうして得られた太陽電池モジュールの概略図を図6に示す。図6に示す太陽電池モジュールは、受光面側から順に、受光面保護基材9、受光面側封止材10、セル11、太陽電池モジュール用シート12を有する構成となる。
また、各部材を重ねて減圧下で加熱圧着する工程において用いるラミネーターは、公知のラミネーターを使用することができ、受光面保護基材側から加熱することができるラミネーターや、受光面保護基材側と、バックシート側の両側から加熱することのできるラミネーターを好適に使用することができる。また、ラミネートの後に公知のキュア炉にて加熱することで、受光面側封止材の架橋率を調整することも好ましく行うことができる。
以下、本発明を実施例にて具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
[特性の評価方法]
(1)融点
太陽電池モジュール用封止材の厚み方向断面を顕微鏡で撮像し、太陽電池モジュール用封止材の層構成を確認した後、剥離や研磨により各層を単離した。得られたサンプルを再度顕微鏡で観察して単層であること(層間の界面が存在しないこと)を確認した後、3〜8mg程度のサンプルを採取した。次いで、示差走査熱量計((株)島津製作所製DSC−60)を用い、採取したサンプルを10℃/分の速度で30℃から−30℃まで冷却させた後、−30℃にて10分間保持し、10℃/分の速度で440℃まで昇温(1st heating)させたときの1st heatingにおける吸熱ピーク温度のうち、ピーク強度が最大である温度を融点とした。このとき、熱分解によるピークは除外した。熱分解によるピークか否かの判断は、熱重量分析(TGA)を用いて、重量減少が5%未満のピークは溶融に伴うピークと判断し、重量減少が5%以上のピークは熱分解によるピークと判断した。なお、測定回数は1回とした。
(2)結晶融解熱量、結晶化度
太陽電池モジュール用封止材について、シート面に垂直に穴あけポンチ(2mmΦ)を押し当ててサンプリングし、サンプル3〜8mg程度を、示差走査熱量計((株)島津製作所製DSC−60)を用い、を10℃/分の速度で30℃から−30℃まで冷却させた後、−30℃にて10分間保持し、10℃/分の速度で440℃まで昇温(1st heating)させ、1st heatingにおいて、400℃における点と、0℃における点を結んだ線をベースラインとした。太陽電池モジュール用封止材の0℃における結晶融解熱量ΔH0℃(J/g)は、1st heatingにおけるDSC曲線とベースラインにより囲まれる部分の面積Sから下記式aにより求めた。また、太陽電池モジュール用封止材の20℃における結晶融解熱量ΔH20℃(J/g)及びΔH70℃(J/g)は、面積Sを1st heatingにおけるDSC曲線とベースラインにより囲まれる部分のうち、20℃から400℃の間の部分の面積、70℃から400℃の間の部分の面積として同様に下記式aにより求めた。
式a:ΔH0℃(J/g)=a×S
なお、太陽電池モジュール用封止材の20℃における結晶化度(%)及び70℃における結晶化度(%)は、下記式b及びcにより求めた。それぞれの測定回数は1回とした。
式b:20℃における結晶化度(%)=ΔH20℃ ÷ 293 × 100
式c:70℃における結晶化度(%)=ΔH70℃ ÷ 293 × 100
(3)ラミネート工程の際のセル破損防止性
後述の方法で作製した太陽電池モジュールを太陽電池EL画像検査装置((株)アイテス製)によって、発光画像を撮影し、セル破損部の総クラックの長さ(mm)を測定した。この試験を3回繰り返し総クラック長さの平均値を求めた。なお、総クラック長さが小さいほど、セル破損防止性は優れている。
(4)耐熱性
後述の方法で作製した太陽電池モジュールを、120℃の乾熱オーブン内に、受光面がオーブンの底面と垂直になるように立てかけ、500時間経過後のセルの位置ズレの大きさ(mm)をノギスにより測定した。なお、セルの位置ズレが小さいほど、太陽電池モジュールは耐熱性に優れている。
[使用部材]
受光面保護基材:
AGC(株)製白板強化ガラス、厚み3.2mm
受光面側封止材:
サンビック(株)製EVA封止材 “ウルトラパール”(登録商標)、厚み450μm
セル:
SOLARTECH ENERGY CORPORATION製太陽電池セルM−156−3、厚み200μm、3本バスバータイプ、バスバー電極厚み180μm
タブ線(横配線)・取り出し電極:
丸正(株)製 鉛はんだメッキリボン線 200μm厚×6mm幅(60%Snはんだメッキ、はんだメッキ厚み15μm)
絶縁フィルム1:
東レ(株)製PETフィルム(コート層なし) “ルミラー”(登録商標)S10、厚み125μm
樹脂1:
住友化学(株)製メタロセン直鎖状低密度ポリエチレン “スミカセン”(登録商標)−E FV407 (密度0.930g/cm、融点124℃、メルトフローレート(190℃)3.2g/10分)
樹脂2:
住友化学(株)製メタロセン直鎖状低密度ポリエチレン “スミカセン”(登録商標)−E FV402 (密度0.913g/cm、融点115℃、メルトフローレート(190℃)3.8g/10分)
樹脂3:
住友化学(株)製メタロセン低密度ポリエチレン “スミカセン”(登録商標)EP CU5003 (密度0.928g/cm、融点124℃、メルトフローレート(190℃)0.4g/10分)
樹脂4:
デュポン(株)製無水マレイン酸グラフトポリエチレン樹脂 “フサボンド”(登録商標)N525 (融点51℃、メルトフローレート(190℃)3.7g/10分、酸変性率1%)
樹脂5:
ExxonMobil社製メタロセンポリプロピレン樹脂 “Vistamaxx”(登録商標)3020FL (融点59℃、メルトフローレート(190℃)1.1g/10分)
樹脂6:
住友化学(株)製エチレンメチルメタクリレート共重合体 “アクリフト”(登録商標)CM8013(融点110℃、メルトフローレート(190℃)3.5g/10分)
樹脂7:
住友化学(株)製ランダムポリプロピレン樹脂 “ノーブレン”(登録商標)S131(融点132℃、メルトフローレート(230℃)1.5g/10分)
バックシート:
東レフィルム加工(株)製バックシート “ルミソーラー”(登録商標)LTW−09ST2
[実施例]
(実施例1)
樹脂1(90質量%)と樹脂4(10質量%)とをドライブレンドした混合物を二軸押出機1へ投入した。樹脂1(70質量%)と樹脂5(30質量%)とをドライブレンドした混合物を二軸押出機2へ投入した。各二軸押出機より混合物を吐出させ、マルチマニホールド付きTダイにより幅300mm、厚み250μmのシート(樹脂1及び樹脂4からなる層(x1層に相当)の厚み:50μm、樹脂1及び樹脂5からなる層(x2層に相当)の厚み:200μm)を作成し、太陽電池モジュール用封止材を得た。x1層、x2層の融点はともに124℃であった。得られた太陽電池モジュール用封止材について、20℃における結晶化度、70℃における結晶化度、及び0℃における結晶融解熱量を測定した。20℃における結晶化度が35%、70℃における結晶化度が27%、0℃における結晶融解熱量が105J/gであった。受光面側封止材、得られた太陽電池モジュール用封止材、バックシートをそれぞれ190mm角にカットし、図8、9に示すように、受光面保護基材(190mm角)、受光面側封止材、電極をはんだ付けしたセル、絶縁フィルム1(50mm角)、太陽電池モジュール用封止材(x1層がセル側)、バックシートの順に積層した。積層したものを、(株)エヌ・ピー・シー製真空加熱ラミネーター(受光面保護基材側のみの片面加熱方式)により、熱板設定温度145℃、真空脱気4分、大気圧プレス1分、圧力保持10分の条件にてラミネートした。ラミネート後、積層体をラミネーターより取り出して、室温まで放冷した後、受光面保護基材よりはみ出した部分をカッターナイフで切り落とし、太陽電池モジュールを得た。得られた太陽電池モジュールを用い、セル破損防止性及び耐熱性を評価した。セル破損防止性及び耐熱性を評価した結果を表1に示す。
(実施例2)
二軸押出機1は停止させ、二軸押出機2のみを運転し、樹脂2(75質量%)と樹脂4(25質量%)とをドライブレンドした混合物を二軸押出機2へ投入し、樹脂2及び樹脂4からなる層(x1層に相当)が厚み450μmとなるよう吐出量や引取速度を変えた以外は実施例1と同様の方法で、太陽電池モジュール用封止材及び太陽電池モジュールを作製した。実施例1と同様に融点、結晶融解熱量及び結晶化度を求め、セル破損防止性及び耐熱性を評価した。なお、評価結果を表1に示す。
(実施例3,4)
表2に示す通り、樹脂の種類、配合や厚みを変えた以外は実施例2と同様の方法で太陽電池モジュール用封止材及び太陽電池モジュールを得て、実施例1と同様に融点、結晶融解熱量及び結晶化度を求め、セル破損防止性及び耐熱性を評価した。なお、評価結果を表2に示す。
Figure 2018035255
Figure 2018035255
表1、2における各成分の量(質量%)は、層を構成する全成分を100質量%として算出した。表3においても同様である。
[比較例]
(比較例1〜3)
表3に示す通り、樹脂の種類、配合や厚みを変えた以外は実施例2と同様の方法で太陽電池モジュール用封止材及び太陽電池モジュールを得て、実施例1と同様に融点、結晶融解熱量及び結晶化度を求め、セル破損防止性及び耐熱性を評価した。なお、評価結果を表3に示す。
Figure 2018035255
本発明によれば、ラミネート工程の際のセル破損防止性ならびに耐熱性に優れた太陽電池モジュール用封止材や太陽電池モジュール用シート、及び発電効率に優れた太陽電池モジュールを提供することができる。
1 x1層
2 x2層
3 x3層
4 融点が112℃以上130℃以下であり要件1を満たす層
5 融点が130℃を超える層
6 X層
7 Y層
8 接着層
9 受光面保護基材
10 受光面側封止材
11 セル
12 太陽電池モジュール用シート
13 DSC曲線
14 ベースライン
15 バスバー電極
16 絶縁フィルム
17 取り出し電極
18 タブ線(横配線)
19 バックシート

Claims (11)

  1. ポリオレフィン系樹脂を主成分とし、融点が112℃以上130℃以下であり、20℃における結晶化度が29%以上70%以下であり、70℃における結晶化度が29%未満であり、かつ0℃における結晶融解熱量が80J/g以上120J/g以下であることを特徴とする、太陽電池モジュール用封止材。
  2. 融点が112℃以上130℃以下であるポリエチレン系樹脂を樹脂Aとしたときに、樹脂Aを主成分とすることを特徴とする、請求項1に記載の太陽電池モジュール用封止材。
  3. 融点が65℃未満である樹脂を樹脂Bとしたときに、太陽電池モジュール用封止材を構成する全成分100質量%中、樹脂Bを10質量%以上50質量%未満含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の太陽電池モジュール用封止材。
  4. 前記樹脂Bが、ポリオレフィン系樹脂を含むことを特徴とする、請求項3に記載の太陽電池モジュール用封止材。
  5. 前記ポリオレフィン系樹脂が、ポリプロピレン系樹脂を含むことを特徴とする、請求項4に記載の太陽電池モジュール用封止材。
  6. 前記ポリオレフィン系樹脂が、無水酸基及び/又はカルボキシル基を有する樹脂を含むことを特徴とする、請求項4に記載の太陽電池モジュール用封止材。
  7. 前記無水酸基及び/又はカルボキシル基を有する樹脂が、以下の一般式(I)又は(II)で表される環状無水酸基を有する樹脂であることを特徴とする、請求項6に記載の太陽電池モジュール用封止材。
    Figure 2018035255
    (波線はポリマーの主鎖である。)
    Figure 2018035255
    (波線はポリマーの主鎖である。)
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の太陽電池モジュール用封止材から構成される層をX層、融点が130℃を超える層をY層としたときに、X層及びY層を有することを特徴とする、太陽電池モジュール用シート。
  9. 前記Y層が、ポリエステル系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、及びポリアミド系樹脂から選ばれる少なくとも一つの樹脂を、層を構成する全成分100質量%に対して、50質量%より多く100質量%以下含むことを特徴とする、請求項8に記載の太陽電池モジュール用シート。
  10. 請求項1〜7のいずれかに記載の太陽電池モジュール用封止材、又は請求項8又は9に記載の太陽電池モジュール用シートを含む積層体を、減圧下で加熱圧着する工程を有することを特徴とする、太陽電池モジュールの製造方法。
  11. 請求項1〜7のいずれかに記載の太陽電池モジュール用封止材、及び前記Y層を有することを特徴とする、太陽電池モジュール。
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