JP2018026717A - 平面アンテナ、同時焼成セラミック基板、準ミリ波・ミリ波無線通信モジュールおよび同時焼成セラミック基板の製造方法 - Google Patents

平面アンテナ、同時焼成セラミック基板、準ミリ波・ミリ波無線通信モジュールおよび同時焼成セラミック基板の製造方法 Download PDF

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Kenji Hayashi
健児 林
雅人 榎木
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Abstract

【課題】準ミリ波・ミリ波帯域の無線通信に利用可能な平面アンテナ、同時焼成セラミック基板および準ミリ波・ミリ波無線通信モジュールを提供する。
【解決手段】平面アンテナは、上面及び下面を有し、積層された複数のセラミック層を含む多層セラミック体10と、多層セラミック体内の複数のセラミック層の界面の1つまたは多層セラミック体の上面に位置する少なくとも1つの放射導体31と、多層セラミック体内の複数のセラミック層の他の界面の1つまたは多層セラミック体の下面に位置する地導体32と、多層セラミック体内の放射導体と地導体との間に位置している中空空間15とを備える。
【選択図】図1

Description

本願は、平面アンテナ、同時焼成セラミック基板、準ミリ波・ミリ波無線通信モジュールおよび同時焼成セラミック基板の製造方法に関する。
インターネットによる情報伝達量が飛躍的に増大しており、より大容量の情報を伝搬できる無線通信技術が求められている。また、より高精細な画像のテレビ放送も求められている。
無線通信では、搬送周波数が高いほど、情報伝達に利用する周波数帯域を広くとることができ、多くの情報を伝搬できる。このため、近年では、マイクロ波、特に、1GHz程度から15GHz程度の範囲の無線LAN、携帯電話通信網、衛星通信などの無線通信が広く利用されている。
このような高周波の無線通信に用いるアンテナには、例えば、平面アンテナが用いられる。特許文献1は、プリント配線基板にアンテナ導体が設けられた、GPS受信システム用の平面アンテナを開示している。アンテナ導体は、腐食防止のため、ソルダーレジストで覆われている。特許文献2は、樹脂基板上に、導体膜と、導体膜を覆う保護膜とが設けられたマイクロ波およびミリ波領域の通信システム用平面アンテナを開示している。
特開平6−140831号公報 特開2012−054826号公報
近年、より大容量の情報を伝搬するための近距離無線通信技術として準ミリ波・ミリ波帯域の無線通信技術が注目されている。
本願の限定的ではないある例示的な一実施形態は、準ミリ波・ミリ波帯域の無線通信に利用可能な平面アンテナ、同時焼成セラミック基板および準ミリ波・ミリ波無線通信モジュールを提供する。
本開示の平面アンテナは、上面及び下面を有し、積層された複数のセラミック層を含む多層セラミック体と、前記多層セラミック体内の前記複数のセラミック層の界面の1つまたは前記多層セラミック体の前記上面に位置する少なくとも1つの放射導体と、前記多層セラミック体内の前記複数のセラミック層の他の界面の1つまたは前記多層セラミック体の前記下面に位置する地導体と、前記多層セラミック体内の前記放射導体と前記地導体との間に位置している中空空間とを備える。
前記多層セラミック体の上面視において、前記中空空間の外縁は、前記放射導体の全体を囲んでいてもよい。
本開示の同時焼成セラミック基板は、上面及び下面を有し、積層された複数のセラミック層を含む多層セラミック体と、前記多層セラミック体内の前記複数のセラミック層の界面の1つまたは前記多層セラミック体の前記上面に位置する少なくとも1つの放射導体と、前記多層セラミック体内の前記複数のセラミック層の他の界面の1つまたは前記多層セラミック体の前記下面に位置する地導体と、前記多層セラミック体内の前記放射導体と前記地導体との間に位置している中空空間と、前記複数のセラミック層の他の界面であって、前記放射導体よりも前記下面側に位置する他の界面に位置する複数の導電体パターンと、前記複数のセラミック層のうち、前記放射導体よりも前記下面側に位置するセラミック層に設けられた複数の導電性ビアとを備え、前記放射導体と、前記地導体と、前記放射導体および前記地導体の間に位置する前記複数のセラミック層の一部によって平面アンテナを構成し、前記複数の導電体パターンおよび前記複数の導電性ビアによって受動部品および配線を構成している。
前記多層セラミック体の上面視において、前記地導体の外縁は、前記放射導体の全体を囲んでいてもよい。
前記放射導体は、前記多層セラミック体の前記上面に位置していてもよい。
前記中空空間の上面は前記界面の1つと接しており、前記放射導体は前記中空空間と接していてもよい。
前記地導体の一部は前記中空空間と接していてもよい。
前記中空空間の下面は前記他の界面と離間しており、前記地導体は、前記中空空間と前記多層セラミック体の前記下面との間に位置していてもよい。
前記放射導体を複数含んでいてもよい。
本開示の準ミリ波・ミリ波無線通信モジュールは、上記いずれかに記載の同時焼成セラミック基板と、前記多層セラミック体の前記下面に位置する前記複数の電極と接続された能動部品とを備える。
本開示の同時焼成セラミック基板の製造方法は、放射導体の導電ペーストパターンが配置された第1セラミックグリーンシート、地導体の導電ペーストパターンが配置された第2セラミックグリーンシート、および放射導体よりも大きい貫通開口を有し、前記貫通開口に有機樹脂からなる粒子を含むペーストが充填された少なくとも1つの第3セラミックグリーンシートを含む複数のセラミックグリーンシートを用意する工程(A)と、前記少なくとも1つの第3セラミックグリーンシートの前記貫通開孔の上方領域または下方領域内に前記第1セラミックグリーンシートの前記放射導体の導電ペーストパターンが位置し、かつ、前記少なくとも1つの第3セラミックグリーンシートが前記第1セラミックグリーンシートと前記第2セラミックグリーンシートとの間に位置するように、前記複数のセラミックグリーンシートを積層し圧着させることにより、グリーンシート積層体を得る工程(B)と、前記グリーンシート積層体を加熱することによって、前記グリーンシート積層体からバインダおよび前記開口内の前記有機樹脂を含むペーストを焼失させ、前記中空空間を有するグリーンシート積層体を焼結させる工程(C)と包含する。
本開示の実施形態によれば、準ミリ波・ミリ波帯域の無線通信に利用可能な平面アンテナ、平面アンテナを備えた同時焼成セラミック基板および準ミリ波・ミリ波無線通信モジュールが提供される。また、平面アンテナを備えた同時焼成セラミック基板の製造方法が提供される。
(a)、(b)および(c)は同時焼成セラミック基板の実施形態の一例を示す、模式的上面図、模式的下面図、および、(b)の1c−1c線における模式的断面図である。 図1に示す同時焼成セラミック基板の模式的上面図であって、中空空間および地導体を合わせて示す図である。 (a)から(f)は、同時焼成セラミック基板の放射導体および地導体の他の配置例を示す断面図である。 (a)から(f)は、同時焼成セラミック基板の製造方法の一実施形態による工程断面図である。 (a)および(b)は準ミリ波・ミリ波帯域の無線通信の実施形態を示す下面図および断面図である。 (a)および(b)は実験例で用いた平面アンテナの構造を示す断面図および上面図である。 実験例1の結果を示すグラフである。 実験例3の結果を示すグラフである。
本願発明者は、準ミリ波・ミリ波帯域の無線通信に利用可能な平面アンテナについて詳細に検討した。ミリ波帯域の無線通信は、波長が1mm〜10mmであり、30GHzから300GHzの周波数の電波を搬送波として用いる。準ミリ波帯域の無線通信は、波長が10mm〜30mmであり、10GHzから30GHzの周波数の電波を搬送波として用いる。準ミリ波・ミリ波帯域の無線通信では、平面アンテナのサイズは数センチあるいはミリメートルのオーダーになる。このため、例えば、準ミリ波・ミリ波無線通信回路を、多層セラミック焼結基板によって構成する場合、多層セラミック焼結基板に平面アンテナを実装することが可能となる。
一方、準ミリ波・ミリ波帯域の無線通信回路では伝送ロスの影響が大きい。無線通信において送信される電波が熱変換されることにより発生する誘電体による損失αは以下の式(1)で示される。ここで、fは搬送波の周波数であり、εrは誘電体の比誘電率であり、tanδは誘電体の誘電正接である。式(1)から分かるように、誘電体による損失αはtanδに比例し、εrの1/2乗に比例し、tanδおよびεrが小さければ損失αも小さくなる。
α∝f・√(εr)・tanδ (1)
εrおよびtanδは、多層セラミック焼結基板を構成するセラミック材料の物性であるが、セラミックの組成および焼結条件を調整した場合、εrおよびtanδの両方が同時に小さくできるとは限らない。本願発明者は、同時焼成セラミック焼結基板に設けられ、構造的にεrを調整し得る新規な平面アンテナを想到した。以下、本開示の平面アンテナ、同時焼成セラミック基板および準ミリ波・ミリ波無線通信モジュールの実施形態を詳細に説明する。
(第1の実施形態)
平面アンテナおよび同時焼成セラミック基板の実施形態を説明する。図1(a)および(b)は本開示の実施形態による同時焼成セラミック基板101の模式的上面図および下面図である。また図1(c)は、同時焼成セラミック基板101の、図1(b)に示す1c−1c線断面である。
[1.平面アンテナおよび同時焼成セラミック基板の構造]
同時焼成セラミック基板101は、多層セラミック体10と、多層セラミック体10内に設けられた中空空間15と、少なくとも1つの放射導体31と、地導体32とを備える。
多層セラミック体10は、上面10aおよび下面10bを有する。多層セラミック体10は、グリーンシートを積層し、焼成させることによって得られた複数のセラミック層を有する。多層セラミック体10には、複数のセラミック層間の明瞭な界面が存在しない場合もある。各セラミック層は、1つのグリーンシートに対応する。
放射導体31は、上面10aまたは複数のセラミック層の界面の1つに位置する。地導体32は、複数のセラミック層の界面の他の1つであって、放射導体31よりも下面10b側、または、下面10bに位置する。図1では、放射導体31は、上面10a上に位置し、地導体32は、放射導体31よりも下面10b側の多層セラミック体10の内部に位置している。
多層セラミック体10の複数のセラミック層は、上面10aと地導体32との間に位置する第1部分10cと、下面10bと地導体32との間に位置する第2部分10dとを含む。第1部分10cは中空空間15を含んでいる。図1(c)に示すように、放射導体31、中空空間15を含む多層セラミック体10の第1部分10cおよび地導体32が平面アンテナ11を構成している。平面アンテナ11は、本実施形態ではパッチアンテナであり、放射導体31と、地導体32と、放射導体31および地導体32とに挟まれた1以上のセラミック層とにより構成されるマイクロストリップアンテナである。
放射導体31は、電波を放射する放射素子であり、導電性層によって形成される。図1(a)に示すように、本実施形態では、放射導体31は、矩形(方形)形状を有している。しかし、放射導体31は、円形状あるいは他の形状を有していてもよい。本実施形態では、平面アンテナ11は6つの放射導体31を含み、上面10aにおいて、2次元に配列されている。放射導体31は、複数のセラミック層の界面のうちの同じ界面に2次元に配列されていてもよい。複数の放射導体31はアレイアンテナを構成しており、これにより、放射または受信する電波の指向性が高められる。例えば、放射導体31の形状が矩形である場合、放射導体31の一辺の長さは搬送波の波長の1/2であり、より具体的には、5mm以下である。
中空空間15は、上面10a上の各放射導体31と地導体32との間に位置している。中空空間15は、多層セラミック体10を構成しているセラミック材料および他の固体または液体材料で充填されていない空間である。中空空間15は、大気または焼成時の雰囲気を満たしているガスで満たされている。中空空間15は、多層セラミック体10の外部と連通していてもよいし、外部から隔絶された空間であってもよい。
地導体32は、マイクロストリップアンテナにおけるグランドとして機能し、導電性層によって形成される。
図2は、同時焼成セラミック基板101の上面図であり、中空空間15および地導体32を、それぞれ、破線および一点鎖線で示している。図2に示すように、上面10aの上面視において、各中空空間15の外縁(outer edge)は、対応する放射導体31の全体を完全に囲んでいることが好ましい。つまり、各放射導体31は、多層セラミック体10の積層方向において、対応する中空空間15の領域内に全体が位置していることが好ましい。また、上面視において、地導体32の外縁も放射導体31のアレイ全体を完全に囲んでいることが好ましい。つまり放射導体31は、多層セラミック体10の積層方向において、地導体32の領域内に全体が位置していることが好ましい。本実施形態では、地導体32は、放射導体31のアレイ全体よりも大きなサイズを有しているが、平面アンテナ11は、6つの地導体32を備えていてもよい。この場合、上面視において、各地導体32の外縁が対応する放射導体31を完全に囲んでいることが好ましい。つまり各放射導体31は、多層セラミック体10の積層方向において、対応する地導体32の領域内に全体が位置していることが好ましい。
図1(c)に示すように、平面アンテナ11において、放射導体31と地導体32との間に位置する物質の比誘電率が平面アンテナ11の放射効率に影響する。式(1)で示すように、平面アンテナ11の誘電体による損失αは比誘電率εrの1/2乗に比例し、εrが小さいほど、損失αも小さくなる。平面アンテナ11によれば、放射導体31と地導体32との間には中空空間15が位置しており、中空空間15を満たしている気体は、種類および組成によらず、概ね1である。これに対し、多層セラミック体10を構成するセラミック材料の比誘電率は、例えば3から15程度である。このため、放射導体31と地導体32との間の実効比誘電率は、中空空間15が設けられない場合に比べて小さくなる。つまり、平面アンテナ11は中空空間15を有することによって、誘電体による損失が抑制され、高い放射効率を実現し得る。また、実効比誘電率が低減すること、誘電体による損失αを小さくすることができ、平面アンテナの広帯域化およびゲイン(利得)の増大を図ることも可能になる。
また、放射導体31と地導体32との誘電体としての実効比誘電率は、中空空間15の高さを変えることによって調整できる。図1(c)に示すように、放射導体31と地導体32との間隔をHとし、中空空間15の積層方向の高さをhsとし、セラミック層の合計の高さをhcとした場合、H=hc+hsであり、hc/Hを小さくすることによって、あるいは、hs/Hを大きくすることによって、実効比誘電率を小さくすることができ、平面アンテナの放射効率を高めることができる。つまり、多層セラミック体10を構成しているセラミック材料を変更することなく、放射効率に影響する誘電体の実効比誘電率を調整することが可能である。
放射導体31と地導体32との間の間隔Hは、例えば、50μm以上1mm以下である。これにより、準ミリ波・ミリ波帯のマイクロストリップアンテナを構成することができる。中空空間15の高さhsは、大きいほど実効比誘電率を小さくできるため、好ましい。しかし、中空空間15の高さhsが大きくなりすぎると、例えば、放射導体31を支持するセラミック層が薄くなり、構造的強度が十分に得られなくなる可能性がある。このため、中空空間15の高さhsは、例えば、25μm以上900μm以下であることが好ましい。
同時焼成セラミック基板の平面アンテナ11において、多層セラミック体10における放射導体31、地導体32および中空空間15の配置には、種々の改変が可能である。図3(a)から図3(d)に、一例を示す。これらの図において、地導体32は、1つの放射導体31に対応した大きさで示されているが、地導体32は、図1および図2に示すように、6つの放射導体31のアレイに対応する大きさを有していてもよい。
図3(a)および図3(b)に示すように、放射導体31は、多層セラミック体10の上面10aに配置することができる。この構成によれば、放射導体31が、直接電波が放射される外部環境と接しているため、高い放射効率が得られる。図3(a)に示すように、この場合、中空空間15の下面15bは、地導体32から離間しており、中空空間15の下面15bと地導体32との間に、セラミック層が存在していてもよい。あるいは、図3(b)に示すように、地導体32は中空空間15と接しており、地導体32が下面15bを規定していてもよい。
また、図3(c)および図3(d)に示すように、放射導体31は中空空間15と接していてもよい。具体的には、図3(c)および図3(d)に示す形態では、複数のセラミック層の界面のうち、放射導体が位置する界面によって、中空空間15の上面15aが規定され、上面15aに放射導体31が位置している。この構造によれば、放射導体31がセラミック層で覆われ、外部環境に露出しないため、放射導体31が外部環境に曝され、腐食したり、酸化したりすることにより、放射効率が低下したり、アンテナの特性が変化するのを抑制することができる。また、同時焼成セラミック基板101を用いて準ミリ波・ミリ波無線通信モジュールを製造する際に、放射導体31に何らかの外力が加わり、変形等が生じるのを抑制することができる。特に、準ミリ波・ミリ波帯のアンテナはサイズが小さく、小さな形状変化であっても大きな特性の変化を生じ得るため、放射導体31を保護することは重要である。
放射導体31が中空空間15と接している場合、図3(c)に示すように、中空空間15の下面15bは、地導体32から離間しており、中空空間15の下面15bと地導体32との間に、セラミック層が存在していてもよい。あるいは、図3(d)に示すように、地導体32は中空空間15と接しており、地導体32が下面15bを規定していてもよい。
また、上面視において、中空空間15が地導体32よりも大きいサイズを有している場合には、図3(e)および(f)に示すように、複数のセラミック層の界面のうち、地導体32が位置する界面によって、中空空間15の下面15bが規定され、下面15bに地導体32が位置していてもよい。特に図3(f)に示す構造によれば、放射導体31と地導体32との間は、中空空間15のみが介在しているため、実効比誘電率をほぼ1にすることができ、損失αを大きく低減できる。
同時焼成セラミック基板101は配線回路を備えていてもよい。具体的には、図1(c)に示すように、同時焼成セラミック基板101は、地導体32よりも下面10b側に位置する複数のセラミック層の境界に設けられた受動部品パターン33および配線パターン35と、地導体32よりも下面10b側に位置する複数のセラミック層に設けられた導電性ビア34とをさらに備えていてもよい。受動部品パターン33は、例えば、導電性層あるいは、所定の抵抗値を有するセラミックであり、インダクタ、コンデンサ、抵抗等を構成している。また、導電性ビア34および配線パターン35は、受動部品パターン33、地導体32等と接続され、所定の回路を構成している。
多層セラミック体10の下面10bには、例えば、外部の基板と接続するための、電極21、受動部品を接続するための電極22および集積回路等の受動部品を接続するための電極23が位置している。導電性ビア34は、電極21、22、23と配線パターン35等とを電気的に接続している。
地導体32よりも下面10b側に位置する複数のセラミック層に設けられたこれらの構成要素により、受動部品を含む配線回路12が構成される。配線回路12の上述した、電極22および電極23に受動部品および集積回路等が接続されることによって、無線通信回路が構成される。
配線回路12と平面アンテナ11の放射導体31とは多層セラミック体10内に形成された導電性ビア34および配線パターン35の少なくとも一方によって直接電気的に接続されていてもよい。あるいは、導電性ビア34および配線パターン35の少なくとも一方が放射導体31と電磁結合し得る位置に配置されていてもよい。この場合、例えば、地導体32にスロットを設け、スロットを介して放射導体31と配線パターン35とを配置してもよいし、放射導体31と地導体32との間に配線パターン35を設けてもよい。
同時焼成セラミック基板101は、低温焼成セラミック(LTCC、Low Temperature Co−fired Ceramics)基板であってもよいし、高温焼成セラミック(HTCC、High Temperature Co−fired Ceramics)基板であってもよい。高周波特性の観点では、低温焼成セラミック基板を用いた方が好ましい場合がある。多層セラミック体10のセラミック層、放射導体31、地導体32、受動部品パターン33、配線パターン35、導電性ビア34には、焼成温度、用途等および無線通信の周波数等に応じたセラミック材料および導電性材料が用いられる。放射導体31、地導体32、受動部品パターン33、配線パターン35、導電性ビア34を形成するための導電性ペーストと、多層セラミック体10のセラミック層を形成するためのグリーンシートが同時に焼成(Co−fired)される。同時焼成セラミック基板101が低温焼成セラミック基板である場合、800℃から1000℃程度の温度範囲で焼結することができるセラミック材料および導電性材料を用いる。例えばAl、Si、Srを主成分とし、Ti、Bi、Cu、Mn、Na、Kを副成分とするセラミック材料、Al、Si、Srを主成分とし、Ca、Pb、Na、Kを副成分とするセラミック材料、Al、Mg、Si、Gdを含むセラミック材料、Al、Si、Zr、Mgを含むセラミック材料が用いられる。また、AgまたはCuを含む導電性材料が用いられる。セラミック材料の誘電率は3〜15程度である。同時焼成セラミック基板101が高温焼成多層セラミック基板である場合、Alを主成分とするセラミック材料および、W(タングステン)またはMo(モリブデン)を含む導電性材料を用いることができる。
より具体的には、LTCC材料として、例えば、比誘電率5〜10のAl−Mg−Si−Gd−O系誘電体材料、Mg2SiO4からなる結晶相とSi−Ba−La−B−O系からなるガラス等からなる誘電体材料、Al−Si−Sr−O系誘電体材料、Al−Si−Ba−O系誘電体材料、高誘電率(比誘電率50以上)のBi−Ca−Nb−O系誘電体材料等様々な材料を用いることができる。
例えば、Al−Si−Sr−O系誘電体材料は、主成分としてAl、Si、Sr、Tiの酸化物を含む場合は、主成分であるAl、Si、Sr、TiをそれぞれAl23、SiO2、SrO、TiO2に換算したとき、Al23:10〜60質量%、SiO2:25〜60質量%、SrO:7.5〜50質量%、TiO2:20質量%以下(0を含む)を含有することが好ましい。また、その主成分100質量部に対して、副成分として、Bi、Na、K、Coの群のうちの少なくとも1種をBi23換算で0.1〜10質量部、Na2O換算で0.1〜5質量部、K2O換算で0.1〜5質量部、CoO換算で0.1〜5質量部含有することが好ましく、更に、Cu、Mn、Agの群のうちの少なくとも1種をCuO換算で0.01〜5質量部、Mn34換算で0.01〜5質量部、Agを0.01〜5質量部含有することが好ましい。その他不可避不純物を含有することもできる。
多層セラミック体10の第1部分10cは第2部分10dと同じ組成を有し、同じ材料によって形成されていてもよい。あるいは、平面アンテナ11の放射効率を高めるために、多層セラミック体10の第1部分10cは第2部分10dと異なる組成を有し、異なる材料によって形成されていてもよい。第1部分10cが第2部分10dと異なる組成を有することにより、第2部分10dと異なる誘電率を有することが可能となり、放射効率を向上させることが可能となる。
[2.同時焼成セラミック基板101の製造方法]
次に同時焼成セラミック基板101の製造方法を説明する。同時焼成セラミック基板101は、LTCC基板またはHTCC基板と同様の製造方法を用いて製造することができる。
(1) セラミックグリーンシートを用意する工程(A)
例えば、まず、上述した元素を含むセラミック材料を用意し、必要に応じて、例えば700℃〜850℃で仮焼し、粉砕することにより造粒する。セラミック材料にガラス成分の粉末、有機バインダ、可塑剤、溶剤を添加し、これらの混合物のスラリーを得る。誘電率を異ならせるため等により、多層セラミック体10の第1部分10cと第2部分10dとを異なる材料によって形成する場合には、異なる材料を含む2種類のスラリーを用意する。また、上述した導電性材料の粉末を有機バインダおよび溶剤等と混合し、導電ペーストを得る。
ドクターブレード法、圧延(押し出し)法、印刷法、インクジェット式塗布法、転写法等を用いて、図4(a)に示すように、スラリーから所定の厚さの層をキャリアフィルム60上に形成し、乾燥させる。スラリーの層を切断することによって、セラミックグリーンシート61を得る。
セラミックグリーンシート61に導電ペーストを印刷し、図4(b)及び(c)に示すように、放射導体の導電ペーストパターン31’が配置されたセラミックグリーンシート(第1セラミックグリーンシート)71、地導体の導電ペーストパターン32’が配置されたセラミックグリーンシート(第2セラミックグリーンシート)72を得る。また、図4(d)に示すように、同時焼成セラミック基板101内で構成する回路に従い、レーザ、メカ式パンチャ等を用いて複数のセラミックグリーンシート61にビアホール62を形成し、スクリーン印刷法を用いて各ビアホールに導電ペースト34’を充填する。スクリーン印刷等によって、導電ペーストをセラミックグリーンシートに印刷し、配線パターンのための導電ペーストパターン35’および受動部品パターンのための導電ペーストパターン33’が配置されたセラミックグリーンシート74を得る。
図4(e)に示すように、レーザ、メカ式パンチャ等を用いてセラミックグリーンシート61に中空空間15に対応する貫通開口15’を形成する。貫通開口15’は放射導体の導電ペーストパターン31’よりも大きい。
貫通開口15’に充填する有機樹脂からなる粒子を含むペーストを用意する。有機樹脂からなる粒子、バインダおよび溶剤を混合しペーストを調製する。有機樹脂からなる粒子には、例えば、平均粒径が、1μm以上30μm以下であり、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系樹脂、有機樹脂の中実粒子、中空粒子または多孔性粒子を用いることができる。このような有機樹脂からなる粒子は、セラミックフィルター等の造孔材、強度を要する有機軽量フィラー等の用途に市販されている。熱膨張性マイクロカプセルを用いてもよい。熱膨張性マイクロカプセルは、低沸点炭化水素を熱可塑性高分子殻で覆った構造を有し、加熱すると、高分子の殻が軟化するとともに、低沸点炭化水素が気化し、膨張する。熱膨張性マイクロカプセルを用いる場合には、あらかじめ熱処理によって膨張させておくことが好ましい。グリーンシート積層体を形成後、脱バインダ工程等において熱膨張性マイクロカプセルが膨張することにより、貫通開口15’が変形するのを抑制するためである。バインダおよび溶剤には、同時焼成セラミック基板の製造に用いられる一般的なバインダおよび溶剤を用いることができる。
用意した有機樹脂からなる粒子を含むペーストをセラミックグリーンシート61の貫通開口15’に印刷などによって充填し、貫通開口15’に有機樹脂の粒子を含むペースト63が充填されたセラミックグリーンシート(第3セラミックグリーンシート)73を得る。
(2)グリーンシート積層体を得る工程(B)
用意したセラミックグリーンシート71、72、73、74を積層する。図4(f)に示すように、まず、所定の配線回路を構成するように、複数のセラミックグリーンシート74を、仮圧着を行いながら積層する。その後、セラミックグリーンシート73がセラミックグリーンシート71とセラミックグリーンシート72との間に位置するように、積層する。具体的には、セラミックグリーンシート72を複数のセラミックグリーンシート74上に配置し、その上にセラミックグリーンシート73を配置する。形成すべき中空空間15の高さに応じて、セラミックグリーンシート73を複数配置してもよい。その後、セラミックグリーンシート73にセラミックグリーンシート71を配置する。セラミックグリーンシート73の貫通開口15’の上方領域または下方領域内にセラミックグリーンシート71の放射導体の導電ペーストパターン31’が位置し、かつ、セラミックグリーンシート73がセラミックグリーンシート71とセラミックグリーンシート72との間に位置するように位置合わせを行う。これにより、グリーンシート積層体75が得られる。
なお、図4では、1つのセラミックグリーンシート73で中空空間15となる領域を形成しているが、必ずしもこれに限定されない。例えば、セラミックグリーンシート73を複数用意して積層して、貫通開口15´及びペースト63を多段に重ねるように設けることで、高さの増大した1つの中空空間15を形成することもできる。
次に、グリーンシート積層体75の複数のセラミックグリーンシート71〜74を互いに圧着させる。例えば、グリーンシート積層体75を枠体内に装填し、冷間等方加圧(CIP)装置などを用いて本圧着を行う。
(3)グリーンシート積層体を焼結させる工程(C)
まず脱バインダを行う。具体的には、グリーンシート積層体75に含まれる樹脂、溶媒などの有機成分を加熱し、除去する。この工程において、中空空間15となる貫通開口15’に充填されたペースト63も除去する。例えば、200℃以上600℃以下の範囲の温度で、120分以上600分以下の時間保持する。保持温度は一定であってもよいし、変化してもよい。この工程により、グリーンシート積層体75に含まれる樹脂および溶媒が消失(蒸発)する。ペースト63中の有機樹脂からなる粒子は、例えば、約350℃〜600℃の範囲の温度で消失する。一般的な多層セラミック基板の製造過程における脱バインダ工程において、セラミックグリーンシートに挟まれた導電パターンにおける導電ペーストおよびセラミックグリーンシートのビアホールに充填された導電ペーストが除去し得るように、セラミックグリーンシートに囲まれているペースト63も気体となって除去される。ペースト63が除去された貫通開口15’は、大気または脱バインダあるいは焼結中の雰囲気を構成するガスで満たされる。
次に、脱バインダ後のグリーンシート積層体75を焼結させる。具体的には、セラミックグリーンシートに含まれるセラミックの焼結温度で、グリーンシート積層体75を保持し、セラミックの焼結を行う。例えば、850℃以上940℃以下の範囲の温度で、100分以上180分以下の時間、保持する。
図1(c)に示すように、焼結後、下面10bに電極21、22、23を配置することによって、同時焼成セラミック基板101が得られる。
本実施形態の同時焼成セラミック基板によれば、準ミリ波・ミリ波無線通信用の配線回路、受動部品および平面アンテナを備える。このため、同時焼成セラミック基板に準ミリ波・ミリ波無線通信用のチップセット等を実装することによって、アンテナも備えた無線モジュールが実現する。例えば、搬送波が24GHz以上であれば、矩形の放射導体の大きさは6mm×6mm以下となり、同時焼成セラミック基板によって構成される無線モジュールに好適に配置することができる。
また、放射導体31と地導体32との間に、中空空間を有するため、平面アンテナにおける実効比誘電率を小さくすることができ、誘電体による損失を抑制し、平面アンテナの放射効率を高めることができる。また、中空空間15の高さを変えることによって、平面アンテナにおける実効比誘電率を変化させることができる。したがって、同じセラミックス材料を用いても、比誘電率を異ならせることにより、特性の異なる平面アンテナを実現することができる。
また、本実施形態の同時焼成セラミック基板の製造方法によれば、有機樹脂からなる粒子を含むペーストを中空空間となる貫通開口に充填し、グリーンシート積層体75を作製するため、圧着等によって貫通開口が変形したり空間が縮小されることなく、中空空間を有する同時焼成セラミック基板を得ることができる。
なお、本実施形態おいて説明した平面アンテナの放射導体31および地導体32の形状、数、配置は模式的な一例に過ぎない。例えば、複数の放射導体のうち、一部を地導体32から異なる距離に位置するセラミック層の界面に配置してもよい。また、放射導体にスロットを設けてもよい。また、平面アンテナは、放射導体の他に、給電されない導体をさらに含んでおり、放射導体と、セラミック層を介して積層されていてもよい。
(第2の実施形態)
準ミリ波・ミリ波無線通信モジュールの実施形態を説明する。図5(a)は、本開示の無線通信モジュールの実施形態を示す模式的下面図であり、図5(b)は、基板に実装された無線通信モジュールを示す模式的断面図である。無線通信モジュール102は、第1の実施形態の同時焼成セラミック基板101と、半田バンプ41と、受動部品42と能動部品43とを備える。半田バンプ41は、同時焼成セラミック基板101の下面10bに位置する電極21に設けられている。受動部品42は、例えば、チップコンデンサ、チップインダクタ、チップ抵抗等であり、電極22に半田などによって接合されている。能動部品43は、例えば、無線通信用のチップセットであり、受信回路、送信回路、A/Dコンバータ、D/Aコンバータ、ベースバンドプロセッサ、メディアアクセスコントローラ等を含むものであり、電極23に半田などによって接合されている。
無線通信モジュール102は、例えば、電極52が設けられた回路基板51にフリップチップボンディングによって、フェイスダウンで、つまり、受動部品42および能動部品43が回路基板51と対向するように接合される。同時焼成セラミック基板101と回路基板51との間には、例えば、封止樹脂53が充填される。
回路基板51に実装された無線通信モジュール102において、同時焼成セラミック基板101の上面10aは、回路基板51と反対側に位置している。このため、受動部品42および能動部品43、あるいは、回路基板51の影響を受けることなく、準ミリ波・ミリ波帯の電波を平面アンテナ11から放射し、また、外部から到達する準ミリ波・ミリ波帯の電波を平面アンテナ11で受信することができる。また、平面アンテナ11は、中空区間15を備えているため、同時焼成セラミック基板に設けられているにもかかわらず、実効比誘電率が小さいことにより、高い放射効率を実現し得る。したがって、高い放射効率で電波の送受信が可能なアンテナを備え、小型であり、かつ、表面実装が可能な無線通信モジュールが実現し得る。
(実験例)
[実験例1]
中空空間によって実効比誘電率を制御できることを計算によって確かめた。図6に示す形状の平面アンテナを用い、実効比誘電率を計算した。図6に示すように、中空空間に接する地導体32にスロット38を設け、給電ライン37および接地導体39からなるマイクロストリップラインからスロット38を介して、放射導体31に電力を供給するモデルを用いた。H=0.4mm、Lc/Lp=2として、hcの値を異ならせた。多層セラミックを構成する材料A〜Dの比誘電率は2、4、6、8と設定した。結果を図7に示す。図7において、横軸はhc/Hの値を示し、縦軸は実効比誘電率を示す。
hc/H=1は中空空間がない場合であり、多層セラミック体10の材料がAからDのいずれであっても、hc/Hが1より小さくなると、実効比誘電率は大きく低下する。特に多層セラミック体10の材料の比誘電率が大きいほど、実効比誘電率は小さくなる。hc/Hが0.4〜0.8の範囲では、実効比誘電率の値の変化は小さい。
具体的には、hc/Hが0.4〜0.8の範囲において、材料A(比誘電率は2)であれば、実効比誘電率は、1.5〜1.7の範囲であり、材料D(比誘電率は8)であれば、実効比誘電率は、4.3〜4.6の範囲である。
これらの結果から、中空空間を設けることによって、多層セラミック体10の材料の比誘電率を大きく低下させる効果が得られることが分かった。また、hc/Hが小さくなるに従い、実効比誘電率も小さくなることが分かった。
[実験例2]
平面アンテナの構造の違いによる実効比誘電率を計算によって確認した。放射導体31、地導体32および中空空間15の平面形状は実験例1と同じであり、図3(a)、(b)、(d)に示す構造における放射効率を計算によって求めた。図中に示すH、h1、h2は以下の通りである。放射導体31および地導体32の厚さは0であるとして計算している。また、多層セラミックを構成する材料の比誘電率を6に設定した。
H:0.4mm
h1:0.16mm
h2:0.08mm
結果を表1に示す。
Figure 2018026717
表1から分かるように、同じ比誘電率の多層セラミックを用いても、放射導体31、地導体32および中空空間15の位置を異ならせることにより、実効比誘電率を変化させることが可能である。したがって、アンテナの放射効率向上、広帯域化およびゲインの増大を図ることができるとともに、目的や仕様に応じて、実効比誘電率を変換させ、アンテナの特性を調整することが可能となる。
[実験例3]
誘電体として、低温同時焼成セラミック(LTCC)およびガラスエポキシ(FR−4)の物性を用い、実験例1と同様、中空空間の高さを異ならせ、放射効率を計算によって求めた。計算には、表2に示す比誘電率およびtanδの値を用いた。結果を図8に示す。
Figure 2018026717
図8から分かるように、ガラスエポキシを誘電体として用いた平面アンテナおよび低温同時焼成セラミックを誘電体として用いた平面アンテナのいずれにおいても、hc/Hが小さくなるに従い、放射効率は大きくなる。しかし、誘電体材料によって、放射効率の変化は異なる。具体的には、ガラスエポキシを誘電体として用いた平面アンテナでは、中空空間の高さが小さくなり、誘電体の高さ比hc/Hが大きくなるほど、放射効率が大きく低下する。これに対して、低温同時焼成セラミックを誘電体として用いた平面アンテナでは、誘電体の高さ比が大きくなっても、あまり放射効率は低下しない。これは、セラミックおよびガラスエポキシのいずれであっても、中空空間のtanδはゼロであるのに対し、ガラスエポキシのtanδはセラミックよりも大きいため、誘電体の高さ比が大きくなるにつれてtanδによる損失αが増大し、放射効率が低下するからと考えられる。このように本開示の平面アンテナは、特に誘電体としてセラミックを用いた場合に、高い放射効率が得られることがわかる。
本開示の平面アンテナ、同時焼成セラミック基板および準ミリ波・ミリ波無線通信モジュールは、種々の高周波無線通信用のアンテナおよびアンテナを含む無線通信回路に好適に用いることが可能であり、特に準ミリ波・ミリ波帯の無線通信に好適に用いられ得る。
10 多層セラミック体
10a 上面
10b 下面
10c 第1部分
10d 第2部分
11 平面アンテナ
12 配線回路
15 中空空間
15’ 貫通開口
15a 上面
15b 下面
21、22、23 電極
31 放射導体
31’、32’、33’、35’ 導電ペーストパターン
32 地導体
33 受動部品パターン
34 導電性ビア
34’ 導電ペースト
35 配線パターン
37 給電ライン
38 スロット
39 接地導体
41 半田バンプ
42 受動部品
43 能動部品
51 回路基板
52 電極
53 封止樹脂
60 キャリアフィルム
61 セラミックグリーンシート
62 ビアホール
63 ペースト
71、72、73、74 セラミックグリーンシート
75 グリーンシート積層体
101 同時焼成セラミック基板
102 無線通信モジュール

Claims (18)

  1. 上面及び下面を有し、積層された複数のセラミック層を含む多層セラミック体と、
    前記多層セラミック体内の前記複数のセラミック層の界面の1つまたは前記多層セラミック体の前記上面に位置する少なくとも1つの放射導体と、
    前記多層セラミック体内の前記複数のセラミック層の他の界面の1つまたは前記多層セラミック体の前記下面に位置する地導体と、
    前記多層セラミック体内の前記放射導体と前記地導体との間に位置している中空空間と、
    を備えた平面アンテナ。
  2. 前記多層セラミック体の上面視において、前記中空空間の外縁は、前記放射導体の全体を囲んでいる、請求項1に記載の平面アンテナ。
  3. 前記多層セラミック体の上面視において、前記地導体の外縁は、前記放射導体の全体を囲んでいる、請求項1に記載の平面アンテナ。
  4. 前記放射導体は、前記多層セラミック体の前記上面に位置している、請求項1から3のいずれかに記載の平面アンテナ。
  5. 前記中空空間の上面は前記界面の1つと接しており、
    前記放射導体は前記中空空間と接している、請求項1から4のいずれかに記載の平面アンテナ。
  6. 前記地導体の一部は前記中空空間と接している、請求項1から5のいずれかに記載の平面アンテナ。
  7. 前記中空空間の下面は前記他の界面と離間しており、
    前記地導体は、前記中空空間と前記多層セラミック体の前記下面との間に位置している、請求項1から5のいずれかに記載の平面アンテナ。
  8. 前記放射導体を複数含む請求項1から7のいずれかに記載の平面アンテナ。
  9. 上面及び下面を有し、積層された複数のセラミック層を含む多層セラミック体と、
    前記多層セラミック体内の前記複数のセラミック層の界面の1つまたは前記多層セラミック体の前記上面に位置する少なくとも1つの放射導体と、
    前記多層セラミック体内の前記複数のセラミック層の他の界面の1つまたは前記多層セラミック体の前記下面に位置する地導体と、
    前記多層セラミック体内の前記放射導体と前記地導体との間に位置している中空空間と、
    前記複数のセラミック層の他の界面であって、前記放射導体よりも前記下面側に位置する他の界面に位置する複数の導電体パターンと、
    前記複数のセラミック層のうち、前記放射導体よりも前記下面側に位置するセラミック層に設けられた複数の導電性ビアと、
    を備え、
    前記放射導体と、前記地導体と、前記放射導体および前記地導体の間に位置する前記複数のセラミック層の一部によって平面アンテナを構成し、
    前記複数の導電体パターンおよび前記複数の導電性ビアによって受動部品および配線を構成している、同時焼成セラミック基板。
  10. 前記多層セラミック体の上面視において、前記中空空間の外縁は、前記放射導体の全体を完全に囲んでいる、請求項9に記載の同時焼成セラミック基板。
  11. 前記多層セラミック体の上面視において、前記地導体の外縁は、前記放射導体の全体を完全に囲んでいる、請求項9に記載の同時焼成セラミック基板。
  12. 前記放射導体は、前記多層セラミック体の前記上面に位置している、請求項9から11のいずれかに記載の同時焼成セラミック基板。
  13. 前記中空空間の上面は前記界面の1つと接しており、
    前記放射導体は前記中空空間と接している、請求項9から12のいずれかに記載の同時焼成セラミック基板。
  14. 前記地導体の一部は前記中空空間と接している、請求項9から13のいずれかに記載の同時焼成セラミック基板。
  15. 前記中空空間の下面は前記他の界面と離間しており、
    前記地導体は、前記中空空間と前記多層セラミック体の前記下面との間に位置している、請求項9から14のいずれかに記載の同時焼成セラミック基板。
  16. 前記放射導体を複数含む請求項9から15のいずれかに記載の同時焼成セラミック基板。
  17. 請求項9から16のいずれかに記載の同時焼成セラミック基板と、
    前記多層セラミック体の前記下面に位置する前記複数の電極と接続された能動部品と、
    を備えた準ミリ波・ミリ波無線通信モジュール。
  18. 放射導体の導電ペーストパターンが配置された第1セラミックグリーンシート、地導体の導電ペーストパターンが配置された第2セラミックグリーンシート、および放射導体よりも大きい貫通開口を有し、前記貫通開口に有機樹脂からなる粒子を含むペーストが充填された少なくとも1つの第3セラミックグリーンシートを含む複数のセラミックグリーンシートを用意する工程(A)と、
    前記少なくとも1つの第3セラミックグリーンシートの前記貫通開孔の上方領域または下方領域内に前記第1セラミックグリーンシートの前記放射導体の導電ペーストパターンが位置し、かつ、前記少なくとも1つの第3セラミックグリーンシートが前記第1セラミックグリーンシートと前記第2セラミックグリーンシートとの間に位置するように、前記複数のセラミックグリーンシートを積層し圧着させることにより、グリーンシート積層体を得る工程(B)と、
    前記グリーンシート積層体を加熱することによって、前記グリーンシート積層体からバインダおよび前記開口内の前記有機樹脂を含むペーストを焼失させ、前記中空空間を有するグリーンシート積層体を焼結させる工程(C)と
    を包含する、同時焼成セラミック基板の製造方法。
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