JP2018023339A - FokIヌクレアーゼドメイン結合性核酸アプタマー - Google Patents

FokIヌクレアーゼドメイン結合性核酸アプタマー Download PDF

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Abstract

【課題】ゲノム編集のための、より効率よく、オフターゲット効果の少ない人工ヌクレアーゼの導入方法の開発。【解決手段】FokIヌクレアーゼドメインに対して特異的に結合する核酸アプタマー、及びFokIヌクレアーゼをDNA切断ドメインとして含む人工ヌクレアーゼを、上記核酸アプタマーを介してナノニードル表面に結合するステップと、人工ヌクレアーゼが結合したナノニードルを細胞に穿刺するステップとを含む、細胞への人工ヌクレアーゼの導入方法を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、FokIヌクレアーゼドメインに対して特異的に結合する核酸アプタマーに関する。本発明はまた、該核酸アプタマーを介してナノニードル表面に結合させたジンクフィンガーヌクレアーゼ等の人工ヌクレアーゼを細胞に導入する方法に関する。
近年注目されつつあるゲノム編集技術は、人工ヌクレアーゼを用いてゲノム上の狙った遺伝子のみを改変することができる技術である。具体的には、人工ヌクレアーゼを用いてゲノム上にある標的遺伝子の二本鎖DNAを切断し、その後のDNA修復機構を利用して遺伝子の欠損や挿入を行うことが出来る。現在、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(Zinc-Finger Nuclease、ZFN)や転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(Transcription Activator-Like Effector Nuclease、TALEN)及びCRISPR/Cas9システム等の人工ヌクレアーゼがゲノム編集に用いられている。これらの人工ヌクレアーゼは、標的配列の設計が可能であるため、ゲノム編集技術は遺伝子治療や疾患モデル動物の作製等への応用が期待されている。
一般に、人工ヌクレアーゼは、プラスミドやmRNA等のトランスフェクションにより細胞内に導入される。また、その他の手法として、人工ヌクレアーゼを直接細胞へ導入するプロテインデリバリーによる手法が報告されている。具体的には、カチオン性脂質であるリポフェクション用試薬と負電荷を持つ人工ヌクレアーゼに複合体を形成させて細胞へ導入する手法(非特許文献1)、ウイルスを用いて導入する手法(非特許文献2)等が報告されている。
一方、本発明者等のグループは、ナノニードルに人工ヌクレアーゼを制御可能に結合して細胞に導入し、細胞内で放出させるための方法を開発している(特許文献1)。
特開2015-181384号公報
Zuris, J.A. et al., Cationic lipid-mediated delivery of proteins enables efficient protein-based genome editing in vitro and in vivo. Nature biotechnology 33(1), 73-80, 2015 Choi, J.G.,et al., Lentivirus pre-packed with Cas9 protein for safer gene editing. Gene Therapy, 23(7), 627-33, 2016
ゲノム編集の実用化の上で、オフターゲット効果が大きな課題である。オフターゲット効果とは、人工ヌクレアーゼが標的以外の二本鎖DNAを切断することを指す。
mRNAやプラスミドを用いる方法では、細胞内に人工ヌクレアーゼが過剰量発現するため、細胞内で発現する人工ヌクレアーゼ量を正確に制御することは難しく、オフターゲット効果の増加が問題点として挙げられている。遺伝子ベースでの導入では、細胞内で人工ヌクレアーゼが発現し続けるため、常に細胞内に人工ヌクレアーゼが存在することでオフターゲット効果を増加させる原因となるという欠点が挙げられる。そのため、人工ヌクレアーゼの導入量を制御できる手法の開発が求められる。
また、プロテインデリバリーではオフターゲット効果は軽減できるものの、いまだその導入効率が低いことが課題として挙げられる。
従って、ゲノム編集を遺伝子治療等へ実用化するには、より効率よく、オフターゲット効果の少ない人工ヌクレアーゼの導入方法の開発が求められる。
上記課題を解決するために、本発明者等は、ナノニードルを用いて人工ヌクレアーゼを直接導入する手法への応用を目指し、人工ヌクレアーゼのDNA切断ドメインであるFokIヌクレアーゼドメインと特異的に結合可能な核酸アプタマーの作製を検討した。その結果、FokIと非常に高い親和性で特異的に結合すると共に、それ自身はFokIヌクレアーゼによって切断されず、かつ人工ヌクレアーゼの活性を阻害しないアプタマーを取得することができた。更に、本発明のアプタマーを介して人工ヌクレアーゼをナノニードルに結合させて細胞への人工ヌクレアーゼの導入を行った結果、本発明のアプタマーが細胞内ではFokIヌクレアーゼドメインから脱離して、人工ヌクレアーゼが細胞内に放出されることも確認された。
すなわち、本発明は以下を提供するものである。
(1) FokIヌクレアーゼドメインに対して特異的に結合する核酸アプタマー。
(2) 20〜35個の塩基長を有する、上記(1)記載の核酸アプタマー。
(3) デオキシリボヌクレオシドを構成単位とするポリヌクレオチドである、上記(1)又は(2)記載の核酸アプタマー。
(4) ELONA(酵素結合オリゴヌクレオチドアッセイ(Enzyme-linked oligonucleotide assay))法で測定した場合に100nM以下の解離定数(Kd)を有する、上記(1)〜(3)のいずれか記載の核酸アプタマー。
(5) 配列番号6、7、9、14〜16、及び20から選択される塩基配列からなる、上記(1)〜(4)のいずれか記載の核酸アプタマー。
(6) FokIヌクレアーゼをDNA切断ドメインとして含む人工ヌクレアーゼを、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の核酸アプタマーを介してナノニードル表面に結合するステップと、人工ヌクレアーゼが結合したナノニードルを細胞に穿刺するステップとを含む、細胞への人工ヌクレアーゼの導入方法。
(7) 人工ヌクレアーゼがジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)または転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)である、上記(6)記載の方法。
(8) 上記(1)〜(5)のいずれか記載の核酸アプタマーを介して人工ヌクレアーゼを表面に結合させたナノニードル。
(9) 人工ヌクレアーゼがZFNまたはTALENである、上記(8)記載のナノニードル。
(10) ナノニードル表面に結合可能な上記(1)〜(5)のいずれか記載の核酸アプタマーと、ナノニードルとを含む、人工ヌクレアーゼの細胞導入用キット。
(11) 核酸アプタマーとナノニードル表面との結合が、直接もしくはリンカーを介した共有結合又は非共有結合である、上記(10)記載のキット。
(12) 人工ヌクレアーゼがZFNまたはTALENである、上記(11)記載のキット。
本アプタマーは、それ自体はFokIヌクレアーゼによって切断されず、かつその活性を阻害せずに高い結合親和性でFokIヌクレアーゼドメインに対して結合することが出来る。また、本アプタマーは細胞内環境でFokIヌクレアーゼドメインを含む人工ヌクレアーゼから脱離する。そのため、本アプタマーを用いてナノニードルに人工ヌクレアーゼを固定することで、人工ヌクレアーゼの活性を失活させず、かつ確実に人工ヌクレアーゼを細胞へ導入できることが期待される。
アプタマーの結合能の評価結果を示す。(a)18種のアプタマー候補を用い、一枚の膜に3点FokIヌクレアーゼドメインを吸着固定してFokIヌクレアーゼドメインと各アプタマー候補との結合強度を化学発光によって測定した結果を示す。グラフの縦軸はFokIを固定した部分のスポット強度を表す。(b)一枚の膜上に複数種類の蛋白質(FokI、ZFN、GFP融合ZF蛋白質 (ZF-mEm)、トロンビン)を固定し、18種のアプタマー候補との結合を評価した結果を示す。 選択された7種のアプタマーを用い、アプタマー-抗体サンドイッチアッセイによる結合評価を行った結果を示す。 選択された7種のアプタマーのFokIヌクレアーゼによる切断に対する耐性を検討した結果を示す。 アプタマーがFokIヌクレアーゼ活性に与える影響の有無を検討した結果を示す。 ナノニードルを用いたZFNのHEK293細胞内導入後のアプタマーのFokIヌクレアーゼドメインからの脱離を示す。赤:DesRed、緑:GFP-ZFN。
[核酸アプタマー]
本発明は、FokIヌクレアーゼドメイン(FokI、FokIドメイン又はFokIヌクレアーゼということもある)に対して特異的に結合する核酸アプタマーを提供する。本発明のアプタマーは、人工ヌクレアーゼのFokIヌクレアーゼドメインに結合し、ゲノム編集技術において好適に使用することができる。
FokIヌクレアーゼは、Flavobacterium okeanokoites等の細菌由来のII型制限酵素であり、DNA認識ドメインとDNA切断ドメイン(ヌクレアーゼドメイン)から構成される。そのうちのDNA切断ドメインは、配列非依存的にDNAを切断することが出来るため、ZFN及びTALENのDNA切断ドメインとして用いられている。FokIの遺伝子及びアミノ酸配列は公知であり(例えば P14870 (UniProtKB))、合成することが可能である。また、タカラバイオ株式会社等から市販品を入手することも可能である。
「アプタマー」とは、特定の分子と特異的に結合する核酸分子又はペプチドをいう。本発明者等が開発したアプタマーは核酸アプタマーであるが、本明細書において、便宜的に「アプタマー」と記載することがある。
本発明のアプタマーは、特に限定するものではないが、20〜35個の塩基長を有することが好ましい。アプタマーは、DNA分子であってもRNA分子であっても、これらの混合分子であっても良く、更に改変された構造、例えばメチル化等のエステル化、エーテル結合等を有するものであっても良い。経時的安定性等を考慮すれば、DNAアプタマー、すなわちデオキシリボヌクレオシドを構成単位とするポリヌクレオチドとすることが好ましい。
核酸アプタマーは、所望の配列を有するものを合成することが可能である。本発明のアプタマーは、FokIヌクレアーゼドメインに対して特異的に結合することを必須の特徴とするため、アプタマーの設計及び選択のためには、例えばSELEX(Systematic Evolution of Ligands by Exponential Enrichment)法と呼ばれる試験管内進化法を利用することができる(Tuerk, C及びGold L., Science, 249, 505-510, 1990)。
具体的には、まずランダムな配列を有する多数のポリヌクレオチドを合成してライブラリーを作製した後、FokIヌクレアーゼドメインに対して特異的に結合し得るアプタマーを選択することができる。当業者であれば、本願明細書の記載に基づいて、FokIヌクレアーゼドメインと特異的に結合する本発明のアプタマーを取得することができる。
本発明のアプタマーは、一実施形態として、人工ヌクレアーゼの細胞内導入のために使用される。この場合、アプタマーは、細胞に導入する前はFokIヌクレアーゼドメインに対して結合し、細胞に導入した後に脱離し得る結合強度を有することが好ましい。
動物において、細胞内外の浸透圧は等しいが、塩組成が大きく異なることが知られている。細胞外ではナトリウムイオン濃度が高く、カリウムイオン濃度が低いのに対して、細胞内ではナトリウムイオン濃度が低く、カリウムイオン濃度が高い。この濃度差を利用して、細胞外環境ではFokIヌクレアーゼドメインと結合し、細胞内環境では分離し得る核酸アプタマーを設計することができる。
この目的で、上記のSELEX法において、ランダムDNAライブラリーの中から細胞外環境と類似のナトリウム塩濃度が高い条件下、例えば150mM濃度のナトリウムイオン存在下でFokIヌクレアーゼドメインと結合するポリヌクレオチドをアプタマーとして選択することができる。このステップを繰り返すことによって、細胞外環境下でFokIヌクレアーゼドメインに対してより結合親和性の高いアプタマーを取得することができる。
FokIとの結合強度は、特に限定するものではないが、例えばELONA(酵素結合オリゴヌクレオチドアッセイ(Enzyme-linked oligonucleotide assay))法によって測定することができる(Drolet, D.W., et al., 1996. Nat Biotech 14(8), 1021-1025)。
本発明のアプタマーとして、特に限定するものではないが、具体的には、例えば配列番号6、7、9、14〜16、及び20から選択される塩基配列からなるアプタマーが挙げられる。
本発明のアプタマーを用いて人工ヌクレアーゼを細胞に導入する場合、アプタマーとFokIヌクレアーゼドメインとの解離定数(Kd)は、上記ELONA法によって測定した場合に500 nM以下であれば良く、100nM以下が好ましい。例えば、後に具体的に記載するアプタマーF6#8(配列番号6)及びF6#71(配列番号20)は、解離定数がそれぞれ82nM、74nMであると算出されている。
本発明のアプタマーは、FokIヌクレアーゼドメインと特異的に結合する以外に、その可能な用途を考慮した場合、それ自体はFokIヌクレアーゼによって切断されないこと、およびFokIヌクレアーゼ活性を阻害しないことが好ましい。これらの特徴の有無は、合成したアプタマー候補を用いて容易に確認することができる。
核酸アプタマーは、その塩基配列に応じて特有の高次構造、例えばステム-ループ構造、三叉路構造、あるいはG4構造をとり得る。こうした高次構造(フォールディング)がFokIヌクレアーゼドメインとの特異的結合に関わっていると考えられ、従って、アプタマーの選択、及びそのFokIヌクレアーゼドメインとの結合を利用した細胞への人工ヌクレアーゼの導入等の際には、アプタマーが高次構造を形成できる条件下にあることが必要である。
例えば、TBSバッファー(10〜20 mM Tris-HCl, 100〜150 mM NaCl, 0〜5 mM KCl、0〜1 mM EDTA, pH7.0〜7.5)又はTBSTバッファー(0.05%(v/v) Tween 20を含むTBS)中でアプタマーを約95℃で熱処理して変性させた後、室温まで徐冷することにより、アプタマー分子のフォールディングを行うことができる。
[人工ヌクレアーゼの導入方法]
本発明はまた、FokIヌクレアーゼをDNA切断ドメインとして含む人工ヌクレアーゼを、上記の本発明の核酸アプタマーを介してナノニードル表面に結合するステップと、人工ヌクレアーゼが結合したナノニードルを細胞に穿刺するステップとを含む、細胞への人工ヌクレアーゼの導入方法を提供する。
本発明の方法で用いる人工ヌクレアーゼとしては、DNA切断ドメインとしてFokIヌクレアーゼを含むものであればいずれでも良い。当分野において、DNA結合ドメインとDNA切断ドメインを有する人工ヌクレアーゼの設計、構築が種々検討、提案されており、特に限定するものではないが、当分野において良く知られているものとしてはジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)等が挙げられる。
ZFNでは、これまでに多数のジンクフィンガーモチーフが同定され、それぞれのアミノ酸配列と、それらが認識するDNA配列のデータベースは以下にて公開されている(http://zifit.partners.org/ZiFiT/)。
所望の塩基配列を認識して結合するジンクフィンガーの設計方法も知られており、例えばProc. Natl. Acad. Sci. USA, 96, 2758-2763, "Toward controlling gene expression at will: selection and design of zinc finger domains recognizing each of the 5'-GNN-3' DNA target sequences" を参照することができる。
所定のアミノ酸配列からなるジンクフィンガードメインは、遺伝子工学的手法により、または化学合成により、容易に調製することができる。遺伝子工学的手法により製造された、ジンクフィンガーを有するタンパク質も、市販品として入手することができる(例えばCompoZr(登録商標) Zinc Finger Nuclease, Sigma Aldrich)。
TALENは植物病原菌Xanthomonas由来のTAL effectorのDNA結合ドメインとDNA切断ドメインFokIエンドヌクレアーゼが結合した人工ヌクレアーゼである。TALENも市販品を入手することができる(例えばGeneArt(登録商標) TALs, Themo Fisher Scientific)。
細胞内に人工ヌクレアーゼを導入するための担体として、本発明の方法では、定量的に人工ヌクレアーゼを導入することが可能であり、細胞にダメージを与えないナノニードルを用いることができる。
本発明の方法において使用する「ナノニードル」とは、細長い形状を有する超極細の針状物質を意味し、細胞に対する侵襲性が低いものであれば特に限定されない。ナノニードルの形状は、例えば円柱形、円錐形等の形状が挙げられ、特に限定するものではないが、先端部と根本側で直径にあまり差がない方が細胞に対する侵襲性がより低く、人工ヌクレアーゼの導入効率を高めることが可能である。例えば円柱形のナノニードルの場合、直径は約800nm以下、好ましくは約600nm以下、より好ましくは400nm以下である。一方、核酸アプタマーとの十分な結合のために、直径は約100nm以上とすることが好ましい。また、ナノニードルの長さは、目的とする細胞の種類等によっても異なるが、一般的には10μm〜50μm、好ましくは15μm〜25μmの範囲であり、特に20μm程度とすることが好ましい。ナノニードルのアスペクト比は、約10:1〜100:1の範囲、好ましくは20:1〜100:1、より好ましくは50:1〜100:1の範囲である。
ナノニードルの材質としては、細胞に毒性のないものであればいずれも使用でき、特に限定するものではないが、本発明の核酸アプタマーを結合させるために、シリコン、プラスチック等を好適に使用することができる。原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope: AFM)の単結晶シリコン探針をエッチング加工してナノニードルに使用することもできる。シリコン製等のナノニードルを使用する場合、アプタマーとの結合のために必要な官能基の導入のため、また細胞への導入に用いるため、例えばシリコン表面を生体適合性を有するポリマーで被覆することができる。
より具体的には、本発明において利用可能なナノニードルに関し、例えば特許第4625925号に記載されたものを好適に使用することができる。
また、ナノニードルは支持体と一体化した構成のものであっても良い。例えば複数のナノニードルをアレイ状に整列させたナノニードルアレイを使用することもできる。ナノニードルアレイの製造に関しては、例えば、シリコンウェハからエッチング等の技術を使用してシリコン製ナノニードルアレイを作製することができる。アレイ上でのナノニードルの間隔は、様々なものが作製可能であるが、例えば30μm〜100μmの間隔で配置すれば良い。ナノニードルアレイの作製方法については、例えば特開2013-183706号公報等の記載を参照することができる。
本発明の方法は、ナノニードルに核酸アプタマーを介して人工ヌクレアーゼを制御可能に結合させることを含むものであるが、ナノニードルと核酸アプタマーとの結合方法は特に限定されるものではなく、直接もしくはリンカーを介した共有結合又は非共有結合であり得る。例えば、シリコン製ナノニードルを使用する場合、シリコン表面に、生体適合性のあるポリマー等を結合させることで、生体成分との望ましくない相互作用が最小化できる上、更なる結合を種々の様式で設計することが可能となる。リンカーは、核酸アプタマーと人工ヌクレアーゼのFokIヌクレアーゼドメインとの結合に影響しない限り、当分野で使用されるリンカーを適宜使用することができる。
生体適合性のあるポリマーとしては、例えばMPCポリマーが当分野において公知である。MPCポリマーとは、分子中にリン脂質極性基(ホスホリルコリン基)とメタクリロイル基とを有する2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)の重合体をいい、生体膜を模倣したポリマーである。MPCポリマーは、タンパク質や血球等の生体成分との相互作用が極めて小さいことや、優れた抗血栓性を有すること等、高度な生体適合性を有すると考えられている。
本発明の方法において好適に使用できるMPCポリマーとして、例えばアミノ基が提示されるMPCポリマー(PMSiA)、あるいはN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)基が提示されるMPCポリマー(PMSiNHS)等を挙げることができる。これらのポリマーは、東京大学の石原教授の研究室よりご提供頂いて使用したが、市販のものを同様に使用することが可能である。
細胞への穿刺を行った際に発生する機械的なずり応力や、細胞膜との非特異的相互作用によって、脱離が起こらない安定なものであれば、共有結合せず、物理吸着によって固定化する方法も採用できる。例えばナノニードル表面にストレプトアビジンを結合させ、ビオチン修飾した本発明の核酸アプタマーと結合させることができる。具体的には、上記したように、ナノニードルのシリコン表面に、例えばNHS基を提示するMPCポリマーを結合させてNHS基を導入し、これにストレプトアビジンを共有結合させることができる。次いで、本発明のアプタマーの5'または3'末端にビオチンを結合させたものを、ストレプトアビジン−ビオチンの特異的結合を介して結合させることができる。ナノニードル表面にビオチン化BSAを吸着させ、ストレプトアビジン結合アプタマーと結合させることもできる。
本発明の方法は、上記のようにしてナノニードル表面に結合した核酸アプタマーを介して人工ヌクレアーゼが結合したナノニードルを細胞に穿刺する。細胞内へのナノニードルの穿刺に伴い、ナノニードルに結合された人工ヌクレアーゼが細胞内に導入される。特定のメカニズムに拘束されるものではないが、おそらくは細胞外とは異なる細胞内での塩組成の変化に伴ってアプタマーが構造変化し、FokIヌクレアーゼドメインが核酸アプタマーから脱離し、ZFNが細胞内に放出される。
本発明の方法は、人工ヌクレアーゼによるゲノム編集を必要とする任意の細胞に対して行うことができる、in vitroまたはex vivoの方法である。本発明の方法によって人工ヌクレアーゼを導入することができる細胞は、哺乳動物等の動物、植物、微生物等のいずれに由来する細胞であっても良く、細胞壁がある場合には細胞壁を除去し、プロトプラスト化することが好ましい。また真核細胞であっても原核細胞であっても良い。原核細胞の場合にはナノニードルを細胞質まで挿入するが、真核細胞の場合には細胞質もしくは核内まで挿入することができる。本発明者等は既に、細胞に大きなダメージを与えることなく真核細胞の核内にまでナノニードルを挿入できる技術を確立している(例えばJournal of Bioscience and Bioengineering, 116(3), 391-396 (2013) Sep. "Nanoneedle insertion into the cell nucleus does not induce double-strand breaks in chromosomal DNA")。また、細胞は、体細胞、卵子等の生殖細胞、ES細胞やiPS細胞等の幹細胞であっても良い。本発明の方法を好適に使用できる細胞は、10〜100μm、好ましくは10〜50μm、より好ましくは20〜30μmの範囲の大きさのものである。
ナノニードルの細胞への穿刺にあたっては、細胞は基板上に接着あるいは保持されていることが好ましい。また細胞へのナノニードルの導入は、1個の細胞に対して行うものであっても、複数の細胞(細胞アレイ)に対して同時に行うものであっても良い。複数の細胞に同時に行う場合には、上記したナノニードルアレイを用いて行うことができる。本発明者等は、ナノニードルアレイを用いた複数の細胞への同時穿刺に適した細胞アレイの調製方法も開発し、文献等で発表している。この技術に関する詳細は、例えば特開2013-172690号公報、およびLangmuir, 29(21), 6429-6433 (2013) "Controlled cell adhesion using a biocompatible anchor for membrane-conjugated bovine serum albumin/bovine serum albumin mixed layer"等に記載されている。
ナノニードルの細胞穿刺は、手動で行っても、またコンピュータ制御による自動化された方法で行っても良い。特にナノニードルアレイおよび細胞アレイを用いた場合には、細胞およびナノニードルの平面上の位置が固定されており、ナノニードルの上下方向の移動操作のみで穿刺が可能であるため、自動化された細胞穿刺が容易である。細胞へのナノニードルの挿入は、例えば原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope: AFM)を用いてナノニードルにかかる斥力の緩和の有無によって確認することができるが、被導入物質、特に人工ヌクレアーゼを蛍光物質等で標識し、導入後の細胞からの蛍光を検出することによっても確認することができる。
人工ヌクレアーゼの蛍光標識をすることで、その細胞内への放出も検出することができる。標識は、当分野で使用されるものであればいずれでも良く、特に限定するものではない。
[ナノニードル及びキット]
本発明はまた、上記の核酸アプタマーを介して人工ヌクレアーゼを表面に結合させたナノニードルを提供する。本発明のナノニードルは、ゲノム編集のために好適に使用することができる。
本発明はまた、ナノニードル表面に結合可能な上記の本発明の核酸アプタマーと、ナノニードルとを含む、人工ヌクレアーゼの細胞導入用キットを提供することができる。核酸アプタマーとナノニードル表面との結合は、直接もしくはリンカーを介した共有結合又は非共有結合であり得る。ゲノム編集等のために使用する人工ヌクレアーゼは、標的とする配列が個々に異なるため、例えば人工ヌクレアーゼとしてZFNを用いる場合には必要に応じてジンクフィンガードメインを設計・作製することとなる。本発明のキットは、標的配列に応じて作製された人工ヌクレアーゼと組み合わせて、その細胞への導入に好適に使用することができる。
以下に、実施例を用いて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1 SELEX法によるFokIヌクレアーゼドメイン結合アプタマーの探索]
24塩基のランダム領域を含むランダムDNAライブラリーを用い、SELEX法によってFokIヌクレアーゼドメイン結合アプタマーの探索を行った。本実施例で用いたランダムDNAライブラリー、PCRに用いたプライマー及びブロック配列を表1に示す。
ランダムDNAライブラリーは、まずTBSバッファー (10 mM Tris-HCl, 150 mM NaCl, 1 mM EDTA, pH7.4) 中で95℃で熱処理し、徐冷した。
ニトロセルロース膜を2% (w/v) BSAを含むTBST バッファー (10 mM Tris-HCl, 150 mM NaCl, 1 mM EDTA, 0.05%(v/v) Tween 20, pH7.4) 中で1時間振盪してブロッキングを行い、TBST バッファーで洗浄を行った。熱処理後の2 nmolのランダムss(single strand)DNAライブラリー中でブロッキング後の膜を2時間振盪し、膜を取り除くことで、ニトロセルロース膜に非特異的に結合するDNAを除去した (ネガティブセレクション)。
一方、FokIヌクレアーゼドメインを吸着固定したニトロセルロース膜を調製し、ネガティブセレクション後のランダムssDNAライブラリーと共にインキュベートしてFokIヌクレアーゼドメインを結合させた後、ブロッキング及び洗浄を行った膜を一晩振盪した。TBSTバッファーで洗浄後、FokIを固定化した領域を切り出し、フェノールクロロホルム抽出及びエタノール沈殿によってFokIヌクレアーゼドメインに結合したssDNAを回収した。
回収したssDNA量を定量PCRにより算出した。定量PCRの結果から最適PCRサイクル数を決定し、そのサイクル数で増幅したライブラリーを一本鎖調製して次のラウンドで用いた。尚、スクリーニングの1、4、5、6ラウンド目は上記のネガティブセレクションを行い、2及び3ラウンド目はネガティブセレクションを行わずに同様の操作を行った。また、6ラウンド目においてはブロッキングをBSAではなく、4%(w/v) スキムミルクを含むTBSTバッファーを用いて行った。6ラウンドのセレクションを行った後、得られたDNAプールの配列を解析した。
6ラウンドのセレクションにより得られたDNAプールの配列を94本解析し、その中で安定な二次構造の形成が予測された18種の配列をアプタマー候補配列とした(表2)。
尚、表中、「G4」欄の星印は、アプタマーがG4構造をとり得ることを示す。G4構造は、カリウムイオンの有無によりそのトポロジーや安定性が変化する事が知られている。従って、セレクションの際は、カリウム非存在下でFokIヌクレアーゼドメインに対して結合するDNAプールを抽出している。細胞内には100〜150 mMの高濃度のカリウムイオンが存在するため、獲得したアプタマーは細胞へ導入した際、高濃度のカリウムイオンによって構造が変化し、FokIヌクレアーゼドメインから脱離することが期待できる。
[実施例2 アプタマーブロッティングによるアプタマー候補配列の評価]
実施例1で選択したアプタマー候補配列がFokIヌクレアーゼドメインに対して結合するか、また特異性を持つかをアプタマーブロッティングにより評価した。
実施例1と同様にFokIヌクレアーゼドメインを吸着固定し、ブロッキングを行ったニトロセルロース膜と、熱処理後に200 nMに調製した5'ビオチン修飾アプタマー候補配列(表2)を室温で1時間振盪した。TBSTで洗浄後、NeutrAvidinHRP(Thermo Fisher Scientific Inc.)中で更に1時間振盪した。同様に洗浄した後、化学発光基質(Immobilon Western Chemiluminescent HRP Substrate(Millipore))を添加して5分後の化学発光をLAS4000 mini (GE Healthcare) を用いて測定した。
その結果、polyTよりも強い化学発光が観察された配列が複数あった(図1(a))。これより、獲得したアプタマー候補配列はFokIヌクレアーゼドメインに対して結合していることが示唆された。
次いで、FokI、ZFN、GFP融合ZF蛋白質(ZF-mEm)、トロンビンを同一のニトロセルロース膜上に吸着固定し、特異性の評価も行ったところ、図1(b)に示すように、polyTと比較した場合に、7種のアプタマーが他の蛋白質に対してはあまり結合しないか、もしくはFokIに対して強く結合した。これらのアプタマーを以降の実験のために選択した(F6#8、F6#11、F6#14、F6#60、F6#63、F6#66、F6#71、表2中で太字で示す)。特に、F6#11、#14、#71はZF-mEm及びトロンビンに対して結合しにくいことも示唆された。
以上の結果から、FokIヌクレアーゼドメインに対して強く結合するか、もしくはFokIヌクレアーゼドメインに対する結合は強くはないものの他の蛋白質に対して結合しにくい配列7種類をアプタマーとして選択した。
[実施例3 サンドイッチアッセイによるアプタマー候補配列の結合評価]
実施例2で選択した7種のアプタマーについて更に結合評価を行った。5'ビオチン修飾したこれらのアプタマー、もしくは24 merのpolyTをTBSバッファー (10 mM Tris-HCl, 150 mM NaCl, 1 mM EDTA) 中で希釈し、95℃で10分間熱処理後、30分間かけて25℃まで徐冷した。
ストレプトアビジン修飾96穴プレートに100 nMの各DNAを加えて1時間振盪して固定化した。TBSTバッファー(TBSバッファー中0.05%(v/v) Tween20)で洗浄後、4%(w/v) スキムミルク、2 mM ビオチンを含むTBST バッファーでブロッキングを行った。洗浄後、50 nM又は100 nMのFokI(ヒスチジンタグ付き、配列番号24)を加え、1時間振盪した。洗浄後、抗Histag抗体 (MBL社)を加えて1時間振盪した。その後洗浄し、アルカリホスファターゼ(ALP)修飾抗マウスIgG抗体 (Thermo Scientifics) を加え、1時間振盪して洗浄した。化学発光基質 (CDP star, Roche社) を加え、プレートリーダーで化学発光強度を測定した。
その結果、いずれのアプタマーでもFokI濃度依存的な化学発光が観察された (図2)。これより、獲得したアプタマーはFokIヌクレアーゼドメインに対して結合していることが示された。また、F6#8、F6#66、及びF6#71は化学発光強度が強く、FokIヌクレアーゼドメインに対して特に強く結合することが示された。
[実施例4 ELONA法(蛋白質固定)によるF6#8及びF6#71の解離定数の算出]
FokIヌクレアーゼドメイン (100または150 nM) をMaxiSorpTMポリスチレン96穴プレートに加え、3時間室温で振盪して吸着固定した。TBSTバッファーで洗浄後、2%(w/v)BSAを含むTBSTバッファーを加え1時間振盪してブロッキングを行い、洗浄した。その後、熱処理を行った5'-ビオチン修飾アプタマー (最終濃度0, 10, 50, 100, 250, 500, 1000 nM) を加えて1時間振盪した。洗浄後、NeutrAvidin HRP(Thermo Fisher Scientifics)を加え更に1時間振盪した。その後洗浄し、化学発光基質(BM chemiluminescence enzyme-linked immunosorbent assay substrate(POD)(Roche))を加えてプレートリーダーで化学発光強度を測定した。
その結果、実施例3でFokIヌクレアーゼドメインに強く結合することが示されたF6#8(配列番号6)及びF6#71(配列番号20)についてELONA(酵素結合オリゴヌクレオチドアッセイ(Enzyme-linked oligonucleotide assay))法を用いて解離定数を算出した。その結果、F6#8及びF6#71の解離定数はそれぞれ84 nM、74 nMと算出され、この二本のアプタマーはFokIヌクレアーゼドメインに対して高い結合親和性を有していることが示された。
[実施例5 アプタマーの切断耐性評価]
実施例2で選択した7種のアプタマーを5'-フルオレセイン修飾し、実施例3と同様にTBS バッファー (EDTAを含まない) 中で希釈し、熱処理を行った。その後、アプタマーとFokIヌクレアーゼドメインを混合し (最終濃度はそれぞれ500 nM)、37℃で1時間インキュベートした。インキュベート後のサンプルを20% (w/v) ポリアクリルアミドゲルを用いて電気泳動を行い、Typhoon8600(GE healthcare社製)を用いてフルオレセインの蛍光を検出した。
その結果、7種のアプタマーはいずれも、FokIヌクレアーゼの存在下および非存在下のどちらにおいても同様のバンドが観察され、FokIヌクレアーゼにより切断されないことが示された (図3)。すなわち、本発明のアプタマーはFokIヌクレアーゼによってそれ自体は切断されることなくFokIヌクレアーゼドメインに対して結合できることが示された。また、F6#66(配列番号16)については高分子量側にもバンドが観察され、多量体を形成していることが考えられた。
[実施例6 アプタマーがFokIヌクレアーゼ活性に与える影響]
本実施例では、FokIヌクレアーゼドメインに対する強い結合が認められたF6#8(配列番号6)及びF6#71(配列番号20)、並びにFokIヌクレアーゼドメインに対する結合がpolyTよりも弱いF6#11(配列番号7)を用い、アプタマーの存在によってFokIヌクレアーゼ活性が変動し得るか否かを検討した。
熱処理をしたアプタマー (最終濃度10 nM, 100 nM, 1 mM) とZFN (最終濃度100 nM) を混合し、室温で30分間静置した。その後、10xNEバッファー4、標的配列を含む基質プラスミド50 ngを加えて37℃で1時間静置した。反応停止液としてSDS (最終濃度 1%(w/v)) を添加した後、1.2%アガロースゲルを用いて電気泳動を行い、切断されたプラスミドのバンドを確認した。
その結果、図4に示すように、アプタマーの有無、及びアプタマーとZFNの量比によってバンド強度に差は見られなかった。また、配列の種類によるバンド強度の差も見られなかった。これより、アプタマーの存在はFokIヌクレアーゼの切断活性を阻害しないことが示された。
[実施例7 ナノニードルを用いたジンクフィンガーヌクレアーゼの細胞内導入]
本実施例の評価のために、ヒト胎児腎細胞 (HEK293)に赤色蛍光蛋白質、DesRedを発現するベクターを導入し、培養したものを用いた。ナノニードルアレイにビオチンBSAを修飾した後、ストレプトアビジンを結合させた。その後、5'-ビオチン修飾アプタマーを添加して室温で1時間静置し、アプタマー修飾ナノニードルアレイを作製した。TBS バッファーで洗浄後、GFP融合ZFN (GFP-ZFN) を添加して30分室温で静置して、アプタマーを介してGFP-ZFNを固定した。PBSで洗浄後、HEK293へナノニードルを挿入し、0分、30分後のDesRed及びGFPの蛍光を共焦点顕微鏡により観察した。0分後において、評価したF6#8、F6#71及びpolyTを用いてGFP-ZFNを固定したサンプル全てにおいて、GFPの蛍光がナノニードル上に観察された (図5)。これより、獲得したアプタマーはGFP-ZFNをナノニードルに固定できることが示唆された。また、30分後の蛍光を同様に観察した結果、F6#8及びF6#71においてナノニードル上のGFP由来蛍光強度が減少していた。一方でpolyTでは蛍光強度は変化しなかった。これより、本発明のアプタマーが細胞存在下でGFP-ZFNから脱離することが示された。
ゲノム編集技術は、人工ヌクレアーゼを用いるだけで標的遺伝子を編集することができるため、遺伝子治療や疾患モデル動物の作製等への応用が期待される技術である。人工ヌクレアーゼは標的とする遺伝子配列を設計することが可能であり、様々な遺伝子の改変を簡便に行うことができる。また、ゲノム編集技術を実用化するには人工ヌクレアーゼの細胞送達技術は不可欠であり、オフターゲット効果を軽減させるためには蛋白質として導入することが望ましい。本発明の核酸アプタマーを介して人工ヌクレアーゼを直接蛋白質として細胞に導入することで、活性を保持したまま確実に細胞内へ人工ヌクレアーゼを導入でき、オフターゲット効果の少ないゲノム編集が可能になると考えられる。

Claims (12)

  1. FokIヌクレアーゼドメインに対して特異的に結合する核酸アプタマー。
  2. 20〜35個の塩基長を有する、請求項1記載の核酸アプタマー。
  3. デオキシリボヌクレオシドを構成単位とするポリヌクレオチドである、請求項1又は2記載の核酸アプタマー。
  4. ELONA(酵素結合オリゴヌクレオチドアッセイ(Enzyme-linked oligonucleotide assay))法で測定した場合に100nM以下の解離定数(Kd)を有する、請求項1〜3のいずれか1項記載の核酸アプタマー。
  5. 配列番号6、7、9、14〜16、及び20から選択される塩基配列からなる、請求項1〜4のいずれか1項記載の核酸アプタマー。
  6. FokIヌクレアーゼをDNA切断ドメインとして含む人工ヌクレアーゼを、請求項1〜5のいずれか1項に記載の核酸アプタマーを介してナノニードル表面に結合するステップと、人工ヌクレアーゼが結合したナノニードルを細胞に穿刺するステップとを含む、細胞への人工ヌクレアーゼの導入方法。
  7. 人工ヌクレアーゼがジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)または転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)である、請求項6記載の方法。
  8. 請求項1〜5のいずれか1項記載の核酸アプタマーを介して人工ヌクレアーゼを表面に結合させたナノニードル。
  9. 人工ヌクレアーゼがZFNまたはTALENである、請求項8記載のナノニードル。
  10. ナノニードル表面に結合可能な請求項1〜5のいずれか1項記載の核酸アプタマーと、ナノニードルとを含む、人工ヌクレアーゼの細胞導入用キット。
  11. 核酸アプタマーとナノニードル表面との結合が、直接もしくはリンカーを介した共有結合又は非共有結合である、請求項10記載のキット。
  12. 人工ヌクレアーゼがZFNまたはTALENである、請求項11記載のキット。
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