(第1の実施形態)
発明を実施するための第1の実施形態の植物栽培装置は、熱伝導率の大きい中空のパイプ(高熱伝導率中空パイプ)によって形成される発光ダイオード保持部材と発光ダイオード保持部材の延びる方向と所定角度をなす方向に光を射出するために発光ダイオード保持部材の外面に配される複数個の発光ダイオードとを有する光射出部と、光射出部を取囲むように延び発光ダイオードから射出される光を透過する光透過部材によって形成される中空の光射出部発熱閉込部材と、発光ダイオード保持部材に平行して延び植物を育てる複数個の植物載置器を配するための1または複数個の植物栽培部と、光射出部の一端と光射出部発熱閉込部材の一端と植物栽培部の一端との位置極をする第1の位置極部材(いちぎめぶざい)、または光射出部の他端と光射出部発熱閉込部材の他端と植物栽培部の他端との位置極をする第2の位置極部材と、を備えるものである。
すなわち、植物栽培装置は、主要構成部材として、光射出部と、光射出部発熱閉込部材と、1または複数個の植物栽培部と、第1の位置極部材、または第2の位置極部材と、を備える。これらの構成部材の各々についての概要について説明をする。
光射出部は発光ダイオード保持部材と複数個の発光ダイオードとを有する。発光ダイオード保持部材は高熱伝導率中空パイプによって形成される。ここで、中空のパイプの断面形状は3角形以上の角の数を有する多角形であっても、円形であってもよい。中空のパイプの断面形状が円形である場合には、外周部に発光ダイオードを取り付ける平坦部を有する形状であることがより望ましい。すなわち、発光ダイオード保持部材は、中心付近が中空でありその中空の部分(中空内部)を空気または液体が還流できるパイプ構造であれば特に形状に限定はない。発光ダイオード保持部材として熱伝導率の大きいパイプを用いるので、発光ダイオードが発する熱をパイプに導き中空内部の内側面から放熱することができる。
パイプの材料は例えばアルミニュームなどの熱伝導率が大きい金属材料のみならず、金属材料に限ることなく樹脂材料も含め種々の材料を用いることができる。パイプの内部に空気、または、冷却液を流して発光ダイオードが発する熱をパイプから植物栽培装置の外部に排出するので、延びたパイプの途中から気体、液体が漏れないようになされている。
発光ダイオードは、植物栽培部に配される複数個の植物載置器と対面するように、発光ダイオード保持部材の外面のパイプの延びる方向に複数個が配置される。例えば、植物栽培部の複数個の植物載置器の各々と対面するように植物載置器の個数と同数の発光ダイオードが配される。植物栽培装置が複数の植物栽培部を備える場合には、保持部材の外面の断面と直交する周方向にも複数個の植物栽培部の複数個の植物載置器の各々と対面するように植物載置器の個数と同数の発光ダイオードを配することが望ましい。このように発光ダイオードを配置すれば、発光ダイオード保持部材と対面して延びる複数個の植物栽培部の各々の植物載置器のすべてに対して等しい強度の光を照射することができる。発光ダイオード保持部材の伸びる方向に植物載置器の個数をうわまわる個数の発光ダイオードを配すれば光の照射範囲は広がるが消費電力はより大きくなる。
例えば、植物栽培部が1個の場合には発光ダイオード保持部材の延びる方向に複数個の発光ダイオードを1列だけ配すればよい。また、発光ダイオード保持部材を囲むように複数個の植物栽培部が配される場合には複数個の植物栽培部の各々に対面するように発光ダイオード保持部材の断面の周方向にも植物栽培部の個数と同数の複数個の発光ダイオードの列を配すればよい。断面の周方向に植物栽培部の個数をうわまわる個数の発光ダイオードを配すれば光の照射範囲は広がるが消費電力はより大きくなる。
発光ダイオードとは、英語ではlight emitting diode(LED)と称されるダイオードの一種であり、順方向に電圧を印加して発光する半導体素子である。発光原理はエレクトロルミネセンス(EL)効果を利用している。EL効果を利用する有機エレクトロルミネセンス(OLED:有機EL)もLEDに含まれる。発光ダイオードの特徴は蛍光灯よりも発光効率が高く、より小型であることである。LEDの色は、赤色、黄色、青色のものが発明されている。これらのLEDを組み合わせ多種の色彩光を現在において得ることができる。擬似白色発光ダイオード、高演色白色発光ダイオード、3色LED方式等を用いて、植物栽培に適する太陽光に近い光を得ることができる。
発光ダイオード保持部材の延びる方向と光を射出する方向とが所定角度を有するように、発光ダイオードは発光ダイオード保持部材に取り付けられる。発光ダイオードから射出する光のビームは、広がりを有しているので光は様々な方向に射出されるが、発光ダイオード保持部材の延びる方向と最も光強度が強くなる方向とのなす角度を所定角度と称する。所定角度は発光ダイオード保持部材に対する発光ダイオードの発光面の取付角度に応じて変化する。植物載置器の中の植物に照射される光の強度は所定角度に応じて変化する。植物と発光ダイオードとの離間距離が最も短くなる場合に植物に対して照射する光の強度は最大となる。植物と発光ダイオードとの離間距離が最も短くなるのは、発光ダイオード保持部材の延びる方向と光を射出する方向とが90°の角度を有する場合(すなわち所定角度90°の場合)である。植物の育成に最適な所定角度の大きさは実験により適宜な角度が求められる。
発光ダイオードは光の発光効率が高く低消費電力であるとはいえ、発光効率が100%ではないので発熱をする。発光ダイオード保持部材の延びる方向の外面および発光ダイオード保持部材の周方向の外面に多数の発光ダイオードを取り付けて発光させると発光ダイオード保持部材は高温となり、多量の熱を周囲に発散する。
光射出部と植物栽培部との距離をより近づければ、植物栽培部の植物載置器の内部で育てられる植物にはより強い光を照射することができる。一方、光射出部と植物栽培部との距離をより近づければ、植物栽培部の植物載置器の内部で育てられる植物にはより強い熱を照射することとなる。多くの植物にとって光射出部から発する過大な熱は成長の障害となる。例えば、葉が焼けてしまうという熱障害が生じる。逆の観点から見れば、植物に強い熱を照射することを防ぐことができれば、光射出部と植物栽培部との距離をより近づけて、植物に同光量の光を照射しながら発光ダイオードが消費する電力の低減化を図ることができる。また、同時に、植物栽培装置の大きさを小型化することができる。中空内部を有する光射出部と光射出部発熱閉込部材は、いずれも植物に強い熱を照射することを防ぎ植物に対する熱障害を防止する。
光射出部発熱閉込部材は光射出部を取囲むように延びる部材である。光射出部を取囲むように延びる部材の形状は中空のパイプである。パイプの中空内部の内部に光射出部を配することができる形状であれば、中空のパイプの断面形状は3角形以上の角の数を有する多角形、2つの同心円によって形成されるドーナツ形状であってもよい。
光射出部発熱閉込部材の材料は発光ダイオードから射出される光を透過する光透過部材によって形成される。光射出部発熱閉込部材の材料として光透過部材であるとともに熱を遮断する部材、例えば、可視光線より波長が長い赤外線等を遮断する部材を用いれば熱遮断の効果はより大きくなる。要するに、光射出部発熱閉込部材は光射出部からの発熱を光射出部発熱閉込部材の内部に閉じ込めるための部材である。
上述したように、光射出部発熱閉込部材と発光ダイオード保持部材とは、発光ダイオードから植物載置器に対して光を射出するとともに発光ダイオードが発生する熱が植物載置器の中の植物に伝わらないように作用する。この作用を生じさせる構成部の概要を説明する。
まず、発光ダイオード保持部材の作用について説明をする。発光ダイオード保持部材は熱伝導率の大きい部材(高熱伝導率部材)で形成されるので、発光ダイオードの発熱の多くは発光ダイオード保持部材に伝わる。発光ダイオード保持部材の外面に配された発光ダイオードの生じる熱は発光ダイオード保持部材の断面を伝導して発光ダイオード保持部材の内面、すなわち、中空の内部の側面(中空内部側面)にまで伝導する。
発光ダイオード保持部材の中空内部は、発光ダイオード保持部材の一端と他端との2つの開放端との間が貫通しており、開放端以外の中空の部分である中空内部側面は液体、空気が漏れないようにされている。このような構造を採用することによって、中空内部側面に伝わる熱の作用により発光ダイオード保持部材の中空内部はいわゆる煙突効果を発揮して、中空内部で上昇気流が発生して開放した下端から新鮮な空気を吸い込み開放した上端から熱せられた空気を放出する。この中空内部の空気の流れは自然に持続的に継続し、発光ダイオードが発生する熱は植物栽培装置の外部に放出される。
次に、光射出部発熱閉込部材の作用について説明をする。光射出部発熱閉込部材の中空の部分(中空内部)には発光ダイオード保持部材が配されている。光射出部発熱閉込部材は光射出部の発熱、特に、光射出部の外面側に放出される熱(この熱は光射出部発熱閉込部材がなければ植物栽培部の植物に対して与えられる熱となる)を閉じ込める。光射出部発熱閉込部材の中空内部の一端と他端との2つの開放端の間は貫通しており、開放端以外の中空の部分である中空内部側面は液体、空気が漏れないようにされている。このような構造を採用することによって、光射出部発熱閉込部材の中空内部はいわゆる煙突効果を発揮して、中空内部で上昇気流が発生し開放した下端から新鮮な空気を吸い込み開放した上端から熱せられた空気を放出する。この中空内部の空気の流れは自然に持続的に継続し、光射出部の外面側に放出される熱(発光ダイオードから外面側に放出される熱および光射出部の外面から放出される熱)は植物栽培部の植物に向かうことなく植物栽培装置の外部に放出される。
上述したように、両端(一端および他端)が開放端である発光ダイオード保持部材を備える場合には発光ダイオード保持部材の中空内部側面に伝わる熱を植物栽培装置の外部に効率的に放出することができる。さらに、両端(一端および他端)が開放端である光射出部発熱閉込部材を備える場合には発光ダイオード保持部材の外側面に伝わる熱を植物栽培装置の外部に効率的に放出することができる。
発光ダイオード保持部材の両端(一端および他端)が開放端であるとともに、光射出部発熱閉込部材の両端(一端および他端)が開放端である場合には、発光ダイオード保持部材の中空内部側面に伝わる熱と発光ダイオード保持部材の外側面に伝わる熱の両方を植物栽培装置の外部に効率的に放出することができる。また、開放端に替えて発光ダイオード保持部材の側面の孔部、光射出部発熱閉込部材の側面の孔部によっても放熱の効果を生じさせることができる。
さらに、放熱の効果をより大きくするために、発光ダイオード保持部材の中空内部の空気を強制的に排気させるための換気扇(ファン)を備えるようにしてもよく、光射出部発熱閉込部材の中空内部の空気を強制的に排気させるための換気扇を備えるようにしてもよい。また、発光ダイオード保持部材の中空内部の空気を排気させるための換気扇と光射出部発熱閉込部材の中空内部の空気を排気させるための換気扇との2個の換気扇を用いることなく1個の換気扇を共用してもよい。
発光ダイオード保持部材の外部表面には複数個の発光ダイオードとこれらの複数個の発光ダイオードに電力を給電する線材等が配されている。一方、発光ダイオード保持部材の中空内部には線材等が配されておらず2つの開放端以外は密閉の空間を形成している。よって、発光ダイオード保持部材の中空内部の空気を排気させることに替えて、冷却液、例えば、冷却水を中空内部に流すことによって、発光ダイオード保持部材の放熱効果をより高めることができる。
冷却水を中空内部に還流させることによって外部から冷却水を補給することなく植物栽培装置は自立的に動作する。冷却液を還流させるには冷却液還流器(ポンプ)を用いる。発光ダイオード保持部材の中空内部から流れ出た冷却液の温度は上昇するので冷却液還流器と直列に接続される熱交換器(ラジエータ)を用いて冷却液の温度を再び下げて還流させて発光ダイオード保持部材の放熱効果をより高めることができる。
冷却液を還流させるには、発光ダイオード保持部材の2つの開放端は開放端のままではなく、冷却液が還流して一巡するための還流路を接続する必要がある。例えば、発光ダイオード保持部材の一端に還流路の一端を接続し、発光ダイオード保持部材の他端に還流路の他端を接続する。還流路は金属製パイプ、塩化ビニールパイプ等を材料とするパイプによって形成される。また、発光ダイオード保持部材の一端および/または発光ダイオード保持部材の他端を封止端として、封止端の近傍の発光ダイオード保持部材の側面に孔部を設けてこの孔部に還流路の端部を接続して冷却液を還流させるようにしてもよい。このような還流路の途中に冷却液還流器と熱交換器とを直列に接続して発光ダイオード保持部材の冷却効率(すなわち放熱効率)をより向上させることができる。
以上のような種々の手段を用いて、発光ダイオードが生じる熱を植物栽培装置の外部に放出すれば、発光ダイオードと植物載置器との離間距離を縮めても発光ダイオードから生じる熱が植物載置器に配される植物を害することはない。なお、植物載置器の中の植物を照射する光の光強度は発光ダイオードからの離間距離が近くなる程大きくなる(近似的には離間距離の二乗に反比例する)。よって、以上のような発光ダイオードが生じる熱を植物栽培装置の外部に放出する手段を用いながら、発光ダイオードと植物載置器との離間距離を縮めるとともに発光ダイオードの光強度を低減させても植物の育成の効果は減ずることがない。発光ダイオードの光強度を低減させることは、発光ダイオードの個数の低減および/または発光ダイオードの消費電力の低減の効果があるので植物栽培装置の低価格化、運用コストの低減となる。
また、発光ダイオードと植物載置器との離間距離を縮めることによって植物栽培装置の小型化を図ることができる。本実施形態の植物栽培装置は、従来にない小型化を達成しているので、単位面積に配する植物栽培部の個数を多くすることができ限られたスペースで大きな収量を得ることができる。
植物栽培装置は第1の位置極部材、または第2の位置極部材を有している。植物栽培装置が第1の位置極部材、または第2の位置極部材を有するとは、植物栽培装置は第1の位置極部材のみを有すること、植物栽培装置が第2の位置極部材のみを有すること、植物栽培装置が第1の位置極部材および第2の位置極部材を有することの3つの態様のいずれも含み、この3つの態様のいずれも実施可能であるということである。ここで、第1の位置極部材は光射出部の一端と光射出部発熱閉込部材の一端と植物栽培部の一端との位置極をする。第2の位置極部材は光射出部の他端と光射出部発熱閉込部材の他端と複数個の植物栽培部の各々の他端との位置極をする。
以下のいずれの位置極の方法も実施可能である。第1の位置極部材によって、光射出部と光射出部発熱閉込部材と植物栽培部との相対的な位置関係が保たれ植物栽培装置を構成することができる。また、第2の位置極部材によって、光射出部と光射出部発熱閉込部材と植物栽培部との相対的な位置関係が保たれ植物栽培装置を構成することができる。さらに、第1の位置極部材と第2の位置極部材との2つの位置極部材によって、光射出部と光射出部発熱閉込部材と植物栽培部との相対的な位置関係が保たれ植物栽培装置を構成することができる。
位置極部材が位置極する「一端」、位置極部材が位置極する「他端」の用語の意味内容について説明をする。本明細書における位置極に関する「一端」、「他端」の用語の意味内容は、光射出部等の棒状の物体の延びる限界である最端部の一か所(幾何学的な最端部)のみを指すものではない。本明細書においては、位置極に関する「一端」、「他端」の用語は、棒状の物体の位置極の精度との関係で以下のような意味内容を有するものとして用いる。
棒状の物体の位置を固定する場合には、棒状の物体が伸びる方向の異なる2箇所の位置極するのが通常の方法である。1箇所だけの位置極だとその位置極された位置を中心に棒状の物体は回動するので棒状の物体の位置極は現実にはできない。異なる2箇所の位置極の場合には2箇所の離間距離が長ければ長い程、その棒状の物体の位置極精度は良好なものとできる。すなわち、両端に位置する2つの幾何学的な最端部を位置極する場合に位置極精度は最も良好となる。
しかしながら、本実施形態において要求される位置極の精度は、位置極をする場所が2箇所の幾何学的な最端部ではなくとも、幾何学的な最端部の近傍であれば実施形態の奏する作用効果に大きな異なりはない。したがって、本明細書の中では、位置極に関する「一端」の意味内容は、幾何学的な一方の最端部を含む広がりのある部分またはその一部をいうものであり、位置極に関する「他端」の意味内容は、幾何学的な他方の最端部を含む広がりのある部分またはその一部をいうものとする。
ここで、第1の位置極部材が光射出部の一端と光射出部発熱閉込部材の一端と植物栽培部の一端との位置極をするとは、光射出部の一端と光射出部発熱閉込部材の一端と植物栽培部の一端とを第1の位置極部材の定まった位置に配置することをいう。位置極は、部材を一体成型すること、接着剤等で固着すること、遊嵌(隙間を有して嵌め合)すること、嵌合(隙間なく嵌め合)すること、螺合(螺子(ねじ)で嵌め合)すること、当接(突合せ接触)すること等の種々の係合手段を用いることにより可能である。また、位置極の係合手段の選択結果として、一般的には、固着する場合には植物栽培装置を分解困難となし、遊嵌、嵌合、当接する場合には植物栽培装置の分解を極めて容易となし、螺合する場合には植物栽培装置の分解を可能となす。光射出部の一端、光射出部発熱閉込部材の一端、植物栽培部の一端のすべてに同じ係合手段を採用してもよく、光射出部の一端、光射出部発熱閉込部材の一端、植物栽培部の一端の各々に異なる係合手段を採用してもよい。特に、植物栽培部は、作業者(植物の種播をし。収穫をする者)が植物に対して作業する対象部分であるので、植物栽培部の一端が着脱可能とできるように、遊嵌、嵌合、当接、螺合の係合手段を用いることが望ましい。
同様に、第2の位置極部材が光射出部の他端と光射出部発熱閉込部材の他端と植物栽培部の他端との位置極をするとは、光射出部の他端と光射出部発熱閉込部材の他端と植物栽培部の他端とを第2の位置極部材の定まった位置に配置することをいう。位置極は、部材を一体成型すること、接着剤等で固着すること、遊嵌すること、嵌合すること、螺合すること、当接すること等の種々の係合手段を用いることにより可能である。また、第1の位置極部材と同様に第2の位置極部材も、光射出部の他端、光射出部発熱閉込部材の他端、植物栽培部の他端の各々に同種類の係合手段、または異なる係合手段を採用できる。特に、植物栽培部は、作業者が植物に対して作業する対象部分であるので、植物栽培部の他端が着脱可能とできるように、遊嵌、嵌合、当接、螺合の係合手段を用いることが望ましい。
上述した種々の係合手段を用いて、光射出部発熱閉込部材の中空内部に光射出部を配することができる。また、光射出部発熱閉込部材および光射出部が延びる方向と複数個の植物栽培部の各々の延びる方向とを一致させ、光射出部発熱閉込部材および光射出部と複数個の植物栽培部の各々とを平行して配置することができる。そして、植物栽培装置として全体を構成することができる。
複数個の植物栽培部の各々は、発光ダイオード保持部材の中心から等距離となる同心円上に配置されるようにしてもよく、複数個(M個)の植物栽培部の中の所定個数(L個)の植物栽培部は、残りの個数(N個=M個−L個)の植物栽培部とは異なる発光ダイオード保持部材の中心からの距離となるように配置されるようにしてもよい。さらに、発光ダイオード保持部材の中心から所定距離に1個だけ植物栽培部を配置するようにしてもよい。
第1の位置極部材は光射出部の一端と光射出部発熱閉込部材の一端とを固着し、第2の位置極部材は光射出部の他端と光射出部発熱閉込部材の他端とを固着し、複数個の植物栽培部の各々の一端は第1の位置極部材に着脱可能とし、複数個の植物栽培部の各々の他端は第2の位置極部材に着脱可能としてもよい。このようにすれば、植物栽培装置の枠組みを強固としながら植物栽培部の着脱は容易におこなえる。
勿論、第1の位置極部材は光射出部の一端と光射出部発熱閉込部材の一端とを着脱可能とし、第2の位置極部材は光射出部の他端と光射出部発熱閉込部材の他端とを着脱可能とし、複数個の植物栽培部の各々の一端は第1の位置極部材に着脱可能とし、複数個の植物栽培部の各々の他端は第2の位置極部材に着脱可能としてもよい。このようにすれば、植物栽培装置の組立・分解および植物栽培部の着脱が容易におこなえる。
複数個の発光ダイオードの各々から射出する光強度が同じで、各々の植物栽培部に対面するように発光ダイオード保持部材に発光ダイオードが均一に配されるとすれば、以下のような効果が得られる。複数個(M個)の植物栽培部のすべてを発光ダイオード保持部材の中心から等距離となる同心円上に配置する場合には、複数個(M個)の植物栽培部のすべてに同じ強度の光が照射される。
複数個の植物栽培部の中の所定個数(L個)の植物栽培部が発光ダイオード保持部材の中心から第1所定距離、残りの植物栽培部(N個)は発光ダイオード保持部材の中心からの距離がより短くなる第2所定距離に配置される場合には、残りの植物栽培部(N個)に照射される光強度は、所定個数(L個)の植物栽培部(N個)に照射される光強度よりも大きくなる。例えば、播種、育苗の段階では残りの植物栽培部(N個)で植物を成長させ、種から葉が出た育成の段階では所定個数(L個)の植物栽培部で植物を成長させることによって効率的な植物栽培が可能となる。
さらには、第1の位置極部材と、第2の位置極部材の各々に、発光ダイオード保持部材の中心からの距離が異なる複数個の孔部を配するようにしてもよい。第1の位置極部材と第2の位置極部材の対面する2つの組となる孔部の位置が同一となるように予め設定しておき、第1の位置極部材の孔部に植物栽培部の一端を挿入し、第2の位置極部材の組となる孔部に植物栽培部の他端を挿入することによって、この中心からの距離が植物栽培部によって異なるようにできる。このようにすれば、植物栽培部ごとに照射される光強度を異ならせることができる。
複数個の植物栽培部を有する植物栽培装置は大型化する傾向にある。これに対し、本実施形態の小型化した植物栽培装置のすべての植物栽培部に作業者は容易に到達でき、植物の収穫が効率的に行なえる。さらに、第1の位置極部材または第2の位置極部材の少なくとも一方に装着され、該植物栽培装置の全体を移動可能とする移動部材を配すれば、該植物栽培装置を移動可能とすることができる。例えば、作業者は同じ位置に立って、該植物栽培装置を回転させて複数個の植物栽培部の各々に種を播き、該植物栽培装置を回転させて複数個の植物栽培部の各々から順次収穫することができる。また、植物栽培装置を自由に移動させて、収穫時期の順序に応じて整列させ複数個の植物栽培装置の各々から順次収穫することができる。
また、第1の位置極部材と第2の位置極部材とによって遊嵌される植物栽培部は、第1の位置極部材および第2の位置極部材に遊嵌した状態で回動可能である。種まき、収穫、成長度の検査等に際しては植物載置器内の植物を植物栽培装置の外方向に回動して作業者の手が触れ易くし、植物を成長させる際には植物載置器内の植物を光射出部の方向に回動して光を照射することができる。
(第2の実施形態)
発光ダイオード保持部材の熱伝導率は空気の熱伝導率よりも極めて高い(例えば、発光ダイオード保持部材がアルミニュームである場合にはアルミニュームの熱伝導率=236であるのに対して空気の熱伝導率=0.024である)ので、発光ダイオード保持部材の中空内部側面からの放熱が十分におこなえる場合には発光ダイオード保持部材の外面側から植物栽培部側への熱の放射は顕著に少なくなる。よって、光射出部発熱閉込部材を用いることがない以下の第2の実施形態も実施可能である。
発明を実施するための第2の実施形態の植物栽培装置は、熱伝導率の大きい中空のパイプ(高熱伝導率中空パイプ)によって形成される発光ダイオード保持部材と発光ダイオード保持部材の延びる方向と所定角度をなす方向に光を射出するために発光ダイオード保持部材の外面に配される複数個の発光ダイオードとを有する光射出部と、発光ダイオード保持部材に平行して延び植物を育てる複数個の植物載置器を配するための1または複数個の植物栽培部と、光射出部の一端と植物栽培部の一端との位置極をする第1の位置極部材、または光射出部の他端と植物栽培部の他端との位置極をする第2の位置極部材と、を備えるものである。
第2の実施形態の植物栽培装置は、第1の実施形態と同様に以下のようにもできる。
光射出部の一端は第1の位置極部材に固着され、光射出部の他端は第2の位置極部材に固着され、複数個の植物栽培部の各々の一端は第1の位置極部材に着脱可能とされるとともに複数個の植物栽培部の各々の他端は第2の位置極部材に着脱可能とされるようにしてもよい。
発光ダイオード保持部材の中空の内部の空気を排気させるための送風器を備えるようにしてもよく、発光ダイオード保持部材の中空の内部に冷却液を還流させるための冷却液還流器を備えるようにしてもよい。
複数個の植物栽培部の各々は発光ダイオード保持部材の中心から等距離となる同心円上に配置されるようにしてもよく、複数個の植物栽培部の中の所定個数の植物栽培部は、他の植物栽培部とは異なる発光ダイオード保持部材の中心からの距離となるように配置されるようにしてもよい。また、第1の位置極部材または第2の位置極部材の少なくとも一方に装着され、該植物栽培装置を移動可能とする移動部材を備えるようにしてもよい。
植物栽培装置は第1の位置極部材、または第2の位置極部材を有している。第1の位置極部材は光射出部の一端と植物栽培部の一端との位置極をする。第2の位置極部材は光射出部の他端と複数個の植物栽培部の各々の他端との位置極をする。植物栽培装置が、第1の位置極部材、または第2の位置極部材を有するとは、植物栽培装置が第1の位置極部材のみを有すること、植物栽培装置が第2の位置極部材のみを有すること、植物栽培装置が第1の位置極部材およびは第2の位置極部材を有することの3つの態様のいずれも含み、いずれも実施可能である。
位置極は、以下のいずれの方法も可能である。第1の位置極部材によって、光射出部と植物栽培部との相対的な位置関係が保たれ植物栽培装置を構成することができる。また、第2の位置極部材によって、光射出部と植物栽培部との相対的な位置関係が保たれ植物栽培装置を構成することができる。さらに、第1の位置極部材と第2の位置極部材とによって、光射出部と植物栽培部との相対的な位置関係が保たれ植物栽培装置を構成することができる。
(第1の実施形態の実施例)
図1ないし図13を参照して第1の実施形態の植物栽培装置についての具体的な実施例を説明する。各図において、すべての部材に符号を付すものではなく各図の説明に必要な範囲で符号を付す。
(第1の実施形態の第1の実施例)
図1は第1の実施形態の植物栽培装置の正面図、植物栽培装置の平面図を示す図である。図1(A)は正面図、図1(B)は図1(A)の紙面の上方から見た平面図である。
第1の実施形態の植物栽培装置1は、主要構成部材として、光射出部11と、光射出部発熱閉込部材12と、複数個の植物栽培部(植物栽培部13A、植物栽培部13B、植物栽培部13C、植物栽培部13D、植物栽培部13E、植物栽培部13F、植物栽培部13G、植物栽培部13H、植物栽培部13I、植物栽培部13J、植物栽培部13K、植物栽培部13L)と、位置極部材14(図2を参照、図1にはその一部の貫通孔板14aのみ記載有)と、位置極部材15(図2を参照、図1にはその一部の貫通孔板15aのみ記載有)と、を備える。植物栽培部13A〜植物栽培部13Lを植物栽培部13と以下では総称する。
植物栽培装置1は、高熱伝導率中空パイプによって形成される発光ダイオード保持部材11aと発光ダイオード保持部材の延びる方向である縦方向(図1の紙面の上下方向)と所定角度を有する方向に光を射出するために発光ダイオード保持部材11aの外面に配される複数個の発光ダイオード11bとを有する光射出部11を備える。高熱伝導率中空パイプとは、熱伝導率の大きい中空のパイプである。光射出部11は植物栽培装置1の中心の付近に配されており、光射出部発熱閉込部材12が光射出部11を取囲み、さらに、植物栽培部13A〜植物栽培部13Lからなる植物栽培部13が光射出部発熱閉込部材12を取囲む。植物栽培部13の個数は、第1の実施形態では12個の例で説明するが、個数はこれに限る物ではない。
発光ダイオード保持部材11aは熱伝導率(単位: W・m-1・K-1)の大きい部材(すなわち、熱抵抗率の小さい部材)で形成されるので、発光ダイオード11bの発熱の多くは発光ダイオード保持部材11aに伝わる。図1に示す発光ダイオード保持部材11aはアルミニュームで形成されている。発光ダイオード保持部材11aはアルミニュームに限ることなく、熱伝導率の大きい部材であれば、他の金属材料、例えば、銅を用いることができる。また、発光ダイオード保持部材11aとしてはカーボンナノチューブを金属材料または樹脂材料と混合する熱伝導率の大きい部材等も用いることができる。
発光ダイオード保持部材11aの延びる縦方向(図1(A)の紙面の上下方向)に配される発光ダイオード11bの個数は、植物栽培部13に配される植物載置器(図7の符号20を参照)の数に応じて適宜に定められる。発光ダイオード保持部材11aの周方向(図1(A)の紙面の上下方向に直交する横方向)に配される発光ダイオード11bの個数は、植物栽培装置1に配される植物栽培部13の数に応じて適宜に定められる。例えば、図1に示す植物栽培装置1においては、発光ダイオード保持部材11aの延びる方向には植物載置器(図1には図示しない、図7の符号20を参照)の個数と同じ個数である12個の発光ダイオード11bを配し、発光ダイオード保持部材11aの周方向に植物栽培部13の個数と同じ個数である12個の発光ダイオード11bを配し、全部で144個の発光ダイオード11bを配している。
図1には、位置極部材15(第1の位置極部材)の一部である貫通孔板(第1の貫通孔板)15aと、位置極部材(第2の位置極部材)14の一部である貫通孔板(第2の貫通孔板)14a、発光ダイオード保持部材固着板14c、孔部14aA、孔部14aB、孔部14aC、孔部14aD、孔部14aE、孔部14aF、孔部14aG、孔部14aH、孔部14aI、孔部14aJ、孔部14aKおよび孔部14aLと、養液タンク17の外面と、養液供給パイプ16a、養液循環パイプ16b、養液噴射部16A、養液噴射部16B、養液噴射部16C、養液噴射部16D、養液噴射部16E、養液噴射部16F、養液噴射部16G、養液噴射部16H、養液噴射部16I、養液噴射部16J、養液噴射部16Kおよび養液噴射部16Lと、が表れている。これらについては後述する。
図2は、植物栽培装置1を縦方向に切断する断面図である。
図2(A)は植物栽培装置1を図1(B)のイ−ロを結ぶ直線で縦方向に切断する断面図である。図2(B)は植物栽培部13Aを光が照射される方向から見た正面図である。植物栽培部13Aには縦方向に複数個の孔部201が配されている。この孔部201の各々は、その内で植物を育てる植物載置器20(図7を参照)を配するための孔部である。図2(C)は植物栽培部130Aに植物載置器200を予め配した植物載置器付の植物栽培部131Aを示す図である。図2(C)は図2(A)と同様の縦方向に切断する断面図である。
図2(C)の植物栽培部131Aにおいては、植物栽培部130Aと植物載置器200とを樹脂で一体形成して植物載置器付の植物栽培部131Aを製造してもよく、図2(B)に示す孔部201に植物載置器200として機能する円筒を接着剤等で固着して植物載置器付の植物栽培部131Aを製造してもよい。植物栽培部13Aないし植物栽培部13Lのすべて、または、その一部を植物栽培部131A、図示しない植物栽培部131Bないし植物栽培部131Lと置き換えてもよい。
図2を参照して空気の流れについて説明する。また養液の流れについて説明する。また、位置極部材(第1の位置極部材)15を構成する貫通孔板15a、植物栽培部縦方向位置極板15b、熱閉込部材横方向位置極部材15c、光射出部位置極部材15d、熱閉込部材縦方向位置極部材15eについて説明する。また、位置極部材14(第2の位置極部材)を構成する貫通孔板14a、熱閉込部材横方向位置極部材14b、発光ダイオード保持部材固着板14cについて説明する。
(空気の流れについての説明)
発光ダイオード保持部材11aの外面に配された発光ダイオード11bの生じる熱は発光ダイオード保持部材11aの断面を伝導して発光ダイオード保持部材11aの中空内部の側面(中空内部側面)にまで伝導する。発光ダイオード保持部材の中空内部は発光ダイオード保持部材11aの一端から他端まで抜けており、発光ダイオード保持部材11aの両端(一端および他端)以外ではこの中空内部は密閉されている。このような構造を採用することによって、中空内部側面の熱の作用により、発光ダイオード保持部材11aの中空内部はいわゆる煙突効果を発揮して、中空内部で上昇気流が発生し中空内部の下部から新鮮な空気を吸い込み中空内部の上部から熱せられた空気を放出する。この中空部内部の空気の流れは持続的に継続し、発光ダイオード11bが発生する熱は植物栽培装置1の外部に放出される。
発光ダイオード11bの光の射出する面側にも熱は発生する。この熱は以下に説明するようにして光射出部発熱閉込部材12によって植物栽培装置1の外部に放出される。
光射出部11を取囲むように光射出部発熱閉込部材12が配される。光射出部発熱閉込部材12は光射出部11と同方向である縦方向に延びる。光射出部発熱閉込部材12は発光ダイオードから射出される光を透過する光透過部材によって形成される中空のパイプである。各々の発光ダイオード11bから射出される光が屈折することなく植物栽培部13の植物栽培部13Aないし植物栽培部13Lの各々に向かって直進するためには、光射出部発熱閉込部材12の屈折率は1に近く、光の透過性が高い材料を用いることが望ましい。光射出部発熱閉込部材12の材料としてはプラスチック、アクリル等が用いられる。赤外線を遮断する材料によって光射出部発熱閉込部材12を形成すれば植物栽培部に対する熱の量をより減衰させることができる。なお、赤外線を遮断する材料を使うか否かは植物の種類により決められ、赤外線が成長に有効な植物の栽培に際しては赤外線を遮断する材料は用いられない。
光射出部発熱閉込部材12の形状については、光射出部11からの光を積極的に屈折させて植物栽培部の植物載置器に光を集中させるためのレンズのような形状を用いる場合を除き、発光ダイオード11bから射出する光が屈折、散乱することなく植物栽培部に向かって直進するような形状を採用することが望ましい。
各々の発光ダイオード11bから射出される光が屈折することなく植物栽培部13の植物栽培部13Aないし植物栽培部13Lの各々に向かって直進するために図2に示す植物栽培装置1においては、複数個の発光ダイオード11bが植物栽培装置1の中心部に配置され、植物栽培部13がこの中心部を中心とする同心円上に配置されている(図1(B)を参照)。
このような複数個の発光ダイオード11bと植物栽培部13との間に配置される光射出部発熱閉込部材12の形状は、断面が円形のドーナツ形状をしている円筒であれば散乱が生ぜず好適である。また、発光ダイオード保持部材11aの断面の形状が植物栽培部13の個数と同数の角を有する多角形(例えば、12角形)のパイプである場合には、光射出部発熱閉込部材12も同数の角を有する多角形として、多角形の角部を大きな強度の光線が通過して乱反射しないようにするために発光ダイオード保持部材11aの中心点から伸びる放射線上に発光ダイオード保持部材11aの角と光射出部発熱閉込部材12の角とを配置することが望ましい。
発光ダイオード11bの光の射出する面側(外面側)に放出される熱は光射出部発熱閉込部材12の中空内部に閉じ込められる。そして、光射出部発熱閉込部材12の両端以外では光射出部発熱閉込部材12の中空内部は密閉されている。このような構造を採用することによって、光射出部発熱閉込部材12の内部の熱の作用により光射出部発熱閉込部材12の中空内部はいわゆる煙突効果を発揮して、中空内部で上昇気流が発生し中空内部の下部から新鮮な空気を吸い込み中空内部の上部部から熱せられた空気を放出する。この中空部内部の空気の流れは持続的に継続し発光ダイオード11bの光の射出する面側に放出される熱は植物栽培装置1の外部に放出される。このようにして、植物栽培部に対する熱の量をより低減させることができる。
(養液の流れについての説明)
植物栽培装置1は植物栽培時においては、重力の作用による養液の自由落下を利用して植物栽培部13に植物の成長に必要な養分を水に混ぜた養液を供給する。養液循環機構16は養液循環ポンプ16cと養液循環パイプ16bと養液供給パイプ16aと養液噴射部16Aないし養液噴射部16Lとを有している。これらは、養液が流れる流路の一部となる。さらに、植物栽培部13Aないし植物栽培部13Lと養液タンク17も養液循環の流路の一部となる。
養液循環ポンプ16cは養液を循環させるために養液を吸い込む入力側が養液タンク17の養液中に配される。養液循環パイプ16bは養液循環ポンプ16cの出力側から送り出される養液を運ぶために養液循環ポンプ16cの出力側にその一端が接続されるパイプである。養液供給パイプ16aは養液循環パイプ16bの他端から送り出される養液を植物栽培部13の各々に供給するための養液噴射部16A、養液噴射部16B、養液噴射部16C、養液噴射部16D、養液噴射部16E、養液噴射部16F、養液噴射部16G、養液噴射部16H、養液噴射部16I、養液噴射部16J、養液噴射部16K、養液噴射部16Lを有する円環状の形状のパイプである。図2には、養液噴射部16A、養液噴射部16Gのみが表されている。
養液は、養液循環ポンプ16cの入力側、養液循環ポンプ16cの出力側、養液循環パイプ16b、養液供給パイプ16a、養液噴射部16Aないし養液噴射部16Gの各々、植物栽培部13Aないし植物栽培部13Lの各々、養液タンク17の内部に順に流れ、再び、養液循環ポンプ16cの入力側に入力され、循環する。養液中の養分の濃度および養液の量は適宜に測定され、適宜に調整、補給される。
養液タンク17は養液タンク壁部17aと養液タンク壁部15cとを有している。養液タンク壁部17aおよび養液タンク壁部15cの各々は樹脂で形成され、養液タンク壁部17aと養液タンク壁部15cとは接着剤で接着され、平面方向から見ると中心部は空洞となり、空洞の壁となる養液タンク壁部15cと外周の壁となる養液タンク壁部17aを有するドーナツ形状の養液タンクを構成する。
養液タンク壁部15cは、位置極部材15の構成部材である光射出部発熱閉込部材12を遊嵌するための熱閉込部材横方向位置極部材15cとしても機能する。なお、養液タンク17は、養液タンク壁部17aと養液タンク壁部15cとが樹脂で一体形成されるものであってもよい(図4(1B)を参照)。
養液タンク17の底部には360°の全方向に植物栽培装置1を移動可能とする移動部材18を備える。よって、植物栽培装置1は全方向に移動可能であり、発光ダイオード保持部材11aを回転中心として植物栽培装置1を回転させることもできる。
養液タンク壁部15c(熱閉込部材横方向位置極部材15c)は、上述したようにその機能面から見ると位置極部材15の一部を構成するとともに、養液タンク17の一部を構成している。よって、養液タンク17の底部の植物栽培装置1を移動可能とする移動部材18は、位置極部材15に配されているともいえる。このような観点から見ると、移動部材は位置極部材15に配するものであってもよく、位置極部材14に配するものであってもよい。
図示しないが360°の全方向に植物栽培装置1を移動可能とする移動部材は以下のように位置極部材14に配するものであってもよい。例えば、貫通孔板14aの最外周付近の4か所に鎖の一端を接続する4本の鎖の各々の他端を建屋の天井のフックに固着するものであってもよい。天井に対して回転可能なフックを用いて植物栽培装置1を回転させることができる。また、天井に対して移動可能なフックを用いて植物栽培装置1を移動させることができる。
(位置極部材について)
位置極部材15は貫通孔板15a、植物栽培部縦方向位置極板15b、熱閉込部材横方向位置極部材15c、光射出部位置極部材15d、および、熱閉込部材縦方向位置極部材15eを有する。
貫通孔板15aは、発光ダイオード保持部材11a、光射出部発熱閉込部材12、複数個の植物栽培部13、および、養液循環パイプ16bの各々を遊嵌する孔部を有している。発光ダイオード保持部材11a、光射出部発熱閉込部材12、および、養液循環パイプ16bの各々を遊嵌する孔部は、それらの部材の外径よりも若干大きい内径を有する。
複数個の植物栽培部13の各々を遊嵌する複数個の孔部は、複数個の植物栽培部13の各々の横方向の位置極をするのであるから、孔部の径が大きすぎれば横方向の位置極の精度が悪くなる。植物栽培部13を縦方向に簡単にずらすことができる程度の孔部の径があれば充分かつ好適である。図2には、植物栽培部13Aの一端を遊嵌する孔部15aA、植物栽培部13Gの一端を遊嵌する孔部15aGおよび光射出部発熱閉込部材12の一端を遊嵌する孔部15CHのみがあらわされている。
貫通孔板15aには、図2には図示しない、植物栽培部13Bを遊嵌する孔部15aB、植物栽培部13Cを遊嵌する孔部15aC、植物栽培部13Dを遊嵌する孔部15aD、植物栽培部13Eを遊嵌する孔部15aE、植物栽培部13Fを遊嵌する孔部15aF、植物栽培部13Hを遊嵌する孔部15aH、植物栽培部13Iを遊嵌する孔部15aI、植物栽培部13Jを遊嵌する孔部15aJ、植物栽培部13Kを遊嵌する孔部15aK、植物栽培部13Lを遊嵌する孔部15aLも同様に配置されている。
植物栽培部縦方向位置極板15bは複数個の植物栽培部13の各々の縦方向の位置極をする部材であり、植物栽培部13の一端を植物栽培部縦方向位置極板15bに当接するストッパーである。植物栽培部13の各々から流れ出る養液が通過するように植物栽培部縦方向位置極板15bは抜き孔を有する。抜き孔を通過した養液は養液タンク17の内部に流れる。
熱閉込部材横方向位置極部材15cは光射出部発熱閉込部材12の横方向の位置極をする。熱閉込部材横方向位置極部材15cの横方向の内径は光射出部発熱閉込部材12の横方向の外径よりも若干大きくされ、熱閉込部材横方向位置極部材15cは光射出部発熱閉込部材12を遊嵌する。熱閉込部材縦方向位置極部材15eは熱閉込部材横方向位置極部材15cに複数個配されている。熱閉込部材縦方向位置極部材15eが複数個配されているのは、光射出部発熱閉込部材12の一端から空気を取り入れながら光射出部発熱閉込部材12の縦方向の位置極ができるようにするためで、90°毎に4個、120°毎に3個、180°の角度を有して2個配してもよい。図2では4個の熱閉込部材縦方向位置極部材15eが配されている(図4(1A)を参照)。ここで、熱閉込部材横方向位置極部材15cは同時に養液タンク壁部15cとしても機能する。
4個の熱閉込部材縦方向位置極部材15eによって光射出部発熱閉込部材12に空気を流すための隙間が形成される。4個の熱閉込部材縦方向位置極部材15eの先端に円筒のカップである光射出部位置極部材15d(図4(1A)を参照)が固着されている。円筒のカップの下部には発光ダイオード保持部材11aの中空内部に空気を取入れるための孔部15g(図4(1A)を参照)が配されている。光射出部位置極部材15dの内径は発光ダイオード保持部材11aの外径よりも若干大きくされ、光射出部位置極部材15dは発光ダイオード保持部材11aを遊嵌して発光ダイオード保持部材11aの縦方向の位置極および横方向の位置極ができる。
位置極部材14は貫通孔板14a、熱閉込部材横方向位置極部材14bと発光ダイオード保持部材固着板14cとを有する。貫通孔板14aは、発光ダイオード保持部材11a、複数個の植物栽培部13、および、養液循環パイプ16bの各々を遊嵌する孔部を有している。発光ダイオード保持部材11a、光射出部発熱閉込部材12、および、養液循環パイプ16bの各々を遊嵌する孔部は、それらを遊嵌する大きさの内径を有する。
貫通孔板14aには予め、発光ダイオード保持部材固着板14cと熱閉込部材横方向位置極部材14bとが固着されている。発光ダイオード保持部材11aの他端が貫通孔板14aの発光ダイオード保持部材11a用の貫通孔を貫通した状態で発光ダイオード保持部材11aと貫通孔板14aとは固着されている。
発光ダイオード保持部材固着板14cは発光ダイオード保持部材11aに複数個配されている。発光ダイオード保持部材固着板14cが複数個配されているのは、発光ダイオード保持部材11aの他端から空気を排出するための空間を形成するためである。図1(B)に示すように4個の発光ダイオード保持部材固着板14cが配されている。同様にして熱閉込部材横方向位置極部材14bも4個配置されている。発光ダイオード保持部材固着板14cは、90°毎に4個に限られず、120°毎に3個、180°の角度を有して2個配してもよい。
4個の熱閉込部材横方向位置極部材14bによって光射出部発熱閉込部材12の横方向の位置極がされる。4個の熱閉込部材横方向位置極部材14bの中心部に空間が形成され、その空間に光射出部発熱閉込部材12の他端が遊嵌されている。
このようにして、発光ダイオード保持部材11aの他端と光射出部発熱閉込部材12の他端とから空気を排出できるとともに、発光ダイオード保持部材11aの他端を基準として貫通孔板14aを介して光射出部発熱閉込部材12の他端、複数個の植物栽培部13の各々の他端の位置極がなされている。すなわち、発光ダイオード保持部材11aの他端に貫通孔板14aおよび熱閉込部材横方向位置極部材14bが固着され、貫通孔板14aの孔部14aAないし孔部14aLの各々に植物栽培部13Aないし植物栽培部13Lの各々が遊嵌され、熱閉込部材横方向位置極部材14bが形成する空間に光射出部発熱閉込部材12が遊嵌するようになされている。
図3、図4は植物栽培装置1が実施可能(生産可能)であることを示すための図である。
図3は植物栽培装置1を構成する各部の部材の総図である。
図3は各主要部材を配置して植物栽培装置1が実際に製造可能であることを簡易に表示する。図3で符号を付けた部材である、光射出部11と、光射出部発熱閉込部材12、植物栽培部13、位置極部材14、位置極部材15が植物栽培装置1を構成する主要部材である。
図4ないし図6は植物栽培装置1の組み立て順序を示す図である。
図4は第1の組立工程等を示す図である。
図4(1)は植物栽培装置1の養液タンク17の内部と底部とに部材を配置するまでの工程(第1の組立工程)の断面図である。図4(1)は図2と同様の断面から見る断面図である。第1の組立工程では、まず、養液タンク17の内部に、位置極部材15を構成する貫通孔板15a、植物栽培部縦方向位置極板15b、熱閉込部材横方向位置極部材15c、光射出部位置極部材15d、熱閉込部材縦方向位置極部材15e、養液循環パイプ16bを取り付けた養液循環ポンプ16cを配置する。次に、円形平板である貫通孔板15aを養液タンク17の上部に配置してビスで固着する。このとき、貫通孔板15aの孔部15a16bに養液循環パイプ16bを遊嵌させる。
図4(1A)は図4(1)の矢印ハの方向から見る平面図である。貫通孔板15aには、孔部15aA、15aG、および、符号を省略する孔部15aB、孔部15aC、孔部15aD、孔部15aE、孔部15aF、孔部15aH、孔部15aI、孔部15aJ、孔部15aK、孔部15aLが配され、各々の植物栽培部13を遊嵌することができる。また、貫通孔板15aの円の中心部には、孔部15CHが配され、発光ダイオード保持部材11aと光射出部発熱閉込部材12とを遊嵌することができる。貫通孔板15aには孔部15a16bが配され養液循環パイプ16bを遊嵌することができる。
図4(1B)は図4(1)に示す養液タンク17とは別の形態の養液タンク171の断面図である。養液タンク171は、図4(1)に示すように養液タンク壁部15c(熱閉込部材横方向位置極部材15c)を別部材として配することなく、図4(1B)に示すように養液タンク壁部17aと養液タンク壁部15cとを樹脂材料で一体成型するものである。養液タンク17に替えて養液タンク171を用いることもできる。
図5は第2の組立工程(図5(2))、第3の組立工程(図5(3))を示す図である。
図5(2)は植物栽培装置1の光射出部発熱閉込部材12の横方向と縦方向の位置極をするまでの図である。
図5(2)に示すように第2の組立工程では、熱閉込部材横方向位置極部材15cの内部に光射出部発熱閉込部材12を遊嵌して光射出部発熱閉込部材12の横方向の位置極をし、光射出部発熱閉込部材12の一端を熱閉込部材縦方向位置極部材15eと当接して光射出部発熱閉込部材12の縦方向の位置極をする。
図5(3)は植物栽培装置1の光射出部11の位置極をするまでの図である。
図5(3)に示すように第3の組立工程では、光射出部位置極部材15dの内部に位置極部材14が既に固着された光射出部11を遊嵌し、光射出部11の横方向と縦方向の位置極をする。
図6は第4の組立工程(図6(4))、第5の組立工程(図6(5))を示す図である。
図6(4)は養液循環パイプ16bを養液供給パイプ16aに接続するまでの図である。
図6(4)に示すように第4の組立工程では、養液循環パイプ16bを養液供給パイプ16aに接続し、養液循環パイプに配される養液噴射部16Aは孔部14aAの真上または中心付近に、養液噴射部16Gは孔部14aGの真上または中心付近に配置し、図6(4)には図示しないその他の養液噴射部材である、養液噴射部16Bは孔部14aBの真上または中心付近に、養液噴射部16Cは孔部14aCの真上または中心付近に、養液噴射部16Dは孔部14aDの真上または中心付近に、養液噴射部16Eは孔部14aEの真上または中心付近に、養液噴射部16Fは孔部14aFの真上または中心付近に、養液噴射部16Hは孔部14aHの真上または中心付近に、養液噴射部16Iは孔部14aIの真上または中心付近に、養液噴射部16Jは孔部14aJの真上または中心付近に、養液噴射部16Kは孔部14aKの真上または中心付近に、養液噴射部16Lは孔部14aLの真上または中心付近に各々配置する。
図6(5)は植物栽培部13を位置極部材15と位置極部材14に配置するまでの図である。
図6(5)に示す第5の組立工程では、孔部14aAの下方から植物栽培部13Aの他端を挿入して、その後に植物栽培部13Aの一端を孔部15aAに挿入することによって植物栽培部13Aの両端を孔部14aAと孔部15aAとに各々遊嵌する。同様にして。孔部14aGの下方から植物栽培部13Gの他端を挿入して、その後に植物栽培部13Gの一端を孔部15aAに挿入することによって植物栽培部13Gの両端を孔部14aGと孔部15aGとに各々遊嵌する。
図6には図示しないが、同様にして、植物栽培部13Bの両端を孔部14aBと孔部15aBとに各々遊嵌し、植物栽培部13Cの両端を孔部14aCと孔部15aCとに各々遊嵌し、植物栽培部13Dの両端を孔部14aDと孔部15aDとに各々遊嵌し、植物栽培部13Eの両端を孔部14aEと孔部15aEとに各々遊嵌し、植物栽培部13Fの両端を孔部14aFと孔部15aFとに各々遊嵌し、植物栽培部13Hの両端を孔部14aHと孔部15aHとに各々遊嵌し、植物栽培部13Iの両端を孔部14aIと孔部15aIとに各々遊嵌し、植物栽培部13Jの両端を孔部14aJと孔部15aJとに各々遊嵌し、植物栽培部13Kの両端を孔部14aKと孔部15aKとに各々遊嵌し、植物栽培部13Lの両端を孔部14aLと孔部15aLとに各々遊嵌する。
植物栽培部13Aを取外す場合には、植物栽培部13Aを上方に押し上げて植物栽培部13Aの一端を孔部15aAから取り外し、植物栽培部13Aの一端を横方向にずらして下方に引いて植物栽培部13Aの他端も孔部14aAから取り外すことができる。他の植物栽培部13Bないし植物栽培部13Lも同様にして取外すことができる。
図7は植物栽培部13に植物載置器20を装着して植物を栽培中の図である。
図7(A)、図7(B)に示す図では、1個の植物栽培部13Gに12個の植物載置器20を縦一列に装着しているが、一列に装着する植物載置器20の個数は12個に限る物ではない。植物栽培部13Gに植物載置器20を装着した後に植物栽培部13Gを位置極部材14および位置極部材15に装着するか、植物栽培部13Gに植物載置器20を装着する前に植物栽培部13Gを位置極部材14および位置極部材15に装着するかは自由に選択することができる。他の植物栽培部についても同様である。
また、植物栽培部13Gに植物載置器20を装着した後に植物21を図7に示す位置に置くか、植物栽培部13Gに植物載置器20を装着する前に植物21を図7に示す位置に置くかも自由に選択することができる。他の植物栽培部についても同様である。
さらに、植物栽培部13Gを位置極部材14および位置極部材15に装着した状態で180°回動させることによって、植物21を光射出部11に対面する向き(内側向き)から作業者側の向き(外側向き)に移動させることができる。作業者側の向きにすれば、播種の段階での植物21の植物栽培部13Gへの配置、収穫時期における植物21の収穫、成長過程における植物の選別を容易におこなうことができる。また、植物の度の成長段階においても作業者側の向き(外側向き)に植物栽培部13を回動させて、植物載置器20を植物栽培部13に装着し、植物載置器20から植物栽培部13を外すことが自由にできる。
なお、植物21の栽培に際しては、植物載置器20の中に配される図示しないスポンジの培地に種を植え付け、植物21を栽培する。スポンジの培地には上側から落下する養液が沁みて植物21に養液が供給される。
図7(A)、図7(B)に示す図では、所定角度θは90°に設定している。所定角度θは発光ダイオード11bからの光の強度(光強度)が最も強くなる方向(光強度最大となる光線の方向)と発光ダイオード保持部材11aとのなす角度である。所定角度θは、発光ダイオード保持部材11aに配置される発光ダイオード11bの取付角度を調整して適宜に設定できる。所定角度θが90°となる方向に植物21を配置すると、発光ダイオード11bと植物21との離間距離が最少となり植物21に照射される光の強度は最大となり、光の利用率は高い。実施形態においては、所定角度θを90°に設定しているが、例えば、所定角度θは90°ないし150°の適宜な範囲に選ぶことができる。
図7(C)、図7(D)に示す図は所定角度θの意味を示すための図である。破線は発光ダイオード11bの発光点から等距離Rとなる位置における光強度を示す図である。図7(C)は所定角度θ=90°の場合を示す図である、光強度最大となる光線の方向は最大光強度Pmとなる位置と発光ダイオード11bの発光点とを結ぶ線方向である。図7(D)は所定角度θ=105°の場合を示す図である、光強度最大となる光線の方向は点Pmとなる位置と発光ダイオード11bの発光点とを結ぶ線方向である。発光ダイオード保持部材11aとのなす角度=90°方向の光線の光強度はP90であり、P90<Pmである。図7(D)では発光ダイオード11bの取付角度は台座を用いて設定している。
図7(A)と図7(B)とでは植物栽培部縦方向位置極板15bの養液タンク17における取付位置が異なる。植物の成長の段階に応じて植物栽培部縦方向位置極板15bの取付位置を異ならせることによって、植物栽培部縦方向位置極板15bの位置を常に一定の取付位置とするよりも良好な植物栽培の環境を提供することができる。
植物の栽培には、播種(種まき)の段階、育苗(芽から双葉への成長)の段階、育成(葉、果実の成長)の段階がある。図7(A)に示す段階は育成の段階であり葉の先端付近に強い光が照射される。図7(B)に示す育苗の段階においては双葉に十分に光が照射される。播種の段階においては、図示はしないが図7(B)に示すと同様にして、種または種を覆う土壌に十分に光が照射されるようにする。植物の種類ごとに望ましい光の照射方法があり、上述の光照射の方法は一つの例である。
図7(B)では、光射出部11(すなわち発光ダイオード11b)に対する植物栽培部13G(すなわち植物載置器20)の相対位置を図7(A)におけるよりも高くしている。具体的には、図7(B)では、植物栽培部縦方向位置極板15bを上方に移動して植物栽培部13Gの光射出部11に対する相対位置を図7(A)におけるよりも高くしている。
上述するように播種の段階、育苗の段階、育成の各段階において発光ダイオード11bと植物載置器20との縦方向の相対配置を容易に変更できるとすれば、発光ダイオード11bの光強度をより低減させ、発光ダイオード11bの消費電力をより低減し、発光ダイオード11bの発する熱をより低減して、植物栽培装置1のより小型化を図ることができる。さらに、光が植物21を照射する位置を植物成長の段階に応じて適切に管理して種まきから収穫までの時間を短くするとともに、植物の品質の向上を図ることができる。
以下に第1実施形態の種々の変形例を示す。
(第1の実施形態の第2の実施例)
図8は第1の実施形態の第2の実施例を示す図である。
第1の実施形態の第2の実施例では、光射出部11および光射出部発熱閉込部材12の一端の下方から中空内部に空気を強制的に吹き込み、換気をする実施例である。換気扇31を光射出部11および光射出部発熱閉込部材12の一端の下方に配して強制換気をおこなう。
(第1の実施形態の第3の実施例)
図9は第1の実施形態の第3の実施例を示す図である。
第1の実施形態の第3の実施例では、光射出部11の中空内部に冷却液、例えば、冷却水を還流するものである。冷却水は冷却液還流器(ポンプ)33が冷却水を還流し熱交換器(ラジエータ)34が温かくなった冷却液(温水)から熱を奪い再び冷却水に戻す。冷却液循環パイプ35は冷却液を循環させるためのパイプである。発光ダイオード保持部材11aの一端および発光ダイオード保持部材11aの他端には冷却液循環パイプ35の一端および冷却液循環パイプ35の他端の各々が接続されている。また、光射出部発熱閉込部材12の一端の下方から中空内部に空気を強制的に吹き込み換気している。換気扇31および換気扇32は、光射出部発熱閉込部材12の一端の下方から中空内部に空気を吹き込み強制的に換気をする。
(第1の実施形態の第4の実施例)
図10は第1の実施形態の第4の実施例を示す図である。
図10(A)に示す第1の実施形態の第4の実施例では、位置極部材15は貫通孔板15aのみを第1の位置極部材として用いるものである。光射出部11と光射出部発熱閉込部材12との間にはドーナツ形状のスペーサ40が配される。スペーサ40の外周部に光射出部発熱閉込部材12の内側面が当接し、スペーサ40の内周部に光射出部11の外側面が当接して、光射出部11と光射出部発熱閉込部材12との間隔を適切に保つ。
光射出部11と光射出部発熱閉込部材12との各々の側面であって、貫通孔板15aよりも上部に空気を取り入れるための孔部(空気取入孔部)が設けられる。図10(B)は空気取入孔部を示す図である。光射出部11の一端は養液タンク17の内面底部に当接して光射出部11の縦方向の位置極をする。貫通孔板15aの孔部15CHは、光射出部発熱閉込部材12を遊嵌して光射出部11と光射出部発熱閉込部材12との縦方向の位置極をする。すなわち、養液タンク17の内面底部は光射出部11と光射出部発熱閉込部材12との縦方向の位置極部材として機能する。
光射出部11(すなわち発光ダイオード11b)に対する植物栽培部13A(すなわち植物載置器20)の相対位置は、植物栽培部13Aの相対位置極ビス15fAが挿入される縦方向の位置によって極られる。光射出部11に対する植物栽培部13Gの相対位置は、植物栽培部13Gの相対位置極ビス15fGが挿入される縦方向の位置によって極られる。このようにすれば、養液タンク173の構造は上部に大きな孔部を有する簡単な円筒とすることができる。
同様にして図示しない、光射出部11に対する植物栽培部13Bの相対位置は、植物栽培部13Bの相対位置極ビス15fBが挿入される縦方向の位置によって極られ、光射出部11に対する植物栽培部13Cの相対位置は、植物栽培部13Cの相対位置極ビス15fCが挿入される縦方向の位置によって極られ、光射出部11に対する植物栽培部13Dの相対位置は、植物栽培部13Dの相対位置極ビス15fDが挿入される縦方向の位置によって極られ、光射出部11に対する植物栽培部13Eの相対位置は、植物栽培部13Eの相対位置極ビス15fEが挿入される縦方向の位置によって極られ、光射出部11に対する植物栽培部13Fの相対位置は、植物栽培部13Fの相対位置極ビス15fFが挿入される縦方向の位置によって極られ、光射出部11に対する植物栽培部13Hの相対位置は、植物栽培部13Hの相対位置極ビス15fHが挿入される縦方向の位置によって極られ、光射出部11に対する植物栽培部13Iの相対位置は、植物栽培部13Iの相対位置極ビス15fIが挿入される縦方向の位置によって極られ、光射出部11に対する植物栽培部13Jの相対位置は、植物栽培部13Jの相対位置極ビス15fJが挿入される縦方向の位置によって極られ、光射出部11に対する植物栽培部13Kの相対位置は、植物栽培部13Kの相対位置極ビス15fKが挿入される縦方向の位置によって極られ、光射出部11に対する植物栽培部13Lの相対位置は、植物栽培部13Lの相対位置極ビス15fLが挿入される縦方向の位置によって極られる。
(第1の実施形態の第5の実施例)
図11は第1の実施形態の第5の実施例を示す図である。
第1の実施形態の第5の実施例では、図10に示す第1の実施形態の第4の実施例にさらに換気扇31を配するものである。光射出部11と光射出部発熱閉込部材12の各々の側面の換気扇31と対面する部分に空気取入孔部が設けられ換気扇31から光射出部11の中空内部と光射出部発熱閉込部材12の中空内部とに空気が吹き込まれる。光射出部11の空気取入孔部の面積と光射出部発熱閉込部材12の空気取入孔部の面積との比率に応じて、光射出部11の中空内部に吹き込まれる空気の量と光射出部発熱閉込部材12の中空内部に吹き込まれる空気の量との比率が適宜に調整される。例えば、光射出部11の空気取入孔部の面積を光射出部発熱閉込部材12の空気取入孔部の面積よりも大きくして、両者の比率を1:1にすることができる。
(第1の実施形態の第6の実施例ないし第9の実施例)
図12は第1の実施形態の第6の実施例ないし第9の実施例を示す図である。
第1の実施形態において、第2の位置極部材である位置極部材14を用いることなく、第1の位置極部材である位置極部材15のみを用いて、光射出部11の一端と光射出部発熱閉込部材12の一端と植物栽培部13の一端との位置極をすることができる。以下、代表的な実施例についてのみ図を参照して説明するが、第1の実施形態の第1の実施例ないし第5の実施例のすべてについて、位置極部材14を用いない実施例が実施できる。
図12(A)の第6の実施例は図2に示す第1の実施形態の第1の実施例の位置極部材14を取り去るものである。図12(B)の第7の実施例は図9に示す第1の実施形態の第3の実施例の位置極部材14を取り去るものである。図12(C)の第8の実施例は図10に示す第1の実施形態の第4の実施例の位置極部材14を取り去るものである。図12(D)の第9の実施例は図11に示す第1の実施形態の第5の実施例の位置極部材14を取り去るものである。
(第1の実施形態の第10の実施例)
図13は第1の実施形態の第10の実施例を示す図である。
第1の実施形態において、第1の位置極部材15を用いることなく、第2の位置極部材のみを用いて、光射出部の他端と光射出部発熱閉込部材の他端と植物栽培部との他端との位置極をすることができる。以下、代表的な第10の実施例について図13を参照して説明する。
図13(A)は断面図、図13(B)は上方から見る正面図である。図13(C)は位置極部材140の付近の断面拡大図である。
第1の実施形態の第10の実施例では、図13(A)に示すように第1の位置極部材は用いない。第2の位置極部材である位置極部材140のみを用いて、光射出部110の他端と光射出部発熱閉込部材120の他端と植物栽培部133(図示されている植物栽培部133A、植物栽培部133G以外のその他の植物栽培部も含む)の他端との位置極をする。
位置極部材140は螺合によって光射出部110の他端と光射出部発熱閉込部材120の他端と植物栽培部133Aないし植物栽培部133Lの各々の他端との位置極をする。位置極部材140は、ねじ付貫通孔板14dとねじ付貫通孔板保持部材14eとを有している。
ねじ付貫通孔板14dは光射出部発熱閉込部材120と螺合する孔部を有している。また、ねじ付貫通孔板14dは植物栽培部133Aないし植物栽培部133Lの各々と螺合する孔部を有している。すなわち、ねじ付貫通孔板14dの各々の孔部の内側面には、ねじが形成されている。一方、光射出部発熱閉込部材120の外側面には、孔部の内側面のねじと螺合するねじが形成されている。植物栽培部133Aないし植物栽培部133Lの各々の外側面には、孔部の内側面のねじと螺合するねじが形成されている。
光射出部発熱閉込部材120の内側面と光射出部110の外側面との間に配されるスペーサ41によって光射出部発熱閉込部材120と光射出部110とは固着されている。4個のスペーサ41の隙間から空気は流れる。ねじ付貫通孔板14dは、ねじ14fによってねじ付貫通孔板保持部材14eを介して養液タンク17に固着されている。
ねじ付貫通孔板14dの孔部に光射出部発熱閉込部材120が螺合されて光射出部発熱閉込部材120の位置極がされ、ねじ付貫通孔板14dの孔部に植物栽培部133Aないし植物栽培部133Lの各々が螺合されて植物栽培部133Aないし植物栽培部133Lの各々の位置極がされる。光射出部発熱閉込部材120のねじ込み量、植物栽培部133Aないし植物栽培部133Lの各々のねじ込み量によって光射出部発熱閉込部材120と植物栽培部133Aないし植物栽培部133Lの各々との縦方向の相対位置を適宜に調整することができる。
また、後述する図20(C)に示す構成と同様に、ねじ付貫通孔板14dをねじの付かない貫通孔板に替えて、貫通孔板の孔部に遊嵌する、ねじ付の光射出部発熱閉込部材120に螺合する2つのナットで貫通孔板の両面を締めてもよい。同様にして、ねじ付の植物栽培部133Aないし植物栽培部133Lの各々に螺合する2個1組のナットで各々の貫通孔板の両面を締めて、各々の植物栽培部の他端の位置極をするようにしてもよい。
また、後述する図20(D)に示す構成と同様に、ねじ付貫通孔板14dをねじの付かない貫通孔板に替えて、光射出部発熱閉込部材120を、ばね143dを光射出部発熱閉込部材の他端に配するものに替え、ねじ付の植物栽培部133A等を、ばね143dを植物栽培部の他端に配するものに替えてもよい。そして、ねじの付かない貫通孔板にこの光射出部発熱閉込部材の他端とこれらの植物栽培部の他端とを位置極するようにしてもよい。
さらに、後述する図20(E)に示す構成と同様に、ねじ付貫通孔板14dをねじの付かない貫通孔板に替えて、光射出部発熱閉込部材120を、ヒンジ144Aを光射出部発熱閉込部材の他端に配するものに替え、ねじ付の植物栽培部133A等を、ヒンジ144Aを植物栽培部の他端に配するものに替えてもよい。そして、ねじの付かない貫通孔板にこの光射出部発熱閉込部材の他端とこれらの植物栽培部の他端とを位置極するようにしてもよい。
第1の位置極部材を用いることなく、第2の位置極部材のみを用いて、光射出部の他端と光射出部発熱閉込部材の他端と植物栽培部との他端との位置極をする実施例は第10の実施例に限るものではなく、第10の実施例と上述した第1実施形態の他の実施例と組み合わせることによっても実施可能である。
(第2の実施形態)
第2の実施形態は第1の実施形態において光射出部発熱閉込部材12を取り去ったものである。上述した第1の実施形態において発光ダイオード保持部材11aが熱伝導率の大きい部材で形成され、発光ダイオード11bの発熱の殆どを発光ダイオード保持部材11aの中空内部に伝え、中空内部からの放熱を十分におこなう場合には、光射出部発熱閉込部材12を取り去っても本実施形態の所望の効果を奏するので実施可能である。また、発光ダイオード保持部材11aの熱伝導率がさほど大きくない部材を用いる場合においても、発光ダイオード保持部材11aと植物栽培部13との離間距離を比較的大きくし、発光ダイオード保持部材11aの外面側から植物栽培部13の中の植物に対して放出される熱の量が熱障害を生じさせない程度に小さくし、光射出部発熱閉込部材12を取り去っても本実施形態の所望の効果を奏するので実施可能である。第1の実施形態において光射出部発熱閉込部材12を取り去ったものすべてについて実施可能である。以下にいくつかの代表的な実施例について説明する。
(第2の実施形態の第1の実施例)
図14は第2の実施形態の第1の実施例を示す図である。
第2の実施形態の第1の実施例は図2に示す第1の実施形態の第1の実施例から光射出部発熱閉込部材12を取り去ったものである。第2の実施形態の第1の実施例においては、光射出部11の中空内部および光射出部11の外部側面に空気を流すことによって光射出部11の冷却をする。
(第2の実施形態の第2の実施例)
図示はしないが、図8に示す第1の実施形態の第2の実施例から光射出部発熱閉込部材12を取り去った第2の実施形態の第2の実施例も実施可能である。
(第2の実施形態の第3の実施例)
図15は第2の実施形態の第3の実施例を示す図である。
図15に示す第2の実施形態の第3の実施例は、図9に示す第1の実施形態の第3の実施例から光射出部発熱閉込部材12、換気扇31、換気扇32を取り去ったものである。
(第2の実施形態の第4の実施例)
図16は第2の実施形態の第4の実施例を示す図である。
図16に示す第2の実施形態の第4の実施例は、図10に示す第1の実施形態の第4の実施例から光射出部発熱閉込部材12、スペーサ40を取り去ったものである。貫通孔板15aの孔部15CHは光射出部11を遊嵌して光射出部11の横方向の位置極をする。貫通孔板15aよりも上部の光射出部11には空気を取り入れるための空気取入孔部が設けられる。光射出部11の一端は養液タンク173の内面底部に当接して光射出部11の縦方向の位置極をする。貫通孔板15aの孔部15CHの内径は光射出部11の外径よりも若干大きくされ、光射出部11を遊嵌して光射出部11の横方向の位置極をする。
(第2の実施形態の第5の実施例)
図示はしないが、図11に示す第1の実施形態の第5の実施例から光射出部発熱閉込部材12、スペーサ40を取り去った第2の実施形態の第2の実施例も実施可能である。
(第2の実施形態の第6の実施例)
図17は第2の実施形態の第6の実施例を示す図である。
図17に示す第2の実施形態の第6実施例は、植物栽培部として植物栽培部13Aの1個のみを用い、養液タンク174は上部に植物栽培部13Aを遊嵌する孔部と養液循環パイプ16bを遊嵌する孔部とを配し、形状を直方体とするものである。
図17(A)は断面図、図17(B)は、複数個の植物栽培装置を並べたところを上方から見る図である。冷却水は冷却液還流器33によって発光ダイオード保持部材11aの内部を還流し、熱交換器34によって冷却水の熱は吸収される。熱交換器34からの熱は熱誘導ダクト34aに導かれ、熱誘導ダクト34bに合流して植物栽培装置を設置した室内から室外に排気される。第2の実施形態の第6実施例の植物栽培装置は並列に複数個並べて空間を有効利用できるとともに、室外に排気をするので植物栽培装置を設置する室内の温度管理が容易である。
(第2の実施形態の第7の実施例)
第2の実施形態において、第1の位置極部材を用いることなく、第2の位置極部材のみを用いて、光射出部の他端と植物栽培部との他端との位置極をすることができる。以下、代表的な第7の実施例について図18を参照して説明する。
図18は第2の実施形態の第7の実施例を示す図である。
図18(A)は断面図、図18(B)は上方から見る正面図である。図13(C)は位置極部材141の付近の断面拡大図である。
第2の実施形態の第7の実施例において第1の位置極部材を用いることなく、第2の位置極部材である位置極部材141のみを用いて、光射出部114の他端と植物栽培部133(植物栽培部133A、植物栽培部133Gのみが符号を付して図示されている)の他端との位置極をすることができる。
この第2の実施形態の第7の実施例は、第2の実施形態の第4の実施例の変形例でもあり、図13に示す第1の実施形態の第10の実施例から光射出部発熱閉込部材120、スペーサ41を取り去った変形例でもある。位置極部材141は螺合によって光射出部114の他端と植物栽培部133Aないし植物栽培部133Lの各々の他端との位置極をする。位置極部材141は、ねじ付貫通孔板14gとねじ付貫通孔板保持部材14eとを有している。
ねじ付貫通孔板14gは光射出部114と螺合する孔部を有している。また、ねじ付貫通孔板14gは植物栽培部133Aないし植物栽培部133Lの各々と螺合する孔部を有している。すなわち、ねじ付貫通孔板14gの各々の孔部の内側面には、ねじが形成されている。光射出部114の外側面には、孔部の内側面のねじと螺合するねじが形成されている。植物栽培部133Aないし植物栽培部133Lの各々の外側面には、孔部の内側面のねじと螺合するねじが形成されている。
ねじ付貫通孔板14gの孔部に光射出部114が螺合されて光射出部114の位置極がされ、ねじ付貫通孔板14gの孔部に植物栽培部133Aないし植物栽培部133Lの各々が螺合されて植物栽培部133Aないし植物栽培部133Lの各々の位置極がされる。光射出部114のねじ込み量、植物栽培部133Aないし植物栽培部133Lの各々のねじ込み量によって光射出部114と植物栽培部133Aないし植物栽培部133Lの各々との縦方向の相対位置を適宜に調整することができる。
また、後述する図20(C)に示す構成と同様に、ねじ付貫通孔板14gをねじの付かない貫通孔板に替えて、この貫通孔板の孔部に遊嵌する、ねじ付の光射出部114に螺合する2つのナットで貫通孔板の上と下の両面を締めてもよい。同様にして、ねじ付の植物栽培部133Aないし植物栽培部133Lの各々に螺合する2個1組のナットで各々の貫通孔板の両面を締めて、各々の植物栽培部の他端の位置極をするようにしてもよい。
また、後述する図20(D)に示す構成と同様に、ねじ付貫通孔板14gをねじの付かない貫通孔板に替えて、ねじ付の光射出部114を、ばね143dを光射出部の他端に配するものに替え、ねじ付の植物栽培部133A等を、ばね143dを植物栽培部の他端に配するものに替えてもよい。そして、ねじの付かない貫通孔板にこの光射出部の他端とこれらの植物栽培部の他端とを位置極するようにしてもよい。
さらに、後述する図20(E)に示す構成と同様に、ねじ付貫通孔板14gをねじの付かない貫通孔板に替えて、ねじ付の光射出部114を、ヒンジ144Aを光射出部の他端に配するものに替え、ねじ付の植物栽培部133A等を、ヒンジ144Aを植物栽培部の他端に配するものに替えてもよい。そして、ねじの付かない貫通孔板にこの光射出部の他端とこれらの植物栽培部の他端とを位置極するようにしてもよい。
(その他の実施形態の第1の実施例)
図19は、その他の実施形態の第1の実施例を示す図である。
図19は、光射出部11からの距離が異なる植物栽培部を有する植物栽培装置の平面図である。図19に示すその他の実施形態の第1の実施例は、図1に示す光射出部11からの距離が同一である植物栽培部を有する植物栽培装置1において、光射出部11からの距離が異なる植物栽培部を有するように変形するものである。図19(A)は、図1(B)に対応する図であり、図19(B)は、図4(1A)に対応する図である。
図19は、すべて(図19では12個)の植物栽培部13の中の所定数(図19では7個)の植物栽培部の光射出部11からの距離が、残りの個数(図19では5個)の植物栽培部の光射出部11からの距離よりも大きくなるように、位置極部材14の貫通孔板14aと位置極部材15の貫通孔板15aとを構成する実施例である。
図19(A)は上方から見た位置極部材14の平面図を示し、図19(B)は上方から見た位置極部材14の平面図を示す。
図19(A)に示すように孔部14aA 、孔部14aB、孔部14aC、孔部14aD、孔部14aJ、孔部14aK、孔部14aLの光射出部11からの離間距離は、孔部14aE、孔部14aF、孔部14aG、孔部14aH、孔部14aIの光射出部11からの離間距離よりも大きい。従って、植物栽培部13A、植物栽培部13B、植物栽培部13C、植物栽培部13D、植物栽培部13J、植物栽培部13K、植物栽培部13Lの光射出部11からの離間距離は、植物栽培部13E、植物栽培部13F、植物栽培部13G、植物栽培部13H、植物栽培部13Iの光射出部11からの離間距離よりも大きくなる。
このようにすれば、一つの植物栽培装置で複数種類の植物を育てることもできる。また、播種、育苗の段階では光射出部11からの離間距離が小さい植物栽培部13E、植物栽培部13F、植物栽培部13G、植物栽培部13H、植物栽培部13Iで植物を栽培し、育成の段階では光射出部11からの離間距離がより大きい植物栽培部13A、植物栽培部13B、植物栽培部13C、植物栽培部13D、植物栽培部13J、植物栽培部13Kで植物を栽培することが可能となる。
図19(A)に示すように養液供給パイプ16aの形状は変則的に曲げられており、各々の植物栽培部の空間内部に養液を噴出できるようにされている。図19(B)に示すように、孔部14aA、孔部14aB、孔部14aC、孔部14aD、孔部14aJ、孔部14aK、孔部14aLの各々に対応する位置に孔部15aA、孔部15aB、孔部15aC、孔部15aD、孔部15aJ、孔部15aK、孔部15aLの各々が配されている。また、孔部14aE、孔部14aF、孔部14aG、孔部14aH、孔部14aIの各々に対応する位置に孔部15aE、孔部15aF、孔部15aG、孔部15aH、孔部15aIの各々が配されている。
(その他の実施形態の第2の実施例)
図20は、その他の実施形態の第2の実施例を示す図である。
図20は、第1の位置極部材の変形例であり、螺合によって光射出部と係合する場合の例である。図20(A)は比較のための図14に示す第2の実施形態の第1の実施例の位置極部材14である。図20(B)に示す実施例は図18に示す第2の実施形態の第7の実施例と同様の構成のものである。光射出部111の他端にねじが設けられている。光射出部111のねじに噛み合うように位置極部材141の貫通孔板141aの中心部の孔部の内面にも同じピッチのねじが配されている。よって、光射出部111と位置極部材141とを螺合させ位置極ができる。
図20(C)に示す実施例では光射出部112の他端にねじが設けられている。位置極部材142の貫通孔板142aの中心部の孔部の内径は光射出部112を遊嵌するように光射出部112の外径よりも大きくされている。貫通孔板142aの中心部の孔部の付近の両面を光射出部11のねじと噛み合うナット142bとナット142cとで挟み込んで締付け、光射出部112と位置極部材142とを螺合させ位置極ができる。
図20(D)に示す実施例では光射出部113の他端の近傍には、細くなった段状の部分である細段部113aが配されている。細段部113aに位置極部材143の構成部であるばね143dが配されている。ばね143dは通常は図20(D)に示すように外側に開いており、貫通孔板143aの孔部の内径よりも広がっている。しかし、ばね143dを押し縮めたときのばね143を含む細段部の外径は太くなった他の部分の外径よりも小さくされている。
貫通孔板143aの孔部に下方から光射出部113の他端を挿入するとばね143dは縮み、細段部113aとばね143dが配される光射出部113の他端は貫通孔板143aの孔部を貫通する。そして、ばね143dの下端が貫通孔板143aの孔部を貫通するとばね143dは広がり、ばね143dと貫通孔板143aとが当接して光射出部113の縦方向の位置極ができる。光射出部113と貫通孔板143aの孔部の内面とは面接触して遊嵌する。面接触する面の広さは光射出部113が貫通孔板143aに対してぐらぐらしない程度に広くされているので光射出部113の横方向の位置極ができる。光射出部113を貫通孔板143aから分離する場合には、ばね143dを手で押し縮め光射出部113を下方に引けば光射出部113と貫通孔板143aとは容易に分離できる。図20(D)に示す実施例では工具を用いることなく容易に光射出部113を着脱できる。
ばね143dに替えて、図20(E)に示す、開き角が180°から90°まで変化するヒンジ(蝶番)144A用いてもよい。ヒンジの上部144aはビス等によって細段部113aに配される。光射出部113を植物栽培装置に組み込んだときには、ヒンジの上部144a、ヒンジの回動部144c、ヒンジの下部144bの順で上から下に縦方向に配置されヒンジの下部の重みによってヒンジの開き角度は180°となり(図20(E)の実線を参照)、ヒンジの上部144a、ヒンジの回動部144c、ヒンジの下部144bの全体が細段部113aの段差の内部に収納される。
貫通孔板143aの孔部に下方から光射出部113の他端を挿入すると、細段部113aの段差の内部に収納されたヒンジの上部144a、ヒンジの回動部144c、ヒンジの下部144bの全体が貫通孔板143aの孔部を貫通する。その後、ヒンジの下部144bを移動させて開き角を小さくすると、ヒンジの下部144bと貫通孔板143aとが当接して縦方向の位置極ができる。ヒンジの開き角を90°以下にしようとする重力が常時働くがヒンジの開き角は90°以下にならないようなストッパーがヒンジには配されているので、ヒンジの開き角は90°を保ち(図20(E)の破線を参照)、縦方向の位置極がなされる。。
図20(A)ないし図20(E)に示す各々の実施例において、光射出部11、光射出部111、光射出部112、光射出部113、に替えて図示しない光射出部発熱閉込部材、植物栽培部を用いることができる。このように図20(A)ないし図20(E)に示す各々の実施例の構成を第2の位置極部材として用いることができる。なお、図20(A)ないし図20(E)に示す各々の実施例の構成を第2の位置極部材として用いる場合には、第1の位置極部材が無くても光射出部、光射出部発熱閉込部材、植物栽培部の位置極が可能となる。
勿論、光射出部の位置極に対して図20(A)ないし図20(E)に示すいずれかの構成を採用し、光射出部発熱閉込部材に対して図20(A)ないし図20(E)に示すいずれかの構成を採用し、植物栽培部に対して図20(A)ないし図20(E)に示すいずれかの構成を採用するなどして多種の組み合わせが可能である。
特に、図20(D)に示す構成を植物栽培部の位置極に採用する場合には、ばね143dが貫通孔板143aに当接することで縦方向の位置極をし、植物栽培部の外面と貫通孔板143aの孔部の内面とは遊嵌して横方向の位置極をし、横方向に遊嵌しているので、植物栽培部の植物を載置する面を植物栽培装置の外側方向と内側方向とに自由に回動させることができる。植物の種まき、収穫、生育状態の検査においては植物栽培部の植物を載置する面を植物栽培装置の外側方向に回動させて作業者の作業を容易にできる。そして、通常の植物を成長させる段階においては植物栽培部の植物を載置する面を植物栽培装置の内側方向に回動させて植物に発光ダイオードの光を照射することができる。図20(E)に示すヒンジを用いる構成を植物栽培部の位置極に採用する場合にも、ばね143dを用いる場合と同様に植物栽培部を回動させることができる。図20(B)に示す構成を植物栽培部の位置極に採用する場合にも同様に植物栽培部を回動させることができる。
(その他の実施形態の第3の実施例)
図21は、その他の実施形態の第3の実施例を示す図である。
図21は、位置極部材15の変形例であり、螺合によって光射出部または/および光射出部発熱閉込部材と係合する場合の例である。図21(A)は比較のための上述した第2実施形態の図14に示す位置極部材15である。図21(B)に示す実施例では光射出部111の一端にねじが設けられている。光射出部111のねじに噛み合うように位置極部材151の貫通孔板151aの中心部の孔部の内面にも同じピッチのねじが配されている。よって、光射出部111と位置極部材151とを螺合させ位置極ができる。
図21(C)に示す実施例では光射出部112の一端にねじが設けられている。位置極部材152の貫通孔板152aの中心部の孔部には光射出部112のねじと噛み合うようなねじが配されている。よって、光射出部112と貫通孔板152aとを螺合させ位置極ができる。また、光射出部発熱閉込部材122の一端にねじが設けられている。光射出部発熱閉込部材122の一端のねじと噛み合うようなねじが内面に配されたナット152bが溶接等により貫通孔板152aの表面側に固着されている。光射出部発熱閉込部材122のねじとナット152bの内面のねじとを螺合させ位置極ができる。なお、貫通孔板152aを樹脂で形成する場合には、貫通孔板152aとナット152bと接着剤で接着することができ、貫通孔板152aとナット152bとを一体形成することもできる。
(その他の実施形態の第4の実施例ないし第6の実施例)
図22はその他の実施形態の第4の実施例ないし第6の実施例を示す図である。
上述した第1の実施形態、第2の実施形態において、光射出部11の内部に養液循環パイプ16bを通すことも可能である。光射出部11の内部に養液循環パイプ16bを通すことによって植物栽培装置のより一層の小型化が可能となる。
図22に示すその他の実施形態の第4の実施例ないし第6の実施例においては、養液循環機構16は養液循環ポンプ16cと養液循環パイプ16bと養液供給パイプ16aと養液噴射部16Aないし養液噴射部16Lとを有している。ここで、養液循環パイプ16bは、光射出部11の内部を通っている。
図22(A)に示すその他の実施形態の第4の実施例では、光射出部11の内部に養液循環パイプ16bを通し、光射出部11の周囲に光射出部発熱閉込部材12を配する実施例である。養液循環パイプ16bには養液噴射部16Aないし養液噴射部16Lを有する養液供給パイプ16aが接続されている。光射出部11と光射出部発熱閉込部材12との各々の内部空間には空気が流れるようにされている。
図22(D)は、養液循環パイプ16bと養液供給パイプ16aとの関係を示す図である。各々の養液供給パイプ16aは、養液循環パイプ16bに放射状に接続されている。図22に示すその他の実施形態の第4の実施例ないし第6の実施例においても、図22(D)に示すような養液供給パイプ16aと養液循環パイプ16bとを有する養液循環機構16が採用されている。
図22(B)に示すその他の実施形態の第5の実施例では、光射出部11の内部に養液循環パイプ16bを通し、光射出部11の周囲に光射出部発熱閉込部材12を配し、光射出部11の内部には冷却液を循環させる実施例である。養液循環パイプ16bには養液噴射部16Aないし養液噴射部16Lを有する養液供給パイプ16aが接続されている。光射出部11の内部には冷却液が流れ、さらに、光射出部11の内部を通る養液循環パイプ16bには養液が流れ、光射出部発熱閉込部材12の内部空間には空気が流れるようにされている。
図22(C)に示すその他の実施形態の第6の実施例では、光射出部11の内部に養液循環パイプ16bを通す実施例である。養液循環パイプ16bには養液噴射部16Aないし養液噴射部16Lを有する養液供給パイプ16aが接続されている。光射出部11の内部には空気が流れ、さらに、光射出部11の内部を通る養液循環パイプ16bには養液が流れるようにされている。
(その他の実施形態の第7の実施例および第8の実施例)
図23はその他の実施形態の第7の実施例および第8の実施例を示す図である。
植物栽培部の内部から養液を供給することも可能である。植物栽培部の内部から養液を供給する場合には養液を供給するための配管を別途に備える必要がないので装置の構造が簡単になるとともに、植物栽培装置のさらなる小型化ができる。
図23(A)、図23(B)はその他の実施形態の第7の実施例を示す図である。図23(C)、図23(D)はその他の実施形態の第8の実施例を示す図である。
図23(A)は、実施形態の第7の実施例の全体の断面図、図23(B)は植物栽培部134Aを養液供給パイプ受部16dに装着していないときの部分拡大図である。
図23(A)に示すように、植物栽培部134Aは、養液供給パイプ16aと養液噴射部16Aとを、例えば図2に示す植物栽培部13Aの内部に接着材等で固着するものである。このようにすれば、植物栽培部の外部から配管を巡らすことなく、植物栽培部134Aを位置極部材153に配することによって養液供給パイプ受部16dから養液供給パイプ16aに養液が供給される。
位置極部材153は板材であり、上述した貫通孔板15aの孔部に替えて凹部を配するものである。凹部は、複数個の植物栽培部134(植物栽培部134Aないし植物栽培部134L)の各々および光射出部11の位置極をする。植物栽培部134を位置極する各々の凹部の底には、養液をタンクに流し、養液供給パイプ受部16dを養液供給パイプ16aに連結するための孔部が配されている。図23(A)に示すように、この孔部に連結された養液供給パイプ受部16dと養液供給パイプ16aが共に配されるようにしてもよく、この孔部を養液供給パイプ16aのみが通過して、孔部より下方で養液供給パイプ受部16dと養液供給パイプ16aとが連結するようにしてもよい。凹部の底部面が複数個の植物栽培部134の各々および光射出部11に当接して縦方向の位置極をする。凹部の側部面が複数個の植物栽培部134の各々および光射出部11に遊嵌して横方向の位置極をする。光射出部発熱閉込部材を遊嵌するための凹部を位置極部材に配して光射出部発熱閉込部材の位置極をするようにしてもよい。
植物栽培部134Aが位置極部材153に装着されていない状態を示す部分拡大図である図23(B)を参照して、植物栽培部134の各々を位置極部材153の凹部に着脱することによって養液の循環路が自動的に連結または切断される機構について説明をする。
図23(B)に示すように、植物栽培部134Aの装着の前には、植物栽培部134Aの養液供給パイプ16aのテーパ状先端は養液供給パイプ受部16dから分離している。植物栽培部134Aを上方から位置極部材153の凹部に装着すると、養液供給パイプ16aのテーパ状先端から順次、養液供給パイプ受部16dの内部に挿入され、養液供給パイプ16aと養液供給パイプ受部16dとは嵌合する。嵌合した後に養液供給パイプ16aのテーパ状先端と養液供給パイプ受部16dの内部との間には養液を流すための空間が形成されるように予め設定されている。
養液循環ポンプ16cから流出する養液は、養液循環パイプ16b、養液供給パイプ16a、養液噴射部16Aへと流れる。養液噴射部16Aから流れ出した養液は、最上段の植物載置器20の中の植物、その下の次の段の植物載置器20の中の植物、さらに下の段の植物載置器20の中の植物へと順に供給される。
図23(C)、図23(D)に示す、その他の実施形態の第8の実施例においては、植物栽培部135Aの最上部は植物栽培部13Aのような開放端ではなく閉鎖端とされている。図23(D)の部分拡大図は、植物栽培部135Aを位置極部材153の凹部に装着した状態の図である。養液供給パイプ16aには先端がノズル状の養液噴射部16Aが配されている。養液循環ポンプ16cから流出する養液は、養液循環パイプ16b、養液供給パイプ16a、養液噴射部16Aへと流れる。養液噴射部16Aから流れ出した養液は、ノズル状の噴出孔から上方に噴出し、植物栽培部135Aの最上部の閉鎖端で多方向に反射して各々の植物載置器20の中の植物に供給される。
(実施例の写真)
図24は写真で代用する第2の実施形態の一つの実施例の図である。
上述した第1の実施形態の各実施例、第2の実施形態の各実施例、その他の実施形態の各実施例に記載の構成部の全部または一部を組み合わせた実施例も実施可能であり、本願の実施形態に含まれる。なお、上述した各実施例に表される構成部の形状が異なっても同一作用を奏する構成部を用いる実施例も本願の実施形態に含まれる。本願発明はこれら実施形態のみならず同一の技術的思想の範囲を含むことはいうまでもない。