JP2018011797A - 補正効果確認方法及び指標 - Google Patents
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Abstract
【課題】キャリブレーションが適正に行われない場合がある。【解決手段】電子内視鏡による撮影画像を構成する画素データを所定の疾患に合わせて補正する補正値を算出する補正値算出処理の実行後に、該補正値による補正効果を確認するためにコンピュータを用いて実行される補正効果確認方法であり、電子内視鏡によって所定の疾患に関する指標が撮影されると、その撮影画像データを上記の補正値で補正する補正ステップと、補正された指標の撮影画像データの色成分に関する情報をユーザに報知する報知ステップとを含む方法を提供する。【選択図】図10
Description
本発明は、補正効果確認方法及び指標に関する。
病変部は、一般に、正常な粘膜組織とは異なる色を呈する。正常組織に対して僅かに色の異なる病変部を術者が把握して診断するためには、少なくとも病変部に対応する色領域において正確な色情報を再現する内視鏡画像をモニタの表示画面に表示させることが可能な構成が必要となる。
例えば特許文献1に、担持体に担持された基準表面を撮影視野内に配置する構成が記載されている。特許文献1に記載の構成では、基準表面を撮像することによって得られる実際のカラー信号と、予め保持された目標のカラー信号との比較結果に基づいてキャリブレーションが行われる。これにより、適正な色情報を持つ内視鏡画像がモニタの表示画面に表示されるため、術者による、病変部に対するより正確な診断が可能となる。
特許文献1は、キャリブレーションが適正に行われる前提で記載されている。しかし、実際には、キャリブレーションは、照明条件や基準表面の位置ズレ・角度ズレ、ヒューマンエラー等の各種誤差によって適正に行われない場合もある。
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、キャリブレーション(言い換えると、画素データ用の補正値を算出する補正値算出処理)による効果(補正効果)を確認するのに好適な補正効果確認方法及び指標を提供することである。
本発明の一実施形態に係る補正効果確認方法は、電子内視鏡による撮影画像を構成する画素データを所定の疾患に合わせて補正する補正値を算出する補正値算出処理の実行後に、該補正値による補正効果を確認するためにコンピュータを用いて実行される方法であり、電子内視鏡によって所定の疾患に関する指標が撮影されると、その撮影画像データを該補正値で補正する補正ステップと、補正された指標の撮影画像データの色成分に関する情報をユーザに報知する報知ステップとを含む。
また、本発明の一実施形態において、指標は、例えば、所定の疾患の色を模した色指標である。
また、本発明の一実施形態に係る補正効果確認方法は、補正ステップにて補正された指標の撮影画像データの色成分に基づいて所定の疾患に関する評価値を計算する計算ステップを含むものとしてもよい。この場合、色成分に関する情報は、評価値を含むものとしてもよい。
また、本発明の一実施形態に係る補正効果確認方法は、計算ステップにて計算された評価値と所定の記憶媒体に予め記憶された目標値とを比較する比較ステップと、比較ステップでの比較結果に基づいて補正値算出処理が適正に行われたか否かを判定する判定ステップと、判定ステップでの判定結果をユーザに報知するステップとを含むものとしてもよい。
また、本発明の一実施形態に係る指標は、補正値算出処理にて算出された補正値による補正効果を確認するための指標であり、所定の疾患の色を模した色指標である。補正値算出処理は、電子内視鏡による撮影画像を構成する画素データを所定の疾患に合わせて補正する補正値を算出する処理である。
また、本発明の一実施形態において、指標は、所定の疾患について少なくとも1つの症状レベルを表す色を模した色指標を含むものとしてもよい。
また、本発明の一実施形態において、指標は、夫々異なる症状レベルを表す色を模した複数の色指標が並ぶものとしてもよい。
また、本発明の一実施形態において、指標は、最も高い症状レベルを表す色から最も低い症状レベルを表す色までをグラデーションで表わした色指標を含むものとしてもよい。
本発明の一実施形態によれば、キャリブレーションによる補正効果を確認するのに好適な補正効果確認方法及び指標が提供される。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下においては、本発明の一実施形態として電子内視鏡システム(コンピュータ)を例に取り説明する。
[電子内視鏡システム1の構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る電子内視鏡システム1の構成を示すブロック図である。図1に示されるように、電子内視鏡システム1は、医療用に特化されたシステムであり、電子スコープ100、プロセッサ200及びモニタ300を備えている。
図1は、本発明の一実施形態に係る電子内視鏡システム1の構成を示すブロック図である。図1に示されるように、電子内視鏡システム1は、医療用に特化されたシステムであり、電子スコープ100、プロセッサ200及びモニタ300を備えている。
プロセッサ200は、システムコントローラ202及びタイミングコントローラ204を備えている。システムコントローラ202は、メモリ222に記憶された各種プログラムを実行し、電子内視鏡システム1全体を統合的に制御する。また、システムコントローラ202は、操作パネル218に接続されている。システムコントローラ202は、操作パネル218より入力される術者からの指示に応じて、電子内視鏡システム1の各動作及び各動作のためのパラメータを変更する。術者による入力指示には、例えば電子内視鏡システム1の動作モードの切替指示がある。本実施形態では、動作モードとして、通常モード、特殊モード、キャリブレーションモード及び補正効果確認モードがある。タイミングコントローラ204は、各部の動作のタイミングを調整するクロックパルスを電子内視鏡システム1内の各回路に出力する。
ランプ208は、ランプ電源イグナイタ206による始動後、白色光Lを射出する。ランプ208は、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、水銀ランプ、メタルハライドランプ等の高輝度ランプであり、また、LD(Laser Diode)やLED(Light Emitting Diode)等の半導体発光素子であってもよい。ランプ208より射出された白色光Lは、集光レンズ210によって集光されつつ絞り212を介して適正な光量に制限される。
絞り212には、図示省略されたアームやギヤ等の伝達機構を介してモータ214が機械的に連結している。モータ214は例えばDCモータであり、ドライバ216のドライブ制御下で駆動する。絞り212は、モニタ300の表示画面に表示される映像を適正な明るさにするため、モータ214により動作され開度が変えられる。ランプ208より照射された白色光Lの光量は、絞り212の開度に応じて制限される。適正とされる映像の明るさの基準は、術者による操作パネル218の輝度調節操作に応じて設定変更される。なお、ドライバ216を制御して輝度調整を行う調光回路は周知の回路であり、本明細書においては省略することとする。
絞り212を通過した白色光Lは、LCB(Light Carrying Bundle)102の入射端面に集光されてLCB102内に入射される。入射端面よりLCB102内に入射された白色光Lは、LCB102内を伝播する。
LCB102内を伝播した白色光Lは、電子スコープ100の先端に配置されたLCB102の射出端面より射出され、配光レンズ104を介して生体組織を照射する。白色光Lにより照射された生体組織からの戻り光は、対物レンズ106を介して固体撮像素子108の受光面上で光学像を結ぶ。
固体撮像素子108は、補色市松フィルタを搭載した単板式カラーCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサである。固体撮像素子108は、受光面上の各画素で結像した光学像を光量に応じた電荷として蓄積して、イエローYe、シアンCy、グリーンG、マゼンタMgの画素データを生成して出力する。なお、固体撮像素子108は、CCDイメージセンサに限らず、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサやその他の種類の撮像装置に置き換えられてもよい。固体撮像素子108はまた、原色系フィルタ(ベイヤ配列フィルタ)を搭載したものであってもよい。
電子スコープ100の接続部内には、ドライバ信号処理回路112が備えられている。ドライバ信号処理回路112には、白色光Lにより照射された生体組織を撮像した各画素の画素データが固体撮像素子108よりフレーム周期で入力される。ドライバ信号処理回路112は、固体撮像素子108より入力される画素データをプロセッサ200の信号処理回路220に出力する。なお、以降の説明において「フレーム」は「フィールド」に置き替えてもよい。本実施形態において、フレーム周期、フィールド周期はそれぞれ、1/30秒、1/60秒である。
ドライバ信号処理回路112はまた、メモリ114にアクセスして電子スコープ100の固有情報を読み出す。メモリ114に記録される電子スコープ100の固有情報には、例えば、固体撮像素子108の画素数や感度、動作可能なフレームレート、型番等が含まれる。ドライバ信号処理回路112は、メモリ114より読み出された固有情報をシステムコントローラ202に出力する。
システムコントローラ202は、電子スコープ100の固有情報に基づいて各種演算を行い、制御信号を生成する。システムコントローラ202は、生成された制御信号を用いて、プロセッサ200に接続されている電子スコープに適した処理がなされるようにプロセッサ200内の各種回路の動作やタイミングを制御する。
タイミングコントローラ204は、システムコントローラ202によるタイミング制御に従って、ドライバ信号処理回路112にクロックパルスを供給する。ドライバ信号処理回路112は、タイミングコントローラ204から供給されるクロックパルスに従って、固体撮像素子108をプロセッサ200側で処理される映像のフレームレートに同期したタイミングで駆動制御する。
[通常モード時の動作]
通常モード時のプロセッサ200での信号処理動作を説明する。
通常モード時のプロセッサ200での信号処理動作を説明する。
プロセッサ200に備えられる信号処理回路220は、プリプロセス回路220A、プロセス回路220B、出力回路220C、補正回路220D、スコアリング回路220E、マッピング回路220Fを有している。
プリプロセス回路220Aは、ドライバ信号処理回路112よりフレーム周期で入力されるRAW形式の画素データにデモザイク処理を施してRGB形式の画素データに変換し、カラーマトリックス処理、ホワイトバランス調整、Hueゲイン調整等を施してプロセス回路220Bに出力する。
プロセス回路220Bは、プリプロセス回路220Aより入力される画素データにエンハンス処理、ガンマ補正等を施して通常のカラー画像データを生成し、出力回路220Cに出力する。
出力回路220Cは、プロセス回路220Bより入力されるカラー画像データに対してY/C分離、色差補正等の処理を施して所定のビデオフォーマット信号に変換する。変換されたビデオフォーマット信号は、モニタ300に出力される。これにより、生体組織の通常のカラー画像がモニタ300の表示画面に表示される。
[特殊モード時の動作]
次に、特殊モード時のプロセッサ200での信号処理動作を説明する。図2に、特殊モード時に実行される特殊画像生成処理のフローチャートを示す。図2の特殊画像生成処理は、電子内視鏡システム1の動作モードが特殊モードに切り替えられた時点で開始される。
次に、特殊モード時のプロセッサ200での信号処理動作を説明する。図2に、特殊モード時に実行される特殊画像生成処理のフローチャートを示す。図2の特殊画像生成処理は、電子内視鏡システム1の動作モードが特殊モードに切り替えられた時点で開始される。
[図2のS11(現フレームの画素データの入力)]
本処理ステップS11では、現フレームの各画素の画素データがプリプロセス回路220Aに入力される。各画素の画素データは、プリプロセス回路220Aによる信号処理後、プロセス回路220B及び補正回路220Dに入力される。
本処理ステップS11では、現フレームの各画素の画素データがプリプロセス回路220Aに入力される。各画素の画素データは、プリプロセス回路220Aによる信号処理後、プロセス回路220B及び補正回路220Dに入力される。
[図2のS12(RG平面へのプロット)]
図3に、補正回路220Dの動作を概念的に説明するための図であって、互いに直交するR軸とG軸とによって定義されるRG平面(二次元色空間)を示す。なお、R軸は、R成分(Rの画素値)の軸であり、G軸は、G成分(Gの画素値)の軸である。
図3に、補正回路220Dの動作を概念的に説明するための図であって、互いに直交するR軸とG軸とによって定義されるRG平面(二次元色空間)を示す。なお、R軸は、R成分(Rの画素値)の軸であり、G軸は、G成分(Gの画素値)の軸である。
本処理ステップS12では、RGB3原色で定義されるRGB空間の各画素の画素データ(三次元データ)がRGの二次元データに変換されて、図3に示されるように、R、Gの画素値に応じてRG平面内にプロットされる。以下、説明の便宜上、RG平面内にプロットされた画素データの点を「画素対応点」と記す。なお、図3においては、図面を明瞭化する便宜上、全ての画素の画素対応点を示すのではなく一部の画素の画素対応点のみ示している。
[図2のS13(基準軸の設定)]
本処理ステップS13では、補正回路220Dにより、胃炎等の所定の疾患の炎症強度を計算するために必要なRG平面内の基準軸が設定される。図4に、基準軸の説明を補助する図を示す。
本処理ステップS13では、補正回路220Dにより、胃炎等の所定の疾患の炎症強度を計算するために必要なRG平面内の基準軸が設定される。図4に、基準軸の説明を補助する図を示す。
撮影対象となる患者の体腔内は、ヘモグロビン色素等の影響によりR成分が他の成分(G成分及びB成分)に対して支配的であり、典型的には、炎症が強いほど赤味(R成分)が他の色味(G成分及びB成分)に対して強くなる。しかし、体腔内の撮影画像は、明るさに影響する撮影条件(例えば白色光Lの当たり具合)に応じて色味が変化する。例示的には、白色光Lの届かない陰影部分は黒(無彩色であり、例えば、R、G、Bがゼロ又はゼロに近い値)となり、白色光Lが強く当たって正反射する部分は白(無彩色であり、例えば、R、G、Bが255又は255に近い値)となる。すなわち、炎症が起こっている同じ異常部位を撮影した場合であっても、白色光Lが強く当たるほどその異常部位画像の画素値が大きくなる。そのため、白色光Lの当たり具合によっては、画素値が炎症の強さと相関の無い値を取ることがある。
一般に、炎症が起こっていない体腔内の正常部位は十分な粘膜で覆われている。これに対し、炎症が起こっている体腔内の異常部位は十分な粘膜で覆われていない。具体的には、血管が拡張すると共に血管から血液・体液が漏出するため、相対的に粘膜が薄くなり血液の色が目に映り易くなる。粘膜は、基本的には白基調ではあるが、色味としては若干黄味がかっており、その濃淡(粘膜の厚み)によって画像上に写る色味(黄色の色味)が変化する。従って、粘膜の濃淡も炎症の強さを評価する指標の一つになるものと考えられる。
そこで、本処理ステップS13では、図4に示されるように、RG平面内において、(50,0)及び(255,76)を通る直線が基準軸の1つとして設定されると共に、(0,0)及び(255,192)を通る直線が基準軸の1つとして設定される。説明の便宜上、前者の基準軸を「ヘモグロビン変化軸AX1」と記し、後者の基準軸を「粘膜変化軸AX2」と記す。
図4に示されるプロットは、本発明者が体腔内の多数のサンプル画像を解析した結果得たものである。解析に用いられるサンプル画像には、症状レベルの最も高い炎症画像例(最も重症なレベルの炎症画像例)や、症状レベルの最も低い炎症画像例(実質的に正常部位であるとみなされる画像例)など、各段階の炎症画像例が含まれる。なお、図4の例では、図面を明瞭化する便宜上、解析の結果得られたプロットを一部だけ示している。解析の結果実際に得られたプロットは、図4に示されるプロットの数よりも遥かに多い。
上述したように、炎症が強い異常部位ほどR成分が他の成分(G成分及びB成分)に対して強くなる。そのため、プロットが分布する領域と分布しない領域との境界線であって、G軸よりもR軸に近い方の境界線上の軸、図4の例では、(50,0)及び(255,76)を通る境界線上の軸が、症状レベルの最も高い病変部(症状レベルの最も高い炎症(異常)部位)と相関の高い軸として設定される。この軸がヘモグロビン変化軸AX1である。ヘモグロビン変化軸AX1には、様々な撮影条件(例えば白色光Lの当たり具合)で撮影された症状レベルの最も高い炎症部位に対応するプロットが重畳される。
一方、正常部位に近いほどG成分(又はB成分)がR成分に対して強くなる。そのため、プロットが分布する領域と分布しない領域との境界線であって、R軸よりもG軸に近い方の境界線上の軸、図4の例では、(0,0)及び(255,192)を通る境界線上の軸が、症状レベルの最も低い病変部(症状レベルの最も低い炎症(異常)部位であって、実質的に正常(健常)部位であるとみなされるもの)と相関の高い軸として設定される。この軸が粘膜変化軸AX2である。粘膜変化軸AX2には、様々な撮影条件(例えば白色光Lの当たり具合)で撮影された症状レベルの最も低い炎症部位(実質的に正常部位とみなされるもの)に対応するプロットが重畳される。
補足すると、症状レベルの最も高い炎症部位は、出血を伴う。一方、症状レベルの最も低い炎症部位は、実質正常部位であるから、十分な粘膜で覆われている。そのため、図4に示されるRG平面内のプロットは、血液(ヘモグロビン色素)と最も相関の高い軸と、粘膜の色味と最も相関の高い軸に挟まれた領域内に分布すると捉えることができる。そのため、プロットが分布する領域と分布しない領域との境界線のうち、R軸に近い(R成分が強い)方の境界線が、症状レベルの最も高い炎症部位を示す軸(ヘモグロビン変化軸AX1)に相当し、G軸に近い(G成分が強い)方の境界線が、症状レベルの最も低い炎症部位を示す軸(粘膜変化軸AX2)に相当する。
[図2のS14(注目画素の選択)]
本処理ステップS14では、補正回路220Dにより、全ての画素の中から所定の順序に従い一つの注目画素が選択される。
本処理ステップS14では、補正回路220Dにより、全ての画素の中から所定の順序に従い一つの注目画素が選択される。
[図2のS15(画素データの補正)]
補正回路220Dには、後述のキャリブレーションモード時に算出された補正マトリックス係数が記憶されている。本処理ステップS15では、同一の病変部を異なる電子内視鏡システムで撮影したときのスコア値のばらつき(言い換えると、電子スコープの個体差)を抑えるため、補正回路220Dにより、処理ステップS14(注目画素の選択)にて選択された注目画素の画素データ(R,G)が補正マトリックス係数を用いて補正される。なお、補正マトリックス係数については、後述の[キャリブレーションモード時の動作]において詳細に説明する。
補正回路220Dには、後述のキャリブレーションモード時に算出された補正マトリックス係数が記憶されている。本処理ステップS15では、同一の病変部を異なる電子内視鏡システムで撮影したときのスコア値のばらつき(言い換えると、電子スコープの個体差)を抑えるため、補正回路220Dにより、処理ステップS14(注目画素の選択)にて選択された注目画素の画素データ(R,G)が補正マトリックス係数を用いて補正される。なお、補正マトリックス係数については、後述の[キャリブレーションモード時の動作]において詳細に説明する。
・補正マトリックス例
Rnew :補正後の注目画素の画素データ(R成分)
Gnew :補正後の注目画素の画素データ(G成分)
M00〜M11:補正マトリックス係数
R :補正前の注目画素の画素データ(R成分)
G :補正前の注目画素の画素データ(G成分)
Rnew :補正後の注目画素の画素データ(R成分)
Gnew :補正後の注目画素の画素データ(G成分)
M00〜M11:補正マトリックス係数
R :補正前の注目画素の画素データ(R成分)
G :補正前の注目画素の画素データ(G成分)
[図2のS16(角度の算出)]
補正回路220Dにおいて現フレームの全ての画素に対して処理ステップS14(注目画素の選択)及びS15(画素データの補正)が実行されると、スコアリング回路220Eにより、処理ステップS15(画素データの補正)にて補正された各画素の画素データ(Rnew,Gnew)について、炎症強度を計算するための角度が算出される。具体的には、本処理ステップS16では、各画素について、ヘモグロビン変化軸AX1と粘膜変化軸AX2との交点(基準点)O’と画素対応点(Rnew,Gnew)とを結ぶ線分Lと、ヘモグロビン変化軸AX1とがなす角度θ(図3参照)が算出される。なお、基準点O’は、座標(−150,−75)に位置する。
補正回路220Dにおいて現フレームの全ての画素に対して処理ステップS14(注目画素の選択)及びS15(画素データの補正)が実行されると、スコアリング回路220Eにより、処理ステップS15(画素データの補正)にて補正された各画素の画素データ(Rnew,Gnew)について、炎症強度を計算するための角度が算出される。具体的には、本処理ステップS16では、各画素について、ヘモグロビン変化軸AX1と粘膜変化軸AX2との交点(基準点)O’と画素対応点(Rnew,Gnew)とを結ぶ線分Lと、ヘモグロビン変化軸AX1とがなす角度θ(図3参照)が算出される。なお、基準点O’は、座標(−150,−75)に位置する。
[図2のS17(正規化処理)]
体腔内の撮影画像の明るさが白色光Lの当たり具合によって変化すると、撮影画像の色味は、個人差、撮影箇所、炎症の状態等の影響があるものの、RG平面内において、概ね、症状レベルの最も高い炎症部位ではヘモグロビン変化軸AX1上に沿って変化し、症状レベルの最も低い炎症部位では粘膜変化軸AX2上に沿って変化する。また、中間の症状レベルの炎症部位の撮影画像の色味も同じ傾向で変化するものと推定される。すなわち、炎症部位に対応する画素対応点は、白色光Lの当たり具合によって変化すると、基準点O’を起点とした方位角方向にシフトする。言い換えると、炎症部位に対応する画素対応点は、白色光Lの当たり具合によって変化すると、角度θが一定のまま移動して基準点O’との距離が変わる。これは、角度θが撮影画像の明るさの変化に実質的に影響を受けないパラメータであることを意味する。
体腔内の撮影画像の明るさが白色光Lの当たり具合によって変化すると、撮影画像の色味は、個人差、撮影箇所、炎症の状態等の影響があるものの、RG平面内において、概ね、症状レベルの最も高い炎症部位ではヘモグロビン変化軸AX1上に沿って変化し、症状レベルの最も低い炎症部位では粘膜変化軸AX2上に沿って変化する。また、中間の症状レベルの炎症部位の撮影画像の色味も同じ傾向で変化するものと推定される。すなわち、炎症部位に対応する画素対応点は、白色光Lの当たり具合によって変化すると、基準点O’を起点とした方位角方向にシフトする。言い換えると、炎症部位に対応する画素対応点は、白色光Lの当たり具合によって変化すると、角度θが一定のまま移動して基準点O’との距離が変わる。これは、角度θが撮影画像の明るさの変化に実質的に影響を受けないパラメータであることを意味する。
角度θが小さいほどR成分がG成分に対して強くなり、炎症部位の症状レベルが高いことを示す。また、角度θが大きいほどG成分がR成分に対して強くなり、炎症部位の症状レベルが低いことを示す。
そこで、本処理ステップS17では、スコアリング回路220Eにより、角度θがゼロであるときに値255となり、角度θがθMAXであるときに値ゼロとなるように、現フレームの全ての画素について角度θが正規化される。なお、θMAXは、ヘモグロビン変化軸AX1と粘膜変化軸AX2とがなす角度と等しい。これにより、0〜255の範囲に収まる炎症強度(8bitの情報)が得られる。
[図2のS18(炎症評価値の計算)]
本処理ステップS18では、スコアリング回路220Eにより、現フレームの全ての画素の炎症強度を平均化した平均値(又は全ての画素の炎症強度の積算値)が撮影画像全体の炎症評価値として計算されると共に、計算した炎症評価値の表示データ(表示データ例:Score:○○)が生成される。
本処理ステップS18では、スコアリング回路220Eにより、現フレームの全ての画素の炎症強度を平均化した平均値(又は全ての画素の炎症強度の積算値)が撮影画像全体の炎症評価値として計算されると共に、計算した炎症評価値の表示データ(表示データ例:Score:○○)が生成される。
[図2のS19(カラーマップ画像上での表示色の決定)]
本実施形態では、炎症強度に応じた表示色で撮影画像をモザイク化したカラーマップ画像を表示することができる。カラーマップ画像を表示可能とするため、炎症強度の値と所定の表示色とを対応付けたテーブルがスコアリング回路220Eの所定の記憶領域に記憶されている。本テーブルでは、例えば、値5刻みで異なる表示色が対応付けられている。例示的には、炎症強度の値が0〜5の範囲では黄色が対応付けられており、該値が5増える毎に色相環での色の並び順に従って異なる表示色が対応付けられており、該値が250〜255の範囲では赤色が対応付けられている。
本実施形態では、炎症強度に応じた表示色で撮影画像をモザイク化したカラーマップ画像を表示することができる。カラーマップ画像を表示可能とするため、炎症強度の値と所定の表示色とを対応付けたテーブルがスコアリング回路220Eの所定の記憶領域に記憶されている。本テーブルでは、例えば、値5刻みで異なる表示色が対応付けられている。例示的には、炎症強度の値が0〜5の範囲では黄色が対応付けられており、該値が5増える毎に色相環での色の並び順に従って異なる表示色が対応付けられており、該値が250〜255の範囲では赤色が対応付けられている。
本処理ステップS19では、マッピング回路220Fにより、現フレームの各画素の、カラーマップ画像上での表示色が、上記テーブルに基づいて、処理ステップS17(正規化処理)にて得た炎症強度の値に応じた色に決定される。
[図2のS20(カラーマップ画像データの生成)]
本処理ステップS20では、マッピング回路220Fにより、現フレームの各画素の色データが、処理ステップS19(カラーマップ画像上での表示色の決定)にて決定された表示色のデータに変換され、変換された表示色で表示される画素よりなるカラーマップ画像データが生成される。
本処理ステップS20では、マッピング回路220Fにより、現フレームの各画素の色データが、処理ステップS19(カラーマップ画像上での表示色の決定)にて決定された表示色のデータに変換され、変換された表示色で表示される画素よりなるカラーマップ画像データが生成される。
[図2のS21(オーバレイ処理)]
本処理ステップS21では、出力回路220Cにより、プロセス回路220Bより入力される通常のカラー画像データに基づく通常のカラー画像と、処理ステップS20(カラーマップ画像データの生成)にて生成されたカラーマップ画像データに基づくカラーマップ画像とをオーバレイさせる割合を係数として、前者の画像データ(通常のカラー画像データ)と後者の画像データ(カラーマップ画像データ)とが加算される。
本処理ステップS21では、出力回路220Cにより、プロセス回路220Bより入力される通常のカラー画像データに基づく通常のカラー画像と、処理ステップS20(カラーマップ画像データの生成)にて生成されたカラーマップ画像データに基づくカラーマップ画像とをオーバレイさせる割合を係数として、前者の画像データ(通常のカラー画像データ)と後者の画像データ(カラーマップ画像データ)とが加算される。
なお、係数の設定は、ユーザ操作により適宜設定変更することが可能である。例えば、通常のカラー画像の方を濃く表示したい場合は、カラー画像データの係数が高く設定され、カラーマップ画像の方を濃く表示したい場合は、カラーマップ画像データの係数が高く設定される。
[図2のS22(終了判定)]
本処理ステップS22では、電子内視鏡システム1の動作モードが特殊モードとは別のモードに切り替えられたか否かが判定される。別のモードに切り替えられていないと判定される場合(S22:NO)、図2の特殊画像生成処理は、処理ステップS11(現フレームの画素データの入力)に戻る。一方、別のモードに切り替えられたと判定される場合(S22:YES)、図2の特殊画像生成処理は終了する。
本処理ステップS22では、電子内視鏡システム1の動作モードが特殊モードとは別のモードに切り替えられたか否かが判定される。別のモードに切り替えられていないと判定される場合(S22:NO)、図2の特殊画像生成処理は、処理ステップS11(現フレームの画素データの入力)に戻る。一方、別のモードに切り替えられたと判定される場合(S22:YES)、図2の特殊画像生成処理は終了する。
[画面表示例]
出力回路220Cは、図2の処理ステップS21(オーバレイ処理)にて加算処理された画像データに基づいて通常のカラー画像とカラーマップ画像とのオーバレイ画像の表示データを生成すると共にモニタ300の表示画面の周辺領域(画像表示領域の周囲)をマスクするマスキング処理を行い、更に、マスキング処理により生成されるマスク領域に炎症評価値を重畳した、モニタ表示用の画面データを生成する。出力回路220Cは、生成されたモニタ表示用の画面データを所定のビデオフォーマット信号に変換して、モニタ300に出力する。
出力回路220Cは、図2の処理ステップS21(オーバレイ処理)にて加算処理された画像データに基づいて通常のカラー画像とカラーマップ画像とのオーバレイ画像の表示データを生成すると共にモニタ300の表示画面の周辺領域(画像表示領域の周囲)をマスクするマスキング処理を行い、更に、マスキング処理により生成されるマスク領域に炎症評価値を重畳した、モニタ表示用の画面データを生成する。出力回路220Cは、生成されたモニタ表示用の画面データを所定のビデオフォーマット信号に変換して、モニタ300に出力する。
図5に、特殊モード時の画面表示例を示す。図5に例示されるように、モニタ300の表示画面には、その中央領域に体腔内の撮影画像(通常画像とカラーマップ画像とがオーバレイ表示されたオーバレイ画像)が表示されると共に画像表示領域の周囲がマスキングされた画面が表示される。また、マスク領域には、炎症評価値(スコア)が表示される。
なお、特殊モード時の撮影画像の表示形態は、通常のカラー画像とカラーマップ画像とをオーバレイ表示したものに限らない。例えば、通常のカラー画像とカラーマップ画像を一画面内に並べて表示したり、カラーマップ画像のみを表示したりする表示形態が挙げられる。前者の場合、通常のカラー画像とカラーマップ画像の両方を同一のサイズで表示してもよいし、通常のカラー画像とカラーマップ画像の一方をメイン画像として表示すると共に他方をメイン画像より小さいサブ画像として表示してもよい。
このように、本実施形態によれば、トーン強調処理等の非線形な計算処理や複雑な色空間変換処理等を行うことなく単純な計算処理を行うだけで、炎症評価値(ここでは撮影部位のヘモグロビン色素の増減に相関のある値)が求まる。すなわち、炎症評価値の計算に必要なハードウェアリソースが大幅に抑えられる。また、体腔内の撮影画像の明るさに影響する撮影条件(例えば照射光の当たり具合等)によって炎症評価値が実質的に変動しないため、術者は、炎症についてより客観的で正確な判断を下すことが可能となる。
[キャリブレーションモード時の動作]
次に、キャリブレーションモード時の電子内視鏡システム1の動作について説明する。図6に、キャリブレーションモード時に実行されるキャリブレーション処理のフローチャートを示す。また、図7に、図6のキャリブレーション処理の説明を補助する図を示す。図6のキャリブレーション処理は、例えば工場出荷時に実行されるものであり、電子内視鏡システム1の動作モードがキャリブレーションモードに切り替えられた時点で開始される。
次に、キャリブレーションモード時の電子内視鏡システム1の動作について説明する。図6に、キャリブレーションモード時に実行されるキャリブレーション処理のフローチャートを示す。また、図7に、図6のキャリブレーション処理の説明を補助する図を示す。図6のキャリブレーション処理は、例えば工場出荷時に実行されるものであり、電子内視鏡システム1の動作モードがキャリブレーションモードに切り替えられた時点で開始される。
なお、キャリブレーション処理の実行に先立ち、作業者による準備作業が行われる。具体的には、作業者は、ホワイトバランス専用治具や、ホワイトバランス専用治具と同じ仕様の白板、グレーカード等を用いて電子内視鏡システム1のホワイトバランスを調整する。
作業者は、ホワイトバランスの調整が完了すると、電子内視鏡システム1をキャリブレーション用治具にセットすると共に、プロセッサ200に接続された端末(PC)上でキャリブレーション用ソフトウェアを起動させる。
作業者は、次いで、電子スコープ100による撮影画像の輝度調整を行う。例示的には、作業者は、輝度調整用の被写体を撮影したときの撮影画像の輝度値が目標輝度値に収まるように、絞り212の開度をマニュアル調整する。なお、撮影画像の輝度値は、キャリブレーション用ソフトウェア上で確認することができる。
作業者は、撮影画像の輝度調整が完了すると、第一の指標をキャリブレーション用治具にセットすることにより、電子スコープ100の画角内に第一の指標を固定配置する。ここで、第一の指標は、所定の疾患について症状レベルが最も高いときの生体組織の色である第一の色を模した指標である。本実施形態において、第一の指標は、RG平面内のヘモグロビン変化軸AX1上の所定点(後述の第一の目標点PT1)に対応する色が塗布された板状部材である。
[図6のS31(第一の指標の撮影)]
本処理ステップS31では、作業者による操作入力に従い、第一の指標(第一の色が塗布された面)が電子スコープ100によって撮影され、その撮影画像データ(RAW形式やYUV形式等)がPCに入力される。
本処理ステップS31では、作業者による操作入力に従い、第一の指標(第一の色が塗布された面)が電子スコープ100によって撮影され、その撮影画像データ(RAW形式やYUV形式等)がPCに入力される。
[図6のS32(第二の指標の撮影)]
作業者は、第一の指標に代えて第二の指標をキャリブレーション用治具にセットすることにより、電子スコープ100の画角内に第二の指標を固定配置する。ここで、第二の指標は、所定の疾患について健常であるときの生体組織の色である第二の色を模した指標である。本実施形態において、第二の指標は、RG平面内の粘膜変化軸AX2上の所定点(後述の第二の目標点PT2)に対応する色が塗布された板状部材である。
作業者は、第一の指標に代えて第二の指標をキャリブレーション用治具にセットすることにより、電子スコープ100の画角内に第二の指標を固定配置する。ここで、第二の指標は、所定の疾患について健常であるときの生体組織の色である第二の色を模した指標である。本実施形態において、第二の指標は、RG平面内の粘膜変化軸AX2上の所定点(後述の第二の目標点PT2)に対応する色が塗布された板状部材である。
本処理ステップS32では、作業者による操作入力に従い、第二の指標(第二の色が塗布された面)が電子スコープ100によって撮影され、その撮影画像データ(RAW形式やYUV形式等)がPCに入力される。作業者は、キャリブレーション用治具を使用することにより、第一の指標と第二の指標を同一の条件で撮影することができる。
[図6のS33(第一の実撮影データ点PD1の算出)]
作業者による操作入力に従い又は指定枚数(ここでは二枚)の撮影後自動的に、本処理ステップS33の実行が開始される。
作業者による操作入力に従い又は指定枚数(ここでは二枚)の撮影後自動的に、本処理ステップS33の実行が開始される。
本処理ステップS33では、キャリブレーション用ソフトウェアにより、処理ステップS31(第一の指標の撮影)にて撮影された第一の指標の撮影画像データから、第一の指標の実測値として第一の実撮影データ点PD1が算出される。例示的には、第一の指標の画像内の中央領域の画素(例えば200×200画素)の平均値が第一の実撮影データ点PD1として算出される。
[図6のS34(第二の実撮影データ点PD2の算出)]
本処理ステップS34では、キャリブレーション用ソフトウェアにより、処理ステップS32(第二の指標の撮影)にて撮影された第二の指標の撮影画像データから、第二の指標の実測値として第二の実撮影データ点PD2が算出される。例示的には、第一の実撮影データ点と同様に、第二の指標の画像内の中央領域の画素(例えば200×200画素)の平均値が第二の実撮影データ点PD2として算出される。
本処理ステップS34では、キャリブレーション用ソフトウェアにより、処理ステップS32(第二の指標の撮影)にて撮影された第二の指標の撮影画像データから、第二の指標の実測値として第二の実撮影データ点PD2が算出される。例示的には、第一の実撮影データ点と同様に、第二の指標の画像内の中央領域の画素(例えば200×200画素)の平均値が第二の実撮影データ点PD2として算出される。
[図6のS35(RG平面への実撮影データ点の配置)]
本処理ステップS35では、キャリブレーション用ソフトウェアにより、図7に示されるように、第一の実撮影データ点PD1及び第二の実撮影データ点PD2が、ここでの対象疾患(胃炎等)と関連付けられたRG平面に配置される。
本処理ステップS35では、キャリブレーション用ソフトウェアにより、図7に示されるように、第一の実撮影データ点PD1及び第二の実撮影データ点PD2が、ここでの対象疾患(胃炎等)と関連付けられたRG平面に配置される。
[図6のS36(補正マトリックス係数の算出)]
図7に示されるように、ヘモグロビン変化軸AX1上には第一の実撮影データ点PD1に対応する第一の目標点PT1が設定され、粘膜変化軸AX2上には第二の実撮影データ点PD2に対応する第二の目標点PT2が設定されている。第一の目標点PT1は、第一の指標が持つ第一の色に対応し、第二の目標点PT2は、第二の指標が持つ第二の色に対応する。
図7に示されるように、ヘモグロビン変化軸AX1上には第一の実撮影データ点PD1に対応する第一の目標点PT1が設定され、粘膜変化軸AX2上には第二の実撮影データ点PD2に対応する第二の目標点PT2が設定されている。第一の目標点PT1は、第一の指標が持つ第一の色に対応し、第二の目標点PT2は、第二の指標が持つ第二の色に対応する。
本処理ステップS36では、キャリブレーション用ソフトウェアにより、第一の実撮影データ点PD1と第一の目標点PT1との距離(第一の距離Δ1)と、第二の実撮影データ点PD2と第二の目標点PT2との距離(第二の距離Δ2)との合計値を最小とする補正マトリックス係数が最小二乗法等を用いて算出される。
[図6のS37(補正マトリックス係数の保存)]
本処理ステップS37では、処理ステップS36(補正マトリックス係数の算出)にて算出された補正マトリックス係数がプロセッサ200の補正回路220Dに保存される。これにより、図6に示されるキャリブレーション処理が完了する。
本処理ステップS37では、処理ステップS36(補正マトリックス係数の算出)にて算出された補正マトリックス係数がプロセッサ200の補正回路220Dに保存される。これにより、図6に示されるキャリブレーション処理が完了する。
各電子内視鏡システムに対してキャリブレーション処理を実行することにより、対象疾患(胃炎等)に関連する第一の指標や第二の指標を各電子内視鏡システムで撮影したときに略同じ値(何れの電子内視鏡システムにおいても第一の目標点PT1や第二の目標点PT2に近似する値)が得られるため、最終的に計算される炎症評価値も略等しい値となる。そのため、対象疾患(胃炎等)を各電子内視鏡システムで実際に撮影した場合にも炎症評価値のばらつきが抑えられることが判る。
すなわち、本実施形態によれば、補正対象を限定する(具体的には、対象疾患に関連する特定の色を補正対象とする)ことにより、対象疾患の評価値計算に用いられる色データに残存する誤差(主に電子スコープ100の光学部品の個体差によるばらつき)が良好に除去される。これにより、評価値の計算精度が向上する。
[補正効果確認モード時の動作]
ここまでは、キャリブレーション処理が適正に行われる前提で説明している。しかし、キャリブレーション処理が適正に行われない場合もある。その原因として、例えば、指標がキャリブレーション用治具に正しくセットされていなかった、指標に対する照明条件が適正でなかった、ヒューマンエラー等が挙げられる。
ここまでは、キャリブレーション処理が適正に行われる前提で説明している。しかし、キャリブレーション処理が適正に行われない場合もある。その原因として、例えば、指標がキャリブレーション用治具に正しくセットされていなかった、指標に対する照明条件が適正でなかった、ヒューマンエラー等が挙げられる。
検証のため、3つの電子内視鏡システムでキャリブレーション処理を実行し、その後、各電子内視鏡システムで6枚の画像を撮影した。図8に、その結果を示す。なお、便宜上、3つの電子内視鏡システムの夫々に符号A、B、Cを付して説明を行う。
図8中、上段ラインに並ぶ6枚の画像(便宜上符合aの枠で囲われたもの)は、電子内視鏡システムAで撮影されたものである。また、図8中、中段ラインに並ぶ6枚の画像(便宜上符合bの枠で囲われたもの)は、電子内視鏡システムBで撮影されたものである。また、図8中、下段ラインに並ぶ6枚の画像(便宜上符合cの枠で囲われたもの)は、電子内視鏡システムCで撮影されたものである。また、図8中、上下に並ぶ3枚の撮影画像は、夫々の電子内視鏡システムで同一の被写体を撮影した結果を示す。また、図8中、撮影画像の濃淡は色の違いを示す。
上下に並ぶ撮影画像を比較すると、夫々の電子内視鏡システムでキャリブレーション処理が実行されたにも拘わらず、撮影画像の色が明らかにばらついていることが判る。これは、照明等の撮影条件の違いだけが原因となっているわけではなく、少なくとも一部の電子内視鏡システムにおいてキャリブレーション処理が適正に行われていなかったことも原因であるものと推定される。
図8の例では、夫々の電子内視鏡システムによる撮影画像が並べて示されているため、少なくとも一部の電子内視鏡システムにおいてキャリブレーション処理が適正に行われていなかった可能性に気付くことができた。言い換えると、単一の電子内視鏡システムによる撮影画像だけでは、キャリブレーション処理が適正に行われていなかったことに気付くことが難しい。しかし、図8のような方法では、作業者が複数の電子内視鏡システムによる撮影画像を比較して判断する必要があるため、作業者に対する負担が大きい。また、電子内視鏡システム間で撮影条件を揃えることが難しいという問題もある。
そこで、本実施形態では、キャリブレーション処理の実行後、電子内視鏡システム1の動作モードが、その効果(補正マトリックス係数による補正効果)を作業者に確認させるための補正効果確認モードに自動的に又は作業者によって手動で切り替えられる。
図9に、補正効果確認モード時に実行される補正効果確認処理のフローチャートを示す。図9の補正効果確認処理は、例えばキャリブレーション処理に引き続き、工場出荷時に実行されるものであり、電子内視鏡システム1の動作モードが補正効果確認モードに切り替えられた時点で開始される。
なお、補正効果確認処理の実行に先立ち、作業者による準備作業が行われる。具体的には、作業者は、補正効果確認用指標をキャリブレーション用治具にセットすることにより、電子スコープ100の画角内に補正効果確認用指標を固定配置する。なお、本実施形態では、作業者の作業負担や製造コストの削減のため、キャリブレーション用治具を利用して補正効果確認処理を行うが、別の実施形態では、専用治具を用いて補正効果確認処理を行ってもよい。
補正効果確認用指標は、所定の疾患について少なくとも1つの症状レベルを表す色を模した色指標を含むものであり、キャリブレーション処理時に使用された第一の指標及び第二の指標と同一形状及び同一寸法を持つ板状部材である。
図10(a)、図10(b)の各図に、補正効果確認用指標の具体例を示す。図10(a)に例示される補正効果確認用指標400Aには、色指標410A〜450Aが並べて表示されている。色指標410Aは、症状レベルの最も高い炎症部位の色を模した色指標である。色指標420Aは、色指標410Aよりも軽度の炎症部位の色を模した色指標である。色指標430Aは、色指標420Aよりも軽度の炎症部位の色を模した色指標である。色指標440Aは、色指標430Aよりも軽度の炎症部位の色を模した色指標である。色指標450Aは、症状レベルの最も低い部位(実質的に正常とみなされる部位(正常粘膜))の色を模した色指標である。
色指標410A〜450Aの各色は、本発明者が体腔内の多数のサンプル画像内の部位(エリア)を解析し、その結果に基づいて決定したものである。サンプル画像には、例えば各段階の炎症画像が含まれる。
色指標410A〜450Aは、マンセル表色系から選択された色指標である。下記に、色指標410A〜450A(マンセル値)の具体例を示す。なお、色指標410A〜450Aは、マンセル表色系に代えて、オストワルト表色系など、別の表色系から選択されてもよい。
色指標410A:5R V5 C14
色指標420A:2.5R V5 C12
色指標430A:10R V5 C10
色指標440A:10RP V5 C10
色指標450A:10R V6 C8
色指標410A:5R V5 C14
色指標420A:2.5R V5 C12
色指標430A:10R V5 C10
色指標440A:10RP V5 C10
色指標450A:10R V6 C8
図10(b)に例示される補正効果確認用指標400Bには、グラデーション指標410Bが表示されている。グラデーション指標410Bは、最も高い症状レベルを表す色から最も低い症状レベルを表す色までをグラデーションで表わした色指標であり、より詳細には、色指標410Aの色から色指標450Aの色までをグラデーションで表わしたものとなっている。
[図9のS41(補正効果確認用指標の撮影)]
ここでは、図10(a)に例示される補正効果確認用指標400Aがキャリブレーション用治具にセットされているものとする。本処理ステップS41では、作業者による操作入力に従い、補正効果確認用指標400A(色指標410A〜450Aの表示面)が電子スコープ100によって撮影され、その撮影画像データがプロセッサ200に入力される。
ここでは、図10(a)に例示される補正効果確認用指標400Aがキャリブレーション用治具にセットされているものとする。本処理ステップS41では、作業者による操作入力に従い、補正効果確認用指標400A(色指標410A〜450Aの表示面)が電子スコープ100によって撮影され、その撮影画像データがプロセッサ200に入力される。
[図9のS42(炎症評価値の計算)]
図11に、本処理ステップS42の説明を補助するための図を示す。本処理ステップS42では、補正効果確認用指標400A内の所定エリアについて炎症評価値が計算される。炎症評価値は、特殊モード時と同様の方法で計算される。すなわち、補正効果確認用指標400A内の所定エリアの画素データは、本フローチャートの処理の実行の直前に行われていたキャリブレーション処理の結果(補正マトリックス係数)を用いて補正された上で、炎症評価値の計算に用いられる。
図11に、本処理ステップS42の説明を補助するための図を示す。本処理ステップS42では、補正効果確認用指標400A内の所定エリアについて炎症評価値が計算される。炎症評価値は、特殊モード時と同様の方法で計算される。すなわち、補正効果確認用指標400A内の所定エリアの画素データは、本フローチャートの処理の実行の直前に行われていたキャリブレーション処理の結果(補正マトリックス係数)を用いて補正された上で、炎症評価値の計算に用いられる。
ここで、所定エリアは、色指標410A〜450Aの各色指標内の一部のエリアであり、図11の例では、矩形エリア412A〜452Aである。補正効果確認用指標400Aがキャリブレーション用治具にセットされていることから、色指標410A〜450Aは、電子スコープ100の画角内の規定位置に配置されている。そのため、矩形エリア412A〜452Aを写す画素のアドレスは、プロセッサ200にとって既知である。
[図9のS43(補正効果確認画面の表示)]
本処理ステップS43では、キャリブレーション処理の効果(補正マトリックス係数による補正効果)を作業者に確認させるための補正効果確認画面がモニタ300又はPCモニタの表示画面に表示される。
本処理ステップS43では、キャリブレーション処理の効果(補正マトリックス係数による補正効果)を作業者に確認させるための補正効果確認画面がモニタ300又はPCモニタの表示画面に表示される。
補正効果確認画面は、図11に例示されるように、補正効果確認用指標400Aのカラーマップ画像に、各矩形エリアの炎症評価値を重ねた表示したものである。なお、カラーマップ画像は、補正効果確認用指標400Aの撮影画像そのものに代えてもよい。また、各矩形エリアを示す矩形枠は非表示であってもよい。
作業者は、例えば、補正効果確認用指標400Aのカラーマップ画像の色や、各矩形エリアの炎症評価値がある範囲に収まっているか等を確認することにより、キャリブレーション処理が適正行われたかどうかを判断することができる。キャリブレーション処理が適正に行われたと判断される場合は、キャリブレーション処理を再度行う必要がない。一方、キャリブレーション処理が適正に行われなかったと判断される場合は、キャリブレーション処理を再度行う必要がある。作業者は、キャリブレーション処理が適正に行われたと判断できるまで、キャリブレーション処理及び補正効果確認処理を電子内視鏡システム1に繰り返し実行させる。これにより、電子内視鏡システム1に対する適正なキャリブレーション処理の実行が確実に達成される。
なお、各矩形エリアの炎症評価値がある範囲に収まっているかどうかは、プロセッサ200内で自動的に判定されるようにしてもよい。例示的には、処理ステップS42(炎症評価値の計算)にて計算された炎症評価値と、メモリ222等の記憶媒体に予め記憶された目標の炎症評価値とが比較され、両者の差分値がある値以下の場合には、キャリブレーション処理が適正に行われたと判定される。この判定結果は、処理ステップS43(補正効果確認画面の表示)にて補正効果確認画面内の1つの情報としてモニタ300又はPCモニタの表示画面に表示される。
以上が本発明の例示的な実施形態の説明である。本発明の実施形態は、上記に説明したものに限定されず、本発明の技術的思想の範囲において様々な変形が可能である。例えば明細書中に例示的に明示される実施形態等又は自明な実施形態等を適宜組み合わせた内容も本願の実施形態に含まれる。
上記の実施形態では、作業者により、第一の指標として、第一の色(所定の疾患について症状レベルが最も高いときの生体組織の色)を持つものが選択され、第二の指標として、第二の色(所定の疾患について健常であるときの生体組織の色)を持つものが選択されている。そのため、上記の実施形態では、色空間内において第一の色や第二の色(すなわち補正対象)に距離が近い色ほど高い精度でキャリブレーションされている。言い換えると、色空間内において、補正対象から距離が遠い色(例えば水色のような、炎症ではあり得ない色)ほどキャリブレーションの精度が低い。
従って、作業者は、キャリブレーションモード時にキャリブレーション用治具にセットする指標について、電子内視鏡システム1を用いて特に高い精度でスコアリングしたい症状レベルに対応するものを選択するとよい。例えば、軽度炎症に対するスコアリング精度を向上させたい場合、作業者は、第一の指標として、軽度の炎症が起こったときの生体組織の色を模したものを選択するとよい。また、この場合、補正効果確認モード時において、作業者は、キャリブレーションモード時の指標に合わせて、軽度の炎症部位の色を模した補正効果確認用指標を選択するとよい。
なお、指標が細分化されて用意されるほど、術者がその中から適切な指標を選択することが難しい。そこで、システムコントローラ202は、接続された周辺機器(キーボード等)を介して、作業者による症状レベルを指定する操作を受け付けると、指定された症状レベルに対応する指標をモニタ300の表示画面に表示したり音声再生で通知したりすることができる。これにより、術者は、複数の指標の中から適切な指標を確実に選択することができる。
また、上記の実施形態では、各画素に含まれるR成分とG成分(RGの二次元色空間)を用いて炎症評価値が計算されているが、別の実施形態では、RGの二次元色空間に代えて、RBの二次元色空間やHSI、HSV、Lab等の三次元色空間を用いることにより、それぞれの色空間に対応する、上記の実施形態とは別の対象疾患(胃の委縮や大腸腫瘍等)に関する評価値を計算することもできる。この場合、上記の実施形態とは異なる指標及び目標点を用いて補正マトリックス係数が算出される。
プロセッサ200の補正回路220Dには、各種対象疾患に対応する複数種類の補正マトリックス係数が保存されてもよい。診断対象の疾患に応じて補正マトリックス係数が切り替わることにより、それぞれの対象疾患で安定した(個体差によるばらつきの少ない)評価値計算が行われる。
また、上記の実施形態では、補正マトリックス係数を用いて電子内視鏡システム1(主に電子スコープ100の光学部品)の個体差による評価値のばらつきが抑えられているが、別の実施形態では、電子内視鏡システム1の個体差による評価値のばらつきを、補正マトリックス係数に代えてHueゲインで抑えるようにしてもよい。
1 電子内視鏡システム
100 電子スコープ
102 LCB
104 配光レンズ
106 対物レンズ
108 固体撮像素子
112 ドライバ信号処理回路
114 メモリ
200 プロセッサ
202 システムコントローラ
204 タイミングコントローラ
206 ランプ電源イグナイタ
208 ランプ
210 集光レンズ
212 絞り
214 モータ
216 ドライバ
218 操作パネル
220 信号処理回路
220A プリプロセス回路
220B プロセス回路
220C 出力回路
220D 補正回路
220E スコアリング回路
220F マッピング回路
222 メモリ
400A 補正効果確認用指標
100 電子スコープ
102 LCB
104 配光レンズ
106 対物レンズ
108 固体撮像素子
112 ドライバ信号処理回路
114 メモリ
200 プロセッサ
202 システムコントローラ
204 タイミングコントローラ
206 ランプ電源イグナイタ
208 ランプ
210 集光レンズ
212 絞り
214 モータ
216 ドライバ
218 操作パネル
220 信号処理回路
220A プリプロセス回路
220B プロセス回路
220C 出力回路
220D 補正回路
220E スコアリング回路
220F マッピング回路
222 メモリ
400A 補正効果確認用指標
Claims (8)
- 電子内視鏡による撮影画像を構成する画素データを所定の疾患に合わせて補正する補正値を算出する補正値算出処理の実行後に、該補正値による補正効果を確認するためにコンピュータを用いて実行される方法であって、
前記電子内視鏡によって前記所定の疾患に関する指標が撮影されると、その撮影画像データを前記補正値で補正する補正ステップと、
補正された前記指標の撮影画像データの色成分に関する情報をユーザに報知する報知ステップと、
を含む、
補正効果確認方法。 - 前記指標は、
前記所定の疾患の色を模した色指標である、
請求項1に記載の補正効果確認方法。 - 前記補正ステップにて補正された前記指標の撮影画像データの色成分に基づいて前記所定の疾患に関する評価値を計算する計算ステップ
を含み、
前記色成分に関する情報は、
前記評価値を含む、
請求項1又は請求項2に記載の補正効果確認方法。 - 前記計算ステップにて計算された評価値と、所定の記憶媒体に予め記憶された目標値と、を比較する比較ステップと、
前記比較ステップでの比較結果に基づいて前記補正値算出処理が適正に行われたか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップでの判定結果をユーザに報知するステップと、
を含む、
請求項3に記載の補正効果確認方法。 - 補正値算出処理にて算出された補正値による補正効果を確認するための指標であって、
前記補正値算出処理は、
電子内視鏡による撮影画像を構成する画素データを所定の疾患に合わせて補正する補正値を算出する処理であり、
前記指標は、
前記所定の疾患の色を模した色指標である、
指標。 - 前記所定の疾患について少なくとも1つの症状レベルを表す色を模した色指標を含む、
請求項5に記載の指標。 - 夫々異なる症状レベルを表す色を模した複数の色指標が並ぶ、
請求項6に記載の指標。 - 最も高い症状レベルを表す色から最も低い症状レベルを表す色までをグラデーションで表わした色指標を含む、
請求項6に記載の指標。
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2016
- 2016-07-21 JP JP2016143571A patent/JP2018011797A/ja active Pending
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