JP2018021574A - ラビリンスシール - Google Patents

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世志 久保
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Abstract

【課題】ラビリンスシールにおいて、漏れ流量をより低減する。【解決手段】膨張室への入口である上流縮流部を形成する入口絞り片と、膨張室からの出口である下流縮流部を形成する出口絞り片とを有するラビリンスシールであって、上流縮流部と下流縮流部とが、入口絞り片あるいは出口絞り片の根元から先端に向かう方向にて変位して配置され、膨張室の内部に配置されると共に、膨張室に流入した流体の一部を出口絞り片の根元から先端に向けて、下流縮流部に案内する案内部を有する。【選択図】図2

Description

本発明は、ラビリンスシールに関するものである。
例えば特許文献1に示すように、シャフトとハウジングとの間の隙間等における流体の漏出をシャフトに接触することなく抑止するための機構として、従来からラビリンスシールが用いられている。このようなラビリンスシールは、複数の絞り片により流体の流路を窄めて縮流部を形成し、縮流部を通過した流体を絞り片同士の間の空間である膨張室で膨張させることにより圧力損失を高めて流体の漏れを抑止する。特許文献1では、このようなラビリンスシールであって、最も上流側の膨張室よりも前の流路が屈曲した構造が開示されている。
特開平7−71621号公報
このようなラビリンスシールは、非接触式のシール構造であることから、流体の漏れを完全に抑えることは難しい。例えば、従来のラビリンスシールでは、複数の縮流部がシャフトの軸に沿って直線的に複数配列されていることから、縮流部を抜ける流体の一部が噴流となり、全ての縮流部を突き抜けるような流れ成分が発生する。このような流体の漏れが生じることは非接触式であるラビリンスシール構造の宿命である。しかしながら、少しでも漏れ流量の少ないラビリンスシールの提案が望まれている。
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、ラビリンスシールにおいて、漏れ流量をより低減することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
第1の発明は、膨張室への入口である上流縮流部を形成する入口絞り片と、上記膨張室からの出口である下流縮流部を形成する出口絞り片とを有するラビリンスシールであって、上記上流縮流部と上記下流縮流部とが、上記入口絞り片あるいは上記出口絞り片の根元から先端に向かう方向にて変位して配置され、上記膨張室の内部に配置されると共に、上記膨張室に流入した流体の一部を上記出口絞り片の根元から先端に向けて、上記下流縮流部に案内する案内部を有するという構成を採用する。
第2の発明は、ラビリンスシールであって、膨張室と、前記膨張室の上流側に接続された上流縮流部と、前記膨張室の下流側に接続され、前記上流縮流部と径方向位置の異なる下流縮流部と、前記下流縮流部の入り口から、前記膨張室の上流縮流部の出口の径方向位置となる径まで延伸し、その径が漸次変化する案内部とを備えるという構成を採用する。
第3の発明は、上記第1の発明において、上記案内部が、上記入口絞り片が接続される上記膨張室の底面から突出されると共に上記出口絞り片の根元が接続される段部の壁面からなるという構成を採用する。
第4の発明は、ラビリンスシールであって、膨張室と、前記膨張室の上流側に接続された上流縮流部と、前記膨張室の下流側に接続され、前記上流縮流部と径方向位置の異なる下流縮流部と、前記下流縮流部の入り口から、前記膨張室の上流縮流部の出口の径方向位置となる径まで延伸し、その径が漸次変化する案内部と、前記案内部と前記上流縮流部の間に位置し、前記膨張室の内側に向く方向に曲率中心を有する曲面を備えるという構成を採用する。
第5の発明は、上記第3の発明において、上記段部の上記壁面が、当該壁面から見て上記膨張室の内側に向く方向に曲率中心を有し、上記底面から上記出口絞り片に沿う方向に向けて湾曲する湾曲面とされているという構成を採用する。
第6の発明は、上記第1、第3及び第5いずれかの発明において、上記入口絞り片の先端及び上記出口絞り片の先端と対向配置される対向部材に形成され、上記膨張室に向けて膨出する対向段部を有するという構成を採用する。
第7の発明は、上記第1、第3、第5及び第6いずれかの発明において、直列に接続される複数の膨張室を有し、少なくとも最も上流側の膨張室にて、上記上流縮流部と上記下流縮流部とが、上記入口絞り片あるいは上記出口絞り片の根元から先端に向かう方向にて変位して配置され、上記膨張室の内部に配置されると共に、上記膨張室に流入した流体の一部を上記出口絞り片の根元から先端に向けて、上記下流縮流部に案内する案内部を有するという構成を採用する。
第8の発明は、上記第1、第3及び第5〜第7いずれかの発明において、回転可能とされたロータと当該ロータに対向配置されるステータとのうち、上記入口絞り片及び上記出口絞り片が上記ステータ側に設けられているという構成を採用する。
本発明によれば、膨張室への入口である上流縮流部と、膨張室からの出口である下流縮流部とが絞り片(入口絞り片あるいは出口絞り片)の根元から先端に向かう方向にて変位して配置されている。このため、上流縮流部から直線状に進行する噴流が下流縮流部に直接的に到達することを防止し、全ての縮流部を突き抜けるような流れ成分が発生することを防止できる。さらに、本発明によれば、案内部により、膨張室の内部に出口絞り片の根元から先端に向けて流れる流れ成分が形成され、この流れ成分が下流縮流部を抜けようとする噴流の流れを阻害する。このため、噴流が下流縮流部を抜けることを抑制することができる。したがって、本発明によれば、ラビリンスシールにおいて、漏れ流量をより低減することが可能となる。
本発明の第1実施形態におけるラビリンスシールの概略構成を模式的に示す部分断面図である。 本発明の第1実施形態におけるラビリンスシールが備える最上流膨張室を含む拡大図である。 本発明の第2実施形態におけるラビリンスシールが備える最上流膨張室を含む拡大図である。 本発明の第3実施形態におけるラビリンスシールが備える最上流膨張室を含む拡大図である。 本発明の第4実施形態における圧縮機の概略構成を模式的に示す断面図である。
以下、図面を参照して、本発明に係るラビリンスシールの一実施形態について説明する。なお、以下の図面において、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。
(第1実施形態)
図1は、本実施形態のラビリンスシール1の概略構成を模式的に示す部分断面図である。この図に示すように、本実施形態のラビリンスシール1は、回転軸Lを中心として回転されるシャフトS(ロータ)とシャフトSを径方向外側から囲うハウジングH(ステータ)との間に設けられている。つまり、本実施形態のラビリンスシール1は、シャフトSとハウジングHとの隙間において空気等の流体が漏出することを抑止する。
なお、以下の説明では、シャフトSの回転軸Lに沿った方向(図1における左右方向)を軸方向と称し、軸方向と直交する方向を径方向と称する。また、径方向において、回転軸L側を径方向内側、回転軸Lと反対側を径方向外側と称する。また、軸方向において、流体の上流側(図1における左側)を軸方向上流側と称し、流体の下流側(図1における右側)を軸方向下流側と称する。また、回転軸Lを中心とする周方向を以下単に周方向と称する。
図1に示すように、本実施形態のラビリンスシール1は、ハウジングH側に設けられた外側段部2(段部)と、軸方向に間隔を空けて配列された複数の絞り片3と、シャフトS側に設けられた内側段部4(対向段部)とを備えている。軸方向における絞り片3同士の間の空間は、絞り片3の先端とシャフトSとの間の隙間(縮流部)を通過した流体が膨張する膨張室Bとなっている。つまり、本実施形態のラビリンスシール1は、軸方向に直列的に接続されて配列された複数の膨張室Bを有している。
ハウジングH側に設けられた外側段部2は、最も軸方向上流側に配置された膨張室B(以下、最上流膨張室B1と称する)よりも軸方向下流側の領域にてハウジングHの内周面H1(径方向内側の壁面)から径方向内側に突出して設けられている。この外側段部2は、周方向の全域に形成されており、軸方向から見て環状とされている。図2は、最上流膨張室B1を含む拡大図である。この図に示すように、外側段部2は、最上流膨張室B1の底面Ba(ハウジングHの内周面H1)から径方向内側に向けて突出されており、軸方向上流側の端面(案内面2a)が最上流膨張室B1の内側面を形成している。
本実施形態において、外側段部2の端面は、最上流膨張室B1の内部にて軸方向に流れる流体の一部を径方向内側に向かうように案内する案内面2a(案内部)として機能する。この案内面2aは、図2に示すように、最上流膨張室B1の流体の出口となる下流縮流部C2の径方向外側に配置されており、最上流膨張室B1の内部において流体の一部を絞り片3に沿って下流縮流部C2に向けて案内する。
絞り片3は、根元を径方向外側に向け、先端を径方向内側に向けるようにして、ハウジングHの内周面H1あるいは外側段部2の内周面2bに立設されている。また、絞り片3は、図2に示すように、軸方向上流側の壁面3aが径方向に平行な平面とされ、軸方向下流側の壁面3bが径方向に対して傾いたテーパ面とされている。また、絞り片3は、周方向の全周に亘って形成されており、軸方向から見て環状とされている。このような絞り片3とシャフトSとの間あるいは絞り片3と内側段部4との間は、膨張室Bの出入口となる縮流部Cとなっている。これらの縮流部Cは、径方向と平行な面での断面において、膨張室Bよりも流路断面が縮小された領域である。
軸方向に配列された複数の絞り片3のうち、最も軸方向上流側に配置された絞り片3(以下、入口絞り片31と称する)は、図2に示すように、根元がハウジングHの内周面H1に一体的に接続されている。この入口絞り片31は、先端が内側段部4と対向配置されており、最上流膨張室B1の入口となる縮流部C(以下、上流縮流部C1と称する)を形成する。
入口絞り片3よりも軸方向下流側の領域に配置された絞り片3は、図1に示すように、外側段部2に根元が一体的に接続されている。図2に示すように、軸方向において入口絞り片31の1つ下流側に配置された絞り片3(以下、出口絞り片32)は、軸方向上流側の壁面3aが外側段部2の案内面2aと面一となるように、外側段部2の軸方向上流側の端部に設けられている。この出口絞り片31とシャフトSの外周面S1と間は、最上流膨張室B1の出口となる縮流部C(下流縮流部C2)となっている。なお、この下流縮流部C2は、最上流膨張室B1の出口であると同時に、軸方向において最上流膨張室B1の次に配置された膨張室Bの入口でもある。
シャフトS側に設けられた内側段部4は、軸方向における最上流膨張室B1の中央部から軸方向上流側の領域にて、シャフトSの外周面S1から軸方向外側に突出して設けられている。この内側段部4は、周方向の全域に形成されており、軸方向から見て環状とされている。このような内側段部4は、図2に示すように、最上流膨張室B1の内部に向けて膨出しており、最上流膨張室B1の流路面積を縮小し、最上流膨張室B1における流体の流速を速めている。
このような本実施形態のラビリンスシール1では、入口絞り片31がハウジングHの内周面H1上に立設されると共に、入口絞り片31の先端がシャフトSの外周面S1から径方向外側に突出する内側段部4に対向配置されている。また、出口絞り片32がハウジングHの内周面H1から径方向内側に突出した外側段部2の内周面2b上に立設されると共にシャフトSの外周面S1に対向配置されている。このため、図2に示すように、上流縮流部C1と下流縮流部C2とは、径方向(入口絞り片31及び出口絞り片32の根元から先端に向かう方向)に変位して配置されている。より具体的には、軸方向から見て、下流縮流部C2が上流縮流部C1よりも径方向内側に配置されている。
また、本実施形態のラビリンスシール1では、軸方向に配列された複数の膨張室Bのうち、最上流膨張室B1のみにおいて、入口側の縮流部Cと出口側の縮流部Cとが径方向に変位して配置されている。また、軸方向に配列された複数の膨張室Bのうち、最上流膨張室B1のみに案内面2aが設けられている。
上述のような構成を有する本実施形態のラビリンスシール1の軸方向上流側から流体Yが流れてくると、流体Yは上流縮流部C1から最上流膨張室B1の内部に流れ込む。上流縮流部C1を通過した流体Yは、最上流膨張室B1にて膨張する。このとき、最上流膨張室B1に流入した流体Yの一部は、軸方向に沿って流れる流速の速い噴流Y1となる。噴流Y1は、相対的に圧力の低い下流縮流部C2を目指して流れるが、このとき上流縮流部C1と下流縮流部C2が軸方向から見て径方向に変位して配置されているため、噴流Y1は、直線的に流れることができずに途中部位で湾曲する。この結果、噴流Y1の流速を低下させ、噴流Y1が下流縮流部C2に抜けることが抑止される。
また、流体Yのその他の一部は、最上流膨張室B1にて径方向外側に広がると共に軸方向に沿って流れ、案内面2aに案内されることによって、径方向内側に向けて流れる押圧流Y2となる。押圧流Y2は、出口絞り片32に沿って流れ、出口絞り片32の径方向内側に配置された下流縮流部C2に向けて流れる。出口絞り片32に到達した押圧流Y2は、軸方向に沿って流れる噴流Y1に径方向外側から衝突し、噴流Y1の流れを阻害する。このように押圧流Y2が噴流Y1の流れを阻害することで噴流Y1が乱れ、最上流膨張室B1の下流縮流部C2の近傍にて乱流場が形成される。この結果、下流縮流部C2に流体Yが流れ込み難くなり、最上流膨張室B1の内部の圧力損失が高まる。
最上流膨張室B1から下流縮流部C2を通過して漏れた流体Yは、軸方向下流側に配置された複数の膨張室Bによって繰り返し膨張され、一部がラビリンスシール1から下流側に漏出する。ただし、本実施形態のラビリンスシール1によれば、最上流膨張室B1における圧力損失が従来のラビリンスシールの膨張室よりも大きく、流体Yの漏れ量を低減させることができる。
以上のような本実施形態のラビリンスシール1によれば、最上流膨張室B1への入口である上流縮流部C1と、最上流膨張室B1からの出口である下流縮流部C2とが絞り片3(入口絞り片31及び出口絞り片32)の根元から先端に向かう方向にて変位して配置されている。このため、上流縮流部C1から直線状に進行する噴流Y1が下流縮流部C2に直接的に到達することを防止し、全ての縮流部Cを突き抜けるような流れ成分が発生することを防止できる。さらに、本実施形態のラビリンスシール1によれば、案内面2aにより、最上流膨張室B1の内部に出口絞り片32の根元から先端に向けて流れる押圧流Y2が形成され、この押圧流Y2が下流縮流部C2を抜けようとする噴流Y1の流れを阻害する。このため、噴流Y1が下流縮流部C2を抜けることを抑制することができる。したがって、本実施形態のラビリンスシール1によれば、漏れ流量をより低減することが可能となる。
また、本実施形態のラビリンスシール1においては、入口絞り片31の根元が接続される膨張室Bの底面Baから突出されると共に出口絞り片32の根元が固定される外側段部2を備え、この外側段部2の壁面が案内面2aとされている。このため、簡易な構造で押圧流Y2を形成することができる。また、案内面2aと出口絞り片32が径方向に並んで配列されているため、案内面2aで形成された押圧流Y2は、流速を低下させることなく噴流Y1に衝突する。このため、より強い乱流場を形成することができ、圧力損失を高めてラビリンスシール1のシール性を向上させることができる。
また、本実施形態のラビリンスシール1においては、入口絞り片31の先端及び出口絞り片32の先端と対向配置される対向部材であるシャフトSに形成され、最上流膨張室B1に向けて膨出する内側段部4を備えている。このため、押圧流Y2となる流体Yの一部が流れる最上流膨張室B1の流路断面積を狭め、押圧流Y2の流速を速めることができる。このため、下流縮流部C2の近傍により強い乱流場を形成し、圧力損失を高めてラビリンスシール1のシール性を向上させることができる。
また、本実施形態のラビリンスシール1においては、軸方向に配列された複数の膨張室Bのうち、特に最上流膨張室B1において、入口側の縮流部Cと出口側の縮流部Cとが径方向に変位して配置されている。また、軸方向に配列された複数の膨張室Bのうち、最上流膨張室B1のみに案内面2aが設けられている。このため、ラビリンスシール1の軸方向の最も上流側の部位の圧力損失を高め、よりラビリンスシール1の内部に流体Yが入り込み難くすることができる。よって、ラビリンスシール1のシール性を向上させることができる。
また、本実施形態のラビリンスシール1においては、絞り片3がハウジングH側に設けられている。絞り片3をシャフトSに設けた場合には、絞り片3も回転されることになり、回転可能とされた回転体(ロータ)の構造が複雑化し、回転振動等の要因となる可能性もある。これに対して、絞り片3をハウジングH(ステータ)側に設けることによって、回転体の構造を単純化することができ、回転振動等を抑制することが可能となる。
(第2実施形態)
次に、図3を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。なお、本実施形態の説明において、上記第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
図3は、本実施形態のラビリンスシール1Aの最上流膨張室B1を含む拡大図である。この図に示すように、本実施形態のラビリンスシール1Aにおいては、上記第1実施形態のラビリンスシール1が備える平面状の案内面2aに換えて、湾曲面状の案内面2cが設けられている。
案内面2cは、この案内面2cから見て最上流膨張室B1の内側に向く方向に曲率中心が位置するように、ハウジングH側に膨出するように湾曲している。この案内面2cは、最上流膨張室B1の底面Baから出口絞り片32に沿う方向(径方向)に向けて湾曲し、底面Baと出口絞り片32の上流側の壁面3aとに対して屈曲することなく滑らかに接続されている。
このような本実施形態のラビリンスシール1Aによれば、軸方向の沿って流れる流体Yの一部の流れ方向を径方向内側に向けて緩やかに変更して押圧流Y2とすることができる。このため、上記第1実施形態のラビリンスシール1と比較して、押圧流Y2の流速を速め、シール性をさらに向上させることができる。なお、必ずしも案内面2cの全域を湾曲させる必要はない。案内面2cの一部のみを湾曲させる構成を採用することも可能である。
(第3実施形態)
次に、図4を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。なお、本実施形態の説明においても、上記第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
図4は、本実施形態のラビリンスシール1Bの最上流膨張室B1を含む拡大図である。この図に示すように、本実施形態のラビリンスシール1Bにおいては、下流縮流部C2の軸方向上流側の位置に、シャフトSに対して溝部S2が形成されている。この溝部S2は、シャフトSの外周面から径方向内側に窪むように形成されており、軸方向に流れる噴流Y1の一部を取り込んで径方向外側に向けて排出する。
このような本実施形態のラビリンスシール1Bによれば、溝部S2から径方向外側に向けて排出された流れも噴流Y1の流れを阻害する。このため、噴流Y1が下流縮流部C2をより通り抜け難くなり、シール性をさらに向上させることができる。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態として、図5を参照して、上記第1実施形態のラビリンスシール1を有する圧縮機10について説明する。なお、第1実施形態のラビリンスシール1に換えて、第2実施形態のラビリンスシール1Aや第3実施形態のラビリンスシール1Bを備えるようにしても良い。
図5は、本実施形態の圧縮機10の概略構成を模式的に示す断面図である。この図に示すように、本実施形態の圧縮機10は、モータ11と、モータ11の出力軸11aに固定されるモータ側歯車12とを備えている。モータ11は、外部から指令に基づいて回転動力を生成し、出力軸11aを通じてモータ側歯車12を回転駆動する。
また、本実施形態の圧縮機10は、モータ側歯車12を収容する中間ハウジング13と、中間ハウジング13に固定されてモータ11の出力軸11aを軸支する軸受14と、中間ハウジング13を貫通して設けられるシャフト15と、シャフト15の途中部位に固定されると共に中間ハウジング13の内部にてモータ側歯車12と噛合されるシャフト側歯車16とを備えている。なお、シャフト15は、中間ハウジング13に固定された軸受17及び軸受18によって軸支されている。
また、本実施形態の圧縮機10は、シャフト15の先端に固定されたインペラ19と、インペラ19を囲うインペラハウジング20とを備えている。このような本実施形態の圧縮機10において、ラビリンスシール1は、シャフト15とインペラハウジング20との間に設けられている。つまり、本実施形態においては、インペラハウジング20が上記第1実施形態におけるハウジングHに相当し、シャフト15がシャフトSに相当する。
このような構成を有する本実施形態の圧縮機10においては、モータ11によって生成された回転動力によってインペラ19が回転し、これによってインペラハウジング20の内部で空気が圧縮される。このとき、シャフト15とインペラハウジング20との間にラビリンスシール1が設けられているため、圧縮された空気がシャフト15に沿ってインペラハウジング20の外部に漏出することを防止することができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、上記実施形態においては、本発明の案内部が、外側段部2の壁面によって形成された構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、外側段部2とは別体の案内部を形成し、この案内部によって押圧流Y2を形成するようにしても良い。
また、上記実施形態においては、内側段部4が最上流膨張室B1の内部まで膨出する構成を採用した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、内側段部4が入口絞り片31の対向箇所のみに設置され、最上流膨張室B1の内部まで膨出していない構成を採用することも可能である。
また、上記実施形態においては、軸方向に配列された複数の膨張室Bのうち、最上流膨張室B1のみにおいて、入口側の縮流部Cと出口側の縮流部Cとが径方向に変位して配置され、かつ、案内部が形成された構成を採用した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、他の膨張室Bあるいは複数の膨張室Bに対して同様の構成を採用することも可能である。ただし、一般的に強度上の理由によりシャフトSの直径を短くすることは困難である。このため、複数の膨張室Bに対して最上流膨張室B1と同様の構成を採用すると、シャフトSやハウジングHの径方向の寸法が大きくなり、ラビリンスシールを組み込んだ装置が大型化するおそれがある。このため、上記実施形態のように、最上流膨張室B1のみに、入口側の縮流部Cと出口側の縮流部Cとが径方向に変位して配置され、かつ、案内部が形成された構成を採用することが好ましい。
また、上記第4実施形態においては、本発明のラビリンスシールを圧縮機に採用した構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。本発明のラビリンスシールは、ガスタービンや過給機に適用することも可能である。
また、本願発明は上述の実施形態に限られない。例えば、上記第1実施形態において、下流縮流部C2の入り口から、最上流膨張室B1の上流縮流部C1の出口の径方向位置となる径まで延伸し、その径が下流側に向かうに連れて漸次変化する案内部を備えることも可能である。
1 ラビリンスシール
1A ラビリンスシール
1B ラビリンスシール
2 外側段部(段部)
2a 案内面(案内部)
2b 内周面
2c 案内面
3 絞り片
3a 壁面
3b 壁面
4 内側段部(対向段部)
10 圧縮機
11 モータ
11a 出力軸
12 モータ側歯車
13 中間ハウジング
14 軸受
15 シャフト
16 シャフト側歯車
17 軸受
18 軸受
19 インペラ
20 インペラハウジング
31 入口絞り片
32 出口絞り片
B 膨張室
B1 最上流膨張室
Ba 底面
C 縮流部
C1 上流縮流部
C2 下流縮流部
H ハウジング
H1 内周面
L 回転軸
S シャフト(対向部材)
S1 外周面
S2 溝部
Y 流体
Y1 噴流
Y2 押圧流

Claims (8)

  1. 膨張室への入口である上流縮流部を形成する入口絞り片と、前記膨張室からの出口である下流縮流部を形成する出口絞り片とを有するラビリンスシールであって、
    前記上流縮流部と前記下流縮流部とが、前記入口絞り片あるいは前記出口絞り片の根元から先端に向かう方向にて変位して配置され、
    前記膨張室の内部に配置されると共に、前記膨張室に流入した流体の一部を前記出口絞り片の根元から先端に向けて、前記下流縮流部に案内する案内部を有する
    ラビリンスシール。
  2. 膨張室と、
    前記膨張室の上流側に接続された上流縮流部と、
    前記膨張室の下流側に接続され、前記上流縮流部と径方向位置の異なる下流縮流部と、
    前記下流縮流部の入り口から、前記膨張室の上流縮流部の出口の径方向位置となる径まで延伸し、その径が漸次変化する案内部と
    を備えるラビリンスシール。
  3. 前記案内部は、前記入口絞り片が接続される前記膨張室の底面から突出されると共に前記出口絞り片の根元が接続される段部の壁面からなる請求項1記載のラビリンスシール。
  4. 膨張室と、
    前記膨張室の上流側に接続された上流縮流部と、
    前記膨張室の下流側に接続され、前記上流縮流部と径方向位置の異なる下流縮流部と、
    前記下流縮流部の入り口から、前記膨張室の上流縮流部の出口の径方向位置となる径まで延伸し、その径が漸次変化する案内部と、
    前記案内部と前記上流縮流部の間に位置し、前記膨張室の内側に向く方向に曲率中心を有する曲面
    を備えるラビリンスシール。
  5. 前記段部の前記壁面は、当該壁面から見て前記膨張室の内側に向く方向に曲率中心を有し、前記底面から前記出口絞り片に沿う方向に向けて湾曲する湾曲面とされている請求項3記載のラビリンスシール。
  6. 前記入口絞り片の先端及び前記出口絞り片の先端と対向配置される対向部材に形成され、前記膨張室に向けて膨出する対向段部を有する請求項1、3及び5のいずれか一項に記載のラビリンスシール。
  7. 直列に接続される複数の膨張室を有し、少なくとも最も上流側の膨張室にて、前記上流縮流部と前記下流縮流部とが、前記入口絞り片あるいは前記出口絞り片の根元から先端に向かう方向にて変位して配置され、前記膨張室の内部に配置されると共に、前記膨張室に流入した流体の一部を前記出口絞り片の根元から先端に向けて、前記下流縮流部に案内する案内部を有する請求項1、3、5及び6のいずれか一項に記載のラビリンスシール。
  8. 回転可能とされたロータと当該ロータに対向配置されるステータとのうち、前記入口絞り片及び前記出口絞り片が前記ステータ側に設けられている請求項1、3及び5〜7のいずれか一項に記載のラビリンスシール。
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