JP2018024600A - 含フッ素オレフィンの製造方法 - Google Patents

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司 臼田
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祐介 ▲高▼平
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Abstract

【課題】オレフィンメタセシスにより反応性炭素−炭素二重結合を3個以上有する含フッ素オレフィンを製造する新規な方法を提供する。【解決手段】オレフィンメタセシス反応活性を有する金属−カルベン錯体化合物(10)の存在下、下記式(21)で表されるオレフィン化合物又は下記式(31)で表されるオレフィン化合物と、反応性炭素−炭素二重結合を3個以上有する化合物とを反応させることにより、含フッ素オレフィン化合物を製造する方法。【化1】【選択図】なし

Description

本発明は、オレフィンメタセシスにより含フッ素オレフィンを製造する新規な方法に関する。
オレフィン中の水素原子の一部または全てがフッ素原子で置換された化合物、すなわち含フッ素オレフィンには、産業上有用な化合物が知られている。当該含フッ素オレフィンの製造方法としてオレフィンメタセシス反応が知られている(例えば特許文献1参照。)。
国際公開第2015/033927号
しかし特許文献1に記載された実施例等には、単純な化合物を得ることしか記載されていない。実用的には複数の、特に3個以上の二重結合を有する化合物において部分的にフッ素原子を導入した化合物を簡易に得る方法の開発が要望されている。
したがって本発明は、オレフィンメタセシスにより反応性炭素−炭素二重結合を3個以上有する含フッ素オレフィンを製造する新規な方法を提供することを目的とする。
上記課題に鑑み、本発明では新規で有用な化合物を容易に製造できる方法を見出した。すなわち、本発明は以下の[1]〜[8]に関するものである。
[1] オレフィンメタセシス反応活性を有する金属−カルベン錯体化合物(10)の存在下、下記式(21)で表されるオレフィン化合物又は下記式(31)で表されるオレフィン化合物と、反応性炭素−炭素二重結合を3個以上有する化合物とを反応させることにより、含フッ素オレフィン化合物を製造する方法。
Figure 2018024600
ただし、式中の記号は以下の意味を表す。
、X及びXはそれぞれ独立して、下記基(i)、基(ii)、基(v)、及び基(vi)からなる群から選ばれる基である。X、X及びXのうちの任意の2つは、該2つの基のそれぞれから水素原子又はハロゲン原子がひとつ取れた二価の基として、互いに結合して環を形成してもよい。
〜Aはそれぞれ独立して、下記基(i)、基(iia)、基(iii)、及び基(iv)からなる群から選ばれる基である。A、A、A及びRfからなる群から選ばれる任意の2つは互いに結合して環を形成してもよい。
Rfは炭素数1〜20の(ペル)フルオロアルキル基、炭素数1〜20の(ペル)フルオロアルコキシ基、炭素原子と炭素原子の間にエーテル性酸素原子を有する炭素数1〜20の(ペル)フルオロアルキル基、炭素原子と炭素原子の間にエーテル性酸素原子を含む炭素数1〜20の(ペル)フルオロアルコキシ基、炭素数5〜20の(ペル)フルオロアリール基、または、炭素数5〜20の(ペル)フルオロアリールオキシ基である。
基(i):水素原子。
基(ii):ハロゲン原子。
基(iia):塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子。
基(iii):炭素数1〜20の一価炭化水素基。
基(iv):ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、イオウ原子、リン原子、及びケイ素原子からなる群から選ばれる原子を1以上含む炭素数1〜20の一価有機基。
基(v):炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数5〜20のアリール基、炭素数5〜20のアリールオキシ基、炭素数1〜20の(ペル)ハロゲン化アルキル基、炭素数1〜20の(ペル)ハロゲン化アルコキシ基、炭素数5〜20の(ペル)ハロゲン化アリール基、及び炭素数5〜20の(ペル)ハロゲン化アリールオキシ基からなる群から選ばれる基。
基(vi):さらに、酸素原子、窒素原子、イオウ原子、リン原子、及びケイ素原子からなる群から選ばれる原子を1以上含む前記基(v)。
[2] 金属−カルベン錯体化合物(10)における金属が、ルテニウム、モリブデンまたはタングステンである、[1]に記載の製造方法。
[3] 前記金属−カルベン錯体化合物(10)における金属がルテニウムである[1]または[2]に記載の製造方法。
[4] 前記金属−カルベン錯体化合物(10)における金属がモリブデンまたはタングステンであり、かつ、前記金属−カルベン錯体化合物が配位子として、イミド配位子、および、酸素原子が二座配位した配位子を有する[1]または[2]に記載の製造方法。
[5] 前記式(21)で表わされるオレフィン化合物が、Xが基(i)、基(ii)、基(v)、または基(vi)であり、Xが基(i)、基(ii)、基(v)、または基(vi)であり、Xが基(ii)、基(v)、または基(vi)であるオレフィン化合物である、[1]〜[4]のいずれか1に記載の製造方法。
ここで、基(i)、基(ii)、基(v)および基(vi)は、[1]のそれらと同義である。
[6] 前記式(21)で表わされるオレフィン化合物が、1,1−ジフルオロオレフィンである[1]〜[5]のいずれか1に記載の製造方法。
[7] 前記式(21)で表される化合物が、下記式で表わされるオレフィン化合物から選ばれる少なくとも1種のオレフィン化合物である、[1]〜[4]のいずれか1に記載の製造方法。
Figure 2018024600
上記式において、Rfは、炭素数1〜20の(ペル)フルオロアルキル基、炭素数1〜20の(ペル)フルオロアルコキシ基、炭素原子と炭素原子の間にエーテル性酸素原子を有する炭素数1〜20の(ペル)フルオロアルキル基、炭素原子と炭素原子の間にエーテル性酸素原子を含む炭素数1〜20の(ペル)フルオロアルコキシ基、炭素数5〜20の(ペル)フルオロアリール基、または、炭素数5〜20の(ペル)フルオロアリールオキシ基である。
[8] 前記式(31)で表される化合物が、下記式で表わされるオレフィン化合物から選ばれる少なくとも1種のオレフィン化合物である、[1]〜[7]のいずれか1に記載の製造方法。
Figure 2018024600
上記式において−RPFは炭素数1〜12のペルフルオロアルキル基、炭素数1〜12のペルフルオロアルコキシ基、炭素原子と炭素原子の間にエーテル性酸素原子を有する炭素数1〜12のペルフルオロアルキル基、または、炭素原子と炭素原子の間にエーテル性酸素原子を含む炭素数1〜12のペルフルオロアルコキシ基である。
本発明の含フッ素オレフィン化合物の製造方法によれば、新規で有用な化合物が容易に製造できる。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。また、本発明は金属触媒によるオレフィンメタセシスに関するものであり、従来技術と共通する一般的特徴については記載を省略することがある。
なお本明細書において、「式(X)で表される化合物」のことを、単に「化合物(X)」と称する場合がある。
ペルハロゲン化アルキル基とは、アルキル基の水素原子が全てハロゲン原子で置換された基を意味する。ペルハロゲン化アルコキシ基とは、アルコキシ基の水素原子が全てハロゲン原子で置換された基を意味する。ペルハロゲン化アリール基及びペルハロゲン化アリールオキシ基についても同様である。
また(ペル)ハロゲン化アルキル基とは、ハロゲン化アルキル基とペルハロゲン化アルキル基とを合わせた総称で用いる。すなわち該基は1個以上のハロゲン原子を有するアルキル基である。(ペル)ハロゲン化アルコキシ基、(ペル)ハロゲン化アリール基、及び(ペル)ハロゲン化アリールオキシ基についても同様である。
アリール基とは、芳香族化合物において芳香環を形成する炭素原子の内いずれか1つの炭素原子に結合した1つの水素原子を取り去った残基に相当する一価の基を意味し、炭素環化合物から誘導されるアリール基と、ヘテロ環化合物から誘導されるヘテロアリール基とを合わせた総称で用いる。
炭化水素基の炭素数とは、ある炭化水素基全体に含まれる炭素原子の総数を意味し、該基が置換基を有さない場合は炭化水素基骨格を形成する炭素原子の数を、該基が置換基を有する場合は炭化水素基骨格を形成する炭素原子の数に置換基中の炭素原子の数を加えた総数を表す。有機基の炭素数についても同様である。
化学式中の波線はE/Zの異性体のうち、いずれか一方または両方の混合物であることを意味する。
ヘテロ原子とは、炭素原子と水素原子以外の原子を意味し、好ましくは、酸素原子、窒素原子、イオウ原子、リン原子、ケイ素原子、及びハロゲン原子からなる群から選ばれる1種以上の原子であり、より好ましくは、酸素原子、イオウ原子または窒素原子である。
またメタセシス反応は可逆である。しかしこの点についての詳細は説明を省略する。また生成した含フッ素オレフィンは幾何異性体が存在する可能性がある。しかしこの点の詳細については、個々の反応に強く依存するので、説明を省略する。
本明細書において、式中の記号は以下の意味を表す。
[L]は配位子である。
Mはルテニウム、モリブデン又はタングステンである。
及びAはそれぞれ独立して下記基(i)、基(ii)、基(iii)、及び基(iv)からなる群から選ばれる基である。A及びAは互いに結合して環を形成してもよい。
11、X12及びX13はそれぞれ独立して、下記基(i)、基(ii)、及び基(v)からなる群から選ばれる基である。
11〜R14はそれぞれ独立して、下記基(i)、基(iia)、基(iii)、及び基(iv)からなる群から選ばれる基である。R11〜R14のうち任意の2つは互いに結合して環を形成してもよい。
基(i):水素原子。
基(ii):ハロゲン原子。
基(iia):塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子。
基(iii):炭素数1〜20の一価炭化水素基。
基(iv):ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、イオウ原子、リン原子、及びケイ素原子からなる群から選ばれる原子を1以上含む炭素数1〜20の一価有機基。
基(v):炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数5〜20のアリール基、炭素数5〜20のアリールオキシ基、炭素数1〜20の(ペル)ハロゲン化アルキル基、炭素数1〜20の(ペル)ハロゲン化アルコキシ基、炭素数5〜20の(ペル)ハロゲン化アリール基、及び炭素数5〜20の(ペル)ハロゲン化アリールオキシ基からなる群から選ばれる基。
基(vi):さらに、酸素原子、窒素原子、イオウ原子、リン原子、及びケイ素原子からなる群から選ばれる原子を1以上含む前記基(v)。
ただし、前記基(vi)は、前記基(v)である場合を除く。
<金属−カルベン錯体化合物触媒>
本発明では、金属−カルベン錯体化合物(10)をオレフィンメタセシス反応の触媒として用いる。
金属−カルベン錯体化合物(10)として、化合物(11)を例に説明する。化合物(11)は本発明に係る製造方法において触媒としての役割を果たすが、試薬として投入するもの及び反応中で生成するもの(触媒活性種)の両方を意味する。ここで、化合物(11)は反応条件下、配位子のいくつかが解離することで触媒活性を示すようになるものと、配位子の解離なしで触媒活性を示すものが知られているが、本発明ではいずれでもよく限定されない。また一般に、オレフィンメタセシスは触媒へのオレフィンの配位と解離を繰り返しながら進行するため、反応中、触媒上にオレフィン以外の配位子がいくつ配位しているかは必ずしも明確でない。したがって本明細書中、[L]は配位子の数や種類を特定するものではない。また、金属−カルベン錯体化合物(10)における金属はルテニウム、モリブデン、又はタングステンであることが好ましい。
本発明においては、化合物(11)、化合物(12)、化合物(13)、化合物(14)、及び化合物(15)からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属−カルベン錯体化合物の存在下に反応を行うことが好ましい。金属−カルベン錯体化合物としては、入手容易性及び反応効率の観点から反応開始時には化合物(11)が好ましい。
Figure 2018024600
以下具体的な化合物(11)について説明する。
化合物(11)におけるA及びAはそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の一価炭化水素基、又は、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、イオウ原子、リン原子、及びケイ素原子からなる群から選ばれる原子を1以上含む炭素数1〜20の一価有機基である。A及びAは、A及びAのそれぞれから水素原子またはハロゲン原子がひとつ取れた2価の基として、互いに結合して環を形成してもよい。
ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子、塩素原子が入手容易性の点から好ましい。
炭素数1〜20の一価炭化水素基としては炭素数1〜20のアルキル基、炭素数5〜20のアリール基が好ましく、直鎖状、分岐状、又は環状でもよい。
ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、イオウ原子、リン原子、及びケイ素原子からなる群から選ばれる原子を1以上含む炭素数1〜20の一価有機基としては、好ましくは、当該原子を含む炭素数1〜20のアルキル基、当該原子を含む炭素数1〜20のアルコキシ基、当該原子を含む炭素数5〜20のアリール基、当該原子を含む炭素数5〜20のアリールオキシ基が例示できる。該一価有機基は、直鎖状、分岐状、又は環状でもよい。これらの好ましい基は少なくとも一部の炭素原子にハロゲン原子が結合していてもよい。すなわち例えば(ペル)フルオロアルキル基、(ペル)フルオロアルコキシ基であってもよい。またこれらの好ましい基は、炭素原子と炭素原子の間にエーテル性酸素原子を有していてもよい。またこれらの好ましい基は、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、及びケイ素原子からなる群から選ばれる原子を1以上含む置換基を有していてもよい。該置換基としては、ヒドロキシル基、アミノ基、イミノ基、ニトリル基、アミド基(カルボニルアミノ基)、カルバメート基(オキシカルボニルアミノ基)、ニトロ基、カルボキシル基、エステル基(アシルオキシ基又はアルコキシカルボニル基)、チオエーテル基、及びシリル基等が例示できる。これらの基は更にアルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。例えばアミノ基(−NH)はモノアルキルアミノ基(−NHR)、モノアリールアミノ基(−NHAr)、ジアルキルアミノ基(−NR)、又はジアリールアミノ基(−NAr)であってもよい。ただしRは炭素数1〜20のアルキル基または炭素原子と炭素原子の間にエーテル性酸素原子を有する炭素数1〜20のアルキル基であり、Arは炭素数5〜20のアリール基である。
これらのA及びAの組み合わせを有する化合物(11)としては、入手容易性の点で、下記式に示すものが好ましく例示できる。なお、下記式中、Cyとはシクロヘキシル基を意味する。
Figure 2018024600
本発明においては、金属カルベン錯体化合物の金属がルテニウムであることが好ましい。
具体的には、化合物(11)においてMがルテニウムの場合、下記式(11−A)で表すことができる。式(11)における配位子[L]は式(11−A)においてL、L、L、Z11及びZ12で表される。L、L、L、Z11及びZ12の位置に限定はなく、式(11−A)において互いに入れ替わっていてもよい。すなわち例えばZ11及びZ12はトランス位にあっても、シス位にあってもよい。
Figure 2018024600
式(11−A)中、L、L及びLはそれぞれ独立して、中心金属から引き離されたときに中性の電荷を持つ配位子(中性の電子供与性配位子)である。具体的には、カルボニル基、アミン類、イミン類、ピリジン類、エーテル類、ニトリル類、エステル類、ホスフィン類、チオエーテル類、スルホキシド類、スルホン類、芳香族化合物、オレフィン類、イソシアニド類、チオシアネート類、ヘテロ原子含有カルベン化合物等が挙げられる。これらの中でも、ホスフィン類、ピリジン類、ヘテロ原子含有カルベン化合物が好ましく、トリアルキルホスフィンやN−ヘテロ環状カルベン化合物がより好ましい。
ただし前記配位子の組み合わせによっては、立体的要因及び/又は電子的要因により、すべての配位子が中心金属に配位できず、結果としていくつかの配位座が空になる場合もある。例えば、L、L及びLとしては下記組合せが挙げられる。L:ヘテロ原子含有カルベン化合物、L:ホスフィン類、L:なし(空配位)。L:ヘテロ原子含有カルベン化合物、L:ピリジン類、L:ピリジン類。
式(11−A)中、Z11及びZ12はそれぞれ独立して、中心金属から引き離されたときに負の電荷を持つ配位子(アニオン性配位子)である。具体的には、ハロゲン原子、水素原子、置換ジケトネート基、置換シクロペンタジエニル基、炭素数が1〜20のアルキル基、炭素数が5〜20のアリール基、炭素数が1〜20の置換アルコキシ基、炭素数が5〜20の置換アリールオキシ基、炭素数が1〜20の置換カルボキシレート基、炭素数が6〜20の置換アリールカルボキシレート基、炭素数が1〜20の置換アルキルチオレート基、炭素数炭素数が6〜20の置換アリールチオレート基及びナイトレート基等が挙げられる。中でもハロゲン原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。
式(11−A)中、A及びAは式(11)におけるA及びAとそれぞれ同様である。
また、L、L、L、Z11、Z12、A及びAのうち2〜6個で互いに結合し、多座配位子を形成してもよい。
上記触媒は一般的に「ルテニウム−カルベン錯体」と称されるものであり、例えばVougioukalakis,G.C.et al.Chem.Rev.,2010,110,1746−1787.に記載されているルテニウム−カルベン錯体を利用することができる。また、例えばAldrich社やUmicore社から市販されているルテニウム−カルベン錯体を利用することができる。
ルテニウム−カルベン錯体の具体例としては、ビス(トリフェニルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)−3−メチル−2−ブテニリデンルテニウムジクロリド、(1,3−ジイソプロピルイミダゾール−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、(1,3−ジシクロヘキシルイミダゾール−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチルイミダゾール−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチル−4,5−ジヒドロイミダゾール−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、[1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)−4,5−ジヒドロイミダゾール−2−イリデン](トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、[1,3−ビス(2−メチルフェニル)−4,5−ジヒドロイミダゾール−2−イリデン](トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、[1,3−ジシクロヘキシル−4,5−ジヒドロイミダゾール−2−イリデン](トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)エトキシメチリデンルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチル−4,5−ジヒドロイミダゾール−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)エトキシメチリデンルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチル−4,5−ジヒドロイミダゾール−2−イリデン)[ビス(3−ブロモピリジン)]ベンジリデンルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチル−4,5−ジヒドロイミダゾール−2−イリデン)(2−イソプロポキシフェニルメチリデン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチル−4,5−ジヒドロイミダゾール−2−イリデン)[(トリシクロヘキシルホスホラニル)メチリデン]ジクロロルテニウムテトラフルオロボラート、UmicoreM2、UmicoreM51、UmicoreM52、UmicoreM71SIMes、UmicoreM71SIPr、UmicoreM73SIMes、UmicoreM73SIPr等が挙げられ、(1,3−ジメシチル−4,5−ジヒドロイミダゾール−2−イリデン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチル−4,5−ジヒドロイミダゾール−2−イリデン)(2−イソプロポキシフェニルメチリデン)ルテニウムジクロリド、(1,3−ジメシチル−4,5−ジヒドロイミダゾール−2−イリデン)[(トリシクロヘキシルホスホラニル)メチリデン]ジクロロルテニウムテトラフルオロボラート、UmicoreM2、UmicoreM51、UmicoreM52、UmicoreM71SIMes、UmicoreM71SIPr、UmicoreM73SIMes、UmicoreM73SIPrが特に好ましい。なお上記錯体のうち、「Umicore」で始まる名称は、Umicore社の製品の商品名である。
なお、上記ルテニウム−カルベン錯体は、単独で用いてもよいし、2種類以上併用してもよい。さらに必要に応じてシリカゲルやアルミナ、ポリマー等の担体に担持して用いてもよい。
本発明においては、金属カルベン錯体化合物の金属がモリブデンまたはタングステンであることが触媒の入手容易性の点で好ましい。
化合物(11)においてMがモリブデン又はタングステンの場合、下記式(11−B)又は式(11−C)で表すことができる。また化合物(11)としては、これらにさらに配位性溶媒(テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル等)が配位していてもよい。
金属触媒の金属がモリブデンまたはタングステンである場合、金属触媒の配位子[L]としては、イミド配位子(R−N=M)を有することが好ましい。ただし、Rとしては、アルキル基、アリール基等が例示できる。またさらに金属触媒の配位子[L]としては酸素原子が二座配位した配位子を有することが好ましい。ただし酸素原子が二座配位した配位子とは、酸素原子を2個以上有する配位子において該酸素原子のうちの2個で配位している配位子である場合、および、酸素原子を有する単座配位子が2個配位している場合(この場合に単座配位子は同一であっても異なっていてもよい)の双方の場合を含む。
Figure 2018024600
式(11)における配位子[L]は式(11−B)において=NR、−R、−Rで表される。=NR、−R、−Rの位置に限定はなく、式(11−B)において互いに入れ替わっていてもよい。Mは、モリブデン又はタングステンであり、Rとしては、アルキル基、アリール基等が例示できる。R、Rとしては、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、スルホネート基、アミノ基(アルキルアミノ基、η−ピロリド、η−ピロリド等)等が例示できる。RとRは連結して二座配位子となっていてもよい。
また式(11−C)は、式(11−B)で表わされる化合物の金属−炭素二重結合部分に、オレフィン(C(R)が環化付加([2+2] cycloaddition)して、メタラシクロブタン環を形成した化合物である。ただし4個のRは互いに同じでも異なっていてもよい一価の基であり、水素原子、ハロゲン原子、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基等が例示できる。式(11−C)で表わされる化合物は、式(11−B)で表わされる化合物と等価と考える。
式(11−B)及び式(11−C)中、A及びAは式(11)におけるA及びAとそれぞれ同様である。
上記触媒は一般的に「モリブデン−カルベン錯体」「タングステン−カルベン錯体」と称されるものであり、例えばGrela,K.(Ed)Olefin Metathesis:Theory and Practice,Wiley,2014.に記載されているモリブデン−カルベン錯体又はタングステン−カルベン錯体を利用することができる。また、例えばAldrich社やStrem社、Ximo社から市販されているモリブデン−カルベン錯体又はタングステン−カルベン錯体を利用することができる。
なお、上記モリブデン−カルベン錯体又はタングステン−カルベン錯体は、単独で用いてもよいし、2種類以上併用してもよい。さらに必要に応じてシリカゲルやアルミナ、ポリマー等の担体に担持して用いてもよい。
化合物(11−B)の具体例を下記に示す。なお、Meとはメチル基を、i−Prとはイソプロピル基を、t−Buとはターシャリーブチル基を、Phとはフェニル基を、それぞれ意味する。
Figure 2018024600
Figure 2018024600
化合物(11−C)の具体例としては、下記化合物が挙げられる。
Figure 2018024600
<化合物(12)〜(15)>
化合物(12)〜(15)は、上記化合物(11)と同様に本発明に係る製造方法において触媒としての役割を果たすが、試薬として投入するもの及び反応中で生成するもの(触媒活性種)の両方を意味する。
<化合物(21)>
化合物(21)はオレフィンメタセシスの反応基質である。
化合物(21)におけるX〜Xはそれぞれ独立して、水素原子;ハロゲン原子;炭素数1〜20のアルキル基;酸素原子、窒素原子、イオウ原子、リン原子、及びケイ素原子からなる群から選ばれる原子を1以上含む炭素数1〜20のアルキル基;炭素数1〜20のアルコキシ基;さらに、酸素原子、窒素原子、イオウ原子、リン原子、及びケイ素原子からなる群から選ばれる原子を1以上含む炭素数1〜20のアルコキシ基;炭素数5〜20のアリール基;さらに、酸素原子、窒素原子、イオウ原子、リン原子、及びケイ素原子からなる群から選ばれる原子を1以上含む炭素数5〜20のアリール基;炭素数5〜20のアリールオキシ基;さらに、酸素原子、窒素原子、イオウ原子、リン原子、及びケイ素原子からなる群から選ばれる原子を1以上含む炭素数5〜20のアリールオキシ基;炭素数1〜20の(ペル)ハロゲン化アルキル基;酸素原子、窒素原子、イオウ原子、リン原子、及びケイ素原子からなる群から選ばれる原子を1以上含む炭素数1〜20の(ペル)ハロゲン化アルキル基;炭素数1〜20の(ペル)ハロゲン化アルコキシ基;さらに、酸素原子、窒素原子、イオウ原子、リン原子、及びケイ素原子からなる群から選ばれる原子を1以上含む炭素数1〜20の(ペル)ハロゲン化アルコキシ基;炭素数5〜20の(ペル)ハロゲン化アリール基;酸素原子、窒素原子、イオウ原子、リン原子、及びケイ素原子からなる群から選ばれる原子を1以上含む炭素数5〜20の(ペル)ハロゲン化アリール基;さらに、炭素数5〜20の(ペル)ハロゲン化アリールオキシ基;又は、さらに、酸素原子、窒素原子、イオウ原子、リン原子、及びケイ素原子からなる群から選ばれる原子を1以上含む炭素数5〜20の(ペル)ハロゲン化アリールオキシ基である。X、X及びXのうちの任意の2つは、該2つの基のそれぞれから水素原子又はハロゲン原子がひとつ取れた二価の基として、互いに結合して環を形成してもよい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子又は塩素原子が入手容易性の点から好ましい。
炭素数1〜20のアルキル基としては、炭素数1〜8の当該基が好ましく、具体的にはメチル基、エチル基、またはプロピル基が入手容易性の点から好ましい。アルキル基鎖は直鎖状又は分岐状でもよい。また、水素原子がひとつ取れた二価の基として、環を形成していてもよい。
炭素数1〜20のアルコキシ基としては、炭素数1〜8の当該基が好ましく、具体的にはメトキシ基、エトキシ基、またはプロポキシ基が入手容易性の点から好ましい。アルコキシ基鎖は直鎖状又は分岐状でもよい。また、水素原子がひとつ取れた二価の基として、環を形成していてもよい。
炭素数5〜20のアリール基としては、炭素数5〜12の当該基が好ましく、具体的にはフェニル基が入手容易性の点から好ましい。
炭素数5〜20のアリールオキシ基としては、炭素数5〜12の当該基が好ましく、具体的にはフェニルオキシ基が入手容易性の点から好ましい。
炭素数1〜20の(ペル)ハロゲン化アルキル基としては、炭素数1〜8の当該基が好ましく、特に炭素数1〜8の(ペル)フルオロアルキル基が好ましい。具体的にはトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、またはヘプタフルオロプロピル基が入手容易性の点から好ましい。アルキル基鎖は直鎖状又は分岐状でもよい。また、水素原子又はハロゲン原子がひとつ取れた二価の基として、環を形成していてもよい。
炭素数1〜20の(ペル)ハロゲン化アルコキシ基としては、炭素数1〜8の当該基が好ましく、特に炭素数1〜8の(ペル)フルオロアルコキシ基が好ましい。具体的にはトリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、ヘプタフルオロプロポキシ基、ペルフルオロ(メトキシメトキシ)基、またはペルフルオロ(プロポキシプロポキシ)基が好ましく、特にトリフルオロメトキシ基またはペルフルオロ(プロポキシプロポキシ)基が入手容易性の点から好ましい。アルコキシ基鎖は直鎖状又は分岐状でもよい。また、水素原子又はハロゲン原子がひとつ取れた二価の基として、環を形成していてもよい。
炭素数5〜20の(ペル)ハロゲン化アリール基としては、炭素数5〜12の当該基が好ましく、特に炭素数5〜12の(ペル)フルオロアリール基が好ましい。具体的にはモノフルオロフェニル基、又はペンタフルオロフェニル基が好ましく、特にペンタフルオロフェニル基が入手容易性の点から好ましい。
炭素数5〜20の(ペル)ハロゲン化アリールオキシ基としては、炭素数5〜12の当該基が好ましく、特に炭素数5〜12の(ペル)フルオロアリールオキシ基が好ましい。具体的にはモノフルオロフェニルオキシ基またはペンタフルオロフェニルオキシ基が好ましく、特にペンタフルオロフェニルオキシ基が入手容易性の点から好ましい。
前記アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、(ペル)ハロゲン化アルキル基、(ペル)ハロゲン化アルコキシ基、(ペル)ハロゲン化アリール基、または(ペル)ハロゲン化アリールオキシ基は、さらに、酸素原子、窒素原子、イオウ原子、リン原子、及びケイ素原子からなる群から選ばれる原子を1以上含む置換基を有していてもよい。該置換基としては、ニトリル基、カルボキシル基、エステル基(アシルオキシ基またはアルコキシカルボニル基)、が例示できる。なお該置換基を有する場合であっても、アルキル基、アルコキシ基、(ペル)ハロゲン化アルキル基及び(ペル)ハロゲン化アルコキシ基全体の炭素数は1〜20であり、アリール基、アリールオキシ基、(ペル)ハロゲン化アリール基及び(ペル)ハロゲン化アリールオキシ基全体の炭素数は5〜20である。
また前記アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、(ペル)ハロゲン化アルキル基、(ペル)ハロゲン化アルコキシ基、(ペル)ハロゲン化アリール基、または(ペル)ハロゲン化アリールオキシ基は、炭素原子と炭素原子の間にエーテル性酸素原子を有していてもよい。すなわち、基(vi)としては、酸素原子を1以上含む基(v)が好ましく、酸素原子はエーテル性酸素原子であることがより好ましい。つまり基(vi)としては下記基(vii)であることが好ましい。
基(vii):炭素原子と炭素原子の間にエーテル性酸素原子を有する基(v)。
〜Xの組合せとして好ましくは、Xが基(i)、基(ii)、基(v)、または基(vi)であり;Xが基(i)、基(ii)、基(v)、または基(vi)であり;Xが基(ii)、基(v)、または基(vi)である組み合わせである。
より好ましくはXが水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の(ペル)ハロゲン化アルキル基、炭素原子と炭素原子の間にエーテル性酸素原子を有する炭素数1〜20の(ペル)ハロゲン化アルキル基、炭素数1〜20の(ペル)ハロゲン化アルコキシ基、炭素原子と炭素原子の間にエーテル性酸素原子を有する炭素数1〜20の(ペル)ハロゲン化アルコキシ基、炭素数5〜20の(ペル)ハロゲン化アリール基、炭素原子と炭素原子の間にエーテル性酸素原子を有する炭素数5〜20の(ペル)ハロゲン化アリール基、炭素数5〜20の(ペル)ハロゲン化アリールオキシ基、又は炭素原子と炭素原子の間にエーテル性酸素原子を有する炭素数5〜20の(ペル)ハロゲン化アリールオキシ基;Xが水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素原子と炭素原子の間にエーテル性酸素原子を有する炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素原子と炭素原子の間にエーテル性酸素原子を有する炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数5〜20のアリール基、炭素原子と炭素原子の間にエーテル性酸素原子を有する炭素数5〜20のアリール基、炭素数1〜20の(ペル)ハロゲン化アルキル基、炭素原子と炭素原子の間にエーテル性酸素原子を有する炭素数1〜20の(ペル)ハロゲン化アルキル基、炭素数1〜20の(ペル)ハロゲン化アルコキシ基、炭素原子と炭素原子の間にエーテル性酸素原子を有する炭素数1〜20の(ペル)ハロゲン化アルコキシ基、炭素数5〜20の(ペル)ハロゲン化アリール基、炭素原子と炭素原子の間にエーテル性酸素原子を有する炭素数5〜20の(ペル)ハロゲン化アリール基、炭素数5〜20の(ペル)ハロゲン化アリールオキシ基、又は炭素原子と炭素原子の間にエーテル性酸素原子を有する炭素数5〜20の(ペル)ハロゲン化アリールオキシ基;Xが塩素原子、フッ素原子、炭素数1〜20のペルハロゲン化アルキル基、炭素原子と炭素原子の間にエーテル性酸素原子を有する炭素数1〜20のペルハロゲン化アルキル基、炭素数1〜20のペルハロゲン化アルコキシ基、炭素原子と炭素原子の間にエーテル性酸素原子を有する炭素数1〜20のペルハロゲン化アルコキシ基、炭素数5〜20のペルハロゲン化アリール基、炭素原子と炭素原子の間にエーテル性酸素原子を有する炭素数5〜20のペルハロゲン化アリール基、炭素数5〜20のペルハロゲン化アリールオキシ基、又は炭素原子と炭素原子の間にエーテル性酸素原子を有する炭素数5〜20のペルハロゲン化アリールオキシ基の組み合わせである。
化合物(21)としては、1,1−ジフルオロオレフィン又は1,2−ジフルオロオレフィンが好ましく、1,1−ジフルオロオレフィン又は炭素数3以上の1,2−ジフルオロオレフィンがより好ましく、特にXがフッ素原子である化合物、すなわち1,1−ジフルオロオレフィンが好ましい。
化合物(21)として好ましくは、具体的には、下記化合物等が挙げられる。ただしE/Zの異性体がある場合にはいずれか一方または両方の混合物であってもよい。化合物(21)としては1種のみを用いても、2種以上を併用してもよい。ただし副生成物が多くなりやすいことから1種のみが好ましい。
Figure 2018024600
上記式において、Rfは、炭素数1〜20の(ペル)フルオロアルキル基、炭素数1〜20の(ペル)フルオロアルコキシ基、炭素原子と炭素原子の間にエーテル性酸素原子を有する炭素数1〜20の(ペル)フルオロアルキル基、炭素原子と炭素原子の間にエーテル性酸素原子を含む炭素数1〜20の(ペル)フルオロアルコキシ基、炭素数5〜20の(ペル)フルオロアリール基、または、炭素数5〜20の(ペル)フルオロアリールオキシ基である。
化合物(21)としてより好ましくは、CH=CHF(フッ化ビニル)、CH=CF(フッ化ビニリデン)、CF=CHF、CF=CClF、CF=CF、CF=CFCFである。
<化合物(31)>
化合物(31)はオレフィンメタセシスの反応基質である。
〜Aはそれぞれ独立して、水素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素数1〜20の一価炭化水素基、またはハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、イオウ原子、リン原子及びケイ素原子からなる群から選ばれる原子を1以上含む炭素数1〜20の一価有機基である。
Rfは炭素数1〜20の(ペル)フルオロアルキル基、炭素数1〜20の(ペル)フルオロアルコキシ基、炭素原子と炭素原子の間にエーテル性酸素原子を有する炭素数1〜20の(ペル)フルオロアルキル基、炭素原子と炭素原子の間にエーテル性酸素原子を含む炭素数1〜20の(ペル)フルオロアルコキシ基、炭素数5〜20の(ペル)フルオロアリール基、または、炭素数5〜20の(ペル)フルオロアリールオキシ基である。
、A、A及びRfからなる群から選ばれる任意の2つは互いに結合して環を形成してもよい。環としては、炭素原子のみからなる、または、炭素原子とヘテロ原子とからなる環が好ましい。環の大きさは3員環〜10員環が例示できる。環の部分構造としては、下式の構造が例示できる。
Figure 2018024600
炭素数1〜20の一価炭化水素基としては炭素数1〜20のアルキル基、または炭素数5〜20のアリール基が好ましく、特にメチル基、エチル基、プロピル基、またはフェニル基が入手容易性の点から好ましい。また、炭化水素基骨格としては直鎖状又は分岐状でもよい。また、水素原子がひとつ取れた二価の基として、環を形成していてもよい。
ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、イオウ原子、リン原子、及びケイ素原子からなる群から選ばれる原子を1以上含む炭素数1〜20の一価有機基としては、好ましくは、当該原子を含む炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、当該原子を含む炭素数5〜20のアリール基、炭素数5〜20のアリールオキシ基が例示できる。ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子、塩素原子が入手容易性の点から好ましい。これらの好ましい基は少なくとも一部の炭素原子にハロゲン原子が結合していてもよい。すなわち例えば(ペル)フルオロアルキル基、(ペル)フルオロアルコキシ基であってもよい。またこれらの好ましい基は、炭素原子と炭素原子の間にエーテル性酸素原子を有していてもよい。またこれらの好ましい基は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、またはケイ素原子を有する置換基を有していてもよい。該置換基としては、アミノ基、ニトリル基、カルボキシル基、エステル基(アシルオキシ基またはアルコキシカルボニル基)、チオアルキル基、及びシリル基が例示できる。
炭素数1〜20のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基、(2−エチル)ヘキシルオキシ基、またはドデシルオキシ基が入手容易性の点から好ましい。
化合物(31)におけるRfとしては、炭素数1〜13の(ペル)フルオロアルキル基または炭素原子と炭素原子の間にエーテル性酸素原子を有する炭素数1〜13の(ペル)フルオロアルキル基が好ましく、特に炭素数1〜13の(ペル)フルオロアルキル基が好ましい。具体的にはトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、またはヘプタフルオロプロピル基が入手容易性の点から好ましい。アルキル基鎖は直鎖状又は分岐状でもよい。また、水素原子又はハロゲン原子がひとつ取れた二価の基として、環を形成していてもよい。
中でも、A〜Aはそれぞれ独立して、水素原子、フェニル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、tert−ブトキシ基、(2−エチル)ヘキシルオキシ基、ドデシルオキシ基、アセチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ペルフルオロブチル基、ペルフルオロヘキシル基、ペルフルオロオクチル基であることが入手容易性の点から好ましい。なお化合物(31)のうち、ビニル位にヘテロ原子を有する化合物(オレフィンの炭素原子の隣に炭素原子または水素原子以外の原子が存在する化合物)は反応中に生じる中間体を安定化する効果があり、オレフィンメタセシスが進行しやすいと考えられる。このため化合物(31)としては、ビニル位にヘテロ原子を有する化合物が好ましい。前記オレフィンの炭素原子の隣に存在することが好ましいヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、イオウ原子、ハロゲン原子、リン原子又はケイ素原子が好ましく、酸素原子、イオウ原子、窒素原子、又はハロゲン原子がより好ましく、酸素原子、イオウ原子又は窒素原子が特に好ましい。
化合物(31)としては、末端及び内部オレフィンのどちらも利用することができる。二重結合上の置換基の数に特に限定はないが、一置換オレフィン、1,2−二置換オレフィンが高い反応性を有する点で好ましく、特に一置換オレフィンが好ましい。また二重結合上の幾何異性も特に限定はない。
〜Aとの組合せとして好ましくは、Aが基(i)、基(iia)、基(iii)、基(iv)であり、Aが基(i)、基(iii)、基(iv)であり、Aが基(i)、基(iia)、基(iii)、基(iv)である組み合わせである。
化合物(31)の具体例としては、より好ましくは、下記に示す化合物が挙げられる。
Figure 2018024600
上記式における−RPFは炭素数1〜12のペルフルオロアルキル基炭素数1〜12のペルフルオロアルコキシ基、炭素原子と炭素原子の間にエーテル性酸素原子を有する炭素数1〜12のペルフルオロアルキル基、または、炭素原子と炭素原子の間にエーテル性酸素原子を含む炭素数1〜12のペルフルオロアルコキシ基である。化合物(31)は、−RPFで置換された一置換オレフィンが好ましい。
これらのうち化合物(31)として、特に好ましい具体例としては、下記に示す化合物が挙げられる。
Figure 2018024600
Figure 2018024600
Figure 2018024600
Figure 2018024600
<化合物(41)>
本発明では反応性炭素−炭素二重結合を3個以上有するオレフィン化合物を用いる。以下、当該オレフィン化合物を化合物(41)という。化合物(41)の重合度は1である。すなわち化合物(41)は重合体ではなく、繰り返し単位を有していない。なお「反応性炭素−炭素二重結合」とは、オレフィンとして各種反応しうる炭素−炭素二重結合を意味し、芳香族性の二重結合は含まない。該二重結合としては、ビニル基、ビニルオキシ基、アリル基、アリルオキシ基、アクリロイル基等が例示でき、ビニルオキシ基が反応性が高く好ましい。
化合物(41)が有する反応性炭素−炭素二重結合の数は3個以上であれば特に制限は無いが、10個以下が好ましく、6個以下がより好ましい。
化合物(41)は、芳香環を有していてもよく、芳香環を有していなくてもよい。本発明においては、入手容易性の観点から芳香環を有していることが好ましい。特に芳香環としてベンゼン環を有している化合物が好ましい。
化合物(41)は、ヘテロ原子を有してもよく、ヘテロ原子を有していなくてもよい。本発明においては、反応性の観点からヘテロ原子を有している事が好ましく、二重結合に隣接してヘテロ原子を有していることがより好ましい。特にヘテロ原子として酸素原子、窒素原子、イオウ原子を有している化合物が好ましい。
化合物(41)としては、ポリビニル化合物、ポリアリル化合物、ポリ(ビニルオキシ)化合物、ポリ(アリルオキシ)化合物、多官能アクリレート、多官能メタクリレート、ポリビニルベンゼン、ポリ(ビニルオキシ)ベンゼン、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、等が挙げられる。
化合物(41)の具体例を下記に示す。なお、Meとはメチル基を意味する。
Figure 2018024600
Figure 2018024600
<製造方法>
本発明はオレフィンメタセシスによる含フッ素オレフィン化合物の製造方法に関するものであり、例えば、含フッ素オレフィン(化合物(21)または化合物(31))と化合物(41)とを原料化合物とし、金属−カルベン錯体化合物(10)の存在下、当該原料化合物を接触させることによってオレフィンメタセシスを行い、2種の原料化合物の部分構造を有する含フッ素オレフィンを得るものである。この場合、オレフィンメタセシスはクロスメタセシス反応または開環クロスメタセシス反応となる。
原料化合物である化合物(21)、化合物(31)及び化合物(41)は共に、末端及び内部オレフィンのどちらも利用することができる。目的物収率向上の点で、原料化合物は脱気及び脱水されたものを用いることが好ましい。脱気操作について、特に制限はないが、凍結脱気等を行うことがある。脱水操作について、特に制限はないが、通常モレキュラーシーブ等と接触させる。原料化合物について、前記脱気及び脱水操作は通常金属−カルベン錯体化合物(10)と接触させる前に行う。
また原料となるオレフィンは微量の不純物(例えば過酸化物等)を含むことがあるので、目的物収率向上の点で精製してもよい。精製方法については特に制限はない。例えば文献(Armarego,W.L.F.et al.,Purification of Laboratory Chemicals(Sixth Edition),2009,Elsevier)記載の方法に従って行うことができる。
原料化合物である化合物(21)(または化合物(31))と化合物(41)とは、あらかじめ混合してから反応容器に投入しても、別々に投入しても構わない。原料化合物として化合物(21)(または化合物(31))または化合物(41)を金属−カルベン錯体化合物と接触させて得られた混合物に、他方の原料化合物を接触させる場合もある。原料となる化合物(21)(または化合物(31))及び化合物(41)のモル比に特に限定はないが、通常基準となるオレフィン化合物1モルに対して、もう一方のオレフィンを0.01〜100モル程度用い、好ましくは0.1〜10モル程度用いる。
また化合物(21)(または化合物(31))と化合物(41)が反応条件において液体である場合(加熱して液化する場合も含む)は、メタセシス反応に溶媒を用いないことが好ましい。この場合オレフィン化合物に金属−カルベン錯体化合物が溶解することが好ましい。なお、化合物(21)(または化合物(31))と化合物(41)とが相溶しない場合は、双方に親和性のある溶媒を用いてもよい。かかる溶媒としては、トリフルオロメチルベンゼン等の含フッ素溶媒が挙げられる。
金属−カルベン錯体化合物は試薬として投入しても、系内で発生させてもよい。試薬として投入する場合、市販の金属−カルベン錯体化合物をそのまま用いてもよく、あるいは市販試薬から公知の方法で合成した市販されていない金属−カルベン錯体を用いてもよい。系内で発生させる場合、公知の方法で前駆体となる金属錯体から調製した金属−カルベン錯体化合物を本発明に用いることができる。用いる金属−カルベン錯体化合物の量としては、特に制限はないが、基準となるオレフィン化合物1モルに対して、通常0.0001〜1モル程度用い、好ましくは0.001〜0.2モル程度用いる。
用いる金属−カルベン錯体化合物は、通常固体のまま反応容器に投入するが、溶媒に溶解又は懸濁させて投入してもよい。この時用いる溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさない範囲で特に制限はなく、有機溶媒、含フッ素有機溶媒、イオン液体、水等を単独又は混合して用いることができる。なお、これらの溶媒分子中、一部又はすべての水素原子が重水素原子で置換されていてもよい。
有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、o−,m−,p−キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素系溶媒;ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、グライム、ジグライム等のエーテル系溶媒等を使用することができる。含フッ素有機溶媒としては、例えば、ヘキサフルオロベンゼン、m−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、p−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、α,α,α−トリフルオロメチルベンゼン、オクタフルオロトルエン、ジクロロペンタフルオロプロパン等を使用することができる。イオン液体としては、例えば、各種ピリジニウム塩、各種イミダゾリウム塩等を用いることができる。上記溶媒の中でも、金属−カルベン錯体の溶解性等の点で、ベンゼン、トルエン、o−,m−,p−キシレン、メシチレン、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、ジエチルエーテル、ジオキサン、THF(テトラヒドロフラン)、ヘキサフルオロベンゼン、m−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、p−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、α,α,α−トリフルオロメチルベンゼン、オクタフルオロトルエン等、及びこれらの混合物が好ましい。
なお、目的物収率向上の点で、前記溶媒は脱気及び脱水されたものを用いることが好ましい。脱気操作について、特に制限はないが、凍結脱気等を行うことがある。脱水操作について、特に制限はないが、通常モレキュラーシーブ等と接触させる。前記脱気及び脱水操作は通常金属−カルベン錯体化合物と接触させる前に行う。
原料化合物と金属−カルベン錯体化合物を接触させる雰囲気としては、特に限定はないが、触媒の長寿命化の点で、不活性気体雰囲気下が好ましく、中でも窒素又はアルゴン雰囲気下が好ましい。
オレフィンと金属−カルベン錯体を接触させる相としては、特に制限はないが、反応速度の点で、通常は液相が用いられる。原料となるオレフィンが反応条件下で気体の場合、液相で実施するのが難しいため、気−液二相で実施することもできる。なお、液相で実施する場合には溶媒を用いることができる。このとき用いる溶媒としては、上記、金属−カルベン錯体の溶解又は懸濁に用いた溶媒と同様のものを利用することができる。なお、原料となるオレフィンのうち少なくとも一方が反応条件下で液体の場合、無溶媒で実施できることがある。
原料化合物と金属−カルベン錯体化合物を接触させる容器としては、反応に悪影響を与えない範囲で特に制限はなく、例えば金属製容器又はガラス製容器等を用いることができる。具体例としては高気密が可能な金属製耐圧容器が好ましい。
原料化合物と金属−カルベン錯体化合物を接触させる温度としては、特に制限はないが、通常−100〜200℃の範囲で実施することができ、反応速度の点で、0〜150℃が好ましい。なお、低温では反応が開始せず、高温では錯体の速やかな分解が生じることがあるので適宜温度の下限と上限を設定する必要がある。溶媒を用いる場合は溶媒の沸点以下の温度で実施されることが好ましい。
原料化合物と金属−カルベン錯体化合物を接触させる時間としては、特に制限はないが、通常1分〜48時間の範囲で実施される。
オレフィンと金属−カルベン錯体を接触させる圧力としては、特に制限はないが、加圧下でも、常圧下でもよいし、減圧下でもよい。通常0.001〜10MPa程度、好ましくは0.01〜1MPa程度である。
原料化合物と金属−カルベン錯体化合物を接触させる際に、反応に悪影響を及ぼさない範囲で無機塩や有機化合物、金属錯体等を共存させてもよい。
また、反応に悪影響を及ぼさない範囲で、原料化合物と金属−カルベン錯体化合物の混合物を攪拌してもよい。このとき、攪拌の方法としては、メカニカルスターラーやマグネティックスターラー等を用いることができる。
原料化合物と金属−カルベン錯体化合物を接触させた後、目的物は通常複数の含フッ素オレフィンの混合物として得られるため、公知の方法で単離してもよい。単離方法としては、例えば蒸留、カラムクロマトグラフィー、リサイクル分取HPLC等が挙げられ、必要に応じてこれらを単独又は複数組み合わせて用いることができる。
本反応で得られた目的物は通常の有機化合物と同様の公知の方法で同定することができる。例えば、H−、19F−、13C−NMRやGC−MS等が挙げられ、必要に応じてこれらを単独又は複数組み合わせて用いることができる。
以下に実施例を挙げ、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。<市販試薬>
本実施例において、触媒は、特に記載しない場合においては、市販品をそのまま反応に用いた。溶媒(ベンゼン−d)は、市販品をあらかじめ凍結脱気したあと、モレキュラーシーブ4Aで乾燥してから反応に用いた。
<評価方法>
本実施例において、合成した化合物の構造は日本電子株式会社製の核磁気共鳴装置(JNM−AL300)により19F−NMR測定を行うことで同定した。
<実施例1>
UmicoreM73SIPr触媒による1,3,5−トリス(エテニルオキシ)−ベンゼンとテトラフルオロエチレンのクロスメタセシス
窒素雰囲気下、UmicoreM73SIPr触媒(40mol%、0.008mmol)、1,3,5−トリス(エテニルオキシ)−ベンゼン(0.02mmol、4.1mg)及びベンゼン−d(0.6mL)をNMR測定管の中に量り入れて氷冷する。最後に氷冷下でテトラフルオロエチレン(0.12mmol、ガスとして2.7mL)を加えてNMR管を60℃で1時間反応させる。反応終了後、NMR及びGC−MSを測定し生成物Aの生成を確認する。
これら一連の反応を以下に示す。
Figure 2018024600
<実施例2>
UmicoreM73SIPr触媒による1,3,5−トリビニルベンゼンとテトラフルオロエチレンのクロスメタセシス
窒素雰囲気下、UmicoreM73SIPr触媒(40mol%、0.008mmol)、1,3,5−トリビニルベンゼン(0.02mmol、3.1mg)及びベンゼン−d(0.6mL)をNMR測定管の中に量り入れて氷冷する。最後に氷冷下でテトラフルオロエチレン(0.12mmol、ガスとして2.7mL)を加えてNMR管を60℃で1時間反応させる。反応終了後、NMR及びGC−MSを測定し生成物Bの生成を確認する。
これら一連の反応を以下に示す。
Figure 2018024600
<実施例3>
UmicoreM73SIPr触媒によるジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとテトラフルオロエチレンのクロスメタセシス
窒素雰囲気下、UmicoreM73SIPr触媒(40mol%、0.008mmol)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(0.02mmol、11.6mg)及びベンゼン−d(0.6mL)をNMR測定管の中に量り入れて氷冷する。最後に氷冷下でテトラフルオロエチレン(0.12mmol、ガスとして2.7mL)を加えてNMR管を60℃で1時間反応させる。反応終了後、NMR及びGC−MSを測定し生成物Cの生成を確認する。
これら一連の反応を以下に示す。
Figure 2018024600
<実施例4>
UmicoreM73SIPr触媒による1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリアリルとテトラフルオロエチレンのクロスメタセシス
窒素雰囲気下、UmicoreM73SIPr触媒(40mol%、0.008mmol)、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸トリアリル(0.02mmol、6.6mg)及びベンゼン−d(0.6mL)をNMR測定管の中に量り入れて氷冷する。最後に氷冷下でテトラフルオロエチレン(0.12mmol、ガスとして2.7mL)を加えてNMR管を60℃で1時間反応させる。反応終了後、NMR及びGC−MSを測定し生成物Dの生成を確認する。
これら一連の反応を以下に示す。
Figure 2018024600

Claims (8)

  1. オレフィンメタセシス反応活性を有する金属−カルベン錯体化合物(10)の存在下、下記式(21)で表されるオレフィン化合物又は下記式(31)で表されるオレフィン化合物と、反応性炭素−炭素二重結合を3個以上有する化合物とを反応させることにより、含フッ素オレフィンを製造する方法。
    Figure 2018024600
    ただし、式中の記号は以下の意味を表す。
    、X及びXはそれぞれ独立して、下記基(i)、基(ii)、基(v)、及び基(vi)からなる群から選ばれる基である。X、X及びXのうちの任意の2つは、該2つの基のそれぞれから水素原子又はハロゲン原子がひとつ取れた二価の基として、互いに結合して環を形成してもよい。
    〜Aはそれぞれ独立して、下記基(i)、基(iia)、基(iii)、及び基(iv)からなる群から選ばれる基である。A、A、A及びRfからなる群から選ばれる任意の2つは互いに結合して環を形成してもよい。
    Rfは炭素数1〜20の(ペル)フルオロアルキル基、炭素数1〜20の(ペル)フルオロアルコキシ基、炭素原子と炭素原子の間にエーテル性酸素原子を有する炭素数1〜20の(ペル)フルオロアルキル基、炭素原子と炭素原子の間にエーテル性酸素原子を含む炭素数1〜20の(ペル)フルオロアルコキシ基、炭素数5〜20の(ペル)フルオロアリール基、または、炭素数5〜20の(ペル)フルオロアリールオキシ基である。
    基(i):水素原子。
    基(ii):ハロゲン原子。
    基(iia):塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子。
    基(iii):炭素数1〜20の一価炭化水素基。
    基(iv):ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、イオウ原子、リン原子、及びケイ素原子からなる群から選ばれる原子を1以上含む炭素数1〜20の一価有機基。
    基(v):炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数5〜20のアリール基、炭素数5〜20のアリールオキシ基、炭素数1〜20の(ペル)ハロゲン化アルキル基、炭素数1〜20の(ペル)ハロゲン化アルコキシ基、炭素数5〜20の(ペル)ハロゲン化アリール基、及び炭素数5〜20の(ペル)ハロゲン化アリールオキシ基からなる群から選ばれる基。
    基(vi):さらに、酸素原子、窒素原子、イオウ原子、リン原子、及びケイ素原子からなる群から選ばれる原子を1以上含む前記基(v)。
  2. 金属−カルベン錯体化合物(10)における金属が、ルテニウム、モリブデンまたはタングステンである、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記金属−カルベン錯体化合物(10)における金属がルテニウムである請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記金属−カルベン錯体化合物(10)における金属がモリブデンまたはタングステンであり、かつ、前記金属−カルベン錯体化合物が配位子として、イミド配位子、および、酸素原子が二座配位した配位子を有する請求項1または2に記載の製造方法。
  5. 前記式(21)で表わされるオレフィン化合物が、Xが基(i)、基(ii)、基(v)、または基(vi)であり、Xが基(i)、基(ii)、基(v)、または基(vi)であり、Xが基(ii)、基(v)、または基(vi)であるオレフィン化合物である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
    ここで、基(i)、基(ii)、基(v)および基(vi)は、請求項1のそれらと同義である。
  6. 前記式(21)で表わされるオレフィン化合物が、1,1−ジフルオロオレフィンである請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 前記式(21)で表される化合物が、下記式で表わされるオレフィン化合物から選ばれる少なくとも1種のオレフィン化合物である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
    Figure 2018024600
    上記式において、Rfは、炭素数1〜20の(ペル)フルオロアルキル基、炭素数1〜20の(ペル)フルオロアルコキシ基、炭素原子と炭素原子の間にエーテル性酸素原子を有する炭素数1〜20の(ペル)フルオロアルキル基、炭素原子と炭素原子の間にエーテル性酸素原子を含む炭素数1〜20の(ペル)フルオロアルコキシ基、炭素数5〜20の(ペル)フルオロアリール基、または、炭素数5〜20の(ペル)フルオロアリールオキシ基である。
  8. 前記式(31)で表される化合物が、下記式で表わされるオレフィン化合物から選ばれる少なくとも1種のオレフィン化合物である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法。
    Figure 2018024600
    上記式において−RPFは炭素数1〜12のペルフルオロアルキル基、炭素数1〜12のペルフルオロアルコキシ基、炭素原子と炭素原子の間にエーテル性酸素原子を有する炭素数1〜12のペルフルオロアルキル基、または、炭素原子と炭素原子の間にエーテル性酸素原子を含む炭素数1〜12のペルフルオロアルコキシ基である。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN115175889A (zh) * 2020-03-02 2022-10-11 国立大学法人东京大学 含氟烯烃的制造方法

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