JP2018008310A - 電縫溶接クラッド鋼管の製造方法 - Google Patents

電縫溶接クラッド鋼管の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電縫溶接後の肉盛溶接等の追加の溶接処理を施さなくても、電縫溶接ままでクラッド鋼管としての機能を損なうことなく、溶接部の機械的特性に優れた電縫溶接クラッド鋼管の製造方法を提供する。
【解決手段】炭素鋼または低合金鋼からなる第1層11と、ステンレス鋼またはニッケル含有合金からなる第2層12とが圧着されてなるクラッド鋼帯10を用意する。クラッド鋼帯の幅方向両端部を第2層側から押し込み加工して、前記幅方向両端部を、クラッド界面が第2層側からクラッド鋼帯の厚み中心側に向き、かつ、ベベル角度が10°以上50°以下で、開先深さdがクラッド鋼帯の厚みtの10%以上45%以下であり、投影クラッド比率Rが15%以上50%以下であるY形開先とする開先加工を行う。その後、クラッド鋼帯を管状に成形し、アプセット量が0.2t以上1.0t以下の条件で突き合せ加圧し、電縫溶接する。
【選択図】図2

Description

本発明は、電縫溶接クラッド鋼管の製造方法に関する。
通常、電縫鋼管は、鋼帯を管状に成形し、高周波電流によって加熱・溶融された対向する鋼帯幅方向両端部を、スクイズロールにより突き合せ加圧して溶接し製造される。電縫鋼管の場合、一般に溶接部の靭性や強度などの機械的特性は溶接前の鋼帯に比べて劣化するといわれている。
溶接部の機械的特性を低下させる原因としては、ペネトレータと呼ばれる酸化物主体の溶接欠陥が挙げられる。このペネトレータは、溶接部に残留して、溶接部の靭性や強度を低下させる原因となる。そのため、通常は、ペネトレータが溶接部に残留しないよう、スクイズロールによるアプセット量を大きくして、溶接時に生じる酸化溶融物を管外面に排出する対策が取られている。
ところで、電縫鋼管の特性を向上させるための手段として、電縫溶接クラッド鋼管が提案されている。電縫溶接クラッド鋼管とは、母材としての鋼帯に、母材とは異なる材料からなる金属帯(合せ材)をクラッドしたクラッド鋼帯を用いて製造される電縫鋼管である。このように異なる材料を組み合わせることにより、母材と合せ材、それぞれが有する特性を活かし、優れた特性を有する鋼管を得ることができる。例えば、母材として炭素鋼を、合せ材としてステンレス鋼を用いた場合、ステンレス鋼の耐食性と、炭素鋼の強度とを兼ね備えた電縫クラッド鋼管を得ることができると考えられる。
しかしながら、クラッド鋼帯を素材として電縫溶接クラッド鋼管を製造する場合、アプセット量を大きくすると、図5に示すように、母材11の溶融鋼および熱影響部が、合せ材12(図5の場合には、鋼管内面側)の溶接シーム部に侵入する現象が生じる。特に、過度なアプセット量の場合、母材11が鋼管の合せ材側表面(図5の場合には、鋼管内面)へ露出し、結果として、合せ材の優れた特性を活かすクラッド鋼管としての性能が失われる。
例えば、母材11が低炭素鋼で、合せ材12がステンレス鋼であるステンレスクラッド鋼帯を素材として、アプセット量を大きくして、合せ材を内層、母材を外層として製造した電縫溶接クラッド鋼管では、ステンレス鋼のシーム部に低炭素鋼が侵入したり、図5のように低炭素鋼が鋼管内面に露出したりする。このため、鋼管内面の溶接シーム部14近傍の耐食性が著しく低下する。このような電縫溶接クラッド鋼管を鋼管内面に耐食性が要求される環境下で使用すると、要求性能を発揮できない。
つまり、従来技術では、電縫溶接ままの電縫溶接クラッド鋼管において、溶接部の機械的特性を低下させないことと、クラッド鋼管としての機能を損なわないこととを両立しにくいという問題があった。このような問題に対し、電縫溶接クラッド鋼管に対して追加の処理を施す技術が知られている。
特許文献1には、管状に曲成したクラッド鋼板または鋼帯の対向両縁部を突合せ溶接した溶接ビード中の少なくとも合せ材側ビードを、母材に到る深さまで切削除去し、切削除去部に合せ材と同様の性質を有する肉盛溶接を施すクラッド管の製造方法が開示されている。
特許文献2には、クラッド鋼帯を素管に成形し、継目エッジ部を電縫溶接した後、第1に、異種金属が侵入した溶接シームに沿って、クラッド界面部の深さまで溶融・凝固させて、該異種金属を希釈する、または、第2に、異種金属が侵入したシーム部を合せ材と同種の金属で肉盛溶接し、該肉盛溶接部を圧延して前記異種金属を希釈する、クラッド鋼の鋼管製造方法が開示されている。
特許文献3には、内面側を合せ材としたクラッド鋼溶接鋼管の製造方法において、クラッド鋼の原板または原コイルを成形して内面を合せ材とした管状体の合せ材突合せの少なくとも一部分を電縫溶接し、その後突合せ未溶接部を肉盛溶接するクラッド鋼溶接鋼管の製造方法が開示されている。
特開昭60−221173号公報 特開昭62−156087号公報 特開平5−154545号公報
しかしながら、上記の特許文献1〜3に記載の技術は、いずれも電縫溶接後に、合せ材ビード部を切削除去して肉盛溶接する(特許文献1)、溶接シームに沿ってTIGアーク熱源などで溶融・凝固または肉盛溶接する(特許文献2)、突合せ未溶接部を肉盛溶接する(特許文献3)、などの追加の溶接工程が必要なため、生産性が低下し、製造コストが増大するとともに、追加の肉盛溶接で環境面の悪影響を生じるという課題があった。
そこで本発明は、上記課題に鑑み、従来技術で必要とされている電縫溶接後の肉盛溶接等の追加の溶接処理を施さなくても、電縫溶接ままでクラッド鋼管としての機能を損なうことなく、溶接部の機械的特性に優れた電縫溶接クラッド鋼管の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、以下の知見を得た。クラッド鋼帯の幅方向両端部は、管状に成形されたオープン管において突合せ部(すなわち被溶接部)となる。そこで、電縫溶接前にあらかじめ、クラッド鋼帯の幅方向両端部を合せ材側から押し込み加工して、所定の開先形状のY形開先を形成したところ、電縫溶接後に、母材の溶融鋼および熱影響部が合せ材の溶接シーム部に侵入することを抑制できた。
それゆえ、クラッド鋼管としての機能が損なわれにくい状況でアプセット量を大きくすることができ、その結果、溶接部からペネトレータの排出が促進され、結果的に溶接部の靭性及び強度の低下を防止できた。
さらに、前記所定の開先形状とすることで、被溶接部全体の温度分布が均一化されるため、溶接部からペネトレータの排出が促進され、結果的に溶接部の靭性及び強度の低下を防止できた。
上記知見に基づき完成された本発明の要旨構成は以下のとおりである。
[1]母材である炭素鋼または低合金鋼からなる第1層と、合せ材であるステンレス鋼またはニッケル含有合金からなる第2層とが圧着されてなるクラッド鋼帯を用意し、
前記クラッド鋼帯の幅方向両端部を前記第2層側から押し込み加工して、前記幅方向両端部を、クラッド界面が前記第2層側から前記クラッド鋼帯の厚み中心側に向き、かつ、ベベル角度が10°以上50°以下で、開先深さdが前記クラッド鋼帯の厚みtの10%以上45%以下であり、下記(1)式で定義される投影クラッド比率Rが15%以上50%以下であるY形開先とする開先加工を行い、
その後、前記クラッド鋼帯を管状に成形し、
該クラッド鋼帯の前記幅方向両端部を、アプセット量が0.2t以上1.0t以下の条件で突き合せ加圧し、電縫溶接して、電縫溶接クラッド鋼管を得る
ことを特徴とする電縫溶接クラッド鋼管の製造方法。

R=(t +d)/t×100(%) ・・・(1)
ここで、R:投影クラッド比率
:ルート面における前記第2層の厚み(mm)
d:開先深さ(mm)
t:前記クラッド鋼帯の厚み(mm)
[2]得られた前記電縫溶接クラッド鋼管は、JIS G 3445の規定に準拠した90°偏平試験における偏平値h/Dが0.3未満を満足するものである、上記[1]に記載の電縫溶接クラッド鋼管の製造方法。
ここで、h:偏平割れ高さ(mm)
D:管外径(mm)
本発明によれば、従来技術で必要とされている電縫溶接後の肉盛溶接等の追加の溶接処理を施さなくても、電縫溶接ままでクラッド鋼管としての機能を損なうことなく、溶接部の機械的特性に優れた電縫溶接クラッド鋼管を製造することができる。
本発明の一実施形態に従い電縫溶接クラッド鋼管を製造するための設備の概略図である。 (A)は、クラッド鋼管の幅方向両端部(突合せ部)の開先形状を示す断面図であり、(B)は、電縫溶接後の溶接部とその近傍を示す断面図である。 投影クラッド比率Rが電縫溶接後の溶接部のクラッド比率に及ぼす影響を示すグラフである。 本発明の一実施形態で使用し得る開先加工機を示す模式図である。 溶接部とその近傍におけるメタルフローとクラッド界面を示す断面図である。
図1を参照して、本発明の一実施形態による電縫溶接クラッド鋼管の製造工程を説明する。本発明の一実施形態における電縫溶接クラッド鋼管の製造では、以下のステップを含む。まず、熱延コイルとされたクラッド鋼帯10をアンコイラー30で連続的に払い出す。続いて、払い出されたクラッド鋼帯10の幅方向両端部に開先加工機40で開先加工を施す。続いて、ロール成形機50でクラッド鋼帯10を管状に成形する。続いて、突合せ部(被溶接部)となる前記幅方向両端部を、高周波加熱装置60で融点以上に加熱しつつ、スクイズロール70で突合せ加圧することにより、電縫溶接して、電縫溶接クラッド鋼管20を得る。続いて、ビード切削機90で溶接部の外面および内面の溶接ビードを切削し、その後、管20を切断機96で所定の長さに切断する。
高周波加熱装置60は、直接通電加熱式又は誘導加熱式の装置のいずれであってもよい。なお、高周波電流の通電部分を含む通帯方向範囲内の管の内面側に、図示しないインピーダを装入して電縫溶接を行う場合もある。また、スクイズロール5による圧接工程において、加熱された被溶接部でのペネトレータの生成を抑制し、溶接部の機械的特性をより向上するために、素管全周を覆うシールドボックスを設けることが好ましい。
本実施形態は、図2に示すように、母材である炭素鋼または低合金鋼からなる第1層11と、合せ材であるステンレス鋼またはニッケル含有合金からなる第2層12とが圧着されてなるクラッド鋼帯10を用いて、合せ材である第2層12を内層、母材である第1層11を外層として、電縫溶接を行う例を示す。ここで、本明細書において「母材」とは、互いに厚みと材料が異なる二層からなるクラッド鋼帯のうち、厚みが大きい層の材料を意味し、「合せ材」とは、厚みが小さい層の材料を意味する。例えば、クラッド鋼管の製造に用いるクラッド鋼帯では、母材としては鋼管の強度を確保するための材料を選定し、合せ材としては、母材で確保できない特性(例えば耐食性等)を確保するための材料を選定することができる。
本発明で母材として用いる炭素鋼は、特に限定されないが、クラッド鋼管の機械的特性は、その鋼管体積の大部分を占める母材の特性に支配されるため、クラッド鋼管の適用先に応じた規格、機械的特性を有する炭素鋼を選定することが好ましい。
本発明で母材として用いる低合金鋼は、合金元素の合計含有量が5質量%以下の鋼であれば特に限定されず、炭素鋼と同様に、クラッド鋼管の適用先を考慮して選定すればよい。
本発明で合せ材として用いるステンレス鋼またはニッケル含有合金は、耐食性合金である。特に高い耐食性を有する点から、ステンレス鋼ではSUS316L、ニッケル含有合金ではAlloy625、Alloy825が好ましい。高腐食性環境で使用されるラインパイプには、生産流動体が流れる鋼管内面に高い耐食性が求められる。よって、電縫溶接クラッド鋼管をラインパイプに使用する場合には、合せ材を内層、母材を外層として、電縫溶接を行えばよい。逆に、鋼管外面に高い耐食性が求められる用途の場合、母材を内層、合せ材を外層として、電縫溶接を行えばよい。
本実施形態では、クラッド鋼帯の幅方向両端部に以下の開先加工を行うことが肝要である。すなわち、図2(A)を参照して、クラッド鋼帯10の幅方向両端部を第2層12側から押し込み加工して、幅方向両端部を、クラッド界面13が第2層側からクラッド鋼帯の厚み中心側に向き、かつ、ベベル角度θが10°以上50°以下で、開先深さdがクラッド鋼帯の厚みtの10%以上45%以下であり、下記(1)式で定義される投影クラッド比率Rが15%以上50%以下であるY形開先とする。

R=(t +d)/t×100(%) ・・・(1)
ここで、R:投影クラッド比率
:ルート面における前記第二層の厚み(mm)
d:開先深さ(mm)
t:前記クラッド鋼帯の厚み(mm)
ここでは、クラッド鋼帯10の幅方向両端部の第2層側角部を切り落としてY形開先とするのではなく、クラッド鋼帯10の幅方向両端部を第2層12側から押し込み加工することが重要である。その結果、クラッド界面13も第2層側からクラッド鋼帯の厚み中心側に押し込まれる。それに加え、ベベル角度θ、開先深さd、および投影クラッド比率Rを上記の範囲とする。これにより、電縫溶接後に、母材の溶融鋼および熱影響部が合せ材の溶接シーム部に侵入することを抑制できる。その結果、溶接部で母材が鋼管の合せ材側表面(本実施形態では内面)に露出せず、溶接部の内面ビードを切削した後に、溶接部を含め全面に亘って合せ材に被覆された内面を有する電縫溶接クラッド鋼管を得ることができる。
また、上記開先形状によって、電流が集中する角部が存在しない結果、被溶接部全体の温度分布が均一化されるため、溶接部からペネトレータの排出が促進され、結果的に溶接部の靭性及び強度の低下を防止できる。
ベベル角度θが10°未満の場合、被溶接部全体の温度分布の均一性が保てなくなり、結果としてペネトレータの排出が不十分になりやすくなるため、溶接部の靭性、強度等の機械的特性が不十分になる。
一方、ベベル角度θが50°超えの場合、母材の溶融鋼および熱影響部が合せ材の溶接シーム部に侵入することを抑制する効果が不十分となり、溶接部で母材が鋼管の合せ材側表面に露出する傾向が高まる。
開先深さdがクラッド鋼帯の厚みtの10%未満の場合、母材の溶融鋼および熱影響部が合せ材の溶接シーム部に侵入することを抑制する効果が不十分となり、溶接部で母材が鋼管の合せ材側表面に露出する傾向が高まる。
一方、開先深さdがクラッド鋼帯の厚みtの45%超えの場合、溶接部の組成が合せ材の組成に近い高合金組成となるため、溶接部の靭性、強度等の機械的特性が不十分になる。
母材が合せ材側表面に露出しないことと、溶接部の機械的特性を低下させないことをより高いレベルで両立する観点から、ベベル角度θは15°以上35°以下とし、かつ、開先深さdはクラッド鋼帯の厚みtの20%以上45%以下とすることが好ましい。
加えて、本実施形態では、下記(1)式で定義される投影クラッド比率Rを15%以上50%以下とすることも非常に重要である。投影クラッド比率Rが15%未満の場合、母材の溶融鋼および熱影響部が合せ材の溶接シーム部に侵入することを抑制する効果が不十分となり、溶接部で母材が鋼管の合せ材側表面に露出する。また、投影クラッド比率Rが50%超えの場合、すなわちY形開先のルート面におけるクラッド界面の位置がクラッド鋼帯10の肉厚中央より母材側になると、電縫溶接後の溶接シーム14の大部分が合せ材である高合金組成の金属を電縫溶接した溶接シームとなるため、溶接部の靱性、強度等の機械的特性が低下する。
この傾向を示す例として、母材厚:22.5mm、合せ材厚:2.5mmのクラッド鋼帯の場合に、ベベル角度θを45°、開先深さdを6mm、投影クラッド比率Rを種々の値として、Y形開先加工を行い、その後アプセット量を5.0mmとして電縫溶接を行い、電縫溶接後の溶接部の肉厚方向のクラッド比率rを測定した結果を図3に示す。図3の縦軸である溶接部の肉厚方向のクラッド比率rは、図2(B)に示す、溶接シーム部における第二層の厚み(t)の、クラッド鋼管の厚み(t)に対する比であり、この値がゼロの場合、母材が合せ材側表面に露出していることになる。図3から明らかなように、投影クラッド比率Rが15%未満の場合、溶接部で母材が鋼管の合せ材側表面に露出している。
また、腐食性を有する物質を輸送するラインパイプとして電縫溶接クラッド鋼管を使用するにあたって、クラッド鋼管の内面の耐食性を長期にわたって維持するためには、電縫溶接後の溶接部のクラッド比率rを10%以上確保することが望ましい。したがって、電縫溶接時の突合せ部のY形開先の投影クラッド比率Rは、30%以上に設定することが好ましい。
本実施形態における開先加工は、例えば図4に示すような構成の開先加工機40を用いて行うことができる。開先加工機40は、走行するクラッド鋼帯10に連続的に加工が可能な圧延式開先加工機であり、上側サイドロール42および下側サイドロール44がそれぞれ左右一対で配置されている。図4のように、上側サイドロール42が、上側に向けてテーパー状に大径となった圧延部42Aを有することで、クラッド鋼帯10の幅方向両端部をY形開先とすることができる。
圧延部42Aのテーパー形状を変更することにより、クラッド鋼帯の幅方向端部の開先形状を所望の形状にすることができる。また、投影クラッド比率Rは、図2(A)を参照して、クラッド鋼帯10における第1層(母材)の厚みtと第2層(合せ材)の厚みtとの比と、押し込み加工による開先形状とに依存するものである。よって、上記比を適切に選択し、かつ、圧延部42Aのテーパー形状を変更して適切な開先形状とすることによって、投影クラッド比率Rを所望の値とすることができる。
上記開先加工の後、クラッド鋼帯10を管状に成形し、該クラッド鋼帯の幅方向両端部を突き合せ加圧し、電縫溶接して、電縫溶接クラッド鋼管20を得る。アプセット量は、0.2t以上1.0t以下とする(t:クラッド鋼帯の厚み)。アプセット量が0.2t未満の場合、アプセット不足により電縫溶接中に溶接部からペネトレータの排出が不十分となり、溶接部の靭性及び強度が低下する。一方、アプセット量が1.0t超えの場合、スクイズロールの加圧による溶融鋼の流出量が増加するため、溶接部で母材が鋼管の合せ材側表面に露出し、当該部位の耐食性を悪化させる。なお、スクイズロールによるアプセット量は、スクイズロールより手前の管の外周長を測定した後、スクイズロールにより溶接して外面の溶接ビード部を切削した後の管の外周長を測定して、両者の差を計算することにより求める。
以上説明したように、本実施形態では、溶接部で母材が鋼管の合せ材側表面に露出することなくアプセット量を確保できるため、溶接部からペネトレータの排出が促進され、また、被溶接部全体の温度分布が均一化される。そのため、本実施形態では、電縫溶接ままで、すなわち、溶接直後に溶接ビードを切削しただけで、肉盛溶接等の何らの追加の溶接処理を施さない状態で、溶接部が高い破断特性を有する。具体的には、JIS G 3445の規定に準拠した90°偏平試験における偏平値h/Dが0.3未満を満足する。なお、h:偏平割れ高さ(mm)、D:管外径(mm)である。
本実施形態では、合せ材である第2層12を内層、母材である第1層11を外層として、電縫溶接クラッド鋼管を製造する例を示したが、本発明はこれに限定されず、合せ材である第2層を外層、母材である第1層を内層としてもよい。この場合にも、合せ材である第2層側から押し込み加工してY形開先とすることによって、同様の作用効果を得ることができる。
(実施例1)
表1に示す成分組成を有し、表2に示す厚みを有する母材である低炭素低合金鋼と、表1に示す成分組成を有し、表2に示す厚みを有する合せ材であるステンレス鋼(SUS316L)からなる2層の種々のクラッド熱延鋼帯を用意した。図1に示したように、アンコイラー30とロール成形機50との間に、図4に示す圧延式開先加工機40を配置した電縫溶接鋼管製造設備により、用意した各クラッド熱延鋼帯を素材として、クラッド鋼帯の幅方向両端部に表2に示す形状の開先加工を行い、表2に示すアプセット量として、外径300mmの電縫溶接クラッド鋼管を製造した。なお、合せ材を内層、母材を外層とした。
製造した各鋼管から試験片を採取し、JIS G 3445の規定に準拠した90°偏平試験を行い、偏平値h/Dを求めた。また、溶接部の耐食性を塩化第二鉄腐食試験(ASTM G48-A)により評価した。本試験では、成形管の溶接部を含んだ試験片を、合せ材側の面を50℃の6質量%濃度の塩化第二鉄水溶液中に72時間連続で浸漬させ、試験前後の質量変化から求めた腐食速度により評価した。ここで、質量変化量が4.0g/m未満の条件を満たすものを合格(○)、満たさないものを不合格(×)と判定した。各評価結果を表2に示す。
表2に示されるとおり、本発明例では、比較例と比べて溶接部の偏平値h/Dが桁違いに小さく、破断特性に優れ、かつ管内面がステンレス鋼としての耐食性を維持した溶接部を有することが確認された。
Figure 2018008310
Figure 2018008310
(実施例2)
表3に示す成分組成を有し、表4に示す厚みを有する母材である低炭素低合金鋼と、表3に示す成分組成を有し、表4に示す厚みを有する合せ材であるニッケル含有合金(Alloy625)からなる2層の種々のクラッド熱延鋼帯を用意した。実施例1と同様の方法で、表4に示す形状の開先加工を行い、表4に示すアプセット量として、外径300mmの電縫溶接クラッド鋼管を製造した。なお、合せ材を内層、母材を外層とした。
製造した各鋼管から試験片を採取し、JIS G 3445の規定に準拠した90°偏平試験を行い、偏平値h/Dを求めた。また、溶接部の耐食性を塩化第二鉄腐食試験(ASTM G48-A)により評価した。本試験では、成形管の溶接部を含んだ試験片を、合せ材側の面を50℃の6質量%濃度の塩化第二鉄水溶液中に72時間連続で浸漬させ、試験前後の質量変化から求めた腐食速度により評価した。ここで、質量変化量が4.0g/m未満の条件を満たすものを合格(○)、満たさないものを不合格(×)と判定した。各評価結果を表4に示す。
表4に示されるとおり、本発明例では、比較例と比べて溶接部の偏平値h/Dが桁違いに小さく、破断特性に優れ、かつ管内面がステンレス鋼としての耐食性を維持した溶接部を有することが確認された。
Figure 2018008310
Figure 2018008310
本発明によれば、従来技術で必要とされている電縫溶接後の肉盛溶接等の追加の溶接処理を施さなくても、電縫溶接ままでクラッド鋼管としての機能を損なうことなく、溶接部の機械的特性に優れた電縫溶接クラッド鋼管を製造することができる。
10 クラッド鋼帯
11 第1層(母材)
12 第2層(合せ材)
13 クラッド界面
14 溶接シーム部
15 メタルフロー
20 電縫溶接クラッド鋼管
30 アンコイラー
40 開先加工機
42 上側サイドロール
42A 圧延部
44 下側サイドロール
50 ロール成形機
60 高周波加熱装置
70 スクイズロール
90 ビード切削機
96 切断機
θ ベベル角度
d 開先深さ
t クラッド鋼帯(鋼管)の厚み
第1層(母材)の厚み
第2層(合せ材)の厚み
ルート面における第2層(合せ材)の厚み
溶接シーム部における第2層の厚み

Claims (2)

  1. 母材である炭素鋼または低合金鋼からなる第1層と、合せ材であるステンレス鋼またはニッケル含有合金からなる第2層とが圧着されてなるクラッド鋼帯を用意し、
    前記クラッド鋼帯の幅方向両端部を前記第2層側から押し込み加工して、前記幅方向両端部を、クラッド界面が前記第2層側から前記クラッド鋼帯の厚み中心側に向き、かつ、ベベル角度が10°以上50°以下で、開先深さdが前記クラッド鋼帯の厚みtの10%以上45%以下であり、下記(1)式で定義される投影クラッド比率Rが15%以上50%以下であるY形開先とする開先加工を行い、
    その後、前記クラッド鋼帯を管状に成形し、
    該クラッド鋼帯の前記幅方向両端部を、アプセット量が0.2t以上1.0t以下の条件で突き合せ加圧し、電縫溶接して、電縫溶接クラッド鋼管を得る
    ことを特徴とする電縫溶接クラッド鋼管の製造方法。

    R=(t +d)/t×100(%) ・・・(1)
    ここで、R:投影クラッド比率
    :ルート面における前記第2層の厚み(mm)
    d:開先深さ(mm)
    t:前記クラッド鋼帯の厚み(mm)
  2. 得られた前記電縫溶接クラッド鋼管は、JIS G 3445の規定に準拠した90°偏平試験における偏平値h/Dが0.3未満を満足するものである、請求項1に記載の電縫溶接クラッド鋼管の製造方法。
    ここで、h:偏平割れ高さ(mm)
    D:管外径(mm)
JP2016177940A 2016-07-05 2016-09-12 電縫溶接クラッド鋼管の製造方法 Active JP6520876B2 (ja)

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