JP2018009943A - サプレッサーを切り替えるイオンクロマトグラフ - Google Patents
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Abstract
Description
図1は、従来のイオン交換材を交換する方式の切り替え型サプレッサー手段を備えたイオンクロマトグラフ装置の一例を説明するための図である。この装置は、溶離液タンク(10)、分離カラムへ溶離液を送液するための溶離液送液ポンプ(20)、測定試料を注入するための試料導入部(30)、目的のイオン種を分離するための分離カラム(40)、分離カラムの温度を安定させるための温度調節部(カラムオーブン)(50)、イオン交換材を充填可能な内部に3つのチャンバーを有するサプレッサー手段(60)、検出器(電気伝導度検出器)(70)および溶離液廃液タンク(80)から主に構成される。この例では、サプレッサー手段(60)はロータリーバルブを利用した形態であり、チャンバーを保持するローターを、流路接続部を備えたステーターに対して回転させることで3つのチャンバー位置を切り替えることができる。分析流路中の使用位置(61a)にて測定に使用されたイオン交換材は、排出位置(61b)にてイオン交換材廃棄タンク(64)へ排出され、充填位置(61c)にてイオン交換材タンク(62)にある未使用のイオン交換材をイオン交換材充填ポンプ(63)によって充填し、余分な水分等は排出位置(61b)に送液され、チャンバー内を洗浄する。充填が終了後、再び使用位置(61a)に切り替えて測定に使用される。
図2は、本発明のイオンクロマトグラフ装置の一例を説明するための図である。充填位置(61c)にてイオン交換材タンク(62)にある未使用のイオン交換材をイオン交換材充填ポンプ(63)によって充填した後、チャンバーに送液するための溶離液送液ポンプ(65)によりチャンバー内のイオン交換材が接触している溶媒を溶離液に液置換し、その後に分析流路中の使用位置(61a)に切り替えて測定に使用する。分析流路で使用し、消耗したイオン交換材を保持したサプレッサーチャンバーは使用位置(61a)から排出位置(61b)に流路を切り替えてイオン交換材をイオン交換材廃棄タンクに排出する。チャンバー内へ送液する溶離液の送液量は、多量に過ぎるとイオン交換材のイオン交換能が低下もしくは消尽してしまうため、チャンバー容量の0.1〜5倍程度、さらに好ましくは2〜3倍程度とするのが好適である。
図3は、本発明のイオンクロマトグラフ装置のもう一つの例を説明するための図である。サプレッサー手段(60)はイオン交換材を充填可能な内部に4つのチャンバーを有する。サプレッサー手段(60)はロータリーバルブであり、回転させることで4つのチャンバー位置を切り替えることができる。充填位置(61c)にてイオン交換材タンク(62)にある未使用のイオン交換材をイオン交換材充填ポンプ(63)によって充填した後、回転させて液置換位置(61d)へチャンバーを移動し、そこで溶離液送液ポンプ(65)によりチャンバー内のイオン交換材を溶離液に液置換し、その後に分析流路中の使用位置(61a)に切り替えて測定に使用する。本実施例2では、実施例1と異なり充填位置(61c)と液置換位置(61d)の流路が分離されているため、チャンバー外の流路内に残存する一部の未使用イオン交換材を溶離液に液置換することがない。また、送液した溶離液をイオン交換材廃棄タンク(64)ではなく、溶離液廃液タンク(80)へ排出することが可能である。実施例1と同様にチャンバー内へ送液する溶離液の送液量は、多量に過ぎるとイオン交換材のイオン交換能が低下もしくは消尽してしまうため、チャンバー容量の0.1〜5倍程度、さらに好ましくは2〜3倍程度とするのが好適である。
図4は、本発明のイオンクロマトグラフ装置においてサプレッサー手段にイオン交換材の再生液供給手段を連結した場合の一例を説明するための図である。装置構成は図2と同様の3つのチャンバーを備えたロータリーバルブ(60)を使用する。使用済みのイオン交換材は使用位置(61a)から流路位置(61b)に切り替えられる。この流路位置(61b)には図2のイオン交換材を排出する手段を設ける代わりに、今度はイオン交換材を再生するための再生液供給手段を連結している。再生液供給手段は再生液タンク(11)および送液ポンプ(14)を備えている。再生液には通常、塩酸、硫酸などの酸あるいは水酸化ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウムなどの塩基を使用するため、分析流路に導入する前に精製水等の洗浄液で適切に洗浄しておいた方が良い場合もある。この例では、再生液で処理する流路位置(61b)に置かれたチャンバーは、次に流路位置(61c)に切り替えられ、その位置で精製水(12)が送液ポンプ(13)によってイオン交換材の層を通り、溶離液廃液タンク(80)に流れ込む。その後は、図2と同様に溶離液(10)を送液ポンプ(65)によりイオン交換材に通液して液置換する。液置換が済んだイオン交換材は手動または装置の制御に従って分析流路中の使用位置(61a)に切り替えられる。また、再生液と溶離液が混和しても分析結果へ影響しない場合は、再生液にてイオン交換材を再生後直ちに溶離液に液置換しても良い。
図5は、従来の切り替え型サプレッサー手段の切り替え由来の検出器信号の変動と本実施例1による切り替え由来の検出器信号の変動の比較を示すための図である。本発明の装置構成および従来の装置構成において、3.8mM炭酸水素ナトリウムおよび3.0mM炭酸ナトリウムの混合水溶液を溶離液として使用し、TSKgel SuperIC−Anion HS(東ソー株式会社製)を分離カラムとして使用して、流量1.5mL/minにて測定を行った。破線が従来の装置構成による検出器のバックグラウンド信号であり、実線が本実施例1の装置構成を使用したときの検出器のバックグラウンド信号である。信号は比較しやすくするため上下にシフトさせている。いずれも図中の矢印で示したタイミングでサプレッサーチャンバーの切り替えを行っている。破線の信号波形には溶離液変動に由来する検出器信号の変動が切り替え時点から数秒後に発生しているが、実施例1の装置構成を使用した実線の信号波形には検出器信号の変動がほとんど検出されていないことが分かる。
本発明(実施例1、図2)の装置構成および従来の装置構成におけるサプレッサー手段の切り替えを伴う/伴わないイオンクロマトグラムを図5に示した。測定試料はすべて標準陰イオン試料(フッ化物イオン1mg/L、塩化物イオン1mg/L、亜硝酸イオン5mg/L、臭化物イオン5mg/L、硝酸イオン5mg/L、燐酸イオン10mg/L、硫酸イオン5mg/L)を使用した。比較しやすくするため信号は上下にシフトさせている。点線は測定の途中にサプレッサー手段の切り替えを行っていない通常のクロマトグラムであり、プラス側に7つのイオン種(左からフッ化物イオン、塩化物イオン、亜硝酸イオン、臭化物イオン、硝酸イオン、燐酸イオン、硫酸イオン)が正常に検出されている。破線は従来の装置構成を使用して図中の矢印で示した測定途中のタイミングでサプレッサー手段の切り替えを行ったときのクロマトグラム、実線は本発明(実施例1)の装置構成を使用し、同じタイミングで測定途中にサプレッサー手段の切り替えを行ったときのクロマトグラムである。破線では、サプレッサー手段切り替え時の溶離液変動に由来する検出器信号が6つ目のイオン種(燐酸イオン)に干渉し、6つ目のイオン種が正常に検出できていないのに対し、実線では正常に検出できていることが分かる。
11 再生液タンク
12 精製水タンク
13 精製水ポンプ
14 再生液ポンプ
20 溶離液送液ポンプ
30 試料導入部
40 分離カラム
50 カラムオーブン
60 サプレッサー手段
61a 分析流路中の使用位置
61b 排出位置 /再生位置
61c 充填位置 /洗浄位置
61d 液置換(平衡化)位置
62 イオン交換材タンク
63 イオン交換材充填ポンプ
64 イオン交換材廃棄タンク
65 溶離液送液ポンプ
70 検出器
80 溶離液廃液タンク
Claims (4)
- 試料および溶離液を、少なくとも分離カラム、サプレッサー手段および検出器を連通する分析流路に導きイオン種を検出するイオンクロマトグラフ装置において、
前記サプレッサー手段は、バックグラウンド電気伝導度を低減させるためのイオン交換材を保持可能な複数のチャンバーを備え、前記複数のチャンバーは前記分析流路と連通する流路位置および前記分析流路と連通しない1以上の流路位置において切り替え可能に構成されており、
前記分析流路と連通しない流路位置に、前記チャンバー内のイオン交換材を溶離液で平衡化する手段を連結したことを特徴とする前記イオンクロマトグラフ装置。 - 前記分析流路と連通しない流路位置であって、前記チャンバー内のイオン交換材を溶離液で平衡化する手段と連結している位置と同一のまたは異なる流路位置に、イオン交換材を再生するための再生液供給手段と連結したことを特徴とする請求項1記載のイオンクロマトグラフ装置。
- 前記分析流路と連通しない少なくとも2つの流路位置に、それぞれイオン交換材を充填する手段、イオン交換材を排出する手段を連結したことを特徴とする請求項1記載のイオンクロマトグラフ装置。
- 前記チャンバー内のイオン交換材を溶離液で平衡化する手段と連結している流路位置と同一のまたは異なる流路位置に、前記イオン交換材を充填する手段を連結したことを特徴とする請求項3記載のイオンクロマトグラフ装置。
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2016
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