JP2018023256A - 電力網結合システム - Google Patents

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Daiki Yanagihira
大樹 柳平
眞理雄 所
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眞理雄 所
田島 茂
Shigeru Tajima
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Abstract

【課題】複数の配電網を疎結合することで複数の配電網に対する制御を容易なものとすることが可能な電力網結合システムを提供する。【解決手段】送電網ごとに設けられて電力の変換を行うコンバータと、それぞれの前記コンバータの動作を制御する制御装置と、を備え、前記コンバータは、前記送電網及び少なくとも電力を蓄電する蓄電装置と接続されている直流電力網に接続され、前記制御装置は、前記送電網の状況に応じて前記コンバータの動作を制御する、電力網結合システムが提供される。【選択図】図5

Description

本開示は、電力網結合システムに関する。
既存の電力網は交流の電力を供給するものが殆どで有り、かつ、基本的には集中エネルギー発生型である。集中エネルギー発生型とは、発電所で大きな電力を発生させて、変電所を経由して、最終的な負荷に電力が供給されることをいう。電力は基本的かつ極めて重要なインフラであるため、送電及び配電に関して、保守作業や故障、急な負荷の変動に対応できる安定的な供給のために、複数の送電系統を用意するなどの冗長性を持たせている。例えば、特許文献1には、電力貯蔵装置で貯蔵された電力を、2つの交直電力変換装置を介して、一方の交流系統から他方の交流系統へ電力融通を行う技術が開示されている。
特開2005−218294号公報
しかし、配電網が広範囲にわたり、配線が複雑になればなるほど、配電網全体の状況を把握しての配電制御が、非常に複雑なものとなる。そのため、複数の配電網に対する制御を容易なものとすることは求められる。
そこで、本開示では、複数の配電網を疎結合することで複数の配電網に対する制御を容易なものとすることが可能な、新規かつ改良された電力網結合システムを提案する。
本開示によれば、送電網ごとに設けられて電力の変換を行うコンバータと、それぞれの前記コンバータの動作を制御する制御装置と、を備え、前記コンバータは、前記送電網及び少なくとも電力を蓄電する蓄電装置と接続されている直流電力網に接続され、前記制御装置は、前記送電網の状況に応じて前記コンバータの動作を制御する、電力網結合システムが提供される。
以上説明したように本開示によれば、複数の配電網を疎結合することで複数の配電網に対する制御を容易なものとすることが可能な、新規かつ改良された電力網結合システムを提供することが出来る。
なお、上記の効果は必ずしも限定的なものではなく、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書に示されたいずれかの効果、または本明細書から把握され得る他の効果が奏されてもよい。
既存の電力網について説明する説明図である。 交流電力網の制御例を示す説明図である。 図2に示した電力網において、送電系統HV1の上流側に障害が発生した場合の例を示す説明図である。 図2に示した電力網において、送電系統HV2の下流側に障害が発生した場合の例を示す説明図である。 本開示の実施の形態に係る電力網結合システムの構成例を示す説明図である。 送電系統HV1、HV2を結合する電力網結合システムの例を示す説明図である。
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.本開示の実施の形態
1.1.概要
1.2.構成例及び動作例
2.まとめ
<1.本開示の実施の形態>
[1.1.概要]
まず、本開示の実施の形態について詳細に説明する前に、本開示の実施の形態の概要について説明する。
既存の電力網は交流の電力を供給するものが殆どで有り、かつ、基本的には集中エネルギー発生型である。集中エネルギー発生型とは、発電所で大きな電力を発生させて、変電所を経由して、最終的な負荷に電力が供給されることをいう。電力は基本的かつ極めて重要なインフラであるため、送電及び配電に関して、保守作業や故障、急な負荷の変動に対応できる安定的な供給のために、複数の送電系統を用意するなどの冗長性を持たせている。
図1は、既存の電力網について説明する説明図である。発電所の発電機1が発電した交流の電力は、変電所2を経由して、送電線を通じて各家庭に送られる。図1において、スイッチSW1、SW2は、それぞれ別の系統に対するスイッチである。また、2つの系統を接続するためのスイッチSW3も存在し、スイッチSW1、SW2のそれぞれの上流側(発電所に近い側)で何らかの障害が発生したことを障害検知装置4a、4bが検知すると、コマンドセンタ3からの制御コマンドによってスイッチSW3を閉じる。
図2は、交流電力網の制御例を示す説明図である。図2には、2つの異なる発電源で発電された交流の電力が送電される送電系統HV1、HV2が示されている。送電系統HV1は、上流側ではスイッチSW1、下流側ではスイッチSW5が設けられている。送電系統HV2は、上流側ではスイッチSW3、下流側ではスイッチSW6が設けられている。スイッチSW1、SW5、SW3、SW6は常時オン状態となっている。
また送電系統HV1,HV2の間には、上流側ではスイッチSW4が、下流側ではスイッチSW7が設けられている。なおスイッチSW4、SW7は通常時ではオフ状態となっている。また、図2には、それぞれ、送電系統HV1、HV2から電力の供給を受ける負荷10a、10bが示されている。
送電系統HV1、HV2において、負荷10a、10bの負荷の値が上昇したり、断線したりするなどした場合には、片方の送電線から電力を他方の送電線に供給する必要が生じる。
図3は、図2に示した電力網において、送電系統HV1の上流側に障害が発生した場合の例を示す説明図である。図3では、スイッチSW1がオフになることで、送電系統HV1の上流側に障害が発生したことを示している。
送電系統HV1の上流側に障害が発生した場合は、コマンドセンタ3からの制御コマンドによって、送電系統HV1,HV2の間に設けられているスイッチSW4がオン状態になる。スイッチSW4がオン状態となることで、送電系統HV2から送電系統HV1の系統に電力が供給される。
図4は、図2に示した電力網において、送電系統HV2の下流側に障害が発生した場合の例を示す説明図である。図4では、スイッチSW6がオフになることで、送電系統HV2の下流側に障害が発生したことを示している。
送電系統HV2の下流側に障害が発生した場合は、コマンドセンタ3からの制御コマンドによって、送電系統HV1,HV2の間に設けられているスイッチSW7がオン状態になる。スイッチSW7がオン状態となることで、送電系統HV1から送電系統HV2の系統に電力が供給される。
このように、送電線の間に、通常時ではオフ状態となっているスイッチを設けて、何らかの障害が発生すると、スイッチを遠隔でオン状態にすることで、障害が発生した送電系統に対して、正常な送電系統から電力を供給することが可能になる。
ところで、発電所の発電機1が発電する電力は交流であるため、時間に応じて電圧が変化する。従って、スイッチSW1、SW2のそれぞれの上流側で何らかの障害が発生し、スイッチSW3を閉じる場合には、スイッチSW1、SW2それぞれの系統の位相を合わせてから閉じる必要がある。
そのため、既存の電力網は、スイッチSW1、SW2のそれぞれの系統の情報を詳細に検知するための仕組みや、それぞれのスイッチの開閉を制御するための仕組み、またこれらの仕組みの間で情報の授受を行うための仕組みが必要となる。
既存の電力網は非常に複雑なものとなっているため、これらの仕組みも当然ながら複雑なものとなっている。送電網が広範囲になり、配線が複雑になればなるほど、送電網全体の状況を把握して配電を制御する集中型の制御方法は、検出や通信の仕組みが複雑化する。
さらに近年は、太陽光発電、風力発電などの再生可能エネルギーにより発電された電力を送電網に取り込むことが求められており、集中型の送電制御がますます難しくなる。
そこで本件開示者は、上述した点に鑑み、複数の配電網に対する制御を容易なものとすることが可能な技術について鋭意検討を行った。その結果、本券開示者は、以下で説明するように、複数の配電網を疎結合することで複数の配電網に対する制御を容易なものとすることが可能な技術を考案するに至った。
以上、本開示の実施の形態の概要について説明した。続いて、本開示の実施の形態について詳細に説明する。
[1.2.構成例及び動作例]
図5は、本開示の実施の形態に係る電力網結合システム100の構成例を示す説明図である。以下、図5を用いて本開示の実施の形態に係る電力網結合システム100の構成例について説明する。
図5に示したように、本開示の実施の形態に係る電力網結合システム100は、双方向AC−DCコンバータ110a、110bと、双方向AC−DCコンバータ110a、110bの動作をそれぞれ制御する制御装置120a、120bと、を含んで構成される。
また図5には、送電系統HV1,HV2と、送電系統HV1,HV2から電力の供給を受ける負荷10a、10bが示されている。それぞれの送電系統HV1、HV2は送電網からなり、送電網とは、発電源から負荷に至るまでの送電経路の網をいう。
双方向AC−DCコンバータ110aは、交流電力が送られる送電系統HV1と、バッテリ200に接続されている直流送電線DC1との間の電力の変換を行う。同様に、双方向AC−DCコンバータ110bは、交流電力が送られる送電系統HV2と、バッテリ200に接続されている直流送電線DC1との間の電力の変換を行う。
例えば、本実施形態では、送電系統HV1,HV2では単相100Vの交流電力が発電所から供給され、直流送電線DC1は100Vの直流電力を流せるよう構成されているものとする。この場合、双方向AC−DCコンバータ110a、110bは、単相100Vの交流電力から100Vの直流電力へ、またその逆へ、電力の変換を行うよう構成される。
バッテリ200は、例えばリチウムイオン二次電池、ナトリウム硫黄電池その他の二次電池である。なお図5ではバッテリ200のみを図示しているが、直流送電線DC1には、バッテリ200に加えて大容量コンデンサが接続されていても良い。
図5に示した例では、2つの送電系統HV1、HV2が示されているため、双方向AC−DCコンバータも、それぞれの送電系統に対応して設けられる。すなわち、双方向AC−DCコンバータは、1つの発電源に対応して設けられる。
双方向AC−DCコンバータ110a、110bが、図5に示したように、それぞれ送電系統HV1、HV2に接続されていることで、スイッチのオン、オフによる送電系統間の電力融通が不要となる。すなわち、双方向AC−DCコンバータ110a、110bが、図5に示したように、それぞれ送電系統HV1、HV2に接続されていることで、送電系統間の電力融通の際に、従来のような位相の制御などの複雑な処理が不要となる。
また双方向AC−DCコンバータ110a、110bは、それぞれ直流送電線DC1に接続されていることで、直流送電線DC1に接続されているバッテリ200に蓄えられている電力を使った送電系統間の電力融通が可能となる。
制御装置120aは、双方向AC−DCコンバータ110aの動作を制御する装置である。制御装置120aは、外部(電力網全体を制御する制御装置や、制御装置120b等)との通信機能、送電系統HV1の情報測定機能、バッテリ200及び直流送電線DC1の情報測定機能、双方向AC−DCコンバータ110aの制御機能を有する。
制御装置120aは、送電系統HV1の情報として、例えば電圧、電流、電力、力率、周波数、位相などを測定する。また制御装置120aは、バッテリ200及び直流送電線DC1の情報として、例えば電圧、バッテリ200の充放電電流、バッテリ200のSOC(State of Charge)、バッテリ200の充放電履歴、バッテリ200の容量、バッテリ200の型名などを検出する。
制御装置120bは、双方向AC−DCコンバータ110bの動作を制御する装置である。制御装置120bは、上述した制御装置120aと同様の機能を有する。
例えば、送電系統HV1,HV2では単相100Vの交流電力が発電所から供給され、直流送電線DC1は100Vの直流電力を流せるよう構成されている場合、制御装置120aは、単相100Vの交流電力から100Vの直流電力へ、またその逆へ、電力の変換を行うよう、双方向AC−DCコンバータ110aの動作を制御する。
なお、図5には図示しないが、様々な保護機能、例えば電流制限機能、過電流保護機能、雷対策機能等を有する装置が、双方向AC−DCコンバータ110a、110bや、制御装置120a、120bの周囲に設けられているものとする。
バッテリ200は、送電系統HV1、HV2の間の電力の融通の際に用いられうる電力を蓄えている。双方向AC−DCコンバータ110a、110bは、送電系統HV1、HV2の状態に応じて、バッテリ200から電力を取り出したり、バッテリ200に電力に送ったりする。従って、バッテリ200は容量一杯ではなく、容量の半分程度で充電されている状態であることが望ましい。
以上、図5を用いて本開示の実施の形態に係る電力網結合システム100の構成例について説明した。続いて、本開示の実施の形態に係る電力網結合システム100の動作例を説明する。
(1.送電系統HV1が正常動作している際に、送電系統HV2の負荷が増加)
まず、1つ目の動作例として、送電系統HV1が正常動作している際に、送電系統HV2の負荷が増加したケースの例を説明する。すなわち、送電系統HV2において電圧が一時的に降下(例えば、100Vから90Vへ降下)する場合の例を説明する。
制御装置120bが、送電系統HV2の負荷が増加したことを検出すると、バッテリ200のSOCの状況や、バッテリ200の充放電の状況に基づいて、バッテリ200から電力を送電系統HV2に送るよう、双方向AC−DCコンバータ110bの動作を制御する。双方向AC−DCコンバータ110bから送電系統HV2へ送られる電力は、位相ロックした交流の電力である。
制御装置120bは、バッテリ200のSOCの状況や、バッテリ200の充放電の状況を取得した結果、バッテリ200のSOCが送電系統HV2への送電に充分なものではあれば、バッテリ200から電力を取り出すように双方向AC−DCコンバータ110bの動作を制御する。すなわち、制御装置120a、120bとの間で電力に関するネゴシエイトが完了する前に、バッテリ200からの電力が取り出される。一方、バッテリ200のSOCが送電系統HV2への送電に充分なものでは無い場合は、制御装置120aとの間で通信を行う。バッテリ200のSOCが送電系統HV2への送電に充分なものではないとは、例えばバッテリ200のSOCが所定値未満である場合などである。
また、この制御装置120a、120bの間の通信は、送電系統HV1から送電系統HV2への電力供給が可能であるかどうかを確認するための通信である。この際の通信プロトコルや、制御装置120a、120b間で送受信されるデータは、送電系統HV1から送電系統HV2への電力供給が可能であるかどうかを確認するためのものであれば特定のものに限定されるものでは無い。
送電系統HV1から送電系統HV2への電力供給が可能であると制御装置120aが判断すると、制御装置120aは、制御装置120bとの間で電流容量をネゴシエイトする。この際、制御装置120aは、制御装置120bとの間で、電流容量の他に、送電開始時間や、送電継続時間などのネゴシエイトを行っても良い。ネゴシエイトが完了すると、制御装置120aは、送電系統HV1から送電系統HV2へ電力が供給されるよう、双方向AC−DCコンバータ110aの動作を制御する。
送電系統HV1から送電系統HV2へ電力が供給される場合、この電力は、送電系統HV2へ放電される部分と、バッテリ200を充電する部分とに使用されてもよい。送電系統HV1からの電力がバッテリ200の充電にも使われるかどうかは、例えば送電系統HV1の電力に余裕があるかどうかに基づいて制御装置120aが判断してもよい。
なお、送電系統HV1から送電系統HV2へ電力が供給された結果、バッテリ200のバッテリ200のSOCが送電系統HV2への送電に充分なものとなれば、制御装置120bは、バッテリ200で蓄えられた電力のみを送電系統HV2へ供給するように変更しても良い。
制御装置120bが、送電系統HV2の負荷が増加したことを検出し、バッテリ200のSOCが十分ではなく、制御装置120aに電力供給が可能かどうか問い合わせても送電系統HV1に電力の余裕が無い場合は、送電系統HV1から送電系統HV2への電力の供給は行われない。送電系統HV2は、送電系統HV1からの電力供給が行われないと、送電系統HV2は、負荷が増加したことに応じた動作となるが、そのことが送電系統HV1に影響を与えることはない。
(2.送電系統HV1が正常動作している際に、送電系統HV2の負荷が減少)
次に、2つ目の動作例として、送電系統HV1が正常動作している際に、送電系統HV2の負荷が減少したケースの例を説明する。すなわち、送電系統HV2において電圧が一時的に上昇(例えば、100Vから110Vへ上昇)する場合の例を説明する。
制御装置120bが、送電系統HV2の負荷が減少したことを検出すると、バッテリ200のSOCの状況や、バッテリ200の充放電の状況に基づいて、送電系統HV2から電力をバッテリ200に送るよう、双方向AC−DCコンバータ110bの動作を制御する。制御装置120bは、バッテリ200のSOCの状況や充放電の状況に基づき、バッテリ200が許容できる範囲で送電系統HV2から電力をバッテリ200に送り込み、余剰分は送電系統HV1に送り込むために、制御装置120aとの間でネゴシエイトを試みても良い。
(3.送電系統HV1が故障した場合)
次に、3つ目の動作例として、送電系統HV1が故障した場合の例を説明する。送電系統HV1が故障した場合、図示しないコマンドセンタからの制御コマンドによってスイッチSW1をオフにして、スイッチSW7をオンにする。スイッチSW1がオフになり、スイッチSW7がオンになることで、負荷10aは送電系統HV1から切り離される。そして、負荷10aには、送電系統HV2から電力が供給されることになる。
送電系統HV2から電力を負荷10aへ供給する際に、もし送電系統HV2の電力に余裕が無ければ、制御装置120aは、バッテリ200から電力を取り出して負荷10aに電力を供給するように、双方向AC−DCコンバータ110aの動作を制御する。バッテリ200から電力が負荷10aへ供給される場合、スイッチSW7はオフの状態にして、送電系統HV2からの電力が負荷10aへ供給されないようにする。
(4.送電系統HV1、HV2ともに故障した場合)
次に、4つ目の動作例として、送電系統HV1、HV2ともに故障した場合の例を説明する。送電系統HV1、HV2ともに故障した場合、図示しないコマンドセンタからの制御コマンドによってスイッチSW1、SW3をオフにする。そして、制御装置120a、120bは、バッテリ200から電力を取り出して負荷10a、10bに電力を供給するように、双方向AC−DCコンバータ110bの動作を制御する。
送電系統HV1、HV2ともに故障した場合は、電力の供給時間は故障発生時のバッテリ200のSOCに依存することになる。しかし、本開示の実施の形態に係る電力網結合システム100が無い場合と比較すると、本開示の実施の形態における、送電系統HV1、HV2ともに故障した場合の優位性は明らかである。
以上、本開示の実施の形態に係る電力網結合システム100の動作例を説明した。
上述した例では、送電系統HV1、HV2はいずれも交流の電力を負荷に供給していたが、本開示は係る例に限定されるものでは無い。いずれかの負荷が直流の電力の供給を直接受ける場合であっても、上述の電力網結合システム100を用いることで、送電系統間の電力供給を柔軟に行うことが可能となる。
図6は、送電系統HV2からの電力が交流から直流に変換された上で負荷10bに供給される場合における、送電系統HV1、HV2を結合する電力網結合システムの例を示す説明図である。図6には、図5に示した構成に加え、さらに別の電力網結合システム101が示されている。
電力網結合システム101は、送電系統HV2からの電力を変換する双方向AC−DCコンバータ110c、直流送電線DC2、および双方向DC−DCコンバータ110dで構成される。直流送電線DC2には、電力を蓄えるバッテリ300が接続されている。
双方向AC−DCコンバータ110cは、送電系統HV2と直流送電線DC2との間で電力を変換する。また図6には、直流の電力を発電する直流発電機400が示されており、直流発電機400で発電された電力は負荷10bに供給されたり、双方向DC−DCコンバータ110dを通じて直流送電線DC2に伝送されたりする。なお直流発電機400としては、例えば太陽光発電機、風力発電機、波力発電機等の、自然エネルギーを用いて発電する発電機などがありうる。
このように、本開示の実施の形態によれば、電力網結合システム100だけでなく、さらに別の電力網結合システム101を設けることで、いずれかの負荷が直流の電力の供給を直接受ける場合であっても、送電系統間の電力供給を柔軟に行うことが可能となる。
<2.まとめ>
以上説明したように、本開示の実施の形態によれば、複数の配電網を疎結合する電力網結合システム100が提供される。本開示の実施の形態に係る電力網結合システム100は、配電網の状況を検知することで、配電網において異常や、負荷の上昇または低下が起きた場合に、複数の配電網間で電力を融通することが出来る。
従って、本開示の実施の形態に係る電力網結合システム100は、簡易な構成でありながら、複数の配電網に対する制御を容易なものとすることが可能となる。
各装置に内蔵されるCPU、ROMおよびRAMなどのハードウェアを、上述した各装置の構成と同等の機能を発揮させるためのコンピュータプログラムも作成可能である。また、該コンピュータプログラムを記憶させた記憶媒体も提供されることが可能である。また、機能ブロック図で示したそれぞれの機能ブロックをハードウェアまたはハードウェア回路で構成することで、一連の処理をハードウェアまたはハードウェア回路で実現することもできる。
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
なお、以下のような構成も本開示の技術的範囲に属する。
(1)
送電網ごとに設けられて電力の変換を行うコンバータと、
それぞれの前記コンバータの動作を制御する制御装置と、
を備え、
前記コンバータは、前記送電網及び少なくとも電力を蓄電する蓄電装置と接続されている直流電力網に接続され、前記制御装置は、前記送電網の状況に応じて前記コンバータの動作を制御する、電力網結合システム。
(2)
前記コンバータは、前記制御装置同士による通信の成立前に、前記バッテリから前記直流電力網を通じて送電を受ける、前記(1)に記載の電力網結合システム。
(3)
それぞれの前記制御装置は、前記コンバータが接続している前記送電網の状況に応じて電力の出力方向を決定する、前記(1)または(2)に記載の電力網結合システム。
(4)
それぞれの前記コンバータは、前記送電網の状況が負荷の上昇である場合は、前記送電網からの電力の供給を受ける負荷に対して前記バッテリから電力を供給するよう動作する、前記(3)に記載の電力網結合システム。
(5)
それぞれの前記コンバータは、前記送電網の状況が負荷の減少である場合は、前記送電網から前記バッテリへ電力を供給するよう動作する、前記(3)に記載の電力網結合システム。
(6)
それぞれの前記コンバータは、前記バッテリの容量に応じて、異常が発生していない送電網から異常が発生している送電網へ送電を行わせる、前記(3)に記載の電力網結合システム。
(7)
前記送電網は、発電源から負荷に至るまでの送電経路の網である、前記(1)〜(6)のいずれかに記載の電力網結合システム。
(8)
前記送電網は、交流の電力が供給される電力網である、前記(7)に記載の電力網結合システム。
(9)
前記送電網は、直流の電力が供給される電力網である、前記(7)に記載の電力網結合システム。
10a :負荷
10b :負荷
100 :電力網結合システム
101 :電力網結合システム
110a :双方向AC−DCコンバータ
110b :双方向AC−DCコンバータ
110c :双方向AC−DCコンバータ
110d :双方向DC−DCコンバータ
120a :制御装置
120b :制御装置
200 :バッテリ
300 :バッテリ
400 :直流発電機
DC1 :直流送電線
DC2 :直流送電線
HV1 :送電系統
HV2 :送電系統

Claims (9)

  1. 送電網ごとに設けられて電力の変換を行うコンバータと、
    それぞれの前記コンバータの動作を制御する制御装置と、
    を備え、
    前記コンバータは、前記送電網及び少なくとも電力を蓄電する蓄電装置と接続されている直流電力網に接続され、前記制御装置は、前記送電網の状況に応じて前記コンバータの動作を制御する、電力網結合システム。
  2. 前記コンバータは、前記制御装置同士による通信の成立前に、前記バッテリから前記直流電力網を通じて送電を受ける、請求項1に記載の電力網結合システム。
  3. それぞれの前記制御装置は、前記コンバータが接続している前記送電網の状況に応じて電力の出力方向を決定する、請求項1に記載の電力網結合システム。
  4. それぞれの前記コンバータは、前記送電網の状況が負荷の上昇である場合は、前記送電網からの電力の供給を受ける負荷に対して前記バッテリから電力を供給するよう動作する、請求項3に記載の電力網結合システム。
  5. それぞれの前記コンバータは、前記送電網の状況が負荷の減少である場合は、前記送電網から前記バッテリへ電力を供給するよう動作する、請求項3に記載の電力網結合システム。
  6. それぞれの前記コンバータは、前記バッテリの容量に応じて、異常が発生していない送電網から異常が発生している送電網へ送電を行わせる、請求項3に記載の電力網結合システム。
  7. 前記送電網は、発電源から負荷に至るまでの送電経路の網である、請求項1に記載の電力網結合システム。
  8. 前記送電網は、交流の電力が供給される電力網である、請求項7に記載の電力網結合システム。
  9. 前記送電網は、直流の電力が供給される電力網である、請求項7に記載の電力網結合システム。
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