JP2018034711A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】部品点数が少なく、組み立てが容易であり、且つ、出力プーリとナットの位相ズレが生じにくい電動パワーステアリング装置を提供する。
【解決手段】電動パワーステアリング装置が備えるボールねじ11のナット15の外周面に複数の凸部41が形成され、出力プーリ20の内周面に凹部43が形成されていて、凸部41と凹部43が嵌め合わされナット15と出力プーリ20が連結されている。複数の凸部41は、下記の3つの条件A、B、Cのうち少なくとも1つを満たす。
条件A:複数の凸部41のうち一部は他部とは形状が異なる。
条件B:複数の凸部41がナット15の外周面上に周方向に不等配に配置されている。 条件C:複数の凸部41のうち一部にボール循環路22が形成されている。
【選択図】図7
【解決手段】電動パワーステアリング装置が備えるボールねじ11のナット15の外周面に複数の凸部41が形成され、出力プーリ20の内周面に凹部43が形成されていて、凸部41と凹部43が嵌め合わされナット15と出力プーリ20が連結されている。複数の凸部41は、下記の3つの条件A、B、Cのうち少なくとも1つを満たす。
条件A:複数の凸部41のうち一部は他部とは形状が異なる。
条件B:複数の凸部41がナット15の外周面上に周方向に不等配に配置されている。 条件C:複数の凸部41のうち一部にボール循環路22が形成されている。
【選択図】図7
Description
本発明は電動パワーステアリング装置に関する。
自動車のラックピニオン式ステアリング装置においては、運転者の操舵によるステアリング軸の回転がピニオン軸に伝達され、このピニオン軸の回転がラックアンドピニオンギヤによりラック軸の軸方向直線運動に変換され、このラック軸の軸方向直線運動が転舵輪に伝達されて、転舵輪が転舵される。
運転者の操舵トルクに応じて電動モータを駆動し、この電動モータの回転力を軸方向直動力に変換してラック軸に伝達することによって運転者の操舵を補助する方式の電動パワーステアリング装置(以下、「ラックアシスト式電動パワーステアリング装置」と記すこともある)が知られている。ラックアシスト式電動パワーステアリング装置においては、電動モータの回転力をラック軸の軸方向直動力に変換するために、ボールねじを用いる場合がある。
運転者の操舵トルクに応じて電動モータを駆動し、この電動モータの回転力を軸方向直動力に変換してラック軸に伝達することによって運転者の操舵を補助する方式の電動パワーステアリング装置(以下、「ラックアシスト式電動パワーステアリング装置」と記すこともある)が知られている。ラックアシスト式電動パワーステアリング装置においては、電動モータの回転力をラック軸の軸方向直動力に変換するために、ボールねじを用いる場合がある。
電動モータをラック軸に対してオフセットさせる方式のラックアシスト式電動パワーステアリング装置には、電動モータの回転をボールねじに伝達するベルト減速機等の伝達機構が設けられている。
例えばベルト減速機は、電動モータの回転軸に取り付けられた入力プーリと、ボールねじのナットに取り付けられた出力プーリと、入力プーリと出力プーリとに掛け渡されて入力プーリの回転を出力プーリに伝達する無端ベルトと、を備えている。そして、電動モータの回転がベルト減速機によって減速されつつボールねじのナットに伝達され、ボールねじによって軸方向直線運動に変換されてラック軸に伝達されるようになっている。
例えばベルト減速機は、電動モータの回転軸に取り付けられた入力プーリと、ボールねじのナットに取り付けられた出力プーリと、入力プーリと出力プーリとに掛け渡されて入力プーリの回転を出力プーリに伝達する無端ベルトと、を備えている。そして、電動モータの回転がベルト減速機によって減速されつつボールねじのナットに伝達され、ボールねじによって軸方向直線運動に変換されてラック軸に伝達されるようになっている。
出力プーリはナットの外周部に取り付けられるが、出力プーリとナットの連結方法として以下のようなものが提案されている。例えば特許文献1には、出力プーリの内周面とナットの外周面とにそれぞれ複数の溝を形成して両溝を対向させることにより複数の空隙部を設け、それら空隙部にそれぞれピン状部材を挿入することにより出力プーリとナットとを連結する方法が開示されている。しかしながら、特許文献1に開示の方法は、組み立て時に複数のピン状部材を空隙部に挿入する必要があるため、部品点数が多い、組み立てに時間や手間を要する等の問題があった。
また、特許文献2には、出力プーリの内周面とナットの外周面とを結合させる方法が開示されている。しかしながら、特許文献2に開示の方法は、円柱面での結合となるため、出力プーリに伝達される回転力が大きい場合には出力プーリとナットが相対回転し、出力プーリとナットの位相(周方向位置)がずれるおそれがあった。なお、これ以降においては、出力プーリとナットが相対回転し出力プーリとナットの位相(周方向位置)がずれることを、「位相ズレ」と記すこともある。
そこで、本発明は上記のような従来技術が有する問題点を解決し、部品点数が少なく、組み立てが容易であり、且つ、出力プーリとナットの位相ズレが生じにくい電動パワーステアリング装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明の一態様に係る電動パワーステアリング装置は、運転者の操舵に応じて回転するピニオン軸に噛み合いピニオン軸の回転に応じて直動するラック軸と、運転者の操舵トルクに応じて回転駆動される電動モータと、電動モータの回転力をラック軸の軸方向に沿う方向の直動力に変換してラック軸に伝達するボールねじと、電動モータの回転をボールねじに伝達する伝達機構と、を備え、
ボールねじは、螺旋状のねじ溝を外周面に有し且つラック軸と同軸に連結されたねじ軸と、ねじ軸のねじ溝に対向するねじ溝を内周面に有し且つ電動モータの回転が伝達機構を介して入力されて回転するナットと、両ねじ溝により形成される螺旋状のボール転動路に転動自在に装填される複数のボールと、ボールをボール転動路の終点から始点へ戻し循環させるボール循環路と、を備え、電動モータによってナットを回転させることにより、ボール転動路内でのボールの転動を介して、ねじ軸がラック軸の軸方向に直動可能とされており、
伝達機構は、電動モータの回転が伝達される入力プーリと、ナットに連結されナットに回転を伝達する出力プーリと、入力プーリ及び出力プーリに掛け渡されて入力プーリの回転を出力プーリに伝達する無端ベルトと、を備え、
出力プーリはナットの外周面を覆うように配置され、径方向外方に突出する複数の凸部がナットの外周面に形成されているとともに、ナットの凸部に対応する形状の凹部が出力プーリの内周面に形成されていて、ナットの凸部と出力プーリの凹部とが嵌め合わされナットと出力プーリとが連結されて一体的に回転可能となっており、
複数の凸部は下記の3つの条件A、B、及びCのうち少なくとも1つを満たすことを要旨とする。
条件A:複数の凸部のうち一部は他部とは形状が異なる。
条件B:複数の凸部がナットの外周面上に周方向に不等配に配置されている。
条件C:複数の凸部のうち一部にボール循環路が形成されている。
ボールねじは、螺旋状のねじ溝を外周面に有し且つラック軸と同軸に連結されたねじ軸と、ねじ軸のねじ溝に対向するねじ溝を内周面に有し且つ電動モータの回転が伝達機構を介して入力されて回転するナットと、両ねじ溝により形成される螺旋状のボール転動路に転動自在に装填される複数のボールと、ボールをボール転動路の終点から始点へ戻し循環させるボール循環路と、を備え、電動モータによってナットを回転させることにより、ボール転動路内でのボールの転動を介して、ねじ軸がラック軸の軸方向に直動可能とされており、
伝達機構は、電動モータの回転が伝達される入力プーリと、ナットに連結されナットに回転を伝達する出力プーリと、入力プーリ及び出力プーリに掛け渡されて入力プーリの回転を出力プーリに伝達する無端ベルトと、を備え、
出力プーリはナットの外周面を覆うように配置され、径方向外方に突出する複数の凸部がナットの外周面に形成されているとともに、ナットの凸部に対応する形状の凹部が出力プーリの内周面に形成されていて、ナットの凸部と出力プーリの凹部とが嵌め合わされナットと出力プーリとが連結されて一体的に回転可能となっており、
複数の凸部は下記の3つの条件A、B、及びCのうち少なくとも1つを満たすことを要旨とする。
条件A:複数の凸部のうち一部は他部とは形状が異なる。
条件B:複数の凸部がナットの外周面上に周方向に不等配に配置されている。
条件C:複数の凸部のうち一部にボール循環路が形成されている。
本発明の電動パワーステアリング装置は、部品点数が少なく、組み立てが容易であり、且つ、出力プーリとナットの位相ズレが生じにくい。
本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。本実施形態の電動パワーステアリング装置は、後述するラック軸7と電動モータ12の回転軸12aとを平行に配置してオフセットさせる方式のラックアシスト式電動パワーステアリング装置であり、ピニオン機構2とラック機構3を備える例えば車両用の操舵ギヤ機構1に対して好適に適用されるものである。
操舵ギヤ機構1のピニオン機構2は、ピニオンハウジング4内に回転自在に支持されたピニオン軸5を備えている。このピニオン軸5は、ステアリング軸(図示せず)等を介してステアリングホイール(図示せず)に連結されており、運転者の操舵に応じて回転する。
操舵ギヤ機構1のラック機構3は、ラックハウジング6内に摺動可能に支持されたラック軸7を備えている。ラック軸7はピニオン軸5と噛み合っており、ピニオン軸5の回転に応じてラック軸7の軸方向(長手方向)に直動するようになっている。すなわち、ピニオン軸5に伝達された回転が、ラックアンドピニオンギヤによってラック軸7の直線運動に変換される。
操舵ギヤ機構1のラック機構3は、ラックハウジング6内に摺動可能に支持されたラック軸7を備えている。ラック軸7はピニオン軸5と噛み合っており、ピニオン軸5の回転に応じてラック軸7の軸方向(長手方向)に直動するようになっている。すなわち、ピニオン軸5に伝達された回転が、ラックアンドピニオンギヤによってラック軸7の直線運動に変換される。
本実施形態の電動パワーステアリング装置は、上記のラック軸7と、運転者の操舵トルクに応じて回転駆動される操舵補助用の電動モータ12と、電動モータ12の回転力をラック軸7の軸方向に沿う方向の直動力に変換してラック軸7に伝達するボールねじ11と、電動モータ12の回転をボールねじ11に伝達する伝達機構13と、を備えている。
電動モータ12は、ラックハウジング6の軸受収容部16の径方向外方に一体に形成されたモータ支持部18のピニオン機構2側に固定され、その回転軸12aが、モータ支持部18に形成された貫通孔18aを通じてピニオン機構2とは軸方向反対側に突出している。
電動モータ12は、ラックハウジング6の軸受収容部16の径方向外方に一体に形成されたモータ支持部18のピニオン機構2側に固定され、その回転軸12aが、モータ支持部18に形成された貫通孔18aを通じてピニオン機構2とは軸方向反対側に突出している。
この電動モータ12は、モータ制御装置30によって回転駆動される。このモータ制御装置30は、運転者の操舵によりステアリングホイールに入力される操舵トルクを検出するトルクセンサ30aと、車速を検出する車速センサ30bと、を有する。そして、モータ制御装置30は、トルクセンサ30aで検出した操舵トルクと車速センサ30bで検出した車速とに基づいて操舵補助トルク指令値を算出し、電動モータ12で必要な操舵補助トルクを発生させるモータ駆動電流を操舵補助トルク指令値に基づいて求め、このモータ駆動電流を電動モータ12に出力する。
ボールねじ11は、螺旋状のねじ溝9aを外周面に有するねじ軸9と、ねじ軸9のねじ溝9aに対向するねじ溝15aを内周面に有するナット15と、両ねじ溝9a、15aにより形成される螺旋状のボール転動路に転動自在に装填される複数のボール14と、ボール14をボール転動路の終点から始点へ戻し循環させるボール循環路22(図3を参照)と、を備えている。ボール14の循環方式は特に限定されるものではないが、例えば、エンドデフレクタを用いてナット15の内部においてボール14を循環させる内部循環方式を用いることができる。
そして、ねじ軸9はラック軸7と同軸(すなわち一直線状をなすように)に連結されており、ナット15は電動モータ12の回転が伝達機構13を介して入力されて回転するようになっている。よって、電動モータ12によってナット15を回転させることにより、ボール転動路内でのボール14の転動を介して、ねじ軸9がラック軸7の軸方向に直動可能とされている。
なお、ナット15は、ラックハウジング6の軸受収容部16に収容された転がり軸受17によって、ラックハウジング6に回転自在に支持されている。この転がり軸受17は、ナット15と一体に形成された内輪17aと、軸受収容部16に支持された外輪17cと、内輪17aと外輪17cとの間に転動自在に配された複数のボール17bと、で構成されている。ナット15と内輪17aは、一体に形成されていてもよいが、別体のものを止め輪等で連結してもよい。
伝達機構13としては、例えば、図2に示すようなベルト減速機等の減速機構を用いることができる。図2に示すベルト減速機は、電動モータ12の回転軸12aの先端に取付けられ電動モータ12の回転が伝達される入力プーリ19と、ナット15に連結されナット15に回転を伝達する出力プーリ20と、入力プーリ19及び出力プーリ20に掛け渡されて入力プーリ19の回転を出力プーリ20に伝達する無端ベルト21と、を備えている。ナット15に出力プーリ20が連結されたボールねじ11を図3〜5に示し、出力プーリ20を図6に示し、ボールねじ11を図7に示す。
運転者が操舵を行うと、運転者の操舵トルクに応じて電動モータ12が回転駆動され、電動モータ12の回転が伝達機構13を介してボールねじ11のナット15に伝達される。ナット15の回転はボールねじ11によってねじ軸9の直線運動に変換されるので、ねじ軸9及びラック軸7が軸方向に直動する。そして、ねじ軸9及びラック軸7の直動によって、ラック軸7の端部(図1の例においては左端部)とねじ軸9の端部(図1の例においては右端部)とにタイロッド23、23を介してそれぞれ連結されている転舵輪(図示せず)が転舵される。
ここで、ナット15と出力プーリ20の連結構造について詳細に説明する。ナット15は、環状の出力プーリ20の内側に嵌め込まれて連結されている。すなわち、出力プーリ20はナット15の外周面を覆うように配置されている。
ナット15の外周面には、ナット15の軸方向に延びる複数の凸部41がナット15の径方向外方に突出するように形成されている。本実施形態においては、図3及び図7に示すように、ナット15の外周面に2つの凸部41、41が形成されている。2つの凸部41、41のうち一方の凸部41Aの内部には、ナット15の軸方向に延びる貫通孔が形成されていて、この貫通孔によりボール循環路22が構成されている。この貫通孔は凸部41Aの周方向中央に形成されていてもよいし、図3及び図7(b)に示すように凸部41Aの周方向端部近傍に形成されていてもよい。2つの凸部41、41のうち他方の凸部41Bには貫通孔(ボール循環路22)は形成されていない。
ナット15の外周面には、ナット15の軸方向に延びる複数の凸部41がナット15の径方向外方に突出するように形成されている。本実施形態においては、図3及び図7に示すように、ナット15の外周面に2つの凸部41、41が形成されている。2つの凸部41、41のうち一方の凸部41Aの内部には、ナット15の軸方向に延びる貫通孔が形成されていて、この貫通孔によりボール循環路22が構成されている。この貫通孔は凸部41Aの周方向中央に形成されていてもよいし、図3及び図7(b)に示すように凸部41Aの周方向端部近傍に形成されていてもよい。2つの凸部41、41のうち他方の凸部41Bには貫通孔(ボール循環路22)は形成されていない。
一方、出力プーリ20の内周面には、ナット15の凸部41に対応する形状の凹部43が形成されている。本実施形態においては、図5及び図6に示すように、出力プーリ20の内周面に2つの凹部43、43が形成されている。これにより、出力プーリ20の内周面は、ナット15の外周面に対応する形状となっているので、ナット15の2つの凸部41、41を出力プーリ20の2つの凹部43、43にそれぞれ嵌め合わせつつナット15を出力プーリ20の内側に嵌め込めば、ナット15と出力プーリ20とを連結し一体的に回転可能とすることができる。ナット15に設けられた止め輪溝(図示せず)に止め輪45(図5を参照)を嵌め込めば、この止め輪45とナット15の軸方向端面とによって出力プーリ20の軸方向位置を規制することができる。
さらに、複数の凸部41は、下記の3つの条件A、B、及びCのうち少なくとも1つの条件を満たす。
条件A:複数の凸部41のうち一部は他部とは形状が異なる。
条件B:複数の凸部41がナット15の外周面上に周方向に不等配に配置されている。
条件C:複数の凸部41のうち一部にボール循環路22が形成されている。
さらに、ナット15の重心がナット15の回転軸上に位置するように複数の凸部41が設けられていてもよい。
条件A:複数の凸部41のうち一部は他部とは形状が異なる。
条件B:複数の凸部41がナット15の外周面上に周方向に不等配に配置されている。
条件C:複数の凸部41のうち一部にボール循環路22が形成されている。
さらに、ナット15の重心がナット15の回転軸上に位置するように複数の凸部41が設けられていてもよい。
すなわち、3つの条件A、B、及びCのうち1つ、2つ、又は全てを満たし、さらに、ナット15の重心がナット15の回転軸上に位置するように、複数の凸部41が設けられていてもよい。ナット15の重心がナット15の回転軸上に位置すれば、ナット15の回転バランスが良好に保たれる。なお、条件Aの形状が異なる一部の凸部41と条件Cのボール循環路22が形成されている一部の凸部41とは、同一の凸部41であってもよいし、異なる凸部41であってもよい。
例えば図3〜7に示す本実施形態の電動パワーステアリング装置の場合は、複数の凸部41が条件A及び条件Cを満たしている。すなわち、2つの凸部41、41をボールねじ11の正面側から見た形状は略台形であり、2つの凸部41、41は周方向に等配に配置されている。また、2つの凸部41、41のうち一方の凸部41Aにはボール循環路22が形成されており、他方の凸部41Bにはボール循環路22は形成されていない。
そして、ナット15の重心をナット15の回転軸上に位置させるために、ボール循環路22が形成されていない凸部41Bよりもボール循環路22が形成されている凸部41Aの方を大きく形成している。すなわち、ボール循環路22が形成されていると凸部41の質量が小さくなるので、その分を補ってバランスを取りナット15の重心がナット15の回転軸上に位置するように、凸部41Bよりも凸部41Aの方を大きく形成する。
あるいは、図8に示す本実施形態の電動パワーステアリング装置の第一の変形例は、凸部41及び凹部43をそれぞれ3つ有している例であるが、複数の凸部41は条件A及び条件Cを満たしている。すなわち、3つの凸部41、41、41をボールねじ11の正面側から見た形状はいずれも略台形であり、3つの凸部41、41、41は周方向に等配に配置されている。また、3つの凸部41、41、41のうち一の凸部41Aにはボール循環路22が形成されており、他の凸部41B、41Bにはボール循環路22は形成されていない。
そして、ナット15の重心をナット15の回転軸上に位置させるために、ボール循環路22が形成されていない凸部41B、41Bよりもボール循環路22が形成されている凸部41Aの方を大きく形成している。すなわち、ボール循環路22が形成されていると凸部41の質量が小さくなるので、その分を補ってバランスを取りナット15の重心がナット15の回転軸上に位置するように、凸部41B、41Bよりも凸部41Aの方を大きく形成する。ボール循環路22が形成されていない2つの凸部41B、41Bは、同じ大きさである。
さらに、図9に示す本実施形態の電動パワーステアリング装置の第二の変形例は、凸部41及び凹部43をそれぞれ3つ有している例であるが、複数の凸部41は条件A、B、及びCを全て満たしている。すなわち、3つの凸部41、41、41をボールねじ11の正面側から見た形状はいずれも略台形であり、3つの凸部41、41、41は周方向に不等配に配置されている。また、3つの凸部41、41、41のうち一の凸部41Aにはボール循環路22が形成されており、他の凸部41B、41Cにはボール循環路22は形成されていない。
図9に示すように3つの凸部41A、41B、41Cはいずれも異なる大きさであるが(すなわち、3つの凸部41A、41B、41Cはいずれも異なる形状である)、ナット15の重心がナット15の回転軸上に位置するような周方向位置に、凸部41A、41B、41Cは配されている。
このように、上記の3つの条件A、B、及びCのうち1つ、2つ、又は全てを満たし、且つ、ナット15の重心がナット15の回転軸上に位置するように、複数の凸部41が設けられているならば、各凸部41の形状やナット15の外周面上の周方向位置は特に限定されず、自由に設計することができる。
このように、上記の3つの条件A、B、及びCのうち1つ、2つ、又は全てを満たし、且つ、ナット15の重心がナット15の回転軸上に位置するように、複数の凸部41が設けられているならば、各凸部41の形状やナット15の外周面上の周方向位置は特に限定されず、自由に設計することができる。
上記のように、本実施形態の電動パワーステアリング装置及び各変形例においては、ナット15の凸部41を出力プーリ20の凹部43に嵌め合わせることによりナット15と出力プーリ20を連結しているので、出力プーリ20に大きな回転力が伝達されたとしても、ナット15と出力プーリ20の位相ズレが生じにくい。また、位相ズレを防ぐための部材(例えばねじ)が不要であるため、本実施形態の電動パワーステアリング装置及び各変形例は部品点数を少なくすることができる。さらに、このような連結方法であれば、出力プーリ20のナット15に対する連結(組み立て)に時間や手間を要することがなく、連結(組み立て)が容易である。さらに、ナット15と出力プーリ20を連結するための部材が不要であるため、本実施形態の電動パワーステアリング装置及び各変形例は部品点数が少ない。
さらに、複数の凸部の形状が全て同一で且つナットの外周面上に周方向に等配に配置されている場合は、各凸部はいずれの凹部にも嵌め合わせることが可能であるため、間違った位相で出力プーリをナットに連結してしまう組み付けミスが生じやすい。これに対して、本実施形態の電動パワーステアリング装置や各変形例のように、複数の凸部41が条件A及び条件Bの一方又は両方を満たしていれば、各凸部41はそれぞれ特定の凹部43にしか嵌め合わせることができないため、間違った位相で出力プーリ20をナット15に連結してしまう組み付けミスが生じることがない。
さらに、凸部41は、ナット15の外周部の駄肉(不要部分)を除去することによって形成しているので、ナット15の軽量化と低イナーシャ化が図られている。そのため、ステアリングホイールの操舵時に運転者が感じる操舵感の重さの低減や、路面反力による電動パワーステアリング装置への衝撃力の低下が実現可能である。
このような本実施形態の電動パワーステアリング装置は、自動車等の電動パワーステアリング装置として使用することができる。
このような本実施形態の電動パワーステアリング装置は、自動車等の電動パワーステアリング装置として使用することができる。
なお、本実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。また、本実施形態には種々の変更又は改良を加えることが可能であり、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明に含まれ得る。
例えば、本実施形態の電動パワーステアリング装置においては、凸部41の個数は2つであり、本実施形態の電動パワーステアリング装置の第一及び第二の変形例においては、凸部41の個数は3つであったが、凸部41の個数は複数であれば特に限定されるものではなく、4つ以上でもよい。
例えば、本実施形態の電動パワーステアリング装置においては、凸部41の個数は2つであり、本実施形態の電動パワーステアリング装置の第一及び第二の変形例においては、凸部41の個数は3つであったが、凸部41の個数は複数であれば特に限定されるものではなく、4つ以上でもよい。
また、本実施形態の電動パワーステアリング装置及び各変形例においては、凸部41をボールねじ11の正面側から見た形状は略台形であったが、凸部41をボールねじ11の正面側から見た形状は略台形に限定されるものではなく、他の形状でもよい。例えば、半円形、半楕円形、三角形、矩形等があげられる。
さらに、本実施形態の電動パワーステアリング装置においては、ナット15の外周面と出力プーリ20の内周面は、図10に示すように円柱面であったが、図11に示す第3の変形例のように円錐面(円錐台の側面)としてもよい。ナット15の外周面と出力プーリ20の内周面を円錐面とすれば、以下の効果が奏される。すなわち、ナット15の外周面と出力プーリ20の内周面が円柱面である場合は、無端ベルト21の張力変動を抑えるために、ナット15を出力プーリ20に圧入する必要があるが、円錐面とすれば、その必要がないため、ナット15と出力プーリ20の嵌め合い部の寸法公差を大きく設定することができる。
さらに、本実施形態の電動パワーステアリング装置においては、ナット15の外周面と出力プーリ20の内周面は、図10に示すように円柱面であったが、図11に示す第3の変形例のように円錐面(円錐台の側面)としてもよい。ナット15の外周面と出力プーリ20の内周面を円錐面とすれば、以下の効果が奏される。すなわち、ナット15の外周面と出力プーリ20の内周面が円柱面である場合は、無端ベルト21の張力変動を抑えるために、ナット15を出力プーリ20に圧入する必要があるが、円錐面とすれば、その必要がないため、ナット15と出力プーリ20の嵌め合い部の寸法公差を大きく設定することができる。
さらに、出力プーリ20の材質は特に限定されるものではないが、樹脂製とすれば、出力プーリ20が連結されたナット15の回転における慣性モーメントをより低減することができる。樹脂の種類は特に限定されるものではなく、例えば、ポリアミド、ポリアセタール、フェノール樹脂、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリブチレンテレフタレート等があげられる。
5 ピニオン軸
7 ラック軸
9 ねじ軸
9a ねじ溝
11 ボールねじ
12 電動モータ
13 伝達機構
14 ボール
15 ナット
15a ねじ溝
19 入力プーリ
20 出力プーリ
21 無端ベルト
22 ボール循環路
41 凸部
43 凹部
7 ラック軸
9 ねじ軸
9a ねじ溝
11 ボールねじ
12 電動モータ
13 伝達機構
14 ボール
15 ナット
15a ねじ溝
19 入力プーリ
20 出力プーリ
21 無端ベルト
22 ボール循環路
41 凸部
43 凹部
Claims (4)
- 運転者の操舵に応じて回転するピニオン軸に噛み合い前記ピニオン軸の回転に応じて直動するラック軸と、前記運転者の操舵トルクに応じて回転駆動される電動モータと、前記電動モータの回転力を前記ラック軸の軸方向に沿う方向の直動力に変換して前記ラック軸に伝達するボールねじと、前記電動モータの回転を前記ボールねじに伝達する伝達機構と、を備え、
前記ボールねじは、螺旋状のねじ溝を外周面に有し且つ前記ラック軸と同軸に連結されたねじ軸と、前記ねじ軸のねじ溝に対向するねじ溝を内周面に有し且つ前記電動モータの回転が前記伝達機構を介して入力されて回転するナットと、前記両ねじ溝により形成される螺旋状のボール転動路に転動自在に装填される複数のボールと、前記ボールを前記ボール転動路の終点から始点へ戻し循環させるボール循環路と、を備え、前記電動モータによって前記ナットを回転させることにより、前記ボール転動路内での前記ボールの転動を介して、前記ねじ軸が前記ラック軸の軸方向に直動可能とされており、
前記伝達機構は、前記電動モータの回転が伝達される入力プーリと、前記ナットに連結され前記ナットに回転を伝達する出力プーリと、前記入力プーリ及び前記出力プーリに掛け渡されて前記入力プーリの回転を前記出力プーリに伝達する無端ベルトと、を備え、
前記出力プーリは前記ナットの外周面を覆うように配置され、径方向外方に突出する複数の凸部が前記ナットの外周面に形成されているとともに、前記ナットの凸部に対応する形状の凹部が前記出力プーリの内周面に形成されていて、前記ナットの凸部と前記出力プーリの凹部とが嵌め合わされ前記ナットと前記出力プーリとが連結されて一体的に回転可能となっており、
前記複数の凸部は下記の3つの条件A、B、及びCのうち少なくとも1つを満たす電動パワーステアリング装置。
条件A:前記複数の凸部のうち一部は他部とは形状が異なる。
条件B:前記複数の凸部が前記ナットの外周面上に周方向に不等配に配置されている。
条件C:前記複数の凸部のうち一部に前記ボール循環路が形成されている。 - 前記ナットの重心が前記ナットの回転軸上に位置するように前記複数の凸部が設けられている請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
- 前記ナットの外周面及び前記出力プーリの内周面が円錐面である請求項1又は請求項2に記載の電動パワーステアリング装置。
- 前記出力プーリが樹脂製である請求項1〜3のいずれか一項に記載の電動パワーステアリング装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016170704A JP2018034711A (ja) | 2016-09-01 | 2016-09-01 | 電動パワーステアリング装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016170704A JP2018034711A (ja) | 2016-09-01 | 2016-09-01 | 電動パワーステアリング装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018034711A true JP2018034711A (ja) | 2018-03-08 |
Family
ID=61566777
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016170704A Pending JP2018034711A (ja) | 2016-09-01 | 2016-09-01 | 電動パワーステアリング装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2018034711A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN111237431A (zh) * | 2020-03-03 | 2020-06-05 | 上海吉亿电机有限公司 | 改进型门机马达皮带轮安装结构及安装方法 |
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2016
- 2016-09-01 JP JP2016170704A patent/JP2018034711A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN111237431A (zh) * | 2020-03-03 | 2020-06-05 | 上海吉亿电机有限公司 | 改进型门机马达皮带轮安装结构及安装方法 |
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