JP2018018805A - 給電ケーブル、及びコネクタ付給電ケーブル - Google Patents
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通電に伴う給電ケーブル内外の温度上昇を抑えるために、従来から、下記特許文献1、2に示されるような給電ケーブルが知られている。これらの文献には、導電体と、冷却管と、これら導電体および冷却管を被覆するシースと、を備えた給電ケーブルが記載されている。これらの給電ケーブルによれば、通電によって発熱した導電体を冷却管によって冷却することができる。
一方、上記特許文献2では、導電体の内側に配設された冷却管と、シースに螺旋状に巻きつけられた冷却管と、を備えた給電ケーブルが提案されている。この給電ケーブルによれば、導電体を内側および外側から冷却するため、給電ケーブル内外の温度むらを解消することができる。しかしながら、シースの表面を均一に冷却するためには、シースに短いピッチで冷却管を巻き付ける必要があるため、冷却管の全長が長くなる。また、冷却管がシースに巻きつけられているため、給電ケーブル全体の外径が大きくなる。
さらに、給電ケーブル内に、冷却管を有する偶数個の電力線が配設されているため、各冷却管を冷媒の往路または復路とすることで、給電ケーブルの外側に冷却管を配設せずに冷媒を循環させることができる。これにより、給電ケーブル全体の外径や冷却管の全長を小さく抑えた、コンパクトな給電ケーブルを提供することができる。
図1に示すように、給電ケーブル1は、複数の電力線10と、介在物2と、複数の補助線3と、シース4と、を備えている。本実施形態では、給電ケーブル1は電力線10を2本(偶数個)備えている。
給電ケーブル1は、例えば電気自動車用バッテリーを急速充電可能なCHAdeMO規格に準拠した給電ケーブルである。給電ケーブル1の使用時には、例えば250A程度の大電流が電力線10内を流れる。給電ケーブル1の使用時には、シース4の表面に使用者が直接触れる場合があるため、シース4表面の温度を所定の範囲内に抑える必要がある。
また、給電ケーブル1は、不使用時には部分的に巻かれるなどして収容される場合がある。このため、給電ケーブル1全体に、摩擦に対する耐久性、曲げに対する耐久性、および可撓性などが求められる。
シース4は、各電力線10および各補助線3を、介在物2と一体に被覆している。シース4としては、例えばクロロプレンゴムを用いることができる。
補助線3は、充電器と電気自動車などの給電対象物(以下、単に給電対象物という)との間の通信に用いられる。その他、コネクタのロック機構の制御、給電時に点灯するLEDの電源線、コネクタが温度センサーを備えている場合はその信号線として用いられる。さらには、補助線3の一部が給電対象物への補助給電線として使用される場合もある。
冷却管11は、電力線10の中心部に配設されている。冷却管11としては、例えばナイロン12からなるチューブを用いることができる。ナイロン12は、耐熱性や絶縁性に優れているため、通電により発熱する導電体12に接触する冷却管11の材質として適している。また、ナイロン12は可撓性や機械強度にも優れているため、可撓性や耐久性が求められる給電ケーブル1内の材質として適している。なお、冷却管11の材質としてはナイロン12の他、例えばシリコーン樹脂などの他の材質を適宜用いてもよい。
冷却管11の内部には、液体冷媒、エアー、水、油などの冷媒が充填されている。冷却管11内の冷媒は、不図示の循環装置によって流動する。本実施形態の冷却管11の寸法は、外径が3.2mm、内径が1.6mmとなっている。このように内径が小さい冷却管11内を流動させるため、冷媒としては低粘度のものが適している。また、給電ケーブル1は寒冷地で用いられる場合もあるため、不凍液である冷媒が適している。なお、冷却管11の寸法および冷媒の性質は上記に限定されず、適宜変更してもよい。
絶縁体13は、導電体12を被覆(囲繞)している。絶縁体13の材質としては、例えばEPゴムを用いることができる。
図2に示すように、2本の電力線10内の冷却管11は、給電ケーブル1の一方の端部において接続管11aにより互いに接続されている。また、給電ケーブル1の他方の端部において、各冷却管11は、冷媒を循環させる機能を備えた不図示の充電器に接続されている。これにより、各冷却管11内は冷媒の往路若しくは復路となり、給電ケーブル1内および接続管11a内を冷媒が循環する。なお、図2では給電ケーブル1と先述の充電器との接続部の図示を省略している。
また、比較例の給電ケーブルとして、上記本実施形態の給電ケーブル1の冷却管11を、上記導体線12bに置換したものを用いた。すなわち、比較例の給電ケーブルの電力線は、冷却管11を有さず、上記導体線12bを7本有するものである。比較例における導電体の断面積は38mm2である。
なお、表1に示されているように、上記2種類の給電ケーブル全体の外径は29.0mmで同じである。このように、実施例の給電ケーブル1の断面積サイズを比較例の給電ケーブルと同レベルにすることができた。これは、実施例における冷却管11の外径(3.2mm)が、比較例における導体線の外径とほぼ同一であることによる。
また、実施例及び比較例における給電ケーブルのケーブル重量(1mあたり)を比較すると、実施例の給電ケーブルの方が比較例の給電ケーブルよりも軽量化されている。これは、比較例における導体線1本が、冷却管11と冷媒(水)に置き換わったことによって、給電ケーブル全体としての重量を小さくすることができたためである。
なお、本実施形態の給電ケーブル1の導電体12の温度は、その内側の冷却管11が冷媒の往路であるもの、および復路であるものの両者を測定して図3に示している。導電体12の温度は、給電ケーブル1の外側から熱電対を挿入し、導電体12に接触させることで測定した。
これに対して、本実施形態の給電ケーブル1は、導電体12は、冷媒の往路および復路のいずれについても、通電開始後20分程度で温度上昇が止まり、それ以降は温度上昇値がほぼ一定に保たれている。例えば、往路の冷却管11では、導電体12の温度上昇値は20℃に達したあと一定に保たれている。また、復路の冷却管11では、導電体12の温度上昇値は24℃に達したあと一定に保たれている。これは、導電体12の発熱と、冷媒による冷却効果とが平衡状態に達したためだと考えられる。このため、本実施形態の給電ケーブル1によれば、通電開始から20分までは温度が上昇するものの、それ以降は温度が上昇せずに一定に保たれると考えられる。また、冷媒の復路における導電体12の温度上昇値が最高で24℃程度となっており、電力線10の絶縁体13として使用されるEPゴムの耐熱温度(80℃)を十分に下回る結果となっている。なお、往路よりも復路の導電体12の温度が高いのは、復路の冷却管11には往路の冷却管11内で加熱された冷媒が流動することにより、冷却効果が若干低下するためであると考えられる。
図4に示すように、比較例のシースの表面温度の上昇値は、通電開始から20分で30℃に達している。比較例のグラフが途中で途切れているのは、図3と同様に導電体の温度が絶縁体の耐熱温度に達したため試験を中止したことによる。
これに対して、本実施形態のシース4の表面温度の上昇値は、通電開始から20分で10℃まで上昇するが、その後は温度上昇値10℃のままで安定している。これにより、本実施形態の給電ケーブル1によれば、例えばIEC62196−1−16.5などの規格を遵守することができる。
屈曲試験については、JIS―C―3005に準拠し、曲げ半径を5Dとして2万回給電ケーブル1を屈曲させた。
上記捻回試験および屈曲試験を経ても、冷却管11に冷媒の漏れなどの異常は発生しなかった。これは、冷却管11を可撓性や機械強度に優れるナイロン12により形成したことに加えて、電力線10と補助線3とを撚り合わせた状態でシース4内に配設したため、捻回のたびに電力線10が適宜動き、局所的に高い張力および応力が作用するのが抑えられたことによると考えられる。
さらに、給電ケーブル1内に、冷却管11を有する2本の電力線10が配設されているため、各冷却管11を冷媒の往路または復路とすることで、給電ケーブル1の外側に冷却管11を配設せずに冷媒を循環させることができる。これにより、給電ケーブル1全体の外径や冷却管11の全長を小さく抑えた、コンパクトな給電ケーブル1を提供することができる。
次に、本発明に係る第2実施形態について説明するが、第1実施形態と基本的な構成は同様である。このため、同様の構成には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
本実施形態では、シース4内に配設される電力線10の数および補助線3の位置が異なる。
また、複数の補助線3が給電ケーブル1の中心を回避した位置に配設されているため、補助線3をシース内で螺旋状に撚り合わせることによる、補助線に過剰な応力や張力が作用するのを抑止する効果を、より確実に奏功させることができる。
Claims (4)
- 冷却管と、前記冷却管を囲繞する導電体と、前記導電体を囲繞する絶縁体と、を有する偶数個の電力線と、
偶数個の前記電力線の周囲に配設された介在物と、
偶数個の前記電力線と前記介在物とを一体に被覆するシースと、
を備え、
偶数個の前記電力線が各別に有する前記冷却管のうち、半数の前記冷却管は冷媒の往路とされ、残りの半数の前記冷却管は冷媒の復路とされている給電ケーブル。 - 前記冷却管の外径と前記導電体の外径とがほぼ同一である、請求項1に記載の給電ケーブル。
- 前記導電体は、複数の素線を集合撚りした複数の導体線からなり、
前記冷却管および該冷却管内に充填された冷媒の、単位長さあたりの重量が、前記導体線の単位長さあたりの重量よりも小さい、請求項1または2に記載の給電ケーブル。 - 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の給電ケーブルと、
給電対象物に接続されるコネクタと、を備えるコネクタ付給電ケーブル。
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