JP2018029521A - miR398標的核酸配列を含む、遺伝子導入のためのウイルスベクター - Google Patents
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Abstract
【課題】植物における外来遺伝子の発現のために、ゲノム編集完了後にウイルスベクターを簡便に除去可能であり、且つ前記除去操作による前記植物への悪影響を最小限にできる前記植物ウイルスベクターと、前記植物ウイルスベクターを前記植物に感染させる工程を含みながら、外来DNAを植物染色体に組み込むことなくゲノム編集を可能とする遺伝子導入方法の提供。【解決手段】特定の核酸配列を含むmiR398により標的とされるmiR398標的核酸配列を有する、ゲノム編集酵素遺伝子導入のための植物ウイルスベクター。miR398標的核酸配列が、miR398と少なくとも70%の同一性を有する核酸配列に相補的であるウイルスベクター。【選択図】なし
Description
本発明は、miR398標的核酸配列を含む、遺伝子導入のためのウイルスベクター、
及びそれを植物に感染させる工程を含む、遺伝子導入方法に関する。
及びそれを植物に感染させる工程を含む、遺伝子導入方法に関する。
植物における外来遺伝子の発現にはいくつかの方法があるが、植物ウイルスベクターは簡便で高発現が見込めるほか、植物ゲノムへの外来DNAの挿入を経ずに遺伝子発現が可能であるという利点がある。近年注目を集めているゲノム編集技術によって作製した遺伝子操作植物は、組換え体としての規制を受けない可能性があるが、ゲノム編集植物を作製するためには、多くの場合ゲノム編集酵素を発現する組換え体を一旦作製する必要があるため、代替技術の開発競争が行われている(非特許文献1)。ウイルスベクターの利用は有望な代替技術の一つであるが、ゲノム編集完了後にウイルスベクターを除去する必要があり、これが技術的障害となっていた。
他方、miR398は、ストレス応答や銅代謝に関与していることが示されている小分子RNAであるが、シロイヌナズナ等では環境ストレスにより発現が誘導され、標的遺伝子を抑制するmiRNAとして報告されている(非特許文献2)。miR398の発現を誘導するストレスとしては、多くの植物の脱分化・再分化培地に含まれるショ糖等が挙げられる。
Woo et al. Nature Biotechnology 33, 1162-1164 (2015)
Dugas and Bartel, Plant Mol Biol, 67:403-417 (2008)
遺伝子導入完了後に簡便に除去可能であり、且つ除去操作による植物への悪影響を最小限にできる植物ウイルスベクターを見出すことを課題とする。
本発明者らは鋭意研究の末、従来には知られていなかったmiR398標的核酸配列を含む、遺伝子導入のためのウイルスベクターを使用することにより、ゲノム編集酵素遺伝子を植物に導入し、ゲノム編集完了後に不要となったウイルスベクターを、植物への悪影響を最小限にして除去することにより、外来DNAを植物染色体に組み込むことなくゲノム編集が可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は以下である。
[1]miR398標的核酸配列を含む、遺伝子導入のためのウイルスベクター。
[2]配列番号1の配列及び配列番号5〜26の配列からなる群より選択される配列を有するmiR398により標的とされるmiR398標的核酸配列を有する、前記[1]記載のウイルスベクター。
[3]miR398標的核酸配列が、miR398と少なくとも70%の同一性を有する核酸配列に相補的である、前記[1]又は[2]記載のウイルスベクター。
[4]miR398標的核酸配列が、配列番号1の配列及び配列番号5〜26の配列からなる群より選択される配列の2〜17位の領域において少なくとも80%の同一性を有する核酸配列に相補的である、前記[1]〜[3]のいずれか記載のウイルスベクター。
[5]miR398標的核酸配列が、配列番号2、3又は4の配列、又はそれらと少なくとも90%の同一性を有する配列からなる群より選択される、前記[1]〜[4]のいずれか記載のウイルスベクター。
[6]miR398標的核酸配列が、配列番号2、3又は4の配列である、前記[1]〜[5]のいずれか記載のウイルスベクター。
[7]ウイルスベクターが、植物ウイルスベクターである、前記[1]〜[6]のいずれか記載のウイルスベクター。
[8]ベクターが、ナス科植物ウイルスベクターである、前記[7]記載のウイルスベクター。
[9]外被タンパク質を欠損している、前記[1]〜[8]のいずれか記載のウイルスベクター。
[10]前記[1]〜[9]のいずれか記載のウイルスベクターを植物に感染させる工程を含む、遺伝子導入方法。
[11]さらに、植物を脱分化及び再分化させる工程を含む、前記[10]記載の遺伝子導入方法。
[2]配列番号1の配列及び配列番号5〜26の配列からなる群より選択される配列を有するmiR398により標的とされるmiR398標的核酸配列を有する、前記[1]記載のウイルスベクター。
[3]miR398標的核酸配列が、miR398と少なくとも70%の同一性を有する核酸配列に相補的である、前記[1]又は[2]記載のウイルスベクター。
[4]miR398標的核酸配列が、配列番号1の配列及び配列番号5〜26の配列からなる群より選択される配列の2〜17位の領域において少なくとも80%の同一性を有する核酸配列に相補的である、前記[1]〜[3]のいずれか記載のウイルスベクター。
[5]miR398標的核酸配列が、配列番号2、3又は4の配列、又はそれらと少なくとも90%の同一性を有する配列からなる群より選択される、前記[1]〜[4]のいずれか記載のウイルスベクター。
[6]miR398標的核酸配列が、配列番号2、3又は4の配列である、前記[1]〜[5]のいずれか記載のウイルスベクター。
[7]ウイルスベクターが、植物ウイルスベクターである、前記[1]〜[6]のいずれか記載のウイルスベクター。
[8]ベクターが、ナス科植物ウイルスベクターである、前記[7]記載のウイルスベクター。
[9]外被タンパク質を欠損している、前記[1]〜[8]のいずれか記載のウイルスベクター。
[10]前記[1]〜[9]のいずれか記載のウイルスベクターを植物に感染させる工程を含む、遺伝子導入方法。
[11]さらに、植物を脱分化及び再分化させる工程を含む、前記[10]記載の遺伝子導入方法。
本発明によれば、遺伝子導入完了後にウイルスベクターを除去するための特別な操作の必要がなく、植物への悪影響を最小限にして、植物に遺伝子を導入することができる。
本発明は、miR398標的核酸配列を含む、遺伝子導入のためのウイルスベクター、及びそれを植物に感染させる工程を含む、遺伝子導入方法を提供する。
miR398は単子葉・双子葉問わず広く植物に保存されている。本発明におけるmiR398は、発現形式がタバコと同様であり、かつウイルス感染葉から個体が再生可能な任意の植物のmiR398であればよい。そのようなmiR398としては、例えばタバコ、シロイヌナズナ、イネ、トウモロコシ、大豆、小麦、ジャガイモ、メロン、セイヨウリンゴ、ポプラ、セイヨウアブラナなどのmiR398が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、本発明におけるmiR398は、タバコのmiR398である。
タバコのmiR398の配列は、
5’−UGUGUUCUCAGGUCGCCCCUG−3’ (配列番号1)
であるが、本発明において利用可能なさらなるmiR398の配列を表1に例示する。
5’−UGUGUUCUCAGGUCGCCCCUG−3’ (配列番号1)
であるが、本発明において利用可能なさらなるmiR398の配列を表1に例示する。
本発明のウイルスベクターにおけるmiR398標的核酸配列は、miR398の配列と少なくとも70%、好ましくは80%、より好ましくは90%の同一性を有する核酸配列に相補的であればよく、好ましくは配列番号1の配列及び配列番号5〜26の配列からなる群より選択される配列の2〜17位の領域において少なくとも80%、好ましくは85%、より好ましくは90%、最も好ましくは100%の同一性を有する核酸配列に相補的であればよい。
本発明のウイルスベクターにおけるmiR398標的核酸配列は、
5’−CAGGGGCGACCTGAGAACACA−3’ (配列番号2)
5’−TGCGGGTGACCTGGGAAACATA−3’(配列番号3)
5’−ACTCGGTGACCTGGGAACACT−3’ (配列番号4);
及びそれらと少なくとも90%の同一性を有する配列からなる群より選択することができ、好ましくは、配列番号2、3又は4の配列である。
5’−CAGGGGCGACCTGAGAACACA−3’ (配列番号2)
5’−TGCGGGTGACCTGGGAAACATA−3’(配列番号3)
5’−ACTCGGTGACCTGGGAACACT−3’ (配列番号4);
及びそれらと少なくとも90%の同一性を有する配列からなる群より選択することができ、好ましくは、配列番号2、3又は4の配列である。
既知の植物ウイルスは全て宿主のRNAサイレンシングの影響を受ける。そして、ウイルスを標的とするよう人工的にデザインしたmiRNAを発現させることにより、多くのウイルスに対する抵抗性植物の作出が報告されている(例えば、Turnip yellow mosaic virus:Niu et al., Nat Biotechnol. 2006 Nov; 24 (11): 1420-8;カブモザイクウイルス:Niu et al., Nat Biotechnol. 2006 Nov; 24 (11): 1420-8;キュウリモザイクウイルス:Qu et al., J Virol. 2007 Jun;81(12):6690-9)。よって、本発明のウイルスベクターは、任意の植物ウイルスベクターであればよいが、好ましくはナス科植物ウイルスベクター、例えばトマトモザイクウイルスベクター、トマトブッシースタントウイルスベクター、タバコモザイクウイルスベクター、タバコ茎えそウイルスベクター、ジャガイモXウイルスベクター、ジャガイモYウイルスベクターなどが挙げられ、これらに限定されない。
本発明のウイルスベクターは、好ましくは外被タンパク質を欠損しており、それにより除去がより容易となる。
本発明により、遺伝子を導入し得る植物としては、miR398の発現様式がタバコと同様であり、かつ感染葉から個体が再生可能な植物であればよく、例えばタバコ、シロイヌナズナ、イネ、トウモロコシ、大豆、小麦、ジャガイモ、メロン、セイヨウリンゴ、ポプラ、セイヨウアブラナなどが挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、本発明により遺伝子を導入し得る植物は、タバコである。
本発明は、前記ウイルスベクターを植物に感染させる工程を含む遺伝子導入方法を提供する。本発明による遺伝子導入方法は、好ましくは、さらに植物を脱分化及び再分化させる工程を含む。
ウイルスベクターを植物に感染させる工程及び植物を脱分化及び再分化させる工程は、当該技術分野にて慣用されている任意の工程であればよい。その一例として、タバコにウイルスを接種する工程、その後感染葉からカルスを形成し、再分化させてシュートを得る工程が挙げられるが、これに限定されない。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
1.ウイルスベクターの設計
遺伝子導入の効率を簡易的に測定するため、トマトモザイクウイルス(ToMV)ベクターpTLW3(Kubota et al. J Virol., 2013, 77 (20): 11016-1026)の外被タンパク質コード領域を黄色蛍光タンパク質(YFP)遺伝子あるいはメガヌクレアーゼI−SceI遺伝子と置き換えた。YFP遺伝子は感染部位の可視化に便利であることから利用したが、ウイルスベクターの性質に影響しないので、任意の配列と置換可能である。I−SceIは18塩基の配列を特異的に認識するエンドヌクレアーゼである。タバコは、通常は蛍光を発現しないが、I−SceI標的部位が切断され、続いて修復される際にフレームが戻るとホタルルシフェラーゼが発現する遺伝子カセットをゲノムにもつ形質転換タバコを用いることにより、ゲノム編集部位の可視化が可能となる。さらに、配列番号2、3又は4を有するmiR398標的核酸配列又はSpacer配列を、YFP遺伝子あるいはI−SceI遺伝子の終止コドン直後に配した。ウイルスベクターの設計を図1に示す。
遺伝子導入の効率を簡易的に測定するため、トマトモザイクウイルス(ToMV)ベクターpTLW3(Kubota et al. J Virol., 2013, 77 (20): 11016-1026)の外被タンパク質コード領域を黄色蛍光タンパク質(YFP)遺伝子あるいはメガヌクレアーゼI−SceI遺伝子と置き換えた。YFP遺伝子は感染部位の可視化に便利であることから利用したが、ウイルスベクターの性質に影響しないので、任意の配列と置換可能である。I−SceIは18塩基の配列を特異的に認識するエンドヌクレアーゼである。タバコは、通常は蛍光を発現しないが、I−SceI標的部位が切断され、続いて修復される際にフレームが戻るとホタルルシフェラーゼが発現する遺伝子カセットをゲノムにもつ形質転換タバコを用いることにより、ゲノム編集部位の可視化が可能となる。さらに、配列番号2、3又は4を有するmiR398標的核酸配列又はSpacer配列を、YFP遺伝子あるいはI−SceI遺伝子の終止コドン直後に配した。ウイルスベクターの設計を図1に示す。
2.ウイルスベクターの感染
各ToMVベクタープラスミドをMluIで切断した直鎖状DNAを鋳型にAmpliCap−Max T7 High Yield Message Maker Kit(Cellscript、米国)を用いて試験管内転写反応を行い、反応液を水で5〜10倍希釈したものを、カーボランダムを使いタバコの葉に機械接種した。
各ToMVベクタープラスミドをMluIで切断した直鎖状DNAを鋳型にAmpliCap−Max T7 High Yield Message Maker Kit(Cellscript、米国)を用いて試験管内転写反応を行い、反応液を水で5〜10倍希釈したものを、カーボランダムを使いタバコの葉に機械接種した。
YFP蛍光の広がりを観察したところ、miR398標的配列の有無で大きな差はなかったことから、タバコ葉におけるToMVベクターの増殖及びYFP遺伝子の発現にはmiR398標的核酸配列の挿入による影響はほとんどないと考えられた。
3.植物の脱分化及び再分化
ウイルス接種から14日後のタバコ葉を5倍希釈したキッチンハイター(登録商標)で滅菌し、YFPあるいはホタルルシフェラーゼの発現が観察された部位を含む約1cm四方のリーフディスクよりカルスを形成させ、公知のタバコの形質転換法(Oshima et al., Plant Cell. 1990, 2: 95-106)に従ってシュートを形成させた。但し、再分化に用いる培地は選択用の抗生物質を含まないものを用いた。
ウイルス接種から14日後のタバコ葉を5倍希釈したキッチンハイター(登録商標)で滅菌し、YFPあるいはホタルルシフェラーゼの発現が観察された部位を含む約1cm四方のリーフディスクよりカルスを形成させ、公知のタバコの形質転換法(Oshima et al., Plant Cell. 1990, 2: 95-106)に従ってシュートを形成させた。但し、再分化に用いる培地は選択用の抗生物質を含まないものを用いた。
4.RT−PCRによるウイルスの検出
シュートをカルスから切り分けて、新しい培地に移した。3週間後、シュートの1枚目の葉からISOSPIN Plant RNA(和光純薬工業株式会社)を用いてRNAを抽出した。次に、100ngのRNAを鋳型とし、ToMVの複製タンパク質コード領域を標的とするプライマー(To86: 5’−TCAACAGAGTAACTGGT−3’(配列番号27);及びTo87:5’−GCAGCTACAGACTTAGA−3’(配列番号28))とPrimeScript One Step RT−PCR Kit Ver.2(Dye Plus)(タカラバイオ株式会社)を用いてRT−PCR(40サイクル)を行った。ポジティブコントロール、ネガティブコントロールとして、in vitro転写で調製したウイルスRNA、及びウイルスフリーのタバコ葉から抽出したRNAをそれぞれ用いた。RT−PCR後のサンプルを、アガロースゲル電気泳動に供し、LAS−3000(富士フィルム株式会社)を用いてイメージの取り込みを行った。
シュートをカルスから切り分けて、新しい培地に移した。3週間後、シュートの1枚目の葉からISOSPIN Plant RNA(和光純薬工業株式会社)を用いてRNAを抽出した。次に、100ngのRNAを鋳型とし、ToMVの複製タンパク質コード領域を標的とするプライマー(To86: 5’−TCAACAGAGTAACTGGT−3’(配列番号27);及びTo87:5’−GCAGCTACAGACTTAGA−3’(配列番号28))とPrimeScript One Step RT−PCR Kit Ver.2(Dye Plus)(タカラバイオ株式会社)を用いてRT−PCR(40サイクル)を行った。ポジティブコントロール、ネガティブコントロールとして、in vitro転写で調製したウイルスRNA、及びウイルスフリーのタバコ葉から抽出したRNAをそれぞれ用いた。RT−PCR後のサンプルを、アガロースゲル電気泳動に供し、LAS−3000(富士フィルム株式会社)を用いてイメージの取り込みを行った。
ネガティブコントロールのSpacer配列では100%(25/25)のサンプルでウイルスが検出されたのに対し、配列番号2を有するウイルスベクター感染葉より再分化したシュートでは60%(15/25)のサンプルでウイルスが検出されただけで、残りの40%のサンプルはウイルスゲノムの蓄積は検出限界以下であった。
5.リアルタイムPCRによるウイルスの検出
再分化シュートの3枚目の葉から前項と同様にRNAを抽出した。次に、40ngのRNAを鋳型とし、ToMVの複製タンパク質コード領域を標的とするプライマー(511F: 5’−TATACCTTTCTAGGCTCGAGAGGGG−3’(配列番号29);及び657R:5’−TTCCCGTGTAACATTCTTGAGAATG−3’(配列番号30))とiScript One−Step RT−PCR Kit with SYBR Green(Bio-Rad、米国)を用いてリアルタイムPCRを行い、iQTM5 リアルタイム PCR 解析システムを用いて検出した。
再分化シュートの3枚目の葉から前項と同様にRNAを抽出した。次に、40ngのRNAを鋳型とし、ToMVの複製タンパク質コード領域を標的とするプライマー(511F: 5’−TATACCTTTCTAGGCTCGAGAGGGG−3’(配列番号29);及び657R:5’−TTCCCGTGTAACATTCTTGAGAATG−3’(配列番号30))とiScript One−Step RT−PCR Kit with SYBR Green(Bio-Rad、米国)を用いてリアルタイムPCRを行い、iQTM5 リアルタイム PCR 解析システムを用いて検出した。
ネガティブコントロールのSpacer配列の場合と比較して、配列番号3あるいは4を有するウイルスベクターより再分化したシュートにおけるウイルスゲノムの蓄積量は1万分の1から10万分の1程度にまで低下している個体が多くみられた。段落[0027]の結果と合わせると、ウイルスゲノムの蓄積量低下効果は配列番号2、3、4の順に高かった。これらの結果から、用いる標的配列はmiR398との相同性が高いほど効果的であるといえる。
6.結果
miR398標的核酸配列を含むウイルスベクターを用いることにより、特別な処理を行わなくても再分化シュートにおいてウイルスベクターの蓄積量が低下し、個体によっては検出限界以下に除去されていることが判明した。
miR398標的核酸配列を含むウイルスベクターを用いることにより、特別な処理を行わなくても再分化シュートにおいてウイルスベクターの蓄積量が低下し、個体によっては検出限界以下に除去されていることが判明した。
本発明による遺伝子導入法では、外来遺伝子の除去のための交配を必要としないため、栄養繁殖性の作物、F1品種、果樹などの交配を回避したい植物への非組み換え遺伝子導入に利用可能である。また、形質転換が困難な植物であっても、本発明を適用しうる。また、本発明は、ウイルスベクターを用いて内在性遺伝子の発現抑制を行ったり、すでに感染している他のウイルスに対するRNAサイレンシングを誘導することによる当該ウイルスの根絶治療を行った後のウイルス除去にも適用しうる。
Claims (11)
- miR398標的核酸配列を含む、遺伝子導入のためのウイルスベクター。
- 配列番号1の配列及び配列番号5〜26の配列からなる群より選択される配列を有するmiR398により標的とされるmiR398標的核酸配列を有する、請求項1記載のウイルスベクター。
- miR398標的核酸配列が、miR398と少なくとも70%の同一性を有する核酸配列に相補的である、請求項1又は2記載のウイルスベクター。
- miR398標的核酸配列が、配列番号1の配列及び配列番号5〜26の配列からなる群より選択される配列の2〜17位の領域において少なくとも80%の同一性を有する核酸配列に相補的である、請求項1〜3のいずれか一項記載のウイルスベクター。
- miR398標的核酸配列が、配列番号2、3又は4の配列、又はそれらと少なくとも90%の同一性を有する配列からなる群より選択される、請求項1〜4のいずれか一項記載のウイルスベクター。
- miR398標的核酸配列が、配列番号2、3又は4の配列である、請求項1〜5のいずれか一項記載のウイルスベクター。
- ウイルスベクターが、植物ウイルスベクターである、請求項1〜6のいずれか一項記載のウイルスベクター。
- ベクターが、ナス科植物ウイルスベクターである、請求項7記載のウイルスベクター。
- 外被タンパク質を欠損している、請求項1〜8のいずれか一項記載のウイルスベクター。
- 請求項1〜9のいずれか一項記載のウイルスベクターを植物に感染させる工程を含む、遺伝子導入方法。
- さらに、植物を脱分化及び再分化させる工程を含む、請求項10記載の遺伝子導入方法。
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2017
- 2017-05-12 WO PCT/JP2017/018011 patent/WO2018037635A1/ja active Application Filing
Patent Citations (3)
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Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
WO2018037635A1 (ja) | 2018-03-01 |
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