JP2018011376A - 電動機の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】第1系統コイルと第2系統コイルとの双方に同一の電流を流す場合よりもトルクリップルを低減できるようにした電動機の制御装置を提供する。【解決手段】電動機10は、ステータコイルとして、第1系統コイル32および第2系統コイル34を備えている。電動機10は、第1系統コイル32および第2系統コイル34に同一の電流を流す場合、電流が最大電流値よりも小さい所定値であるときにトルクリップルが最大値となる。電動機10に対するトルク指令値が規定トルク以上となることを条件に、第1系統コイル32に流れる電流を最大電流値とし、第2系統コイル34に流れる電流を所定値よりも小さい値とする。【選択図】図1
Description
本発明は、ロータおよびステータコイルを備える電動機の制御量を制御するために、前記ステータコイルを通電するための通電回路を操作する電動機の制御装置に関する。
たとえば特許文献1には、ステータコイルとして、3相のコイルからなる第1系統コイルと、3相のコイルからなる第2系統コイルとを備えた同期電動機が記載されている。この同期電動機は、第1系統コイルと第2系統コイルとのうちの一方に異常が生じた場合であっても、他方によって同期電動機を駆動することを狙ったものである。
また、同期電動機として、たとえば特許文献2には、ロータの1つの磁極を構成する第1部分および第2部分を備え、第1部分および第2部分が、ロータの周方向において互いに対向している埋込磁石同期電動機(IPMSM)が提案されている。
発明者は、上記特許文献2に例示されるIPMSMに流れる電流とトルクリップルとの関係を解析し、電流が所定値よりも大きくなることによりトルクリップルがかえって小さくなるものが存在することを見出した。このような性質を有した電動機において上記特許文献1のように第1系統コイルと第2系統コイルとを備える場合、それらに同一の電流を流すことは、トルクリップル低減の観点からは必ずしも望ましくない。
本発明は、そうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、第1系統コイルと第2系統コイルとの双方に同一の電流を流す場合よりもトルクリップルを低減できるようにした電動機の制御装置を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段およびその作用効果について記載する。
1.ロータおよびステータコイルを備える電動機の制御量を制御するために、前記ステータコイルを通電するための通電回路を操作する電動機の制御装置において、前記ステータコイルは、3相のコイルを備えた第1系統コイルと、3相のコイルを備えた第2系統コイルと、を備え、前記通電回路は、前記第1系統コイルに通電する第1通電回路と、前記第2系統コイルに通電する第2通電回路と、を備え、前記電動機は、前記第1系統コイルに流れる電流と前記第2系統コイルに流れる電流とを同一として前記第1系統コイルおよび前記第2系統コイルの双方に通電する場合、前記電流が最大電流値となる場合よりも小さい所定値となる場合にトルクリップルが最大となるものであり、前記電動機のトルクが規定トルク以上であることを条件に、前記第1系統コイルおよび前記第2系統コイルのいずれか一方に流れる電流を前記所定値よりも大きくして且つ、他方に流れる電流を前記所定値よりも小さくする処理である電流分散処理を実行する。
1.ロータおよびステータコイルを備える電動機の制御量を制御するために、前記ステータコイルを通電するための通電回路を操作する電動機の制御装置において、前記ステータコイルは、3相のコイルを備えた第1系統コイルと、3相のコイルを備えた第2系統コイルと、を備え、前記通電回路は、前記第1系統コイルに通電する第1通電回路と、前記第2系統コイルに通電する第2通電回路と、を備え、前記電動機は、前記第1系統コイルに流れる電流と前記第2系統コイルに流れる電流とを同一として前記第1系統コイルおよび前記第2系統コイルの双方に通電する場合、前記電流が最大電流値となる場合よりも小さい所定値となる場合にトルクリップルが最大となるものであり、前記電動機のトルクが規定トルク以上であることを条件に、前記第1系統コイルおよび前記第2系統コイルのいずれか一方に流れる電流を前記所定値よりも大きくして且つ、他方に流れる電流を前記所定値よりも小さくする処理である電流分散処理を実行する。
第1系統コイルに流れる電流と第2系統コイルに流れる電流とを同一として且つそれらが所定値付近の値となる場合、トルクリップルは最も大きくなる。そして、電動機のトルクを、上記所定値付近の値となるときのトルクに制御すべく、上記いずれか一方に流れる電流を所定値よりも大きくして且つ他方に流れる電流を所定値よりも小さくする場合、一方および他方を流れる電流を同一とする場合と比較して、一方に流れる電流と他方に流れる電流とを所定値から引き離すことができる。このため、第1系統コイルと第2系統コイルとの双方に同一の電流を流す場合よりも、トルクリップルを低減できる。
2.上記1記載の電動機の制御装置において、前記電動機のトルクが、前記第1系統コイルに流れる電流と前記第2系統コイルに流れる電流とを前記所定値とした場合の前記電動機のトルク以下の場合、前記電流分散処理を実行する。
トルク指令値が、第1系統コイルに流れる電流と第2系統コイルに流れる電流とを所定値とした場合の電動機のトルク以下の場合、一方に流れる電流を所定値よりも大きくことにより、一方および他方に流れる電流を同一とする場合と比較して、他方に流れる電流を所定値を大きく下回るようにすることができる。このため、他方を流れる電流を、トルクリップルが最大となるときの電流値である所定値から大きく引き離すことができる。
3.上記1または2記載の電動機の制御装置において、前記ロータには、永久磁石が埋め込まれており、前記永久磁石は、前記ロータの1つの磁極を構成する第1部分および第2部分を備え、前記第1部分および前記第2部分は、前記ロータの周方向において互いに対向している。
発明者は、上記構成の電動機において、第1系統コイルに流れる電流と、第2系統コイルに流れる電流とを同一として第1系統コイルおよび第2系統コイルの双方に通電する場合、電流が最大電流値となる場合よりも小さい所定値となる場合にトルクリップルが極大値となることを見出した。
4.上記1〜3のいずれか1項に記載の電動機の制御装置において、前記電動機の温度が規定温度以上である場合、前記電動機のトルクが前記規定トルク以上であっても、前記電流分散処理を実行しない。
発熱量は、電流の2乗に比例するため、電動機のトルクが同一であるなら、第1系統コイルおよび第2系統コイルの双方に流れる電流が互いに異なる場合と比較して双方に流れる電流を同一とすることによって電動機の発熱量が減少する。このため、上記構成では、電動機の温度が規定温度以上である場合、電動機のトルクが規定トルク以上であっても、電流分散処理を実行しないことにより、電動機の過度の温度上昇を抑制する。
5.上記1〜4のいずれか1項に記載の電動機の制御装置において、前記第1系統コイルを前記いずれか一方とし前記第2系統コイルを前記他方とする処理と、前記第1系統コイルを前記他方とし前記第2系統コイルを前記いずれか一方とする処理とを所定の周期で切り替える。
ステータコイルや通電回路の発熱量は、電流が大きいほど大きくなることから、たとえば電流分散処理が上記いずれか一方を第1系統コイルに固定する処理である場合、第1系統コイルの発熱量の総量が、第2系統コイルの発熱量の総量よりも過度に多くなるおそれがある。これに対し、上記構成では、上記切替を実行することにより、第1系統コイルの発熱量の総量と、第2系統コイルの発熱量の総量との差が大きくなることを抑制することができる。
6.上記1〜5のいずれか1項に記載の電動機の制御装置において、前記電流分散処理は、前記一方に流れる電流を最大電流値とする処理であり、前記規定トルクは、前記第1系統コイルおよび前記第2系統コイルの双方を流れる電流を同一とすると仮定した場合における前記双方を流れる電流が前記所定値となるときのトルクよりも小さく且つ前記双方を流れる電流が前記最大電流値であるときと前記トルクリップルが同一となるトルク以上のトルクである。
上記構成において、電動機として以下のものを採用する場合、少なくとも規定トルクと上記所定値としたときのトルクとの間の区間のトルクを実現する場合、他方を流れる電流は、双方を流れる電流を同一として規定トルクを実現するときの電流よりも小さくなり、この他方を流れる電流は、双方を流れる電流を同一とする場合よりもトルクリップルを小さくする。また、電動機として以下のものを採用する場合、一方を流れる電流も、双方を流れる電流を同一とする場合よりもトルクリップルを小さくする。このため、第1系統コイルと第2系統コイルとの双方に同一の電流を流す場合よりも、トルクリップルを低減できる。
ここで、電動機は、第1系統コイルに流れる電流と第2系統コイルに流れる電流とを同一として第1系統コイルおよび第2系統コイルの双方に通電される場合、電流が所定値よりも小さいときと大きいときとにトルクリップルが以下の傾向を有するものである。すなわち、電流が所定値よりも小さい場合、電流のわずかな変化に対するトルクリップルの微小な変化を無視する近似において電流が大きくなるほどトルクリップルが大きくなるものである。また、電流が所定値よりも大きい場合、電流のわずかな変化に対するトルクリップルの微小な変化を無視する近似において電流が大きくなるほどトルクリップルが小さくなるものである。
<第1の実施形態>
以下、電動機の制御装置にかかる第1の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1に示す電動機10は、車両の転舵輪を転舵させる転舵アクチュエータに内蔵されている。電動機10は、埋込磁石同期電動機(IPMSM)である。電動機10は、ロータ20と、ステータ30とを備えている。
以下、電動機の制御装置にかかる第1の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1に示す電動機10は、車両の転舵輪を転舵させる転舵アクチュエータに内蔵されている。電動機10は、埋込磁石同期電動機(IPMSM)である。電動機10は、ロータ20と、ステータ30とを備えている。
ロータ20は、たとえば電磁鋼板等の磁性体によって形成された円筒形状のコア22と、コア22に埋め込まれた永久磁石24と、回転軸28とを備えている。1つの磁極を構成する永久磁石24は、ロータ20の周方向Dcの両端のそれぞれからロータ20の中心軸Oに向かって延びる第1部分24aと第2部分24bとを備えている。ここで、周方向Dcとは、位置を定めることによって特定される方向であり、中心軸Oから対象となる位置までの半径を有して中心軸Oを中心とする円の、対象となる位置における接線方向のこととする。なお、図1においては、紙面の下側における周方向Dcを例示している。
第1部分24aと第2部分24bとは、周方向Dcにおいて、互いに対向している。このため、1つの磁極を構成する永久磁石24は、周方向Dcの中央に行くにつれて中心軸Oに近づくことによって、周方向Dcの端部P1,P2を結ぶ直線Lから遠ざかる。
本実施形態では、1つの磁極を構成する永久磁石24は、中心軸Oに直交する断面が、U字状を有している。また、磁極数が10極のロータ20を例示している。なお、永久磁石24は、コア22に形成された孔に、磁石と樹脂との混合物を充填し、これに磁場を印加することによって生成されたものである。
ステータ30は、U相のコイル32u、V相のコイル32v、およびW相のコイル32wからなる第1系統コイル32と、U相のコイル34u、V相のコイル34v、およびW相のコイル34wからなる第2系統コイル34とを備えている。第1系統コイル32と第2系統コイル34とは、互いに絶縁されている。特に、本実施形態では、ステータ30の外周を180°ずつに2等分割した一方の領域に、第1系統コイル32を配置し、他方の領域に第2系統コイル34を配置する。そして、第1系統コイル32と第2系統コイル34との境界部分を、図示しないハードウェアによって絶縁隔離する。これは、第1系統コイル32と第2系統コイル34との双方に異常が生じる事態を極力抑制するための設定である。なお、本実施形態では、第1系統コイル32と第2系統コイル34とが、それぞれ6個のステータコイルを備えることを例示している。このため、電動機10は、10極12スロットの電動機である。
第1系統コイル32には、第1インバータ42が接続されており、第2系統コイル34には、第2インバータ44が接続されている。第1インバータ42と第2インバータ44とは、ともに、直流電圧源であるバッテリ40の端子電圧を交流電圧に変換して出力する。
制御装置50は、電動機10のトルクを制御すべく第1インバータ42や第2インバータ44を操作する。特に、制御装置50は、自動操舵のために外部から制御装置50に入力されるトルク指令値Trq*に基づき電動機10のトルクを制御する。制御装置50は、トルクを制御するために、回転角センサ60によって検出される回転軸28の回転角度θや、電流センサ62によって検出される第1インバータ42の出力線電流(電流iu1,iv1,iw1)、電流センサ64によって検出される第2インバータ44の出力線電流(電流iu2,iv2,iw2)を取り込む。制御装置50は、中央処理装置(CPU52)およびメモリ54を備えており、メモリ54に記憶されたプログラムをCPU52が実行することによって、電動機10のトルクを制御する。
図2に、制御装置50が実行するトルクの制御手法を示す。図2に示すように、回転軸28の回転速度ωが閾値速度ωth以下である場合、制御装置50は、トルクを、ゼロから最大トルクTrqmまでの値に制御する。最大トルクTrqmは、第1インバータ42や第2インバータ44の定格電流や、電動機10の定格電流に応じて設定されている。一方、回転速度ωが閾値速度ωthを超える場合、制御装置50は、回転速度ωが大きいほど、トルクの最大値を、最大トルクTrqmよりも小さくする。これは、第1インバータ42や第2インバータ44の出力線間電圧を最大値とした場合において、電動機10に流れる電流の最大値が誘起電圧が高くなるほど小さくなることに鑑みたものである。ここで、回転速度ωが閾値速度ωth以下である領域等においては、電動機10に流れる電流を最小にしつつ電動機10によって生成されるトルクを最大化する最大トルク制御を実行する。これに対し、回転速度ωが閾値速度ωthを超えて高くなる場合、弱め界磁制御を実行する。
図3に、メモリ54に記憶されたプログラムに従ってCPU52が実行する処理の一部を示す。なお、以下の処理は、特に、最大トルク制御に関する処理を示し、弱め界磁制御に関する処理を記載していない。
電流分散処理部M10は、制御装置50に入力されたトルク指令値Trq*を電動機10が生成するうえで第1系統コイル32および第2系統コイル34に流すべき電流のノルム指令値I1*,I2*を設定する。本実施形態において、制御装置50は、第1系統コイル32と第2系統コイル34とのいずれか一方に異常が生じた場合には、他方のみに電流を流して電動機10のトルクを制御するものの、双方が正常である場合には、双方に電流を流してトルクを制御する。
ノルム指令値I1*,I2*は、最大トルク制御をするうえで必要な電流ベクトルのノルムである。図4に、実線にて最大トルク制御を実行する場合のq軸の電流指令値iq*とd軸の電流指令値id*との関係を示す。図4に示されるように、q軸の電流指令値iq*が正で大きくなるにつれて、d軸の電流指令値id*が負でその絶対値が大きくなる。図4には、d軸の電流指令値id*とq軸の電流指令値iq*とによって定まる電流ベクトル(id*,iq*)を、電流ベクトルVceiと記載している。電流ベクトルVceiのノルム(ノルム指令値I*)が大きいほど、電動機10のトルクが大きくなる。そして、ノルム指令値I*が定まることにより、最大トルク制御を実現するうえでのd軸の電流指令値id*とq軸の電流指令値iq*とが一義的に定まる。
図3に戻り、ノルム指令値I1*は、第1系統コイル32に対するd軸の電流指令値id1*とq軸の電流指令値iq1*とを指定するパラメータであり、ノルム指令値I2*は、第2系統コイル34に対するd軸の電流指令値id2*とq軸の電流指令値iq2*とを指定するパラメータである。
ノルム指令値I1*は、第1インバータ42を操作する第1操作処理部M20に入力され、ノルム指令値I2*は、第2インバータ44を操作する第2操作処理部M40に入力される。次に、第1操作処理部M20の処理について説明する。
電流指令値設定処理部M22は、ノルム指令値I1*に基づき、第1系統コイル32に対するd軸の電流指令値id1*とq軸の電流指令値iq1*とを設定する。dq変換処理部M24は、コイル32u,32v,32wのそれぞれに流れる電流iu1,iv1,iw1を、d軸の電流id1とq軸の電流iq1とに変換する。偏差算出処理部M26は、電流指令値id1*から電流id1を減算した値を出力し、偏差算出処理部M28は、電流指令値iq1*から電流iq1を減算した値を出力する。フィードバック処理部M30は、偏差算出処理部M26の出力値に基づき、電流id1を電流指令値id1*にフィードバック制御するための操作量としてd軸の電圧指令値vd1*を算出する。フィードバック処理部M32は、偏差算出処理部M28の出力値に基づき、電流iq1を電流指令値iq1*にフィードバック制御するための操作量としてq軸の電圧指令値vq1*を算出する。3相変換処理部M34は、d軸の電圧指令値vd1*とq軸の電圧指令値vq1*とを、3相の電圧指令値vu1*,vv1*,vw1*に変換する。操作信号生成処理部M36は、第1インバータ42の出力線間電圧が電圧指令値vu1*,vv1*,vw1*によって定まる相間電圧となるように、第1インバータ42の操作信号MS1を生成して出力する。
なお、第2操作処理部M40の処理は、入力として、電流iu1,iv1,iw1に代えて電流iu2,iv2,iw2を用い、第1操作処理部M20の処理と同様の処理を実行して、第2インバータ44の操作信号MS2を出力する。なお、第1系統コイル32と第2系統コイル34とに同一の電流を流す制御とは、電流iu2,iv2,iw2のdq軸上の値を電流id2,iq2とする場合、電流id1と電流id2とを同一として且つ電流iq1と電流iq2とを同一とする制御のことである。
図5に、本実施形態にかかる電動機10に関する、第1系統コイル32および第2系統コイル34に同一の電流を流す場合のノルム指令値I*(=I1*=I2*)と、トルクリップルとの関係の解析結果を示す。図5において、菱形のプロットは、30次のトルクリップルを示し、四角のプロットは、60次のトルクリップルを示し、三角のプロットは、次数を限定しないトータルのトルクリップルを示す。図5に示すように、トルクリップルは、ノルム指令値I*が小さい領域では、ノルム指令値I*が大きくなるほど大きくなり、ノルム指令値I*が大きい領域では、ノルム指令値I*が大きくなるほど小さくなる。換言すれば、第1系統コイル32および第2系統コイル34に同一の電流を流す場合、電動機10のトルクが小さい領域では、トルクが大きいほどトルクリップルが大きくなり、トルクが大きい領域では、トルクが大きいほどトルクリップルが小さくなる。
図6に示すリップル曲線gは、トルクが最大トルクTrqmとなるまでのノルム指令値I*と、トータルのトルクリップルとの関係を、滑らかな曲線でつないだものである。リップル曲線gは、解析結果のトルクリップルのプロット間を補間することによって生成される。なお、この際、解析結果のプロット数は多いほど望ましい。
図6に示すように、トルクリップルは、ノルム指令値I*が所定値Itrmとなるときに、最大リップル値TRmaxとなる。トルクが最大トルクTrqmとなるときのノルム指令値I*を、最大ノルムImとし、そのときのトルクリップルを最大時リップル値TRmとする。また、ノルム指令値I*が最大ノルムImよりも小さく最大時リップル値TRmと同一のリップルとなるノルム指令値I*を、同等値Ikと記載している。図6においては、リップル曲線gの2階微分値は、ノルム指令値I*が、所定値Itrmよりも大きい場合、負となる。すなわち、ノルム指令値I*の増加に対するトルクリップルの減少速度の増加速度がゼロ以上となる。
本実施形態では、リップル曲線gによって定まる所定値Itrmおよび同等値Ikと、最大ノルムImとを、メモリ54に記憶しておき、図2に示した電流分散処理部M10では、それらの値に基づき、以下の処理を実行する。
図7に、電流分散処理部M10が実行する処理の手順を示す。図7に示す処理は、たとえば所定周期で繰り返し実行される。なお、以下では、主体をCPU52として記載する。
図7に示す一連の処理において、CPU52は、まずトルク指令値Trq*を取得する(S10)。そして、CPU52は、第1系統コイル32および第2系統コイル34に同一の電流を流して電動機10のトルクをトルク指令値Trq*に制御するためのノルム指令値I*を算出する(S12)。次に、CPU52は、ノルム指令値I*が、上記同等値Ik以上であるか否かを判定する(S14)。そしてCPU52は、同等値Ik以上であると判定する場合(S14:YES)、ノルム指令値I*が、最大ノルムImよりも小さいか否かを判定する(S16)。そして、CPU52は、最大ノルムIm以上であると判定する場合(S16:NO)や、同等値Ik未満であると判定する場合(S14:NO)、ノルム指令値I1*とノルム指令値I2*とを、ともに、ステップS12において算出したノルム指令値I*とする(S18)。一方、CPU52は、最大ノルムImよりも小さいと判定する場合(S16:YES)、ノルム指令値I1*を最大ノルムImとし、ノルム指令値I2*を、「2・I*−Im」とする(S20)。
ここで「2・I*−Im」は、ノルム指令値I1*とノルム指令値I2*との和を「2・I*」とするものであり、これにより、本実施形態では、電動機10のトルクを、トルク指令値Trq*とすることができると見なす。すなわち、最大トルク制御を実行する場合、リラクタンストルクが存在するために、ノルム指令値I1*とノルム指令値I2*との和が「2・I*」であっても、ノルム指令値I1*とノルム指令値I2*との双方をI*とする場合と、互いに異なる値とする場合とで、電動機10のトルクが異なり得る。しかし、本実施形態では、ノルム指令値I1*とノルム指令値I2*との双方をI*とする場合と互いに異なる値とする場合との差はさほど大きくないことから、ノルム指令値I1*とノルム指令値I2*とを互いに異なる値とする場合であっても、それらの和が2・I*となる場合、電動機10のトルクがトルク指令値Trq*となると見なす。
なお、CPU52は、ステップS18,S20の処理を完了する場合、図7に示す一連の処理を一旦終了する。
ここで、本実施形態の作用を説明する。
ここで、本実施形態の作用を説明する。
CPU52は、ノルム指令値I*を、たとえば図6に示す値Ihとする場合、値Ihが同等値Ik以上であって最大ノルムImよりも小さいため、第1系統コイル32のノルム指令値I1*を最大ノルムImとし、第2系統コイル34のノルム指令値I2*を、「2・Ih−Im」とする。ここで、値IhにおけるトルクリップルTRhと比較して、最大時リップル値TRmの方が小さい。このため、ノルム指令値I1*を、値Ihに代えて、最大ノルムImとすることにより、第1系統コイル32に関する限り、トルクリップルは低減する。一方、「2・Ih−Im」は、値Ihよりも小さく、所定値Itrmよりも小さい値である。トルクリップルは、値Itrmよりも小さい領域において単調増加することから、ノルム指令値I2*を「2・Ih−Im」とすることにより、値Ihとする場合と比較してトルクリップルが低減される。このため、第1系統コイル32と第2系統コイル34との双方に同一の電流を流す場合よりもトルクリップルを低減できる。
同様に、ノルム指令値I*が、所定値Itrmと最大ノルムImとの間にある場合であっても、ステップS20の処理によれば、トルクリップルを低減することができる。これは、リップル曲線gの2階微分が負であることから、ノルム指令値I1*をノルム指令値I*とする代わりに最大ノルムImとすることによるトルクリップルの低下量の方が、ノルム指令値I2*をノルム指令値I*とする代わりに、「2・I*−Im」とすることによるトルクリップルの上昇量よりも大きくなるためである。なお、「2・I*−Im」とすることによるトルクリップルの上昇量は、正、ゼロ、負のいずれの値ともなりうる。
<第2の実施形態>
以下、第2の実施形態について、第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
以下、第2の実施形態について、第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図8に、本実施形態にかかる電流分散処理部M10による処理の手順を示す。図8に示す処理は、たとえば所定周期で繰り返し実行される。なお、図8において、図7に示した処理に対応する処理については、便宜上、同一のステップ番号を付している。
図8に示す一連の処理において、CPU52は、ノルム指令値I*が最大ノルムImよりも小さいと判定する場合(S16:YES)、電動機10や第1インバータ42の温度Tが規定温度Tthよりも高いか否かを判定する(S22)。そして、CPU52は、規定温度Tthよりも高いと判定する場合(S22:YES)、ステップS18の処理に移行する一方、規定温度Tth以下であると判定する場合(S22:NO)、ステップS20の処理に移行する。すなわち、本実施形態では、ノルム指令値I1*とノルム指令値I2*とを異ならせる条件に、温度Tが規定温度Tth以下である旨の条件を設けている。これは、電動機10や第1インバータ42の温度Tが過度に高い値となることを抑制するための設定である。ここで、第1インバータ42の温度を問題とし、第2インバータ44の温度を問題としていないのは、ステップS20の処理において、第1インバータ42の電流が第2インバータ44の電流よりも大きくなり、発熱量が大きくなるためである。
なお、本実施形態において、CPU52は、温度Tを、次の処理によって算出する。すなわち、CPU52は、ノルム指令値I1*が規定ノルム以上の場合、温度Tを所定周期でインクリメントし、規定ノルム未満の場合、温度Tが下限値以上である旨の条件の下、温度Tを所定周期でデクリメントすることによって、温度Tを算出する。
<第3の実施形態>
以下、第3の実施形態について、第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
以下、第3の実施形態について、第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図9に、本実施形態にかかるリップル曲線gを示す。図9に示すリップル曲線gは、電動機10に関する、ノルム指令値I*と、トータルのトルクリップルとの関係を滑らかな曲線でつないだものである。図9に示すように、本実施形態では、リップル曲線gは、所定値Itrmと規定値Ievとの間では、リップル曲線gの2階微分値が負となる一方、規定値Ievと最大ノルムImとの間では、リップル曲線gの2階微分値が正となる。
そして本実施形態では、メモリ54に、規定値Ievよりも小さい閾値ノルムIoと、同等値Ikおよび最大ノルムImとを記憶し、図10に示す処理を実行する。ここで、閾値ノルムIoは、ノルム指令値I*が閾値ノルムIoよりも小さい場合、ノルム指令値I1*をノルム指令値I*に代えて最大ノルムImとすることによるトルクリップルの低下量が、ノルム指令値I2*をノルム指令値I*に代えて「2・I*−Im」とすることによるトルクリップルの上昇量よりも大きくなる適合値である。
図10は、本実施形態にかかる電流分散処理部M10による処理の手順を示す。図10に示す処理は、たとえば所定周期で繰り返し実行される。なお、図10において、図7に示した処理に対応する処理については、便宜上、同一のステップ番号を付している。
図10に示す一連の処理において、CPU52は、ノルム指令値I*が同等値Ik以上であると判定する場合(S14:YES)、ノルム指令値I*が閾値ノルムIoよりも小さいか否かを判定する(S16a)。そして、CPU52は、閾値ノルムIo以上であると判定する場合(S16a:NO)、ステップS18の処理に移行する一方、閾値ノルムIoよりも小さいと判定する場合(S16a:YES)、ステップS20の処理に移行する。
<第4の実施形態>
以下、第4の実施形態について、第3の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
以下、第4の実施形態について、第3の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
本実施形態では、メモリ54に、最大ノルムImおよび閾値ノルムIoに代えて規定値Ievおよび同等値Icevを記憶しておく。ここで、同等値Icevは、図9に示すように、規定値Ievよりも小さい値であって、トルクリップルが同一となるノルム指令値I*の値である。
図11は、本実施形態にかかる電流分散処理部M10による処理の手順を示す。図11に示す処理は、たとえば所定周期で繰り返し実行される。なお、図11において、図7に示した処理に対応する処理については、便宜上、同一のステップ番号を付している。
図11に示す一連の処理において、CPU52は、ノルム指令値I*を算出すると(S12)、ノルム指令値I*が同等値Icev以上であるか否かを判定する(S14a)。そしてCPU52は、同等値Icev以上であると判定する場合(S14a:YES)、ノルム指令値I*が規定値Iev未満であるか否かを判定する(S16b)。そして、CPU52は、規定値Iev未満であると判定する場合(S16b:YES)、ノルム指令値I1*を、規定値Ievとし、ノルム指令値I2*を、「2・I*−Iev」とする(S20a)。これに対し、CPU52は、同等値Icev未満であると判定する場合(S14a:NO)や、規定値Iev以上であると判定する場合(S16b:NO)、ステップS18の処理に移行する。
上記規定値Ievと所定値Itrmとの間において、リップル曲線gの2階微分値は負である。このため、上記第1の実施形態と同様の理由から、ノルム指令値I*が同等値Icev以上であって規定値Iev未満である場合にステップS20の処理を実行することにより、トルクリップルを低減することができる。
<第5の実施形態>
以下、第5の実施形態について、第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
以下、第5の実施形態について、第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図12は、本実施形態にかかる電流分散処理部M10による処理の手順を示す。図12に示す処理は、たとえば所定周期で繰り返し実行される。なお、図12において、図7に示した処理に対応する処理については、便宜上、同一のステップ番号を付している。
図12に示す一連の処理において、CPU52は、ステップS16の処理において肯定判定する場合、次の処理を実行する。すなわちCPU52は、ノルム指令値I*が同等値Ik未満であることとノルム指令値I*が最大ノルムIm以上であることとの論理和が真であった状態から、ノルム指令値I*が同等値Ik以上であって最大ノルムImよりも小さい状態に切り替わった時点であるか否かを判定する(S30)。この処理は、ノルム指令値I1*,I2*を同一とする処理から異ならせる処理への切替時であるか否かを判定する処理である。そして、CPU52は、切り替わった時点であると判定する場合(S30:YES)、カウンタCをインクリメントする(S32)。そして、CPU52は、カウンタCが奇数であるか否かを判定する(S34)。そしてCPU52は、カウンタCが奇数であると判定する場合(S34:YES)、ステップS20の処理に移行する一方、偶数であると判定する場合(S34:NO)、ノルム指令値I1*を「2・I*−Im」とし、ノルム指令値I2*を最大ノルムImとする(S36)。
なお、CPU52はステップS20の処理が完了する場合と同様、ステップS36の処理が完了する場合にも、図12に示す一連の処理を一旦終了する。
このように、本実施形態によれば、第1系統コイル32と第2系統コイル34とのそれぞれに流す電流を異ならせる場合、より大きい電流を流す方を、交互に切り替えた。これにより、第1系統コイル32および第1インバータ42と第2系統コイル34および第2インバータ44との発熱総量に大きな差が生じることを抑制することができる。
このように、本実施形態によれば、第1系統コイル32と第2系統コイル34とのそれぞれに流す電流を異ならせる場合、より大きい電流を流す方を、交互に切り替えた。これにより、第1系統コイル32および第1インバータ42と第2系統コイル34および第2インバータ44との発熱総量に大きな差が生じることを抑制することができる。
<対応関係>
上記「課題を解決するための手段」の欄に記載した事項と、実施形態における事項との対応関係は、次の通りである。以下では、「課題を解決するための手段」の欄に記載した解決手段の番号毎に、対応関係を示している。なお、以下において、「メモリ74に記憶されたプログラムに従って所定の処理を実行するCPU72」のことを、記載を簡素化するために、「所定の処理を実行するCPU72」と記載する。
上記「課題を解決するための手段」の欄に記載した事項と、実施形態における事項との対応関係は、次の通りである。以下では、「課題を解決するための手段」の欄に記載した解決手段の番号毎に、対応関係を示している。なお、以下において、「メモリ74に記憶されたプログラムに従って所定の処理を実行するCPU72」のことを、記載を簡素化するために、「所定の処理を実行するCPU72」と記載する。
1.第1通電回路は、第1インバータ42に対応し、第2通電回路は、第2インバータ44に対応する。
2.図7、図8、図10、図11および図12の処理を実行する制御装置に対応する。
2.図7、図8、図10、図11および図12の処理を実行する制御装置に対応する。
3.図1に例示した電動機に対応する。
4.図8の処理を実行する制御装置に対応する。
5.図12の処理を実行する制御装置に対応する。
4.図8の処理を実行する制御装置に対応する。
5.図12の処理を実行する制御装置に対応する。
6.図7、図8,図10および図12の処理を実行する制御装置に対応する。
<その他の実施形態>
なお、上記実施形態の各事項の少なくとも1つを、以下のように変更してもよい。
<その他の実施形態>
なお、上記実施形態の各事項の少なくとも1つを、以下のように変更してもよい。
・「電流を大きくする側を切り替える処理について」
ノルム指令値I1*とノルム指令値I2*とのいずれを大きい値とするかを切り替える処理としては、図12の処理に限らない。たとえば、図8や図10の処理においてステップS20の処理と、ノルム指令値I2*を最大ノルムImとする処理とを切り替えてもよい。またたとえば、図11においてステップS20aの処理と、ノルム指令値I2*を規定値Ievとする処理とを切り替えてもよい。
ノルム指令値I1*とノルム指令値I2*とのいずれを大きい値とするかを切り替える処理としては、図12の処理に限らない。たとえば、図8や図10の処理においてステップS20の処理と、ノルム指令値I2*を最大ノルムImとする処理とを切り替えてもよい。またたとえば、図11においてステップS20aの処理と、ノルム指令値I2*を規定値Ievとする処理とを切り替えてもよい。
・「リップル曲線について」
たとえば第1、第2および第5の実施形態においては、電動機10のリップル特性が図6の特性であることを、同等値Ikおよび最大ノルムImを用いた制御を実行する前提条件とした。すなわち、ノルム指令値I*が所定値Itrmよりも小さい場合には、ノルム指令値I*が大きいほどトルクリップルが大きくなり、所定値Itrmよりも大きい場合には、ノルム指令値I*が大きいほどトルクリップルが小さくなって且つリップル曲線gの2階微分値が負であることを前提とした。しかし、リップル曲線g自体、電動機10のリップル特性を近似的に表現するものに過ぎない。すなわち、ノルム指令値I*とトルクリップルとの関係を、ノルム指令値I*のより細分化された値毎に求める場合には、ノルム指令値I*が所定値Itrmよりも小さい場合において、ノルム指令値I*がわずかに大きい方がトルクリップルがわずかに小さくなるデータが得られることもあり得る。その場合であっても、電流のわずかな変化に対するトルクリップルの微小な変化を無視する近似において電流が大きくなるほどトルクリップルが大きくなるのであれば、第1、第2および第5の実施形態において狙いとした効果に準じた効果を奏することができる。同様に、図9に示した特性を有する電動機10が、実際には、電流のわずかな変化に対するトルクリップルの微小な変化を無視する近似において、たとえば規定値Ievよりも大きいときにノルム指令値I*が大きいほどトルクリップルの減少速度が小さくなる特性を有する場合などであっても、図10や図11に例示した処理が有効である。
たとえば第1、第2および第5の実施形態においては、電動機10のリップル特性が図6の特性であることを、同等値Ikおよび最大ノルムImを用いた制御を実行する前提条件とした。すなわち、ノルム指令値I*が所定値Itrmよりも小さい場合には、ノルム指令値I*が大きいほどトルクリップルが大きくなり、所定値Itrmよりも大きい場合には、ノルム指令値I*が大きいほどトルクリップルが小さくなって且つリップル曲線gの2階微分値が負であることを前提とした。しかし、リップル曲線g自体、電動機10のリップル特性を近似的に表現するものに過ぎない。すなわち、ノルム指令値I*とトルクリップルとの関係を、ノルム指令値I*のより細分化された値毎に求める場合には、ノルム指令値I*が所定値Itrmよりも小さい場合において、ノルム指令値I*がわずかに大きい方がトルクリップルがわずかに小さくなるデータが得られることもあり得る。その場合であっても、電流のわずかな変化に対するトルクリップルの微小な変化を無視する近似において電流が大きくなるほどトルクリップルが大きくなるのであれば、第1、第2および第5の実施形態において狙いとした効果に準じた効果を奏することができる。同様に、図9に示した特性を有する電動機10が、実際には、電流のわずかな変化に対するトルクリップルの微小な変化を無視する近似において、たとえば規定値Ievよりも大きいときにノルム指令値I*が大きいほどトルクリップルの減少速度が小さくなる特性を有する場合などであっても、図10や図11に例示した処理が有効である。
・「一方を流れる電流と他方を流れる電流との設定について」
上記実施形態では、電流分散処理を実行する場合、第1系統コイル32に流れる電流のベクトルノルムと第2系統コイル34に流れる電流のベクトルノルムとの和が、電流分散処理を実行しないときの和と等しくなるようにしたがこれに限らない。たとえば、電流分散処理を実行する領域において、ノルム指令値I*毎に、分散処理をする場合のノルム指令値I1*とノルム指令値I2*との組み合わせを記憶したマップを予め用意しておき、これに基づき、ノルム指令値I1*,I2*を設定する処理を実行してもよい。これにより、ノルム指令値I1*,I2*に基づく制御によって、電動機10のトルクをトルク指令値Trq*に高精度に制御することができる。ちなみにこの場合には、第1系統コイル32に対する電流指令値id1*,iq1*と、第2系統コイル34に対する電流指令値id2*,iq2*は、第1の実施形態の場合と比較して、「電流分散処理部について」の欄に記載したようにトルク指令値Trq1*,Trq2*を設定した場合の値に近づく。
上記実施形態では、電流分散処理を実行する場合、第1系統コイル32に流れる電流のベクトルノルムと第2系統コイル34に流れる電流のベクトルノルムとの和が、電流分散処理を実行しないときの和と等しくなるようにしたがこれに限らない。たとえば、電流分散処理を実行する領域において、ノルム指令値I*毎に、分散処理をする場合のノルム指令値I1*とノルム指令値I2*との組み合わせを記憶したマップを予め用意しておき、これに基づき、ノルム指令値I1*,I2*を設定する処理を実行してもよい。これにより、ノルム指令値I1*,I2*に基づく制御によって、電動機10のトルクをトルク指令値Trq*に高精度に制御することができる。ちなみにこの場合には、第1系統コイル32に対する電流指令値id1*,iq1*と、第2系統コイル34に対する電流指令値id2*,iq2*は、第1の実施形態の場合と比較して、「電流分散処理部について」の欄に記載したようにトルク指令値Trq1*,Trq2*を設定した場合の値に近づく。
・「電流分散処理部について」
トルク指令値Trq*に基づきノルム指令値I*を算出し、ノルム指令値I*に基づき、電流分散処理を実行するか否かを判定するものに限らない。たとえば、同等値Ik,Icevや、最大ノルムIm、閾値ノルムIo等に相当するトルクの値を記憶しておき、それらとトルク指令値Trq*との比較処理によって、電流分散処理を実行するか否かを判定するものであってもよい。この際、第1操作処理部M20や第2操作処理部M40に出力するパラメータを、第1系統コイル32用のトルク指令値Trq1*および第2系統コイル34用のトルク指令値Trq2*とすることが望ましい。この場合、「Trq*=Trq1*+Trq2*」とすることにより、分散処理を実行する場合であっても、電動機10のトルクをトルク指令値Trq*に高精度に制御することができる。なお、「Trq*=Trq1*+Trq2*」とする処理は、たとえばステップS20の処理を次のように変更することによって実現できる。すなわち、ノルム指令値I1*,I2*をトルク指令値Trq1*,Trq2*に代え、第1系統コイル32および第2系統コイル34のいずれか一方のみを通電する際の最大トルクをトルク指令値Trq1*とし、トルク指令値Trq2*を「Trq*−Trq1*」とすることによって実現できる。
トルク指令値Trq*に基づきノルム指令値I*を算出し、ノルム指令値I*に基づき、電流分散処理を実行するか否かを判定するものに限らない。たとえば、同等値Ik,Icevや、最大ノルムIm、閾値ノルムIo等に相当するトルクの値を記憶しておき、それらとトルク指令値Trq*との比較処理によって、電流分散処理を実行するか否かを判定するものであってもよい。この際、第1操作処理部M20や第2操作処理部M40に出力するパラメータを、第1系統コイル32用のトルク指令値Trq1*および第2系統コイル34用のトルク指令値Trq2*とすることが望ましい。この場合、「Trq*=Trq1*+Trq2*」とすることにより、分散処理を実行する場合であっても、電動機10のトルクをトルク指令値Trq*に高精度に制御することができる。なお、「Trq*=Trq1*+Trq2*」とする処理は、たとえばステップS20の処理を次のように変更することによって実現できる。すなわち、ノルム指令値I1*,I2*をトルク指令値Trq1*,Trq2*に代え、第1系統コイル32および第2系統コイル34のいずれか一方のみを通電する際の最大トルクをトルク指令値Trq1*とし、トルク指令値Trq2*を「Trq*−Trq1*」とすることによって実現できる。
さらに、第1操作処理部M20や第2操作処理部M40に出力するパラメータを、「電動機の制御量の制御手法について」の欄に記載したように、d軸の電流idをゼロに制御する場合には、第1系統コイル32に対するq軸の電流指令値iq1*および第2系統コイル34に対するq軸の電流指令値iq2*としてもよい。
ちなみに、3相の電流の振幅や電流の実効値は、ノルム指令値I1*,I2*に所定の定数を乗算することにより得られるものであるため、ノルム指令値I1*,I2*は、回転座標系における振幅の指令値や、実効値の指令値と見なせる。
・「トルクリップル対策について」
電流分散処理部M10による処理のみに限らない。たとえば、第1操作処理部M20、第2操作処理部M40により、第1系統コイル32や第2系統コイル34に流れる電流を、基本波電流に高調波電流を重畳させた電流に制御することによって空間高調波に起因したトルクリップルを低減する処理を合わせ実行するものとしてもよい。この場合、高調波を重畳させる前の基本波の電流について、上記ノルム指令値I*等を定義する。
電流分散処理部M10による処理のみに限らない。たとえば、第1操作処理部M20、第2操作処理部M40により、第1系統コイル32や第2系統コイル34に流れる電流を、基本波電流に高調波電流を重畳させた電流に制御することによって空間高調波に起因したトルクリップルを低減する処理を合わせ実行するものとしてもよい。この場合、高調波を重畳させる前の基本波の電流について、上記ノルム指令値I*等を定義する。
・「電動機について」
第1部分24aと第2部分24bとが、ロータ20の周方向Dcにおいて互いに対向する永久磁石24を備えたものとしては、図1に例示したものに限らない。たとえば、図13に例示するものであってもよい。図13に例示するものは、1個の永久磁石がロータ20の2つの磁極を構成する例である。すなわち、図13において第1部分24aは、N極の一部を構成するものであるが、第1部分24aを構成する永久磁石24は、S極を構成する部分を有している。
第1部分24aと第2部分24bとが、ロータ20の周方向Dcにおいて互いに対向する永久磁石24を備えたものとしては、図1に例示したものに限らない。たとえば、図13に例示するものであってもよい。図13に例示するものは、1個の永久磁石がロータ20の2つの磁極を構成する例である。すなわち、図13において第1部分24aは、N極の一部を構成するものであるが、第1部分24aを構成する永久磁石24は、S極を構成する部分を有している。
また、電動機としては、第1部分24aと第2部分24bとが、ロータ20の周方向Dcにおいて互いに対向する永久磁石24を備えたものにも限らない。要は、電流が最大値となる場合よりも小さい所定値となる場合にトルクリップルが最大値となるものであればよい。
・「電動機の制御量の制御手法について」
最大トルク制御を実行するものに限らない。たとえば上記実施形態において、回転速度ωが閾値速度ωth以下の場合、d軸の電流idをゼロに制御してもよい。この場合、上記ステップS20の処理等の分散処理を実行する場合の電動機10のトルクをトルク指令値Trq*に制御する精度が向上する。
最大トルク制御を実行するものに限らない。たとえば上記実施形態において、回転速度ωが閾値速度ωth以下の場合、d軸の電流idをゼロに制御してもよい。この場合、上記ステップS20の処理等の分散処理を実行する場合の電動機10のトルクをトルク指令値Trq*に制御する精度が向上する。
電流フィードバック制御を実行するものとしては、回転2次元座標系における電流を指令値に制御するものに限らない。たとえば、3相の各電流iu1,iv1,iw1や電流iu2,iv2,iw2を、ヒステリシス幅内に納めるように制御する瞬時電流値制御を実行するものであってもよい。またたとえば、回転2次元座標系の電流を入力とし、複数のスイッチングモードのそれぞれが仮に選択された場合の未来の電流を予測し、この予測値と指令値との差を小さくするスイッチングモードを実際に採用する、いわゆるモデル予測制御を実行するものであってもよい。
・「ステータコイルについて」
第1系統コイル32および第2系統コイル34からなるものに限らない。たとえば、第1系統コイル32および第2系統コイル34に加えて、第3系統コイルを備えるもの等、3個以上の系統コイルを備えるものであってもよい。この場合、たとえば図6のリップル曲線gを、全ての系統コイルに同一の電流を流した場合の曲線とすればよい。その場合、たとえば、ノルム指令値I*が値Ihとなる場合、第1系統コイル32のノルム指令値I1*と第2系統コイル34のノルム指令値I2*とをステップS20の処理によって設定し、残りの系統コイルのノルム指令値は値Ihのままとしてもよい。これによっても、トルクリップルを低減することができる。もっとも、これに限らず、たとえば、第1系統コイル32のノルム指令値I1*と残りの系統コイルのノルム指令値とを最大ノルムImとするなどしてもよい。その場合、第2系統コイル34のノルム指令値I2*を所定値Itrmからいっそう引き離すことができる。なお、N(N>2)個の系統コイルを備える場合、各系統コイルは、ステータ30をN等分割した領域のそれぞれに割り振るようにして配置すればよい。
第1系統コイル32および第2系統コイル34からなるものに限らない。たとえば、第1系統コイル32および第2系統コイル34に加えて、第3系統コイルを備えるもの等、3個以上の系統コイルを備えるものであってもよい。この場合、たとえば図6のリップル曲線gを、全ての系統コイルに同一の電流を流した場合の曲線とすればよい。その場合、たとえば、ノルム指令値I*が値Ihとなる場合、第1系統コイル32のノルム指令値I1*と第2系統コイル34のノルム指令値I2*とをステップS20の処理によって設定し、残りの系統コイルのノルム指令値は値Ihのままとしてもよい。これによっても、トルクリップルを低減することができる。もっとも、これに限らず、たとえば、第1系統コイル32のノルム指令値I1*と残りの系統コイルのノルム指令値とを最大ノルムImとするなどしてもよい。その場合、第2系統コイル34のノルム指令値I2*を所定値Itrmからいっそう引き離すことができる。なお、N(N>2)個の系統コイルを備える場合、各系統コイルは、ステータ30をN等分割した領域のそれぞれに割り振るようにして配置すればよい。
・「制御装置について」
制御装置としては、トルク指令値Trq*が外部から入力されるものに限らず、たとえば外部から転舵角の指令値が入力され、転舵角の指令値に基づきトルク指令値Trq*を算出するものであってもよい。もっともこれにも限らず、たとえば車線に従って車両を走行させるための転舵角の指令値を算出する処理をも実行するものであってもよい。
制御装置としては、トルク指令値Trq*が外部から入力されるものに限らず、たとえば外部から転舵角の指令値が入力され、転舵角の指令値に基づきトルク指令値Trq*を算出するものであってもよい。もっともこれにも限らず、たとえば車線に従って車両を走行させるための転舵角の指令値を算出する処理をも実行するものであってもよい。
CPU52とメモリ54とを備えて、ソフトウェア処理のみを実行するものに限らない。たとえば、上記実施形態においてソフトウェア処理されたものの少なくとも一部を、専用のハードウェア(ASIC)にて処理してもよい。
・「そのほか」
自動操舵を実行する車両における転舵アクチュエータ内蔵の電動機に限らない。たとえば、主機としての電動機であってもよい。
自動操舵を実行する車両における転舵アクチュエータ内蔵の電動機に限らない。たとえば、主機としての電動機であってもよい。
電動機10の温度をノルム指令値I1*に基づき推定する代わりに、たとえば電動機10付近に温度センサを備えてその検出値を利用してもよい。
10…電動機、20…ロータ、22…コア、24…永久磁石、24a…第1部分、24b…第2部分、28…回転軸、30…ステータ、32…第1系統コイル、32u,32v,32w…コイル、34…第2系統コイル、34u,34v,34w…コイル、40…バッテリ、42…第1インバータ、44…第2インバータ、50…制御装置、52…CPU、54…メモリ、60…回転角センサ、62…電流センサ、64…電流センサ。
Claims (6)
- ロータおよびステータコイルを備える電動機の制御量を制御するために、前記ステータコイルを通電するための通電回路を操作する電動機の制御装置において、
前記ステータコイルは、3相のコイルを備えた第1系統コイルと、3相のコイルを備えた第2系統コイルと、を備え、
前記通電回路は、前記第1系統コイルに通電する第1通電回路と、前記第2系統コイルに通電する第2通電回路と、を備え、
前記電動機は、前記第1系統コイルに流れる電流と前記第2系統コイルに流れる電流とを同一として前記第1系統コイルおよび前記第2系統コイルの双方に通電する場合、前記電流が最大電流値となる場合よりも小さい所定値となる場合にトルクリップルが最大となるものであり、
前記電動機のトルクが規定トルク以上であることを条件に、前記第1系統コイルおよび前記第2系統コイルのいずれか一方に流れる電流を前記所定値よりも大きくして且つ、他方に流れる電流を前記所定値よりも小さくする処理である電流分散処理を実行する電動機の制御装置。 - 前記電動機のトルクが、前記第1系統コイルに流れる電流と前記第2系統コイルに流れる電流とを前記所定値とした場合の前記電動機のトルク以下の場合、前記電流分散処理を実行する請求項1記載の電動機の制御装置。
- 前記ロータには、永久磁石が埋め込まれており、
前記永久磁石は、前記ロータの1つの磁極を構成する第1部分および第2部分を備え、
前記第1部分および前記第2部分は、前記ロータの周方向において互いに対向している請求項1または2記載の電動機の制御装置。 - 前記電動機の温度が規定温度以上である場合、前記電動機のトルクが前記規定トルク以上であっても、前記電流分散処理を実行しない請求項1〜3のいずれか1項に記載の電動機の制御装置。
- 前記第1系統コイルを前記いずれか一方とし前記第2系統コイルを前記他方とする処理と、前記第1系統コイルを前記他方とし前記第2系統コイルを前記いずれか一方とする処理とを所定の周期で切り替える請求項1〜4のいずれか1項に記載の電動機の制御装置。
- 前記電流分散処理は、前記一方に流れる電流を最大電流値とする処理であり、
前記規定トルクは、前記第1系統コイルおよび前記第2系統コイルの双方を流れる電流を同一とすると仮定した場合における前記双方を流れる電流が前記所定値となるときのトルクよりも小さく且つ前記双方を流れる電流が前記最大電流値であるときと前記トルクリップルが同一となるトルク以上のトルクである請求項1〜5のいずれか1項に記載の電動機の制御装置。
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2016
- 2016-07-11 JP JP2016136702A patent/JP2018011376A/ja active Pending
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