JP2018034002A - 履物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、実際の縫糸による美麗なステッチを付与したゴム履物を効率よく提供する。【解決手段】未加硫状態のゴムからなる第1シート基材1Aを型面に沿って形成する工程と、前記型面に沿って形成された前記第1シート基材1Aをミシンの操作台上で平坦に展開した状態でミシン掛けして、前記第1シート基材1Aにステッチを形成する工程と、前記ステッチが形成された前記第1シート基材を、第2シート基材上に重ねて接合させて履物を形成する工程と、形成された前記履物を加硫処理する工程と、を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、履物の製造方法に関する。
ゴムを材料とするゴム履物の多くは、未だ加硫されていないゴムシートを適宜裁断し、型に被せて成型すると共に、底などを取付け、この状態で加硫装置内に入れて、加熱、加圧による加硫処理して製造している。
そしてこのようなゴム履物とりわけゴム長靴の胴部などには、シート基材に補強のため或いは装飾などのために、部分的に副シート基材を貼り付けて一体化することが広く行われている。またその副シート基材のアクセントのためにこの周縁部にステッチ調の模様を設けることもしばしば行われている。
ところでブーツなどの履物において、パーツ相互を縫合するための縫目を強調して施し、この縫目に防水処理を施すことが、例えば特許文献1の如く知られている。これに対し、ゴム履物においては、今まで直接に縫糸を持って縫合することは行われておらず、ステッチを形成するためには、未加硫状態のシート基材などにローラーなどで模様調を付しているのが一般的であった。
すなわち、ゴム履物においては、未加硫状態のシート基材の周縁部などに凹凸が設けられたローラー或いはプレス型などを用いて、ステッチ調の模様を形成し、これをシート基材に接合し、長靴全体を加硫装置に収納し、加熱、加圧による加硫処理を行い、ステッチ付きの長靴を得ているのが現状である。
特開平10−264272公報
ところが、このような方法では、あくまでもステッチ調の凹凸が設けられた型面を転写するに過ぎず、実際の縫糸によるステッチとはかけ離れてしまうものもあり、また加硫処理前に手作業で行われることが多く、手間を要する上に、美麗に仕上がらないこともあり、生産効率も良くない難点がある。また、このように凹凸によってステッチを形成するときは、シート基材や副シート基材の色調と同じものしか形成できないため、目的によっては装飾効果が乏しい面があった。
一視点に係る履物の製造方法は、未加硫状態のゴムからなる第1シート基材を型面に沿って形成する工程と、前記型面に沿って形成された前記第1シート基材をミシンの操作台上で平坦に展開した状態でミシン掛けして、前記第1シート基材にステッチを形成する工程と、前記ステッチが形成された前記第1シート基材を、第2シート基材上に重ねて接合させて履物を形成する工程と、形成された前記履物を加硫処理する工程と、を含む。
本発明は、上記の構成からなるものであるから、ゴム履物の所定の箇所に実際の縫糸を用い、仕上がりが良く強固に一体化した美麗なステッチを付与したゴム履物を得ることができると共に、ミシンなどを使用して正確に効率よくステッチの形成ができて、この種のゴム履物を効率良く製造することができる利点があり、さらに従来困難であった基材とは異色のステッチを付与できる特徴がある。
図1は、本発明の一実施例を示す長靴の斜視図である。 図2は、同じく長靴の背面図である。 図3は、図1に示す前側に用いる副シート基材のステッチを縫合で形成した状態を示す展開図である。 図4は、図2の後側に設ける副シート基材のステッチを形成した部分的な平面図である。 図5は、本発明に用いる副シート基材の別の例を示す部分的な斜視図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明するが、この例は長靴に適用した例を示すものである。また図示した例は、シート基材の箇所および副シート基材の箇所に夫々ステッチを形成したものである。図において1がアッパーで、甲部と胴部とからなっている。また2は本底でこれは前方から踏みつけ部、踏まず部、かかと部とから構成されている。
本発明は、このような長靴において、長靴のアッパー形状を備えた型面に沿って形成されるシート基材1Aは、未加硫の状態で本底2を除く型のほぼ全域を覆うようになっており、胴部には略円形状をなすステッチが実際の縫糸3の縫合によって形成されている。またこの甲部を覆うように設けられた副シート基材1Bは一般にバンプと称せられ、その甲側の縁に縫糸3を縫合して形成されたステッチが同様にして設けられていてシート基材1A上に重ねて接合されている。
本発明では、長靴を構成するシート基材および副シート基材を成形したものを接着する前で未加硫状態のときに、所定の箇所に予めこの副シート基材1Bを例えば図3の如く展開し、縁部をミシンによって縫糸3を縫合してステッチを形成し、これを用いる。シート基材1Aの場合もシート基材を展開した状態で、円形状に糸をミシン掛けして縫糸3を縫合してステッチを形成する。この縫合は、ミシンの操作台上に展開した副シート基材やシート基材を載せて常法に従って行うため、布などより滑りにくいときは、操作台上で縫合に支障を及ぼさない箇所に滑りやすいテープなどを張っておくとスムーズに行うことができる。
このときの縫合は、縫糸3が夫々のシート基材1Aや副シート基材1Bを貫通してしっかり取付けることができ、その後の工程で加硫処理することによって一体化されることとなる。このときに使用する縫糸は、目的にあった天然繊維或いは合成繊維の素材や太さを選択することができ、またシート基材1A、副シート基材1Bとは異なる色の糸を選ぶことが可能である。
次に本発明例の図2および図4の部位について説明すると、この場合は長靴の背面中央部の縦方向に設けられる接合部の上面に形成される、帯状の副シート基材1Cを設けた例である。すなわち、図2のようにアッパー1の履き口からかかとに延びる帯状の副シート基材1Cの左右の縁に沿ってミシンによる縫糸3を形成すると共に、上下端にはX字状に縫糸を設けている。上記例の未加硫状態の副シート基材1Cのミシンによる縫合は、図3の場合と同様にして行うことができる。
そして、予め縫糸3の縫合によるステッチを形成した未加硫の副シート基材1Cは、上記例と同様に常法によりシート基材1Aの所定箇所に接合した上で、加硫装置内に収納して加硫処理をすることにより所定箇所にステッチを形成した長靴を得ることができる。この際の縫糸3の縫合は、ミシンにより機械的に行うことができるため、規則的で美麗なステッチが形成でき、しかも効率よく製造することができる利点がある。
以上本発明の実施態様について説明したが、これらの例はシート基材1Aに直接およびアッパー前面の甲部を覆うステッチのある副シート基材1Bを設ける例と、背面中央の帯状でステッチ模様の形成された副シート基材1Cを設ける例で、実用的な態様であったが、この例に限られず装飾性に富んだ形状の副シート基材を、甲部や胴部に設ける場合の長靴に適用させることももちろん可能である。そしてそのような場合には、ステッチを縁部だけに設けるだけでなく、ステッチによって或いはこれに複数の色を採用して変化に富んだ図柄を表した副シート基材を用いる場合にも適用させることができる。もちろん本発明は、単一のシート基材のみで制作した長靴やその他のゴム履物にステッチを施す場合にも適用させることができる。
また、縫糸による縫合は、平坦なものばかりでなく、例えば図5に示すように、帯状の副シート基材1Dを折り畳み、これにオーバーロック縫いなどを施して立体的となった副シート基材1Dとし、これの基部をシート基材1Aに接合させて設けることもできる。
本発明における履物としては、上記の長靴以外に、胴部の短いショートブーツ、短靴状のゴム靴或いは地下たび様のブーツなどゴムで製造する履物全般を対象にすることも可能である。
(付記)
本発明では、前記一視点に係る履物の製造方法の形態が可能である。
前記一視点に係る履物の製造方法において、前記操作台上には、前記第1シート基材に対して前記操作台よりも滑りやすいテープが張つけられている。
前記一視点に係る履物の製造方法において、前記ミシン掛けで用いられる縫糸は、前記第1シート基材とは異色である。
前記一視点に係る履物の製造方法において、前記履物は、長靴である。
1 アッパー
1A シート基材
1B 副シート基材
1C 副シート基材
1D 副シート基材
2 本底
3 縫糸

Claims (4)

  1. 未加硫状態のゴムからなる第1シート基材を型面に沿って形成する工程と、
    前記型面に沿って形成された前記第1シート基材をミシンの操作台上で平坦に展開した状態でミシン掛けして、前記第1シート基材にステッチを形成する工程と、
    前記ステッチが形成された前記第1シート基材を、第2シート基材上に重ねて接合させて履物を形成する工程と、
    形成された前記履物を加硫処理する工程と、
    を含む、
    履物の製造方法。
  2. 前記操作台上には、前記第1シート基材に対して前記操作台よりも滑りやすいテープが張つけられている、
    請求項1記載の履物の製造方法。
  3. 前記ミシン掛けで用いられる縫糸は、前記第1シート基材とは異色である、
    請求項1又は2記載の履物の製造方法。
  4. 前記履物は、長靴である、
    請求項1乃至3のいずれか一に記載の履物の製造方法。
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